JP6875050B2 - 固体電解質の製造設備及び製造方法 - Google Patents
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Description
該ハロゲン元素を含む原料として、少なくとも下記一般式(1)で示される物質を供給するハロゲン供給手段と、
を有する固体電解質の製造設備。
X2…(1)
(一般式(1)中、Xは、ハロゲン元素である。)
[2]前記ハロゲン供給手段が、前記物質の貯蔵槽と供給部とを備える上記[1]に記載の固体電解質の製造設備。
[3]前記物質の供給部が、供給速度の調整機能を備える上記[2]に記載の固体電解質の製造設備。
[4]前記反応装置が、反応槽及び粉砕機を備え、前記ハロゲン供給手段が、該反応槽、該粉砕機、及び該反応槽と該粉砕機とを連結する手段の少なくとも1つに連結される上記[1]〜[3]のいずれか1に記載の固体電解質の製造設備。
[5]少なくともリチウム元素、硫黄元素及びリン元素を含む原料に、下記一般式(1)で示される物質を連続的に添加すること、
該原料と該物質とを反応させること、
を含む固体電解質の製造方法。
X2…(1)
(一般式(1)中、Xは、ハロゲン元素である。)
[6]前記物質を、前記原料と該物質とを反応させながら添加する上記[5]に記載の固体電解質の製造方法。
本実施形態の固体電解質の製造設備は、リチウム元素、硫黄元素、リン元素及びハロゲン元素を含む原料を反応させて固体電解質を製造する反応装置と、該ハロゲン元素を含む原料として、少なくとも下記一般式(1)で示される物質を供給するハロゲン供給手段と、を有するものである。
X2…(1)
(一般式(1)中、Xは、ハロゲン元素である。)
本実施形態で用いられる原料は、リチウム元素、硫黄元素、リン元素及びハロゲン元素を含む原料であり、ハロゲン元素を含む原料として、少なくとも下記一般式(1)で示される物質(以下、「物質X2」と称することがある。)を含むものである。
X2…(1)
(一般式(1)中、Xは、ハロゲン元素である。)
物質X2としては、フッ素(F2)、塩素(Cl2)、臭素(Br2)、ヨウ素(I2)等が挙げられ、高いイオン伝導度を有する固体電解質を得る観点から、塩素(Cl2)、臭素(Br2)、ヨウ素(I2)が好ましく、臭素(Br2)、ヨウ素(I2)がより好ましい。これらの物質X2は、単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができる。
物質X2は、不純物として含まれる水分量が少ないことが好ましい。
硫化ケイ素(SiS2)、硫化ゲルマニウム(GeS2)、硫化ホウ素(B2S3)、硫化ガリウム(Ga2S3)、硫化スズ(SnS又はSnS2)、硫化アルミニウム(Al2S3)、硫化亜鉛(ZnS)等の硫化金属を用いて、硫黄元素を供給することができる。
2≦2α+β≦100…数式(1)
4≦2α+β≦80 …数式(2)
6≦2α+β≦50 …数式(3)
6≦2α+β≦30 …数式(4)
反応装置としては、上記物質X2と、物質X2以外の他の原料とを反応させ得る装置であれば特に制限はないが、例えば、これらの原料の反応を混合、撹拌、粉砕又はこれらを組み合わせた処理により行い得る装置であることが好ましい。
媒体式粉砕機は、容器駆動式粉砕機、媒体撹拌式粉砕機に大別される。容器駆動式粉砕機としては、撹拌槽、粉砕槽、あるいはこれらを組み合わせたボールミル、ビーズミル等が挙げられる(例えば、後述する、図1に示される構成を有するものが挙げられる。)。また、媒体撹拌式粉砕機としては、カッターミル、ハンマーミル、ピンミル等の衝撃式粉砕機;タワーミルなどの塔型粉砕機;アトライター、アクアマイザー、サンドグラインダー等の撹拌槽型粉砕機;ビスコミル、パールミル等の流通槽型粉砕機;流通管型粉砕機;コボールミル等のアニュラー型粉砕機;連続式のダイナミック型粉砕機;一軸又は多軸混練機などの各種粉砕機が挙げられる。
これらの粉砕機を用いる場合、原料と溶媒等、また粉砕メディアとを投入し、装置を起動させて、混合、撹拌、粉砕を行えばよい。ここで、原料、溶媒等を、粉砕メディアを投入することになるが、投入する順序に制限はない。
また、混合、撹拌、粉砕の際の温度は、特に制限はないが、例えば、20〜80℃程度とできる性能を有していることが好ましい。
本実施形態の固体電解質の製造設備は、物質X2を供給し得るハロゲン供給手段を有する。ハロゲン供給手段の形態としては、特に制限はないが、例えば、物質X2の貯蔵部と供給部とを備えていることが好ましい。
物質X2の貯蔵部としては、例えば槽状の容器に物質X2の投入口と排出口を有しているものを用いることができる。物質X2は、そのまま用いることもできるが、腐食性が高いことから、希釈して用いることが好ましい、すなわち溶媒に溶解して用いることが好ましく、貯蔵部は溶媒の供給口を有することが好ましい。また、腐食防止の観点から、物質X2の貯蔵部は、窒素ガス等の不活性ガスの供給口を有していてもよい。
物質X2の流量調整機能としては、例えば流量調節弁、ケミカルポンプとして汎用されるダイヤフラム型定量ポンプ、プランジャー型定量ポンプ、電磁式定量ポンプ等の流量調節可能なポンプ等を用いればよい。これらの流量調整機能のサイズ及び形式は、物質X2の形態(固体、液体、気体)、供給量に応じて適宜選定すればよい。
また、物質X2の供給部は、貯蔵部と供給部の反応装置への供給箇所との関係から、必要な場合には、物質X2を圧送するポンプを有していてもよい。
粉砕槽(ビーズミル)10には、ミル10の周りに温水(HW)を通すことのできるヒータ30が設けられており、該温水(HW)はヒーター30で熱を供給し、ヒーター30の出口から排出された温水(RHW)は加熱した後、ヒーター30に温水(HW)として外部循環される。反応槽20は、オイルバス40に入っている。オイルバス40は容器22内の原料と溶媒を所定温度に加熱する。反応槽20には気化した溶媒を冷却して液化する冷却管26が設けられており、冷却水(CW)は冷却管26で溶媒を冷却し、冷却管26の出口から排出された冷却水(RCW)は冷却した後、冷却管26に冷却水(CW)として外部循環される。
ビーズミル10と反応槽20とは、第1の連結管50と第2の連結管52とで連結されている。第1の連結管50は、粉砕槽(ビーズミル)10内の原料と溶媒を反応槽20に移動させ、第2の連結部52は、反応槽20内の原料及び溶媒を粉砕槽(ビーズミル)10内に移動させる。原料等を連結管50,52を通して循環させるために、ポンプ54(例えば、ダイアフラムポンプ)が、第2の連結管52に設けられている。また、反応槽20及びポンプ54の吐出には温度計(Th)が設けられており、常時温度管理を行うことができるようになっている。
図1では、供給部61の連結先は反応槽20中となっているが、連結先としては、例えば、反応槽20からポンプ54への配管、ポンプ54から粉砕槽(ビーズミル)10への配管、粉砕槽(ビーズミル)10、粉砕槽(ビーズミル)10から反応槽20への配管のいずであってもよいのは上記の通りである。また、供給部61の連結先としては、ポンプ54の機器保護の観点から、反応槽20、ポンプ54から粉砕槽(ビーズミル)10への配管、粉砕槽(ビーズミル)10、粉砕槽(ビーズミル)10から反応槽20への配管が好ましく、粉砕槽(ビーズミル)10及びポンプ54の機器保護の観点から、反応槽20、ポンプ54から粉砕槽(ビーズミル)10への配管、粉砕槽(ビーズミル)10から反応槽20への配管がより好ましく、中でも、図1に示されるように、反応槽20であることが好ましい。
本実施形態の固体電解質の製造設備は、上記反応装置、ハロゲン供給手段の他、例えば、固液分離する装置を有することができる。原料の反応において溶媒を用いる場合、反応装置で得られた固体電解質は溶媒を伴う液体(以下、「固体電解質含有液」と称することがある。)となるため、固体電解質含有液から溶媒を除去することが好ましい。溶媒の除去が必要な場合、通常乾燥処理を行う乾燥装置が設けられるが、固液分離する装置を設けて事前に溶媒をある程度除去することで、乾燥処理における負荷軽減を図ることが可能となる。
本実施形態の固体電解質の製造設備は、乾燥処理装置を有することができる。原料の反応において溶媒を用いる場合、反応装置で得られた固体電解質含有液は溶媒を含むため、溶媒を除去することが好ましい。乾燥処理装置は、上記反応装置により得られた固体電解質含有液、上記固液分離する装置を有する場合は該固液分離する装置から得られる固体電解質等の固体を含むスラリーを乾燥し、固体電解質の製品を得るための設備である。
固体電解質を含むスラリーの乾燥処理装置としては、その処理量に応じて適宜方法を選択すればよく、処理量が比較的少量であれば、例えばホットプレート等の加熱器が挙げられ、50〜90℃で加熱し、溶媒を除去することができる。また、処理量が比較的多量であれば工業用の各種乾燥機等の乾燥装置を用いて乾燥する方法等が挙げられる。
よって、本実施形態の固体電解質の製造設備は、乾燥処理装置により除去される溶媒を反応装置に供給する手段を有することができる。乾燥処理装置により除去される溶媒を反応装置に供給する手段は、後述する液体の処理装置に付随して設けられ得る、反応装置に供給する手段と共用してもよい。また、乾燥処理装置により除去される溶媒を反応装置に供給する手段のかわりに、乾燥処理装置により除去される溶媒を液体の処理装置に供給する手段を有することにより、溶媒の再利用を図ってもよい。
本実施形態の固体電解質の製造設備は、上記固液分離する装置から得られた液体を処理する、液体の処理装置を有していてもよい。溶媒を用いる場合に好ましく設けられる固液分離する装置から得られた液体には、溶媒の他、上記の硫黄等の硫黄含有化合物、有機ハロゲン化合物等の反応副生成物が含まれる場合がある。これらの反応副生成物は、例えば固体電解質に含まれると、イオン伝導度が低下し、優れた電池性能を低下させる場合があり、また他の用途においても安全性等の観点から好ましくない場合がある。一方、溶媒は、例えば物質X2以外の他の原料と物質X2との反応、また他の用途においても用いることができることから、溶媒を再利用することは、製造設備からの廃液の排出量と、原料の反応に新たに供給する溶媒の供給量とを低減して、より安価に固体電解質を製造する観点から、更には安全性の観点からも好ましい。
本実施形態の固体電解質の製造設備は、液体の処理装置を有することで、固液分離する装置から得られた液体を処理し、上記の硫黄等の硫黄含有化合物、有機ハロゲン化合物等の反応副生成物を除去することで、処理後の液体を溶媒として有効に再利用を図ることができる。
本実施形態の固体電解質の製造設備は、上記乾燥処理装置による乾燥処理により得られた固体電解質を加熱する固体電解質の加熱装置を有することができる。上記乾燥処理装置による乾燥処理により得られた固体電解質は、後述する非晶質の固体電解質であり、これを加熱装置により加熱することにより、後述する結晶性の固体電解質とすることができる。
加熱装置としては、特に制限されるものではないが、例えば、ホットプレート、真空加熱装置、アルゴンガス雰囲気炉、焼成炉、また、工業的には、加熱手段と送り機構を有する横型乾燥機、横型振動流動乾燥機等を用いることもできる。
本実施形態の固体電解質の製造方法は、少なくともリチウム元素、硫黄元素及びリン元素を含む原料に、下記一般式(1)で示される物質を連続的に添加すること、該原料と該物質とを反応させること、を含むものである。
X2…(1)
(一般式(1)中、Xは、ハロゲン元素である。)
また、物質X2も、本実施形態の固体電解質の製造設備の説明において記載したものから適宜選定すればよく、同じものである。
本実施形態の固体電解質の製造方法は、物質X2を連続的に添加することを要する。物質X2を連続的に添加しないと、他の原料中における物質X2の分散性が低下し、物質X2以外の他の原料と物質X2との反応が進行しにくくなり、イオン伝導度が低下し、優れた電池性能が得られない。本実施形態において、「物質X2を連続的に添加」は、常に物質X2を添加し続けることの他、一定時間かけて同程度の量で何回かに分けて断続的に添加すること(例えば、滴下のような添加の形態)も含む意味である。
より具体的には、例えば、少なくともリチウム元素、硫黄元素及びリン元素を含む原料の反応を開始する(反応装置を起動して、混合、撹拌、粉砕又はこれらを組み合わせた処理等を開始する)と同時に、又は反応を開始した後に物質X2を連続的に添加することができる。なお、本実施形態において「同時に行う」は1秒違わず同じ時に行う厳密な意味だけでなく、同時に行おうとしたものの若干遅れて行った(例えば開始から数秒以内に行った)場合も含む意味である。
物質X2以外の他の原料と物質X2との反応は、混合、撹拌、粉砕又はこれらを組み合わせた処理により行うことが好ましい。このような処理をすることで、原料同士の接触を促進させて、イオン伝導度を向上させ、より優れた電池性能を有する固体電解質が効率よく得られる。混合、撹拌、粉砕又はこれらを組み合わせた処理については、本実施形態の固体電解質の製造設備の説明において記載した内容と同じであり、このような処理は、例えば、上記の本実施形態の固体電解質の製造設備における反応装置により実施することができる。
また、原料同士の接触を促進させる観点から、特に粉砕を含む処理、すなわち、粉砕、又は撹拌及び粉砕の処理を行うことが好ましい。粉砕を含む処理を行うことで、原料の表面が削られて、新たな表面が露出し、該新たな表面と他の原料の表面とが接触するため、原料同士の反応がより進行し、効率よく固体電解質が得られる。
原料と溶媒等とを混合し、撹拌する場合は、混合及び撹拌中並びに/若しくはその後に、更に原料を加えて混合し、混合及び撹拌してもよく、これを2回以上繰り返してもよい。例えば、原料と溶媒等とをボールミル、又はビーズミルの容器に投入して、混合及び撹拌を開始し、混合及び撹拌中に更に原料を該容器に投入してもよいし、混合及び撹拌後(混合及び撹拌を一旦停止した後)に原料を該容器に投入し、混合及び撹拌を再開してもよいし、また、混合及び撹拌中、並びにその後に原料を該容器に投入してもよい。
このように、原料を更に加えることで、必要に応じて行う溶媒の除去等の処理の回数を少なくすることができるので、より効率的に固体電解質を得ることができる。
なお、更に原料を加える場合、必要に応じて溶媒も加えてもよいが、固体電解質を得る際に溶媒を除去する場合もあるので、その添加量は必要最小限に留めておくことが好ましい。
本実施形態で用いられる溶媒としては、脂肪族炭化水素溶媒、脂環族炭化水素溶媒、芳香族炭化水素溶媒等の炭化水素溶媒;アルコール系溶媒、エステル系溶媒、アルデヒド系溶媒、ケトン系溶媒、エーテル系溶媒、炭素原子とヘテロ原子を含む溶媒、等の炭素原子を含む溶媒が好ましく挙げられる。
より具体的には、ヘキサン、ペンタン、2−エチルヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン等の脂肪族炭化水素溶媒;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、トリフルオロメチルベンゼン、ニトロベンゼン、クロロベンゼン、クロロトルエン、ブロモベンゼン等の芳香族炭化水素溶媒;エタノール、ブタノール等のアルコール系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ジメチルホルムアミド等のアルデヒド系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;二硫化炭素、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン等の炭素原子とヘテロ原子を含む溶媒等が挙げられる。
物質X2を溶解し得る溶媒としては、その物質X2の溶解度が、好ましくは0.01質量%以上のもの、より好ましくは0.03質量%以上のもの、更に好ましくは0.05質量%以上のもの、特に好ましくは0.1質量%以上のものが用いられる。また、物質X2の溶解度の上限に特に制限はないが、例えば、60質量%以下、55質量%以下、10質量%以下の溶解度を例示することができる。
物質X2(2g)を溶媒3mLに加えて、室温(25℃)で20分撹拌した。上澄み液0.1gを秤量し、その上澄み液にチオ硫酸ナトリウム水溶液(10質量%、Na2S2O3)1gを加え、1分程度振とうして溶液の着色が消えたのを確認した。上記溶液のヨウ素濃度をICP発光分光分析法(高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法)で定量し、物質X2の溶解度を算出した。
溶媒に、硫化アルカリ金属を加え、20℃(室温)で十分に混合した。溶媒に溶解できなかった硫化アルカリ金属が溶液中に存在することを目視した。次いで、得られた溶液について、誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析装置を用いて、誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析法を行った。これにより得られた溶液中のアルカリ金属、すなわち溶媒中に溶解しているアルカリ金属の含有量を測定し、硫化アルカリ金属の溶解度(質量%)を算出した。
また、例えば物質X2として臭素(Br2)を用いる場合は、臭素(Br2)と他の原料との反応を効率的に行う観点から、電子求引基で置換したもの、例えば、tert−ブチルベンゼン、トリフルオロメチルベンゼン、ニトロベンゼン、クロロベンゼン、クロロトルエン等のベンゼン環を有する溶媒を用いることができる。
溶媒を用いて物質X2以外の他の原料と物質X2との反応を行う場合、反応により得られた固体電解質は溶媒を伴う固体電解質含有液であり、該固体電解質含有液から溶媒を除去することが好ましい。溶媒の除去が必要な場合、通常乾燥処理を行うが、固液分離を行い事前に溶媒をある程度除去することで、乾燥処理における負荷軽減を図ることが可能となる。すなわち、本実施形態の固体電解質の製造方法は、溶媒を用いて物質X2以外の他の原料と物質X2との反応により得られた固体電解質含有液を固液分離すること、を含むことが好ましい。
固形分離により、固体を含むスラリー中の固体の含有量を上記範囲内とすれば、液体の回収による製造設備からの廃液の排出量を低減効果と、固液分離に用いる機器の規模及びコストとのバランスが良好なものとなる。
また、固液分離により回収される液体中の、硫黄等の硫黄含有化合物の含有量は、使用する原料の種類及びその配合比に応じてかわるため一概に定めることはできないが、硫黄原子換算で、通常0.1質量%以上程度であり、上限としては3質量%以下程度である。
反応により得られた固体電解質が、溶媒を伴う固体電解質含有液である、又は上記の固液分離した後に得られる、固体電解質等の固体を含むスラリーである場合、本実施形態の固体電解質の製造方法は、更に固体電解質含有液、又は固体を含むスラリーを乾燥処理すること、を含むことが好ましい。また、固体電解質含有液、又は固体を含むスラリーを乾燥処理により、溶媒を除去することで、反応副生成物である硫黄の除去も可能となる。
乾燥処理は、例えば、上記の本実施形態の固体電解質の製造設備における乾燥処理装置として例示した各種乾燥機により行うことができる。また、乾燥処理の諸条件は、上記乾燥処理装置の説明で記載した条件から適宜選択すればよい。
本実施形態の固体電解質の製造方法は、上記固液分離する装置から得られた液体を処理すること、を有していてもよい。溶媒を用いる場合、固液分離する装置から得られた液体には、主に溶媒が含まれるが、その他、上記の硫黄等の硫黄含有化合物、有機ハロゲン化合物等の反応副生成物が含まれることがある。上記のように、これらの反応副生成物は様々な不都合を生じるため、固液分離する装置から得られた液体中の溶媒を再利用する場合は、これらの反応副生成物は除去することが好ましい。
本実施形態の固体電解質の製造方法においては、固液分離する装置から得られた液体の処理を行い、上記の硫黄等の硫黄含有化合物、有機ハロゲン化合物等の反応副生成物を除去することで、得られた溶媒を、物質X2以外の他の原料と物質X2との反応を溶媒を用いて行う場合の溶媒等として、有効に再利用を図ることができる。
液体の処理により得られた溶媒を再利用することは、上記の本実施形態の固体電解質の製造設備における、反応装置に供給する手段により行うことができる。
固体を含むスラリーの乾燥処理により除去した溶媒を再利用することは、上記の本実施形態の固体電解質の製造設備における、乾燥処理装置により除去される溶媒を反応装置に供給する手段等により行うことができる。
本実施形態の固体電解質の製造設備、製造方法により得られる固体電解質は、リチウム元素、硫黄元素、リン元素及びハロゲン元素を含む、非晶質の固体電解質である。本明細書において、非晶質の固体電解質とは、X線回折測定においてX線回折パターンが実質的に材料由来のピーク以外のピークが観測されないハローパターンであるもののことであり、固体電解質の原料由来のピークの有無は問わないものであることを意味する。
非晶質の固体電解質としては、例えば、代表的なものとしては、Li2S−P2S5−LiI、Li2S−P2S5−LiCl、Li2S−P2S5−LiBr、Li2S−P2S5−LiI−LiBr、Li2S−P2S5−Li2O−LiI、Li2S−SiS2−P2S5−LiI等が挙げられる。非晶質の固体電解質を構成する元素の種類は、例えば、ICP発光分光分析装置により確認することができる。
本実施形態の固体電解質の製造方法は、固液分離、必要に応じて乾燥処理した固体電解質を更に加熱をすること、を含むことができる。更に加熱することにより、非晶質の固体電解質を結晶性の固体電解質とすることができる。
加熱温度は、非晶質の固体電解質の構造に応じて適宜選択することができ、例えば、非晶質の固体電解質を、示差熱分析装置(DTA装置)を用いて、10℃/分の昇温条件で示差熱分析(DTA)を行い、最も低温側で観測される発熱ピークのピークトップを起点に好ましくは±40℃、より好ましくは±30℃、さらに好ましくは±20℃の範囲とすればよい。
より具体的には、加熱温度としては、150℃以上が好ましく、170℃以上がより好ましく、190℃以上が更に好ましい。一方、加熱温度の上限値は特に制限されるものではないが、300℃以下が好ましく、280℃以下がより好ましく、250℃以下が更に好ましい。
固体電解質の加熱は、上記の本実施形態の固体電解質の製造設備における加熱装置により行うことができる。
上記のように、非晶質の固体電解質を加熱することで、結晶性の固体電解質が得られる。結晶性の固体電解質とは、X線回折測定においてX線回折パターンに、固体電解質由来のピークが観測される固体電解質であって、これらにおいての固体電解質の原料由来のピークの有無は問わない材料である。すなわち、結晶性の固体電解質は、固体電解質に由来する結晶構造を含み、その一部が該固体電解質に由来する結晶構造であっても、その全部が該固体電解質に由来する結晶構造であってもよい、ものである。そして、結晶性の固体電解質は、上記のようなX線回折パターンを有していれば、その一部に非晶質の固体電解質が含まれていてもよいものである。
ここで、2θ=20.2°近傍及び23.6°近傍にピークを有する結晶構造が好ましい。例えば、2θ=20.2°±0.3°及び23.6°±0.3°にピークを有する結晶構造である。
図1に示される反応装置を用いて固体電解質を製造した。本実施例においては、ビーズミルとして「ビーズミルLMZ015」(アシザワ・ファインテック(株)製)を用い、直径0.5mmのジルコニアボール485gを仕込み、また、反応槽として、撹拌機付き2.0リットルガラス製反応器を使用した。
ヨウ素及び臭素の投入終了後、ビーズミル10の周速を12m/sとし、外部循環により温水(HW)を通水し、ポンプ54の吐出の温度が70℃に保持されるように反応させて、固体電解質含有液を調製した。
加熱後の粉末について、X線回折(XRD)装置(SmartLab装置、(株)リガク製)を用いて粉末X線解析(XRD)測定を行った。X線解析スペクトルによれば、2θ=19.9°、23.6°に結晶化ピークが検出され、結晶性の固体電解質が得られたことが確認された。得られた結晶性の固体電解質について、下記(イオン伝導度の測定)に従い、イオン伝導度を測定したところ、5.55×10−3(S/cm)であり、高いイオン伝導度を有していることが確認された。
(イオン伝導度の測定)
結晶性の固体電解質から、直径10mm(断面積S:0.785cm2)、高さ(L)0.1〜0.3cmの円形ペレットを成形して試料とした。その試料の上下から電極端子を取り、25℃において交流インピーダンス法により測定し(周波数範囲:5MHz〜0.5Hz、振幅:10mV)、Cole−Coleプロットを得た。高周波側領域に観測される円弧の右端付近で、−Z’’(Ω)が最小となる点での実数部Z’(Ω)を電解質のバルク抵抗R(Ω)とし、以下式に従い、イオン伝導度σ(S/cm)を計算した。
Claims (6)
- リチウム元素、硫黄元素、リン元素及びハロゲン元素を含む原料を反応させて固体電解質を製造する反応装置と、
該ハロゲン元素を含む原料として、少なくとも下記一般式(1)で示される物質を供給するハロゲン供給手段と、
を有する固体電解質の製造設備。
X2…(1)
(一般式(1)中、Xは、ハロゲン元素である。) - 前記ハロゲン供給手段が、前記物質の貯蔵槽と供給部とを備える請求項1に記載の固体電解質の製造設備。
- 前記物質の供給部が、供給速度の調整機能を備える請求項2に記載の固体電解質の製造設備。
- 前記反応装置が、反応槽及び粉砕機を備え、前記ハロゲン供給手段が、該反応槽、該粉砕機、及び該反応槽と該粉砕機とを連結する手段の少なくとも1つに連結される請求項1〜3のいずれか1項に記載の固体電解質の製造設備。
- 少なくともリチウム元素、硫黄元素及びリン元素を含む原料に、下記一般式(1)で示される物質を連続的に添加すること、
該原料と該物質とを反応させること、
を含む固体電解質の製造方法。
X2…(1)
(一般式(1)中、Xは、ハロゲン元素である。) - 前記物質を、前記原料と該物質とを反応させながら添加する請求項5に記載の固体電解質の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017180633A JP6875050B2 (ja) | 2017-09-20 | 2017-09-20 | 固体電解質の製造設備及び製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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