以下に添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
<第1の実施形態>
図1〜図3を参照して、本発明の第1の実施形態に係るフェイスシールド1−1について説明する。
図1は、フェイスシールド1−1を示す平面図である。図2は、フェイスシールド1−1の使用状態を示す斜視図である。
図1に示されるように、フェイスシールド1−1は、マスク2に着脱自在に装着され、マスク2に取り付けられた状態で使用される。フェイスシールド1−1の使用時には、図2に示されるように、フェイスシールド1−1が取り付けられたマスク2が使用者(例えば、医療従事者)に装着される。マスク2は、使用者の顔面のうち呼吸器(鼻および口)とその周辺を覆う。一方、フェイスシールド1−1は、マスク2により支持された状態で使用者の顔面を覆うように配置され、マスク2の外側から使用者の顔面の前方および側方を広く覆う。このように、フェイスシールド1−1およびマスク2を備えるマスク付きフェイスシールドが使用される。これによって、例えば、空気中の飛沫に含まれるウィルスまたは細菌等や、手術もしくは治療中に生じた血液または体液等の飛散物が、使用者の顔面に付着したり、呼吸器若しくは目等に侵入したりすることを防止できる。よって、医療従事者等を感染から効果的に防ぐことができる
なお、本明細書で参照する各図面は、使用者を基準とする前方向、後方向、左方向、右方向、上方向、下方向をそれぞれF方向、B方向、L方向、R方向、U方向、D方向として示されている。
マスク2は、マスク2を装着する使用者の呼吸器(具体的には、口および鼻)を覆い、呼吸器を介した感染を防ぐために用いられる。なお、本明細書では、呼吸器は、少なくとも口を含めばよく、口および鼻の双方を含んでもよい。図1に示されるように、マスク2は、本体部201と、ストラップ202とを有する。
本体部201は、使用時に使用者の呼吸器と対向し、使用者の呼吸器を覆う部分である。本体部201は、通気性を有し、かつ、飛沫等に含まれるウィルスまたは細菌等の侵入を防止する機能を有する。本体部201は、例えば、各種材料からなるフィルタが多層に積層された構造を有する。特に、マスク2がサージカルマスク等の医療用マスクである場合、マスク2は、血液、体液等に対する液体防護性や、空気中を浮遊する飛沫に含まれる細菌や微粒子を補足する捕集性に優れることが好ましい。
ストラップ202は、使用時に使用者の頭部のいずれかの部位(例えば、図2のマスク2では耳)に装着される紐状部材である。マスク2は、本体部201の左右方向の片側に少なくとも2本ずつ、両側合計で少なくとも4本のストラップ202が設けられている。ストラップ202は、耳掛けタイプ(図1、図2参照)、紐を結ぶタイプ(図3参照)、オーバーヘッドタイプ(図23、図24参照)のうちいずれかのタイプであってもよいし、その他のタイプであってもよい。
図1、2に示す耳掛けタイプのストラップ202の例では、本体部201の左右方向の片側から2本のストラップ202−1、202−2が伸び、本体部201の左右方向の他の片側から2本のストラップ202−3、202−4が伸びている。具体的には、本体部201の左側部の上側からストラップ202−1が伸び、本体部201の左側部の下側からストラップ202−2が伸びている。ストラップ202−1およびストラップ202−2は、相互に接続されて1本の環状ストラップを構成しており、使用者の左耳に装着される。本体部201の右側部の上側からストラップ202−3が伸び、本体部201の右側部の下側からストラップ202−4が伸びている。ストラップ202−3およびストラップ202−4は、相互に接続されて1本の環状ストラップを構成しており、使用者の右耳に装着される。マスク2の着用性の観点から、ストラップ202は、ゴム紐等の伸縮可能な紐部材で構成されることが好ましい。
フェイスシールド1−1は、マスク2を装着する使用者の顔の前方に、顔面から離隔して配置される保護具である。フェイスシールド1−1は、使用者の顔のうち少なくとも目を覆い、目を介した感染を防ぐために用いられる。しかし、フェイスシールド1−1は、図2に示すように、使用者の鼻および口、あご、左右のほほ、額、耳、前頭部、側頭部、首などのうち全部もしくは一部を覆ってもよい。図1に示されるように、フェイスシールド1−1は、可撓性および透光性を有するフィルム101−1からなる。なお、フェイスシールド1−1を形成するフィルム101−1の枚数は、1枚であってもよく、複数枚であってもよい(例えば、複数枚のフィルムが積層されて、フェイスシールド1−1を構成するフィルム101−1が構成されてもよい)。
フィルム101−1は、例えば、透明性を有するプラスチック材料を主成分とする材料によって形成される。フィルム101−1の材料としては、例えば、メチルメタクリレート(共)重合体、ポリカーボネート、スチレン(共)重合体、メチルメタクリレート−スチレン共重合体、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセタール、ポリエーテルケトン、ポリウレタン、ガラス等が挙げられる。ただし、フィルム101−1の材料は、これらの材料に限定されない。
フィルム101−1としてプラスチック材料を用いる場合、プラスチック材料の表面の表面エネルギー、塗布性、すべり性、平面性などをより改善するために、表面処理により図示しない下塗り層をさらに設けるようにしてもよい。この下塗り層としては、例えば、オルガノアルコキシメタル化合物、ポリエステル、アクリル変性ポリエステル、ポリウレタンなどが挙げられる。また、下塗り層を設けるのと同等の効果を得るために、フィルム101−1の表面に対してコロナ放電処理、UV照射処理などを行うようにしてもよい。
フィルム101−1は、例えば、上述の樹脂を伸延、あるいは溶剤に希釈後フィルム状に成膜して乾燥するなどの方法で形成され得る。フィルム101−1の厚さは、フェイスシールド1−1の用途に応じて適宜選択することが好ましく、例えば、50μm以上、500μm以下であってもよく、100μm以上、250μm以下であることが好ましい。外光の反射を抑制し、使用者の視界を良好に保つ観点では、フェイスシールド1−1の全光線透過率は、94.0%以上、好ましくは98.0%以上であるとよい。
なお、後述される他の実施形態のフィルム101−2〜101−21の材料および製造方法は、上述したフィルム101−1と同様である。
フェイスシールド1−1の左右両側部には、マスク2のストラップ202を挿通可能な1対の切込み線102L、102Rが形成されている。ただし、後述されるように、切込み線102、102の対の数は、少なくとも1対であればよく、2対以上であってもよい。なお、以下の説明では、切込み線102Lと切込み線102Rを特に区別しない場合、単に切込み線102とも呼ぶ。なお、本明細書では、切込み線は、フィルムを線状にカットすることにより形成されるカット線である。切込み線は、フィルムに貫通形成される一般的な開口(開口幅を有する一般的な長孔やスリット)とは異なる。切込み線は、開口幅を有するスリットではなく、開口幅を有しないカット線を意味する。つまり、切込み線の両側部分のフィルム101−1は、切込み線により分断されているが、互いに隙間なく接触している。
切込み線102は、フェイスシールド1−1の外縁(つまり、フィルム101−1の外縁)とは交差せずに、フェイスシールド1−1の内側(つまり、フィルム101−1の外縁よりも内側)に内包された閉鎖型切込み線である。切込み線102は、左右方向に対して交差する方向(例えば、上下方向、斜め方向など)に延びるように形成されている。
切込み線102Lは、フィルム101−1の左側部の下側に形成されている。切込み線102Lに、マスク2の左側から伸びる2本のストラップ202−1、202−2が挿通される。切込み線102Rは、フィルム101−1の右側部の下側に形成されている。切込み線102Rに、マスク2の右側から伸びる2本のストラップ202−3、202−4が挿通される。
切込み線102は、切込み線102に挿通されたストラップ202と係合する係合部102a、102bと、直線部102cとを有する。係合部102a、102bは、切込み線102の両端にそれぞれ形成される。本実施形態では、係合部102a、102bは、切込み線102が鋸歯状に形成されている部分(ジグザク線状の部分)である。係合部102aは、切込み線102の上端に形成され、係合部102bは、切込み線102の下端に形成される。直線部102cは、切込み線102における係合部102aと係合部102bとの間の部分である。直線部102cは、切込み線102が直線状に形成されている部分である。なお、本実施形態に係る切込み線102では、両端部の係合部102a、102bは、直線状の直線部102cにより連結されているが、本発明は、かかる例に限定されない。係合部102a、102bを連結する連結線は、直線状でなくても、例えば、緩やかに湾曲した曲線などであってもよい。
左側の切込み線102Lに挿通される2本のストラップ202−1、202−2は、1本の切込み線102Lの両端に形成された2つの係合部102a、102bにそれぞれ係合する。ストラップ202−1が切込み線102Lの係合部102aと係合し、ストラップ202−2が切込み線102Lの係合部102bと係合する。同様に、右側の切込み線102Rに挿通される2本のストラップ202−3、202−4は、1本の切込み線102Rの両端に形成された2つの係合部102a、102bにそれぞれ係合する。ストラップ202−3が切込み線102Rの係合部102aと係合し、ストラップ202−4が切込み線102Rの係合部102bと係合する。特に、フェイスシールド1−1を安定的に保持および固定する観点では、ストラップ202のうち本体部201に極力近い部分が係合部102a,102bと係合することが好ましい。
係合部102a、102bの両側部分のフィルム101−1により、切込み線102に挿通されたストラップ202が挟持される。特に、フィルム101−1のうち係合部102a、102bの両側部分は、直線部102cの両側部分と比べて複雑な形状を有する。ゆえに、切込み線102に挿通されたストラップ202と係合部102a、102bとの間で大きな摩擦抵抗が生じ、切込み線102に挿通されたストラップ202が強固に挟持される。これにより、切込み線102に対するストラップ202の挿通方向と、切込み線102に沿った方向の2つの方向へストラップ202が移動することが、係合部102a、102bによって制限される。ゆえに、切込み線102にストラップ202を挿通するだけで、マスク2に対してフェイスシールド1−1を容易に着脱できるとともに、フェイスシールド1−1の使用時に係合部102a、102bによりストラップ202を挟持することにより、フェイスシールド1−1をマスク2に安定的に保持および固定することができる。
なお、上記では、鋸歯状の係合部102a、102bの例について説明したが、後述されるように、係合部の形状はこの例に限定されない。係合部の形状は、直線状の切込み線の場合と比べて、係合部とストラップ202との間で大きな摩擦抵抗を生じさせ得る形状であれば、他の任意の形状であってもよい。
上述したように、マスク2のストラップ202を切込み線102L、102Rに挿通することによって、フェイスシールド1−1がマスク2に対して取り付けられる。そして、図2に示されるように、フェイスシールド1−1が取り付けられたマスク2が使用者に着用される。かかる着用時は、フェイスシールド1−1は、上下方向の軸を中心とする略円筒面に沿った湾曲形状に変形し、使用者の顔から離隔した状態で当該顔の前面および側面を覆う。このように、通常時はシンプルな平坦形状のフィルム(図1参照。)からなるフェイスシールド1−1が、使用時には、マスク2により支持された状態で、顔に沿って左右方向に湾曲した形状に変形する(図2参照。)。
次に、フェイスシールド1−1の製造方法について説明する。まず、フィルム101−1の材料となるフィルムロールが用意される。そして、用意されたフィルムロールに対して打ち抜き加工が施される。打ち抜き加工では、フィルムロールからフェイスシールド1−1の輪郭(つまり、外形線)および切込み線102L、102Rが打ち抜かれる。1回の打ち抜き加工で、フェイスシールド1−1の輪郭および切込み線102の双方が形成されることが好ましい。これにより、容易かつ迅速にフェイスシールド1−1が製造される。
以上、第1の実施形態に係るフェイスシールド1−1について詳述した。上記のように、第1の実施形態に係るフェイスシールド1−1の左右両側部には、マスク2のストラップ202を挿通可能な1対の切込み線102L、102Rが形成されている。また、切込み線102は、切込み線102に挿通されたストラップ202と係合する係合部102a、102bを有する。特に、両端部に係合部102a、102bが形成された切込み線102は、多様な種類のマスク2のストラップ202に対応可能であり、汎用性が高い。つまり、1本の切込み線102に2本のストラップ202を挿通し、両端部の係合部102a、102bで各ストラップ202を保持する構成である。かかる構成により、多様な種類のマスク2にフェイスシールド1−1を容易に着脱可能となり、マスク2に装着されたフェイスシールド1−1は、使用者の顔を覆う状態で安定的に保持される。よって、フェイスシールド1−1を様々な種類のマスクと選択的に組み合わせて容易に使用することができる。これにより、例えば、医療現場において、求められる保護グレードに応じてマスクとフェイスシールド1−1を手軽に組合せて使用することができ、利便性が向上する。また、例えば、感染症の急速な拡大により大量のマスク付きフェイスシールドを用意する必要が生じた場合に、マスク付きフェイスシールドを迅速に用意することができる。
また、本実施形態に係るフェイスシールド1−1は、市販されている多様なマスクに対して容易に装着して一体化できる。また、この装着時には、特別な取付用具や部品を必要とせず、フェイスシールド1−1とマスク2の着脱操作が簡単で便利である。また、フェイスシールド1−1をマスク2から取り外すことで、フェイスシールド1−1だけ、あるいはマスク2だけの交換が可能になる。
さらに、第1の実施形態に係るフェイスシールド1−1によれば、マスク2とフェイスシールド1−1との間に隙間G1(図2を参照)を形成することができる。ゆえに、フェイスシールド1−1が使用者の呼気によって曇ることを抑制し、視界を良好に保つことができる。なお、例えば、マスク2のストラップ202のうち係合部102a、102bと係合する位置を調整することによって、隙間G1を調整することができる。ゆえに、マスク2のサイズや使用者の顔のサイズに応じて隙間G1を適宜調整することができる。なお、隙間G1を調整することによって、フェイスシールド1−1を使用者の顔に良好にフィットさせることもできる。
さらに、第1の実施形態に係るフェイスシールド1−1によれば、フェイスシールド1−1を装着するための専用フレーム等の装着具が不要となる。ゆえに、使用者に装着される保護具全体の重量を軽量化することができ、使用者の疲労を軽減することができ、装着感も向上できる。また、重装備感がなく、周囲からの見た目も好印象にすることができる。
さらに、第1の実施形態に係るフェイスシールド1−1によれば、フェイスシールド1−1をマスク2に接合する工程(例えば、接着剤等により接着する工程、溶着する工程など)が不要となる。ゆえに、製造工程を短縮化することができ、製造も容易になる。
さらに、第1の実施形態に係るフェイスシールド1−1によれば、フェイスシールド1−1をマスク2とは別に単体で流通させることができる。また、平坦なフィルム状のフェイスシールド1−1を複数積み重ねた状態で梱包および運送可能である。よって、梱包や流通が容易で、保管スペースや運搬スペースを縮小することができる。
さらに、第1の実施形態に係るフェイスシールド1−1によれば、フェイスシールド1−1またはマスク2のいずれか一方が破損または汚染された場合に、破損または汚染された方の部材を交換することによって、健全な方の部材を継続して使用することができる。ゆえに、フェイスシールド1−1およびマスク2を不要に廃棄することなく、有効利用することができる。
特に、第1の実施形態に係るフェイスシールド1−1では、フェイスシールド1−1の左右方向の片側に形成された1本の閉鎖型切込み線である切込み線102に、マスク2の左右方向の片側から伸びる2本のストラップ202が挿通される。そして、2本のストラップ202は、1本の切込み線102の両端に形成された2つの係合部102a、102bにそれぞれ係合する。それにより、フェイスシールド1−1が合計4本のストラップ202によって4点支持される。ゆえに、使用時にフェイスシールド1−1をより安定的に保持および固定することができる。
なお、上記では、フェイスシールド1−1が耳掛けタイプのマスク2に取り付けられる例を説明したが、フェイスシールド1−1は他のタイプのマスクにも取り付けられ得る。図3は、紐を結ぶタイプのマスク3にフェイスシールド1−1を取り付ける例を示す平面図である。図3に示されるように、マスク3は、本体部301と、ストラップ302とを有する。
本体部301は、上述した本体部201と同様の構成を有する。本体部301の左側部の上側からストラップ302−1が伸び、本体部301の左側部の下側からストラップ302−2が伸びている。紐を結ぶタイプのマスク3では、上記耳掛けタイプのマスク2と異なり、ストラップ302−1およびストラップ302−2は、分離されている。本体部301の右側部の上側からストラップ302−3が伸び、本体部301の右側部の下側からストラップ302−4が伸びている。ストラップ302−3およびストラップ302−4は、ストラップ302−1およびストラップ302−2と同様に、分離されている。フェイスシールド1−1とマスク3の使用時に、ストラップ302−1およびストラップ302−3は、使用者の後頭部の上部側で互いに結び付けられ、ストラップ302−2およびストラップ302−4は、使用者の後頭部の下部側で互いに結び付けられる。これにより、紐を結ぶタイプのマスク3において、マスク3とともにフェイスシールド1−1が使用者に着用される。
フェイスシールド1−1の切込み線102Lに、マスク3の左側から伸びる2本のストラップ302−1、302−2が挿通される。フェイスシールド1−1の切込み線102Rに、マスク3の右側から伸びる2本のストラップ302−3、302−4が挿通される。ストラップ302−1が切込み線102Lの係合部102aと係合し、ストラップ302−2が切込み線102Lの係合部102bと係合する。ストラップ302−3が切込み線102Rの係合部102aと係合し、ストラップ302−4が切込み線102Rの係合部102bと係合する。それにより、紐を結ぶタイプのマスク3に対しても、耳掛けタイプのマスク2と同様に、フェイスシールド1−1を容易に着脱でき、マスク3によりフェイスシールド1−1を安定的に保持できる。
<第2の実施形態>
図4および図5を参照して、本発明の第2の実施形態に係るフェイスシールド1−2について説明する。
図4は、フェイスシールド1−2を示す平面図である。図5は、フェイスシールド1−2の使用状態を示す斜視図である。図5では、フェイスシールド1−2が耳掛けタイプのマスク2に取り付けられている例が示されている。ただし、フェイスシールド1−2は、フェイスシールド1−1と同様に、様々な種類のマスクと容易に組み合わせて使用することができる。
第2の実施形態に係るフェイスシールド1−2は、第1の実施形態に係るフェイスシールド1−1と比較して、フェイスシールド1−2において使用者の呼吸器と対向する位置に切欠き部103が形成されている点で異なる。
図4および図5に示されるように、切欠き部103は、フェイスシールド1−2(具体的には、フェイスシールド1−2を形成するフィルム101−2)のうち切込み線102Lと切込み線102Rとの間の領域に配置される。切欠き部103は、フェイスシールド1−2の中央部の下端から上方に向けて延びるように形成される。切欠き部103は、上方に進むにつれて左右方向の幅が狭くなる形状(例えば、略三角形状)を有する。ただし、切欠き部103の形状は、この例に限定されず、例えば、矩形状であってもよい。
図5に示されるように、切欠き部103は、使用時に、使用者の呼吸器(例えば、口および鼻)と対向する位置に形成される。このため、マスク2のうち使用者の呼吸器を覆う部分の外側には切欠き部103が配置されるので、マスク2の当該部分は、フェイスシールド1−2に覆われずに、切欠き部103を通じて外部に露出する。ゆえに、使用者の呼吸器から発された呼気は、マスク2を通過または迂回した後、切欠き部103を通ってフェイスシールド1−2の外部に排出される。これにより、フェイスシールド1−2が使用者の呼気によって曇ることを効果的に抑制し、視界を良好に保つことができる。
<第3の実施形態>
図6を参照して、本発明の第3の実施形態に係るフェイスシールド1−3について説明する。
図6は、フェイスシールド1−3を示す平面図である。
第3の実施形態に係るフェイスシールド1−3は、第1の実施形態に係るフェイスシールド1−1と比較して、フェイスシールド1−3において使用者の呼吸器と対向する位置に貫通孔104が形成されている点で異なる。第3の実施形態に係るフェイスシールド1−3は、フェイスシールド1−3のうち呼気が通過する部分を、第2の実施形態に係るフェイスシールド1−2の切欠き部103から貫通孔104に変更した例に相当する。
図6に示されるように、フェイスシールド1−3(具体的には、フェイスシールド1−3を形成するフィルム101−3)のうち切込み線102Lと切込み線102Rとの間の領域に、複数の貫通孔104が形成される。貫通孔104は、例えば、円形状を有するが、この例に限定されず、例えば、楕円形状または多角形状であってもよい。また、貫通孔104の配置は、図6に示される例に限定されない。例えば、貫通孔104は、等間隔に配置されてもよく、不均一な間隔で配置されてもよい。また、呼吸器と対向する位置の周囲(例えば、呼吸器と対向する位置の側方または下方の位置)に配置されてもよい。また、貫通孔104の設置数は、図6に示される例に限定されず、例えば、単数であってもよい。
貫通孔104は、使用時に、使用者の呼吸器(例えば、口および鼻)と対向する位置、またはその周囲の側面部または下側部の位置に配置され、通気口として機能する。ゆえに、使用者の呼吸器から発された呼気は、マスク2を通過または迂回した後、貫通孔104を通ってフェイスシールド1−3の外部に排出される。これにより、フェイスシールド1−3が使用者の呼気によって曇ることを効果的に抑制し、視界を良好に保つことができる。また、貫通孔104があることで、会話をする際に使用者の声が会話の相手に、より聞こえやすくなる効果も得られる。
<第4の実施形態>
図7および図8を参照して、本発明の第4の実施形態に係るフェイスシールド1−4について説明する。
図7は、フェイスシールド1−4を示す平面図である。図8は、フェイスシールド1−4の使用状態を示す斜視図である。図8では、フェイスシールド1−4が耳掛けタイプのマスク2に取り付けられている例が示されている。ただし、フェイスシールド1−4は、フェイスシールド1−1と同様に、様々な種類のマスクと容易に組み合わせて使用することができる。
第4の実施形態に係るフェイスシールド1−4は、第1の実施形態に係るフェイスシールド1−1と比較して、フェイスシールド1−4において使用者の鼻と対向する位置、または、鼻より下側の部位と対向する位置に使用者の顔側に折り曲げ可能な折曲げ部105が形成されている点で異なる。
図7に示されるように、フェイスシールド1−4(具体的には、フェイスシールド1−4を形成するフィルム101−4)のうち切込み線102Lと切込み線102Rとの間の領域に、折曲げ部105を形成するための切込み線106が形成されている。切込み線106は、U字形状を有する。切込み線106は、直線部106aと、直線部106bと、直線部106cとを有する。直線部106a、106bは、切込み線106のうち上下方向に延びる直線状の部分である。直線部106a、106bは、互いに左右方向に離隔し、平行に配置される。直線部106cは、切込み線106のうち左右方向に延びる直線状の部分である。直線部106cは、直線部106aの上端と直線部106bの上端を結ぶように形成される。ただし、切込み線106の形状は、この例に限定されず、例えば、円弧状であってもよい。また、この例と比較し90度回転した配置でもよいし、折り曲げ部を複数配置してもよい。また、切り込み線を複数並列し、多段階で折り曲げる構造としてもよい。
折曲げ部105は、フェイスシールド1−4のうち切込み線106に沿って部分的に切り離されることにより変形可能な部分である。折曲げ部105は、直線部106aの下端と直線部106bの下端を結ぶように形成される折曲げ線L1に沿って折り曲げ可能である。折曲げ部105を折り曲げやすいように、折曲げ線L1にミシン目を設けてもよい。
図8に示されるように、フェイスシールド1−4の使用時に、折曲げ部105は、折曲げ線L1に沿って使用者の顔側に折り曲げられた状態となっている。ゆえに、折曲げ部105は、マスク2のうち、使用者の鼻、または、鼻より下側の部位を覆う部分と当接する。それにより、フェイスシールド1−4は、マスク2のストラップ202と係合する切込み線102の係合部102a、102bの他に、折曲げ部105においても支持される。ゆえに、フェイスシールド1−4により使用者の顔を覆った状態で、フェイスシールド1−4をより安定的に保持および固定することができる。
さらに、折曲げ部105により、フェイスシールド1−4と使用者の顔との間に、折曲げ部105の突出長に応じた隙間を確実に確保できる。よって、フェイスシールド1−4と使用者の顔との間の通気性を向上できるので、フェイスシールド1−4の曇りを防止できるとともに、使用者の息苦しさを軽減して、フェイスシールド1−4の装着性を向上できる。
<第5の実施形態>
図9および図10を参照して、本発明の第5の実施形態に係るフェイスシールド1−5について説明する。
図9は、フェイスシールド1−5を示す平面図である。図10は、フェイスシールド1−5の使用状態を示す斜視図である。図10では、フェイスシールド1−5が耳掛けタイプのマスク2に取り付けられている例が示されている。ただし、フェイスシールド1−5は、フェイスシールド1−1と同様に、様々な種類のマスクと容易に組み合わせて使用することができる。
第5の実施形態に係るフェイスシールド1−5は、第1の実施形態に係るフェイスシールド1−1と比較して、フェイスシールド1−5において使用者の額または前頭部と対向する位置に使用者の顔側に折り曲げ可能な折曲げ部107が形成されている点で異なる。
図9に示されるように、フェイスシールド1−5(具体的には、フェイスシールド1−5を形成するフィルム101−5)の上部に、折曲げ部107を形成するための切込み部108が形成されている。切込み部108は、左右一対の切込み線108a、108bを有する。切込み線108a、108bは、一方の端部がフェイスシールド1−5の外縁(つまり、フィルム101−5の外縁)と交差し、他方の端部がフェイスシールド1−5の内側(つまり、フィルム101−5の外縁よりも内側)に配置された開放型切込み線である。切込み線108aは、フェイスシールド1−5の上部の左側に形成されている。切込み線108aは、下方に進むにつれて右方向に傾いており、直線形状を有する。切込み線108bは、フェイスシールド1−5の上部の右側に形成されている。切込み線108bは、下方に進むにつれて左方向に傾いており、直線形状を有する。ただし、切込み線108a、108bの形状は、この例に限定されず、例えば、円弧状であってもよい。また、切込み線108a、108bが無く、単にフェイスシールド1−5の上部全体を折り曲げるだけの構造としてもよい。
折曲げ部107は、フェイスシールド1−5のうち切込み線108a、108bに沿って部分的に切り離されることにより変形可能な部分である。折曲げ部107は、切込み線108aの下端と切込み線108bの下端を結ぶように形成される折曲げ線L2に沿って折り曲げ可能である。折曲げ部107を折り曲げやすいように、折曲げ線L2にミシン目を設けてもよい。また、切込み線108a、108bより左右方向の外側かつ折曲げ線L2より上側の部分も、折曲げ部107と同様に変形可能であり、顔側へ折曲げて使用してもよい。
図10に示されるように、フェイスシールド1−5の使用時に、折曲げ部107は、折曲げ線L2に沿って使用者の顔側に折り曲げられた状態となっている。ゆえに、折曲げ部107は、使用者の額または前頭部と当接する。それにより、フェイスシールド1−5は、マスク2のストラップ202と係合する切込み線102の係合部102a、102bの他に、折曲げ部107においても支持される。ゆえに、フェイスシールド1−5により使用者の顔を覆った状態で、フェイスシールド1−5をより安定的に保持および固定することができる。
さらに、異物が上方からフェイスシールド1−5と使用者の顔との隙間へ侵入することを、折曲げ部107によって防止できる。
フェイスシールド1−5では、使用者の額または前頭部と対向する位置に折曲げ部107が設けられているが、同様に、使用者の顎と対向する位置、または、顎より下側の部位と対向する位置に折曲げ部(使用者の顔側に折り曲げ可能な部分)が設けられてもよい。これにより、異物が下方からフェイスシールド1−5と使用者の顔との隙間へ侵入することを防止することも可能である。
<第6の実施形態>
図11および図12を参照して、本発明の第6の実施形態に係るフェイスシールド1−6について説明する。
図11は、フェイスシールド1−6を示す平面図である。図12は、フェイスシールド1−6の使用状態を示す斜視図である。図12では、フェイスシールド1−6が耳掛けタイプのマスク2に取り付けられている例が示されている。ただし、フェイスシールド1−6は、フェイスシールド1−1と同様に、様々な種類のマスクと容易に組み合わせて使用することができる。
第6の実施形態に係るフェイスシールド1−6は、第1の実施形態に係るフェイスシールド1−1と比較して、フェイスシールド1−6のうち使用者の顔の正面側の部分P1と側面側の部分P2、P3との間に折曲げ線L3、L4が配置されている点で異なる。
図11に示されるように、フェイスシールド1−6(具体的には、フェイスシールド1−6を形成するフィルム101−6)のうち切込み線102Lと切込み線102Rとの間の中央部が、使用者の顔の正面側の部分P1(以下、「正面部分P1」という。)である。フェイスシールド1−6(具体的には、フェイスシールド1−6を形成するフィルム101−6)のうち切込み線102Lが形成される左側部が、使用者の顔の左側面側の部分P2(以下、「左側面部分P2」という。)である。フェイスシールド1−6(具体的には、フェイスシールド1−6を形成するフィルム101−6)のうち切込み線102Rが形成される右側部が、使用者の顔の右側面側の部分P3である(以下、「右側面部分P3」という。)。
折曲げ線L3は、正面部分P1と左側面部分P2との間に形成される。折曲げ線L4は、正面部分P1と右側面部分P3の間に形成される。折曲げ線L3、L4は、上下方向に延びるように形成される。左側面部分P2は、折曲げ線L3に沿って正面部分P1に対して折り曲げ可能である。右側面部分P3は、折曲げ線L4に沿って正面部分P1に対して折り曲げ可能である。左側面部分P2、右側面部分P3を折り曲げやすいように、折曲げ線L3、L4にミシン目を設けてもよい。
図12に示されるように、フェイスシールド1−6の使用時に、左側面部分P2、右側面部分P3は、折曲げ線L3、L4に沿って使用者の顔側に折り曲げられた状態となっている。ゆえに、フェイスシールド1−6の正面部分P1は、平面形状を維持した状態で、使用者の顔と対向する。それにより、フェイスシールド1−6の正面部分P1が平面形状である場合は、正面部分P1が湾曲形状である場合と比べて、外光の映り込みを抑制することができるので、視界を良好に保つことができる。
<第7の実施形態>
図13〜図16を参照して、本発明の第7の実施形態に係るフェイスシールド1−7について説明する。
図13は、フェイスシールド1−7を示す平面図である。図14は、フェイスシールド1−7を示す部分拡大断面図である。具体的には、図14は、フェイスシールド1−7の視界領域P4(図13を参照)におけるフェイスシールド1−7の表面に直交する断面を示す断面図である。
第7の実施形態に係るフェイスシールド1−7は、第1の実施形態に係るフェイスシールド1−1と比較して、反射防止層109(図14を参照)が設けられている点で異なる。
反射防止層109は、フェイスシールド1−7(具体的には、フェイスシールド1−7を形成するフィルム101−7)のうち、例えば、視界領域P4(図13を参照)のみに部分的に設けられてもよい。視界領域P4は、フェイスシールド1−7の使用時に、フィルム101−7のうち主に使用者の視界に入る領域であり、例えば、フェイスシールド1−7のうち切込み線102L、102Rよりも上側の領域である。ただし、フェイスシールド1−7のうち反射防止層109が設けられる領域は、特に限定されず、例えば、フェイスシールド1−7の全領域に反射防止層109が設けられてもよい。また、反射防止効果を高める観点から、反射防止層109は、フェイスシールド1−7(具体的には、フェイスシールド1−7を形成するフィルム101−7)の表裏両面に設けられることが好ましい。ただし、反射防止層109は、フェイスシールド1−7の少なくとも一方の面に設けられていればよく、フェイスシールド1−7の片面のみに設けられていてもよい。
図14に示されるように、フィルム101−7の両面には、反射防止層109がベース層110を介して設けられている。ベース層110は、フィルム101−7に対する反射防止層109の密着性を向上させるために設けられる。ベース層110は、例えば、反射防止層109と一体成形される光学層であって、透明性を有しており、反射防止層109と同様のエネルギー線硬化性樹脂組成物などを硬化することにより形成される。なお、ベース層110を介さずに、フィルム101−7の表面に反射防止層109が直接形成されてもよい。反射防止層109は、外光の反射を抑制し、フェイスシールド1−7の全光線透過率を向上させるために設けられる。なお、上述したように、使用者の視界を良好に保つ観点では、フェイスシールド1−7の全光線透過率は、94.0%以上、好ましくは98.0%以上であるとよい。
反射防止層109は、例えば、可視光の波長以下のピッチを有する微細凹凸構造で構成される。微細凹凸構造の凹凸(凸部および凹部)は、フィルム101−7の表面上に縦横の面方向に周期的に形成される。微細凹凸構造の凹凸の平均周期(平均ピッチ)は、可視光波長以下となっている。可視光の波長帯域は360nm〜830nmであるが、本実施形態では、微細凹凸構造の凹凸が可視光の波長帯域以下のサイズで規則配列されている。かかる観点から、凹凸の平均周期(平均ピッチ)は350nm以下とする。例えば、凹凸の平均周期は、好ましくは、100nm以上350nm以下であり、より好ましくは120nm以上280nm以下であり、さらに好ましくは130〜270nmである。したがって、微細凹凸構造は、いわゆるモスアイ構造となっており、反射防止機能を有する。ここで、平均周期が100nm未満である場合、微細凹凸構造の形成が困難になる可能性があるため好ましくない。また、平均周期が350nmを超える場合、回折光の強度が大きくなる可能性があり、微細凹凸構造の形成された表面で外来光が回折し、反射防止効果が低下する可能性がある。
なお、微細凹凸構造の平均高さは、特に制限はないが、例えば、好ましくは100nm以上300nm以下、より好ましくは130nm以上300nm以下、さらに好ましくは150nm以上230nm以下である。微細凹凸構造の平均高さは、微細凹凸構造を構成する複数の凸部の高さの算術平均値である。例えば、微細凹凸構造の凸部の高さをいくつか測定し、これらの算術平均値を微細凹凸構造の平均高さとして算出することができる。また、微細凹凸構造の凸部は、フィルム101−7の表面に対して垂直な方向に伸びている。また、微細凹凸構造の凸部は、例えば、錐体状、柱状、針状など、種々の形状であってよい。
微細凹凸構造を製造する場合、後述するように、フィルム101−7の基材に塗布されたエネルギー線硬化性樹脂組成物などの転写材料に、モスアイ構造体に応じたパターンが形成されたロール原盤露光装置を用いて凹凸パターンを転写した後、当該転写材料を硬化する。
ここで、転写材料の硬化物は、親水性を有していても良い。転写材料は、親水性を有する官能基を1種以上含んでいることが好ましい。このような親水性を有する官能基としては、例えば、水酸基、カルボキシル基、およびカルボニル基などが挙げられる。
また、エネルギー線硬化性樹脂生成物は、フィルム101−7の基材の両面で異なる物性を有していてもよい。例えば、フェイスシールド1−7の用途によって、撥水性、親水性を使い分けることにより、防曇などの機能を特定の面に持たせることができる。
エネルギー線硬化性樹脂組成物としては、例えば、紫外線硬化性樹脂組成物を用いることが好ましい。また、エネルギー線硬化性樹脂組成物が、必要に応じてフィラーや機能性添加剤などを含んでいてもよい。紫外線硬化性樹脂組成物は、例えばアクリレートおよび開始剤を含んでいる。そして、紫外線硬化性樹脂組成物は、例えば単官能モノマー、二官能モノマー、多官能モノマー等を含んでもよい。
以上のように、第7の実施形態に係るフェイスシールド1−7では、フィルム101−7の少なくとも一方の表面に反射防止層109が設けられている。これにより、フェイスシールド1−7の使用時に、外光の映り込みを抑制することができるので、視界を良好に保つことができる。
反射防止層109としては、反射防止コーティング(例えば、ARコーティング)を用いることもできるが、上記のように微細凹凸構造からなるモスアイ構造(図14参照)を用いることが好ましい。特に、反射防止層109として、可視光の波長以下の平均周期を有する微細凹凸構造を、親水性を有する樹脂で構成することが好ましい。これにより、高度な反射防止性能を得ることができるとともに、防曇性を付加することができる。微細凹凸構造からなるモスアイ構造を用いることにより、フェイスシールド1−7の反射防止性能を高めて、その全光線透過率を例えば98.0%以上にするこができる。ただし、WetまたはDry ARコーティング等の他の反射防止手段を用いても、例えば94.0%以上の全光線透過率を得ることは可能である。なお、ARコーティングは、基材表面に薄膜を作ることで光の干渉を引き起こし、反射光を低減する技術である。Wet ARコーティングとしては、スピンコーティング、ディッピング、グラビアコーティング等が挙げられる。Dry ARコーティングとしては、真空蒸着法、スパッタ法等を用いたコーティングが挙げられる。
ここで、図15および図16を参照して、フィルムの表面処理の条件と透過率特性との関係性について説明する。
図15は、フィルムの表面処理の各種条件を示す表である。図15では、条件1〜条件5の各条件の表面処理における光学特性が示されている。条件1では、微細凹凸構造からなるモスアイ構造がフィルム両面に形成される。条件2では、Wet ARコーティングがフィルム両面に施される。条件3では、Wet ARコーティングがフィルム片面に施される。条件4および条件5では、反射防止層がフィルムに施されない。図15では、各列が各条件の光学特性と対応し、左から順に材料厚さ(mm)、全光線透過率(%)、反射率(%)が示されている。なお、フィルムの基材はポリエチレンテレフタレートである。また、全光線透過率は、村上色彩技術研究所製のヘーズメータHM−150を用いて、JIS K 7361に基づいて測定された。
条件1では、材料厚さが0.129mm、全光線透過率が98.3%、反射率が0.8%である。
条件2では、材料厚さが0.125mm、全光線透過率が97.6%、反射率が2.2%である。
条件3では、材料厚さが0.115mm、全光線透過率が94.7%、反射率が4.7%である。
条件4では、材料厚さが0.101mm、全光線透過率が88.2%、反射率が11.5%である。
条件5では、材料厚さが0.099mm、全光線透過率が90.6%、反射率が8.4%である。
図16は、フィルムの表面処理の各種条件における透過率特性を示す図である。図16では、図15に示される条件1〜条件5の各条件について、各波長の光に対する透過率が透過率特性として示されている。図16中の線C1、C2、C3、C4、C5が、それぞれ条件1、条件2、条件3、条件4、条件5の透過率特性を示す。図16によれば、Wet ARコーティングを用いた条件2および条件3では、反射防止層が施されない条件4および条件5と比較して、各波長において透過率が向上していることがわかる。さらに、微細凹凸構造からなるモスアイ構造を用いた条件1では、Wet ARコーティングを用いた条件2および条件3と比較して、各波長において透過率がより向上していることがわかる。
さらに、フィルム101−7の基材の両面に、微細凹凸構造からなる反射防止層109を形成することにより、さらに優れた反射防止性能を付与することができる。
また、図示はしないが、本実施形態に係るフェイスシールド1−7は、両面または片面に反射防止層109が形成された複数枚の透明フィルムを、粘着層を介して剥離可能に積層したフィルム積層体を用いてもよい。このように複数枚のフィルムを剥離可能に積層したフィルム積層体を用いることにより、汚染物を拭き取る時間的余裕がない場合や、そもそも汚染物が危険物であることから接触することが好ましくない場合でも、汚染されたフィルムを1枚ずつ剥離すればよいので、即時に視界の回復を図ることができ、更に危険物に接触しなくても済む。なお、上記の複数枚の透明フィルムは、目と対向する部分のみに積層されていてもよい。
次に、フィルム101−7の表面に微細凹凸構造からなる反射防止層109を備えたフェイスシールド1−7の製造方法について説明する。
フェイスシールド1−7を製造する場合、まず、フィルム101−7の材料となるフィルムロールの表面に対して、例えば紫外線硬化樹脂等のエネルギー線硬化性樹脂組成物などを用いて微細凹凸構造(モスアイ構造)が形成される。このとき、微細凹凸構造に対応する凹凸パターンが形成されたロール原盤露光装置を用いて、フィルム101−7の表面のエネルギー線硬化性樹脂組成物に対して凹凸パターンを転写することにより、微細凹凸構造が形成される。その後、フェイスシールド1−7の輪郭および切込み線102L、102Rの形状が形成される。かかる製造方法の各工程について、以下に説明する。
[原盤の準備]
まず、反射防止層109の微細凹凸構造の反転形状を有する微細凹凸用原盤を用意する。微細凹凸用原盤は、ナノインプリント法で使用される原盤であり、例えば、円筒もしくは円柱形状のロール原盤であってもよいし、他の形状(例えば平板状)の原盤であってもよい。ロール原盤を用いる場合、ロールツーロール方式によって微細凹凸用原盤の微細凹凸構造をフィルム101−7の基材にシームレス的に転写することができる。ロール原盤の円柱面または円筒面は、フィルム101−7の基材表面に凹凸構造を成形するための成形面となる。この成形面には、例えば、ドライエッチング、ウエットエッチング等により所定の微細凹凸構造が2次元配列されている。ロール原盤の材料としては、例えばガラスを用いることができるが、この材料に特に限定されるものではない。ロール原盤の成形面に配置された微細凹凸構造と、上述のフィルム101−7の基材の表面に形成された微細凹凸構造(モスアイ構造)とは、反転した凹凸関係にある。
[転写工程]
次いで、フィルム101−7の基材の表面に未硬化樹脂を塗布して、未硬化樹脂層(転写材料層)を形成する。未硬化樹脂層は、紫外線硬化樹脂等の未硬化の硬化性樹脂で構成される。次いで、例えばロールツーロール方式によって、ロール原盤をフィルム101−7の未硬化樹脂層に密着させる。さらに、紫外線などのエネルギー線をエネルギー線源から未硬化樹脂層に照射して未硬化樹脂を硬化させる。なお、エネルギー線源としては、電子線、紫外線、赤外線、レーザー光線、可視光線、電離放射線(X線、α線、β線、γ線など)、マイクロ波、または高周波などエネルギー線を放出可能なものであればよく、特に限定されるものではない。
その後、硬化した未硬化樹脂と一体となった基材をロール原盤から剥離する。これにより、ロール原盤の微細凹凸構造がフィルム101−7の基材の表面に転写されて、フィルム101−7の基材の表面に反射防止層109となる微細凹凸構造(モスアイ構造)が形成される。当該フィルム101−7の基材の表面の微細凹凸構造は、ロール原盤の微細凹凸構造の反転形状となる。
なお、フィルム101−7の基材の両面に微細凹凸構造からなる反射防止層109を形成する場合には、上記と同様にして、基材の他側の表面にも微細凹凸構造を転写すればよい。また、上記の転写工程で得られたフィルム101−7の表面に保護フィルムを貼合してもよい。これにより、以降の工程や輸送時などに、フィルム101−7の微細凹凸構造が破壊されることを防止できる。
[シールドの成形加工工程]
上記工程で得られたフィルム101−7を、フェイスシールド1−7の所定形状に裁断するとともに、上述した切込み線102を形成する加工を施すことにより、フェイスシールド1−7が成形される。切込み線102の形成や所定形状への裁断のための成形加工は、数値制御された切削加工機や、レーザー加工装置、打ち抜きプレス装置などを使用可能である。打ち抜きプレス加工を使用すれば、切込み線102の形成加工と所定形状の裁断加工を一つの工程で行えるので、好適である。
<第8の実施形態>
図17を参照して、本発明の第8の実施形態に係るフェイスシールド1−8について説明する。
図17は、フェイスシールド1−8を示す平面図である。
第8の実施形態に係るフェイスシールド1−8は、第1の実施形態に係るフェイスシールド1−1と比較して、洗浄および乾燥用のフックが挿通される貫通孔111が形成されている点で異なる。
図17に示されるように、フェイスシールド1−8(具体的には、フェイスシールド1−8を形成するフィルム101−8)の外縁の近傍に、貫通孔111が形成される。貫通孔111は、フェイスシールド1−8の右上端部に配置される。貫通孔111は、円形状を有する。ただし、貫通孔111の形状は、この例に限定されず、例えば、楕円形状または多角形状であってもよい。また、フェイスシールド1−8に貫通孔111ではなく円弧状の切込み線が形成され、当該切込み線により部分的に切り離された部分を折り曲げることで形成される貫通部が、洗浄および乾燥用のフックが挿通される部分として機能してもよい。さらには、フェイスシールド1−8の外縁部にフック形状の切欠きが設けられ、当該切欠きが、洗浄および乾燥用のフックが挿通される部分として機能してもよい。また、貫通孔111の配置は、図17に示される例に限定されない。例えば、貫通孔111は、左上端部に配置されてもよく、上端部の中央側に配置されてもよい。
貫通孔111には、フェイスシールド1−8の洗浄および乾燥時に、フックが挿通される。例えば、フェイスシールド1−8は、フックに吊り下げられた状態で、洗浄液に浸され、洗浄される。また、フェイスシールド1−8は、フックに吊り下げられた状態で乾燥される。それにより、汚染したフェイスシールド1−8を洗浄および乾燥し、再利用することができる。
<第9の実施形態>
図18を参照して、本発明の第9の実施形態に係るフェイスシールド1−9について説明する。
図18は、フェイスシールド1−9を示す平面図である。
第9の実施形態に係るフェイスシールド1−9は、第1の実施形態に係るフェイスシールド1−1と比較して、フェイスシールド1−9を見つけやすくするための目印が形成されている点で異なる。
例えば、上記目印は、フェイスシールド1−9の上部領域P5(図18を参照)に形成される。上部領域P5に形成される目印としては、例えば、製造業者の名称、または、光を反射して光るパターン等が挙げられる。ただし、フェイスシールド1−9に形成される目印は、この例に限定されず、例えば、種々の文字、図形または記号、もしくは、これらの結合であってもよい。また、フェイスシールド1−9において目印が形成される位置は、上部領域P5以外であってもよく、例えば、左側領域または右側領域であってもよい。上記目印は視認できるものであればその形成方法は問わない。上記目印は、切込み線で形成されてもよいし、フェイスシールド1−9の表面に微細凹凸を形成して光を反射、回折、干渉させることで形成されてもよい。また、上記目印は、開口を有するスリットで形成されてもよいし、インクやシールなどで形成されてもよい。
上述したように、フェイスシールド1−9は透明性が高い薄い透明フィルムからなる。ゆえに、例えば、机の上等に置かれたフェイスシールド1−9を視認することが困難となる状況が生じ得る。また、例えば、フェイスシールド1−9の装着時に装着位置がずれても気づかない状態が生じ得る。よって、フェイスシールド1−9に目印を形成することによって、フェイスシールド1−9を視認しやすくすることができ、取り扱いが便利になり、適正な位置で装着することで感染防止性も維持できる。
<第10の実施形態>
図19および図20を参照して、本発明の第10の実施形態に係るフェイスシールド1−10について説明する。
図19は、フェイスシールド1−10を示す平面図である。図20は、フェイスシールド1−10の使用状態を示す斜視図である。図20は、フェイスシールド1−10が耳掛けタイプのマスク2に取り付けられている例が示されている。ただし、フェイスシールド1−10は、フェイスシールド1−1と同様に、様々な種類のマスクと容易に組み合わせて使用することができる。
第10の実施形態に係るフェイスシールド1−10は、第1の実施形態に係るフェイスシールド1−1と比較して、使用者の顔から遠ざかるにつれて先細りする形状に組み立て可能な組立構造112を有する点で異なる。
図19に示されるように、フェイスシールド1−10(具体的には、フェイスシールド1−10を形成するフィルム101−10)は、使用者の顔の正面側であり目と対向する部分P6と、使用者の顔の左側面側の部分P7と、使用者の顔の右側面側の部分P8と、使用者の顔の正面側であり呼吸器と対向する部分P9とを有する。
図19に示される平面図において、部分P6は、フェイスシールド1−10の上部であり、中心が下側に配置される扇形形状を有する。部分P7は、フェイスシールド1−10の左側部であり、部分P6から左下方向に延びるように形成される。部分P7に、切込み線102Lが形成される。部分P8は、フェイスシールド1−10の右側部であり、部分P6から右下方向に延びるように形成される。部分P8に、切込み線102Rが形成される。部分P9は、フェイスシールド1−10の下部であり、部分P6から下方向に延びるように、部分P7と部分P8の間に形成される。部分P9は、部分P7および部分P8の各々に対して、左右方向に離隔されている。
組立構造112は、部分P7に形成される切込み線112aと、部分P8に形成される切込み線112bと、部分P9に形成される張出部112c、112dおよび切込み線112e、112fとを含む。切込み線112a、112b、112e、112fは、一方の端部がフェイスシールド1−10の外縁(つまり、フィルム101−10の外縁)と交差し、他方の端部がフェイスシールド1−10の内側(つまり、フィルム101−10の外縁よりも内側)に配置された開放型切込み線である。
切込み線112aは、部分P7の左下側の外縁と交差し、部分P7のうち部分P9側に形成され、右上方向に延びる。切込み線112bは、部分P8の右下側の外縁と交差し、部分P8のうち部分P9側に形成され、左上方向に延びる。張出部112cは、部分P9の下端から左側に張り出している。切込み線112eは、張出部112cの外縁のうち上側の部分と交差し、下方向に延びる。張出部112dは、部分P9の下端から右側に張り出している。切込み線112fは、張出部112dの外縁のうち上側の部分と交差し、下方向に延びる。
図20に示されるように、組立構造112を用いてフェイスシールド1−10を組み立てた場合、部分P7の切込み線112aと部分P9の切込み線112eとが同軸上になった状態で、部分P9の張出部112cが部分P7の切込み線112aに挟み込まれる。また、部分P8の切込み線112bと部分P9の切込み線112fとが同軸上になった状態で、部分P9の張出部112dが部分P8の切込み線112bに挟み込まれる。このようにして、フェイスシールド1−10は、使用者の顔から遠ざかるにつれて先細りするような3次元立体形状に組み立てられる。ただし、組立構造112は、フェイスシールドを使用者の顔から遠ざかるにつれて先細りする形状に組み立て可能であればよく、上記の例に特に限定されず、このような構造として、例えば、後述される第18の実施形態に係る組立構造132等の種々の構造が採用され得る。
図2に示した第1の実施形態に係るフェイスシールド1−1では、フィルム101−1が左右方向に単純に湾曲した立体形状である。これに対し、図20に示した第10の実施形態に係るフェイスシールド1−10では、フィルム101−10が使用者の顔から遠ざかるにつれて先細りするような3次元立体形状となるように組み立てられている。上述したフィルム101−10の4つの部分P6、P7、P8、P9の面方向が相互に異なる方向を向くように、組立構造112を用いて4つの部分P6、P7、P8、P9を組み立てることにより、先細りするような3次元立体形状が実現される。
フェイスシールド1−10の部分P6は、使用時に使用者の額と当接する。それにより、フェイスシールド1−10は、マスク2のストラップ202と係合する切込み線102の係合部102a、102bの他に、部分P6においても支持される。ゆえに、使用時にフェイスシールド1−10をより安定的に保持および固定することができる。
さらに、フェイスシールド1−10と使用者の顔との間への上方からの異物の侵入が、部分P6によって抑制される。
さらに、フェイスシールド1−10の部分P6が使用者の額と当接することで、フェイスシールド1−10と使用者の顔との間に上方からの光が侵入しないので、上方からの光がフェイスシールド1−10により使用者側に反射することが抑制される。ゆえに、視界を良好に保つことができる。
さらに、フェイスシールド1−10では、例えば、第1の実施形態に係るフェイスシールド1−1と比較して重心が使用者側に近づくので、使用時にフェイスシールド1−10をより安定的に保持および固定することができる。
第10の実施形態では、部分P7と部分P9、および、部分P8と部分P9を、組立構造112でつなぎ合わせることで図20に示される立体形状が作られる。一方、立体形状の展開する際の平面形状は複数存在するため、図19に示される平面図の形状以外でも同様の立体形状は作成可能である。例えば、図20に示される立体形状は、部分P7と部分P9の間の隔離部分、および、部分P8と部分P9の間の隔離部分の近傍に配置される組立構造112ではなく、部分P6と部分P7の間、および、部分P6と部分P8の間の部分の近傍に組立構造を配置することでも作成可能である。
また、第10の実施形態では、部分P7と部分P9の間の隔離部分、および、部分P8と部分P9の間の隔離部分は、組立構造112により隙間なく消失するが、例えば、組立て後にも隙間が残るような形状とすることで、第3の実施形態のような貫通孔としての役割をもたせることも可能である。
また、第10の実施形態では、フェイスシールド1−10の部分P6が使用者の額と当接することで、フェイスシールド1−10と使用者の顔との間への上方からの異物の侵入が、部分P6によって抑制される構造となっているが、例えば、上下反転の形態とすることで、下方からの異物の侵入が抑制される構造にすることも可能である。
<第11の実施形態>
図21を参照して、本発明の第11の実施形態に係るフェイスシールド1−11について説明する。
図21は、フェイスシールド1−11を示す平面図である。
第11の実施形態に係るフェイスシールド1−11は、第1の実施形態に係るフェイスシールド1−1と比較して、フェイスシールド1−11の左右両側部に複数対の切込み線102が形成されている点で異なる。
図21に示されるように、フェイスシールド1−11(具体的には、フェイスシールド1−11を形成するフィルム101−11)の左右両側部には、3対の切込み線102(切込み線102−1L、102−1Rと、切込み線102−2L、102−2Rと、切込み線102−3L、102−3R)が形成される。切込み線102−1Lと切込み線102−1Rとが第1の対をなす。切込み線102−2Lと切込み線102−2Rとが第2の対をなす。切込み線102−3Lと切込み線102−3Rとが第3の対をなす。ただし、切込み線102の対の数は、2対または4対以上であってもよい。また係合部102a、102bは、図21に示されるように鋸歯状でもよいし、後述する分岐形状(図23の係合部113a、113bを参照)や湾曲形状(図24の係合部114a、114bを参照)、もしくは可変部(図247可変部116などを参照)に置き換えられてもよい。また、対ごとに係合部の形状が異なっていてもよい。
切込み線102−1L、102−2L、102−3Lは、フィルム101−11の左側部の下側に形成されている。切込み線102−1L、102−2L、102−3Lは、この順に左側から右側に並んでいる。切込み線102−1R、102−2R、102−3Rは、フィルム101−11の右側部の下側に形成されている。切込み線102−1R、102−2R、102−3Rは、この順に右側から左側に並んでいる。ゆえに、対をなす切込み線102の間隔は、対ごとに異なっている。具体的には、第1の対をなす切込み線102−1Lと切込み線102−1Rとの間隔が最も広い。第2の対をなす切込み線102−2Lと切込み線102−2Rとの間隔が次に広い。第3の対をなす切込み線102−3Lと切込み線102−3Rとの間隔が最も狭い。
上記のように、第11の実施形態に係るフェイスシールド1−11では、複数対の切込み線102が形成されている。それにより、使用者の顔やマスクの大きさに応じて、使用する切込み線102の対を選択することによって、フェイスシールド1−11とマスク2の間の隙間を調整したり、フェイスシールド1−11を使用者の顔に良好にフィットさせることができる。
例えば、顔が大きい使用者は、第1の対をなす切込み線102−1L、102−1Rを使用することによって、フェイスシールド1−11とマスク2の間の隙間を維持し、フェイスシールド1−11を顔に良好にフィットさせることができる。この場合、切込み線102−1Lに、マスク2の左側から伸びる2本のストラップ202−1、202−2が挿通され、切込み線102−1Rに、マスク2の右側から伸びる2本のストラップ202−3、202−4が挿通される。
また、例えば、顔が小さい使用者は、第3の対をなす切込み線102−3L、102−3Rを使用することによって、フェイスシールド1−11とマスク2の間の隙間を維持し、フェイスシールド1−11を顔に良好にフィットさせることができる。この場合、切込み線102−3Lに、マスク2の左側から伸びる2本のストラップ202−1、202−2が挿通され、切込み線102−3Rに、マスク2の右側から伸びる2本のストラップ202−3、202−4が挿通される。
<第12の実施形態>
図22を参照して、本発明の第12の実施形態に係るフェイスシールド1−12について説明する。
図22は、フェイスシールド1−12を示す平面図である。
第12の実施形態に係るフェイスシールド1−12は、第10の実施形態に係るフェイスシールド1−10と比較して、フェイスシールド1−12の左右両側部に複数対の切込み線102が形成されている点で異なる。
図22に示されるように、フェイスシールド1−12(具体的には、フェイスシールド1−12を形成するフィルム101−12)の左右両側部には、3対の切込み線102(切込み線102−4L、102−4Rと、切込み線102−5L、102−5Rと、切込み線102−6L、102−6R)が形成される。切込み線102−4Lと切込み線102−4Rとが第1の対をなす。切込み線102−5Lと切込み線102−5Rとが第2の対をなす。切込み線102−6Lと切込み線102−6Rとが第3の対をなす。ただし、切込み線102の対の数は、2対または4対以上であってもよい。
切込み線102−4L、102−5L、102−6Lは、フィルム101−12の左側部である部分P7に形成されている。切込み線102−4L、102−5L、102−6Lは、この順に左側から右側に並んでいる。切込み線102−4R、102−5R、102−6Rは、フィルム101−12の右側部である部分P8に形成されている。切込み線102−4R、102−5R、102−6Rは、この順に右側から左側に並んでいる。ゆえに、対をなす切込み線102の間隔は、対ごとに異なっている。具体的には、第1の対をなす切込み線102−4Lと切込み線102−4Rとの間隔が最も広い。第2の対をなす切込み線102−5Lと切込み線102−5Rとの間隔が次に広い。第3の対をなす切込み線102−6Lと切込み線102−6Rとの間隔が最も狭い。
上記のように、第12の実施形態に係るフェイスシールド1−12では、第11の実施形態に係るフェイスシールド1−11と同様に、複数対の切込み線102が形成されている。それにより、使用者の顔やマスクの大きさに応じて、使用する切込み線102の対を選択することによって、フェイスシールド1−12とマスク2の間の隙間を維持したり、フェイスシールド1−12を使用者の顔に良好にフィットさせることができる。例えば、顔が大きい使用者は、第1の対をなす切込み線102−4L、102−4Rを使用することによって、フェイスシールド1−12とマスク2の間の隙間を維持し、フェイスシールド1−12を顔に良好にフィットさせることができる。また、例えば、顔が小さい使用者は、第3の対をなす切込み線102−6L、102−6Rを使用することによって、フェイスシールド1−12とマスク2の間の隙間を維持し、フェイスシールド1−12を顔に良好にフィットさせることができる。
<第13の実施形態>
図23を参照して、本発明の第13の実施形態に係るフェイスシールド1−13について説明する。
図23は、フェイスシールド1−13を示す平面図である。
第13の実施形態に係るフェイスシールド1−13では、第1の実施形態に係るフェイスシールド1−1と比較して、切込み線113に形成される係合部113a、113bの形状が異なる。
図23に示されるように、フェイスシールド1−13(具体的には、フェイスシールド1−13を形成するフィルム101−13)の左右両側部には、マスク2のストラップ202を挿通可能な1対の切込み線113L、113Rが形成されている。なお、切込み線113Lと切込み線113Rを特に区別しない場合、単に切込み線113とも呼ぶ。
切込み線113は、フェイスシールド1−13の外縁(つまり、フィルム101−13の外縁)とは交差せずに、フェイスシールド1−13の内側(つまり、フィルム101−13の外縁よりも内側)に内包された閉鎖型切込み線である。切込み線113は、左右方向に対して交差する方向に延びるように形成されている。
切込み線113Lは、フィルム101−13の左側部の下側に形成されている。切込み線113Lに、マスク2の左側から伸びる2本のストラップ202−1、202−2が挿通される。切込み線113Rは、フィルム101−13の右側部の下側に形成されている。切込み線113Rに、マスク2の右側から伸びる2本のストラップ202−3、202−4が挿通される。
切込み線113は、切込み線113に挿通されたストラップ202と係合する係合部113a、113bと、直線部113cとを有する。係合部113a、113bは、切込み線113の両端にそれぞれ形成される。本実施形態では、係合部113a、113bは、切込み線113が分岐している部分(分岐部)である。なお、図23では、係合部113a、113bにおいて、切込み線113が3か所で分岐している例が示されているが、切込み線113の分岐部の数は、3つ以外であってもよい。また、図23では、係合部113a、113bにおいて、切込み線113が各分岐部で2本に分岐している例が示されているが、切込み線113は3本以上に分岐していてもよい。また、図23では、係合部113a、113bにおいて、切込み線113が直線部113cを基準として一側に分岐している例が示されているが、切込み線113は両側に分岐していてもよい。
係合部113aは、切込み線113の上端に形成され、係合部113bは、切込み線113の下端に形成される。直線部113cは、切込み線113における係合部113aと係合部113bとの間の部分である。直線部113cは、切込み線113が直線状に形成されている部分である。なお、本実施形態に係る切込み線113では、両端部の係合部113a、113bは、直線状の直線部113cにより連結されているが、本発明は、かかる例に限定されない。係合部113a、113bを連結する連結線は、直線状でなくても、例えば、緩やかに湾曲した曲線などであってもよい。ストラップ202−1が切込み線113Lの係合部113aと係合し、ストラップ202−2が切込み線113Lの係合部113bと係合する。ストラップ202−3が切込み線113Rの係合部113aと係合し、ストラップ202−4が切込み線113Rの係合部113bと係合する。
上記のように、第13の実施形態に係るフェイスシールド1−13では、係合部113a、113bは、切込み線113が分岐している部分である。ゆえに、フィルム101−13のうち係合部113a、113bの両側部分は、直線部113cの両側部分と比べて複雑な形状を有する。よって、切込み線113に挿通されたストラップ202と係合部113a、113bとの間で大きな摩擦抵抗が生じ、切込み線113に挿通されたストラップ202が強固に挟持される。これにより、切込み線113に対するストラップ202の挿通方向と、切込み線113に沿った方向の2つの方向へストラップ202が移動することを、係合部113a、113bによって制限することができる。
<第14の実施形態>
図24を参照して、本発明の第14の実施形態に係るフェイスシールド1−14について説明する。
図24は、フェイスシールド1−14を示す平面図である。
第14の実施形態に係るフェイスシールド1−14では、第1の実施形態に係るフェイスシールド1−1と比較して、切込み線114に形成される係合部114a、114bの形状が異なる。
図24に示されるように、フェイスシールド1−14(具体的には、フェイスシールド1−14を形成するフィルム101−14)の左右両側部には、マスク2のストラップ202を挿通可能な1対の切込み線114L、114Rが形成されている。なお、切込み線114Lと切込み線114Rを特に区別しない場合、単に切込み線114とも呼ぶ。
切込み線114は、フェイスシールド1−14の外縁(つまり、フィルム101−14の外縁)とは交差せずに、フェイスシールド1−14の内側(つまり、フィルム101−14の外縁よりも内側)に内包された閉鎖型切込み線である。切込み線114は、左右方向に対して交差する方向に延びるように形成されている。
切込み線114Lは、フィルム101−14の左側部の下側に形成されている。切込み線114Lに、マスク2の左側から伸びる2本のストラップ202−1、202−2が挿通される。切込み線114Rは、フィルム101−14の右側部の下側に形成されている。切込み線114Rに、マスク2の右側から伸びる2本のストラップ202−3、202−4が挿通される。
切込み線114は、切込み線114に挿通されたストラップ202と係合する係合部114a、114bと、直線部114cとを有する。係合部114a、114bは、切込み線114の両端にそれぞれ形成される。本実施形態では、係合部114a、114bは、切込み線114が湾曲している部分(湾曲部)である。なお、図24では、係合部114a、114bが円弧形状である例が示されているが、係合部114a、114bの形状はこの例に限定されない。例えば、係合部114a、114bは、少なくとも一部が湾曲した形状であれば、楕円形状であってもよく、直線状の部分を含む形状であってもよい。
係合部114aは、切込み線114の上端に形成され、係合部114bは、切込み線114の下端に形成される。直線部114cは、切込み線114における係合部114aと係合部114bとの間の部分である。直線部114cは、切込み線114が直線状に形成されている部分である。なお、本実施形態に係る切込み線114では、両端部の係合部114a、114bは、直線状の直線部114cにより連結されているが、本発明は、かかる例に限定されない。係合部114a、114bを連結する連結線は、直線状でなくても、例えば、緩やかに湾曲した曲線などであってもよい。ストラップ202−1が切込み線114Lの係合部114aと係合し、ストラップ202−2が切込み線114Lの係合部114bと係合する。ストラップ202−3が切込み線114Rの係合部114aと係合し、ストラップ202−4が切込み線114Rの係合部114bと係合する。
上記のように、第14の実施形態に係るフェイスシールド1−14では、係合部114a、114bは、切込み線114が湾曲している部分である。ゆえに、フィルム101−14のうち係合部114a、114bの両側部分は、直線部114cの両側部分と比べて複雑な形状を有する。よって、切込み線114に挿通されたストラップ202と係合部114a、114bとの間で大きな摩擦抵抗が生じ、切込み線114に挿通されたストラップ202が強固に挟持される。これにより、切込み線114に対するストラップ202の挿通方向と、切込み線114に沿った方向の2つの方向へストラップ202が移動することを、係合部114a、114bによって制限することができる。
<第15の実施形態>
図25および図26を参照して、本発明の第15の実施形態に係るフェイスシールド1−15について説明する。
図25は、フェイスシールド1−15を示す平面図である。図26は、フェイスシールド1−15の使用状態を示す斜視図である。図25および図26では、フェイスシールド1−15が、オーバーヘッドタイプのマスク4に取り付けられている例が示されている。ただし、フェイスシールド1−15は、フェイスシールド1−1と同様に、様々な種類のマスクと容易に組み合わせて使用することができる。例えば、フェイスシールド1−15は、上述した耳掛けタイプのマスク2にも脱着可能である。
図25に示されるように、マスク4は、本体部401と、ストラップ402とを有する。
本体部401は、上述したマスク2の本体部201と同様の構成を有する。本体部401の左側部の上側からストラップ402−1が伸び、本体部401の左側部の下側からストラップ402−2が伸びている。本体部401の右側部の上側からストラップ402−3が伸び、本体部401の右側部の下側からストラップ402−4が伸びている。ストラップ402−1およびストラップ402−3は、接続されており、使用者の頭部に巻き回されて装着される。ストラップ402−2およびストラップ402−4は、接続されており、使用者の頭部のうちストラップ402−1およびストラップ402−3が装着される位置より下側の部分に巻き回されて装着される。このように、マスク4は、所謂オーバーヘッドタイプのマスクである。
第15の実施形態に係るフェイスシールド1−15は、第1の実施形態に係るフェイスシールド1−1と比較して、マスク4のストラップ402が挿通される切込み線115が、開放型切込み線である点で異なる。これにより、耳掛けタイプのマスク2、紐で結ぶタイプのマスク3に加えて、オーバーヘッドタイプのマスク4にも、フェイスシールド1−15を脱着可能となる。
図25に示されるように、フェイスシールド1−15(具体的には、フェイスシールド1−15を形成するフィルム101−15)の左右両側部には、2対の切込み線115(切込み線115−1L、115−1Rと、切込み線115−2L、115−2R)が形成される。切込み線115には、マスク4のストラップ402を挿通可能である。切込み線115−1Lと切込み線115−1Rとが第1の対をなす。切込み線115−2Lと切込み線115−2Rとが第2の対をなす。2対の切込み線115(つまり、切込み線115−1L、115−1Rと切込み線115−2L、115−2R)は、上下方向に並んで形成される。具体的には、切込み線115−1L、115−1Rが、切込み線115−2L、115−2Rの上方に配置される。ただし、切込み線115の対の数は、少なくとも1つであればよく、単数または3つ以上であってもよい。
切込み線115は、一方の端部がフェイスシールド1−15の外縁(つまり、フィルム101−15の外縁)と交差し、他方の端部がフェイスシールド1−15の内側(つまり、フィルム101−15の外縁よりも内側)に配置された開放型切込み線である。
切込み線115−1Lおよび切込み線115−2Lは、フィルム101−15の左側の外縁と交差し、右方向に進むにつれて下方に傾斜するように形成されている。切込み線115−1Lに、マスク4の左側から伸びるストラップ402−1が挿通される。切込み線115−2Lに、マスク4の左側から伸びるストラップ402−2が挿通される。切込み線115−1Rおよび切込み線115−2Rは、フィルム101−15の右側の外縁と交差し、左方向に進むにつれて下方に傾斜するように形成されている。切込み線115−1Rに、マスク4の右側から伸びるストラップ402−3が挿通される。切込み線115−2Rに、マスク4の右側から伸びるストラップ402−4が挿通される。
切込み線115は、切込み線115に挿通されたストラップ402と係合する係合部115aと、直線部115bとを有する。係合部115aは、切込み線115の他方の端部(つまり、フェイスシールド1−15の内側に配置された端部)に形成される。本実施形態では、係合部115aは、第14の実施形態の切込み線114の係合部114a、114bと同様に、切込み線115が湾曲している部分である。ただし、係合部115aの形状はこの例に限定されない。例えば、係合部115aは、第1の実施形態のように切込み線115が鋸歯状に形成されている部分であってもよく、第13の実施形態のように切込み線115が分岐している部分であってもよい。直線部115bは、切込み線115における係合部115aとフィルム101−15の外縁との間の部分である。直線部115bは、切込み線115が直線状に形成されている部分である。なお、本実施形態に係る切込み線115では、係合部115aとフィルム101−15の外縁とが、直線状の直線部115bにより連結されているが、本発明は、かかる例に限定されない。係合部115aとフィルム101−15の外縁とを連結する連結線は、直線状でなくても、例えば、緩やかに湾曲した曲線などであってもよい。また、当該連結線は、ストラップ402が外れるのを防止するために、例えば鋸歯状などの複雑な形状に形成してもよい。
マスク4の左側から伸びる2本のストラップ402−1、402−2は、フェイスシールド1−15の左側に形成された2本の開放型切込み線である切込み線115−1L、115−2Lに形成された2つの係合部115aにそれぞれ係合する。ストラップ402−1が切込み線115−1Lの係合部115aと係合し、ストラップ402−2が切込み線115−2Lの係合部115aと係合する。マスク4の右側から伸びる2本のストラップ402−3、402−4は、フェイスシールド1−15の右側に形成された2本の開放型切込み線である切込み線115−1R、115−2Rに形成された2つの係合部115aにそれぞれ係合する。ストラップ402−3が切込み線115−1Rの係合部115aと係合し、ストラップ402−4が切込み線115−2Rの係合部115aと係合する。特に、フェイスシールド1−15を安定的に保持および固定する観点では、ストラップ402のうち本体部401に極力近い部分が係合部115aと係合することが好ましい。
係合部115aの両側部分のフィルム101−15により、切込み線115に挿通されたストラップ402が挟持される。これにより、切込み線115に対するストラップ402の挿通方向と、切込み線115に沿った方向の2つの方向へストラップ402が移動することが、係合部115aによって制限される。ゆえに、マスク4に対してフェイスシールド1−15を容易に着脱でき、かつ、使用時にフェイスシールド1−15をマスク4に安定的に保持および固定することができる。
特に、第15の実施形態に係るフェイスシールド1−15では、フェイスシールド1−1の左右方向の片側に形成された2本の開放型切込み線に、マスク4の左右方向の片側から伸びる2本のストラップ402がそれぞれ挿通される。そして、2本のストラップ402は、2本の開放型切込み線である切込み線115の他方の端部に形成された2つの係合部115aにそれぞれ係合する。それにより、フェイスシールド1−15が合計4本のストラップ402によって4点支持される。ゆえに、使用時にフェイスシールド1−15をより安定的に保持および固定することができる。
<第16の実施形態>
図27〜図29を参照して、本発明の第16の実施形態に係るフェイスシールド1−16について説明する。
図27は、フェイスシールド1−16を示す平面図である。図28は、後述される可変部116の変形前後の状態を示す模式図である。具体的には、図28は、フェイスシールド1−16を後方から見た(つまり、使用者側から見た)図である。図29は、後述される可変部116の変形後の状態を示す断面図である。具体的には、図29は、フェイスシールド1−16の表面に直交する断面を示す断面図である。
第16の実施形態に係るフェイスシールド1−16は、第15の実施形態に係るフェイスシールド1−15と同様に、耳掛けタイプのマスク2または紐で結ぶタイプのマスク3に加えて、オーバーヘッドタイプのマスク4にも脱着可能である。以下、フェイスシールド1−16がオーバーヘッドタイプのマスク4に取り付けられる例を一例として説明する。
第16の実施形態に係るフェイスシールド1−16では、第15の実施形態に係るフェイスシールド1−15と比較して、マスク4のストラップ402が挿通される機構と、フェイスシールド1−16とストラップ402とが係合する機構が異なる。
図27に示されるように、フェイスシールド1−16(具体的には、フェイスシールド1−16を形成するフィルム101−16)の左右両側部には、2対の可変部116(可変部116−1L、116−1Rと、可変部116−2L、116−2R)が形成される。可変部116は、フィルム101−16の一部である。即ち、可変部116は、フェイスシールド1−16に形成された切込み線117に沿ってフィルム101−16の一部が部分的に切り離されることにより、変形可能となるフィルム101−16の部分である。
可変部116−1Lと可変部116−1Rとが第1の対をなす。可変部116−2Lと可変部116−2Rとが第2の対をなす。2対の可変部116(つまり、可変部116−1L、116−1Rと可変部116−2L、116−2R)は、上下方向に並んで形成される。具体的には、可変部116−1L、116−1Rが、可変部116−2L、116−2Rの上方に配置される。ただし、可変部116の対の数は、少なくとも1つであればよく、単数または3つ以上であってもよい。
切込み線117は、U字状である。可変部116−1L、116−1Rを形成する切込み線117の両端は上側に配置され、当該切込み線117は当該両端から下方に延びるように形成されている。ゆえに、可変部116−1L、116−1Rの各可変部116は、各可変部116の上端を支点として折り曲げ可能である。可変部116−2L、116−2Rを形成する切込み線117の両端は下側に配置され、当該切込み線117は当該両端から上方に延びるように形成されている。ゆえに、可変部116−2L、116−2Rの各可変部116は、各可変部116の下端を支点として折り曲げ可能である。ただし、切込み線117の形状は、この例に限定されず、例えば、円弧状であってもよい。
フェイスシールド1−16において可変部116に隣接する位置には、可変部116を差し込み可能な差込部118が形成されている。差込部118は、切込み線(具体的には、左右方向に延びるように形成される閉鎖型切込み線)からなる。可変部116−1L、116−1Rを差し込み可能な差込部118は、各可変部116の上方に形成されている。可変部116−2L、116−2Rを差し込み可能な差込部118は、各可変部116の下方に形成されている。
図28に示されるように、可変部116の先端部が差込部118に差し込まれるように、可変部116は変形する。可変部116の変形前には、マスク4のストラップ402は、可変部116の両側部分のフィルム101−16と、可変部116とによって、前後方向に挟持された状態でセットされる。この状態において、具体的には、マスク4のストラップ402は、可変部116の両側部分のフィルム101−16の後方を通り、可変部116の前方を通る。可変部116は、この状態からストラップ402とともに折り曲げられ、差込部118に差し込まれる。このとき、可変部116は、当該可変部116の基端に配置される折曲げ線L5に沿って折り曲げられる。
ここで、可変部116の左右両側には、可変部116を差込部118に係止する係止爪119が形成されている。図28に示される例では、可変部116の左右両側部が鋸歯状に形成されることによって、可変部116の左右両側に複数の係止爪119がそれぞれ形成されている。可変部116が差込部118に差し込まれた状態で、係止爪119によって、可変部116が差込部118に係止される。可変部116の変形後には、図28および図29に示されるように、変形した可変部116とフィルム101−16によって、マスク4のストラップ402を挿通可能な輪部120が形成される。輪部120は、輪部120に挿通されたストラップ402と係合する。輪部120は、ストラップ402を挿通可能な内部空間を形成する閉鎖型の環状部分であればよく、輪部120の形状は特に限定されない。例えば、輪部120は、円形状であってもよく、楕円形状であってもよく、直線状の部分を含む形状であってもよい。
具体的には、可変部116−1Lにより形成される輪部120に、マスク4の左側から伸びるストラップ402−1が挿通され、当該輪部120と係合する。可変部116−2Lにより形成される輪部120に、マスク4の左側から伸びるストラップ402−2が挿通され、当該輪部120と係合する。可変部116−1Rにより形成される輪部120に、マスク4の右側から伸びるストラップ402−3が挿通され、当該輪部120と係合する。可変部116−2Rにより形成される輪部120に、マスク4の右側から伸びるストラップ402−4が挿通され、当該輪部120と係合する。特に、フェイスシールド1−16を安定的に保持および固定する観点では、ストラップ402のうち本体部401に極力近い部分が輪部120と係合することが好ましい。
上記のように、第16の実施形態に係るフェイスシールド1−16では、可変部116が変形することによって、マスク4のストラップ402を挿通可能な輪部120が形成される。具体的には、可変部116が差込部118に差し込まれることにより、輪部120が形成される。特に、係止爪119によって、可変部116が差込部118に係止されることによって、輪部120が安定的に形成される。そして、輪部120は、輪部120に挿通されたストラップ402と係合する。それにより、当該輪部120に対するストラップ402の挿通方向へストラップ402が移動することが制限される。ゆえに、マスク4に対してフェイスシールド1−16を容易に着脱でき、かつ、使用時にフェイスシールド1−16をマスク4に安定的に保持および固定することができる。
特に、第16の実施形態に係るフェイスシールド1−16では、フェイスシールド1−1の左右方向の片側に形成された2つの可変部116により形成される輪部120に、マスク4の左右方向の片側から伸びる2本のストラップ402がそれぞれ係合する。それにより、フェイスシールド1−16が合計4本のストラップ402によって4点支持される。ゆえに、使用時にフェイスシールド1−16をより安定的に保持および固定することができる。
<第17の実施形態>
図30〜図32を参照して、本発明の第17の実施形態に係るフェイスシールド1−17について説明する。
図30は、フェイスシールド1−17を示す平面図である。図31は、後述される可変部121の変形前後の状態を示す模式図である。具体的には、図31は、フェイスシールド1−17を後方から見た(つまり、使用者側から見た)図である。図32は、フェイスシールド1−17の使用状態を示す斜視図である。図32では、フェイスシールド1−17がオーバーヘッドタイプのマスク4に取り付けられている例が示されている。ただし、フェイスシールド1−17は、フェイスシールド1−15、1−16と同様に、オーバーヘッドタイプのマスク4の他に、耳掛けタイプのマスク2または紐で結ぶタイプのマスク3にも脱着可能である。
第17の実施形態に係るフェイスシールド1−17では、第16の実施形態に係るフェイスシールド1−16と比較して、可変部121の構成が異なる。
図30に示されるように、フェイスシールド1−17(具体的には、フェイスシールド1−17を形成するフィルム101−17)の左右両側部には、4対の可変部121(可変部121−1L、121−1Rと、可変部121−2L、121−2Rと、可変部121−3L、121−3Rと、可変部121−4L、121−4R)が形成される。可変部121は、フェイスシールド1−17に形成された切込み線122に沿って部分的に切り離されることにより変形可能な部分である。
可変部121−1Lと可変部121−1Rとが第1の対をなす。可変部121−2Lと可変部121−2Rとが第2の対をなす。可変部121−3Lと可変部121−3Rとが第3の対をなす。可変部121−4Lと可変部121−4Rとが第4の対をなす。可変部121−1L、121−1R(第1の対)は、可変部121−2L、121−2R(第2の対)の上方に配置される。可変部121−3L、121−3R(第3の対)は、可変部121−4L、121−4R(第4の対)の上方に配置される。可変部121−1L、121−1R(第1の対)は、可変部121−3L、121−3R(第3の対)に対してフェイスシールド1−17の外側に配置される。可変部121−2L、121−2R(第2の対)は、可変部121−4L、121−4R(第4の対)に対してフェイスシールド1−17の外側に配置される。ただし、可変部121の対の数は、少なくとも1つであればよく、4つ以外であってもよい。
切込み線122は、U字状である。可変部121−1L、121−1R(第1の対)および可変部121−3L、121−3R(第3の対)を形成する切込み線122の両端は上側に配置され、当該切込み線122は当該両端から下方に延びるように形成されている。ゆえに、可変部121−1L、121−1R(第1の対)および可変部121−3L、121−3R(第3の対)の各可変部121は、各可変部121の上端を支点として折り曲げ可能である。可変部121−2L、121−2R(第2の対)および可変部121−4L、121−4R(第4の対)を形成する切込み線122の両端は下側に配置され、当該切込み線122は当該両端から上方に延びるように形成されている。ゆえに、可変部121−2L、121−2R(第2の対)および可変部121−4L、121−4R(第4の対)の各可変部121は、各可変部121の下端を支点として折り曲げ可能である。ただし、切込み線122の形状は、この例に限定されず、例えば、円弧状であってもよい。
フェイスシールド1−17において可変部121に隣接する位置には、可変部121を差し込み可能な差込部123が形成されている。差込部123は、切込み線(具体的には、U字状の閉鎖型切込み線)からなる。ただし、差込部123は、第16の実施形態のように、左右方向に延びるように形成される閉鎖型切込み線であってもよい。具体的には、可変部121−1L、121−1R(第1の対)および可変部121−3L、121−3R(第3の対)を差し込み可能な差込部123は、各可変部121の上方に形成されている。可変部121−2L、121−2R(第2の対)および可変部121−4L、121−4R(第4の対)を差し込み可能な差込部123は、各可変部121の下方に形成されている。
図31に示されるように、可変部121の先端部が差込部123に差し込まれるように、可変部121は変形する。可変部121の変形前には、マスク4のストラップ402は、可変部121の両側部分のフィルム101−17と、可変部121とによって、前後方向に挟持された状態でセットされる。この状態において、具体的には、マスク4のストラップ402は、可変部121の両側部分のフィルム101−17の後方を通り、可変部121の前方を通る。可変部121は、この状態からストラップ402とともに折り曲げられ、差込部123に差し込まれる。このとき、可変部121は、当該可変部121の基端に配置される折曲げ線L6に沿って折り曲げられる。
ここで、可変部121の側部には、可変部121を差込部123に係止する係止爪124が形成されている。係止爪124は、可変部121の側部から外側に向けて突出した鍵状の部分である。可変部121が差込部123に差し込まれた状態で、係止爪124によって、可変部121が差込部123に係止される。可変部121の変形後には、第16の実施形態と同様に、変形した可変部121とフィルム101−17によって、マスク4のストラップ402を挿通可能な輪部125が形成される。輪部125は、輪部125に挿通されたストラップ402と係合する。なお、輪部125の形状は、第16の実施形態に係る輪部120と同様に、特に限定されない。
具体的には、可変部121−1Lまたは可変部121−3Lにより形成される輪部125に、マスク4の左側から伸びるストラップ402−1が挿通され、当該輪部125と係合する。可変部121−2Lまたは可変部121−4Lにより形成される輪部125に、マスク4の左側から伸びるストラップ402−2が挿通され、当該輪部125と係合する。可変部121−1Rまたは可変部121−3Rにより形成される輪部125に、マスク4の右側から伸びるストラップ402−3が挿通され、当該輪部125と係合する。可変部121−2Rまたは可変部121−4Rにより形成される輪部125に、マスク4の右側から伸びるストラップ402−4が挿通され、当該輪部125と係合する。特に、フェイスシールド1−17を安定的に保持および固定する観点では、ストラップ402のうち本体部401に極力近い部分が輪部125と係合することが好ましい。
上記のように、第17の実施形態に係るフェイスシールド1−17では、第16の実施形態と同様に、可変部121が変形することによって輪部125が形成される。具体的には、可変部121が差込部123に差し込まれることにより、輪部125が形成される。特に、係止爪124によって、可変部121が差込部123に係止されることによって、輪部125が安定的に形成される。そして、輪部125にストラップ402が係合することによって、当該輪部125に対するストラップ402の挿通方向へストラップ402が移動することが制限される。ゆえに、マスク4に対してフェイスシールド1−17を容易に着脱でき、かつ、使用時にフェイスシールド1−17をマスク4に安定的に保持および固定することができる。
ここで、可変部121−1Lおよび可変部121−2Lと可変部121−1Rおよび可変部121−2Rとの間隔は、可変部121−3Lおよび可変部121−4Lと可変部121−3Rおよび可変部121−4Rとの間隔と比較して広い。ゆえに、使用者の顔やマスクの大きさに応じて、使用する可変部121の対を選択することによって、フェイスシールド1−17とマスク4の間の隙間を維持したり、フェイスシールド1−17を使用者の顔に良好にフィットさせることができる。
例えば、顔が大きい使用者は、可変部121−1Lおよび可変部121−2Lと可変部121−1Rおよび可変部121−2Rを使用することによって、フェイスシールド1−17とマスク4の間の隙間を維持し、フェイスシールド1−17を顔に良好にフィットさせることができる。この場合、可変部121−1Lにより形成される輪部125に、マスク4の左側から伸びるストラップ402−1が挿通され、可変部121−2Lにより形成される輪部125に、マスク4の左側から伸びるストラップ402−2が挿通される。また、可変部121−1Rにより形成される輪部125に、マスク4の右側から伸びるストラップ402−3が挿通され、可変部121−2Rにより形成される輪部125に、マスク4の右側から伸びるストラップ402−4が挿通される。
また、例えば、顔が小さい使用者は、可変部121−3Lおよび可変部121−4Lと可変部121−3Rおよび可変部121−4Rを使用することによって、フェイスシールド1−17とマスク4の間の隙間を維持し、フェイスシールド1−17を顔に良好にフィットさせることができる。この場合、可変部121−3Lにより形成される輪部125に、マスク4の左側から伸びるストラップ402−1が挿通され、可変部121−4Lにより形成される輪部125に、マスク4の左側から伸びるストラップ402−2が挿通される。また、可変部121−3Rにより形成される輪部125に、マスク4の右側から伸びるストラップ402−3が挿通され、可変部121−4Rにより形成される輪部125に、マスク4の右側から伸びるストラップ402−4が挿通される。
さらに、第17の実施形態に係るフェイスシールド1−17では、第2の実施形態に係るフェイスシールド1−2と同様に、フェイスシールド1−17において使用者の呼吸器と対向する位置に切欠き部126が形成されている。
図32に示されるように、切欠き部126は、使用時に、使用者の呼吸器(例えば、口および鼻)と対向する位置に形成される。ゆえに、使用者の呼吸器から発された呼気は、マスク4を通過または迂回した後、切欠き部126を通ってフェイスシールド1−17の外部に排出される。これにより、フェイスシールド1−17が使用者の呼気によって曇ることを効果的に抑制し、視界を良好に保つことができる。
さらに、第17の実施形態に係るフェイスシールド1−17では、第6の実施形態に係るフェイスシールド1−6と同様に、フェイスシールド1−17のうち使用者の顔の正面側の部分P10と側面側の部分P11、P12との間に折曲げ線L7、L8が配置されている。
なお、図30に示されるように、フェイスシールド1−17のうち可変部121−1L、121−2L、121−3L、121−4Lが形成される左側部が、使用者の顔の左側面側の部分P11(以下、「左側面部分P11」という。)である。フェイスシールド1−17のうち可変部121−1R、121−2R、121−3R、121−4Rが形成される右側部が、使用者の顔の右側面側の部分P12(以下、「右側面部分P12」という。)である。部分P10(以下、「正面部分P10」という。)は、フェイスシールド1−17のうち部分P11と部分P12の間の部分である。左側面部分P11は、折曲げ線L7に沿って正面部分P10に対して折り曲げ可能である。右側面部分P12は、折曲げ線L8に沿って正面部分P10に対して折り曲げ可能である。左側面部分P11、右側面部分P12を折り曲げやすいように、折曲げ線L7、L8にミシン目を設けてもよい。
図32に示されるように、フェイスシールド1−17の使用時に、左側面部分P11、右側面部分P12は、折曲げ線L7、L8に沿って使用者の顔側に折り曲げられた状態となっている。ゆえに、フェイスシールド1−17の正面側の部分P10は、平面形状を維持した状態で、使用者の顔と対向する。それにより、フェイスシールド1−17の正面部分P10が平面形状である場合は、正面部分P10が湾曲形状である場合と比べて外光の映り込みを抑制することができるので、視界を良好に保つことができる。
<第18の実施形態>
図33および図34を参照して、本発明の第18の実施形態に係るフェイスシールド1−18について説明する。
図33は、フェイスシールド1−18を示す平面図である。図34は、後述される可変部127の変形前後の状態を示す模式図である。具体的には、図34は、フェイスシールド1−18を後方から見た(つまり、使用者側から見た)図である。
第18の実施形態に係るフェイスシールド1−18は、第15の実施形態に係るフェイスシールド1−15、第16の実施形態に係るフェイスシールド1−16、および、第17の実施形態に係るフェイスシールド1−17と同様に、耳掛けタイプのマスク2または紐で結ぶタイプのマスク3に加えて、オーバーヘッドタイプのマスク4にも脱着可能である。以下、フェイスシールド1−18がオーバーヘッドタイプのマスク4に取り付けられる例を一例として説明する。
第18の実施形態に係るフェイスシールド1−18では、第16の実施形態に係るフェイスシールド1−16、および、第17の実施形態に係るフェイスシールド1−17と比較して、可変部127の構成が異なる。
図33に示されるように、フェイスシールド1−18(具体的には、フェイスシールド1−18を形成するフィルム101−18)の左右両側部には、4対の可変部127(可変部127−1L、127−1Rと、可変部127−2L、127−2Rと、可変部127−3L、127−3Rと、可変部127−4L、127−4R)が形成される。可変部127は、フェイスシールド1−18に形成された切込み線128に沿って部分的に切り離されることにより変形可能な部分である。
可変部127−1Lと可変部127−1Rとが第1の対をなす。可変部127−2Lと可変部127−2Rとが第2の対をなす。可変部127−3Lと可変部127−3Rとが第3の対をなす。可変部127−4Lと可変部127−4Rとが第4の対をなす。可変部127−1L、127−1R(第1の対)は、可変部127−2L、127−2R(第2の対)の上方に配置される。可変部127−3L、127−3R(第3の対)は、可変部127−4L、127−4R(第4の対)の上方に配置される。可変部127−1L、127−1R(第1の対)は、可変部127−3L、127−3R(第3の対)に対してフェイスシールド1−18の外側に配置される。可変部127−2L、127−2R(第2の対)は、可変部127−4L、127−4R(第4の対)に対してフェイスシールド1−18の外側に配置される。ただし、可変部127の対の数は、少なくとも1つであればよく、4つ以外であってもよい。
切込み線128は、U字状である。可変部127−1L、127−1R(第1の対)および可変部127−3L、127−3R(第3の対)を形成する切込み線128の両端は上側に配置され、当該切込み線128は当該両端から下方に延びるように形成されている。ゆえに、可変部127−1L、127−1R(第1の対)および可変部127−3L、127−3R(第3の対)の各可変部127は、各可変部127の上端を支点として折り曲げ可能である。可変部127−2L、127−2R(第2の対)および可変部127−4L、127−4R(第4の対)を形成する切込み線128の両端は下側に配置され、当該切込み線128は当該両端から上方に延びるように形成されている。ゆえに、可変部127−2L、127−2R(第2の対)および可変部127−4L、127−4R(第4の対)の各可変部127は、各可変部127の下端を支点として折り曲げ可能である。ただし、切込み線128の形状は、この例に限定されず、例えば、円弧状であってもよい。
フェイスシールド1−18において可変部127に隣接する位置には、可変部127を差し込み可能な差込部129が形成されている。差込部129は、切込み線(具体的には、U字状の閉鎖型切込み線)からなる。ただし、差込部129は、第16の実施形態のように、左右方向に延びるように形成される閉鎖型切込み線であってもよい。具体的には、可変部127−1L、127−1R(第1の対)および可変部127−3L、127−3R(第3の対)を差し込み可能な差込部129は、各可変部127の上方に形成されている。可変部127−2L、127−2R(第2の対)および可変部127−4L、127−4R(第4の対)を差し込み可能な差込部129は、各可変部127の下方に形成されている。
ここで、可変部127の先端側には、可変部127を差込部129に係止する係止爪130が形成されている。係止爪130は、可変部127の基端側に向けて湾曲した円弧状の閉鎖型切込み線に沿って部分的に切り離されている部分である。ただし、上記閉鎖型切込み線は、可変部127の基端側に向けて突出するように形成されていればよく、例えば、多角形状であってもよく、直線状の部分と湾曲した形状の部分を含む形状であってもよい。
図34に示されるように、可変部127の先端部が差込部129に差し込まれるように、可変部127は変形する。可変部127の変形前には、マスク4のストラップ402は、可変部127の両側部分のフィルム101−18と、可変部127とによって、前後方向に挟持された状態でセットされる。この状態において、具体的には、マスク4のストラップ402は、可変部127の両側部分のフィルム101−18の後方を通り、可変部127の前方を通る。可変部127は、この状態からストラップ402とともに折り曲げられる。このとき、可変部127は、当該可変部127の基端に配置される折曲げ線L9に沿って折り曲げられる。
可変部127が折り曲げられて差込部129に差し込まれた状態で、係止爪130によって、可変部127が差込部129に係止される。可変部127の変形後には、第16の実施形態および第17の実施形態と同様に、変形した可変部127とフィルム101−18によって、マスク4のストラップ402を挿通可能な輪部131が形成される。輪部131は、輪部131に挿通されたストラップ402と係合する。なお、輪部131の形状は、第16の実施形態に係る輪部120および第17の実施形態に係る輪部125と同様に、特に限定されない。
具体的には、可変部127−1Lまたは可変部127−3Lにより形成される輪部131に、マスク4の左側から伸びるストラップ402−1が挿通され、当該輪部131と係合する。可変部127−2Lまたは可変部127−4Lにより形成される輪部131に、マスク4の左側から伸びるストラップ402−2が挿通され、当該輪部131と係合する。可変部127−1Rまたは可変部127−3Rにより形成される輪部131に、マスク4の右側から伸びるストラップ402−3が挿通され、当該輪部131と係合する。可変部127−2Rまたは可変部127−4Rにより形成される輪部131に、マスク4の右側から伸びるストラップ402−4が挿通され、当該輪部131と係合する。特に、フェイスシールド1−18を安定的に保持および固定する観点では、ストラップ402のうち本体部401に極力近い部分が輪部131と係合することが好ましい。
上記のように、第18の実施形態に係るフェイスシールド1−18では、第16の実施形態および第17の実施形態と同様に、可変部127が変形することによって輪部131が形成される。具体的には、可変部127が差込部129に差し込まれることにより、輪部131が形成される。特に、係止爪130によって、可変部127が差込部129に係止されることによって、輪部131が安定的に形成される。そして、輪部131にストラップ402が係合することによって、当該輪部131に対するストラップ402の挿通方向へストラップ402が移動することが制限される。ゆえに、マスク4に対してフェイスシールド1−18を容易に着脱でき、かつ、使用時にフェイスシールド1−17をマスク4に安定的に保持および固定することができる。
ここで、可変部127−1Lおよび可変部127−2Lと可変部127−1Rおよび可変部127−2Rとの間隔は、可変部127−3Lおよび可変部127−4Lと可変部127−3Rおよび可変部127−4Rとの間隔と比較して広い。ゆえに、第17の実施形態と同様に、使用者の顔やマスクの大きさに応じて、使用する可変部127の対を選択することによって、フェイスシールド1−18とマスク4の間の隙間を維持したり、フェイスシールド1−18を使用者の顔に良好にフィットさせることができる。
例えば、顔が大きい使用者は、可変部127−1Lおよび可変部127−2Lと可変部127−1Rおよび可変部127−2Rを使用することによって、フェイスシールド1−18とマスク4の間の隙間を維持し、フェイスシールド1−18を顔に良好にフィットさせることができる。また、例えば、顔が小さい使用者は、可変部127−3Lおよび可変部127−4Lと可変部127−3Rおよび可変部127−4Rを使用することによって、フェイスシールド1−18とマスク4の間の隙間を維持し、フェイスシールド1−18を顔に良好にフィットさせることができる。
さらに、第18の実施形態に係るフェイスシールド1−18は、第10の実施形態に係るフェイスシールド1−10と同様に、使用者の顔から遠ざかるにつれて先細りする形状に組み立て可能な組立構造132を有する。
図33に示されるように、フェイスシールド1−18(具体的には、フェイスシールド1−18を形成するフィルム101−18)は、使用者の顔の正面側であり目と対向する部分P13と、使用者の顔の左側面側の部分P14と、使用者の顔の右側面側の部分P15と、使用者の顔の正面側であり呼吸器と対向する部分P16とを有する。
図33に示される平面図において、第10の実施形態に係るフェイスシールド1−10と同様に、部分P14(つまり、フェイスシールド1−18の左側部)は、部分P13(つまり、フェイスシールド1−18の上部)から左下方向に延びるように形成される。部分P15(つまり、フェイスシールド1−18の右側部)は、部分P13から右下方向に延びるように形成される。部分P16(つまり、フェイスシールド1−18の下部)は、部分P13から下方向に延びるように、部分P14と部分P15の間に形成される。部分P16は、部分P14および部分P15の各々に対して、左右方向に離隔されている。
組立構造132は、部分P14に形成される切込み線132aと、部分P15に形成される切込み線132bと、部分P16に形成される突出部132c、132dと、突出部132c、132dにそれぞれ形成される係止部132e、132fとを含む。
切込み線132a、132bは、閉鎖型切込み線である。切込み線132aは、部分P14のうち右下側に形成され、部分P14の左下側の外縁に沿って延びる。切込み線132bは、部分P15のうち左下側に形成され、部分P15の右下側の外縁に沿って延びる。突出部132cは、部分P6のうち左下側に形成され、下方向に突出する。突出部132dは、部分P6のうち右下側に形成され、下方向に突出する。突出部132c、132dは、下方向に向けて湾曲した円弧状の閉鎖型切込み線に沿って部分的に切り離されている部分である。ただし、上記閉鎖型切込み線は、下方向に向けて突出するように形成されていればよく、例えば、多角形状であってもよく、直線状の部分と湾曲した形状の部分を含む形状であってもよい。係止部132e、132fは、突出部132c、132dの側部に形成される鍵状の部分である。
組立構造132を用いてフェイスシールド1−18を組み立てた場合、部分P16の突出部132cが部分P14の切込み線132aに挿通される。このとき、突出部132cに形成された係止部132eによって突出部132cが切込み線132aに係止される。また、部分P16の突出部132dが部分P15の切込み線132bに挿通される。このとき、突出部132dに形成された係止部132fによって突出部132dが切込み線132bに係止される。このようにして、フェイスシールド1−18は、第10の実施形態に係るフェイスシールド1−10と同様に、使用者の顔から遠ざかるにつれて先細りするような3次元立体形状(例えば、図20に示される形状)に組み立てられる。ゆえに、第18の実施形態に係るフェイスシールド1−18によれば、第10の実施形態に係るフェイスシールド1−10と同様の効果が得られる。
<第19の実施形態>
図35〜図37を参照して、本発明の第19の実施形態に係るフェイスシールド1−19について説明する。
図35は、フェイスシールド1−19を示す平面図である。図36は、後述される可変部133(具体的には、可変部133−1L、133−2L)の変形前後の状態を示す模式図である。具体的には、図36は、フェイスシールド1−19を後方から見た(つまり、使用者側から見た)図である。図37は、フェイスシールド1−19の使用状態を示す斜視図である。図37では、フェイスシールド1−19が耳掛けタイプのマスク2に取り付けられている例が示されている。ただし、フェイスシールド1−19は、フェイスシールド1−15、1−16、1−17、1−18と同様に、耳掛けタイプのマスク2の他に、紐で結ぶタイプのマスク3またはオーバーヘッドタイプのマスク4にも脱着可能である。
第19の実施形態に係るフェイスシールド1−19では、第16の実施形態に係るフェイスシールド1−16、第17の実施形態に係るフェイスシールド1−17、および、第18の実施形態に係るフェイスシールド1−18と異なり、可変部133により形成される輪部136(図36を参照)は、マスク2のストラップ202と係合しない。つまり、輪部136にストラップ202が挿通されたときに、輪部136はストラップ202の挿通方向にストラップ202に対して相対的に移動可能である。
また、上述した第16、17、18の実施形態に係るフェイスシールド1−16、1−17、1−18等は、マスク2の上側のストラップ202−1、202−3および下側のストラップ202−2、202−4の双方に対して装着された。これに対して、第19の実施形態に係るフェイスシールド1−19は、マスク2の上側のストラップ202−1、202−3のみに対して装着され、下側のストラップ202−2、202−4に対して装着されない。
図35に示されるように、フェイスシールド1−19(具体的には、フェイスシールド1−19を形成するフィルム101−19)の左右両側部には、2対の可変部133(可変部133−1L、133−1Rと、可変部133−2L、133−2R)が形成される。可変部133は、フェイスシールド1−19のうち変形可能な部分である。具体的には、可変部133は、フィルム101−19を容易に折り曲げることができるようになっている部分である。
可変部133−1Lと可変部133−1Rとが第1の対をなす。可変部133−2Lと可変部133−2Rとが第2の対をなす。可変部133−1L、133−1R(第1の対)は、可変部133−2L、133−2R(第2の対)に対してフェイスシールド1−19の外側に配置される。フェイスシールド1−19の左側において、可変部133−1Lおよび可変部133−2Lは、左右方向に離隔して形成される。フェイスシールド1−19の右側において、可変部133−1Rおよび可変部133−2Rは、左右方向に離隔して形成される。このように、フェイスシールド1−19の左右方向の片側には、2つの可変部133が左右方向に離隔して形成される。
ただし、フェイスシールド1−19の左右方向の片側に後述する輪部136を2つ以上形成可能であれば、フェイスシールド1−19の左右方向の片側に形成される可変部133の数は、少なくとも1つであればよく、3つ以上であってもよい。また、フェイスシールド1−19の左側に形成される可変部133の数と、フェイスシールド1−19の右側に形成される可変部133の数とは、互いに異なっていてもよい。
可変部133は、フェイスシールド1−19の左右両側部から下方に延びるように形成されている。可変部133の外縁は、下方に向けて突出した形状(例えば、U字状)である。ただし、可変部133の外縁の形状は、この例に限定されず、例えば、円弧状、楕円状、任意の湾曲形状、もしくは角型突出形状などであってもよい。各可変部133は、各可変部133の基端に配置される折曲げ線L10に沿って上方に折り曲げ可能である。
フェイスシールド1−19において可変部133に隣接する位置には、可変部133を差し込み可能な差込部134が形成されている。差込部134は、切込み線(具体的には、U字状の閉鎖型切込み線)からなる。ただし、差込部134は、第16の実施形態のように、左右方向に延びるように形成される閉鎖型切込み線であってもよい。具体的には、差込部134は、各可変部133の上方に形成されている。
ここで、可変部133の先端側には、可変部133を差込部134に係止する係止爪135が形成されている。係止爪135は、可変部133の基端側に向けて凸となるように湾曲した円弧状の閉鎖型切込み線に沿って部分的に切り離されている部分である。ただし、上記閉鎖型切込み線は、可変部133の基端側に向けて突出するように形成されていればよく、例えば、多角形状であってもよく、直線状の部分と湾曲した形状の部分を含む形状であってもよい。
図36に示されるように、可変部133の先端部が差込部134に差し込まれるように、可変部133は変形する。可変部133の変形前には、フェイスシールド1−19の左右方向の片側において、マスク2のストラップ202は、2つの可変部133(例えば、可変部133−1L、133−2L)の後方を通る状態でセットされる。2つの可変部133は、この状態から、ストラップ202を挟むように、折曲げ線L10に沿って折り曲げられる。
可変部133が折り曲げられて差込部134に差し込まれた状態で、係止爪135によって、可変部133が差込部134に係止される。可変部133の変形後には、第16の実施形態〜第18の実施形態と同様に、変形した可変部133とフィルム101−19によって、マスク2のストラップ202を挿通可能な輪部136が形成される。第19の実施形態では、フェイスシールド1−19の左右方向の片側において、2つの可変部133が変形することにより2つの輪部136が左右方向に離隔して形成される。
なお、輪部136の形状は、第16の実施形態〜第18の実施形態と同様に、特に限定されない。また、フェイスシールド1−19の左右方向の片側に形成される可変部133の数が3つ以上である場合、フェイスシールド1−19の左右方向の片側に形成される輪部136の数は、3つ以上となる。また、フェイスシールド1−19の左側に形成される輪部136の数と、フェイスシールド1−19の右側に形成される輪部136の数とは、互いに異なっていてもよい。
2つの輪部136には、マスク2の左右方向の片側の上下2本のストラップ202のうち、マスク2の上側のストラップ202(具体的には、ストラップ202−1またはストラップ202−3)が挿通される。具体的には、可変部133−1Lおよび可変部133−2Lにより形成される2つの輪部136(つまり、フェイスシールド1−19の左側に形成される2つの輪部136)に、マスク2の左側から伸びるストラップ202のうちの上側のストラップ202−1が挿通される。可変部133−1Rおよび可変部133−2Rにより形成される2つの輪部136(つまり、フェイスシールド1−19の右側に形成される2つの輪部136)に、マスク2の右側から伸びるストラップ202のうちの上側のストラップ202−3が挿通される。それにより、図37に示されるように、フェイスシールド1−19がマスク2に取り付けられる。フェイスシールド1−19は、使用者の顔のうち、主に、目および目の周辺の部位を覆う。なお、図37に示される例では、フェイスシールド1−19により使用者の目だけでなく、額の全域も覆われている。ただし、フェイスシールド1−19の上下方向の幅がこの例における幅よりも狭く、フェイスシールド1−19により使用者の目と額の下部のみが覆われてもよい。
上記のように、第19の実施形態に係るフェイスシールド1−19では、可変部133が変形することによって輪部136が形成される。具体的には、可変部133が差込部134に差し込まれることにより、輪部136が形成される。特に、係止爪135によって、可変部133が差込部134に係止されることによって、輪部136が安定的に形成される。そして、輪部136には、マスク2の上側のストラップ202が挿通される。ゆえに、フェイスシールド1−19がマスク2の上側の2本のストラップ202のみによって支持されるので、合計4本のストラップ202によって支持される場合(例えば、上述した第16の実施形態〜第18の実施形態)と異なり、マスク2の下側の2本のストラップ202を挿通させる輪部136を形成する必要がなくなる。よって、フェイスシールド1−19において、マスク2の下側の2本のストラップ202を挿通させる輪部136を形成するために設けられる部分を省略することができるので、フィルム101−19の面積を小さくすることができる。これにより、後述にて詳述するが、フィルム101−19の面積が小さくなることに付随する種々の効果(例えば、軽量化等)を奏することができる。
また、第19の実施形態に係るフェイスシールド1−19では、輪部136は、ストラップ202と係合しない。ゆえに、輪部136にストラップ202が挿通されたときに、輪部136はストラップ202の挿通方向にストラップ202に対して相対的に移動可能である。よって、輪部136がストラップ202と係合する場合(例えば、上述した第16の実施形態〜第18の実施形態)と比較して、フェイスシールド1−19とマスク2との位置関係を調整しやすくなるので、マスク2に対してフェイスシールド1−19をより着脱しやすくなる。とともに、フェイスシールド1−19と顔面との間の距離を調整し易くなる。一方、輪部136がストラップ202と係合する場合よりも、使用時にフェイスシールド1−19の位置のずれや倒れが生じやすくなるおそれがある。特に、フェイスシールド1−19は合計2本のストラップ202のみによって支持されるので、フェイスシールド1−19を安定的に保持および固定することが困難となるおそれがある。
そこで、上述したように、フェイスシールド1−19の左右方向の片側において、2つの輪部136が左右方向に離隔して形成され、当該2つの輪部136に、マスク2の上側のストラップ202が挿通される。これにより、フェイスシールド1−19がマスク2の上側の2本のストラップ202によって4点支持される。よって、使用時にフェイスシールド1−19をマスク2に安定的に保持および固定することができるようにした上で、マスク2に対してフェイスシールド1−19をより容易に着脱することができる。なお、フェイスシールド1−19の左右方向の片側に形成される輪部136の数が3つ以上である場合、使用時にフェイスシールド1−19はマスク2の上側の2本のストラップ202によって6点以上で支持され、上記と同様の効果を奏することができる。
以上説明したように、第19の実施形態に係るフェイスシールド1−19では、フェイスシールド1−19がマスク2の上側の2本のストラップ202のみによって支持され、上側の各ストラップ202が輪部136と係合せずに2つの輪部136に挿通される。これにより、フェイスシールド1−19をマスク2に装着するためのフェイスシールド1−19の左右両側部の面積を低減できるので、フィルム101−19の面積を小さくすることができる。さらに、使用時にフェイスシールド1−19をマスク2に安定的に保持および固定することができるようにした上で、マスク2に対してフェイスシールド1−19をより容易に着脱することができる。
上述したように、第19の実施形態に係るフェイスシールド1−19によれば、フィルム101−19の面積が小さくなることに付随する種々の効果を奏することができる。例えば、フェイスシールド1−19を軽量化することができるので、使用者に装着される保護具全体の重量を軽量化することができる。ゆえに、使用者の疲労を軽減することができ、装着感も向上できる。また、重装備感がなく、周囲からの見た目も好印象にすることができる。また、例えば、フェイスシールド1−19が使用者の顔と接触(密着)する面積を小さくすることができるので、装着感を向上できる。また、例えば、フェイスシールド1−19の製造工程において、フィルムから複数枚のフェイスシールド1−19を抜き加工する際に、当該抜き加工の効率(単位面積当たりの製造枚数)を向上させることができる。よって、より安価なフェイスシールド1−19を提供することができ、生産性を向上でき、製造も容易になる。
また、第19の実施形態に係るフェイスシールド1−19によれば、輪部136がストラップ202と係合する場合(例えば、上述した第16の実施形態〜第18の実施形態)と比較して、可変部133の周囲(例えば、可変部133の両側部分)にフィルム101−19を配置する必要がなくなる。ゆえに、フェイスシールド1−19の設計の自由度を向上でき、デザイン性に優れたシールド形状を設計することができる。
また、第19の実施形態に係るフェイスシールド1−19によれば、輪部136にストラップ202が挿通されたときに、輪部136はストラップ202の挿通方向にストラップ202に対して相対的に移動可能であるので、マスク2とフェイスシールド1−19との間の前後方向の隙間を調整することができる。ゆえに、フェイスシールド1−19が使用者の呼気によって曇ることを抑制し、視界を良好に保つことができる。また、使用者に装着される眼鏡がフェイスシールド1−19と接触することを抑制することができる。なお、上述したように、使用時にフェイスシールド1−19はマスク2の上側の2本のストラップ202によって4点以上で支持されるので、マスク2とフェイスシールド1−19との間の前後方向の隙間を調整する際においても、フェイスシールド1−19をマスク2に安定的に保持および固定することができる。
また、第19の実施形態に係るフェイスシールド1−19では、上述したように、フェイスシールド1−19の左右方向の片側には、2つの可変部133が左右方向に離隔して形成される。ゆえに、図35に示されるように、フェイスシールド1−19の左右方向の片側において、隣り合う2つの可変部133の間には、指掛け用切欠き137が形成される。指掛け用切欠き137は、隣り合う2つの可変部133の間において、フェイスシールド1−19の下端から上方に向けて延びるように形成される切欠きである。図35に示される例では、指掛け用切欠き137の上端部が湾曲しているが、指掛け用切欠き137の形状は、この例に限定されず、例えば、矩形状であってもよい。指掛け用切欠き137には、使用者の指が挿通される。使用時に、指掛け用切欠き137に指を挿通させた状態で指を動かすことによって、使用者は、フェイスシールド1−19とマスク2との位置関係をより容易に調整することができる。なお、フェイスシールド1−19の左右方向の片側に形成される可変部133の数が3つ以上である場合、フェイスシールド1−19の左右方向の片側には2つ以上の指掛け用切欠き137が形成され、上記と同様の効果を奏することができる。
また、第19の実施形態に係るフェイスシールド1−19では、図35に示されるように、フェイスシールド1−19において使用者の鼻と接する位置に鼻掛け用切欠き138が形成されている。鼻掛け用切欠き138は、フェイスシールド1−19の中央部の下端から上方に向けて延びるように形成される切欠きである。図35に示される例では、鼻掛け用切欠き138が湾曲形状を有しているが、鼻掛け用切欠き138の形状は、この例に限定されず、例えば、略三角形状であってもよい。図37に示されるように、フェイスシールド1−19の使用時に、使用者の鼻が鼻掛け用切欠き138に嵌る。ゆえに、フェイスシールド1−19により使用者の顔(主に目および目の周辺の部位)を覆った状態で、フェイスシールド1−19をより安定的に保持および固定することができる。
<第20の実施形態>
図38および図39を参照して、本発明の第20の実施形態に係るフェイスシールド1−20について説明する。
図38は、フェイスシールド1−20を示す平面図である。図39は、後述される可変部139(具体的には、可変部139L)の変形前後の状態を示す模式図である。具体的には、図39は、フェイスシールド1−20を後方から見た(つまり、使用者側から見た)図である。
以下、フェイスシールド1−20が耳掛けタイプのマスク2に取り付けられる例を一例として説明する。ただし、第20の実施形態に係るフェイスシールド1−20は、第19の実施形態に係るフェイスシールド1−19と同様に、耳掛けタイプのマスク2の他に、紐で結ぶタイプのマスク3またはオーバーヘッドタイプのマスク4にも脱着可能である。
第20の実施形態に係るフェイスシールド1−20では、第19の実施形態に係るフェイスシールド1−19と同様に、可変部139により形成される輪部142(図39を参照)は、マスク2のストラップ202と係合しない。つまり、輪部142にストラップ202が挿通されたときに、輪部142はストラップ202の挿通方向にストラップ202に対して相対的に移動可能である。第20の実施形態では、第19の実施形態と比較して、フェイスシールド1−20の左右方向の片側に形成される可変部139の数が1つである点が異なる。ただし、第20の実施形態では、第19の実施形態と比較して、フェイスシールド1−20の左右方向の片側に形成される輪部142の数が2つである点は共通する。
図38に示されるように、フェイスシールド1−20(具体的には、フェイスシールド1−20を形成するフィルム101−20)の左右両側部には、1対の可変部139(具体的には、可変部139L、139R)が形成される。可変部139は、フェイスシールド1−20のうち変形可能な部分である。
可変部139は、フェイスシールド1−20から下方に延びるように形成されている。可変部139の外縁は、下方に向けて突出した形状(例えば、略W字状)である。ただし、可変部139の外縁の形状は、この例に限定されず、例えば、円弧状、楕円状、任意の湾曲形状、もしくは角型突出形状などであってもよい。各可変部139は、各可変部139の基端に配置される折曲げ線L11に沿って上方に折り曲げ可能である。可変部139の左右方向の長さは、第19の実施形態に係る可変部133の左右方向の長さよりも広くなっている。
ここで、フェイスシールド1−20において可変部139に隣接する位置には、2つの差込部140が左右方向に離隔して形成される。差込部140は、第19の実施形態に係る差込部134と同様に、切込み線(具体的には、U字状の閉鎖型切込み線)からなる。ただし、差込部140の形状は、第19の実施形態に係る差込部134と同様に、特に限定されない。また、可変部139の先端側には、2つの係止爪141が左右方向に離隔して形成される。係止爪141は、第19の実施形態に係る係止爪135と同様に、可変部139の基端側に向けて湾曲した円弧状の閉鎖型切込み線に沿って部分的に切り離されている部分である。ただし、係止爪141の形状は、第19の実施形態に係る係止爪135と同様に、特に限定されない。
図39に示されるように、可変部139の変形前には、フェイスシールド1−20の左右方向の片側において、マスク2のストラップ202は、可変部139(例えば、可変部139L)の後方を通る状態でセットされる。可変部133は、この状態から、ストラップ202を挟むように、折曲げ線L11に沿って折り曲げられる。可変部139が折り曲げられて差込部140に差し込まれた状態で、係止爪141によって、可変部139が差込部140に係止される。具体的には、外側(図39中では左側)の係止爪141が外側(図39中では左側)の差込部140に係止され、内側(図39中では右側)の係止爪141が内側(図39中では右側)の差込部140に係止される。
可変部139の変形後には、第16の実施形態〜第19の実施形態と同様に、変形した可変部139とフィルム101−20によって、マスク2のストラップ202を挿通可能な輪部142が形成される。第20の実施形態では、フェイスシールド1−20の左右方向の片側において、1つの可変部139が変形することにより2つの輪部142が左右方向に離隔して形成される。具体的には、外側(図39中では左側)の係止爪141が外側(図39中では左側)の差込部140に係止されることにより外側(図39中では左側)の輪部142が形成され、内側(図39中では右側)の係止爪141が内側(図39中では右側)の差込部140に係止されることにより内側(図39中では右側)の輪部142が形成される。なお、輪部142の形状は、第16の実施形態〜第19の実施形態と同様に、特に限定されない。
2つの輪部142には、マスク2の上側のストラップ202(具体的には、ストラップ202−1またはストラップ202−3)が挿通される。具体的には、可変部139Lにより形成される2つの輪部142(つまり、フェイスシールド1−20の左側に形成される2つの輪部142)に、マスク2の左側から伸びるストラップ202のうちの上側のストラップ202−1が挿通される。可変部139Rにより形成される2つの輪部142(つまり、フェイスシールド1−20の右側に形成される2つの輪部142)に、マスク2の右側から伸びるストラップ202のうちの上側のストラップ202−3が挿通される。それにより、フェイスシールド1−20がマスク2に取り付けられる。フェイスシールド1−20は、フェイスシールド1−19と同様に、使用者の顔のうち、主に、目および目の周辺の部位を覆う。
なお、図38および図39に示される例では、内側(図39中では右側)の差込部140と係止爪141との距離が、外側(図39中では左側)の差込部140と係止爪141との距離よりも広くなっている。ただし、内側(図39中では右側)の差込部140と係止爪141との距離は、外側(図39中では左側)の差込部140と係止爪141との距離よりも狭くてもよく、当該距離と等しくてもよい。また、1つの可変部139に対して形成される差込部140および係止爪141の数は、3つ以上であってもよい。その場合、フェイスシールド1−20の左右方向の片側に形成される輪部142の数は、3つ以上となる。また、1つの可変部139に対して形成される差込部140の数は、1つの可変部139に対して形成される係止爪141の数より少なくてもよい。また、可変部139Lに対して形成される差込部140および係止爪141の数と、可変部139Rに対して形成される差込部140および係止爪141の数とは、互いに異なっていてもよい。その場合、フェイスシールド1−20の左側に形成される輪部142の数と、フェイスシールド1−20の右側に形成される輪部142の数とは、互いに異なる。
上記のように、第20の実施形態に係るフェイスシールド1−20では、上述した第19の実施形態に係るフェイスシールド1−19と同様に、フェイスシールド1−20がマスク2の上側の2本のストラップ202のみによって支持され、上側の各ストラップ202が輪部142と係合せずに2つの輪部142に挿通される。これにより、フィルム101−20の面積を小さくすることができ、さらに、使用時にフェイスシールド1−20をマスク2に安定的に保持および固定することができるようにした上で、マスク2に対してフェイスシールド1−20をより容易に着脱することができる。
また、第20の実施形態に係るフェイスシールド1−20では、図38に示されるように、可変部139の中央部の下端から上方に向けて窪むように形成される窪み部143が設けられる。窪み部143は、可変部139のうち隣り合う2つの係止爪141の間に形成される。このような窪み部143が可変部139に形成されることによって、フィルム101−20の面積をより効果的に小さくすることができる。
また、第20の実施形態に係るフェイスシールド1−20では、図38に示されるように、フェイスシールド1−20において使用者の鼻と接する位置に鼻掛け用切欠き144が形成されている。鼻掛け用切欠き144の位置、形状および設置目的は、上述した第19の実施形態に係るフェイスシールド1−19の鼻掛け用切欠き138と同様である。
<第21の実施形態>
図40および図41を参照して、本発明の第21の実施形態に係るフェイスシールド1−21について説明する。
図40は、フェイスシールド1−21を示す平面図である。図41は、後述される可変部145(具体的には、可変部145L)の変形前後の状態を示す模式図である。具体的には、図41は、フェイスシールド1−21を後方から見た(つまり、使用者側から見た)図である。
以下、フェイスシールド1−21が耳掛けタイプのマスク2に取り付けられる例を一例として説明する。ただし、第21の実施形態に係るフェイスシールド1−21は、第19の実施形態に係るフェイスシールド1−19および第20の実施形態に係るフェイスシールド1−20と同様に、耳掛けタイプのマスク2の他に、紐で結ぶタイプのマスク3またはオーバーヘッドタイプのマスク4にも脱着可能である。
第21の実施形態に係るフェイスシールド1−21では、第19の実施形態に係るフェイスシールド1−19および第20の実施形態に係るフェイスシールド1−20と同様に、可変部145により形成される輪部148(図41を参照)は、マスク2のストラップ202と係合しない。つまり、輪部148にストラップ202が挿通されたときに、輪部148はストラップ202の挿通方向にストラップ202に対して相対的に移動可能である。第21の実施形態では、第19の実施形態と比較して、フェイスシールド1−21の左右方向の片側に形成される可変部145の数が1つである点と、フェイスシールド1−21の左右方向の片側に形成される輪部148の数が1つである点が異なる。
図40に示されるように、フェイスシールド1−21(具体的には、フェイスシールド1−21を形成するフィルム101−21)の左右両側部には、1対の可変部145(具体的には、可変部145L、145R)が形成される。可変部145は、フェイスシールド1−21のうち変形可能な部分である。
可変部145は、フェイスシールド1−21から下方に延びるように形成されている。可変部145の外縁は、下方に向けて突出した形状(例えば、略U字状)である。ただし、可変部145の外縁の形状は、この例に限定されず、例えば、円弧状、楕円状、任意の湾曲形状、もしくは角型突出形状などであってもよい。各可変部145は、各可変部145の基端に配置される折曲げ線L12に沿って上方に折り曲げ可能である。可変部145の左右方向の長さは、第19の実施形態に係る可変部133の左右方向の長さよりも広くなっている。
フェイスシールド1−21において可変部145に隣接する位置には、可変部145を差し込み可能な1つの差込部146が形成されている。また、可変部145の先端側には、可変部145を差込部146に係止する1つの係止爪147が形成されている。ただし、差込部146および係止爪141の形状は、第19の実施形態と同様に、特に限定されない。ここで、差込部146および係止爪141の左右方向の長さは、第19の実施形態に係る差込部134および係止爪135の左右方向の長さよりも広くなっている。
図41に示されるように、可変部145の変形前には、フェイスシールド1−21の左右方向の片側において、マスク2のストラップ202は、可変部145(例えば、可変部145L)の後方を通る状態でセットされる。可変部145は、この状態から、ストラップ202を挟むように、折曲げ線L12に沿って折り曲げられる。可変部145が折り曲げられて差込部146に差し込まれた状態で、係止爪147によって、可変部145が差込部146に係止される。可変部145の変形後には、第16の実施形態〜第20の実施形態と同様に、変形した可変部145とフィルム101−21によって、マスク2のストラップ202を挿通可能な輪部148が形成される。輪部148には、マスク2の上側のストラップ202(具体的には、ストラップ202−1またはストラップ202−3)が挿通される。なお、輪部148の形状は、第16の実施形態〜第20の実施形態と同様に、特に限定されない。
具体的には、可変部145Lにより形成される1つの輪部148(つまり、フェイスシールド1−21の左側に形成される1つの輪部148)に、マスク2の左側から伸びるストラップ202のうちの上側のストラップ202−1が挿通される。可変部145Rにより形成される1つの輪部148(つまり、フェイスシールド1−21の右側に形成される1つの輪部148)に、マスク2の右側から伸びるストラップ202のうちの上側のストラップ202−3が挿通される。それにより、フェイスシールド1−21がマスク2に取り付けられる。フェイスシールド1−21は、フェイスシールド1−19およびフェイスシールド1−20と同様に、使用者の顔のうち、主に、目および目の周辺の部位を覆う。
なお、図40および図41に示される例では、差込部146と係止爪147との距離が、外側(図41中では左側)よりも内側(図41中では右側)において広くなっている。ただし、差込部146と係止爪147との距離は、外側(図41中では左側)よりも内側(図41中では右側)において狭くてもよく、等しくてもよい。
上記のように、第21の実施形態に係るフェイスシールド1−21では、上述した第19の実施形態に係るフェイスシールド1−19と異なり、フェイスシールド1−21の左右方向の片側に形成される輪部148の数が2つではなく1つである。ゆえに、フェイスシールド1−21はマスク2の上側の2本のストラップ202によって2点支持される。
ここで、輪部148は、係止爪147が差込部146に係止されることにより形成される。係止爪147および差込部146の左右方向の長さは、上述したように、フェイスシールド1−19における係止爪135および差込部134の左右方向の長さよりも長い。ゆえに、輪部148の左右方向の長さは、上述したフェイスシールド1−19における輪部136の左右方向の長さよりも長い。例えば、輪部148の左右方向の長さは、20mm以上である。
よって、フェイスシールド1−21では、フェイスシールド1−21はマスク2の上側の2本のストラップ202によって2点支持されるものの、輪部148の左右方向の長さがある程度長いので、使用時にフェイスシールド1−21をマスク2に安定的に保持および固定することができる。したがって、第21の実施形態に係るフェイスシールド1−21によれば、上述した第19の実施形態に係るフェイスシールド1−19と同様に、フィルム101−21の面積を小さくすることができ、さらに、使用時にフェイスシールド1−21をマスク2に安定的に保持および固定することができるようにした上で、マスク2に対してフェイスシールド1−21をより容易に着脱することができる。
また、第21の実施形態に係るフェイスシールド1−21では、図40に示されるように、フェイスシールド1−21において使用者の鼻と接する位置に鼻掛け用切欠き149が形成されている。鼻掛け用切欠き149の位置、形状および設置目的は、上述した第19の実施形態に係るフェイスシールド1−19の鼻掛け用切欠き138と同様である。
以上、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
上記では、各実施形態に係るフェイスシールドが取り付けられるマスクとして、マスク2、3、4を説明したが、マスクは上記の例に限定されない。例えば、各実施形態に係るフェイスシールドが取り付けられるマスクは、種々の材質、種々の寸法、および、種々の形状を取り得る。
また、上記で説明した各実施形態は、適宜組み合わされてもよい。
例えば、第2の実施形態〜第12の実施形態では、マスクのストラップが挿通され、当該ストラップと係合する機構として、切込み線102が用いられている。ただし、第2の実施形態〜第12の実施形態における切込み線102は、第13の実施形態に係る切込み線113、第14の実施形態に係る切込み線114、第15の実施形態に係る切込み線115、第16の実施形態に係る可変部116、第17の実施形態に係る可変部121、第18の実施形態に係る可変部127、第19の実施形態に係る可変部133、第20の実施形態に係る可変部139、または、第21の実施形態に係る可変部145に置き換えられてもよい。また、第2の実施形態〜第12の実施形態におけるストラップと係合する機構は、第11の実施形態および第12の実施形態のように、複数対設けられてもよい。
また、例えば、各実施形態において、第2の実施形態に係る切欠き部103、第3の実施形態に係る貫通孔104、第4の実施形態に係る折曲げ部105、第5の実施形態に係る折曲げ部107、第6の実施形態に係る折曲げ線L3、L4、第7の実施形態に係る反射防止層109、第8の実施形態に係る貫通孔111、第9の実施形態に係る目印、および、第10の実施形態に係る組立構造112の一部または全部が追加して設けられてもよい。