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JP6910512B1 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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JP6910512B1
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Abstract

【課題】吸気行程に対して気筒吸入空気量の算出タイミングが早い場合でも、吸気行程で実際に吸入される気筒吸入空気量を精度よく推定できる内燃機関の制御装置を提供する。【解決手段】目標開度に対して、遅延数の演算サイクルの期間の無駄時間処理を行って、遅延数の演算サイクル遅れ後の目標開度を算出し、スロットル応答遅れ処理を、目標開度に対して行って、遅延数の演算サイクル先までの実開度の推定値を算出し、遅延数の演算サイクル先までの実開度の推定値に基づいて、遅延数の演算サイクル先までの、吸気マニホールド内空気量の推定値、吸気マニホールド内圧力の推定値、スロットル通過空気量の推定値、及び気筒吸入空気量の推定値を算出し、算出結果に基づいて、遅延数の演算サイクル先の気筒吸入空気量の推定値を算出する内燃機関の制御装置。【選択図】図3

Description

本願は、内燃機関の制御装置に関するものである。
吸気ポートに燃料を噴射するガソリンエンジンでは、吸気行程又は排気行程で燃料噴射が実行されるため、実際に空気が気筒内に吸入される吸気行程よりも前に検出した空気量に基づいて燃料噴射量を決定しなければならない。従って、過渡運転状態の場合には、過渡前に検出した空気量に基づき燃料噴射量が決定されてしまうため、筒内に吸入される実際の空気量に対して燃料量の過不足が生じる。これにより一時的なリッチ状態又はリーン状態に陥り、ドライバビリティ及び排気ガスを悪化させる。
一般には加減速等の過渡運転の際には、スロットルの変化及び空気量の変化に応じて燃料量の増量又は減量を行う制御が知られているが、前述の通り実際に空気が気筒内に吸入されるタイミングと、燃料の増量又は減量を行うタイミングとは合致していない。そのため、過渡時の燃料の増減量は、各種の過渡運転に対し最適な補正量にならない場合がある。
また、特許文献1の技術では、スロットル開度の変化に基づいて2サイクル後の吸気管圧を予測する技術が示されているが、この技術であってもスロットルが停止状態から動作し始めるタイミングでの予測は困難である。
特開2003−254149号公報
以上のように、従来の内燃機関の制御装置では、実際に空気が気筒に吸入される吸気行程に対して、燃料噴射量を計算するための空気量の演算タイミングが早いため、過渡運転において、空燃比のずれが生じる。そのため、空燃比のずれを軽減するため、代表実機を用いた実験を行い、スロットルの変化及び空気量の変化に応じた燃料量補正量の適合が行われる。しかし、スロットルが停止状態から動作し始めるタイミングでは、スロットル及び空気量の変化がない状態で、燃料補正量を算出することができず、原理的に、空燃比のずれを解消できない。
そこで、本願は、吸気行程に対して、気筒吸入空気量の算出タイミングが早い場合でも、吸気行程で実際に吸入される気筒吸入空気量を精度よく推定することができる内燃機関の制御装置を提供することを目的とする。
本願に係る内燃機関の制御装置は、複数の気筒を有する4サイクルの内燃機関を制御する内燃機関の制御装置であって、
前記内燃機関の吸気マニホールドの入口に設けられたスロットルの目標開度を算出する目標開度算出部と、
吸気行程から排気行程までの前記4サイクルの期間を気筒数に均等分割した気筒数の期間を、気筒数の演算サイクルとし、前記目標開度に対して、1以上の自然数に設定された遅延数の演算サイクルの期間だけ遅らせて出力する無駄時間処理を行って、遅延数の演算サイクル遅れ後の目標開度を算出する目標開度遅れ処理部と、
前記スロットルの実開度が前記遅延数の演算サイクル遅れ後の目標開度に追従するにように、前記スロットルを駆動するスロットル制御部と、
前記遅延数の演算サイクル遅れ後の目標開度に対する前記実開度の応答遅れを模擬したスロットル応答遅れ処理を、前記目標開度に対して行って、遅延数の演算サイクル先までの実開度の推定値を算出する開度予測部と、
実開度及び吸気マニホールド内圧力に基づいてスロットル通過空気量の推定値を算出するスロットル空気量演算処理、吸気マニホールド内圧力に基づいて気筒吸入空気量の推定値を算出する気筒空気量演算処理、スロットル通過空気量及び気筒吸入空気量に基づいて吸気マニホールド内空気量及び吸気マニホールド内圧力の推定値を算出するマニホールド内空気演算処理を用い、
前記遅延数の演算サイクル先までの実開度の推定値に基づいて、遅延数の演算サイクル先までの、吸気マニホールド内空気量の推定値、吸気マニホールド内圧力の推定値、スロットル通過空気量の推定値、及び気筒吸入空気量の推定値を算出し、算出結果に基づいて、遅延数の演算サイクル先の気筒吸入空気量の推定値を算出する吸気量予測部と、
を備えたものである。
本願に係る内燃機関の制御装置によれば、スロットルの目標開度を遅延数の演算サイクルだけ遅らせて、最終的な目標開度に設定するので、スロットルの実開度を、目標開度から遅延数の演算サイクルだけ遅らせて変化させることができる。よって、遅延数の演算サイクルの期間だけ前の時点で、遅延数の演算サイクル先までのスロットルの実開度の変化を推定することができ、推定した実開度の変化により、遅延数の演算サイクル先に実際に吸入される気筒吸入空気量を推定することができる。
この際、吸気系の空気の挙動を表す、スロットル空気量演算処理、気筒空気量演算処理、及びマニホールド内空気演算処理を用い、遅延数の演算サイクル先までの実開度の推定値に基づいて、遅延数の演算サイクル先までの、吸気マニホールド内空気量、吸気マニホールド内圧力、スロットル通過空気量、及び気筒吸入空気量の挙動をシミュレーションして、推定することができる。特に、スロットル通過空気量は、吸気マニホールド内圧力に応じて流量特性が大きく変化するため、遅延数の演算サイクル先までの吸気マニホールド内圧力の変化を推定することにより、遅延数の演算サイクル先までのスロットル通過空気量の推定精度を向上させ、遅延数の演算サイクル先の気筒吸入空気量の推定精度を向上させることができる。よって、吸気行程に対して、気筒吸入空気量の算出タイミングが早い場合でも、遅延数の演算サイクル先に実際に吸入される気筒吸入空気量を精度よく推定することができる。
実施の形態1に係る内燃機関及び制御装置の概略構成図である。 実施の形態1に係る内燃機関及び制御装置の概略構成図である。 実施の形態1に係る制御装置のブロック図である。 実施の形態1に係る制御装置のハードウェア構成図である。 実施の形態1に係る演算サイクルを説明するための図である。 実施の形態1に係るスロットル開度の変化と演算サイクルとの関係を説明するための図である。 実施の形態1に係る目標開度の遅れ処理と演算サイクルとの関係を説明するための図である。 実施の形態1に係るスロットルの無次元流量の特性を説明するための図である。 実施の形態1に係るスロットルの有効開口面積の特性を説明するための図である。 実施の形態1に係るスロットルの応答遅れを説明するためのタイムチャートである。 実施の形態1に係るスロットルの応答遅れを説明するためのタイムチャートである。 実施の形態1に係る実開度の予測を説明するためのタイムチャートである。 実施の形態1に係る吸気量予測部のブロック図である。 実施の形態1に係る推定挙動を説明するためのタイムチャートである。 実施の形態1に係る推定挙動を説明するためのタイムチャートである。 実施の形態2に係る演算サイクルを説明するための図である。 実施の形態2に係るスロットル開度の変化と演算サイクルとの関係を説明するための図である。 実施の形態2に係る目標開度の遅れ処理と演算サイクルとの関係を説明するための図である。 実施の形態2に係る実開度の予測を説明するためのタイムチャートである。 実施の形態2に係る吸気量予測部のブロック図である。
1.実施の形態1
実施の形態に係る内燃機関の制御装置50(以下、単に制御装置50と称す)について図面を参照して説明する。図1及び図2は、本実施の形態に係る内燃機関1及び制御装置50の概略構成図であり、図3は、本実施の形態に係る制御装置50のブロック図である。内燃機関1及び制御装置50は、車両に搭載され、内燃機関1は、車両(車輪)の駆動力源となる。
1−1.内燃機関1の構成
まず、内燃機関1の構成について説明する。図1に示すように、内燃機関1は、空気と燃料の混合気を燃焼する燃焼室7(以下、気筒7と称す)を備えている。内燃機関1は、気筒7に空気を供給する吸気管23と、気筒7で燃焼した排気ガスを排出する排気管17とを備えている。内燃機関1は、ガソリンエンジンとされている。内燃機関1は、吸気管23を開閉するスロットルバルブ4(以下、単に、スロットル4とも称す)を備えている。スロットル4の下流側の吸気管23の部分は、吸気マニホールド12である。よって、スロットル4は、吸気マニホールド12の入口に設けられている。スロットル4は、制御装置50により制御される電気モータにより開閉駆動される電子制御式スロットルバルブである。スロットル4には、スロットルの開度に応じた電気信号を出力するスロットル開度センサ19が設けられている。
スロットル4の上流側の吸気管23の部分には、スロットル4を通過して、吸気マニホールド12に吸入される吸入空気流量に応じた電気信号を出力する空気流量検出センサ3が設けられている。空気流量検出センサ3には、吸入空気の温度に応じた電気信号を出力する吸入空気温度センサ3aが内蔵されている。吸入空気温度センサ3aは、空気流量検出センサ3と別体であってもよい。内燃機関1は、排気ガス還流装置20を備えている。排気ガス還流装置20は、排気管17から吸気マニホールド12に排気ガスを還流するEGR流路21と、EGR流路21を開閉するEGRバルブ22と、を有している。EGRバルブ22は、制御装置50により制御される電気モータにより開閉駆動される電子制御式EGRバルブとされている。排気管17には、排気管17内の排気ガスの空燃比に応じた電気信号を出力する空燃比センサ18を備えている。
吸気マニホールド12には、吸気マニホールド12内の気体圧力に応じた電気信号を出力するマニホールド圧力センサ8が設けられている。マニホールド圧力センサ8には、吸気マニホールド12内の気体温度に応じた電気信号を出力するマニホールド温度センサ8aが内蔵されている。マニホールド温度センサ8aは、マニホールド圧力センサ8と別体であってもよい。吸気マニホールド12の下流側の部分には、吸気ポートに燃料を噴射するインジェクタ13が設けられている。各気筒に個別に燃料を供給できるように、インジェクタ13は、各気筒に1つ以上設けられている。内燃機関1には、大気圧に応じた電気信号を出力する大気圧センサ33が設けられている。内燃機関1には、内燃機関1を冷却する冷却水の温度を検出する冷却水温センサ34が設けられている。
気筒7の頂部には、空気と燃料の混合気に点火する点火プラグと、点火プラグに点火エネルギーを供給する点火コイル16と、が設けられている。また、気筒7の頂部には、吸気管23から気筒7内に吸入される吸入空気量を調節する吸気バルブ14と、シリンダ内から排気管17に排出される排気ガス量を調節する排気バルブ15と、が設けられている。
図2に示すように、内燃機関1は、複数の気筒7(本例では3つ)を備えている。各気筒7内には、ピストン5が備えられている。各気筒7のピストン5は、コンロッド9及びクランク32を介してクランク軸2に接続されている。クランク軸2は、ピストン5の往復運動によって回転駆動される。各気筒7で発生した燃焼ガス圧は、ピストン5の頂面を押圧し、コンロッド9及びクランク32を介してクランク軸2を回転駆動する。クランク軸2は、車輪に駆動力を伝達する動力伝達機構に連結されている。動力伝達機構は、変速装置、ディファレンシャルギヤ等から構成される。なお、内燃機関1を備えた車両は、動力伝達機構内にモータージェネレータを備えたハイブリッド車であってもよい。
内燃機関1は、クランク軸2と一体回転する信号板10を備えている。信号板10は、予め定められた複数のクランク角度に複数の歯を設けている。本実施の形態では、信号板10は、10deg間隔で歯が並べられている。信号板10の歯には、一部の歯が欠けた欠け歯部分が設けられている。内燃機関1は、エンジンブロック24に固定され、信号板10の歯を検出する第1クランク角センサ11を備えている。
内燃機関1は、クランク軸2とチェーン28で連結されたカム軸29を備えている。カム軸29は、吸気バルブ14及び排気バルブ15を開閉駆動する。クランク軸2が2回転する間に、カム軸29は1回転する。内燃機関1は、カム軸29と一体回転するカム用の信号板31を備えている。カム用の信号板31は、予め定められた複数のカム軸角度に複数の歯を設けている。内燃機関1は、エンジンブロック24に固定され、カム用の信号板31の歯を検出するカム角センサ30を備えている。
制御装置50は、第1クランク角センサ11及びカム角センサ30の2種類の出力信号に基づいて、各ピストン5の上死点を基準としたクランク角度を検出すると共に、各気筒7の行程を判別する。なお、内燃機関1は、吸入行程、圧縮行程、燃焼行程、及び排気行程の4サイクルの機関である。
内燃機関1は、クランク軸2と一体回転するフライホイール27を備えている。フライホイール27の外周部は、リングギア25とされており、リングギア25は、予め定められた複数のクランク角度に複数の歯を設けている。リングギア25の歯は、周方向に等角度間隔で設けられている。本例では4deg間隔で、90個の歯が設けられている。リングギア25の歯には欠け歯部分は設けられていない。内燃機関1は、エンジンブロック24に固定され、リングギア25の歯を検出する第2クランク角センサ6を備えている。第2クランク角センサ6は、リングギア25の径方向外側に、リングギア25と間隔を空けて対向配置されている。フライホイール27のクランク軸2とは反対側は、動力伝達機構に連結されている。よって、内燃機関1の出力トルクは、フライホイール27の部分を通って、車輪側に伝達される。
第1クランク角センサ11、カム角センサ30、及び第2クランク角センサ6は、クランク軸2の回転による、各センサと歯の距離の変化に応じた電気信号を出力する。各角センサ11、30、6の出力信号は、センサと歯の距離が近い場合と、遠い場合とで信号がオンオフする矩形波となる。各角センサ11、30、6には、例えば、電磁ピックアップ式のセンサが用いられる。
フライホイール27(リングギア25)は、信号板10の歯数よりも多い歯数を有しており、また、欠け歯部分もないため、高分解能の角度検出を期待できる。また、フライホイール27は、信号板10の質量よりも大きい質量を有しており、高周波振動が抑制されるため、高精度の角度検出を期待できる。
本実施の形態では、制御装置50は、第1クランク角センサ11の出力信号に基づいて、クランク軸の回転情報を検出する。なお、制御装置50は、第2クランク角センサ6の出力信号に基づいて、クランク軸の回転情報を検出してもよい。
1−2.制御装置50の構成
次に、制御装置50について説明する。制御装置50は、内燃機関1を制御対象とする制御装置である。図3に示すように、制御装置50は、運転状態検出部51、演算サイクル算出部52、目標開度算出部53、目標開度遅れ処理部54、スロットル制御部55、開度予測部56、吸気量予測部57、及び燃料制御部58等の機能部を備えている。制御装置50の各機能部51〜58等は、制御装置50が備えた処理回路により実現される。具体的には、制御装置50は、図4に示すように、処理回路として、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置90(コンピュータ)、演算処理装置90とデータのやり取りする記憶装置91、演算処理装置90に外部の信号を入力する入力回路92、及び演算処理装置90から外部に信号を出力する出力回路93等を備えている。
演算処理装置90として、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、IC(Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、各種の論理回路、及び各種の信号処理回路等が備えられてもよい。また、演算処理装置90として、同じ種類のもの又は異なる種類のものが複数備えられ、各処理が分担して実行されてもよい。
記憶装置91として、演算処理装置90からデータを読み出し及び書き込みが可能に構成されたRAM(Random Access Memory)、演算処理装置90からデータを読み出し可能に構成されたROM(Read Only Memory)等が備えられている。入力回路92は、各種のセンサ、スイッチが接続され、これらセンサ、スイッチの出力信号を演算処理装置90に入力するA/D変換器等を備えている。出力回路93は、電気負荷が接続され、これら電気負荷に演算処理装置90から制御信号を出力する駆動回路等を備えている。
そして、制御装置50が備える各機能部51〜58等の各機能は、演算処理装置90が、ROM等の記憶装置91に記憶されたソフトウェア(プログラム)を実行し、記憶装置91、入力回路92、及び出力回路93等の制御装置50の他のハードウェアと協働することにより実現される。なお、各機能部51〜58等が用いる定数値、マップデータ、判定値等の設定データは、ソフトウェア(プログラム)の一部として、ROM等の記憶装置91に記憶されている。また、各機能部51〜58等が算出した目標開度、各推定値等の各算出値及び各検出値のデータは、RAM等の書き換え可能な記憶装置91に記憶される。
本実施の形態では、入力回路92には、第1クランク角センサ11、第2クランク角センサ6、カム角センサ30、空気流量検出センサ3、吸入空気温度センサ3a、スロットル開度センサ19、マニホールド圧力センサ8、マニホールド温度センサ8a、大気圧センサ33、空燃比センサ18、アクセルポジションセンサ26、及び冷却水温センサ34等が接続されている。出力回路93には、スロットル4(電気モータ)、EGRバルブ22(電気モータ)、インジェクタ13、及び点火コイル16等が接続されている。なお、制御装置50には、図示していない各種のセンサ、スイッチ、及びアクチュエータ等が接続されている。制御装置50は、各種センサの出力信号に基づいて、吸入空気量、吸気マニホールド内の圧力、大気圧、空燃比、アクセル開度、及び水温等の内燃機関1の運転状態を検出する。
制御装置50は、基本的な制御として、入力された各種センサの出力信号等に基づいて、燃料噴射量、点火時期等を算出し、インジェクタ13及び点火コイル16等を駆動制御する。制御装置50は、アクセルポジションセンサ26の出力信号等に基づいて、運転者が要求している内燃機関1の出力トルクを算出し、当該要求出力トルクを実現する吸入空気量となるように、スロットル4等を制御する。
1−2−1.運転状態検出部51
運転状態検出部51は、各種のセンサの出力信号等に基づいて各種の運転状態を検出する。例えば、運転状態検出部51は、大気圧センサ33の出力信号に基づいて大気圧を検出し、空気流量検出センサ3の出力信号に基づいてスロットル通過空気流量を検出し、吸入空気温度センサ3aの出力信号に基づいて吸入空気温度(外気温度)を検出し、スロットル開度センサ19の出力信号に基づいて実開度を検出し、マニホールド圧力センサ8の出力信号に基づいて吸気マニホールド内圧力を検出し、マニホールド温度センサ8aの出力信号に基づいて吸気マニホールド内温度を検出し、空燃比センサ18の出力信号に基づいて排気ガスの空燃比を検出し、アクセルポジションセンサ26の出力信号に基づいてアクセルポジションを検出する。各センサの出力信号は、各センサの検出周期(例えば、5ms)でA/D変換され、各運転状態が検出される。
運転状態検出部51は、第1クランク角センサ11及びカム角センサ30の出力信号に基づいて、各ピストン5の上死点を基準としたクランク角度を検出すると共に、各気筒7の行程を判別する。また、運転状態検出部51は、第1クランク角センサ11の出力信号に基づいて、内燃機関1の回転速度を検出する。これらの回転同期の処理は、第1クランク角センサ11の出力信号の立上り又は立下りをトリガーとして実行される。
1−2−2.気筒数の演算サイクル
吸気行程から排気行程までの4サイクルの期間を気筒数に均等分割した気筒数の期間が、気筒数の演算サイクルに設定されている。本実施の形態では、図5に示すように、気筒数は、3つであるので、4サイクルの期間を3つに均等分割した3つの期間が、3つの演算サイクルに設定されている。各演算サイクルは、240度のクランク角度間隔に設定されている。第1気筒を基準にすると、第1の演算サイクルは、第1気筒の吸気行程の上死点から第1気筒の圧縮行程の上死点後60度までの240度の角度間隔であり、第2の演算サイクルは、第1気筒の圧縮行程の上死点後60度から第1気筒の燃焼行程の上死点後120度までの240度の角度間隔に設定され、第3の演算サイクルは、第1気筒の燃焼行程の上死点後120度から第1気筒の吸気行程の上死点までの240度の角度間隔に設定される。
また、各演算サイクルの開始時点(又は終了時点)は、各気筒の吸気行程の上死点に対応する。なお、各演算サイクルの開始時点(又は終了時点)は、各気筒の吸気行程の上死点から、数十度以内の角度ずれていてもよい。
なお、気筒数が4つである場合は、4サイクルの期間を4つに均等分割した4つの期間が、4つの演算サイクルに設定され、各演算サイクルは、180度のクランク角度間隔に設定され、4サイクルの各サイクルに対応する。
<燃料噴射量の演算タイミング、及び噴射タイミング>
制御装置50は、演算サイクルの開始時点(本例では、各気筒の吸気行程の上死点)に対応する第1クランク角センサ11の出力信号の立上り又は立下りを検出した時に、演算サイクルの開始時点を検出したと判定し、演算サイクル毎の処理を実行する。
制御装置50は、各演算サイクルの開始時点で、気筒吸入空気量及び燃料噴射量を算出し、その後の演算サイクルの期間において、算出した燃料噴射量に基づいて、インジェクタ13を駆動する。
本実施の形態では、各気筒のインジェクタ13は、各気筒の吸気ポートに燃料を噴射するように設けられている。制御装置50は、通常の運転状態では、各気筒の排気行程で、各気筒のインジェクタ13を駆動する。制御装置50は、対象気筒の排気行程に対応する演算サイクルの開始時点で、対象気筒の気筒吸入空気量及び燃料噴射量を算出し、対象気筒の排気行程で、算出した対象気筒の燃料噴射量に基づいて、対象気筒のインジェクタを駆動する。図5には、対象気筒が第1気筒である場合の例を示している。
<燃料噴射量の算出に用いる気筒吸入空気量と、実際の気筒吸入空気量とのずれ>
図5に示すように、第1気筒の排気行程に対応する演算サイクルの開始時点で、第1気筒の燃料噴射量を算出する。従来の技術では、燃料噴射量の算出に用いる気筒吸入空気量は、排気行程に対応する演算サイクルの1つ前の演算サイクルの期間において検出したスロットル通過空気量に基づいて算出される。すなわち、第1気筒の吸気行程に対応する演算サイクルよりも2つ前の演算サイクルの期間において検出したスロットル通過空気量、及びスロットル通過空気量に基づいて算出した気筒吸入空気量に基づいて、第1気筒の燃料噴射量が算出される。
そのため、図6に示すように、第1気筒の吸気行程でスロットルの開度が急増すると、第1気筒に吸入される気筒吸入空気量が急増する。よって、実際の気筒吸入空気量と、吸気行程よりも2つ前の演算サイクルにおいて検出され算出された気筒吸入空気量と間のずれが大きくなり、燃料噴射量が、望ましい燃料噴射量よりも少なくなり、空燃比がリーン化する。
そこで、燃料噴射量の算出に用いられる、吸気行程よりも2つ前の演算サイクルにおいて検出され算出された気筒吸入空気量と、吸気行程で実際に吸入された気筒吸入空気量との間のずれを低減することが望まれる。
本実施の形態では、図7にイメージ図を示すように、制御装置50は、スロットルの開度を、目標開度から2つの演算サイクルだけ遅らせて変化させることにより、燃料噴射量を算出する時点で、2つの演算サイクル先までのスロットルの開度の変化を推定し、推定したスロットル開度の変化により、吸気行程で吸入される気筒吸入空気量を推定し、推定した気筒吸入空気量に基づいて燃料噴射量を算出できるように構成されている。
この際、スロットルの開度の推定値に基づいてスロットル通過空気量を推定することが重要になるが、後述する図8に示すように、スロットル通過空気量は、吸気マニホールド内圧力に応じて流量特性が大きく変化する。そのため、制御装置50は、吸気マニホールド内圧力の変化を推定し、スロットル通過空気量の推定精度を向上させ、気筒吸入空気量の推定精度を向上させている。以下で、詳細について説明する。
1−2−3.演算サイクル算出部52
演算サイクル算出部52は、演算サイクルの開始時点で、前回の演算サイクルの開始時点から、現在の演算サイクルの開始時点までの期間(以下、現在の演算サイクルの期間Tcyl(n)と称す)を検出する。
そして、演算サイクル算出部52は、式(1)に示すように、現在及び1つ前の過去の演算サイクルの期間の検出値Tcyl(n)、Tcyl(n−1)に基づいて、1つ先の演算サイクルの期間の推定値Tcyl(n+1)、及び2つ先の演算サイクルの期間の推定値Tcyl(n+2)を算出する。
Figure 0006910512
ここで、(n)は、現在の演算サイクルの値であることを示し、(n−1)は、1つの演算サイクル前の値であることを示し、(n+1)は、1つの演算サイクル先の推定値であることを示し、(n+2)は、2つの演算サイクル先の推定値であることを示している。また、Kt1、Kt2は、調整係数であり、例えば、1が設定されるが、推定値の急変を抑制するため、1より小さい値に設定されてもよい。
1−2−4.目標開度算出部53
目標開度算出部53は、スロットルの目標開度Vthoを算出する。目標開度算出部53は、内燃機関1に要求されている要求出力トルクを実現する目標吸入空気量を算出し、目標吸入空気量を実現する目標開度Vthoを算出する。
本実施の形態では、以下のように構成される。次式に、スロットルを通過する目標空気流量Qvthと有効開口面積Sthとの関係を示す。ここで目標空気流量Qvthは体積流量[L/s]であり、α0は吸入空気の音速[m/s]であり、Sthはスロットルの有効開口面積であり、κは吸入空気の比熱比であり、Pupはスロットルの上流側の圧力であり、大気圧に対応し、Pdwnはスロットルの下流側の圧力であり、吸気マニホールド内圧力に対応する。
Figure 0006910512
式(2)を有効開口面積Sthについて整理すると次式を得る。ここで、σは、圧力比Pdwn/Pupに応じて変化する無次元流量であり、図8に示すように、圧力比Pdwn/Pupが臨界圧力比(空気の場合は、約0.528)以下では臨界圧力比時の無次元流量σの値の一定値になる。圧力比Pdwn/Pupが臨界圧力比(0.528)より大きくなる領域では、無次元流量σの値が大きく変化する。
Figure 0006910512
目標開度算出部53は、吸気マニホールド内圧力の検出値Pbdを、大気圧の検出値P0dで除算した値を、圧力比Pdwn/Pupとして算出する。目標開度算出部53は、式(3)の第2式により算出される、図8に示すような圧力比Pdwn/Pupと無次元流量σとの関係が予め設定された無次元流量マップを参照し、算出した圧力比Pdwn/Pupに対応する無次元流量σを算出する。一方、目標開度算出部53は、目標吸入空気量[g/cycle]を、演算サイクルの期間Tcyl(n)[s/cycle]で除算して、目標吸入空気流量[g/s]を算出し、目標吸入空気流量[g/s]を、吸入空気の密度で除算して、スロットルを通過する目標空気流量Qvth[L/s]を算出する。吸入空気の密度は、大気圧の検出値P0d、吸入空気温度の検出値に基づいて算出される。
そして、目標開度算出部53は、式(3)の第1式に示すように、スロットルを通過する目標空気流量Qvth[L/s]を、吸入空気の音速a0、及び算出した無次元流量σで除算して、有効開口面積Sthを算出する。そして、目標開度算出部53は、図9に示すような、スロットルの開度Vthと有効開口面積Sthとの関係が予め設定された開口面積マップを参照し、算出した有効開口面積Sthに対応するスロットルの開度Vthを、目標開度Vthoとして算出する。
目標開度算出部53は、タイマ演算周期(例えば、5ms)毎に、目標開度Vthoを算出する。
1−2−5.目標開度遅れ処理部54
目標開度遅れ処理部54は、目標開度Vthoに対して、1以上の自然数に設定された遅延数の演算サイクルの期間だけ遅らせて出力する無駄時間処理を行って、遅延数の演算サイクル遅れ後の目標開度Vthodlyを算出する。本実施の形態では、遅延数は、2つに設定されている。目標開度遅れ処理部54は、目標開度Vthoに対して、2つの演算サイクルの期間だけ遅らせて出力する無駄時間処理を行って、2つの演算サイクル遅れ後の目標開度Vthodlyを算出する。
無駄時間処理の無駄時間、すなわち、2つの演算サイクルの期間には、演算サイクル算出部52により算出された演算サイクルの期間の検出値又は推定値が用いられる。例えば、2つ先の演算サイクルの期間の推定値Tcyl(n+2)が用いられてもよいし、現在の演算サイクルの期間の検出値Tcyl(n)が用いられてもよい。
目標開度遅れ処理部54は、各タイマ演算周期で目標開度算出部53が算出した目標開度VthoをRAM等の記憶装置91に記憶する。目標開度遅れ処理部54は、2つの演算サイクルの期間よりも長い過去の記憶期間分の複数の目標開度Vthoを時間情報と関連付けて記憶装置91に記憶する。そして、目標開度遅れ処理部54は、タイマ演算周期毎に、2つの演算サイクルの期間前に記憶した目標開度Vthoを記憶装置91から読み出して、2つの演算サイクル遅れ後の目標開度Vthodlyとして出力する。
1−2−6.スロットル制御部55
スロットル制御部55は、スロットルの実開度の検出値Vthdが、2つの演算サイクル遅れ後の目標開度Vthodlyに追従するにように、スロットル4(電気モータ)を駆動するフィードバック制御を行う。すなわち、2つの演算サイクル遅れ後の目標開度Vthodlyが、フィードバック制御の最終的な目標開度に設定されている。例えば、スロットル制御部55は、実開度の検出値Vthdと2つの演算サイクル遅れ後の目標開度Vthodlyとの偏差に応じたPID制御等により、電気モータへの通電電流を増減する。
1−2−7.開度予測部56
開度予測部56は、2つの演算サイクル遅れ後の目標開度Vthodlyに対する実開度の応答遅れを模擬したスロットル応答遅れ処理を、目標開度Vthoに対して行って、2つの演算サイクル先までの実開度の推定値を算出する。
スロットルの応答遅れは、図10及び図11に、実機の測定結果を示すように、無駄時間+一次遅れで表せられる。図10及び図11に、最終的な目標開度に、無駄時間遅れ処理+一次遅れの処理を行った、実開度の推定値を示しているように、実開度の推定値は、実開度の検出値によく一致しており、良好な推定精度が得られる。そこで、本実施の形態では、スロットル応答遅れ処理は、無駄時間遅れ処理+一次遅れ処理、又は一次遅れ処理に設定される。
スロットル4の種類によっては、応答遅れが、空気流量及び圧力の影響を受けるため、無駄時間、及び一次遅れのフィルタゲインが、回転速度、充填効率等の運転状態に応じて変化されてもよい。
本実施の形態では、図12に示すように、開度予測部56は、目標開度Vthoに対してスロットル応答遅れ処理を行った値に基づいて、2つの演算サイクル先の実開度の推定値Vthe2、1つの演算サイクル先の実開度の推定値Vthe1、及び現在の実開度の推定値Vthe0を算出する。
開度予測部56は、目標開度Vthoに対してスロットル応答遅れ処理を行って、2つの演算サイクル先の実開度の推定値Vthe2を算出する。本実施の形態では、開度予測部56は、式(4)に示すように、目標開度Vthoに対するスロットル応答遅れ処理として、一次遅れ処理を用いる。無駄時間遅れ処理を省略した分、時間が進んだ情報が得られ、予測性能にとって多少有利に働く。
Figure 0006910512
ここで、(m)は、現在のタイマ演算周期の算出値であることを示し、(m−1)は、前回のタイマ演算周期の算出値であることを示している。FGthは、一次遅れ処理のフィルタゲインである。
或いは、開度予測部56は、式(5)に示すように、目標開度Vthoに対するスロットル応答遅れ処理として、無駄時間遅れ処理+一次遅れ処理を用いてもよい。
Figure 0006910512
ここで、(m−2)は、前々回のタイマ演算周期の算出値であることを示している。FGthは、一次遅れ処理のフィルタゲインである。式(5)において、無駄時間が、タイマ演算周期の2倍であるため、無駄時間処理として、前々回のタイマ演算周期の目標開度Vtho(m−2)が用いられている。
開度予測部56は、2つの演算サイクル遅れ後の目標開度Vthodlyに対して、スロットル応答遅れ処理を行って、現在の実開度の推定値Vthe0を算出する。2つの演算サイクル遅れ後の目標開度Vthodlyに対するスロットル応答遅れ処理として、無駄時間遅れ処理+一次遅れの処理が用いられる。なお、スロットル応答遅れ処理として、一次遅れの処理が用いられてもよい。なお、開度予測部56は、目標開度Vthoに対して、2つの演算サイクルの期間の無駄時間遅れ処理及びスロットル応答遅れ処理を行って、現在の実開度の推定値Vthe0を算出してもよい。開度予測部56は、無駄時間遅れ処理+一次遅れ処理を行う場合は、式(6)を用いる。
Figure 0006910512
<演算サイクルの開始時点での処理>
開度予測部56は、各演算サイクルの開始時点で、吸気量予測部57に2つの演算サイクル先までの実開度の推定値を出力する。本実施の形態では、開度予測部56は、各演算サイクルの開始時点で、直前のタイマ演算周期で算出された、2つの演算サイクル先の実開度の推定値Vthe2、1つの演算サイクル先の実開度の推定値Vthe1、現在の実開度の推定値Vthe0を、吸気量予測部57に出力する。
この際、本実施の形態では、開度予測部56は、目標開度と実開度の検出値との偏差、2つの演算サイクル先までの演算サイクルの期間の予測値を考慮し、各実開度の推定値を補正する。なお、補正が行われなくてもよい。
開度予測部56は、式(7)に示すように、2つの演算サイクル先の実開度の推定値Vthe2から現在の実開度の推定値Vthe0を減算した値に、演算サイクルの期間の予測値を用いた補正値を乗算して、2つの演算サイクル先の実開度の推定値の変動量ΔVthe2を算出し、現在の実開度の検出値Vthdに変動量ΔVthe2を加算して、最終的な2つの演算サイクル先の実開度の推定値Vthe2を算出する。
Figure 0006910512
ここで、Tdは、スロットル応答遅れ処理の無駄時間である。Tcyl(n+1)は、演算サイクル算出部52により算出された1つ先の演算サイクルの期間の推定値であり、Tcyl(n+2)は、2つ先の演算サイクルの期間の推定値である。これらTd、Tcyl(n+1)、Tcyl(n+2)を用いた式(7)の第1式の右辺の補正値について説明する。本実施の形態では、2つの演算サイクル先の実開度の推定値Vthe2には、式(4)に示した一次遅れ処理後の値が用いられ、現在の実開度の推定値Vthe0には、式(6)に示した無駄時間遅れ処理+一次遅れ処理後の値が用いられるので、Vthe2とVthe0との間には、2つの演算サイクルの期間+無駄時間Tdの時間差がある。Vthe2とVthe0との偏差を、2つの演算サイクルの期間の偏差に補正するために、補正値の分子が、Tcyl(n+1)+Tcyl(n+2)の2つの演算サイクルの期間に設定され、補正値の分母が、Tcyl(n+1)+Tcyl(n+2)+Tdの2つの演算サイクルの期間+無駄時間Tdに設定されている。
開度予測部56は、式(8)に示すように、2つの演算サイクル先の実開度の推定値Vthe2から現在の実開度の推定値Vthe0を減算した値に、演算サイクルの期間の予測値を用いた補正値を乗算して、1つの演算サイクル先の実開度の推定値の変動量ΔVthe1を算出し、現在の実開度の検出値Vthdに変動量ΔVthe1を加算して、最終的な1つの演算サイクル先の実開度の推定値Vthe1を算出する。
Figure 0006910512
式(8)において、Vthe2とVthe0との間には、2つの演算サイクルの期間+無駄時間Tdの時間差がある。Vthe2とVthe0との偏差を、1つの演算サイクルの期間の偏差に補正するために、補正値の分子が、Tcyl(n+1)の1つの演算サイクルの期間に設定され、補正値の分母が、Tcyl(n+1)+Tcyl(n+2)+Tdの2つの演算サイクルの期間+無駄時間Tdに設定されている。
或いは、開度予測部56は、タイマ演算周期毎に、目標開度Vthoに対して、1つの演算サイクルの期間の無駄時間遅れ処理、及びスロットル応答遅れ処理(例えば、無駄時間遅れ処理+一次遅れ処理)を行って、1つの演算サイクル先の実開度の推定値Vthe1を算出してもよい。そして、式(9)に示すように、開度予測部56は、各演算サイクルの開始時点で、1つの演算サイクル先の実開度の推定値Vthe1から現在の実開度の推定値Vthe0を減算した値に、演算サイクルの期間の予測値を用いた補正値を乗算して、1つの演算サイクル先の実開度の推定値の変動量ΔVthe1を算出し、現在の実開度の検出値Vthdに変動量ΔVthe1を加算して、最終的な1つの演算サイクル先の実開度の推定値Vthe2を算出してもよい。
Figure 0006910512
Vthe2の推定に、式(4)の代わりに、無駄時間遅れ処理+一次遅れ処理の式(5)が用いられる場合は、式(7)、式(8)、及び式(9)において、Td=0に設定されてもよい。
1−2−8.吸気量予測部57
吸気量予測部57は、実開度及び吸気マニホールド内圧力に基づいてスロットル通過空気量の推定値を算出するスロットル空気量演算処理、吸気マニホールド内圧力に基づいて気筒吸入空気量の推定値を算出する気筒空気量演算処理、スロットル通過空気量及び気筒吸入空気量に基づいて吸気マニホールド内空気量及び吸気マニホールド内圧力の推定値を算出するマニホールド内空気演算処理を用い、2つの演算サイクル先までの実開度の推定値に基づいて、2つの演算サイクル先までの、吸気マニホールド内空気量の推定値、吸気マニホールド内圧力の推定値、スロットル通過空気量の推定値、及び気筒吸入空気量の推定値を算出し、算出結果に基づいて、2つの演算サイクル先の気筒吸入空気量の推定値を算出する。
この構成によれば、吸気系の空気の挙動を表す、スロットル空気量演算処理、気筒空気量演算処理、及びマニホールド内空気演算処理を用い、2つの演算サイクル先までの実開度の推定値に基づいて、2つの演算サイクル先までの、吸気マニホールド内空気量、吸気マニホールド内圧力、スロットル通過空気量、及び気筒吸入空気量の挙動をシミュレーションして、推定することができる。特に、図8に示したように、スロットル通過空気量は、吸気マニホールド内圧力に応じて流量特性が大きく変化するため、2つの演算サイクル先までの吸気マニホールド内圧力の変化を推定することにより、2つの演算サイクル先までのスロットル通過空気量の推定精度を向上させ、2つの演算サイクル先の気筒吸入空気量の推定精度を向上させることができる。よって、吸気行程に対して、気筒吸入空気量の算出タイミングが早い場合でも、2つの演算サイクル先に実際に吸入される気筒吸入空気量を精度よく推定することができる。
吸気量予測部57は、対象気筒の吸気行程に対応する演算サイクルの終了時点よりも、2つの演算サイクルだけ前の時点(本例では、対象気筒の排気行程に対応する演算サイクルの開始時点)で、対象気筒について、2つの演算サイクル先の気筒吸入空気量の推定値を算出する。
<現在の演算サイクルの推定値の算出>
図13に示すように、本実施の形態では、吸気量予測部57は、演算サイクルの開始時点で、現在の吸気マニホールド内圧力の検出値Pbd(n)に基づいて、現在の吸気マニホールド内空気量の推定値Gbe(n)を算出する。
吸気量予測部57は、式(10)を用い、現在の吸気マニホールド内圧力の検出値Pbd(n)に基づいて、現在の吸気マニホールド内空気量の推定値Gbe(n)を算出する。EGRが導入にされている場合は、吸気マニホールド内には、空気だけでなく、燃焼ガスも混合しているため、厳密には、気体量の推定値になる。
Figure 0006910512
ここで、吸気量予測部57は、現在の吸気マニホールド内圧力の検出値Pbd(n)として、前回の演算サイクルの開始時点から現在の演算サイクルの開始時点までの期間において検出した複数の吸気マニホールド内圧力の検出値の平均値を用いる。よって、Gbe(n)は、前回の演算サイクルの開始時点から現在の演算サイクルの開始時点までの期間における吸気マニホールド内空気量の平均値である。Vbは、吸気マニホールド内の容積[L]であり、Tbd(n)は、吸気マニホールド内の空気(気体)の温度[K]であり、吸気マニホールド内温度の検出値が用いられ、Rは、ガス定数[kJ/(kg・K)]である。
吸気量予測部57は、式(11)を用い、現在の実開度の検出値Vthd(n)及び現在の吸気マニホールド内圧力の検出値Pbd(n)に基づいて、現在のスロットル通過空気量の推定値Gthe(n)を算出する。式(11)の演算処理が、スロットル空気量演算処理に対応する。
Figure 0006910512
ここで、Gthe(n)は、前回の演算サイクルの開始時点から現在の演算サイクルの開始時点までの期間に、スロットルを通過した空気量[g/cycle]の推定値である。Tcyl(n)は、現在の演算サイクルの期間[s/cycle]の検出値であり、前回の演算サイクルの開始時点から現在の演算サイクルの開始時点までの期間の検出値である。ρ0は、吸入空気(大気)の密度であり、大気圧の検出値、及び吸入空気温度(外気温)の検出値に基づいて算出される。a0は、吸入空気の音速であり、吸入空気温度の検出値に基づいて算出されてもよい。吸気量予測部57は、図9に示すような、実開度Vthと有効開口面積Sthとの関係が予め設定された開口面積マップFthを参照し、現在の実開度の検出値Vthd(n)に対応する有効開口面積Sth(n)を算出する。
吸気量予測部57は、現在の吸気マニホールド内圧力の検出値Pbd(n)を、大気圧の検出値P0d(n)で除算した値を、圧力比Pdwn/Pupとして算出し、図8に示すような圧力比Pdwn/Pupと無次元流量σとの関係が予め設定された無次元流量マップを参照し、算出した圧力比Pdwn/Pupに対応する無次元流量σ(n)を算出する。
吸気量予測部57は、式(12)を用い、現在の吸気マニホールド内圧力の検出値Pbd(n)に基づいて、現在の気筒吸入空気量の推定値Gce(n)を算出する。式(12)の演算処理が、気筒空気量演算処理に対応する。
Figure 0006910512
ここで、Gce(n)は、前回の演算サイクルの開始時点から現在の演算サイクルの開始時点までの期間に、気筒内に吸入された空気量[g/cycle]の推定値である。Vcは、シリンダ容積[L]である。Kvは、体積効率であり、吸気量予測部57は、回転速度、現在の吸気マニホールド内圧力の検出値Pbd(n)、EGR率、吸排気バルブタイミング等の運転状態に基づいて、体積効率Kvを算出する。例えば、運転状態と体積効率Kvとの関係が予め設定された体積効率マップが参照される。
<1つの演算サイクル先の推定値の算出>
そして、吸気量予測部57は、式(13)に示すように、現在の吸気マニホールド内空気量の推定値Gbe(n)に対して、現在のスロットル通過空気量の推定値Gthe(n)を加算すると共に、現在の気筒吸入空気量の推定値Gce(n)を減算して、1つの演算サイクル先の吸気マニホールド内空気量の推定値Gbe(n+1)を算出する。
Figure 0006910512
そして、吸気量予測部57は、式(14)に示すように、1つの演算サイクル先の吸気マニホールド内空気量の推定値Gbe(n+1)に基づいて、1つの演算サイクル先の吸気マニホールド内圧力の推定値Pbe(n+1)を算出する。式(13)及び式(14)の演算処理が、マニホールド内空気演算処理に対応する。
Figure 0006910512
ここで、Gbe(n+1)は、現在の演算サイクルの開始時点から1つ先の演算サイクルの開始時点までの期間おける、吸気マニホールド内空気量の平均値である。また、Pbe(n+1)は、現在の演算サイクルの開始時点から1つ先の演算サイクルの開始時点までの期間おける、吸気マニホールド内圧力の平均値である。
吸気量予測部57は、式(15)を用い、1つの演算サイクル先の実開度の推定値、及び1つの演算サイクル先の吸気マニホールド内圧力の推定値Pbe(n+1)に基づいて、1つの演算サイクル先のスロットル通過空気量の推定値Gthe(n+1)を算出する。式(15)の演算処理が、スロットル空気量演算処理に対応する。
Figure 0006910512
ここで、Gthe(n+1)は、現在の演算サイクルの開始時点から1つ先の演算サイクルの開始時点までの期間に、スロットルを通過した空気量[g/cycle]の推定値である。Tcyl(n+1)は、1つ先の演算サイクルの期間[s]の推定値である。吸気量予測部57は、図9に示すような、実開度Vthと有効開口面積Sthとの関係が予め設定された開口面積マップFthを参照し、1つの演算サイクル先の実開度の推定値に対応する有効開口面積Sth(n+1)を算出する。
本実施の形態では、吸気量予測部57は、Gthe(n+1)を算出する際に用いる1つの演算サイクル先の実開度の推定値として、式(16)に示すように、現在の実開度の検出値Vthdと1つの演算サイクル先の実開度の推定値Vthe1との平均値を用いる。このように、平均値を用いることにより、演算サイクルの期間におけるスロットル通過空気量の推定精度を向上させることができる。
Figure 0006910512
なお、式(16)において、演算サイクルの開始時点と終了時点の値が平均化されているが、演算サイクルの期間における3つ以上の値が平均化されてもよい。
吸気量予測部57は、1つの演算サイクル先の吸気マニホールド内圧力の推定値Pbe(n+1)を、大気圧の検出値P0d(n)で除算した値を、圧力比Pdwn/Pupとして算出し、図8に示すような圧力比Pdwn/Pupと無次元流量σとの関係が予め設定された無次元流量マップを参照し、算出した圧力比Pdwn/Pupに対応する無次元流量σ(n+1)を算出する。
吸気量予測部57は、式(17)を用い、1つの演算サイクル先の吸気マニホールド内圧力の推定値Pbe(n+1)に基づいて、1つの演算サイクル先の気筒吸入空気量の推定値Gce(n+1)を算出する。式(17)の演算処理が、気筒空気量演算処理に対応する。
Figure 0006910512
ここで、Gce(n+1)は、現在の演算サイクルの開始時点から1つ先の演算サイクルの開始時点までの期間に、気筒内に吸入された空気量[g/cycle]の推定値である。吸気量予測部57は、回転速度、1つの演算サイクル先の吸気マニホールド内圧力の推定値Pbe(n+1)、EGR率、吸排気バルブタイミング等の運転状態に基づいて、体積効率Kvを算出する。
<2つの演算サイクル先の推定値の算出>
そして、吸気量予測部57は、式(18)に示すように、1つの演算サイクル先の吸気マニホールド内空気量の推定値Gbe(n+1)に対して、1つの演算サイクル先のスロットル通過空気量の推定値Gthe(n+1)を加算すると共に、1つの演算サイクル先の気筒吸入空気量の推定値Gce(n+1)を減算して、2つの演算サイクル先の吸気マニホールド内空気量の推定値Gbe(n+2)を算出する。
Figure 0006910512
そして、吸気量予測部57は、式(19)に示すように、2つの演算サイクル先の吸気マニホールド内空気量の推定値Gbe(n+2)に基づいて、2つの演算サイクル先の吸気マニホールド内圧力の推定値Pbe(n+2)を算出する。式(18)及び式(19)の演算処理が、マニホールド内空気演算処理に対応する。
Figure 0006910512
ここで、Gbe(n+2)は、1つ先の演算サイクルの開始時点から2つ先の演算サイクルの開始時点までの期間おける、吸気マニホールド内空気量の平均値である。また、Pbe(n+2)は、1つ先の演算サイクルの開始時点から2つ先の演算サイクルの開始時点までの期間おける、吸気マニホールド内圧力の平均値である。
吸気量予測部57は、式(20)を用い、2つの演算サイクル先の実開度の推定値、及び2つの演算サイクル先の吸気マニホールド内圧力の推定値Pbe(n+2)に基づいて、2つの演算サイクル先のスロットル通過空気量の推定値Gthe(n+2)を算出する。式(20)の演算処理が、スロットル空気量演算処理に対応する。
Figure 0006910512
ここで、Gthe(n+2)は、1つ先の演算サイクルの開始時点から2つ先の演算サイクルの開始時点までの期間に、スロットルを通過した空気量[g/cycle]の推定値である。Tcyl(n+2)は、2つ先の演算サイクルの期間[s/cycle]の推定値である。吸気量予測部57は、図9に示すような、実開度Vthと有効開口面積Sthとの関係が予め設定された開口面積マップFthを参照し、2つの演算サイクル先の実開度の推定値に対応する有効開口面積Sth(n+2)を算出する。
本実施の形態では、吸気量予測部57は、Gthe(n+2)を算出する際に用いる2つの演算サイクル先の実開度の推定値として、式(21)に示すように、1つの演算サイクル先の実開度の推定値Vthe1と2つの演算サイクル先の実開度の推定値Vthe2との平均値を用いる。このように、平均値を用いることにより、演算サイクルの期間におけるスロットル通過空気量の推定精度を向上させることができる。
Figure 0006910512
なお、式(21)において、演算サイクルの開始時点と終了時点の値が平均化されているが、演算サイクルの期間における3つ以上の値が平均化されてもよい。
吸気量予測部57は、2つの演算サイクル先の吸気マニホールド内圧力の推定値Pbe(n+2)を、大気圧の検出値P0d(n)で除算した値を、圧力比Pdwn/Pupとして算出し、図8に示すような圧力比Pdwn/Pupと無次元流量σとの関係が予め設定された無次元流量マップを参照し、算出した圧力比Pdwn/Pupに対応する無次元流量σ(n+2)を算出する。
<2つの演算サイクル先の気筒吸入空気量の推定値の算出>
吸気量予測部57は、式(22)に示すように、2つの演算サイクル先のスロットル通過空気量の推定値Gthe(n+2)から現在のスロットル通過空気量の推定値Gthe(n)を減算した空気量偏差を、現在のスロットル通過空気量の検出値Gthd(n)に加算して、センサ基準の2つの演算サイクル先のスロットル通過空気量の推定値Gthes2(n)を算出する。
Figure 0006910512
スロットル通過空気量の推定値は、スロットルの流量特性によって算出され、EGRの導入状態等のスロットル下流側の状態の影響を受け難く、推定精度が高くなる。また、空気流量検出センサ3による空気量の検出値に対して、2つの演算サイクル先の空気量の推定値の変化量を加算することにより、空気流量検出センサ3による空気量の検出精度を維持しつつ、応答遅れ分を補うことができる。例えば、実開度と有効開口面積との特性が変動している場合でも、推定値の変化量の精度は大きく悪化せず、また、センサ検出値が主に用いられるため、空気量の推定精度が悪化することを抑制できる。
吸気量予測部57は、現在のスロットル通過空気量の検出値Gthd(n)として、前回の演算サイクルの開始時点から現在の演算サイクルの開始時点までの期間における、スロットル通過空気流量の検出値[g/s]の積分値[g/cycle]を用いる。
そして、吸気量予測部57は、式(23)に示すように、センサ基準の2つの演算サイクル先のスロットル通過空気量の推定値Gthes2(n)に対して、吸気マニホールドの応答遅れを模擬した吸気応答遅れ処理(本例では、一次遅れ処理)を行って、2つの演算サイクル先の気筒吸入空気量の推定値Gce2(n)を算出する。
Figure 0006910512
ここで、FGbは、一次遅れ処理のフィルタゲインである。なお、吸気量予測部57は、スロットル通過空気量の推定値Gthes2(n)を充填効率相当値に変換した値に対して、吸気応答遅れ処理を行って、充填効率を算出してもよい。なお、式(23)において、(n)は、現在の演算サイクルの演算値であることを示し、(n−1)は、1つ前の演算サイクルの演算値であることを示している。例えば、現在の演算サイクルで算出された気筒吸入空気量の推定値Gce2(n)が、第1気筒の燃料噴射量の算出に用いられる場合は、1つ前の演算サイクルで算出された気筒吸入空気量の推定値Gce2(n−1)は、第2気筒の燃料噴射量の算出に用いられ、次の演算サイクルで算出される気筒吸入空気量の推定値Gce2(n+1)は、第3気筒の燃料噴射量の算出に用いられる。
<推定挙動>
図14に、目標開度を増加させた場合の推定挙動を示し、図15に、目標開度を減少させた場合の推定挙動を示す。図14及び図15には、気筒吸入空気量を充填効率に変換した値を示している。図14及び図15には、実際に気筒に吸入された気筒吸入空気量(実際の充填効率)と、吸気行程よりも2つの演算サイクル前のタイミングで算出される、2つの演算サイクル先の気筒吸入空気量の推定値Gce2(n)(充填効率の推定値)と、実際の気筒吸入空気量(実際の充填効率)を2つの演算サイクルの期間だけ前に時間シフトした値(2サイクルシフト後の実際の充填効率と称す)と、を示している。図14及び図15に示すように、充填効率の推定値は、2サイクルシフト後の実際の充填効率と概ね一致しており、充填効率の推定値により、2つの演算サイクル先の実際の充填効率を精度よく推定できていることがわかる。よって、2つの演算サイクル先の気筒吸入空気量の推定値Gce2(n)に基づいて燃料噴射量を算出し、インジェクタを駆動すれば、実際の気筒吸入空気量に合った燃料量を気筒に供給することができる。
1−2−9.燃料制御部58
燃料制御部58は、2つの演算サイクル先の気筒吸入空気量の推定値Gce2(n)に基づいて、燃料噴射量を算出し、燃料噴射量に基づいて、対象気筒に燃料を供給するインジェクタを駆動する。図5を用いて上述したように、燃料制御部58は、各気筒の排気行程でインジェクタを駆動する。燃料制御部58は、対象気筒の排気行程に対応する演算サイクルの開始時点で算出した、2つの演算サイクル先の気筒吸入空気量の推定値Gce2(n)に基づいて、対象気筒の燃料噴射量を算出し、対象気筒の排気行程で、算出した燃料噴射量に基づいて、対象気筒のインジェクタを駆動する。例えば、燃料制御部58は、気筒吸入空気量の推定値を、目標空燃比で除算して、燃料噴射量を算出する。
2.実施の形態2
実施の形態2に係る制御装置50について説明する。上記の実施の形態1と同様の構成部分は説明を省略する。本実施の形態に係る内燃機関1及び制御装置50の基本的な構成は実施の形態1と同様であるが、吸気行程でインジェクタ13が駆動され、遅延数が1つに設定されている点が実施の形態1と異なる。
本実施の形態では、各気筒のインジェクタ13は、気筒内に直接燃料を噴射するように設けられている。制御装置50は、通常の運転状態では、各気筒の吸気行程で、各気筒のインジェクタ13を駆動する。なお、実施の形態1のように、吸気ポートに燃料を噴射するインジェクタ13が設けられる場合であっても、本実施の形態のように、各気筒の吸気行程で、インジェクタ13が駆動されてもよい。
図16に示すように、制御装置50は、対象気筒の吸気行程に対応する演算サイクルの開始時点で、対象気筒の気筒吸入空気量及び燃料噴射量を算出し、対象気筒の吸気行程で、算出した対象気筒の燃料噴射量に基づいて、対象気筒のインジェクタを駆動する。図16には、対象気筒が第1気筒である場合の例を示している。
図16に示すように、第1気筒の吸気行程に対応する演算サイクルの開始時点で、第1気筒の気筒吸入空気量及び燃料噴射量を算出する。従来の技術では、燃料噴射量の算出に用いる気筒吸入空気量は、吸気行程に対応する演算サイクルの1つ前の演算サイクルの期間において検出したスロットル通過空気量に基づいて算出される。すなわち、第1気筒の吸気行程に対応する演算サイクルよりも1つ前の演算サイクルの期間において検出したスロットル通過空気量、及びスロットル通過空気量に基づいて算出した気筒吸入空気量に基づいて、第1気筒の燃料噴射量が算出される。
そのため、図17に示すように、第1気筒の吸気行程でスロットルの開度が急増すると、第1気筒に吸入される気筒吸入空気量が急増する。よって、実際の気筒吸入空気量と、吸気行程よりも1つ前の演算サイクルにおいて検出され算出された気筒吸入空気量と間のずれが大きくなり、燃料噴射量が、望ましい燃料噴射量よりも少なくなり、空燃比がリーン化する。
そこで、燃料噴射量の算出に用いられる、吸気行程よりも1つ前の演算サイクルにおいて検出され算出された気筒吸入空気量と、吸気行程で実際に吸入された気筒吸入空気量との間のずれを低減することが望まれる。
本実施の形態では、図18にイメージ図を示すように、制御装置50は、スロットルの開度を、目標開度から1つの演算サイクルだけ遅らせて変化させることにより、燃料噴射量を算出する時点で、1つの演算サイクル先までのスロットルの開度の変化を推定し、推定したスロットル開度の変化により、吸気行程で吸入される気筒吸入空気量を推定し、推定した気筒吸入空気量に基づいて燃料噴射量を算出できるように構成されている。
この際、スロットルの開度の推定値に基づいてスロットル通過空気量を推定することが重要になるが、図8に示すように、スロットル通過空気量は、吸気マニホールド内圧力に応じて流量特性が大きく変化する。そのため、制御装置50は、吸気マニホールド内圧力の変化を推定し、スロットル通過空気量の推定精度を向上させ、気筒吸入空気量の推定精度を向上させている。以下で、詳細について説明する。
本実施の形態では、遅延数は、1つに設定されている。目標開度遅れ処理部54は、目標開度Vthoに対して、1つの演算サイクルの期間だけ遅らせて出力する無駄時間処理を行って、1つの演算サイクル遅れ後の目標開度Vthodlyを算出する。
無駄時間処理の無駄時間、すなわち、1つの演算サイクルの期間には、1つ先の演算サイクルの期間の推定値Tcyl(n+1)が用いられてもよいし、現在の演算サイクルの期間の検出値Tcyl(n)が用いられてもよい。
スロットル制御部55は、スロットルの実開度の検出値Vthdが、1つの演算サイクル遅れ後の目標開度Vthodlyに追従するにように、スロットル4(電気モータ)を駆動するフィードバック制御を行う。
開度予測部56は、1つの演算サイクル遅れ後の目標開度Vthodlyに対する実開度の応答遅れを模擬したスロットル応答遅れ処理を、目標開度Vthoに対して行って、1つの演算サイクル先までの実開度の推定値を算出する。図19に示すように、開度予測部56は、目標開度Vthoに対してスロットル応答遅れ処理を行った値に基づいて、1つの演算サイクル先の実開度の推定値Vthe1、及び現在の実開度の推定値Vthe0を算出する。
開度予測部56は、目標開度Vthoに対してスロットル応答遅れ処理を行って、1つの演算サイクル先の実開度の推定値Vthe1を算出する。本実施の形態では、開度予測部56は、式(24)に示すように、目標開度Vthoに対するスロットル応答遅れ処理として、一次遅れ処理を用いる。無駄時間遅れ処理を省略した分、時間が進んだ情報が得られ、予測性能にとって多少有利に働く。
Figure 0006910512
或いは、開度予測部56は、式(25)に示すように、目標開度Vthoに対するスロットル応答遅れ処理として、無駄時間遅れ処理+一次遅れ処理を用いてもよい。
Figure 0006910512
開度予測部56は、式(26)に示すように、1つの演算サイクル遅れ後の目標開度Vthodlyに対して、スロットル応答遅れ処理を行って、現在の実開度の推定値Vthe0を算出する。
Figure 0006910512
開度予測部56は、各演算サイクルの開始時点で、吸気量予測部57に1つの演算サイクル先までの実開度の推定値を出力する。本実施の形態では、開度予測部56は、各演算サイクルの開始時点で、直前のタイマ演算周期で算出された、1つの演算サイクル先の実開度の推定値Vthe1、現在の実開度の推定値Vthe0を、吸気量予測部57に出力する。
この際、本実施の形態では、開度予測部56は、目標開度と実開度の検出値との偏差、1つの演算サイクル先までの演算サイクルの期間の予測値を考慮し、各実開度の推定値を補正する。なお、補正が行われなくてもよい。
開度予測部56は、式(27)に示すように、1つの演算サイクル先の実開度の推定値Vthe1から現在の実開度の推定値Vthe0を減算した値に、演算サイクルの期間の予測値を用いた補正値を乗算して、1つの演算サイクル先の実開度の推定値の変動量ΔVthe1を算出し、現在の実開度の検出値Vthdに変動量ΔVthe1を加算して、最終的な1つの演算サイクル先の実開度の推定値Vthe1を算出する。
Figure 0006910512
吸気量予測部57は、実開度及び吸気マニホールド内圧力に基づいてスロットル通過空気量の推定値を算出するスロットル空気量演算処理、吸気マニホールド内圧力に基づいて気筒吸入空気量の推定値を算出する気筒空気量演算処理、スロットル通過空気量及び気筒吸入空気量に基づいて吸気マニホールド内空気量及び吸気マニホールド内圧力の推定値を算出するマニホールド内空気演算処理を用い、1つの演算サイクル先までの実開度の推定値に基づいて、1つの演算サイクル先までの、吸気マニホールド内空気量の推定値、吸気マニホールド内圧力の推定値、スロットル通過空気量の推定値、及び気筒吸入空気量の推定値を算出し、算出結果に基づいて、1つの演算サイクル先の気筒吸入空気量の推定値を算出する。
吸気量予測部57は、対象気筒の吸気行程に対応する演算サイクルの終了時点よりも、1つの演算サイクルだけ前の時点(本例では、対象気筒の吸気行程に対応する演算サイクルの開始時点)で、対象気筒について、1つの演算サイクル先の気筒吸入空気量の推定値を算出する。
<現在の演算サイクルの推定値の算出>
図20に示すように、本実施の形態では、吸気量予測部57は、演算サイクルの開始時点で、現在の吸気マニホールド内圧力の検出値Pbd(n)に基づいて、現在の吸気マニホールド内空気量の推定値Gbe(n)を算出する。
実施の形態1と同様に、吸気量予測部57は、式(10)を用い、現在の吸気マニホールド内圧力の検出値Pbd(n)に基づいて、現在の吸気マニホールド内空気量の推定値Gbe(n)を算出する。
実施の形態1と同様に、吸気量予測部57は、式(11)を用い、現在の実開度の検出値Vthd(n)及び現在の吸気マニホールド内圧力の検出値Pbd(n)に基づいて、現在のスロットル通過空気量の推定値Gthe(n)を算出する。
実施の形態1と同様に、吸気量予測部57は、式(12)を用い、現在の吸気マニホールド内圧力の検出値Pbd(n)に基づいて、現在の気筒吸入空気量の推定値Gce(n)を算出する。
<1つの演算サイクル先の推定値の算出>
実施の形態1と同様に、吸気量予測部57は、式(13)に示すように、現在の吸気マニホールド内空気量の推定値Gbe(n)に対して、現在のスロットル通過空気量の推定値Gthe(n)を加算すると共に、現在の気筒吸入空気量の推定値Gce(n)を減算して、1つの演算サイクル先の吸気マニホールド内空気量の推定値Gbe(n+1)を算出する。
実施の形態1と同様に、吸気量予測部57は、式(14)に示すように、1つの演算サイクル先の吸気マニホールド内空気量の推定値Gbe(n+1)に基づいて、1つの演算サイクル先の吸気マニホールド内圧力の推定値Pbe(n+1)を算出する。
実施の形態1と同様に、吸気量予測部57は、式(15)を用い、1つの演算サイクル先の実開度の推定値、及び1つの演算サイクル先の吸気マニホールド内圧力の推定値Pbe(n+1)に基づいて、1つの演算サイクル先のスロットル通過空気量の推定値Gthe(n+1)を算出する。
実施の形態1と同様に、吸気量予測部57は、Gthe(n+1)を算出する際に用いる1つの演算サイクル先の実開度の推定値として、式(16)に示すように、現在の実開度の検出値Vthdと1つの演算サイクル先の実開度の推定値Vthe1との平均値を用いる。
<1つの演算サイクル先の気筒吸入空気量の推定値の算出>
吸気量予測部57は、式(28)に示すように、1つの演算サイクル先のスロットル通過空気量の推定値Gthe(n+1)から現在のスロットル通過空気量の推定値Gthe(n)を減算した空気量偏差を、現在のスロットル通過空気量の検出値Gthd(n)に加算して、センサ基準の1つの演算サイクル先のスロットル通過空気量の推定値Gthes1(n)を算出する。
Figure 0006910512
そして、吸気量予測部57は、式(29)に示すように、センサ基準の1つの演算サイクル先のスロットル通過空気量の推定値Gthes1(n)に対して、吸気マニホールドの応答遅れを模擬した吸気応答遅れ処理(本例では、一次遅れ処理)を行って、1つの演算サイクル先の気筒吸入空気量の推定値Gce1(n)を算出する。
Figure 0006910512
燃料制御部58は、1つの演算サイクル先の気筒吸入空気量の推定値Gce1(n)に基づいて、燃料噴射量を算出し、燃料噴射量に基づいて、対象気筒に燃料を供給するインジェクタを駆動する。図16を用いて上述したように、燃料制御部58は、各気筒の吸気行程でインジェクタを駆動する。燃料制御部58は、対象気筒の吸気行程に対応する演算サイクルの開始時点で算出した、1つの演算サイクル先の気筒吸入空気量の推定値Gce1(n)に基づいて、対象気筒の燃料噴射量を算出し、対象気筒の吸気行程で、算出した燃料噴射量に基づいて、対象気筒のインジェクタを駆動する。
〔その他の実施の形態〕
目標開度遅れ処理部54は、インジェクタ13の駆動タイミングの変化に応じて、遅延数を変化させてもよい。目標開度遅れ処理部54は、インジェクタ13の駆動タイミングが排気行程である場合は、遅延数を2つに設定し、インジェクタ13の駆動タイミングが吸気行程である場合は、遅延数を1つに設定し、インジェクタ13の駆動タイミングが圧縮行程である場合は、遅延数を0に設定する。
本願は、様々な例示的な実施の形態及び実施例が記載されているが、1つ、または複数の実施の形態に記載された様々な特徴、態様、及び機能は特定の実施の形態の適用に限られるのではなく、単独で、または様々な組み合わせで実施の形態に適用可能である。従って、例示されていない無数の変形例が、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
1 内燃機関、3 空気流量検出センサ、4 スロットル、7 気筒、8 マニホールド圧力センサ、12 吸気マニホールド、13 インジェクタ、50 内燃機関の制御装置、51 運転状態検出部、52 演算サイクル算出部、53 目標開度算出部、54 目標開度遅れ処理部、55 スロットル制御部、56 開度予測部、57 吸気量予測部、58 燃料制御部、Gbe(n) 現在の吸気マニホールド内空気量の推定値、Gbe(n+1) 1つの演算サイクル先の吸気マニホールド内空気量の推定値、Gbe(n+2) 2つの演算サイクル先の吸気マニホールド内空気量の推定値、Gce(n) 現在の気筒吸入空気量の推定値、Gce(n+1) 1つの演算サイクル先の気筒吸入空気量の推定値、Gce1 1つの演算サイクル先の気筒吸入空気量の推定値、Gce2 2つの演算サイクル先の気筒吸入空気量の推定値、Gthd(n) 現在のスロットル通過空気量の検出値、Gthe(n+2) 2つの演算サイクル先のスロットル通過空気量の推定値、Gthe(n+1) 1つの演算サイクル先のスロットル通過空気量の推定値、Gthe(n) 現在のスロットル通過空気量の推定値、Gthes1 センサ基準の1つの演算サイクル先のスロットル通過空気量の推定値、Gthes2 センサ基準の2つの演算サイクル先のスロットル通過空気量の推定値、Kv 体積効率、Pbd 現在の吸気マニホールド内圧力の検出値、Pbe(n+1) 1つの演算サイクル先の吸気マニホールド内圧力の推定値、Pbe(n+2) 2つの演算サイクル先の吸気マニホールド内圧力の推定値、Vthd 実開度の検出値、Vthe0 現在の実開度の推定値、Vthe1 1つの演算サイクル先の実開度の推定値、Vthe2 2つの演算サイクル先の実開度の推定値、Vtho 目標開度、Vthodly 遅延数の演算サイクル遅れ後の目標開度

Claims (14)

  1. 複数の気筒を有する4サイクルの内燃機関を制御する内燃機関の制御装置であって、
    前記内燃機関の吸気マニホールドの入口に設けられたスロットルの目標開度を算出する目標開度算出部と、
    吸気行程から排気行程までの前記4サイクルの期間を気筒数に均等分割した気筒数の期間を、気筒数の演算サイクルとし、前記目標開度に対して、1以上の自然数に設定された遅延数の演算サイクルの期間だけ遅らせて出力する無駄時間処理を行って、遅延数の演算サイクル遅れ後の目標開度を算出する目標開度遅れ処理部と、
    前記スロットルの実開度が前記遅延数の演算サイクル遅れ後の目標開度に追従するにように、前記スロットルを駆動するスロットル制御部と、
    前記遅延数の演算サイクル遅れ後の目標開度に対する前記実開度の応答遅れを模擬したスロットル応答遅れ処理を、前記目標開度に対して行って、遅延数の演算サイクル先までの実開度の推定値を算出する開度予測部と、
    実開度及び吸気マニホールド内圧力に基づいてスロットル通過空気量の推定値を算出するスロットル空気量演算処理、吸気マニホールド内圧力に基づいて気筒吸入空気量の推定値を算出する気筒空気量演算処理、スロットル通過空気量及び気筒吸入空気量に基づいて吸気マニホールド内空気量及び吸気マニホールド内圧力の推定値を算出するマニホールド内空気演算処理を用い、
    前記遅延数の演算サイクル先までの実開度の推定値に基づいて、遅延数の演算サイクル先までの、吸気マニホールド内空気量の推定値、吸気マニホールド内圧力の推定値、スロットル通過空気量の推定値、及び気筒吸入空気量の推定値を算出し、算出結果に基づいて、遅延数の演算サイクル先の気筒吸入空気量の推定値を算出する吸気量予測部と、
    を備えた内燃機関の制御装置。
  2. 前記吸気量予測部は、対象気筒の吸気行程に対応する演算サイクルの終了時点よりも、遅延数の演算サイクルだけ前の時点で、対象気筒について、前記遅延数の演算サイクル先の気筒吸入空気量の推定値を算出する請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
  3. 前記遅延数の演算サイクル先の気筒吸入空気量の推定値に基づいて、燃料噴射量を算出し、前記燃料噴射量に基づいて、対象気筒に燃料を供給するインジェクタを駆動する燃料制御部を備えた請求項2に記載の内燃機関の制御装置。
  4. 前記燃料制御部は、各気筒の排気行程で前記インジェクタを駆動し、
    前記遅延数は、2つに設定される請求項3に記載の内燃機関の制御装置。
  5. 前記燃料制御部は、各気筒の吸気行程で前記インジェクタを駆動し、
    前記遅延数は、1つに設定される請求項3に記載の内燃機関の制御装置。
  6. 空気流量検出センサの出力信号に基づいて、スロットル通過空気量を検出し、圧力センサの出力信号に基づいて、吸気マニホールド内圧力を検出する運転状態検出部を備え、
    前記吸気量予測部は、
    前記スロットル空気量演算処理を用い、現在の実開度、及び現在の吸気マニホールド内圧力の検出値に基づいて、現在のスロットル通過空気量の推定値を算出し、
    遅延数の演算サイクル先のスロットル通過空気量の推定値から前記現在のスロットル通過空気量の推定値を減算した空気量偏差を、前記現在のスロットル通過空気量の検出値に加算して、センサ基準の遅延数の演算サイクル先のスロットル通過空気量の推定値を算出し、
    前記センサ基準の遅延数の演算サイクル先のスロットル通過空気量の推定値に対して、吸気マニホールドの応答遅れを模擬した吸気応答遅れ処理を行って、前記遅延数の演算サイクル先の気筒吸入空気量の推定値を算出する請求項1から5のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置。
  7. 圧力センサの出力信号に基づいて、吸気マニホールド内圧力を検出する運転状態検出部を備え、
    前記遅延数は、2つに設定され、
    前記開度予測部は、前記目標開度に対して前記スロットル応答遅れ処理を行った値に基づいて、2つの演算サイクル先の実開度の推定値、及び1つの演算サイクル先の実開度の推定値を算出し、
    前記吸気量予測部は、
    現在の吸気マニホールド内圧力の検出値に基づいて、現在の吸気マニホールド内空気量の推定値を算出し、
    現在の実開度及び現在の吸気マニホールド内圧力の検出値に基づいて、現在のスロットル通過空気量の推定値を算出し、
    現在の吸気マニホールド内圧力の検出値に基づいて、現在の気筒吸入空気量の推定値を算出し、
    前記現在の吸気マニホールド内空気量の推定値に対して、前記現在のスロットル通過空気量の推定値を加算すると共に、前記現在の気筒吸入空気量の推定値を減算して、1つの演算サイクル先の吸気マニホールド内空気量の推定値を算出し、
    前記1つの演算サイクル先の吸気マニホールド内空気量の推定値に基づいて、1つの演算サイクル先の吸気マニホールド内圧力の推定値を算出し、
    前記1つの演算サイクル先の実開度の推定値、及び前記1つの演算サイクル先の吸気マニホールド内圧力の推定値に基づいて、1つの演算サイクル先のスロットル通過空気量の推定値を算出し、
    前記1つの演算サイクル先の吸気マニホールド内圧力の推定値に基づいて、1つの演算サイクル先の気筒吸入空気量の推定値を算出し、
    前記1つの演算サイクル先の吸気マニホールド内空気量の推定値に対して、前記1つの演算サイクル先のスロットル通過空気量の推定値を加算すると共に、前記1つの演算サイクル先の気筒吸入空気量の推定値を減算して、2つの演算サイクル先の吸気マニホールド内空気量の推定値を算出し、
    前記2つの演算サイクル先の吸気マニホールド内空気量の推定値に基づいて、2つの演算サイクル先の吸気マニホールド内圧力の推定値を算出し、
    前記2つの演算サイクル先の実開度の推定値、及び前記2つの演算サイクル先の吸気マニホールド内圧力の推定値に基づいて、2つの演算サイクル先のスロットル通過空気量の推定値を算出し、
    前記2つの演算サイクル先のスロットル通過空気量の推定値に基づいて、2つの演算サイクル先の気筒吸入空気量の推定値を算出する請求項1から6のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置。
  8. 圧力センサの出力信号に基づいて、吸気マニホールド内圧力を検出する運転状態検出部を備え、
    前記遅延数は、1つに設定され、
    前記開度予測部は、前記目標開度に対して前記スロットル応答遅れ処理を行った値に基づいて、1つの演算サイクル先の実開度の推定値を算出し、
    前記吸気量予測部は、
    現在の吸気マニホールド内圧力の検出値に基づいて、現在の吸気マニホールド内空気量の推定値を算出し、
    現在の実開度及び現在の吸気マニホールド内圧力の検出値に基づいて、現在のスロットル通過空気量の推定値を算出し、
    現在の吸気マニホールド内圧力の検出値に基づいて、現在の気筒吸入空気量の推定値を算出し、
    前記現在の吸気マニホールド内空気量の推定値に対して、前記現在のスロットル通過空気量の推定値を加算すると共に、前記現在の気筒吸入空気量の推定値を減算して、1つの演算サイクル先の吸気マニホールド内空気量の推定値を算出し、
    前記1つの演算サイクル先の吸気マニホールド内空気量の推定値に基づいて、1つの演算サイクル先の吸気マニホールド内圧力の推定値を算出し、
    前記1つの演算サイクル先の実開度の推定値、及び前記1つの演算サイクル先の吸気マニホールド内圧力の推定値に基づいて、1つの演算サイクル先のスロットル通過空気量の推定値を算出し、
    前記1つの演算サイクル先のスロットル通過空気量の推定値に基づいて、1つの演算サイクル先の気筒吸入空気量の推定値を算出する請求項1から6のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置。
  9. 前記吸気量予測部は、各時点の吸気マニホールド内空気量の推定値、吸気マニホールド内圧力の推定値、スロットル通過空気量の推定値、及び気筒吸入空気量の推定値として、各時点の直前の1つの演算サイクルの期間における、吸気マニホールド内空気量の平均値、吸気マニホールド内圧力の平均値、スロットル通過空気量、及び気筒吸入空気量を算出する請求項1から8のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置。
  10. 前記吸気量予測部は、前記1つの演算サイクル先のスロットル通過空気量の推定値を算出する際に用いる前記1つの演算サイクル先の実開度の推定値として、前記現在の実開度と前記1つの演算サイクル先の実開度の推定値との平均値を用い、
    前記2つの演算サイクル先のスロットル通過空気量の推定値を算出する際に用いる前記2つの演算サイクル先の実開度の推定値として、前記1つの演算サイクル先の実開度の推定値と前記2つの演算サイクル先の実開度の推定値との平均値を用いる請求項7に記載の内燃機関の制御装置。
  11. 前記吸気量予測部は、前記1つの演算サイクル先のスロットル通過空気量の推定値を算出する際に用いる前記1つの演算サイクル先の実開度の推定値として、前記現在の実開度と前記1つの演算サイクル先の実開度の推定値との平均値を用いる請求項8に記載の内燃機関の制御装置。
  12. 前記吸気量予測部は、前記気筒空気量演算処理において、回転速度及び吸気マニホールド内圧力に基づいて体積効率を算出し、吸気マニホールド内圧力に前記体積効率を乗算した値に基づいて、気筒吸入空気量を算出する請求項1から11のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置。
  13. 前記吸気量予測部は、前記スロットル空気量演算処理において、実開度に基づいてスロットルの有効開口面積を算出し、前記有効開口面積及び吸気マニホールド内圧力に基づいて、スロットル通過空気量を算出する請求項1から12のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置。
  14. 前記目標開度遅れ処理部は、インジェクタの駆動タイミングの変化に応じて、前記遅延数を変化させる請求項1から13のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置。
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