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JP6922163B2 - 光沢のある塗布用光沢剤および塗布用光沢剤が被覆された食品の製造方法 - Google Patents

光沢のある塗布用光沢剤および塗布用光沢剤が被覆された食品の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、光沢のある塗布用光沢剤および塗布用光沢剤が被覆された食品の製造方法に関する。
従来より、食品の表面を被覆するという加工技術がある。被覆はその対象となる食品の種類やその被覆目的により様々なものがある。
被覆にはチョコレートコーティング、グレーズがけ、などといった油脂が連続層となるもの、糖衣掛けや飴掛け、蜜がけといったような操作により糖が構造体を形成して堅い食感をなすものなどさまざまなものがある。
特に飴掛けには、既存のものでは、表面が光沢のある「米菓」の他、光沢の強いタイプの「かりんとう
や「いもけんぴ」、「サツマイモチップス」など様々なものによく用いられており、糖がガラスのように半透明で堅く艶のある被覆物を作るものは、それ自体が堅く焼き上げられた焼成菓子の表面に被覆されると、本来焼成菓子の持っている堅い食感や、堅く固化した飴の特異な甘味などより想起させ、その外観上の特徴として商品価値を向上させるものである。
例えば従来のかりんとうの蜜がけ方法を一例として挙げると、イースト又は膨張剤に砂糖と小麦粉と食塩を混合して作成した生地を棒状などの形状に成形、180〜200℃の温度で10分くらいフライ処理を行う。フライ後、回転ドラム等に入れて余熱のある生地に砂糖(例えば黒砂糖)からなる液状の蜜にて蜜掛けを行い、乾燥して被覆する製造方法が一般的である。
しかしながら、上記のように糖をガラスのような堅い食感に飴化させるためには高い温度による処理が必要であり、単に糖水溶液を塗布して表面を乾燥させただけでは糖の結晶は吸湿しやすくべたつきやすいし、また糖自体が加熱を受けていない状態は艶がよくないという課題があった。
上記問題に対応するべく、艶の良い被覆物の製造方法に関し、様々な提案がされている。特許文献1は、平均分子量10万〜200万、分岐含有率50%以下の高分子デキストリンを主成分として含む澱粉加水分解物をもちいて食品を被覆することを特徴とする食品の艶だし方法が開示されている。(特許文献1)
焼上げられた米菓の表面に、マルトデキストリン及び/又はBLD分枝デキストリンに鶏卵の粉末卵白7〜15重量%を配合してなる米菓用接着剤を上掛けし、当該塗布面に海苔片などの可食性貼着物を付着させ、次いで、60〜70℃に加熱して乾燥させることによって接着する技術がある。(特許文献2)
さらには、全糖質中のグルコース重合度600以上に属する糖質の割合が30%以下で、かつ全糖質中のグルコース重合度200〜600に属する糖質の割合が10%〜100%であり、グルコース重合度40未満の糖質を除く糖質中の主鎖並びに分岐鎖を含む全直鎖糖に対する40糖以上の直鎖糖部分の相対的割合が0.1〜1.0%であることを特徴とする食品物性改良用の糖質が開示されている。(特許文献3)
しかしながら、これら従来技術は糖の飴化工程に相当するほどの強い加熱工程は必要ないものの、表面のべとつきを完全に抑えることもできず、また艶もガラス質となった蜜がけの表面の艶とまでは至っていない。
特開昭57−144948号公報 特開平8−163960号公報 特開2005−272747号公報
本発明は、光沢のある塗布用光沢剤および塗布用光沢剤が被覆された食品の製造方法に関し、詳しくは、簡便な方法で被覆ができ、かつ光沢のある塗布用光沢剤が被覆された食品及びその製造法を提供することである。
本発明者らは上記課題に対して鋭意研究を行った結果、食物繊維を5.0重量%以上含有させた塗布用光沢剤を塗布した上で従来よりも低い温度域での乾燥を施すことで、艶のきわめてすぐれた被覆物および、被覆された食品が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、(1)としては、油脂と水を必須の成分とする水性組成物であり、食物繊維を5.0重量%以上含有することを特徴とする塗布用光沢剤であり、(2)としては、無脂カカオ固形分が2重量%以上であることを特徴とする(1)記載の塗布用光沢剤であり、(3)としては、油脂含有量が食物繊維含有量の2倍以上であることを特徴とする(1)ないし(2)のいずれか1項に記載の塗布用光沢剤であり、(4)としては、チョコレートを配合する事を特徴とする(1)ないし(3)のいずれか1項に記載の塗布用光沢剤であり、(5)としては、塗布対象となる食品が焼き菓子、揚げ菓子、膨化食品、またはベーカリー食品である、請求項1ないし(4)のいずれか1項に記載の塗布用光沢剤であり、(6)としては、焼き菓子、揚げ菓子、膨化食品、またはベーカリー食品に(1)ないし(5)のいずれか1項に記載の塗布用光沢剤を塗布した上で乾燥させることを特徴とする組み合わせ食品の製造法である。
本発明により塗布用光沢剤を食品に塗布した上で、従来の高い温度による処理ではなく、従来よりも低い温度域による乾燥を施すだけといった平易な方法で、艶のきわめてすぐれた被覆物および、被覆された食品が得ることが可能となる。
以下、本発明を具体的に説明する。
(塗布用光沢剤)
本発明の塗布用光沢剤としては、油脂、水を必須の成分とする水性組成物であり、食物繊維を5.0重量%以上含有している必要がある。
(食物繊維)
本発明で使用する食物繊維とは、食物に含まれている人の消化酵素では消化されにくい難消化性の成分である。食物繊維は食品に用いられるものであれば特に限定はされない。
食物繊維は、水に対して可溶性である水溶性食物繊維と、水に対して難溶性の食物繊維である不溶性食物繊維に大別されるが、特に限定はされない。
不溶性食物繊維としては、例えば、セルロース、ヘミセルロース、リグニン、アラビノキシラン、ガラクトマンナン、ガラクタン、キシログルカンなどが挙げられる。水溶性食物繊維としては、例えば、サイリウム、ペクチン、アラビノグルカン、キシラン、ガラクトマンナン、グルコマンナン、グアーガム、ガラクタン、イヌリン、ポリデキストロース、難消化性デキストリン、分岐マルトデキストリン、マルトデキストリン、ポリデキストロースが挙げられる。また後術の無脂カカオ固形分は食物繊維であり、より詳しくはさまざまな食物繊維の混合物である。
(無脂カカオ固形分)
本発明の無脂カカオ固形分とは、カカオ豆由来の固形分のうちココアバターを除いた部分を指す。無脂カカオ固形分は、カカオリカー、カカオリカーを冷却固化して得られるカカオマス、カカオリカーからココアバターを搾り取った残余であるココアケーキ、ココアケーキを粉砕して粉末状にしたココアパウダー等を使用することにより、それぞれに含まれるココアバター含量を減じた固形分相当量として供給される。例えば、カカオマスには45重量%前後の無脂カカオ固形分が、ココアパウダーには76〜90%前後の無脂カカオ固形分が含まれる。
無脂カカオ固形分はリグニンやヘミセルロース、セルロースといった不溶性食物繊維が90%程度、のこりを水溶性食物繊維である多糖類を含有するさまざまな食物繊維の混合物である。
(食物繊維の必要量)
食物繊維は本発明において、最終製品の艶の向上に効果があり、塗布用光沢剤に対して、5.0重量部%以上、好ましくは9.0重量%以上配合することが光沢の点で好ましい。
光沢に関しては特に食物繊維の量に上限はないが、塗布剤としての食感や風味など組み合わせる対象となる食品とのバランスを崩しかねず、また食物繊維の種類にもよるが、増粘して塗布の作業性が悪くなりかねず、50重量%以下であることが望ましい。
食物繊維は異なる種類の食物繊維を組み合わせて使用しても良く、配合する食物繊維の合計量が前記範囲内であれば使用することができる。
また無脂カカオ固形分は光沢への効果の点で他の食物繊維よりも少量で同等の機能があるため、作業環境やバランスを悪化させにくく、商品設計の自由度が向上するため、他の食物繊維より優先して配合することが望ましい。無脂カカオ固形分の実効性を確かにするためには好ましくは2.0重量%以上、さらに好ましくは4.0重量%以上配合することが望ましい。
なお、本願においては食物繊維は乾燥重量をもってその量の規定をするものとする。
(マルトデキストリン)
食物繊維としては無脂カカオ固形分が特に優れているが、それ以外は特に限定はされないもののマルトデキストリンも好適に用いることができる。なお、マルトデキストリンとは澱粉を低分子化したものであり、本発明においては、マルトデキストリンを食物繊維のカテゴリーとする。
マルトデキストリンの低分子化の度合いは、その還元力をデキストロース(ブドウ糖)の還元力を100とした場合の相対的な指標として表されるDE(Dextrose Equivalent:デキストロース等量)によりわかるが、本発明においてはDE値が0〜30のものが好適に用いられる。DEが0に近いと分解度が低く澱粉に似た物性となり、塗布用光沢剤の粘度が上がって作業性が悪くなりかねないため、作業性の点からは1以上、さらには10以上である方がより望ましい。一方DEが30を上回ると、澱粉の分解度が上がり、糖に近い物性となる。特に糖は食物繊維と同様に乾燥後に塗布用光沢剤の骨格への寄与はあるものの、光沢に対してはあまり影響がないため、DEが30を上回ったマルトデキストリンは食物繊維として光沢付与の機能がそがれる。(後術)。
(油脂含有量)
塗布用光沢剤中には油脂の配合は必須である。油脂単独での添加のみならず、無脂カカオ固形分の供給源として油分を含むココアパウダーやカカオマス、さらにはそれらを原料とするチョコレートを使うことは妨げない。
塗布用光沢剤中の乳化系は特に限定されず、油中水型でも水中油型でもかまわないが、油脂含有量として食物繊維含有量の2倍以下、好ましくは1倍以下であることが望ましい。2倍を超えると油脂が分離しやすくなる。ただし、乳化剤を併用することで油の分離は抑えることが可能である。
また、油脂含有量は塗布用光沢剤中に20重量%以下であることが望ましい。
無脂カカオ固形分の供給源にはカカオバターを含むことが多く、カカオバターを初めとしたテンパリングタイプの油脂は、その固化の際にテンパリング操作を施さないと油脂の粗大結晶化によるブルーミングと呼ばれる白化現象をおこし、食感や外見上の商品価値を大きく損なうことになる。
塗布用光沢剤中の油脂含有量が20重量%を超えると分散しているブルーミングを起こした油脂が目視されやすい。また、塗布用光沢剤自体の粘性が上がり、作業性を悪化させかねない。
(チョコレー卜)
チョコレートはココアパウダーやカカオマスを用いてリファイニングやコンチングといった操作を経て作られており、ココアパウダーやカカオマスを直接使うより粒度が細かい、風味が整えられている点、好適に用いることができる。その場合においても、本発明に規定された食物繊維や無脂カカオ固形分の量に調節するため、別途ココアパウダーやカカオマス、それに他の食物繊維と組み合わせても構わない。
なお、本発明でいうチョコレートは、いわゆる規約乃至法規上に規定されたチョコレート(「チョコレート類の表示に関する公正競争規約」(昭和46年3月29日、公正取引委員会告示第16号)による「チョコレート生地」及び「準チョコレート生地」)のみを指すのではなく、通常、カカオバターの代わりに使用されるカカオバター代用脂としてのハードバターを使用した各種のチョコレート類をも含むものであり、配合面よりスイートチョコレート、ミルクチョコレート、ブラックチョコレート、ホワイトチョコレート等のいずれであっても良い。
(油脂の種類)
塗布用光沢剤中に含まれる油脂の種類は特に限定はされない。例えば菜種油、大豆油、ヒマワリ種子油、綿実油、落花生油、米糠油、コーン油、サフラワー油、オリーブ油、カポック油、胡麻油、月見草油、パーム油、シア脂、サル脂、カカオ脂、ヤシ脂、パーム核油等の植物性油脂、並びに、それら油脂の硬化、分別、エステル交換等を施した加工油脂が例示できる。
ただ上記のとおり、油脂は特に必須の成分ではなく、無脂カカオ固形分の供給源からくる油脂としては、必然的にカカオ脂となる。油分の調整のためすでにあるカカオ脂にさらに油脂を添加する場合は、カカオ脂と同様のテンパータイプの油脂が望ましい。固化の際にテンパリング操作の必要としない油脂(ノーテンパリングタイプと称する)は油脂の分子構造の違いからテンパリングタイプの油脂に対する許容上限があり、ファットブルームが発生する。ファットブルームとは、油脂の結晶が粗大化したもので、全体あるいは部分的に粒状や白く粉をふいたような状態となることであり、商品価値を喪失させる。が出やすくなる。
(糖類)
塗布用光沢剤中に含まれる糖類は、光沢への影響はあまりないものの、乾燥後に食物繊維とともに骨格を形成するため、好ましくは35重量%以上であることが望ましく、これを下回ると油分が滲み出したりしかねないが、同時に配合されている食物繊維が骨格の機能を代替することができるため必ずしも絶対的な指標ではない。
また、デキストリンなどとの置換率が多い場合は、塗布用光沢剤の粘度はあがる。作業性を鑑みて適宜調節することができる。
糖類の配合量の上限も好ましくは60重量%以下であることが望ましい。規定量を上回ると作業時に増粘し、塗布しにくくなりかねない。
(水分)
塗布用光沢剤中に含まれる水分が24重量%以上、好ましくは30重量%以上であることが望ましい。規定量を下回ると増粘などにより塗布作業がやりにくくなったり、薄く塗布できなくなりかねない。ただし、塗布の方法として後術のエンローバーやレボリングパンを用いるならば塗布作業自体は可能である。
塗布用光沢剤中に含まれる水分の上限は特になく、水分量が多いことで作業性や品質にはさほど影響はないが、50%を超えると乾燥の時間や手間、コストが増えるため、望ましくない。
(塗布用光沢剤の調整方法)
本発明の塗布用光沢剤の調整方法は公知の方法で行うことができる、例えば、上記示された原料を目的に合わせて調節した配合にて、すべて混ぜ合わせて適宜撹拌混合することで容易に作成される。ただし糖類の添加は最後の方が望ましい。先に糖類が水和すると、撹拌混合の際に他の原料がなじみにくく不均一になりやすい。
また撹拌混合時の温度条件は特に限定はないが、食物繊維等が溶解しやすいことが望ましく、デキストリン等が配合されている場合は60℃以上、望ましくは80℃程度で溶解させる方が望ましい。
撹拌の方法も特に限定はされず、ヘラを用いた手撹拌や量が多ければミキサー等を用いてもよい。
(塗布対象となる食品)
塗布用光沢剤の塗布対象となる食品は特に限定はされないものの、本塗布用光沢剤は従来の強い加熱による糖の飴化の工程を必要としないため、すでに焼成の終わった食品や飴化に匹敵する強い加熱には耐えられない食品への塗布が望ましい。
一例としては焼き菓子、揚げ菓子、膨化食品、またはベーカリー食品であり、さらに詳しく適用例を示すと、焼き菓子としてはクッキー、ビスケット、サブレ、クラッカー、パイ、乾パン、ウエハース、ニュートリションバー、焼き饅頭、焼成済みのせんべいやおかきなどの米菓など、さらには加熱・焼成された豆(一例としていり豆など)や豆菓子などが挙げられる。揚げ菓子としては揚げせんべい、揚げ餅、かりんとうなどの米菓、揚げ饅頭、ポテトチップ、サツマイモチップ、イモケンピ、大学いも、成形麺スナック菓子などが、膨化食品としては、加圧膨化装置による食品をさし、一例としてはコーンパフ、米パフ、モルトパフ、小麦パフ、粒状大豆たんぱく(大豆パフ)、ほか穀物パフがあげられる。
ベーカリー食品としては、食パン、バターロール、デニッシュ、メロンパン、マフィン、ピザ台等のパン類、スポンジケーキ、バターケーキ、チーズケーキ、ホットケーキ、カステラ、ワッフル、シュー、ドーナツ、チュロス等、さらに上記ベーカリー食品をラスク化したものが挙げられる。
また、従来の方法による飴化工程の加熱温度に耐えられる食品であっても、本発明は簡便であるため、作業工程上、あるいはコスト的に優れているため、好適に用いられる。
(塗布の方法)
塗布用光沢剤を塗布対象となる食品に塗布する方法も特に限定はなく、一例としては塗布用光沢剤を均一に溶解した温度(配合にもよるが、50℃程度)に調温し、対象となる食品に刷毛で塗る、あるいは、塗布用光沢剤に対象食品の一部または全部を埋没させて付着させる、容器に塗布対象となる食品を入れ、混ぜながら塗布用光沢剤を上から滴下しながら付着させるといった方法があげられる。
さらには、上記方法をレボリングパンやエンローバーといった機器を用いて塗布してもよい。
(乾燥方法)
塗布対象となる食品に塗布用光沢剤を塗布したものは、乾燥工程に供する。乾燥方法も特に限定はされず、従来よりある乾燥方法を適宜利用できる。
一例としては、塗布用光沢剤の組成や量にもよるが好ましくは60℃〜100℃程度の温度で5〜60分程度乾燥を行うが、基本的に焦げないようにすれば高温で短時間であっても、また、低温で長時間であっても構わない。
以下に実施例を挙げて本発明の作用・効果をより詳しく説明する。なお、例中、% 及び部は、いずれも重量基準を意味する。
(実施例1)
ボウルに水300.0部、ハイファットタイプココアパウダー(不二製油株式会社製 油分22%)100.0部、スイートチョコレート(商品名:クーベルチュールスイートフレーク 不二製油株式会社製)200.0部を加え、約60℃まで昇温しながらよく撹拌して溶解させた。ここで加熱を止め、グラニュー糖300.0部を加えよく撹拌させて溶解させ、塗布用光沢剤を得た。
次いで得られた塗布用光沢剤を約50℃に調温し、そこに焼き菓子(うすやきせんべい)を浸して表面に塗布用光沢剤を塗布した後に、遠心分離機(家庭用野菜水切り装置)にて余分な塗布用光沢剤を除き、80℃の乾燥機(いすず製作所SSR-220S)にて30分乾燥し、組み合わせ食品を得た。
組み合わせ食品の構成比は焼き菓子20.0部に対し塗布用光沢剤9.0部であった。
得られた組み合わせ食品は極めて艶がよく、常温でチョコレートが手につかない程度の熱耐性を持っており、風味も満足できるものであった。
(実施例2)
実施例1の配合のスイートチョコレートの代わりにココアパウダー(不二製油株式会社製、油分11%)47.5部、ココアバター(商品名:ココアバター201 不二製油株式会社製)75.5部に変え、グラニュー糖を377.0部加える以外は、実施例1と同じ配合、同じ操作にて塗布用光沢剤、および組み合わせ食品を得た。なお、変更したココアパウダーとココアバター、追加したグラニュー糖はもとのチョコレートの配合を模したものである。
組み合わせ食品の構成比は実施例1同様に焼き菓子20.0部に対し塗布用光沢剤9.0部であり、塗布作業も同等であった。
得られた組み合わせ食品は極めて艶がよく、常温でチョコレートが手につかない程度の熱耐性を持っており、風味も実施例1のチョコレート的な風味とは異なり、ココア由来の風味があるといった差異はあるものの十分に満足できるものであった。
(実施例3・実施例4・比較例1)
表1に示した配合にて作成する以外は、同じ操作にて塗布用光沢剤、および組み合わせ食品を得た。配合と食物繊維等の割合、評価は表1に記載した。
なお、油分と水分の割合は実施例2とすべて同じ割合になるよう調節した。
(表1)
Figure 0006922163
塗布作業の評価は、以下の基準に基づき評価を行った。
○:液が均質で、粘度が適切で作業しやすい。
△:液が不均一(油脂分離やダマがある)、粘度が高く塗布しにくい。
×:粘度が高く塗布できない。
※ 本発明では、実際△評価でも作業が可能ではあるが、○評価以上の条件を持って、商業的に有意なレベルとした。
組み合わせ食品の艶の評価は、以下の基準に基づき評価を行った。
◎:強い光沢がある。
○:やや、濁った感があるものの光沢がある。
△:表面に光沢がわずかにある
×:表面は一様で光沢がない。
※ 本発明では、実際△評価でも艶と呼べるものかもしれないが、○評価以上の条件を持って、商業的に有意なレベルとした。
実施例1と実施例2の結果より、多少の風味の差こそあるが(嗜好の差であるため優劣はない)原料をチョコレートとして配合することと、同等の原料にて配合することに差がないことが明らかとなった。
また、油分と水分が実施例2と変わらない実施例3・実施例4・実施例5の作業性は変わらなかった。しかし、食物繊維の量が13.4%の実施例2、9.2%の実施例3は強い光沢がある、艶の良い状態であったが、実施例4の5.2%まで減ると光沢はあるものの濁った感がある状態になり、比較例1の4.8%まで減ると、商業的には有意とは言えないレベルの艶となった。
(実施例5)
表2に示した配合にて、実施例1の配合のハイファットタイプココアパウダーの代わりに実施例5はマルトデキストリン(商品名:サンデック30# 三和澱粉工業社製 DE2〜5)、実施例6はマルトデキストリン(商品名:サンデック185# 三和澱粉工業社製 DE2〜5)サンデック185#(分解デキストリン)、実施例7は水溶性食物繊維(商品名:ファイバーソル 松谷化学工業社製)、実施例8は不溶性食物繊維(商品名:ファイバージム 松谷化学工業社製)に置き換える以外は、実施例1と同じ配合、同じ操作にて塗布用光沢剤、および組み合わせ食品を得た。
配合と食物繊維等の割合、評価は参考のため実施例1とともに表2に記載した。なお、油分と水分の割合は実施例1とすべて同じ割合になるよう調節した。
実施例1と実施例5〜実施例8は加えられたココアパウダーをDE値の異なるマルトデキストリンや水溶性・不溶性の食物繊維と置換したものだが、スイートチョコレートに含まれている無脂カカオ固形分と相まって、すべて食物繊維の量は等量で13.4%であってが、すべて、艶の評価は◎もしくは○といった高い評価であった。ただ、実施例5の分解度の低いマルトデキストリンは実施例6の分解度の高いマルトデキストリンに比べ、添加量が同じであるにもかかわらず塗布用光沢剤が増粘してしまい、塗布作業がしにくい状態であった。
また、実施例1と実施例5〜8は置換された無脂カカオ固形分と他の食物繊維との差であり、同重量の置換であっても実施例1の艶の評価が一段高く、他の食物繊維より無脂カカオ固形分の方が艶を向上させる機能が高いものであった。
(表2)
Figure 0006922163
(実施例9)
表3に示した配合にて、実施例2の配合のココアパウダーとココアバターの量を変動させた。油分/食物繊維比率が、実施例9は1.23、実施例10は1.95、比較例2は2.04に置き換える以外は、実施例2と同じ操作にて塗布用光沢剤、および組み合わせ食品を得た。
各実施例と比較例の配合と食物繊維等の割合、評価は参考のため実施例2(油分/食物繊維比率0.85)とともに表3に記載した。
(表3)
Figure 0006922163
油分/食物繊維比率が1を超える実施例9あたりから塗布作業時、油脂分離の傾向が出始め、比率が2を超える比較例2で油脂分離が顕著になり作業性の評価は×となった。
ただ、乾燥後の艶には影響はなかった。
以上のように、食物繊維を5.0重量%以上含有させた塗布用光沢剤を塗布し、従来の高い温度による処理ではなく低い温度域での乾燥という、極めて平易な方法で、艶のきわめてすぐれた被覆物および、被覆された食品を提供することが可能となる。

Claims (4)

  1. 以下の要件を満たす、塗布用光沢剤。
    カカオ脂 10.9〜13.4質量%。
    2 水分 30〜50質量%。
    無脂カカオ固形分に由来する食物繊維5〜13.4質量%。
    4 油脂含有量は食物繊維含有量の2倍以下。
    5 糖類を35質量%以上含有する。
    ただし、塗布後60〜100℃で乾燥させる工程を経ず使用する態様を除く。
  2. チョコレートを配合する事を特徴とする請求項1に記載の塗布用光沢剤。
  3. 塗布対象となる食品が焼き菓子、揚げ菓子、膨化食品、またはベーカリー食品である、請求項1又は2に記載の塗布用光沢剤。
  4. 焼き菓子、揚げ菓子、膨化食品、またはベーカリー食品に請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の塗布用光沢剤を塗布した上で60〜100℃で乾燥させることを特徴とする組み合わせ食品の製造法。
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