JP6857296B1 - 近赤外線吸収顔料および近赤外線吸収性組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
前記近赤外線吸収顔料の平均一次粒子径は、10〜80nmであり、
逆相系液体クロマトグラフィーを用いる近赤外線吸収顔料の分析結果が、移動相としてアセトニトリルと水とを8:2の体積比で混合した混合溶液を用いた条件において、最も長い保持時間において現れるピークのピーク面積の割合が該近赤外線吸収顔料に由来するピークすべてのピーク面積の合計の60〜78%である。
<近赤外線吸収顔料>
本発明の近赤外線吸収顔料は、下記一般式(1)で表される化合物、およびその異性体を含む。
ニル基、4−シアノフェニル基等が挙げられる。これらの中でも耐久性が良く合成が容易なフェニル基、4−メチルフェニル基が好ましい。
フェニルオキシ基、4−ジエチルアミノフェニルオキシ基、4−ニトロフェニルオキシ基等が挙げられる。これらの中でも耐久性が良く合成が容易なフェノキシ基、ナフチルオキシ基が好ましい。
これは、逆相系液体クロマトグラフィーの分析結果が、移動相としてアセトニトリルと水とを8:2の体積比で混合した混合溶液を用いた条件で、最も長い保持時間において現れるピークのピーク面積の割合が当該近赤外線吸収顔料に由来するピークすべてのピーク面積の合計の60〜78%であることで確認される。換言すると前記「60〜78%」は、HLPCで測定したチャート曲線において、近赤外線吸収色素に由来する全ピークをベースラインを基準に積分した面積のうち最も長い保持時間において現れるピーク(最も遅いピーク)の面積である。なお、上記HPLCによる分析方法は次の通りである。まず、近赤外線吸収顔料をテトラヒドロフラン(THF)に溶解させ、1×10−4mol/L以下のTHF溶液を調整する。なお溶媒のTHFは、例えばHPLC用THFが用いられる。また上記THF溶液の調整では、近赤外線吸収顔料が溶解するように、例えばTHF溶液に超音波を30分照射してもよい。
HPLC用カラムはオクタデシルシリルカラム(ODSカラム)が用いられ、具体的には、例えば製造元:ケムコ社製、商品名:CHEMCOSORB、品番:5−ODS−H、粒度:5μm、内径:4.6mm、長さ:150mmのものが挙げられる。ここで、オクタデシルシリルカラムとは、オクタデシルシリル基で表面が修飾された化学結合型多孔性球状シリカゲルが固定相として充填されているカラムである。
また測定条件は、例えば、カラム温度:45℃、測定サンプルの注入量:10μl、測定サンプルの流量:1ml/min、検出波長:254nm、移動相:アセトニトリルと水との混合溶液(体積比は、アセトニトリル:水=8:2)の条件が挙げられる。
分散性が悪くなると、高い顔料濃度での分散液の安定性が得られなくなるため、顔料濃度を低くしなければならず、組成物にした際にも顔料の濃度を高く設計しにくい。
薄膜化するためには、より高い顔料濃度の組成物を作製する必要がある。同じ顔料濃度で膜厚を薄くすると、近赤外線の吸収性も低くなるため、膜厚を薄くしながら同じ近赤外線の吸収性を確保するためには、顔料濃度を高くする必要がある。このように、この異性体の比率が多くなりすぎると、分散性が悪くなり、薄膜化が困難になる。
近赤外線吸収顔料の製造方法は、近赤外線吸収顔料の合成、合成した顔料の溶剤処理、溶剤処理した顔料の微細化の3つの工程を含むことが好ましい。
顔料の溶剤処理は、顔料の異性体中で、最も有機溶剤に対する溶解性が低い異性体を60〜78%にするために行う。また、溶剤処理した顔料の微細化は、平均一次粒子径が10〜80nmにするために行う。
近赤外線吸収顔料の製造方法は、例えば、1,8−ジアミノナフタレンと、下記一般式(2)に示したシクロヘキサノン類とを、触媒とともに溶媒中で加熱還流して縮合させた後、下記式(3)に示した3,4−ジヒドロキシ−3−シクロブテン−1,2−ジオンを
加えてさらに加熱還流させて縮合して、一般式(1)で表される化合物を合成できる。なお、合成法が限定されないことはいうまでもない。
近赤外線吸収顔料の異性体中で最も有機溶剤に対する溶解性が低い異性体を60〜78%にするためには、溶剤処理が有効な手段である。ここでの溶剤処理とは、合成して得られた顔料を有機溶剤と一定時間混合し、溶解しない成分のみ濾別して取り出す所作を指す。この際、溶解性の高い成分が有機溶剤に溶解し、取り出した溶解しない成分中には、溶解性の低い異性体がある程度多く存在することになる。そのため、上記所作をすることで、最も有機溶剤に対する溶解性が低い異性体の比率をある程度高くすることができる。
溶剤処理した顔料は、ソルトミリング処理で微細化することが好ましい。ソルトミリング処理は、顔料と水溶性無機塩と水溶性有機溶剤との混合物を、例えば、ニーダー、2本ロールミル、3本ロールミル、ボールミル、アトライター、サンドミル等の混練機を用いて、加熱しながら機械的に混練した後、水洗により水溶性無機塩と水溶性有機溶剤を除去
する処理である。水溶性無機塩は、破砕助剤として働くものであり、ソルトミリング時に無機塩の硬度の高さを利用して顔料が破砕され、それにより活性面が生じて、結晶成長がおこると考えられている。従って、混練時は顔料の破砕と結晶成長が同時に起こり、混練条件により得られる顔料の一次粒子径が異なる。
進みすぎ、顔料の一次粒子径が大きくなるため、好ましくない。又、ソルトミリング処理の混練時間は、ソルトミリング処理顔料の一次粒子の粒度分布とソルトミリング処理に要する費用のバランスの点から2〜24時間であることが好ましい。
水溶性有機溶剤は、例えば、2−メトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−(イソペンチルオキシ)エタノール、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、液状のポリエチレングリコール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、液状のポリプロピレングリコール等が挙げられる。水溶性有機溶剤の使用量は、顔料100質量部に対して、5〜1000質量部が好ましく、50〜500質量部がより好ましい。
塗工用途で使用する材料を説明する。
(樹脂型分散剤)
樹脂型分散剤は、顔料に吸着する性質を有する顔料親和性部位と、顔料以外の成分と親和性が高く、顔料粒子間を立体反発させる緩和部位とを有する。樹脂型分散剤は、グラフト型(櫛形)、ブロック型等、構造制御された樹脂が好ましく用いられる。
塩基性樹脂型分散剤は、塩基性基をリン酸やスルホン酸で中和して使用できる。
近赤外線吸収性組成物は、光重合性単量体を含有できる。これにより、紫外線や熱などにより硬化する塗膜を形成することができる。
光重合性単量体は、重合性不飽和基を有する化合物でありモノマーおよびオリゴマーを含む。これらを単独で、または2種以上混合して用いることができる。
近赤外線吸収性組成物は、光重合性単量体を含有する場合、光重合開始剤を含有できる。
4−モルフォリニル)フェニル]−1−ブタノン、または2−ベンジル−2−ジメチルア
ミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン等のアセトフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、またはベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系化合物;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノ
ン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、または3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;チオキサントン、2−クロルチオキサントン、2−メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、または2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物;2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペロニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリル−s−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン、または2,4−トリクロロメチル−(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジン等のトリアジン系化合物;1,2−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)〕、またはO−(アセチル)−N−(1−フェニル−2−オキソ−2−(4’−メトキシ−ナフチル)エチリデン)ヒドロキシルアミン等のオキシムエステル系化合物;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、または2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のホスフィン系化合物;9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノン等のキノン系化合物; ボレート系化合物; カルバゾール系化合物;イミダゾール系化合物;あるいは、チタノセン系化合物等が用いられる。
近赤外吸収性組成物は、バインダ樹脂を含有できる。
バインダ樹脂は、厚さ2μmの被膜形成時に可視光領域の400〜700nmの全波長領域において分光透過率80%以上が好ましく、95%以上がより好ましい。バインダ樹脂は、硬化性の面でいうと、例えば、熱可塑性樹脂、活性エネルギー線硬化性樹脂等が挙げられる。なお、活性エネルギー線硬化性樹脂は、熱可塑性樹脂に活性エネルギー線反応性官能基を付与した樹脂である。また、バインダ樹脂は、組成物から形成する被膜をフォトリソグラフィ法でパターニングすることができる面でアルカリ可溶性樹脂が好ましい。アルカリ可溶性樹脂は、感光性アルカリ可溶性樹脂が好ましい。なおアルカリ可溶性樹脂は、現像性のため酸性基が必要である。
合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、ビニル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリエチレン、ポリブタジエン、およびポリイミド樹脂等が挙げられる。これらの中でもアクリル樹脂を用いることが好ましい。
ましい。これにより感光性着色組成物から形成した被膜の光照射による架橋密度がより向上する。
方法(i)は、例えば、まず、エポキシ基含有単量体、およびその他単量体の重合体を合成する。次いで、前記重合体のエポキシ基に、モノカルボキシル基含有単量体を付加し、生成した水酸基に、多塩基酸無水物を反応させてアルカリ可溶性樹脂を得る方法が挙げられる。
方法(ii)は、例えば、水酸基含有単量体、カルボキシル基含有単量体、およびそれ以外の単量体を合成し重合体を作製する。次いで、前記重合体の水酸基に、イソシアネート基含有単量体のイソシアネート基を反応させる方法が挙げられる。
くは3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−若しくは3−若しくは4−ヒド
ロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、又はシクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類が挙げられる。、また、上記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、及び/又はブチレンオキシド等を付加重合させたポリエーテルモノ(メタ)アクリレートや、(ポリ)γ−バレロラクトン、(ポリ)ε−カプロラクトン、及び/又は(ポリ)12−ヒドロキシステアリン酸等を付加した(ポリ)エステルモノ(メタ)アクリレートも挙げられる。これらの中でも2−ヒドロキシエチルメタアクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレートが好ましい。また、光感度の面でグリセロールモノ(メタ)アクリレートが好ましい。
近赤外吸収組成物は、熱硬化性化合物を含有できる。加熱工程で架橋密度が向上するため耐熱性が向上する。熱硬化性化合物は、低分子化合物、またはポリマー(熱硬化性樹脂)であり分子量で制限されない。
熱硬化性化合物は、例えば、エポキシ化合物、オキセタン化合物、ベンゾグアナミン化合物、ロジン変性マレイン酸化合物、ロジン変性フマル酸化合物、メラミン化合物、尿素化合物、およびフェノール化合物が挙げられる。これらの中でも、エポキシ化合物、オキセタン化合物が好ましい。
近赤外線吸収性組成物は、有機溶剤を含有できる。これにより組成物の粘度調整が容易になるため、表面が平滑な被膜を形成し易い。溶剤は、使用目的に応じて適宜選択し、適量を含有すれば良い。
近赤外線吸収性組成物が光重合性開始剤を含有する場合、増感剤を含有できる。
増感剤は、例えば、カルコン誘導体、ジベンザルアセトン等に代表される不飽和ケトン類、ベンジルやカンファーキノン等に代表される1,2−ジケトン誘導体、ベンゾイン誘導体、フルオレン誘導体、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、キサンテン誘導体、チオキサンテン誘導体、キサントン誘導体、チオキサントン誘導体、クマリン誘導体、ケトクマリン誘導体、シアニン誘導体、メロシアニン誘導体、オキソノ−ル誘導体等のポリメチン色素、アクリジン誘導体、アジン誘導体、チアジン誘導体、オキサジン誘導体、インドリン誘導体、アズレン誘導体、アズレニウム誘導体、スクアリリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、テトラフェニルポルフィリン誘導体、トリアリールメタン誘導体、テトラベンゾポルフィリン誘導体、テトラピラジノポルフィラジン誘導体、フタロシアニン誘導体、テトラアザポルフィラジン誘導体、テトラキノキサリロポルフィラジン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、サブフタロシアニン誘導体、ピリリウム誘導体、チオピリリウム誘導体、テトラフィリン誘導体、アヌレン誘導体、スピロピラン誘導体、スピロオキサジン誘導体、チオスピロピラン誘導体、金属アレーン錯体、有機ルテニウム錯体、又はミヒラーケトン誘導体、α−アシロキシエステル、アシルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4’−ジエチルイソフタロフェノン、3,3’又は4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等が挙げられる。
’−ビス(エチルメチルアミノ)ベンゾフェノン、N−エチルカルバゾール、3−ベンゾイル−N−エチルカルバゾール、3,6−ジベンゾイル−N−エチルカルバゾール等がより好ましい。
近赤外線吸収性組成物は、連鎖移動剤として多官能チオールを含有できる。
多官能チオールは、チオール基を2個以上有する化合物であればよく、例えば、ヘキサンジチオール、デカンジチオール、1,4−ブタンジオールビスチオプロピオネート、1,4−ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4−ジメチルメルカプトベンゼン、2、4、6−トリメルカプト−s−トリアジン、2−(N,N−ジブチルアミノ)−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン等が挙げられる。
近赤外線吸収性組成物は、酸化防止剤を含有できる。酸化防止剤は、近赤外線吸収性組成物に含まれる光重合開始剤や熱硬化性化合物が、加熱工程によって酸化し黄変することを防ぐため、被膜の透過率を高くできる。
酸化防止剤は、例えば、ヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系、リン系、イオウ系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ヒドロキシルアミン系、サルチル酸エステル系、およびトリアジン系の化合物等が挙げられる。これらの中でも、塗膜の透過率と感度の両立の観点から、ヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系、リン系、イオウ系が好ましく、ヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系、リン系がより好ましい。
近赤外線吸収性組成物は、溶存している酸素を還元する働きのあるアミン系化合物を含有できる。アミン系化合物は、例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミ
ン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、及びN,N−ジメチルパラトルイジン等が挙げられる。
近赤外線吸収性組成物は、レベリング剤を含有できる。これにより、被膜形成時の透明基板に対する濡れ性および被膜の乾燥性がより向上する。レベリング剤は、例えば、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤等が挙げられる。
近赤外線吸収性組成物が熱硬化性化合物を含有する場合、熱硬化性化合物の硬化を補助するため、硬化剤を含有できる。硬化剤は、例えば、アミン系化合物、酸無水物、活性エステル、カルボン酸系化合物、スルホン酸系化合物等が挙げられる。
アミン化合物は、(例えば、ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4−(ジメチルアミノ)−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メトキシ−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メチル−N,N−ジメチルベンジルアミン等)、4級アンモニウム塩化合物(例えば、トリエチルベンジルアンモニウムクロリド等)、ブロックイソシアネート化合物(例えば、ジメチルアミン等)、イミダゾール誘導体二環式アミジン化合物及びその塩(例えば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール等)、リン化合物(例えば、トリフェニルホスフィン等)、S−トリアジン誘導体(例えば、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン、2−ビニル−2,4−ジアミノ−S−トリアジン、2−ビニル−4,6−ジアミノ−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物等)等が挙げられる。
近赤外線吸収性組成物には、本発明の近赤外線吸収顔料以外の近赤外線吸収顔料を含有させることができる。本発明の近赤外線吸収組成物に使用できる近赤外線吸収顔料以外の近赤外線吸収顔料は、例えば、シアニン化合物、スクアリリウム化合物、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、アミニウム化合物、ジインモニウム化合物、クロコニウム化合物、アゾ化合物、キノイド型錯体化合物、ジチオール金属錯体化合物等が挙げられる。
近赤外線吸収性組成物は、組成物の経時粘度を安定化させるために貯蔵安定剤を含有できる。また、透明基板との密着性を高めるためにシランカップリング剤等の密着向上剤を含有させることもできる。
近赤外線吸収性組成物は、基板との密着性を高めるためにシランカップリング剤等の密着向上剤を含有できる。
密着向上剤は、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン類、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリルシラン類、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン類、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジエトキシシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン類、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のチオシラン類等のシランカップリング剤が挙げられる。密着向上剤は、の含有量は、顔料100質量部に対し、0.01〜10質量部が好ましく、0.05〜5質量部がより好ましい。
近赤外線吸収性組成物は、近赤外線吸収顔料を樹脂型分散剤で分散して作製する。近赤外線吸収性組成物の製造は、近赤外線吸収顔料、および樹脂型分散剤、必要に応じて、バインダ樹脂、有機溶剤、その他分散助剤を混合した後、分散処理を行う。次いで、必要に応じて光重合性化合物、および光重合性開始剤を混合して作製できる。なお、各材料を配合するタイミングが任意であることはいうまでもない。
本発明の塗工用近赤外線吸収性組成物は、例えば、遠心分離、焼結フィルタ、メンブレンフィルタ等の手段にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子、さらに好ましくは0.5μm以上の粗大粒子および混入した塵の除去を行うことが好ましい。このように着色組成物は、実質的に0.5μm以上の粒子を含まないことが好ましい。より好ましくは0.3μm以下であることが好ましい。
本発明の近赤外線カットフィルタ、および近赤外線透過フィルタは、印刷法またはフォトリソグラフィ法により、製造することができる。印刷法によるフィルタセグメントの形成は、近赤外線吸収性組成物の印刷と乾燥を行うことでパターン化ができるため、フィルタの製造法は、低コストであり、かつ量産性に優れている。さらに、印刷技術の発展により高い寸法精度および平滑度を有する微細パターンの印刷を行うことができる。印刷を行
うためには、印刷の版上にて、あるいはブランケット上にてインキが乾燥、固化しないような組成とすることが好ましい。また、印刷機上でのインキの流動性制御も重要であり、分散剤や体質顔料によってインキ粘度の調整も行うことができる。
成形用途で使用する材料を説明する。なお、成形用途とは、成形によりフィルムや三次元体を作製する用途である。近赤外線吸収性組成物を成形用途に使用する場合、近赤外線吸収顔料、および熱可塑性樹脂の溶融混錬物であることが好ましい。
熱可塑性樹脂は、例えばポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シクロオレフィン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂などが挙げられる。
ポリアミド樹脂は、結晶性樹脂であり、例えば、カルボン酸成分と、アミノ基を2個以上有する化合物(Am)とを脱水縮合反応させて合成できる。
できる。
アミノ基を2個以上有する化合物(Am)は、例えば、公知のものを使用することができ、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンテトラミン等の脂肪族ポリアミン;イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジアミン等の脂環式ポリアミンを含む脂肪族ポリアミン;フェニレンジアミン、キシリレンジアミン等の芳香族ポリアミン;1,3−ジアミノ−2−プロパノール、1,4−ジアミノ−2−ブタノール、1−アミノ−3−(アミノメチル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン−1−オール、4−(2−アミノエチル)−4,7,10−トリアザデカン−2−オール、3−(2−ヒドロキシプロピル)−o−キシレン−α,α’−ジアミン等のジアミノアルコールが挙げられる。
ポリアミド樹脂の市販品は、例えば、6ナイロン(東レ社製)、66ナイロン(東レ社製)、610ナイロン等が挙げられる。
ポリカーボネート樹脂は、非晶性樹脂であり、芳香族ジヒドロキシ化合物に、ホスゲン或いは炭酸ジエステル等のカーボネート前駆体を反応させて合成する。ホスゲンを用いる合成反応の場合は、例えば、界面法が好ましい。また、炭酸ジエステルを用いる合成反応の場合、溶融状で反応させるエステル交換法が好ましい。
シクロオレフィン樹脂は、主鎖および又は側鎖に脂環構造を有する非晶性樹脂である。脂環構造の種類は、例えば、例えば、ノルボルネン重合体、単環の環状オレフィン重合体、環状共役ジエン重合体、およびビニル脂環式炭化水素重合体、ならびにこれらの水素化物等が挙げられる。これらの中でも成形性と透明性に優れることから、ノルボルネン重合体が好ましい。ノルボルネン単量体は、例えば、例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)、7,8−ベンゾトリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン(慣用名:メタノテトラヒドロフルオレン)、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(慣用名:テトラシクロドデセン)等が挙げられる。
シクロオレフィン樹脂の市販品は、例えば、トパス(ポリプラスチックス社製)、アペル(三井化学社製)が挙げられる。
ポリエーテルイミド樹脂は、ガラス転移温度が180℃超の非晶性樹脂であり、透明性良好で高強度、高耐熱性、高弾性率および広範な耐薬品性を有している。そのため自動車、遠隔通信、航空宇宙、電気/電子、輸送およびヘルスケアなどの多様な用途で広範に使用されている。
ポリエーテルイミド樹脂の製造プロセスの1つは、ビスフェノールA二ナトリウム塩(BPA・Na2)などのジヒドロキシ芳香族化合物のアルカリ金属塩とビス(ハロフタルイミド)との重合によるものである。得られたポリエーテルイミド樹脂の分子量は2つの方法で制御できる。第1の方法は、ジヒドロキシ芳香族化合物のアルカリ金属塩に対して、モル過剰のビス(ハロフタルイミド)を使用することである。第2の方法は、末端キャッピング剤を形成する無水フタル酸などの単官能性化合物の存在下でビス(無水ハロフタル酸)を調製することである。無水フタル酸は、有機ジアミンの一部と反応してモノハロ−ビス(フタルイミド)を形成する。モノハロ−ビス(フタルイミド)は、成長中のポリマー鎖におけるフェノキシド末端基との反応による重合ステップにおいて、末端キャッピング剤として働く。
ポリエーテルイミド樹脂の市販品は、ULTEM(サウジ基礎産業公社製)が挙げられる。
近赤外線吸収性組成物は、近赤外線吸収顔料、および熱可塑性樹脂を、溶融混錬することでの製造できる。溶融混錬温度は樹脂によって異なるが、230℃以上が好ましく、270℃以上がより好ましい。なお、溶融混錬後、冷却することが好ましい。溶融混錬温度の上限は、熱可塑性樹脂の種類により異なるため限定されない。前記上限は、強いてあげれば500℃以下が好ましく、450℃以下がより好ましい。また、前記上限は、本発明の近赤外線吸収顔料の昇華温度未満、または分解温度未満である必要がある。
マスターバッチとして作製する場合、近赤外線吸収顔料の含有量は、組成物100質量%中に0.01〜20質量%が好ましく、0.05〜2質量%がより好ましい。
塗工用途、および成形用途の近赤外線吸収性組成物は、例えば以下の用途に使用できる。
(熱線吸収材)
近赤外線吸収性組成物は、熱線吸収材として使用できる。太陽光には、波長700〜2000nmの近赤外線が含まれており、その中でも特に700〜1000nmの近赤外線の強度が強い。近赤外線は物質の温度を上昇させる性質があり、熱線と言われている。その中でも、特に強度の強い700〜1000nmの近赤外線を吸収し遮断することで、物質の温度上昇を抑えることができる。
建物や車の窓に、近赤外線吸収性組成物から形成した被膜またはフィルムを配置すると太陽光による部屋や車内の温度上昇を抑える効果がある。また、農業用のビニールハウスなどにも上記のフィルムが使用でき、ビニールハウス内の温度上昇を抑える効果がある。また、保護めがね、眼鏡、サングラスについても同様であり、熱線を遮断する効果で使用できる。
近赤外線吸収性組成物は、光記録媒体として使用できる。近赤外線吸収性組成物から形成した被膜または成形体に近赤外線を照射すると、色素の結晶状態が変化し、被膜または成形体の屈折率が変わる。この原理は、光ディスクなどの記録媒体に用いられている。
近赤外線吸収性組成物は、レーザー溶着材またはレーザーマーキング材として使用できる。
近赤外線吸収性組成物から形成した被膜または成形体に、近赤外線吸収顔料が吸収する波長のレーザーを照射すると、色素がレーザー光を吸収し発熱することで熱可塑性樹脂が溶融・炭化する。溶融する場合に、他の樹脂と溶着させることができ、この原理を用いたのがレーザー溶着である。また、炭化して黒くなることを用いたのが、レーザーマーキングである。
レーザー溶着の場合、通常はカーボン等を含有させて溶着を行うが、近赤外線吸収顔料の場合、近赤外線のレーザーを照射することで、近赤外線吸収顔料が発熱し、熱可塑性樹脂同士が溶着する。レーザーマーキングも同様に、近赤外線吸収顔料が発熱し、熱可塑性樹脂が溶融・炭化することでマーキングできる。
近赤外線吸収性組成物は、光学フィルタとして使用できる。例えば、デジタルカメラは、撮像する際に受光する光を赤、緑、青のフィルタで分解し、光を電気信号に変えるフォトダイオードに送ることで、色を認識する。しかしながら、フォトダイオードは近赤外線にも反応して電気信号に変えてしまうので、これを遮断するフィルタが必要である。近赤外線吸収性組成物から形成した被膜または成形体は、この近赤外線を遮断するフィルタとして使用できる。近赤外線を遮断するフィルタは、可視領域に吸収が少ないことが重要である。可視領域に吸収が多いと受光する光に色がついてしまい、フォトダイオードの色の認識に悪影響が出る。本発明の近赤外線吸収顔料は可視領域に吸収が少なく不可視性が高いため、フォトダイオードの色の認識に対する悪影響が少ない。
近赤外線吸収性組成物は、生体認証(指紋認証や静脈認証)用のセンサー、あるいはそのセンサーが組み込まれたタッチセンサー、タッチパネルに使用できる。
例えば、スマートフォン、タブレットパソコン等、他には銀行ATM、マルチメディア端末等にはセキュリティ保護のため指紋認証、手指静脈認証等の生体認証機能が搭載されている。特にスマートフォン、タブレットパソコンに用いる指紋認証技術の発展は目まぐるしく、フォトダイオードが無機系から有機系に代わるのに伴い、認証範囲が画面サイズに増大(フルスクリーン化)し、有機ELディスプレイ、液晶ディスプレイ等にディスプレイ内蔵型指紋認証センサーが開発されている。
しかし、ディスプレイ内蔵型指紋センサーはディスプレイ内に設置された各種光源を指紋に照射して、その反射光をセンシングするという光学方式が多いため、外部の不正な光(太陽光やLED照明のような広範囲の波長を持ち、且つ、強い光)がセンサーに入射されると、撮像時のノイズになる問題があり、屋外での使用には精度面でやや不安が残る。銀行ATM、マルチメディア端末用途での手指静脈認証も同様で、照明の強い店舗や陽当たりのいい店舗では外光カットのためにカバーを被せる等の対策とられている。
本発明の近赤外線吸収性組成物を使用した被膜や成形体は、外部の不正な光のセンサーへの入射を吸収、防ぎこれらの課題に対し効果がある。
例えばスマートフォン、タブレットパソコンに使用する場合、パネル前面にセットする場合、意匠性も兼ね備える必要があるが、本発明の塗工用近赤外線吸収性組成物を用いた材料、塗工して得た塗膜、もしくは成形用近赤外線吸収性組成物を用いて得た成形品においては、可視領域に吸収がなく不可視性、即ち透明性が高いため好適に使用できる利点がある。また、本発明の近赤外線吸収性組成物は耐熱性に優れているため、センサー、あるいはそのセンサーが組み込まれたタッチセンサー、タッチパネルを製造する上での工程面においても好ましく使用できる。
また、生体認証用途でノイズとなる外光は、生体を透過する650nm〜1000nmの光であり、特に650nm〜800nmの光は生活空間に溢れているため、この波長領域の光をカットすることが生体認証の精度をより高める。青色色素や緑色色素は可視光の領域である650nm〜700nmにも吸収がある場合が多く、青色色素や緑色色素と近赤外線吸収顔料を組み合わせることで、不可視性は低下するが生体認証の精度をより高めることができる。
近赤外線吸収性組成物から形成した被膜または成形体は、ディスプレイに組み込むこともできる。具体的には、電子黒板のようなタッチパネル機能付き液晶ディスプレイが挙げられる。このタッチパネル機能付き液晶ディスプレイは、表示・書き込み・保存の3つの機能が備わっており、これに内蔵されるタッチパネルにおいても、赤外性走査方式や赤外線投影方式などの光学方式が採用されており、前述した外光によるノイズが問題であった。タッチパネル機能付き液晶ディスプレイは、学校等での用途も多いため精度およびタッチに対する反応の良さは重要である。本発明の塗工用近赤外線吸収性組成物を塗工して得た塗膜、もしくは成形用近赤外線吸収性組成物を用いて得た成形品をディスプレイに組み込むことでノイズとなる外光をカットできるため好ましいものである。
また、前記被膜または前記成形体は、液晶や有機EL、Mini−LED、Micro−LEDを用いた各種ディスプレイの反射防止膜としても好ましく使用できる。可視光のみならず近赤外領域の光の反射も抑えることによって、ディスプレイでの黒表示がより黒くできるメリットがある。本発明の近赤外線吸収性組成物は耐熱性に優れているため、ディスプレイ製造において必要とされる工程の耐性についても好ましく使用できる。
波長850nmや870nm、900nm、940nm等の波長のLEDが普及し、自動運転における距離測定や生体認証(指紋認証、虹彩認証、顔認証、静脈認証等、または、それらの併用)、さまざまなセンサーにおける光検出に使用されている。しかし、大気中には紫外線、可視光、近赤外線等あらゆる波長の光線が存在するため、検出する波長の光以外を遮断するフィルタが必要になる。そのため700〜1000nmの光を吸収する近赤外線吸収顔料と可視光を吸収する色素、紫外線吸収剤等と組み合わせることにより、近赤外線吸収顔料の吸収波長より長波長の光のみ透過させ、それより短波長の光は遮断させることができる。具体的に、近赤外線吸収顔料に青色色素と黄色色素、赤色もしくは紫
色の色素を組合せるのが好ましい。 塗工用途で、青色色素はC.I.ピグメントブルー
15:3もしくはC.I.ピグメントブルー15:6、黄色色素はC.I.ピグメントイエロー139、赤色色素はC.I.ピグメントレッド254、C.I.アシッドレッド5
2もしくはC.I.アシッドレッド289、紫色色素はC.I.ピグメントバイオレット23を用いることが好ましい。また成形用途で、青色顔料はC.I.ピグメントブルー15:3もしくはC.I.ピグメントブルー15:6、黄色色素はC.I.ピグメントイエロー147、赤色色素はC.I.ソルベントレッド52が好ましい。
本発明に用いた近赤外線吸収顔料の同定には、MALDI TOF−MSスペクトルを用いた。MALDI TOF−MSスペクトルは、ブルカー・ダルトニクス社製MALDI質量分析装置autoflexIIIを用い、得られたマススペクトラムの分子イオンピ
ークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物の同定を行った。
樹脂型分散剤およびバインダ樹脂の酸価は、0.1Nの水酸化カリウム・エタノール溶液を用い、電位差滴定法によって求めた。樹脂および樹脂型分散剤の酸価は、不揮発分の酸価を示す。
樹脂型分散剤およびバインダ樹脂の重量平均分子量(Mw)は、TSKgelカラム(東ソー社製)を用い、RI検出器を装備したGPC(東ソー社製、HLC−8120GPC)で、展開溶媒にTHFを用いて測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)である。
樹脂型分散剤のアミン価は、0.1Nの塩酸水溶液を用い、電位差滴定法によって求めた後、水酸化カリウムの当量に換算した。樹脂型分散剤のアミン価は、不揮発分のアミン価を示す。
樹脂型分散剤の4級アンモニウム塩価は、5%クロム酸カリウム水溶液を指示薬として、0.1Nの硝酸銀水溶液で滴定して求めた後、水酸化カリウムの当量に換算した。下記樹脂型分散剤の4級アンモニウム塩価は、不揮発分の4級アンモニウム塩価を示す。
本発明の近赤外線吸収顔料は、顔料の合成、合成して得られた顔料の溶剤処理、溶剤処理した顔料の微細化によって得られる。
トルエン400部に、1,8−ジアミノナフタレン40.0部、2,6−ジメチルシクロヘキサノン32.2部、p−トルエンスルホン酸一水和物0.087部を混合し、窒素ガスの雰囲気中で加熱攪拌し、3時間還流させた。反応中に生成した水は共沸蒸留により系中から除去した。
反応終了後、トルエンを蒸留して得られた暗茶色固体をアセトンで抽出し、アセトンとエタノールの混合溶媒から再結晶することにより精製した。得られた茶色固体を、トルエン240部とn−ブタノール160部の混合溶媒に溶解させ、3,4−ジヒドロキシ−3−シクロブテン−1,2−ジオン13.8部を加えて、窒素ガスの雰囲気中で加熱撹拌し、
8時間還流反応させた。反応中に生成した水は共沸蒸留により系中から除去した。
反応終了後、溶媒を蒸留し、得られた反応混合物を攪拌しながら、ヘキサン200部を加えた。得られた黒茶色沈殿物を濾別した後、順次ヘキサン、エタノールおよびアセトンで洗浄を行い、減圧下で乾燥させ、近赤外線吸収顔料(A−1)71.9部(収率:97%)を得た。TOF−MSによる質量分析の結果、近赤外線吸収顔料(A−1)であることを同定した。
近赤外線吸収顔料(A−1)の合成で使用した2,6−ジメチルシクロヘキサノン32.2部の代わりに、3,5−ジメチルシクロヘキサノン32.2部を使用した以外は、近赤外線吸収顔料(A−1)の合成と同様の操作を行い、近赤外線吸収顔料(A−2)72.6部(収率:98%)を得た。TOF−MSによる質量分析の結果、近赤外線吸収顔料(A−2)であることを同定した。
近赤外線吸収顔料(A−1)の合成で使用した2,6−ジメチルシクロヘキサノン32.2部の代わりに、3,5−ジエチルシクロヘキサノン39.4部を使用した以外は、近赤外線吸収顔料(A−1)の合成と同様の操作を行い、近赤外線吸収顔料(A−3)76.9部(収率:95%)を得た。TOF−MSによる質量分析の結果、近赤外線吸収顔料(A−3)であることを同定した。
近赤外線吸収顔料(A−1)の合成で使用した2,6−ジメチルシクロヘキサノン32.2部の代わりに、3,5−ジ(トリフルオロメチル)シクロヘキサノン59.8部を使用した以外は、近赤外線吸収顔料(A−1)の合成と同様の操作を行い、近赤外線吸収顔料(A−4)93.3部(収率:93%)を得た。TOF−MSによる質量分析の結果、近赤外線吸収顔料(A−4)であることを同定した。
近赤外線吸収顔料(A−1)の合成で使用した2,6−ジメチルシクロヘキサノン32.2部の代わりに、2,6−ジ(トリフルオロメトキシ)シクロヘキサノン68.0部を使用した以外は、近赤外線吸収顔料(A−1)の合成と同様の操作を行い、近赤外線吸収顔料(A−5)100.5部(収率:93%)を得た。TOF−MSによる質量分析の結果、近赤外線吸収顔料(A−5)であることを同定した。
近赤外線吸収顔料(A−1)の合成で使用した2,6−ジメチルシクロヘキサノン32.2部の代わりに、3,5−ジフルオロシクロヘキサノン34.3部を使用した以外は、近赤外線吸収顔料(A−1)の合成と同様の操作を行い、近赤外線吸収顔料(A−6)70.7部(収率:93%)を得た。TOF−MSによる質量分析の結果、近赤外線吸収顔料(A−6)であることを同定した。
(実施例1)
(溶剤処理工程)
近赤外線吸収顔料(A−1)50部をN−メチルピロリドン250部に混合し、23℃で24時間攪拌した。その後、濾過を行い、メタノール150部で洗浄した後に取り出し、80℃で一昼夜乾燥させ、粉体25部を得た。
(微細化工程)
得られた粉体10部、塩化ナトリウム100部、エチレングリコール12.5部をステンレス製ガロンニーダー(井上製作所製)中に仕込み、60℃ で12時間混練した。次に
、混練した混合物を温水に投入し、約80℃ に加熱しながら1 時間攪拌してスラリー状として、濾過および水洗をして食塩およびジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥させ粉砕することにより、9.4部の近赤外線吸収顔料1を得た。
(平均粒子径)
顔料の平均一次粒子径は、電子顕微鏡写真から一次粒子の大きさを直接計測する方法で測定した。具体的には、個々の顔料の一次粒子の短軸径と長軸径を計測し、平均をその顔料粒子の粒径とした。次に、100個以上の顔料粒子について、それぞれの粒子の体積(
重量) を、求めた粒径の立方体と近似して求め、体積平均粒径を平均一次粒子径とした
。なお、電子顕微鏡は透過型(TEM)を用いた。
この方法で測定した結果、平均一次粒子径は50nmであった。
(成分比率)
5.0mgの近赤外線吸収顔料1を100mlのメスフラスコに入れ、HPLC用THFを加えて超音波を30分照射して溶解させ、100mlのTHF溶液を調整した。この溶液を用いて、上記装置及び上記条件により近赤外線吸収顔料1のHPLC測定を行った。
HPLC測定は、移動相としてアセトニトリルと水とを8:2の体積比で混合した混合溶液を用いた条件において逆相系液体クロマトグラフィーにより分析した。
その結果、複数のピークが示された。
具体的には、保持時間が12±1分に現れるピーク(ピーク1)、保持時間が42±1分に現れるピーク(ピーク2)、保持時間が46±2分に現れるピーク(ピーク3)、保持時間が50±2分に現れるピーク(ピーク4)、及び保持時間が57±2分に現れるピーク(ピーク5)によって構成されている。
ピーク5の面積は、ピーク1〜5の面積の合計に対し、70%であった。
近赤外線吸収顔料1の製造をもとに、表1に示す条件で近赤外線吸収顔料2〜11、比較近赤外線吸収顔料1〜11を製造した。なお、比較例1、8〜11では溶剤処理は行わなかった。
(バインダ樹脂溶液の調整):ランダム共重合体
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、撹拌装置を取り付けた反
応容器にシクロヘキサノン70.0部を仕込み、80℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下管よりn−ブチルメタクリレート13.3部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート4.6部、メタクリル酸4.3部、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亞合成株式会社製「アロニックスM110」)7.4部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.4部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間反応を継続し、重量平均分子量(Mw)26000のアクリル樹脂の溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20質量%になるようにプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートを添加してバインダ樹脂溶液を調製した。
(樹脂型分散剤1溶液):ブロック共重合体
[エチレン性不飽和単量体(b−5)の合成]
攪拌機、温度計を備えた反応容器に、メタクリル酸2−イソシアナトエチル60部、3−(ジメチルアミノ)プロピルアミン29部、THF120部を仕込み、室温で5時間撹拌した。FT−IRで反応が完結していることを確認したのち、ロータリーエバポレーターで溶媒を留去し、淡黄色透明の液体として、下記エチレン性不飽和単量体(b−5)を73部得た(収率82%)。得られた化合物の同定は、1H−NMRで実施した。
攪拌機、温度計を備えた反応容器に、上記エチレン性不飽和単量体(b−5)の合成で得られた、エチレン性不飽和単量体(b−5)6.6部、イオン交換水5部を仕込み、室温で撹拌したのち、35%塩酸水溶液8部を滴下した。アミン価測定で反応が完結していることを確認し、淡黄色透明液体として、エチレン性不飽和単量体(b−9)水溶液を20部得た。得られた化合物の同定は、1H−NMRで実施した。
次に、この反応槽に、PGMAc20部、第二ブロックモノマーとしてエチレン性不飽和単量体(b−5)21.2部、エチレン性不飽和単量体(b−9)水溶液27部(不揮発分38%)を投入し、110℃・窒素雰囲気下を保持したまま撹拌し、反応を継続した。2時間後、重合溶液をサンプリングして不揮発分測定を行い、不揮発分から換算して第二ブロックの重合転化率が98%以上であることを確認し、反応溶液を室温まで冷却して重合を停止した。
先に合成したブロック共重合体溶液に不揮発分が40質量%になるようにPGMAcを添加した。このようにして、不揮発分当たりのアミン価が50mgKOH/g、4級アンモニウム塩価が20mgKOH/g、重量平均分子量(Mw)9,800、不揮発分が40質量%の樹脂型分散剤1溶液を得た。
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応装置に、メチルメタクリレート60部、nーブチルメタクリレート20部、テトラメチルエチレンジアミン13.2部を仕込み、窒素を流しながら50℃で1時間撹拌し、系内を窒素置換した。次に、ブロモイソ酪酸エチル9.3部、塩化第一銅5.6部、PGMAc133部を仕込み、窒素気流下で、110℃まで昇温して第一ブロックの重合を開始した。4時間重合後、重合溶液をサンプリングして不揮発分測定を行い、不揮発分から換算して重合転化率が98%以上であることを確認した。
次に、この反応装置に、PGMAc61部、第二ブロックモノマーとしてジメチルアミノエチルメタクリレート20部(以下、DMという)を投入し、110℃・窒素雰囲気下を保持したまま撹拌し、反応を継続した。ジメチルアミノエチルメタクリレート投入から2時間後、重合溶液をサンプリングして不揮発分測定を行い、不揮発分から換算して第二ブロックの重合転化率が98%以上であることを確認し、反応溶液を室温まで冷却して重合を停止した。
先に合成したブロック共重合体溶液に不揮発分が40質量%になるようにPGMAcを添加した。このようにして、不揮発分当たりのアミン価が71.4mgKOH/g、重量平均分子量9900(Mw)、不揮発分が40質量%のポリ(メタ)アクリレート骨格であ
り、3級アミノ基を有する樹脂型分散剤2溶液を得た。
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応装置に、メチルメタクリレート60部、nーブチルメタクリレート20部、テトラメチルエチレンジアミン13.2部を仕込み、窒素を流しながら50℃で1時間撹拌し、系内を窒素置換した。次に、ブロモイソ酪酸エチル9.3部、塩化第一銅5.6部、PGMAc133部を仕込み、窒素気流下で、110℃まで昇温して第一ブロックの重合を開始した。4時間重合後、重合溶液をサンプリングして不揮発分測定を行い、不揮発分から換算して重合転化率が98%以上であることを確認した。
次に、この反応装置に、PGMAc61部、第二ブロックモノマーとしてメタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド水溶液25.6部(三菱レイヨン社製「アクリエステルDMC78」)を投入し、110℃・窒素雰囲気下を保持したまま撹拌し、反応を継続した。メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド投入から2時間後、重合溶液をサンプリングして不揮発分測定を行い、不揮発分から換算して第二ブロックの重合転化率が98%以上であることを確認し、反応溶液を室温まで冷却して重合を停止した。
先に合成したブロック共重合体溶液に不揮発分が40質量%になるようにPGMAcを添加した。このようにして、不揮発分当たりのアミン価が29.4mgKOH/g、重量平均分子量9800(Mw)、不揮発分が40質量%のポリ(メタ)アクリレート骨格であり、4級アンモニウム塩基を有する樹脂型分散剤3溶液を得た。
攪拌機、温度計を備えた反応容器に、4−ジメチルアミノ−1,2−エポキシブタン55部、テトラヒドロフラン(THF)120部を仕込み、70℃で加熱撹拌し、メタクリル酸35部を60分かけて滴下した。滴下完了後、70℃でさらに2時間加熱撹拌し1H−NMRで反応が完結していることを確認したのち、室温に放冷した。反応溶液を、イオン交換水300部、飽和炭酸水素ナトリウム200部、飽和食塩水200部で順次洗浄後、有機層に硫酸マグネシウム20gを加え、撹拌後、ろ過を行った。得られた溶液の溶媒をロータリーエバポレーターで留去し、淡黄色透明の液体として、下記の構造を有するエチレン性不飽和単量体(b−1)を31部得た(収率42%。得られた化合物の同定は、1H−NMRで実施した。
ン13.2部を仕込み、窒素を流しながら50℃で1時間撹拌し、系内を窒素置換した。次に、ブロモイソ酪酸エチル2.6部、塩化第一銅5.6部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100部を仕込み、窒素気流下で、110℃まで昇温して第一ブロックの重合を開始した。4時間重合後、重合溶液をサンプリングして不揮発分測定を行い、不揮発分から換算して重合転化率が98%以上であることを確認した。
次に、この反応槽に、PGMAc25部、第二ブロックモノマーとして、エチレン性不飽和単量体(b−1)25.1部を投入し、110℃・窒素雰囲気下を保持したまま撹拌し、反応を継続した。エチレン性不飽和単量体(b−1)投入から2時間後、重合溶液をサンプリングして不揮発分測定を行い、不揮発分から換算して第二ブロックの重合転化率が98%以上であることを確認した。
さらに、この反応装置に、ベンジルクロライド4.5部を投入し、110℃・窒素雰囲気下を保持したまま3時間撹拌し、その後冷却した。
先に合成したブロック共重合体溶液に不揮発分が40質量%になるようにPGMAcを添加した。このようにして、不揮発分当たりのアミン価が50mgKOH/g、4級アンモニウム塩価が20mgKOH/g、重量平均分子量(Mw)9,800、不揮発分が40質量%の樹脂型分散剤4溶液を得た。
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、メチルメタクリレート50部、n−ブチルメタクリレート50部、PGMAc45.4部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を70℃に加熱して、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール6部を添加して、さらにAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)0.12部を加え、12時間反応した。不揮発分測定により95%が反応したことを確認した。次に、ピロメリット酸無水物9.7部、PGMAc70.3部、触媒としてDBU(1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン)0.20部を追加し、120℃で7時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し反応を終了した。PGMAcを加えて不揮発分50%に調整した。このようにして、酸価43、重量平均分子量9000、ポリ(メタ)アクリレート骨格であり、芳香族カルボキシル基を有する樹脂型分散剤5溶液を得た。
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール6部、ピロメリット酸無水物9.7部、モノブチルスズオキシド0.01部、PGMAc88.9部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を100℃に加熱して、7時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認した後、系内の温度を70℃に冷却し、メチルメタクリレート50部とn−ブチルメタクリレート30部と、ヒドロキシメチルメタクリレート20部を仕込み、AIBN0.12部とPGMAc26.8部を添加して、10時間反応した。不揮発分測定により重合が95%進行したことを確認し反応を終了した。PGMAcを加えて不揮発分50%に調整し、酸価43、重量平均分子量9000、ポリ(メタ)アクリレート骨格であり、芳香族カルボキシル基を有する樹脂型分散剤6溶液を得た。
BYK−P104 (ビックケミー・ジャパン製:不揮発分50%)
Disperbyk−171 (ビックケミー・ジャパン製:不揮発分39.5%)
Disperbyk−142 (ビックケミー・ジャパン製:不揮発分60%)
(実施例13)
下記の組成の混合物を均一に撹拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミルで3時間分散した後、0.5μmのフィルタで濾過し、近赤外線吸収性組成物を作製した。
近赤外線吸収顔料1 :10.0部
樹脂型分散剤2溶液 : 7.5部
バインダ樹脂溶液 :35.0部
PGMAc :47.5部
以下、近赤外線吸収顔料、樹脂型分散剤溶液、バインダ樹脂溶液、溶剤を表2に示す組成、量に変更した以外は近赤外線吸収性組成物(D−1)と同様にして、近赤外線吸収性組成物(D−2)〜(D−40)を調整した。
なお、青色色素として、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:1、緑色色素として、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン58、C.I.ピグメントグリーン62、C.I.ピグメントグリーン63を用いた。
実施例および比較例で得られた近赤外線吸収性組成物(D−1〜40)について、分散安定性、分光特性、耐性(耐光性、耐熱性)に関する試験を下記の方法で行った。なお、◎は非常に良好なレベル、〇+、○は良好なレベル、△は実用レベル、×は実用には適さないレベルである。結果を表3に示す。
得られた近赤外線吸収性組成物の粘度を測定し、初期粘度とした。さらに、40℃で7日間の促進試験を行い、経時促進粘度を測定した。
促進による変化率として、
促進経時粘度/初期粘度
を算出し、下記基準で評価した。
◎ :1.05未満
○ :1.05以上、1.10未満
△ :1.10以上、1.3未満
× :1.3以上
得られた近赤外線吸収性組成物を1.1mm厚のガラス基板上にスピンコーターを用いて、膜厚1.0μmになるようにスピンコートし、60℃で5分乾燥した後、230℃で5分加熱し、基板を作製した。得られた基板の分光を分光光度計(U−4100 日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて300〜900nmの波長範囲の吸収スペクトルを測定した。極大吸収波長の吸光度を1とした時の、「400〜700nmの平均吸光度」について、下記基準で評価した。なお、本発明の近赤外線吸収顔料[A]塗膜の極大吸収波長
は、 近赤外領域(700〜1000nm)に存在する。この吸光度を1としたときに、400〜700nmの吸光度が小さいほど、近赤外領域の吸収能に優れ、急峻な分光を有していると言える。
◎ :0.05以下
○+ :0.05以上、0.075未満
〇 :0.075以上、0.1未満
△ :0.1以上、0.4未満
× :0.4以上
上記で得られた基板について、650nm〜800nmの吸光度の最小値を1とした時の、400nm〜650nmの吸光度の最小値について、下記基準で評価した。
なお、650nm〜800nmは生体を透過する光の波長領域であり、生体認証においてノイズとなり、かつ生活空間に溢れているため、この領域で吸光度が最小となる波長は、ノイズになる光が最も透過する波長となる。センシングに用いる光は400nm〜650nmの波長領域にあり、この領域で吸光度が最小となる波長は、センシングに用いる光が最も透過する波長となる。そのため、上記基準は、いかにセンシングする光を透過させノイズをカットするかの指標となる。
◎ :0.05以下
○ :0.05以上、0.1未満
△ :0.1以上、0.4未満
× :0.4以上
分光特性評価と同じ手順で試験用基板を作製し、耐光性試験機(TOYOSEIKI社製「SUNTEST CPS+」)に入れ、24時間放置した。近赤外線吸収膜の分光極
大吸収波長における吸光度を測定し、光照射前のそれに対する残存比を求め、耐光性を、下記基準で評価した。なお、残存率の算出は、以下の式を用いて算出した。
残存率=(照射後の吸光度)÷(照射前の吸光度)×100
◎ :残存率 が95%以上
○ :残存率 が90%以上、95%未満
× :残存率 が90%未満
分光特性評価と同じ手順で試験用基板を作製し、耐熱性試験として210℃で20分追加加熱した。近赤外線吸収膜の分光極大吸収波長における吸光度を測定し、耐熱性試験前のそれに対する残存比を求め、耐熱性を、下記基準で評価した。なお、残存率の算出は、以下の式を用いて算出した。
残存率=(耐熱性試験後の吸光度)÷(耐熱性試験前の吸光度)×100
◎ :残存率 が95%以上
○ :残存率 が90%以上、95%未満
× :残存率 が90%未満
8%となる。
平均一次粒子径が10〜80nmで、かつ上記逆相系液体クロマトグラフィーの分析結果を満たす場合、分散安定性と分光特性、耐光性、耐熱性がいずれも良好となった。
また、近赤外線吸収顔料と青色色素もしくは緑色色素を併用した場合、生体認証においてノイズとなる650nm〜800nmの光はより遮蔽され、センシングに用いられる400nm〜650nmの光はより透過することが確認された。
(実施例42)
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1 .0μmのフィルタで濾過して、感光性近赤外線吸収性組成物(R−1)を得た。
近赤外線吸収性組成物(D−4) :50.0部
バインダ樹脂溶液 : 7.5部
光重合性単量体( 東亞合成社製「アロニックスM−402 」) : 2.0部
光重合開始剤( BASFジャパン社製「OXE−02」) : 1.5部
PGMAc :39.0部
以下、近赤外線吸収性組成物を表3に示す近赤外線吸収性組成物の種類に変更した以外は感光性近赤外線吸収性組成物(R−1)と同様にして感光性近赤外線吸収性組成物(R−2)〜(R−9)を得た。
実施例および比較例で得られた感光性近赤外線吸収性組成物(R−1〜8)について、分散安定性、分光特性、耐性(耐熱性、耐光性、)に関する試験を下記の方法で行った。なお、◎は非常に良好なレベル、〇+、○は良好なレベル、△は実用可能レベル、×は実用には適さないレベルである。結果を表4に示す。
得られた感光性近赤外線吸収性組成物の粘度を測定し、初期粘度とした。さらに、40℃で7日間の促進試験を行い、経時促進粘度を測定した。
促進による変化率として、促進経時粘度/初期粘度 を算出し、下記基準で評価した。◎ :1.05未満
○ :1.05以上、1.10未満
△ :1.10以上、1.3未満
× :1.3以上
得られた感光性近赤外線吸収性組成物を100mm×100mm、1.1mm厚のガラス基板上に、スピンコーターを用いて膜厚1.0μmになるように塗工し、次に70℃で20分乾燥し、超高圧水銀ランプを用いて、積算光量150mJ/cm2で紫外線露光を行い、23℃のアルカリ現像液で現像を行い、塗膜基板を得た。ついで210℃で5分間加熱、放冷後、得られた基板の分光を分光光度計U−4100(日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて300−900nmの波長範囲の吸収スペクトルを測定した。極大吸収波長の吸光度を1とした時の、「400〜700nmの平均吸光度」について、下記基準で評価した。なお、本発明の近赤外線吸収顔料[A]塗膜の極大吸収波長は、 近赤外領域(700〜1000nm)に存在する。この吸光度を1としたときに、400〜700nmの吸光度が小さいほど、近赤外領域の吸収能に優れ、急峻な分光を有している。
◎ :0.05以下
○+ :0.05以上、0.075未満
〇 :0.075以上、0.1未満
△ :0.1以上、0.4未満
× :0.4以上
上記で得られた基板について、650nm〜800nmの吸光度の最小値を1とした時の、400nm〜650nmの吸光度の最小値について、下記基準で評価した。
なお、650nm〜800nmは生体を透過する光の波長領域であり、生体認証においてノイズとなり、かつ生活空間に溢れているため、この領域で吸光度が最小となる波長は、ノイズになる光が最も透過する波長となる。センシングに用いる光は400nm〜650nmの波長領域にあり、この領域で吸光度が最小となる波長は、センシングに用いる光が最も透過する波長となる。そのため、上記基準は、いかにセンシングする光を透過させノイズをカットするかの指標となる。
◎ :0.05以下
○ :0.05以上、0.1未満
△ :0.1以上、0.4未満
× :0.4以上
分光特性評価と同じ手順で試験用基板を作製し、耐光性試験機(TOYOSEIKI社製「SUNTEST CPS+」)に入れ、24時間放置した。近赤外線吸収膜の分光極
大吸収波長における吸光度を測定し、光照射前のそれに対する残存比を求め、耐光性を下記基準で評価した。なお、残存率の算出は、以下の式を用いて算出した。
残存率=(照射後の吸光度)÷(照射前の吸光度)×100
◎ :残存率 が95%以上
○ :残存率 が90%以上、95%未満
× :残存率 が90%未満
分光特性評価と同じ手順で試験用基板を作製し、耐熱性試験として210℃で20分追加加熱した。近赤外線吸収膜の分光極大吸収波長における吸光度を測定し、耐熱性試験前のそれに対する残存比を求め、耐熱性を下記基準で評価した。なお、残存率の算出は、以下の式を用いて算出した。
残存率=(耐熱性試験後の吸光度)÷(耐熱性試験前の吸光度)×100
◎ :残存率 が95%以上
○ :残存率 が90%以上、95%未満
× :残存率 が90%未満
近赤外線吸収顔料の平均一次粒子径が10〜80nmであり、かつ適切な溶剤処理をすることで、逆相系液体クロマトグラフィーの分析結果が、移動相としてアセトニトリルと水とを8:2の体積比で混合した混合溶液を用いた条件において、最も長い保持時間において現れるピークのピーク面積の割合が近赤外線吸収顔料に由来するピークすべてのピーク面積の合計の60〜78%となる場合、分散安定性と分光特性、耐光性、耐熱性がいずれも良好となった。
また、近赤外線吸収顔料と青色色素もしくは緑色色素を併用した場合、生体認証においてノイズとなる650nm〜800nmの光はより遮蔽され、センシングに用いられる400nm〜650nmの光はより透過することが確認された。
[実施例48〜51]
本発明の感光性近赤外線吸収性組成物(R−1)を1.1mm厚のガラス基板上に、スピンコーターで塗工し、プリベイクとして、100℃のホットプレートで1分加熱処理した。
次いで、超高圧水銀灯USH-200DP(ウシオ電機(株)製)を使用して、100μ
m四方の近赤外吸収カットフィルタを形成するためフォトマスクを通して露光量1000mJ/cm2にてパターン露光を行った。
露光後の塗膜を0.2質量%炭酸ナトリウム水溶液を現像液として用い、現像液圧0.1mPaでシャワー現像法にて塗膜の未硬化部分を除去して400μm×400μmのパターンを形成させた。その後、100℃で120分ポストベークした。熱処理後の近赤外吸収カットフィルタ(F−1)の膜厚は1.0μmであった。
本発明の感光性近赤外線吸収性組成物(R−2、3、6)についても、近赤外吸収カットフィルタ(F−1)と同様にして近赤外線カットフィルタ(F−2、3、6)を得た。
近赤外線カットフィルタ(F−1〜4)について、分光特性、耐久性(耐熱性、耐光性)について感光性近赤外線吸収性組成物評価と同様に試験した。結果を表5に示す。
また、近赤外線吸収顔料と青色色素もしくは緑色色素を併用した場合、生体認証においてノイズとなる650nm〜800nmの光はより遮蔽され、センシングに用いられる40
0nm〜650nmの光はより透過することが確認され、生体認証用の近赤外線カットフィルタとして優れた性能を有していると言える。
(青色着色組成物)
下記の組成の混合物を均一に撹拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミルで3時間分散した後、0.5μmのフィルタで濾過し、青色着色組成物を作製した。
C.I.ピグメントブルー PB15:6 :10.0部
樹脂型分散剤2溶液 : 7.5部
バインダ樹脂溶液 :35.0部
PGMAc :47.5部
下記の組成の混合物を均一に撹拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミルで3時間分散した後、0.5μmのフィルタで濾過し、紫色着色組成物を作製した。
C.I.ピグメントバイオレット PV23 :10.0部
樹脂型分散剤2溶液 : 7.5部
バインダ樹脂溶液 :35.0部
PGMAc :47.5部
下記の組成の混合物を均一に撹拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミルで3時間分散した後、0.5μmのフィルタで濾過し、黄色着色組成物を作製した。
C.I.ピグメントイエロー PY139 :10.0部
樹脂型分散剤2溶液 : 7.5部
バインダ樹脂溶液 :35.0部
PGMAc :47.5部
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1 .0μmのフィルタで濾過して、感光性近赤外線透過性組成物(P−1)を得た。
近赤外線吸収性組成物(D−4) :10.0部
青色顔料組成物 :20.0部
紫色顔料組成物 :10.0部
黄色顔料組成物 :10.0部
バインダ樹脂溶液 : 7.5部
光重合性単量体( 東亞合成社製「アロニックスM−402 」) : 2.0部
光重合開始剤( BASFジャパン社製「OXE−02」) : 1.5部
PGMAc :39.0部
以下、感光性近赤外線透過性組成物を表6に示す感光性近赤外線透過性組成物の種類に変更した以外は感光性近赤外線透過性組成物(P−1)と同様にして感光性近赤外線透過性組成物(P−2)〜(P−8)を得た。
フィルタの機能は、例えば、近赤外線の透過が可能か否か、およびそれ以外の波長領域の光線をカットできるか否かである。
以下、900nm、および940nmの透過率、ならびに400〜800nmの波長域の吸収性を評価した。
得られた基板に対し、分光光度計(U−4100 日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて400〜800nmの波長範囲の透過スペクトルを測定した。
○:400〜800nm全領域において、透過率が2%未満
△:400〜800nmの一部領域において、透過率が2%以上
×:400〜800nm全領域において、透過率が2%以上
得られた基板に対し、分光光度計(U−4100 日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて900nmの透過率を測定した。
○ :80%以上
△ :40%以上80%未満
× :40%未満
得られた基板に対し、分光光度計(U−4100 日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて940nmの透過率を測定した。
○ :80%以上
△ :40%以上80%未満
× :40%未満
得られた基板を、耐光性試験機(TOYOSEIKI社製「SUNTEST CPS+
」)に入れ、24時間放置した。この際、放射照度47mW/cm2、300〜800nmの広帯の光にて試験を実施した。その後、分光光度計(U−4100 日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて400〜800nmの波長範囲の透過スペクトルを測定した。
○:400〜800nm全領域において、透過率が2%未満
△:400〜800nmの一部領域において、透過率が2%以上
×:400〜800nm全領域において、透過率が2%以上
(耐熱性試験)
得られた基板を、耐熱性試験として210℃で20分追加加熱した。その後、分光光度計(U−4100 日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて400〜800nmの波長範囲の透過スペクトルを測定した。
○:400〜800nm全領域において、透過率が2%未満
△:400〜800nmの一部領域において、透過率が2%以上
×:400〜800nm全領域において、透過率が2%以上
特に、近赤外線吸収顔料の平均一次粒子径が10〜80nmであり、かつ適切な溶剤処理をすることで、逆相系液体クロマトグラフィーの分析結果が、移動相としてアセトニトリルと水とを8:2の体積比で混合した混合溶液を用いた条件において、最も長い保持時間において現れるピークのピーク面積の割合が近赤外線吸収顔料に由来するピークすべてのピーク面積の合計の60〜78%となる場合、400〜800nmの吸収性、900nm及び940nmの透過性、耐光性、耐熱性がいずれも良好となった。
<熱可塑性樹脂(B)>
(B−1)ポリエステルMA−2101M(ポリエステル樹脂、ユニチカ社製、結晶性樹脂、融点264℃)
(B−2)アミランCM3001−N(ポリアミド樹脂、東レ社製、結晶性樹脂、融点265℃)
(B−3)ユーピロンS−3000(ポリカーボネート樹脂、三菱エンジニアリングプラスチック社製、非晶性樹脂、ガラス転移温度145℃)
(B−4)トパス(シクロオレフィン樹脂、ポリプラスチックス社製、非晶性樹脂、ガラス転移温度78℃)
(B−5)アペル(シクロオレフィン樹脂、三井化学社製、非晶性樹脂、ガラス転移温度135℃)
(B−6)ULTEM(ポリエーテルイミド樹脂、サウジ基礎産業公社製、非晶性樹脂、ガラス転移温度217℃)
<マスターバッチの製造>
近赤外線吸収顔料1を1部と、熱可塑性樹脂(B−3)99部とを同じ供給口からスクリュー径30mmの二軸押出機(日本製鋼所社製)に投入し、300℃で溶融混錬した上で、ペレタイザーを用いてペレット状にカッティングしてマスターバッチ(D−1)を作製した。
希釈樹脂の熱可塑性樹脂(B−3)95部に対して、得られたマスターバッチ(D−1)5部を混合し、T−ダイ成形機(東洋精機製)を用いて、温度300℃で溶融混合し、厚さ250μmのフィルム(X−1)を成形した。
実施例57と同様に、表7記載の材料を用いて、厚さ250μmのフィルム(X−2)〜(X−17)、(XY−1)〜(XY−3)を成形した。なお、下記化合物を用いた。
得られたフィルムに対し、分光光度計(U−4100 日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて400〜1000nmの波長範囲の吸収スペクトルを測定し、700〜1000nmの極大吸収波長における吸光度により、近赤外線吸収能を下記基準で評価した。
○ :極大吸収波長における吸光度が1.0以上 良好
△ :極大吸収波長における吸光度が0.5以上、1.0未満 実用域
× :極大吸収波長における吸光度が0.5未満、0.1以上 実用不可
××:極大吸収波長における吸光度が0.1未満 実用不可
なお、〇〜××の結果について実用域、実用不可の上記判定は、以下同様に適用する。
前記近赤外線吸収性試験で得られた400〜1000nmの波長範囲の吸収スペクトルを使用して、700〜1000nmの極大吸収波長の吸光度を1に規格化した際の、「400〜700nmの平均吸光度」により、不可視性を下記基準で評価した。
○ :0.05未満
△ :0.05以上、0.1未満
× :0.1以上
得られたフィルムの透明性を目視で評価した。
〇: 全く濁りが認められない。
△: 若干濁りが認められる。
×: 明らかに濁りが認められる。
近赤外線吸収性評価と同じ手順で試験用フィルムを作製し、耐光性試験機(TOYOSEIKI社製「SUNTEST CPS+」)に入れ、放射照度47mW/cm2、30
0〜800nmの広帯の光を照射し、24時間放置した。次いで、試験用フィルムを取り出し、当該試験用フィルムの極大吸収波長における吸光度を測定し、光照射前の前記吸光度に対する残存比を求め、耐光性を、下記基準で評価した。なお、残存率の算出は、以下の式を用いて算出した。
残存率=(照射後の吸光度)÷(照射前の吸光度)×100
○ :残存率 が90%以上
△ :残存率 が85%以上90%未満
× :残存率 が85%未満、
て現れるピークのピーク面積の割合が近赤外線吸収顔料に由来するピークすべてのピーク面積の合計の60〜78%となる場合、近赤外線吸収性、不可視性、透明性、耐光性がいずれも良好となった。
(実施例74)
<マスターバッチの製造>
近赤外線吸収顔料2を1部、ピグメントブルー15:3を1部、ピグメントイエロー147を1部、ソルベントレッド52を1部、熱可塑性樹脂(B−1)96部とを同じ供給口からスクリュー径30mmの二軸押出機(日本製鋼所社製)に投入し、300℃で溶融混錬した上で、ペレタイザーを用いてペレット状にカッティングしてマスターバッチ(DD−1)を作製した。
希釈樹脂の熱可塑性樹脂(B−1)95部に対して、得られたマスターバッチ(DD−1)5部を混合し、T−ダイ成形機(東洋精機製)を用いて、温度300℃で溶融混合し、厚さ250μmのフィルム(XX−1)を成形した。
実施例74と同様に、表7記載の材料を用いて、厚さ250μmのフィルム(XX−2)〜(XX−6)、(XXY−1)〜(XXY−3)を成形した。
以下、900nm、および940nmの透過率、ならびに400〜800nmの波長域の吸収性を評価した。
得られたフィルムに対し、分光光度計(U−4100 日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて400〜800nmの波長範囲の透過スペクトルを測定した。
○:400〜800nm全領域において、透過率が2%未満
△:400〜800nmの一部領域において、透過率が2%以上
×:400〜800nm全領域において、透過率が2%以上
得られたフィルムに対し、分光光度計(U−4100 日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて900nmの透過率を測定した。
○ :80%以上
△ :40%以上80%未満
× :40%未満
得られたフィルムに対し、分光光度計(U−4100 日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて940nmの透過率を測定した。
○ :80%以上
△ :40%以上80%未満
× :40%未満
得られたフィルムの透明性を目視で評価した。
〇: 全く濁りが認められない。
△: 若干濁りが認められる。
×: 明らかに濁りが認められる。
得られたフィルムを、耐光性試験機(TOYOSEIKI社製「SUNTEST CP
S+」)に入れ、24時間放置した。この際、放射照度47mW/cm2、300〜800nmの広帯の光にて試験を実施した。その後、分光光度計(U−4100 日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて400〜800nmの波長範囲の透過スペクトルを測定した。
○:400〜800nm全領域において、透過率が2%未満
△:400〜800nmの一部領域において、透過率が2%以上
×:400〜800nm全領域において、透過率が2%以上
近赤外線吸収顔料の平均一次粒子径が10〜80nmであり、かつ適切な溶剤処理をすることで、逆相系液体クロマトグラフィーの分析結果が、移動相としてアセトニトリルと水とを8:2の体積比で混合した混合溶液を用いた条件において、最も長い保持時間において現れるピークのピーク面積の割合が近赤外線吸収顔料に由来するピークすべてのピーク面積の合計の60〜78%となる場合、近赤外線吸収性、不可視性、透明性、耐光性がいずれも良好となった。
Claims (6)
- 下記一般式(1)で表される化合物、およびその異性体を含む、近赤外線吸収顔料であって、
前記近赤外線吸収顔料の平均一次粒子径は、10〜80nmであり、
逆相系液体クロマトグラフィーを用いる近赤外線吸収顔料の分析結果が、移動相としてアセトニトリルと水とを8:2の体積比で混合した混合溶液を用いた条件において、最も長い保持時間において現れるピークのピーク面積の割合が該近赤外線吸収顔料に由来するピークすべてのピーク面積の合計の60〜78%である、近赤外線吸収顔料。
一般式(1)
(X1〜X6はそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、アミノ基、置換アミノ基、スルホ基、−SO2NR1R2、−COOR1、−CONR1R2、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子を表す。R1、R2はそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基を表す。また、X1〜X6は、置換基同士が結合して環を形成してもよい。ただし、X1〜X4がすべて水素原子であるものは除く。) - 請求項1記載の近赤外線吸収顔料、および樹脂型分散剤を含む、近赤外線吸収性組成物。
- さらに、光重合性単量体を含む、請求項2に記載の近赤外線吸収性組成物。
- 請求項1記載の近赤外線吸収顔料、および熱可塑性樹脂の溶融混錬物である、近赤外線吸収性組成物。
- 請求項2〜4いずれか1項に記載の近赤外線吸収性組成物から形成されてなる、近赤外線カットフィルタ。
- 請求項2〜4いずれか1項に記載の近赤外線吸収性組成物から形成されてなる、近赤外線透過フィルタ。
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