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JP6893277B1 - 顔料組成物、着色組成物、およびその用途 - Google Patents

顔料組成物、着色組成物、およびその用途 Download PDF

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JP6893277B1
JP6893277B1 JP2020202410A JP2020202410A JP6893277B1 JP 6893277 B1 JP6893277 B1 JP 6893277B1 JP 2020202410 A JP2020202410 A JP 2020202410A JP 2020202410 A JP2020202410 A JP 2020202410A JP 6893277 B1 JP6893277 B1 JP 6893277B1
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Abstract

【課題】分散性、耐候性および耐熱性に優れ、保存安定性が良好であり、彩度の高い画像等を形成できるイソインドリン化合物を含む顔料組成物を提供する。【解決手段】式(1)で表されるイソインドリン化合物と、式(2)で表されるイソインドリン化合物を含む顔料組成物。[式中、R1、R2は、H;Aは、2−シアノアセトアミド、2−シアノ−N−メチルアセトアミド、2−シアノ−N−フェニルアセトアミド、バルビツール酸、2−シアノメチル−3H−キナゾリン−4オンから誘導される基。]【選択図】なし

Description

本発明は、イソインドリン化合物を含む顔料組成物に関する。
プラスチック製品、トナー、塗料、及び印刷インキなどの用途では、着色剤として主に顔料が使用されている。顔料は、無機顔料と有機顔料とに大別され、有機顔料は、一般的に、色の鮮明性及び着色力が無機顔料よりも優れる反面、耐候性及び耐熱性に劣る傾向にある。有機顔料は、例えば、アゾ顔料、キノフタロン顔料、イソインドリン顔料、イソインドリノン顔料、アントラキノン顔料、ジケトピロロピロール顔料、及びキナクリドン顔料などが知られている。
近年、環境的な観点から、芳香族アミン、及び重金属などを含まない着色剤の需要が増大している。黄色から紅色の色相を有する有機顔料として、主にアゾ顔料が使用されているが、アゾ顔料には、使用されている原料、あるいは光又は熱による分解によって、成分中に芳香族アミンが含まれることがある。そのため、近年では、環境適合性の観点から、芳香族アミンを含まないイソインドリン顔料が注目されている。
例えば、特許文献1は、プラスチックの着色用途に向けたイソインドリン顔料を開示している。また、特許文献2は、水、分散剤、及びイソインドリン顔料を含む、インクジェットインキ用の分散体を開示している。
特表2009−543917号公報 特開平10−140066号公報
しかし、従来のイソインドリン化合物を含む顔料組成物は、分散が難しく、かつ分散安定性が悪かった。また、イソインドリン化合物を含む着色組成物は、耐候性や耐熱性の更なる向上が求められていた。
これらの問題を解決するため、イソインドリン化合物に例えば色素誘導体を併用する方法が考えられるが、イソインドリン化合物は、色が異なる化合物を混ぜると、色調が不鮮明になりやすく、画像や成形体等を形成すると彩度が低下する問題があった。
本発明は、分散性、耐候性および耐熱性に優れ、保存安定性が良好であり、彩度の高い画像等を形成できるイソインドリン化合物を含む顔料組成物の提供を目的とする。
本発明の顔料組成物は、下式(1)で表されるイソインドリン化合物と、下式(2)で表されるイソインドリン化合物とを含む。
Figure 0006893277
式中、R、Rは、水素原子を表し、Aは、下式(3)、下式(4)、又は下式(5)で表される基を表し、
Figure 0006893277
式中、Xは−O−又は−NH−を表し、Rはアルキル基又はアリール基を表し、R〜Rは水素原子を表し、R〜R10は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、又はアリールオキシ基を表す。
上記の本発明によれば、分散性、耐候性および耐熱性に優れ、保存安定性が良好であり、彩度の高い画像等を形成できるイソインドリン化合物を含む顔料組成物を提供できる。
<顔料組成物>
本発明の顔料組成物は、式(1)で表されるイソインドリン化合物と、式(2)で表されるイソインドリン化合物を含む。
本発明の顔料組成物は、上記の通り2種類のイソインドリン化合物を含むことで、従来、イソインドリン化合物の弱点であった分散性、耐候性、耐熱性、保存安定性が向上する。本発明の顔料組成物は、成形体、トナー、塗料、印刷インキ、インクジェットインキ等の着色を必要とする幅広い用途に使用できる。
[イソインドリン化合物(1)]及び[イソインドリン化合物(2)]
以下、式(1)で表されるイソインドリン化合物をイソインドリン化合物(1)といい、式(2)で表されるイソインドリン化合物をイソインドリン化合物(2)という。
Figure 0006893277
式(2)中、R、及びRは、水素原子を表す。
Aは、下式(3)、下式(4)、又は下式(5)で表される基を表す。
Figure 0006893277
式(3)中、Xは−O−又は−NH−を表し、Rはアルキル基又はアリール基を表す。
式(4)及び式(5)中、R〜Rは水素原子を表す。
式(5)中、R〜R10は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、又はアリールオキシ基を表す。
顔料組成物は、イソインドリン化合物(1)とイソインドリン化合物(2)を含有することで、耐候性および耐熱性に優れ、彩度の高い画像等を形成できる。さらに、水系分散において、経時安定性や分散性の優れた分散体を作成することができる。
これらの理由としてイソインドリン化合物(1)とイソインドリン化合物(2)はともに、ケト−エノール互変異性をもつため分子間に適度に水素結合が形成し易いことで耐候性、耐熱性が向上したためと推測する。
イソインドリン化合物(2)単体ではバルビツール酸構造由来の非常に強い水素結合によって、顔料粒子が大きくなってしまうが、イソインドリン化合物(1)を含むことで、過剰な水素結合が緩和されることで結晶成長が抑制され、顔料粒子の肥大化を抑制できる。また、顔料組成物にするとイソインドリン化合物(1)は、単体では発色が弱いがイソインドリン化合物(2)との分子間相互作用によりイソインドリン化合物(2)の色相を低下させずに保持できる。これらの要因が重なり、より彩度の高い画像等を形成できると推測する。
顔料組成物を使用して経時安定性や分散性の優れた水系分散体を作成できる理由は、イソインドリン化合物(2)は、バルビツール酸残基により非常に親水性が高いため、分散剤よりも水との親和性が高く、分散剤が吸着できない。しかし、イソインドリン化合物(1)と併用するとイソインドリン化合物(2)の親水性を緩和し、分散剤が吸着できるため水系分散体を形成できると推測する。
本発明の顔料組成物100質量%中のイソインドリン化合物(1)の含有量は、0.01〜30質量%が好ましく、0.05〜10質量%がより好ましい。
本発明の顔料組成物100質量%中のイソインドリン化合物(2)の含有量は、70〜99.99質量%が好ましく、90〜99.95質量%がより好ましい。
イソインドリン化合物(1)とイソインドリン化合物(2)との質量比は、(1)/(2)=1/9999〜3/7が好ましく、1/999〜1/19がより好ましい。
上式(3)中、Xは、−O−又は−NH−を表しており、好ましくは−NH−である。
上式(3)中、Rにおけるアルキル基(−R)の炭素数は、1〜20が好ましく、1〜10がより好ましく、1〜4がさらに好ましく、炭素数1又は2のアルキル基が最も好ましい。
アルキル基は、直鎖構造、分岐構造、単環構造、又は縮合多環構造のいずれであってもよい。
特に限定されないが、アルキル基は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、イソプロピル基、イソブチル基、イソペンチル基、2−エチルヘキシル基、2−ヘキシルドデシル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、tert−オクチル基、ネオペンチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、ボロニル基、又は4−デシルシクロヘキシル基等が挙げられる。
上記アルキル基は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子などの他の置換基で置換されてもよい。すなわち、上記アルキル基は、フルオロアルキル基であってよく、パーフルオロアルキル基であってもよい。フルオロアルキル基は、例えば、モノフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基が挙げられる。
上記アルキル基は、2以上のアルキル基(但し、一方はアルキレン基となる)が連結基を介して互いに結合した構造を有してもよい。連結基の具体例として、エステル結合(−COO−)、エーテル結合(−O−)、スルフィド結合(−S−)が挙げられる。すなわち、本明細書において、アルキル基は、例えば、「−R’−O−R」で表される基が挙げられる(R’は上記アルキル基から水素原子を1つ除いた原子団を表す)。具体例として、−C−O−Cが挙げられる。
上式(3)中、Rにおけるアリール基(−Ar)は、芳香族炭化水素から水素原子を1つ除いた原子団である。炭素数は6〜30が好ましく、6〜20がより好ましい。
上記アリール基は、例えば、フェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、クオーターフェニリル基、ペンタレニル基、インデニル基、ナフチル基、ビナフタレニル基、ターナフタレニル基、クオーターナフタレニル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、インダセニル基、フルオランテニル基、アセフェナントリレニル基、アセアントリレニル基、フェナレニル基、フルオレニル基、アントリル基、ビアントラセニル基、ターアントラセニル基、クオーターアントラセニル基、アントラキノリル基、フェナントリル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、クリセニル基、ナフタセニル基、プレイアデニル基、ピセニル基、ペリレニル基、ペンタフェニル基、ペンタセニル基、テトラフェニレニル基、ヘキサフェニル基、ヘキサセニル基、ルビセニル基、コロネニル基、トリナフチレニル基、ヘプタフェニル基、ヘプタセニル基、ピラントレニル基、又はオバレニル基等が挙げられる。これらの中でもフェニル基が好ましい。
式(5)中、R〜R10におけるハロゲン原子は、特に限定されないが、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子が挙げられる。
式(5)中、R〜R10におけるアルキル基(−R)の炭素数は、1〜20が好ましく、1〜10がより好ましく、1〜6がさらに好ましい。アルキル基は、直鎖構造、分岐構造、単環構造、又は縮合多環構造のいずれであってもよい。
特に限定されないが、アルキル基は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、イソプロピル基、イソブチル基、イソペンチル基、2−エチルヘキシル基、2−ヘキシルドデシル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、tert−オクチル基、ネオペンチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、ボロニル基、又は4−デシルシクロヘキシル基等が挙げられる。
上記アルキル基は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子などの他の置換基で置換されてもよい。すなわち、上記アルキル基は、フルオロアルキル基であってよく、パーフルオロアルキル基であってもよい。フルオロアルキル基は、例えば、モノフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基が挙げられる。
上記アルキル基は、2以上のアルキル基(但し、一方はアルキレン基となる)が連結基を介して互いに結合した構造を有してもよい。連結基の具体例として、エステル結合(−COO−)、エーテル結合(−O−)、スルフィド結合(−S−)が挙げられる。すなわち、本明細書において、アルキル基は、例えば、「−R’−O−R」で表される基が挙げられる(R’は上記アルキル基から水素原子を1つ除いた原子団を表す)。具体例として、−C−O−Cが挙げられる。
本明細書において、アルキル基は、炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がより好ましく、炭素数1又は2のアルキル基がさらに好ましい。
式(5)中、R〜R10におけるアルコキシ基は、上述のアルキル基(−R)に酸素原子が結合した基(−OR)である。
式(5)中、R〜R10おけるアリール基(−Ar)は、芳香族炭化水素から水素原子を1つ除いた原子団である。炭素数は6〜30が好ましく、6〜20がより好ましい。
上記アリール基は、例えば、フェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、クオーターフェニリル基、ペンタレニル基、インデニル基、ナフチル基、ビナフタレニル基、ターナフタレニル基、クオーターナフタレニル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、インダセニル基、フルオランテニル基、アセフェナントリレニル基、アセアントリレニル基、フェナレニル基、フルオレニル基、アントリル基、ビアントラセニル基、ターアントラセニル基、クオーターアントラセニル基、アントラキノリル基、フェナントリル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、クリセニル基、ナフタセニル基、プレイアデニル基、ピセニル基、ペリレニル基、ペンタフェニル基、ペンタセニル基、テトラフェニレニル基、ヘキサフェニル基、ヘキサセニル基、ルビセニル基、コロネニル基、トリナフチレニル基、ヘプタフェニル基、ヘプタセニル基、ピラントレニル基、又はオバレニル基等が挙げられる。これらの中でもフェニル基が好ましい。
式(5)中、R〜R10におけるアリールオキシ基は、上述のアリール基(−Ar)に酸素原子が結合した基(−OAr)である。本明細書において、アリールオキシ基は、フェノキシ基であることが好ましい。
本明細書において、式(5)中、R〜R10は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のフルオロアルキル基、アルコキシ基(アルキル基の炭素数は1〜6)、フェニル基およびフェノキシ基からなる群から選択されることが好ましい。
イソインドリン化合物(1)及びイソインドリン化合物(2)は、それぞれ単独または2種類以上を併用して使用できる。
イソインドリン化合物(1)およびイソインドリン化合物(2)を含む顔料組成物の製造は、(A)2種類を一度に合成する方法(共合成法)、(B)分散体の作成時にイソインドリン化合物(1)とイソインドリン化合物(2)を混合する方法、(C)イソインドリン化合物(1)とイソインドリン化合物(2)を一緒にアシッドペースティング法、アシッドスラリー法、ドライミリング法、ソルトミリング法、ソルベントソルトミリング法、ソルベント法(アルコールや芳香族溶媒などの高沸点溶媒中で加熱処理すること)により処理する方法、もしくは(A)〜(C)を組み合わせた方法で顔料組成物にする方法等が挙げられる。これらの中でも(A)共合成法、(C)イソインドリン化合物(1)とイソインドリン化合物(2)を一緒にアシッドペースティング法、ソルベントソルトミリング法により処理、もしくは(A)、(C)を組み合わせた方法で顔料組成物にする方法がさらに好ましい。
[イソインドリン化合物(1)の製造方法]
イソインドリン化合物(1)は、公知の合成手法で合成できる。例えば、下記スキーム1に示すように、式(6)で表されるフタロニトリル(以下、化合物(6)という)、又は式(7)で表されるイソインドリン(以下、化合物(7)という)を出発原料として合成できる。
以下、イソインドリン化合物(1)の具体例に沿って、合成方法を説明する。以下の説明では、各式で記載した番号を化合物の番号として記載する。
イソインドリン化合物(1)は、下記スキーム1に従って製造できる。
(スキーム1)
Figure 0006893277
スキーム1は、溶媒中、化合物(6)と塩基とを反応させて化合物(7)を得る第一工程(S1);次いで、水の存在下で、化合物(7)と、化合物(8)とを反応させる第二工程(S2);次いで、酢酸の存在下で、化合物(9)と、化合物(8)とを反応させる第三工程(S3)を含んでよい。スキーム1における各工程での反応温度は、10〜100℃程度が好ましい。
第一工程(S1)に用いる溶媒は、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、及びグリコール等のアルコール;グリコールエーテル、及びテトラヒドロフラン等のエーテル;ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、及びN−メチルピロリドン等の非環状又は環状のアミドが挙げられる。これらの中でも、非環状又は環状のアミドが好ましく、テトラヒドロフラン、ホルムアミドがより好ましい。
溶媒は、単独または2種類以上を併用して使用できる。溶媒の使用量は、化合物(6)の質量に対して、5〜15質量倍の量が好ましく、5〜10質量倍の量がより好ましい。
塩基は、例えば、アルカリ金属水酸化物、リチウム、ナトリウムまたはカリウムなどのアルカリ金属、アルカリ金属アミド、アルカリ金属水素化物;及び炭素数1〜10のアルキル鎖、又はアルキレン鎖を有する第1級、第2級又は第3級脂肪族アルコール由来の、アルカリ金属又はアルカリ土類金属アルコキシドが挙げられる。これらの中でも、水酸化ナトリウム、又は炭酸カリウムが好ましい。
また、他の合成法として、イソインドリン化合物(1)は、例えば、下記スキーム2に従って製造できる。
(スキーム2)
Figure 0006893277
スキーム2は、アンモニア水溶液の存在下で、化合物(7)と、化合物(8)とを反応させる第二工程(S2);次いで、酢酸の存在下で、化合物(9)と、化合物(8)と反応させる第三工程(S3)を含んでよい。
スキーム2の第二工程(S2)において、アンモニア水溶液の使用量は、28%アンモニア水溶液を用いる場合、化合物(7)の質量に対して、1〜20質量倍の量が好ましく、1〜5質量倍の量がより好ましい。
また、スキーム2は酢酸の存在下で化合物(7)と化合物(8)、化合物(9)と化合物(8)とを連続して反応させる工程を含んでもよい。
いずれの場合も、スキーム2における各工程での反応温度は、10〜100℃程度が好ましい。
[イソインドリン化合物(2)の製造方法]
イソインドリン化合物(2)は公知の方法で合成できる。例えば、特開昭55−157657、特開昭56−081369、特開昭57−035565、特開平03−153761、特開昭54−091532、特開昭60−058469等が挙げられる。
イソインドリン化合物(2)の好ましい構造として化合物(10)〜(18)を例示する。なお、イソインドリン化合物(2)が以下に限定されないことはいうまでもない。
Figure 0006893277
イソインドリン化合物(1)およびイソインドリン化合物(2)は、それぞれ、または一緒に、微細化処理を行い微細粒子に加工してから使用することが好ましく、一緒に処理することがより好ましい。微細化処理は、例えば、アシッドペースティングに代表される溶解析出法やソルベントソルトミリング、ドライミリング等が挙げられる。微細化後の顔料粒子径は、平均一次粒子径は、20〜300nmが好ましく、50〜150nmがより好ましい。なお、ソルベントソルトミリングの条件によっては、顔料粒子の粒子径が成長する場合もある。
アシッドペースティングによる微細化は、顔料を濃硫酸に溶解し、それを大過剰の水と混合することによって、微細な顔料粒子を析出させる。その後、濾過、及び水洗を繰り返し、乾燥することによって、微細化された顔料粒子が得られる。
アシッドペースティングは、例えば、顔料をその5〜30質量倍の98%硫酸に溶解し、得られた硫酸溶液をその5〜30質量倍の水と混合する方法が挙げられる。顔料を硫酸に溶解する時の温度は、原料の分解及びスルホン化などの反応が起こらなければよい。上記溶解時の温度は、例えば3〜40℃が好ましい。また、顔料の硫酸溶液と水とを混合する方法、及び混合温度などの条件も特に限定されない。多くの場合、高温よりも低温で混合した時に、析出する顔料粒子は微細となる傾向がある。そのため、上記混合時の温度は、例えば0℃〜60℃が好ましい。混合時に使用する水は、工業的に使用可能な水であればよい。ただし、析出時の温度上昇を低減する観点から、予め冷却した水が好ましい。
硫酸溶液と水との混合方法は特に限定されず、顔料を完全に析出できればどのような方法で混合してもよい。例えば、硫酸溶液を予め調製した氷水に注入する方法、及びアスピレーターなどの装置を使用して流水中に連続的に注入する方法などによって顔料粒子を析出させることができる。
以上の方法で得られたスラリーを濾過、洗浄して酸性成分を除去し、その後、乾燥、粉砕することによって、所望の粒子径に調整した顔料が得られえる。スラリーを濾過する際に、硫酸溶液と水とを混合したスラリーをそのまま濾過してもよいが、スラリーの濾過性が悪い場合は、スラリーを加熱撹拌してから濾過してもよい。また、スラリーを塩基で中和した後に濾過してもよい。
ソルベントソルトミリングによる微細化は、顔料、水溶性無機塩及び水溶性溶剤の少なくとも三成分からなる粘土状の混合物を、ニーダー等を使用して強力に混練する。混練後の混合物を水中に投入し、各種撹拌機で撹拌してスラリー化する。得られたスラリーを濾過することにより、水溶性無機塩及び水溶性溶剤を除去する。以上のスラリー化と濾過、及び水洗を繰り返し、微細化された顔料を得ることができる。
水溶性無機塩は、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、及び塩化カリウムなどを使用できる。これらの無機塩は、顔料の1質量倍以上、好ましくは20質量倍以下の範囲で用いる。無機塩の量を1質量倍以上とした場合、顔料を十分に微細化できる。また、無機塩の量を20重量倍以下とした場合、混練後に水溶性の無機塩及び水溶性溶剤を除去するための多大な労力が不要であると同時に、一回に処理できる顔料の量が減少しないため、生産性の観点で好ましい。
顔料の微細化は、混練に伴って発熱することが多い。そのため、安全性の観点から、沸点が120〜250℃程度の水溶性溶剤を使用することが好ましい。水溶性溶剤の具体例としては、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−ブトキシエタノール、2−(イソペンチルオキシ)エタノール、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、液体ポリエチレングリコール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、及び低分子量ポリプロピレングリコール等が挙げられる。
ドライミリングによる微細化は、各種粉砕機を用いて顔料を乾式粉砕することによって微細化する。この方法において、粉砕は、粉砕メディア同士の衝突又は摩擦を通じて進行する。ドライミリングを行うために使用する装置は特に限定されないが、具体例としては、ビーズ等の粉砕メディアを内蔵した乾式粉砕装置である、ボールミル、アトライター、及び振動ミルなどが挙げられる。これらの装置を使用して乾式粉砕する際に、必要に応じて、粉砕容器の内部を減圧したり、及び窒素ガスなどの不活性ガスを充填したりしてもよい。また、ドライミリングした後に、上記のソルベントソルトミリング、及び溶剤中での撹拌処理などを行ってもよい。
[色素誘導体]
顔料組成物は、色素誘導体を含有できる。
色素誘導体は、有機色素残基に酸性基、塩基性基、中性基などを有する公知の化合物である。色素誘導体は、例えば、スルホ基、カルボキシ基、リン酸基などの酸性置換基を有する化合物及びこれらのアミン塩や、スルホンアミド基や末端に3級アミノ基などの塩基性置換基を有する化合物、フェニル基やフタルイミドアルキル基などの中性置換基を有する化合物が挙げられる。
有機色素は、例えばジケトピロロピロール系顔料、アントラキノン系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、チアジンインジゴ系顔料、トリアジン系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、ベンゾイソインドール等のインドール系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、ナフトール系顔料、スレン系顔料、金属錯体系顔料、アゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系顔料等が挙げられる。
具体的には、ジケトピロロピロール系色素誘導体としては、特開2001−220520号公報、WO2009/081930号パンフレット、WO2011/052617号パンフレット、WO2012/102399号パンフレット、特開2017−156397号公報、フタロシアニン系色素誘導体としては、特開2007−226161号公報、WO2016/163351号パンフレット、特開2017−165820号公報、特許第5753266号公報、アントラキノン系色素誘導体としては、特開昭63−264674号公報、特開平09−272812号公報、特開平10−245501号公報、特開平10−265697号公報、特開2007−079094号公報、WO2009/025325号パンフレット、キナクリドン系色素誘導体としては、特開昭48−54128号公報、特開平03−9961号公報、特開2000−273383号公報、ジオキサジン系色素誘導体としては、特開2011−162662号公報、チアジンインジゴ系色素誘導体としては、特開2007−314785号公報、トリアジン系色素誘導体としては、特開昭61−246261号公報、特開平11−199796号公報、特開2003−165922号公報、特開2003−168208号公報、特開2004−217842号公報、特開2007−314681号公報、ベンゾイソインドール系色素誘導体としては、特開2009−57478号公報、キノフタロン系色素誘導体としては、特開2003−167112号公報、特開2006−291194号公報、特開2008−31281号公報、特開2012−226110号公報、ナフトール系色素誘導体としては、特開2012−208329号公報、特開2014−5439号公報、アゾ系色素誘導体としては、特開2001−172520号公報、特開2012−172092号公報、酸性置換基としては、特開2004−307854号公報、塩基性置換基としては、特開2002−201377号公報、特開2003−171594号公報、特開2005−181383号公報、特開2005−213404号公報、などに記載の公知の色素誘導体が挙げられる。なおこれらの文献には、色素誘導体を誘導体、顔料誘導体、分散剤、顔料分散剤若しくは単に化合物などと記載している場合があるが、前記した有機色素残基に酸性基、塩基性基、中性基などの置換基を有する化合物は、色素誘導体と同義である。
色素誘導体は、単独又は2種類以上を混合して使用できる。
本発明の着色組成物は、上記顔料組成物および分散媒体を含むことが好ましい。
[分散媒体]
分散媒体は、樹脂、溶剤が挙げられる。樹脂は、樹脂型分散剤、バインダー樹脂が挙げられる。溶剤は、水、有機溶剤が挙げられる。なお、必要に応じて界面活性剤等の低分子分散剤を使用できる。
樹脂型分散剤は、例えばBASFジャパン社製 JONCRYL67、JONCRYL678、JONCRYL586、JONCRYL611、JONCRYL683、JONCRYL690、JONCRYL57J、JONCRYL60J、JONCRYL61J、JONCRYL62J、JONCRYL63J、JONCRYLHPD−96J、JONCRYL501J、JONCRYLPDX−6102B、ビックケミー社製DISPERBYK、DISPERBYK180、DISPERBYK187、DISPERBYK190、DISPERBYK191、DISPERBYK194、DISPERBYK2010、DISPERBYK2015、DISPERBYK2090、DISPERBYK2091、DISPERBYK2095、DISPERBYK2155、日本ルーブリゾール社製SOLSPERS24000、SOLSPERS32000、SOLSPERS41000、サートマー社製、SMA1000H、SMA1440H、SMA2000H、SMA3000H、SMA17352H等が挙げられる。
バインダー樹脂は、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン共重合体、アクリル樹脂、及びこれらの変性樹脂が挙げられる。バインダー樹脂は、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(L−LDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)等のポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂;ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂;スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタレン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体等のスチレン共重合体;アクリル樹脂、メタクリル樹脂等のアクリル樹脂;ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、天然変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂、ポリウレタン、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、アルキド樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、石油樹脂、及びこれらの変性樹脂等が挙げられる。
有機溶剤は、水溶性溶剤、非水溶性溶剤に分類できる。
水溶性溶剤は、例えばエタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、イソブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、及びグリセリン等が挙げられる。非水溶性溶剤は、例えばトルエン、キシレン、ブチルアセテート、メチルアセテート、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ブチルアルコール、及び脂肪族炭化水素等が挙げられる。
着色組成物を構成する各材料は、それぞれ単独または2種類以上を併用して使用できる。
(水系着色組成物)
本明細書で着色組成物は、水系着色組成物として使用することが好ましい。
水系着色組成物は、顔料組成物、分散媒体として樹脂、水、水溶性溶剤を含むことが好ましい。
樹脂の種類は、例えば、スチレン−アクリル酸共重合体、アクリル酸−アクリル酸アクリルエステル共重合体、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸アクリルエステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合物の塩、スチレン−マレイン酸共重合物の塩、マレイン酸−無水マレイン酸共重合物の塩、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合物の塩、ポリエステル変性アクリル酸重合体等が挙げられる。
また、樹脂の形態は、水溶性樹脂、エマルション等が挙げられる。
水は、イオン交換水、蒸留水が好ましい。
水溶性溶剤は、例えば、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−ブトキシエタノール、2−(イソペンチルオキシ)エタノール、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、液体ポリエチレングリコール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、液体ポリプロピレングリコール等が挙げられる。
水系着色組成物は、界面活性剤を含有できる。界面活性剤は、例えば、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤等が挙げられる。
アニオン性界面活性剤は、例えば、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルアリールスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルジアリールエーテルジスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、及びポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル塩等が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤は、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセロールボレイト脂肪酸エステル、及びポリオキシエチレングリセロール脂肪酸エステル等が挙げられる。
界面活性剤の含有量は、水系着色組成物100質量%中、0.3〜20質量%が好ましく、1〜10質量%がより好ましい。
界面活性剤の含有量は、顔料100質量部に対して5〜200質量部が好ましく、25〜100質量部がより好ましい。
水系着色組成物は、その他添加剤を含有できる。その他添加剤は、防腐剤、pH調整剤、消泡剤、湿潤剤等が挙げられる。
防腐剤は、例えば、デヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ソジウムピリジンチオン−1−オキサイド、ジンクピリジンチオン−1−オキサイド、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、1−ベンズイソチアゾリン−3−オンのアミン塩等が挙げられる。
防腐剤の含有量は、水系着色組成物100質量部中、0.1〜2質量%が好ましい。
pH調整剤は、例えば、各種アミン、無機塩、アンモニア、各種緩衝液等が挙げられる。
消泡剤は、水系着色組成物を製造する際の泡の発生を防止するために使用する。消泡剤の市販品は、例えば、サーフィノール104E、サーフィノール104H、サーフィノール104A、サーフィノール104BC、サーフィノール104DPM、サーフィノール104PA、サーフィノール104PG−50、サーフィノール420、サーフィノール440、サーフィノール465、サーフィノール485、サーフィノールPSA−336(いずれも日信化学工業社製)、ADDITOL VXW 6211、ADDITOL VXW4973、ADDITOL VXW6235、ADDITOL XW375、ADDITOL XW376、ADDITOL VXW6381、ADDITOL VXW6386、ADDITOL VXW6392、ADDITOL VXW6393、ADDITOL VXW6399、ADDITOL XW6544等(いずれもAllnex社製)が挙げられる。
湿潤剤は、印刷や塗工の際、平滑な被膜を得るために使用する。湿潤剤の市販品は、例えば、ADDITOL VXL6237N、ADDITOL XL260N、ADDITOL VXL6212、ADDITOL UVX7301/65、ADDITOL XW330、ADDITOL VXW6200、ADDITOL VXW6205、ADDITOL VXW6394、ADDITOL VXW6208、ADDITOL VXW6208/60、ADDITOL VXW6374(いずれもAllnex社製)等が挙げられる。
水系着色組成物の作製に使用する各材料は、それぞれ単独または2種類以上を併用して使用できる。
水系着色組成物は、顔料組成物、樹脂、水、および必要に応じてその他添加剤等の材料を分散処理して作製できる。
前記分散処理に使用する分散機は、例えば、横型サンドミル、縦型サンドミル、アニュラー型ビーズミル、アトライター、マイクロフルイタイザー、ハイスピードミキサー、ホモミキサー、ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、ボールミル、ペイントシェーカー、ロールミル、石臼式ミル、超音波分散機、衝突型ビーズレス分散機等が挙げられる。
前記分散処理の後、加熱処理や後処理を行うとイソインドリン化合物(1)及びイソインドリン化合物(2)の分散安定性が向上するため好ましい。加熱処理は、水系着色組成物を30〜80℃に加熱し、数時間〜1週間程度保持する処理である。後処理は、水系着色組成物をサンドミル等のビーズ分散機、超音波分散機又は衝突型ビーズレス分散機を用いて分散処理することが好ましい。
なお、前記分散処理の前に、水や水溶性溶剤を使用せずにプレ分散処理を行うことができる。プレ分散処理に使用する装置は、例えば、ニーダー、3本ロールミル等の練肉混合機;2本ロールミル等の固形分散機等が挙げられる。
本明細書の着色組成物の態様は、例えば、顔料組成物および樹脂を含む態様1(例えば、成形用組成物、トナー)、顔料組成物および有機溶剤を含む態様2(例えば、溶剤系着色組成物)、上段で詳しく説明した顔料組成物、樹脂および水を含む態様3(例えば、水系着色組成物)等が挙げられる。
各態様の用途を説明すると、前記態様1は、例えば成形用組成物、トナー、無溶剤系インクジェットインキ等が挙げられる。前記態様2は、溶剤系着色組成物であり、塗料、印刷インキ、インクジェットインキ等が挙げられる。前記態様3は、水系着色組成物であり、水性塗料、水性印刷インキ、水性インクジェットインキ等が挙げられる。本明細書で溶剤が水を含む場合、「水性」と記載するが、溶剤が「有機溶剤」の場合、特に「溶剤系」とは記載しない。なお、水は、金属イオン等を除去したイオン交換水、蒸留水が好ましい。
<成形用組成物>
本発明の成形用組成物は、着色組成物(顔料組成物、樹脂)を含有する。成形用組成物は、樹脂に熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。熱可塑性樹脂を含む成形用組成物は、溶融・混錬し、所望の形状に成形して成形体を作製することが好ましい。成形用組成物は、例えば、300℃で溶融・混錬を行う場合、耐熱性が高いイソインドリン化合物(1)及びイソインドリン化合物(2)を含むため、色彩変化を抑制できる。なお、樹脂は、熱可塑性樹脂に限定されない。
熱可塑性樹脂は、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、スチレン等をモノマー成分として用いたホモポリマー又はコポリマー等が挙げられる。より具体的には、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(L−LDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)等のポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン等のポリオレフィン樹脂が挙げられる。その他の有用な樹脂の具体例として、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂、及び熱可塑性アイオノマー樹脂等が挙げられる。これらの中でもポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂が好ましい。なお、熱可塑性樹脂の数平均分子量は、30,000を超え、200,000以下が好ましい。
熱可塑性樹脂の含有量は、イソインドリン化合物(1)及びイソインドリン化合物(2)の合計100質量部に対して、10,000〜10,000,000質量部が好ましく、10,000〜2,000,000質量部がより好ましい。
成形用組成物は、ワックスを含有できる。ワックスは、低分子量ポリオレフィン類からなる。これらは、エチレン、プロピレン、ブチレンなどのオレフィンモノマーの重合体であり、ブロック、ランダムコポリマーまたはターポリマーであっても構わない。具体的には、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)のようなα−オレフィン類の重合体である。
ワックスの数平均分子量は、1,000〜30,000が好ましく、2,000〜25,000がより好ましい。この範囲内にあることでワックスが適度に成形体表面へ移行するため、摺動性とブリードアウト抑制のバランスに優れる。
ワックスの融点は60〜150℃が好ましく、70〜140℃がより好ましい。この範囲内にあることで熱可塑性樹脂とワックスとを溶融混練する際の加工性が良好となる。
なお、ワックスのJIS K−7210に準拠して求めたメルトフローレイト(MFR)は、100g/10分より大きいことが好ましい。
ワックスの配合量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましい。
成形用組成物は、その他添加剤を含有できる。その他添加剤は、成形体の技術分野で一般に使用される材料であり、酸化防止剤、光安定剤、分散剤、金属石けん、帯電防止剤、難燃剤、滑剤、充填剤、イソインドリン化合物(1)及びイソインドリン化合物(2)以外の着色剤等が挙げられる。
成形用組成物は、例えば、成形体の組成比で製造できる。または、イソインドリン化合物(1)及びイソインドリン化合物(2)を高濃度で含有するマスターバッチとして製造できる。本明細書では、イソインドリン化合物(1)及びイソインドリン化合物(2)を成形体中に均一に分散し易い面でマスターバッチが好ましい。
マスターバッチは、例えば、熱可塑性樹脂と顔料組成物を溶融混練し、次いで、次工程で使用しやすい様に任意の形状に成形することが好ましい。次いで、前記マスターバッチと希釈樹脂(例えば、マスターバッチに使用した熱可塑性樹脂)とを溶融混練し、所望の形状の成形体を成形できる。マスターバッチの形状は、例えば、ペレット状、粉末状、板状等が挙げられる。なお、顔料組成物の凝集を防ぐため、予め、顔料組成物とワックスを溶融混練した分散体を製造した後、熱可塑性樹脂と共に、溶融混錬してマスターバッチを製造することが好ましい。分散体に使用する装置は、例えば、ブレンドミキサーや3本ロールミル等が好ましい。
成形用樹脂組成物をマスターバッチとして製造する場合、熱可塑性樹脂100質量部に対して、イソインドリン化合物(1)及びイソインドリン化合物(2)を合計1〜200質量部配合することが好ましく5〜100質量部がより好ましい。マスターバッチ(X)と、成形体の母材樹脂となる希釈樹脂(Y)との質量比は、X/Y=1/1〜1/100が好ましく、1/3〜2/100がより好ましい。この範囲にすると成形体にイソインドリン化合物(1)及びイソインドリン化合物(2)が均一に分散し易くなり、良好な着色が得やすい。
希釈樹脂(Y)は、マスターバッチで使用する熱可塑性樹脂の使用が好ましいが、相溶性に問題なければ、他の熱可塑性樹脂を使用しても構わない。
溶融混練は、例えば、単軸混練押出機、二軸混練押出機、タンデム式二軸混練押出機等が挙げられる。溶融混錬温度は、熱可塑性樹脂の種類により異なるが、通常150〜300℃程度である。
成形用組成物の用途は、例えば、成形体、シート、フィルム等が挙げられる。
<トナー>
本明細書のトナーは、着色組成物(顔料組成物、樹脂)を含有する。トナーで樹脂は、結着樹脂といい熱可塑性樹脂が好ましい。トナーは、乾式トナー、湿式トナーが挙げられる。これらの中でも乾式トナーが好ましい。例えば、乾式トナーは、顔料組成物、および結着樹脂を溶融混練し、冷却した後、粉砕、及び分級工程を行う。次いで、添加剤を配合し混合する後処理工程を行い、製造できる。
結着樹脂は、例えば、スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタレン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、天然変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油系樹脂等が挙げられる。
これらの中でもポリエステル樹脂、スチレン系共重合体が好ましく、ポリエステル樹脂がより好ましい。本明細書の顔料組成物は、ポリエステル樹脂に対する相溶性が特に優れているため、トナー中にイソインドリン化合物(1)及びイソインドリン化合物(2)を均一かつ微細に分散されるため、高品質のトナーが得られる。
ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、5,000以上が好ましく、10,000〜1,000,000がより好ましく、20,000〜100,000がさらに好ましい。適度なMwのポリエステル樹脂を使用すると耐オフセット性及び低温定着性が良好なトナーが得られる。
ポリエステル樹脂の酸価は、10〜60mgKOH/gが好ましく、15〜55mgKOH/gがより好ましい。適度な酸価のポリエステル樹脂を使用すると離型剤の遊離抑制し易く、高湿環境における画像濃度の低下が生じ難い。
ポリエステル樹脂の水酸基価は、20mgKOH/g以下が好ましく、15mgKOH/g以下がより好ましい。適度な水酸基価のポリエステル樹脂を使用すると高湿環境で画像濃度の低下が生じ難い。なお、前記水酸基価の下限は0.1mgKOH/gである。
ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、50〜70℃が好ましく、50〜65℃がより好ましい。適度なTgによりトナーの凝集を抑制できる。なお、Tgは、示差走査熱量計(装置:DSC−6、島津製作所社製)で測定できる。
トナーは、さらに荷電制御剤を含有できる。荷電制御剤を使用すると、帯電量の安定したトナーが得やすい。荷電制御剤は、正又は負の荷電制御剤を適宜選択して使用できる。
トナーが正帯電性トナーである場合、正の荷電制御剤は、例えば、ニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、有機錫オキサイド、四級アンモニウム塩化合物、及び四級アンモニウム塩を官能基としてスチレン・アクリル樹脂に共重合したスチレン・アクリル系ポリマー等が挙げられる。これらの中でも、四級アンモニウム塩化合物が好ましい。四級アンモニウム塩化合物は、例えば、四級アンモニウム塩と有機スルホン酸又はモリブデン酸との造塩化合物が挙げられる。有機スルホン酸は、ナフタレンスルホン酸が好ましい。
トナーが負帯電性トナーである場合、負の荷電制御剤は、例えば、モノアゾ染料の金属錯体、スルホン酸を官能基としてスチレン・アクリル樹脂に共重合したスチレン・アクリル系ポリマー、芳香族ヒドロキシカルボン酸の金属塩化合物、芳香族ヒドロキシカルボン酸の金属錯体、フェノール系縮合物、及びホスホニウム系化合物等が挙げられる。芳香族ヒドロキシカルボン酸は、サリチル酸、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3−フェニルサリチル酸が好ましい。また、金属塩化合物に用いられる金属は、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、クロム、及びアルミニウム等が挙げられる。
トナーは、離型剤を含有できる。離型剤は、例えば、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、フィーシャートロプシュワックス等の炭化水素系ワックス類、合成エステルワックス類、カルナバワックス、ライスワックス等の天然エステル系ワックス類等が挙げられる。
トナーは、必要に応じて、滑剤、流動化剤、研磨剤、導電性付与剤、画像剥離防止剤等を添加できる。
滑剤は、ポリフッ化ビニリデン、及びステアリン酸亜鉛等が挙げられる。流動化剤は、乾式法又は湿式法で製造したシリカ、酸化アルミニウム、酸化チタン、珪素アルミニウム共酸化物、および珪素チタン共酸化物、ならびにこれらを疎水性化処理物等が挙げられる。これらの中でも疎水化処理されたシリカ、珪素アルミニウム共酸化物、及び珪素チタン共酸化物微粉体が好ましい。これら微粉体の疎水化処理方法は、シリコンオイル又はテトラメチルジシラザン、ジメチルジクロロシラン、ジメチルジメトキシシラン等のシランカップリング剤による処理等が挙げられる。
研磨剤は、窒化珪素、酸化セリウム、炭化ケイ素、チタン酸ストロンチウム、タングステンカーバイド、炭酸カルシウム、及びこれらを疎水化処理したもの等が挙げられる。導電性付与剤は、酸化錫等が挙げられる。
また、本明細書でトナーは、一成分系現像剤、または二成分系現像剤として使用できる。二成分系現像剤は、さらにキャリアを含有できる。
キャリアは、例えば、鉄粉、フェライト粉、およびニッケル粉等の磁性粉体、ならびにこれらの表面を樹脂等による被覆処理物が挙げられる。キャリア表面を被覆する樹脂は、例えば、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸エステル共重合体、フッ素含有樹脂、シリコーン含有樹脂、ポリアミド樹脂、アイオノマー樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂等が挙げられる。これらの中でも、スペントトナーの形成が少ないシリコーン含有樹脂が好ましい。キャリアの重量平均粒径は30〜100μmが好ましい。
二成分現像剤におけるトナーとキャリアとの混合比( 質量比)は、トナー:キャリア=1:100〜30:100が好ましい。
<塗料>
本明細書の塗料は、着色組成物(顔料組成物、樹脂、溶剤)を含有する。
前記樹脂は、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂は、ガラス転移温度が、10℃以上の樹脂が好ましい。熱硬化性樹脂の種類は、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル、ポリウレタン等が挙げられる。また、熱硬化性樹脂は、硬化剤と反応可能な官能基を有することが好ましい。前記官能基は、例えば、カルボキシル基、水酸基等が挙げられる。硬化剤は、例えば、イソシアネート硬化剤、エポキシ硬化剤、アジリジン硬化剤、アミン硬化剤等が挙げられる。
熱可塑性樹脂は、ガラス転移温度が30℃以上の樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂は、例えば、ニトロセルロース、ポリエステル等が挙げられる。なお、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂は併用できる、
前記溶剤の中で非水溶性溶剤は、例えば、トルエン、キシレン、ブチルアセテート、メチルアセテート、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ブチルアルコール、及び脂肪族炭化水素等が挙げられる。
前記溶剤の中で水溶性溶剤は、例えば、水、一価アルコール、二価のアルコール、グリコールが挙げられる。水溶性溶剤は、例えば、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、イソブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、及びグリセリンが挙げられる。また、多価アルコールから誘導された水希釈性モノエーテルもあげられる。その具体例は、メトキシプロパノール又はメトキシブタノールが挙げられる。また、例えば、ブチルグリコール又はブチルジグリコールなどの水希釈性グリコールエーテルも挙げられる。なお、塗料は、既に説明した通り溶剤に水を含む場合、水性塗料という。
塗料は、さらに公知の添加剤を含有できる。
塗料の用途は、例えば、金属用塗料、プラスチック用塗料等が挙げられる。
<印刷インキ>
本明細書の印刷インキは、着色組成物(顔料組成物、樹脂、溶剤)を含有する。印刷インキは、インジェットインキ以外のインキであり、例えば、オフセット印刷用インキ、フレキソ印刷用インキ、グラビア印刷用インキ、カラーフィルタ用インキ等が挙げられる。なお、上記の通り、溶剤が水を含む場合水性印刷インキという。
前記樹脂は、例えば、ロジン樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、ポリウレタン、ニトロセルロース、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、石油樹脂等が挙げられる。
溶剤のうち非水溶性溶剤は、例えば、トルエン、キシレン、ブチルアセテート、メチルアセテート、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ブチルアルコール、脂肪族炭化水素等が挙げられる。
溶剤のうち水溶性溶剤はエタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、イソブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンが挙げられる。また、多価アルコールから誘導された水希釈性モノエーテルも挙げられる。例えば、メトキシプロパノール又はメトキシブタノールが挙げられる。また、ブチルグリコール又はブチルジグリコールなどの水希釈性グリコールエーテルも挙げられる。
印刷インキは、さらに光輝材を含有できる。光輝材は、平均厚み0.5〜10μm及び平均粒子径5〜50μmの粒子であり、金属フレーク、マイカ、被覆ガラスフレークが挙げられる。金属フレークは、例えば、アルミフレーク、金粉等が挙げられる。マイカは、例えば、通常のマイカ、被覆マイカ等が挙げられる。被覆ガラスフレークは、例えば、酸化チタン等の金属酸化物で被覆されたガラスフレーク等が挙げられる。
光輝材の含有量は、印刷インキ100質量%中、0.1〜10質量%が好ましい。また、その他、当技術分野において通常使用されるその他の着色顔料、及び種々の添加剤を必要に応じて配合してもよい。印刷インキの製造方法、また塗布方法、及び乾燥方法は特に限定されず、当技術分野で周知の方法を使用できる。
印刷インキは、さらに公知の添加剤を含有できる。
<インクジェットインキ>
本発明のインクジェットインキは、顔料組成物、および樹脂を含有し、さらに溶剤を含有することが好ましい。インクジェットインキは、溶剤有無やその種類により、(溶剤系)インクジェットインキ、水性インクジェットインキ、紫外線硬化インクジェットインキに大別できる。本明細書では、イソインドリン化合物(1)及びイソインドリン化合物(2)の良好な分散性が生きる水性インクジェットインキが好ましい。以下、水性インクジェットインキを中心に説明する。
顔料組成物の含有量は、水性インクジェットインキ100質量%中、0.5〜30質量%が好ましく、1〜15質量%がより好ましい。
水性インクジェットインキで使用する樹脂は、被印刷物(基材)に対するインキの定着性を得るために重要である。
樹脂の種類は、例えば、アクリル系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂等が挙げられる。また、樹脂の形態は、水溶性樹脂、エマルション粒子等が挙げられる。これらの中でも、エマルション粒子が好ましい。エマルション粒子は、単一組成粒子、コアシェル型粒子等があり任意に選択して使用できる。エマルション粒子を使用すると水性インクジェットインキの低粘度化が容易であり、耐水性に優れた記録物が容易に得られる。樹脂は、必要に応じて、アンモニア、各種アミン、各種無機アルカリ等のpH調製剤によって酸性官能基を中和して使用できる。
樹脂の含有量は、インクジェットインキの不揮発分100質量%中、2〜30質量%が好ましく、3〜20質量%がより好ましい。適度に含有すると吐出安定性が向上し、定着性も向上する。
溶剤は、非水溶性溶剤、水、水溶性溶剤が挙げられる。水溶性溶剤は、グリコールエーテル類、ジオール類が挙げられる、これらの溶剤は基材への浸透が非常に速く、コート紙、アート紙や塩化ビニルシート、フィルム、布帛といった低吸液性や非吸液性の基材に対しても、浸透が速い。そのため、印刷時の乾燥が速く、正確な印字を実現することができる。また、沸点が高いため、湿潤剤としても作用する。
水溶性溶剤は、水性インクジェットインキのプリンターヘッドにおけるノズル部分での乾燥、固化を防止し、インキの吐出安定性を得るために重要である。水溶性溶剤は、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ケトンアルコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、1,2−ヘキサンジオール、N−メチル−2−ピロリドン、置換ピロリドン、2,4,6−ヘキサントリオール、テトラフルフリルアルコール、4−メトキシ−4メチルペンタノン等が挙げられる。
水を含む水溶性溶剤の含有量は、インクジェットインキ100質量%中、15〜50質量%が好ましい。
インクジェットインキは、さらに添加剤を含有できる。添加剤は、例えば、乾燥促進剤、浸透剤、防腐剤、キレート剤、pH調整剤等が挙げられる。
乾燥促進剤は、水性インクジェットインキの印字後の乾燥を速めるために使用する。乾燥促進剤は、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコールが挙げられる。乾燥促進剤の含有量は、水性インクジェットインキ100質量%中、1〜50質量%が好ましい。
浸透剤は、基材が紙のような浸透性の素材である場合、基材へのインキの浸透を促進し、見掛けの乾燥性を早くするために使用する。浸透剤は、水溶性溶剤に加え、ポリエチレングリコールモノラウリルエーテル、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム等の界面活性剤等が挙げられる。浸透剤の使用量は、水性インクジェットインキ100質量%中、0.1〜5質量%が好ましい。適量使用すると印字の滲み、及び紙抜け等が生じ難い。
防腐剤は、例えば、デヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ソジウムピリジンチオン−1−オキサイド、ジンクピリジンチオン−1−オキサイド、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、1−ベンズイソチアゾリン−3−オンのアミン塩等が挙げられる。防腐剤の使用量は、水性インクジェットインキ100質量%中、0.05〜1.0質量%が好ましい。
キレート剤は、水性インクジェットインキ中に含まれる金属イオンを捕捉し、ノズル部又はインキ中における不溶性物の析出を防止するために使用する。キレート剤は、例えば、エチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン四酢酸のナトリウム塩、エチレンジアミン四酢酸のジアンモニウム塩、エチレンジアミン四酢酸のテトラアンモニウム塩等が挙げられる。キレート剤の使用量は、水性インクジェットインキ100質量%中、0.005〜0.5質量%が好ましい。
pH調整剤は、例えば、各種アミン、無機塩、アンモニア、各種緩衝液等が挙げられる。
インクジェットインキは、各材料を配合して、混合して作製する。混合後、濾過を行い粗大粒子を除去することが好ましい。混合は、羽を用いた撹拌機、各種分散機、乳化機等が挙げられる。各材料の添加順序、及び混合方法は任意である。
インクジェットインキは、ろ過を行うことが好ましい。これによりインクジェットプリンターからの吐出性が良好となる。ろ過は、公知の方法を使用できる。
本明細書のインクジェットインキは、各種のインクジェット方式を使用できる。インクジェット方式としては、例えば、荷電制御型、スプレー型等の連続噴射型、ピエゾ方式、サーマル方式、静電吸引方式等が挙げられる。
以下、本発明を実施例で詳細に説明するが、本発明は、実施例に限定されない。なお、「部」は「質量部」、「%」は「質量%」を意味する。
<イソインドリン化合物の製造>
(実施例1−1)
(工程1)
還流冷却管、滴下漏斗、及び撹拌機を具備した4口フラスコに、水800部、1,3−ジイミノイソインドリン60部、28%アンモニア水120部の順に加え、撹拌した。そこへ2−シアノ−N−メチルアセトアミド42.58部を水160部に溶解させた溶液を、滴下漏斗を使用して30分間で滴下した。30℃にて原料の1,3−ジイミノイソインドリンが消失するまで加熱撹拌した。この反応スラリーを、ブフナー漏斗を用いてろ別した。さらに、ろ物を水1600部に加え、40℃にて30分攪拌し未反応の2−シアノ−N−メチルアセトアミドを取り除いた。そのスラリーをろ別し不揮発分を得た。なお、1,3−ジイミノイソインドリンの消失はUPLC(超高速高分離液体クロマトグラフィ Waters社製)にて確認した。
(工程2)
還流冷却管、滴下漏斗及び、撹拌機を具備した4口フラスコに、上記不揮発分60部相当、水480部、80%酢酸162部を加え、撹拌した。一方で、ガラス製フラスコに、水461部、80%酢酸194部を加え、そこへ2−シアノ−N−メチルアセトアミド6.72部、バルビツール酸31.97部を加え、65℃にて撹拌した。この混合物の加熱溶液を上記不揮発分の撹拌液の中に投入し、さらに反応を完結させるために85℃まで昇温し撹拌を行った。加熱撹拌は、原料として使用した上記不揮発分が消失するまで行った。原料の消失はUPLCにて確認した。
その後、室温まで冷却後、水2400部で3回洗浄を行い、不揮発分を得た。この不揮発分を80℃の熱風乾燥機にて乾燥させ、イソインドリン化合物1−1を85.03部得た。
(実施例1−2〜1−5)
実施例1−1の行程2において、2−シアノ−N−メチルアセトアミドを表1の仕込みにそれぞれ変更し、バルビツール酸の仕込み量を表2記載の通りにそれぞれ変更した以外は実施例1−1と同様に合成し、表1のとおりの量を得た。
Figure 0006893277
実施例1−1〜1−5で得られたイソインドリン化合物に含まれる構造を表2に示す。なお、表中、(1)は、イソインドリン化合物(1)、(2)はイソインドリン化合物(2)を示す。
Figure 0006893277
得られたイソインドリン化合物の同定は、マススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数(理論値)とを比較することによって実施した。マススペクトラムの分子イオンピークの測定は、Waters社のACQUITY UPLS H−Class(使用カラム:ACQUITY UPLC BEH C18 Column 130Å、1.7μm、2.1mm×50mm)/Ms TAP XEVO TQDを用いて実施した。イソインドリン化合物(実施例1−1〜1−5)について、理論分子量と、それぞれ質量分析を行った測定値を表2に示す。測定値は測定の性質上、化合物のH(プロトン)が脱離するため、理論分子量の質量数−(マイナス)1の値であれば、化合物が一致することになる。
(製造例1−1)
還流冷却管、滴下漏斗、及び撹拌機を具備した4口フラスコに、水800部、1,3−ジイミノイソインドリン60部、28%アンモニア水120部の順に加え、撹拌した。そこへ2−シアノ−N−メチルアセトアミド42.58部を水160部に溶解させた溶液を、滴下漏斗を使用して30分間で滴下した。30℃にて原料の1,3−ジイミノイソインドリンが消失するまで加熱撹拌した。この反応スラリーを、ブフナー漏斗を用いてろ別した。さらに、ろ物を水1600部に加え、40℃にて30分攪拌した。そのスラリーをろ別し不揮発分を得た。なお、原料の消失はUPLC(超高速高分離液体クロマトグラフィ Waters社製)にて確認した。 還流冷却管、滴下漏斗及び、撹拌機を具備した4口フラスコに、上記不揮発分60部相当、水480部、80%酢酸162部を加え、撹拌した。一方で、ガラス製フラスコに、水461部、80%酢酸194部を加え、そこへバルビツール酸40.74部を加え、65℃にて撹拌した。この混合物の加熱溶液を上記不揮発分の撹拌液の中に投入し、さらに反応を完結させるために85℃まで昇温し撹拌を行った。加熱撹拌は、原料として使用した上記不揮発分が消失するまで行った。原料の消失はUPLCにて確認した。
その後、室温まで冷却後、水2400部にて3回洗浄を行い、不揮発分を得た。この不揮発分を80℃の熱風乾燥機にて乾燥させ、イソインドリン化合物2−1を84.91部得た。
(製造例1−2〜1−6)
1,3−ジイミノイソインドリンの代わりに表3−1記載の原料Bにそれぞれ変更し、2−シアノ−N−メチルアセトアミド42.58部の代わりに表3記載の原料C、仕込み量にそれぞれ変更し、バルビツール酸40.74部の代わりに表3記載の原料D、仕込み量にそれぞれ変更した以外は製造例1−1と同様に合成し、表3−2のとおりのイソインドリン化合物、量を得た。
得られたイソインドリン化合物の同定は、上記同様にマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数(理論値)とを比較することによって実施した。
Figure 0006893277
Figure 0006893277
(実施例2−1)
還流冷却管、滴下漏斗及び、撹拌機を具備した4口フラスコに、水800部、80%酢酸800部を加え、撹拌した。そこへ2−シアノ−N−メチルアセトアミド9.72部、バルビツール酸50.79部を加え、65℃にて撹拌し、2−シアノ−N−メチルアセトアミド及びバルビツール酸を溶解させた。一方で、ガラス製フラスコに、水800部、1,3−ジイミノイソインドリン60.00部を加え、30℃にて撹拌した。この撹拌液を上記加熱溶解液の中に投入し、さらに反応を完結させるために85℃まで昇温し撹拌を行った。加熱撹拌は、原料として使用した上記不揮発分が消失するまで行った。原料の消失はUPLCにて確認した。
その後、室温まで冷却後、水2000部にて3回洗浄を行い、不揮発分を得た。この不揮発分を80℃の熱風乾燥機にて乾燥させ、表5に示すイソインドリン化合物3−1を139.46部得た。
(実施例2−2〜2−3)
2−シアノ−N−メチルアセトアミド9.72部を表4記載の原料E、およその仕込み量にそれぞれ変更した。また、バルビツール酸の代わりに表4記載の原料F、仕込み量にそれぞれ変更した以外は実施例2−1と同様に合成し、表5に示す化合物を表4の通りの生成量を得た。なお、表中、(1)は、イソインドリン化合物(1)を示し、(2)−1、(2)−2はイソインドリン化合物(2)を示す。
(製造例2−1〜2−2)
2−シアノ−N−メチルアセトアミド9.72部、バルビツール酸50.79部の代わりに表4記載の原料E、仕込み量にそれぞれ変更した以外は実施例2−1と同様に合成し、表5のとおりの化合物、量を得た。
Figure 0006893277
Figure 0006893277
(実施例3−1)
イソインドリン化合物(4−2)1部、イソインドリン化合物(2−1)99部、塩化ナトリウム1000部、及びジエチレングリコール150部を、ステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)中に仕込み、60℃で8時間(h)混練した。次に、混練した混合物を約70℃の温水に投入し、1時間攪拌してスラリー状として、濾過及び水洗をして食塩及びジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥させ、粉砕することにより微細化されたイソインドリン化合物(5−1)95部を得た。
(実施例3−2、3−3、製造例3−1〜3−4)
イソインドリン化合物(4−2)1部を表6記載の原料G、仕込み量にそれぞれ変更し、イソインドリン化合物(2−1)99部を表6記載の原料H、仕込み量にそれぞれ変更した以外は、実施例3−1と同様にして、イソインドリン化合物(5−2)、(5−3)、(6−1)〜(6−4)を表6記載の量を得た。
(実施例3−4)
イソインドリン化合物(4−2)1部とイソインドリン化合物(2−1)99部を表6記載の原料G、仕込み量にそれぞれ変更した以外は、同様にして、イソインドリン化合物(5−4)を表6記載の量を得た。
Figure 0006893277
(実施例4−1)
98%硫酸1000部にイソインドリン化合物(4−2)0.4部、イソインドリン化合物(2−1)36.6部を撹拌しながら徐々に加え、4時間撹拌し溶解させた。次いで、溶解液を10℃の水8000部に撹拌しながら30分かけて徐々に滴下し、濾過、温水洗浄を行い、80℃で乾燥させ、微細化されたイソインドリン化合物(7−1)38.5部を得た。
<着色組成物及びその特性評価>
得られた顔料組成物を使用して、各種用途の着色組成物を調製し、物性評価を行った。
<1>成形用組成物の評価
(実施例A−1〜A−13、比較例A−1〜A−6)
<色相評価>
得られたイソインドリン化合物と高密度ポリエチレン樹脂(製品名:ハイゼックス(Hizex)2208J、プライムポリマー社製)を使用し、二軸押し出し機にて溶融混錬を行い、バレル内の温度が200℃になる条件でインジェクション成形を行い、着色力がそれぞれSD1/3の濃度になるように調整して厚さ3mmの着色プレートを11枚作製した。なお、インジェクション成形は、バレル内で組成物の滞留時間が可能な限り短くなる条件で行った。使用したイソインドリン化合物を表7に示す。着色プレートは、平均的な色差を検出するために、6枚目〜11枚目の6枚の着色プレートについて、全光束測定が可能な測色機(コニカミノルタ社製、CM−700d)を用いて、それぞれ測色し、得られた測色値の平均値をコントロール(基準値)とした。その測色値をそれぞれ、イソインドリン化合物(2)のみを使用した着色プレートと比較し、色差(ΔE*)を求め、下記基準に従い評価した。具体的には、実施例A1−1〜A−5、A−9、A−12、A−13比較例A−4〜A−6は比較例A−1を基準とし、実施例A−11は比較例A−2を基準とし、実施例A−10は、比較例A−3を基準とし、評価した。
(評価基準)
5.ΔE*が、1.0未満である。非常に良好
4.ΔE*が、1.0以上、2.0未満である。良好
3.ΔE*が、2.0以上、3.0未満である。実用可
2.ΔE*が、3.0以上、5.0未満である。条件次第で実用可
1.ΔE*が、5.0以上である。実用不可
―.未測定
<耐熱性試験>
耐熱性試験は、ドイツ工業規格DIN12877−1に準拠して行った。バレル内の滞留時間が5分になるように成形条件を調整した後、それぞれ300℃において11枚の着色プレートを成形した。得られた着色プレート、それぞれ6枚目〜11枚目の6枚をそれぞれ測色し、その測色値の平均値を算出した。上記コントロールと、300℃で成形したプレートの測定値との色差(ΔE*)を求め、下記基準に従い評価した。結果を表7に示す。色差が小さいほど耐熱性が良好である。
(評価基準)
5.ΔE*が、2.0未満である。非常に良好
4.ΔE*が、2.0以上、4.5未満である。良好
3.ΔE*が、4.5以上、7.5未満である。実用可
2.ΔE*が、7.5以上10.0未満である。条件次第で実用可
1.ΔE*が、10.0以上である。実用不可
―.未評価
Figure 0006893277
<評価結果>
イソインドリン化合物(1)を含む、実施例A−1〜A−13は、イソインドリン化合物(2)の色相を損なうことはなく、イソインドリン化合物(2)のみの比較例A−1〜A−3と比べ、耐熱性が大きく向上した。しかしながら、イソインドリン化合物(1)とは異なる構造の化合物を含む、比較例A−4〜A−6は、イソインドリン化合物(2)と大きく色相が変わってしまった。
この理由としてイソインドリン化合物6−2〜6−4は、イソインドリン化合物(1)と似た構造であるものの、それ単体で化合物自体の彩度が低いため、顔料組成物としての色相が変わってしまったと推測した。
(実施例A−14)成形体の作製
イソインドリン化合物1−4を1部、ポリプロピレン樹脂(製品名:プライムポリプロJ105、プライムポリマー社製)1000部を二軸押し出し機にて220℃で溶融混錬を行い、次いでペレタイサーでカットしてペレット状の成形用組成物を得た。次に、得られた成形用組成物を溶融混錬しつつ、成形温度220℃、金型温度40℃に設定した射出成型機を用いて射出成形を行い、厚さ1mmの成形体(プレート)を得た。成形体を目視で観察した結果、透かしにおいても粗粒などは認められず、着色度が良好な黄色のプレートが得られた。
(実施例A−15)成形体の作製
イソインドリン化合物1−4を0.5部、予備乾燥を行ったポリエチレンテレフタレート樹脂(製品名:Vylopet EMC−307、東洋紡績社製)1000部を二軸押し出し機にて275℃で溶融混錬を行い、次いでペレタイサーでカットしてペレット状の成形用組成物を得た。次に、得られた成形用組成物を溶融混錬しつつ、成形温度275℃、金型温度85℃に設定した射出成型機を用いて射出成形し、厚さ3mmの成形体(プレート)を得た。成形体を目視で観察した結果、透かしにおいても粗粒などは認められず、着色度が良好な黄色のプレートが得られた。
<2>トナーの評価
負帯電トナーを作製し、評価した。
(実施例A−16)
イソインドリン化合物1−4を2500部、及びポリエステル樹脂(製品名:M−325、三洋化成社製)2500部を加圧ニーダーを用いて120℃15分間混錬した。次いで、得られた混練物を加圧ニーダーから取り出し、更に、ロール温度95℃の3本ロールを用いて混練を行った。得られた混練物を冷却後、10mm以下に粗粉砕することによって、着色組成物を得た。
得られた着色組成物500部、ポリエステル樹脂4375部、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸のカルシウム塩化合物(荷電制御剤)50部、及びエチレンホモポリマー(離型剤、分子量850、Mw/Mn=1.08、融点107℃)75部を、20L容積のヘンシェルミキサーを用いて混合(3000rpm、3分)し、さらに二軸混練押出機を用いて、吐出温度120℃にて溶融混練を行った。次いで、混練物を冷却固化した後、ハンマーミルで粗粉砕した。次いで、得られた粗粉砕物について、I式ジェットミル(IDS−2型)を用いて微粉砕化した後、分級することによってトナー母粒子を得た。
次いで、上記で得られたトナー母粒子2500部と疎水性酸化チタン(STT−30A チタン工業社製)12.5部を10L容積のヘンシェルミキサーで混合し、負帯電トナー1を得た。
一方、比較対象として、実施例A−16のイソインドリン化合物1−4をイソインドリン化合物2−1に変更したことを除き、全て実施例A−16と同様にして負帯電トナー2を得た。
得られた負帯電トナー1及び負帯電トナー2を、それぞれミクロトームを用いて厚さ0.9μmにスライスし、サンプルを形成した。次いで、各サンプルについて透過型電子顕微鏡を用いて顔料の分散状態を観察した。その結果、イソインドリン化合物2−1を使用した負帯電トナー2よりも、イソインドリン化合物1−4の化合物を使用した負帯電トナー1の方が、顔料が均一に分配されており、分散性が良いことが確認できた。
<3>塗料の評価
<3−1>溶剤系塗料の調製
1.ベース塗料の調製
(実施例B−1) ベース塗料1の調製方法
先ず、下記原料と、スチールビーズ230部とを225mlのガラス瓶に仕込み、レッドデビル社製ペイントシェーカーを用いて、60分間にわたって分散させ、混合物を得た。
・イソインドリン化合物1−1:19部
・アクリル樹脂(DIC社製、アクリディック47−712):7.7部
・分散溶媒(トルエン:キシレン:酢酸ブチル:ENEOS社製T−SOL150 FLUIDの質量比が3:3:2:2の混合溶媒):40.7部
次いで、上記混合物に、アクリディック47−712を75.4部、メラミン樹脂(DIC社製アミディアL−117−60)17.2部を加えて、さらに10分、分散させ、分散液を得た。
次いで、上記分散液からスチールビーズを除去して、イソインドリン化合物1−1のベース塗料1を得た。
(実施例B−2〜B−13、比較例B−1〜B−6) ベース塗料2〜19の調製
実施例B−1に記載したベース塗料1の調製方法において、イソインドリン化合物1−1を表8記載のイソインドリン化合物に、それぞれ変更した以外は、全て実施例B−1と同様にして、ベース塗料2〜19を得た。
Figure 0006893277
2.白塗料の調製
以下は、ソリッドベース塗料に使用する白塗料の調製例に関する。
先ず、以下の原料と、スチールビーズ900部とを900mlのガラス瓶に仕込み、レッドデビル社製ペイントシェーカーにて60分間分散させ、分散液を得た。
・酸化チタン(石原産業社製酸化チタン タイペークCR90):66.6部
・アクリル樹脂(DIC社製、アクリディック47−712):101.7部
・メラミン樹脂(DIC社製、アミディアL−117−60):21.3部
・分散溶媒(トルエン:キシレン:酢酸ブチル:ENEOS社製T−SOL150 FLUIDの質量比が3:3:2:2の混合溶媒):20.9部
次いで、上記分散液からスチールビーズを除去して白塗料を得た。
3.ソリッドベース塗料の調製
(実施例C−1)ソリッドベース塗料1の調製
高速撹拌機を用いて、以下の成分を撹拌し、ソリッドベース塗料1を得た。
・実施例B−1で作成したベース塗料1:10部
・得られた白塗料:31.9部
(実施例C−2〜C−13、比較例C−1〜C−6)ソリッドベース塗料2〜19の調製
実施例C−1のベース塗料1をベース塗料2〜19にそれぞれ変更したことを除き、全て実施例C−1と同様にして、ソリッドベース塗料2〜19を得た。
なお、各実施例及び各比較例で調製したソリッドベース塗料で使用したベース塗料のイソインドリン化合物は表9に示したとおりである。
Figure 0006893277
4.トップコートクリア塗料の調製
高速撹拌機を用いて、以下の原料を撹拌し、トップコートクリア塗料を得た。
・アクリル樹脂(DIC社製、アクリディック44−179):120部
・メラミン樹脂(DIC社製、アミディアL117−60):30部
・希釈溶媒(トルエン、キシレン、ENEOS社製T−SOL150 FLUID、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸エチルの質量比が3:2:2:1:2の混合溶媒):50部
5.ソリッドベース塗装板の作製及び耐候性の評価
(実施例D−1) ソリッドベース塗装板1の作製
ソリッドベース塗料1をスプレーガンで噴霧し、サンドペーパー#1000をかけた鋼板に塗装を行った。噴霧しやすい粘度に調整するため、ソリッドベース塗料に対して同質量を目安に希釈溶媒(トルエン、キシレン、ENEOS社製T−SOL150FLUID、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸エチルの質量比が3:2:2:1:2の混合溶媒)を適宜混合した。
塗装は9回に分けて行い、その後、6回に分けてトップコートクリア塗料を噴霧した。次いで、25℃で8時間乾燥させた後、140℃で30分乾燥させ、ソリッドベース塗装板1を得た。
(実施例D−2〜D−13、比較例D−1〜D−5)ソリッドベース塗装板2〜19の作製
実施例D−1のソリッドベース塗料1をソリッドベース塗料2〜19にそれぞれ変更したことを除き、全て実施例D−1と同様にして、ソリッドベース塗装板2〜19を得た。
(色相評価)
ソリッドベース塗装板を、全光束測定が可能な測色機(コニカミノルタ社製、CM−700d)を用いて、それぞれ測色した。また、イソインドリン化合物(2)のみを使用したソリッドベース塗装板とそれぞれ比較し、色差(ΔE*)を求め、下記基準に従い評価した。具体的には、具体的には、実施例D1−1〜D−5、D−9、D−12、D−13比較例D−4〜D−6は比較例D−1を基準とし、実施例D−11は比較例D−2を基準とし、実施例D−10は、比較例D−3を基準とし、評価した。結果を表10に示す。
(評価基準)
5.ΔE*が、1.0未満である。非常に良好
4.ΔE*が、1.0以上、2.0未満である。良好
3.ΔE*が、2.0以上、3.0未満である。実用可
2.ΔE*が、3.0以上、5.0未満である。条件次第で実用可
1.ΔE*が、5.0以上である。実用不可
―.未測定
(耐候性評価)
得られたソリッドベース塗装板1〜19を、以下に従って耐候性試験を行った。
耐候性試験は、超促進耐候性試験機(岩崎電気社製、アイスーパーキセノンテスターSUV−W151)を使用し、照度90mW/cm2、照射(昼)の条件:12時間、温度63℃、湿度70%、照射休止(夜)の条件:12時間、温度70℃、湿度99%を1サイクルとし、48時間(昼夜12時間の2サイクル)と96時間(昼夜12時間の4サイクル)の条件下で行った。耐候性試験前後の塗装板を目視で観察を行い、下記基準に従って、耐候性を評価した。結果を表10に示す。色の変化が小さいほど耐候性に優れていると考えられ、下記評価基準で「5」、「4」、「3」及び「2」であれば、実用可能なレベルである。
(評価基準)
5.ΔE*が、4.0未満である。非常に良好
4.ΔE*が、4.0以上、6.0未満である。良好
3.ΔE*が、6.0以上、7.5未満である。実用可
2.ΔE*が、7.5以上10.0未満である。条件次第で実用可
1.ΔE*が、10.0以上である。実用不可
―.未測定
Figure 0006893277
<評価結果>
イソインドリン化合物(1)を含む、実施例D−1〜D−13は、イソインドリン化合物(2)の色相を損なうことはなく、イソインドリン化合物(2)のみの比較例D−1〜D−3と比べ、耐候性が大きく向上した。しかしながら、イソインドリン化合物(1)と異なる構造の化合物を含む、比較例D−4〜D−6は、イソインドリン化合物(2)と大きく色相が変わってしまった。
この理由としてイソインドリン化合物6−2〜6−4は、イソインドリン化合物(1)と似た構造であるものの、化合物自体の彩度が低いため、顔料組成物としての色相が変わってしまったと推測した。
<4>水系着色組成物の評価
1.水系着色組成物の調製
(実施例E−1)水系着色組成物E−1の調製
以下の原料と、直径1.25mmジルコニアビーズ70部とを70mlのガラス瓶に仕込み、レッドデビル社製ペイントシェーカーを用いて60分間にわたって分散させ、分散液を得た。
・イソインドリン化合物1−1:3.15部
・ポリエステル変性アクリル酸重合体(Allnex社製、ADDITOL XW 6528):5.25部
・湿潤剤(Allnex社製、ADDITOL XW 6374):0.95部
・消泡剤(Allnex社製、ADDITOL XW 6211):0.63部
・イオン交換水:21.52部
次いで、上記分散液からジルコニアビーズを除去して、水系着色組成物E−1を得た。
(実施例E−2〜E−13、比較例E−1〜E−7)水系着色組成物E−2〜20の調製
実施例E−1のイソインドリン顔料1−1を表11に示す通りに変更した以外は、実施例E−1と同様にして、水系着色組成物E−2〜20を得た。
(実施例E−14)水系着色組成物E−21の調製
実施例E−1のイソインドリン化合物1−1:3.15部をイソインドリン化合物2−1:3.12部およびイソインドリン化合物4−2:0.08部に変更したことを除き、全て実施例E−1と同様にして、水系着色組成物E−21を得た。
Figure 0006893277
2.分散安定性の評価
(初期粘度と粘度安定性の評価)
得られた水系着色組成物E−1〜E−17、E−21について、E型粘度計(東機産業社製「ELD型粘度計」)を用いて、25℃における初期粘度を測定した。同様に25℃で1週間経時後、及び50℃で1週間経時促進後の粘度をそれぞれ測定した。得られた測定値に基づき初期粘度に対する粘度増加率を算出し、粘度安定性としして、以下の評価基準で評価した。結果を表12に示す。初期粘度が低いほど分散性に優れている。また、粘度増加率が小さいほど分散安定性に優れている。下記評価基準で「4」、「3」及び「2」が実用可能なレベルである。
(初期粘度の評価基準)
4. 初期粘度が、10.0mPa・s未満である。極めて良好
3. 初期粘度が、10.0mPa・s以上、15.0mPa・s未満である。良好
2. 初期粘度が、15.0mPa・s以上、20.0mPa・s未満である。実用可
1. 初期粘度が、20.0mPa・s以上である。実用不可
(粘度安定性の評価基準)
4.粘度増加率が、20%未満である。極めて良好
3.粘度増加率が、20%以上、30%未満である。良好
2.粘度増加率が、30%以上、40%未満である。実用可
1.粘度増加率が、40%以上である。実用不可
Figure 0006893277
<評価結果>
イソインドリン化合物(1)を含む、実施例E−1〜E−14は、イソインドリン化合物(2)のみの比較例E−1〜E−3と比べ、水系着色組成物の分散性、粘度安定性が大きく向上した。また、イソインドリン化合物(1)と似た構造をもつ化合物を含む、比較例E−4は、分散性が悪く、粘度安定性も低かった。
イソインドリン化合物2−1、2−6、4−1は、親水性が高く、水と非常に親和性が高いため、通常であれば水中での分散は難しい。しかし、イソインドリン化合物(2)およびイソインドリン化合物(1)を含む顔料組成物は、表面が相対的に疎水性になり、分散剤が吸着できるため分散性、粘度安定性が向上できると推測する。
一方、比較例E−4のような、親水性が高いイソインドリン化合物2−2にイソインドリン化合物(2)を含むイソインドリン化合物6−1では、水系で分散性、粘度安定性を向上させることはできないため考えられる。
<5>水性塗料の評価
上段で作製した水系着色組成物を使用して水性塗料を作製して評価した。
<5−1>水性塗料の調製
(実施例F−1)
(1)水性塗料1−1の調製
固形分量で下記組成になるように配合した後、高速撹拌機を用いて撹拌し、水性塗料1−1(25℃で1週間保管)を得た。
・水系着色組成物E−1(25℃1週間保管):4.8部
・ウォーターゾールS−751(DIC社製 焼き付け塗料用アクリル樹脂):60.0部

・サイメル303(三井サイテック社製、メラミン樹脂):45.0部
(2)水性塗料1−2の調製
固形分量で下記組成になるように配合した後、高速撹拌機を用いて撹拌し、水性塗料1−2(50℃で1週間保管)を得た。
・水系着色組成物E−1(50℃1週間保管):4.8部
・ウォーターゾールS−751(DIC社製 焼き付け塗料用アクリル樹脂):60.0部
・サイメル303(三井サイテック社製、メラミン樹脂):45.0部
(実施例F−2〜F−14、比較例F−1〜F−7)
実施例F−1の水系着色組成物E−1(25℃で1週間保管)を水系着色組成物E−2〜21(それぞれ25℃で1週間保管)に、順次変更したことを除き、全て実施例F−1と同様にして、水性塗料2−1〜21−1を得た。
また、実施例F−1の水系着色組成物E−1(50℃で1週間保管)を、水系着色組成物E−2〜21(それぞれ50℃で1週間保管)に、順次変更したことを除き、全て実施例F−1と同様にして、水性塗料2−2〜21−2を得た。
Figure 0006893277
<5−2>PETフィルム塗装の作製
(実施例G−1) PETフィルム塗装1の作製
水性塗料1−1と水性塗料1−2を6ミルのアプリケーターを使用し、ルミラー100T60(ポリエステルテレフタレート(PET)フィルム、100μm厚)に塗装を行った。その塗装後、そのPETフィルムを室温で18時間乾燥させた。その後、60℃で5分、140℃で20分乾燥させ膜厚70μmの被膜を有するPETフィルム塗装1を得た。
(実施例G−2〜G−14、比較例G−1〜G−7) PETフィルム塗装2〜25の作製
実施例G−1の水性塗料1−1と水性塗料1−2を2−1〜21−1、2−2〜21−2に変更する以外は、全て実施例G−1と同様にしてPETフィルム塗装2〜21を得た。
<5−3>PETフィルム塗装の評価
実施例G−1〜G−14、比較例G−1〜G−7で得た各々のPETフィルム塗装について、以下の方法に従って色相、および色相の安定性を評価した。
(色相評価)
測色機(コニカミノルタ社製、CM−700d)を使用して、水系着色組成物の塗料を塗装したPETフィルムを測色し、その色差(ΔE*)を求めた。下記基準で判断した。その測色値をそれぞれ、イソインドリン化合物(2)のみを使用した着色プレートと比較し、色差(ΔE*)を求め、下記基準に従い評価した。具体的には、実施例G−1〜G−5、G−9、G−12、G−13比較例G−4〜G−7は比較例G−1を基準とし、実施例G−11は比較例G−2を基準とし、実施例G−10は、比較例G−3を基準とし、評価した。具結果を表14に示す。色差が小さいほど、優れている。下記評価基準で「4」、「3」及び「2」であれば、実用可能なレベルである。
(評価基準)
4.ΔE*が、1.0未満である。
3.ΔE*が、1.0以上2.0未満である。
2.ΔE*が、2.0以上3.0未満である。
1.ΔE*が、3.0以上である。
(色相の安定性の評価方法)
測色機(コニカミノルタ社製、CM−700d)を使用して、25℃1週間保存した水系着色組成物の塗料と50℃1週間保存した水系着色組成物の塗料にて塗装したPETフィルムを測色し、その色差(ΔE*)を求め、下記基準で判断した。結果を表14に示す。色差が小さいほど、分散安定性に優れる色材と考えられ、下記評価基準で「4」、「3」及び「2」であれば、実用可能なレベルである。
(評価基準)
4.ΔE*が、1.0未満である。
3.ΔE*が、1.0以上2.0未満である。
2.ΔE*が、2.0以上3.0未満である。
1.ΔE*が、3.0以上である。
Figure 0006893277
<評価結果>
イソインドリン化合物(1)を含む、実施例G−1〜G−14は、イソインドリン化合物(2)の色相を損なうことはなく、イソインドリン化合物(2)のみの比較例G−1〜G−3と比べ、色相の安定性が大きく向上した。イソインドリン化合物2−1、2−6、4−1は、親水性が高く、水と非常に親和性が高いため、通常であれば水中での分散は難しい。しかし、イソインドリン化合物(2)およびイソインドリン化合物(1)を含む顔料組成物は、表面が相対的に疎水性になったために、分散剤が吸着しやすくなり、分散性、粘度安定性が向上できると推測する。
これに対して、イソインドリン化合物(1)と似た構造をもつ化合物を含む、比較例G−4は色相の安定性が向上しなかった。また、比較例G−5〜G−7は、イソインドリン化合物(2)と大きく色相が変わってしまった。
比較例G−4の色相の安定性が向上しなかった理由は、比較例G−4のような、親水性が高いイソインドリン化合物2−2とイソインドリン化合物(2)を含むイソインドリン化合物6−1は、表面が相対的に疎水性にならず、分散剤がうまく吸着できなかったからと推測する。
比較例G−5〜G−7において、イソインドリン化合物(2)と大きく色相が変わってしまった理由は、イソインドリン化合物6−2〜6−4は、イソインドリン化合物(1)と似た構造であるものの、化合物自体の彩度が低いため、顔料組成物としての色相が変わってしまったと推測する。
<6>グラビアインキの評価
まず、樹脂の測定法を以下説明する。
(水酸基価)
水酸基価は、樹脂中の水酸基を過剰の無水酸でエステル化またはアセチル化し、残存する酸をアルカリで逆滴定して算出した樹脂1g中の水酸基量を、水酸化カリウムのmg数に換算した値で、JISK0070に従って行った値である。
(アミン価)
アミン価は、樹脂1g中に含有するアミノ基を中和するのに必要とする塩酸の当量と同量の水酸化カリウムのmg数である。アミン価の測定方法については、例えば以下の方法により行った。
・アミン価の測定方法
試料を0.5〜2g精秤する。(試料量:Sg)精秤した試料に中性エタノール(BDG中性)30mLを加え溶解させる。得られた溶液を0.2mol/lエタノール性塩酸溶液(力価:f)で滴定を行なう。溶液の色が緑から黄に変化した点を終点とし、この時の滴定量(AmL)を用い次の(式2)によりアミン価を求めた。
(式2)アミン価=(A×f×0.2×56.108)/S
(重量平均分子量)
重量平均分子量はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)装置(昭和電工社製「ShodexGPCSystem−21」)を用いて分子量分布を測定し、ポリスチレン換算分子量として求めた。
(合成例1)[ポリウレタン樹脂PU1]
数平均分子量2000のアジピン酸と3−メチル−1,5−ペンタンジオールから得られるポリエステルポリオール(以下「PMPA」)160部、数平均分子量2000のポリプロピレングリコール(以下「PPG」)20部、平均分子量1000のポリプロピレングリコールを20部、イソホロンジイソシアネート(以下「IPDI」)53.8部、および酢酸エチル63.4部を窒素気流下に80℃で4時間反応させ、末端イソシアネートプレポリマーの溶剤溶液を得た。次いでイソホロンジアミン(以下「IPDA」)23.1部、イミノビスプロピルアミン(以下「IBPA」)2.0部、2−エタノールアミン(以下「2EtAm」)1.0部、酢酸エチル/イソプロパノール(以下「IPA」)=50/50の混合溶剤589.7部を混合したものに、得られた末端イソシアネートプレポリマー溶液を40℃で徐々に添加し、次に80℃で1時間反応させ、不揮発分30%、アミン価11.1mgKOH/g、水酸基価3.3mgKOH/g、重量平均分子量35000のポリウレタン樹脂溶液PU1を得た。
(実施例H−1)[グラビアインキ1の作製]
バインダー樹脂として、ポリウレタン樹脂溶液PU1(不揮発分30%)を40部、塩酢ビ樹脂(ソルバインTAO:日信化学社製)を5.0部、シリカ粒子(P−73 水澤化学社製)0.6部、イソインドリン化合物1−1を10部、N−プロピルアセテート(以下[NPAC])/IPA=50/50(質量比)の溶液45.0部を混合し、アイガーミルで15分間分散し、グラビアインキ1を得た。
(実施例H−2〜13、比較例H−1〜6)[グラビアインキ2〜19の作成]
実施例H−1に記載したグラビアインキ1の調製方法において、イソインドリン化合物1−1を表15に示す通りに変更した以外は、実施例H−1と同様にして、グラビアインキ2〜19を得た。
(実施例I−1)<グラビアインキの印刷>
上記で得られた、グラビアインキ1を、混合溶剤(メチルエチルケトン:NPAC:IPA=40:40:20)により、粘度が16秒(25℃、ザーンカップNo.3)となるように希釈し、ヘリオ175線グラデーション版(版式エロンゲート、75%ベタ柄と100%〜3%のグラデーション柄)により、厚さ12μmのコロナ放電処理ポリエステル(PET)フィルム(東洋紡社製 E−5100)のコロナ放電処理面に印刷速度100m/分で印刷し、印刷物を得た。なお印刷条件は、温度25℃、湿度60%にて印刷距離4000m印刷した。
得られた印刷物について、さらにポリエーテルウレタン系ラミネート接着剤(東洋モートン社製 TM320/CAT13B)を不揮発分25重量%および10重量%の酢酸エチル溶液として1.5g/m 2 および1.0g/m 2 となるように塗工・乾燥し、アルミ蒸着未延伸ポリプロピレン(VMCP2203、膜厚25μm、東レフィルム加工社製)と貼り合わせてドライラミネート加工を行い印刷物I−1を得た。
(実施例I−2〜13、比較例I−1〜6)
表15に記載されたグラビアインキ2〜19について、表16に記載の印刷構成にて印刷を行い、印刷物I−2〜I−19を得た。
<評価>
グラビアインキ1〜19、及び印刷物I−1〜I−19を用いて、以下の評価を行った。
<インキの経時安定性>
グラビアインキ1〜19についてそれぞれを密閉容器に入れ、40℃で10日間保存を行った。その後、粘度を測定して保存前との粘度変化を評価した。なお粘度の測定は25℃でザーンカップNo.4の流出秒数にて行った。なお、いずれのインキも保存前のB型粘度計における粘度は40〜500cps(25℃)の範囲内であった。なお、―は未測定である。
(評価基準)
5.粘度変化が2秒未満(良好)
4.粘度変化が2秒以上5秒未満(実用可)
3.粘度変化が5秒以上10秒未満(やや不良)
2.粘度変化が10秒以上15秒未満(不良)
1.粘度変化が15秒以上(極めて不良)
<透明性評価>
透明性に関しては、印刷物を黒帯のある展色紙(BYK社製 ビコ−チャート コート無し N2C)に重ね合わせ、それぞれイソインドリン化合物(2)のみを使用した印刷物と比較した。具体的には、実施例I−1〜I−5、I−9、I−12、I−13、比較例I−4〜I−6は比較例I−1を基準とし、実施例I−11は比較例I−2を基準とし、実施例I−6〜I−8、I−10は、比較例I−3を基準とし、評価した。結果を表16に示す。
(評価基準)
5.極めて透明
4.透明
3.基準同等
2.不透明
1.極めて不透明
<色相評価>
色相に関しては、印刷物を白色の展色紙(BYK社製 ビコ−チャート コート無し N2C)に重ね合わせ、全光束測定が可能な測色機(コニカミノルタ社製、CM−700d)を用いて、それぞれ測色した。また、それぞれイソインドリン化合物(2)のみを使用した印刷物と比較し、色差(ΔE*)を求め、下記基準に従い評価した。具体的には、実施例I−1〜I−5、I−9、I−12、I−13、比較例I−4〜I−6は比較例I−1を基準とし、実施例I−11は比較例I−2を基準とし、実施例I−10は、比較例I−3を基準とし、評価した。結果を表16に示す。
(評価基準)
5.ΔE*が、1.0未満である。非常に良好
4.ΔE*が、1.0以上、2.0未満である。良好
3.ΔE*が、2.0以上、3.0未満である。実用可
2.ΔE*が、3.0以上、5.0未満である。条件次第で実用可
1.ΔE*が、5.0以上である。実用不可
Figure 0006893277
Figure 0006893277

<評価結果>
イソインドリン化合物(1)を含む、実施例H−1〜H−13および実施例I−1〜I−13は、イソインドリン化合物(2)の色相を損なうことはなく、イソインドリン化合物(2)のみの比較例H−1〜H−3およびI−1〜I−3と比べ、経時安定性、透明性が大きく向上した。
経時安定性、透明性が向上した理由は定かではないが、イソインドリン化合物(1)がイソインドリン化合物(2)とともに顔料になった場合、粒子が細かくなり、さらには、顔料の表面性状が変化し、経時安定性と透明性が大きく向上したと推測する。
しかしながら、イソインドリン化合物(1)と似た構造をもつ化合物を含む、比較例I−4〜I−6は、イソインドリン化合物(2)と大きく色相が変わってしまった。
この理由としてイソインドリン化合物6−2〜6−4は、イソインドリン化合物(1)と似た構造であるものの、化合物自体の彩度が低いため、顔料組成物としての色相が変わってしまったと推測する。
<7>水性インクジェットインキの評価
(実施例J−1)
(インクジェット用水性着色組成物(以下「IJ用水性着色組成物」)の調製)
・イソインドリン化合物(合成例1−1):19.0部
・スチレン−アクリル酸共重合体(BASFジャパン社製、ジョンクリル61J):16.4部
・界面活性剤(花王社製、エマルゲン420):5.0部
・イオン交換水:59.6部
と、直径1.25mmジルコニアビーズ200部とを200mlのガラス瓶に仕込み、レッドデビル社製ペイントシェーカーにて6時間分散した。次いで、上記分散液からジルコニアビーズを除去して、IJ用水性着色組成物1を得た。
(水性インクジェットインキ(以下「水性IJインキ」)の調整)
水性IJ分散体1を33部、ブチルジグリコールを5部、1,2−プロパンジオールを15部、Joncryl HPD96(BASF社製、水溶性樹脂)を8.8部、ケミパールW400S(三井化学社製、リオレフィン水性ディスパージョン)を1.25部、サーフィノールDF110D(日信化学工業社製、消泡剤)を0.5部、BYK−348(ビックケミージャパン社製、シリコン系界面活性剤)を1部、トリエタノールアミンを0.1部、プロキセルGXL(Lonza社製、防腐剤)を0.15部、イオン交換水35.2部をハイスピードミキサー混合し、0.5μmメンブランフィルターでろ過し、水性IJインキ1を得た。
(実施例J−2〜J−13、比較例J−1〜J−4)IJ用水性着色組成物2〜17、水性IJインキ2〜17の調製
実施例J−1のイソインドリン化合物1−1を、表16に示すイソインドリン化合物にそれぞれ変更した以外は、全て実施例J−1と同様にして、表16に示すIJ用水性着色組成物2〜17、水性IJインキ2〜17を得た。
(実施例J−16)IJ用水性着色組成物18、水性IJインキ18の調製
実施例J−1に記載した水性IJ分散液1の調製方法において、イソインドリン化合物1−1 19部をイソインドリン2−1 18.81部およびイソインドリン4−2 0.19部に変更した以外は、実施例J−1と同様にして、IJ用水性着色組成物18、水性IJインキ18を得た。
<水性IJインキの評価>
実施例及び比較例で調製した水性IJインキ1〜18について、以下に従い、粘度安定性を評価した。
(粘度安定性の評価方法)
各水性インクジェットインキについて、E型粘度計(東機産業社製「ELD型粘度計」)を用いて、25℃における初期粘度を測定した。同様にして、25℃で4週間経時後、及び、50℃で4週間経時促進後の粘度を測定した。それぞれの測定値を用いて、初期粘度に対する粘度増加率を算出し、粘度安定性の一つの指標とし、以下の基準に従って評価した。結果を表17に示す。粘度増加率が小さいほど粘度安定性に優れていると考えられ、下記評価基準で「4」、「3」及び「2」であれば、実用可能なレベルである。
(粘度安定性の評価基準)
4:粘度増加率が、15%未満である。
3:粘度増加率が、15%以上25%未満である。
2:粘度増加率が、25%以上40%未満である。
1:粘度増加率が、40%以上である。
Figure 0006893277
<評価結果>
イソインドリン化合物(1)を含む、実施例J−1〜J−14は、イソインドリン化合物(2)のみの比較例J−1〜J−3と比べ、長期保存安定性時における、インキ塗膜の色変化を抑制できるインクジェットインキであることがわかる。
イソインドリン化合物2−1、2−6、4−1は、親水性が高く、水と非常に親和性が高いため、通常であれば水中での分散は難しい。しかし、イソインドリン化合物(2)およびイソインドリン化合物(1)を含む顔料組成物は、表面が相対的に疎水性になり、分散剤が吸着できるため長期保存安定性が向上したと推測する。
しかし、イソインドリン化合物(1)と似た構造をもつ化合物を含む、比較例J−4の長期保存安定性は向上しなかった。これは、比較例J−4のような、親水性が高いイソインドリン化合物2−2にイソインドリン化合物(2)を含むイソインドリン化合物6−1では、水系で分散性、粘度安定性を向上させることはできないためと考えられる。

Claims (7)

  1. 下式(1)で表されるイソインドリン化合物と、下式(2)で表されるイソインドリン化合物を含む顔料組成物。
    Figure 0006893277

    [式中、R、Rは、水素原子を表し、
    Aは、下式(3)、下式(4)、又は下式(5)で表される基を表し、
    Figure 0006893277

    式中、Xは−O−又は−NH−を表し、Rはアルキル基又はアリール基を表し、
    〜Rは水素原子を表し、
    〜R10は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、又はアリールオキシ基を表す。]
  2. 請求項1に記載の顔料組成物および分散媒体を含む、着色組成物。
  3. 請求項2記載の着色組成物を含む、成形用組成物。
  4. 請求項2に記載の着色組成物を含む、トナー。
  5. 請求項2に記載の着色組成物を含む、塗料。
  6. 請求項2に記載の着色組成物を含む、印刷インキ。
  7. 請求項2に記載の着色組成物を含む、インクジェットインキ。
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