JP6921597B2 - ゲル膜 - Google Patents
ゲル膜 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6921597B2 JP6921597B2 JP2017079750A JP2017079750A JP6921597B2 JP 6921597 B2 JP6921597 B2 JP 6921597B2 JP 2017079750 A JP2017079750 A JP 2017079750A JP 2017079750 A JP2017079750 A JP 2017079750A JP 6921597 B2 JP6921597 B2 JP 6921597B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- cellulose fiber
- group
- less
- viewpoint
- mass
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
- Wrappers (AREA)
Description
〔1〕 カルボキシ基含有量が0.1mmol/g以上であるセルロース繊維のカルボキシ基に修飾基が結合されてなるセルロース繊維複合体と有機媒体とを有するゲル膜。
〔2〕 カルボキシ基含有量が0.1mmol/g以上であるセルロース繊維のカルボキシ基に修飾基が結合されてなるセルロース繊維複合体と有機媒体とを有するゲル膜用分散体。
本発明のゲル膜は、特定の構造を有するセルロース繊維複合体と有機媒体とを有するものである。ここでゲル膜とは、室温で流動せずに形状を保持する膜をいう。ゲル膜としては、例えば、微小硬度計で測定した場合、下記式により算出されるマルテンス硬さ(HM)が0.1(N/mm2)以上の膜が好ましい。具体的には、後述の実施例に記載の方法によりゲル膜のマルテンス硬さが測定される。
HM=F/(26.43×hmax2)
F:試験力(N)
hmax:押し込み深さの最大値(mm)
本発明におけるセルロース繊維複合体とは、セルロース繊維のカルボキシ基に修飾基が結合されてなるものであり、有機媒体に分散性を示すものであればよい。有機媒体に対して分散性を有するとは、例えば、油と対象のセルロース繊維複合体との混合液の粘度をE型粘度計(25℃、1rpm、1分後、標準コーンロータ、ロータコード:01)を用いて測定した場合、増粘が観測されることをいう。例えば、本発明におけるセルロース繊維複合体としては、有機媒体の代表例としてスクアラン中にセルロース繊維の濃度を0.5質量%になるように調製した液の微細化処理後の分散液粘度が50mPa・s以上になるものが好ましい。なお、微細化処理は、後述の方法により行うことができる。
セルロース繊維複合体の原料のセルロース繊維としては、環境面から好ましくは天然セルロース繊維であり、例えば、針葉樹系パルプ、広葉樹系パルプ等の木材パルプ;コットンリンター、コットンリントのような綿系パルプ;麦わらパルプ、バガスパルプ等の非木材系パルプ;バクテリアセルロース等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、セルロース繊維としては、防汚性の観点から、好ましくは、カルボキシ基を有するセルロース繊維(以下、酸化セルロース繊維ともいう。)であり、セルロース繊維を酸化することにより得ることができる。
酸化セルロース繊維は、例えば、触媒として2,2,6,6,−テトラメチル−1−ピペリジン−N−オキシル(TEMPO)を使用し、更に次亜塩素酸ナトリウム等の酸化剤、臭化ナトリウム等の臭化物を併用して酸化する方法が適用できる。より詳細には、特開2011−140632号公報に記載の方法を参照することができ、更に、追酸化処理又は還元処理を行なうことで、アルデヒドを除去した酸化セルロース繊維として調製することができる。
本発明で用いられるセルロース繊維複合体を構成するセルロース繊維は、カルボキシ基含有量が、修飾基導入の観点から、0.1mmol/g以上、好ましくは0.4mmol/g以上、より好ましくは0.6mmol/g以上、更に好ましくは0.8mmol/g以上である。また、取り扱い性を向上させる観点から、好ましくは3mmol/g以下、より好ましくは2mmol/g以下、更に好ましくは1.8mmol/g以下である。なお、「カルボキシ基含有量」とは、セルロース繊維を構成するセルロース中のカルボキシ基の総量を意味し、具体的には後述の実施例に記載の方法により測定される。
本明細書において、セルロース繊維複合体における修飾基の結合とは、セルロース繊維表面のカルボキシ基に、修飾基がイオン結合及び/又は共有結合している状態のことを意味する。カルボキシ基への結合様式としては、イオン結合、共有結合が挙げられる。ここでの共有結合としては、例えば、アミド結合、エステル結合、ウレタン結合が挙げられ、なかでも、防汚性の観点から、好ましくはアミド結合である。防汚性の観点から、本発明におけるセルロース繊維複合体としては、セルロース繊維表面に既に存在するカルボキシ基に、修飾基を導入するための化合物をイオン結合及び/又はアミド結合させることにより得られるものが好ましい。
修飾基を導入するための化合物としては、後述の修飾基を導入可能なものであればよく、結合様式によって、例えば、以下のものを用いることができる。イオン結合の場合は、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン、第4級アンモニウム化合物、ホスホニウム化合物のいずれでもよい。これらの中では、分散性の観点から、好ましくは、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン、第4級アンモニウム化合物である。また、前記のアンモニウム化合物やホスホニウム化合物の陰イオン成分としては、反応性の観点から、好ましくは、塩素イオンや臭素イオンなどのハロゲンイオン、硫酸水素イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロフォスフェイトイオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、ヒドロキシイオンが挙げられ、より好ましくは、ヒドロキシイオンが挙げられる。共有結合の場合は置換される官能基によって以下のものを用いることができる。
アミノ変性シリコーン化合物としては、25℃での動粘度が10〜20,000mm2/s、アミノ当量400〜8,000g/molのアミノ変性シリコーン化合物が好ましいものとして挙げられる。
−C3H6−NH2
−C3H6−NH−C2H4−NH2
−C3H6−NH−[C2H4−NH]e−C2H4−NH2
−C3H6−NH(CH3)
−C3H6−NH−C2H4−NH(CH3)
−C3H6−NH−[C2H4−NH]f−C2H4−NH(CH3)
−C3H6−N(CH3)2
−C3H6−N(CH3)−C2H4−N(CH3)2
−C3H6−N(CH3)−[C2H4−N(CH3)]g−C2H4−N(CH3)2
−C3H6−NH−cyclo-C5H11
(ここで、e、f、gは、それぞれ1〜30の数である。)
H2N(CH2)2NH(CH2)3Si(CH3)(OCH3)2 (a2)
(a1−2)成分としては、SF8417(動粘度:1200、アミノ当量:1700)、BY16−209(動粘度:500、アミノ当量:1800)、FZ−3760(動粘度:220、アミノ当量:1600)がより好ましい。
本発明で用いられるセルロース繊維は、前記したセルロース繊維に修飾基を導入できるのであれば、特に限定なく公知の方法に従って製造することができる。なお、ここでいうセルロース繊維は、公知の方法、例えば、特開2011−140632号公報に記載の方法を参照にし、更に、必要に応じて前述の追酸化処理又は還元処理を行なうことで、アルデヒドを除去した酸化セルロース繊維として調製することができる。
〔態様A〕
工程(1):天然セルロース繊維をN−オキシル化合物存在下で酸化して、酸化セルロース繊維を得る工程
工程(2A):工程(1)で得られた酸化セルロース繊維と、修飾基を導入するための化合物とを混合する工程
〔態様B〕
工程(1):天然セルロース繊維をN−オキシル化合物存在下で酸化して、酸化セルロース繊維を得る工程
工程(2B):工程(1)で得られた酸化セルロース繊維と、修飾基を導入するための化合物とをアミド化反応させる工程
工程(1)は、天然セルロース繊維をN−オキシル化合物存在下で酸化して、酸化セルロース繊維を得る工程である。具体的には、天然セルロース繊維に対して、特開2015−143336号又は特開2015−143337号に記載の、酸化処理工程(例えば、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(TEMPO)を用いた酸化処理)及び精製工程(必要により)を行なうことで、カルボキシ基含有量が0.1mmol/g以上、好ましくは0.4mmol/g以上、より好ましくは0.6mmol/g以上、更に好ましくは0.8mmol/g以上、好ましくは3mmol/g以下、より好ましくは2mmol/g以下、更に好ましくは1.8mmol/g以下の酸化セルロース繊維が得られる。なお、酸化セルロース繊維のカルボキシ基含有量は、後述のセルロース繊維複合体と同様の測定方法により求めることができる。
次に、(必要により行われてもよい)精製工程後に工程(1)で得られた酸化セルロース繊維を微細化する工程を行って、微細な酸化セルロース繊維を得る。微細化工程では、精製工程を経た酸化セルロース繊維を溶媒中に分散させ、微細化処理を行うことが好ましい。
第1の製造形態において、工程(2A)は、前記工程を経て得られた酸化セルロース繊維と、修飾基を導入するための化合物とを混合して、セルロース繊維を得る工程である。具体的には、酸化セルロース繊維と、修飾基を導入するための化合物とを溶媒中で混合すればよく、例えば、特開2015−143336号に記載の方法に従って製造することができる。
第1の製造形態において、工程(2B)は、前記工程を経て得られた酸化セルロース繊維と、修飾基を導入するための化合物とをアミド化反応させて、セルロース繊維を得る工程である。前記混合方法としては、原料が反応する程度のものであれば特に問題なく、具体的には、前記原料を縮合剤の存在下で混合し、酸化セルロース繊維に含有されるカルボキシ基と、修飾基を導入するための化合物のアミノ基とを縮合反応させてアミド結合を形成する。
本発明で用いる有機媒体は、親水性でも疎水性でも良いが、防汚性の観点から、好ましくはSP値が5以上、25以下の有機媒体である。
本発明の成形体へのゲル膜の形成方法とは、セルロース繊維複合体と有機媒体とを含有する分散体を調製する工程1、及び工程1で調製された分散体を成形体に塗布する工程2を有するものである。
セルロース繊維複合体と有機媒体とを含有する分散体は、これらの成分と溶媒とを混合することにより調製することができる。
工程1で得られた分散体を、ガラス、樹脂等の固体表面を有する成形体に塗布する。塗布の方法としては、例えば、アプリケーター、バーコーター、スピンコーター等を使用して塗布する方法が挙げられる。塗膜の厚みとしては、防汚性の観点から、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上、更に好ましくは30μmであり、塗布性の観点から、好ましくは2000μm以下、より好ましくは1500μm以下、更に好ましくは1200μm以下である。
ゲル膜を有する成形体は前述のようにして製造することができ、前述のゲル膜を有する成形体は、本発明に包含される。
本発明の一態様として、セルロース繊維のカルボキシ基に修飾基が結合されてなるセルロース繊維複合体と有機媒体とを有するゲル膜用分散体が提供される。かかるゲル膜用分散体は、ゲル膜を形成させるための塗工液として提供され得る。かかる膜用分散体は、必要に応じて、前記[成形体へのゲル膜の形成方法]に列挙された溶媒やその他の成分を含有していてもよい。
セルロース繊維複合体に水を加えて、その濃度が0.0001質量%の分散液を調製し、該分散液をマイカ(雲母)上に滴下して乾燥したものを観察試料として、原子間力顕微鏡(AFM、Nanoscope III Tapping mode AFM、Digital instrument社製、プローブはナノセンサーズ社製Point Probe (NCH)を使用)を用いて、該観察試料中のセルロース繊維複合体の繊維高さを測定する。その際、該セルロース繊維が確認できる顕微鏡画像において、セルロース繊維を5本以上抽出し、それらの繊維高さから平均繊維径を算出する。平均アスペクト比は平均繊維長/平均繊維径より算出し、標準偏差も算出する。
乾燥質量0.5gのセルロース繊維又はセルロース繊維複合体を100mLビーカーにとり、イオン交換水もしくはメタノール:水=2:1の混合溶媒を加えて全体で55mLとし、そこに0.01M塩化ナトリウム水溶液5mLを加えて分散液を調製し、セルロース繊維又はセルロース繊維複合体が十分に分散するまで該分散液を攪拌する。この分散液に0.1M塩酸を加えてpHを2.5〜3に調整し、自動滴定装置(東亜ディーケーケー社製、商品名「AUT−50」)を用い、0.05M水酸化ナトリウム水溶液を待ち時間60秒の条件で該分散液に滴下し、1分ごとの電導度及びpHの値を測定し、pH11程度になるまで測定を続け、電導度曲線を得る。この電導度曲線から、水酸化ナトリウム滴定量を求め、式1により、セルロース繊維又はセルロース繊維複合体のカルボキシ基含有量を算出する。
ビーカーに、酸化セルロース繊維又はセルロース繊維複合体100.0g(固形分濃度1.0質量%)、酢酸緩衝液(pH4.8)、2−メチル−2−ブテン0.33g、亜塩素酸ナトリウム0.45gを加え室温で16時間撹拌して、アルデヒド基の酸化処理を行う。反応終了後、イオン交換水にて洗浄を行い、アルデヒド基を酸化処理した酸化セルロース繊維又はセルロース繊維複合体を得る。反応液を凍結乾燥処理し、得られた乾燥品である酸化セルロース繊維又はセルロース繊維複合体のカルボキシ基含有量を上記に記載の方法で測定し、アルデヒド基を酸化処理した酸化セルロース繊維又はセルロース繊維複合体のカルボキシ基含有量を算出する。続いて、式2にて酸化セルロース繊維又はセルロース繊維複合体のアルデヒド基含有量を算出する。
ハロゲン水分計MOC−120H(島津製作所社製)を用いて行う。サンプル1gに対して150℃恒温で30秒ごとの測定を行い、質量減少が0.1%以下となった値を固形分濃度とする。
修飾基の結合量を次のIR測定方法により求め、下記式によりその平均結合量及び導入率を算出する。IR測定は、具体的には、乾燥させたセルロース繊維又はセルロース繊維複合体を赤外吸収分光装置(IR)Nicolet 6700(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)を用いATR法にて測定し、次式により、修飾基の平均結合量及び導入率を算出する。
修飾基の結合量(mmol/g)=[セルロース繊維のカルボキシ基含有量(mmol/g)]×[(セルロース繊維の1720cm−1のピーク強度 − 修飾基導入後のセルロース繊維複合体の1720cm−1のピーク強度)÷セルロース繊維の1720cm−1のピーク強度]
1720cm−1のピーク強度:カルボン酸のカルボニル基に由来するピーク強度
修飾基の導入率(%)={修飾基の結合量(mmol/g)/導入前のセルロース繊維中のカルボキシ基含有量(mmol/g)}×100
修飾基の平均結合量を下記式により算出する。
修飾基の結合量(mmol/g)=修飾基導入前のセルロース繊維中のカルボキシ基含有量(mmol/g)−修飾基導入後のセルロース繊維複合体中のカルボキシ基含有量(mmol/g)
修飾基の導入率(%)={修飾基の結合量(mmol/g)/導入前のセルロース繊維中のカルボキシ基含有量(mmol/g)}×100
測定対象のゲル膜を微小硬度計(島津製作所製 DUH−211)を用いて行う。試験力を0.1mNとし、室温で測定を実施する。同一サンプルで10回測定し、その平均値をマルデンス硬さ(N/mm2)とする。
セルロース繊維の調製例1(天然セルロース繊維にN−オキシル化合物を作用させて得られるカルボキシ基含有微細セルロース繊維の分散液)
針葉樹の漂白クラフトパルプ(フレッチャー チャレンジ カナダ社製、商品名「Machenzie」、CSF650ml)を天然セルロース繊維として用いた。TEMPOとしては、市販品(ALDRICH社製、Free radical、98質量%)を用いた。次亜塩素酸ナトリウムとしては、市販品(和光純薬工業社製)を用いた。臭化ナトリウムとしては、市販品(和光純薬工業社製)を用いた。
ビーカーに調製例1で得られたカルボキシ基含有微細セルロース繊維分散液3846.15g(固形分濃度1.3質量%)を投入し、ここに1M水酸化ナトリウム水溶液を加えpH10程度にした後、水素化ホウ素ナトリウムを2.63g仕込み、室温下3時間反応させアルデヒド還元処理を行った。反応終了後、1M塩酸水溶液を405g、イオン交換水を4286g加え0.7質量%の水溶液とし、室温下1時間反応させプロトン化を行い、反応終了後イオン交換水にて洗浄し塩酸及び塩を除去した。最後にイソプロピルアルコールで溶媒置換し、アルデヒド基を還元処理したカルボキシ基含有微細セルロース繊維分散液を得た。得られたアルデヒド基を還元処理したカルボキシ基含有微細セルロース繊維分散液(固形分濃度2.0質量%)の平均繊維径は3.3nm、カルボキシ基含有量は1.62mmol/gであった。
製造例1
マグネティックスターラー、攪拌子を備えたビーカーに、調製例2で得られたカルボキシ基含有微細セルロース繊維分散液300g(固形分濃度2.0質量%)を仕込んだ。続いて、アミノ変性シリコーン(BY16−209、東レ・ダウコーニング株式会社製、「シリコーン1」と略記する。)を、セルロース繊維のカルボキシ基1molに対してアミノ基0.5molに相当する量を仕込み、イソプロピルアルコール100gを添加し、これらの混合物を室温(25℃)で14時間反応させた。反応終了後ろ過し、イソプロピルアルコールにて洗浄後、超音波ホモジナイザー(US−300E、日本精機製作所社製)にて2分間攪拌し、高圧ホモジナイザー(スギノマシン社製、スターバーストラボ HJP−2 5005)にて100MPaで1パス、150MPaで9パス微細処理させることで、還元処理した微細セルロース繊維に、アミノ変性シリコーンがイオン結合を介して連結したセルロース繊維複合体を得た。修飾基の導入率は微細セルロース繊維のカルボキシ基の40%であった。
修飾基を導入するための化合物を表1に示す通りに変更した点以外は製造例1と同様の方法で、セルロース繊維複合体を得た。
マグネティックスターラー、攪拌子を備えたビーカーに、調製例2で得られたカルボキシ基含有微細セルロース繊維分散液300g(固形分濃度2.0質量%)を仕込んだ。続いて、ドデシルアミンを、セルロース繊維のカルボキシ基1molに対してアミノ基1.0molに相当する量を仕込み、イソプロピルアルコール100gを添加し、これらの混合物を室温(25℃)で14時間反応させた。反応終了後ろ過し、イソプロピルアルコールにて洗浄後、超音波ホモジナイザー(US−300E、日本精機製作所社製)にて2分間攪拌し、高圧ホモジナイザー(スギノマシン社製、スターバーストラボ HJP−2 5005)にて100MPaで1パス、150MPaで9パス微細処理させることで、還元処理した微細セルロース繊維に、ドデシルアミン基がイオン結合を介して連結したセルロース繊維複合体を得た。修飾基の導入率は微細セルロース繊維のカルボキシ基の90%であった。
修飾基を導入するための化合物を表1に示す通りに変更した点以外は製造例4と同様の方法で、セルロース繊維複合体を得た。
シリコーン2:東レ・ダウコーニング株式会社製、SF8417
シリコーン3:東レ・ダウコーニング株式会社製、FZ−3760
ドデシルアミン:和光純薬製
オレイルアミン:和光純薬製
表1中、仕込み量とはカルボキシ基1molに対するアミノ基の量(mol)である。
実施例1
製造例1で得られたセルロース繊維複合体を用いて、次のようにして、ゲル膜を作製した。セルロース繊維複合体中のセルロース繊維:グリセリン(有機媒体)が1:20の質量比になるように、また、溶媒が分散体全体の90質量%になるように、セルロース繊維複合体、グリセリン及び溶媒(イソプロピルアルコール)を配合し、スクリュー管中、室温で30分撹拌した。その後、自動公転式攪拌機 あわとり練太郎(シンキー社製)を用いて2200rpmで2分撹拌して脱泡し、塗膜用の分散体を得た。得られた塗膜用分散体をガラス基板(Micro Slide Glass S2112、MATSUNAMI社製)上にアプリケーター(テスター産業株式会社製)を用いて厚みが100μmになるように塗膜し、50℃真空下で12時間乾燥することにより全体の90%を占めるイソプロピルアルコールを揮発させ、膜厚が10μmのゲル膜を得た。
有機媒体の種類及び/又はセルロース繊維複合体の種類を表2に示すように変更した点以外は実施例1と同様の方法で、ゲル膜を作製した。結果を表2に示す。なお、実施例3において得られたゲル膜のマルデンス硬さを前記のようにして測定したところ、2.6(N/mm2)であった。
ガラス基板上に作製された各種膜に、水温70℃のウォーターバスで温め流動化させた豚脂(SIGMA−ALDRICH社製)を、膜の面積10cm2あたり0.3g塗布し、室温で2時間放置した。その後、水温25℃、5L/minの流量の水道水に基板を5秒間晒して洗浄した。洗浄後、基板を室温で一晩乾燥させ、以下に示す式から洗浄率(%)を算出した。
Claims (5)
- カルボキシ基含有量が0.1mmol/g以上であるセルロース繊維のカルボキシ基に修飾基が結合されてなるセルロース繊維複合体と有機媒体とを有する、防汚用ゲル膜。
- 修飾基が、炭化水素基及びシリコーン基からなる群より選択される1種以上である、請求項1に記載の防汚用ゲル膜。
- セルロース繊維複合体中のセルロース繊維と有機媒体との質量比(セルロース繊維:有機媒体)が1:1〜1:50である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の防汚用ゲル膜。
- 包装容器用である請求項1〜3のいずれか1項に記載の防汚用ゲル膜。
- カルボキシ基含有量が0.1mmol/g以上であるセルロース繊維のカルボキシ基に修飾基が結合されてなるセルロース繊維複合体と有機媒体とを有する防汚用ゲル膜用分散体。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017079750A JP6921597B2 (ja) | 2017-04-13 | 2017-04-13 | ゲル膜 |
JP2021123644A JP7203916B2 (ja) | 2017-04-13 | 2021-07-28 | ゲル膜 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017079750A JP6921597B2 (ja) | 2017-04-13 | 2017-04-13 | ゲル膜 |
Related Child Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2021123644A Division JP7203916B2 (ja) | 2017-04-13 | 2021-07-28 | ゲル膜 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2018177977A JP2018177977A (ja) | 2018-11-15 |
JP6921597B2 true JP6921597B2 (ja) | 2021-08-18 |
Family
ID=64281145
Family Applications (2)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2017079750A Active JP6921597B2 (ja) | 2017-04-13 | 2017-04-13 | ゲル膜 |
JP2021123644A Active JP7203916B2 (ja) | 2017-04-13 | 2021-07-28 | ゲル膜 |
Family Applications After (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2021123644A Active JP7203916B2 (ja) | 2017-04-13 | 2021-07-28 | ゲル膜 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (2) | JP6921597B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6921597B2 (ja) * | 2017-04-13 | 2021-08-18 | 花王株式会社 | ゲル膜 |
JP7450419B2 (ja) * | 2019-03-19 | 2024-03-15 | 花王株式会社 | 改質セルロース繊維を含有する組成物 |
Family Cites Families (14)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CA1118163A (en) * | 1977-02-02 | 1982-02-16 | Robert E. Kalinowski | Method for treating synthetic fibers with aminoalkyl-containing polydiorganosiloxanes |
JP3016543B2 (ja) * | 1995-04-11 | 2000-03-06 | 信越化学工業株式会社 | シロキサン含有セルロース誘導体およびその製造方法 |
JP2002146025A (ja) | 2000-11-14 | 2002-05-22 | Canon Inc | ブロック共重合体、その製造方法及び組成物 |
JP5918496B2 (ja) | 2011-10-07 | 2016-05-18 | 花王株式会社 | ゲル状体及びその製造方法 |
JP6249441B2 (ja) * | 2011-11-22 | 2017-12-20 | 国立大学法人 東京大学 | セルロースナノファイバー分散液の製造方法 |
JP6095497B2 (ja) * | 2013-06-14 | 2017-03-15 | 花王株式会社 | セルロースナノファイバーを含む樹脂組成物の製造方法 |
JP6095504B2 (ja) * | 2013-06-25 | 2017-03-15 | 花王株式会社 | 樹脂組成物 |
JP6281937B2 (ja) * | 2013-12-05 | 2018-02-21 | 花王株式会社 | 微細セルロース繊維複合体の分散液の製造方法 |
WO2016152491A1 (ja) * | 2015-03-26 | 2016-09-29 | 花王株式会社 | 粘性水系組成物 |
JP6615507B2 (ja) * | 2015-06-26 | 2019-12-04 | 花王株式会社 | 皮膚化粧料 |
JP5944564B1 (ja) * | 2015-07-08 | 2016-07-05 | 第一工業製薬株式会社 | ゲル状組成物の製法およびそれにより得られたゲル状組成物 |
JP5996082B1 (ja) | 2015-12-25 | 2016-09-21 | 第一工業製薬株式会社 | セルロースナノファイバーおよび樹脂組成物 |
JP6105139B1 (ja) * | 2016-09-16 | 2017-03-29 | 第一工業製薬株式会社 | 油性インク組成物 |
JP6921597B2 (ja) | 2017-04-13 | 2021-08-18 | 花王株式会社 | ゲル膜 |
-
2017
- 2017-04-13 JP JP2017079750A patent/JP6921597B2/ja active Active
-
2021
- 2021-07-28 JP JP2021123644A patent/JP7203916B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP7203916B2 (ja) | 2023-01-13 |
JP2021181577A (ja) | 2021-11-25 |
JP2018177977A (ja) | 2018-11-15 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP3594301B1 (en) | Film comprising hydrophobized cellulose fibers and oil | |
JP2018024967A (ja) | 微細セルロース繊維複合体 | |
JP7203916B2 (ja) | ゲル膜 | |
JP6916031B2 (ja) | セルロース繊維複合体 | |
KR20190095491A (ko) | 수지 조성물 | |
KR20230009880A (ko) | 증점제 조성물 | |
Girardi et al. | Chemical–physical characterization of ancient paper with functionalized polyamidoamines (PAAs) | |
JP7341000B2 (ja) | 水生生物付着抑制剤 | |
JP6636881B2 (ja) | シロキサン変性キトサンの製造方法、シロキサン変性キトサン、乳化剤、及び乳化組成物 | |
JP2021191848A (ja) | 接着剤組成物 | |
JP7042148B2 (ja) | 疎水変性セルロース繊維及び油を配合してなる膜 | |
JP7583547B2 (ja) | 疎水変性セルロース繊維を含有する乳化組成物 | |
JP7280220B2 (ja) | 脱泡促進用組成物 | |
JP2019189841A (ja) | 疎水変性セルロース繊維及び有機媒体を有する膜 | |
JP2020063427A (ja) | 流動抵抗低減剤 | |
JP2024067274A (ja) | 乳化組成物 | |
JP7336924B2 (ja) | スプレー用組成物 | |
JP2022117973A (ja) | 硬質表面処理剤 | |
JP2025011911A (ja) | セルロースナノファイバーの疎水化方法及びセルロースナノファイバー疎水化体 | |
JP2022117975A (ja) | 乳化組成物の製造方法 | |
JP2019147856A (ja) | 剥離層形成材料および剥離紙の製造方法 | |
Ye et al. | Wei Cao, Dafu Wei, Yachao Jiang, Saijun |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20200316 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20201208 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20210120 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20210317 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20210630 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20210728 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 6921597 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |