<第1実施形態>
(1)全体構成
図1に示されている機器ネットワークシステム1は、複数の第1機器11からなる第1ネットワーク100と、複数の第2機器12からなる第2ネットワーク200と、第1処理部21と、第2処理部22と、第1フィルタ31とを備えている。
第1処理部21は、複数の第1機器11を同じグループの機器として認識するための低周波の第1確認信号を送信する。第1フィルタ31は、第1ネットワーク100と第2ネットワーク200との間に配置されている。第1フィルタ31は、第1機器11と第2機器12との間の通信のための高周波の通信信号を通過させ且つ低周波の第1確認信号を遮断する。
本開示においては、低周波信号は、周波数が10KHz以下の信号と定義する。低周波信号には、直流(周波数が0Hzの信号)も含まれる。本開示においては、高周波信号は、周波数が100KHz以上の信号と定義する。第1フィルタ31は、通信信号の周波数と、第1確認信号の周波数との間に遮断周波数を持っている。
第1ネットワーク100と第2ネットワーク200の間に第1フィルタ31が配置されている。言い換えると、第1ネットワーク100と第2ネットワーク200が第1フィルタ31を介して接続されている。従って、第1ネットワーク100と第2ネットワークの両方が、第1フィルタ31を通過する信号を伝送することができる。機器ネットワークシステム1は、第1処理部21から第1確認信号を送信させ、第1ネットワーク100に第1確認信号を送信する。第1ネットワーク100は、第1確認信号を伝送させることができるが、第1フィルタ31で第1確認信号が遮断されるため、第2ネットワーク200は、第1確認信号を伝送させることができない。
第1ネットワーク100の複数の第1機器11は、第1ネットワーク100が伝送する第1確認信号を受信することができるように構成されている。第1確認信号を受信した複数の第1機器11は、第1処理部21との間で通信信号を用いることで送受信することができるように構成されている。その結果、第1処理部21は、第1確認信号を受信できる複数の第1機器11が、第1ネットワーク100に所属することを認識することができる。
ここでは、第2ネットワーク200の複数の第2機器12も、第2ネットワーク200が伝送する第2確認信号により、第2ネットワーク200に複数の第2機器12が所属することを認識できるように構成されている。しかし、第2ネットワーク200にこのような第2確認信号による系統認識を行わせる機能を設けなくてもよい。
第2処理部22は、複数の第1機器11を同じグループの機器として認識するための低周波の第1確認信号を送信する。第1フィルタ31は、第1ネットワーク100と第2ネットワーク200との間に配置されている。第1フィルタ31は、第1機器11と第2機器12との間の通信のための高周波の通信信号を通過させ且つ低周波の第2確認信号を遮断する。
機器ネットワークシステム1は、第2処理部22から第2確認信号を送信させ、第2ネットワーク200に第2確認信号を送信する。第2ネットワーク200は、第2確認信号を伝送させることができるが、第1フィルタ31で第2確認信号が遮断されるため、第1ネットワーク100は、第2確認信号を伝送させることができない。
第2ネットワーク200の複数の第2機器12は、第2ネットワーク200が伝送する第2確認信号を受信することができるように構成されている。第2確認信号を受信した複数の第2機器12は、第2処理部22との間で通信信号を用いることで送受信することができるように構成されている。その結果、第2処理部22は、第2確認信号を受信できる複数の第2機器12が、第2ネットワーク200に所属することを認識することができる。
(2)詳細構成
第1機器11は、第1機器11の内部機構を制御する機器内コントローラ41を備えている。機器内コントローラ41は、例えば、マイクロコントローラユニット(MCU)51aと、受信機41cと、送受信機41dとを備えている。送信機41bは、低周波の第1確認信号を受信することができるように構成されている。送受信機41dは、高周波の通信信号により、通信できるように構成されている。
ここでは、複数の第1機器11の機器内コントローラ41の中の一つが、第1処理部21として機能するように構成されている場合について説明する。しかし、第1処理部21は、機器内コントローラ41とは別体のものとして構成することもできる。ここでは、第1処理部21が第1機器11の中に配置されている場合について説明するが、第1処理部21は、第1機器11の外部に設置することもできる。第1処理部21を第1機器11の外部に設置した場合に、第1処理部21から必要に応じて系統認識の結果を第1機器11に通知するように構成することができる。このような通知があれば、複数の第1機器11は、自身以外の第1機器11の第1ネットワークへの所属を認識することができる。
実施形態の説明では、第1処理部21として機能する機器内コントローラ41と他の機器内コントローラ41とを区別するために、「第1処理部」には、「機器内コントローラ」を示す符号とは異なる符号も付している。第1処理部21は、例えば、マイクロコントローラユニット(MCU)21aと、送信機21bと、送受信機21dとを備えている。送信機21bは、低周波の第1確認信号を送信することができるように構成されている。送受信機21dは、高周波の通信信号により、通信できるように構成されている。
本開示では、第1処理部21として機能する機器内コントローラ41が、第1確認信号を送信する機能を有していれば、第1処理部21が第1確認信号を受信する機能を有していなくても系統認識のための通信の説明ができる。そのため、本開示では、第1処理部21として機能する機器内コントローラ41は、送信機21b(51b)を有していることを説明している。また、本開示では、第1処理部21として機能しない機器内コントローラ41が、第1確認信号を受信する機能を有していれば、機器内コントローラ41が第1確認信号を送信する機能を有していなくても系統認識のための通信の説明ができる。そのため、本開示では、第1処理部21として機能しない機器内コントローラ41は、受信機41cを有していることを説明している。なお、第1処理部21が機器内コントローラ41とは別に設けられる場合には、全ての第1機器11の機器内コントローラ41は受信機41cを有する。
複数の第1機器11の送信機41b(21b)、受信機41c、送受信機41dは、物理的な第1伝送線401に接続されている。この物理的な第1伝送線401は、第1フィルタ31の一方の入出力端に物理的に接続されている。第1伝送線401は、平行に延びる複数本のワイヤで構成されてもよい。
MCUは、例えば、制御演算装置と、記憶装置(メモリ)とを備えるものである。制御演算装置には、CPU又はGPUといったプロセッサを使用できる。制御演算装置は、記憶装置に記憶されているプログラムを読み出し、このプログラムに従って所定の画像処理や演算処理を行う。さらに、制御演算装置は、プログラムに従って、演算結果を記憶装置に書き込んだり、記憶装置に記憶されている情報を読み出したりすることができる。
第2機器12は、第2機器12の内部機構を制御する機器内コントローラ42を備えている。機器内コントローラ42は、例えば、マイクロコントローラユニット(MCU)42aと、受信機42cと、送受信機42dとを備えている。送信機42bは、低周波の第2確認信号を受信することができるように構成されている。送受信機42dは、高周波の通信信号により、通信できるように構成されている。
ここでは、複数の第2機器12の機器内コントローラ42の中の一つが、第2処理部22として機能するように構成されている場合について説明する。しかし、第2処理部22は、第1処理部21と同様に、機器内コントローラ42とは別体のものとして構成することもでき、第2機器12の外部に設置することもできる。
第2処理部22として機能する機器内コントローラ42と他の機器内コントローラ42とを区別するために、「第2処理部」には、「機器内コントローラ」を示す符号とは異なる符号も付している。第2処理部22は、例えば、マイクロコントローラユニット(MCU)22aと、送信機22bと、送受信機22dとを備えている。送信機22bは、低周波の第2確認信号を送信することができるように構成されている。送受信機22dは、高周波の通信信号により、通信できるように構成されている。
本開示では、第2処理部22として機能する機器内コントローラ42が、第2確認信号を送信する機能を有していれば、第2処理部22が第2確認信号を受信する機能を有していなくても系統認識のための通信の説明ができる。そのため、本開示では、第2処理部22として機能する機器内コントローラ42は、送信機22b(42b)を有していることを説明している。また、本開示では、第2処理部22として機能しない機器内コントローラ42が、第2確認信号を受信する機能を有していれば、機器内コントローラ42が第2確認信号を送信する機能を有していなくても系統認識のための通信の説明ができる。そのため、本開示では、第2処理部22として機能しない機器内コントローラ42は、受信機42cを有していることを説明している。なお、第2処理部22が機器内コントローラ42とは別に設けられる場合には、全ての第2機器12の機器内コントローラ42は受信機42cを有する。
複数の第2機器12の送信機42b(22b)、受信機42c、送受信機42dは、物理的な第2伝送線402に接続されている。この物理的な第2伝送線402は、第1フィルタ31の他方の入出力端に物理的に接続されている。第2伝送線402は、平行に延びる複数本のワイヤで構成されてもよい。
第1フィルタ31は、高周波信号を通過させ、低周波信号を遮断する機器である。受動的に、高周波信号を通過させ、低周波信号を遮断するフィルタとしては、例えば、コンデンサ、低周波信号を減衰させる減衰器がある。例えば、高周波信号を通過させ、直流信号を遮断する誘導型カプラも第1フィルタ31として用いることができる。第1フィルタ31として使用するフィルタは、能動素子を用いたアクティブフィルタでもよい。また、高周波信号を通過させ、低周波信号を遮断するフィルタとして、例えば、第1伝送線401と第2伝送線402の接続と非接続を切り替えるスイッチング装置がある。スイッチング装置において第1伝送線401と第2伝送線402の接続と非接続を切り替えるために、例えば、リレーを用いることができる。
(3)系統認識のための通信
系統認識のための通信のフローについて、図2を用いて説明する。ここでいう系統認識とは、第1ネットワーク100に所属する複数の第1機器11を第1処理部21が確認することである。また、第2ネットワーク200に所属する複数の第2機器12を第2処理部22が確認することも系統認識である。系統認識のための通信を行うために、機器ネットワークシステム1の電源が投入される(ステップST1)。第1伝送線401に接続されている機器内コントローラ41及び第1処理部21、第2伝送線402に接続されている機器内コントローラ42及び第2処理部22が、通信ネットワークを確立する(ステップST2)。例えば、機器内コントローラ41,42、第1処理部21のMCU21a及び第2処理部22のMCU22aが、送受信機41d,42d,21d,22dを使い、通信信号の送受信を行うことにより、通信ネットワークの確立を行う。
通信ネットワークを確立した後、複数の第1機器11及び複数の第2機器12並びに第1処理部21及び第2処理部22は、それぞれ、通信アドレスを取得する(ステップST3)。機器内コントローラ41,42のMCU41a,42a、第1処理部21のMCU21a及び第2処理部22のMCU22aは、例えば、自動的に通信アドレスを取得する機能を備えている。この機能を使って、複数の第1機器11及び複数の第2機器12並びに第1処理部21及び第2処理部22は、互いに重複しない通信アドレスを取得することができる。
第1処理部21及び第2処理部22は、送受信機21d,22dを使った通信により協調し、未完了の1台の処理部を選出する(ステップST4)。ここでは、例えば、第1処理部21が選出されるものとする。
選出された処理部は、送信機を使って、処理部が属するネットワークの機器に、系統認識のために確認信号を送信する(ステップST5)。例えば、第1処理部21が選出された場合、第1処理部21は、送信機21bを使って第1伝送線401に系統認識のため第1確認信号を送信する。送信機21bが送信する第1確認信号は、低周波信号であるため、第1フィルタ31で遮断される。従って、第1フィルタ31により、第1処理部21の送信機21bから送信された第1確認信号を、第2機器12の受信機22cは受信できない。第1処理部21は、第1確認信号の送信と同時に、または第1確認信号の送信と前後して、自己の通信アドレスを、送受信機21dを使って通信信号で送信する。この場合、第1処理部21は、通信アドレスを、周波数が0以外の低周波信号で送るように構成されてもよい。第1伝送線401を通して受信機41cで第1確認信号を受信し且つ送受信機41dまたは受信機41cで第1処理部21の通信アドレスを受信した第1機器11は、それぞれのMCU41aのメモリに、受信した通信アドレスを記憶する。
確認信号と処理部の通信アドレスを受信した機器内コントローラは、自己の通信アドレスを、処理部を有する機器の通信アドレス宛に送信する(ステップST6)。第1処理部21が選出された場合、複数の第1機器11の機器内コントローラ41が自己の通信アドレスを、第1処理部21を有する第1機器11の通信アドレス宛に送受信機41dを使って第1伝送線401を通して送信する。
選出された処理部は、送られてきた機器内コントローラの通信アドレスを、同じネットワークの機器を登録する同一系統リストに登録する(ステップST7)。第1処理部21が選出された場合、第1処理部21は、第1伝送線401を通して自己の通信アドレスに宛てて送られてきた第1機器11の通信アドレスを同一系統リストに順次追加していく。第1処理部21として機能している機器内コントローラ41を有する第1機器11は、第1処理部21として機能していることで、自己が第1ネットワーク100に所属するという認識を、第1処理部21に行わせる。
選出された処理部は、自己が属するネットワーク(系統)の全ての機器の登録を完了すると、自己が属する系統の系統認識が完了したことを機器ネットワークシステム1の全体に通知する(ステップST8)。第1処理部21が選出された場合、第1ネットワーク100の第1機器11の登録を完了すると、第1処理部21は、送受信機21dを使って第1伝送線401及び第2伝送線402を通して、第1ネットワーク100の系統認識が完了したことを機器ネットワークシステム1の全体に通知する。
系統認識が完了していない処理部があるか否かを判断する(ステップST9)。先に、第1処理部21が選出された場合、第1処理部21による系統認識が完了しても、第2処理部22による第2ネットワーク200の系統認識が完了していない(ステップST9のYes)。このような場合には、第1処理部21と第2処理部22は、送受信機21d,22dを使った通信により協調し、第2処理部22を選出する(ステップST4)。
第2処理部22が選出された場合、上述の第1処理部21が選出された場合と同様に、ステップST5からステップST8までの動作が繰り返される。
第1処理部21及び第2処理部22による第1ネットワーク100及び第2ネットワーク200の系統認識が終了すると、系統認識が完了していない処理部が無くなるので(ステップST9のNo)、系統認識のための通信を終了する。
上述の系統認識のための通信の例では、送受信機41d,42d,21d,22dによる第1伝送線401及び第2伝送線402を通した通信信号による通信において、通信アドレスを使って通信先及び/または通信元を特定する場合について説明した。しかし、通信先及び/または通信元の特定は、通信アドレスを使った特定に限られるものではない。例えば、複数の第1機器11及び複数の第2機器12のそれぞれが有している固有のIDを使って、機器ネットワークシステム1が、通信先及び/または通信元を特定するように構成されてもよい。
<第2実施形態>
(4)全体構成
図3に示されている機器ネットワークシステム1は、第2実施形態に係るシステムであり、空気調和システムである。第2実施形態の機器ネットワークシステム1は、例えば、1つの建物10に設置されている。以下の説明において、空調対象空間CSは、室内空気が存在する空間であり、例えば、建物10の中の部屋の中の空間である。非空調対象空間NSは、室外空気が存在する空間であり、例えば、屋外空間である。言い換えると、建物10の中に空調対象空間CSがあり、建物10の外に非空調対象空間NSがある。
ここでは、空気調和システムである機器ネットワークシステム1が1つの建物10に設置されている場合について説明するが、機器ネットワークシステム1は、複数の建物に対して設置される場合もある。機器ネットワークシステム1では、第1ネットワーク100が第1冷媒系統に一致し、第2ネットワーク200が第2冷媒系統に一致している。第1冷媒系統の中では、第1冷媒が循環している。第2冷媒系統の中では、第2冷媒が循環している。第1冷媒が第2ネットワーク200の第2冷媒系統には流れず、第2冷媒が第1ネットワーク100の第1冷媒系統には流れないように、機器ネットワークシステム1が構成されている。
機器ネットワークシステム1は、第1室外機110と、複数の第1室内機120と、第2室外機210と、複数の第2室内機220とを備えている。第1室外機110と複数の第1室内機120には、第1冷媒が流れている。第2室外機210と複数の第2室内機220には、第2冷媒が流れている。第1室外機110と複数の第1室内機120が複数の第1機器であり、第2室外機210と複数の第2室内機220が複数の第2機器である。
機器ネットワークシステム1は、第1室外機110と、複数の第1室内機120と、第2室外機210と、複数の第2室内機220とを接続する通信回線400を備えている。
図3に示されている機器ネットワークシステム1では、通信回線400が物理的な第1伝送線401、第2伝送線402及び第1フィルタ31を有している。第1伝送線401と第2伝送線402は、第1フィルタ31を介して接続されている。物理的な第1伝送線401に、第1室外機110と複数の第1室内機120が接続されている。この第1伝送線401を通って送られる第1確認信号によって、第1室外機110と複数の第1室内機120とは、互いに通信することができる。第1確認信号は、第1フィルタ31によって遮断されて、第1伝送線401から第2伝送線402へは伝送されない。そのため、この第1伝送線401に接続されていない第2室外機210及び複数の第2室内機220は、第1確認信号によって、第1室外機110及び複数の第1室内機120と通信することができない。
物理的な第2伝送線402に、第2室外機210と複数の第2室内機220が接続されている。この第2伝送線402を通って送られる第2確認信号によって、第2室外機210と複数の第2室内機220とは、互いに通信することができる。第2確認信号は、第1フィルタ31によって遮断されて、第2伝送線402から第1伝送線401へは伝送されない。そのため、この第2伝送線402に接続されていない第1室外機110及び複数の第1室内機120は、第2確認信号によって、第2室外機210及び複数の第2室内機220と通信することができない。
通信信号は、第1フィルタ31を通過することができる。そのため、通信回線400は、物理的な第1伝送線401から第2伝送線402に通信信号を伝送させることができ、物理的な第2伝送線402から第1伝送線401に通信信号を伝送させることができる。これら第1伝送線401及び第2伝送線402を通って送られる通信信号によって、第1室外機110と、複数の第1室内機120と、第2室外機210と、複数の第2室内機220とは、互いに通信することができる。
従って、第2実施形態の機器ネットワークシステム1は、第1確認信号を使うことにより、第1冷媒系統に属する第1機器として、第1室外機110及び複数の第1室内機120を認識することができる。機器ネットワークシステム1は、第2確認信号を使うことにより、第2冷媒系統に属する第2機器として、第2室外機210及び複数の第2室内機220を認識することができる。
(5)詳細構成
(5−1)第1室外機110と第2室外機210
第1冷媒系統は、第1冷媒を循環させるための冷媒管131,132で接続されている第1室外機110と複数の第1室内機120を含んで構成されている。冷媒管131,132の中を第1冷媒が流れている。第2冷媒系統は、第2冷媒を循環させるための冷媒管231,232で接続されている第2室外機210と複数の第2室内機220を含んで構成されている。冷媒管231,232の中を第2冷媒が流れている。機器ネットワークシステム1において、第1冷媒系統では第1冷媒を用いて蒸気圧縮式冷凍サイクルが行われ、第2冷媒系統では第2冷媒を用いて蒸気圧縮式冷凍サイクルが行われる。第1冷媒系統で行われる蒸気圧縮式冷凍サイクルと、第2冷媒系統で行われる蒸気圧縮式冷凍サイクルとは、互いに独立して行われる。しかし、第1冷媒系統と第2冷媒系統で行われる蒸気圧縮式冷凍サイクルが関連するように構成されてもよい。なお、機器ネットワークシステム1の制御のために、例えば、空調対象空間CSの室内空気の温度、各所における第1冷媒の温度及び圧力、並びに各所における第2冷媒の温度及び圧力が検出されるが、それらの検出のためのセンサなどの記載は省略する。
この第2実施形態の機器ネットワークシステム1では、第1室外機110の機器内コントローラ41は、第1実施形態で説明した第1処理部21として機能する。また、第2室外機210の機器内コントローラ42は、第1実施形態で説明した第2処理部22として機能する。
第1室外機110と第2室外機210は、それぞれ、圧縮機51と、四方弁52と、熱源側熱交換器53と、熱源側膨張弁54とを備えている。機器内コントローラ41,42は、圧縮機51、四方弁52及び熱源側膨張弁54を制御する。
第1室外機110の圧縮機51と四方弁52と熱源側熱交換器53と熱源側膨張弁54とには、第1冷媒が流れる。第2室外機210の圧縮機51と四方弁52と熱源側熱交換器53と熱源側膨張弁54とには、第2冷媒が流れる。
圧縮機51は、低圧ガス状の冷媒を吸入し、冷媒を圧縮して、高圧ガス状の冷媒を吐出する機器である。四方弁52は、第1ポート、第2ポート、第3ポート及び第4ポートの4つのポートを持ち、ポート間の接続状態を切り換えられるように構成された機器である。熱源側熱交換器53は、冷媒と室外空気との間で熱交換を行わせる機器である。熱源側膨張弁54は、ガス状態の冷媒を減圧する機器である。四方弁52の第1ポートに圧縮機51の吐出口が接続され、第2ポートに熱源側熱交換器53の一方の出入口が接続され、第3ポートに圧縮機51の吸入口が接続され、第4ポートに冷媒管132または冷媒管232が接続されている。四方弁52は、第1ポートと第2ポートの間を冷媒が流れ且つ第3ポートと第4ポートの間を冷媒が流れる状態と、第1ポートと第4ポートの間を冷媒が流れ且つ第2ポートと第3ポートの間を冷媒が流れる状態とを切り換える。熱源側熱交換器53の他方の出入口には、熱源側膨張弁54の一方の出入口が接続されている。熱源側膨張弁54の他方の出入口には、冷媒管131または冷媒管231が接続されている。
(5−2)第1室内機120と第2室内機220
各第1室内機120と各第2室内機220は、それぞれ、利用側熱交換器61と、利用側膨張弁62と、機器内コントローラ41,42とを備えている。各第1室内機120の利用側膨張弁62と利用側熱交換器61には、第1冷媒が流れる。各第2室内機220の利用側膨張弁62と利用側熱交換器61には、第2冷媒が流れる。機器内コントローラ41,42は、利用側膨張弁62を制御する。
利用側熱交換器61は、冷媒と室内空気との間で熱交換を行わせる機器である。利用側膨張弁62は、ガス状態の冷媒を減圧するまたは冷媒の流量を調節する機器である。利用側膨張弁62の一方の出入口が冷媒管131または冷媒管231に接続されている。利用側膨張弁62の他方の出入口が利用側熱交換器61の一方の出入口に接続されている。利用側熱交換器61の他方の出入口が冷媒管132または冷媒管232に接続されている。
(5−3)冷房運転
冷房運転では、各利用側熱交換器61が蒸発器として機能することで、空調対象空間CSの空気の温度を低下させる。
圧縮機51は、四方弁52の第1ポートと第2ポートを繋ぐ経路を経由して熱源側熱交換器53に、高圧ガス状体の冷媒を吐出する。熱源側熱交換器53は、高圧ガス状の冷媒と室外空気との間で熱交換を行わせて、冷媒を凝縮させる。第1室外機110の機器内コントローラ41または第2室外機210の機器内コントローラ42は、例えば、熱源側膨張弁54の開度を開いた状態で固定している。熱源側熱交換器53で凝縮された高圧液体状の冷媒は、熱源側膨張弁54と冷媒管131または231とを経由して送られる。
各利用側膨張弁62は、冷媒管131または231を経由して送られてきた高圧液体状の冷媒を減圧する。各利用側熱交換器61は、各利用側膨張弁62から送られてきた低圧液体状の冷媒と室外空気との間で熱交換を行わせて、冷媒を蒸発させる。各第1室内機120の機器内コントローラ41または各第2室内機220の機器内コントローラ42は、例えば、各利用側熱交換器61の他方の出入口における冷媒の過熱度が過熱度目標値になるように、各利用側膨張弁62の開度を調節する。各利用側熱交換器61において蒸発して低圧ガス状になった冷媒は、冷媒管132または232と四方弁52の第4ポートと第3ポートを繋ぐ経路とを経由して圧縮機51に吸入される。
(5−4)暖房運転
暖房運転では、各利用側熱交換器61が凝縮器として機能することで、空調対象空間CSの空気の温度を上昇させる。
圧縮機51は、四方弁52の第1ポートと第4ポートを繋ぐ経路及び冷媒管132または232を経由して各利用側熱交換器61に、高圧ガス状体の冷媒を吐出する。各利用側熱交換器61は、高圧ガス状の冷媒と室内空気との間で熱交換を行わせて、冷媒を凝縮させる。各利用側膨張弁62は、各利用側熱交換器61で凝縮された高圧液体状の冷媒の流量を調整する。各第1室内機120の機器内コントローラ41または各第2室内機220の機器内コントローラ42は、例えば、各利用側熱交換器61の他方の出入口における冷媒の過冷却度が過冷却度目標値になるように、各利用側膨張弁62の開度を調節する。各利用側膨張弁62を出た高圧液体状の冷媒は、冷媒管131または231を経由して熱源側膨張弁54に送られる。
熱源側膨張弁54は、冷媒管131または231を経由して送られてきた高圧液体状の冷媒を減圧する。熱源側熱交換器53は、熱源側膨張弁54から送られてきた低圧液体状の冷媒と室外空気との間で熱交換を行わせて、冷媒を蒸発させる。熱源側熱交換器53において蒸発して低圧ガス状になった冷媒は、四方弁52の第2ポートと第3ポートを繋ぐ経路とを経由して圧縮機51に吸入される。第1室外機110の機器内コントローラ41または第2室外機210の機器内コントローラ42は、例えば、圧縮機51に吸入される冷媒の過熱度が過熱度目標値になるように、熱源側膨張弁54の開度を調節する。
(6)機器ネットワークシステム1における通信
(6−1)系統認識のための通信
系統認識を行うときの第2実施形態の機器ネットワークシステム1の系統認識のための通信については、第1実施形態の機器ネットワークシステムの系統認識のための通信と同様に行うことができるので、説明を省く。
第1室外機110と複数の第1室内機120からなる第1ネットワーク100を認識することで、第1冷媒系統に所属する第1室外機110と複数の第1室内機120を認識することができる。この第1ネットワーク100を用いることで、第1冷媒系統の制御を的確に行うことができる。同様に、第2室外機210と複数の第2室内機220からなる第2ネットワーク200を認識することで、第2冷媒系統に所属する第2室外機210と複数の第2室内機220を認識することができる。この第2ネットワーク200を用いることで、第1冷媒系統の制御を的確に行うことができる。
(6−2)系統認識後の通信
系統認識が完了すると、第1室外機110のMCU41aの同一系統リストに、第1伝送線401に接続されている全ての第1室内機120の通信アドレスが登録される。系統認識が完了すると、第2室外機210のMCU42aの同一系統リストに、第2伝送線402に接続されている全ての第2室内機220の通信アドレスが登録される。
第1室外機110は、MCU41aに記憶されている同一系統リストを使って、第1冷媒系統に属する複数の第1室内機120を特定して、第1伝送線401を通して、第1冷媒系統の蒸気圧縮式冷凍サイクルを制御することができる。第2室外機210は、MCU42aに記憶されている同一系統リストを使って、第2冷媒系統に属する複数の第2室内機220を特定して、第2冷媒系統の蒸気圧縮式冷凍サイクルを制御することができる。
例えば、第1室外機110の圧縮機51の吐出温度が異常に高くなったときに、第1室外機110は、同一系統リストに登録されている全ての第1室内機120に対して、送受信機41dを使い、第1伝送線401を通して、圧縮機51の吐出温度異常に対応するように指示することができる。第1室外機110は、同一系統リストに登録されている一部の第1室内機120に対して、送受信機41dを使い、第1伝送線401を通して、例えば、利用側膨張弁62の開度、過熱度目標値、過冷却度目標値などを変更するように要求することもできる。第1室外機110は、同一系統リストに登録されている一部の第1室内機120に対して、送受信機41dを使い、第1伝送線401を通して、各第1室内機120が有している情報を第1室外機110に送信するように要求することもできる。
第1室外機110も第2室外機210も、送受信機41d,42dを使い、第1伝送線401及び第2伝送線402を通して、全ての第1室内機120及び全ての第2室内機220と通信することができる。例えば、第1室外機110が建物10の外の管理装置と公衆回線で通信できるときに、全ての第1室内機120及び全ての第2室内機220の情報を第1室外機110が送受信機41dを使って第1伝送線401及び第2伝送線402を通して収集し、当該情報を第1室外機110が管理装置に送信することができる。
<第3実施形態>
(7)全体構成
第1実施形態及び第2実施形態の機器ネットワークシステム1においては、1つの第1フィルタ31を介して第1ネットワーク100と第2ネットワーク200が繋がっている場合について説明した。しかし、第1ネットワーク100と第2ネットワーク200は、図4に示されている第3実施形態の機器ネットワークシステム1のように、複数の第1フィルタ31を介して第1ネットワーク100と第2ネットワーク200が繋げられてもよい。
また、第1実施形態及び第2実施形態の機器ネットワークシステム1においては、物理的な第1伝送線401を用いて、複数の第1機器11からなる第1ネットワーク100、または、第1室外機110と複数の第1室内機120からなる第1ネットワーク100が構成されている。物理的な第1伝送線401の途中には信号を遮断するフィルタは設けられていない。同様に、第2ネットワーク200を構成するための物理的な第2伝送線402の途中にも信号を遮断するフィルタは設けられていない。しかし、図4に示されている第3実施形態の機器ネットワークシステム1のように、第1ネットワーク100を構成するための物理的な第1伝送線401と第3伝送線403を設けて、これら2つの第1伝送線401と第3伝送線403を、第2フィルタ32を介して繋げることができる。同様に、第2ネットワーク200を構成するための物理的な第2伝送線402と第4伝送線404を設けて、これら2つの第2伝送線402と第4伝送線404を、第2フィルタ32を介して繋げることができる。第2フィルタ32の構成は、例えば第1フィルタ31と同様の構成にすることができる。第2フィルタ32は、高周波信号である通信信号を通過させ、低周波信号である第1確認信号、第2確認信号、第3確認信号及び第4確認信号を遮断する機器である。
第3実施形態の機器ネットワークシステム1は、集中コントローラ15と、第1室外機111と、第2室外機211と、第3室外機112と、第4室外機212と、上位グループの第1室内機121と、第1中間ユニット150と、下位グループの第1室内機122と、上位グループの第2室内機221と、第2中間ユニット250、下位グループの第2室内機222とを備えている。
第1ネットワーク100は、第1室外機111と第3室外機112と、第1室内機121,122と、第1中間ユニット150からなる。第2ネットワーク200は、第2室外機211と第4室外機212と、第2室内機221,222と、第2中間ユニット250からなる。
(7−1)第1冷媒と第2冷媒の循環
第3実施形態でも、第1ネットワーク100に所属する機器に第1冷媒が流れ、第2ネットワーク200に所属する機器に第2冷媒が流れている。
第1室外機111と第3室外機112から出た第1冷媒は、上位グループの複数の第1室内機121に入って、各第1室内機121の中で室内空気と熱交換される。各第1室内機121で熱交換された第1冷媒は、第1室外機111と第3室外機112に戻り、第1室外機111と第3室外機112で室外空気と熱交換される。第1室外機111と第3室外機112から出た第1冷媒は、第1中間ユニット150を経由して、下位グループの複数の第1室内機122に入り、各第1室内機122の中で室内空気と熱交換される。第1中間ユニット150は、第1中間ユニット150に接続されている複数の第1室内機122に流す第1冷媒の流れを切り換えるなど、複数の第1室内機122に流す第1冷媒を調整する機器である。
第2室外機211と第4室外機212から出た第2冷媒は、上位グループの複数の第2室内機221に入って、各第2室内機221の中で室内空気と熱交換される。各第2室内機221で熱交換された第2冷媒は、第2室外機211と第4室外機212に戻り、第2室外機211と第4室外機212で室外空気と熱交換される。第2室外機211と第4室外機212から出た第2冷媒は、第2中間ユニット250を経由して、下位グループの複数の第2室内機222に入り、各第2室内機222の中で室内空気と熱交換される。第2中間ユニット250は、第2中間ユニット250に接続されている複数の第2室内機222に流す第2冷媒の流れを切り換えるなど、複数の第2室内機222に流す第2冷媒を調整する機器である。
(7−2)機器ネットワークシステム1の系統認識の概要
第3実施形態の機器ネットワークシステム1の系統認識は、第1室外機111の第1処理部21と、第2室外機211の第2処理部22と、第1中間ユニット150の第3処理部23と、第2中間ユニット250の第4処理部24と、集中コントローラ15とにより行われる。
集中コントローラ15は、MCU15aと、低周波の第5確認信号を送信する送信機15bと、高周波の通信信号を送受信する送受信機15dを有している。
第3実施形態の機器ネットワークシステム1において、第3実施形態の第1室外機111は、第2実施形態の第1室外機111と同様に、第1処理部21として機能する機器内コントローラ41を有している。第3実施形態の第2室外機211は、第2実施形態の第2室外機と同様に、第2処理部22として機能する機器内コントローラ42を有している。
第3実施形態の第1室外機111の第1処理部21が、第2実施形態の第1処理部21と異なる点は、集中コントローラ15との通信のための受信機21cを有している点である。第3実施形態の第2室外機211の第2処理部22が、第2実施形態の第2処理部22と異なる点は、集中コントローラ15との通信のための受信機22cを有している点である。受信機21c,22cは、集中コントローラ15の送信機15bが送信する低周波の第5確認信号を受信することができる。第3実施形態の第1処理部21のMCU21a、送信機21b及び送受信機21dについては第2実施形態の第1処理部21と同様であるので説明を省略する。また、第3実施形態の第2処理部22のMCU22a、送信機22b及び送受信機22dについては第2実施形態の第2処理部22と同様であるので説明を省略する。
第3実施形態の第1室内機121は、第2実施形態の第1室内機121と同様に、機器内コントローラ41を有している。第3実施形態の第2室内機221は、第2実施形態の第2室内機221と同様に、機器内コントローラ42を有している。
第3室外機112も機器内コントローラ41を有している。第1室内機121が有する機器内コントローラ41と第3室外機112が有する機器内コントローラ41は、室内機内部の内部機構を制御するという点と室外機内部の内部機構を制御するという点では異なる。しかしながら、第1室内機121と第3室外機112が有する機器内コントローラ41は、通信という点では、同じ機能を有しているので、ここでは同じ符号を付し、通信に関して同様のものとして説明している。第4室外機212も機器内コントローラ42を有している。第2室内機221が有する機器内コントローラ42と第4室外機212が有する機器内コントローラ42は、室内機内部の内部機構を制御するという点と室外機内部の内部機構を制御するという点では異なる。しかしながら、第2室内機221と第4室外機212が有する機器内コントローラ42は、通信という点では、同じ機能を有しているので、ここでは同じ符号を付し、通信に関して同様のものとして説明している。
第1中間ユニット150が有する第3処理部23は、MCU23a、低周波の第3確認信号を送信する送信機23b、低周波の第1確認信号を受信する受信機23c、及び高周波の通信信号を送受信する送受信機23dを備えている。また、第2中間ユニット250が有する第4処理部24は、MCU24a、低周波の第4確認信号を送信する送信機24b、低周波の第2確認信号を受信する受信機24c、及び高周波の通信信号を送受信する送受信機24dを備えている。
各第1フィルタ31は、低周波の第1確認信号、低周波の第2確認信号及び低周波の第5確認信号を遮断する機能を有している。各第2フィルタ32は、低周波の第1確認信号、低周波の第2確認信号、低周波の第3確認信号及び低周波の第4確認信号を遮断する機能を有している。各第1フィルタ31及び各第2フィルタ32は、高周波の通信信号を実質的に減衰させずに通過させる。なお、第1確認信号、第2確認信号、第3確認信号、第4確認信号及び第5確認信号は、同じ周波数の低周波信号であってもよいが、周波数が異なる低周波信号であってもよい。
第3実施形態における系統認識のための通信でも、まず、図2に示しされているステップST1で、機器ネットワークシステム1の電源が投入される。
次に、第1伝送線401、第2伝送線402、第3伝送線403、第4伝送線404及び第5伝送線405のいずれかに接続されている、集中コントローラ15、第1処理部21、第2処理部22、第3処理部23、第4処理部24、及び機器内コントローラ41,42が、ネットワークを確立する(ステップST2)。
通信ネットワークを確立した後、集中コントローラ15、第1処理部21、第2処理部22、第3処理部23、第4処理部及び機器内コントローラ41,42は、それぞれ、通信アドレスを取得する(ステップST3)。
第1処理部21及び第2処理部22は、送受信機21d,22dを使った通信により協調し、未完了の処理部または集中コントローラ15を選出する(ステップST4)。ステップST4の選出が終わってステップST9までの操作が終了した後、未完了の処理部または集中コントローラ15が残っていれば、ステップST4に戻ってステップST9までの操作が繰り返される。ここでは、例えば、集中コントローラ15が最初に選出され、それ以降、第1処理部21、第2処理部22、第3処理部23、第4処理部24が順次選出される場合について説明する。
(7−3)集中コントローラ15による系統認識
集中コントローラ15は、低周波の第5確認信号を用いて、第1室外機111と第2室外機211が第5伝送線405に接続されていることを認識する。集中コントローラ15は、第1室外機111と第2室外機211を認識することで、第1室外機111が所属する第1ネットワークと、第2室外機211が所属する第2ネットワークがあることを認識することができる。
選出された集中コントローラ15は、送信機15bを使って、第5伝送線405を通して第5確認信号を送信する(ステップST5)。送信機15bが送信する第5確認信号は、低周波信号であるため、第1フィルタ31で遮断される。従って、第1フィルタ31により、集中コントローラ15の送信機15bから送信された第5確認信号を、第1室外機111と第2室外機211以外の機器は受信できない。集中コントローラ15は、第5確認信号の送信と同時に、または第5確認信号の送信と前後して、自己の通信アドレスを、送受信機15dを使って通信信号で送信する。この場合、集中コントローラ15は、通信アドレスを、周波数が0以外の低周波信号で送るように構成されてもよい。第5伝送線405を通して受信機21cで第5確認信号を受信し且つ送受信機21dまたは受信機21cで集中コントローラ15の通信アドレスを受信した第1室外機111は、MCU21aのメモリに、受信した通信アドレスを記憶する。また、第5伝送線405を通して受信機22cで第5確認信号を受信し且つ送受信機22dまたは受信機22cで集中コントローラ15の通信アドレスを受信した第2室外機211は、MCU22aのメモリに、受信した通信アドレスを記憶する。
第5確認信号と集中コントローラ15の通信アドレスを受信した第1処理部21及び第2処理部22は、自己の通信アドレスを、集中コントローラ15の通信アドレス宛に送信する(ステップST6)。次に、集中コントローラ15は、送られてきた第1処理部21及び第2処理部22の通信アドレスを、異なるネットワークの機器を登録する同一系統リストに登録する(ステップST7)。
集中コントローラ15は、例えば最後の通信アドレスの受信から所定時間が経過すると、第5伝送線405に接続されている全ての機器の登録を完了したと見なして、集中コントローラ15による系統認識が完了したことを機器ネットワークシステム1の全体に通知する(ステップST8)。
(7−4)第1室外機111と第2室外機211による系統認識
第1室外機111の第1処理部21と第1室内機121の機器内コントローラ41が第1伝送線401で接続されている第3実施形態の機器ネットワークシステム1の構成は、第2実施形態の機器ネットワークシステム1の構成と同じである。従って、第3実施形態における第1室外機111による複数の第1室内機121の系統認識は、第2実施形態で説明した系統認識と同じに行える。ただし、第1伝送線401には、第3室外機112の機器内コントローラ41と第1中間ユニット150の第3処理部23が接続されている。第3室外機112と第1中間ユニット150も、第1室外機111から第1伝送線401に送信される第1確認信号により、第1室内機121と一緒に、第1ネットワーク100に所属することを第1室外機111に認識される。第1中間ユニット150は、自身が認識される側の被認識機器であることを、例えば、ステップST4の協調の際に知ることができる。それにより、第1中間ユニット150は、第1伝送線401に接続されている受信機21cで第1確認信号を確実に受信することができる。
第3室外機112と、3台の第1室内機121と、第1中間ユニット150とが第1ネットワーク100に所属することを認識した第1室外機111は、通信信号を使い、第5伝送線405を通じて集中コントローラ15にその情報を送信する。集中コントローラ15は、第1室外機111が登録されている同一系統リストに、第3室外機112と、3台の第1室内機121と、第1中間ユニット150の通信アドレスを登録する。
第2室外機211の第2処理部22と第2室内機221の機器内コントローラ42が第2伝送線402で接続されている第3実施形態の機器ネットワークシステム1の構成は、第2実施形態の機器ネットワークシステム1の構成と同じである。従って、第3実施形態における第2室外機211による複数の第2室内機221の系統認識は、第2実施形態で説明した系統認識と同じに行える。ただし、第2伝送線402には、第4室外機212の機器内コントローラ42と第2中間ユニット250の第4処理部24が接続されている。第4室外機212と第2中間ユニット250も、第2室外機211から第2伝送線402に送信される第2確認信号により、第2室内機221と一緒に、第2ネットワーク200に所属することを第2室外機211に認識される。第2中間ユニット250は、自身が認識される側の被認識機器であることを、例えば、ステップST4の協調の際に知ることができる。それにより、第2中間ユニット250は、第2伝送線402に接続されている受信機22cで第2確認信号を確実に受信することができる。
第4室外機212と、3台の第2室内機221と、第2中間ユニット250とが第2ネットワーク200に所属することを認識した第2室外機211は、通信信号を使い、第5伝送線405を通じて集中コントローラ15にその情報を送信する。集中コントローラ15は、第2室外機211が登録されている同一系統リストに、第4室外機212と、3台の第2室内機221と、第2中間ユニット250の通信アドレスを登録する。
(7−5)第1中間ユニット150と第2中間ユニット250による系統認識
第1中間ユニット150が選出されると、第1中間ユニット150は、送信機23bを使って、第1中間ユニット150に接続されている下位グループの複数の第1室内機122に、第3伝送線403を通して、第3確認信号を送信する(ステップST5)。送信機55bが送信する第3確認信号は、低周波信号であるため、第2フィルタ32で遮断される。第2フィルタ32の減衰作用により、第1中間ユニット150の送信機23bから送信された第3確認信号を、第3室外機112及び複数の第1室内機121などの下位グループの第1室内機122以外の機器は受信できない。第1中間ユニット150は、第3確認信号の送信と同時に、または第3確認信号の送信と前後して、自己の通信アドレスを、送受信機23dを使って通信信号で送信する。この場合、第1中間ユニット150は、通信アドレスを、周波数が0以外の低周波信号で送るように構成されてもよい。第3伝送線403を通して受信機41cで第3確認信号を受信し且つ送受信機41dまたは受信機41cで第1中間ユニット150の通信アドレスを受信した複数の第1室内機122は、それぞれのMCU41aのメモリに、受信した通信アドレスを記憶する。
第3確認信号と第1中間ユニット150の通信アドレスを受信した複数の第1室内機122は、自己の通信アドレスを、第1中間ユニット150の通信アドレス宛に送信する(ステップST6)。第1中間ユニット150は、第3伝送線403を通して送られてきた複数の第1室内機122の通信アドレスを、第1ネットワーク100の下位グループの機器を登録する同一系統リストに登録する(ステップST7)。
第1中間ユニット150は、下位グループの全ての第1室内機122の登録を完了すると、第1中間ユニット150の系統認識が完了したことをネットワーク全体に通知する(ステップST8)。このとき、第1中間ユニット150は、下位グループの第1室内機122の通信アドレスを、送受信機23dを使って第1伝送線401を通して、第1室外機111のMCU21aに送信する。第1室外機111は、第1中間ユニット150から受信した複数の第1室内機122の通信アドレスを、第1ネットワーク100の下位グループの機器の通信アドレスとして、同一系統リストに登録する。第1室外機111は、下位グループの第1室内機122の通信アドレスを、送受信機21dを使って第5伝送線405を通して、集中コントローラ15のMCU15aに送信する。集中コントローラ15は、第1室外機111から受信した複数の第1室内機122の通信アドレスを、第1ネットワーク100の下位グループの機器の通信アドレスとして、上位グループの第1室内機121が登録されている第1ネットワーク100の同一系統リストに登録する。
第2中間ユニット250が選出されたときの下位グループの複数の第2室内機222の認識は、上述の第1中間ユニット150が選出されたときの下位グループの複数の第1室内機122の認識と類似の操作で行うことができる。そのため、第2中間ユニット250が選出されたときの下位グループの複数の第2室内機222の認識の操作の説明は省略する。
(8)変形例
(8−1)変形例1A,2A,3A
上記第2実施形態及び第3実施形態では、機器ネットワークシステム1として、空気調和システムを例に挙げて説明した。しかし、機器ネットワークシステム1は、空気調和システムに限られるものではない。本開示の技術が適用できる機器ネットワークシステム1としては、例えば、給湯システム、換気システムがある。
(8−2)変形例1B,2B,3B
上記第1実施形態、第2実施形態及び第3実施形態では、機器ネットワークシステム1が第1ネットワーク100と第2ネットワークを備える場合について説明したが、第1ネットワーク100と第2ネットワーク200の2つしか持たないものに限られるものではない。例えば、図5に示されている機器ネットワークシステム1のように、複数の第3機器13からなる第3ネットワーク300を備えてもよい。図5に示されているように、複数の第3機器13を繋ぐ物理的な第3伝送線406は、第1伝送線401と第1フィルタ31を介して接続されている。また、第3伝送線406は、第1フィルタ31を介して第2伝送線402に接続されている。そのため、第3ネットワークの系統認識を行うための低周波の確認信号は、第1伝送線401及び第2伝送線402を通して送信されることはない。また、高周波の通信信号が第1フィルタ31を通過するので、第1伝送線401、第2伝送線402及び第3伝送線406は、通信信号を伝送させることができる。
(8−3)変形例3C
上記第3実施形態の機器ネットワークシステム1について、下位グループの第1中間ユニット150と複数の第1室内機122が1列だけの場合について説明した。しかし、機器ネットワークシステム1の第1中間ユニット150と複数の第1室内機122は、1列だけの場合には限られない。例えば、図6に示されているように、第1中間ユニット150と複数の第1室内機122の下位グループが2列設けられてもよい。また、機器ネットワークシステム1に設けられる下位グループは3列以上の複数列であってもよい。言い換えると、機器ネットワークシステム1は、並列に接続された複数の中間機器と複数列の下位グループとを有していてもよい。
(8−4)変形例3D
上記第3実施形態では、中間機器が第1中間ユニット150または第2中間ユニット250である場合について説明したが、中間機器は、これらに限られるものではない。例えば、第1中間機器として、室内機に直流電圧または交流電圧を供給する給電ユニットを用いることもできる。
(9)特徴
(9−1)
第1実施形態の機器ネットワークシステム1では、複数の第1機器11を同じグループとして認識する第1確認信号が第2ネットワーク200に送信されるのを第1フィルタ31が遮断している。この第1フィルタ31の第1確認信号の遮断により、第1確認信号は、第2ネットワーク200の複数の第2機器12から峻別して第1ネットワーク100の複数の第1機器11を認識させることができる。第1ネットワーク100と第2ネットワーク200の間では、通信信号によって、複数の第1機器11と複数の第2機器12の間の通信が可能になる。
第2実施形態の機器ネットワークシステム1では、第1機器である第1室外機110及び複数の第1室内機120を同じグループとして認識する第1確認信号が第2ネットワーク200に送信されるのを第1フィルタ31が遮断している。この第1フィルタ31の第1確認信号の遮断により、第1確認信号は、第2ネットワーク200の複数の第2機器である第2室外機210及び複数の第2室内機220から峻別して第1ネットワーク100の第1室外機110及び複数の第1室内機120を認識させることができる。第1ネットワーク100と第2ネットワーク200の間では、通信信号によって、第1室外機110及び複数の第1室内機120並びに第2室外機210及び複数の第2室内機220の間の通信が可能になる。
第3実施形態の機器ネットワークシステム1では、第1機器である第1室外機111、第3室外機112、複数の第1室内機121、第1中間ユニット150及び複数の第1室内機122を同じグループとして認識する第1確認信号が第2ネットワーク200に送信されるのを第1フィルタ31が遮断している。この第1フィルタ31の第1確認信号の遮断により、第1確認信号は、第2ネットワーク200の複数の第2機器である第2室外機211、第4室外機212、複数の第2室内機221、第2中間ユニット250及び複数の第2室内機222から峻別して第1ネットワーク100の第1機器である第1室外機111、第3室外機112、複数の第1室内機121、第1中間ユニット150及び複数の第1室内機122を認識させることができる。第1ネットワーク100と第2ネットワーク200の間では、通信信号によって、第1機器である第1室外機111、第3室外機112、複数の第1室内機121、第1中間ユニット150及び複数の第1室内機122並びに第2室外機211、第4室外機212、複数の第2室内機221、第2中間ユニット250及び複数の第2室内機222の間の通信が可能になる。
(9−2)
第3実施形態の機器ネットワークシステム1は、上位グループの第1室外機111、第3室外機112、複数の第1室内機121及び第1中間ユニット150を認識する第1確認信号が下位グループの複数の第1室内機122に送信されるのを第2フィルタ32が遮断する。この第2フィルタ32の第1確認信号の遮断により、上位グループの第1室外機111、第3室外機112、複数の第1室内機121及び第1中間ユニット150の確認を、下位グループの複数の第1室内機122から峻別して行うことができる上位グループと下位グループの間では、通信信号によって、第1室外機111、第3室外機112、複数の第1室内機121及び第1中間ユニット150並びに複数の第1室内機122の間の通信が可能になる。
(9−3)
上述の機器ネットワークシステム1は、コンデンサまたはリレーを含む第1フィルタ31を使って構成されることができる。コンデンサまたはリレーは、機器ネットワークシステム1の実現を容易にする。
(9−4)
第2実施形態及び第3実施形態の機器ネットワークシステム1では、第1系統である第1ネットワーク100の系統認識に用いられる第1確認信号が、異なる冷媒が循環する第2ネットワーク200の複数の第2機器を第1系統に含めてしまうような認識誤認を抑制することができる。
(9−5)
第1実施形態の機器ネットワークシステム1では、第1フィルタ31の第2確認信号の遮断により、第2確認信号は、第1ネットワーク100の複数の第1機器11から峻別して第2ネットワーク200の複数の第2機器12を認識させることができる。
第2実施形態の機器ネットワークシステム1では、第1フィルタ31の第2確認信号の遮断により、第2確認信号は、第1ネットワーク100の複数の第1機器である第1室外機110及び複数の第1室内機120から峻別して第2ネットワーク200の第2室外機210及び複数の第2室内機220を認識させることができる。
第3実施形態の機器ネットワークシステム1では、第1フィルタ31の第2確認信号の遮断により、第2確認信号は、第1ネットワーク100の複数の第1機器である第1室外機111、第3室外機112、複数の第1室内機121、第1中間ユニット150及び複数の第1室内機122から峻別して第2ネットワーク200の第2機器である第2室外機211、第4室外機212、複数の第2室内機221、第2中間ユニット250及び複数の第2室内機222を認識させることができる。
(9−6)
第2実施形態の機器ネットワークシステム1は、第1フィルタ31の第1確認信号の遮断により、第1処理部21が設けられている第1室外機110が、第1確認信号を用いて、複数の第2室内機220と第2室外機210から峻別して複数の第1室内機120を認識することができる。通信信号は、複数の第1室内機120と第1室外機110と複数の第2室内機220と第2室外機210の間の通信を可能にする。
第3実施形態の機器ネットワークシステム1は、第1フィルタ31の第1確認信号の遮断により、第1処理部21が設けられている第1室外機111が、第1確認信号を用いて、複数の第2室内機221,222と第2室外機211と第4室外機212と第2中間ユニット250から峻別して複数の第1室内機121,122と第3室外機112と第1中間ユニット150を認識することができる。通信信号は、複数の第1室内機121,122と第1室外機111と第3室外機112と第1中間ユニット150と複数の第2室内機221,222と第2室外機211と第4室外機212と第2中間ユニット250の間の通信を可能にする。
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。