JP6916713B2 - ポリプロピレン系樹脂組成物及び成形品 - Google Patents
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Description
このため、低比重かつ低光沢であり、物性バランスが良好で、さらにはタイガーマークが抑制された外観を呈するとともに耐傷付性に優れた成形品、及びこれを成形することが可能なポリプロピレン系樹脂組成物が求められている。
〔1〕 (A)成分であるポリプロピレン系樹脂、(B)成分であるポリプロピレン系樹脂、(C)成分であるエチレン・α−オレフィン共重合体、(D)成分である充填材、(E)成分である結晶核剤、及び(F)成分である高級脂肪酸アミドを含み、
前記(A)成分は、プロピレン単独重合体(A−1a)とエチレン・プロピレン共重合体(A−1b)とからなるブロックポリプロピレン(A−1)、及び必要に応じてJIS K6921−2に従い、温度230℃、荷重2.16kgの条件で測定したメルトフローレイト(MFR)が500〜2000g/10minのプロピレン単独重合体(A−2)をさらに含み、プロピレン単独重合体(A−1a)及びプロピレン単独重合体(A−2)を合わせたプロピレン単独重合体の合計75〜90質量%とエチレン・プロピレン共重合体(A−1b)10〜25質量%からなる、JIS K6921−2に従い、温度230℃、荷重2.16kgの条件で測定したMFRが40〜70g/10minのポリプロピレン系樹脂(A1)であり、
前記ブロックポリプロピレン(A−1)の25℃でのキシレン可溶分の極限粘度(XSIV)が0.5〜4.0dL/gであり、前記エチレン・プロピレン共重合体(A−1b)中のエチレン単位含有量が20〜50質量%であり、
前記(B)成分は、プロピレン単独重合体(B−1a)60〜80質量%とエチレン・プロピレン共重合体(B−1b)20〜40質量%とからなり、JIS K6921−2に従い、温度230℃、荷重2.16kgの条件で測定したMFRが5〜30g/10minであり、25℃でのキシレン不溶分のMw/Mnが6〜20であり、25℃でのキシレン可溶分の極限粘度(XSIV)が5.5〜9.0dL/gのブロックポリプロピレンからなるポリプロピレン系樹脂であり、
前記エチレン・プロピレン共重合体(B−1b)中のエチレン単位含有量が20〜40質量%であり、
前記(C)成分は、α−オレフィンの炭素数が4〜8であり、長鎖分岐を有し、JIS K6922−2に従い、温度190℃、荷重2.16kgの条件で測定したMFRが0.1〜5g/10minであり、密度が0.857〜0.873g/cm3のエチレン・α−オレフィン共重合体からなるエラストマーである(C1)成分を含み、
前記(A)成分、前記(B)成分、前記(C)成分、及び前記(D)成分の合計質量を100質量%としたときの、前記(A)成分の含有量は45〜81質量%であり、前記(B)成分の含有量は4〜20質量%であり、前記(C1)成分の含有量は5〜20質量%であり、前記(D)成分の含有量は10質量%以上15質量%未満であり、
前記(A)成分、前記(B)成分、前記(C)成分、及び前記(D)成分の合計質量を100質量部としたときの、前記(E)成分の含有量は0.05〜0.4質量部であり、前記(F)成分の含有量は0.05〜0.5質量部であるポリプロピレン系樹脂組成物。
〔2〕 JIS K6921−2に従い、温度230℃、荷重2.16kgの条件で測定した、組成物全体でのMFRが20〜35g/10minである〔1〕に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
〔3〕 前記(A)成分、前記(B)成分、前記(C)成分、及び前記(D)成分の合計質量を100質量%としたときの、前記プロピレン単独重合体(A−2)の含有量は2〜20質量%である〔1〕又は〔2〕に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
〔4〕 〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載のポリプロピレン系樹脂組成物から得られる成形品。
本樹脂組成物は、(A)〜(F)成分以外の他の成分をさらに含んでもよい。
組成物全体でのMFRは、JIS K6921−2に従い、温度230℃、荷重2.16kgの条件で測定した値である。
組成物全体でのMFRは、(A)〜(F)成分のそれぞれの含有量及び(A)〜(C)成分のMFR等によって調整することができる。
(A)成分は、本樹脂組成物の基材成分である。本発明における(A)成分は、以下の(i)〜(iv)を満たすポリプロピレン系樹脂(A1)である。
(i)プロピレン単独重合体(A−1a)とエチレン・プロピレン共重合体(A−1b)とからなるブロックポリプロピレン(A−1)を含む。後述するプロピレン単独重合体(A−2)を含んでもよい。プロピレン単独重合体(A−1a)と任意に含んでもよいプロピレン単独重合体(A−2)からなるプロピレン単独重合体の合計75〜90質量%と、エチレン・プロピレン共重合体(A−1b)10〜25質量%からなる。
(ii)JIS K6921−2に従い、温度230℃、荷重2.16kgの条件で測定したMFRが40〜70g/10minである。
(iii)ブロックポリプロピレン(A−1)の25℃でのキシレン可溶分の極限粘度(XSIV)が0.5〜4.0dL/gである。
(iv)エチレン・プロピレン共重合体(A−1b)中のエチレン単位含有量(エチレン単位の含有割合)、すなわちエチレン・プロピレン共重合体(A−1b)の総質量に対するエチレン単位含有量、が20〜50質量%である。
ブロックポリプロピレン(A−1)は、プロピレン単独重合体成分の存在下、エチレン及びプロピレンを重合することで得られる。(A)成分の製造方法については後で詳しく説明する。
結晶性ホモポリプロピレンとは、立体規則性の高いホモポリプロピレンであり、JIS K7121に基づきDSC(示差走査熱量測定)で昇温速度10℃/分で測定したときに、150〜170℃、好ましくは155〜170℃に主融解ピークが観測されるホモポリプロピレンである。なお、プロピレン単独重合体成分には、共重合体成分を含む重合体の製造時に発生するリサイクルガス等により、0.5質量%未満のプロピレン以外のモノマー単位が含まれていてもよい。
エチレン・プロピレン共重合体(A−1b)中のエチレン単位含有量は、エチレン・プロピレン共重合体(A−1b)の総質量に対して20〜50質量%であり、25〜50質量%が好ましい。エチレン単位含有量が前記範囲内であれば、成形品の耐衝撃性が優れる。
エチレン単位含有量は、13C−NMR(核磁気共鳴)法によって測定される。
BIPO量は、13C−NMR法によって測定される。
なお、ブロックポリプロピレン(A−1)中、あるいはブロックポリプロピレン(A−1)と後述するプロピレン単独重合体(A−2)との混合物中における、プロピレン単独重合体(A−1a)の含有量、あるいはプロピレン単独重合体(A−1a)とプロピレン単独重合体(A−2)との総和の含有量は、ブロックポリプロピレン(A−1)の総質量、あるいはブロックポリプロピレン(A−1)とプロピレン単独重合体(A−2)との混合物の総質量から、BIPO量を減算して求められる。
XSIVは、135℃のテトラヒドロナフタレン中での測定値である。
(A)成分のMFRは、ブロックポリプロピレン(A−1)のMFR、任意成分であるプロピレン単独重合体(A−2)のMFR及び含有量等によって調整できる。ブロックポリプロピレン(A−1)のMFRは、エチレン・プロピレン共重合体(A−1b)の含有量、プロピレン単独重合体(A−1a)の分子量等によって調整できる。プロピレン単独重合体(A−1a)及びプロピレン単独重合体(A−2)の分子量は、重合時の水素濃度によって調整できる。
(B)成分は、以下の(vi)〜(x)を満たすポリプロピレン系樹脂である。(B)成分は、成形品のタイガーマークの抑制に寄与する。
(vi)プロピレン単独重合体(B−1a)60〜80質量%と、エチレン・プロピレン共重合体(B−1b)20〜40質量%とからなる。
(vii)JIS K6921−2に従い、温度230℃、荷重2.16kgの条件で測定したMFRが5〜30g/10minである。
(viii)25℃でのキシレン不溶分のMw/Mnが6〜20である。
(ix)25℃でのキシレン可溶分の極限粘度(XSIV)が5.5〜9.0dL/gである。
(x)エチレン・プロピレン共重合体(B−1b)中のエチレン単位含有量、すなわちエチレン・プロピレン共重合体(B−1b)の総質量に対するエチレン単位含有量、が20〜40質量%である。
(B)成分は、プロピレン単独重合体の存在下、エチレン及びプロピレン、並びに必要に応じて他のモノマーを重合することで得られる。(B)成分の製造方法については後で詳しく説明する。
エチレン・プロピレン共重合体(B−1b)中のエチレン単位含有量は、エチレン・プロピレン共重合体(B−1b)の総質量に対して20〜40質量%であり、25〜35質量%が好ましい。エチレン単位含有量が前記範囲内であれば、成形品の耐衝撃性とタイガーマークの抑制効果が優れる。
エチレン単位含有量は、13C−NMR(核磁気共鳴)法によって測定される。
BIPO量は、13C−NMR法によって測定される。
なお、(B)成分中のプロピレン単独重合体(B−1a)の含有量は、(B)成分の総質量からBIPO量を減算して求められる。
(B)成分のMFRは、BIPO量、プロピレン単独重合体(B−1a)の分子量等によって調整できる。プロピレン単独重合体(B−1a)の分子量は、重合時の水素濃度によって調整できる。
なお、(B)成分の25℃でのキシレン不溶分のMw/Mnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を測定し、Mw/Mnを算出して得られる値である。
XSIVは、135℃のテトラヒドロナフタレン中での測定値である。
(C)成分は、エチレン・α−オレフィン共重合体からなるエラストマー成分である。本発明における(C)成分は、以下の(xii)〜(xv)を満たすエラストマー(C1)を含む。(xii)〜(xv)を満たす(C1)成分は、成形品の光沢の低減、耐衝撃性の向上に寄与する。
(xii)α−オレフィンの炭素数が4〜8のエチレン・α−オレフィン共重合体である。
(xiii)長鎖分岐(lоng−chain branch)を有する。
(xiv)JIS K6922−2に従い、温度190℃、荷重2.16kgの条件で測定したMFRが0.1〜5g/10minである。
(xv)密度が0.857〜0.873g/cm3である。
炭素数4〜8のα−オレフィンとしては、例えば1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等が挙げられ、1−ブテンが好ましい。
エチレン・α−オレフィン共重合体は、エチレン・α−オレフィン共重合体の本来の特性を損なわない範囲で、エチレン単位及びα−オレフィン単位以外の他のモノマー単位をさらに有していてもよい。他のモノマーとしては、例えばジエン等が挙げられる。
「主鎖」及び「分岐鎖」はそれぞれ複数の構成単位(モノマー単位)から構成される部分である。
(C1)成分の主鎖、分岐鎖はそれぞれ、エチレン単位と炭素数4〜8のα−オレフィン単位とを有する。また、主鎖の構成単位組成と、分岐鎖の構成単位組成とは同様である。
(C1)成分中の最も長い線状分子鎖を主鎖としたときに、主鎖から伸びている長鎖分岐の数は、典型的には、主鎖の炭素原子10000個当たり1〜5個程度である。
したがって、予め、構造既知のエチレン・α−オレフィン共重合体(線状のエチレン・α−オレフィン共重合体、長鎖分岐の数が異なる複数の長鎖分岐を有するエチレン・α−オレフィン共重合体)について、せん断速度と動的粘度との関係を示すグラフを作成しておくことで、構造未知のエチレン・α−オレフィン共重合体についても、長鎖分岐の有無や長鎖分岐の数を判定できる。あるいは伸長粘度測定における歪硬化やGPC/LS(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー/光散乱)測定による分子の広がりの違いの観察等の方法によっても長鎖分岐の有無や長鎖分岐の数を確認できる。
密度は、JIS K7112に規定される水中置換法に従って測定される。
(D)成分は、充填材であり、主に成形品の剛性を向上する目的で添加される。例えばタルク、カオリナイト、焼成クレー、バイロフィライト、セリナイト、ウォラストナイトなどの天然珪酸又は珪酸塩;沈降性炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどの炭酸塩;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの水酸化物;酸化亜鉛、酸化マグネシウムなどの酸化物;及び、含水珪酸カルシウム、含水珪酸アルミニウム、含水珪酸、無水珪酸などの合成珪酸又は珪酸塩などの粉末状充填材、マイカなどのフレーク状充填材;塩基性硫酸マグネシウムウィスカー、チタン酸カルシウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、セピオライト、PMF(Processed Mineral Filler)、ゾノトライト、チタン酸カリウム、及びエレスタダイトなどの繊維状充填材;並びに、ガラスバルン、フライアッシュバルンなどのバルン状充填材、ガラスファイバー等の無機充填材、カーボンファイバー、セルロースファイバー等の有機充填材が挙げられる。これらの充填材の分散性を向上させるために、必要に応じて、充填材の表面処理や、充填材と樹脂との複合化(マスターバッチの作製)を行ってもよい。充填材の中でも、本樹脂組成物に対する分散性が良く、成形品の剛性を向上させやすく、成形品の光沢を低減させやすいことから、タルクが好ましい。充填材は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
(E)成分は、結晶核剤であり、樹脂中の結晶化度を制御し、成形品の剛性を高めるために用いられる添加剤(剛性核剤)である。溶融樹脂の冷却固化を促進することから、剛性付与とは別に、射出成形等の成形工程でのサイクル時間短縮を目的として用いることも可能である。
結晶核剤は特に限定されず、当該分野で通常使用されるものを使用してよいが、リン酸エステル系核剤、ノニトール系核剤、ソルビトール系核剤、トリアミノベンゼン誘導体核剤、カルボン酸金属塩核剤、及びキシリトール系核剤またはロジン系核剤等の有機系結晶核剤から選択されることが好ましく、特にリン酸エステル系核剤が好ましい。
ノニトール系核剤として、例えば、1,2,3―トリデオキシ−4,6:5,7−ビス−[(4−プロピルフェニル)メチレン]−ノニトールが挙げられる。ソルビトール系核剤として、例えば、1,3:2,4−ビス−o−(3,4−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトールが挙げられる。
トリアミノベンゼン誘導体系核剤として、例えば、1,3,5−トリス(2,2−ジメチルプロパンアミド)ベンゼン等が挙げられる。
カルボン酸金属塩核剤としては、例えば、アジピン酸ナトリウム、アジピン酸カリウム、アジピン酸アルミニウム、セバシン酸ナトリウム、セバシン酸カリウム、セバシン酸アルミニウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸アルミニウム、ジ−パラ−t−ブチル安息香酸アルミニウム、ジ−パラ−t−ブチル安息香酸チタン、ジ−パラ−t−ブチル安息香酸クロム、ヒドロキシ−ジ−t−ブチル安息香酸アルミニウムなどが挙げられる。
キシリトール系核剤として、例えば、ビス−1,3:2,4−(5’,6’,7’,8’−テトラヒドロ−2−ナフトアルデヒドベンジリデン)1−アリルキシリトール、ビス−1,3:2,4−(3’,4’−ジメチルベンジリデン)1−プロピルキシリトールが挙げられる。
ロジン系核剤は、ピマル酸、サンダラコピマル酸、パラストリン酸、イソピマル酸、アビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、ネオアビエチン酸、ジヒドロピマル酸、ジヒドロアビエチン酸、テトラヒドロアビエチン酸等のロジン酸と、カルシウム、マグネシウム等の金属との反応で得られるロジン酸金属塩化合物又はロジン酸部分金属塩化合物であり、例えばロジン酸部分カルシウム塩が挙げられる。
結晶核剤は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
(F)成分は、高級脂肪酸アミドである。高級脂肪酸アミドを構成する高級脂肪酸は飽和脂肪酸でもよいし、不飽和脂肪酸でもよい。高級脂肪酸が有する炭素数は、10以上であり、12以上であることが好ましい。具体的な高級脂肪酸アミドとしては、例えば、ラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘミン酸アミド等の飽和脂肪酸アミド;エルカ酸アミド、オレイン酸アミド、ブラシジン酸アミド、エライジン酸アミド等の不飽和脂肪酸アミド;メチレンビスステアリン酸アミド、メチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド等のビス脂肪酸アミドなどがあげられる。これらの中ではエルカ酸アミド、オレイン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミドが好ましい。
他の成分としては、例えば、酸化防止剤、塩素吸収剤、耐熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、内部滑剤、外部滑剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、防曇剤、難燃剤、分散剤、銅害防止剤、中和剤、可塑剤、発泡剤、気泡防止剤、架橋剤、過酸化物、油展及び顔料(有機又は無機)等の添加剤が挙げられる。また、本発明の効果を損なわない範囲で、(A)〜(B)成分以外の樹脂、あるいは、流動性と耐衝撃性の向上の目的で、(C)成分以外のエラストマー成分を含んでもよい。他の成分は1種のみでもよいし、2種以上でもよい。他の成分の含有量は公知の量としてよい。
本樹脂組成物において、(A)成分と(B)成分と(C)成分と(D)成分の合計質量を100質量%としたときに、(A)成分の含有量が45〜81質量%、(B)成分の含有量が4〜20質量%、(C)成分中に含まれる(C1)成分の含有量が5〜20質量%、(D)成分の含有量が10質量%以上15質量%未満である。
また、前記合計質量を100質量%としたときに、(A)成分の含有量が50〜79質量%、(B)成分の含有量が5〜15質量%、(C1)成分の含有量が5〜15質量%、(D)成分の含有量が11〜14質量%であることが好ましい。
また、前記合計質量を100質量%としたときに、(A)成分の含有量が55〜75質量%、(B)成分の含有量が7〜13質量%、(C1)成分の含有量が5〜15質量%、(D)成分の含有量が11〜14質量%であることがより好ましい。
(A)成分の含有量が前記範囲の下限値以上であれば、本樹脂組成物の流動性が良好になり、射出成形が容易になり、成形品の耐衝撃性が向上する。(A)成分の含有量が前記範囲の上限値以下であれば、成形品の剛性及び耐衝撃性のバランスが良好となる。(B)成分の含有量が前記範囲の下限値以上であれば、成形品のタイガーマークを抑制し、上限値以下であれば、本樹脂組成物の流動性が優れ、射出成形が容易になる。(C1)成分の含有量が前記範囲の下限値以上であれば、成形品の光沢を抑え、耐衝撃性が向上する。(C1)成分の含有量が前記範囲の上限値以下であれば、本樹脂組成物の流動性が優れ、射出成形が容易になる。(D)成分の含有量が前記範囲の下限値以上であれば、成形品の剛性が向上し、上限値以下であれば、成形品のタイガーマークを抑制し、比重の増加を抑えられる。
上記範囲の下限値以上であれば、流動性が優れる。上記範囲の上限値以下であれば、耐衝撃性が優れる。
(F)成分の含有量が前記範囲の下限値以上であれば、成形品の耐傷付性が優れ、前記範囲の上限値以下であれば、成形品における(F)成分のブルーミングや臭気を抑制することができる。
本樹脂組成物の製造方法としては、(A)成分と(B)成分と(C)成分と(D)成分と(E)成分と(F)成分とを混合する方法が挙げられる。必要に応じて、他の成分のいずれか1以上をさらに混合してもよい。各成分の添加の順序には制限はない。
混合の方法としては特に制限はなく、例えば、ヘンシェルミキサー、タンブラーミキサー等のミキサーを用いる方法が挙げられる。
混合した後、得られた混合物を溶融混練し、さらにペレット化してもよい。溶融混練装置としては、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロールミル等を用いることができる。
(A)〜(F)成分及び他の成分はそれぞれ、市販品が利用可能であれば市販品を用いてよい。公知の製造方法により製造したものを用いてもよい。
ブロックポリプロピレン(A−1)成分の製造方法としては、プロピレン単独重合体(A−1a)の存在下、エチレン及びプロピレン、並びに必要に応じて他のモノマーを重合する方法が挙げられる。重合によってエチレン・プロピレン共重合体(A−1b)が生成し、重合生成物としてブロックポリプロピレン(A−1)成分が得られる。この方法は生産性が高く、さらにブロックポリプロピレン(A−1)におけるエチレン・プロピレン共重合体の分散性が高くなるため、成形品の物性バランスが向上する。
重合条件は、公知の重合条件と同様であってよい。例えば一段目の重合条件としては、プロピレンが液相でモノマー密度と生産性の高いスラリー重合法が挙げられる。二段目の重合条件としては、一般的にプロピレンへの溶解性が高い共重合体の製造が容易な気相重合法が挙げられる。
重合(プロピレンの単独重合、エチレン及びプロピレン等の共重合)は、通常、触媒を用いて行われる。重合の際、必要に応じて、分子量の調整のために、水素が添加されてもよい。
1段目の重合反応器での重合の前に、その後の本重合の足がかりとなるポリマー鎖を固体触媒成分に形成させるために、プロピレンの予備重合を行ってもよい。
触媒としては、立体特異性チーグラー・ナッタ触媒が好ましく、以下の触媒(I)が特に好ましい。
触媒(I):マグネシウム、チタン、ハロゲン及び電子供与体化合物を含有する固体触媒と、有機アルミニウム化合物と、外部電子供与体化合物とを含む触媒。
ブロックポリプロピレン(A−1)を得る方法として、モノマー濃度や重合条件の勾配を有する重合器を用いて行う方法も挙げられる。このような重合器では、例えば、少なくとも2つの重合領域が接合されたものを使用し、気相重合でモノマーを重合することができる。具体的には、触媒の存在下、上昇管からなる重合領域にてモノマーを供給して重合し、上昇管に接続された下降管にてモノマーを供給して重合し、上昇管と下降管とを循環しながら、重合生成物を回収する。この方法では、上昇管中に存在する気体混合物が下降管に入るのを全面的又は部分的に防止する手段を備える。また、上昇管中に存在する気体混合物とは異なる組成を有する気体及び/又は液体混合物を下降管中に導入する。この重合方法は、例えば、特表2002−520426号公報に記載された方法を適用することができる。
本樹脂組成物にあっては、(A)〜(F)成分を特定の割合で含むため、成形時の流動性が高く、射出成形に適している。また、本樹脂組成物を成形して得られる成形品は、低比重で、剛性、耐衝撃性、及び耐傷付性に優れ、低光沢でタイガーマークが抑制された外観を呈する。
すなわち、基材成分である(A)成分に対して、(B)成分を加えることでタイガーマークを抑制し、エラストマーである(C)成分を加えることで、耐衝撃性の向上をはかると共に(C)成分に(C1)を含むことで成形品の光沢を低減し、(D)成分、(E)成分及び(F)成分を組み合わせることで、比重の増加を抑えつつ剛性と耐傷付性が向上し、剛性と耐衝撃性と耐傷付性のバランスがより優れたものとなる。また、基材成分である(A)成分自体のMFRが比較的高いことから、樹脂組成物全体のMFRを高く設定することができ、射出成形に適した高い流動性が得られる。また、(C1)成分を含むため、タルクの含有量が微量であっても、成形品が低光沢になる。
さらに、(D)成分の含有量が一定以下、ひいてはタルクの含有量が一定以下であることで、成形品の比重を低く抑えることができ、成形品を軽量にできる。
本樹脂組成物の流動性は、射出成形を行うのに充分に高いものである。例えば、薄肉の成形品を射出成形によって得る場合でも、樹脂組成物が金型キャビティ内の一部に行き渡らない、いわゆるショートショットと称される成形不良が生じにくい。このため、本樹脂組成物は、射出成形用材料として有用である。
本発明の成形品は、本樹脂組成物からなる成形物である。
本発明の成形品は、例えば射出成形等の公知の成形方法により得られる。
本発明の成形品は、例えば、自動車内装材、日用品、電気製品の筐体、食品包装容器等として使用することができる。低比重で、剛性、耐衝撃性、及び耐傷付性に優れ、低光沢でタイガーマークが抑制された外観を呈する成形品が得られることから、自動車内装材として特に好適である。
本実施例で用いた測定方法及び材料を以下に示す。
<MFR>
(A)成分及び(B)成分のMFR、及び組成物全体としてのMFRは、JIS K6921−2に従い、温度230℃、荷重2.16kgの条件下で測定した。
(C)成分のMFRは、JIS K6922−2に準拠し、温度190℃、荷重2.16kgの条件下で測定した。
なお、(A)成分がブロックポリプロピレン(A−1)とプロピレン単独重合体(A−2)からなる混合物の場合は、後述する酸化防止剤「B225」0.2質量部と中和剤「DHT−4A」0.05質量部とを配合し、ヘンシェルミキサーで1分間撹拌しながら混合した後、スクリュー直径30mmの2軸押出機(株式会社日本製鋼所製TEX30α)を用いて、スクリュー回転数500rpm、シリンダー温度200℃、吐出量30kg/hrの条件で溶融混練したものをサンプルとした。
(C)成分の密度については成形温度180℃の圧縮成形で得た成形品を、組成物全体としての比重については成形温度200℃の射出成形で得た成形品を用いて、JIS K7112に規定される水中置換法に従い、比重計(新光電子株式会社製ViBRA DMA−220)を用いて測定した。組成物全体としての比重について、得られる成形品の軽量性の観点から、1.0以下が好ましく、0.99以下がより好ましく、0.98以下がさらに好ましい。
1、2、4−トリクロロベンゼン/重水素化ベンゼンの混合溶媒に溶解した試料について、Bruker社製AVANCEIII HD400(13C共鳴周波数100MHz)を用い、測定温度120℃、フリップ角45度、パルス間隔7秒、試料回転数20Hz、積算回数5000回の条件で13C−NMRのスペクトルを得た。
上記で得られたスペクトルを用いて、Kakugo,Y.Naito,K.Mizunuma and T.Miyatake,Macromolecules,15,1150-1152(1982)の文献に記載された方法により、ポリプロピレン系樹脂の総エチレン量(質量%)を求めた。
なお、(A)成分がブロックポリプロピレン(A−1)とプロピレン単独重合体(A−2)からなる混合物の場合は、後述する酸化防止剤「B225」0.2質量部と中和剤「DHT−4A」0.05質量部とを配合し、ヘンシェルミキサーで1分間撹拌しながら混合した後、スクリュー直径30mmの2軸押出機(株式会社日本製鋼所製TEX30α)を用いて、スクリュー回転数500rpm、シリンダー温度200℃、吐出量30kg/hrの条件で溶融混練したものをサンプルとした。
上記文献に記載された方法でポリプロピレン系樹脂の総エチレン量を測定するに際して求めたTββの積分強度の替わりに、下記式で求めた積分強度T’ββを使用した以外は、総エチレン量と同様の方法で計算を行い、エチレン・プロピレン共重合体成分(BIPO)中のエチレン含量(質量%)を求めた。
T’ββ=0.98×Sαγ×A/(1−0.98×A)
ここで、A=Sαγ/(Sαγ+Sαδ)であり、上記文献に記載のSαγ及びSαδより算出される。
ポリプロピレン系樹脂の総質量に対するエチレン・プロピレン共重合体成分の含有量(BIPO量)は、以下の式によって求めた。
エチレン・プロピレン共重合体成分の含有量(質量%)=ポリプロピレン系樹脂の総エチレン量/(エチレン・プロピレン共重合体成分中のエチレン含量/100)
以下の方法によってポリプロピレン系樹脂のキシレン可溶分を得て、キシレン可溶分の極限粘度(XSIV)を測定した。
ポリプロピレン系樹脂のサンプル2.5gを、o−キシレン(溶媒)を250mL入れたフラスコに入れ、ホットプレート及び還流装置を用いて、135℃で、窒素パージを行いながら、30分間撹拌し、サンプルを完全溶解させた後、25℃で1時間、冷却した。これにより得られた溶液を、濾紙を用いて濾過した。濾過後の濾液を100mL採取し、アルミニウムカップ等に移し、窒素パージを行いながら、140℃で蒸発乾固を行い、室温で30分間静置して、キシレン可溶分を得た。
極限粘度は、テトラヒドロナフタレン中、135℃において毛細管自動粘度測定装置(SS−780−H1、株式会社柴山科学器械製作所製)を用いて測定した。
上記のXSIVの測定においてキシレン可溶分を得る際の濾過の後、濾紙上に残った残留物(キシレン不溶成分と溶媒の混合物)にアセトンを加えて濾過を行った。その後、濾過されずに濾紙上に残った成分を、80℃設定の真空乾燥オーブンにて蒸発乾固させ、キシレン不溶分(XI)を得た。
上記のXIを試料とし、以下のように、数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)の測定を行い、質量平均分子量(Mw)を数平均分子量(Mn)で除して分子量分布(Mw/Mn)を求めた。
装置としてポリマーラボラトリーズ社製PL GPC220を使用し、酸化防止剤を含む1,2,4−トリクロロベンゼンを移動相とし、カラムとして昭和電工株式会社製UT−G(1本)、UT−807(1本)、UT−806M(2本)を直列に接続したものを使用し、検出器として示差屈折率計を使用した。また、キシレン不溶分の試料溶液の溶媒としては移動相と同じものを使用し、1mg/mLの試料濃度で、150℃の温度で振とうさせながら2時間溶解して測定試料を調製した。これにより得た試料溶液500μLをカラムに注入し、流速1.0mL/分、温度145℃、データ取り込み間隔1秒で測定した。カラムの較正には、分子量580〜745万のポリスチレン標準試料(shodex STANDARD、昭和電工株式会社製)を使用し、三次式近似で行った。Mark−Houwink−Sakuradaの係数は、ポリスチレン標準試料に関しては、K=1.21×10−4、α=0.707、プロピレン系重合体に関しては、K=1.37×10−4、α=0.75を使用した。
<製造例1−1:(A1)−1>
チーグラー・ナッタ触媒を用いた公知の方法で、ブロックポリプロピレン(A−1)及びプロピレン単独重合体(A−2)を重合した後、両者を含むポリプロピレン系樹脂の混合物(A1)−1を得た。
得られたポリプロピレン系樹脂の混合物(A1)−1のMFRは55g/10minであった。
ブロックポリプロピレン(A−1)とプロピレン単独重合体(A−2)の混合物(A1)−1は、プロピレン単独重合体(A−1a)とプロピレン単独重合体(A−2)の総和82質量%とエチレン・プロピレン共重合体(A−1b)18質量%とからなり、ブロックポリプロピレン(A−1)の25℃でのキシレン可溶分の極限粘度(XSIV)が2.1dL/gであり、エチレン・プロピレン共重合体(A−1b)中のエチレン単位が37質量%であった。
ここで用いたプロピレン単独重合体(A−2)のMFRは1800g/10minであった。プロピレン単独重合体(A−2)の含有量は、(A)成分、(B)成分、(C)成分、及び(D)成分の合計質量を100質量%としたときに、8質量%であった。
製造例1−1と同様の方法で、製造例1−1とは異なるブロックポリプロピレン(A−1)を重合した後、製造例1−1と同じMFRが1800g/10minであるプロピレン単独重合体(A−2)を含むポリプロピレン系樹脂の混合物(A1)−2を得た。
得られたポリプロピレン系樹脂の混合物(A1)−2のMFRは55g/10minであった。
ブロックポリプロピレン(A−1)とプロピレン単独重合体(A−2)の混合物(A1)−2は、プロピレン単独重合体(A−1a)とプロピレン単独重合体(A−2)の総和82質量%とエチレン・プロピレン共重合体(A−1b)18質量%とからなり、ブロックポリプロピレン(A−1)の25℃でのキシレン可溶分の極限粘度(XSIV)が2.4dL/gであり、エチレン・プロピレン共重合体(A−1b)中のエチレン単位が30質量%であった。
プロピレン単独重合体(A−2)の含有量は、(A)成分、(B)成分、(C)成分、及び(D)成分の合計質量を100質量%としたときに、5質量%であった。
製造例1−1と同様の方法で、製造例1−1、製造例1−2とは異なるブロックポリプロピレン(A−1)を重合した後、製造例1−1と同じMFRが1800g/10minであるプロピレン単独重合体(A−2)を含むポリプロピレン系樹脂の混合物(A1)−3を得た。
得られたポリプロピレン系樹脂の混合物(A1)−3のMFRは55g/10minであった。
ブロックポリプロピレン(A−1)とプロピレン単独重合体(A−2)の混合物(A1)−3は、プロピレン単独重合体(A−1a)とプロピレン単独重合体(A−2)の総和82質量%とエチレン・プロピレン共重合体(A−1b)18質量%とからなり、ブロックポリプロピレン(A−1)の25℃でのキシレン可溶分の極限粘度(XSIV)が2.1dL/gであり、エチレン・プロピレン共重合体(A−1b)中のエチレン単位が26質量%であった。
プロピレン単独重合体(A−2)の含有量は、(A)成分、(B)成分、(C)成分、及び(D)成分の合計質量を100質量%としたときに、5質量%であった。
製造例1−1と同じブロックポリプロピレン(A−1)及び、製造例1−1と同様の方法で重合した製造例1−1とは異なるプロピレン単独重合体(A−2)を含むポリプロピレン系樹脂の混合物(A2)を得た。
得られたポリプロピレン系樹脂の混合物(A2)のMFRは80g/10minであった。
ブロックポリプロピレン(A−1)とプロピレン単独重合体(A−2)の混合物(A2)は、プロピレン単独重合体(A−1a)とプロピレン単独重合体(A−2)の総和82質量%とエチレン・プロピレン共重合体(A−1b)18質量%とからなっていた。
ここで用いたプロピレン単独重合体(A−2)のMFRは2000g/10minを超え、高すぎて測定不能であった。プロピレン単独重合体(A−2)の含有量は、(A)成分、(B)成分、(C)成分、及び(D)成分の合計質量を100質量%としたときに、12質量%であった。
(A)成分
(A1)−1:製造例1−1で製造したポリプロピレン系樹脂。
(A1)−2:製造例1−2で製造したポリプロピレン系樹脂。
(A1)−3:製造例1−3で製造したポリプロピレン系樹脂。
(A2):製造例2で製造したポリプロピレン系樹脂。(A1)−1〜(A1)−3と比べてMFRが相対的に高い。
(B1):特開2011−500907号の実施例に基づいて調製した固体触媒成分と、トリエチルアルミニウム(TEAL)及びジシクロペンチルジメトキシシラン(DCPMS)を、固体触媒に対するTEALの重量比が18であり、TEAL/DCPMSの重量比が10となるような量で、室温において5分間接触させた。得られた触媒系を、液体プロピレン中において懸濁状態で20℃において5分間保持することによって予備重合を行った。
得られた予備重合物を、一段目の重合反応器に導入してプロピレン単独重合体(B−1a)を得た後、得られた重合体を、未反応モノマー類をパージした後、二段目の重合反応器に導入してエチレン・プロピレン共重合体(B−1b)を重合させた。重合中は、温度と圧力を調整し、水素を分子量調整剤として用いた。また、エチレン・プロピレン共重合体(B−1b)成分の量は一段目と二段目の滞留時間分布により調整した。
このようにして製造したブロックポリプロピレン重合体のパウダーに、後述する酸化防止剤「B225」0.2質量部と中和剤「DHT−4A」0.05質量部とを配合し、ヘンシェルミキサーで1分間撹拌、混合した後、スクリュー直径50mmの単軸押出機(ナカタニ機械株式会社製、型番NVC−50)を用いて、シリンダー温度200℃で溶融混練して押出した。ストランドを水中で冷却した後、ペレタイザーでカットし、ペレットを得た。
得られた(B1)はプロピレン単独重合体(B−1a)70質量%とエチレン・プロピレン共重合体(B−1b)30質量%とからなるブロックポリプロピレンであり、キシレン不溶分の分子量分布(Mw/Mn)が10であり、25℃でのキシレン可溶分の極限粘度(XSIV)が7.0dL/gであり、MFRが9.5g/10minのポリプロピレン系樹脂である。前記エチレン・プロピレン共重合体(B−1b)中のエチレン単位は30質量%である。
(C1):ダウ・ケミカル社製「エンゲージHM7487」。α−オレフィンの炭素数が4であり、長鎖分岐を有し、MFRが0.6g/10minであり、密度が0.860g/cm3のエチレン−1−ブテン共重合体からなるエラストマーである。
(C2):三井化学株式会社製「タフマーA−1050S」。長鎖分岐を有さず、MFRが1.2g/10minであり、密度が0.860g/cm3のエチレン−1−ブテン共重合体からなるエラストマー。比較用のエラストマーである。
(C3):三井化学株式会社製「タフマーA−0550S」。長鎖分岐を有さず、MFRが0.9g/10minであり、密度が0.861g/cm3のエチレン−1−ブテン共重合体からなるエラストマー。比較用のエラストマーである。
(E)成分:株式会社ADEKA製「アデカスタブNA18」。2,4,8,10−テトラ(tert−ブチル)−6−ヒドロキシ−12H−ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン6−オキシド ナトリウム塩を含むリン酸エステル系の結晶核剤である。
(F)成分:日油株式会社製のエルカ酸アミド「アルフローP−10」。高級脂肪酸アミドである。
酸化防止剤:BASF社製「B225」。
中和剤:協和化学工業株式会社製「DHT−4A」。
耐候剤:株式会社ADEKA製「アデカスタブLA502XP」。
滑剤:日油株式会社製「マグネシウムステアレート」。
製造例1−1で得たポリプロピレン系樹脂(A1)−1の66質量%と、前記(B1)のブロックポリプロピレンの10質量%と、前記(C1)の「エンゲージHM7487」の11質量%と、前記(D)成分の「ネオタルクUNI05」の13質量%と、これらの合計質量を100質量部として、前記(E)成分の「アデカスタブNA−18」の0.15質量部と、前記(F)成分の「アルフローP−10」の0.3質量部と、前記酸化防止剤の「B225」の0.2質量部と、前記中和剤の「DHT−4A」の0.05質量部と、前記耐候剤の「アデカスタブLA502XP」の0.4質量部と、前記滑剤の「マグネシウムステアレート」の0.1質量部とを配合し、ヘンシェルミキサーで1分間撹拌しながら混合した後、スクリュー直径30mmの2軸押出機(株式会社日本製鋼所製TEX30α)を用いて、スクリュー回転数500rpm、シリンダー温度200℃、吐出量30kg/hrの条件で溶融混練した。押出したストランドを水中で冷却した後、ペレタイザーでカットし、表1に示す組成のポリプロピレン系樹脂組成物のペレットを得た。
表1に示す組成となるように、混合する材料の種類及び量を変更した以外は実施例1と同様にして、ポリプロピレン系樹脂組成物のペレットを得た。各例において、表1には記載していないが、前記酸化防止剤の「B225」、前記中和剤の「DHT−4A」、前記耐候剤の「アデカスタブLA502XP」、及び前記滑剤の「マグネシウムステアレート」を実施例1と同じ割合で配合した。
JIS K6921−2に従い、射出成形機(ファナック株式会社製FANUC ROBOSHOT S2000i)を用い、溶融樹脂温度200℃、金型温度40℃、平均射出速度200mm/秒、保圧時間40秒、全サイクル時間60秒の条件にて、ポリプロピレン系樹脂組成物を原料として、JIS K7139に規定する多目的試験片(タイプA1)を射出成形し、幅10mm、厚さ4mm、長さ80mmに加工して、測定用試験片(タイプB2)を得た。株式会社島津製作所製精密万能試験機(オートグラフAG−X 10kN)を用い、温度23℃、相対湿度50%、支点間距離64mm、試験速度2mm/分の条件で、タイプB2測定用試験片の曲げ弾性率を測定した。成形品の剛性の観点から、曲げ弾性率は好ましくは1750MPa以上、より好ましくは1800MPa以上である。
曲げ弾性率測定で用いた試験片と同一の操作で得たタイプA1試験片を用いて、JIS K7111−1に従い、株式会社東洋精機製作所製ノッチングツールA−4を用いて幅10mm、厚み4mm、長さ80mmに加工してから幅方向に2mmのノッチを入れ、形状Aの測定用試験片を得た。その測定用試験片について、株式会社安田精機製作所製低温槽付き全自動衝撃試験機(No.258−ZA)を用い、温度−20℃の条件でシャルピー衝撃強度(エッジワイズ打撃、1eA法)を測定した。成形品の耐衝撃性の観点から、シャルピー衝撃強さは4.0kJ/m2以上が好ましく、4.5kJ/m2以上がより好ましい。
試験平板は、東芝機械株式会社製EC160NII 射出成形機を用い、シリンダー温度210℃、金型温度40℃、射出時間15秒、冷却時間25秒の成形条件にて作製した。試験平板のサイズに相当する金型として、フィルムゲートを有する300(縦)×140(横)×3mm(厚さ)の入れ子を装着した鏡面金型を使用した。得られた試験平板について、JIS Z8741に従い、株式会社村上色彩研究所社製光沢計(GM−26PRO)を用いて入射角60°の鏡面光沢度(%)を測定した。数値が低いほど低光沢であり、外観として高級感があり良好となる。そのような観点から、鏡面光沢度は65%以下が好ましく、60%以下がより好ましく、55%以下がさらに好ましい。
鏡面光沢度評価に用いた試験平板の外観を目視により観察し、ゲート位置からタイガーマークの発生が始まる位置までの距離(mm)を測定した。その距離が長い程、成形体の外観が良好となる。そのような観点から、タイガーマークまでの距離として、170mm以上が好ましく、180mm以上がより好ましく、190mm以上がさらに好ましい。
鏡面光沢度評価に用いた試験平板を用いて、タングステン鋼針(R=0.1mm)を装着した表面性測定機(新東科学株式会社製HEIDON−14D)で、温度23℃、荷重0.5Nの条件下、長さ50mmの引掻き傷を、射出成形時の流動方向と直行する方向に、速度550mm/分で1mm間隔に20本付けた。試験平板の傷付き部と通常部の明度差ΔL*を、JIS Z8730に基づき、分光色差計(日本電色工業株式会社製SE2000)により測定した。ΔL*は耐傷付性の指標であり、この値が小さいほど耐傷付性に優れていることを示す。そのような観点から、ΔL*として2.5以下が好ましく、2.0以下がより好ましく、1.5以下がさらに好ましい。
表1の(C)成分の欄において、例えば「(C1),(C2)」は(C1)及び(C2)を含有することを意味し、その含有量も同様である。
比較例1の組成物は、(A)成分のブロックポリプロピレン(A−1)のMFRが高く、組成物全体のMFRも高くなっていた。このため、耐衝撃性が劣っていた。
比較例2の組成物は、(B)成分を含有せず、耐衝撃性が劣るとともにタイガーマークが目立っていた。
比較例3の組成物は、(C)成分が長鎖分岐を有しないエラストマーであり、光沢が高いために表面が光って見え、タイガーマークが目立っていた。
比較例4の組成物は、(C1)成分の含有量が少なく、光沢が高いために表面が光って見え、タイガーマークが目立っていた。
比較例5の組成物は、(D)成分の含有量が少なく、剛性が劣っていた。
比較例6の組成物は、(D)成分の含有量が多く、比重が大きく軽量性が劣っていた。
比較例7の組成物は、(E)成分の含有量が少なく、剛性が劣っていた。
比較例8の組成物は、(F)成分の含有量が少なく、耐傷付性が劣っていた。
Claims (4)
- (A)成分であるポリプロピレン系樹脂、(B)成分であるポリプロピレン系樹脂、(C)成分であるエチレン・α−オレフィン共重合体、(D)成分である充填材、(E)成分である結晶核剤、及び(F)成分である高級脂肪酸アミドを含み、
前記(A)成分は、プロピレン単独重合体(A−1a)とエチレン・プロピレン共重合体(A−1b)とからなるブロックポリプロピレン(A−1)、及び必要に応じてJIS K6921−2に従い、温度230℃、荷重2.16kgの条件で測定したMFRが500〜2000g/10minのプロピレン単独重合体(A−2)をさらに含み、プロピレン単独重合体(A−1a)及びプロピレン単独重合体(A−2)を合わせたプロピレン単独重合体の合計75〜90質量%とエチレン・プロピレン共重合体(A−1b)10〜25質量%からなる、JIS K6921−2に従い、温度230℃、荷重2.16kgの条件で測定したMFRが40〜70g/10minのポリプロピレン系樹脂(A1)であり、
前記ブロックポリプロピレン(A−1)の25℃でのキシレン可溶分の極限粘度(XSIV)が0.5〜4.0dL/gであり、前記エチレン・プロピレン共重合体(A−1b)中のエチレン単位含有量が20〜50質量%であり、
前記(B)成分は、プロピレン単独重合体(B−1a)60〜80質量%とエチレン・プロピレン共重合体(B−1b)20〜40質量%とからなり、JIS K6921−2に従い、温度230℃、荷重2.16kgの条件で測定したMFRが5〜30g/10minであり、25℃でのキシレン不溶分のMw/Mnが6〜20であり、25℃でのキシレン可溶分の極限粘度(XSIV)が5.5〜9.0dL/gのブロックポリプロピレンからなるポリプロピレン系樹脂であり、
前記エチレン・プロピレン共重合体(B−1b)中のエチレン単位含有量が20〜40質量%であり、
前記(C)成分は、α−オレフィンの炭素数が4〜8であり、長鎖分岐を有し、JIS K6922−2に従い、温度190℃、荷重2.16kgの条件で測定したMFRが0.1〜5g/10minであり、密度が0.857〜0.873g/cm3のエチレン・α−オレフィン共重合体からなるエラストマーである(C1)成分を含み、
前記(A)成分、前記(B)成分、前記(C)成分、及び前記(D)成分の合計質量を100質量%としたときの、前記(A)成分の含有量は45〜81質量%であり、前記(B)成分の含有量は4〜20質量%であり、前記(C1)成分の含有量は5〜20質量%であり、前記(D)成分の含有量は10質量%以上15質量%未満であり、
前記(A)成分、前記(B)成分、前記(C)成分、及び前記(D)成分の合計質量を100質量部としたときの、前記(E)成分の含有量は0.05〜0.4質量部であり、前記(F)成分の含有量は0.05〜0.5質量部であるポリプロピレン系樹脂組成物。 - JIS K6921−2に従い、温度230℃、荷重2.16kgの条件で測定した、組成物全体でのMFRが20〜35g/10minである請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
- 前記(A)成分、前記(B)成分、前記(C)成分、及び前記(D)成分の合計質量を100質量%としたときの、前記プロピレン単独重合体(A−2)の含有量は2〜20質量%である請求項1又は2に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリプロピレン系樹脂組成物から得られる成形品。
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JP2019085478A (ja) | 2019-06-06 |
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