本発明を実施するための形態を説明する。
(透過特性測定システムの実施形態)
図1は、本発明の光による特性測定システムの一実施形態である透過特性測定システムの概略図を示す。
透過特性測定システム1は、照射用ファイバ用光源10、入射用ファイバ11、複数の出射用ファイバ15、分光イメージングユニット20、処理装置30を備えている。
照射用ファイバ用光源10は、入射用ファイバ11へ光を供給するための光源である。この光に基づき透過特性が測定される。照射用ファイバ用光源10としては、例えば、LEDを適用すれば、光源側で分光することもできる。すなわち、光源側で波長を限定して、その波長に対する透過特性を調べることができる。これにより、光源側の波長範囲毎に透過特性を調べることができる。
入射用ファイバ11は、一本の光ファイバであり、一端が照射用ファイバ用光源10と接続されており、他端が測定対象物200に当てるように配置されている。入射用ファイバ11の他端側には、補強部12が形成されており、入射用ファイバ11の周りを金属などのパイプ状の円筒部材で補強してある。これにより補強部12では入射用ファイバ11が直線状となり、測定対象物200の表面に対して直角に当接させることができる。また、先端側側面では、補強部12と同時に入射用ファイバ11を研磨して、平らな先端面を形成することができる。
出射用ファイバ15は、複数の光ファイバであり、それぞれ、一端が測定対象物200に当てるように配置されている。ここで、複数の出射用ファイバ15の一端の位置は、入射用ファイバ11の測定対象物200に対する当接位置から、距離をそれぞれ変えた当接位置になるように配置される。また、出射用ファイバ15の他端は、分光イメージングユニット20へ接続されている。また、出射用ファイバ15の一端側には、補強部16が形成されており、出射用ファイバ15の周りを金属などの円筒部材で補強してある。これにより補強部16では出射用ファイバ15が直線状となり、測定対象物200の表面に対して直角に当接させることができる。また、先端側側面では、補強部16と出射用ファイバ15を同時に研磨して、平らな先端面を形成することができる。
ここで、補強部12、16の材質としては、アルミ等の金属や樹脂を採用できる。特に反射率の低い材質であれば、測定に影響が少なく有効である。例えば、黒いアルマイトメッキや低温クロムメッキ等が施された金属材や光を吸収する樹脂等を用いることができる。
入射用ファイバ11は、石英ファイバ又は多成分ファイバとすることができる。また、出射用ファイバ15は石英ファイバ又は多成分ファイバとすることができる。このときの組合せとして、入射用ファイバ11は多成分ファイバ、出射用ファイバ15は石英ファイバも選択できる。さらに、入射用ファイバ11と出射用ファイバ15の太さは同じでもよく、違っていてもよい。
図1の例では、出射用ファイバ15は、15a、15b、15c、15d、15e、15fによる6本の例を示してある。これらは、入射用ファイバ11の測定対象物200に対する当接位置から、出射用ファイバ15a、15b、15c、15d、15e、15fの順に距離を離して一列に配列されている。即ち、入射用ファイバ11の測定対象物200に対する当接位置から、出射用ファイバ15a、15b、15c、15d、15e、15fの測定対象物200に対する当接位置までのそれぞれの異なる距離r1、r2、r3、r4、r5、r6は、この順で大きくなっていく。このとき、透過特性の測定対象位置201は、入射用ファイバ11の測定対象物200に対する当接位置と、出射用ファイバ15の測定対象物200に対する当接位置との間になる。
処理装置30は、分光イメージングユニット20と接続線31を介して接続され、透明度等の透過特性に関する算出を行うことができる装置である。例えば、パソコン等のデータ処理を行える機構であれば適用することができる。接続線31はUSBケーブル等、取り込んだ画像の転送ができるケーブルであればよい。なお、処理装置30を分光イメージングユニット20と一体化することも可能である。
図2は、図1の透過特性測定システムに適用する分光イメージングユニットの一例を示す斜視図である。図2は、内部が見えるように透視斜視図となっている。
分光イメージングユニット20は、複数の出射用ファイバ15と接続されており、組合せ凸レンズ21、プリズム22、グレーティング23、プリズム24、組合せ凸レンズ25、光センサ26を長手方向にこの順で備えている無収差分光器である。
複数の出射用ファイバ15は、横方向に並んで分光イメージングユニット20と接続されている。プリズム22は、垂直面22bがグレーティング23側で、斜面22aが組合せ凸レンズ21側の向きで配置されている。プリズム24は、垂直面24bがグレーティング23側で、斜面24aが組合せ凸レンズ25側の向きで配置されている。プリズム22、24は、角度補正用のプリズムである。グレーティング23は、波長分散のためのグレーティングである。光センサ26は2次元の光センサである。例えば、CCDカメラやCMOS等、シリコンやInGaAsを材料としたモノクロカメラを適用できる。
ここで、出射用ファイバ15から入力された光は、組合せ凸レンズ21、プリズム22、グレーティング23、プリズム24、組合せ凸レンズ25を通して、光センサ26に結像される。ここでの結像は、横方向が空間軸となり、縦方向が波長軸となる。
このため、分光イメージングユニット20により、空間情報は保存され、一方、エネルギー情報は、波長毎に分解される。一方は空間軸、一方は波長軸の形で、光センサ26である2次元センサに収斂する形をとる。分光イメージングユニット20内で、入射用ファイバ11によるファイバ入射ポイントに対する空間情報が保存されるため、波長分散された信号を、測定対象物200への入射と出射間の距離の違いに沿って、直接検知できることとなる。
分光イメージングユニット20の光センサ26で取得した情報は、処理装置30へ送信される。処理装置30では、この情報を受け取り透明度等の透過特性の演算を行う。
透明度測定の演算について説明する。
複数の出射用ファイバ15を用いて、測定間距離(r)を変えた光強度(R)から、全波長の吸収係数(μa)ならびに散乱係数(μsd)を解くことができる。具体的には、以下に示す拡散方程式により、連立方程式を立てそれを解くことにより、各々の光強度に合致するように、全波長の散乱係数(μa)ならびに散乱係数(μsd)を未知数として解く。
ここで、式1で用いた定数の定義は次の通りである。
…(式2)
…(式3)
…(式4)
…(式5)
ここで、uaは吸収係数である。usdは散乱係数である。z0は平均散乱距離である。ρは平均散乱距離を加味した測定間距離である。μeffは効果的減衰係数である。Dは拡散係数である。
また、rは上述した、入射用ファイバ11先端の測定対象物200に対する当接位置から、複数の出射用ファイバ15先端の測定対象物200に対する当接位置までの距離である。また、Rは、光強度であり、図2で説明した分光イメージングユニット20の結像結果から求めることができる。ここで、光強度Rは、距離(r)ごとに算出される。これにより、複数の距離(r)に対する光強度Rの値が求まれば、上記、連立方程式を解き、全波長に対する散乱係数(μa)ならびに散乱係数(μsd)を解くことができる。なお、距離(r)の数が多いほど、正確な値を算出できる。図1の例では、距離r1、r2、r3、r4、r5、r6の6箇所により光強度Rをそれぞれ測定している。なお、距離(r)の数は2以上でもよく、3以上、5以上、6以上と数を増やす毎に正確な散乱係数(μa)ならびに散乱係数(μsd)を得ることができる。
上記で得られた上記2つのパラメータである、吸収係数(μa)ならびに散乱係数(μsd)の内、散乱係数(μsd)からは、例えば、試料の透明度と比例した値を得ることが可能であり、この性質により透明度を算出する。
計算された散乱係数(μa)ならびに散乱係数(μsd)は波長毎の値を持つ。これらからひとつの透明度というパラマーを求めるためには、人間の眼と同等の、等色関数のY関数(y(λ))を用いる。
例えば、測定範囲が、380〜780nmの場合、以下の式となる。
…(式6)
ここで、SanranYは、目視に合致した散乱度を示す。また、K1は微調整のための係数である。
透明度は散乱度の逆数をとれば良いため、下記で示す式となる。
…(式7)
ここで、ToumeiYは透明度である。K2は微調整のための係数である。
また、波長の範囲は、適宜選択でき、例えば、中心部(503〜637nm)だけの場合は、散乱度を求める式は以下となる。
…(式8)
ここで、K3は微調整のための係数である。
なお、厳密に等色関数Y値(全波長)に拘る必要はなく、目視で見て合えば良い。したがって、実験的に人間との目視との相関が取れればよく、任意バンドパス幅を有する、530nmの値としても問題はない。また、得られた試料の散乱度の逆数は、そのまま試料の透明度と比例した値となる。なお、上述してきた実施例では、特定の範囲の波長で示したが、これに限らず、測定対象物の材質に応じて様々な波長の範囲を適用することができる。
上記では、散乱係数(μa)から透明度(ToumeiY)を求めることを説明した。また、もう一方の吸収係数(μa)が判れば、それぞれの物質の吸収係数*濃度の総和(混合)と考えることが可能なため、次の加法定理が成立し、各成分量を解くことができる。
ここでは、上記で示した波長毎の吸収係数(μa)の代わりに、スペクトルSで説明を加える。混合物スペクトルは等波長間隔でN個にサンプルされているとした場合、この混合物のスペクトルは各波長の吸光度x1、x2、x3、・・xNを要素とするN次元ベクトルxで表現する。同様にM個の成分の単位当たりのスペクトルをそれぞれS1、S2、S3、・・SMと表す。M個の標準スペクトルは一つにまとめてN*M行列 S=(S1、S2、・・SM)で表すことができる。
混合物を構成する成分の各成分量をc1、c2、・・cMとして、これをまとめてM次元ベクトルc=(c1、c2、・・cM)tで表す。ただしtは転置を意味する。ここで混合物ベクトルxは成分スペクトルSiと成分量ciとを用いて次の関係を持つ。
x=c1s1+c2s2+・・・・+cMsM
= Sc
…(式9)
この式において成分スペクトルSを既知として、測定データxから成分量cを求めれば良い。
この手法は推定成分量cによってつくられるスペクトルScと、測定混合スペクトルxとの残差ベクトルx―Scに対し、その2乗のノルム、即ち、次の式で表されるQを最小にするという方向性実施により、成分量cを求めることである。
Q= |x − Sc|2
…(式10)
従って結果的には、微小変化を与えた時の、Qの微小変化量、即ち下記で示す偏微分係数が、最小値、0に近づければ良いことと同義となる。即ち、
dQ/dc1=0 dQ/dc2=0 dQ/dc3=0
…(式11)
を解くことと同義となり、その結果は、結果的に
c=(St・S)−1 St・x
…(式12)
を解けばよい。
この式より、スペクトルSに対し、測定混合物スペクトルxが与えられれば、推定成分量cが求まる。これは、一般的には、最小二乗法の解き方であり、基本的には、ターゲットの吸収係数スペクトルと、それぞれコンポーネント毎の、ある一定量における、吸収係数(μa)が判っていれば、解ける。
この他にも、混合物から、各々のコンポーネントの定量手法については、既に、公知の技術があるが、その他の解法については、割愛する。
(透過特性測定システムの測定部分の第1の具体例)
図3は、本発明の光による特性測定システムの一実施形態である透過特性測定システムにおける測定部分の第1の具体例を示す側面図である。図4は、本発明の光による特性測定システムの一実施形態である透過特性測定システムにおける測定部分の第1の具体例を示す底面図である。
透過特性測定システムの測定部分の第1の具体例では、図3、4に示すように、入射用ファイバ11と出射用ファイバ15との間を結ぶ方向(縦方向)と直角の方向(横方向)に並ぶ複数の入射用ファイバ11と出射用ファイバ15を有する構成について説明する。
透過測定部40は、入射用ファイバ11及び出射用ファイバ15以外に、1つの入射側ブロック41と、スペーサー43、複数(6つ)の出射側ブロック42を備えている。
入射側ブロック41は横方向を長手方向とする直方体形状である。そして、入射側ブロック41には、横方向に並ぶ6つの孔が上下に垂直に貫通して有しており、ここに6つの入射用ファイバ11が挿入される。そして、入射用ファイバ11の先端側は、入射側ブロック41の下側端面とほぼ一致しており、光が出る場所となる。
出射側ブロック42は横方向を長手方向とする直方体形状である。そして、出射側ブロック42の縦方向の中央付近には、横方向に並ぶ6つの孔が上下に垂直に貫通して有しており、ここに6つの出射用ファイバ15が挿入される。そして、出射用ファイバ15の先端側は、出射側ブロック42の下側端面とほぼ一致しており、光が入る場所となる。
出射側ブロック42は、縦方向に側面が当接して並んで6つ配置されている。それぞれの出射側ブロック42には、出射用ファイバ15a、15b、15c、15d、15e、15fが横方向に6つずつ挿入される。このため、図3、4の例では計36の出射用ファイバ15を使用している。
図3、4の例では、入射側ブロック41と出射側ブロック42の横方向の孔は等間隔で、対応する横方向の位置はそれぞれ同じ位置に配置している。また出射側ブロック42において、縦方向に隣り合う出射側ブロック42における孔同士の距離はそれぞれ同じとなっている。
スペーサー43は、直方体形状であり、入射側ブロック41と入射側ブロック41に一番近い出射側ブロック42の間に配置される。すなわちスペーサー43の一方の側面は入射側ブロック41の一側面に当接し、他方の側面は出射側ブロック42の一側面に当接する。これにより、入射側ブロック41、スペーサー43、出射側ブロック42の順で構成され出射側ブロック42は複数並んで構成される。スペーサー43の縦方向の距離は測定したい範囲で決定される。
ここで、入射側ブロック41、スペーサー43、出射側ブロック42の材質としては、アルミ等の金属や樹脂を採用できる。特に反射率の低い材質であれば、測定に影響が少なく有効である。例えば、黒いアルマイトメッキや低温クロムメッキ等が施された金属材や光を吸収する樹脂等を用いることができる。このとき、入射側ブロック41と同時に入射用ファイバ11、及び、出射側ブロック42と同時に出射用ファイバ15を研磨して、平らな下端面を形成することができる。
このように構成することで、横方向に並んだ6つの入射用ファイバ11から光が発せられ、入射用ファイバ11からの距離r1、r2、r3、r4、r5、r6ごとに6箇所ずつ出射用ファイバ15から光を入れて測定することになり、SNを減らしてより正確な透明度等の透過特性の測定をすることができる。
(透過特性測定システムの測定部分の第2の具体例)
図5は、本発明の光による特性測定システムの一実施形態である透過特性測定システムにおける測定部分の第2の具体例を示す幅方向中央部を長手方向に切断した断面図である。図6は、本発明の光による特性測定システムの一実施形態である透過特性測定システムにおける測定部分の第2の具体例を示す底面図である。
透過測定部50は、ファイバ固定部51、ベース部52、外枠53、円筒固定部54、円筒部55、接続部56を有しており、内部に入射用ファイバ11と出射用ファイバ15が配置されている。ここで、透過測定部50の長手方向を図5における左右方向、長手方向に直交する方向を幅方向とする。
ファイバ固定部51は、上下方向に垂直に貫通する複数の孔を有している。この孔は図3及び図4で説明した入射側ブロック41及び出射側ブロック42の孔の配置と同様に構成することができる。すなわち、幅方向に並ぶ入射用ファイバ11の挿入用の複数(5つ)の孔を有している。さらに、そこから長手方向に離れた異なる距離の6箇所で、幅方向に並んだ複数(5つ)の孔を有している。これら30個の孔は出射用ファイバ15(15a、15b、15c、15d、15e、15f)用の孔となる。
ここで、ファイバ固定部51は、下面が平らな1つのブロックとして適用でき、材質としては、アルミ等の金属や樹脂を採用できる。特に反射率の低い材質であれば、測定に影響が少なく有効である。例えば、黒いアルマイトメッキや低温クロムメッキ等が施された金属材や光を吸収する樹脂等を用いることができる。
また、ファイバ固定部51は、1つのブロック以外に、図3及び図4で説明した入射側ブロック41、出射側ブロック42、スペーサー43を組み合わせた構成を適用してもよい。
ファイバ固定部51は、周囲の下側でベース部52に固定されており、ベース部52の端部付近の上側には円筒固定部54が備えられ、ここに円筒部55が固定される。また、ベース部52の上部には外枠53を備え、外枠53の内部は、入射用ファイバ11及び出射用ファイバ15が備えられる。
入射用ファイバ11及び出射用ファイバ15は、上部からファイバ固定部51の各孔に挿入され、先端部は、ファイバ固定部51下端部と一致させる。このとき、ファイバ固定部51と同時に入射用ファイバ11及び出射用ファイバ15を研磨して、平らな下端面を形成することができる。下端部では、入射用ファイバ11から、出射用ファイバ15a、15b、15c、15d、15e、15fの順で距離が離れていく。
円筒部55は長手方向に平行に配置され一端が外枠53の内部、他端が外枠53の外側に配置されて接続部56と接続されている。ここで、入射用ファイバ11及び出射用ファイバ15は、外枠53の内側から、円筒部55及び接続部56を介して、入射用ファイバ11は照射用ファイバ用光源10へ、出射用ファイバ15は分光イメージングユニット20へ接続されている。
測定者は、ファイバ固定部51の下端を測定対象物の表面に当てて測定を行う。このとき、入射用ファイバ11の先端と出射用ファイバ15の先端の間に測定対象位置となるように調整する。これにより透明度等の透過特性を調べることができる。また、横方向に入射用ファイバ11及び出射用ファイバ15を複数並べているため、より正確な測定を行うことができる。
(透過特性測定システムの標準値校正の第1の例)
図7は、本発明の光による特性測定システムの一実施形態である透過特性測定システムにおける標準値校正の第1の例を示す側面図である。
この例では、図3、4に示した、入射側ブロック41の下端側と出射側ブロック42の下端側を横にして、それぞれ向かい合わせて接触させることにより行う。このとき、横方向に並んだ入射側ブロック41の孔の位置と出射側ブロック42の孔の位置は、それぞれを合わせておく。これにより、入射用ファイバ11と出射用ファイバ15の先端位置が合うことになる。ここで、入射用ファイバ11と出射用ファイバ15の先端同士は接触(オプティカルコンタクト)している。
入射用ファイバ11へ、光源61から、NDフィルタ62を介して光を入射する。そして、その光は出射用ファイバ15へと伝わり、出射用ファイバ15からは、分光イメージングユニット20に送られる。このときの結果に基づき標準値の校正を行うことができる。
このように照射のファイバと、受光側ファイバがオプティカルコンタクトしていることにより、より正確な基準用光量を取得することができ、100%透過率校正を行うことができる。
(透過特性測定システムの標準値校正の第2の例)
図8は、本発明の光による特性測定システムの一実施形態である透過特性測定システムにおける標準値校正の第2の例を示す側面図である。
この例では、入射用ファイバ11の先端及び出射用ファイバ15の先端を基準用部材65の表面に対して垂直に当てている。基準用部材65としては、散乱係数が一定の材質を適用できる。散乱係数は例えば、0.5〜1.5程度であるとよい。具体的には、オパールガラスや白色の樹脂材等を適用できる。
入射用ファイバ11からの光は、基準用部材65を介して出射用ファイバ15へと伝わり、出射用ファイバ15からは、分光イメージングユニット20に送られる。このときの結果に基づき標準値の校正を行うことができる。
このように基準用部材65を用いて基準用光量を取得することができ、100%透過率校正を行うことができる。また、この方式は、図3〜6に示した、透過測定部40及び50をそのまま基準用部材65に当てればよいため、製品を分解することなく、標準値の校正を行うことができる。
また、図7、8で示した標準値校正の例は組み合わせて使用することができる。例えば、図7における標準値校正の第1の例では、工場においてその標準値校正を行い、さらに、図8における標準値校正の第2の例では、製品の販売後において、実際の計測時等に標準値校正を行うこととしてもよい。このように2回の校正より正確な標準値の校正をすることができる。
(透過特性測定システムによる測定応用例)
上述した透過特性測定システムによる具体的な応用例について説明する。
上記透過特性測定システムを皮膚に用いた場合、透明度、透明感を測定することができる様になる。上述したように、距離を違えて捉えられた透過情報と、その距離間隔のパラメータから、拡散方程式を解いて、吸収、散乱係数に分けることができ、その散乱係数から直接、透明度を求めることが可能になる。透明度は、現在、皮膚評価の重要なパラメータとなっているものの、これをきちんと測るものが存在していなかった。本発明により、精度良く評価できる様になる。
また、皮膚の透過測定が可能になるため、皮膚の透過率を用いた色計算が可能になる。次に説明する反射光のパラメータとも合わせて、半透明体の情報を的確に捉えることが可能になり、皮膚の色彩に関する特性をより精密に調査することが可能になる。さらに、拡散方程式を用いて測定値から導き出されたターゲットの吸収係数より、その皮膚内に存在する物質の定量計算も可能になる。例えば、酸化ヘモグロビン、還元化ヘモグロビン、メラニン等の定量が可能になる。
また本発明は食品への応用も可能である。本発明は半透明性の試料であれば、殆どのものが測定可能になる。例えば食品評価も可能になる。本発明は、可視光だけでなく、近赤外光による透明度の測定にも適用できる。このときY関数は実験的に求めてもよく、相関のある波長から透明の関数を作ってもよい。可視光だけでなく、近赤外光の波長域(例えば、600−1100nm、あるいは、1000−2500nm等)の光を用いれば、可視域内で明らかになる色素成分に由来するスペクトル情報以外にも、赤外光による分子振動の2〜8倍音等に値する近赤外の吸収に由来するスペクトル情報を捉えられる。従って、食品中の物質、例えば試料が果実であれば、グルコース、フルクトース等の糖成分は勿論のこと、リンゴ酸等の酸成分等由来の物質定量が可能になる。
特に、果実、穀物等、それ以外も食パン等の加工成分の場合なども、非破壊にて内部成分が測定できる。今までの方式では、透過率から、Logをとり、吸光度に置き換えて、その2次微分に変換してから後、重回帰計算等の統計的計算手法を使って、定量するのが一般的であった。その場合、透過率から吸収度合いに変換して、調査するしかできなかったため、その取得スペクトルの意味が捉えきれていなかった。即ち、例えば、そのスペクトルの吸収度合いが、その基本となっている成分の吸収によるものか、あるいは物質組織の違いによる散乱係数が増えている事によるものかの違い、その合成度合いを調べることができていなかった。しかし、本発明では、入射、受光間隔距離を変えることにより、その距離間隔に合致した、透過光量の調査が可能になるため、結果的に吸収係数と散乱係数に別けられる。すなわち、スペクトルの違いが、組織の違いによるものか、組織内の物質の量の違いによるものかの判別ができる。
そのため、例えば、近赤外光を使った、非破壊検査にて、内部成分の定量精度をあげることができる様になった。また、同時に、散乱係数のみを抽出できることから、組織そのものの評価もできる様になった。例えば、それは果実(梨)の判定の場合、水梨と呼ばれる水芯果か正常果の判別、リンゴの場合、みつが入っているリンゴか、そうでないもの、また、柿の熟度の度合い等が判る。さらに、果実、穀物以外にも、ヨーグルトなどの乳製品、アイスクリーム等の、半透明性を有する食品の評価に有効である。
さらに、本発明は工業製品への応用も可能である。工業製品でも、半透明性の試料であれば、どんな試料でも対象になり得る。例えば、石鹸、プラスチック材料等の測定が応用範囲となり、石鹸の評価、プラスチック材(特に乳白)の評価等が可能となる。
(反射特性測定システムの実施形態)
図9は、本発明の光による特性測定システムの一実施形態である反射特性測定システムの概略図を示す。なお、図1、2で説明した透過特性測定システムの実施形態と同様の部分は同じ符号を付して説明を一部省略している。
反射特性測定システム2は、照射用ファイバ用光源10、入射用ファイバ71、ファイバ固定部73、複数の出射用ファイバ75、分光イメージングユニット20、処理装置30を備えている。
照射用ファイバ用光源10は、図1で説明した透過特性測定システムのものと同じである。この光に基づき反射特性を調べることができる。
入射用ファイバ71は、一本の光ファイバであり、一端が照射用ファイバ用光源10と接続されており、他端が測定対象物200に特定の角度から一定距離離した位置から光を当てられるようにファイバ固定部73に固定されている。このとき入射用ファイバ71の他端側には、補強部72が形成されており、入射用ファイバ71の周りを金属などのパイプ状の円筒部材で補強してある。これにより光が出る部分付近である補強部72の部分では入射用ファイバ71が直線状となる。また、先端側側面では、補強部72と同時に入射用ファイバ71を研磨して、平らな先端面を形成することができる。
出射用ファイバ75は、複数の光ファイバであり、それぞれ、測定対象物200に特定の角度から一定距離離した位置から光を受けられるようにファイバ固定部73に固定されている。ここでの特定の角度は、出射用ファイバ75ごとにすべて異なり、一定角度毎に光を受けられるように配置してもよい。また、出射用ファイバ75の他端は、分光イメージングユニット20へ接続されている。また、出射用ファイバ75の一端側には、補強部76が形成されており、出射用ファイバ75の周りを金属などの円筒部材で補強してある。これにより光を受ける部分付近である補強部76の部分では出射用ファイバ75が直線状となる。また、先端側側面では、補強部76と出射用ファイバ75を同時に研磨して、平らな先端面を形成することができる。
ファイバ固定部73は、円筒を半分に切り取った半円状の部材であり、幅方向に一定の厚みがある。内側の円弧部73aは、測定対象位置201を中心として半径dで形成される。円筒の厚みtは必要に応じた厚みで形成される。ファイバ固定部73には、測定対象位置201を中心として放射状に直線の孔が内側の円弧部73aから外側の円弧部73bへ貫通している。ここに入射用ファイバ71と出射用ファイバ75が、補強部72、76とともに挿入される。そして、内側の円弧部73aの面で入射用ファイバ71と出射用ファイバ75の先端が位置するように配置される。
図9の例では、入射用ファイバ71は、入射角αで測定対象位置201に光を当てる。そして、出射用ファイバ75は、入射角αと同じ垂直平面内において、測定対象位置201を中心として複数の角度から反射した光を受け取ることができる。なお、図9では、図9の右側の範囲で反射光を取得しているが、受光する角度の数を増やして左側まで入射用ファイバ71を設けてもよい。
入射用ファイバ71と出射用ファイバ75の先端部には、凸レンズを設けてもよい。通常ファイバの先端は、ある程度の範囲(例えば、マルチモードの石英ファイバであれば、約15°の開き角から、約30°の開き角の範囲)で光が広がるか、この範囲の光を受光する。ここで、ファイバの先端に凸レンズを設けることで平行光に対応することが可能となる。すなわち、入射用ファイバ71先端からは広がりのない平行光を出すことが可能であり、出射用ファイバ75では、先端から広がりのない平行光を受け取ることができる。
また、補強部72、76を用いずに、ファイバ固定部73に入射用ファイバ71と出射用ファイバ75用の孔を設けて直接挿入してもよい。この孔も、測定対象位置201を中心として放射状に内側の円弧部73aから外側の円弧部73bへ直線で貫通している。この場合も、内側の円弧部73aの面で入射用ファイバ71と出射用ファイバ75の先端が位置するように配置される。
入射用ファイバ71は、石英ファイバ又は多成分ファイバとすることができる。また、出射用ファイバ75は石英ファイバ又は多成分ファイバとすることができる。このときの組合せとして、入射用ファイバ71は多成分ファイバ、出射用ファイバ75は石英ファイバも選択できる。さらに、入射用ファイバ71と出射用ファイバ75の太さは同じでもよく、違っていてもよい。同じ場合は、補強部72、76、又は、ファイバ固定部73の孔を共通化でき、入射用ファイバ71と出射用ファイバ75の角度を広い範囲で選択できることになる。
また、ファイバ固定部73や補強部72、76の材質としては、アルミ等の金属や樹脂を採用できる。特に反射率の低い材質であれば、測定に影響が少なく有効である。例えば、黒いアルマイトメッキや低温クロムメッキ等が施された金属材や光を吸収する樹脂等を用いることができる。
分光イメージングユニット20は、図2で説明した構成となる。出射用ファイバ75から入力された光は、組合せ凸レンズ21、プリズム22、グレーティング23、プリズム24、組合せ凸レンズ25を通して、光センサ26に結像される。ここでの結像は、横方向が空間軸となり、縦方向が波長軸となる。そして、分光イメージングユニット20の光センサ26で取得した情報は、処理装置30へ接続線31を介して送信される。処理装置30では、この情報を受け取り反射特性の演算を行う。
このように、本発明の反射特性測定システムは、照明用の入射用ファイバ71を用いて、ある入射角αを有した角度から、光を照射して、試料にて反射されるそれぞれの角度毎の光量を取り込む様に、出射用ファイバ75を配置させる。それぞれの光ファイバに入射された光は、出射用ファイバ75の光ファイバに導光され、分光イメージングユニット20(無収差分光器)に導かれ、そのユニット内部内で、組合せ凸レンズ21、プリズム22、グレーティング23、プリズム24、組合せ凸レンズ25を通して、2次元の光センサ26に結像される。
分光イメージングユニット20により、空間情報は保存され、エネルギー情報は、波長毎に分解されて、2次元の光センサ26に収斂される形をとる。分光イメージングユニット20内で、ファイバ入射ポイントの空間情報が保存されるため、結果的に、角度毎に波長分散された信号量を捉えることが可能になる。本発明の反射特性測定システムでは、試料の角度依存性のある反射特性を調べるための光学系(ゴニオフォトメトリー)を有している特徴がある。
図10は、本発明の光による特性測定システムの一実施形態である反射特性測定システムによる測定例を示す。本発明の反射特性測定システムを用いれば、図10の様な、角度毎の反射強度を表示できるため、例えば、その鏡面反射成分の角度毎の立ち上がり度合いを見極めることが可能となる。これらから、試料の反射特性として、つやがあるものか、あるいは逆にマット系(鏡面光沢性が少ない)の試料なのか、判断が付く事になる。
図10は、皮膚を測定した反射率で、つや(光沢)がある場合(図12(a))と無い場合(図12(b))に分けて表示した。図の(a1)〜(a3)は、つやがある場合の波長を違えて表示した図で、(b1)〜(b3)は、つやが無い場合の波長を違えた時の反射エネルギーの分布特性である。
図10では、(左側からの)45度入射を示し、(a1)〜(a3)と(b1)〜(b3)を比較するとどの波長においても、45度出射条件の時の反射率(すなわち鏡面反射率)は、つやがある場合((a1)〜(a3))の方が高い為、その部分のみ、つやがない場合((b1)〜(b3))に比べ出っ張りが大きくなることが表されている。
例えば、従来のベースメイクは、色ムラを隠すことを目的としていた。現在では、色で隠すだけではなく、質感の表現も大切だと一般女性が気付きはじめている。透明感・素肌感・抜け感・セクシー感・ヘルシー感といったイメージワードがよくメイク雑誌に出てくる。これらのイメージワードを演出するには、まるでファンデーションを塗っていないかのような肌質感が必要であり、既存のファンデーションを均一に塗るだけでは表現できない。ファンデーションは粉体が含まれるため、塗れば必ずマットな方向にシフト、素肌らしさや自然感から遠のくためである。
今後質感を操作できることを謳ったファンデーションが開発されるようになることが重要となる。実際、最近の研究で、600〜700nmの反射率を10%高くすると、くすみ感が消えて、透明感がでるという評価結果がある。その新規基材開発のために、従来は変角光度計(ゴニオフォトメータ)が多用されている。色々な形状をしたファイバー粉体(約20*100ミクロン程度)を作り、それを既存のゴニオフォトメータで測定し、そのスペクトル形状と配光特性から、最適な断面形状を見つけ出し、世界初のファンデーション材料を開発している。
本発明の反射特性測定システムであると、直接ファンデーションを皮膚に塗ってから、皮膚の上から直接測れるシステムであり、今度は、人間の作った材料を顔に塗布して、試験することも可能とするものである。
(透過特性測定システムの測定部分の具体例)
図11は、本発明の光による特性測定システムの一実施形態である反射特性測定システムにおける測定部分の第1の具体例を示す幅方向中央部を長手方向に切断した断面図である。図12は、本発明の光による特性測定システムの一実施形態である反射特性測定システムにおける測定部分の第1の具体例を示す測定中心で幅方向に切断した断面図である。
反射測定部80は、ファイバ固定部81、外枠83、円筒固定部84、円筒部85、接続部86、側面固定部87を有しており、内部に入射用ファイバ71と複数の出射用ファイバ75が配置されている。ここで、図11の左右方向を反射測定部80の長手方向、それと直交する方向を幅方向とする。
ファイバ固定部81は、厚みがある円筒を半分に切り取った半円状の部材であり、幅方向に一定の厚みがある。内側の円弧部81aは、測定中心88を中心として半径d’で形成される。厚みt’は必要に応じた厚みで形成される。ファイバ固定部81には、測定中心88を中心として放射状に直線の孔81cが内側の円弧部81aから外側の円弧部81bへ幅方向中心付近で貫通している。ここに入射用ファイバ71と出射用ファイバ75が挿入される。そして、内側の円弧部81aの面で入射用ファイバ71と出射用ファイバ75の先端が位置するように配置される。また、入射用ファイバ71と出射用ファイバ75の先端に凸レンズを設けてもよい。
図10の例では、中心角度が3°ごとに59個の孔81cが長手方向にのびる同じ垂直平面内において設けられている。このため、孔81cを入射用ファイバ71と出射用ファイバ75のどちらも入れられる孔にしておけば、これらのいずれか1つを入射用ファイバ71用の孔として、その他を、出射用ファイバ75用の孔とすることができる。なお、図10では、出射用ファイバ75の図示を一部のみに省略しているが、全ての孔に出射用ファイバ75を挿入して3°毎、計58箇所の反射特性を調べるようにすることができる。
ここで、ファイバ固定部81は1つのブロックとして適用でき、材質としては、アルミ等の金属や樹脂を採用できる。特に反射率の低い材質であれば、測定に影響が少なく有効である。例えば、黒いアルマイトメッキや低温クロムメッキ等が施された金属材や光を吸収する樹脂等を用いることができる。
ファイバ固定部81は、両側を側面固定部87により固定されており、側面固定部87は外枠83の内側側面に固定されている。外枠83の内部は、入射用ファイバ71及び出射用ファイバ75が備えられる。
円筒部85は長手方向に平行に配置され一端が外枠83の内部、他端が外枠83の外側に配置されて接続部86と接続されている。円筒部85は、両側の側面固定部87を介して、外枠83と固定されている。ここで、入射用ファイバ71及び出射用ファイバ75は、外枠83の内部から、円筒部85及び接続部86を介して、入射用ファイバ71は照射用ファイバ用光源10へ、出射用ファイバ75は分光イメージングユニット20へ接続されている。
測定者は、ファイバ固定部81の下端にある測定中心88を測定対象位置になるようにして測定を行う。これにより入射用ファイバ71からの光を複数の出射用ファイバ75で受光して分光イメージングユニット20で結像して解析することで、角度毎の反射特性を一度に調べることができる。
なお、図9〜図12で上述した反射特性測定システムの測定部は、測定対象位置201を中心として同じ垂直平面内において角度を変更して、出射用ファイバ75により受光するものであった。しかし、これらは、例えば半球状として、半球の内面形状により立体的に受光面を設けてもよい。すなわち、出射用ファイバ75の先端は、半球の内面を3次元的に配列して反射光を取得できるようにする。このことで、より多角的な測定が可能となる。
(反射特性測定システムによる測定応用例)
上述した反射特性測定システムによる具体的な応用例について説明する。
本発明の反射特性測定システムは、生体(特に皮膚)測定に用いることができる。入射角一定にて、受光角をいろいろ変えて測定することにより、例えば皮膚測定に必要な、色彩情報(XYZ、L*a*b*、H*C*)以外にも、つや感、てかり感等、鏡面反射に由来するパラメータの導出が可能になる。逆にフラットで、マット的な皮膚特有のボケ感を表す指標等の導出、またその鏡面反射から、そのフラット感に至る境界の反射の持ちあがり、持ち下がり度合いを精度良く測定可能となる。
この測定に用いる角度毎の反射率を測定する手法は、ゴニオフォトメトリーと呼び、今まで、入射、受光角度を少しずつ変化させる為の機構が必要であった。例えば、人工皮革をより本物ぽく見せるために、光学的な特性を精度良く調べる必要があり、本皮革とその人工皮革を測定し、評価すると、その違いが、その角度毎に反射する光の大小を細かく調べると判る。そのような極細かい見え、すなわちアピアランスを調べるために、開発されてきた手法である。しかしながらこの装置は大掛かりなもので、光源と受光の角度を少しずつ変えて測定するための機構が必要がり、また、その走査のために時間が掛かる手法であった。
本発明の反射特性測定システムによる手法は、移動機構部を全て省き、より簡単に早く、ゴニオフォトメトリーと同じパラメータを、測定できる様に、複数の出射用ファイバ75及び分光イメージングユニット20を用いて、一度で、リアルタイムの測定可能とした。このため、皮膚測定では、被験者にできるだけ負担を与えないで、測定可能となった。さらに、商品の測定でも、従来の手法では大がかりな装置のため商品の一部を切り取りして反射特性を調べる必要があった。しかし、本発明では、商品に測定部を直接当てて調べることが可能であるため、反射特性による偽物商品の判別や、製品の評価など幅広い適用が可能となる。
また、本発明の反射特性測定システムによる手法は、食品にも有効である。さらに、本発明の反射特性測定システムは、工業製品の品質管理用にも使用可能である。皮膚の説明で上述したように、簡易なつくりで、駆動部が無い光学系を構築しているため、測定部をあてるだけで、さまざまな工業製品の品質管理が可能となる。例えば、車の内装部品は、より厳しいコストでより本物感を出さなければいけないため、以前から、材料品質検査にはゴニオが用いられてきた。ダッシュボード用の合成皮革品検査、プラスチック材、シート用ファブリック等、幅広い工業製品群が、測定対象となる。
現在これらのデータは、CG上で表現できる様になってきた。入射、出射角を変えて、見えの状況をCG上で表現することは、今後、益々増えていくため、本装置にて、簡易にその光学特性を測定でき有効となる。さらに、本発明の反射特性測定システムは、食品だけでなく、植物、動物等の自然対象物へも応用が効く様になる。
(透過及び反射特性を測定するシステムについて)
上述したように図1〜8では透過特性測定システムについて、図9〜12では反射特性測定システムについて説明してきた。ただし、これらのシステムでは同時に同じ箇所を測定することができない。例えば、図5の透過測定部50と図11の反射測定部80では、同時に同じ箇所に当てることは不可能である。
このため、透過と反射の各測定部を並べて配置すれば、透過特性と反射特性の同時測定が可能になるが、わずかに違った部位での反射特性と透過特性の測定となる。この場合、測定部位が違っているため、部位により特性に違いがある場合、その部位の違いがそのまま出力結果となってしまう。また、同じ箇所で測定部を設置し直す場合、即ち、例えば、図5の透過測定部50で透過を測定したのち、図11の反射測定部80で反射を測定する方法では、同一部位に各測定部を当て直す必要がある。このとき、精度良く同じ箇所に当て直す事に困難が伴う。
それらを回避する方法として示されるのが、図13〜図18に示す透過及び反射特性を測定する測定部によるシステムである。これらを用いれば、同一部位の、透過ならびに反射情報の測定が可能になる。
(透過及び反射特性を測定する測定部の第1の具体例)
図13は、本発明の光による特性測定システムの一実施形態である透過及び反射特性を測定する測定システムにおける測定部分の第1の具体例を示す測定部を幅方向中心で長手方向に切断した断面図である。図14は、本発明の光による特性測定システムの一実施形態である透過及び反射特性を測定する測定システムにおける測定部分の第1の具体例を示す平面図である。なお、ここでは上記、図1〜8で説明した透過特性測定システムと、図9〜12で説明した反射特性測定システムと同一の箇所には同一の符号を付して、説明を一部省略してある。また、図14ではファイバの図示は省略している。
透過・反射測定部100は、反射用ファイバ固定部101、透過用ファイバ収納部105、106を備えている。さらに、反射用ファイバ固定部101には、(反射用)入射用ファイバ71及び(反射用)出射用ファイバ75が取り付けられる。また、透過用ファイバ収納部105には、測定部側の(透過用)入射用ファイバ11及びプリズム107が収納され、透過用ファイバ収納部106には、測定部側の複数の(透過用)出射用ファイバ15及びプリズム108が収納される。ここで、透過・反射測定部100の長手方向は、図13の左右方向であり、長手方向と直交する方向が幅方向である。
反射用ファイバ固定部101は、厚みのある円筒の一部の角度を切り取った扇形部材であり、幅方向に一定の厚みがある。内側の円弧部101aは、測定中心103を中心として一定半径で形成される。反射用ファイバ固定部101には、測定中心103(扇形形状の中心)を中心として放射状に複数の直線の孔101cが内側の円弧部101aから外側の円弧部101bへ、幅方向中心付近で貫通している。ここに(反射用)入射用ファイバ71と(反射用)出射用ファイバ75が挿入される。そして、内側の円弧部81aの面で入射用ファイバ71と出射用ファイバ75の先端が位置するように配置される。また、(反射用)入射用ファイバ71と(反射用)出射用ファイバ75の先端に凸レンズを設けてもよい。
反射用ファイバ固定部101の長手方向の両側の側面部101dと側面部101eは、水平面よりも角度をつけて形成されている。これは、透過用ファイバ収納部105、106との干渉を防ぐためである。この角度は例えば20°以上や30°以上等とすることができる。
反射用ファイバ固定部101の孔101cは、図13、14の例では、例えば全部で9個の孔が等角度間隔で形成されている。これらの孔101cは測定中心103から長手方向に向けて形成される同じ垂直平面内に放射状に形成されている。複数の孔101cに対して、どれか1つを(反射用)入射用ファイバ71用の孔とすれば、残りを(反射用)出射用ファイバ75の孔として適用することができる。
プリズム107は、45°のプリズムであり、長手方向で切った断面は直角二等辺三角形である。プリズム107の一方の短辺側の面が測定中心103に対して外側を向いた面となり、(透過用)入射用ファイバ11に接続されている。これにより(透過用)入射用ファイバ11は長手方向に延びた状態で端部がプリズム107と接続することができる。さらに、もう他方の短辺側の面は下面側となり測定対象物200の表面に当接するようになっている。
プリズム108も、45°のプリズムであり、長手方向で切った断面は直角二等辺三角形である。プリズム108の一方の短辺側の面が測定中心103に対して外側を向いた面となり、(透過用)出射用ファイバ15に接続されている。これにより(透過用)出射用ファイバ15は長手方向に延びた状態で端部がプリズム108と接続することができる。さらに、もう他方の短辺側の面は下面側となり測定対象物200の表面に当接するようになっている。
プリズム107に対して、異なる距離で複数のプリズム108が下面に沿って一直線に形成されている。ここでの、一直線の方向は、測定中心103を通る長手方向の方向と同じである。測定中心103は、プリズム107と、プリズム107に一番近いプリズム108の間に位置している。図13の例では、6つの(透過用)出射用ファイバ15を用いて等間隔でプリズム108が6箇所で配置されている。
透過用ファイバ収納部105は、測定中心103側の上部は傾斜部105aとなっている。これは、反射用ファイバ固定部101(の側面部101d)との干渉をできるだけ抑えるためである。傾斜部105aは、直線状でも、曲線状でもよい。図13では、測定中心103側に向けて急になっていく傾斜角が異なる2つの角度を有する直線状の傾斜が形成されている。
透過用ファイバ収納部106と透過用ファイバ収納部105は、測定中心103を挟んで対向するように長手方向に沿って形成されている。透過用ファイバ収納部106は、測定中心103側の上部は傾斜部106aとなっている。これも、反射用ファイバ固定部101(の側面部101e)との干渉をできるだけ抑えるためである。傾斜部106aの形状は、傾斜部105aと同様である。
(透過用)入射用ファイバ11及び(反射用)入射用ファイバ71は、照射用ファイバ用光源10に接続される。また、分光イメージングユニット20では、(透過用)出射用ファイバ15及び(反射用)出射用ファイバ75と接続され、それぞれの情報を入力して結像することが可能である。
このように構成することで、同じ測定中心103に対して、透過特性と、反射特性を調べることができる。
透過特性の場合は、照射用ファイバ用光源10からの光は、(透過用)入射用ファイバ11とプリズム107を介して下側の測定対象物200へ出される。そして、その光は距離の異なる複数のプリズム108で受光して(透過用)出射用ファイバ15へ送られ、分光イメージングユニット20へ送られる。そして、処理装置30で上述した演算が行われる。
反射特性の場合は、照射用ファイバ用光源10からの光は、(反射用)入射用ファイバ71から、測定中心103へ出され、反射した光を(反射用)出射用ファイバ75から受光して、分光イメージングユニット20へ送られる。そして、処理装置30で上述した演算が行われる。
なお、光情報としては、透過特性測定のための光源とその受光、及び、反射特性測定のための光源と受光が、同時期に測定されると、光学的に干渉が発生する可能性がある。このため、透過特性測定と反射特性測定との間に時間差を設け、例えば、1秒間透過特性の測定をしたのちに、透過用光源を消し、ある時間(例えば1秒間)あとの1秒で、反射特性の測定をするようにすれば干渉は防げる。
上記の構成では、(透過用)入射用ファイバ11及び(透過用)出射用ファイバ15による配列方向と、(反射用)入射用ファイバ71及び(反射用)出射用ファイバ75の方向が同一方向であるので全体として幅を狭くコンパクトにすることが可能となる。また、プリズム107、108を利用することで、透過用ファイバ収納部105、106の大きさを小さくでき、反射用ファイバ固定部101との干渉を最小限にして、反射用ファイバ固定部101の角度をできる限り広げ、反射特性の観測角度範囲を広げることができる。
(透過及び反射特性を測定する測定部分の第1の具体例の変形例)
図16は、本発明の光による特性測定システムの一実施形態である透過及び反射特性を測定する測定システムにおける測定部分の第1の具体例の変形例を示す透過特性の測定部を幅方向中心で長手方向に切断した断面図である。
ここでの変形例は、図13、14で説明した、「透過及び反射特性を測定する測定部の第1の具体例」のうち、プリズム107、108をなくした例について説明する。プリズム107、108をなくしたため、(透過用)入射用ファイバ11と(透過用)出射用ファイバ15を直角下方向に曲げる構成となっている。
図13、14の透過用ファイバ収納部105、106は、(透過用)入射用ファイバ11を収納する透過用ファイバ収納部115と、(透過用)出射用ファイバ15を収納する透過用ファイバ収納部116に置き換えられる。そして、透過用ファイバ収納部115、116の大きさは、透過用ファイバ収納部105、106よりも高さが高くなる。また、透過用ファイバ収納部115、116は、測定中心103側の上部は傾斜部115a、116aとなっており、反射用ファイバ固定部101との干渉を避けている。
この変形例では、プリズム107、108を省略する分コストを抑えて、かつ、(透過用)入射用ファイバ11及び(透過用)出射用ファイバ15を直接、測定対象物200の表面に当てて測定することができる。
(透過及び反射特性を測定する測定部分の第2の具体例)
図16は、本発明の光による特性測定システムの一実施形態である透過及び反射特性を測定する測定システムにおける測定部分の第2の具体例を示す反射特性の測定部方向の側面図である。図17は、本発明の光による特性測定システムの一実施形態である透過及び反射特性を測定する測定システムにおける測定部分の第2の具体例を示す透過特性の測定方向の側面図である。図18は、本発明の光による特性測定システムの一実施形態である透過及び反射特性を測定する測定システムにおける測定部分の第2の具体例を示す平面図である。ここでは上記、図1〜8で説明した透過特性測定システムと、図9〜12で説明した反射特性測定システムと同一の箇所には同一の符号を付して、説明を一部省略してある。また、図17では反射用ファイバの図示は省略しており、図18ではファイバの図示は省略している。
透過・反射測定部120は、反射用ファイバ固定部121、透過用ファイバ収納部125、126を備えている。さらに、反射用ファイバ固定部121には、(反射用)入射用ファイバ71及び(反射用)出射用ファイバ75が取り付けられる。また、透過用ファイバ収納部125には、(透過用)入射用ファイバ11が測定部側で収納され、透過用ファイバ収納部126には、複数の(透過用)出射用ファイバ15が測定部側で収納される。反射用ファイバ固定部121の長手方向は図16の左右方向でありそれと直交する方向が幅方向である。透過用ファイバ収納部125、126の長手方向は図17の左右方向である。
反射用ファイバ固定部121は、円筒を半分に切り取った半円状の部材であり、幅方向に一定の厚みがある。内側の円弧部121aは、測定中心123を中心として一定半径で形成される。反射用ファイバ固定部121には、測定中心123(半円の中心)を中心として放射状に直線の孔121cが内側の円弧部121aら外側の円弧部121bへ幅方向中心付近で貫通している。ここに(反射用)入射用ファイバ71と(反射用)出射用ファイバ75が挿入される。そして、内側の円弧部121aの面で入射用ファイバ71と出射用ファイバ75の先端が位置するように配置される。また、(反射用)入射用ファイバ71と(反射用)出射用ファイバ75の先端に凸レンズを設けてもよい。
反射用ファイバ固定部121の孔121cは、図16〜18の例では、全部で11個の孔が等角度(15°)間隔で形成されている。これらの孔121cは測定中心123から反射用ファイバ固定部121の長手方向に向けて形成される同じ垂直平面内に放射状に形成されている。複数の孔121cに対して、どれか1つを(反射用)入射用ファイバ71用の孔とすれば、残りを(反射用)出射用ファイバ75の孔として適用することができる。
(透過用)入射用ファイバ11は、(透過用ファイバ収納部125の)長手方向に延びて形成されると共に、測定中心123に近づく位置では先端が測定対象物200の表面と直角に当たるように下面を向いている。
複数の(透過用)出射用ファイバ15は、測定中心123を挟んで、反対側の位置に配置されている。そして、(透過用)出射用ファイバ15は、(透過用ファイバ収納部126の)長手方向に延びて形成されると共に、測定中心123に近づく位置では先端が測定対象物200の表面と直角に当たるように下面を向いている。複数の(透過用)出射用ファイバ15はそれぞれ、(透過用)入射用ファイバ11から異なる距離に形成されている。また、複数の(透過用)出射用ファイバ15の先端部間の距離は等間隔でもよい。図17の例では、6つの(透過用)出射用ファイバ15を用いて等間隔で先端部が6箇所配置されている。
(透過用)入射用ファイバ11の先端位置と、複数の(透過用)出射用ファイバ15の先端位置は、一直線になっており、この直線の方向は、(反射用)入射用ファイバ71及び(反射用)出射用ファイバ75が形成されている放射状の平面と直角となっている。
透過用ファイバ収納部125と透過用ファイバ収納部126は、測定中心123を挟んで対向するように長手方向に沿って形成されている。ここでの透過用ファイバ収納部125と透過用ファイバ収納部126の長手方向の向きは反射用ファイバ固定部121の長手方向(垂直平面方向)の向きと直交している。そして、透過用ファイバ収納部125の先端側と透過用ファイバ収納部126の先端側は、反射用ファイバ固定部121の内側の円弧部121a内に一部が入って、測定中心123の手前の位置まで配置されている。なお、透過用ファイバ収納部125の測定中心123側の上部は傾斜部125aを形成しており、透過用ファイバ収納部126の測定中心123側の上部は傾斜部126aを形成している。
このように構成することで、同じ測定中心123に対して、透過特性と、反射特性を調べることができる。透過特性と、反射特性の演算は、図13、14で説明した、「透過及び反射特性を測定する測定部の第1の具体例」と同様である。また、照射用ファイバ用光源10及び分光イメージングユニット20への接続も同様である。
上記の構成は、(透過用)入射用ファイバ11と(透過用)出射用ファイバ15による配列方向と、(反射用)入射用ファイバ71と(反射用)出射用ファイバ75の放射状の方向を直角に形成したものである。これにより、(反射用)入射用ファイバ71及び(反射用)出射用ファイバ75を、半円状の反射用ファイバ固定部121に配置することが可能となり、これらのファイバを0°から180°近くの範囲で形成することができる。
なお、上記の構成は、(透過用)入射用ファイバ11及び(透過用)出射用ファイバ15による配列方向と、(反射用)入射用ファイバ71及び(反射用)出射用ファイバ75の放射方向が直角方向について説明したが、直角でなくても、干渉がない範囲であれば、異なる角度で適用することができる。
(透過及び反射特性を測定するシステムによる測定応用例)
上述した透過及び反射特性測定システムによる具体的な応用例について説明する。
本発明の透過及び反射特性を測定するシステムは、透過光学系と反射光学系を組み合わせるため、同一部位の、測定が可能になる。このため、それを例えば、2次元にスキャンすることによって、複数部位の、透過特性と配光特性の測定が可能になる。これにより、皮膚の測定結果を分光イメージング的な評価だけではなく、より透過情報を含めた、より詳細な評価ができる様になる。また、食品への応用として、食品の場合、内部成分の定量が行われているが、それプラス見た目も含めた評価が出来る用になる。また、工業製品への応用として、食品と同様、内部成分評価と見た目の評価ができる様になる。
以上の様に、本発明の実施形態についていくつかの実施例を示しながら説明してきたが、本発明は上記の実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例に設けられた全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を削除したり、他の実施例の構成に置き換えたり、あるいはまた、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。
例えば、透過特性測定のための出射用ファイバ15を配置する数は、上記実施形態に限らず、いずれの方向においても上記実施形態よりも多く構成して、詳細に調べられるようにしてもよい。
例えば、反射特性測定のためのファイバを放射状に配置する角度は、例えば、0.5°毎、1°毎等、上記実施形態よりも細かく構成して、詳細に調べられるようにしてもよい。また、発光側の入射用ファイバ71は1つだけでなく、複数であってもよく、複数箇所から発光して反射特性を測定してもよい。
例えば、分光イメージングユニット20は、透過型の無収差分光器の例を示したが、これ以外に、反射型の無収差分光器やFT(Fourier Transform)方式の分光器を用いることもできる。