以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態では、電動工具の一例として、打撃工具である電動式のハンマドリル1を例示する。
<第1実施形態>
以下、図1〜図7を参照して、第1実施形態に係るハンマドリル1について説明する。本実施形態のハンマドリル1は、ツールホルダ34に装着された先端工具18を所定の打撃軸A1に沿って直線状に駆動させる動作(打撃動作)や、先端工具18を打撃軸A1周りに回転駆動させる動作(ドリル動作)を行うように構成されている。
まず、図1および図2を参照して、ハンマドリル1の概略構成について説明する。ハンマドリル1の外郭は、主としてハウジング10によって形成されている。本実施形態のハウジング10は、いわゆる防振ハウジングとして構成されており、第1ハウジング部11と、第1ハウジング部11に対して相対移動可能に弾性連結された第2ハウジング部13とを含む。
図2に示すように、第1ハウジング部11は、モータ2を収容するモータ収容部111と、モータ2の動力によって先端工具18を駆動するように構成された駆動機構3を収容する駆動機構収容部117とを含み、全体として略L字状に形成されている。駆動機構収容部117は、打撃軸A1方向に延在する長尺状に形成されている。駆動機構収容部117の打撃軸A1方向における一端部には、先端工具18を着脱可能に構成されたツールホルダ34が設けられている。モータ収容部111は、駆動機構収容部117の打撃軸A1方向におけるもう一方の端部において、駆動機構収容部117に対して相対移動不能に連結固定され、打撃軸A1に交差して、打撃軸A1から離れる方向に突出するように配置されている。モータ収容部111内には、モータ2が、モータシャフト25の回転軸A2が打撃軸A1に直交する方向に延在するように配置されている。
なお、以下の説明では、便宜上、ハンマドリル1の打撃軸A1方向をハンマドリル1の前後方向と規定し、ツールホルダ34が設けられている一端部側をハンマドリル1の前側(先端領域側ともいう)と規定する。また、モータシャフト25の回転軸A2の延在方向をハンマドリル1の上下方向と規定し、駆動機構収容部117からモータ収容部111が突出する方向を下方向と規定する。
第2ハウジング部13は、把持部131と、上側部分133と、下側部分135とを含み、全体として略U字状に形成されている。把持部131は、作業者によって把持可能に構成され、モータシャフト25の回転軸A2方向(つまり上下方向)に延在するように配置される部分である。より詳細には、把持部131は、第1ハウジング部11に対して後方に離間して上下方向に延在している。上側部分133は、把持部131の上端部に接続する部分である。本実施形態では、上側部分133は、把持部131の上端部から前方に延在し、第1ハウジング部11の駆動機構収容部117の大部分を覆うように構成されている。下側部分135は、把持部131の下端部に接続する部分である。本実施形態では、下側部分135は、把持部131の下端部から前方に延在し、モータ収容部111の下側に配置されている。
以上の構成によって、図1に示すように、ハンマドリル1では、第2ハウジング部13に加え、第1ハウジング部11のうちモータ収容部111が上側部分133と下側部分135とに上下から挟まれた状態で外部に露出して、ハンマドリル1の外表面を形成している。また、第2ハウジング部13は、第1ハウジング部11と弾性要素を介して連結されている。更に、上側部分133および下側部分135は、夫々、モータ収容部111の上端部および下端部に対して摺動可能に構成されている。かかる構成によって、ハウジング10は、防振ハウジングとして機能する。この点については後で詳述する。
下側部分135の下端部には、充電式のバッテリ19が着脱可能に構成されたバッテリ装着部15が2つ設けられている。本実施形態では、2つのバッテリ装着部15は、前後方向に並設されている。本実施形態では、ハンマドリル1は、バッテリ装着部15に装着された2つのバッテリ19から供給される電力により動作する。
以下、図1〜図6を参照して、ハンマドリル1の各部分の詳細構成について説明する。
まず、図3を参照して、モータ収容部111の内部構造について説明する。モータ収容部111は、上側が開口した有底の矩形筒状に形成されている。図3に示すように、駆動機構収容部117は、その後側部分の下端部が、モータ収容部111の上端部内に配置された状態で、モータ収容部111に対して相対移動不能に連結固定されている。本実施形態では、モータ収容部111には、小型で高出力なブラシレスモータがモータ2として収容されている。モータ2は、ステータ21とロータ22とを含むモータ本体部20と、ロータ22から延設され、ロータ22と共に回転するモータシャフト25とを備えている。本実施形態では、モータ本体部20は、打撃軸A1から離間して、モータ収容部111の下端部に配置されている。なお、本実施形態では、ステータ21の径に対する積厚の比が1/5以下に設定されるとともに、ロータ22の径が積厚よりも大きく設定されている。つまり、モータ2は、径に対して回転軸A2方向の厚みが比較的小さいモータ(いわゆる扁平型モータ)として構成されている。これにより、モータ収容部111の回転軸A2方向の長さが抑えられている。かかる構成により、下側部分135がモータ収容部111の下側に配置されていても、ひいては、下側部分135の下方にバッテリ19が装着された場合でも、ハンマドリル1全体が大型化するのを抑えることができる。
上下方向に延在するモータシャフト25は、駆動機構収容部117の下端部に保持されたベアリング26と、モータ収容部111の下端部に保持されたベアリング27によって回転可能に支持されている。モータシャフト25には、モータ本体部20の上側に隣接して、モータ2および後述のコントローラ5の冷却用のファン28が固定されている。ファン28は、モータ2の駆動によってモータシャフト25と一体的に回転することで、後述の通気口139(図2参照)からハウジング10内に流入し、コントローラ5の周囲を通過した後、モータ2の周囲を通過する冷却風の流れを形成するように構成されている。なお、この冷却風は、モータ2の周囲を通過した後、上側部分133の側面に、排気口として設けられた通気口134(図1参照)からハウジング10の外部へ流出する。モータシャフト25の上端部は、駆動機構収容部117内に突出しており、この部分に駆動ギア29が形成されている。
次に、図2を参照して、駆動機構収容部117の内部構造について説明する。前述の通り、駆動機構収容部117には、駆動機構3が収容されている。図2に示すように、本実施形態の駆動機構3は、運動変換機構30と、打撃要素36と、回転伝達機構38とを含む。
運動変換機構30は、モータ2の回転運動を直線運動に変換して打撃要素36に伝達するように構成されている。本実施形態の運動変換機構30は、クランク機構として構成されており、クランクシャフト31と、連接ロッド32と、ピストン33と、シリンダ35とを含む。クランクシャフト31は、駆動機構収容部117の後端部にモータシャフト25と平行に配置されている。クランクシャフト31は、下端部に駆動ギア29に噛合する被動ギア311を有し、上端部にクランクピン312を有する。連接ロッド32の一端部はクランクピン312に回動可能に連結され、他端部は、ピンを介してピストン33に取り付けられている。ピストン33は、円筒状のシリンダ35内に摺動可能に配置されている。シリンダ35は、駆動機構収容部117の先端領域内に配置されたツールホルダ34の後部に、同軸状に連結固定されている。モータ2が駆動されると、ピストン33は、シリンダ35内で打撃軸A1方向に往復移動される。
打撃要素36は、ストライカ361と、インパクトボルト363とを含む。ストライカ361は、シリンダ35内に打撃軸A1方向に摺動可能に配置されている。ストライカ361とピストン33との間には、ピストン33の往復移動によって生じる空気の圧力変動を介して、打撃子としてのストライカ361を直線状に移動させるための空気室365が形成されている。インパクトボルト363は、ストライカ361の運動エネルギを先端工具18に伝達する中間子として構成され、ツールホルダ34内に打撃軸A1方向に摺動可能に配置されている。
モータ2が駆動され、ピストン33が前方に向けて移動されると、空気室365の空気が圧縮されて内圧が上昇する。このため、ストライカ361は、高速に前方に押し出されてインパクトボルト363に衝突し、運動エネルギを先端工具18に伝達する。これにより、先端工具18は打撃軸A1に沿って直線状に駆動され、被加工物を打撃する。一方、ピストン33が後方へ移動されると、空気室365の空気が膨張して内圧が低下し、ストライカ361が後方へ引き込まれる。ハンマドリル1は、運動変換機構30および打撃要素36にこのような動作を繰り返させることで、打撃動作を行う。
回転伝達機構38は、モータシャフト25の回転動力をツールホルダ34に伝達するように構成されている。本実施形態では、回転伝達機構38は、複数のギアを含むギア減速機構として構成されており、モータ2の回転動力は、適宜減速された上でツールホルダ34に伝達される。なお、回転伝達機構38の動力伝達経路上には、噛合い式のクラッチ39が配置されている。クラッチ39が係合状態に置かれた場合には、回転伝達機構38によってモータシャフト25の回転動力がツールホルダ34に伝達され、ツールホルダ34に装着された先端工具18が打撃軸A1周りに回転駆動される。一方、クラッチ39の係合状態が解除された場合には(図2は係合解除状態を示している)、回転伝達機構38によるツールホルダ34への動力伝達が遮断され、先端工具18は回転駆動されない。
本実施形態のハンマドリル1は、駆動機構収容部117の上部に設けられたモード切替ダイヤル391の操作により、ハンマドリルモードおよびハンマモードの2つのモードのうち何れかが選択可能に構成されている。ハンマドリルモードは、クラッチ39が係合状態とされ、運動変換機構30および回転伝達機構38が駆動されることで、打撃動作およびドリル動作が行われるモードである。ハンマモードは、クラッチ39が係合解除状態とされ、運動変換機構30のみが駆動されることで、打撃動作のみが行われるモードである。なお、かかるモード切替えのための構成については、周知の技術であるため、ここでの説明は省略する。
以下、図1、図2および図4を参照して、第2ハウジング部13の内部構造について説明する。まず、上側部分133について説明する。図1および図2に示すように、上側部分133の後側部分は、下側が開口した略矩形箱状に形成されており、駆動機構収容部117の後側部分(より詳細には、運動変換機構30および回転伝達機構38が収容されている部分)を上方から覆っている。また、上側部分133の前側部分は、円筒状に形成されており、駆動機構収容部117の前側部分(より詳細には、ツールホルダ34が収容されている部分)の外周を覆っている。
把持部131について説明する。図2に示すように、把持部131の前部には、作業者による押圧操作が可能なトリガ14が設けられている。筒状に形成された把持部131の内部には、トリガ14の操作に応じてオン状態とオフ状態との間で切り替えられるスイッチユニット140が設けられている。公知の構成であるため詳細は図示しないが、スイッチユニット140は、トリガ14の押圧操作に連動して移動されるプランジャと、モータ用スイッチと、照明用スイッチとを有する。
各スイッチは、固定接点と、可動接点とを有する。各スイッチは、トリガ14が押圧されていない初期状態では、オフ(開)状態に維持される。一方、トリガ14が押圧操作されると、これに連動してプランジャが移動し、可動接点を固定接点に接触させることで、スイッチがオン(閉)状態とされる。なお、本実施形態では、トリガ14が最大限まで押圧されるより前に照明用スイッチの可動接点が固定接点に接触し、トリガ14が最大限まで押圧されたときにモータ用スイッチの可動接点が固定接点に接触するように、プランジャによる夫々のスイッチの接点の作動時期が設定されている。
スイッチユニット140は、図示しない配線によって、後述のコントローラ5に電気的に接続されている。モータ用スイッチおよび照明用スイッチのオン、オフ状態は、夫々、コントローラ5によるモータ2への通電の開始と停止、および、後述する照明ユニット6の点灯と消灯の制御に使用される。
下側部分135について説明する。図1および図2に示すように、下側部分135は、上側が一部開口した矩形箱状に形成されており、モータ収容部111の下側に配置されている。前述の通り、第2ハウジング部13の下側部分135の下端部には、前後方向に並んで2つのバッテリ装着部15が設けられている。バッテリ19は、各バッテリ装着部15の下側に装着される。
ここで、各バッテリ装着部15に着脱可能なバッテリ19の構成について簡単に説明する。図1、図2および図4に示すように、バッテリ19は、概ね直方体状に形成されており、フック193と、端子(図示せず)と、一対のガイド溝191とを有する。なお、説明の便宜上、バッテリ19の方向に関しては、ハンマドリル1に装着された状態で、その上下方向を規定する。
フック193と端子は、バッテリ装着部15に対向するバッテリ19の上部に設けられている。フック193は、バッテリ19の長手方向(図2の左右方向、図4の紙面直交方向)における一端部に、常時には上面から上方へ突出するようにバネ(図示せず)で付勢され、ボタン195の押圧操作で上面から下方へ引っ込むように構成されている。端子は、フック193に隣接してバッテリ19の上部に設けられている。一対のガイド溝191は、バッテリ19の長手方向に沿って配置された一対の側面の上部に、長手方向に直線状に延在する溝として形成されている。
本実施形態では、2つのバッテリ装着部15のうち、前側のバッテリ装着部15は、下側部分135の前側部分に設けられ、後側のバッテリ装着部15は、下側部分135の後側部分に設けられている。なお、前側のバッテリ装着部15は、モータ2の下方で回転軸A2上に配置されている。図2および図4に示すように、各バッテリ装着部15には、ガイドレール151と、フック係合部153と、バッテリ接続端子155とが設けられている。
ガイドレール151は、下側部分135の下端に沿って左右の壁面から内方に突出し、且つ、前後方向(打撃軸A1方向)に直線状に延在する突条として形成されている。ガイドレール151は、バッテリ19のガイド溝191にスライド係合可能に構成されている。フック係合部153は、上方へ凹んだ凹部であって、バッテリ19のフック193が係合可能に構成されている。バッテリ接続端子155は、フック193がフック係合部153に係合することでバッテリ19がバッテリ装着部15に固定されるのに伴い、バッテリ19の端子と電気的に接続するように構成されている。
本実施形態では、前側のバッテリ装着部15と後側のバッテリ装着部15とは、同一の構成を有するが、バッテリ19の着脱方向が異なっている。具体的には、前側のバッテリ装着部15は、バッテリ19が、フック193が前上端部に配置され、ガイド溝191にガイドレール151が係合した状態で、前方から後方へ向けてスライド係合されるように構成されている。このため、フック係合部153はバッテリ装着部15の前端部に配置され、バッテリ接続端子155はバッテリ19の端子に対して後方から接続するように構成されている。一方、後側のバッテリ装着部15は、バッテリ19が、フック193が後上端部に配置され、ガイド溝191にガイドレール151が係合した状態で、後方から前方へ向けてスライド係合されるように構成されている。このため、フック係合部153はバッテリ装着部15の後端部に配置され、バッテリ接続端子155はバッテリ19の端子に対して前方から接続するように構成されている。
このように、前側のバッテリ装着部15は、バッテリ19が前方から後方へ向けて装着されるように構成され、後側のバッテリ装着部15は、バッテリ19が後方から前方へ向けて装着されるように構成されることで、一方のバッテリ装着部15に装着されたバッテリ19が、他方のバッテリ装着部15へのバッテリ19の着脱時にバッテリ19に干渉することがない。よって、2つのバッテリ19の着脱時の操作性を良好に保つことができる。
なお、前側および後側のバッテリ装着部15の夫々のガイドレール151は、前後方向に水平に延びる同一の仮想直線に沿って配置されている。つまり、2つのバッテリ装着部15は、上下方向においては同じ位置で前後方向に一列に並んでいる。
図2に示すように、以上のように構成された2つのバッテリ装着部15が、下側部分135の下端部に前後方向に並設されることで、前後方向において2つのバッテリ接続端子155の間には、スペース150が形成される。下側部分135(より詳細には、下側部分135の周壁部136)のうち、このスペース150を覆う領域には、下側部分135の内部と外部とを連通させる通気口139が3つ形成されている。本実施形態では、通気口139は、スペース150を覆う左右の壁部に3つずつ設けられている。また、通気口139は、冷却風の流入口として機能する。
図1および図2に示すように、下側部分135の前端部には、照明ユニット6が設けられている。本実施形態の照明ユニット6は、光源としての発光ダイオード(LED)と、LEDを収容する透光材料製(透明樹脂、ガラス等)のケースを主体として構成されている。照明ユニット6は、LEDが発する光が先端工具18による作業位置(言い換えると、被加工物の加工対象箇所、または先端工具18の先端部分)を照らすように、光の照射方向が設定されている。
更に、図2に示すように、下側部分135には、ハンマドリル1の動作を制御するためのコントローラ5が収容されている。本実施形態では、コントローラ5は、ブラシレスモータであるモータ2の制御装置として構成されている。より詳細には、コントローラ5は、制御回路(例えば、CPUやメモリを含むマイクロコンピュータ)、インバータ回路等が搭載された回路基板として構成されている。なお、本実施形態では、コントローラ5は、照明ユニット6の制御装置としても機能する。
コントローラ5は、2つのバッテリ接続端子155の間に形成されたスペース150に隣接して、前後方向において2つのバッテリ装着部15と少なくとも一部が重なるように配置されている。より詳細には、コントローラ5は、スペース150の上方に配置されており、上から(または下から)みた場合に、その中央部がスペース150と重なり、その前端部および後端部が前側および後側のバッテリ装着部15に部分的に重なるように配置されている。また、コントローラ5は、コントローラ5をモータ2、照明ユニット6、スイッチユニット140等に電気的に接続するための配線(図示せず)が接続された配線用端子51を有する。コントローラ5は、配線用端子51が下方のスペース150に向けて突出するように配置されている。
本実施の形態では、トリガ14が押圧操作され、スイッチユニット140の照明用スイッチが常時のオフ状態からオン状態とされると、コントローラ5は、照明スイッチから出力されたオン信号に基づいて照明ユニット6のLEDを点灯させる。トリガ14が最大限まで更に押圧操作されて、モータ用スイッチがオン状態とされると、コントローラ5は、出力されたオン信号に基づいてモータ2を通電駆動する。なお、前述の通り、照明用スイッチとモータ用スイッチの接点の作動時期が異なっていることから、照明ユニット6は、このように、モータ2の駆動が開始される前に点灯され、モータ2の駆動が停止された後に消灯される。
以下、図2〜図6を参照して、ハウジング10の防振ハウジング構造の詳細について説明する。前述の通り、ハウジング10では、モータ2および駆動機構3を収容する第1ハウジング部11に対し、把持部131を含む第2ハウジング部13が弾性的に連結されることで、第1ハウジング部11から第2ハウジング部13(特に、把持部131)への振動伝達の抑制が図られている。
より詳細には、図2に示すように、第1ハウジング部11の駆動機構収容部117と、第2ハウジング部13の上側部分133との間には、左右一対の第1バネ71が配置されている。なお、図2では、右側の第1バネ71のみが図示されているが、左側の第1バネ71の構成は、右側と同じである。更に、第1ハウジング部11のモータ収容部111と、第2ハウジング部13の下側部分135との間には、第2バネ75が配置されている。つまり、第1ハウジング部11と第2ハウジング部13とは、把持部131の上端部側と下端部側で、第1バネ71と第2バネ75を介して弾性連結されている。これらのバネに加え、駆動機構収容部117の前端部と、上側部分133の円筒状の前側部分の間には、弾性部材で形成されたOリング79が介在状に配置されている。
第1バネ71の配置の詳細について説明する。図2および図4に示すように、駆動機構収容部117の後端部には、プレート部材72がネジで固定されている。プレート部材72の後面の上端部には、左右一対のバネ受け部73が設けられている。バネ受け部73は、後方に突出する円柱部を有する。また、バネ受け部73の後側に配置された上側部分133の後端部には、左右一対のバネ受け部74が設けられている。バネ受け部74は、前方に突出する円柱部を有する。
本実施形態では、第1バネ71として、圧縮コイルバネが採用されている。第1バネ71は、その中心軸が打撃軸A1方向(つまり前後方向)に延在するように、両端部がバネ受け部74、73の夫々の円柱部に外装された状態で、バネ受け部74、73の間に弾発状に配置されている。第1バネ71は、第1ハウジング部11(駆動機構収容部117)と第2ハウジング部13(上側部分133)とを、把持部131が第1ハウジング部11から離れる方向に付勢している。言い換えると、第1バネ71は、打撃軸A1方向である前後方向において、第1ハウジング部11を前方へ付勢し、把持部131を含む第2ハウジング部13を後方へ付勢している。
第2バネ75の配置の詳細について説明する。図2および図5に示すように、モータ収容部111の前下端部の中央部からは、バネ受け部76が下方に突出している。バネ受け部76は、前壁部と左右の側壁部とを含み、後側が開口している。また、前側が開口した凹部として下側部分135に設けられたバネ受け部77が、バネ受け部76の後側に配置されている。本実施形態では、第2バネ75も、圧縮コイルバネである。第2バネ75は、その中心軸が打撃軸A1方向(つまり前後方向)に延在するように、両端部がバネ受け部76、77の後面と前面に当接した状態で、バネ受け部76、77の間に弾発状に配置されている。第2バネ75は、第1ハウジング部11(モータ収容部111)と第2ハウジング部13(下側部分135)とを、把持部131が第1ハウジング部11から離れる方向に付勢している。つまり、第2バネ75も、第1バネ71と同様、第1ハウジング部11を前方へ付勢し、第2ハウジング部13を後方へ付勢している。
更に、ハウジング10には、第1ハウジング部11と第2ハウジング部13の相対移動時の摺動ガイド構造が設けられている。本実施形態では、摺動ガイド構造として、モータ本体部20に対して上側と下側の2か所に、上側ガイド部8と、下側ガイド部9とが設けられている。
まず、図3および図4を参照して、上側ガイド部8の詳細構成について説明する。図3に示すように、有底矩形筒状のモータ収容部111は、周方向にモータ2を取り巻く周壁部112と、周壁部112の下端に接続し、モータ収容部111の下端部を形成する底部113とを含む。なお、底部113の外縁部は、中央部よりも上方に凹んだ段差部114を形成している。上側摺動部81は、周壁部112とは別部材として略矩形枠状に形成され、周壁部112の上端部の外周に装着されている。上側摺動部81の上面は、打撃軸A1に平行な平面(つまり、その法線が打撃軸A1に直交する平面)として形成されており、第1上側摺動面811を構成する。なお、本実施形態では、第1上側摺動面811は、水平方向に伸展する平面(つまり、打撃軸A1に直交し、且つモータシャフト25の回転軸A2に平行な法線を有する平面)とされている。
これに対し、上側部分133の開口部(下端部)の下面も、打撃軸A1に平行な平面(つまり、その法線が打撃軸A1に直交する平面)として形成されており、第2上側摺動面821を構成する。本実施形態では、第2上側摺動面821も水平方向に伸展する平面とされており、第1上側摺動面811と第2上側摺動面821とは、面当たりで互いに接触した状態で摺動可能である。第1上側摺動面811および第2上側摺動面821は、上側ガイド部8を構成する。
第1上側摺動面811を有する上側摺動部81は、少なくとも、第2上側摺動面821を有する上側部分133とは異なる材料で形成されている。本実施形態では、第2ハウジング部13(把持部131、上側部分133、および下側部分135)と、モータ収容部111の周壁部112および底部113は、何れもポリアミド樹脂で形成されている。一方、上側摺動部81は、ポリカーボネート樹脂で形成されている。
なお、図4に示すように、周壁部112のうち、左右の壁部を構成する部分は、外周に装着された上側摺動部81よりも上方へ突出し、上側部分133の下端部の内側に配置されたガイド部115を含む。ガイド部115は、第1上側摺動面811と第2上側摺動面821とが摺動し、上側部分133がモータ収容部111に対して相対移動する時に、上側部分133がモータ収容部111に対して左右方向に移動することを規制し、打撃軸A1方向に移動するように案内する。これにより、本実施形態では、第1上側摺動面811と第2上側摺動面821とは、互いに接触した状態で、打撃軸A1方向(前後方向)に摺動する。
図2〜図6を参照して、下側ガイド部9の構成について説明する。下側ガイド部9は、上側ガイド部8と同様、モータ収容部111の下側摺動部91に形成された第1下側摺動面911と、下側部分135に形成された第2下側摺動面921とで構成されている。
図3および図6に示すように、下側摺動部91は、モータ収容部111の周壁部112の下端部の外周に装着されている。下側摺動部91は、外周部912と、外縁部913と、突出部914とを含む。外周部912は、矩形枠状に形成され、周壁部112の外周に装着されている。外縁部913は、底部113の外縁部に形成された段差部114に沿って外周部912から内側に突出している。突出部914は、外縁部913の内側の端から底部113の中央部と概ね同じ位置まで下方へ突出している。外縁部913の下面は、打撃軸A1に平行な平面(つまり、その法線が打撃軸A1に直交する平面)として形成されており、第1下側摺動面911を構成する。なお、本実施形態では、第1下側摺動面911は、水平方向に伸展する平面とされている。
また、下側摺動部91は、少なくとも下側部分135とは異なる材料で形成されている。本実施形態では、下側摺動部91は、上側摺動部81と同じく、ポリカーボネート樹脂で形成されている。
図3、図5および図6に示すように、底部113には、下側摺動部91の外縁部913に対向するように、プレート部材917が固定されている。本実施形態では、プレート部材917は、後側が開放された略U字状の板金として構成されており、外縁部913に対向するように、下方から底部113にネジで固定されている。外縁部913の下面である第1下側摺動面911と、プレート部材917の上面との間には、上下方向に隙間が形成されている。
また、図3および図5に示すように、プレート部材917には、左右一対の前方ストッパ部918と、左右一対の後方ストッパ部919とが設けられている。前方ストッパ部918および後方ストッパ部919は何れも、プレート部材917の一部が下方に屈曲されることで形成されている。前方ストッパ部918および後方ストッパ部919は、後述の前方当接部137および後方当接部138と協働して、下側部分135がモータ収容部111に対して打撃軸A1方向(つまり、前後方向)に所定範囲を超えて相対移動することを規制するように構成されている。
図3、図5、および図6に示すように、下側部分135の開口部(上端部)には、下側部分135の周壁部136から内側に向けて突出する介在部922が形成されている。なお、図5はモータ収容部111の底面図であるが、説明の便宜上、下側部分135の周壁部136の内面、および介在部922の突出端を、夫々、鎖線および二点鎖線で示している。
介在部922は、少なくとも一部(詳細には、後部以外の部分)が第1下側摺動面911とプレート部材917の上面との間に形成された隙間に配置され、モータ収容部111に対して摺動可能に構成されている。介在部922の上下方向の厚みは、第1下側摺動面911とプレート部材917の上面との間の距離と概ね同一である。介在部922の上面は、打撃軸A1に平行な平面(つまり、その法線が打撃軸A1に直交する平面)として形成されており、第2下側摺動面921を構成する。なお、本実施形態では、第2下側摺動面921も、水平方向に伸展する平面とされている。第1下側摺動面911と第2下側摺動面921とは、面当たりで互いに接触した状態で摺動可能である。
下側摺動部91の突出部914は、第1下側摺動面911と第2下側摺動面921とが摺動し、下側部分135がモータ収容部111に対して相対移動する時に、左側部分と右側部分が介在部922に当接することで、下側部分135がモータ収容部111に対して左右方向に移動することを規制し、打撃軸A1方向に移動するように案内する。これにより、本実施形態では、第1下側摺動面911と第2下側摺動面921とは、互いに接触した状態で、打撃軸A1方向(前後方向)に摺動する。
図3および図5に示すように、下側部分135の周壁部136の前上端部には、夫々、後方へ突出する左右一対の前方当接部137が設けられている。また、下側部分135の周壁部136の後上端部には、夫々、下側部分135の内側へ突出する左右一対の後方当接部138が設けられている。前方当接部137は、前方ストッパ部918の前面に当接可能に構成されている。後方当接部138は、後方ストッパ部919の後面に当接可能に構成されている。前方当接部137および後方当接部138は、前方ストッパ部918および後方ストッパ部919と協働して、下側部分135がモータ収容部111に対して打撃軸A1方向(つまり、前後方向)に所定範囲を超えて相対移動することを規制するように構成されている。
以上のように構成されたハンマドリル1の作用および効果について説明する。前述の通り、第1ハウジング部11と第2ハウジング部13は、第1バネ71および第2バネ75によって、夫々、前方と後方へ付勢されている。よって、図2および図3に示すように、加工作業が開始される前の初期状態において、前方当接部137の後面には、プレート部材917の前方ストッパ部918が当接している。つまり、前方当接部137が前方ストッパ部918に当接することで、モータ収容部111に対する下側部分135の初期配置を規定している。図2および図4に示すように、初期状態のハンマドリル1では、モータ収容部111の全周において、第1上側摺動面811と第2上側摺動面821とが当接した状態である。
作業者によってトリガ14が押圧操作されると、モータ2の駆動が開始される。モータ2および駆動機構3の駆動に起因して、ハンマドリル1には振動が生じる。本実施形態では、作業者によって把持される把持部131を含む第2ハウジング部13は、振動源となるモータ2および駆動機構3を収容する第1ハウジング部11に対して相対移動可能に第1バネ71および第2バネ75を介して連結されている。これにより、第1ハウジング部11から第2ハウジング部13(特に把持部131)への振動伝達を抑制することができる。
特に、本実施形態では、第1バネ71および第2バネ75は、第1ハウジング部11と第2ハウジング部13とを、把持部131が第1ハウジング部11から離れる方向に付勢する圧縮コイルバネで構成されている。そして、第1ハウジング部11と第2ハウジング部13とが、把持部131の両端において第1バネ71および第2バネ75を介して連結されている。これにより、第1ハウジング部11から把持部131に振動が伝達されることを更に効果的に抑制することができる。
また、第2ハウジング部13の上側部分133および下側部分135と夫々摺動可能に構成された上側摺動部81と下側摺動部91とが、第1ハウジング部11の2か所に設けられている。より詳細には、上側摺動部81と下側摺動部91とが、モータシャフト25の回転軸A2方向において、モータ本体部20の両側に配置されている。よって、モータ本体部20の片側の1か所にだけ摺動ガイド構造が設けられる場合に比べ、第1ハウジング部11と第2ハウジング部13とが相対移動するときの第1ハウジング部11と第2ハウジング部13との間の摺動の安定性を高めることができる。
下側摺動部91は、打撃軸A1に平行な平面である第1下側摺動面911を有する。第1下側摺動面911は、下側部分135に形成された第2下側摺動面921に接触した状態で、打撃軸A1方向(前後方向)に摺動可能である。この場合、第1下側摺動面911と第2下側摺動面921とが、面当たりで互いに接触した状態で第1ハウジング部11と第2ハウジング部13とを案内できるため、摺動の安定性を更に向上させることができる。また、このときの摺動方向を打撃軸A1方向とすることで、ハンマドリル1で生じる振動のうち、最も大きく且つ支配的な打撃軸A1方向の振動が把持部131に伝達されるのを効果的に抑制することができる。
なお、図7に示すように、加工作業時に、第1バネ71および第2バネ75の付勢力に抗して、第2ハウジング部13が第1ハウジング部11に対して前方に相対的に移動した場合、後方ストッパ部919の後面に後方当接部138が当接することで、下側部分135がモータ収容部111に対してそれ以上前方へ移動することを規制する。このとき、モータ収容部111の全周に亘って設けられた上側摺動部81の第1上側摺動面811のうち、後側部分は、上側部分133の第2上側摺動面821よりも後方に配置されるが、モータ収容部111の周壁部112の上面が第2上側摺動面821に当接するため、上側部分133とモータ収容部111との間には隙間は生じない。これにより、ハウジング10内部に粉塵等が進入するのを防止することができる。
本実施形態では、図3に示すように、モータ収容部111の下端部(より詳細には、下側摺動部91の外縁部913の下面)と、モータ収容部111の下端部に固定されたプレート部材917との間の隙間に、下側部分135の上端部に設けられた介在部922が配置されている。そして、第1下側摺動面911は、外縁部913の下面に形成され、第2下側摺動面921は、介在部922の上面に形成されている。このように介在部922を設けることで、打撃軸A1方向の摺動ガイド構造を、簡便な構成で確実に実現することができる。更に、本実施形態のプレート部材917は、金属製であるため、例えば、ハンマドリル1が地面に落下する等して激しい衝撃を受けた場合でも、割れずに撓むことで、プレート部材917自体や介在部922の損傷を抑えることができる。
本実施形態では、第1ハウジング部11のうち、第1下側摺動面911を有する下側摺動部91は、第2下側摺動面921を有する第2ハウジング部13とは異なる材料で形成されている。よって、第1下側摺動面911と第2下側摺動面921とが、摺動に伴って互いに溶着するのを防止することができる。更に、本実施形態では、上側部分133と摺動する上側摺動部81も、第2ハウジング部13とは異なる材料で形成されている。よって、同様に、第1上側摺動面811と第2上側摺動面821とが、互いに溶着するのを防止することもできる。
本実施形態では、下側部分135は、回転軸A2方向(上下方向)において上側部分133からより離れた側の端部(つまり、下端部)に、バッテリ19を着脱可能に構成されたバッテリ装着部15を備えている。下側部分135は、モータ2および駆動機構3を収容する第1ハウジング部11に対して弾性連結されているため、バッテリ装着部15にバッテリ19が装着された時のチャタリングを抑制することができる。また、バッテリ装着部15にバッテリ19を装着することで、第2ハウジング部13の質量を増加させ、第2ハウジング部13の更なる低振動化を実現することができる。
更に、本実施形態では、バッテリ装着部15は、打撃軸A1方向(前後方向)に2つが並設されている。そして、下側部分135は、バッテリ接続端子155の間に形成されたスペース150を覆う領域に形成された通気口139を有する。ハンマドリル1の動作を制御するコントローラ5は、スペース150に隣接して、前後方向において2つのバッテリ装着部15と少なくとも一部が重なるように配置されている。複数のバッテリ装着部15が並設される場合、バッテリ接続端子155の間のスペース150は、デッドスペースとなりやすい。これに対し、本実施形態では、コントローラ5と複数のバッテリ装着部15の配置に関し、デッドスペースになりがちな領域を、通気口139を設ける領域として有効活用し、コントローラ5の冷却を行うという効率化を実現することができる。また、バッテリ装着部15とコントローラ5を何れも下側部分135に配置することで、バッテリ装着部15とコントローラ5の間の配線を容易とすることができる。
また、コントローラ5の配線用端子51は、バッテリ装着部15のバッテリ接続端子155の間のスペース150に向けて突出するため、スペース150を覆う領域に形成された通気口139から流入する冷却風によって、配線用端子51および配線を効果的に冷却することができる。
また、本実施形態では、ファン28によって、通気口139から流入し、コントローラ5の周囲を通過した後、モータ2の周囲を通過する冷却風の流れが形成されるため、冷却を要するコントローラ5およびモータ2を効率的に冷却することができる。特に、本実施形態では、モータ2としてブラシレスモータが採用されている。ブラシレスモータの制御装置としてのコントローラ5には、制御回路やインバータ回路が搭載されているため、冷却に対する需要が高い。これに対し、ハンマドリル1では、ブラシレスモータの制御装置を効果的に冷却することができる。
ハンマドリル1のような打撃工具は、先端工具18を打撃軸A1方向に直線状に駆動するように構成されているため、一般的に、打撃軸A1方向の寸法が他の方向に比べて長く設定されることが多い。よって、本実施形態のように、複数のバッテリ装着部15を打撃軸A1に平行な方向に並列させることで、他の方向の寸法を増大させずにコンパクトな配置が可能となる。また、このように並列されたバッテリ装着部15に同じ形状の複数のバッテリ19が装着されると、図2に示すように、バッテリ19の底面は、概ね同一平面上に配置される。このため、バッテリ19の底面を下向きにして、ハンマドリル1を安定した姿勢で床や作業台等の平面上に載置することができる。
本実施形態では、第1ハウジング部11に対して弾性連結された第2ハウジング部13の下側部分135に、先端工具18による作業位置へ向けて光を照射するように構成された照明ユニット6が設けられている。よって、作業者は、ハンマドリル1を用いた加工作業時に、作業位置に配置された先端工具18や被加工物の状態を容易に確認することができる。また、下側部分135に照明ユニット6を設けることで、照明ユニット6を振動から保護することができる。
更に、照明ユニット6は、モータ2の通電駆動のために作業者によって押圧操作されるトリガ14の操作に連動して、モータ2の通電駆動に先立って点灯されるように構成されている。よって、作業者は、モータ2の通電駆動のためにトリガ14を操作するだけで照明ユニット6を点灯させることができ、更に、実際の作業を開始する前にも、先端工具18による作業位置を容易に確認することができる。更に、本実施形態では、照明ユニット6は、モータ2の駆動停止後に消灯されるように構成されているため、作業終了後に被加工物の加工個所を確認することもできる。
本実施形態の各構成要素と本発明の各構成要素の対応関係を以下に示す。ハンマドリル1は、本発明の「電動工具」および「打撃工具」に対応する構成例である。打撃軸A1は、本発明の「駆動軸」に対応する例である。モータ2、モータ本体部20、ステータ21、ロータ22、モータシャフト25は、夫々、本発明の「モータ」、「モータ本体部」、「ステータ」、「ロータ」、「モータシャフト」に対応する構成例である。駆動機構3は、本発明の「駆動機構」に対応する構成例である。ハウジング10は、本発明の「ハウジング」に対応する構成例である。打撃要素36、運動変換機構30は、夫々、本発明の「打撃要素」、「運動変換機構」に対応する構成例である。ハンマドリルモードおよびハンマモードは、本発明の「複数の動作モード」に対応する例である。ファン28、コントローラ5、通気口139は、夫々、本発明の「ファン」、「コントローラ」、「通気口」に対応する構成例である。第1ハウジング部11、第2ハウジング部13、把持部131は、夫々、本発明の「第1ハウジング部」、「第2ハウジング部」、「把持部」に対応する構成例である。第1バネ71、第2バネ75、Oリング79は、各々、本発明の「弾性要素」に対応する構成例である。バッテリ装着部15は、本発明の「バッテリ装着部」に対応する構成例である。照明ユニット6は、本発明の「照明装置」に対応する構成例である。トリガ14は、本発明の「操作部材」に対応する構成例である。
<第2実施形態>
以下、図8を参照して、第2実施形態について説明する。本実施形態で例示するハンマドリル101の大部分は、第1実施形態のハンマドリル1と同一の構成を有する。よって、以下では、同一の構成については図示および説明を省略または簡略化し、主に異なる構成について、図を参照して説明する。
図8に示すように、ハンマドリル101のハウジング100も、第1実施形態と同様、第1ハウジング部11と、第1ハウジング部11に対して相対移動可能に弾性連結された第2ハウジング部130とを含む。第1ハウジング部11の構成およびその内部構造は、第1実施形態と同一である。つまり、第1ハウジング部11には、モータ2および駆動機構3が収容されている。より詳細には、第1ハウジング部11において、駆動機構3が駆動機構収容部117に収容されるとともに、モータ2は、モータ本体部20が打撃軸A1から離間し、且つ、回転軸A2が打撃軸A1に直交する方向に延在するように、モータ収容部111内に配置されている。また、モータ2は、ステータ21の径に対する積厚の比が1/5以下に設定されるとともに、ロータ22の径が積厚よりも大きく設定されたブラシレスモータ(いわゆる扁平型モータ)として構成されている。
一方、第2ハウジング部130の下側部分160の構成およびその内部構造は、第1実施形態とは異なっている。より詳細には、下側部分160は、第1実施形態の下側部分135(図2参照)と同様、コントローラ5を収容するとともに、バッテリ19を着脱可能に構成された2つのバッテリ装着部15を有する。但し、本実施形態では、2つのバッテリ装着部15は、何れも、ガイドレール151がハンマドリル101の左右方向に延在するように構成されており、バッテリ19は、バッテリ装着部15に対して左方から右方へ向けて装着される。
かかる構成に起因して、下側部分160の周壁部のうち、2つのバッテリ装着部15のバッテリ接続端子155の間に形成されるスペースを覆う領域は、第1実施形態ほど大きくない。このため、本実施形態では、冷却風の流入口として機能する通気口161は、上下方向において、コントローラ5と対応する領域(側面視でコントローラ5と重なる領域)に設けられている。なお、本実施形態では、通気口161は、下側部分160の左右の壁部に6つずつ設けられている。ファン28によって形成される冷却風の流れは、通気口161からハウジング100内に流入し、コントローラ5の周囲を通過した後、モータ2の周囲を通過し、通気口134(図1参照)から流出する。よって、第1実施形態とは通気口161の配置位置が異なるものの、本実施形態でも、冷却風によって、コントローラ5およびモータ2を効率的に冷却することができる。
前述のバッテリ19の装着方向の相違により、2つのバッテリ装着部15をあわせた前後方向長さは、第1実施形態よりも短縮されており、下側部分160の前後方向長さに比べて短い。そこで、本実施形態では、下側部分160の前端部および後端部は、夫々、2つのバッテリ装着部15の前側および後側で、バッテリ装着部15よりも下方に突出するように形成されている。上下方向に関しては、下側部分160の前端部および後端部は、夫々、その下面が、バッテリ装着部15に装着されたバッテリ19の下面と概ね面一となるように構成されている。下側部分160の前端部および後端部は、各々、バッテリ19がバッテリ装着部15に装着された場合に、バッテリ19の露出部分のうち、下端部の少なくとも1つの隅部領域90を外力から保護するバッテリ保護部として機能する。より詳細には、前端部は、主に前方から(斜め方向を含む)前側のバッテリ19の前側下端部の2つの隅部領域90に向かう外力に干渉することで、これらの隅部領域90を保護する前側保護部163として機能する。後端部は、主に後方から(斜め方向を含む)後側のバッテリ19の後側下端部の2つの隅部領域90に向かう外力に干渉することで、これらの隅部領域90を保護する後側保護部165として機能する。
以上のように構成された本実施形態のハンマドリル101でも、第1実施形態と同じく扁平型のブラシレスモータとして構成されたモータ2が採用されることで、モータ2の配置領域(つまり、モータ収容部111)の回転軸A2方向の長さが抑えられている。かかる構成により、下側部分160がモータ収容部111の下側に配置されていても、ひいては、下側部分160にバッテリ19が装着された場合でも、ハンマドリル101全体が大型化するのを抑えることができる。特に、第1実施形態や本実施形態のように、駆動機構3の運動変換機構30としてクランク機構が採用される場合、揺動部材が採用される場合に比べ、駆動機構3が大型化しやすいが、モータ2を前述の構成とすることで、ハンマドリル101全体の大型化を抑制することができる。このほか、本実施形態のハンマドリル101によれば、第1実施形態と同様の構成に関しては、第1実施形態において説明したのと同様の効果を得ることができる。
本実施形態においては、ハンマドリル101が、本発明の「電動工具」および「打撃工具」に対応する構成例である。ハウジング100、第1ハウジング部11、第2ハウジング部130が、夫々、本発明の「ハウジング」、「第1ハウジング部」、「第2ハウジング部」に対応する構成例である。通気口161が、本発明の「通気口」に対応する構成例である。
上記実施形態は単なる例示であり、本発明に係る電動工具は、例示されたハンマドリル1の構成に限定されるものではない。例えば、下記に例示される変更を加えることができる。なお、これらの変更は、これらのうちいずれか1つのみ、あるいは複数が、実施形態に示すハンマドリル1、あるいは各請求項に記載された発明と組み合わされて採用されうる。
例えば、上記実施形態では、打撃工具の一例として、打撃動作およびドリル動作を行うハンマドリルモードと、打撃動作のみを行うハンマモードという2つの動作モードのうち何れか一方が選択可能、且つ、選択された動作モードで動作可能なハンマドリル1、101が挙げられている。しかしながら、打撃工具は、例えば、動作モードとして、ハンマドリルモードとハンマモードに加え、ドリル動作のみを行うドリルモードを有するハンマドリルや、動作モードがハンマモードのみの電動ハンマであってもよい。電動工具は、打撃工具以外の電動工具(例えば、グラインダ、アングルドリル等)であってもよい。
上記実施形態では、2つのバッテリ装着部15が前後方向に並設された例が挙げられている。しかしながら、バッテリ装着部15の数は、3つ以上であってもよい。また、バッテリ装着部15が並設される方向は、打撃軸A1に平行な方向に限られず、打撃軸A1と交差する方向であってもよい。
バッテリ19の装着時のチャタリング防止や防振効果向上の観点からは、バッテリ装着部15は、振動源であるモータ2や駆動機構3を収容する第1ハウジング部11に対して弾性連結された第2ハウジング部13に設けられることが好ましい。しかしながら、バッテリ装着部15が、第1ハウジング部11に設けられることが排除されるものではない。また、バッテリ装着部15は、防振ハウジング構造を有しないハウジングに設けられてもよい。なお、防振ハウジング構造を有するハウジングは、必ずしもハウジング10と同様の構成を有する必要はない。例えば、ハウジング10において、第1ハウジング部11と第2ハウジング部13とを互いに相対移動可能に連結するための弾性要素の数や位置は、適宜、変更が可能である。
上記第1実施形態では、通気口139は、下側部分135(周壁部136)のうち、スペース150を覆う領域(より詳細には、左右の壁部)に3つ形成されている。また、第2実施形態では、側面視でコントローラ5と重なる位置に6つの通気口161が形成されている。しかしながら、通気口139、161の数や形状は、この例に限定されるものではなく、適宜変更が可能である。また、コントローラ5を冷却する冷却風の流れは、通気口139、161から流入して通気口134から流出する流れとは反対に、通気口134から流入して通気口139、161から流出する流れであってもよい。この場合、冷却風の流れを形成するファン28は、モータ2の下側に配置されればよい。
上記実施形態では、照明ユニット6は、トリガ14の押圧操作に連動して、モータ2の通電駆動に先立って点灯され、モータ2の駆動停止後に消灯されるように構成されている。しかしながら、モータ2の通電駆動、停止と、照明ユニット6の点灯、消灯のタイミングは同じであってもよい。照明ユニット6は、モータ2の駆動開始より前に点灯され、モータ2の駆動停止と同時に消灯されてもよい。あるいは、照明ユニット6は、他の操作部材(ボタン等)の操作に応じて点灯および消灯されるように構成されていてもよい。また、照明ユニット6は、必ずしも設けられる必要はない。
更に、本発明および上記実施形態の趣旨に鑑み、以下の態様が構築される。以下の態様は、実施形態に示すハンマドリル1、101、上記変形例、または各請求項に記載された発明と組み合わされて採用されうる。
[態様1]
前記電動工具は、
前記ハウジングに設けられるとともに、バッテリを着脱可能に構成されたバッテリ装着部を更に備え、
前記回転軸方向を上下方向と定義した場合、前記モータは前記打撃軸よりも下側に配置され、前記バッテリ装着部は、前記モータの下側に配置されるとともに、前記モータの上方からみて前記モータと重なる位置に配置されていてもよい。
[態様2]
態様1において、
前記電動工具は、
前記ハウジングに収容され、前記電動工具の動作を制御するように構成されたコントローラを更に備え、
前記コントローラは、前記上下方向において、前記モータと前記バッテリ装着部の間に配置されていてもよい。
[態様3]
前記把持部は、前記モータシャフトの前記回転軸方向を上下方向と定義した場合、上下方向に延在し、
前記第2ハウジング部は、
前記把持部の上端部に接続し、前記第1ハウジング部の一部を覆う上側部分と、
前記把持部の下端部に接続する下側部分とを含み、
前記第1ハウジング部は、
前記第2ハウジングの前記上側部分と摺動可能に構成された上側摺動部と、
前記第2ハウジングの前記下側部分と摺動可能に構成され、且つ、前記モータ本体部の下側に設けられた下側摺動部とを含んでいてもよい。
[態様4]
態様3において、
前記バッテリ装着部は、前記下側部分に形成されていてもよい。
[態様5]
態様3または4において、
前記電動工具は、
前記下側部分に収容され、前記電動工具の動作を制御するように構成されたコントローラを更に備えてもよい。