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JP6926500B2 - 衣服型電子機器 - Google Patents

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Description

本発明は、電子機能ないし電気機能を衣服に組み込んで使用する衣服型のウェアラブル電子機器に関し、さらに詳しくは、伸縮性を有する電気配線を有し、自然な着用感のある衣服型電子機器に関する。
さらに本発明は、競技者同士ないし競技者と運動器具とが激しくぶつかりあう可能性のあるスポーツ時に着用される衣服型電子機器に関する。
昨今、入出力、演算、通信機能を有する電子機器を身体に極近接、ないしは密着した状態で使用することを意図したウェアラブル電子機器が開発されている。ウェアラブル電子機器には腕時計、メガネ、イヤホンのようなアクセサリ型の外形を有する機器、衣服に電子機能を組み込んだテキスタイル集積型機器が知られている。かかるテキスタイル集積型機器の一例が特許文献1に開示されている。
電子機器には、電力供給用や信号伝送用の電気配線が必要である。特にテキスタイル集積型ウェアラブル電子機器には、伸縮する衣服に合わせて電気配線にも伸縮性が求められる。通常、金属線や金属箔からなる電気配線には、本質的に実用的な伸縮性は無いため、金属線や金属箔を波形、あるいは繰り返し馬蹄形に配置して、擬似的に伸縮機能を持たせる手法が用いられている。
金属線の場合には、金属線を刺繍糸と見なして、衣服に縫い付けることにより配線形成が可能である。しかしながら、かかる手法が大量生産に向いていないことは自明である。
金属箔のエッチングにより配線を形成する手法は、プリント配線板の製法として一般的である。金属箔を伸縮性のある樹脂シートに貼り合わせ、プリント配線板と同様の手法で波形配線を形成して、擬似的に伸縮性配線とする手法が知られている。(非特許文献1参照)かかる手法は波形配線部の捻れ変形により擬似的に伸縮特性を持たせるものであるが、捻れ変形により金属箔が厚さ方向にも変異するため、衣服の一部として用いると、非常に違和感のある着用感となり好ましいものではなかった。また洗濯時のような過度な変形を受けた場合には金属箔に永久塑性変形が生じ、配線の耐久性にも問題があった。
伸縮性の導体配線を実現する手法として、特殊な導電ペーストを用いる方法が提案されている。銀粒子、カーボン粒子、カーボンナノチューブ等の導電性粒子と伸縮性を持つウレタン樹脂などのエラストマー、天然ゴム、合成ゴム、溶剤などを混練してペースト状とし、衣服に直接、ないし伸縮性のフィルム基材などと組み合わせて配線を印刷描画するものである。
導電粒子と伸縮性バインダー樹脂とからなる導電性組成物は、巨視的には伸縮可能な導体を実現することができる。かかるペーストから得られる導電性組成物は、微視的に見れば、外力を受けた際に樹脂バインダー部変形し、導電性粒子の電気的連鎖が途切れない範囲で導電性が維持されるものである。巨視的に観察される比抵抗は、金属線や金属箔に比較すると高い値であるが、組成物自体が伸縮性を持つために波形配線などの形状を採る必要が無く、配線幅と厚さには自由度が高いため実用的には金属線に比較して低抵抗な配線を実現可能である。
特許文献2では、銀粒子とシリコ−ンゴムを組合せ、シリコーンゴム基板上の導電性膜をさらにシリコーンゴムで被覆することにより、伸長時の導電率低下を抑制する技術が開示されている。特許文献3には銀粒子とポリウレタンエマルジョンの組合せが開示されており、高導電率でかつ高伸長率の導電膜が得られるとされている。さらにカーボンナノチューブや銀フィラーなど、高アスペクト比の導電性粒子を組み合わせて特性改善を試みた例も多々提案されている。
特許文献4では、印刷法を用いて電気配線を衣服に直接的に形成する技術が開示されている。
特開平2−234901号公報 特開2007−173226号公報 特開2012−54192号公報 特許第3723565号公報
一般的なプリント配線板やメンブレン回路におけるプリント配線から容易に類推できるように、電気配線には絶縁性の基板ないし下地層、パターニングされた導体層、さらに絶縁カバーコート層が必要である。さらに、ウェアラブル電子機器においては、特に人体に装着して人体電位を測定するような用途に用いられる配線においては、人体表面に直接接触する電極が必要となる場合があり、かかる電極表面はプリント配線板やメンブレン回路の例によれば、貴金属ないし錫、ハンダ等でメッキされるか、あるいはカーボンを導電フィラーに用いたカーボンペースト等で導体層を被覆する電極表面層が設けられるのが技術常識である。
かかる下地層、導体層、伸縮性絶縁被覆層、電極表面層は各々固有のパターン形状を有しており、また各々の層はそれぞれの機能発現に必要な厚さを有している。各々の層が重なり合う結果、プリント配線の表面には凹凸が生じる。これは主にサブトラクティブ法でパターン形成を行うプリント配線板であっても、アディティブ法でパターン形成を行うメンブレン回路であっても同じである。
図1は従来のプリント配線の断面を示した模式図である。1.基材に、2.下地層、3.導体層、4.絶縁コート層の順で、順次印刷〜乾燥硬化を繰り返すことにより、ここに示した断面構造を有する配線を得ることができる。ここに絶縁カバーコートが無く、導体層がむき出しになっている部分が電極部、絶縁カバーコートでおおわれている部分が配線部となる。
図2は従来のプリント配線において電極表面層を設けた場合の模式図である。いずれの場合でも配線部と電極部との境目に段差が生じ、電気配線の表面が凹凸になることが理解できる。
かかるプリント配線の表面の凹凸は、一般的な電子機器では大きな問題とはならないが、衣服型のウェアラブル電子機器の、特に衣服の内側に形成され、人体表面に直接的に接する配線においては、衣服着用時の違和感、不快感の原因となり、自然な着用感を阻害する原因となり得るものである。
もちろん、かかる配線表面の凹凸に起因する自然な着用感の阻害は、金属配線を用いた伸縮配線や、導電性繊維を用いた配線においても同様である。
衣服に電子機能を組み込んだテキスタイル集積型機器においては、衣服に設けられる電極、配線と、デバイス(本発明ではセンサー機能、演算機能、記憶機能、通信機能などを担う、主として従来電子技術で構成された部分を便宜上デバイスと呼ぶ)とがコネクタによって接続される。
さて、このような衣服型電子機器を着用して運動を行う場面を想定する。ボクシング、空手、テコンドーなどの格闘技ないしラグビー、アメリカンフットボール、ハンドボール、サッカー、バスケットボール、バレーボール、テニス、野球、ソフトボール、クリケット卓球などの球技においては競技者同士または競技者と運動用具(主にはボール)とが激しくぶつかる場面が多々生じる。従って、このような用途を想定した場合、デバイスをどの位置に配置するかが問題となる。
ラグビー、アメリカンフットボール等では競技中の競技者の動きを記録するために、GPS(全地球測位システム/グローバルポジショニングシステム)端末を各選手に担持させる手法が定着している。GPS端末は後頸部に配置する事が一般的である。主に正面からぶつかりあう競技においては、このような電子デバイスは身体の背面に配置すべきであることは容易に類推できる。従って、運動中の生体情報を収集するための衣服型電子機器においても、デバイス配置位置は後頸部とすることが望ましく、デバイスと接続するためのコネクタも後頸部に位置することが望ましい。
しかしながら、このような激しい運動時に着用することを前提とした場合、身体各部に配置した電極と、後頸部に配置したコネクタとを電気的に接続することは容易ではない。すなわち、かかる運動着は競技中の打撃による強い圧縮や、あるいは別の競技者によって無理矢理に引っ張られて加わる大きな伸張などのストレスに常時曝されており、さらに競技中の発汗や、雨天により、湿潤状態となることも希ではない。配線部や電極部、あるいはコネクタを含めたデバイス装着部を、補強することは可能であるが、そのように補強された衣服型電子機器は、あたかもウェットスーツか防具のような形態となり、重く、暑苦しく、激しい運動中に着用できる、本来のスポーツウェアとしての機能を満足することは出来ない。
本発明者は、かかる目的を達成するために鋭意検討した結果、用いる配線材料と絶縁材料、およびその形状などを工夫することで、着心地良く、激しい運動時にも安定して生体情報の測定が可能な衣服型電子機器として以下の発明に到達した。
また着用時に感じる違和感は、導体層ないし電極表面層がむき出しになっている電極表面と伸縮性絶縁被覆層でおおわれている配線部分との境目にある段差が主原因であることを突き止め、以下の発明に到達した。
すなわち、本発明は以下の構成である。
[1] 生体情報の測定に用いられる衣服型電子機器において、少なくとも、
a.身体表面に直接接触する複数の電極と、
b.身体電位データ測定機能と少なくともデータ格納機能または通信機能を有する電子デバイスと接続するためのコネクタと、
c.前記電極と前記コネクタを電気的に接続するための電気配線、
とを有し、前記コネクタが、衣服の後頸部中央部に設けられており、前記電気配線の破断伸度が40%以上であることを特長とする衣服型電子機器。
[2] 前記身体表面に直接接触する電極が、破断伸度が40%以上の伸縮性導体層からなることを特長とする[1]に記載の衣服型電子機器。
[3] 前記身体表面に直接接触する電極が、破断伸度が50%以上の伸縮性導体層からなり、伸縮性導体層の厚さが300μm以下である事を特長とする[1]または[2]に記載の衣服型電子機器。
[4] 前記電気配線が破断伸度が50%以上の伸縮性導体層からなり、伸縮性導体層の厚さが300μm以下であることを特長とする[1]から[3]のいずれかに記載の衣服型電子機器。
[5] 前記電気配線が破断伸度が50%以上の伸縮性電線からなり、伸縮性電線の太さが絶縁被覆を含み2.4mm以下である事を特長とする[1]から[3]のいずれかに記載の衣服型電子機器。
[6] 前記生体情報が心電位の時間変化であり、前記身体表面に直接接触する電極が左右一対で有り、人体の背中に相当する部位の背中の中央線を挟んで左右対称に配置されている事を特長とする[1]から[5]のいずれかに記載の衣服型電子機器。
[7] 着用者に打撃が加わるスポーツにおいて着用される事を特長とする[1]から[6]のいずれかに記載の衣服型電子機器。
[8] 破断伸度が80%以上であり、有効厚さが25μm以上で有り、体積抵抗率が1GΩ・cm以上の伸縮性絶縁被覆層を有する事を特長とする[1]から[7]のいずれかに記載の衣服型電子機器。
[9] 電極間の抵抗値が1GΩ以上である事を特長とする[1]から[8]のいずれかに記載の衣服型電子機器。
[10] 湿潤時の電極間の抵抗値が1MΩ以上である事を特長とする[1]から[9]のいずれかに記載の衣服型電子機器。
なおさらに本発明では以下の構成を有する事が好ましい。
[11]導体層、伸縮性絶縁被覆層、絶縁下地層を含む電気配線を体表面に接する部分に有する衣服型電子機器であって、該電気配線の電極部と配線部の境界の段差が実質的に無いことを特徴とする[1]から[10]のいずれかに記載の衣服型電子機器。
[12]導体層、伸縮性絶縁被覆層、絶縁下地層、電極表面層を含む電気配線を有することを特徴とする前記[11]記載の電気配線を有する衣服型電子機器。
[13]前記導体層の導電機能および、伸縮性絶縁被覆層と絶縁下地層の絶縁機能を、実質的に損なうこと無く、伸張率10%以上に変形させることができることを特徴とする[11]または[12]のいずれかに記載の衣服型電子機器。
[14]前記、導体層、伸縮性絶縁被覆層、絶縁下地層が、それぞれ破断伸度50%以上であり、引っ張り弾性率が10〜500MPaであることを特徴とする[11]から[13]のいずれかに記載の衣服型電子機器。
さらに本発明は次の構成を含む。
[15]導体層、伸縮性絶縁被覆層、絶縁下地層を含む電気配線を体表面に接する部分に有する衣服型電子機器であって、該電気配線が転写法により形成されていることを特徴とする衣服型電子機器。
本発明においては、十分な伸縮特性を有する伸縮性導体と、好ましくは十分な伸縮性と絶縁性を有する伸縮性の絶縁層を用いて、衣服型電子機器の配線部、電極部を構成することにより、激しい運動中においても電気的に破断することなく、また発汗や雨天により湿潤した場合においても十分な電極間のインシュレーションを維持し、的確に生体信号の測定が可能となる。
本発明の衣服型電子機器に用いられる電気配線は、導体層ないし電極表面層がむき出しになっている電極表面と伸縮性絶縁被覆層でおおわれている配線部分との境目にある段差を実質的に無くすることにより、衣服型電子機器の着用時の違和感を大幅に軽減することにより、自然な着用感を実現したものである。
段差は、配線部と非配線部との間にも存在するが、配線部と非配線部との境界の段差は、下地層、カバー層により被覆されており、緩やかな段差になっている点、ならびに、段差の高い部分と低い部分の双方が同じ素材であるカバー層であるため触感上の違和感が小さい。
しかしながら電極部と配線部との境界には、それぞれが異なる素材で構成されているという本質的な差が存在する。特に電極部は、金属ないしカーボンのように電子伝導性を有する導体部分で構成されており、この部分の熱伝導率は高い。一方の伸縮性絶縁被覆層は有機素材であるため熱伝導率は低い。本発明者らは、電極と配線の形状の工夫を種々行った結果、衣服着用時の違和感は、電極部と絶縁カバー部の段差と、熱伝導性の差との相乗効果によって生じていることを突き止め、境界部の段差を無くすることにより、着用時の違和感を大幅に減ずることができることを見いだした。
さらに加えて、本発明の電気配線の電極部と配線部の境界の段差を実質的に無くした衣服型電子機器においては、電極部に対して絶縁カバー部盛り上がっていないため、電極と人体表面との接触、ならびにディスクリートな部品や、モジュールと接続するためのコネクタとの接合もスムースに行える。
人体表面の接触状態の改善は、生体信号の検知確度につながる。また、コネクタ部においては、コネクタの外形を絶縁カバー部にかぶせることができるため、電極表面の露出を無くすることが可能となる。取り付け部分が段差無く平面であるため、さらに取り付け時に電極部に無理な変形を強いることなくコネクタ部品を取り付けることが可能となり、接続部の信頼性が改善されるという優れた効果を得ることができる。
電気配線部内の厚さが各部で異なった場合、電気配線に張力が加わった場合に厚い部分の伸び率が小さく、薄い部分の伸び率が大きくなり、局所的に負荷が大きくなって全体的な材料寿命を縮めてしまう恐れがあるが、本発明では電気配線部内の段差が実質的に小さいために、このような伸び率のばらつきが生じにくく、結果として製品寿命を延ばすことができる。
は、従来の電気配線において電極表面層が無い場合の断面を示した模式図である。 は、従来の電気配線において電極表面層を設けた場合の断面を示した模式図である。 は、本発明の電気配線において電極表面層が無い場合の断面を示した模式図である。 は、本発明の電気配線において電極表面層を設けた場合の断面を示した模式図である。 は、従来の電気配線の製法を示す模式工程図である。 は、本発明の電気配線の製法の一例を示す模式工程図である。 は、本発明の電気配線パターンの一例である。 は、図7の配線例のスポーツシャツへの配置位置を示した模式図である。
以下、本発明を図により説明する。
図3は、本発明の電気配線において、電極表面層が無い場合の断面の模式図である。本例では、導体層がそのまま電極として機能している。従来の電気配線の断面である図1と比較すると、電極表面と伸縮性絶縁被覆層が同じ高さになるため電気配線表面の凹凸は生じない。
図4.は本発明の電気配線において、電極表面層がある場合の断面の模式図である。従来の電気配線において電極表面層がある場合の図3と比較すると、電極表面層と伸縮性絶縁被覆層が同じ高さになるため電気配線表面の凹凸は生じない。
本発明における電気配線はフレキシブルであることが自明である。本発明のフレキシブル電気配線は、電気配線を構成する導体層、伸縮性絶縁被覆層、絶縁下地層、電極表面層として、それぞれが柔軟性を有する材料により構成されることで実現される。さらに本発明のフレキシブル電気配線は、伸縮性を有するストレッチャブル材料で構成されることが好ましく、電気配線がフレキシビリティに加えてストレッチャビリティを有する事が好ましい。
以下、電気配線を構成する各層について説明する。
本発明において基材として用いることができるのは衣服型電子機器の衣服部分の一部、もしくは、全体を構成する布帛である。布帛としては織物、編み物、不織布を例示することができ、さらにこれらに樹脂コート、樹脂含浸したコート布なども基材として用いることができる。また、ネオプレン(登録商標)に代表される合成ゴムシート等も基材として用いることができる。本発明で用いられる布帛は繰り返し10%以上の伸縮が可能なストレッチャビリティを有する事が好ましい。また本発明の基材は50%以上の破断伸度を有する事が好ましい。本発明の基材は布元反でもよく、また、リボン、テープ状でも良く、組紐、網組でもよく、元反からカットされた枚葉の布でも良い。
布帛が織物の場合、例えば平織、綾織、朱子織、等を例示できる。布帛が編み物の場合、例えば平編み、およびその変形、鹿の子編、アムンゼン編、レース編、アイレット編、添え糸網、パイル編、リブ網、リップル編、亀甲編、ブリスター編、ミラノ・リブ編、ダブルピケ編、シングル・ピケ編み、斜文編、ヘリボーン編、ポンチローマ編、バスケット編、トリコット編、ハーフ・トリコット編、サテントリコット編、ダブルトリコット編、クインズコード編、ストライプ・サッカー編、ラッセル編、チュールメッシュ編、およびこれらの変形・組み合わせを例示できる。布帛はエラストマー繊維などからなる不織布であっても良い。
本発明の下地層は、配線部の基材側の絶縁を担う層である。ここに絶縁とは電気絶縁に加え、機械的、化学的、生物学的な絶縁を含み、基材を透過してくる水分や化学物質、生体物質から導体層を絶縁する機能が必要である。
本発明の下地層は好ましくは、柔軟な高分子材料である。柔軟な高分子材料としては所謂ゴム、エラストマーと呼ばれる材料を使用できる。本発明のかかるゴム、エラストマーとしては、後述する導体層を形成するための樹脂材料を使用することができる。
本発明の下地層は繰り返し10%以上の伸縮が可能なストレッチャビリティを有する事が好ましい。また本発明の下地層は50%以上の破断伸度を有する事が好ましい。さらに本発明の下地層は引っ張り弾性率が10〜500MPaであることが好ましい。
本発明の下地層は、コーティング液、浸漬液、あるいは印刷インク、印刷ペースト等の液状形態、ないしスラリー状態を介して基材上に適用されることが好ましい。下地層用材料を液状形態ないしスラリー状態にするには溶剤へ溶解分散すれば良い。印刷適性等の調整のために、公知のレベリング剤、チキソ性付与剤などを配合することは本発明の範囲内である。溶剤としては後述する導電ペーストに用いることができる溶剤等の中から適宜選択される。
本発明において、特殊なケースとして、下地層を形成する材料の前駆体が液体である場合には、前駆体を用いて層形成し、しかるべき反応を経て、下地層を形成することも可能である。
本発明の下地層用の材料が、液体状態ないしスラリー状態を介することが困難な場合、例えば溶融押出、プレス成形で、フィルムまたはシート状に加工して基材に接着剤などで貼り付けることも可能である。また前駆体状態でフィルムないしシートに加工した後に所定の反応により固体化してフィルムないしシートを得ることもできる。
本発明の導体層は、比抵抗が1×100Ωcm以下の材料で構成されている層を云う。本発明の導体層はストレッチャビリティを有する事が好ましい。本発明に於けるストレッチャビリティとは、繰り返し10%以上の伸縮が可能であることを云う。さらに本発明の導体層は、導体層単独で40%以上の破断伸度、好ましくは50%以上の破断伸度、さらに好ましくは80%以上の破断伸度を有する事が好ましい。さらに本発明の導体層は引っ張り弾性率が10〜500MPaであることが好ましい。このようなストレッチャビリテイを有する材料を伸縮性導体組成物と呼ぶ。
伸縮性導体組成物は、以下に述べる導電ペーストを介して得ることができる。以下、本発明の構成要素の実現手段の一つである導電性ペーストについて説明する。導電性ペーストは、少なくとも導電粒子、好ましくは加えられる非導電性粒子、伸縮性樹脂、溶剤から構成される。
本発明の導電性粒子は、比抵抗が1×10-1Ωcm以下の物質からなる、粒子径が100μm以下の粒子である。比抵抗が1×10-1Ωcm以下の物質としては、金属、合金、カーボン、ドーピングされた半導体、導電性高分子などを例示することができる。本発明で好ましく用いられる導電性粒子は銀、金、白金、パラジウム、銅、ニッケル、アルミニウム、亜鉛、鉛、錫などの金属、黄銅、青銅、白銅、半田などの合金粒子、銀被覆銅のようなハイブリッド粒、さらには金属メッキした高分子粒子、金属メッキしたガラス粒子、金属被覆したセラミック粒子などを用いることができる。
本発明ではフレーク状銀粒子ないし不定形凝集銀粉を主体に用いることが好ましい。なお、ここに主体に用いるとは導電性粒子の90質量%以上用いることである。不定形凝集粉とは球状もしくは不定形状の1次粒子が3次元的に凝集したものである。不定形凝集粉およびフレーク状粉は球状粉などよりも比表面積が大きいことから低充填量でも導電性ネートワークを形成できるので好ましい。不定形凝集粉は単分散の形態ではないので、粒子同士が物理的に接触していることから導電性ネートワークを形成しやすいので、さらに好ましい。
フレーク状粉の粒子径は特に限定されないが、動的光散乱法により測定した平均粒子径(50%D)が0.5〜20μmであるものが好ましい。より好ましくは3〜12μmである。平均粒子径が15μmを超えると微細配線の形成が困難になり、スクリーン印刷などの場合は目詰まりが生じる。平均粒子径が0.5μm未満の場合、低充填では粒子間で接触できなくなり、導電性が悪化する場合がある。
不定形凝集粉の粒子径は特に限定されないが、光散乱法により測定した平均粒子径(50%D)が1〜20μmであるものが好ましい。より好ましくは3〜12μmである。平均粒子径が20μmを超えると分散性が低下してペースト化が困難になる。平均粒子径が1μm未満の場合、凝集粉としての効果が失われ、低充填では良導電性を維持できなくなる場合がある。
本発明における非導電性粒子とは、有機ないし無機の絶縁性物質からなる粒子である。本発明の無機粒子は印刷特性の改善、伸縮特性の改善、塗膜表面性の改善を目的に添加され、シリカ、酸化チタン、タルク、アルミナ、等の無機粒子、樹脂材料からなるマイクロゲル等を利用できる。
本発明では好ましくは非導電性粒子とし硫酸バリウム粒子を用いることができる。本発明の硫酸バリウム粒子としては、天然の重晶石と呼ばれるバライト鉱物の粉砕品である簸性硫酸バリウムと、化学反応で製造されるいわゆる沈降性硫酸バリウムを使用することができる。本発明では粒子径の制御が行いやすい沈降性硫酸バリウムを用いることが好ましい。好ましく用いられる硫酸バリウム粒子の動的光散乱法によって求められる平均粒子径は、0.01〜18μm、さらに好ましくは0.05〜8μm、なおさらに好ましくは0.2〜3μmである。また本発明の硫酸バリウム粒子は、、Al、Siの一方または両方の水酸化物及び/又は酸化物によって表面処理されていることが好ましい。かかる表面処理により硫酸バリウム粒子の表面にAl、Siの一方または両方の水酸化物及び/又は酸化物が付着する。これらの付着量は蛍光X線分析による元素比率にてバリウム元素100に対して0.5〜50であることが好ましく、2〜30であることがさらに好ましい。
硫酸バリウム粒子の平均粒子径は、導電性粒子の平均粒子径より小さいことが好ましい。導電性粒子の数平均粒子径は、硫酸バリウム粒子の数平均粒子径の1.5倍以上であることが好ましく2.4倍以上より大きいことをさらに好ましく、4.5倍以上であることが、なおさらに好ましい。硫酸バリウム粒子の平均粒子径がこの範囲を超えると得られる塗膜表面の凹凸が大きくなり、伸張した際に塗膜が破断するきっかけとなりやすい。一方、硫酸バリウム粒子の平均粒子径がこの範囲より小さいと、伸縮耐久性改善効果が小さく、またペーストの粘度が高くなり、ペースト製作が困難となる。
本発明における硫酸バリウム粒子の配合量は、導電性粒子と硫酸バリウム粒子の合計に対して2〜30質量%であり、さらに3〜20質量%が好ましく、なおさらに4〜15質量%が好ましい。硫酸バリウム粒子の配合量がこの範囲を超えると得られる塗膜表面の導電性が低下する。一方、硫酸バリウム粒子の配合量がこの範囲より小さいと、伸縮耐久性改善効果が発現しにくくなる。
本発明における柔軟性樹脂とは、弾性率が、1〜1000MPaの、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、ゴムなどが挙げられるが、膜の伸縮性を発現させるためには、ゴムが好ましい。ゴムとしては、ウレタンゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴムや水素化ニトリルゴムなどのニトリル基含有ゴム、イソプレンゴム、硫化ゴム、スチレンブタジエンゴム、ブチルゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、エチレンプロピレンゴム、フッ化ビニリデンコポリマーなどが挙げられる。この中でも、ニトリル基含有ゴム、クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴムが好ましく、ニトリル基含有ゴムが特に好ましい。本発明で好ましい弾性率の範囲は3〜600MPaであり、さらに好ましく10〜500MPa、なお好ましくは30〜300MPaの範囲である。
ニトリル基を含有するゴムは、ニトリル基を含有するゴムやエラストマーであれば特に限定されないが、ニトリルゴムと水素化ニトリルゴムが好ましい。ニトリルゴムはブタジエンとアクリロニトリルの共重合体であり、結合アクリロニトリル量が多いと金属との親和性が増加するが、伸縮性に寄与するゴム弾性は逆に減少する。従って、アクリロニトリルブタジエン共重合体ゴム中の結合アクリロニトリル量は18〜50質量%が好ましく、40〜50質量%が特に好ましい。
本発明における柔軟性樹脂の配合量は、導電粒子と、好ましくは加えられる非導電性粒子と柔軟性樹脂の合計に対して7〜35質量%であり、好ましくは9〜28質量%、さらに好ましくは12〜20質量%である。
また、本発明の導電ペーストにはエポキシ樹脂を配合できる。本発明で好ましいエポキシ樹脂はビスフェノールA型エポキシ樹脂ないしはフェノールノボラック型エポキシ樹脂である。エポキシ樹脂を配合する場合、エポキシ樹脂の硬化剤を配合できる。硬化剤としては公知のアミン化合物、ポリアミン化合物などを用いればよい。硬化剤はエポキシ樹脂に対して5〜50質量%配合することが好ましく、10〜30質量%がさらに好ましい。またエポキシ樹脂と硬化剤の配合量は、柔軟性樹脂を含めた全樹脂成分に対して3〜40質量%、好ましくは5〜30質量%、さらに好ましくは8〜24質量%である。
本発明の導電ペーストは、溶剤を含有する。本発明における溶剤は、水または有機溶剤である。溶剤の含有量は、ペーストに求められる粘性によって適宜調査されるべきであるため、特に限定はされないが、概ね導電性粒子、硫酸バリウム粒子と柔軟性樹脂の合計質量を100した場合に30〜80質量比が好ましい
本発明に使用される有機溶剤は、沸点が100℃以上、300℃未満であることが好ましく、より好ましくは沸点が130℃以上、280℃未満である。有機溶剤の沸点が低すぎると、ペースト製造工程やペースト使用に際に溶剤が揮発し、導電性ペーストを構成する成分比が変化しやすい懸念がある。一方で、有機溶剤の沸点が高すぎると、乾燥硬化塗膜中の残溶剤量が多くなり、塗膜の信頼性低下を引き起こす懸念がある。
本発明における有機溶剤としては、シクロヘキサノン、トルエン、キシレン、イソホロン、γ−ブチロラクトン、ベンジルアルコール、エクソン化学製のソルベッソ100,150,200、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ターピオネール、ブチルグリコールアセテート、ジアミルベンゼン、トリアミルベンゼン、n−ドデカノール、ジエチレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノアセテート、トリエチレングリコールジアセテート、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコール、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコール、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレートなどが挙げられる。また、石油系炭化水素類としては、新日本石油社製のAFソルベント4号(沸点:240〜265℃)、5号(沸点:275〜306℃)、6号(沸点:296〜317℃)、7号(沸点:259〜282℃)、および0号ソルベントH(沸点:245〜265℃)なども挙げられ、必要に応じてそれらの2種以上が含まれてもよい。このような有機溶剤は、導電性銀ペーストが印刷などに適した粘度となるように適宜含有される。
本発明の伸縮性導体形成用ペーストは、材料である導電性粒子、硫酸バリウム粒子、伸縮性樹脂、溶剤をディゾルバー、三本ロールミル、自公転型混合機、アトライター、ボールミル、サンドミルなどの分散機により混合分散することにより得ることができる。
本発明の伸縮性導体形成用ペーストには、発明の内容を損なわない範囲で、印刷適性の付与、色調の調整、レベリング、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの公知の有機、無機の添加剤を配合することができる。
本発明では破断伸度が80%以上であり、有効厚さが12μm以上で有り、体積抵抗率が1GΩ・cm以上の伸縮性絶縁被覆層を有する事が好ましい。ここに伸縮性絶縁被覆層とは配線部の表面側の絶縁を担う層である。ここに絶縁とは電気絶縁に加え、機械的、化学的、生物学的な絶縁を含み、基材を透過してくる水分や化学物質、生体物質から導体層を絶縁する機能が必要である。
本発明の伸縮性絶縁被覆層は好ましくは、柔軟な高分子材料を主成分とする絶縁層である。柔軟な高分子材料としては所謂ゴム、エラストマーと呼ばれる材料を使用できる。本発明のかかるゴム、エラストマーとしては、導体層を形成するための樹脂材料を使用することができる。
すなわち、本発明の伸縮性絶縁被覆層は、柔軟性樹脂を主成分とし、主成分とは伸縮性絶縁被覆層を構成する材料の55質量%以上、好ましくは75質量%以上を占める材料である。本発明で好ましく用いられる柔軟性樹脂とは、弾性率が、1〜1000MPaの、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、ゴムなどが挙げられ、ゴムとしては、ウレタンゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴムや水素化ニトリルゴムなどのニトリル基含有ゴム、イソプレンゴム、硫化ゴム、スチレンブタジエンゴム、ブチルゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、エチレンプロピレンゴム、フッ化ビニリデンコポリマーなどが挙げられる。この中でも、ニトリル基含有ゴム、クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴムが好ましく、ニトリル基含有ゴムが特に好ましい。本発明で好ましい弾性率の範囲は3〜600MPaであり、さらに好ましく10〜500MPa、なお好ましくは30〜300MPaの範囲である。
ニトリル基を含有するゴムは、ニトリル基を含有するゴムやエラストマーであれば特に限定されないが、ニトリルゴムと水素化ニトリルゴムが好ましい。ニトリルゴムはブタジエンとアクリロニトリルの共重合体であり、結合アクリロニトリル量が多いと金属との親和性が増加するが、伸縮性に寄与するゴム弾性は逆に減少する。従って、アクリロニトリルブタジエン共重合体ゴム中の結合アクリロニトリル量は18〜50質量%が好ましく、40〜50質量%が特に好ましい。
本発明の伸縮性絶縁被覆層は繰り返し10%以上の伸縮が可能なストレッチャビリティを有する事が好ましい。また本発明の伸縮性絶縁被覆層は50%以上の破断伸度を有する事が好ましい。さらに本発明の伸縮性絶縁被覆層は引っ張り弾性率が10〜500MPaであることが好ましい。
本発明の伸縮性絶縁被覆層は、コーティング液、浸漬液、あるいは印刷インク、印刷ペースト等の液状形態、ないしスラリー状態を介して基材上に適用されることが好ましい。伸縮性絶縁被覆層用材料を液状形態ないしスラリー状態にするには溶剤へ溶解分散すれば良い。印刷適性等の調整のために、公知のレベリング剤、チキソ性付与剤などを配合することは本発明の範囲内である。溶剤としては導電ペーストに用いることができる溶剤等の中から適宜選択される。
本発明において、特殊なケースとして、伸縮性絶縁被覆層を形成する材料の前駆体が液体である場合には、前駆体を用いて層形成し、しかるべき反応を経て、下地層を形成することも可能である。紫外線硬化型樹脂などを用いる場合が、このケースに該当する。
本発明の伸縮性絶縁被覆層用の材料が、液体状態ないしスラリー状態を介することが困難な場合、例えば溶融押出、プレス成形で、フィルムまたはシート状に加工し、しかるべき形状に外形加工した後に基材に接着剤などで貼り付けることも可能である。
本発明の伸縮性絶縁被覆層の有効厚さは、好ましくは12μm以上で有り、さらに好ましくは40μm以上である。有効厚さとは、導体材料と重なった部分の絶縁層の算術平均厚さである。本発明の有効厚さは、導体材料と重なった部分の絶縁層の被覆厚さを無作為に10点測定した値の算術平均値である。
本発明の伸縮性絶縁層被覆層は体積抵抗率が1GΩ・cm以上、すなわち1×109Ωcm以上の材料で構成されていることが好ましい。
本発明の絶縁下地層は、伸縮性絶縁被覆層と同様に伸縮性を有し、その材料構成、絶縁性能については伸縮性絶縁被覆層に準ずる。
本発明では以上述べてきた伸縮性絶縁被覆層、絶縁下地層を用いる事により、生体信号を検出するための、異なる電極間の抵抗値が1GΩ以上である衣服型電子機器を実現できる。また、本発明ではさらに衣服型電子機器が湿潤時された状態にて電極間の抵抗値が1MΩ以上である衣服型電子機器を実現できる。
ここに電極間の抵抗値は、絶縁抵抗計により、印可電圧100voltにて測定される値である。各電極はコネクタに電気接続されているため、電極間の抵抗値は実質的にはコネクタ電極間の絶縁抵抗値とほぼ等しい。
本発明における電極表面層とは文字通り、電極表面を配線部とは異なる材料で被覆する場合に用いる層である。電極表面層としては金、白金、ロジウム等の貴金属めっき、ハンダメッキ、錫メッキなどを用いることができる。
本発明の電極表面層は繰り返し10%以上の伸縮が可能なストレッチャビリティを有する事が好ましい。また本発明の電極表面層は50%以上の破断伸度を有する事が好ましい。さらに本発明の電極表面層は引っ張り弾性率が10〜500MPaであることが好ましい。このように電極部にも伸縮特性が要求される場合には、ストレッチャビリティを有するカーボンペーストを用いて電極表面層を形成することができる。
本発明におけるカーボンペーストは、導体層を形成する導電ペーストの導電粒子を導電性カーボンに限定した物と考えて差し支えない。ただし、導電粒子の配合量に関しては、カーボン粒子の比重が金属に比して小さく、比表面積が大きいため、金属粉の質量%のさらに半分ないし8分の1程度に減じて配合することが好ましい。カーボンペーストを得るための他の条件、分散方法などは導電ペーストと同様である。
本発明において電気配線の電極部と配線部の境界の段差が実質的に無いとは、配線の厚い部分と薄い部分とが明瞭な境界を有さず、少なくとも50μmの高低差の変化が生じる遷移領域の幅が1.0mm以上、好ましくは2.0mm以上、さらに好ましくは3.0mm以上の幅をもって厚さが変化することを云う。このような境界部分の厚さ変動は、非接触式の厚さ系にてプロファイルを求めれば良い。より具体的には、平板に幅広の両面テープを用いて配線部分を基材である布帛ごと、明瞭なたるみが生じない程度に面方向にテンションをかけた状態で貼り付けて試料とし、光学式の厚さ計にてプロファイルを求めれば良い。境界段差がこの範囲であれば触感上段差の存在を感じないため実質的に段差を有さないと云うことができる。
本発明の衣服型電子機器の配線部分は、導体層の導電機能および、伸縮性絶縁被覆層と絶縁下地層の絶縁機能を、実質的に損なうこと無く、伸張率10%以上に変形させることができることが好ましい。より具体的には、衣服型電子機器の配線部分を切り出し、引っ張り試験器により伸張度10%に伸ばした前後の導電機能、絶縁機能を比較すれば良い。導電機能は、配線の抵抗値で評価し、伸張度0%の際の抵抗値に対し、伸張度10%に伸ばした状態での抵抗値が100倍以下であれば導電機能は維持されているとする。絶縁下地層は伸張度10%に伸ばした後に伸張度0%に戻した状態で、基材との剥離が生じていなければ絶縁機能を維持していると判断する。また伸縮性絶縁被覆層については伸張度10%の状態において目視確認できるクラックが生じていなければ、絶縁機能を維持していると判断する。
本発明の、導体層、伸縮性絶縁被覆層、絶縁下地層は、それぞれ破断伸度50%以上であり、引っ張り弾性率が10〜500MPaであることが好ましい。各層の破断伸度、引っ張り弾性率は、各層を構成するペースト材料を離型シート上に所定の膜厚に塗布し、乾燥後に剥離して、引っ張り試験を行うことによって求めることができる。
本発明における、電極部と配線部の境界の段差が実質的に無い電気配線を実現する手段について説明する。本発明では、導体層が露出している部分を電極部、伸縮性絶縁被覆層で覆われている部分を配線部とする。
本発明の段差の無い電気配線を実現する手段として、極めて薄い伸縮性絶縁被覆層を導体層に重ねる手法を例示できる。導体層の厚さが50μm以上であり、伸縮性絶縁被覆層の厚さが10μm未満であれば触感的に段差を感じないため、実質的に段差が無いと見なすことができる。
本発明の段差の無い電気配線を実現する手段として、基材上に下地層、導体層、伸縮性絶縁被覆層、必要に応じて電極表面層を順次積層印刷し、乾燥硬化した後に、各層の軟化温度以上の温度にて加圧成形処理をする手法を例示することができる。この方法においては比較的高温プロセスを要するため、適用できる基材が限定される場合がある。
本発明では以下に述べる転写法を用いることによって、実質的に段差の無い電気配線を得ることができる。
本発明における転写法とは、電極表面層、伸縮性絶縁被覆層、導体層、下地層の順に所定の配線パターン、絶縁パターンなどを中間媒体に印刷した後に基材である布帛に転写することにより電気配線を得ることができる。さらに易転写性を求める場合には下地層としてホットメルト層をあらかじめ中間媒体上に印刷された配線パターンの上に形成した後、布帛に転写することができる。さらに布帛側にホットメルト層を受像層としてあらかじめ設けておいてもよい。かかるホットメルト層には熱可塑性のウレタン樹脂、あるいは本発明の伸縮性導体組成物のバインダー成分と同様の柔軟性樹脂を用いることができる。
この場合の中間媒体には離型層を表面に有する高分子フィルム、紙などのいわゆる離型シートを用いても良い。またフッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミドなどの難接着な素材からなる表面を有するフィルム、シート、板などを用いることができる。またステンレススチール、硬質クロムメッキした鋼板、アルミニウム板などの金属板を用いることも可能である。
本発明の衣服型電子機器は、時に着用者に打撃が加わるスポーツにおいて着用される事が好ましい。このようなスポーツの例としては空手、ボクシング、テコンドー、剣道、フェンシング、柔道などの格闘技、野球、ソフトボール、サッカー、ラグビー、アメリカンフットボール、テニス、卓球、バスケットボール、ハンドボール、バレーボールなどの球技を例示できる。
伸縮電線
本発明では、破断伸度が50%以上の伸縮性電線を電気配線として用いる事ができる。本発明における伸縮性電線の太さは、好ましくは絶縁被覆を含み2.4mm以下であり、好ましくは絶縁被覆を含み1.6mm以下であり、さらに好ましくは絶縁被覆を含み0.8mm以下である。ここに伸縮性電線の太さとは、伸縮性電線に伸張負荷を加えない状態での伸縮性電線の直径である。伸縮性電線の横断面が円と見なせない場合には短径を太さとする。
本発明における伸縮性電線としては、伸縮自在な芯材の外周に冗長性を持たせて配設した導電線を複数本の芯線を組紐状あるいは綾織り状の被覆体で纏めて被覆した電線、あるいは、伸縮自在な芯材の外周に複数本のエナメル線を撚ってなる導電線を螺旋状に巻き付けてなる電線を例示できる。
かかる伸縮性電線は生地に対してホットメルト系の接着剤などで貼り付ける方法、伸縮性電線自身を糸と見なして生地に縫い付ける方法、伸縮性電線を纏るように生地に縫い付ける方法、生地と生地の間に挿入する方法、衣服の縫い目に沿って纏り縫い等の手法で設置する方法などの手段により衣服型電子機器の配線として使用できる。
以下、実施例を示し、本発明をより詳細かつ具体的に説明する。なお実施例中の評価結果などは以下の方法にて測定した。
<ニトリル量>
得られた樹脂材料をNMR分析して得られた組成比から、モノマーの質量比による質量%に換算した。
<ムーニー粘度>
島津製作所製 SMV−300RT「ムーニービスコメータ」を用いて測定した。
<平均粒子径>
堀場製作所製の光散乱式粒径分布測定装置LB-500を用いて測定した。
<弾性率、破断伸度>
各材料を離型シート上に乾燥厚さ100±10μmとなるようにコーティングし、所定の条件で乾燥硬化させた後、離型シートごとISO 527−2−1Aにて規定されるダンベル型に打ち抜き、試験片とした。測定時には離型シートから各材料のシートを剥離して、ISO 527−1に規定された方法で引っ張り試験を行って求めた。
<電気配線部の伸縮特性>
製作した衣服型電子機器の電気配線部分を、電極部は除き、配線の直線部分が長さ100mmとなるように切り取り試験片とした。試験片において配線部分が基材の布帛から剥離していないこと、伸縮性絶縁被覆層表面にクラックなどは無いことを目しにて確認した後、配線の抵抗値を測定できるように端部の伸縮性絶縁被覆層を削り落として抵抗測定器の端子と接続し、伸張させる部分が有効長さ50mmとなるようにクリップを絶縁加工した引っ張り試験機にセットし、初期抵抗値と、所定の伸張度とした際の抵抗値、さらに初期状態に戻したときの配線抵抗値を測定した。
初期抵抗値をR0、10%伸張時の抵抗値をR10とし、抵抗変化率Rv=R10/R0 を求め、Rv≦100の場合を導電機能維持として「○」、Rv>100の場合を導電機能喪失「×」とした。絶縁性については、試験後に電気配線の伸縮性絶縁被覆層に目視確認できるクラックが生じていない場合を絶縁機能維持として「○」、クラックが生じた場合に絶縁機能喪失として「×」とした。さらに、試験後に基材と下地層との剥離が生じていない場合に絶縁機能維持として「○」、剥離が生じていた場合には絶縁機能喪失として「×」とした。
同様の評価を10%伸張し1秒維持した後に初期状態に戻し1秒保持、を100回繰り返した後にも行った。
<配線の抵抗測定>
配線の抵抗値をアジレントテクノロージ社製ミリオームメーターを用いて測定した。
<段差>
衣服型電子機器から電極部と配線部を含む部分を50mm×100mmの矩形に切り取って試験片とした。試験片を幅50mmの両面テープを用いて厚さ10mmの配線部分を基材である布帛ごと、たるみが生じないように貼り付け、次いで、光学式の厚さ計にて電極部から配線部にかけての厚さプロファイルを求めた。
電極部と配線部の境界の電極側5mmから配線側5mmまでの間の10mmについての傾きの絶対値が高低差/測定長(10mm)=50/3000未満であれば「◎」、50/3000以上〜50/2000未満であれば「○」、50/2000以上50/1000未満であれば△、50/1000以上であれば「×」とした。
<絶縁抵抗>
アジレント・テクノロジー社製のハイ・レジスタンス・メーター(高抵抗計)4339Bを用い、印可電圧100Vにて、電圧印加1分後の抵抗値を持って絶縁抵抗とした。
<絶縁体の体積抵抗率>
試料をシート状に加工し、アジレント・テクノロジー社製のハイ・レジスタンス・メーター(高抵抗計)4339Bとレジスティビティセルを用い、印可電圧500Vにて、電圧印加1分後の抵抗値から体積抵抗率を算出した。
<着用感>
成人男性10名を被験者とし、実施例で作成した電気配線付きの衣服を着用し、心電計測を行いながら、ラジオ体操第1と、ラジオ体操第2を続けて実施した。その間の着用感について、「触感が良い」を5点、「触感が悪い」を1点として、五段階の官能評価を行い、10人の平均において、4以上を◎、3以上4未満を○、2以上3未満を△、2未満を×とした。
[製造例]
<合成ゴム材料の重合>
攪拌機、水冷ジャケットを備えたステンレス鋼製の反応容器に
ブタジエン 54質量部
アクリロニトリル 46質量部
脱イオン水 270質量部
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 0.5質量部
ナフタレンスルホン酸ナトリウム縮合物 2.5質量部
t−ドデシルメルカプタン 0.3質量部
トリエタノールアミン 0.2質量部
炭酸ナトリウム 0.1質量部
を仕込み、窒素を流しながら浴温度を15℃に保ち、静かに攪拌した。次いで 過硫酸カリウム0.3質量部を脱イオン水19.7質量部に溶解した水溶液を30分間かけて滴下し、さらに20時間反応を継続した後、ハイドロキノン0.5質量部を脱イオン水19.5質量部に溶解した水溶液を加えて重合停止操作を行った。
次いで、未反応モノマーを留去させるために、まず反応容器内を減圧し、さらにスチームを導入して未反応モノマーを回収し、NBRからなる合成ゴムラテックス(L1)を得た。得られたラテックスに食塩と希硫酸を加えて凝集・濾過し、樹脂に対する体積比20倍量の脱イオン水を5回に分けて樹脂を脱イオン水に再分散、濾過を繰り返すことで洗浄し、空気中にて乾燥して合成ゴム樹脂R1を得た。
得られた合成ゴム樹脂R1の評価結果を表1に示す。
以下仕込み原料、重合条件、洗浄条件などを変えて同様に操作を行い、表1に示す樹脂材料R2〜R4を得た。なお、表中の略号は以下の通りである。
NBR:アクロニトリルブタジエンゴム
NBIR:アクリロニトリル−イソプレンゴム(イソプレン10質量%)
SBR:スチレンブタジエンゴム(スチレン/ブタジエン=50/50質量%)
Figure 0006926500
[製造例]
エポキシ当量175〜195の液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂1.5質量部、製造例にて得られた伸縮性樹脂(R1)10質量部、潜在性硬化剤[味の素ファインケミカル株式会社製 商品名アミキュアPN23] 0.5質量部、をイソホロン30質量部と混合攪拌して溶解させバインダー樹脂組成物A1を得た。次いでバインダー樹脂組成物A1に、平均粒子径6μmの微細フレーク状銀粉[福田金属箔粉工業社製 商品名Ag−XF301]58.0質量部を加えて均一に混合し、三本ロールミルにて分散することにより導電ペーストAG1を得た。得られた導電ペーストAG1の評価結果を表2−1、表2−2に示す。
以下、材料を変えて配合を行い、表2−1、表2−2に示す導電ペーストAG2〜AG6を得た。評価結果を同様に表2−1、表2−2に示す。
なお、表2−1、表2−2において無定型銀粉1はDOWAエレクトロニクス社製の凝集銀粉G−35、平均粒子径6.0μm、無定型銀粉2はDOWAエレクトロニクス社製の凝集銀粉G−35を湿式分級して得た平均粒子径2.1μmの凝集銀粉である。
以下、導電ペーストと同様に、表2−1、表2−2に従って配合を変え、電極表面層用のカーボンペーストCB1、下地層、伸縮性絶縁被覆層用のペーストCC1、CC2を得た、評価結果を表2−1、表2−2.に示す。なお固体粒子を含まないCC1、CC2については樹脂成分を溶剤に溶解してペーストとした。
Figure 0006926500
Figure 0006926500
図6に示す転写法により、心電図測定用の衣服型電子機器を製作した。
厚さ125μmの離型PETフィルムに、まず電極表面層となるカーボンペーストCB1を所定のパターンにてスクリーン印刷し、乾燥硬化した。次いで伸縮性絶縁被覆層となる絶縁ペーストCC1を所定のパターンにスクリーン印刷し、乾燥硬化した。心電測定用の電極表面層は直径30mmの円形である。また伸縮性絶縁被覆層は電極部において内径が30mm、外径が36mmのドーナツ状であり電極から伸びる配線部は幅14mmで、配線部の終端には、センサとの接続用ホックを取り付けるために直径10mmの円形電極が同様にカーボンペーストで印刷されている。カーボンペースト層の厚さは乾燥膜厚で25μmであり、伸縮性絶縁被覆層は体積抵抗率1500GΩcm、厚さ15μm、であった。
次いで、導体層となる銀ペーストAG1を用いて電極部と配線部をスクリーン印刷し、所定の条件で乾燥硬化した。電極部は直径32mmの円形、配線部は幅10mmであり、伸縮性絶縁被覆層上での乾燥厚さが30μmとなるように調整した。さらに下地層を伸縮性絶縁被覆層と同じCC1を用いて乾燥厚さが20μmとなるように調整してスクリーン印刷し乾燥し、さらにもう一度同条件で下地層を印刷し、乾燥時間を調整して溶剤分が25質量%残存するようにして表面タック性を残し、転写性のある印刷電気配線を得た。
次いで、以上の工程により得られた転写性の印刷電気配線を裏返したニット生地から成るスポーツシャツの所定部分に重ね、室温でプレスして印刷電気配線をスポーツシャツの裏側に仮接着し、離型PETフィルムを剥離し、スポーツシャツをハンガーに掛けて、さらに115℃にて30分間乾燥し、電気配線付きスポーツシャツを得た。配線パターンを図7に、シャツに対する配線パターンの配置を図8に示す。
得られた電気配線付きスポーツシャツは、左右の後腋窩線上と第7肋骨との交差点に直径30mmの円形電極があり、さらに円形電極から後頸部中央までの幅10mmの伸縮性のある導体による電気配線が内側に形成されている。なお左右の電極から後頸部中央に伸びる配線は、頸部中央にて5mmのギャップを持ち、両者は短絡されていない。
左右の電極間の絶縁抵抗値は200GΩであり、湿潤状態として電気配線付きスポーツシャツをイオン交換水に浸漬し、その後、家庭用洗濯機で5分間脱水した後に測定した左右の電極間の絶縁抵抗値は60MΩであった。
続いて、後頸部中央端の表面側に突き出るように、生地裏側の伸縮性導体層を貫通させてステンレススチール製のスナップホックを取り付け、さらに裏側の配線部と電気的導通を確実とするために金属細線を撚り込んだ導電糸を用いて伸縮性導体組成物層とステンレススチール製スナップホックとを縫い合わせた。
ステンレススチール製スナップホックを介して、スマートホンへの無線データ伝送機能を有するユニオンツール社製の心拍センサWHS−2を接続して、測定と同時にWHS−2から心電信号をスマートホンに発信し、同心拍センサWHS−2専用のアプリ「myBeat」を組み込んだアップル社製スマートホンで心拍データを受信し、画面表示できるように設定した。以上のようにして心拍計測機能を組み込んだスポーツシャツを作製した。
本シャツを被験者に着用させ、ラジオ体操第1、ラジオ体操第2を連続して行い、その間の心電データを取得した。得られた心電データはノイズが少なく、高解像度で、心電図としてメンタルな状態、体調、疲労度、眠気、緊張度合いなどを心拍間隔の変化、心電波形などから解析可能な品位を有していた。同じシャツを10名の被験者に着用して貰い、着用感を評価した。結果を表3−1、表3−2.に示す。
着用試験に用いたスポーツシャツと同条件で製作したスポーツシャツから、所定の試験片を切り取り、電極部/配線部境界の段差評価、10%伸縮1回、および100回について配線の導電性、伸縮性絶縁被覆層の絶縁性、下地層の絶縁性、それぞれの維持性能を評価した。結果を表3−1、表3−2.に示す。
電極間の初期抵抗値、湿潤時の抵抗値、洗濯50回後の電極間抵抗値を評価した結果を表3−1、表3−2に示す。なお洗濯試験後の電極間抵抗は、家庭用の縦型洗濯機を用い、水道水洗いにて「10分間の洗濯動作、3分間の脱水、2分間のすすぎ、3分間の脱水、2分間のすすぎ、3分間の脱水、2分間のすすぎ、6分間の脱水」を一回として50回繰り返し、24時間以上自然乾燥した後の抵抗値である。
激しいスポーツに用いる状況に似せて、強制伸張試験を実施した。本試験では衣服型電子機器を洋服用ハンガーに掛け、裾部分に1kgの重り20個をクリップで吊るした。次いで、ハンガーごと、全ての重りが持ち上がるまで持ち上げ、3秒保持した後にすべての重りが着地するまで下ろし3秒間保持、この動作を1サイクルとして500回繰り返し、その後に、心電測定動作が可能かどうかを評価した。問題無く心電測定が行えた場合を「○」、測定は行えた場合でもノイズが増える等の異常を認めた場合には「△」、測定が出来なくなった場合を「×」とした。結果を表3−1、表3−2.に示す。
以下同様に表3−1、表3−2に示す構成により.実施例2〜6、比較例1〜2のスポーツシャツ製作し、同様に評価した。結果を表3−1、表3−2.に示す。
比較例3〜5
実施例1に用いたニット地のスポーツシャツを裏返し、型枠に、背面にしわが入らないように入れてシャツの両肩と左右の裾にピンを打って固定した。
次いで、図5に示す直接印刷法にて実施例と同じ配線パターンのスポーツシャツを製作した。まず、所定のパターンにて下地層をCCペーストでスクリーン印刷し、所定の条件で乾燥し、さらにもう一度同条件で印刷し、乾燥硬化した。次いで、導体層、伸縮性絶縁被覆層、電極表面層の順で各々印刷、乾燥を繰り返し、電気配線を得た。得られたスポーツシャツに実施例と同様にホックを取り付け、ユニオンツール社製の心拍センサWHS−2を接続し、以下同様に評価を行った。結果を表3−1、表3−2.に示す。
なお、比較例1に置いては、最初の着用時に配線部の断線が生じ、心電データを得ることができなかった。比較例2においては初期の心電データ取得は問題なく行えたが、ラジオ体操を行っている過程でノイズが増加し、ラジオ体操第2の途中でデータを取得することができなくなった。参考例1〜3では、最後までデータ取得が可能であったが、初期の比抵抗が比較的大きい比較例3においては100回繰り返し伸張試験において、伸張時の抵抗値が初期抵抗値の100倍を超え、「×」評価となった。
Figure 0006926500
Figure 0006926500
以上示してきたように、本発明の衣服型電子機器は後頸部にデバイスならびにコネクタを配置する事により、運動中の生体信号計測が確実に行え、また打撃や強い伸張歪みが加わるであろう激しいスポーツを行っている最中でも同様に安定して測定が行え、また十分な耐久性を示すであろう事が示された。
以上、示してきたように、本発明における衣服型電子機器は伸縮性を有する電極表面層、伸縮性を有する伸縮性絶縁被覆層と下地層、伸縮性を有する導体層からなる電気配線を有しており、さらに電極部と配線部との境界部分の段差が実質的に無いため、良好な電気特性と良好な着用感を両立した優れた特性を有する。
良好な着用感は、特に心電データなどの身体物理データを元に、着用者のメンタルな状態を求める場合において、着心地の悪さからくるメンタル的なノイズを生じること無く、より自然な状態でのメンタル評価が可能となることから、このような衣服型電子機器の応用面において大きな異議があると云える。
本発明は、本実施例にて例示した用途例に限定されず、人体の持つ情報、すなわち筋電位、心電位などの生体電位、体温、脈拍、血圧などの生体情報を衣服に設けたセンサなど検知するためのウェアラブル装置や、あるいは、電気的な温熱装置を組み込んだ衣服、衣服圧を測定するためのセンサを組み込んだウェアラブル装置、衣服圧を利用して身体サイズを計測するウェア、足裏の圧力を測定するための靴下型装置などに広く応用できる。また表面段差の無い伸縮可能な配線は、部品、コネクタ類との接続についても良い方向に作用するため、本発明は、フレキシブルな太陽電池モジュールをテキスタイルに集積した衣服、テント、バッグなどの配線部、関節部を有する低周波治療器、温熱療養機などの配線部、屈曲度のセンシング部などに応用可能である。かかるウェアラブル装置は、人体を対象にするのみならず、ペットや家畜などの動物、あるいは伸縮部、屈曲部などを有する機械装置にも応用可能であり、ロボット義手、ロボット義足など機械装置と人体と接続して用いるシステムの電気配線としても利用できる。また体内に埋設してしようするインプラントデバイスの配線材料としても有用である。
1.基材(ファブリック)
2.絶縁下地層
3.伸縮性導体組成物層(伸縮性導体層)
4.伸縮性カバー層(伸縮性絶縁被覆層)
5.伸縮性カーボン層(電極表面層)
6.接着層(絶縁下地層)
10.仮支持体(離型指示体)

Claims (7)

  1. 生体情報の測定に用いられる衣服型電子機器において、少なくとも、
    a.身体表面に直接接触する複数の電極と、
    b.身体電位データ測定機能と少なくともデータ格納機能または通信機能を有する電子デバイスと接続するためのコネクタと、
    c.前記電極と前記コネクタを電気的に接続するための電気配線、
    とを有し、前記コネクタが、衣服の後頸部中央部に設けられており、前記電気配線の破断伸度が40%以上であり、前記電気配線の配線の厚い部分と薄い部分とが明瞭な境界を有さず、少なくとも50μmの高低差の変化が生じる遷移領域の幅が1.0mm以上の幅をもって厚さが変化することを特長とする衣服型電子機器。
  2. 前記身体表面に直接接触する電極が、破断伸度が40%以上の伸縮性導体層からなることを特長とする請求項1に記載の衣服型電子機器。
  3. 前記身体表面に直接接触する電極が、破断伸度が50%以上の伸縮性導体層からなり、伸縮性導体層の厚さが300μm以下である事を特長とする請求項1または2に記載の衣服型電子機器。
  4. 前記電気配線が破断伸度が50%以上の伸縮性導体層からなり、伸縮性導体層の厚さが300μm以下であることを特長とする請求項1から3のいずれかに記載の衣服型電子機器。
  5. 前記電気配線が破断伸度が50%以上の伸縮性電線からなり、伸縮性電線の太さが絶縁被覆を含み2.4mm以下である事を特長とする請求項1から3のいずれかに記載の衣服型電子機器。
  6. 前記生体情報が心電位の時間変化であり、前記身体表面に直接接触する電極が左右一対で有り、人体の背中に相当する部位の背中の中央線を挟んで左右対称に配置されている事を特長とする請求項1から5のいずれかに記載の衣服型電子機器。
  7. 着用者に打撃が加わるスポーツにおいて着用される事を特長とする請求項1から6のいずれかに記載の衣服型電子機器。
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