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JP6859760B2 - 伸縮性導体形成用ペースト、伸縮性導体シートおよび生体情報計測用プローブ - Google Patents

伸縮性導体形成用ペースト、伸縮性導体シートおよび生体情報計測用プローブ Download PDF

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Description

本発明は、伸縮性の基材に積層可能なシート状の伸縮性導体シート、および伸縮性導体シートの伸縮性導体層となる伸縮性導体組成物を形成するためのペーストに関し、前記伸縮性導体シート用いた生体情報を検出するためのプローブに関するものである。
昨今、入出力、演算、通信機能を有する電子機器を身体に極近接、ないしは密着した状態で使用することを意図したウェアラブル電子機器が開発されている。ウェアラブル電子機器には腕時計、メガネ、イヤホンのようなアクセサリ型の外形を有する機器、衣服に電子機能を組み込んだテキスタイル集積型機器が知られている。
電子機器には、電力供給用や信号伝送用の電気配線が必要である。特にテキスタイル集積型ウェアラブル電子機器には、伸縮する衣服に合わせて電気配線にも伸縮性が求められる。通常、金属線や金属箔からなる電気配線には、本質的に実用的な伸縮性は無いため、金属線や金属箔を波形、あるいは繰り返し馬蹄形に配置して、擬似的に伸縮機能を持たせる手法が用いられている。
金属線の場合には、金属線を刺繍糸と見なして、衣服に縫い付けることにより配線形成が可能である。しかしながら、かかる手法は、上述した通り、金属の伸縮性が不十分ではない点で大量生産に向いていないことは自明である。
金属箔のエッチングにより配線を形成する手法は、プリント配線板の製法として一般的である。金属箔を伸縮性のある樹脂シートに貼り合わせ、プリント配線板と同様の手法で波形配線を形成して、擬似的に伸縮性配線とする手法が知られている(非特許文献1参照)。かかる手法は波形配線部の捻れ変形により擬似的に伸縮特性を持たせるものであるが、捻れ変形により金属箔が厚さ方向にも変異するため、衣服の一部として用いると、非常に違和感のある着用感となり好ましいものではなかった。また洗濯時のような過度な変形を受けた場合には金属箔に永久塑性変形が生じ、配線の耐久性にも問題があった。
他方、伸縮性の導体配線を実現する手法として、特殊な導電ペーストを用いる方法が提案されている。銀粒子、カーボン粒子、カーボンナノチューブ等の炭素系導電性粒子と伸縮性を持つウレタン樹脂などのエラストマー、天然ゴム、合成ゴム、溶剤などを混練してペースト状とし、衣服に直接、ないし伸縮性のフィルム基材などと組み合わせて配線を印刷描画するものである(非特許文献2参照)。
炭素系導電性粒子と伸縮性バインダー樹脂とからなる導電性組成物は、巨視的には伸縮可能な導体を実現することができる。かかるペーストから得られる導電性組成物は、微視的に見れば、外力を受けた際にバインダー樹脂部分で変形し、炭素系導電性粒子の電気的連鎖が途切れない範囲で導電性が維持されるに過ぎない。巨視的に観察される比抵抗は、金属線や金属箔に比較すると高い値であるが、組成物の硬化物自体が伸縮性を持つために波形配線などの形状を採る必要が無く、配線幅と厚さには自由度が高いため実用的には金属線に比較して低抵抗な配線を実現可能である。
この様な技術として、特許文献1では、銀粒子とシリコーンゴムを組合せ、シリコーンゴム基板上の導電性膜をさらにシリコーンゴムで被覆することにより、伸長時の導電率低下を抑制する技術が開示されている。特許文献2には銀粒子とポリウレタンエマルジョンの組合せが開示されており、高導電率でかつ高伸長率の導電膜が得られるとされている。
さらにカーボンナノチューブや銀フィラーなど、高アスペクト比の炭素系導電性粒子を組み合わせて特性改善を試みた例も多々提案されている。
特開2007−173226号公報 特開2012−54192号公報
Jong−Hyun Ahn and Jung Ho Je,"Stretchable electronics:materials,architectures and integrations"J.Phys.D:Appl.Phys.45(2012)103001 Kyoung−Yong Chun,Youngseok Oh,Jonghyun Rho,Jong−Hyun Ahn,Young−Jin Kim,Hyoung Ryeol Choi and Seunghyun Baik,"Highly conductive,printable and stretchable composite films of carbon nanotubes and silver"Nature Nanotechnology,5,853(2010)
本発明は布帛など伸縮性の基材に対して、精度良く配線形成が可能であり、かつ、人体からの汚染に対して十分な保護機能のある表面層を有し、洗濯、乾燥などの衣服としての通常の使用に耐性を有する伸縮性導体シート、およびそれを用いた衣服型の電子機器の電気配線形成方法に適用できる炭素系導電性粒子を用いた伸縮性導体組成物形成用ペースト、所謂伸縮性カーボンペーストを提供することにある。
しかしながら、このような炭素系導電性粒子を樹脂に配合した組成物では、塗工方向によって炭素系導電性粒子が配向し、例えば面方法光の塗工方向と、その垂直方向(XY方向)での伸縮により異方的な導電特性が生じることがある。このような異方性が生じると、かかる組成物を抵抗変化を用いた変位センサーなどに応用する場合に信号のリニアリティが低下するおそれがある。また、衣服に形成された配線パターンは二次元的に複雑な形状となるケースが多く、伸縮性導体シートから必要部分を切り抜いて配線として用いる場合には、シート特性に異方性があると、パターンの配置が制限され、当該シートから得られる配線の生産性が低下する問題があった。
また、例えば伸縮性導体シートが捻りを繰り返し受けると、シートの比抵抗が大きくなり被験者の運動に対応した電気信号が適切に反映されない虞があった。
さらに、このような炭素系導電性粒子を樹脂に配合した組成物では、衣服上の電気配線に応用した場合に避けられない洗濯時の伸張、圧縮、捻り等の変形に対する耐久性が問題となる。例えば、洗濯中の電気配線は、界面活性剤を含んだ水系媒体中で、外力により繰り返し伸張、圧縮、捻りなどの大きな変形を強いられ、伸縮性導体シートの導電性が低下してしまう問題があった。
そこで、本発明は、所定方向やその垂直方向に伸張した場合に等方的な導電性を示す伸縮性導体シート及びそれに用いる伸縮性導体シート形成用ペーストを提供することを課題とする。本願明細書において所定方向は、伸縮性導体シート形成用ペーストの塗布方向を意味し、その垂直方向は、伸縮性導体シート形成用ペーストの塗布方向に対して垂直方向を意味する。
また、本発明は、捻りを繰り返し受けても比抵抗の変化が小さい伸縮性導体シート及びそれに用いる伸縮性導体シート形成用ペーストを提供することを課題とする。
さらに、本発明は、洗濯を繰り返し受けても比抵抗の変化が小さい伸縮性導体シート及びそれに用いる伸縮性導体シート形成用ペーストを提供することを課題とする。
本発明者らは、かかる目的を達成するために鋭意検討した結果、以下の手段により上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明は以下の構成を有する。
[1] 炭素系導電性粒子、引張弾性率が1MPa以上1000MPa以下の柔軟性樹脂を少なくとも有する伸縮性導体組成物からなる伸縮性導体シートであって、前記伸縮性導体シートの空隙率が3体積%以上50体積%以下であることを特長とする伸縮性導体シート。
[2] 炭素性導電性粒子、アスペクト比が1.5未満であり、平均粒子径が凝集銀粒子の0.5倍以下である無機粒子、及び引張弾性率が1MPa以上1000MPa以下の柔軟性樹脂、を少なくとも含有する厚さ3〜800μmの伸縮性導体シートであって、10%圧縮を100回繰り返した後の比抵抗が、初期比抵抗の2.4倍以内であることを特徴とする伸縮性導体シート。
[3] 前記無機粒子が、Al、Siの一方または両方の水酸化物及び/又は酸化物によって表面処理されている前記[1]または[2]に記載の伸縮性導体シート
[4] 前記無機粒子の配合量が、伸縮性導体シートの全質量に対して、0.3〜5.0質量%である[1]から[3]のいずれかに記載の伸縮性導体シート。
[5] 前記[1]から[4]のいずれかに記載の伸縮性導体シートを製造するために使用される伸縮性導体組成物形成用ペーストであって、少なくとも炭素系導電性粒子、アスペクト比が1.5未満であり、平均粒子径が1μm以下である無機粒子、引張弾性率が1MPa以上1000MPa以下の柔軟性樹脂、及び溶剤を含有し、前記無機粒子の配合量が、前記炭素系導電性粒子と前記無機粒子の合計100質量%中、2.0〜30質量%であることを特長とする伸縮性導体シート形成用ペースト。
[6] 平面方向の直交する2つの方向においていずれも元の長さの40%伸張した際の伸長方向における伸張時の比抵抗の変化率が±10%未満であることを特徴とする[1]から[4]のいずれかに記載の伸縮性導体シート。
[7] 以下の捻り試験の捻りサイクルを100回繰り返した後のシートの比抵抗が、初期比抵抗の3.0倍以内であることを特徴とする請求項1から請求項4、請求項6のいずれかに記載の伸縮性導体シート。
[捻り試験:試料:幅10mm、長さ100mm(試料の長手方向の片端固定、他の片端の回転による捻り)捻りサイクル:正方向10回転(3600°)捻り、初期状態への戻り、負方向10回転(−3600°)捻り、初期状態への戻り]
[8] 前記柔軟性樹脂が、有機硫黄化合物を実質的に含有しない伸縮性高分子バインダーであることを特長とする[1]から[4]、[6]、[7]のいずれかに記載の伸縮性導体シート。
[9] 前記柔軟性樹脂が、有機硫黄化合物を実質的に含有しない伸縮性高分子バインダーであることを特長とし、かつ、溶剤を除いた成分における有機硫黄化合物の含有量が硫黄換算にて500ppm以下である事を特長とする[5]に記載の伸縮性導体組成物形成用ペースト。
[10] 銀を含む素材に近接して用いられる事を特長とする[1]から[4]、[6]から[8]のいずれかに記載の伸縮性導体シート。
[11] 前記有機硫黄化合物を実質的に含有しない伸縮性高分子バインダーが、硫黄元素を含まない界面活性剤と、硫黄元素を含まない連鎖移動剤の存在化での、ブタジエンを少なくとも含む単量体の、水系重合物である事を特長とする[5]または[9]に記載の伸縮性導体組成物形成用ペースト。
[12] 前記有機硫黄化合物を実質的に含有しない伸縮性高分子バインダーが、硫黄元素を含まない界面活性剤と、硫黄元素を含まない連鎖移動剤の存在化での、ブタジエンを少なくとも含む単量体の、水系重合物である事を特長とする[1]から[4]、[6]から[8]、[10]のいずれかに記載の伸縮性導体シート。
[13] 前記[12]に記載の伸縮性導体シートを、生体の皮膚または粘膜に接触する部位に用いた事を特長とする生体情報計測用プローブ。
さらに本発明は以下の構成を有する事が好ましい。
[14] 脱泡操作を行わないことを特長とする請求項9または請求項11に記載の接触する部位に用いた事を特長とする伸縮性導体組成物形成用ペーストの製造方法。
本発明における伸縮性導電シートは体積分率において3%〜50%の空隙率特定の空隙ないし無機粒子が組成乃至シート中に含有されている。通常、導電フィラーとバインダー樹脂を含む導電性組成物において、空隙や非導電性の無機粒子は導電性を阻害するため、印刷特性の改善などを目的としてナノサイズのシリカ粒子が極微少量添加される事を除けば、通常使用することは好まれない。 しかしながら、本発明者等が見出した所に寄れば、特定の空隙を設ける事により、組成物乃至シートが圧縮変形された際に、空隙が固体部分の歪みを吸収し、樹脂部分が外力によって変形する際に特定個所への応力集中を軽減する効果を得ることができる。
また本発明によれば、Al、Siの一方または両方の水酸化物及び/又は酸化物によって表面処理されている無機粒子により、無機粒子の柔軟性樹脂への分散性が高くなるため、樹脂部分が外力によって変形する際に、樹脂変形の要(かなめ)として機能し、外力が除かれて収縮する際に要を局所的中心として樹脂が収縮しようとするため、要が存在しない場合に比較して伸縮前の状態に近い形にまで復元しやすくなる。
導電フィラーとバインダー樹脂を含む伸縮性導体組成物は、一般に、シート化する際の押し出し方向、ないし塗布方向により方向による導電性の異方性を生じることは広く知られている。通常導電性の異方性が無視できる程度に工学的工夫により、導電性の異方性を最小限に押さえ込む努力が成されている。しかしながら、伸張時に生じるマイクロクラックによる導電経路の遮断の積み重ねにより、伸縮性導体組成物から得られるシートの導電性が低下することが分かった。かかるマイクロクラックは、最初に伸張された際に伸長方向の直角方向に生じやすい。2回目以後、異なる方向に伸張された場合には、最初に生じたマイクロクラックを中心とした変形により異なる方向への変形が緩和される。そのため、伸縮性導体組成物のシートないしフィルムは一度伸張されてしまうと、その結果として導電性に異方性が生じてしまうことになる。
結果として、空隙ないし特定の無機粒子の共存により、伸縮性導体被膜の、最初の伸張変形の際のマイクロクラックの発生を抑えることができ、さらに無機粒子がマイクロクラックの方向性を分散させるため、結果としてXY方向の異方性が大幅に改善されるという優れた効果を発現する。
また、本発明によれば、等方的な導電性を備える伸縮性導体シートから、馬蹄形配線(波形配線)等の配線を効率良く生産することが可能になる。
また、本発明によれば、捻りを繰り返し受けても比抵抗の変化を小さくすることができる。当該効果(耐捻り性)は、以下の作用機序により発現すると考えられる。すなわち、樹脂部分が捻りによって二次元で変形する際に、無機粒子が樹脂変形の要(かなめ)として機能し、面方向に伸張された変形が元の状態に復元する際に要を局所的中心として樹脂が初期状態に戻るため復元の異方性が小さくなる。このことを三次元的な変形に拡張すると、さらにアスペクト比が小さい無機粒子を使用することにより厚さ方向にも同様の効果が発現し、捻りのような三次元的な変形に対しても該無機粒子が樹脂変形の要(かなめ)として機能し、捻りが除かれる際に要を局所的中心として樹脂が初期状態に戻るため、要が存在しない場合に比較して捻り前の状態に近い形にまで復元しやすくなり、例えば所定方向(例えば正方向)の捻り後の復元力が所定方向とは反対方向(例えば負方向)の捻り後の復元力と等しくなる。よって、洗濯時あるいは着用時に捻りが繰り返し加わった場合でも、比抵抗の変化を小さくすることができる。
他方、本発明の伸縮性導体シートを馬蹄形配線(波形配線)とした場合(図6参照)、耐伸縮性ではなく、耐捻り性により変形が吸収されることにより、実質的に伸縮率が低く抑制され、さらに伸縮耐久性が改善されることになる。
さらに、本発明者らは、伸縮性導体シートから得られる電気配線を有する衣服を洗濯すると、導電性が低下している事例を多々観察している。本発明者らは、かかる導電性の低下が、伸縮性導体シートに生じた微細なクラック、伸縮性導体シートの一部の脱落・欠損によりもたらされることを突き止め、さらに伸縮性導体シートの部分的脱落が伸縮性導体シートの圧縮時の座屈破壊によることを突き止めた。これらの知見に基づき、所定の凝集銀粒子と無機粒子を組み合わせると、伸縮性導体シートに耐圧縮性を付与することができ、実用特性である耐洗濯性も改善することができた。
なお、さらに、本発明の伸縮性導体シートは好ましくは所定の範囲の空隙を内部に含包する。通常、導電フィラーとマトリクス樹脂を含む導電性組成物において、かかる空隙は導電性を阻害するために好まれない。しかしながら、本発明者らは、適度に制御された空隙が、圧縮変形を吸収する力学的緩衝効果を発現し、圧縮時の座屈破壊を防止することも見出した。結果として圧縮変形を繰り返し受けた際の比抵抗の変化も小さくすることができ(すなわち耐圧縮性を付与することができ)、耐洗濯性も改善することができた。
図1は、本発明の伸縮性導体シートを直接印刷法により布帛に形成する方法の一例を示す図である。 図2は、本発明の伸縮性導体シートを転写法により布帛に形成する方法の一例を示す図である。 図3は、本発明の伸縮性導体シートからなる配線を手袋型装置上に形成した図である。 図4は、本発明の伸縮性導体シートにより形成された配線の一例を示す図である。 図5は、図4の配線をシャツに用いた一例を示す図である。 図6は、本発明の伸縮性導体シートから形成された馬蹄形配線の一例を示す図である。
本発明は、炭素系導電性粒子、柔軟性樹脂、空隙、好ましくは無機粒子を含有する伸縮性導体シートであり、前記無機粒子がAl、Siの一方または両方の水酸化物及び/又は酸化物によって表面処理されており、当該シートが、直交する2つの方向においていずれも元の長さの40%伸張した際の伸長方向における伸張時の比抵抗の変化率が±10%未満である点に特色がある。
また、本発明は、炭素系導電性粒子、柔軟性樹脂、及び好ましくは空隙、ないし好ましくは無機粒子を含有する伸縮性導体シートであり、前記無機粒子のアスペクト比が1.5未満であり、捻り試験の捻りサイクルを100回繰り返した後のシートの比抵抗が、初期比抵抗の3.0倍以内である点に特色がある。
さらに本発明は、凝集銀粒子、柔軟性樹脂、及び好ましくは空隙、ないし好ましくは無機粒子を含有する伸縮性導体シートであり、凝集銀粒子の平均粒子径が0.8〜10μmであり、無機粒子のアスペクト比が1.5未満であり、無機粒子の平均粒子径が凝集銀粒子の0.5倍以下であり、10%圧縮を100回繰り返した後の比抵抗が、初期比抵抗の2.4倍以内である点に特色がある。
以下、伸縮性導体シートや伸縮性導体シート形成用ペーストに使用される各成分について説明する。
本発明における伸縮性導体シート、および伸縮性導体形成用ペーストに使用される導電フィラーは炭素系粒子である。本発明における炭素系粒子としては、グラファイト粉末、活性炭粉末、鱗片状黒鉛粉末、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、フラーレン、単層カーボンナノチューブ、複層カーボンナノチューブ、カーボンナノコーンなどを用いることができる。本発明においては、好ましく用いられる炭素系粒子はグラファイト粉末、鱗片状黒鉛粉末、活性炭粉末、ケッチェンブラックである。本発明では、さらに、少なくともBET比表面積が1000m/g以上の炭素系粒子を用いることが好ましい。
本発明における炭素系粒子は、炭素系粒子とバインダーの合計質量に対し18〜60質量%配合することが出来る。本発明における炭素系粒子は、炭素系粒子とバインダーの合計質量に対し30質量%以上含有することが好ましく、さらに33質量%以上含有することが好ましく、さらに36質量%以上含有することが好ましく、さらに39質量%以上含有することが好ましい。炭素系粒子の含有量が所定の範囲に満たないと、必要な導電性のみならず、被カバー層に対する保護機能が低下する。一方で含有量がこの範囲を超えると膜の破断伸度が低下する。
本発明の第一の伸縮性導体層を構成する組成物は、BET比表面積が1000m/g以上の炭素系粒子を4質量%以上含有することが好ましく、さらに6質量%以上含有することが好ましく、なおさらに8質量%以上含有することが好ましい。BET比表面積が1000m2の炭素系粒子を配合することにより、被カバー層の保護機能が格段に改善される。
本発明における空隙率は、製造工程において、積極的に脱泡操作を行わないことにより、所定の範囲に導くことができる。一般に、アトライター、サンドミル、三本ロールミル等により混合分散されて製造される導電性ペーストには混練時に巻き込まれた空気に起因する気泡が含まれている。またこのような導電ペーストを乾燥硬化させて導電シートとした場合には、ペースト製造時に巻き込まれた気泡以外に、溶剤の揮発過程において生じる気泡など加わる。さらに導電性粒子同士の接触確率を高めるために、バインダー樹脂の使用量は必要最低限に抑えられるため、元々このような分散系の導電皮膜には気泡が残存しやすい。
そのため、このようなペースト製造工程においては、遠心型ない自公転型のミキサーなどを用いて、泡抜き処理が行われることが多い。本発明では、積極的に泡抜きを行わず、かつ、導電ペーストの無機固形分に対するバインダー樹脂の比率を、やや少なめに設定することにより、かかる空隙率を実現する。
本発明では、炭素比重を2.2、樹脂比重を1.25として算出した伸縮性導体シートの計算比重に対して、実測したシート塗膜の比重の比が、計算比重を100%とした場合に70〜95%となるように制御することが好ましい。なお比重の実測は任意のサイズに裁断したシートの厚さ、面積から求めた体積と、シートの質量から求めれば良い。
<無機粒子>
本発明の無機粒子は、Al、Siの一方または両方の水酸化物及び/又は酸化物によって表面処理されている。かかる無機粒子は、柔軟性樹脂への分散性向上に寄与し、かつ異方向への伸縮時に導電性を等方的に発現することができる。この等方的な導電性は、以下の機序作用により発現すると考えられる。
すなわち、樹脂部分が外力によって変形する際に、無機粒子が樹脂変形の要(かなめ)として機能し、外力が除かれて収縮する際に要を局所的中心として樹脂が収縮しようとするため、要が存在しない場合に比較して伸縮前の状態に近い形にまで復元しやすくなり、例えばX方向への伸縮後の復元力がY方向への伸縮後の復元力と等しくなる。よって、洗濯時、あるいは着用時の特定方向への伸縮が加わった場合でも、X方向に伸縮した後のY方向の導電性が下がることはなく、等方的な導電性を示すことができる。 同様に無機粒子は耐捻り性に寄与することができる。
さらに、かかる無機粒子を配合することで、ペーストにおける、ビヒクル(主として樹脂と溶剤分、添加剤などでペースト段階で液状の成分の総計)の体積に対して、フィラー分(導電粒子、無機粒子、溶剤に溶解せず、ペースト段階で固体の成分の総計)の見掛け体積に於ける空隙体積を大とすることにより、ペーストを乾燥、硬化させて導電性被膜、導電性シートを得た際に、所定の空隙率を安定して実現する効果を発揮する。
無機粒子としては、硫酸バリウム、酸化チタン、酸化亜鉛等の粒子が挙げられる。中でも、粒径制御や表面処理の観点から、硫酸バリウム、酸化チタンの粒子が好ましい。硫酸バリウム粒子としては、天然の重晶石と呼ばれるバライト鉱物の粉砕品である簸性硫酸バリウムと、化学反応で製造されるいわゆる沈降性硫酸バリウムを使用することができる。粒子径の制御が行いやすい沈降性硫酸バリウムを用いることが好ましい。酸化チタンは、アナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型のいずれであってもよい。
表面処理は、従来公知の方法を採用することができ、例えば無機粒子含有溶液スラリーに、Al、Siの一方または両方の水酸化物及び/又は酸化物となり得る物質を添加し、加熱すればよい。Al、Siの一方または両方の水酸化物及び/又は酸化物としては、SiO2、Al2O3等の酸化物、Al(OH)3、Si(OH)4等の水酸化物等が挙げられる。
Al、Siの一方または両方の水酸化物及び/又は酸化物となり得る物質としては、ケイ酸ナトリウム、アルミン酸ソーダ等が挙げられる。これらを使用する場合には水溶液として、無機粒子含有溶液スラリーに滴下すればよい。
無機粒子含有溶液スラリーに、Al、Siの一方または両方の水酸化物及び/又は酸化物となり得る物質の溶液を滴下し、混合物を加熱し(例えば40〜100℃、好ましくは50〜90℃)、酸(例えば希硫酸)にて中和し、乾燥させることにより、無機粒子の表面にAl、Siの一方または両方の水酸化物及び/又は酸化物が付着することとなる。
無機粒子は、SiO2及びAl2O3から選択される1種以上で表面処理されていることが好ましく、SiO2及びAl2O3で表面処理されていることがより好ましい。
SiO2、Al2O3の被着量は、無機粒子及び表面処理物質量の合計質量100質量%中、0.2質量%以上5質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上4質量%以下であることがより好ましい。
また、Si、Alの被着量は、蛍光X線分析による元素比率にてバリウム元素100に対して0.5〜50であることが好ましく、2〜30であることがより好ましい。
無機粒子の動的光散乱法によって求められる平均粒子径は、好ましくは0.01〜18μm、より好ましくは0.03〜12μm、さらに好ましくは0.05〜8μm、さらにより好ましくは0.1〜5μm、特に好ましくは0.2〜3μmである。
無機粒子の配合量は、伸縮性導体シートの全質量に対して、0.3.0〜5.0質量%であることが好ましく、1.0〜2.0質量%であることさらに好ましい。無機粒子の配合量がこの範囲を超えると得られる塗膜表面の導電性が低下し、伸縮性も低下する虞がある。一方、無機粒子の配合量がこの範囲より小さいと、等方的導電性が発現しにくくなる。また、無機粒子の配合量がこの範囲より小さいと、耐捻り性が発現しにくくなる。さらに、無機粒子の配合量がこの範囲より小さいと、耐圧縮性が発現しにくくなる。
無機粒子のアスペクト比は、1.5未満であることが好ましく、1.4以下であることがより好ましく、1.3以下であることがさらに好ましい。1.5以上であると、表面処理された無機粒子による伸縮時の復元力が等方性を示しにくくなり、等方的導電性を示さない虞がある。無機粒子のアスペクト比の下限は、例えば1.0程度であればよい。
本発明における柔軟性樹脂としては、引張弾性率が1〜1000MPaの、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、ゴムなどが挙げられる。塗膜(シート)の伸縮性を発現させるためには、ゴムが好ましい。ゴムとしては、ウレタンゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴムや水素化ニトリルゴムなどのニトリル基含有ゴム、イソプレンゴム、硫化ゴム、スチレンブタジエンゴム、ブチルゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、エチレンプロピレンゴム、フッ化ビニリデンコポリマーなどが挙げられる。
この中でも、ニトリル基含有ゴム、クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、スチレンブタジエンゴムが好ましく、ニトリル基含有ゴム、スチレンブタジエンゴムが特に好ましい。柔軟性樹脂の引張弾性率は、好ましくは3〜600MPaであり、より好ましく10〜500MPa、さらに好ましくは15〜300MPa、さらにより好ましくは20〜150MPa、特に好ましくは25〜100MPaである。
ニトリル基を含有するゴムは、ニトリル基を含有するゴムやエラストマーであれば特に限定されないが、ニトリルゴムと水素化ニトリルゴムが好ましい。ニトリルゴムはブタジエンとアクリロニトリルの共重合体であり、結合アクリロニトリル量が多いと金属との親和性が増加するが、伸縮性に寄与するゴム弾性は逆に減少する。従って、結合アクリロニトリル量は、ニトリル含有ゴム(例えばアクリロニトリルブタジエン共重合体ゴム)100質量%中、18〜50質量%であることが好ましく、30〜50質量%であることがより好ましく、40〜50質量%であることが特に好ましい。
スチレンブタジエンゴムにおいて、スチレンとブタジエンの含有量比(スチレン/ブタジエン)は、質量基準で、好ましくは70/30〜30/70であり、より好ましくは60/40〜40/60である。
合成ゴムの多くは、一般に、水系重合プロセスにて重合されたラテックスを塩析などの方法で凝集させ、洗浄、脱水乾燥して樹脂として取り出される。ここに水系重合は、乳化重合、懸濁重合、分散重合などの総称とする。乳化重合は合成ゴム製造の標準的な方法として広く工業的に用いられている。学術的には、乳化剤の種類、重合開始剤の種類、モノマーの種類などにより乳化重合、懸濁重合、分散重合は区別されるが、工業的プロセスでは、製産効率上、溶媒である水に対する溶質の割合を高く保つことが求められ、乳化重合、懸濁重合、分散重合の厳密な区分はしにくくなる。いずれにせよ水系重合では界面活性剤ないし、重合開始剤、界面活性能を有する重合開始剤、連鎖移動剤などを使用するが、これらの助剤に硫黄元素が含まれる場合が多い。本発明では極力、硫黄成分の少ない助剤、プロセス材料を使用することが好ましく、硫黄元素を含まない助剤、プロセス材料を使用して得られる合成ゴムを使用することが好ましい。より具体的には、乳化剤、分散剤としてスルホン酸塩の基を含む界面活性剤を使用せず、カルボン酸塩の基、リン酸塩の基を含む界面活性剤、好ましくは脂肪酸アルカリ金属塩、脂肪酸アミン塩、アルキルエーテルリン酸アルカリ金属塩、ポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸塩、それらの誘導体などを乳化剤、分散剤として用いて得られる合成ゴムの使用が好ましい。また連鎖移動剤としてはチオール系化合物を避け、イソプロピルアルコール等の2級アルコール;亜リン酸、次亜リン酸およびその塩(次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム等)等、αーメチルスチレンダイマー、四塩化炭素などを用いる事が好ましい。水溶性の高い亜硫酸、亜硫酸塩等の場合には水洗を十分に行う事によって低減可能であるため、それらの併用は許容される。
本発明のウレタン樹脂としては、ポリエーテル系、ポリエステル系、またはポリカーボネート系ポリオール等から成るソフトセグメントとジイソシアネート等から成るハードセグメントを反応させることにより得られる。ソフトセグメント成分としては、分子設計の自由度からポリエステルポリオールがより好ましい。
本発明におけるポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレントリオール、ポリプロピレンテトラオール、ポリテトラメチレングリコール、ポリテトラメチレントリオール、これらを合成するための環状エーテル等のモノマー材料を共重合させて得た共重合体等のポリアルキレングリコール、これらに側鎖を導入したり分岐構造を導入したりした誘導体、変性体、さらにはこれらの混合物等が挙げられる。これらのなかでは、ポリテトラメチレングリコールが好ましい。その理由は、機械的特性が優れるためである。
本発明におけるポリエステルポリオールとしては芳香族計ポリエステルポリオール、芳香族/脂肪族共重合ポリエステルポリオール、脂肪族ポリエステルポリオール、脂環族ポリエステルポリオールを用いることができる。本発明におけるポリエステルポリオールとしては、飽和型、不飽和型、いずれを用いてもかまわない。この中でも脂肪族ポリエステルポリオールが好ましい。
上記の脂肪族ポリエステルポリオールとしては、市販品を使用することもできる。市販品の具体例としては、例えば、ポリライトODX−688、ODX−2044、ODX−240(DIC社製)、クラレポリオールP−2010、P−2050、P−1010(クラレ)、テスラック2461、2455、2469(日立化成製)等が挙げられる。
本発明におけるポリカプロラクトンジオールとしては、例えば、γ−ブチルラクトン、ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン等のラクトン類を開環付加反応させて得られるポリカプロラクトンジオール化合物等が挙げられる。
本発明に使用できるポリカーボネートジオール化合物の市販品として(株)クラレ製クラレポリオールCシリーズ、旭化成ケミカルズ(株)デュラノールシリーズなどが挙げられる。例えば、クラレポリオールC−1015N、クラレポリオールC−1065N、クラレポリオールC−2015N、クラレポリオールC2065N、クラレポリオールC−1050、クラレポリオールC−1090、クラレポリオールC−2050、クラレポリオールC−2090、DURANOL−T5650E、DURANOL−T5651、DURANOL−T5652などを挙げることができる。
本発明におけるジイソシアネート化合物としては、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、2,6−ナフタレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニレンジイソシアネート、4,4’−ジイソシアネートジフェニルエーテル、1,5−ナフタレンジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアナートが、或いは1,6−ヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート(オルソ、メタ、パラ)の脂肪族、脂環族ジイソシアナートが挙げられる。これらの中で、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートが好ましい。また、必要に応じて上記イソシアネートの併用、三官能以上のポリイソシアネート化合物を併用しても良い。
本発明のポリウレタン樹脂には、必要に応じて一般的に鎖延長剤と呼ばれるジオール化合物等を共重合して良い。
鎖延長剤として用いられるジオール化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−ヘキシル−1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール及び1,9−ノナンジオール等の脂肪族グリコールが挙げられる。又はトリメチロールプロパンやトリエタノールアミンの様な低分子量トリオール、ジエチルアミンや4,4’−ジアミノジフェニルメタン等のジアミン化合物、或いはトリメチロールプロパンを挙げることが出来る。これらの中でも特に1,6−ヘキサンジオールが好ましい。
本発明のポリウレタン樹脂のガラス転移温度は0℃以下であることが好ましく、さらに好ましくは−60℃以上−10℃以下、最も好ましくは−50℃以上−20℃以下である。ガラス転移温度が0℃を超えると、作製した導電塗膜の伸度が小さくなり、伸長時の抵抗上昇が悪くなる恐れがある。また、−60℃未満の場合、作製した導電塗膜がブロッキングを生じる恐れがある。また、還元粘度は0.2dl/g以上3.0dl/g以下であり、好ましくは0.3dl/g以上2.5dl/g以下、更に好ましくは0.4dl/g以上2.0dl/g以下である。0.2dl/g未満の場合、導電塗膜が脆くなり伸長時の抵抗上昇が悪くなる恐れがある。また3.0dl/gを超える場合、ポリウレタン樹脂組成物の溶液粘度が高くなり、ハンドリングが困難になる恐れがある。
ポリウレタン樹脂を製造するときには、触媒としてオクチル酸第一錫、ジブチル錫ジラウリレート、トリエチルアミン、ビスマス金属等を用いてもよい。
柔軟性樹脂の配合量は、炭素系導電性粒子と無機粒子と柔軟性樹脂の合計100質量%中、好ましくは7〜35質量%であり、より好ましくは8〜30質量%、さらに好ましくは9〜25質量%、さらにより好ましくは10〜22質量%である。柔軟性樹脂の配合量が少ないと、導体シートの伸縮性が低下し、伸縮耐久性が低下する虞がある。柔軟性樹脂の配合量が多いと、導電性が低下し、等方的導電性も低下する虞がある。
本発明の伸縮性導体シートの製造方法として、伸縮性導体シートを構成する組成物(溶剤を含まない)を、柔軟性樹脂成分が十分に軟化する温度にて溶融混練してコンパウンド化し、溶融押出機にて成膜する方法を例示できる。本方法は高い生産性を要求される場合に使用することが好ましい。
本発明の伸縮性導体シートの製造方法として、伸縮性導体シートを構成する材料に、さらに柔軟性樹脂成分を溶解分散することの出来る溶剤とを配合し、スラリー状、ないしペーストに加工した後、支持体に塗布乾燥することでシート化する製造方法を例示できる。
本発明の態様の一つは、伸縮性導体シートを製造するために使用される伸縮性導体シート形成用ペーストであって、少なくとも炭素系導電性粒子、好ましくはAl、Siの一方または両方の水酸化物及び/又は酸化物によって表面処理されている無機粒子、引張弾性率が1MPa以上1000MPa以下の柔軟性樹脂、及び溶剤を含有し、前記無機粒子の配合量が、前記炭素系導電性粒子と前記無機粒子の合計100質量%中、2.0〜30質量%であり、前記柔軟性樹脂の配合量が、前記炭素系導電性粒子と前記無機粒子と前記柔軟性樹脂の合計100質量%中、7〜35質量%であることを特徴とする伸縮性導体シート形成用ペーストを包含する。
本発明の伸縮性導体シート形成用ペーストは、溶剤を含有する。本発明における溶剤は、水または有機溶剤であることが好ましい。溶剤の含有量は、ペーストに求められる粘性によって適宜調整されるべきであるため、特に限定はされないが、炭素系導電性粒子、無機粒子、柔軟性樹脂と溶剤の合計質量を100%とした場合に20〜60質量%であることが好ましく、22〜50質量%であることがより好ましく、24〜40質量%であることがさらに好ましい。
有機溶剤において、沸点が100℃以上、300℃未満であることが好ましく、より好ましくは沸点が130℃以上、280℃未満である。有機溶剤の沸点が低すぎると、ペースト製造工程やペースト使用時に溶剤が揮発し、ペーストを構成する成分比が変化しやすい懸念がある。一方で、有機溶剤の沸点が高すぎると、乾燥硬化塗膜中の残溶剤量が多くなり、塗膜の信頼性低下を引き起こす懸念がある。
有機溶剤としては、エステル系溶剤、エーテル系溶剤、エーテルエステル系溶剤、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤等が挙げられる。エステル系溶剤と しては、γ−ブチロラクトン、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノ イソブチレート等が挙げられる。
エーテル系溶剤としては、ジエチレングリコール、トリ エチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコ ールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレン グリコール、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコール、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。エーテルエステル系溶剤としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ブチルグリコールアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、トリエチレングリコールジアセテート等が挙げられる。ケトン系溶剤としては、シクロヘキサノン、イソホロン等が挙げられる。
アルコール系溶剤としては、ベンジルアルコール、ターピオネール、n−ドデカノール等が挙げられる。芳香族炭化水素系溶剤としては、トルエン、キシレン、エクソン化学製のソルベッソ100,150,200、ジアミルベンゼン、トリアミルベンゼン等が挙げられる。
また、石油系炭化水素類としては、新日本石油社製のAFソルベント4号(沸点:240〜265℃)、5号(沸点:275〜306℃)、6号(沸点:296〜317℃)、7号(沸点:259〜282℃)、および0号ソルベントH(沸点:245〜265℃)なども挙げられ、必要に応じてそれらの2種以上が含まれてもよい。このような有機溶剤は、伸縮性導体シート形成用ペーストが印刷などに適した粘度となるように適宜含有される。中でも、ペーストの調製時に有機溶剤が揮発しにくく、ペーストの塗工時に有機溶媒を十分に揮発させる観点から、イソホロンが好ましい。
また、本発明の伸縮性導体シート形成用ペーストにはエポキシ樹脂を配合できる。本発明で好ましいエポキシ樹脂はビスフェノールA型エポキシ樹脂ないしはフェノールノボラック型エポキシ樹脂である。エポキシ樹脂を配合する場合、エポキシ樹脂の硬化剤を配合できる。硬化剤としては公知のアミン化合物、ポリアミン化合物などを用いればよい。硬化剤の配合量はエポキシ樹脂100質量部に対して1〜30質量部であることが好ましく、2〜15質量部であることがより好ましい。またエポキシ樹脂と硬化剤の配合量は、柔軟性樹脂100質量部に対して好ましくは0.5〜30質量部、より好ましくは1.0〜20質量部、さらに好ましくは1.5〜15質量部である。
本発明の伸縮性導体シート形成用ペーストには、発明の内容を損なわない範囲で、印刷適性の付与、色調の調整の観点から、レベリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの公知の有機、無機の添加剤を配合することができる。
炭素系導電性粒子、無機粒子、柔軟性樹脂に、さらに溶剤を配合し、ディゾルバー、三本ロールミル、自公転型混合機、アトライター、ボールミル、サンドミルなどの分散機により混合分散することにより組成物をペースト化し、伸縮性導体シート形成用ペーストを調製することができる。
本発明の態様の一例として、以上のようにして得られる伸縮性導体シート形成用ペーストを、ダイコーター、スキージコーター、アプリケーター、コンマコーター、スクリーン印刷などの手法により(好ましくはアプリケーター、コンマコーターにより)、好ましくは離型性を有する基材に塗布・乾燥してシート化する溶液成膜法を用いて伸縮性導体シートを得ることができる。この方法は、少量でも生産できることはもちろんであるが、比較的薄い膜厚のシートが必要な場合には好ましい方法である。
前記ペーストを基材に塗布し、溶剤を揮散させ、乾燥させるには、例えば大気下、真空雰囲気下、不活性ガス雰囲気下、還元性ガス雰囲気下等で加熱を所定時間行えばよい。加熱温度は、例えば100〜150℃であり、好ましくは110〜130℃である。加熱時 間は、例えば10分〜40分であり、好ましくは20分〜30分程度である。
ペースト状態を介して得られる伸縮性導体シートの厚さは、3μm〜800μmであり、好ましくは8μm〜500μmであり、より好ましくは12μm〜300μmであり、さらに好ましくは20μm〜180μmである。前記シートの厚さが3μm未満であると、伸縮に対する耐久性が低下し、導電性が低下する虞もある。前記シートの厚さが800μm超であると、十分な伸縮性が得られにくく、布帛に使用した際に十分なフィット感が得られない虞がある。
本発明の伸縮性導体シートは、伸縮性導体シート形成用ペースト単体でシート化し(導電層を形成し)、必要に応じて少なくとも一方の面に絶縁層を有する形でシート化することができる。絶縁層は伸縮性導体シートと同様に伸縮性を有することが好ましい。絶縁層の材料としては、伸縮性導体シート形成用ペーストを構成する柔軟性樹脂と同様に、低弾性率の高分子材料が好ましい。かかる絶縁層は、伸縮性導体シートが電気配線として用いられる場合、伸縮性導体シートと基材との間に絶縁層ないし基材との接着層としての働きを有する。また電気配線と用いられる場合の基材とは逆側、すなわち表面側に設けられる場合には絶縁コート層(絶縁部)として機能する。
絶縁層を形成する樹脂としては、絶縁性を示す樹脂であれば、特に限定されるものではなく、ポリウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、エポキシ系樹脂等が挙げられる。中でも、ポリウレタン系樹脂が、導電層との接着性の観点から好ましい。
ポリウレタン系樹脂は、例えばポリエステル系ポリウレタン樹脂、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂等であることが好ましく、塗膜の伸縮性の観点から、ポリエステル系ポリウレタン樹脂であることがより好ましい。
絶縁層は、樹脂を溶剤(好ましくは水)に溶解乃至分散させて、基材や布生地上に塗布又は印刷して塗膜を形成し、次いで塗膜に含まれる溶剤を揮散させ乾燥させることにより、調製してもよい。この際、樹脂溶液の粘度は、400mPa・s以下であってもよく、粘度調節剤として、アクリル系重合物等の増粘剤を使用してもよい。
絶縁層の膜厚は、例えば5〜200μmであり、好ましくは8〜150μmであり、より好ましくは14〜90μmであり、さらに好ましくは20〜70μmである。絶縁層が薄すぎると、絶縁効果が不十分になり、絶縁層が厚すぎると、布帛等の伸縮性が阻害されたり、着心地が阻害される虞がある。
布生地上に形成される絶縁層は、通常一部が布生地に含浸するが、上記膜厚は、この布生地に含浸した部分を含めた厚さであればよい。含浸部分を除いた絶縁層の膜厚は、例えば5〜200μmであり、好ましくは8〜150μmであり、より好ましくは14〜90μmであり、さらに好ましくは20〜70μmである。
本発明の伸縮性導体シートは、必要に応じて、銀などの金属フィラーを主に用いた別の伸縮性導体層と複層にする形態でシート化することができる。本発明の伸縮性導体シートは刺激性が小さいく、また生体起因の汗、体液などの成分に対し安定であるため、生体の皮膚または粘膜に接触する電極部位に用いることができる。そのため、本発明の伸縮性導体シートを接触部位に用いて生体情報計測用プローブを得ることができる。
さらに本発明では伸縮性導体樹脂シートを衣服ないし衣服の原反となる布帛に貼り付けて電気配線を形成してもよい。
シートの布帛への貼り付けには公知の接着剤やホットメルト型樹脂を用いれば良い。接着に用いる材料は柔軟性を有することが好ましい。また、絶縁層シートを半乾燥、半硬化状態であるBステージ状にしておいて、絶縁層シートそのものをホットメルト素材として使うこともできる。また伸縮性導体シートをBステージとして加熱・加圧により布帛に接着することも可能である。
本発明では、伸縮性導体シート形成用ペーストを用いて電気配線パターンを直接布帛に印刷することにより伸縮性導体シートからなる電気配線を有する布帛を製造することができる。
印刷手法としては、スクリーン印刷法、平版オフセット印刷法、ペーストジェット法、フレキソ印刷法、グラビア印刷法、グラビアオフセット印刷法、スタンピング法、ステンシル法などを用いることができるが、本発明ではスクリーン印刷法、ステンシル法を用いることが好ましい。またディスペンサ等を用いて配線を直接描画する手法も広義の印刷と解釈して良い。
印刷は、衣服や繊維製品の原反となる、織物、編物、不織布、合成皮革などの布帛上に所定のパターン印刷を行い、その後に裁断・縫製して衣服などの繊維製品を得る方法、あるいは、縫製を終えた繊維製品、ないし縫製中間体の状態で印刷することも可能である。
また、あらかじめ布帛上にポリウレタン樹脂、ゴムなどの柔軟性のある樹脂材料を下地として全体に、あるいは部分的に塗布した後に伸縮性導体シート形成用ペーストを印刷することもできる。また布帛を水溶性の樹脂などで仮に固めてハンドリングしやすくして印刷しても良い。またさらに硬質な板材に仮固定して印刷しても良い。布帛に直接伸縮性導体シート形成用ペーストを印刷して得られる配線付き衣服は、下地およびまたは伸縮性導体 部が基材である布帛の繊維と部分的に相互侵入状態となり、強固な接着を実現することが できる。また下地層を介して印刷する場合においても、下地層に伸縮性導体シート形成用 ペーストと接着性の良い材料を適宜選択できるため、良好な接着性を有する電気配線層の ある衣服を得ることができる。
本発明の伸縮性導体シートからなる配線には、必要に応じて伸縮性を有する絶縁カバーコートを印刷法、あるいはラミネート法にて設けることができる。
本発明では、以上述べてきた伸縮性導体シート形成用ペーストを用いて電気配線パターンを中間媒体に印刷した後に布帛に転写することにより伸縮性配線を有する布帛を製造することができる。
本発明の伸縮性導体シートの等方的導電性は、以下の通りに評価することができる。すなわち、伸縮性導体シート形成用ペーストの塗布方向をAとし、塗布方向と直角の方向をBとし、得られた伸縮性導体シートとして所定の試料(幅20mm、長さ50mm) にカットした試験片を用い、伸長率40%時の比抵抗を測定し、塗布方向(A)と塗布方 向と直角方向(B)の試験片での比抵抗の変化率(本願明細書において等方性ともいう) を以下の式により求めればよい。
等方性[%]={(塗布方向の比抵抗/塗布方向と直角方向の比抵抗)−1}×100
伸長率は以下の式により算出できる。
伸長率(%)=(ΔL0/L0)×100
L0は試験片の標線間距離、ΔL0は試験片の標線間距離の増加分を示す。なお、伸長時のシート抵抗は、所定の伸長度に達してから30秒後の値を読み取った。
比抵抗は、以下の通りにして測定すればよい。
膜厚はシックネスゲージ SMD−565L(TECLOCK社製)を用い、シート抵抗はLoresta−GP MCP−T610(三菱化学アナリテック社製)を用いて試験片4枚について測定し、その平均値を用い、比抵抗を以下の式により算出できる。
比抵抗(Ω・cm)=Rs(Ω□)×t(cm)
Rsは各条件で測定されたシート抵抗、tは測定された膜厚を示す。
本発明では塗布方向40%伸張時の比抵抗と、塗布方向と垂直方向40%伸張時の比抵抗により、等方性を評価する。すなわち、直交する2つの方向において、いずれも元の長さの40%伸張した際の伸長方向における伸張時の比抵抗の変化率は、±10%未満であり、±9.0%以下であることが好ましく、±8.0%以下であることがより好ましく、±7.5%以下であることがさらに好ましい。
本発明の伸縮性導体シートの耐捻り性は、捻り試験の捻りサイクルを100回繰り返し比抵抗の変化を算出することにより求めることができる。
[捻り試験:試料:幅10mm、長さ100mm(試料の長手方向の片端固定、他の片端の回転による捻り)捻りサイクル:正方向10回転(3600°)捻り、初期状態への戻り、負方向10回転(−3600°)捻り、初期状態への戻り]
本発明において、上記捻り試験の捻りサイクルを100回繰り返した後のシートの比抵抗は、初期比抵抗の3.0倍以内であり、好ましくは2.8倍以内であり、より好ましくは2.6倍以内であり、さらに好ましくは2.4倍以内であり、さらにより好ましくは2.2倍以内であり、特に好ましくは2.0倍以内である。
本発明の伸縮性導体シートの耐圧縮性は、10%圧縮を100回繰り返し比抵抗の変化を算出することにより求めることができる。
比抵抗変化(倍)=10%圧縮を100回繰り返した伸縮性導体シートの比抵抗/初期状態の伸縮性導体シートの比抵抗
本発明において、10%圧縮を100回繰り返した後の伸縮性導体シートの比抵抗は、初期比抵抗の2.4倍以内であり、好ましくは2.2倍以内であり、より好ましくは2.0倍以内であり、さらに好ましくは1.8倍以内である。本発明の伸縮性導体シートが、この様な圧縮後の比抵抗変化に収まれば、耐圧縮性を十分備えているといえる。
本発明の伸縮性導体シートの空隙率は、好ましくは3体積%以上50体積%以下、より好ましくは4体積%以上40体積%以下、さらに好ましくは5体積%以上30体積%以下である。空隙率が小さいと、耐圧縮性、洗濯耐久性が低下する虞がある。一方、空隙率が大きいと伸縮性や導電性が低下する虞がある。
本発明の伸縮性導体シートが洗濯に供される場合、伸縮性導体シートにおける洗濯後の比抵抗の変化が小さく、洗濯耐久性にも優れる。
洗濯耐久性は、例えば、洗濯条件としてJIS L0844を用い、洗濯後の伸縮性導体シートの比抵抗と、伸縮性導体シートの初期比抵抗を算出し、その比(洗濯後の伸縮性導体シートの比抵抗/初期の伸縮性導体シートの比抵抗)により評価することができる。
すなわち、機械洗濯器、洗濯ネットを用い、5回連続洗濯後、1回陰干を1サイクルとして10回繰り返した後の伸縮性導体シートの比抵抗と、洗濯前の初期状態の伸縮性導体シートの比抵抗との比(洗濯耐久性比抵抗変化)を指標にして洗濯耐久性を評価すればよい。
本発明において、5回連続洗濯及び1回陰干を10回繰り返した後の伸縮性導体シートの比抵抗は、好ましくは初期比抵抗の4.0倍以内、より好ましくは3.5倍以内、さらに好ましくは3.0倍以内、さらにより好ましくは2.5倍以内である。本発明の伸縮性導体シートが、この様な洗濯後の比抵抗変化に収まれば、洗濯耐久性を十分備えているといえる。
以下、実施例を示し、本発明をより詳細かつ具体的に説明する。なお実施例中の評価結果などは以下の方法にて測定した。
<ニトリル量>
得られた柔軟性樹脂をNMR分析して得られた組成比から、モノマーの質量比による質量%に換算した。
<ムーニー粘度>
島津製作所製 SMV−300RT「ムーニービスコメータ」を用いてムーニー粘度を測定した。
<アルカリ金属量>
樹脂を灰化処理し、得られた灰分を塩酸抽出し、原子吸光法にてナトリウム、カリウムの含有量を求め、両者を合計した。
<弾性率>
柔軟性樹脂を厚さ200±20μmのシート状に加熱圧縮成形し、次いでISO 527−2−1Aにて規定されるダンベル型に打ち抜き、試験片とした。ISO 527−1に規定された方法で引っ張り試験を行って弾性率を求めた。
<平均粒子径>
堀場製作所製の光散乱式粒径分布測定装置LB−500を用いて平均粒子径を測定した。
<無機粒子の組成分析>
無機粒子の組成分析を蛍光X線分析装置(蛍光X線分析装置システム3270、理学電 機株式会社製)を使用し、Al成分、Si成分量を測定した。なお、Al成分、Si成分 の被着量は、検出されたAl成分、およびSi成分の金属化合物を酸化物換算(即ち、A l成分はAl2O3、Si成分はSiO2として換算)して表す。
[比抵抗の評価]
伸縮性導体シートを幅10mm、長さ140mmにカットして試験片を作製した。自然状態(伸長率0%)の伸縮性導体シート試験片のシート抵抗と膜厚を測定し、比抵抗を算出した。膜厚はシックネスゲージ SMD−565L(TECLOCK社製)を用い、シート抵抗はLoresta−GP MCP−T610(三菱化学アナリテック社製)を用いて試験片4枚について測定し、その平均値を用いた。比抵抗は以下の式により算出した。
比抵抗(Ω・cm)=Rs(Ω□)×t(cm)
ここで、Rsは各条件で測定されたシート抵抗、tは各条件で測定された膜厚を示す。
自然状態(伸長率0%)と同様にして、万能試験機(島津製作所製、オートグラフAG−IS)を用いて、40%に伸長した時(伸長速度60mm/分)の比抵抗を測定した。伸長率は以下の式により算出した。
なお、導電性膜の伸長評価は、導電性ペーストを塗布した方向を試験片の伸長方向としたものと、該塗布方向と直交する方向を試験片の伸長方向としたものとの2つの伸長方向にて実施した。
伸長率(%)=(ΔL0/L0)×100
ここで、L0は試験片の標線間距離、ΔL0は試験片の標線間距離の増加分を示す。なお、伸長時のシート抵抗は、所定の伸長度に達してから30秒後の値を読み取った。また、100%伸長時の比抵抗増加率は以下の式により算出した。
比抵抗増加率(%)=(R100/R0)×100
ここで、R100は100%伸長後の比抵抗、R0は自然状態の比抵抗を示す。
[等方性の評価]
伸縮性導体シート形成用ペーストの塗布方向と、塗布方向と直角の方向にそれぞれ幅20mm、長さ50mmにカットして試料片を作製した。それぞれの試験片を用いて、伸長率40%時の比抵抗を測定した。塗布方向と塗布方向と直角方向の試験片での比抵抗の変化率を比較して等方性の評価とした。
等方性[%]={(塗布方向の比抵抗/塗布方向と直角方向の比抵抗)−1}×100
<捻り性の評価>
初期状態の伸縮性導体シートの比抵抗と、捻り試験の捻りサイクルを100回繰り返し
た伸縮性導体シートの比抵抗とを算出し、以下の式により比抵抗の変化を算出した。
比抵抗の変化(倍)=100回捻りサイクルを繰り返した伸縮性導体シートの比抵抗/
初期状態の伸縮性導体シートの比抵抗
[捻り試験:
試料:幅10mm、試験長さ100mm(試料の長手方向の片端を固定し、片端を回転させることにより捻りを加える。)
捻りサイクル:正方向に10回転(3600°)捻り、初期状態に戻し、
負方向に10回転(−3600°)捻り、 初期状態に戻す]
[耐圧縮性の評価]
試料:離型PETフィルムに伸縮性導体シート形成用ペーストをスキージコーティングし、所定の条件で乾燥硬化させて厚さ100μmの伸縮性導体シートを得た。得られたシートを、直径50mmの円形に打ち抜き、10枚重ね、これを試料とした。各試験片の中央部にて10枚の試料の比抵抗を測定し、平均値を求めた。これをρiとした。
次に、以下の圧縮操作を行った。万能試験機(島津製作所製)を用い、下側を固定式厚盤とし、厚盤上に試料を置き、その上に底面を平坦にした直径20mm、高さ10mmの金属製円筒を置き、上部から球座式厚盤をあてがい、厚さ方向に10%の圧縮し、解放するサイクルを100回(1サイクル/秒)繰り返した。圧縮操作終了後の試料の各シート(10枚)の中央部の比抵抗を測定し、平均値を求めた。これをρeとした。
比抵抗変化(倍)=ρe/ρi
[空隙率]
伸縮性導体シートの空隙率は、見かけ比重と仕込み比から求められる計算比重とから算出した。本実施例では炭素比重を2.2、樹脂比重を1.25、無機粒子の比重を4.5として計算比重を算出した。
[洗濯耐久性]
洗濯の条件は、JIS L0844に準拠して行った。具体的には、機械洗濯器、洗濯ネット、洗剤(花王株式会社製アタック)を用い、5回連続洗濯後、1回陰干を1サイクルとして10回繰り返した。洗濯後の伸縮性導体シートの比抵抗を測定し、初期比抵抗との変化(洗濯後の比抵抗/初期比抵抗)を求めた。
[汗耐久性]
皮膜抵抗測定と同じ方法にて作成した試験片を用い、まず50%伸張を繰り返し100回行った後に、JIS L 0848:2004に規定される人口汗液に試験片を1時間浸漬し、引き上げた試験片を30℃80%RHの環境に48時間放置し、試験後の外観変化(主に銀の変色:黒ずみの有無)と初期の抵抗値に対する試験後の抵抗値の上昇率を求めた。
[有機硫黄成分の定量]
蛍光X線分析装置にてペーストの乾燥硬化物を分析して全硫黄成分を求め、有機硫黄成分の硫黄換算値とした。本発明の図表での表現において、特に断りの無い限り「硫黄成分」は有機硫黄成分の硫黄換算値とする。
[製造例1]
<合成ゴム材料の重合>
攪拌機、水冷ジャケットを備えたステンレス鋼製の反応容器に
ブタジエン 61質量部
アクリロニトリル 39質量部
脱イオン水 270質量部
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 0.5質量部
ナフタレンスルホン酸ナトリウム縮合物 2.5質量部
t−ドデシルメルカプタン 0.3質量部
トリエタノールアミン 0.2質量部
炭酸ナトリウム 0.1質量部
を仕込み、窒素を流しながら浴温度を15℃に保ち、静かに攪拌した。次いで 過硫酸カリウム0.3質量部を脱イオン水19.7質量部に溶解した水溶液を30分間かけて滴下し、さらに20時間反応を継続した後、ハイドロキノン0.5質量部を脱イオン水19.5質量部に溶解した水溶液を加えて重合停止操作を行った。
次いで、未反応モノマーを留去させるために、まず反応容器内を減圧し、さらにスチームを導入して未反応モノマーを回収し、NBRからなる合成ゴムラテックス(L1)を得た。
得られたラテックスに食塩と希硫酸を加えて凝集・濾過し、樹脂に対する体積比20倍量の脱イオン水を5回に分けて樹脂を脱イオン水に再分散、濾過を繰り返すことで洗浄し、空気中にて乾燥して合成ゴム樹脂R01を得た。合成ゴム樹脂R01のニトリル量は39質量%、ムーニー粘度は51、弾性率は42MPaであった。
[製造例2]
製造例1のアクリロニトリルとブタジエンに換えて、スチレン40質量部、ブタジエン60質量部を用いた以外は同様に操作し、合成ゴム樹脂R02を得た。合成ゴム樹脂R02のニトリル量は0質量%、ムーニー粘度は67、弾性率は51MPaであった。
[製造例3]
(ポリウレタン樹脂製造例)
ポリウレタン樹脂組成物(A)の合成
1Lの4つ口フラスコにODX−2044(DIC製ポリエステルジオール)100部、鎖延長剤として1、6−ヘキサンジオール(宇部興産製)33部をエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート100部に入れ、マントルヒーターにセットした。攪拌シールをつけた攪拌棒、還流冷却器、温度検出器、玉栓をフラスコにセットして50℃で30分攪拌して溶解した。T−100(東ソー製、イソシアネート)を58部、触媒としてジブチル錫ジラウレート0.1部を添加した。反応熱による温度上昇が落ち着いたところで90℃に昇温して4時間反応することによりポリウレタン樹脂組成物(A)を得た。得られた樹脂の還元粘度は0.81、ガラス転移温度は−20℃、ウレタン基濃度は3495eq/tであり、その塗膜物性は弾性率55MPa、伸度1180%であった。
[製造例4]
攪拌機、水冷ジャケットを備えたステンレス鋼製の反応容器に
ブタジエン 76質量部
アクリロニトリル 24質量部
脱イオン水 270質量部
日本乳化剤株式会社製 Antox EHD−PNA
(ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル) 1.0質量部
日本乳化剤株式会社製 Disrol AQ−3
(ポリアクリル酸ナトリウム塩) 2.0質量部
次亜リン酸カリウム 0.3質量部
トリエタノールアミン 0.2質量部
炭酸ナトリウム 0.1質量部
を仕込み、窒素を流しながら浴温度を15℃に保ち、静かに攪拌した。次いで 過硫酸カリウム0.3質量部を脱イオン水19.7質量部に溶解した水溶液を30分間かけて滴下し、さらに20時間反応を継続した後、ハイドロキノン0.5質量部を脱イオン水19.5質量部に溶解した水溶液を加えて重合停止操作を行った。
次いで、未反応モノマーを留去させるために、まず反応容器内を減圧し、さらにスチームを導入して未反応モノマーを回収し、NBRからなる合成ゴムラテックス(L3)を得た。
得られたラテックスに食塩と希硫酸を加えて凝集・濾過し、樹脂に対する体積比20倍量の脱イオン水を5回に分けて樹脂を脱イオン水に再分散、濾過を繰り返すことで洗浄し、空気中にて乾燥して合成ゴム樹脂R07を得た。合成ゴム樹脂R07のニトリル量は24質量%、ムーニー粘度は45、弾性率は21MPaであった。また有機硫黄成分は20ppm以下であった。
[硫酸バリウム粒子の調製]
吸込口径40mm、吐出口径25mm、内容積850mL、インペラー回転数2380r pmのワーマンポンプを反応槽として用い、このポンプに濃度110g/L(1.1mo l/L)、温度30℃の硫酸水溶液を700L/hの一定流量にて吸い込ませると共に、 120g/L(0.71mol/L)、温度50℃の硫化バリウム水溶液を600L/ hの一定流量にて吸い込ませることで調製した水スラリー(固形分95g/L)1000mLを60℃に昇温した。SiO2として4.0g相当量の珪酸ナトリウムを純水100 mLで希釈して20分で滴下し、次いで、Al2O3として2.0g相当量のアルミン酸ソーダを純水100mLで希釈し、20分で滴下した。さらに反応系を70℃に昇温し、30分撹拌後、希硫酸を用いて30分かけてpH8に中和した。10分撹拌してから、ろ過し、充分に水洗してから乾燥して、乾燥チップを得て、粗砕した後、気流式粉砕機で粉砕した。得られた粉体は、基材となる超微粒子硫酸バリウムと被着物の合計質量に対して、SiO2として3.5質量%、 Al2O3として1.7質量%被着され、動的光散乱法によって測定される平均粒子径が 0.3μmであった。
[導電ペースト製造例]
表1に示す材料を用い、表2に示す配合比により導電ペーストを製造した。まず溶剤の半分量に樹脂成分を溶解し、得られた樹脂溶液に導電粒子、非導電粒子、溶剤の残量を加えて、均一に混合した後に三本ロールミルにて分散し、脱泡操作を一切行わずに導電ペーストとした。導電ペーストの配合組成とそれぞれの導電ペーストから得られる被膜の単独特性を結果を表2に示す。
[伸縮性導体シートの製造1(単層)]
厚さ75μmの離型PETフィルムに、第一の伸縮性導体用ペースト(カーボンペースト)を、アプリケーターを用いて、乾燥膜厚が表3に示す厚さになるように塗布後、乾燥硬化し伸縮性導体シート(単層)を得た。 得られた伸縮性導体シートの特性を表3に示す。
[伸縮性導体シートの製造2(複層)]
厚さ75μmの離型PETフィルムに、第一の伸縮性導体用ペースト(カーボンペースト)を、アプリケーターを用いて、乾燥膜厚が表3に示す厚さになるように塗布後、乾燥硬化し、次いで第二の伸縮性導体ペースト(銀ペースト)を同様に塗布後、乾燥硬化して、複層からなる伸縮性導体シートを得た。
得られた伸縮性導体の第二の伸縮性導体ペースト面に、エヌティーダブリュー株式会社 ポリウレタンホットメルトフィルム エセランSHM104−PUR(セパレートシート付き)を重ね、ゴムロール温度を120℃に調整したロールラミネート機にて接着し、接着性のある伸縮性導体シートを得た。
[型抜きと布帛への接着]
得られた接着性のある伸縮性導体シートを型抜機にセットし、ホットメルトフィルムのセパレートシート面側からトムソン刃にて、幅10mm、長さ80mmの長方形を型抜きした。トムソン刃の深さはホットメルトシートと第二の伸縮性導体層、第一の伸縮性導体層までとし、離型PETフィルムは打ち抜かずに残している。
次いで、前記型抜き後のシートから、幅10mm、長さ80mmの長方形以外の部分を剥離除去し、長方形部分に残っていたセパレートシートを剥がし、幅30mm、長さ100mmのグンセン株式会社製2−wayトリコット生地 KNZ2740を、伸縮性導体シートが中央に配置されるように重ね、プレス機にて、105℃、0.03MPaの圧力にて25秒間加圧して接着し、その後、離型PETフィルムを剥離して、トリコット生地に接着された伸縮性導体シートを得た。得られた伸縮性導体シートの評価結果を表4−1、表4−2、表4−3に示す。
Figure 0006859760
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[応用例4−1]
厚さ125μmの離型PETフィルムに、まずカバーコート層となるウレタン素材からなる伸縮性絶縁樹脂インクを所定のパターンに印刷し、乾燥硬化した。パターンは電極部の周囲をリング状にカバーするランド部と伸縮性導体から成る電気配線部をカバーする絶縁コート部に相当する。ランド部は後述する電極パターンの外周3mmを覆い、リングの幅は5mmである。絶縁コート部は幅16mmであり、幅10mmとなる伸縮性導体をカバーする。カバーコート層の乾燥厚さは20μmとなるように調製した。
次いで電極部分となる箇所にカーボンペースト(CG)を印刷し、乾燥硬化した。電極部は先に印刷されたカバーコート層のリングと同心円的に配置された直径50mmの円である。伸縮性カーボンペースト層の乾燥膜厚は15μmとした。
次いで、銀ペースト(AD)を用いて電極部と電気配線部を印刷した。電極部は直径50mmのドーナツ形であり、リング状ランド部と同心円的に配置される。電気配線部は幅10mmである。伸縮性導体部分の厚さは印刷〜乾燥を繰り返し、乾燥厚さを50μmとした。
さらにカバーコート層に用いた伸縮性絶縁樹脂インクを、カバーコート層を含め印刷されている全てのパターンと重なるように印刷し、溶剤を意図的に残し、タック性が残るように60℃10分間の弱い乾燥操作を行い、転写性の印刷電極配線シートを得た。ついで、以上の工程により得られた転写性の印刷電極配線を裏返したスポーツシャツの所定部分に重ね、ホットプレスして印刷物を離型PETフィルムからスポーツシャツに転写し、さらに115℃にて30分間乾燥し、電気配線付きスポーツシャツを得た。
得られた電気配線付きスポーツシャツは、左右の後腋窩線上と第7肋骨との交差点に直径50mmの円形電極があり、さらに円形電極から胸部中央までの幅10mmの伸縮性導体組成物による電気配線が内側に形成されている。なお左右の電極から胸部中央に伸びる配線は、頸部背面中央にて5mmのギャップを持ち、両者は短絡されていない。
続いて、左右の配線部のカバーコート層が無い頸部背面中央のスポーツシャツの表面側にステンレススチール製のホックを取り付け、裏側の配線部と電気的導通を確保するために金属細線を撚り込んだ導電糸を用いて伸縮性導体組成物層とステンレススチール製ホックとを電気的に接続した。
ステンレススチール製ホックを介して、ユニオンツール社製の心拍センサWHS−2を接続し、同心拍センサWHS−2専用のアプリ「myBeat」を組み込んだアップル社 製スマートホンで心拍データを受信し、画面表示できるように設定した。以上のようにし て心拍計測機能を組み込んだスポーツシャツを作製した。
本シャツを被験者に着用させ、安静時、歩行時、ランニング時、自転車走行時、自動車 運転時、睡眠時、について心電データを取得した。得られた心電データはノイズが少なく、高解像度で、心電図としてメンタルな状態、体調、疲労度、眠気、緊張度合いなどを心 拍間隔の変化、心電波形などから解析可能な品位を有していた。
以上、本発明における伸縮性導体シート形成用ペーストを用いることにより、伸縮性を有するテキスタイル、ファブリックなどの衣服や繊維製品の上に直接、ないし間接に印刷法を用いて電気配線形成が可能となる。本発明の伸縮性導体シート形成用ペーストによって得られる繊維製品上の電気配線は、本応用実施例に示した用途例に限定されず、人体の持つ情報、すなわち筋電位、心電位などの生体電位、体温、脈拍、血圧などの生体情報を衣服に設けたセンサなど検知するためのウェアラブル装置や、あるいは、電気的な温熱装置を組み込んだ衣服、衣服圧を測定するためのセンサを組み込んだウェアラブル装置、衣服圧を利用して身体サイズを計測するウェア、足裏の圧力を測定するための靴下型装置、フレキシブルな太陽電池モジュールをテキスタイルに集積した衣服、テント、バッグなどの配線部、関節部を有する低周波治療器、温熱療養機などの配線部、屈曲度のセンシング部などに応用可能である。かかるウェアラブル装置は、人体を対象にするのみならず、ペットや家畜などの動物、あるいは伸縮部、屈曲部などを有する機械装置にも応用可能であり、ロボット義手、ロボット義足など機械装置と人体と接続して用いるシステムの電気配線としても利用できる。また体内に埋設して使用するインプラントデバイスの配線材料としても有用である。
1:布帛
2:支持体
3:伸縮性導体シート形成用ペースト(伸縮性導体シート)
4:伸縮性カバー
5:伸縮性カーボン
6:離型支持体
7:接着剤

Claims (13)

  1. 炭素系導電性粒子、引張弾性率が1MPa以上1000MPa以下の柔軟性樹脂を少なくとも有する伸縮性導体組成物からなる伸縮性導体シートであって、前記伸縮性導体組成物から形成された被膜の空隙率が3体積%以上12.1体積%以下であることを特長とする伸縮性導体シート。
  2. 炭素性導電性粒子、無機粒子、及び引張弾性率が1MPa以上1000MPa以下の柔軟性樹脂、を少なくとも含有する厚さ3〜800μmの伸縮性導体シートであって、10%圧縮を100回繰り返した後の比抵抗が、初期比抵抗の2.4倍以内であり、以下の捻り試験の捻りサイクルを100回繰り返した後のシートの比抵抗が、初期比抵抗の3.0倍以内であることを特徴とする伸縮性導体シート。
    [捻り試験:試料:幅10mm、長さ100mm(試料の長手方向の片端固定、他の片端の回転による捻り)捻りサイクル:正方向10回転(3600°)捻り、初期状態への戻り、負方向10回転(−3600°)捻り、初期状態への戻り]
  3. 前記無機粒子が、Al、Siの一方または両方の水酸化物及び/又は酸化物によって表面処理されている請求項に記載の伸縮性導体シート
  4. 前記無機粒子の配合量が、伸縮性導体シートの全質量に対して、0.3〜5.0質量%である請求項2または記載の伸縮性導体シート。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の伸縮性導体シートを製造するために使用される伸縮性導体組成物形成用ペーストであって、少なくとも炭素系導電性粒子、アスペクト比が1.5未満であり、平均粒子径が1μm以下である無機粒子、引張弾性率が1MPa以上1000MPa以下の柔軟性樹脂、及び溶剤を含有し、前記無機粒子の配合量が、前記炭素系導電性粒子と前記無機粒子の合計100質量%中、2.0〜30質量%であることを特長とする伸縮性導体シート形成用ペースト。
  6. 直交する2つの方向においていずれも元の長さの40%伸張した際の伸長方向における伸張時の比抵抗の変化率が±10%未満であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の伸縮性導体シート。
  7. 以下の捻り試験の捻りサイクルを100回繰り返した後のシートの比抵抗が、初期比抵抗の3.0倍以内であることを特徴とする請求項1、請求項3、請求項4、請求項6のいずれかに記載の伸縮性導体シート。
    [捻り試験:試料:幅10mm、長さ100mm(試料の長手方向の片端固定、他の片端の回転による捻り)捻りサイクル:正方向10回転(3600°)捻り、初期状態への戻り、負方向10回転(−3600°)捻り、初期状態への戻り]
  8. 前記柔軟性樹脂が、有機硫黄化合物を実質的に含有しない伸縮性高分子バインダーであることを特長とする請求項1から請求項4、請求項6、請求項7いずれかに記載の伸縮性導体シート。
  9. 前記柔軟性樹脂が、有機硫黄化合物を実質的に含有しない伸縮性高分子バインダーであることを特長とし、かつ、溶剤を除いた成分における有機硫黄化合物の含有量が硫黄換算にて500ppm以下である事を特長とする請求項5に記載の伸縮性導体組成物形成用ペースト。
  10. 銀を含む素材に近接して用いられる事を特長とする請求項1から請求項4、請求項6から請求項8のいずれかに記載の伸縮性導体シート。
  11. 前記有機硫黄化合物を実質的に含有しない伸縮性高分子バインダーが、硫黄元素を含まない界面活性剤と、硫黄元素を含まない連鎖移動剤の存在化での、ブタジエンを少なくとも含む単量体の、水系重合物である事を特長とする請求項5または請求項9に記載の伸縮性導体組成物形成用ペースト。
  12. 前記有機硫黄化合物を実質的に含有しない伸縮性高分子バインダーが、硫黄元素を含まない界面活性剤と、硫黄元素を含まない連鎖移動剤の存在化での、ブタジエンを少なくとも含む単量体の、水系重合物である事を特長とする請求項1から請求項4、請求項6から請求項8、請求項10のいずれかに記載の伸縮性導体シート。
  13. 請求項12に記載の伸縮性導体シートを、生体の皮膚または粘膜に接触する部位に用いた事を特長とする生体情報計測用プローブ。
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