JP6836037B2 - 塑性加工用潤滑油組成物 - Google Patents
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Description
従来、塑性加工用潤滑油として種々の組成物が用いられており、加工が困難な難加工材の増加、生産効率の向上、加工製品の精度向上、工具寿命の向上などを目的として、塑性加工用潤滑油には常に潤滑性の向上が求められている。
例えば特許文献1には、天然油脂、その誘導体及び合成エステル油からなる群から選ばれる潤滑油基油とリン脂質とを含み、極微量油剤を含有する塑性加工油剤組成物が潤滑性に優れることが開示されている。また、特許文献2には、油脂であるゴマ油、非イオン性界面活性剤及び含硫黄有機化合物からなる塑性加工用油性潤滑剤組成物が潤滑性に優れ、かつ環境汚染を惹起しないことが開示されている。さらに、特許文献3には、ジチオリン酸亜鉛、ポリフェニレンサルファイドなどの硫黄化合物を含有する塑性加工用潤滑油組成物が極めて高い耐焼付き性を有しており、摩擦係数が小さいなどの潤滑性に優れることが開示されている。
上記スリップの発生を防止するためには、潤滑油組成物の摩擦係数を増大させることが有効な手段ではあるものの、摩擦係数を増大させることで、潤滑油自体の耐摩耗性が低下し、加工する金属に摩耗が発生することも知られている。
このように上記の先行文献や従来の技術では、この問題を解決できる塑性加工用潤滑油組成物を得ることができないため、高い摩擦係数を有し、かつ耐摩耗性に優れ、高い酸化安定性を有する塑性加工用潤滑油組成物の開発が望まれていた。
本発明で用いられるエステル化合物(A)は、ネオペンチルポリオールと、分岐飽和脂肪酸とのエステル化合物である。
本発明におけるネオペンチルポリオールは、炭素数が5〜10であり、かつアルコールの価数が2〜6価のネオペンチルポリオールである。2価のネオペンチルポリオールとしては、例えば、ネオペンチルグリコールが挙げられ、3価のネオペンチルポリオールとしては、例えば、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンが挙げられ、4価のネオペンチルポリオールとしては、例えば、ペンタエリスリトールなどが挙げられ、6価のネオペンチルポリオールとしては、例えば、ジペンタエリスリトールなどが挙げられる。これらのネオペンチルポリオールの中から1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記ネオペンチルポリオールのうち、炭素数が5〜8であり、かつアルコールの価数が2〜4価のネオペンチルポリオールが好ましく、特に好ましくは3価のトリメチロールプロパン、4価のペンタエリスリトールを使用することができる。
本発明で用いられるジチオリン酸エステル誘導体(B)は、下記式で表されるジチオリン酸エステル誘導体である。
〔エステルIの合成〕
温度計、窒素導入管、攪拌機、ジムロート、および検水管を取り付けた5Lの4つ口フラスコに、ネオペンチルグリコール(NPG)を800g、3, 5, 5−トリメチルヘキサン酸を2674g仕込み、窒素気流下、240℃で反応水を留去しつつ常圧で24時間反応させた。エステル化反応後、240℃、5torrで残存カルボン酸を留去した。ガスクロマトグラフィーで分析した結果、得られたエステルの純度は99%であった。
温度計、窒素導入管、攪拌機、ジムロート、および検水管を取り付けた5Lの4つ口フラスコに、トリメチロールプロパン(TMP)を750g、2−エチルヘキサン酸を2660g仕込み、窒素気流下、240℃で反応水を留去しつつ常圧で24時間反応させた。エステル化反応後、240℃、5torrで残存カルボン酸を留去した。ガスクロマトグラフィーで分析した結果、得られたエステルの純度は98%であった。
温度計、窒素導入管、攪拌機、ジムロート、および検水管を取り付けた5Lの4つ口フラスコに、トリメチロールプロパン(TMP)を700g、3, 5, 5−トリメチルヘキサン酸を2684g仕込み、窒素気流下、240℃で反応水を留去しつつ常圧で24時間反応させた。エステル化反応後、240℃、5torrで残存カルボン酸を留去した。ガスクロマトグラフィーで分析した結果、得られたエステルの純度は99%であった。
温度計、窒素導入管、攪拌機、ジムロート、および検水管を取り付けた5Lの4つ口フラスコに、ペンタエリスリトール(PE)を600g、2−エチルヘキサン酸を2796g仕込み、窒素気流下、240℃で反応水を留去しつつ常圧で24時間反応させた。エステル化反応後、240℃、5torrで残存カルボン酸を留去した。ガスクロマトグラフィーで分析した結果、得られたエステルの純度は99%であった。
温度計、窒素導入管、攪拌機および空冷管を取り付けた5Lの4つ口フラスコに、ネオペンチルグリコール(NPG)を500g、イソステアリン酸を2868g仕込み、窒素気流下、240℃で反応水を留去しつつ常圧で24時間反応させた。エステル化反応後、240℃、5torrで残存カルボン酸を留去した。ガスクロマトグラフィーで分析した結果、得られたエステルの純度は96%であった。
温度計、窒素導入管、攪拌機および空冷管を取り付けた5Lの4つ口フラスコに、トリメチロールプロパン(TMP)を450g、NAA−34(日油社製、工業用オレイン酸)を2984g仕込み、窒素気流下、240℃で反応水を留去しつつ常圧で24時間反応させた。エステル化反応後、240℃、5torrで残存カルボン酸を留去した。ガスクロマトグラフィーで分析した結果、得られたエステルの純度は97%であった。
温度計、窒素導入管、攪拌機、ジムロート、および検水管を取り付けた5Lの4つ口フラスコに、トリメチロールプロパン(TMP)を600g、カプリン酸を2542g仕込み、窒素気流下、240℃で反応水を留去しつつ常圧で24時間反応させた。エステル化反応後、240℃、5torrで残存カルボン酸を留去した。ガスクロマトグラフィーで分析した結果、得られたエステルの純度は99%であった。
上記エステルI〜VIIのエステル合成において使用した原料を表1にまとめる。
摩耗防止剤としては、ジチオリン酸エステル誘導体(B)であるAW−1、AW−2、その他摩耗防止剤のAW−3、AW−4を使用した。
(AW−1)プロパン酸, ビス(2−メチルプロポキシ)フォスフィノチオールチオ−2−メチル(BASF社製、IRGALUBE 353)
(AW−2)エチル−3−[[ビス(1−メチルエトキシ)フォスフィノチオイル] チオ] プロピオネート(BASF社製、IRGALUBE 63)
(AW−3)リン酸トリクレジル(LANXESS 社製、DISFLAMOLL TKP-P)
(AW−4)アミン, C11〜14−側鎖アルキル, モノヘキシルおよびジヘキシルフォスフェート(BASF社製、IRGALUBE 349)
上記で得られたエステルI〜VII またはパラフィン系鉱物油(JXTGエネルギー社製スーパーオイルK22)に、摩耗防止剤(AW−1〜AW−4)を表2記載の配合量で配合し、70℃で1時間混合することで、実施例1〜7、および比較例1〜14の塑性加工用潤滑油組成物を得た。
なお、表2中のB成分の配合量は、A成分の含有量100重量部に対する配合量である。
表2に記載の塑性加工用潤滑油組成物について以下の評価を実施した。
ボールオンディスク型SRV試験機において、10mm鋼球を用い、40℃、130N、10Hz、ストローク2mmにて35分間試験を実施した。その際、試験開始から15分後、30分後の摩擦係数を測定し、その平均値を摩擦係数Ave.として表2に記載した。
上記摩擦係数測定にて使用した35分後の鋼球の摩耗痕径を、落射型光学顕微鏡を用いて測定した。摩耗痕径は、摩耗痕の縦の長さ、横の長さの平均値として表2に記載した。
日本工業規格JIS K2514(1996)に従いタービン油酸化安定度試験(RBOT)を実施した。表2に記載した数字は、最大圧力から急激な圧力降下が確認されるのに要した時間(分)を表し、数値が大きいほど、酸化安定性が高いことを示す。
例えば、実施例2,5と比較例2との対比から、エステルIIにジチオリン酸エステル誘導体(AW−1またはAW−2)を配合することによって、摩擦係数を低下させずに摩耗痕径を低減することができ、酸化安定性も低下しないことが分かる。
一方、比較例5,6と比較例2との対比から、エステルIIにジチオリン酸エステル誘導体(B)と異なる摩耗防止剤を配合することによって、摩耗痕径は低減するものの、摩擦係数が低下するので圧延加工や転造加工でスリップ発生のおそれがあることが分かる。
また、比較例7〜14に示されるように、本発明におけるエステル化合物に代えて、他のエステルやパラフィン系鉱物油を用いた場合には、耐摩耗性や酸化安定性の点で本発明ほどの効果が得られないことも分かる。
したがって、本発明の塑性加工用潤滑油組成物は、圧延加工や転造加工などにおいてスリップの発生を抑制し、耐摩耗性にも優れることが分かる。
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