JP6810642B2 - 排気ガス浄化触媒の製造方法 - Google Patents
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Description
DPFによって排ガス中から濾し取られたPMは、そのままであるとDPFに堆積し続けて目詰まりを起こしてしまうことから、排ガスの熱や、エンジンの燃焼室や排ガス中への燃料の噴射によってPMを燃焼させてPMの堆積したDPFを再生している。このような再生を促進する目的で、DPFのセルの隔壁に触媒成分を被覆することがあり、触媒成分を被覆したDPFをCSF(Catalyzed Soot Filter)ということがある。本出願人も、これらの触媒を組み込んだシステムを提案している(例えば、特許文献1参照)。
GPFであれば、高温になるガソリンエンジンの排ガス中のPMを除去することが可能である一方、触媒の製造工程において新たな課題が生じていた。
ウォッシュコートには多様な手法が提案・実施されているが、ハニカム担体の中間位置をクランプで把持した後、下部の一部を液浴に浸漬して触媒成分含有液を含浸させ、該担体をスラリーから引き上げて反転させ、次いで、該担持体にエアーブローして余剰スラリーを分離し、該担体全体に触媒成分含有液を含浸、付着させる方法がある(例えば特許文献5)。その基本原理は「ハニカムセル内部にスラリー化した触媒成分を供給する工程」、「供給されたセル内の触媒スラリーを空気圧で払い出す工程」からなる。「供給されたセル内の触媒スラリーを空気圧で払い出す工程」において、フロースルーハニカムであれば特段の支障なく余剰なスラリーの除去が可能である。また、従来のDPFにおいても緻密な外皮部分を有することから、この場合も余剰スラリーは支障なく除去可能である。
また、自動車触媒成分として高価な貴金属を使用することから、コスト管理の目的からその成分量は厳密に管理されており、外皮部分からスラリーが浸出してしまうと成分量の管理が困難になり、このような成分量のバラツキは製造上の不具合とみなされる。また、自動車触媒の性能は、適切な触媒量の管理によって初めて工業的に実施可能となるが、スラリーが外皮部分に浸出してしまうことで、大量生産時における各ハニカムが担持する触媒量の管理が困難になり、安定した浄化性能の実現が極めて困難であった。
しかし、このようにセルの隔壁と外皮部分を同質にすると、外皮部分も多孔質で形成することになり、触媒スラリーをウオッシュコートする際にスラリーが外皮部分に浸出してしまうことは前述のとおりである。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、複数のセルを形成する多孔質の隔壁と、気孔率が30%以上である多孔質の外皮部分からなり、上下に開口端部を有するハニカム担体のセル内に、触媒成分を担持した排気ガス浄化触媒の製造方法であって、
前記ハニカム担体の外周部に弾性把持治具を当接させ、弾性体でハニカム担体を把持する第1の工程と、触媒成分を含むスラリー液浴にハニカム担体の下端を浸漬した後、ハニカム担体上端を含む空間を減圧することでセル内を減圧して、スラリー液を吸い上げる第2の工程と、触媒成分の含浸されたハニカム担体をスラリー液浴から引き上げ、必要により反転させる第3の工程と、ハニカム担体の上方からエアーブローさせて、セル内に触媒成分を被覆する第4の工程と、ハニカム担体から弾性把持治具を分離する第5の工程と、引き離されたハニカム担体を乾燥後、焼成して触媒成分を担持する第6の工程を含み、前記ハニカム担体の把持工程において、弾性把持治具によるハニカム担体の把持は、前記空間内のハニカム上端側の露出長さが弾性体の上端からハニカム全長の3分の1以内の長さになるような位置を弾性体で把持し、次のスラリー液吸い上げ工程で、負圧の影響を受けるハニカム部位が短くなり、ハニカム外皮から触媒スラリーの浸みだしが抑制されることを特徴とする排気ガス浄化触媒の製造方法が提供される。
その後、ハニカム担体から弾性把持治具を分離する第10の工程と、分離されたハニカム担体を乾燥後、焼成して触媒成分を担持する第11の工程を含むことを特徴とする排気ガス浄化触媒の製造方法が提供される。
本発明で用いられるハニカム担体(ハニカム構造体ともいう)は、図5に示すように、複数のセルを形成する多孔質の隔壁と、気孔率が30%以上である多孔質の外皮部分からなり、上下に開口端部を有するハニカム状の基材1である。
ハニカム担体は、その構造の特徴から、フロースルー型(フロースルーハニカム)とウォールフロー型(ウォールフローハニカム)に大別されている。フロースルー型は、一方の開放端面から他方の開口端面に向けて開口する多数の通孔端部が封止されておらず、酸化触媒、還元触媒、三元触媒に広く用いられている。これに対し、ウォールフロー型は、通孔の一端が、互い違いに封止されているもので、排気ガス中の煤やSOF(Soluble Organic Fraction:可溶性有機成分)等、固形成分を濾し取ることができるため、DPFとして用いられている。本発明はそのどちらにも使用できるが、GPFのような多孔質の外周壁を有するハニカム状の基材では、製造時に触媒スラリーが外皮部分に浸出することを防止できることから、特にGPFに用いられるウォールフローハニカムに好適に使用できる。
また、隔壁と外皮部分とは、材質が同じであっても異なるものでもよい。GPFでは同質材料により形成されることが好ましい。同質材料とはサーマルショックによるクラック発生が防げる程度の熱膨張率や気孔率の差の範囲である材料のことを示す。さらに、同一材料による一体成型で製造されることが好ましい。効率的な製造が可能であり、材料の違いによる問題を回避できるためである。また、高温となるガソリンエンジン用触媒では熱膨張率の差によりクラックが生じるなどの問題も懸念される。このため、隔壁と外皮部分とは、熱膨張率の同じものであるか、一体成型のものが好ましい。
また、目封止部の材質は、ハニカム基材の材質と同様な材質が好ましい。目封止部の材質とハニカム基材の材質とは、同じ材質でも、異なる材質であってもよい。
本発明におけるハニカム構造体は、セルの隔壁、外皮部分の細孔容積は0.3〜1.6 ml/gである場合に有効であり、0.8〜1.6 ml/gであることが好ましく、1.0〜1.6 ml/gであるとより好ましい。また、ハニカム基材(隔壁及び外周壁)の平均細孔径は10〜25μmである場合に有効であり、15〜25μmであることが好ましく、20〜25μmであるとより好ましい。
また、このような細孔の特性は、気孔率(細孔容積率)として表すこともできる。本発明におけるハニカム構造体の気孔率とは、セルの隔壁と外周壁の厚みと長さ、セルの密度から求められる多孔質体の幾何学的な体積における細孔容積の占める割合を意味するものであり、本発明においては50〜80%であり、60〜80%が好ましく、60〜70%がより好ましい。
細孔容積、細孔系、気孔率が大きすぎるとハニカム担体の圧力損失が高くなりすぎて、GPFとして用いた場合に、エンジンの出力低下を招くことがある。また、細孔容積、細孔系、気孔率が小さすぎると十分な強度が得られないことがある。
ハニカム基材の外周壁の厚さは、300〜1000μmであることが好ましく、500〜800μmであることが特に好ましい。外周壁の厚さが300μm未満であると、十分な強度が得られないことがある。また、外周壁の厚さが1000μmを超えると、ハニカム構造体の圧力損失が高くなりすぎて、GPFとして用いた場合に、エンジンの出力低下を招くことがある。
100セル/inch2(15.5セル/cm2)未満では幾何学的表面積が小さくなるため、触媒の有効使用率が低下してしまい排気ガス浄化触媒としての有用性がなくなるおそれがある。また、GPFとして用いた場合に、フィルターとしての有効面積が不足して、PM堆積後の圧力損失が高くなり、エンジンの出力低下を招くことがある。
セル隔壁および外皮部分には多数の細孔が存在している。セルを複数有するハニカム隔壁、外皮の気孔率は、30%以上であり、50〜80%が好ましく、60〜70%がより好ましい。また気孔径は、10〜30μmが好ましく、15〜25μmであることがより好ましい。なお、本発明において、気孔率の測定法は、特に限定されないが水銀ポロシメーターによる計測法が挙げられる。
また、セルのハニカム基材の長さ方向に対して垂直な断面における形状(以下、「セル形状」という。)も特に限定されないが、四角形、六角形、八角形等の多角形あるいはそれらを組み合わせたもの、例えば四角形、六角形、四角形と八角形を組み合わせたもの等が好ましい。
なお、ハニカム基材の大きさは、直径60mm程度かつ長さが70mmのように比較的小ぶりなものから、直径300mm程度かつ長さが200mmのように大型なものもあり、本発明は、これらサイズによって制限されない。
このように両端部にシーラー処理を施す事は必須ではないが、仮に製造上の問題で触媒スラリー吸引時にハニカムの外周壁の端部が負圧雰囲気に露出することになっても触媒スラリー浸出を防ぐことができる。
このように、ハニカム基材の各セルの一方の開口端部を目封止部にて目封止することにより、ハニカム構造体は、高いPM捕集効率を持ったウォールフロー型フィルターとなる。このウォールフロー型フィルターにおいては、入口端面からセル内に流入した排ガスが、隔壁を透過した後、出口端面からセル外に流出する。そして、排ガスが隔壁を透過する際に、隔壁が濾過層として機能し、排ガス中に含まれるPMが捕集される。
尚、目封止部は、入口端面と出口端面とが、それぞれ、目封止部によって開口端部が目封止されたセルと、目封止部によって開口端部が目封止されていないセルとにより、互い違いの市松模様を呈する配置となるように形成されることが好ましい。しかし、本発明の実施形態は、このようなウォールフロー型フィルターに限られるものでは無い。
本発明の排気ガス浄化触媒の製造方法は、複数のセルを形成する多孔質の隔壁と、気孔率が30%以上である多孔質の外皮部分からなり、上下に開口端部を有するハニカム担体のセル内に、触媒成分を担持した排気ガス浄化触媒の製造方法であって、前記ハニカム担体の外周部に弾性把持治具を当接させ、弾性体でハニカム担体を把持する第1の工程と、触媒成分を含むスラリー液浴にハニカム担体の下端を浸漬した後、ハニカム担体上端を含む空間を減圧することでセル内を減圧して、スラリー液を吸い上げる第2の工程と、触媒成分の含浸されたハニカム担体をスラリー液浴から引き上げ、必要により反転させる第3の工程と、ハニカム担体の上方からエアーブローさせて、セル内に触媒成分を被覆する第4の工程と、ハニカム担体から弾性把持治具を分離する第5の工程と、引き離されたハニカム担体を乾燥後、焼成して触媒成分を担持する第6の工程を含み、
前記ハニカム担体の把持工程において、弾性把持治具によるハニカム担体の把持は、前記空間内のハニカム上端側の露出長さが弾性体の上端からハニカム全長の3分の1以内の長さになるような位置を弾性体で把持し、次のスラリー液吸い上げ工程で、負圧の影響を受けるハニカム部位が短くなり、ハニカム外皮から触媒スラリーの浸みだしが抑制されることを特徴とする。
また、こうした触媒製造上の不具合のみならず、正確な触媒担持量の制御が出来なくなり、浸みだした触媒組成物のスラリーは、ハニカム構造体における排ガス浄化に有利な表面であるセルの隔壁には担持されないことになり、通常貴金属を多く使うTWCなどでは高価な貴金属を無駄にすることになり、コスト的にも不利になる。
本発明では、前記ハニカム担体の外周部に弾性把持治具を当接させ、弾性体でハニカム担体を把持する第1の工程と、触媒成分を含むスラリー液浴にハニカム担体の下端を浸漬した後、ハニカム担体上端を含む空間を減圧することでセル内を減圧して、スラリー液を吸い上げる第2の工程と、触媒成分の含浸されたハニカム担体をスラリー液浴から引き上げ、必要により反転させる第3の工程と、ハニカム担体の上方からエアーブローさせて、セル内に触媒成分を被覆する第4の工程と、ハニカム担体から弾性把持治具を分離する第5の工程と、引き離されたハニカム担体を乾燥後、焼成して触媒成分を担持する第6の工程を含み、
前記ハニカム担体の把持工程において、弾性把持治具によるハニカム担体の把持は、前記空間内のハニカム上端側の露出長さが弾性体の上端からハニカム全長の3分の1以内の長さになるような位置を弾性体で把持し、次のスラリー液吸い上げ工程で、負圧の影響を受けるハニカム部位が短くなり、ハニカム外皮から触媒スラリーの浸みだしが抑制されるようになる。
まず、図1のように、ハニカム担体の外周部に弾性把持治具を当接させ、弾性体でハニカム担体を把持する。
弾性把持治具の弾性体でハニカム担体を把持しながら、図1の矢印2,3のように、触媒成分を含むスラリー液浴にハニカム担体の下端を浸漬した後、ハニカム担体上端を含む空間を減圧することでセル内を減圧して、スラリー液を吸い上げる。
スラリー組成であるが、三元系触媒(TWC)の場合は、プラチナ(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)等の貴金属を主とする触媒成分が用いられる。貴金属等の触媒は、セル隔壁に高分散状態で担持させるため、予めアルミナのような比表面積の大きな耐熱性無機酸化物に一旦担持させた後、ハニカム担体のセル隔壁に担持させることが好ましい。尚、触媒を担持させる耐熱性無機酸化物としては、アルミナ以外に、耐熱性を向上させる成分、酸素を吸蔵し放出する成分として、用途によってはゼオライト等を用いることもできる。また、貴金属等の触媒は、Ce、Zr、あるいはこれらの複合酸化物等からなる助触媒に固定化した上で、ハニカムのセル隔壁に担持させてもよい。
アルミナなどの粒子に担持された貴金属成分は、水媒体に分散し、必要に応じて増粘材などの添加剤を含むスラリーとして液槽に蓄えられている。このような成分を含むスラリーは泥漿状であることから粘着性を有し、それが、バルーンなど弾性体の固着の原因ともなっている。
これに対して、本発明では、ハニカムの軸線の長さ全体がコートできる量のスラリーを供給することを除外するわけではないが、減圧度を調整してスラリー吸引量を控えめにするとか、弾性体に対してハニカム担体上端を含む減圧空間内のハニカム上端側の露出長さを短くすると、スラリーの浸み出し部分が小さくなり、仮にスラリーを上端近くまで吸い上げても、ハニカム外皮部分からのスラリー浸み出しが少なくなる。
触媒成分の含浸されたハニカム担体は、図1の矢印3のように、スラリー液浴から引き上げ、必要により反転させる。
弾性把持治具の駆動部を操作して反転させることができ、この反転操作を行えば、一層確実にスラリーの浸みを抑制しうる。
次に、図1の矢印6のように、ハニカムを把持した弾性把持治具の上部にフードを被せて、ハニカム担体の上方からエアーブローする。
なお、エアーブローによってハニカム下端から出てくるスラリー余剰分は、組成の変化を防ぐために前記スラリー液槽に戻さず、別の液槽に受け入れることが好ましい。
その後、図4(A)に示すように、ハニカムを把持した弾性把持治具を移動させ、ハニカム担体から弾性把持治具を分離する。スラリー塗工後のハニカムは、把持部がバルーンであれば空気を抜けば収縮するので分離され、軟質の樹脂であれば機械的に後退させることで分離される。
がハニカムとの固着も弱く容易に分離する。
GPF用担体の外皮は空隙率が高く、DPF用担体に比べても脆く、端部で把持すると破壊の恐れが有るが、分離が容易なので破壊することはなくなる。
1回コートでは、最後にハニカム担体を乾燥後、焼成して触媒成分を担持する。これにより一層で触媒がハニカム担体に担持される。
ここで、乾燥・焼成の条件は、特に制限されないが、乾燥は例えば100〜200℃で0.1〜3時間かけて行い、焼成は例えば酸化性雰囲気下、400〜600℃で0.5〜5時間かけて行うのが好ましい。
本発明は、上記1回目のコートにより得られた触媒に対して、同様な操作を行ってハニカム触媒を製造する方法である。
弾性把持治具の弾性体によるハニカム担体の把持位置を前記下端が新たに上端になるように変え、弾性把持治具によるハニカムの把持位置は、前記空間内のハニカムの新たな上端側の露出長さが弾性体の上端からハニカム全長の1/3以内となるように弾性体で把持し、再度、触媒成分を含むスラリー液浴にハニカム担体の新たな下端を浸漬した後、ハニカム担体上端を含む空間を減圧することでセル内を減圧して、スラリー液を吸い上げる第7の工程と、触媒成分の含浸されたハニカム担体をスラリー液浴から引き上げ、必要により反転させる第8の工程と、ハニカム担体の上方からエアーブローして、セル内に触媒成分を被覆する第9の工程を繰り返し、
その後、ハニカム担体から弾性把持治具を分離する第10の工程と、分離されたハニカム担体を乾燥後、焼成して触媒成分を担持する第11の工程を行うものである。
このような2回コートによれば、触媒成分をセルの隔壁の表と裏で二種類の触媒層を設ける事もできる。
この工程以降のハニカム構造型触媒の製造方法を図2に示す。まず、前記第2の工程から前記第4の工程を行ってハニカム担体のセル内に触媒成分を被覆し、下端に塗り残しがみられるハニカムを弾性把持治具の弾性体によって、適切な位置で把持しなおす。このとき弾性把持治具により、弾性体の上端がスラリー液の吸い上げ方向に対してハニカム上端側の露出長さが、前記空間内おいて弾性体の上端からハニカム全長の1/3以内となるように弾性体で把持するのが好ましい。
この他に、いったんハニカムを作業台に下して、回転させてから弾性体でつかむという方法も考えられるが、手間が増えるので好ましくない。
その後、図2の矢印7,8のように、再度、触媒成分を含むスラリー液浴にハニカム担体の下端を浸漬した後、ハニカム担体上端を含む空間を減圧することで、セル内にスラリー液を吸い上げる。残スラリーは組成、濃度が変化してしまっていて、そのままでは再使用出来ないため新たに調製されたスラリー液槽が使用される。
次に、図2の矢印9のように、触媒成分の含浸されたハニカム担体をスラリー液浴から引き上げ、必要により反転させた後、図2の矢印11のように、ハニカム担体の上方からエアーブローして、セル内に触媒成分を被覆する。
この工程は、1回目コートの要領と全く同じである。
前記のとおりスラリーの成分には、触媒材料をセル内に被着しやすくする粘着性の物質も含まれており、それが、弾性把持治具の弾性体であるバルーンなどの固着の原因ともなっていたが、本発明ではハニカム端部の特定箇所で把持するので、バルーンとの接触部で圧力変動を受けにくいことも相まって、固着の領域を広げることはない。
(1)コージェライト製ウォールフローハニカム構造体(直径120mm、長さ90mm)をGPF用のハニカム担体として用い、図1の要領で、ハニカム担体1の外周部において、上端部を弾性把持治具(バルーン)2に当接し、バルーンの上端からハニカムの先端が5mmほど露出するように把持する。図1では、弾性体2が椀状に表記されているが、タイヤホース様で、ハニカムの外周面に密着把持される。ハニカムの上方は気密性のある空間になっている。なお、図示していないが弾性把持治具には減圧装置が接続されている。
触媒スラリー液槽6内には、液量が一定になるよう触媒スラリー液で満たされている。触媒スラリー液は、貴金属のRhをアルミナに担持した三元系触媒(TWC)成分を水でスラリー化したものなどが用いられる。
なお、従来の方法では特にハニカム担体の把持位置に制限が無く、製造上の取り扱いの容易さから、図3の矢印2で示されるようにハニカム中間部を把持することが多かった。そのために、GPF用のハニカム担体のように外皮の空隙率が高い担体では、吸引でハニカム上端に10mm程度の塗り残しが生じるようにスラリーを吸引したとしても、その吸引中に弾性体から上部にかけて多量のスラリーの浸みが発生していた。このようにハニカムセル内に負圧がかかり、その吸引圧力が強い時には、吸引の影響を受ける部位でスラリーが浸出する。
本発明では、ハニカムの端部かその若干下部を把持するので、吸引圧力が強い時でも、吸引の影響を受ける部位が少なくスラリーの浸出量も少ない。
(7) 本発明の異なる実施形態では、上記の実施態様1で触媒スラリーがセル内に塗布されたハニカムを用いて、乾燥・焼成を行わずに、同様な操作を繰り返す。図2の要領で、ハニカム担体1の外周部において、上端部を弾性把持治具(バルーン)2に当接するが、第1の工程でバルーンの上端からハニカムの先端が5mmほど露出するように把持したので、ハニカムから弾性把持治具を容易に分離できている。この工程でのハニカム再把持は、第1の工程と同様にバルーンの上端からハニカムの先端が5mmほど露出するようにしてもよいし、露出幅が10〜15mmほど大きい、やや中央寄りを把持するようにしてもよい。
なお、従来の方法では、図3の矢印7で示されるように、ハニカム中間部を把持していた。そのために、吸引でハニカム上端に10mm程度の塗り残しが生じるようにスラリーを吸引したとしても、その吸引中に弾性体から上部にかけて多量のスラリーの浸みが再び発生していた。このようにハニカムセル内に負圧がかかり、その吸引圧力が強い時には、吸引の影響を受ける部位でスラリーが浸出する。
本発明では、ハニカムの端部かその若干下部を把持するので、吸引圧力が強い時でも、吸引の影響を受ける部位が少なくスラリーの浸出量も少ない。
(1)上記の実施態様1で用いたコージェライト製ウォールフローハニカム構造体(直径120mm、長さ90mm)の代わりに、サイズが大きいコージェライト製ウォールフローハニカム構造体(直径300mm、長さ300mm)をGPF用のハニカム担体として用い、図1の要領で、ハニカム担体の外周部において、上端部を弾性把持治具(バルーン)に当接しバルーンの上端からハニカムの先端が10mmほど露出するように把持する。ハニカムが大型なので、把持位置をやや中間側にして安定的に把持できるようにする。
2:弾性把持治具(バルーン)
4:露出端部
5:スラリーの浸み
6:スラリー液槽
7:フード
8:塗り残し部
Claims (7)
- 複数のセルを形成する多孔質の隔壁と、気孔率が30%以上である多孔質の外皮部分からなり、上下に開口端部を有するハニカム担体のセル内に、触媒成分を担持した排気ガス浄化触媒の製造方法であって、
前記ハニカム担体の外周部に弾性把持治具を当接させ、弾性体でハニカム担体を把持する第1の工程と、触媒成分を含むスラリー液浴にハニカム担体の下端を浸漬した後、ハニカム担体上端を含む空間を減圧することでセル内を減圧して、スラリー液を吸い上げる第2の工程と、触媒成分の含浸されたハニカム担体をスラリー液浴から引き上げ、必要により反転させる第3の工程と、ハニカム担体の上方からエアーブローさせて、セル内に触媒成分を被覆する第4の工程と、ハニカム担体から弾性把持治具を分離する第5の工程と、引き離されたハニカム担体を乾燥後、焼成して触媒成分を担持する第6の工程を含み、
前記ハニカム担体の把持工程において、弾性把持治具によるハニカム担体の把持は、前記空間内のハニカム上端側の露出長さが弾性体の上端からハニカム全長の3分の1以内の長さになるような位置を弾性体で把持し、次のスラリー液吸い上げ工程で、負圧の影響を受けるハニカム部位が短くなり、ハニカム外皮から触媒スラリーの浸みだしが抑制されることを特徴とする排気ガス浄化触媒の製造方法。 - 前記排気ガス浄化触媒の製造方法において、前記ハニカム担体を把持する第1の工程で、弾性把持治具により、弾性体の上端がスラリー液の吸い上げ方向に対してハニカム上端側の露出長さが、前記空間内において弾性体の上端からハニカム全長の1/3以内となるように弾性体で把持し、前記第2の工程から前記第4の工程を行ってハニカム担体のセル内に触媒成分を被覆した後、
弾性把持治具の弾性体によるハニカム担体の把持位置を前記下端が新たに上端になるように変え、弾性把持治具によるハニカムの把持位置は、前記空間内のハニカムの新たな上端側の露出長さが弾性体の上端からハニカム全長の1/3以内となるように弾性体で把持し、再度、触媒成分を含むスラリー液浴にハニカム担体の新たな下端を浸漬した後、ハニカム担体上端を含む空間を減圧することでセル内を減圧して、スラリー液を吸い上げる第7の工程と、触媒成分の含浸されたハニカム担体をスラリー液浴から引き上げ、必要により反転させる第8の工程と、ハニカム担体の上方からエアーブローして、セル内に触媒成分を被覆する第9の工程を繰り返し、
その後、ハニカム担体から弾性把持治具を分離する第10の工程と、分離されたハニカム担体を乾燥後、焼成して触媒成分を担持する第11の工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の排気ガス浄化触媒の製造方法。 - 前記弾性把持治具は、弾性体の上端がハニカムの全長1/10以内の位置、あるいはハニカム上端の下方10mm以内の位置のうち、ハニカム上端の露出長さがより短くなる位置において弾性体で把持することを特徴とする請求項1又は2に記載の排気ガス浄化触媒の製造方法。
- 前記ハニカム担体は、外皮部分の気孔率が、50〜80%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の排気ガス浄化触媒の製造方法。
- 前記ハニカム担体の外皮部分は、水銀ポロシメーターにより測定される平均細孔径が、10〜30μmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の排気ガス浄化触媒の製造方法。
- 前記ハニカム担体のセルは、入口端面側の開口端部及び出口端面側の開口端部に目封止部を有し、該目封止部が互い違いに配置されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の排気ガス浄化触媒の製造方法。
- 前記触媒成分は、Pt、Pd、Rhから選ばれる1種以上の貴金属元素を含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の排気ガス浄化触媒の製造方法。
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