「5HT受容体」又は「5−ヒドロキシトリプタミン受容体」とは、中枢神経系(CNS)と末梢神経系(PNS)に存在し、一般にセロトニン受容体のグループに属する1群のGタンパク質共役型受容体(GPCR)とリガンド依存性イオンチャネル(LGIC)を意味する。5HT受容体は5HT1(例えばGi/G0タンパク質共役型受容体)、5HT2(例えばGq/G11タンパク質共役型受容体)、5HT3(例えばリガンド依存性Na+及びK+カチオンチャネル)、5HT4(例えばGsタンパク質共役型受容体)、5HT5(例えばGi/G0タンパク質共役型受容体)、5HT6(例えばGsタンパク質共役型受容体)及び5HT7(例えばGsタンパク質共役型受容体)の7つの受容体ファミリーに分けることができる。また、7つの5HT受容体ファミリーを更に多数のサブファミリーに細分することができる。例えば、5HT1ファミリーは更に以下のサブファミリー、即ち(例えば血管とCNSで機能することが知られており、嗜癖、攻撃性、不安、食欲、オートレセプター、血圧、心血管機能、嘔吐、心拍数、衝動性、記憶、気分、悪心、侵害受容、勃起、瞳孔拡張、呼吸、性行動、睡眠、社交性、体温調節及び血管収縮に関与しているらしい)5HT1A、(例えば血管とCNSで機能することが知られており、嗜癖、攻撃性、不安、オートレセプター、学習、移動運動、記憶、気分、勃起、性行動及び血管収縮に関与しているらしい)5HT1B、(例えば血管とCNSで機能することが知られており、不安、オートレセプター、移動運動及び血管収縮に関与しているらしい)5HT1D、(例えばCNSで機能することが知られており、片頭痛に関与しているらしい)5HT1Eを含む。別の例として、5HT2ファミリーは以下のサブファミリー、即ち(例えば血管、CNS、胃腸管、血小板、PNS及び平滑筋で機能することが知られており、嗜癖、不安、食欲、認知、想像、学習、記憶、気分、知覚、性行動、睡眠、体温調節及び血管収縮に関与しているらしい)5HT2A、(例えば血管、CNS、胃腸管、血小板、PNS及び平滑筋で機能することが知られており、不安、食欲、心血管機能、胃腸運動、睡眠及び血管収縮に関与しているらしい)5HT2B、及び(例えば血管、CNS、胃腸管、血小板、PNS及び平滑筋で機能することが知られており、嗜癖、不安、食欲、胃腸運動、移動運動、気分、勃起、性行動、睡眠、体温調節及び血管収縮に関与しているらしい)5HT2Cに細分することができる。また、5HT5ファミリーは更に以下のサブファミリー、即ち(例えばCNSで機能するらしく、移動運動と睡眠に役割を果たし、更にオートレセプターとしても機能するらしい)5HT5Aと、(例えば齧歯類で機能すると思われ、ヒトでは偽遺伝子であるらしい)5HT5Bに細分することができる。
「5HT受容体作動薬」とは、5HT受容体作動薬の不在下に比較して又はセロトニンと同様に5HT受容体を活性化させる任意の薬剤を意味する。典型的な5HT受容体作動薬としては、限定されないが、ACP−104、ACP−106、AR−116081、AR−116082、ATHX−105、ベラドンナとエルゴタミン酒石酸塩の併用、BW723C86、シサプリド、Ciza−MPS、Cizap、Cizap−Mps、CSC−500シリーズ、DOIもしくはその塩、エルゴタミン酒石酸塩・カフェイン、Esorid MPS、フリバンセリン、Ikaran L.P.、Manotac Plus、Migril、Mirtazapina Rimafar、ミルタザピン、ナラトリプタン、ネロタンセリン、ノルフェンフルラミン、Normagut Tab、ネファゾドン塩酸塩、OSU−6162、Pridofin、Sensiflu、PRX−00933、RP−5063、炎症性疾患を対象として5−HT2Aを活性化させるための低分子、統合失調症と肥満症を対象として5−HT2Cを活性化させるための低分子、肥満症を対象として5−HT2C受容体を活性化させるための低分子、統合失調症を対象として5−HT2C及び5−HT6受容体を標的とする低分子、CNS及び代謝障害を対象として5HT2を調節するための低分子、TGBA−01AD、トラゾドン塩酸塩、テマノグレル塩酸塩、バビカセリン塩酸塩、Virdex、VR−1065、ジプラシドン塩酸塩及びジプラシドン−シジラータのいずれか1種以上が挙げられる。
複数の実施形態において、前記5HT受容体作動薬はスマトリプタン、ナラトリプタン、リザトリプタン、ゾルミトリプタン、ウラピジル、BRL−54443(3−(1−メチルピペリジン−4−イル)−1H−インドール−5−オール)、ロルカセリン、ブスピロン、ジプラシドン、TCB−2((4−ブロモ−3,6−ジメトキシベンゾシクロブテン−1−イル)メチルアミン臭化水素酸塩)、BRL−15572(3−(4−(4−クロロフェニル)ピペラジン−1−イル)−1,1−ジフェニル−2−プロパノール)、トラゾドン、BMY7378(8−(2−[4−(2−メトキシフェニル)−1−ピペラジニル]エチル)−8−アザスピロ[4.5]デカン−7,9−ジオン)、アトモキセチン又はベンラファキシンである。
複数の実施形態において、前記5HT受容体作動薬はトラゾドンである。
更に、所定の実施形態において、前記5HT受容体作動薬はアセタゾラミド、ベンゾジアゼピン(ジアゼパム;クロバザム)、カンナビジオール、カルバマゼピン、クレミゾール、エトスクシミド、フェルバメート、フェンフルラミン、フルオキセチン、ガバペンチン、ガナキソロン、ラコサミド、ラモトリギン、レベチラセタム、ニトラゼパム、オクスカルバゼピン、ペランパネル、フェニトイン、フェノバルビタール、ピラセタム、臭化カリウム、プレガバリン、プリミドン、レチガビン、ルフィナミド、スチリペントール、チアガビン、トピラマート、バルプロ酸、ベラパミル、ビガバトリン及びゾニサミドの1種以上又は全部を含まないことも本開示の範囲内で予想される。
「薬剤」とは任意の低分子化合物、抗体、核酸分子もしくはポリペプチド又はそのフラグメントを意味する。
「心臓病態」とは、限定されないが、冠状動脈性心臓病(CHD)、心筋症、心血管疾患(CVD)、虚血性心臓病、心不全、高血圧性心臓病、炎症性心臓病、弁膜性心臓病、アテローム性動脈硬化症及び心臓肥大を含む関連疾患を意味する。心臓病態は心臓、脳、大半の主要臓器及び手足を冒す可能性のある全身疾患でもよい。「冠状動脈性心臓病(CHD)」とは冠循環の不全により心筋と周囲組織に十分な血液を供給できなくなる疾患を意味する。「心血管疾患(CVD)」とは心臓自体又は血管系、特に心筋組織と、心臓に出入りする静脈及び動脈を冒す多数の特定疾患のいずれかを意味する。例えばCVDとしては、限定されないが、急性冠症候群、不整脈、アテローム性動脈硬化症、心不全、心筋梗塞、新生内膜過形成、肺高血圧症、卒中、弁膜症又は心臓肥大が挙げられる。心臓病は当分野で公知の種々の方法のいずれかにより診断することができる。例えば、このような方法としては、運動不耐性、浮腫、動悸、失神、意識消失又は咳等の当分野で公知の多数の症状のいずれかとして存在し得る呼吸困難、起座呼吸、発作性夜間呼吸困難、跛行、狭心症、胸痛について対象を評価する方法が挙げられ、心臓病は血液化学検査により診断することができる。上記のように、本願で使用する「心臓病」とは心臓自体又は循環系を冒す障害を意味する。
「アナログ」又は「類似体」とは化学及び生物学分野におけるその単純な通常の意味に従って使用し、別の化合物(即ち所謂「基準」化合物)と構造的に類似しているが、組成の異なる化合物を意味し、例えばある原子が別の元素の原子で置換えられているもの、特定の官能基が存在するもの、ある官能基が別の官能基で置換えられているもの、又は基準化合物の1個以上のキラル中心の絶対立体配置が異なるものが挙げられる。従って、アナログとは基準化合物と機能及び外観が類似又は同等であるが、構造又は起源の異なる化合物である。
「クレミゾール」とは式:
クレミゾールは本願に記載するようなクレミゾールの医薬的に許容される塩と製剤(例えば「クレミゾール塩」)を含む。代表的なクレミゾール塩としては、限定されないが、クレミゾール塩酸塩、クレミゾールペニシリン、クレミゾール硫酸塩又はクレミゾールウンデシル酸塩が挙げられる。
本願に記載する「クレミゾールアナログ」とは類似構造の化合物を意味する。このような化合物としては、例えばその開示内容全体を本願に援用するPCT/US2008/076804及び米国特許第4,011,322号に記載の化合物が挙げられる。その他の代表的なクレミゾールアナログは例えばUS2012/0232062、PCT公開第2009/038248号、US2010/107739、US2010/107742、WO2002/089731、WO2005/032329、WO2009/039248、WO2010/039195、WO2010/107739及びWO2010/107742に記載されており、各々その開示内容全体を本願に援用する。本願に記載するクレミゾールアナログ(上記文献に記載されている化合物を含む)は下式(I)に示すように1位又は2位を置換(即ち修飾)されていてもよい(Y枠及びZ枠)。クレミゾールアナログは式(I)にX枠により示すように4位、5位、6位又は7位を置換(即ち修飾)されていてもよい。
「フリバンセリン」とは下式(II):
フリバンセリンはフリバンセリンの医薬的に許容される塩と製剤(例えば「フリバンセリン塩」)を含む。
「ノルフェンフルラミン」とは下式(III):
ノルフェンフルラミンはノルフェンフルラミンの医薬的に許容される塩と製剤(例えば「ノルフェンフルラミン塩」)を含む。
「DOI」とは2,5−ジメトキシ−4−ヨードアンフェタミンを意味する。DOIはDOIの医薬的に許容される塩と製剤を含む。代表的なDOI塩としては、限定されないが、下式(IV):
を有する2,5−ジメトキシ−4−ヨードアンフェタミン一塩酸塩(DOI HCl)が挙げられる。
「BW723C86」とは5HT2B受容体作動薬として作用し、下式(V):
BW723C86はBW723C86の医薬的に許容される塩と製剤(例えば「BW723C86塩」)を含む。
「医薬的に許容される塩」なる用語は本願に記載する化合物に存在する特定の置換基に応じて比較的非毒性の酸又は塩基と共に製造される活性化合物の塩を意味する。5−HT作動薬が比較的酸性の官能基を含む場合には、このような化合物の中性形態を無熔媒下又は適切な不活性溶媒中で十分な量の所望の塩基と接触させることにより塩基付加塩を得ることができる。医薬的に許容される塩基付加塩の例としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩、有機アミン塩、マグネシウム塩又は同様の塩が挙げられる。5−HT作動薬が比較的塩基性の官能基を含む場合には、このような化合物の中性形態を無熔媒下又は適切な不活性溶媒中で十分な量の所望の酸と接触させることにより酸付加塩を得ることができる。医薬的に許容される酸付加塩の例としては、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、炭酸水素酸、リン酸、リン酸水素酸、リン酸二水素酸、硫酸、硫酸水素酸、ヨウ化水素酸又は亜リン酸等の無機酸から誘導される塩と、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マレイン酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p−トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸、蓚酸、メタンスルホン酸等の比較的非毒性の有機酸から誘導される塩が挙げられる。アルギン酸塩等のアミノ酸の塩や、グルクロン酸やガラクツロン酸等の有機酸の塩も挙げられる(例えばBerge et al.,“Pharmaceutical Salts”,Journal of Pharmaceutical Science,1977,66,1−19参照)。5−HT作動薬は塩基付加塩又は酸付加塩への変換を可能にする塩基性官能基と酸性官能基のいずれも含むことができる。
従って、5−HT作動薬は(例えば医薬的に許容される酸との)塩として存在していてもよい。本発明はこのような塩を含む。このような塩の非限定的な例としては、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩、メタンスルホン酸塩、硝酸塩、マレイン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、プロピオン酸塩、酒石酸塩(例えば(+)−酒石酸塩、(−)−酒石酸塩、又はラセミ混合物を含むその混合物)、コハク酸塩、安息香酸塩、並びにグルタミン酸等のアミノ酸との塩や、第四級アンモニウム塩(例えばヨウ化メチル、ヨウ化エチル等)が挙げられる。これらの塩は当業者に公知の方法により製造することができる。
塩を塩基又は酸と接触させ、従来通りの方法で親化合物を分離することにより5−HT作動薬の中性形態を再生することが好ましい。化合物の親形態は極性溶媒への溶解度等の所定の物理的性質が種々の塩形態と異なっていてもよい。
塩形態に加え、5−HT作動薬はプロドラッグ形態で提供してもよい。プロドラッグとは生理的条件下で容易に化学変化し、本発明の化合物となるような化合物である。5−HT作動薬のプロドラッグは投与後にインビボで変換することができる。更に、5−HT作動薬のプロドラッグは例えば適切な酵素又は化学的試薬と接触させる場合等のエクスビボ環境で化学的又は生化学的方法により活性化合物に変換することができる。
5−HT作動薬は非溶媒和形態で存在することもできるし、水和形態を含む溶媒和形態で存在することもできる。一般に、溶媒和形態は非溶媒和形態と等価であり、本発明の範囲内に含まれる。5−HT作動薬は多結晶形態で存在していてもよいし、非晶質形態で存在していてもよい。一般に、本発明により予想される用途では全ての物理的形態が等価であり、本発明の範囲内に含むものとする。
「有効量」とは、5−HT作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)が5−HT作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)の不在下に比較して指定目的を達成するため(例えば投与効果を得るため、疾患を治療するため、タンパク質/酵素活性を低下させるため、タンパク質/酵素活性を増加させるため、シグナル伝達経路を抑制するため、又は疾患もしくは病態の1種以上の症状を抑制するため)に十分な量である。「有効量」の1例は疾患の1以上の症状の治療、予防又は抑制に寄与するために十分な5−HT作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)の量であり、「治療有効量」と言うこともできる。1以上の症状の「抑制」(及びこの用語の文法的等価形態)とは症状の重度もしくは頻度の低下、又は症状(例えば発作)の解消を意味する。薬物の「予防有効量」とは、対象に投与したときに目的の予防効果、例えば損傷、疾患、病変もしくは病態の発症(又は再発)を予防もしくは遅延させる効果、又は損傷、疾患、病変もしくは病態もしくはその症状(例えば発作)が発症(又は再発)する可能性を減らす効果を生じる薬物の量である。完全な予防効果は必ずしも単回投与により生じず、一連の投与後のみに生じる場合もある。従って、予防有効量を1回以上に分けて投与してもよい。厳密な量は治療目的により異なり、公知技術を使用して当業者に確定されよう(例えばLieberman,Pharmaceutical Dosage Forms(vols.1−3,1992);Lloyd,The Art,Science and Technology of Pharmaceutical Compounding(1999);Pickar,Dosage Calculations(1999);及びRemington:The Science and Practice of Pharmacy,20th Edition,2003,Gennaro,Ed.,Lippincott,Williams & Wilkins参照)。
5−HT作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)の治療有効量は先ず細胞培養アッセイから決定することができる。目標濃度は本願に記載する方法又は当分野で公知の方法を使用して測定した場合に本願に記載する方法を達成することが可能な活性化合物の濃度とする。
当分野で周知のように、動物モデルから人体用の治療有効量を決定することもできる。例えば、動物で有効であることが分かっている濃度となるように人体用の用量を処方することができる。上記のように、化合物の有効性をモニターし、投与量を下方又は上方に調節することにより人体用の投与量を調節することができる。上記方法及び他の方法に基づいて人体で最大の効力を達成するように用量を調節することは通常の知識をもつ当業者が十分に可能である。
投与量は患者の必要性と利用する化合物に応じて変えることができる。本発明に関して、患者に投与される用量は時間の経過と共に患者に有益な治療反応を生じるために十分な量とすべきである。用量のサイズは有害な副作用の存在、種類及び程度によっても左右されよう。特定の状況に適した投与量の決定は医師の技量の範囲内である。一般に、化合物の最適用量よりも少ない低用量で治療を開始する。その後、状況下で最適な効果に達するまで投与量を少量ずつ増加させる。
投与量と投与間隔は投与される化合物の濃度が治療する特定の臨床徴候に有効となるように個々に調節することができる。こうして、個体の疾患状態の重度に見合った治療レジメンが提供されよう。
本願に提供する教示を利用し、実質的な毒性を生じずに特定の患者により発現される臨床症状を治療するために有効な予防又は治療処置レジメンを計画することができる。この計画には、化合物効力、相対生体利用率、患者体重、有害な副作用の存在と重度、好ましい投与方法及び選択した薬剤の毒性プロファイル等の因子を考慮することにより活性化合物を注意深く選択する必要がある。
「対照」又は「対照実験」とはその単純な通常の意味に従って使用し、実験の手順、試薬又は変数を省略する以外は並行実験と同様に実験の対象又は試薬を処理する実験を意味する。場合により、対照は実験効果を評価する際に比較標準として使用される。所定の実施形態において、対照は5−HT作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)の不在下における5−HT作動薬の活性の測定である。
本願で使用する「試験化合物」とは特定の生体標的又は経路(例えば5−HT受容体)の活性、不活性又は他の変調を同定するためのスクリーニング法で使用される実験化合物を意味する。試験化合物はその医薬的に許容される塩を含めて本願に記載する5−HT作動薬とすることができる。
「調節」、「調節する」又は「モジュレーター」なる用語はその単純な通常の意味に従って使用し、1種以上の性質を変化又は変更させる行為を意味する。「モジュレーター」とは標的分子の濃度又は標的分子の機能又は分子の標的の物理的状態を増減させる組成物又は化合物を意味する。「調節」とは1種以上の性質を変化又は変更させるプロセスを意味する。例えば、生体標的に及ぼすモジュレーターの作用について適用する場合、「調節する」とは生体標的(例えば5−HT受容体)の性質もしくは機能又は生体標的の量を増減することにより変化させることを意味する。
タンパク質と阻害薬の相互作用に関して本願で使用する「阻害」、「阻害する」、「阻害している」等の用語はタンパク質の活性又は機能を阻害薬の不在下の活性又は機能に比較してマイナスに変化させる(例えば低下させる)ことを意味する。所定の実施形態において、阻害とは疾患又は疾患の症状の抑制を意味する。所定の実施形態において、阻害とは特定のタンパク質又は核酸標的の活性の低下を意味する。従って、阻害は刺激を部分的もしくは完全に阻止すること、活性化を抑制、防止もしくは遅延させること、又はもしくはシグナル伝達もしくはタンパク質/酵素活性もしくはタンパク質の量を不活性化、減感もしくはダウンレギュレートさせることを少なくとも一部に含む。
タンパク質と化合物の相互作用に関して「活性化」又は「活性化させる」等の用語はタンパク質の活性又は機能を活性剤化合物の不在下の活性又は機能に比較してプラスに変化させる(例えば増加させる)ことを意味する。活性化とは特定のタンパク質標的の活性増加を意味する場合もある。活性化とは突然変異させたタンパク標的の機能低下の回復を意味する場合もある。本願で使用する活性化とは1種以上の5−HT受容体の活性化を意味する場合もある。
「接触させる」とはその単純な通常の意味に従って使用し、少なくとも2個の別個の化学種(例えば生体分子又は細胞を含有する化合物)を相互に反応、相互作用又は物理的に接触させるために十分に接近させるプロセスを意味する。なお、得られる反応生成物は添加した試薬間の反応から直接生成することもできるし、添加した試薬の1種以上からの中間体から生成することもでき、前記中間体は反応混合物中で生成することができる。
「接触させる」なる用語は2種類の化学種を反応、相互作用又は物理的に接触させることを含むことができ、前記2種類の化学種は本願に記載する化合物とタンパク質又は酵素とすることができる。所定の実施形態において、接触させるとは本願に記載する化合物を受容体(例えば5−HT受容体)と相互作用させることを含む。
疾患に付随する物質又は物質活性もしくは機能に関して「随伴する」又は「〜に随伴する」なる用語は疾患が(完全又は部分的に)その物質又は物質活性もしくは機能に起因すること又は疾患の症状が(完全又は部分的に)その物質又は物質活性もしくは機能に起因することを意味する。
「患者」又は「〜を必要とする対象」なる用語は本願に記載するような医薬組成物の投与により治療することができる疾患又は病態に罹患しているか又は罹患し易い生体を意味する。非限定的な例としては、ヒト、他の哺乳動物、ウシ、ラット、マウス、イヌ、サル、ヤギ、ヒツジ、乳牛、シカ及び他の非哺乳動物(例えばゼブラフィッシュ)が挙げられる。患者はヒトとすることができる。
「疾患」又は「病態」なる用語は本願で提供する化合物又は方法で治療することが可能な患者又は対象の状態又は健康状態を意味する。
本願における「癲癇障害」、「癲癇症」、「発作障害」又は「癲癇」なる用語は非誘発性発作の存在を最も多くの場合に特徴とする一連の慢性神経障害を意味する。例えばNoebels et.al.,Jasper’s Basic Mechanisms of the Epilepsies,4th edition,Bethesda(MD):National Center for Biotechnology Information(US);2012参照。本願で使用する癲癇とは(例えば外傷、卒中又は癌に起因する)脳の損傷又は遺伝子突然変異を意味する場合がある。癲癇症の症状は脳のニューロン間の異常な電気化学的シグナル伝達に起因する場合がある。非誘発性発作を2回以上起こした患者を癲癇患者とみなすことができる。
癲癇症の種類としては、例えば良性ローランド癲癇、前頭葉癲癇、点頭癲癇、若年性ミオクロニー癲癇(JME)、若年性欠神癲癇、小児欠神癲癇(例えばピクノレプシー)、熱性痙攣、ラフォラ病進行性ミオクローヌス癲癇、レノックス・ガストー症候群、ランドウ・クレフナー症候群、ドラベ症候群(DS)、全般癲癇熱性痙攣プラス(GEFS+)、乳児重症ミオクロニー癲癇(SMEI)、良性家族性新生児痙攣(BFNC)、ウエスト症候群、大田原症候群、早期ミオクロニー脳症、移動性部分癲癇、点頭癲癇性脳症、結節性硬化症(TSC)、限局性皮質異形成、I型滑脳症、ミラー・ディッカー症候群、アンジェルマン症候群、脆弱X症候群、自閉症スペクトラム障害の癲癇、皮質下帯状異所性灰白質、ウォーカー・ワールブルグ症候群、アルツハイマー病、外傷後癲癇、進行性ミオクローヌス癲癇、反射癲癇、ラスムッセン症候群、側頭葉癲癇、辺縁系癲癇、癲癇重積状態、腹部癲癇、両側汎発性ミオクローヌス、月経随伴性癲癇、ジャクソン発作、ウンフェルリヒト・ルンドボルグ病又は光感受性癲癇が挙げられる。
「医薬的に許容される賦形剤」及び「医薬的に許容される担体」又は「担体部分」とは、対象への5−HT作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)の投与と吸収を助け、患者に重大な有害毒性作用を生じずに組成物に配合することができる物質を意味する。医薬的に許容される賦形剤の非限定的な例としては、水、NaCl、生理的塩類溶液、乳酸リンゲル液、正規ショ糖、正規ブドウ糖、結合剤、充填剤、崩壊剤、滑沢剤、コーティング剤、甘味料、着香剤、塩類溶液(例えばリンゲル液)、アルコール類、油類、ゼラチン、炭水化物(ラクトース、アミロース又はデンプン)、脂肪酸エステル、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、及び着色剤等が挙げられる。このような調合剤を滅菌し、所望により、本発明の化合物と有害な反応を生じない助剤(例えば滑沢剤、防腐剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧を変化させるための塩類、緩衝剤、着色剤及び/又は芳香族物質等)と混合することができる。当業者に自明の通り、他の医薬的に許容される賦形剤も本発明で有用である。
「調合剤」なる用語は担体として封入剤を使用し、有効成分を他の担体の存在下又は不在下で担体により包囲し、一体化させてカプセル剤とした5−HT作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)の製剤を含むものとする。同様に、カシェ剤とロゼンジ剤も含む。錠剤、散剤、カプセル剤、丸剤、カシェ剤及びロゼンジ剤は経口投与に適した固体剤形として使用することができる。
本願で使用する「投与する」なる用語は対象への経口投与、坐剤としての投与、局所接触、静脈内、腹腔内、筋肉内、病変内、髄腔内、鼻腔内もしくは皮下投与、又は遅延放出デバイス(例えば小型浸透圧ポンプ)の移植を意味する。投与は非経口及び経粘膜(例えば口腔、舌下、口蓋、歯肉、鼻孔、経膣、経直腸又は経皮)を含めたあらゆる経路による。非経口投与としては、例えば静脈内、筋肉内、細動脈内、皮内、皮下、腹腔内、心室内及び頭蓋内が挙げられる。他の送達方式としては、限定されないが、リポソーム製剤、静脈内輸液、経皮パッチ等の使用が挙げられる。
5−HT作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)とその医薬組成物は局所経路により、又はアプリケータースティック、溶液剤、懸濁剤、乳剤、ジェル剤、クリーム、軟膏、ペースト、ゼリー、塗布剤、散剤及びエアゾールとして製剤化して経皮投与することができる。経口調合剤としては、患者が摂取するのに適した錠剤、丸剤、散剤、糖衣錠、カプセル剤、液剤、ロゼンジ剤、カシェ剤、ジェル剤、シロップ剤、スラリー、懸濁剤等が挙げられる。固体形態調合剤としては、散剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、カシェ剤、坐剤及び水和性顆粒剤が挙げられる。液体形態の調合剤としては、溶液剤、懸濁剤及び乳剤(例えば水又は水/プロピレングリコール溶液)が挙げられる。5−HT作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)に更に徐放性及び/又は快適さを提供するための成分を添加してもよい。このような成分としては高分子量アニオン性ムコミメティックポリマー、ゲル化多糖類及び微粉状薬物担体基剤が挙げられる。これらの成分は米国特許第4,911,920号、5,403,841号、5,212,162号及び4,861,760号により詳細に記載されている。これらの特許の開示内容全体をあらゆる目的で本願に援用する。5−HT作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)は体内に遅延放出するようにマイクロスフェアとして送達することもできる。例えば、マイクロスフェアは薬物を収容したマイクロスフェアを皮内注射してゆっくりと皮下放出させることにより投与することができ(Rao,J.Biomater Sci.Polym.Ed.7:623−645,1995参照)、あるいは生分解性注射用ジェル製剤(例えばGao Pharm.Res.12:857−863,1995)として、又は経口投与用マイクロスフェア(例えばEyles,J.Pharm.Pharmacol.49:669−674,1997参照)として投与することができる。5−HT作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)の組成物の製剤は細胞膜と融合するか又は細胞内に取り込まれるリポソームを使用することにより、即ち細胞の表面膜タンパク質受容体と結合してエンドサイトーシスを生じる受容体リガンドをリポソームに付加して利用することにより送達することができる。リポソームを使用することにより、特に標的細胞に特異的な受容体リガンドをリポソーム表面に担持させた場合又は他の方法で特定の臓器に対して優先的に特異的となるようにした場合には、標的細胞への5−HT作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)の組成物のインビボ送達に焦点を絞ることができる(例えばAl−Muhammed,J.Microencapsul.13:293−306,1996;Chonn,Curr.Opin.Biotechnol.6:698−708,1995;Ostro,Am.J.Hosp.Pharm.46:1576−1587,1989参照)。組成物はナノ粒子として送達することもできる。
「併用投与する」とは、本願に記載する組成物を1種以上の他の治療薬の投与と同時、その直前又は直後に投与することを意味する。5−HT作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)は患者に単独投与することもできるし、併用投与することもできる。併用投与とは複数の化合物を個々に又は(2種以上の化合物を)組み合わせて同時又は順次投与することを意味する。従って、所望により、(例えば代謝機能低下を抑制するために)調合剤を他の有効物質と併用することもできる。5−HT作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)は局所経路により、又はアプリケータースティック、溶液剤、懸濁剤、乳剤、ジェル剤、クリーム、軟膏、ペースト、ゼリー、塗布剤、散剤及びエアゾールとして製剤化して経皮投与することができる。
「追加治療」、「追加療法」、「補助療法」及び「補助治療」なる用語は本願では同義に使用し、癲癇を治療するために5−HT作動薬又はその医薬的に許容される塩を別の抗痙攣薬と併用することを意味する。
「抗発作薬」、「抗癲癇薬」、「AED」又は「抗痙攣薬」は本願ではその通常一般の意味に従って同義に使用し、発作を抑制又は解消するための組成物が挙げられる。抗痙攣薬としては、限定されないが、アセタゾラミド、ベンゾジアゼピン、カンナビジオール、カルバマゼピン、クロバザム、クロナゼパム、エスリカルバゼピン酢酸塩、エトスクシミド、エトトイン、フェルバメート、フェンフルラミン、フォスフェニトイン、ガバペンチン、ガナキソロン、フペルジンA、ラコサミド、ラモトリギン、レベチラセタム、ニトラゼパム、オクスカルバゼピン、ペランパネル、ピラセタム、フェノバルビタール、フェニトイン、臭化カリウム、プレガバリン、プリミドン、レチガビン、ルフィナミド、バルプロ酸、バルプロ酸ナトリウム、スチリペントール、チアガビン、トピラマート、ビガバトリン又はゾニサミドが挙げられる。
本願で使用する「耐性」なる用語は薬剤又は薬物の有効性の低下を意味する。例えば、(例えばフェンフルラミン等の)セロトニン再取り込み阻害薬による治療に「耐性」の対象はセロトニン再取り込み阻害薬を対象に最初に投与したときに認められる反応に比較して反応の低下を示す。
本願で使用する「有意に結合しない」なる用語は本開示の5HT受容体作動薬が例えば5HT受容体、NPY YP受容体、Ca+チャネル、C1チャネル、GABAトランスポーターもしくはGABA−A1受容体、Naチャネル、5HTトランスポーター及び/又はCB1もしくはCB2受容体等の別の膜貫通タンパク質との間に10分の1又は20分の1又は50分の1又は60分の1又は70分の1又は80分の1又は90分の1又は100分の1の結合性を示すという意味である。この結合レベルの低下はELISA又はバイオセンサー解析(例えばBiacore)により測定することができる。1例において、本開示の5HT受容体作動薬はELISA又はBiacore又はウェスタンブロット又はFACSにより測定した場合に、5HT1A、5HT1B、5HT1D、5HT2C、5HT3、5HT4、5HT6、5HT7、NPY Y1受容体、L型Caチャネル、Caチャネル(N型)、SK−Caチャネル、GABA依存性Clチャネル、GABAトランスポーター、GABA−A1受容体、GABA−B1b受容体、Naチャネル、5HTトランスポーター、CB1受容体、CB2受容体、BZD又はエストロゲンERαと検出可能な程度に結合しない。この関連で「検出可能な程度に結合しない」とは、結合レベルがバックグラウンドよりも有意に大きくないことを意味すると理解すべきである。代表的な実施形態において、5−HT作動薬は5HT1A、5HT1B、5HT1D、5HT2C、5HT3、5HT4、5HT6、5HT7、NPY Y1受容体、L型Caチャネル、N型Caチャネル、SK−Caチャネル、GABA依存性Clチャネル、GABAトランスポーター、GABA−A1受容体、GABA−B1b受容体、Naチャネル、5HTトランスポーター、CB1受容体、CB2受容体、BZD又はエストロゲンERαの少なくとも1種の活性を有意に調節しない。本願で使用する「活性を有意に調節しない」なる用語は、本開示の5HT受容体作動薬がリガンドを活性化又は阻害しないという点を除いてその活性と実質的に同様の受容体介在性生体反応を誘発することを意味すると理解すべきである。
治療方法
本願は癲癇症の治療方法を提供する。1態様において、前記方法は前記治療を必要とする対象に治療有効量の5−HT受容体作動薬又はその医薬的に許容される塩を投与することによる癲癇症の治療方法である。別の態様において、前記方法は前記治療を必要とする対象に本願に記載するような医薬組成物を投与することによる癲癇症の治療方法であり、前記医薬組成物は5−HT受容体作動薬又はその医薬的に許容される塩を含有する。対象はケト原性食を摂取しているものとすることができる(例えばケト原性食に従う食物を摂取しているものとすることができる)。対象は心血管疾患をもつものとすることができる。対象はセロトニン再取り込み阻害薬による治療に耐性のものとすることができる。対象はセロトニン再取り込み阻害薬を投与した場合の副作用に感受性のものとすることができる。対象は小児(例えば小児癲癇病態をもつ対象)とすることができる。
癲癇症は良性ローランド癲癇、前頭葉癲癇、点頭癲癇、若年性ミオクロニー癲癇(JME)、若年性欠神癲癇、小児欠神癲癇(例えばピクノレプシー)、熱性痙攣、ラフォラ病進行性ミオクローヌス癲癇、レノックス・ガストー症候群、ランドウ・クレフナー症候群、ドラベ症候群、全般癲癇熱性痙攣プラス(GEFS+)、乳児重症ミオクロニー癲癇(SMEI)、良性家族性新生児痙攣(BFNC)、ウエスト症候群、大田原症候群、早期ミオクロニー脳症、移動性部分癲癇、点頭癲癇性脳症、結節性硬化症(TSC)、限局性皮質異形成、I型滑脳症、ミラー・ディッカー症候群、アンジェルマン症候群、脆弱X症候群、自閉症スペクトラム障害の癲癇、皮質下帯状異所性灰白質、ウォーカー・ワールブルグ症候群、アルツハイマー病、外傷後癲癇、進行性ミオクローヌス癲癇、反射癲癇、ラスムッセン症候群、側頭葉癲癇、辺縁系癲癇、癲癇重積状態、腹部癲癇、両側汎発性ミオクローヌス、月経随伴性癲癇、ジャクソン発作、ウンフェルリヒト・ルンドボルグ病又は光感受性癲癇とすることができる。癲癇は全般発作又は部分(即ち焦点性)発作を含むことができる。
癲癇症はドラベ症候群、レノックス・ガストー症候群、点頭癲癇又は大田原症候群とすることができる。癲癇症はドラベ症候群、レノックス・ガストー症候群、点頭癲癇もしくは大田原症候群又は小児癲癇症とすることができる。小児癲癇症は良性小児癲癇、良性家族性新生児痙攣(BFNC)、熱性痙攣、ドラベ症候群、レノックス・ガストー症候群、点頭癲癇、大田原症候群、若年性ミオクロニー癲癇、若年性欠神癲癇、小児欠神癲癇(例えばピクノレプシー)、点頭癲癇とすることができる。癲癇症はドラベ症候群とすることができる。
小児癲癇症は良性小児癲癇とすることができる。小児癲癇症は良性家族性新生児痙攣(BFNC)とすることができる。小児癲癇症は熱性痙攣とすることができる。小児癲癇症はドラベ症候群とすることができる。小児癲癇症はレノックス・ガストー症候群とすることができる。小児癲癇症は点頭癲癇とすることができる。小児癲癇症は大田原症候群とすることができる。小児癲癇症は若年性ミオクロニー癲癇とすることができる。小児癲癇症は若年性欠神癲癇とすることができる。小児癲癇症は小児欠神癲癇(例えばピクノレプシー)とすることができる。小児癲癇症は点頭癲癇とすることができる。
癲癇症は例えば脳炎、大脳炎、膿瘍、卒中、腫瘍、外傷、遺伝的結節性硬化症、大脳形成異常又は低酸素性虚血性脳症等の神経疾患又は損傷の結果とすることができる。癲癇症は例えばアルツハイマー病やパーキンソン病等の神経変性疾患に随伴するものとすることができる。癲癇症は自閉症に随伴するものとすることができる。癲癇症は単一遺伝子突然変異に随伴するものとすることができる。癲癇症は強迫行為又はエレクトログラフ発作に随伴するものとすることができる。前記5−HT受容体作動薬又はその医薬的に許容される塩を投与すると、癲癇症、アルツハイマー病対象(例えばアルツハイマー病に罹患している対象)、自閉症対象(例えば自閉症をもつ対象)、又はパーキンソン病対象(例えばパーキンソン病に罹患している対象)における強迫行為又はエレクトログラフ発作を抑制することができる。即ち、前記5−HT受容体作動薬又はその医薬的に許容される塩は癲癇症における強迫行為又はエレクトログラフ発作を抑制することができる。前記5−HT作動薬又はその医薬的に許容される塩はアルツハイマー病対象における強迫行為又はエレクトログラフ発作を抑制することができる。前記5−HT受容体作動薬又はその医薬的に許容される塩は自閉症対象における強迫行為又はエレクトログラフ発作を抑制することができる。前記5−HT受容体作動薬又はその医薬的に許容される塩はパーキンソン病対象における強迫行為又はエレクトログラフ発作を抑制することができる。
前記5−HT受容体作動薬又はその医薬的に許容される塩を投与すると、5−HT受容体作動薬又はその医薬的に許容される塩の不在下に比較して前記対象における非誘発性発作の発生率(例えば発生回数)を減らすことができる。従って、本願に記載する化合物の投与前の時点(例えば対照又は対照時点)に比較して前記5−HT受容体作動薬又はその医薬的に許容される塩の投与に対する患者の反応を漸次モニターすることができる。
前記5−HT受容体作動薬又はその医薬的に許容される塩を投与すると、5−HT受容体作動薬又はその医薬的に許容される塩の不在下に比較して前記対象におけるミオクローヌス発作又は癲癇重積状態を抑制又は予防することができる。前記5−HT受容体作動薬又はその医薬的に許容される塩を投与すると、5−HT受容体作動薬又はその医薬的に許容される塩の不在下に比較して前記対象におけるミオクローヌス発作を抑制又は予防することができる。前記5−HT受容体作動薬又はその医薬的に許容される塩を投与すると、5−HT受容体作動薬又はその医薬的に許容される塩の不在下に比較して前記対象における癲癇重積状態を抑制又は予防することができる。従って、本願に記載する化合物の投与前の時点(例えば対照又は対照時点)に比較して前記5−HT受容体作動薬又はその医薬的に許容される塩の投与に対する患者の反応を漸次モニターすることができる。
癲癇症は抗癲癇薬(AED)による治療に非反応性の癲癇症とすることができる。対象はケト原性食を摂取しているものすることができる。癲癇症は成人(例えば約16歳超)の癲癇症とすることができる。
癲癇症は小児の癲癇症とすることができる。即ち、癲癇症は小児癲癇症とすることができる。小児は約1週齢未満とすることができる。小児は約1カ月齢未満とすることができる。小児は約6カ月齢未満とすることができる。小児は約12カ月齢未満とすることができる。小児は約2歳未満とすることができる。小児は約3歳未満とすることができる。小児は約4歳未満とすることができる。小児は約5歳未満とすることができる。小児は約6歳未満とすることができる。小児は約7歳未満とすることができる。小児は約8歳未満とすることができる。小児は約9歳未満とすることができる。小児は約10歳未満とすることができる。小児は約12歳未満とすることができる。
小児は約1週齢超とすることができる。小児は約1カ月齢超とすることができる。小児は約6カ月齢超とすることができる。小児は約12カ月齢超とすることができる。小児は約2歳超とすることができる。小児は約3歳超とすることができる。小児は約4歳超とすることができる。小児は約5歳超とすることができる。小児は約5歳超とすることができる。小児は約6歳超とすることができる。小児は約7歳超とすることができる。小児は約8歳超とすることができる。小児は約9歳超とすることができる。小児は約10歳超とすることができる。小児は約11歳超とすることができる。小児は約12歳超とすることができる。
小児は本願に記載するようなAEDを投与することにより治療される癲癇症をもつものとすることができる。従って、前記5−HT受容体作動薬又はその医薬的に許容される塩をこのような小児に(例えば追加療法として)投与することができる。
別の態様ではドラベ症候群の治療方法を提供する。ドラベ症候群の治療方法は前記治療を必要とする対象に治療有効量の前記5−HT受容体作動薬又はその医薬的に許容される塩を投与することを含む。ドラベ症候群の治療方法は前記治療を必要とする対象に本願に記載するような5−HT受容体作動薬又はその医薬的に許容される塩の医薬組成物を投与することを含む。前記治療を必要とする対象に前記5−HT受容体作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)を本願に記載するようなAEDと併用投与することができる。
本願に記載する方法では、前記5−HT受容体作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)を抗癲癇薬(AED)と併用投与することができる。AEDはアセタゾラミド、ベンゾジアゼピン、カンナビジオール、カルバマゼピン、クロバザム、クロナゼパム、エスリカルバゼピン酢酸塩、エトスクシミド、エトトイン、フェルバメート、フェンフルラミン、フォスフェニトイン、ガバペンチン、ガナキソロン、フペルジンA、ラコサミド、ラモトリギン、レベチラセタム、ニトラゼパム、オクスカルバゼピン、ペランパネル、ピラセタム、フェノバルビタール、フェニトイン、臭化カリウム、プレガバリン、プリミドン、レチガビン、ルフィナミド、バルプロ酸、バルプロ酸ナトリウム、スチリペントール、チアガビン、トピラマート、ビガバトリン又はゾニサミドとすることができる。AEDはバルプロ酸、バルプロ酸ナトリウム、クロナゼパム、エトスクシミド、フェルバメート、ガバペンチン、カルバマゼピン、オクスカルバゼピン、ラモトリギン、レベチラセタム、ベンゾジアゼピン、フェノバルビタール、プレガバリン、プリミドン、チアガビン、トピラマート、臭化カリウム、フェニトイン、スチリペントール、ビガバトリン又はゾニサミドとすることができる。AEDはバルプロ酸、バルプロ酸ナトリウム、ガバペンチン、トピラマート、カルバマゼピン、オクスカルバゼピン又はビガバトリンとすることができる。
AEDはアセタゾラミドとすることができる。AEDはベンゾジアゼピンとすることができる。AEDはカンナビジオールとすることができる。AEDはカルバマゼピンとすることができる。AEDはクロバザムとすることができる。AEDはクロナゼパムとすることができる。AEDはエスリカルバゼピン酢酸塩とすることができる。AEDはエトスクシミドとすることができる。AEDはエトトインとすることができる。AEDはフェルバメートとすることができる。AEDはフェンフルラミンとすることができる。AEDはフォスフェニトインとすることができる。AEDはガバペンチンとすることができる。AEDはガナキソロンとすることができる。AEDはフペルジンAとすることができる。AEDはラコサミドとすることができる。AEDはラモトリギンとすることができる。AEDはレベチラセタムとすることができる。AEDはニトラゼパムとすることができる。AEDはオクスカルバゼピンとすることができる。AEDはペランパネルとすることができる。AEDはピラセタムとすることができる。AEDはフェノバルビタールとすることができる。AEDはフェニトインとすることができる。AEDは臭化カリウムとすることができる。AEDはプレガバリンとすることができる。AEDはプリミドンとすることができる。AEDはレチガビンとすることができる。AEDはルフィナミドとすることができる。AEDはバルプロ酸とすることができる。AEDはバルプロ酸ナトリウムとすることができる。AEDはスチリペントールとすることができる。AEDはチアガビンとすることができる。AEDはトピラマートとすることができる。AEDはビガバトリンとすることができる。AEDはゾニサミドとすることができる。本願に記載するAEDの1種以上の補助療法としてクレミゾール(その医薬的に許容される塩を含む)もしくはクレミゾールアナログ又はクレミゾールもしくはクレミゾールアナログの医薬組成物を投与することができる。
従って、前記5−HT受容体作動薬又はその医薬的に許容される塩は本願に記載する癲癇症に付随する発作を含めた発作を治療するためにAED投薬の追加(例えば併用)として投与することができる。前記5−HT受容体作動薬又はその医薬的に許容される塩は本願に記載する癲癇症に付随する発作を含めた発作を治療するためにAED投薬の補助療法(例えば併用)として投与することができる。
癲癇症は部分発作又は全般発作を特徴とすることができる。癲癇症は部分発作を特徴とすることができる。癲癇症は全般発作を特徴とすることができる。部分発作は単純焦点発作、複雑焦点発作、又は二次性全般化を伴う部分焦点発作とすることができる。全般発作は全般強直間代発作、欠伸発作(即ち小発作)、ミオクローヌス発作、間代発作、強直発作又は無緊張発作とすることができる。
本願に記載するAEDと併用投与する場合には、前記5−HT受容体作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)と前記AEDを同時に投与してもよい。同時に投与する場合には、前記5−HT受容体作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)を前記AEDと(即ち単一用量単位として)合剤化してもよい。前記5−HT受容体作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)は前記AEDと別に投与するように製剤化してもよいが、同時に投与してもよい。本願に記載するAEDと併用投与する場合には、前記5−HT受容体作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)は前記AEDの投与と順次(例えばその前後に)投与することができる。上記のように、順次投与順序は当業者が容易に決定できよう。
前記5−HT受容体作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)は約1mg/kg〜約1000mg/kgの用量で投与することができる。前記5−HT受容体作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)は約10mg/kg〜約1000mg/kgの用量で投与することができる。前記5−HT受容体作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)は約10mg/kg〜約600mg/kgの用量で投与することができる。前記5−HT受容体作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)は約25mg/kg〜約500mg/kgの用量で投与することができる。前記5−HT受容体作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)は約25mg/kg〜約400mg/kgの用量で投与することができる。前記5−HT受容体作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)は約25mg/kg〜約350mg/kgの用量で投与することができる。前記5−HT受容体作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)は約25mg/kg〜約300mg/kgの用量で投与することができる。前記5−HT受容体作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)は約25mg/kg〜約250mg/kgの用量で投与することができる。前記5−HT受容体作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)は約25mg/kg〜約200mg/kgの用量で投与することができる。前記5−HT受容体作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)は約25mg/kg〜約150mg/kgの用量で投与することができる。前記5−HT受容体作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)は約25mg/kg〜約100mg/kgの用量で投与することができる。前記5−HT受容体作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)は約25mg/kg〜約75mg/kgの用量で投与することができる。前記5−HT受容体作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)は約25mg/kg〜約50mg/kgの用量で投与することができる。本願で使用する「mg/kg」とは対象の体重1kg当たりのmg値を意味する。本願に記載する投与量は前記5−HT受容体作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)を単独の治療有効成分として投与する場合又は治療有効成分としての前記5−HT受容体作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)と本願に記載するAEDの(本願に記載するような)併用投与を含む。
前記5−HT受容体作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)は約1mg/kgの用量で投与することができる。前記5−HT受容体作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)は約5mg/kgの用量で投与することができる。前記5−HT受容体作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)は約10mg/kgの用量で投与することができる。前記5−HT受容体作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)は約20mg/kgの用量で投与することができる。前記5−HT受容体作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)は約25mg/kgの用量で投与することができる。前記5−HT受容体作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)は約30mg/kgの用量で投与することができる。前記5−HT受容体作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)は約40mg/kgの用量で投与することができる。前記5−HT受容体作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)は約50mg/kgの用量で投与することができる。前記5−HT受容体作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)は約75mg/kgの用量で投与することができる。前記5−HT受容体作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)は約100mg/kgの用量で投与することができる。
前記5−HT受容体作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)は約125mg/kgの用量で投与することができる。前記5−HT受容体作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)は約150mg/kgの用量で投与することができる。前記5−HT受容体作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)は約175mg/kgの用量で投与することができる。前記5−HT受容体作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)は約200mg/kgの用量で投与することができる。前記5−HT受容体作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)は約225mg/kgの用量で投与することができる。前記5−HT受容体作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)は約250mg/kgの用量で投与することができる。前記5−HT受容体作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)は約275mg/kgの用量で投与することができる。
前記5−HT受容体作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)は約300mg/kgの用量で投与することができる。前記5−HT受容体作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)は約325mg/kgの用量で投与することができる。前記5−HT受容体作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)は約350mg/kgの用量で投与することができる。前記5−HT受容体作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)は約375mg/kgの用量で投与することができる。前記5−HT受容体作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)は約400mg/kgの用量で投与することができる。前記5−HT受容体作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)は約425mg/kgの用量で投与することができる。前記5−HT受容体作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)は約450mg/kgの用量で投与することができる。前記5−HT受容体作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)は約475mg/kgの用量で投与することができる。前記5−HT受容体作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)は約500mg/kgの用量で投与することができる。
前記5−HT受容体作動薬アナログ(その医薬的に許容される塩を含む)は約600mg/kgの用量で投与することができる。前記5−HT受容体作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)は約700mg/kgの用量で投与することができる。前記5−HT受容体作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)は約800mg/kgの用量で投与することができる。前記5−HT受容体作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)は約900mg/kgの用量で投与することができる。前記5−HT受容体作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)は約1000mg/kgの用量で投与することができる。
前記5−HT受容体作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)は本願に記載する投与量で少なくとも1日1回(例えば1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間又は12時間毎に1回)投与することができる。前記5−HT受容体作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)は本願に記載する投与量で毎日投与することができる。前記5−HT受容体作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)は本願に記載する投与量で少なくとも週2回投与することができる。前記5−HT受容体作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)は少なくとも週3回本願に記載するように投与することができる。前記5−HT受容体作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)は月1回本願に記載するように投与することができる。
本願では、治療有効量のクレミゾール、クレミゾールアナログ又はその医薬的に許容される塩を投与することにより、脳内のセロトニンの不足により又は1種以上の5HT受容体の活動下で生じる疾患又は障害を治療する方法も提供する。脳内のセロトニンの不足により又は1種以上の5HT受容体の活動下で生じる疾患又は障害は片頭痛とすることができる。脳内のセロトニンの不足により又は1種以上の5HT受容体の活動下で生じる疾患又は障害は脆弱X症候群とすることができる。脳内のセロトニンの不足により又は1種以上の5HT受容体の活動下で生じる疾患又は障害はプラダー・ウィリー症候群とすることができる。脳内のセロトニンの不足により又は1種以上の5HT受容体の活動下で生じる疾患又は障害は統合失調症とすることができる。脳内のセロトニンの不足により又は1種以上の5HT受容体の活動下で生じる疾患又は障害は鬱病とすることができる。脳内のセロトニンの不足により又は1種以上の5HT受容体の活動下で生じる疾患又は障害はアルツハイマー病とすることができる。脳内のセロトニンの不足により又は1種以上の5HT受容体の活動下で生じる疾患又は障害は自閉症とすることができる。脳内のセロトニンの不足により又は1種以上の5HT受容体の活動下で生じる疾患又は障害は神経障害性疼痛とすることができる。脳内のセロトニンの不足により又は1種以上の5HT受容体の活動下で生じる疾患又は障害はパーキンソン病とすることができる。脳内のセロトニンの不足により又は1種以上の5HT受容体の活動下で生じる疾患又は障害は過敏性腸症とすることができる。脳内のセロトニンの不足により又は1種以上の5HT受容体の活動下で生じる疾患又は障害は認知症とすることができる。
更に、本願は5HT受容体をクレミゾール、クレミゾールアナログ又はその医薬的に許容される塩と接触させることを含む5HT受容体の活性の調節方法も提供する。
クレミゾールアナログとしては本願に記載する式(I)の化合物が挙げられ、例えば本願に援用するPCT/US2008/076804、WO10107739、WO2009039248又は米国特許第4,011,322号に記載されているような同様の構造の化合物も挙げられる。
複数の実施形態において、本開示は治療有効量のトラゾドン又はその医薬的に許容される塩を投与することによる癲癇又はドラベ症候群の治療方法を提供する。複数の実施形態において、治療有効量は約10mg/日〜約600mg/日である。複数の実施形態において、前記方法は癲癇の治療方法である。複数の実施形態において、癲癇は小児癲癇である。複数の実施形態において、前記方法はドラベ症候群の治療方法である。
医薬組成物
本願は上記疾患及び障害を治療するのに有用な5−HT受容体作動薬又はその医薬的に許容される塩を含有する医薬組成物を提供する。前記医薬組成物は本願に記載するように錠剤、散剤、カプセル剤、丸剤、カシェ剤又はロゼンジ剤として製剤化することができる。前記医薬組成物は経口投与用に錠剤、カプセル剤、丸剤、カシェ剤又はロゼンジ剤として製剤化することができる。前記医薬組成物は例えば静脈内投与等の技術により投与するために溶液に溶解させるように製剤化することができる。前記医薬組成物は本願に記載するように経口投与、坐剤投与、局所投与、静脈内投与、腹腔内投与、筋肉内投与、病変内投与、髄腔内投与、鼻腔内投与、皮下投与、移植、経皮投与又は経粘膜投与用に製剤化することができる。
医薬組成物として投与する場合、前記医薬組成物は5−HT受容体作動薬の光学異性体、ジアステレオマー、エナンチオマー、アイソフォーム、多形、水和物、溶媒和物もしくは産物又は医薬的に許容される塩を含むことができる。前記医薬組成物に含まれる5−HT受容体作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)は上記のように担体部分と共有結合させてもよい。あるいは、前記医薬組成物に含まれる5−HT受容体作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)は担体部分と共有結合させない。
前記5−HT受容体作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)は前記治療を必要とする対象に単独で投与してもよいし、本願に記載するようなAEDと併用投与してもよい。併用投与とは本願に記載するように5−HT受容体作動薬を個々に又は(例えば2種以上の化合物、例えば本願に記載するAEDと)併用して同時又は順次投与することを含めた意味である。所望される場合には、(例えば発作を予防するために)調合剤を他の有効物質と併用することもできる。
製剤
本願に記載する5−HT受容体作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)又は医薬組成物は多様な経口、非経口及び局所剤形で製造及び投与することができる。従って、本願に記載する5−HT受容体作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)又は医薬組成物は注射により(例えば静脈内、筋肉内、皮内、皮下、十二指腸内又は腹腔内に)投与することができる。また、本願に記載する5−HT受容体作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)又は医薬組成物は吸入により例えば鼻腔内に投与することもできる。更に、前記5−HT受容体作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)又は医薬組成物は経皮投与することもできる。前記5−HT受容体作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)又はこれを含有する医薬組成物を投与するために複数の投与経路(例えば筋肉内、経口、経皮)を使用できるとも予想される。本願に記載する医薬組成物は医薬的に許容される担体又は賦形剤と、5−HT受容体作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)の1種以上を含有することができる。本願に記載する医薬組成物は医薬的に許容される担体又は賦形剤と、5−HT受容体作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)の1種以上と、本願に記載するような1種以上のAEDを含有することができる。
調合剤は医薬的に許容される担体を含有することができる。医薬的に許容される担体は固体又は液体とすることができる。固体形態の調合剤としては、散剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、カシェ剤、坐剤及び水和性顆粒剤が挙げられる。固体担体は希釈剤、着香剤、結合剤、防腐剤、錠剤崩壊剤又はカプセル封入材としても作用することができる1種以上の物質とすることができる。
散剤において、担体は微粉状有効成分との混合物中の微粉状固体とすることができる。錠剤では、必要な結合性をもつ担体と有効成分を適切な割合で混合し、所望の形状と寸法に圧縮することができる。
散剤と錠剤は5%〜70%の活性化合物を含有することが好ましい。適切な担体は炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖類、ラクトース、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガカントガム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ろう、カカオ脂等である。「調合剤」なる用語は担体として封入剤を使用し、有効成分を他の担体の存在下又は不在下で担体により包囲し、一体化させてカプセル剤とした活性化合物の製剤を含むものとする。同様に、カシェ剤とロゼンジ剤も含む。錠剤、散剤、カプセル剤、丸剤、カシェ剤及びロゼンジ剤は経口投与に適した固体剤形として使用することができる。
適切な固体賦形剤としては、限定されないが、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ペクチン、デキストリン、デンプン、トラガカントガム、低融点ろう、カカオ脂、炭水化物、糖類(限定されないが、ラクトース、スクロース、マンニトール又はソルビトール)、トウモロコシ、コムギ、コメ、ジャガイモ又は他の植物に由来するデンプン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース又はカルボキシメチルセルロースナトリウム等のセルロース、及びアラビアガムやトラガカントガムを含むガム類が挙げられ、更に限定されないが、ゼラチンやコラーゲンを含むタンパク質類が挙げられる。必要に応じて、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、アルギン酸又はその塩(例えばアルギン酸ナトリウム)等の崩壊剤又は可溶化剤を加えてもよい。
糖衣錠素錠には、アラビアガム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール及び/又は二酸化チタンも含んでいてもよい濃厚糖溶液、ラッカー溶液並びに適切な有機溶媒又は混合溶媒等の適切なコーティングを施す。製品識別のため又は前記5−HT受容体作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)もしくは医薬組成物の量(即ち投与量)を表示するために錠剤又は糖衣錠コーティングに染料又は顔料を加えてもよい。例えばゼラチン製の嵌合式カプセル剤や、ゼラチンとグリセロールやソルビトール等のコーティングから作製されたソフトシールカプセル剤を使用して本願に記載する医薬調合剤を経口使用することもできる。
坐剤を製造するには、先ず脂肪酸グリセリド混合物等の低融点ろう又はカカオ脂を融解させ、撹拌等により有効成分を均質に分散させる。次に融解させた均質な混合物を適当な寸法の型に注入し、冷却して凝固させる。
液体形態の調合剤としては、溶液剤、懸濁剤及び乳剤(例えば水又は水/プロピレングリコール溶液)が挙げられる。非経口注射用には、液体調合剤をポリエチレングリコール水溶液で溶液に製剤化することができる。
非経口投与が必要とされる場合又は所望される場合、前記5−HT受容体作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)又はこれを含有する医薬組成物に特に適切な混合物は注射用滅菌溶液、好ましくは油性もしくは水性溶液、懸濁液、エマルション、又は坐剤を含むインプラントである。特に、非経口投与用担体としては、デキストロースの水溶液、塩類溶液、純水、エタノール、グリセロール、プロピレングリコール、ピーナッツ油、ゴマ油、ポリオキシエチレンブロックポリマー等が挙げられる。アンプル剤は便利な単位用量製剤である。前記5−HT受容体作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)又はこれを含有する医薬組成物はリポソームに組込むこともできるし、経皮ポンプ又はパッチにより投与することもできる。本願で使用するのに適した医薬混合物としては、例えばいずれもその教示内容を本願に援用するPharmaceutical Sciences(17th Ed.,Mack Pub.Co.,Easton,PA)とWO96/05309に記載されているものが挙げられる。
経口用に適した水溶液は有効成分を水に溶解させ、必要に応じて適切な着色剤、着香剤、安定剤及び増粘剤を加えることにより製造することができる。経口用に適した水性懸濁液は微粉状の有効成分を粘稠性材料と共に水に分散させることにより製造することができ、このような材料としては、天然又は合成ガム、樹脂類、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントガム及びアラビアガム、並びに分散剤又は湿潤剤として、天然ホスファチド(例えばレシチン)、アルキレンオキシドと脂肪酸の縮合物(例えばステアリン酸ポリオキシエチレン)、エチレンオキシドと長鎖脂肪アルコールの縮合物(例えばヘプタデカエチレンオキシセタノール)、脂肪酸とヘキシトールから誘導される部分エステルとエチレンオキシドの縮合物(例えばモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビトール)、又は脂肪酸とヘキシトール無水物から誘導される部分エステルとエチレンオキシドの縮合物(例えばモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン)が挙げられる。水性懸濁液には更に、1種以上の防腐剤(例えばp−ヒドロキシ安息香酸エチルやp−ヒドロキシ安息香酸n−プロピル)、1種以上の着色剤、1種以上の着香剤及び1種以上の甘味剤(例えばスクロース、アスパルテーム又はサッカリン)を添加することができる。製剤はオスモル濃度を調整することができる。
使用直前に経口投与用液体形態調合剤に変換するように構成された固体形態調合剤も本願に含まれる。このような液体形態としては、溶液、懸濁液及びエマルションが挙げられる。これらの調合剤には有効成分に加え、着色剤、着香剤、安定剤、緩衝剤、人工及び天然甘味料、分散剤、増粘剤、可溶化剤等を添加してもよい。
油性懸濁液には蜜蝋、固形パラフィン又はセチルアルコール等の増粘剤を添加することができる。口当たりのよい経口調合剤とするために、グリセロール、ソルビトール又はスクロース等の甘味剤を添加することができる。これらの製剤はアスコルビン酸等の酸化防止剤を添加して防腐処理することができる。注射用油脂性基剤の1例としては、Minto,J.Pharmacol.Exp.Ther.281:93−102,1997参照。本願に記載する医薬製剤は水中油型エマルションの形態とすることもできる。油相は上記植物油もしくは鉱物油、又はこれらの混合物とすることができる。適切な乳化剤としては、アラビアガムやトラガカントガム等の天然ガム、大豆レシチン等の天然ホスファチド、脂肪酸とヘキシトール無水物から誘導されるエステルもしくは部分エステル類(例えばモノオレイン酸ソルビタン)、及びこれらの部分エステル類とエチレンオキシドの縮合物(例えばモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン)が挙げられる。乳剤にはシロップ剤及びエリキシル剤の製剤と同様に更に甘味剤と着香剤も添加することができる。このような製剤には更に粘膜保護剤、防腐剤又は着色剤を添加することができる。
医薬調合剤は単位用量形態とすることが好ましい。このような形態では、適量の有効成分を含有する単位用量に調合剤を細分する。単位用量形態は個別の量の調合剤を含むパッケージ調合剤とすることができ、例えば錠剤、カプセル剤及び散剤をバイアル又はアンプルに小分けしたものが挙げられる。また、単位用量形態はカプセル剤、錠剤、カシェ剤又はロゼンジ剤1錠することもできるし、これらのいずれかを適当な個数ずつ包装した形態とすることもできる。
単位用量調合剤中の有効成分の量は特定の用途と有効成分の効力に応じて0.1mgから10000mgまで変動又は調節することができる。必要に応じて、更に他の適合可能な治療剤を組成物に加えることもできる。
製剤は組成物中に界面活性剤又は他の適切な補助溶媒を含有していてもよい。このような補助溶媒としては、ポリソルベート20、60及び80;プルロニックF−68、F−84及びP−103;シクロデキストリン;並びにポリオキシル35ヒマシ油が挙げられる。このような補助溶媒は一般的に約0.01〜約2重量%の濃度で利用される。製剤の調合の変動を減らすため、懸濁剤又は乳剤の成分の物理的な分離を抑制するため、及び/又は他の方法で製剤を改善するために単純な水溶液よりも高粘度にすることが望ましい場合がある。このような増粘剤としては、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、コンドロイチン硫酸とその塩、ヒアルロン酸とその塩、及びこれらの組み合わせが挙げられる。このような増粘剤は一般的に約0.01〜約2重量%の濃度で利用される。
製剤の調合の変動を減らすため、懸濁剤又は乳剤の成分の物理的な分離を抑制するため、及び/又は他の方法で製剤を改善するために単純な水溶液よりも高粘度にすることが望ましい場合がある。このような増粘剤としては、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、コンドロイチン硫酸とその塩、ヒアルロン酸とその塩、これらの組み合わせ、及び当業者に公知の他の増粘剤が挙げられる。このような増粘剤は一般的に約0.01〜約2重量%の濃度で利用される。上記助剤のいずれの許容量も当業者により容易に決定される。
前記医薬組成物に更に徐放性及び/又は快適さを提供するための成分を添加してもよい。このような成分としては高分子量アニオン性ムコミメティックポリマー、ゲル化多糖類及び微粉状薬物担体基剤が挙げられる。これらの成分は米国特許第4,911,920号、5,403,841号、5,212,162号及び4,861,760号により詳細に記載されている。これらの特許の開示内容全体をあらゆる目的で本願に援用する。
前記医薬組成物は静脈内用としてもよい。医薬的に許容される賦形剤としては、pHを静脈内用に望ましい範囲に調整するための緩衝剤を挙げることができる。リン酸塩、硼酸塩及び硫酸塩等の無機酸の塩をはじめとする多数の緩衝剤が知られている。
前記5−HT受容体作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)又はその医薬組成物は本願に記載する癲癇症を治療するために、局所経路により、又はアプリケータースティック、溶液剤、懸濁剤、乳剤、ジェル剤、クリーム、軟膏、ペースト、ゼリー、塗布剤、散剤及びエアゾールとして製剤化して経皮投与することができる。
前記5−HT受容体作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)は本願に記載する医薬組成物で塩として提供することができ、限定されないが、塩酸、硫酸、酢酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸等の多数の酸と共に形成することができる。塩は対応する遊離塩基形態よりも水性又は他のプロトン性溶媒への溶解度が高くなる傾向がある。
本願に記載する癲癇症を治療するために投与される前記5−HT受容体作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)又はその医薬組成物は静脈内(IV)投与又は体腔もしくは臓器内腔への投与等の非経口投与により投与してもよい。投与用製剤は一般に本発明の組成物を医薬的に許容される担体に溶解させた溶液から構成される。利用することができる許容される基剤及び溶媒としては特に水と、等張塩化ナトリウム溶液であるリンゲル液が挙げられる。更に、溶媒又は懸濁媒として従来通りに滅菌不揮発性油を利用することができる。この目的には、合成モノ又はジグリセリドを含むあらゆる無刺激性の不揮発性油を利用することができる。更に、オレイン酸等の脂肪酸も注射剤の製剤に使用することができる。これらの溶液は無菌であり、一般に望ましくない物質を含まない。これらの製剤は従来の周知の滅菌技術により滅菌することができる。製剤には生理条件に近づける必要に応じて医薬的に許容される補助物質(例えばpH調節剤及び緩衝剤)、毒性調節剤(例えば酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、乳酸ナトリウム)等を添加してもよい。これらの製剤における本発明の組成物の濃度は広い範囲を取ることができ、選択された特定の投与方式と患者の必要に従って主に液量、粘度、体重等に基づいて選択される。IV投与では、製剤を滅菌注射用水性又は油性懸濁液等の滅菌注射調合剤とすることができる。この懸濁剤は適切な分散剤又は湿潤剤と懸濁剤を使用して公知技術に従って製剤化することができる。滅菌注射用調合剤は非経口投与に許容される非毒性希釈剤又は溶媒の滅菌注射溶液又は懸濁液(例えば1,3−ブタンジオールの溶液)とすることもできる。
癲癇症の治療用の前記5−HT受容体作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)の医薬製剤は細胞膜と融合するか又は細胞に取り込まれるリポソームを使用することにより、即ち細胞の表面膜タンパク質受容体と結合してエンドサイトーシスを生じるリガンドをリポソームに付加するか又はオリゴヌクレオチドに直接付加して利用することにより送達することができる。リポソームを使用することにより、特に標的細胞に特異的な受容体リガンドをリポソーム表面に担持させた場合又は他の方法で特定の臓器に対して優先的に特異的となるようにした場合には、標的細胞への本発明の組成物のインビボ送達に焦点を絞ることができる(例えばAl−Muhammed,J.Microencapsul.13:293−306,1996;Chonn,Curr.Opin.Biotechnol.6:698−708,1995;Ostro,Am.J.Hosp.Pharm.46:1576−1587,1989参照)。
併用投与は第1の有効成分(例えばクレミゾール又はクレミゾールアナログ(その医薬的に許容される塩を含む))を第2の有効成分(例えば抗痙攣薬)の0.5時間以内、1時間以内、2時間以内、4時間以内、6時間以内、8時間以内、10時間以内、12時間以内、16時間以内、20時間以内又は24時間以内に投与することを含む。併用投与は第1の有効成分を第2の有効成分の0.5時間以内、1時間以内、2時間以内、4時間以内、6時間以内、8時間以内、10時間以内、12時間以内、16時間以内、20時間以内又は24時間以内に投与することを含むことができる。併用投与は2種類の有効成分を同時、ほぼ同時(例えば相互に約1分以内、5分以内、10分以内、15分以内、20分以内又は30分以内)、又は任意順序で順次投与することを含むことができる。併用投与は合剤化、即ち両方の有効成分を含有する単一の医薬組成物を製造することにより実施することができる。他の実施形態では、有効成分を別々に製剤化することができる。有効成分及び/又は助剤を相互に連結又は結合させてもよい。
併用投与は更に食事の要求や食事の変更等の癲癇症治療との併用も含む。従って、前記5−HT受容体作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)又はその医薬組成物は限定されないが、ケト原性食(例えば高脂質、十分なタンパク質、低炭水化物の食事)等の特殊食を摂取している対象に投与することができる。
有効用量
前記医薬組成物は治療有効量、即ちその所期目的を達成するために有効な量の前記5−HT受容体作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)を含有することができる。特定の用途に有効な実際の量は特に治療する病態により異なる。例えば、癲癇症(例えばドラベ症候群)の治療方法で投与する場合、このような組成物は所望の結果(例えば発作の抑制)を達成するために有効な量の前記5−HT受容体作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)又はその医薬組成物を含有する。
前記5−HT受容体作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)又はその医薬組成物の投与量及び頻度(単回又は複数回)は投与経路、被投与者の体格、年齢、性別、健康状態、体重、体格指数及び食事;治療する疾患の症状の種類と程度;他の疾患又は他の健康関連問題の存在;同時治療の種類;並びに疾患又は治療レジメンに起因する合併症を含む種々の因子に応じて変えることができる。本願に記載する方法と他の治療レジメン又は治療剤を併用することができる。
本願に記載する癲癇症を治療するための前記5−HT受容体作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)又はその医薬組成物の治療有効量は先ず細胞培養アッセイから決定することができる。目標濃度は患者に発生する発作を抑制又は他の方法で減少させることが可能な前記5−HT受容体作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)又はその医薬組成物の濃度とする。
人体で使用する場合の前記5−HT受容体作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)又はその医薬組成物の治療有効量は動物モデルから決定することができる。例えば、動物で有効であることが分かっている濃度となるように人体用の用量を処方することができる。上記のように、患者の治療反応をモニターし、投与量を上方又は下方に調節することにより人体用の投与量を調節することができる。
投与量は対象の必要性と利用する化合物に応じて変えることができる。本願に記載する医薬組成物に関して、対象に投与される用量は時間の経過と共に対象に有益な治療反応を生じるために十分な量とすべきである。用量のサイズは有害な副作用の有無、種類及び程度によっても左右されよう。一般に、化合物の最適用量よりも少ない低用量で治療を開始する。その後、状況下で最適な効果に達するまで投与量を少量ずつ増加させる。
投与量と投与間隔は投与される前記5−HT受容体作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)又はその医薬組成物の濃度が治療する特定の癲癇症に有効となるように個々に調節することができる。こうして、個体の疾患状態の重度に見合った治療レジメンが提供されよう。
本願に提供する教示を利用し、実質的な毒性を生じずに特定の患者により発現される臨床症状を治療するために完全に有効な予防又は治療処置レジメンを計画することができる。この計画には、効力、相対生体利用率、患者体重、有害な副作用の存在と重度、好ましい投与方式及び選択した薬剤の毒性プロファイル等の因子を考慮することにより、前記5−HT受容体作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)又はその医薬組成物を注意深く選択する必要がある。
毒性
特定の化合物の毒性と治療効果の比はその治療指数であり、LD50(集団の50%が死亡する化合物の量)とED50(集団の50%で有効な化合物の量)の比として表すことができる。治療指数の高い化合物が好ましい。人体用投与量範囲を処方するには、細胞培養アッセイ及び/又は動物試験から得られた治療指数データを使用することができる。このような化合物の投与量は毒性を殆ど又は全く生じることなしにED50を含む血漿濃度の範囲内にあることが好ましい。用量は利用する剤形と利用する投与経路に応じてこの範囲内で変えることができる。例えばFingl et al.,In:THE PHARMACOLOGICAL BASIS OF THERAPEUTICS,Ch.1,p.l,1975参照。厳密な処方、投与経路及び投与量は患者の病態と化合物を使用する特定の方法に鑑みて個々の医師が選択することができる。
非経口投与が必要とされる場合又は所望される場合、前記医薬組成物に含まれる前記5−HT受容体作動薬(その医薬的に許容される塩を含む)に特に適切な混合物は注射用滅菌溶液、油性もしくは水性溶液、懸濁液、エマルション、又は坐剤を含むインプラントとすることができる。特に、非経口投与用担体としては、デキストロースの水溶液、塩類溶液、純水、エタノール、グリセロール、プロピレングリコール、ピーナッツ油、ゴマ油、ポリオキシエチレンブロックポリマー等が挙げられる。アンプル剤は便利な単位用量製剤である。本願に記載する医薬組成物で使用するのに適した医薬混合物としては、例えばいずれもその教示内容を本願に援用するPharmaceutical Sciences(17th Ed.,Mack Pub.Co.,Easton,PA)とWO96/05309に記載されているものが挙げられる。
[実施例1]
癲癇は脳の損傷又は遺伝子突然変異の結果として生ずる。遺伝的癲癇としては、SCN1A遺伝子で650種類を超える変異体が同定されている(Harkin,L.A.et al.The spectrum of SCN1A−related infantile epileptic encephalopathies.Brain 130,843−852(2007);Mulley J.C.,et al.,SCN1A mutations and epilepsy.Hum.Mutat.25,535−542(2005))。この遺伝子のミスセンス又はフレームシフト突然変異は全般癲癇熱性痙攣プラス(GEFS+)(Ceulemans,B.P.,et al.,Clinical correlations of mutations in the SCN1A gene:from febrile seizures to severe myoclonic epilepsy in infancy.Pediatric Neurol.30,236−243(2004))と、ドラベ症候群と呼ばれるより重度の障害に関連している。DSの小児は最初に正常な発育を示すが、生後1年以内に熱性痙攣エピソードを生じることが多く、その結果、重度の自発性反復性発作、知的障害、運動失調及び精神運動機能障害に進行する。発作は入手可能な抗癲癇薬(AED)を使用して十分に管理されず、これらの小児は脳神経外科的切除の候補としては不適切である(Bender,A.C.,et al.,SCN1A mutations in Dravet syndrome:Impact of interneuron dysfunction on neural networks and cognitive outcome.Epilepsy Beh.23,177−186(2012))。
哺乳動物の脳には、夫々遺伝子SCN1A、SCN2A、SCN3A及びSCN8Aによりコードされる電位依存性ナトリウムチャネルαサブユニットの4種類の主要なサブタイプであるNaV1.1、NaV1.2、NaV1.3及びNaV1.6が存在する。これらのチャネルが開くと、例えば活動電位開始に不可欠な特徴であるナトリウムコンダクタンスと迅速な細胞膜脱分極が生じる(Catterall,W.A.,et al.,Nav1.1 channels and epilepsy.J.Physiol.588,1849−1859(2010))。マウスにおいて、Nav1.1はパルバルブミン陽性海馬介在ニューロンと興奮性主細胞の軸索起始部を含む中枢神経系で広く発現される(Kim,D.Y.,et al.,Reduced sodium channel Na(v)1.1 levels in BACE1−null mice.J.Biol.Chem.286,8106−8116(2011);Chen,C.,et al.,Mice lacking sodium channel beta1 subunits display defects in neuronal excitability,sodium channel expression,and nodal architecture.J.Neurosci.24,4030−4042(2004))。マウスにおけるNav1.1のヘテロ接合体欠失は急激に解離した急速スパイク介在ニューロンの発火性の低下に繋がる(Yu,F.H.,et al.,Reduced sodium current in GABAergic interneurons in a mouse model of severe myoclonic epilepsy in infancy.Nat.Neurosci.9,1142−1149(2006))。Nav1.1の完全又は介在ニューロン特異的なヘテロ接合体欠失を伴うマウスは温度誘発性と自発性の発作、軽度運動失調、自閉症様行動及び早期死亡を示す(Yu,F.H.,et al.,Reduced sodium current in GABAergic interneurons in a mouse model of severe myoclonic epilepsy in infancy.Nat.Neurosci.9,1142−1149(2006);Oakley,J.C.,et al.,Temperature− and age−dependent seizures in a mouse model of severe myoclonic epilepsy in infancy.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 106,3994−3999(2009);Cheah,C.S.,et al.,Specific deletion of Nav1.1 sodium channels in inhibitory interneurons causes seizures and premature death in a mouse model of Dravet syndrome.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 109,14646−14651(2012))。Nav1.1チャネルのドメインIIIに未成熟終止コドンを導入したノックインマウスも長期介在ニューロン発火中のスパイク振幅の減少と、温度誘発性発作に対する感受性の増加を示す(Ogiwara,I.,et al.,Nav1.1 localizes to axons of parvalbumin−positive inhibitory interneurons:a circuit basis for epileptic seizures in mice carrying an Scn1a gene mutation.J.Neurosci.27,5903−5914(2007))。
DSの病理生理を解明し、新規治療法を同定し易くするための作業には、有効な動物モデルの作製と特性解析が不可欠である。マウスにおけるSCN1A突然変異のモデル化に大きな関心が寄せられているが、これらの動物は交配させにくいことが証明されており、癲癇表現型はバックグラウンド系統の遺伝的特徴に強く影響される。実際に、DS患者から多能性幹細胞を作製することができるが、個々のニューロンはインビボ発作発生に必要なネットワーク環境を再現しない。単純な脊椎動物種であるゼブラフィッシュ(Danio rerio)は遺伝子操作、費用効率の高い交配及びインビボ新薬発見に大きな利点を備える代替モデルシステムとなる(Lessman,C.A.,The developing zebrafish(Danio rerio):a vertebrate model for high−throughput screening of chemical libraries.Birth Defects Res.C.Embryo Today 93,268−280(2011);Delvecchio,C.,et al.,The zebrafish:a powerful platform for in vivo,HTS drug discovery.Assay Drug Dev.Technol.9,354−361(2011);Rinkwitz,S.,et al.,Zebrafish:an integrative system for neurogenomics and neurosciences.Prog.Neurobiol.93,231−243(2011))。動物モデルは疾患の既知の遺伝的原因(SCN1A突然変異)を基礎とし、疾患(癲癇)の主要な特徴を正確に再現し、疾患をもつ患者で一般に使用されている治療法に反応性又は非反応性である(薬理学的検証)ことが理想的である。このようなモデルが得られるならば、疾患プロセスの解明を図り、新規治療法の開発の足掛かりとなろう。
ゼブラフィッシュにおいて、電位依存性ナトリウムチャネルファミリーはscn1Laaとscn1Lab、scn4aaとscn4ab、scn5Laaとscn5Lab、及びscn8aaとscn8abの2個組4組の遺伝子から構成される(Novak,A.E.,et al.,Embryonic and larval expression of zebrafish voltage−gated sodium channel alpha−subunit genes.Dev.Dyn.235,1962−1973(2006))。ゼブラフィッシュscn1Lab遺伝子はヒトSCN1Aとの一致度が77%であり、中枢神経系で発現される。視運動性反応をアッセイとして使用する化学的突然変異誘発スクリーニングでこの遺伝子(当初の呼称didys552)のホモ接合性ゼブラフィッシュ突然変異体が発見された(Schoonheim,P.J.,Arrenberg,A.B.,Del Bene,F.,& Baier H.,Optogenetic localization and genetic perturbation of saccade−generating neurons in zebrafish.J.Neurosci.30,7111−7120(2010))。これらの型のスクリーニングはアルキル化剤であるN−エチル−N−ニトロソウレア(ENU)を使用したランダム点突然変異の誘導に基づき、得られる突然変異は一般的に機能低下し、劣性になる。これはホモ接合性突然変異であるが、ゼブラフィッシュにおけるゲノム重複と別のNav1.1ホモログ(scn1Laa)の存在により、scn1Labゼブラフィッシュ突然変異体は常染色体優性ヒトドラベ症候群に関連がある。scn1Lab突然変異体を分子レベルと行動レベルで特性解析した処、突然変異体は自発性の薬物耐性発作を示すことが実証されたため、癲癇表現型を改善する化合物を同定するための新規高スループットスクリーニングプログラムで使用した。表現型に基づくスクリーニングの結果、FDAに承認された化合物であるクレミゾールがこれらの突然変異体で自発性痙攣行動とエレクトログラフ発作の有効な阻害薬であるとして同定された。
突然変異体ゼブラフィッシュのscn1Lab発現と特性解析。化学的突然変異誘発スクリーニング中に電位依存性ナトリウムチャネルのドメインIIIに突然変異をもつゼブラフィッシュがHerwig Baier博士により同定された(Schoonheim,P.J.,Arrenberg,A.B.,Del Bene,F.,& Baier H.,Optogenetic localization and genetic perturbation of saccade−generating neurons in zebrafish.J.Neurosci.30,7111−7120(2010))。当初のscn1Lab突然変異体を7〜10世代にわたってTupfel long(TL)バックグラウンドに戻し交配させ、コロニーにメチオニン(M)からアルギニン(R)への突然変異を確認した(図1A)。逆転写(RT)及び定量的(q)PCRの結果、発酵後日数(dpf)が3日、5日及び7日の突然変異体幼生ではscn1LabのmRNA発現が低下しており(図1B)、ゼブラフィッシュでこのタンパク質を認識する抗体は得られないことが判明した。予想通り(Novak,A.E.,et al.,Embryonic and larval expression of zebrafish voltage−gated sodium channel alpha−subunit genes.Dev.Dyn.235,1962−1973(2006))、scn1Labは幼生発生の初期段階中に顕著に発現され(図1B)、3dpfでは中枢神経系で特異的に発現される(図1D、E)。ホールマウントin situハイブリダイゼーションの結果、前脳(終脳)、視蓋及び小脳に対応する脳領域に散らばっているが、顕著な発現が判明した。3dpfのscn1Laaでも同様の発現パターンが認められた。5dpfと7dpfでは、CNS発現はまだ顕著であり、心臓で微弱なscn1Labシグナルも認められた(図1D)。例えばDSの遺伝子モディファイヤーとして作用すると考えられているサブユニットであるscn8aa又はscn8ab(Nav1.6)の相対発現(Martin,M.S.,et al.,The voltage−gated sodium channel Scn8a is a genetic modifier of severe myoclonic epilepsy of infancy.Hum.Mol.Gen.16,2892−2899(2007))から5dpfで突然変異体と同腹対照に有意な発現差を検出することはできなかった(図1C)。同様に、5dpfのマイクロアレイ解析でも他方のホモログ(scn1Laa)を含む13種類の異なるゼブラフィッシュscnサブユニットのmRNA発現に補償的変化を検出することはできなかった(表I)。これらの結果は早期発生中にCNSで発現されるゼブラフィッシュNav1.1遺伝子に選択的な異常があることを実証するものである。
scn1Lab突然変異体の大規模トランスクリプトミクス解析。電位依存性イオンチャネルの遺伝性障害は癲癇の病因であることが認められているが、癲癇関連チャネロパチーについて転写変異の調査は報告されていない。偏らない方法で遺伝子発現差を検出するために、約44,000個のプローブをカバーするAgilentゼブラフィッシュチップ(図2A、B)を使用した。階層的クラスタリング解析の結果、これらのプローブの約2.5%(1099個)は5dpfの突然変異体と同腹対照で発現に差があることが判明し(t検定でp≦0.01;アップレギュレート674個とダウンレギュレート425個)、405個は「不明機能」分類に割り当てられた。ダウンレギュレートされた遺伝子とアップレギュレートされた遺伝子のうちで最大の発現差を示す30種類の既知遺伝子のリストを図2Cに示す。同定された遺伝子の90%(990/1099)は0.8〜2.0の変化倍率を示したのでこれらの差は小さかった。Mecp2単一遺伝子突然変異体マウスのマイクロアレイ解析(Jordan,C.,et al.,Cerebellar gene expression profiles of mouse models for Rett syndrome reveal novel MeCP2 targets.BMC Med.Genet.8,36(2007))と同様に、同定された遺伝子の多くは明白なCNS関連機能及び/又は発現がなかった。
変化倍率が最大であったソマトラクチンβとNa,K−ATPaseの2種類の遺伝子は発現が主に脳下垂体(smtlb)(Lopez,M.,et al.,Expression of the somatolactin β gene during zebrafish embryonic development.Gene Expr.Patterns 6,156−161(2006))又は耳、腸管膨大部及び前腎輸管(atp1a1a.5)(Blasiole,B.,et al.,Cloning,mapping,and developmental expression of a sixth zebrafish Na,K−ATPase alpha1 subunit gene(atp1a1a.5).Mech.Dev.119,Suppl 1:S211−S214(2002))に限られていた。アポトーシスに関連する数種類の遺伝子(casp8、casp8b及びcasp3b)のプローブはマイクロアレイ試験で統計的に有意な変化を示さなかった。scn1Lab突然変異体で発現が変化している遺伝子のうちの6個はこれまでに神経障害に関係があるとされている(例えばpcdh19(点頭癲癇性脳症)、cyfip1及びfxr2(脆弱X症候群)、ocrl(ロウ症候群)、ubap2l(パーキンソン病)並びにoca2(アンジェルマン症候群))。14個のランダムに選択した遺伝子についてqPCRを使用してマイクロアレイによる遺伝子発現測定を検証した(図3A)。
遺伝子オントロジー(GO)アノテーションを使用して全遺伝子に生物学的機能を割り当て、少なくとも1.5倍の発現変化とp値<0.01を示す482個の遺伝子を更に分類した(図3C)。カルシウムイオン結合遺伝子はアネキシンA1c、A1b及び2aと、スペクトリンα2と、ニューレキシン2aと、カルシンテニン1と、パルバルブミン3を含む。軸索起始部(spna2)とGABA受容体のユビキチンドメイン(map1lc3b)の電位依存性ナトリウムチャネルのクラスタリングに関与する遺伝子であるギャップジャンクションチャネル(cx43)にも顕著な変化が認められた。マイクロアレイで検出されなかった3個の別の遺伝子をqPCR解析(図3B)に選択した処、データマイニングを使用してSCN1Aと相関することが分かっており、数種類の発作モデルでダウンレギュレートされている遺伝子であるhcn1(Noam,Y.,et al.,Towards an integrated view of HCN channel role in epilepsy.Curr.Opin.Neurobiol.21,873−879(2011))は同腹対照と比較してscn1Lab突然変異体で有意に減っていた(スチューデントの両側t検定でp<0.05)。一方、例えば反復性の興奮性シナプスの形成に関連するシナプス形成と癲癇に関与する遺伝子であるhomerとbdnf(Avedissian,M.,et al.,Hippocampal gene expression analysis using the ORESTES methodology shows that homer 1a mRNA is upregulated in the acute period of the pilocarpine epilepsy model.Hippocampus 17,130−136(2007);Tongiorgi,E.,et al.,Brain−derived neurotrophic factor mRNA and protein are targeted to discrete dendritic laminas by events that trigger epileptogenesis.J.Neurosci.24,6842−6852(2004))は変わらなかった。
scn1Lab突然変異体ゼブラフィッシュにおける自発性発作。例えば癲癇様放電を検出できる最初の幼生段階である3dpfから開始して自発性のエレクトログラフ発作の徴候についてscn1Lab突然変異体をモニターした(Baraban,S.C.,et al.,A large−scale mutagenesis screen to identify seizure−resistant zebrafish.Epilepsia 48,1151−157(2007);Hortopan,G.A.,et al.,Spontaneous seizures and altered gene expression in GABA signaling pathways in a mind bomb mutant zebrafish.J.Neurosci.30,13718−13728(2010);Hunt,R.F.,Hortopan,G.A.,Gillespie,A.,& Baraban,S.C.,A novel zebrafish model of hyperthermia−induced seizures reveals a role for TRPV4 channels and NMDA−type glutamate receptors.Exp.Neurol.237,199−206(2012);Baraban,S.C.,Taylor,M.R.,Castro,P.A.,& Baier H.,Pentylenetetrazole induced changes in zebrafish behavior,neural activity and c−fos expression.Neuroscience 131,759−768(2005);Chege,S.W.,Hortopan,G.A.,Dinday,M.T.,& Baraban,S.C.,Expression and function of KCNQ channels in larval zebrafish.Dev.Neurobiol.72,186−198(2012))。突然変異体幼生は色素凝集の異常を表すその「黒色」外観(図4A)により識別され、従来報告されているように、10〜12dpfで早期死亡する(Novak,A.E.,et al.,Embryonic and larval expression of zebrafish voltage−gated sodium channel alpha−subunit genes.Dev.Dyn.235,1962−1973(2006))。麻痺させて寒天で固定化したscn1Lab突然変異体からの前脳細胞外フィールド記録は3dpfから開始する頻繁な短い発作間様バーストと振幅の大きい長時間の発作時様イベントを特徴とし(n=4)、4〜7dpfで徐々に顕著になった(n=132)(図2C)。これらのイベントは3dpfで突然変異体の100%、4dpfで100%、5dpfで97%、6dpfで98%、7dpfで100%に確認された。
年齢をマッチさせた同腹対照ではどの発生段階でも異常な電気的イベントは認められなかった(n=36)。温熱療法により誘発される発作(Hunt,R.F.,Hortopan,G.A.,Gillespie,A.,& Baraban,S.C.,A novel zebrafish model of hyperthermia−induced seizures reveals a role for TRPV4 channels and NMDA−type glutamate receptors.Exp.Neurol.237,199−206(2012))は5dpf scn1Lab突然変異体と対照に明白に同等の温度閾値で誘発させることができた(突然変異体:26.9±0.5℃;n=14;対照:25.9±0.5℃;n=14;t検定でp=0.164)。一方、これらの測定は突然変異体では高頻度自発性癲癇様放電の同時発生により複雑になった。突然変異体は遊泳活動が高レベルであり、4dpfで開始する全身痙攣と方向性のない速い運動から構成される非誘発性発作様の行動を示した(n=36)。活動過剰と痙攣行動を示すscn1Lab突然変異体の代表的な移動運動追跡プロットを図4Bに示す。この行動はペンチレンテトラゾールに暴露した幼生でステージIII発作として分類されたものと同様である(Baraban,S.C.,Taylor,M.R.,Castro,P.A.,& Baier H.,Pentylenetetrazole induced changes in zebrafish behavior,neural activity and c−fos expression.Neuroscience 131,759−768(2005))。対照にはどの発生段階でも発作行動は認められなかった(n=36)。突然変異体と同腹対照幼生のプールのうち、scn1Lab突然変異体はシャーレの側面に集まったままであり、魚類の接触走性の1形態であるとみなされる(Ellis,L.D.,Seibert,J.,& Soanes,K.H.,Distinct modes of induced hyperactivity in zebrafish larvae.Brain Res.1449,46−59(2012))。これらの結果はscn1Lab突然変異体ゼブラフィッシュにおける顕著な癲癇表現型を明示するものである。
scn1Lab突然変異体ゼブラフィッシュの薬理学的評価。SCN1A突然変異に伴う発作は大半のAEDに対する反応性が低い。薬物感受性を評価するために、自発性のエレクトログラフ発作を寒天包埋scn1Lab突然変異体(5〜6dpf)で基線条件下に記録し、市販のAEDの投与後に再び記録した。全薬物は1mMの濃度で薬浴させ、薬物毎に7匹を試験した。scn1Lab突然変異体における癲癇様イベント頻度(発作間様放電と発作時様放電を含む)と発作に費やされた時間の割合はバルプロ酸塩、ジアゼパム、臭化カリウム及びスチリペントールにより低下した(図5A、B、D)。バースト持続時間はこれらの薬物暴露のいずれでも有意に変化しなかった(図5C)。
予想通り、大半のAEDは効果がなく、カルバマゼピン(7匹のうち2匹)、エトスクシミド(7匹のうち4匹)又はビガバトリン(7匹のうち6匹)に暴露後に癲癇様活動はより高頻度になった。DSの小児はケト原性食(KD)に反応することが多い(Dravet,C.,et al.,Severe myoclonic epilepsy in infancy:Dravet syndrome.Adv.Neurol.95,71−102(2005))ので、別クラッチのscn1Lab突然変異体、同腹及びWT対照を4dpfから開始して1形態のケト原性食に48時間暴露した。KDに暴露した幼生の6dpfにおける移動運動追跡データによると、10匹の突然変異体のうちの7匹で対照レベルまでの発作様行動の抑制が確認される(図E;平均速度,処理後突然変異体=0.43±0.09mm/秒,n=16;未処理突然変異体=0.81±0.05mm/秒,n=28;順位に基づくクルスカル・ウォリスANOVAとダンの多重対比較検定でp<0.05)。KDを給餌した同腹対照(平均速度=0.63±0.05mm/秒,n=20)では6dpfの未処理WT幼生(平均速度=0.62±0.07mm/秒;n=20)に比較して遊泳行動の有意な差は認められなかった。ケト原性食への急性暴露(20分)は移動運動アッセイにおける突然変異体発作行動に何の影響もなかった(n=14;平均速度の変化<34%)。移動運動アッセイで使用した同一ゼブラフィッシュから得られたその後の前脳フィールド記録(図5F、上段トレース)によると、胚培養液に暴露したscn1Lab突然変異体における自発性癲癇様放電の発生と、KDに48時間暴露した突然変異体におけるバースト活動の抑制が確認された(図5F、下段トレース)。これらの結果はscn1Lab突然変異体の薬理学的プロファイルがDSの小児で見られるものと似ていることを実証するものである。
scn1Lab突然変異体における高スループット薬物スクリーニング。行動上の発作活動は移動運動追跡フォーマットを使用して簡単且つ迅速にモニターされる(Baraban,S.C.,et al.,A large−scale mutagenesis screen to identify seizure−resistant zebrafish.Epilepsia 48,1151−157(2007);Hortopan,G.A.,et al.,Spontaneous seizures and altered gene expression in GABA signaling pathways in a mind bombmutant zebrafish.J.Neurosci.30,13718−13728(2010);Baraban,S.C.,Taylor,M.R.,Castro,P.A.,& Baier H.,Pentylenetetrazole induced changes in zebrafish behavior,neural activity and c−fos expression.Neuroscience 131,759−768(2005);Chege,S.W.,Hortopan,G.A.,Dinday,M.T.,& Baraban,S.C.,Expression and function of KCNQ channels in larval zebrafish.Dev.Neurobiol.72,186−198(2012);Berghmans,S.,Hunt,J.,Roach,A.,& Goldsmith,P.,Zebrafish offer the potential for a primary screen to identify a wide variety of potential anticonvulsants.Epilepsy Res.75,18−28(2007);Baxendale,S.,et al.,Identification of compounds with anti−convulsant properties in a zebrafish model of epileptic seizures.Dis.Model.Mech.5,773−774(2012);Cario,C.L.,Farrell,T.C.,Milanese,C.,& Burton,E.A.,Automated measurement of zebrafish larval movement.J.Physiol.589,3703−3708(2011);Winter,M.J.,et al.,Validation of a larval zebrafish locomotor assay for assessing the seizure liability of early−stage development drugs.J.Pharm.Tox.Methods 5,176−187(2008);Orellana−Paucar,A.M.,et al.,Anticonvulsant activity of bisabolene sesquiterpenoids of Curcuma longa in zebrafish and mouse seizure models.Epilepsy Beh.24,14−22(2012)(図4B及び5B1)ので、突然変異体行動をステージ0(遊泳活動が僅少)又はステージI(遊泳活動が亢進しているが、非痙攣性)、例えば正常なWT突然変異体で見られるものと同等の行動まで抑制する化合物について化合物ライブラリーをスクリーニングするように高スループット表現型ストラテジーをデザインした。EthoVision追跡ソフトウェア(Noldus Information Technology)と高速カメラを使用して幼生活動の自動測定を行った。従来の試験により、≧20mm/秒の高速運動が突発性の発作様痙攣(ステージIII)に対応することが確認されている(Winter,M.J.,et al.,Validation of a larval zebrafish locomotor assay for assessing the seizure liability of early−stage development drugs.J.Pharm.Tox.Methods 5,176−187(2008);Orellana−Paucar,A.M.,et al.,Anticonvulsant activity of bisabolene sesquiterpenoids of Curcuma longa in zebrafish and mouse seizure models.Epilepsy Beh.24,14−22(2012))。
96ウェルフォーマットを使用して、基線における突然変異体遊泳活動を自動追跡した後、試験化合物(100μl)の添加後に再び追跡し、各化合物を5dpfの個々の幼生6〜12匹で試験した。胚培養液における2回の連続する記録エポック間の突然変異体遊泳活動の変化を基線とみなし、図6Aに示す(n=28)。溶液交換のみに伴う基線記録の17.3の標準偏差に基づき、(平均速度の変化として測定した)運動を≧34%抑制した化合物をスクリーニングした。このアプローチを検証するために、このアッセイを使用して先ず11種類のAEDとKDをスクリーニングした。電気生理学的アッセイ(図5)から予想されるように、ジアゼパム、臭化カリウム、スチリペントール、バルプロ酸塩及びKDへの48時間暴露は移動運動アッセイで発作行動を有効に抑制し(図6B)、アロプレグナロンに類縁の神経刺激性ステロイドであるガナキソロンも有効であった。次に、米国食品医薬品局(FDA)に承認された毒性試験済みの薬物を含むライブラリーから667μMの初期濃度で試験化合物をスクリーニングした。
インビボスクリーニングした320種類の化合物のうちで18種類はscn1Lab突然変異体における自発性発作をステージ0もしくはステージIの行動と同等のレベルまで有意に抑制すること、及び/又は平均遊泳速度を低下させることが判明した(図6Cの赤丸)。次にこれらの18種類の化合物を667μM、67μM及び6.7μMの濃度で別クラッチのscn1Lab突然変異体で再試験した。初期スクリーニングで81種類の化合物が致死性であるとみなされ、即ち30分間暴露後に目に見える心拍又は接触に反応する運動がなく、100倍の希釈倍率で再評価したが、これらのうちでそれ以上進行したものは皆無であった。抗痙攣性があると推定されるが、96ウェル移動運動アッセイで667μMでも無効であった多数の他の化合物(ベクラミド、アミノヒドロキシ酪酸及びチレタミン)を薬物ライブラリーに加えた。再試験した化合物のうちの14種類は第2のクラッチのscn1Lab突然変異体でも発作行動を首尾よく抑制することができないか、又は最高薬物濃度でしか行動を抑制できなかった。次に、全3種類の薬物濃度で発作により誘発される遊泳活動と平均速度の抑制に有効であった(18種類のうちの)4種類の化合物、即ちゾキサゾラミン、クレミゾールHCl、クロルギリンHCl及びトルペリゾンHClを更に試験するために選択した(図6D)。これらの化合物の各々を移動運動アッセイで100μMの濃度で3回目の評価を行った後、前脳脳波活動をモニターした。クロルギリン(モノアミンオキシダーゼA阻害薬)と、筋肉弛緩薬であるゾキサゾラミン(Hadra,R.& Millichap J.G.,Quantitative assessment of motor function in cerebral palsy:evaluation of zoxazolamine(flexin),a new muscular relaxant agent.Neurology 6,843−852(1956))及びトルペリゾン(Sakitama,K.,The effects of centrally acting muscle relaxants on the intrathecal noradrenaline−induced facilitation of the flexor reflex mediated by group II afferent fibers in rats.Jpn.J.Pharmacol.63,369−736(1993))はこの濃度で遊泳活動を抑制したので、「疑陽性」とみなしたが、同一の突然変異体を寒天に包埋した場合には、やはりエレクトログラフ発作イベントが認められた(図6E参照)。
ただ1種類の化合物、即ちクレミゾール(抗ヒスタミン及びNS4B RNA結合性阻害薬)(Finkelstein,M.,Kromer,C.M.,Sweeney,S.A.,& Delahunt C.S.,Some aspects of the pharmacology of clemizole hydrochloride.J.Am.Pharm.Assoc.Am.Pharm.Assoc.49,18−22(1960);Einav,S.,Sobol,H.D.,Gehrig,E.,& Glenn J.S.,Discovery of a hepatitis C target and its pharmacological inhibitors by microfluidic affinity analysis.Nat.Biotechnol.26,1019−1027(2008))のみが両方のアッセイで自発性発作活動を抑制するのに有効であった(図6D〜E)。クレミゾールは移動運動アッセイで6.25〜50μMの濃度では発作行動に有意な効果がなかった(n=33)。急性クレミゾール投与の治療能力の別の評価として、100μMクレミゾールは15mMペンチレンテトラゾールに暴露したWTゼブラフィッシュ(図6D;n=10)、即ちGABA受容体拮抗作用に基づく急性発作のモデルで発作行動の抑制に有効であることが実証された。これらの結果は、ドラベ症候群に対する潜在的なリード化合物を同定するための高スループットスクリーニングでscn1Lab突然変異体を使用できることを示唆している。
本願に記載するscn1Labゼブラフィッシュ突然変異体は小児における悲劇的な形態の薬物耐性癲癇であるドラベ症候群の特徴を再現するナトリウムチャネル突然変異の最初の単純な脊椎動物モデルである。これらの突然変異体は痙攣性行動を含む活動過剰、自発性のエレクトログラフ発作、寿命の短縮及びヒト病態に似た薬理学的プロファイルを示す。scn1Lab突然変異体の別の分子解析によると、全体的な遺伝子発現の著しい変化はなく、RNAレベルで他の電位依存性Na+チャネルサブユニットによる補償がないと思われる。SCN1A突然変異に伴う癲癇表現型を改善する能力をもつリード化合物を同定する2段階表現型薬物スクリーニングストラテジーの結果、1種類のFDA承認薬(クレミゾール)が同定された。
DS患者では脳波(EEG)活動は一般的に生後1年間正常であるが、1〜9歳で異常な突発性の多棘波活動へと発展する。scn1a発現が顕著になった年齢の発生中のゼブラフィッシュ幼生でこの年齢依存パターンを模倣した。非常に若い幼生(3dpf)の前脳細胞外記録はほぼ正常であり、たまに多棘波活動の小バーストが現れた。振幅の大きい多棘波バースト放電を伴う高頻度の短い発作間様活動は幼生が成長するにつれて顕著になった。これらの電気的イベントの構成はペンチレンテトラゾール(Baraban,S.C.,Taylor,M.R.,Castro,P.A.,& Baier H.,Pentylenetetrazole induced changes in zebrafish behavior,neural activity and c−fos expression.Neuroscience 131,759−768(2005))、4−アミノピリジン(Baraban,S.C.,et al.,A large−scale mutagenesis screen to identify seizure−resistant zebrafish.Epilepsia 48,1151−157(2007))、リノピルジン(Chege,S.W.,Hortopan,G.A.,Dinday,M.T.,& Baraban,S.C.,Expression and function of KCNQ channels in larval zebrafish.Dev.Neurobiol.72,186−198(2012))又は温熱療法(Hunt,R.F.,Hortopan,G.A.,Gillespie,A.,& Baraban,S.C.,A novel zebrafish model of hyperthermia−induced seizures reveals a role for TRPV4 channels and NMDA−type glutamate receptors.Exp.Neurol.237,199−206(2012))に暴露した野生型幼生で従来記載されているものに似ていた。
エレクトログラフ発作活動の出現は自由に行動する突然変異体における高速遊泳活動と短時間の姿勢悪化を伴う全身痙攣である活動過剰に対応する。これらの型の自発性行動は野生型幼生では認められず、この点でも、痙攣誘引剤に暴露中のみに従来認められている結果と似ている。これらの行動は発作活動の間接的指標であり、自動移動運動追跡ソフトウェアを使用してマルチウェルフォーマットで薬物投与と致死性の急速インビボ評価に使用できよう(Berghmans,S.,Hunt,J.,Roach,A.,& Goldsmith,P.,Zebrafish offer the potential for a primary screen to identify a wide variety of potential anticonvulsants.Epilepsy Res.75,18−28(2007);Baxendale,S.,et al.,Identification of compounds with anti−convulsant properties in a zebrafish model of epileptic seizures.Dis.Model.Mech.5,773−774(2012);Winter,M.J.,et al.,Validation of a larval zebrafish locomotor assay for assessing the seizure liability of early−stage development drugs.J.Pharm.Tox.Methods 5,176−187(2008))。scn1Labゼブラフィッシュ突然変異体における発作はケト原性食とDS患者に臨床処方されている4種類のAED(例えばバルプロ酸塩、ベンゾジアゼピン、臭化カリウム及びスチリペントール)に反応性であった。
興味深いことに、scn1Lab突然変異体におけるエレクトログラフ発作イベントは数種類の市販のAEDに対して変わらなかった(又は恐らく悪化した)。電気的イベントが生じないようにするためには1mMよりも高い薬物濃度が必要になると考えられるが、このような濃度は高く、潜在的に非選択的な濃度であるとみなされる。幼生ゼブラフィッシュで急性PTZ誘発性発作モデルを使用した薬物試験(Baraban,S.C.,et al.,A large−scale mutagenesis screen to identify seizure−resistant zebrafish.Epilepsia 48,1151−157(2007);Berghmans,S.,Hunt,J.,Roach,A.,& Goldsmith,P.,Zebrafish offer the potential for a primary screen to identify a wide variety of potential anticonvulsants.Epilepsy Res.75,18−28(2007);Baxendale,S.,et al.,Identification of compounds with anti−convulsant properties in a zebrafish model of epileptic seizures.Dis.Model.Mech.5,773−774(2012);Afrikanova,T.,et al.,Validation of the zebrafish pentylenetetrazol seizure model:locomotor versus electrographic responses to antiepileptic drugs.PLoS One 8,e54166(2013))では、多くの場合に1mM以下のAED濃度で抗癲癇活性を評価するのに十分であった。7種類の異なるAEDに反応できないので、このモデルは薬物耐性癲癇の臨床的定義に合致する(de Toffol,B.,et al.,ESPERA study:Applicability of the new ILAE criteria for antiepileptic drug resistance of focal epilepsies in current clinical practice.Epilepsy Beh 25,166−169(2012))。
約40年間にわたり、新規AEDの発見と同定は齧歯類における後天性又は急性発作の前臨床動物モデルにほぼ完全に依存している(Loscher,W.& Schmidt,D.,Modern antiepileptic drug development has failed to deliver:Ways out of the current dilemma.Epilepsia 52,657−658(2011))。このアプローチはヒトにおける全身性強直間代発作を阻止する薬物の同定に成功している(Bialer,M.& White H.S.,Key factors in the discovery and development of new antiepileptic drugs.Nat.Rev.Drug Discov.9,10−19(2012))が、依然として時間がかかり、資源集約的であり、費用と労力がかかる。ゼブラフィッシュ幼生におけるPTZ誘発性又は他の型の後天性発作に対する試験は齧歯類における同様のアッセイよりも効率的であると思われる(Berghmans,S.,Hunt,J.,Roach,A.,& Goldsmith,P.,Zebrafish offer the potential for a primary screen to identify a wide variety of potential anticonvulsants.Epilepsy Res.75,18−28(2007);Baxendale,S.,et al.,Identification of compounds with anti−convulsant properties in a zebrafish model of epileptic seizures.Dis.Model.Mech.5,773−774(2012)Afrikanova,T.,et al.,Validation of the zebrafish pentylenetetrazol seizure model:locomotor versus electrographic responses to antiepileptic drugs.PLoS One 8,e54166(2013))が、最終的に同類の化合物を同定できるはずである。
一方、本願では迅速な自動行動モニター用の96ウェルフォーマットを使用した後に、既知のヒト遺伝病に似せた突然変異体魚類における自発性のエレクトログラフ発作活動の高感度電気生理学的アッセイを使用する代替スクリーニングストラテジーについて記載する。このインビボストラテジーは同時に致死率をモニターし、SCN1Aに限定されず、あらゆる癲癇症に適用することができる。実際に、この表現型アプローチは遺伝情報に基づく又は「パーソナライズされた」新薬発見アプローチの基礎を形成することができる。既知のSCN1A突然変異に似せて癲癇を示す遺伝子改変マウスは開発されているが、交配が複雑な場合があり、バックグラウンド系統が発作表現型を改変する可能性があり、これらの動物でAEDが試験されることは稀である。例えば、Scn1aRX/+突然変異体マウスで温熱療法により誘発させた発作閾値に及ぼす効果についてスチリペントールとクロバザムのみが評価されている(Cao,D.,et al.,Efficacy of stiripentol in hyperthermia−induced seizures in a mouse model of Dravet syndrome.Epilepsia 53,1140−1145(2012))。Scn1a+/−突然変異体マウスにGABA−A受容体のアロステリックモジュレーターであるクロナゼパムを投与すると、自閉症様行動の一部が回復したが、抗癲癇薬としては評価されなかった(de Toffol,B.,et al.,ESPERA study:Applicability of the new ILAE criteria for antiepileptic drug resistance of focal epilepsies in current clinical practice.Epilepsy Beh 25,166−169(2012))。
キンドリング又は癲癇重積状態後モデルから選択される野生型ラットのサブグループ等の薬物耐性齧歯類癲癇モデルが記載されている(Han,S.,et al.,Autistic−like behaviour in Scn1a+/−mice and rescue by enhanced GABA−mediated neurotransmission.Nature 489,385−390(2012))が、ほんの僅かしか特性解析されておらず、初期高スループット段階の薬物スクリーニングには適していない。一方、ヒトナトリウムチャネル突然変異との配列一致度が75%を上回るゼブラフィッシュscn1Lab突然変異体を使用し、44,000個を越えるプローブの大規模トランスクリプトミクスプロファイルングを完了し、scn1Labチャネル発現と癲癇表現型の発生過程での進行を実証し、入手可能な抗癲癇治療薬の効果を分析し、320種類の化合物のライブラリーを自発性非誘発性発作についてスクリーニングした。この最初の原理証明スクリーニングはウェル当たり1匹、試験毎に6〜12匹、週1回の割合で実施したが、1週間当たり数百〜数千匹の幼生を試験するように(特に商業的環境で)ゼブラフィッシュの規模を拡大し易いため、迅速な大規模第一段階インビボ新薬発見プログラムに魅力的なシステムである。リード化合物を実験室から臨床に移すことができない最大の原因の1つは毒性であるが、毒性を同時にインビボ評価できることも、利用可能な器官型海馬培養又はインシリコスクリーニングストラテジーに勝るこのアプローチの重要な利点である。
どのような動物モデル新薬発見データも慎重に取り扱うべきであるが、H1拮抗作用とNS4B RNA阻害性をもつ化合物であるクレミゾールはこのスクリーニングから得られた安全な毒性プロファイルをもつFDA承認薬であり、更に研究するのに魅力的な出発点を提供する。例えば、抗ヒスタミン薬は新生ラットに誘発させた発作を抑制することが最近確認された(Yamada,K.,Takizawa,F.,Tamura,T.,& Kanda T.,The effect of antihistamines on seizures induced by increasing−current electroshocks:ketotifen,but not olopatadine,promotes the seizures in infant rats.Biol.Pharm.Bull.35,693−697(2012))が、特定の理論に拘泥するものではないが、これは本願の作用機序でないように思われる。本発明者らは4種類の他のH1抗ヒスタミン薬(ピメチキセンマレイン酸塩、クロロピラミンHCl、メブヒドロリンナフタレンスルホン酸塩及びイプロヘプチン)がscn1Lab突然変異体における痙攣行動を抑制できないことを実証した。更に、H1抗ヒスタミン薬は小児における発作に有害に作用する可能性があることが示唆されており(Miyata,I.,Saegusa,H.,& Sakurai,M.,Seizure−modifying potential of histamine H1 antagonists:a clinical observation.Pediatr.Int.53,706−708(2011))、作用機序を同定するには更に詳細な解析が必要になろう。クレミゾールはゼブラフィッシュでのメトラゾール試験でも有効であったので、ユタ大学のNIH支援抗痙攣薬開発プログラムで更に前臨床試験を進める価値があると思われる。最も重要な点として、これらの研究はインビボ薬物スクリーニングとscn1Lab突然変異体ゼブラフィッシュの実験解析がドラベ症候群の解明(及び治療)に極めて有益であることを示唆している。
動物。Scn1Lab(didys552)ゼブラフィッシュ胚はHerwig Baierから寄贈された。成体HuC:GFPゼブラフィッシュはStephen Ekkerから寄贈された。ゼブラフィッシュはカリフォルニア大学、サンフランシスコ校、動物実験委員会のガイドラインに従って作製・飼育した。ゼブラフィッシュ幼生は殺菌剤として0.002%メチレンブルーを添加した脱イオン水に0.03%インスタントオーシャン(Aquarium Systems,Inc.,Mentor,OH,米国)を加えた「胚培養液」で飼育した。TL野生型又はHuC:GFPゼブラフィッシュまで少なくとも7世代戻し交配させておいたscn1Labヘテロ接合体動物から幼生ゼブラフィッシュクラッチを交配させた。(色素沈着に基づいて選別した)ホモ接合性突然変異体と年齢をマッチさせた同腹幼生を使用した。皮膚色素沈着問題の原因となる正確な遺伝子異常は不明であるが、メラノコルチン5a受容体をコードする遺伝子の1.5倍のアップレギュレーションがマイクロアレイデータで認められたことは興味深い。
発作モニター。移動運動追跡と電気生理学的検査の手順は記載されている(Baraban,S.C.,et al.,A large−scale mutagenesis screen to identify seizure−resistant zebrafish.Epilepsia 48,1151−157(2007);Baraban,S.C.,Taylor,M.R.,Castro,P.A.,& Baier H.,Pentylenetetrazole induced changes in zebrafish behavior,neural activity and c−fos expression.Neuroscience 131,759−768(2005))。パイロット実験では、記録用電極の位置を推定するためにHuC:GFPゼブラフィッシュを電気生理学的実験で使用した。EthoVision XTソフトウェア(Noldus Information Technology;Leesburg,VA)を実行するDanioVisionシステムを使用して10分間記録エポックでウェル当たり1匹ずつの移動運動プロットを得た。発作スコアは従来記載されているように実施した(Baraban,S.C.,Taylor,M.R.,Castro,P.A.,& Baier H.,Pentylenetetrazole induced changes in zebrafish behavior,neural activity and c−fos expression.Neuroscience 131,759−768(2005))。移動距離(mm)と平均速度(mm/秒)について移動運動プロットを解析した。癲癇様イベントをpClamp(Molecular Devices;Sunnyvale,CA)で解析し、基線ノイズレベルの2倍を上回る上向き又は下向きの膜の振れとして定義し、発作間様(持続時間100〜300ミリ秒)又は発作時様(持続時間1000〜5000ミリ秒)に分類した。10分間記録エポック中の1分当たりの癲癇様イベント数を計数することによりバースト頻度を求めた。同一エポック中の全イベントのオンセットからオフセットまでの間隔を測定することによりバースト持続時間を求めた。
薬物はSigma−Aldrichから入手し、胚培養液に溶解させた。ストック溶液は胚培養液で1mMに調製し、pHは約7.5に調整した。ガナキソロンはBioCrea GmbH(Radebeul,ドイツ)から寄贈された。薬物スクリーニング用化合物はMicroSource Discovery Systems,Inc.(International Drug Collection;Gaylordsville,CT)から購入し、10mM DMSO溶液とした。試験化合物を胚培養液に溶解させ、6.7〜667μMの濃度で試験し、最終DMSO濃度を約7%とした。自由に遊泳する魚の行動試験には667μMの初期スクリーニング濃度を選択したが、これは幼生ゼブラフィッシュにPTZ(10〜20mM)により誘発させた発作に対して有効であることがこれまでに報告されているAED濃度の下側範囲(0.1〜25mM)に相当し(Baraban,S.C.,Taylor,M.R.,Castro,P.A.,& Baier H.,Pentylenetetrazole induced changes in zebrafish behavior,neural activity and c−fos expression.Neuroscience 131,759−768(2005);Berghmans,S.,Hunt,J.,Roach,A.,& Goldsmith,P.,Zebrafish offer the potential for a primary screen to identify a wide variety of potential anticonvulsants.Epilepsy Res.75,18−28(2007);Afrikanova,T.,et al.,Validation of the zebrafish pentylenetetrazol seizure model:locomotor versus electrographic responses to antiepileptic drugs.PLoS One 8,e54166(2013))、MicroSource Discovery Systems,Inc.により提供される小容量のストック溶液(250μL)を最も効率的に使用できたためである。図5及び6の初期AED検証アッセイには、寒天への拡散に伴う潜在的な合併症を考慮してやや高い濃度(1mM)を選択した。野生型幼生(n=濃度毎に12匹)を使用して0.01〜100%の希釈倍率でDMSOの毒性を評価した処、DMSOは>25%で致死性であった。
全薬物スクリーニング試験で化合物をコード化し、試験者に化合物の種類を知らせずに実験を実施した。胚培養液に薬浴させた突然変異体から発作活動の基線記録を得た後、試験化合物への溶液交換後に第2のプロットを得た。移動運動アッセイで「陽性ヒット」として分類された各試験化合物を目視確認し、接触に反応する運動と目に見える心拍に基づいて生存していることを確認した。WT魚はこれらの10分間記録エポック中に自発性の遊泳活動を殆ど〜全く示さなかった(図3B参照)ので、新薬発見アッセイに使用しなかった。
マイクロアレイ、定量的PCR及びホールマウントin situハイブリダイゼーションの手順は記載されている(Hortopan,G.A.,et al.,Spontaneous seizures and altered gene expression in GABA signaling pathways in a mind bombmutant zebrafish.J.Neurosci.30,13718−13728(2010))。
特に指定しない限り、データは平均及びSEMとして表す。特に指定しない限り、対比較の統計的有意性はスチューデントの対応のない両側t検定、ANOVA又はマン−ホイットニーの順位和検定により適宜決定した。特に指定しない限り、P<0.05の場合に結果を有意とみなした。
[実施例2]
本発明者らのこれまでの検討と、マウスの定性的MESスクリーニングで100mg/kgと300mg/kgの用量で認められた若干の活性に基づき、MES/scMET/Toxマウスモデルで定量的試験を進め、ED50/TD50を求めた。MESモデルでTPEを求める間に、300mg/kgの出発時の用量で活性は認められなかった。一方、500mg/kgの用量では活性が認められ、4匹のうちの2匹が0.25分、4匹のうちの4匹が30分で保護された。試験した他のどの用量又は試験時点でも活性又は毒性(回転棒を掴めない)は認められなかった。scMETモデルでは活性が認められなかった。MESモデルのデータによると、このマウスモデルではASP469016により有意な活性/保護が得られ、ED50<400mg/kgである。
抗痙攣スクリーニング結果−マウスIP定量
[実施例3]
本発明者らの初期T31(MES/scMET/Tox)スクリーニングではASP469016を30mg/kg、100mg/kg及び300mg/kgで試験した。各条件のデータをN/Fとして表し、ここでNは保護された動物数であり、Fは試験した動物数である。毒性(TOX)試験では、Nは毒性作用を示す動物数であり、Fは試験した動物数である。C列のコードは実験を実施する技術者からのコメントを意味し、必要に応じてコメントセクションに定義する。死亡は認められない。6Hz(32mA)モデルに示すように、100mg/kgで30分にて4匹中の1匹のみが保護された。MESにより誘発させた発作モデルでは、100mg/kgと300mg/kgで30分にて4匹中の1匹のみが保護された。試験した他のどの用量又は時点でも毒性(回転棒を掴めない)又は活性は検出されなかった。
抗痙攣スクリーニング結果−マウスMES及び6Hz同定
[実施例4]
139種類の異なるインビトロ受容体結合アッセイ及び酵素アッセイの集合であるCEREP BioPrint Profileでクレミゾール(149934−L6)を試験した。初期BioPrintスクリーニングには、10μΜ(1.0E−5M)の遊離化合物濃度を使用した。各標的に特異的な放射性標識リガンドの結合の阻害率%として化合物結合性を計算した。対照酵素活性の阻害率%として化合物酵素阻害効果を計算した。各実験で夫々の基準化合物をクレミゾール(149934−L6)と同時に試験し、CEREPで測定された歴史的数値とデータを比較した。実験はCEREPの検証標準操作手順に従って承認された。50%よりも高い阻害(又は基礎条件で実施したアッセイの刺激)を示す結果が試験化合物の有意な効果に相当するとみなされる。これらの結果をまとめたものを以下に示す。
[実施例5]
クレミゾールは抗ヒスタミン薬の作用機序により抗癲癇活性を発揮するものではない。32種類の異なる抗ヒスタミン化合物(図10)をscn1Labゼブラフィッシュアッセイでスクリーニングした処、クレミゾールの抗癲癇作用と似ている化合物は皆無であった。化合物のうちの3種類は毒性であり、抗ヒスタミン薬が小児癲癇患者における発作を悪化させるという臨床報告通りに、5種類の化合物は発作行動を亢進させた。
[実施例6]
出願人らはセロトニンシグナル伝達経路に作用する62種類の薬物を含むSelleck Customized Libraryをスクリーニングした。これらの化合物を先ずゼブラフィッシュ移動運動アッセイでスクリーニングした処、図11に示すように、15種類の化合物が初回通過移動運動アッセイ(アッセイの詳細についてはBaraban et al.Nat.Comm.2013及びDinday and Baraban,eNeuro 2015を参酌できる)で陽性ヒットと認定された。これらの試験は、5HTシグナル伝達の調節、特にシナプス後部5HT受容体の活性化が潜在的な抗癲癇効果をもつことを示唆している。
初回通過移動運動アッセイで同定された全ての5HT化合物における濃度−反応再試験。トラゾドン(Desryl、Oleptro)の結果を代表例として示す。移動運動アッセイで100〜750μMの濃度で自発性の発作行動の確実な阻害を示す(図12A)ことに加え、トラゾドンは更に250〜500μMの濃度でscn1Lab突然変異体(n=15)におけるEEG活性を有効に阻害し(図12B)、薬物ウォッシュアウト期間を設けた別の試験(n=12)でも同様であった。陽性ヒットの化合物としては、スマトリプタン、ナラトリプタン、リザトリプタン、ゾルミトリプタン、ウラピジル、BRL−54443(3−(1−メチルピペリジン−4−イル)−1H−インドール−5−オール)、ロルカセリン、ブスピロン、ジプラシドン、TCB−2((4−ブロモ−3,6−ジメトキシベンゾシクロブテン−1−イル)メチルアミン臭化水素酸塩)、BRL−15572(3−(4−(4−クロロフェニル)ピペラジン−1−イル)−1,1−ジフェニル−2−プロパノール)、トラゾドン、BMY7378(8−(2−[4−(2−メトキシフェニル)−1−ピペラジニル]エチル)−8−アザスピロ[4.5]デカン−7,9−ジオン)、アトモキセチン及びベンラファキシンが挙げられる。
その他の実施形態
実施形態1.癲癇症の治療方法であって、前記治療を必要とする対象に治療有効量の5HT受容体作動薬又はその医薬的に許容される塩を投与することを含む前記方法。
実施形態2.前記5HT受容体作動薬が、5HT2A受容体作動薬又は5HT2B受容体作動薬である実施形態1に記載の方法。
実施形態3.前記5HT受容体作動薬が、5HT2A受容体と5HT2B受容体の両方の作動薬である実施形態2に記載の方法。
実施形態4.前記5HT受容体作動薬が、クレミゾール又はフェンフルラミン以外のものである実施形態1に記載の方法。
実施形態5.前記5HT受容体作動薬が、5HT受容体と直接結合する実施形態1に記載の方法。
実施形態6.前記5HT受容体作動薬が、5HT受容体を特異的に活性化させる実施形態1に記載の方法。
実施形態7.前記5HT受容体作動薬が、5HT2C受容体により介在される活性を同等以下にしながら5HT2A受容体又は5HT2B受容体により介在される活性を増加させる実施形態1に記載の方法。
実施形態8.前記5HT受容体作動薬が、セロトニン再取り込み阻害薬以外のものである実施形態1に記載の方法。
実施形態9.前記5HT受容体作動薬が、5HT1A、5HT1B、5HT1D、5HT2C、5HT3、5HT4、5HT6、5HT7、NPY Y1受容体、L型Caチャネル、N型Caチャネル、SK−Caチャネル、GABA依存性Clチャネル、GABAトランスポーター、GABA−A1受容体、GABA−B1b受容体、Naチャネル、5HTトランスポーター、CB1受容体、CB2受容体、BZD又はエストロゲンERαの少なくとも1種と有意に結合しないか又はその活性を調節しない実施形態1に記載の方法。
実施形態10.前記5HT受容体作動薬が、フリバンセリン、DOI HCl、ノルフェンフルラミン又はBW723C86である実施形態1に記載の方法。
実施形態11.前記5HT受容体作動薬が、スマトリプタン、ナラトリプタン、リザトリプタン、ゾルミトリプタン、ウラピジル、BRL−54443(3−(1−メチルピペリジン−4−イル)−1H−インドール−5−オール)、ロルカセリン、ブスピロン、ジプラシドン、TCB−2((4−ブロモ−3,6−ジメトキシベンゾシクロブテン−1−イル)メチルアミン臭化水素酸塩)、BRL−15572(3−(4−(4−クロロフェニル)ピペラジン−1−イル)−1,1−ジフェニル−2−プロパノール)、トラゾドン、BMY7378(8−(2−[4−(2−メトキシフェニル)−1−ピペラジニル]エチル)−8−アザスピロ[4.5]デカン−7,9−ジオン)、アトモキセチン又はベンラファキシンである実施形態1に記載の方法。
実施形態12.前記5HT受容体作動薬が、トラゾドン又はその医薬的に許容される塩である実施形態1に記載の方法。複数の実施形態において、前記トラゾドンの医薬的に許容される塩は塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩、メタンスルホン酸塩、硝酸塩、マレイン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、プロピオン酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩又は第4級アンモニウム塩である。
実施形態13.前記癲癇症が、ドラベ症候群、レノックス・ガストー症候群、点頭癲癇又は大田原症候群である実施形態1に記載の方法。
実施形態14.前記癲癇症が、ドラベ症候群である実施形態13に記載の方法。
実施形態15.前記癲癇症が、小児癲癇症である実施形態1に記載の方法。
実施形態16.前記対象が、心血管疾患をもつ実施形態1に記載の方法。
実施形態17.前記対象が、セロトニン再取り込み阻害薬による治療に耐性である実施形態1に記載の方法。
実施形態18.前記対象が、セロトニン再取り込み阻害薬を投与した場合の副作用に感受性である実施形態1に記載の方法。
実施形態19.前記セロトニン再取り込み阻害薬が、フェンフルラミンである実施形態17又は18に記載の方法。
実施形態20.前記対象がケト原性食を摂取している実施形態1に記載の方法。
実施形態21.前記5HT受容体作動薬が、癲癇対象、アルツハイマー病対象、自閉症対象又はパーキンソン病対象における強迫行為又はエレクトログラフ発作を抑制する実施形態1に記載の方法。
実施形態22.前記5HT受容体作動薬が、前記5HT受容体作動薬の不在下と比較した場合に前記対象における非誘発性発作の発生を抑制する実施形態1に記載の方法。
実施形態23.前記5HT受容体作動薬の投与が、5HT受容体作動薬の不在下と比較した場合に前記対象におけるミオクローヌス発作又は癲癇重積状態を抑制又は予防する実施形態1に記載の方法。
実施形態24.前記5HT受容体作動薬を体重1kg当たり約0.1mg〜約1000mgの量で前記対象に投与する実施形態1に記載の方法。
実施形態25.前記5HT受容体作動薬を体重1kg当たり約0.1mg〜約1000mgの1日用量で前記対象に投与する実施形態22に記載の方法。
実施形態26.前記5HT受容体作動薬を抗癲癇薬(AED)と併用投与する実施形態1に記載の方法。
実施形態27.前記5HT受容体作動薬が、抗癲癇薬(AED)の補助療法である実施形態1に記載の方法。
実施形態28.前記AEDが、アセタゾラミド、ベンゾジアゼピン、カンナビジオール、カルバマゼピン、クロバザム、クロナゼパム、エスリカルバゼピン酢酸塩、エトスクシミド、エトトイン、フェルバメート、フェンフルラミン、フォスフェニトイン、ガバペンチン、ガナキソロン、フペルジンA、ラコサミド、ラモトリギン、レベチラセタム、ニトラゼパム、オクスカルバゼピン、ペランパネル、ピラセタム、フェノバルビタール、フェニトイン、臭化カリウム、プレガバリン、プリミドン、レチガビン、ルフィナミド、バルプロ酸、バルプロ酸ナトリウム、スチリペントール、チアガビン、トピラマート、ビガバトリン又はゾニサミドである実施形態26又は27に記載の方法。
実施形態29.前記AEDが、バルプロ酸、バルプロ酸ナトリウム、クロナゼパム、エトスクシミド、フェルバメート、ガバペンチン、カルバマゼピン、オクスカルバゼピン、ラモトリギン、レベチラセタム、ベンゾジアゼピン、フェノバルビタール、プレガバリン、プリミドン、チアガビン、トピラマート、臭化カリウム、フェニトイン、スチリペントール、ビガバトリン又はゾニサミドである実施形態28に記載の方法。
実施形態30.前記AEDが、バルプロ酸、バルプロ酸ナトリウム、ガバペンチン、トピラマート、カルバマゼピン、オクスカルバゼピン又はビガバトリンである実施形態29に記載の方法。
実施形態31.前記AEDが、フェンフルラミン又はトピラマート以外のものである実施形態26に記載の方法。
実施形態32.前記AEDを前記5HT受容体作動薬と同時又は順次投与する実施形態26に記載の方法。
実施形態33.癲癇症の治療方法であって、前記方法が前記治療を必要とする対象に治療有効量の5HT受容体作動薬又はその医薬的に許容される塩を投与することを含み、前記対象が心血管疾患をもつか、セロトニン再取り込み阻害薬による治療に耐性であるか、又はセロトニン再取り込み阻害薬を投与した場合の副作用に感受性である前記方法。
実施形態34.前記5HT受容体作動薬が、5HT2A受容体作動薬又は5HT2B受容体作動薬である実施形態33に記載の方法。
実施形態35.前記5HT受容体作動薬が、5HT2A受容体と5HT2B受容体の両方の作動薬である実施形態32に記載の方法。
実施形態36.前記5HT受容体作動薬が、クレミゾール、クレミゾールアナログ又はその医薬的に許容される塩である実施形態33に記載の方法。
実施形態37.前記医薬的に許容される塩が、クレミゾールHClである実施形態36に記載の方法。
実施形態38.前記クレミゾール、前記クレミゾールアナログ又は前記その医薬的に許容される塩が、医薬組成物の一部を形成する実施形態36に記載の方法。
実施形態39.前記医薬組成物が、更に医薬的に許容される賦形剤を含有する実施形態38に記載の方法。
実施形態40.前記医薬組成物が、治療有効量のクレミゾール、前記クレミゾールアナログ又は前記その医薬的に許容される塩を含有する実施形態38に記載の方法。
実施形態41.前記医薬組成物を抗癲癇薬(AED)と併用投与する実施形態40に記載の方法。
実施形態42.前記医薬組成物が、クレミゾール、前記クレミゾールアナログ又は前記その医薬的に許容される塩と、AEDを含有する実施形態41に記載の方法。
実施形態43.前記5HT受容体作動薬が、フェンフルラミン以外のものである実施形態33に記載の方法。
実施形態44.前記5HT受容体作動薬が、5HT受容体と直接結合する実施形態33に記載の方法。
実施形態45.前記5HT受容体作動薬が、5HT受容体を特異的に活性化させる実施形態33に記載の方法。
実施形態46.前記5HT受容体作動薬が、5HT2C受容体により介在される活性を同等以下にしながら5HT2A受容体又は5HT2B受容体により介在される活性を増加させる実施形態33に記載の方法。
実施形態47.前記5HT受容体作動薬が、セロトニン再取り込み阻害薬以外のものである実施形態33に記載の方法。
実施形態48.前記5HT受容体作動薬が、5HT1A、5HT1B、5HT1D、5HT2C、5HT3、5HT4、5HT6、5HT7、NPY Y1受容体、L型Caチャネル、N型Caチャネル、SK−Caチャネル、GABA依存性Clチャネル、GABAトランスポーター、GABA−A1受容体、GABA−B1b受容体、Naチャネル、5HTトランスポーター、CB1受容体、CB2受容体、BZD又はエストロゲンERαの少なくとも1種と有意に結合しないか又はその活性を調節しない実施形態33に記載の方法。
実施形態49.前記5HT受容体作動薬が、スマトリプタン、ナラトリプタン、リザトリプタン、ゾルミトリプタン、ウラピジル、BRL−54443(3−(1−メチルピペリジン−4−イル)−1H−インドール−5−オール)、ロルカセリン、ブスピロン、ジプラシドン、TCB−2((4−ブロモ−3,6−ジメトキシベンゾシクロブテン−1−イル)メチルアミン臭化水素酸塩)、BRL−15572(3−(4−(4−クロロフェニル)ピペラジン−1−イル)−1,1−ジフェニル−2−プロパノール)、トラゾドン、BMY7378(8−(2−[4−(2−メトキシフェニル)−1−ピペラジニル]エチル)−8−アザスピロ[4.5]デカン−7,9−ジオン)、アトモキセチン又はベンラファキシンである実施形態33に記載の方法。
実施形態50.前記5HT受容体作動薬が、トラゾドン又はその医薬的に許容される塩である実施形態33に記載の方法。
実施形態51.5HT受容体をクレミゾール、クレミゾールアナログ又はその医薬的に許容される塩と接触させることを含む5HT受容体の活性の調節方法。
実施形態52.前記調節が、活性化である実施形態51に記載の方法。
実施形態53.前記5HT受容体が、5HT2A受容体又は5HT2B受容体である実施形態51に記載の方法。
実施形態54.脳内のセロトニンの不足により又は1種以上の5HT受容体の活動下で生じる疾患又は障害の治療方法であって、前記治療を必要とする対象に治療有効量のクレミゾール、クレミゾールアナログ又はその医薬的に許容される塩を投与することを含む前記方法。
実施形態55.前記疾患又は障害が、癲癇以外のものである実施形態54に記載の方法。
実施形態56.前記疾患又は障害が、ドラベ症候群以外のものである実施形態54に記載の方法。
実施形態57.前記疾患又は障害が、片頭痛、脆弱X症候群、プラダー・ウィリー症候群、統合失調症、鬱病,アルツハイマー病、自閉症、神経障害性疼痛、パーキンソン病、過敏性腸症及び認知症から構成される群から選択される実施形態51に記載の方法。
実施形態58.前記医薬的に許容される塩が、クレミゾールHClである実施形態50に記載の方法。