発明の概要
本発明は、新規のヘテロアリール置換ピロロ[2,3-d]ピリミジンおよびその薬学的に許容され得る塩に関する。本発明はまた、本発明の化合物を含む組成物、ならびにサブタイプ1および2(JAK1/JAK2)について選択性を有するヤーヌス関連キナーゼのインヒビターの投与により有利に治療される疾患および状態の治療方法におけるかかる組成物の使用を提供する。
発明の詳細な説明
定義
用語「治療」は、疾患(例えば本明細書に示される疾患または障害)の発症もしくは進行の減少、抑制、減退、縮小、拘束もしくは安定化、疾患の重症度の低下、または該疾患に関連する症状の改善を意味する。
「疾患」は、細胞、組織または器官の正常な機能を損傷するかまたは妨害する任意の状態または障害を意味する。
天然の同位体存在度(isotopic abundance)のいくつかの変化は、合成に使用される化学物質の起源に応じて、合成された化合物中で生じると理解される。したがって、ルキソリチニブの製剤は、本質的に少量の重水素化アイソトポローグ(isotopologue)を含む。天然に存在する安定な水素および炭素の同位体の濃度は、この変化にかかわらず、本発明の化合物の安定な同位体置換の程度と比較して、少量で取るに足らない。例えば、Wada, E et al., Seikagaku, 1994, 66:15;Gannes, LZ et al., Comp Biochem Physiol Mol Integr Physiol, 1998, 119:725参照。
本発明の化合物において、どの原子も特定の同位体として具体的に指定されないが、該原子の任意の安定な同位体を表すことを意味する。別段の記載がなければ、ある位置が「H」または「水素」として具体的に指定される場合は、その位置は、同位体組成物の天然の存在度で水素を有することが理解される。また、別段の記載がなければ、ある位置が「D」または「重水素」として具体的に指定される場合は、その位置は、0.015%である重水素の天然の存在度よりも少なくとも3000倍高い存在度(すなわち重水素の少なくとも45%取り込み)で重水素を有することが理解される。
本明細書で使用される場合、用語「同位体富化係数(isotopic enrichment factor)」は、同位体存在度と特定の同位体の天然の存在度との割合を意味する。
他の態様において、本発明の化合物は、それぞれの指定された重水素原子について、少なくとも3500(それぞれの指定の重水素原子での52.5%重水素取り込み)、少なくとも4000(60%重水素取り込み)、少なくとも4500(67.5%重水素取り込み)、少なくとも5000(75%重水素)、少なくとも5500(82.5%重水素取り込み)、少なくとも6000(90%重水素取り込み)、少なくとも6333.3(95%重水素取り込み)、少なくとも6466.7(97%重水素取り込み)、少なくとも6600(99%重水素取り込み)、または少なくとも6633.3(99.5%重水素取り込み)の同位体富化係数を有する。
用語「アイソトポローグ」は、化学構造が、その同位体組成物のみにおいて本発明の特定の化合物とは異なる種のことをいう。
用語「化合物」は、本発明の化合物のことをいう場合、分子の構成元素中に同位体の変形物があり得る場合を除いて、同一の化学構造を有する分子の集合のことをいう。したがって、示された重水素原子を含む特定の化学構造で表される化合物は、該構造中の指定された重水素位置の1つ以上に水素原子を有する、より少ない量のアイソトポローグも含むことが当業者には明らかである。本発明の化合物中のかかるアイソトポローグの相対量は、化合物の作製に使用される重水素化された試薬の同位体純度および化合物の調製に使用される種々の合成工程における重水素の取り込みの効率などのいくつかの要因に依存する。しかしながら、上述のように、全体としてのかかるアイソトポローグの相対量は、化合物中49.9%未満である。他の態様において、全体としてのかかるアイソトポローグの相対量は、化合物中、47.5%未満、40%未満、32.5%未満、25%未満、17.5%未満、10%未満、5%未満、3%未満、1%未満、または0.5%未満である。
本発明はまた、本発明の化合物の塩を提供する。本発明の化合物の塩は、酸と、アミノ官能基などの化合物の塩基性基、または塩基と、カルボキシル基などの化合物の酸性基の間で形成される。別の態様によると、該化合物は、薬学的に許容され得る酸付加塩である。
本明細書で使用する場合、用語「薬学的に許与され得る」は、正当な医学的判断の範囲内で、過度な毒性、刺激、アレルギー反応等を生じることなく、ヒトおよび他の哺乳動物の組織との接触における使用に好適であり、妥当な利益/リスク比につりあった成分のことをいう。「薬学的に許容され得る塩」は、レシピエントへの投与の際に、直接または間接のいずれかで、本発明の化合物を提供し得る任意の非毒性の塩を意味する。「薬学的に許容され得る対イオン」は、レシピエントへの投与の際に塩から放出される場合、毒性ではない塩のイオン性部分である。
薬学的に許容され得る塩を形成するために一般的に使用される酸としては、二硫化水素、塩化水素酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸およびリン酸などの無機酸、ならびにパラトルエンスルホン酸、サリチル酸、酒石酸、ビ酒石酸、アスコルビン酸、マレイン酸、ベシル酸、フマル酸、グルコン酸、グルクロン酸、ギ酸、グルタミン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、乳酸、シュウ酸、パラブロモフェニルスルホン酸、炭酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸および酢酸などの有機酸、ならびに関連のある無機酸および有機酸が挙げられる。したがって、かかる薬学的に許容され得る塩としては、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、リン酸塩、一水素リン酸塩、二水素リン酸塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、プロピオン酸塩、デカン酸塩、カプリル酸塩、アクリル酸塩、ギ酸塩、イソ酪酸塩、カプリン酸塩、ヘプタン酸塩、プロピオール酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、ブチン-1,4-ジオエート、ヘキシン-1,6-ジオエート、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、フタル酸塩、テレフタル酸塩、スルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、フェニルプロピオン酸塩、フェニル酪酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、β-ヒドロキシ乳酸塩、グリコール酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、プロパンスルホン酸塩、ナフタレン-1-スルホン酸塩、ナフタレン-2-スルホン酸塩、マンデル酸塩および他の塩が挙げられる。一態様において、薬学的に許容され得る酸付加塩としては、塩酸および臭化水素酸などの無機酸により形成されるもの、特に、マレイン酸などの有機酸により形成されるものが挙げられる。
本発明の化合物(例えば、式Iまたは式Aの化合物)は、例えば重水素置換またはその他の結果として、不斉炭素原子を含み得る。このように、本発明の化合物は、個々のエナンチオマーまたは2つのエナンチオマーの混合物のいずれかとして存在し得る。したがって、本発明の化合物は、ラセミ混合物もしくはスカレミックな(scalemic)混合物のいずれかとして、または実質的に別の可能性のある立体異性体を含まない個々のそれぞれの立体異性体として存在し得る。用語「実質的に他の立体異性体を含まない」は、本明細書で使用する場合、他の立体異性体の25%未満、好ましくは他の立体異性体の10%未満、より好ましくは他の立体異性体の5%未満、最も好ましくは他の立体異性体の2%未満が存在することを意味する。所定の化合物についての個々のエナンチオマーを得るまたは合成する方法は、当該技術分野で公知であり、最終化合物または開始物質もしくは中間体に対して実用可能なものとして適用され得る。
別段の指示がなければ、開示された化合物が、立体化学を特定することなく、構造により命名または指定され、1つ以上のキラル中心を有する場合、化合物の全ての可能性のある立体異性体を示すことが理解される。
本明細書で使用される場合、用語「哺乳動物」としては、ヒトまたは非ヒト動物、例えば、マウス、ラット、モルモット、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、サル、チンパンジー、ヒヒまたはアカゲザルが挙げられる。一態様において、哺乳動物は非ヒト動物である。別の態様において哺乳動物はヒトである。
本明細書で使用する場合、用語「安定な化合物」は、それらの製造を可能にするのに充分な安定性を有する化合物および本明細書に詳述される目的(例えば、治療生成物への製剤化、治療化合物の製造における使用のための中間物、単離可能または保存可能な中間化合物の調製、治療剤に応答性の疾患または状態の治療)に有用な充分な期間、化合物の完全性を維持する化合物のことをいう。
「D」および「d」の両方は重水素のことをいう。「立体異性体」は、エナンチオマーおよびジアステレオマーの両方のことをいう。「Tert」および「t-」はそれぞれ第三級のことをいう。「US」は、米国のことをいう。
「重水素で置換された」は、1つ以上の水素原子が対応する数の重水素原子で置換されたことをいう。
本明細書を通して、変形物は、一般的に言及され得る(例えば「各R」)か、または具体的に言及され得る(例えば、R1、R2、R3など)。別段の指示がなければ、変形物が一般的に言及される場合、特定の変形物の全ての具体的な態様を含むことを意味する。
治療化合物
一態様において、本発明の式A:
(式中、
Y
1は、水素および重水素から選択され;
各Y
2は独立して、水素および重水素から選択されるが、ただし、共通の炭素に結合する各Y
2は同じものであるとし;
各Y
3は独立して、水素および重水素から選択されるが、ただし、共通の炭素に結合する各Y
3は同じものであるとし;
Y
4は、水素および重水素から選択され;
各Y
5は、同じであり、水素および重水素から選択され;
Y
6、Y
7、Y
8、Y
9およびY
10は、それぞれ独立して水素および重水素から選択され;
ただし、Y
1が水素であり、各Y
2および各Y
3が水素であり、Y
4が水素であり、Y
6、Y
7、Y
8、Y
9およびY
10のそれぞれが水素である場合、各Y
5は重水素である)
の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩を提供する。
式Aの一態様において、各Y2は同じであり、各Y3は同じであり、各Y5は同じである。この態様の一局面において、各Y2は重水素である。さらなる局面において、各Y3は重水素である。別のさらなる局面において、各Y3は水素である。この態様の別の局面において、各Y2は水素である。さらなる局面において、各Y3は重水素である。別のさらなる局面において、各Y3は水素である。前述の局面のいずれかの一例において、Y1は重水素である。前述の局面のいずれかの別の例において、Y1は水素である。前述の局面のいずれかのより具体的な例において、Y1は重水素であり、Y4は重水素であり、各Y5は重水素である。前述の局面のいずれかの別のより具体的な例において、Y1は重水素であり、Y4は重水素であり、各Y5は水素である。前述の局面のいずれかの別のより具体的な例において、Y1は重水素であり、Y4は水素であり、各Y5は水素である。前述の局面のいずれかの別のより具体的な例において、Y1は水素であり、Y4は水素であり、各Y5は水素である。前述の局面のいずれかの別のより具体的な例において、Y1は水素であり、Y4は水素であり、各Y5は重水素である。前述の局面のいずれかの別のより具体的な例において、Y1は水素であり、Y4は重水素であり、各Y5は重水素である。前述の局面のいずれかの別のより具体的な例において、Y1は水素であり、Y4は重水素であり、各Y5は水素である。
一態様において、Y6は重水素である。この態様の一局面において、Y7およびY8のそれぞれは重水素である。この態様の別の局面において、Y7およびY8のそれぞれは水素である。
一態様において、Y6は水素である、この態様の一局面において、Y7およびY8のそれぞれは重水素である。この態様の別の局面において、Y7およびY8のそれぞれは水素である。
一態様において、本発明は、式I:
(式中、
Y
1は水素および重水素から選択され;
各Y
2は独立して、水素および重水素から選択されるが、ただし、共通の炭素に結合する各Y
2は同じものであるとし;
各Y
3は独立して、水素および重水素から選択されるが、ただし、共通の炭素に結合する各Y
3は同じものであるとし;
Y
4は水素および重水素から選択され;
各Y
5は同じものであり、水素および重水素から選択され;
Y
6、Y
7およびY
8は、それぞれ独立して水素および重水素から選択され;
ただし、Y
1が水素であり、各Y
2および各Y
3が水素であり、Y
4が水素であり、Y
6、Y
7およびY
8のそれぞれが水素である場合、各Y
5は重水素である)
の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩を提供する。
一態様において、各Y2は同じであり、各Y3は同じであり、各Y5は同じである。この態様の一局面において、各Y2は重水素である。さらなる局面において、各Y3は重水素である。別のさらなる局面において、各Y3は水素である。この態様の別の局面において、各Y2は水素である。さらなる局面において、各Y3は重水素である。別のさらなる局面において、各Y3は水素である。前述の局面のいずれかの一例において、Y1は重水素である。前述の局面のいずれかの別の例において、Y1は水素である。前述の局面のいずれかのより具体的な例において、Y1は重水素であり、Y4は重水素であり、各Y5は重水素である。前述の局面のいずれかの別のより具体的な例において、Y1は重水素であり、Y4は重水素であり、各Y5は水素である。前述の局面のいずれかの別のより具体的な例において、Y1は重水素であり、Y4は水素であり、各Y5は水素である。前述の局面のいずれかの別のより具体的な例において、Y1は水素であり、Y4は水素であり、各Y5は水素である。前述の局面のいずれかの別のより具体的な例において、Y1は水素であり、Y4は水素であり、各Y5は重水素である。前述の局面のいずれかの別のより具体的な例において、Y1は水素であり、Y4は重水素であり、各Y5は重水素である。前述の局面のいずれかの別のより具体的な例において、Y1は水素であり、Y4は重水素であり、各Y5は水素である。
一態様において、Y6は重水素である。この態様の一局面において、Y7およびY8のそれぞれは重水素である。この態様の別の局面において、Y7およびY8のそれぞれは水素である。
一態様において、Y6は水素である。この態様の一局面において、Y7およびY8のそれぞれは重水素である。この態様の別の局面において、Y7およびY8のそれぞれは水素である。
一態様において、化合物は、Y
6、Y
7およびY
8がそれぞれ水素である式Iの化合物であり、化合物は、表1(以下):
に記載される化合物(Cmpd)のいずれか1つから選択されるか、またはそれらの薬学的に許容され得る塩であり、重水素と指定されない任意の原子は、その天然の同位体存在度で存在する。
一態様において、化合物は、Y
6、Y
7およびY
8がそれぞれDである式Iの化合物であり、化合物は、表2(以下):
に記載される化合物(Cmpd)のいずれか1つから選択されるか、またはそれらの薬学的に許容され得る塩であり、重水素と指定されない任意の原子は、その天然の同位体存在度で存在する。
態様の別の組において、上述の態様のいずれかにおいて重水素と指定されない任意の原子は、その天然の同位体存在度で存在する。
以下の化合物は、本発明の種々の化合物:
またはその塩を作製するために有用であり、式中、重水素と指定されない任意の原子は、その天然の同位体存在度で存在する。
式Iまたは式Aの化合物の合成は、本明細書に開示される例示的な合成および実施例を参照して通常の技術を有する合成化学者により容易に達成され得る。式Iまたは式Aの化合物およびその中間体の調製のための使用のものに類似の関連のある手法は、例えばUS特許第7,598,257号およびOrganic Letters, 2009, 11(9): 1999-2009に開示される。
かかる方法は、本明細書に示される化合物を合成するための、対応する重水素化、任意に他の同位体含有試薬および/または中間体を利用して、または化学構造中に同位体原子を導入するための当該技術分野で公知の標準的な合成プロトコルを引き起こして実施され得る。
例示的な合成
式Iまたは式Aの化合物は、US特許第7,598,257号およびOrganic Letters, 2009, 11(9): 1999-2009に示される合成と類似の様式で、適切に重水素化された開始物質を使用して調製され得る。
式Iまたは式Aの化合物はまた、以下のスキームに示されるように調製され得る。
スキーム1は、Y1、各Y2および各Y3が重水素であり、Y4、各Y5、Y6、Y7およびY8は水素である式Iの化合物の例示的な調製を開示する。WO 2010/083283に記載されるものと類似の様式で、市販の4-クロロ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン11(Aldrich)を水素化ナトリウムおよび塩化SEMで処理して12を得、これを市販の13と反応させて14を得る。11の代わりに、4-ブロモ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジンを第1段階に使用して、SEM-保護4-ブロモ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン(12と類似)を得てもよく、これを13と反応させて14を得ることができる。14と、以下のスキーム2aに開示されるように調製された15の反応は、Lin, Q. et al. Org. Lett. 2009, 11, 1999に記載されるものと類似の様式で実施して、16が得られる。該反応は、Lin, Q. et al.に記載されるように調製されたキラルリガンド27の存在下で実施される。NH4OHおよびI2で処理して16を17に変換する。次いで17のSEM保護基をLiBF4およびNH4OHで脱保護し、式Iの化合物を得る。
スキーム2aに示されるように、市販の18をホスホニウムイリド20およびDCl/D2Oで処理して19を得、これを20およびDiBAl-Hで処理して15を得る。
15に類似の化合物も調製され得る。例えば、スキーム2bに示すように、市販の21をスキーム2aに開示されるものと類似の様式で23に変換し得る。別の例として、スキーム2cに示されるように、市販の24をスキーム2aおよびスキーム2bに開示されるものと類似の様式で26に変換し得る。23は、スキーム1に開示されるものと同様の様式で、Y1および各Y3が重水素であり、Y4、各Y2、各Y5、Y6、Y7およびY8が水素である式Iの化合物に変換され得る。同様に、26は、スキーム1に開示されるものと同様の様式で、Y1および各Y2が重水素であり、Y4、各Y3、各Y5、Y6、Y7およびY8が水素である式Iの化合物に変換され得る。
上述の具体的なアプローチおよび化合物は限定を意図しない。本明細書中のスキームにおける化学構造は、本明細書中の化合物式の対応する位置の化学基の定義(部分、原子など)とつりあって本発明に規定される変形物を示し、該変形物が同じ可変的な名称(すなわち、R1、R2、R3など)により同定されるかどうかである。別の化合物の合成における使用のための化合物構造中の化学基の適合性は、当業者の知識の範囲内にある。
本明細書のスキームに明確に示されない経路中のものを含む式Iまたは式Aの化合物およびそれらの合成前駆体のさらなる合成方法は、当該技術分野の化学者の手段の範囲内にある。適用可能な化合物の合成に有用な合成化学変換および基保護方法論(保護および脱保護)は当該技術分野で公知であり、例えばLarock R, Comprehensive Organic Transformations, VCH Publishers (1989);Greene, TW et al., Protective Groups in Organic Synthesis, 第3版、John Wiley and Sons (1999);Fieser, L et al., Fieser and Fieser’s Reagents for Organic Synthesis, John Wiley and Sons (1994);およびPaquette, L, ed., Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis, John Wiley and Sons (1995)ならびにそれらのそれ以降の版に記載されるものが挙げられる。
本発明により構想される置換基および変形物の組み合わせは、安定な化合物の形成を生じるもののみである。
組成物
本発明はまた、式Iもしくは式A(たとえは本明細書中の式のいずれかを含む)の化合物または前記化合物の薬学的に許容され得る塩の有効量、ならびに薬学的に許容され得る担体を含む発熱源非含有医薬組成物を提供する。担体(1つまたは複数)は、製剤の他の成分と適合性であるという意味において「許容可能」であり、薬学的に許容され得る担体の場合、医薬において使用される量でそのレシピエントに対して有害でない。
本発明の医薬組成物に使用され得る薬学的に許容され得る担体、アジュバントおよびビヒクルとしては、限定されないが、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、ヒト血清アルブミンなどの血清タンパク質、リン酸塩などの緩衝化物質、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩などの塩または電解質、コロイダルシリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロース系物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン-ポリオキシプロピレン-ブロックポリマー、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂が挙げられる。
必要な場合、医薬組成物中の本発明の化合物の溶解性およびバイオアベイラビリティを、当該技術分野において周知の方法により高めてもよい。1つの方法としては、製剤中の脂質賦形剤の使用が挙げられる。「Oral Lipid-Based Formulations: Enhancing the Bioavailability of Poorly Water-Soluble Drugs (Drugs and the Pharmaceutical Sciences)」、David J. Hauss, ed. Informa Healthcare, 2007;および「Role of Lipid Excipients in Modifying Oral and Parenteral Drug Delivery: Basic Principles and Biological Examples」、Kishor M. Wasan, ed. Wiley-Interscience, 2006参照。
バイオアベイラビリティを高める別の公知の方法は、任意に、LUTROLTMおよびPLURONICTM(BASF Corporation)などのポロキサマー、またはエチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドのブロックコポリマーと共に製剤化した本発明の化合物の非晶質形態の使用である。米国特許第7,014,866号;および米国特許公開公報第20060094744号および第20060079502号参照。
本発明の医薬組成物としては、経口、経直腸、経鼻、局所(例えば口内および舌下)、経膣または非経口(例えば皮下、筋内、静脈内および皮内)の投与に適したものが挙げられる。特定の態様において、本明細書の式の化合物は、(例えば経皮パッチまたはイオン導入法技術を使用して)経皮投与される。他の製剤は、都合よく、単位投与形態、例えば錠剤、持続放出カプセル中、およびリポソーム中で提供され得、かつ薬学の分野において周知の任意の方法により調製され得る。例えばRemington: The Science and Practice of Pharmacy, Lippincott Williams & Wilkins, Baltimore, MD (20th ed. 2000)参照。
かかる調製法は、投与される分子と、1つ以上の付属(accessory)の成分を構成する担体などの成分を結合させる工程を含む。一般的に、該組成物は、活性成分と、液体担体、リポソームもしくは細かく分割された固体単体、またはその両方と均一にかつ密接に結合させ、その後必要ならば、生成物を形成することにより調製される。
ある態様において、化合物は経口投与される。経口投与に適した本発明の組成物は、それぞれ所定量の有効成分を含むカプセル、サシェまたは錠剤;粉末または顆粒;溶液または水性液体もしくは非水性液体中の懸濁物;油中水液体エマルジョン;水中油液体エマルジョン;リポソーム封入体;または丸薬等の別々の単位として提供され得る。軟質ゼラチンカプセルは、化合物の吸収速度を有利に増加させ得るかかる懸濁物を含むために有用であり得る。
経口使用のための錠剤の場合、一般的に使用される担体としてはラクトースおよびトウモロコシデンプンが挙げられる。ステアリン酸マグネシウムなどの滑剤も、典型的に添加される。カプセル形態の経口投与のために有用な希釈剤としては、ラクトースおよび乾燥トウモロコシデンプンが挙げられる。水性懸濁剤を経口投与する場合は、有効成分を乳化剤および懸濁剤と合わせる。所望の場合、特定の甘味剤および/または矯味矯臭剤および/または着色剤を添加してもよい。
経口投与に適した組成物としては、風味づけされた成分、通常スクロースおよびアカシアまたはトラガカントを含むトローチ剤;ならびにゼラチンおよびグリセリンまたはスクロースおよびアカシアなどの不活性な基材中の有効成分を含む香錠が挙げられる。
非経口投与に適した組成物としては、酸化防止剤、バッファ、静菌剤および意図されるレシピエントの血液と等張な製剤となる溶液を含み得る水性および非水性の滅菌注射溶液;ならびに懸濁剤および増量剤を含み得る水性および非水性滅菌懸濁物が挙げられる。該製剤は、単位投与容器または複数回投与容器、例えば密封されたアンプルおよびバイアル中に提供され得、かつ使用の直前に、滅菌液体担体、例えば注射用水の添加のみを必要とする凍結して乾燥された(凍結乾燥された)状態で保存され得る。滅菌の粉末、顆粒および錠剤から、即席の注射溶液および懸濁液が調製され得る。
かかる注射溶液は、例えば滅菌性で注射用の水性または油性懸濁物の形態であり得る。この懸濁物は、適切な分散剤または湿潤化剤(例えばTween 80など)および懸濁剤を使用して当該技術分野に公知の技術に従って調製され得る。滅菌性注射用調製物はまた、例えば1,3-ブタンジオール中の溶液として、非毒性の非経口的に許容され得る希釈剤または溶媒中の滅菌性注射溶液または懸濁物であり得る。この中で、使用され得る許容され得るビヒクルおよび溶媒は、マンニトール、水、リンゲル液および等張塩化ナトリウム溶液である。また、滅菌性固定油も、溶媒または懸濁媒体として従来から使用される。この目的のために、合成モノ-またはジグリセリドなどの任意の低刺激固定油が使用され得る。オレイン酸およびそのグリセリド誘導体などの脂肪酸は、オリーブ油またはヒマシ油などの天然の薬学的に許容され得る油として、特にそれらのポリオキシエチレン付加物中で、注射物の調製に有用である。これらの油状液または懸濁物はまた、長鎖アルコール希釈剤または分散剤を含み得る。
本発明の医薬組成物は、直腸投与のために坐剤の形態で投与され得る。これらの組成物は、本発明の化合物と、室温で固体であるが直腸温度で液体であり、そのため直腸内で溶解して有効成分を放出する適切な非刺激性賦形剤を混合することにより調製され得る。かかる材料としては、限定されないが、ココアバター、蜜蝋およびポリエチレングリコールが挙げられる。
本発明の医薬組成物は、鼻腔エアゾールまたは吸入により投与され得る。かかる組成物は、医薬製剤の分野で周知の技術に従って調製され、ベンジルアルコールまたは他の適切な保存剤、バイオアベイラビリティを高めるための吸収促進剤、フルオロカーボンおよび/または当該技術分野で公知の他の可溶化剤または分散剤を使用して、食塩水中の溶液として調製され得る。例えばRabinowitz JD and Zaffaroni AC、Alexza Molecular Delivery Corporationに対して特許されたUS特許第6,803,031号参照。
本発明の医薬組成物の局所投与は特に、所望の治療が局所適用により容易にアクセス可能な領域または器官を含む場合に特に好適である。皮膚に限局した局所投与のためには、医薬組成物は、担体中に懸濁または溶解された有効成分を含む適切な軟膏と共に調製されるべきである。本発明の化合物の局所投与のための単体としては、限定されないが、鉱物油、流動パラフィン、白色ガソリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン化合物、乳化ワックス、および水が挙げられる。代替的に、医薬組成物は、担体中に懸濁または溶解された活性化合物を含む適切なローションまたはクリームと共に調製され得る。適切な単体としては、限定されないが、鉱物油、モノステアリン酸ソルビタン、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリルアルコール、2-オクチルドデカノール、ベンジルアルコールおよび水が挙げられる。本発明の医薬組成物はまた、腸坐剤製剤により、または適切な浣腸製剤中で、下部小腸管に局所適用され得る。局所経皮パッチおよびイオン導入法投与も本発明に含まれる。
対象の治療剤の適用は、目的の部位で投与されるように局所的であり得る。目的の部位で対象組成物を提供するために、注射、カテーテルの使用、トローチ、発射体、プルロニックゲル、ステント、持続薬物放出ポリマーまたは内部アクセスをもたらすその他のデバイスなどの種々の技術が使用され得る。
したがって、さらに別の態様によると、本発明の化合物は、プロテーゼ、人工バルブ、管状グラフト、ステントまたはカテーテルなどの埋め込み可能医療デバイスをコーティングするための組成物に一体化され得る。適切なコーティングおよびコーティングされた埋め込み可能なデバイスの一般的な調製物は、当該技術分野で公知であり、US特許第6,099,562号;第5,886,026号および第5,304,121号に例示される。コーティングは典型的に、ヒドロゲルポリマー、ポリメチルジシロキサン、ポリカプロラクトン、ポリエチレングリコール、ポリ乳酸、エチレン酢酸ビニルおよびそれらの混合物などの生体適合性重合材料である。コーティングは任意に、フルオロケイ素、多糖類、ポリエチレングリコール、リン脂質またはそれらの混合物の適切な頂部コートにより任意にさらに被覆されて、組成物の制御放出特性を付与し得る。侵襲性デバイスのためのコーティングは、それらの用語が本明細書中に使用された場合に、薬学的に許容され得る担体、アジュバントまたはビヒクルの定義に含まれ得る。
別の態様によると、本発明は、埋め込み可能医療デバイスを上述のコーティング組成物でコーティングする工程を含む、該デバイスのコーティング方法を提供する。該デバイスのコーティングは、哺乳動物への埋め込み前に行われることが当業者に明らかである。
別の態様によると、本発明は、埋め込み可能薬物放出デバイスと、本発明の化合物または組成物を接触させる工程を含む、該埋め込み可能薬物放出デバイスを含浸する方法を提供する。埋め込み可能薬物放出デバイスとしては、限定されないが、生分解性ポリマーカプセルまたはバレット、非分解性、拡散性ポリマーカプセルおよび生分解性ポリマーウェハーが挙げられる。
別の態様によると、本発明は、本発明の化合物または該化合物を含む組成物でコートされた埋め込み可能医療デバイスを提供し、前記化合物は治療的に活性である。
別の態様によると、本発明は、本発明の化合物または該化合物を含む組成物で含浸されたかまたはそれらを含む、埋め込み可能薬物放出デバイスを提供し、前記化合物は、前記デバイスから放出され、治療的に活性である。
被験体から取り出されるために器官または組織がアクセス可能である場合、かかる器官または組織は、本発明の組成物を含む媒体中に浸漬(bath)され得るか、本発明の組成物は、該器官上に塗布(paint)され得るか、または本発明の組成物は、任意の他の都合の良い方法で適用され得る。
別の態様において、本発明の組成物はさらに、第2の治療剤を含む。第2の治療剤は、ルキソリチニブと同じ作用機構を有する化合物とともに投与される場合、有利な特性を有するかまたは示すことが知られている任意の化合物または治療剤から選択され得る。かかる薬剤としては、ルキソリチニブと組み合わせて有用であることが示されるものが挙げられる。
好ましくは、第2の治療剤は、原発性骨髄線維症、真性赤血球増加症、真性赤血球増加症後骨髄線維症、慢性特発性骨髄線維症、本態性血小板血症後骨髄線維症などの骨髄線維症、および本態性血小板血症、膵臓癌、前立腺癌、乳癌、白血病、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、乾癬および円形脱毛症から選択される疾患または状態の治療または予防に有用な薬剤である。
一態様において、第2の治療剤は、レナリドマイド、パノビノスタット、カペシタビン、エキセメスタンおよびそれらの組み合わせから選択される。
別の態様において、本発明は、本発明の化合物および上述の第2の治療剤のいずれかの1つ以上の別々の剤型を提供し、該化合物および第2の治療剤は、互いに関連している。用語「互いに関連している」は、本明細書で使用する場合、別々の剤型が一緒に封入されるか、そうでなければ別々の剤型が一緒に販売および投与(互いに24時間未満のうちに連続または同時)されることを意図することが容易に明らかとなるように、互いにくっついている(attached)ことを意味する。
本発明の医薬組成物中で、本発明の化合物は、有効量で存在する。本明細書で使用する場合、用語「有効量」は、適切な投与計画で投与された場合に、標的となる障害を治療するのに充分な量のことをいう。
(体表面1平方メートル当たりのミリグラムに基づいた)動物およびヒトについての用量の相互関係は、Freireich et al., Cancer Chemother. Rep, 1966, 50: 219に記載される。体表面積は、被験体の身長および体重からおおよそで決定され得る。例えばScientific Tables, Geigy Pharmaceuticals, Ardsley, N.Y., 1970, 537参照。
一態様において、本発明の化合物の有効量は、1mg〜500mg、例えば5mg〜100mg、例えば5mg〜50mgの範囲であり得る。範囲の例は、40mg〜50mg、25mg〜40mg、25mg〜50mg、20mg〜40mg、20mg〜50mg、10mg〜25mg、10mg〜20mg、5mg〜25mg、5mg〜20mgおよび5mg〜10mgである。一態様において、10mg、20mg、40mgおよび50mgの用量が1日に1回投与される。一態様において、5mg、10mg、20mg、40mgおよび50mgの用量が1日に2回投与される。
有効な用量はまた、当業者に理解されるように、治療される疾患、疾患の重症度、投与経路、被験体の性別、年齢および一般的な健康状態、賦形剤の使用、他の治療的処置の併用、例えば他の薬剤の使用の可能性ならびに治療医の判断に応じて変化する。例えば、有効量の選択のためのガイダンスは、ルキソリチニブの処方情報を参照して決定され得る。
第2の治療剤を含む医薬組成物について、第2の治療剤の有効量は、通常かかる薬剤を用いる単一療法計画において利用される用量の約20%〜100%である。好ましくは、有効量は、通常の単一療法用量の約70%〜100%である。これらの第2の治療剤の通常の単一療法用量は、当該技術分野で周知である。例えば、それぞれがその全体において参照により本明細書に援用されるWellsら編、Pharmacotherapy Handbook, 第2版、Appleton and Lange, Stamford, Conn. (2000);PDR Pharmacopoeia, Tarascon Pocket Pharmacopoeia 2000, Deluxe Edition, Tarascon Publishing, Loma Linda, Calif. (2000)参照。
上記で参照された第2の治療剤のいくつかは、本発明の化合物と相乗的に作用すると期待される。この場合、第2の治療剤および/または本発明の化合物の有効量は、単一療法で必要とされるよりも低減され得る。これは、本発明の化合物の第2の治療剤のそれぞれの毒性副作用の最少化、効力の相乗的な向上、投与もしくは使用の簡易さの向上、および/または化合物調製もしくは製剤化の全体的な費用の低減という利点を有する。
治療方法
別の態様において、本発明は、細胞と、1つ以上の式Iもしくは式Aの化合物またはそれらの薬学的に許容され得る塩を接触させる工程を含む、細胞におけるヤーヌス関連キナーゼ(JAK)JAK1およびJAK2の1つ以上を阻害する方法を提供する。
別の態様に従うと、本発明は、ルキソリチニブにより有益に治療される疾患の治療を必要とする被験体に本発明の化合物または組成物の有効量を投与する工程を含む、該被験体において、ルキソリチニブにより有益に治療される疾患を治療する方法を提供する。一態様において、該被験体はかかる治療を必要とする患者である。かかる疾患は、当該技術分野で周知であり、限定されないが、以下の特許、米国特許第7,598,257号に開示される。かかる疾患としては、限定されないが、例えば臓器移植拒絶(例えば異種移植片元気回復(allograft refection)および移植片対宿主病)などの免疫系を含む疾患;多発性硬化症、関節リウマチ、若年性関節炎、I型糖尿病、狼瘡、乾癬、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、重症筋無力症、免疫グロブリン腎症、自己免疫甲状腺障害などの自己免疫疾患;喘息、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎および鼻炎などのアレルギー状態;エプスタインバールウイルス(EBV)、B型肝炎、C型肝炎、HIV、HTLV 1、水痘-帯状疱疹ウイルス(VZV)およびヒトパピローマウイルス(HPV)などのウイルス性疾患;乾癬(例えば尋常性乾癬(psoriasis vulgaris))、アトピー性皮膚炎、皮膚発疹、皮膚過敏、皮膚感作(例えば、接触性皮膚炎またはアレルギー性接触性皮膚炎)などの皮膚障害;充実性腫瘍を特徴とする癌(例えば、前立腺癌、腎臓癌、肝臓癌、膵臓癌、胃癌、乳癌、肺癌、頭部および頚部の癌、甲状腺癌、神経膠神経腫、カポジ肉腫、キャッスルマン病、メラノーマ)、血液の癌(例えば、リンパ腫、急性リンパ芽球性白血病または多発性骨髄腫)、ならびに皮膚T細胞性リンパ腫(CTCL)および皮膚B細胞性リンパ腫(例として、セザール症候群および菌状息肉腫が挙げられる)などの皮膚癌を含む癌;真性赤血球増加症(PV)、本態性血小板血症(ET)、骨髄線維症を伴う骨髄化生(MMM)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、好酸球増多症候群(HES)、全身性肥満細胞病(SMCD)などの骨髄増殖性障害(MPD);眼の炎症性疾患(例えば、虹彩炎、ブドウ膜炎、強膜炎、結膜炎または関連する疾患)、気道の炎症性疾患(例えば、鼻炎もしくは静脈洞炎などの鼻および洞を含む上部気道または気管支炎、慢性閉塞性肺疾患を含む下部気道など)、心筋炎などの炎症性筋障害などの炎症および炎症性疾患;全身性炎症反応症候群(SIRS)および敗血症性ショック;虚血性再灌流傷害または脳卒中もしくは心停止などの炎症性虚血性事象に関連する疾患または状態;食欲不振;悪液質;癌により生じるかまたは癌に関連するものなどの疲労;再峡窄;強皮症(sclerodermitis);線維症;例えば糖尿病症性網膜症などの低酸素症もしくはアストログリオーシス(astrogliosis)、癌または神経変性に関連する状態;通風;例えば良性前立腺肥大または良性前立腺増殖症による前立腺のサイズの増大などの疾患が挙げられる。
具体的な一態様において、本発明の方法は、治療を必要とする被験体において、原発性骨髄線維症、真性赤血球増加症後骨髄線維症、本態性血小板血症後骨髄線維症などの骨髄線維症、本態性血小板血症またはそれらの組み合わせ;膵臓癌;前立腺癌;乳癌;白血病、非ホジキンリンパ腫;多発性骨髄腫;乾癬およびそれらの組み合わせから選択される疾患または状態を治療するために使用される。
別の具体的な態様において、本発明の方法は、治療を必要とする被験体において、原発性骨髄線維症、真性赤血球増加症後骨髄線維症および本態性血小板血症後骨髄線維症などの骨髄線維症から選択される疾患または状態を治療するために使用される。
かかる治療を必要とする被験体を同定することは、被験体または健康管理の専門家の判断によってなされ得、主観的(例えば意見)または客観的(例えば試験または診断法により測定可能)であり得る。
別の態様において、上述の治療方法のいずれかは、治療を必要とする被験体に、1つ以上の第2の治療剤を共投与するさらなる工程を含む。第2の治療剤の選択は、ルキソリチニブとの共投与に有用であることが知られる任意の第2の治療剤からなされ得る。第2の治療剤の選択はまた、治療される具体的な疾患または状態による。本発明の方法において使用され得る第2の治療剤の例は、本発明の化合物および第2の治療剤を含む併用組成物について上述されたものである。
特に、本発明の組み合わせ療法としては、式Iまたは式Aの化合物および第2の治療剤を、以下の状態(記載後のカッコ内に示される特定の第2の治療剤:骨髄線維症(レナリドマイドまたはパノビノスタット);膵臓癌(カペシタビン);および乳癌(エキセメスタン)と共に)の治療のために、治療を必要とする被験体に共投与することを含む。
用語「共投与」は、本明細書で使用する場合、単一の剤型(本発明の化合物および上述の第2の治療剤を含む本発明の組成物など)の一部として、第2の治療剤が本発明の化合物と一緒に投与され得るか、または複数剤型として別々なものとして投与され得ることを意味する。代替的に、本発明の化合物の投与の前投与と同時または投与後にさらなる薬剤が投与されてもよい。かかる併用療法治療において、本発明の化合物および第2の治療剤(1つまたは複数)は共に、従来の方法により投与される。本発明の化合物および第2の治療剤の両方を含む本発明の組成物の被験体への投与は、一連の治療の間の別の時点での同じ治療剤、任意の他の第2の治療剤または本発明の任意の化合物の前記被験体への別々の投与を除外しない。
これらの第2の治療剤の有効量は当業者に周知であり、投与のガイダンスは、本明細書に参照される特許および公開特許出願ならびにWellsら編、Pharmacotherapy Handbook第2版、Appleton and Lange, Stamford, Conn. (2000);PDR Pharmacopoeia, Tarascon Pocket Pharmacopoeia 2000, Deluxe Edition, Tarascon Publishing, Loma Linda, Calif. (2000)および他の医学教科書に見られ得る。しかしながら、第2の治療剤の最適有効量範囲を決定することは当業者の範囲内にある。
本発明の一態様において、第2の治療剤を被験体に投与する場合、本発明の化合物の有効量は、第2の治療剤が投与されない場合のその有効量未満である。別の態様において、第2の治療剤の有効量は、本発明の化合物が投与されない場合のその有効量未満である。この場合、いずれかの薬剤の高用量に伴う望ましくない副作用が最小限になり得る。他の有力な利点(限定されないが投与計画の向上および/または薬物コストの低減)は当業者に明らかである。
さらに別の局面において、本発明は、被験体における上述の疾患、障害または症候群の治療または予防のための医薬の製造における、単一組成物としてまたは別々の剤型としてのいずれかの式Iもしくは式Aの化合物単独または上述の第2の治療剤の1つ以上と一緒の使用を提供する。本発明の別の局面は、被験体における本明細書に示される疾患、障害または症候群の治療または予防における使用のための、式Iまたは式Aの化合物である。
実施例
実施例1. (R)-3-(4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)-3-(2,2,5,5-d
4-シクロペンチル)プロパンニトリル(化合物107)の合成。
スキーム3. 化合物107の調製
工程1. ジエチル2,2,5,5-d4-シクロペンタン-1,1-ジカルボキシレート(32)。エタノール中のジエチルマロネート(6.57mL、43.3mmol)の溶液(40mL)に、エタノール中21wt%のナトリウムエトキシドの溶液(32.3mL、86.6mmol)、次いで1,1,4,4-テトラジュートロ(tetradeutero)-1,4-ジブロモブタン(31、5.53mL、45.5mmol、CDN同位体、98原子%(atom %)D)を添加した。得られた溶液を還流で2時間撹拌して、次いで室温に冷却し、過剰な水で希釈した。次いで、蒸留によりエタノールの大部分を除去し、得られた水溶液を酢酸エチル(3x75mL)で抽出した。有機層を合わせて、ブラインで洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、ろ過して、減圧下で濃縮して、黄色油状物の32を得て、これを精製することなく次に持ち越した。(9.45g、100%)。
工程2. 2,2,5,5-d4-シクロペンタン-1-カルボン酸(33)。エタノール中の32(9.45g、43.3mmol)の溶液(20mL)に、5Mの水酸化ナトリウムの溶液(20mL)を添加した。次いで、さらなる水(15mL)を添加して、反応物を還流で3時間撹拌した。室温に冷却して、反応物を過剰な水で希釈し、大部分のエタノールを蒸留により除去した。1N HClで水溶液を酸性にし(pH<2)、次いでジエチルエーテル(3x50mL)で抽出した。有機層を合わせて、乾燥させ(Na2SO4)、ろ過して、減圧下で濃縮した。得られた明るいオレンジ色の固体を圧力フラスコに移し、水(140mL)を添加した。圧力フラスコを密封し、反応物を160℃で15時間撹拌し、次いで室温に冷却した。反応物を1N HClで希釈し、ジエチルエーテル(3x50mL)で抽出した。有機層を合わせて、乾燥させ(Na2SO4)、ろ過し、減圧下で濃縮して、琥珀色の油状物の33を得て(4.37g、86%)、これを精製することなく使用した。
工程3. 2,2,5,5-d4-N-メトキシ-N-メチルシクロペンタンカルボキサミド(34)。アセトニトリル中の33(4.37g、37.0mmol)の溶液(60mL)に、0℃でN,O-ジメチル塩酸ヒドロキシルアミン(4.33g、44.4mmol)、TBTU(12.5g、38.9mmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(19.0mL、111mmol)を添加した。反応物を室温で15時間撹拌して、次いで1N HClで希釈して、酢酸エチル(3x50mL)で抽出した。有機層を合わせて、飽和NaHCO3で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、ろ過し、減圧下で濃縮した。得られた生成物を、カラムクロマトグラフィー(SiO2、0〜50%酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、透明油状物の34を得た(2.22g、37%)。MS (ESI) 162.3 [(M + H)+].
工程4. 2,2,5,5-d4-シクロペンタン-1-カルボキシアルデヒド(35)。THF中の34(2.22g、13.8mmol)の溶液(50mL)に、0℃で1MのTHF中LiAlH4の溶液(24.8mL、24.8mmol)を滴下した。反応物を0℃で1時間撹拌し、次いで水(940μL)、15% NaOH(940μL)および水(2.82mL)の逐次滴下によりクエンチした。クエンチした反応物を室温で30分間撹拌し、次いでCelite(登録商標)によりろ過し、減圧下で濃縮した。得られた油状物を1N HClで希釈し、ジエチルエーテル(3x50mL)で抽出した。有機層を合わせて、乾燥させ(Na2SO4)、ろ過して、減圧下で濃縮して、透明油状物の35を得て(850mg、60%)、これを精製することなく使用した。
工程5. 3-(2,2,5,5-d4-シクロペンチル)アクリロニトリル(36)。THF中のカリウムtert-ブトキシドの1M溶液(8.74mL、8.74mmol)に、0℃でTHF中のリン酸ジエチルシアノメチル(1.48mL、9.15mmol)の溶液(12mL)を滴下した。反応物を室温に暖め、15分間撹拌し、0℃に冷却した。次いでアルデヒド35(850mg、8.32mmol)をTHF中の溶液(3mL)として滴下した。反応物を室温で48時間撹拌して、次いで過剰な水で希釈し、ジエチルエーテル(1x50mL)および酢酸エチル(3x50mL)で抽出した。有機層を合わせて、乾燥させ(Na2SO4)、ろ過して、減圧下で濃縮して、明るいオレンジ色の油状物の36を得て(1.17g、>100%)、これを精製することなく使用した。
工程6. (+/-)-(4-(1-(2-シアノ-1-(2,2,5,5-d4-シクロペンチル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)メチルピバレート((+/-)38)。アセトニトリル中の37(400mg、1.34mmol、Lin, Q. et al. Org. Lett., 2009, 11, 1999-2002に記載される調製物)の溶液(10mL)に、36(418mg、3.34mmol)、次いでDBU(421μL、2.81mmol)を添加した。反応物を室温で15時間撹拌して、次いで、減圧下で濃縮した。得られた粗製混合物を水で希釈し、酢酸エチル(3x50mL)で抽出した。有機層を合わせ、1N HClで洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、ろ過して減圧下で濃縮した。順相カラムクロマトグラフィー(SiO2、0〜60%酢酸エチル/ヘキサン)での精製後、逆相カラムクロマトグラフィー(C18、0.1%ギ酸を含む5〜70%アセトニトリル/水)を行い、白色泡状物の(+/-)38を得た(68mg、12%)。1H NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ 8.84 (s, 1H), 8.79 (s, 1H), 8.40 (s, 1H), 7.74 (d, J = 3.8 Hz, 1H), 7.12 (d, J = 3.8 Hz, 1H), 6.24 (s, 2H), 4.54 (td, J = 9.7, 4.3 Hz, 1H), 3.30-3.15 (m, 2H), 2.39 (d, J= 9.8 Hz, 1H), 1.68 - 1.36 (m, 4H), 1.08 (s, 9H); MS (ESI) 425.3 [(M + H)+].
工程7. (R)-(4-(1-(2-シアノ-1-(2,2,5,5-テトラジュートロシクロペンチル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)メチルピバレート((R)-38)。ラセミ化合物(+/-)38(62mg)を、30mg/mLの濃度でアセトニトリルに溶解して、均一溶媒の(isocratic)方法を使用して1回の注入当たり500μLの(+/-)38溶液で、Daicel ChiralPak ADカラム(20x250mm、10μm)上の分取HPLCによりキラル分離(chiral separation)に供した:30%イソプロパノール(+0.1%ジエチルアミン)/70%ヘキサン(+0.1%ジエチルアミン)、流速17mL/分。これらの条件下で、ベースライン分離に達し、15.0分で(S)-38が溶出し、20.2分で(R)-38が溶出した。
それぞれのエナンチオマーを含む画分をプールして、濃縮し、無色のフィルム状物質の28mgの(S)-38および無色のフィルム状物質の29mgの(R)-38を得た。
工程8. (R)-3-(4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)-3-(2,2,5,5-テトラジュートロシクロペンチル)プロパンニトリル(化合物107)。化合物(R)-38(28mg、0.066mmol、1等量)を、20mLのシンチレーションバイアル中でメタノール(1mL)に溶解した。水酸化ナトリウム(0.13mLの1M溶液、0.13mmol、2等量)を添加して、反応物を室温で18時間撹拌した。反応物を水(10mL)およびブライン(20mL)で希釈した。水性混合物を酢酸エチル(2x20mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(20mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過して蒸発させた。粗製の物質を、ジクロロメタン中0〜6%のメタノールで溶出するAnalogix自動クロマトグラフィーシステムを用いて精製した。生成物画分をプールし、蒸発させ、白色泡状物の化合物107を得た。キラル純度は、>99% ee (Chiralpak OD 4.6x250mm、10um、70%(ヘキサン+0.1%ジエチルアミン)+30%(イソプロパノール+0.1%ジエチルアミン)、1mL/分、254nm保持時間=8.85分)であることが見いだされた。
実施例2. (R)-3-(4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)-3-(3,3,4,4-d
4-シクロペンチル)プロパンニトリル(化合物103)の合成。
スキーム4.化合物103の調製
工程1. ジエチル3,3,4,4-d4-シクロペンタン-1,1-ジカルボキシレート(40)。エタノール中のジエチルマロネート(3.25mL、21.4mmol)の溶液(20mL)に、エタノール中の21wt%のナトリウムエトキシドの溶液(16.0mL、42.8mmol)、次いで2,2,3,3-テトラジュートロ-1,4-ジブロモブタン(39、4.95g、22.5mmol、CDN同位体、98原子%D)を添加した。得られた溶液を還流で2時間撹拌し、次いで室温に冷却して過剰の水で希釈した。次いで、エタノールの大部分を蒸留により除去し、得られた水溶液を酢酸エチル(3x75mL)で抽出した。有機層を合わせ、ブラインで洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、ろ過して減圧下で濃縮し、黄色油状物の40を得て、これを精製することなく次に持ち越した。(4.67g、100%)。
工程2. 3,3,4,4-d4-シクロペンタン-1-カルボン酸(41)。エタノール中の40(4.67g、21.4mmol)の溶液(10mL)に、5Mの水酸化ナトリウムの溶液(10mL)を添加した。次いで、さらなる水(10mL)を添加して、反応物を還流で3時間撹拌した。室温に冷却して、反応物を過剰の水で希釈し、エタノールの大部分を蒸留により除去した。1N HClを用いて水溶液を酸性にし(pH<2)、次いでジエチルエーテル(3x50mL)で抽出した。有機層を合わせて、乾燥させ(Na2SO4)、ろ過して、減圧下で濃縮した。得られた明るいオレンジ色の固体を圧力フラスコに移し、水(70mL)を添加した。圧力フラスコを密封し、反応物を160℃で15時間撹拌し、次いで室温に冷却した。反応物を1N HClで希釈し、ジエチルエーテル(3x50mL)で抽出した。有機層を合わせて、乾燥させ(Na2SO4)、ろ過して減圧下で濃縮して、琥珀色の油状物の41を得て(1.93g、76%)、これを精製することなく使用した。
工程3. 3,3,4,4-d4-N-メトキシ-N-メチルシクロペンタンカルボキサミド(42)。アセトニトリル中の41(1.93g、16.3mmol)の溶液(30mL)に、0℃でN,O-ジメチル塩酸ヒドロキシルアミン(1.91g、19.6mmol)、TBTU(5.50g、17.1mmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(8.52mL、48.9mmol)を添加した。反応物を室温で15時間撹拌し、次いで1N HClで希釈し、酢酸エチル(3x50mL)で抽出した。有機層を合わせて、飽和NaHCO3で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、ろ過して減圧下で濃縮した。得られた生成物をカラムクロマトグラフィー(SiO2、0〜40%アセトン/ヘキサン)で精製して、透明油状物の42を得た(1.47g、56%)。MS (ESI) 162.3 [(M + H)+].
工程4. 3,3,4,4-d4-シクロペンタン-1-カルボキシアルデヒド(43)。THF中の42(1.47g、9.12mmol)の溶液(35mL)に、0℃でTHF中の1MのLiAlH4の溶液(16.4mL、16.4mmol)を添加した。反応物を室温で1時間撹拌し、次いで0℃で水(623μL)、15%NaOH(623μL)および水(1.87mL)の逐次滴下によりクエンチした。クエンチした反応物を室温で30分間撹拌し、次いでCelite(登録商標)を用いてろ過し、減圧下で濃縮した。得られた油状物を1N HClで希釈し、ジエチルエーテル(3x50mL)で抽出した。有機層を合わせて、乾燥させ(Na2SO4)、ろ過して、減圧下で濃縮して、透明油状物の43を得て(767mg、82%)、これを精製することなく使用した。
工程5. 3-(3,3,4,4-d4-シクロペンチル)アクリロニトリル(44)。THF中のジエチルシアノメチルホスフェート(0.607mL、3.75mmol)の溶液(10mL)に、0℃で、THF中の1Mのカリウムtert-ブトキシドの溶液(3.75mL、3.75mmol)を滴下した。反応物を0℃で1時間撹拌した。次いで、アルデヒド43(767mg、7.51mmol)をTHF中の溶液(3mL)として滴下した。反応物を室温で15時間撹拌し、次いで過剰の1:1水/ブラインで希釈し、MTBE(3x50mL)で抽出した。有機層を合わせて、乾燥させ(Na2SO4)、ろ過して、減圧下で濃縮した。得られた油状物をCH2Cl2(100 ml)に溶解して、NaHSO3(3x25mL)で洗浄した。有機層を乾燥させ(Na2SO4)、ろ過して減圧下で濃縮し、明るいオレンジ色の油状物の44を得て(537mg、57%)、これを精製することなく使用した。
工程6. (+/-)-(4-(1-(2-シアノ-1-(3,3,4,4-d4-シクロペンチル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)メチルピバレート((+/-)45)。アセトニトリル中の37(514mg、1.72mmol、Lin, Q. et al. Org. Lett., 2009, 11, 1999-2002に記載される調製物)の溶液(15mL)に、44(537mg、4.29mmol)、次いでDBU(540μL、3.61mmol)を添加した。反応物を室温で15時間撹拌して、次いで減圧下で濃縮した。得られた粗製の混合物を水で希釈して、酢酸エチル(3 x 50mL)で抽出した。有機層を合わせて、1N HClで洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、ろ過し、減圧下で濃縮した。順相カラムクロマトグラフィー(SiO2、0〜60%酢酸エチル/ヘキサン)での精製により、白色泡状物の(+/-)45を得た(368mg、50%)。1H NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ 8.84 (s, 1H), 8.79 (s, 1H), 8.40 (s, 1H), 7.75 (d, J = 3.7 Hz, 1H), 7.12 (d, J = 3.7 Hz, 1H), 6.24 (s, 2H), 4.53 (td, J = 9.7, 4.2 Hz, 1H), 3.32 - 3.14 (m, 2H), 2.41 (q, J = 8.7 Hz, 1H), 1.79 (dd, J = 12.6, 7.6 Hz, 1H), 1.36 - 1.11 (m, 3H), 1.08 (s, 9H).; MS (ESI) 425.2 [(M + H)+].
工程7. (R)-(4-(1-(2-シアノ-1-(3,3,4,4-d4-シクロペンチル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)メチルピバレート((R)-45)。ラセミ化合物(+/-)45(151mg)を30mg/mLの濃度でアセトニトリルに溶解し、均一溶媒の方法を使用して、1回の注入当たり1000μLの(+/-)45の溶液で、Daicel ChiralPak ADカラム(20x250mm、10μm)上の分取HPLCによりキラル分離に供した:30%イソプロパノール(+0.1%ジエチルアミン)/70%ヘキサン(+0.1%ジエチルアミン)、流速17mL/分。これらの条件下でベースライン分離に達し、15.5分で(S)-45が溶出し、20.7分で(R)-45が溶出した。
それぞれのエナンチオマーを含む画分を別々にプールして濃縮し、51mgの無色のフィルム状物の(S)-45および53mgの無色のフィルム状物の(R)-45を得た。
工程8. (R)-3-(4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)-3-(3,3,4,4-d4-シクロペンチル)プロパンニトリル (化合物103)。20mLのシンチレーションバイアル中で(R)-45(53mg、0.13mmol、1等量)をメタノール(2mL)に溶解した。水酸化ナトリウム(0.25mLの1M溶液、0.25mmol、2等量)を添加して、反応混合物を室温で18時間撹拌した。反応混合物を水(10mL)およびブライン(20mL)で希釈した。水性混合物を酢酸エチル(2x20mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(20mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過して濃縮した。粗製の物質を、ジクロロメタン中0〜6%のメタノールで溶出するAnalogix自動化クロマトグラフィーシステムを用いて精製した。生成物画分をプールし、蒸発させて、主要不純物として不完全脱保護ヒドロキシメチル中間体を有する約90%の純度の白色泡状物の化合物103を得た。さらなるクロマトグラフィーにより純度をさらに向上することは不首尾であった。90%の純粋な物質をTHF(2mL)に溶解し、数滴の10%水酸化ナトリウム水溶液で、40℃で8時間処理し、化合物103の完全な変換を得た。反応混合物を水(10mL)で希釈し、酢酸エチル(2x10mL)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、濃縮して白色泡状物を得た。該泡状物を最少量のアセトニトリルに溶解し、水で希釈し、凍結乾燥して、白色固体の化合物103を得た(14mg、35%収率)。キラル純度は、>99% ee (Chiralpak OD 4.6x250mm、10um、70%(ヘキサン+0.1%ジエチルアミン)+30%(イソプロパノール+0.1%ジエチルアミン)、1mL/分、254nm保持時間=7.56分)であることが見いだされた。
実施例3. (R)-3-(4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)-3-(シクロペンチル-d
9)プロパンニトリル(化合物127)の合成
スキーム5. 化合物127の調製
工程1. ジエチル2,2,3,3,4,4,5,5-d8-シクロペンタン-1,1-ジカルボキシレート(47)。エタノール中のジエチルマロネート(6.24mL、41.1mmol)の溶液(40mL)に、エタノール中21wt%のナトリウムエトキシドの溶液(30.7mL、82.2mmol)、次いで1,1,2,2,3,3,4,4-オクタジュートロ(octadeutero)-1,4-ジブロモブタン(46, 9.67g、43.2mmol、CDN同位体、98原子%D)を添加した。得られた溶液を還流で2時間撹拌し、次いで室温に冷却して過剰の水で希釈した。次いで、蒸留により大部分のエタノールを除去し、得られた水溶液を酢酸エチル(3x75mL)で抽出した。有機層を合わせて、ブラインで洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、ろ過して減圧下で濃縮し、黄色油状物の47を得て(9.12g、100%)、これを精製することなく次に持ち越した。
工程2. パージュートロ(perdeutero)シクロペンタン-1-カルボン酸(48)。エタノール中の47(9.12g、41.1mmol)の溶液(20mL)に、5Mの水酸化ナトリウムの溶液(20mL)を添加した、次いでさらなる水(15mL)を添加して、反応物を還流で3時間撹拌した。室温に冷却して、反応物を過剰の水で希釈し、蒸留により大部分のエタノールを除去した。1N HClで水溶液を酸性にし(pH<2)、次いでジエチルエーテル(3x50mL)で抽出した。有機層を合わせて、乾燥させ(Na2SO4)、ろ過して、減圧下で濃縮した。得られた明るいオレンジ色の固体を圧力フラスコに移し、D2O(120mL)を添加した。圧力フラスコを密封し、反応物を160℃で15時間撹拌し、次いで室温に冷却した。反応物を1N HClで希釈し、ジエチルエーテル(3x50mL)で抽出した。有機層を合わせて、乾燥させ(Na2SO4)、ろ過して減圧下で濃縮し、黄色油状物の48を得て(4.58g、90%)、これを精製することなく使用した。
工程3. N-メトキシ-N-メチル(シクロペンタン-d9)カルボキサミド(49)。アセトニトリル中の48(4.58g、37.2mmol)の溶液(60mL)に、0℃でN,O-ジメチル塩酸ヒドロキシルアミン(4.35g、44.6mmol)、TBTU(12.5g、39.1mmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(19.4mL、112mmol)を添加した。反応物を室温で15時間撹拌して、次いで1N HClで希釈し、酢酸エチル(3x50mL)で抽出した。有機層を合わせて、飽和NaHCO3で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、ろ過して減圧下で濃縮した。得られた生成物をカラムクロマトグラフィー(SiO2、0〜50%酢酸エチル/ヘキサン)で精製して、透明油状物の49を得た(3.41g、55%)。MS (ESI) 167.2 [(M + H)+].
工程4. パージュートロシクロペンタン-1-カルボキシアルデヒド(50)。THF中の49(3.41g、20.5mmol)の溶液(80mL)に、0℃で、THF中1MのLiAlH4の溶液(37.0mL、37.0mmol)を滴下した。反応物を室温で1時間撹拌し、次いで0℃で、D2O(1.41mL)、15%NaOD/D2O(1.41mL)およびD2O(4.23mL)の逐次滴下によりクエンチした。クエンチした反応物を室温で30分間撹拌し、次いでCelite(登録商標)を通してろ過し、減圧下で濃縮した。得られた油状物を1N DCl/D2Oで希釈し、ジエチルエーテル(3x50mL)で抽出した。有機層を合わせて、乾燥させ(MgSO4)、ろ過して減圧下で濃縮し、透明油状物の50を得て(1.79g、82%)、これを精製することなく使用した。
工程5. 3-(パージュートロシクロペンチル)アクリロニトリル(51)。THF中のジエチルシアノメチルホスフェート(1.35mL、8.34mmol)の溶液(25mL)に、0℃で、THF中1Mのカリウムtert-ブトキシドの溶液(8.34mL、8.34mmol)を滴下した。反応物を0℃で1時間撹拌した。次いでアルデヒド50(1.79g、16.7mmol)をTHF中の溶液(5mL)として滴下した。反応物を室温で15時間撹拌して、次いで過剰な1:1の水/ブラインで希釈し、MTBE(3x50mL)で抽出した。有機層を合わせて、乾燥させ(Na2SO4)、ろ過して減圧下で濃縮した。有機層を合わせて、乾燥させ(Na2SO4)、ろ過して減圧下で濃縮し、明るいオレンジ色の油状物の51を得て(1.61g、74%)、これを精製することなく使用した。
工程6. (+/-)-(4-(1-(2-シアノ-1-(シクロペンチル-d9)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)メチルピバレート((+/-)52)。アセトニトリル中の37(619mg、2.07mmol、Lin, Q. et al. Org. Lett., 2009, 11, 1999-2002に記載される調製物)の溶液(15mL)に、51(673mg、5.17mmol)、次いでDBU(650μL、4.35mmol)を添加した。反応物を室温で15時間撹拌して、減圧下で濃縮した。得られた粗製の混合物を水で希釈し、酢酸エチル(3x50mL)で抽出した。有機層を合わせて、1N HClで洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、ろ過して減圧下で濃縮した。順相カラムクロマトグラフィー(SiO2、0〜60%酢酸エチル/ヘキサン)での精製により、白色泡状物の(+/-)52を得た(447mg、50%)。1H NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ 8.84 (s, 1H), 8.79 (s, 1H), 8.39 (s, 1H), 7.75 (d, J= 3.7 Hz, 1H), 7.12 (d, J = 3.7 Hz, 1H), 6.24 (s, 2H), 4.53 (dd, J= 9.6, 4.2 Hz, 1H), 3.32 - 3.13 (m, 2H), 1.08 (s, 9H).; MS (ESI) 430.3[(M + H)+].
工程7. (R)-(4-(1-(2-シアノ-1-(シクロペンチル-d9)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)メチルピバレート((R)-52)。ラセミ化合物(+/-)52(162mg)を30mg/mLの濃度でアセトニトリルに溶解し、均一溶媒の方法を使用して、1回の注入当たり1000μLの(+/-)52溶液で、Daicel ChiralPak ADカラム(20x250mm、10μm)上で分取HPLCによりキラル分離に供した:30%イソプロパノール(+0.1%ジエチルアミン)/70%ヘキサン(+0.1%ジエチルアミン)、流速17mL/分。これらの条件下で、ベースライン分離に達し、15.4分で(S)-52が溶出し、20.5分で(R)-52が溶出した。
それぞれのエナンチオマーを含む画分を別々にプールして、濃縮して、61mgの無色のフィルム状物の(S)-52および63mgの無色のフィルム状物の(R)-52を得た。
工程8. (R)-3-(4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)-3-(シクロペンチル-d9)プロパンニトリル(化合物127)。(R)-52(60mg、0.14mmol、1等量)を、20mLのシンチレーションバイアル中でメタノール(2mL)に溶解した。水酸化ナトリウム(0.28mLの1M溶液、0.28mmol、2等量)を添加して、反応混合物を室温で18時間撹拌した。反応混合物を水(10mL)およびブライン(20mL)で希釈した。水性混合物を酢酸エチル(2x20mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(20mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過して濃縮した。粗製の物質を、ジクロロメタン中0〜6%のメタノールで溶出するAnalogix自動化クロマトグラフィーシステムを使用して精製した。生成物画分をプールし、蒸発させて、主要な不純物として不完全な脱保護ヒドロキシメチル中間体を有する約90%の純度の白色泡状物の化合物127(34mg)を得た。さらなるクロマトグラフィーにより純度をさらに向上することは不首尾であった。90%純粋な物質をTHF(2mL)に溶解し、数滴の10%水酸化ナトリウム水溶液で、40℃で8時間処理し、化合物127への完全な変換が得られた。反応混合物を水(10mL)で希釈し、酢酸エチル(2x10mL)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、白色泡状物まで濃縮した。泡状物を最少量のアセトニトリルに溶解し、水で希釈し、凍結乾燥して白色固体の化合物127を得た(19mg、42%収率)。キラル純度は、>99%ee(Chiralpak OD 4.6x250mm、10um、70%(ヘキサン+0.1%ジエチルアミン)+30%(イソプロパノール+0.1%ジエチルアミン)、1mL/分、254nm保持時間=7.55分)であることが見いだされた。
実施例4. CYP3A4 SupersomesTM中の代謝安定性の評価
ヒトCYP3A4 SupersomesTM中の化合物103、107および127の代謝安定性の評価
SUPERSOMESTMアッセイ。試験化合物、化合物103、107、127およびルキソリチニブの10mMのストック溶液をDMSO中に調製した。10mMのストック溶液をアセトニトリル(ACN)中15.6μMに希釈した。ヒトCYP3A4 supersomesTM(1000pmol/mL、BD GentestTMProducts and Servicesから購入)を、3mM MgCl2を含む0.1Mリン酸カリウムバッファー、pH7.4中で62.5pmol/mLに希釈した。希釈したsupersomesを、96ウェルポリプロピレンプレートのウェルに3ヶ所添加した。10μLアリコートの15.6μM試験化合物をsupersomesに添加し、混合物を10分間予備的に温めた。予め温めたNADPH溶液を添加して反応を開始した。最終反応容量は0.5mLであり、50pmol/mL CYP3A4 supersomesTM、0.25μM試験化合物、および0.1Mリン酸カリウムバッファー、pH7.4中の2mM NADPHおよび3mM MgCl2を含んだ。反応混合物を37℃でインキュベートし、50μLのアリコートを0、5、10、20および30分で取出し、内部標準を有する50μLの氷冷ACNを含んだ96ウェルプレートに添加して反応を停止した。プレートを4℃で20分間保存し、その後100mLの水をプレートのウェルに添加し、次いで沈殿したタンパク質をペレットになるまで遠心分離した。上清を別の96ウェルプレートに移し、Applied Bio-systems API 4000質量分析器を使用して、LC-MS/MSにより親の残存物の量について分析した。
データ分析:試験化合物のインビトロ半減期(t1/2値)を、LN(%親残留物)の直線回帰の傾斜 対 インキュベーション時間の関係から計算した:
インビトロt1/2=0.693/k、式中k=-[%親残留物の直線回帰(ln)の傾斜 対 インキュベーション時間]。
この実験の結果を表3および図1に示す。表3に示されるように、ルキソリチニブの半減期は14.5分であると計算された。対照的に、化合物103、107および127のそれぞれは、supersomes中でより安定であり、それぞれ半減期は16.9、17.9および32.0分であると計算された。これは化合物103についてt
1/2の17%増加、化合物107についてt
1/2の23%増加、および化合物127についてt
1/2の121%増加を表す。
実施例5. ヒト肝臓ミクロソーム中の代謝安定性の評価
ミクロソームアッセイ:ヒト肝臓ミクロソーム(20mg/mL)はXenotech, LLC (Lenexa, KS)から入手する。β-ニコチンアミドアデニンリン酸ジヌクレオチド、還元型(NADPH)、塩化マグネシウム(MgCl2)およびジメチルスルホキシド(DMSO)はSigma-Aldrichから購入する。
代謝安定性の測定:試験化合物の7.5mMストック溶液をDMSO中に調製する。7.5mMストック溶液を、アセトニトリル(ACN)中で12.5〜50μMに希釈する。20mg/mLヒト肝臓ミクロソームを、3mM MgCl2を含む0.1Mリン酸カリウムバッファー、pH7.4中0.625mg/mLに希釈する。希釈したミクロソームを、96ウェルの深ウェルポリプロピレンプレートのウェルに3ヶ所添加する。10μLアリコートの12.5〜50μM試験化合物をミクロソームに添加し、混合物を10分間予備的に温める。予め温めたNADPH溶液を添加して反応を開始する。最終反応容量は0.5mLであり、0.5mg/mLのヒト肝臓ミクロソーム、0.25〜1.0μMの試験化合物、ならびに0.1Mリン酸カリウムバッファー、pH7.4, および3mM MgCl2中の2mM NADPHを含む。反応混合物を37℃でインキュベートし、50μLのアリコートを0、5、10、20および30分で取出し、反応を停止するための内部標準を有する50μLの氷冷ACNを含む浅ウェルの96ウェルプレートに添加する。プレートを4℃で20分間保存し、その後100μLの水をプレートのウェルに添加し、沈殿したタンパク質がペレットになるまで遠心分離する。上清を別の96ウェルプレートに移し、Applied Bio-systems API 4000質量分析器を使用してLC-MS/MSにより親残留物の量について分析する。式Iまたは式Aの化合物の非重水素化対応物および陽性対照7-エトキシクマリン(1μM)については同様の手順に従う。試験は3回行う。
データ分析:試験化合物のインビトロt1/2は、%親残留物の直線回帰(ln)の傾斜 対 インキュベーション時間の関係から計算する。
インビトロt1/2=0.693/k
k=-[%親残留物の直線回帰(ln)の傾斜 対 インキュベーション時間]
データ分析はマイクロソフトエクセルソフトウェアを使用して行う。
さらに記載することはないが、前述の記載および例示的な実施例を使用して、当業者は、本発明の化合物を作製し、利用し、特許請求される方法を実施し得るものと信じる。前述の記載および実施例は、特定の好ましい態様の詳細な説明を単に提示するものであると理解されるべきである。本発明の精神および範囲を逸脱することなく、種々の改変および均等物がなされ得ることは当業者には明らかである。