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JP6837403B2 - 油分を含む排水の水処理方法及び油分を含む排水の水処理装置 - Google Patents

油分を含む排水の水処理方法及び油分を含む排水の水処理装置 Download PDF

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Description

本発明は、油分を含む排水の処理方法と、油分を含む排水の処理装置に関する。
油分を含む排水は、業種を問わず、工場や事業所などで大量に発生する。そのため、より効率的な油分を含む排水の処理方法の確立が望まれている。
一般的に、油分を含む排水の処理方法として、凝集加圧浮上処理が知られている。凝集加圧浮上処理では、まず、無機凝集剤とアニオン性有機高分子凝集剤により、油分を凝集させ、フロックを形成させる。次に、加圧浮上槽内で、空気を溶解させた加圧水を注入することにより、加圧浮上槽表面にフロックを浮上させる。加圧浮上槽表面に浮上したフロスは掻き寄せ機で系外に排出される。しかしながら、凝集加圧浮上処理には、下記のような課題がある。
(1)無機凝集剤とアニオン性有機高分子凝集剤の2種類を使用するため、各薬品のタンク、溶解槽、供給ポンプなどの設備が増える。また、各薬品の注入率を適正に制御する手間が増える。
(2)無機凝集剤には、凝集効果を発揮できるpH範囲があり、酸やアルカリを使用して、pHを調整する必要がある。また、無機凝集剤は酸性であるため、注入した量に応じて、アルカリが必要となる。
(3)無機凝集剤中の金属に由来した汚泥が発生するため、その分汚泥量が増える。
(4)汚泥の含水率は94〜97%と高いので、発生する汚泥容積が大きくなる。このため、別途、脱水処理設備が必要であり、汚泥を別の凝集剤を使って、再度凝集させて脱水処理を行う必要がある。
上記のような凝集加圧浮上の課題に対して、無機凝集剤とアニオン性有機高分子凝集剤の代わりに、カチオン性の有機高分子凝集剤を使用する凝集加圧浮上処理が公知になっている。
特許文献1にはカチオン系高分子凝集剤を用いた含油排水の処理方法が開示されており、油分を含む汚れ成分が界面活性剤にて微細に分散せしめられた含油排水を、pH値が8より大きく、12より小さな値となり、且つ温度が50℃以下となるように調整した状態で、かかる排水中に、ジメチルアミノエチルアクリレート系ポリマ若しくはジメチルアミノエチルメタクリレート系ポリマからなり、且つイオン性を示す官能基を有するユニットが全ユニットの60モル%以上である高カチオン系高分子凝集剤を、100〜1000mg/Lの範囲の濃度となる量において添加して、該排水中に分散した汚れ成分を凝集させ、該汚れ成分の凝集体からなる汚泥を形成させることによって、該排水を、該汚れ成分と水分とに分離する。
特開2004−230278号公報 特開2014−158993号公報
上記のカチオン性有機高分子凝集剤を使用した凝集加圧浮上処理では、無機凝集剤とアニオン性有機高分子凝集剤の2種類の薬品する必要はなく、カチオン系高分子凝集剤のみを使った一回の操作により上記(1)〜(3)の課題は解決されるが(特許文献1の段落0011)、依然として、上記(4)の課題は解決されない。また、カチオン性有機高分子凝集剤による油分の凝集処理では、さらに下記のような課題が生じることが分かった。
(5)カチオン性有機高分子凝集剤で油分を含む排水を凝集させると、油分やカチオン性有機高分子凝集剤の粘着性・粘性に起因してフロックの粘着性が増加し、凝集槽、凝集槽の撹拌機、加圧浮上槽、配管などの処理装置にフロックが付着するトラブルが起こる。さらには、このような付着トラブルによって凝集不良や分離不良が起こる。
(6)排水中からの油分の除去率は不十分な場合がある。
本発明の目的は、特に、上記(4)〜(6)の課題を同時に解決できる水処理方法及び水処理装置を提供することである。より詳しくは、本発明の目的は、上記(4)の課題に対して、汚泥の含水率を低減し、発生する汚泥量を削減することができる水処理方法及び水処理装置を提供することである。
また、本発明の目的は、汚泥の含水率を低減し、発生する汚泥量を削減することにより、後段の脱水処理を不要とし、脱水処理で使用される凝集剤を不要とする水処理方法を提供することである。
また、本発明の目的は、上記(5)の課題に対し、カチオン性有機高分子凝集剤、油分を含む被処理水、凝集条件を適切に選択し、フロック粘着性のトラブルを回避する水処理方法を提供することである。更に、上記(6)の課題に対して、油分の除去率が高い水処理方法を提供することも目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は以下の構成とすることができる。
(I)本発明の水処理方法は、油分を含む被処理水に、カチオン性有機高分子凝集剤を加えて混合し、フロックを含む被処理水を形成するフロック形成工程と、前記フロックを含む被処理水を、当該フロックと分離液とに固液分離する固液分離工程とを有し、カチオン性有機高分子凝集剤を加える前の被処理水に、天然高分子系油除去剤と合成高分子系油除去剤のいずれか一方又は両方からなる油除去剤を添加することを特徴とする。
(II)好ましいカチオン性有機高分子凝集剤は、全原料モノマーに占めるカチオン性モノマーの割合が50モル%以上であり、カチオン性有機高分子凝集剤を純水に2g/Lの割合で溶解した溶液を、温度25℃、60分−1の回転速度で測定した粘度が200mPa・s以上である。
(III)好ましい天然高分子系油除去剤はセルロース系物質である。
(IV)短繊維状セルロース系物質と粉末状セルロース系物質のいずれか一方又は両方を用いることができる。
(V)固液分離工程としては、1kPa〜200kPaの圧力で加圧しながら固液分離する機械的固液分離工程が好ましい。
(VI)フロック形成工程では、撹拌機の回転速度を20分−1〜300分−1に設定した凝集槽で、前記被処理水と前記カチオン性有機高分子凝集剤とを混合することができる。
(VII)前記凝集槽での被処理水の滞留時間は5分以上が好ましい。
(VIII)本発明は、更に水処理装置に関するものであって、その水処理装置は、油分を含む被処理水に、天然高分子系油除去剤と合成高分子系油除去剤のいずれか一方又は両方から選択される油除去剤が供給される貯槽と、前記貯槽から供給される被処理水に、カチオン性有機高分子凝集剤を添加し、撹拌する凝集槽と、前記凝集槽から供給される被処理水を、汚泥と分離液とに固液分離する固液分離装置とを備えることを特徴とする。
(IX)水処理装置には、更に、油除去剤を供給する第1の供給手段と、カチオン性有機高分子凝集剤を供給する第2の供給手段と、カチオン性有機高分子凝集剤を供給する前に、被処理水に油除去剤を供給させる制御手段とを設置することができる。
(X)水処理装置には、貯槽と凝集槽との間に混和槽を設置することも可能であり、油除去剤を供給すべきタイミングで、第1の供給手段が油除去剤を貯槽と混和槽の一方又は両方に供給するよう制御手段を設定することができる。
本発明によれば、油分を含む被処理水の水処理において、汚泥の含水率を低減し、発生する汚泥量を削減することができる。また、後段の脱水処理と、その脱水処理で使用される凝集剤を不要にすることができる。更に、フロックの粘着性によるトラブルも回避できる。
本発明を模式的に示すフローシート。 本発明の水処理装置の一例を示す模式図 本発明の水処理装置の他の例を示す模式図 固液分離装置の第1例を示す部分断面図 固液分離装置の第2例を示す部分断面図
図1は本発明を模式的に示すフローシートであり、本発明の水処理方法及び水処理装置は、油分を含む被処理水を処理対象とし、この被処理水に天然高分子系油除去剤と合成高分子系油除去剤のいずれか一方又は両方から選択される油除去剤を添加し、更にカチオン性有機高分子凝集剤を添加してフロックを形成した後、フロックが形成された被処理水を、汚泥(フロック)と分離液とに固液分離する。以下、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は特定の具体例に限定されるものではない。
[処理対象]
処理の対象となる被処理水は油分を含む排水であれば特に限定されない。例えば、食品加工工場、食品製造工場、機械工場、自動車工場など各種工場で発生する排水を挙げることができる。また、ショッピングセンタ、レストラン、スーパーマーケット、ホテル、病院などの各種施設で発生する排水(例:厨房排水)を挙げることができる。また、被処理水は、油分以外の有機物や無機物を含んでもよい。
油分とは常温で液体の油のみならず、常温で固体の脂肪、即ち、油脂類全般を示す。例えば、油分としては、植物油、動物油、鉱物油などの1種以上を挙げることができる。一般的に、排水中の油分の濃度は、ヘキサン抽出物質(JIS K0102)として測定される。
植物油としては、サフラワー油、大豆油、菜種油、パーム油、パーム核油、綿実油、ヤシ油、米糠油、ゴマ油、ヒマシ油、亜麻仁油、オリーブ油、桐油、椿油、落花生油、カポック油、カカオ油、木蝋、ヒマワリ油、コーン油などが挙げられる。動物油としてはイワシ油、ニシン油、イカ油、サンマ油などの魚油、肝油、鯨油、牛脂、牛酪脂、馬油、豚脂、羊脂などが挙げられる。これらの植物油、動物油は単独またはそれらの組み合わせのいずれでも良い。
一方、鉱物油としては、各種潤滑油、スピンドル油、冷凍機油、ダイナモ油、タービン油、マシン油、船用内燃機関潤滑油、ガソリンエンジン潤滑油、ディーゼルエンジン潤滑油、シリンダー油、マリンエンジン油、ギヤー油、切削油、絶縁油、自動変速機油、圧縮機油、油圧作動油、圧延油等が挙げられる。
その他に、原油、重油、軽油、揮発油、各種廃油等を挙げることができる。従って、本発明の処理対象は、上記のような各種工場や各種施設からの排水に限定されず、海面、河川或いは湖水等に流出した油類、水産加工場、畜産加工場、金属圧延工場、金属の加工工場等から排出される含油排水やその他排水も処理対象とすることができる。
上記被処理水に添加する油除去剤としては、天然物高分子系油除去剤、合成高分子系油除去剤のうち、1種以上を選択して使用する。以下、具体的に説明する。
[天然高分子系油除去剤(親水性物質)]
天然高分子系油除去剤は、天然物又は天然物由来の親水性物質であれば特に限定されず、天然物からの抽出物、天然物の精製品、天然物の加工品(化学修飾、変性)、天然物の再生品なども含まれる。なお、親水性物質とは、化学構造中に水酸基やアミド基などの親水基(親水性部分)を有し、水分散性を有するものであれば特に限定されず、2種以上の親水性物質を混合したものもよい。
しかし、親水性物質が水溶性の場合、油の取り込み能力が劣る上、フロックの回収も困難になるので、常温で水に溶解する水溶性物質を用いる場合、その含有量は油除去剤全体の50質量%未満が好ましい。最も好ましい親水性物質は、水分散性に優れてはいるが、常温の水には溶解しない物質であって、特に好ましくは、化学構造中に親水性部分と疎水性部分の両方を有するものである。具体的には、親水性物質はセルロース系物質とタンパク質系物質とから選択される。
従来から油の吸着剤として親油性の合成繊維や合成樹脂粉末が使用されていることは公知であるが、これらを連続した水処理系に使用した場合、表面に親水性が無いため水中の油分を完全に吸着しないことがあり、水面に浮上して堆積し除去に手間がかかるなども問題があった。本発明者らの検討によればセルロース系物質のように親水性部分を有する物質は、水中への分散性が優れているにもかかわらず油分の除去効果が高く、また、フロック中に均一に分散するので、フロック脱水性も優れていることが判明した。
天然高分子系油除去剤は短繊維状、粉体のいずれの形状のものでも使用可能である。ここで、短繊維状とは、細長の糸状に形成された状態を示し、水とフロック中への分散性を考慮すると、その長さは0.01mm〜50mm程が好ましく、より好ましくは0.1mm〜20mm、最も好ましくは5mm〜10mm程度である。
天然高分子系油除去剤として最も好ましい物質はセルロース系物質であり、油除去剤としては、セルロース系物質を50質量%以上含むものを用いることが好ましく、最も好ましくは実質的にセルロース系物質からなる油除去剤を用いる。
ここで、セルロースとは、一般にβ-グルカン骨格を有し、OH基等の親水基を有する天然高分子を意味するが、本発明に用いるセルロース系物質は親水性を保持していれば、上記セルロースの加工品(化学修飾、変性、再生品)をも含む広い概念である。具体的にはレーヨン繊維、アセテート繊維、木綿、麻等が挙げられる。これらのうち被処理水への分散性の点からレーヨン繊維が好ましい。ただし、セルロースエーテルのような水溶性セルロースは、油除去剤全体の50質量%未満に含有量を抑えることが好ましく、より好ましい含有量は10質量%未満であり、最も好ましくは水溶性セルロースを実質的に使用しない。
また、天然高分子系油除去剤は、上記親水性物質を含むものであれば天然物をそのまま用いることもできる。具体的には、天然物の粉体としてピーナッツ殻、コーヒー豆殻、おが屑、かんな屑、木材チップ、バーク、おから、水苔、ピートモス、やし殻、もみ殻、米ぬか、小麦ふすまを挙げることができる。また、古紙の粉砕物も使用可能である。
天然高分子系油除去剤としては、上記セルロース系物質以外にも、絹、羊毛等のタンパク質系物質も用いることができるし、タンパク系物質とセルロース系物質を混合して用いることもできる。更に、これらの天然高分子系油除去剤の炭化物も同様の効果が得られる。
[合成高分子系油除去剤(親油性物質)]
合成高分子系油除去剤は、石油などの化石原料から合成される親油性物質であれば特に限定されない。具体的には、化学構造中に炭化水素鎖(例:長鎖アルキル基、長鎖アリール基)のような親油性部分を有するものであれば特に限定されないが、水分散性の観点からは、疎水性部分と親水性部分の両方を有するものが好ましい。
例えば、ポリエチレン、アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、エチレン−プロピレンコポリマ、オレフィン−ノルボルネンコポリマ、ポリブテン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル等のビニル系重合体、PET、PBT等の芳香族ポリエステル、ナイロン6、ナイロン6,6等のポリアミド、ポリ乳酸、ポリサクシニックブチレート等の脂肪族ポリエステル、ポリウレタン、ポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネート等から1種以上を選択して用いる。
合成高分子系油除去剤の形状としては、上記天然高分子系油除去剤と同様、短繊維状、粉体状いずれも使用可能である。粉体としては、高分子鎖の絡み合いまたは三次元的な架橋構造のネットワークの中に油分を分子レベルで抱き込む吸油性ポリマを0.1mmから約5mmに無定形に粉砕した粉末も使用可能である。このような吸油性ポリマとしては、例えばスチレン・ブタジエン系熱可塑性エラストマー、アクリレートコポリマ、ポリノルボルネン系エラストマー、多孔性ビニル系ポリマなどがある。
更に、油除去剤としては、親水性の天然高分子系物質(天然繊維、古紙粉砕物等)の表面を疎水化処理したものを用いることもできる。
[カチオン性有機高分子凝集剤]
−種類
カチオン性有機高分子凝集剤としては、カチオン性モノマーの単独重合体又は共重合体、カチオン性モノマーとノニオン性モノマーとの共重合体、カチオン性モノマーとアニオン性モノマーとの共重合体などから1種以上を選択して用いることができる。本発明では、ポリ塩化アルミニウム、ポリ硫酸第二鉄などの無機凝集剤と明確に区別するため、有機高分子凝集剤と記載するが、一般的には単に高分子凝集剤と称される。
カチオン性モノマーとしては、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート又はこれらの中和塩、3級塩若しくは4級塩などから1種以上を選択して用いることができる。例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート又はこれらの中和塩、3級塩若しくは4級塩などが挙げられる。これらの中でもジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートの4級塩が好ましく、より好ましくはアンモニウム塩である。
ノニオン性モノマーとしては、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニルなどから1種以上を選択して用いることができる。アニオン性モノマーとしては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸ナトリウム、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、2−(メタ)アクリルアミド−メチルプロパンスルホン酸、及びこれらの金属塩又はアンモニウム塩などから1種以上を選択して用いることができる。
なお、(メタ)アクリレートはアクリレートとメタクリレートの両方を含む概念であり、(メタ)アクリル酸はアクリル酸とメタクリル酸の両方を含む概念であり、更に、(メタ)アクリルアミドはアクリルアミドとメタクリルアミドの両方を含む概念である。
また、カチオン性有機高分子凝集剤としては、非アミジン系高分子凝集剤に加え、アミジン単位を有するアミジン系高分子凝集剤を使用することが可能であり、アミジン系高分子凝集剤と非アミジン系高分子凝集剤を混合した高分子凝集剤も使用することができる。
カチオン性有機高分子凝集剤の態様は特に限定されず、例えば、粉末状、液状(ディスパージョン、エマルジョン)などが挙げられる。
−カチオン度
上述したように、原料モノマーの種類や凝集剤の態様は限定されるものではないが、本発明は、全モノマー単位(ユニット)中にカチオン性モノマーが50mol%以上含有された凝集剤、すなわち、カチオン度が50mol%以上のカチオン性有機高分子凝集剤を用いる。すなわち、本発明に用いられるカチオン性有機高分子凝集剤は、カチオン性モノマーを50mol%以上含む原料モノマーを重合して製造され、より好ましいカチオン性モノマーの量は60mol%以上であり、さらに好ましくは70mol%以上、特に80mol%以上である。
更に、実質カチオン性モノマーからなる(100mol%)カチオン性有機高分子凝集剤を使用することもできる。なお、カチオン度は、凝集剤の原料モノマーに含まれるカチオン性モノマーの割合(mol%)として定義することができる。
一般的に、排水中に含まれる油分は、界面活性剤やアルカリ成分によって、排水中に細かく分散し、油分粒子の表面は負に帯電している。一般的な汚濁物質のゼータ電位に比べて、油分粒子のゼータ電位は著しく低く、通常のカチオン性有機高分子凝集剤を加えても、フロックは形成されないか、フロックが形成されても機械的な固液分離に耐えられる強いフロックは形成されない。
一方、カチオン度が50モル%以上のカチオン性有機高分子凝集剤を加えて混合すると、大きく正に帯電した(正の電荷密度が高い)分子鎖が排水中に細かく分散した油分を捕捉し、機械的な固液分離に耐えられる強いフロックを形成することができる。
−分子量
カチオン性有機高分子凝集剤の分子量は特に限定されないが、分子量が500万以上であることが好ましく、より好ましくは600万以上、特に700万以上、その中でも800万以上であることが好ましい。なお、この分子量は、固有粘度法で測定、算出された値であり、その測定、算出法の詳細は「ポリマー凝集剤 使用の手引き」の112〜116頁(東京都下水道サービス株式会社、平成14年3月発行)に記載されている。
上述したように、排水中の油分は排水中に細かく分散しているので、通常のカチオン性有機高分子凝集剤を加えても、フロック形成は形成され難いか、フロックが形成されても機械的な固液分離に耐えられる強いフロックは形成されない。一方、カチオン度が50モル%以上であることに加え、分子量が500万以上のカチオン性有機高分子凝集剤を用いると、長い分子鎖が排水中に細かく分散した油分を捕捉し、機械的な固液分離に耐えられるより強いフロックを形成することができる。
−粘度
分子量と同じ観点から、カチオン性有機高分子凝集剤の特性を溶液粘度で定義することもできる。具体的には、カチオン性有機高分子凝集剤を純水に1g/Lで溶解したときの水溶液の粘度は、100mPa・s以上が好ましく、より好ましくは120mPa・s以上、特に好ましくは150mPa・s以上である。
また、カチオン性有機高分子凝集剤を純水に2g/Lで溶解した場合、その水溶液の粘度は、200mPa・s以上であることが好ましく、より好ましくは220mPa・s以上、特に好ましくは250mPa・s以上である。
なお、上記粘度は、濃度が1g/Lと2g/Lのいずれの場合も、B形粘度計、JIS K7117−1:1999の附属書1(参考)に記載されているスピンドルSB2号を使用し、25℃、60min−1の回転速度で測定した値である。スピンドルはロータとも呼ばれる。
−溶媒
カチオン性有機高分子凝集剤は、好ましくは溶媒に溶解又は分散させた凝集剤溶液として使用する。この溶媒は特に限定されないが、例えば、純水(蒸留水も含む)、水道水、工業用水、地下水、各種排水処理の処理水、海水などから1種以上を選択して用いることができる。カチオン性有機高分子凝集剤の凝集力を最大限発揮させる観点からは、純水、水道水を使用することが好ましい。一方、経済性の観点からは、工場用水、地下水、各種排水処理の処理水を使用することが好ましい。但し、以上は例示であり、これらに限定されるものではない。
[その他の薬剤]
本発明は、上記の油除去剤とカチオン性有機高分子凝集剤以外の薬剤の使用を何ら制限するものではない。具体的には、カチオン性有機高分子凝集剤を添加する前に、公知の無機凝集剤や有機高分子凝結剤(カチオン性有機高分子凝集剤よりも低分子量の凝集剤)などの1種以上の薬剤を添加することもできる。
無機凝集剤としては硫酸バンド、ポリ塩化アルミニウム(PAC)、塩化アルミニウム、ポリ硫酸第2鉄(ポリ鉄)、硫酸第2鉄、塩化第2鉄あるいはこれらの混合物が使用可能である。有機高分子凝結剤としては縮合系ポリアミン、ジシアンジアミド・ホルマリン縮合物、ポリエチレンイミン、ポリビニルイミダリン、ポリビニルピリジン、ジアリルアミン塩・二酸化硫黄共重合体、ポリジメチルジアリルアンモニウム塩、ポリジメチルジアリルアンモニウム塩・二酸化硫黄共重合体、ポリジメチルジアリルアンモニウム塩・アクリルアミド共重合体、ポリジメチルジアリルアンモニウム塩・ジアリルアミン塩酸塩誘導体共重合体、アリルアミン塩重合体などが挙げられる。
縮合系ポリアミンの具体例としては、アルキレンジクロライドとアルキレンポリアミンとの縮合物、アニリンとホルマリンの縮合物、アルキレンジアミンとエピクロルヒドリンとの縮合物、アンモニアとエピクロルヒドリンとの縮合物などが挙げられる。エピクロルヒドリンと縮合するアルキレンジアミンとしては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、メチルプロピルアミン、メチルブチルアミン、ジブチルアミンなどが挙げられる。
しかしながら、本発明の水処理方法及び水処理装置では上記薬剤は必須ではなく、油除去剤とカチオン性有機高分子凝集剤のみの使用も可能である。
次に、本発明の水処理装置を具体的に説明する。
[水処理装置]
図2、3は第1例、第2例の水処理装置1a、1bを示している。これら水処理装置1a、1bは、油除去剤を被処理水に添加する前段の装置と、カチオン性有機高分子凝集剤を被処理水に添加する後段の装置とを備えていれば特に限定されない。
例えば、水処理装置1a、1bは、油除去剤を添加する貯槽11と、カチオン性有機高分子凝集剤を添加する凝集槽21とを有しており(図2、3)、必要に応じて貯槽11と凝集槽21の間には混和槽25等の他の装置を設置してもよい(図3)。好ましくは、貯槽11と凝集槽21には撹拌機を設置する。
油除去剤、カチオン性有機高分子凝集剤などの薬剤の供給手段として、一台以上の供給手段(第1、第2の供給手段15、17)を設置し、必要であれば任意の箇所に、被処理水や薬剤供給用の送液手段(ポンプ13、14)を設置する。更に、水処理装置1a、1bの内部又は外部に制御手段5を設置し、これら供給手段15、17、送液手段13、14、撹拌機を、制御手段5で制御することもできる。
この水処理装置1a、1bでは、被処理水は貯槽11、任意の混和槽25、凝集槽21を記載した順番で通過し、薬剤が添加されるが、凝集槽21の下流側には更に固液分離装置31a、31bが設置されており、凝集槽21で形成されたフロックは、固液分離装置31a、31bで分離される。
この固液分離装置31a、31bは特に限定されないが、重力式沈殿処理設備や加圧浮上装置よりも、加圧、遠心力、減圧(真空排気)又はこれらの組み合わせで機械的に固液分離する装置が好ましい。例えば、従来から汚泥濃縮に用いる濃縮機や汚泥処理などに使用する脱水機を固液分離装置31a、31bに用いることが可能である。濃縮機は特に限定されないが、例えば、スクリュー濃縮機、ベルト濃縮機、遠心濃縮機、楕円板型濃縮機などを単独又は組み合わせて使用することができる。脱水機は特に限定されないが、後述する固液分離後の更なる脱水に用いるものと同じ種類の装置を用いることができる。
図4、5は第1例、第2例の固液分離装置31a、31bを示す部分断面図であり、同じ部材には同じ符号を付して説明を省略する。固液分離装置31a、31bは、フロック9を連続処理するフロック移動手段35を有している。フロック移動手段35は、例えば、回転ロールのようなベルト駆動手段37と、ベルト駆動手段37に架け渡されたベルト36とを有しており、フロック9はフロック投入口33を介してベルト上36上に供給される。
ベルト36の一部又は全部はろ布で構成されており、フロック9は移動の間に水分が固液分離され、分離液はベルト36下方の捕捉手段34に補足され、分離したフロック9(汚泥)は排出口39から排出される。汚泥を排出後のベルト36はフロック投入口33側へ戻り、フロック9が再度供給されるが、フロック投入口33側に戻る前に、洗浄管38からの洗浄水を散布し、ベルト36を洗浄してもよい。
このように、上記固液分離装置31a、31bはいずれも固液分離処理の連続処理に適しているが、より好ましくは第2例の固液分離装置31bのように、加圧手段41を設置する(図5)。加圧手段41はフロック9を加圧(圧搾)する装置であって、例えば、排出口39の手前に配置された1枚以上の加圧板42を有している。
加圧板42は鉛直面からフロック投入口33側へ傾斜し、その下端とベルト36との間には隙間があり、その隙間を通過する際に、フロック9が加圧板42でベルト36に押し付けられて加圧(圧搾)される。このときの加圧圧力は、隙間の大きさ、加圧板42の傾斜角度及び枚数、フロック9の移動速度及び供給量等を加圧条件とし、1以上の加圧条件を変更することで、調整することができる。
なお、加圧手段41は加圧板42に限定されず、加圧ロールのような他の形状の加圧部材を用いてもよい。いずれの場合も、加圧手段41により、フロック9の含水率を効率良く低下させることができる。フロック9に加える圧力は装置や固液分離条件により適宜変更可能であるが、200kPa以下が好ましく、特に1kPa〜150kPaが好ましく、その中でも1kPa〜100kPaが好ましく、より好ましくは10kPa以上であり、更に好ましくは15kPa以上であり、特に好ましくは20kPa以上である。上記圧力は、第2例の固液分離装置31bの場合は加圧板42の加圧条件で調整することができるし、スクリュープレス脱水機の場合は、スクリューの回転数や出口の開度を調整して内部圧力を調整することができる。
なお、上記水処理装置1a、1bでは、フロック形成用の凝集槽21と固液分離装置31a、31bとを別装置としたが、遠心脱水機のように、フロック形成工程と固液分離工程を同時に行う装置を採用することもできる。
更に、被処理水から固液分離した後のフロック9(汚泥)を、汚泥処理などに使用する脱水機で更に脱水処理することも可能である。この脱水に用いる脱水機は特に限定されず、従来から汚泥脱水に使用される脱水機を用いることができる。具体的には、スクリュープレス脱水機、ベルトプレス脱水機、遠心脱水機、多重円板型脱水機、多重板型スクリュープレス脱水機、回転加圧脱水機、真空脱水機、楕円板型脱水機などを用いることができる。
次に、上記水処理装置1a、1bを用いた水処理方法について説明する。
[水処理方法]
先ず、天然高分子系油除去剤と合成高分子系油除去剤の少なくとも一方を含む油除去剤を第1の供給手段15に収容しておき、カチオン性有機高分子凝集剤を第2の供給手段17に収容しておく。これら供給手段は特に限定されず、公知の供給手段を用いることが可能であり、その接続先も特に限定されないが、第1の供給手段15は凝集槽21よりも上流側の装置、好ましくは貯槽11に接続しておき、第2の供給手段17はそれよりも下流側に接続しておく。
上述した被処理水は、先ず貯槽11へ供給される。制御手段5には、供給量、供給速度、供給時期などの1以上の供給条件が設定されており、被処理水の供給が開始されると、制御手段5は第1の供給手段15からの油除去剤の供給を開始し、被処理水には所定の供給条件で油除去剤が添加されることになる。
貯槽11の下流側に混和槽25を設置する場合、第1の供給手段15を混和槽25に接続することも可能であり、より好ましくは貯槽11と混和槽25の両方に接続しておく(図3)。制御手段5は、油除去剤を供給すべきタイミング、例えば、被処理水の供給が開始されたときに、貯槽11と混和槽25のいずれか一方又は両方へ油除去剤を供給するよう設定されている。従って、被処理水には、油除去剤が1回で供給されるか、複数回に分けて供給される。
なお、pH調整用の中和剤(酸・アルカリ)や、無機凝集剤を使用する場合は、これらの薬剤は凝集槽21よりも上流側、例えば貯槽11や混和槽25で添加するが、無機凝集剤を使用する場合は、油除去剤を添加した後であって、カチオン性有機高分子凝集剤を添加する前の被処理水に無機凝集剤を添加する。また、2種以上の油除去剤を使用する場合、これら油除去剤は被処理水に一緒に添加してもよいし、別々に添加してもよい。
少なくとも1種の油除去剤が添加された被処理水は、凝集槽21へ供給される。凝集槽21には第2の供給手段17が接続されている。第二の供給手段17は特に限定されないが、ポンプ14等に加え、溶解槽18を設置してカチオン性有機高分子凝集剤の溶液を収容してもよい。第2の供給手段17に収容したカチオン性有機高分子凝集剤は、そのまま、または、水などの溶媒に溶解、分散もしくは希釈した溶液として被処理水に添加される。
好ましい実施形態では、凝集槽21に撹拌手段が設置されており、カチオン性有機高分子凝集剤が添加された被処理水を撹拌混合し、油分及び懸濁物質を凝集させ、フロックを形成する。
撹拌羽根などの回転により撹拌混合する場合、フロック成長のためには、その撹拌速度(回転速度)は20min−1〜300min−1(回/分)が好ましく、特に30min−1〜200min−1が好ましく、その中でも特に40min−1〜150min−1が好ましい。
被処理水がフロック形成工程に供される時間、すなわち、フロック形成に関る装置に留まる滞留時間は、1分〜30分が好ましく、より好ましくは3分〜20分、特に好ましくは5分〜15分である。例えば、被処理水を凝集槽21に連続して供給する連続式撹拌処理の場合、凝集槽21の容積(複数槽の場合、合計容積)を、凝集槽21へ供給する溶液(被処理水等)の供給速度(体積/分)で除した値が滞留時間となる。
フロック形成装置の種類や台数は特に限定されず、高速撹拌機が設置された高速撹拌槽、低速撹拌機が設置された低速撹拌槽などの2台以上の撹拌槽(凝集槽)でフロック形成装置を構成してもよい。この場合、被処理水とカチオン性有機高分子凝集剤を高速撹拌槽で撹拌した後、さらに低速撹拌槽で撹拌する。
高速撹拌槽で被処理水中にカチオン性有機高分子凝集剤を均一分散させ、次に低速撹拌槽でフロックを成長させることで、より大きなフロックを形成させることが可能であり、その結果、ろ過性のよい、強固なフロックを得ることができる。
高速撹拌とは、300min−1以上の撹拌を示し、低速撹拌とは300min−1よりも遅い撹拌を示す。
いずれの場合も、油分を含む有機物は油除去剤に取り込まれ後に、カチオン性有機高分子凝集剤によりフロックが形成されるので、油分の除去率が高いだけではなく、強固なフロックが形成される。また、カチオン度が高く、分子量が大きい有機高分子凝集剤を使用した場合、油分のみならず、カチオン性有機高分子凝集剤がフロックの粘着性を増加させる原因にもなったが、油除去剤の使用によりフロックの粘着性が抑制される。
従って、フロック9は機械的な固液分離で破壊され難く、フロックの粘着性による装置トラブルも抑制されるので、上記のような固液分離装置31a、31bを用いて、水分を効率良く除去することができる。従って、固液分離装置31a、31bの後段に別の脱水装置や脱水工程を設けなくても、汚泥の含水率を低下させることができる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。
[実施例1]
本試験では、被処理水にカチオン性有機高分子凝集剤を加えて混合し、フロックを形成した。次に、フロックを含む被処理水をフロック(=汚泥)と分離液に固液分離した。本試験では、油除去剤を用いることで、油除去率が向上し、汚泥の含水率が低減できることを確認した。
試験では、下記表1に示すように、食品製造工場排水F1を使用した。油除去剤には、古紙粉砕物、レーヨン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維(PET繊維)を使用した。有機高分子凝集剤には、カチオン性有機高分子凝集剤pc1(カチオン度:85mol%、分子量:900万)を使用した。凝集剤溶液のカチオン性有機高分子凝集剤の溶解濃度は1g/Lとした。
試験手順の詳細は以下の通りである。容器に1Lの被処理水を分取し、下記表1に記載した注入量で油除去剤を加え、撹拌機(回転速度100min−1、撹拌時間5min)で被処理水と油除去剤を混合した。次に、下記表1に記載した注入量でカチオン性有機高分子凝集剤を加え、撹拌機(回転速度50min−1、撹拌時間10min)で油除去剤を含む被処理水とカチオン性有機高分子凝集剤を混合し、フロックを形成させた。なお、表1の注入量は、凝集剤溶液としてではなく、カチオン性有機高分子凝集剤としての量を示す。
次に、ふるい(目開き1mm)と加圧板(圧力50kPa)を使用して、フロックを含む被処理水をフロック(=汚泥)と分離液(=処理水)に固液分離した。最後に、処理水のSS及びヘキサン抽出物質と、汚泥の含水率とを測定した。
比較例として、油除去剤を添加しない試験、アニオン性有機高分子凝集剤pa1(カアニオン度:15mol%、分子量:1,900万)を使用した試験をそれぞれ行った。試験結果を表1に示す。これらの試験結果から、被処理水に油吸着剤を添加することで、油除去率を向上させることができ、汚泥の含水率を低減させることが可能であることが確認された。
Figure 0006837403
[実施例2]
本試験では、フロックを形成して固液分離をする工程において、種類の異なるカチオン性有機高分子凝集剤を使用し、処理性能を比較した。
試験では、食品製造工場排水(F2)を使用した。油除去剤には、古紙粉砕物を使用した。有機高分子凝集剤には、カチオン性有機高分子凝集剤pc1〜pc4を使用した。カチオン性有機高分子凝集剤pc1〜pc4はジメチルアミノエチルアクリレート四級アンモニウム塩とアクリルアミドとの共重合体である。カチオン性有機高分子凝集剤の溶解濃度はいずれも1g/Lとした。
試験手順の詳細は以下の通りである。容器に1Lの被処理水を分取し、表2に記載した注入量で油除去剤を加え、撹拌機(回転速度100min−1、撹拌時間5min)で被処理水と油除去剤を混合した。次に、表2に記載の注入量でカチオン性有機高分子凝集剤を加え、撹拌機(回転速度50min−1、撹拌時間10min)で油除去剤を含む被処理水とカチオン性有機高分子凝集剤を混合し、フロックを形成させた。次に、ふるい(目開き1mm)を使用して、フロックを含む被処理水を汚泥と分離液(=処理水)に固液分離した。最後に、処理水のヘキサン抽出物質を測定した。
試験結果を表2に示す。これらの試験結果から、有機高分子凝集剤のカチオン度(全モノマーに対するカチオン性モノマーの割合)が50モル%以上である場合に、大きなフロックが形成され、処理水のヘキサン抽出物質の低減が可能であった。また、カチオン性有機高分子凝集剤の分子量が400万より大きい場合に、大きなフロックが形成され、処理水のヘキサン抽出物質を低減可能であった。
Figure 0006837403
[実施例3]
上記実施例1、2では、フロック形成工程と固液分離工程とを、所定量(1L)ずつ処理するバッチ方式としたが、実施例3では連続式とした。但し、油除去剤は被処理水に予め添加した。
すなわち、油除去剤を含む被処理水とカチオン性有機高分子凝集剤を連続的に凝集槽に供給して混合し、フロックを形成させると共に、フロックが形成された被処理水を凝集槽から連続して排出して固液分離装置へ供給し、連続的に固液分離した。
この試験では、食品製造工場排水(F3)を使用した。油除去剤には、古紙粉砕物を使用した。カチオン性有機高分子凝集剤としては、上記表1、表2のカチオン性有機高分子凝集剤pc1を使用した。カチオン性有機高分子凝集剤の溶解濃度は2g/Lとした。
試験手順の詳細は以下の通りである。被処理水の貯槽(容量:1m)に油除去剤を表3に記載した濃度で添加し、混合した。次に、撹拌機が設置された凝集槽(容積:32L)に、油除去剤を含む被処理水(流量:5L/min)、カチオン性有機高分子凝集剤の溶液(流量:0.15L/min)を供給し、撹拌機(回転速度:60min−1)で被処理水とカチオン性有機高分子凝集剤を混合してフロックを形成させた。
次に、機械的固液分離装置31b(図5)を使用して、フロックを含む被処理水をフロック(=汚泥)と分離液(=処理水)に固液分離した。機械的固液分離装置上部の加圧板の圧力は5kPaとした。最後に、処理水のヘキサン抽出物質、汚泥の含水率を測定した。比較例として、油除去剤を添加しない試験を実施した。
試験結果を表3に示す。これらの試験結果から、油除去剤を添加することにより、フロックを加圧することにより、処理水のヘキサン抽出物質を低減でき、汚泥の含水率を低減できた。
Figure 0006837403


1a、1b:水処理装置、 5:制御手段、 9:フロック、 11:貯槽、 13、14:ポンプ、 15:第1の供給手段、 17:第2の供給手段、 18:溶解槽、 21:凝集槽、 25:混和槽、 31a、31b:固液分離装置、 33:フロック投入口、 34:捕捉手段、 35:フロック移動手段、 36:ベルト、 37:ベルト駆動手段、 38:洗浄管、 39:排出口、 41:加圧手段、 42:加圧板

Claims (6)

  1. 油分を含む被処理水に、少なくとも100万の重量平均分子量を有するアニオン性ポリマーを加えること無く、分子量が500万以上のカチオン性有機高分子凝集剤を加えて混合し、フロックを含む被処理水を形成するフロック形成工程と、
    前記フロックを含む被処理水を、当該フロックと分離液とに固液分離する固液分離工程と、を有する、油分を含む排水の水処理方法であって、
    前記カチオン性有機高分子凝集剤を加える前の被処理水に、天然高分子系油除去剤と合成高分子系油除去剤のいずれか一方又は両方からなる油除去剤を添加し、
    前記カチオン性有機高分子凝集剤は、全原料モノマーに占めるカチオン性モノマーの割合が50モル%以上であり、前記カチオン性有機高分子凝集剤を純水に2g/Lの割合で溶解した溶液を、温度25℃、60分 −1 のB型粘度計の回転速度で測定した粘度が200mPa・s以上であり、
    前記固液分離工程は、1kPa〜200kPaの圧力で加圧しながら固液分離する機械的固液分離工程であることを特徴とする油分を含む排水の水処理方法。
  2. 前記天然高分子系油除去剤がセルロース系物質を含むことを特徴とする請求項1に記載の油分を含む排水の水処理方法。
  3. 前記セルロース系物質が短繊維状又は粉末状であることを特徴とする請求項に記載の油分を含む排水の水処理方法。
  4. 前記フロック形成工程は、撹拌機の回転速度を20分−1〜300分−1に設定した凝集槽で、前記被処理水と前記カチオン性有機高分子凝集剤とを混合することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の油分を含む排水の水処理方法。
  5. 前記凝集槽での前記被処理水の滞留時間が5分以上であることを特徴とする請求項に記載の油分を含む排水の水処理方法。
  6. 油分を含む被処理水に、天然高分子系油除去剤と合成高分子系油除去剤のいずれか一方又は両方から選択される油除去剤が供給される貯槽と、
    前記貯槽から供給される被処理水に、分子量が500万以上であって、全原料モノマーに占めるカチオン性モノマーの割合が50モル%以上であり、純水に2g/Lの割合で溶解した溶液を、温度25℃、60分 −1 のB型粘度計の回転速度で測定した粘度が200mPa・s以上のカチオン性有機高分子凝集剤を添加し、撹拌する凝集槽と、
    前記凝集槽から供給される被処理水を、汚泥と分離液とに固液分離する固液分離装置であって、汚泥に1kPa〜100kPaの圧力を加えて圧搾する加圧手段を有する固液分離装置と、
    前記貯槽と前記凝集槽との間に設けられた混和槽と、
    前記貯槽または前記被処理水へ前記油除去剤を供給する第1の供給手段と、
    前記凝集槽へ前記カチオン性有機高分子凝集剤を供給する第2の供給手段と、
    前記カチオン性有機高分子凝集剤を供給する前に、前記被処理水に油除去剤を供給させる制御手段であって、前記被処理水の供給が開始されたときに前記油除去剤を前記貯槽と前記混和槽の少なくとも一方に供給するよう、前記第1の供給手段を制御する制御手段と、
    を有し、
    前記貯槽、前記被処理水および前記凝集槽の何れにも少なくとも100万の重量平均分子量を有するアニオン性ポリマーを供給する供給手段は供えられておらず、
    前記貯槽と前記凝集槽との間に、固液分離のための装置が設けられていないことを特徴とする、油分を含む排水の水処理装置。
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