『概要』
以下、発明を実施するための形態(実施形態)について、3つの実施形態(第1、第2及び第3実施形態)を例示して説明する。
『第1実施形態』
まず、第1実施形態の締結システム10(図1参照)について、構成、動作、効果の順で説明する。
≪構成≫
第1実施形態の締結システム10(図1参照)は、供給装置12と、締結装置14と、輸送ホース16と、を含んで構成されている。ここで、輸送ホース16は、輸送部の一例である。供給装置12は、一例として締結装置14よりも高さ方向(図中H方向)の上方に配置されている。輸送ホース16は、一例として可撓性とされ、上端が供給装置12に、下端が締結装置14に連結されている。締結システム10は、輸送ホース16によりねじSを供給装置12から締結装置14に輸送して、締結装置14によりねじ締結物18(図7参照)を製造する機能を有する。
ここで、ねじSは、部品の一例である。本実施形態のねじSは、一例として雄ねじとされている。また、本実施形態のねじ締結物18は、一例として、図7に示されるように、ねじSの頭S1と板18Bとで板18Aを挟んで、ねじSを板18Bに締結させたものをいう。別言すれば、本実施形態のねじ締結物18は、一例として、ねじSで複数の部材(板18A及び板18B)を締結して製造されたものをいう。そのため、板18Aには、ねじSの軸S2の径よりも大きくかつ頭S1の径よりも径が小さい貫通穴18A1が形成されている。また、板18Bには、軸S2のねじ山(ねじ溝)に嵌め合わされるねじ穴18B1が形成されている。なお、頭S1には、一例として十字溝が形成されている。
なお、本明細書における「供給」とは、供給装置12から輸送ホース16にねじSを受け渡すこと(狭義の供給)、供給装置12から輸送ホース16を介して締結装置14にねじSを受け渡すこと(広義の供給)をいい、本明細書では、何れの場合も「供給」として説明する。
以下、締結システム10の構成を各構成要素に分けて、図面を参照しつつ説明する。
<供給装置の構成>
供給装置12は、ねじSを輸送ホース16に定められた姿勢で供給する機能を有する。本実施形態における定められた姿勢とは、ねじSの頭S1が上方である姿勢とされている。供給装置12は、図2に示されるように、容器20と、駆動系24と、羽根26と、シャフト30と、接触部材40と、コイルバネ90と、支持体95と、を含んで構成されている。
[容器及び駆動系]
容器20は、輸送ホース16に供給するねじSを収容する機能を有する。容器20は、図2及び図3Aに示されるように、一例として、一端側が開口する有底の筒とされている。すなわち、容器20は、有底とされている。容器20は、軸心Oを中心とする円筒21と、円筒21の他端側に配置された円板22とを有している。円板22には、軸心Oを中心とする径D1の貫通穴22Aが形成されている。ここで、円板22は、底の一例である。
駆動系24は、容器20を軸周りに(軸心Oを中心として)回転する機能を有する。ここで、駆動系24は、回転機の一例である。図2及び図3Aにおける矢印Rは、容器20の回転方向を示している。駆動系24は、図2及び図3Aに示されるように、歯車24Aと、軸受24Bと、駆動源(図示省略)と、を有している。歯車24Aは、径D2の貫通穴が形成され、円板22の外側の面に、軸心Oを中心として固定されている。軸受24Bは、外径D2、内径D3(>径D1)の玉軸受とされており、外周側で歯車24Aの貫通穴に、内周側でシャフト30の外周に嵌め込まれている。そして、駆動源により歯車24Aが駆動されると、容器20は軸周り(軸心Oを中心として)に回転するようになっている。
なお、容器20は、図2に示されるように、円板22が下方となるように、水平方向(高さ方向に対して直交する方向)に対して傾斜した状態で配置されている。そのため、容器20は、ねじSを円板22が配置されている側に寄せた状態で収容している。ここで、駆動系24の一例としては、電動モータ(図示省略)と、当該電動モータの回転軸に固定された歯車(平歯車)とを有するものがある。この場合、当該歯車は、歯車24Aと組み合わせられて、当該電動モータの駆動力を容器20に伝達するようになっている。
[羽根]
羽根26は、容器20とともに軸心Oの周りを回転して、容器20内のねじSを軸心O(シャフト30)よりも上方まで運ぶ機能を有する。羽根26は、図2及び図3Aに示されるように、容器20内に配置されている。羽根26は、軸心Oと直交する方向から見ると長方形とされ、円筒21と円板22とに接触している(図2参照)。また、羽根26は、軸Oに沿う方向(軸方向)から見ると、回転方向下流側が湾曲状に凹んでいる。すなわち、羽根26における回転方向下流側には、上流側に凹んでいる湾曲面26Aが形成されている。なお、羽根26における円筒21に接触する部分は、円筒21に接着されて固定されている。そして、羽根26は、容器20の回転に伴い、ねじSを湾曲面26Aに載せて、軸心O(シャフト30)よりも上方まで運ぶようになっている。
[シャフト]
シャフト30は、円板22が下方となるように容器20を傾斜させた状態で容器20を軸周りに(軸心Oを中心として)回転可能に支持する機能を有する。別言すれば、シャフト30は、容器20を円板22が下となる傾斜姿勢で軸周りに(軸心Oを中心として)回転可能に支持する機能を有する。ここで、シャフト30は、軸体の一例である。シャフト30は、図2に示されるように、高さ方向(又は水平方向)に対して傾斜した状態で配置されている。そして、シャフト30は、軸受24B及び歯車24Aを介して、容器20を回転可能に支持している。また、シャフト30は、貫通穴22Aを通って一部(一端側)が容器20内に配置されている。すなわち、シャフト30は、円板22を貫通している。
シャフト30は、径D3の棒状の部材とされている。シャフト30は、図2に示されるように、容器20の内側(内)から外側(外)に亘る上方側の部分がねじSの頭S1の厚みよりも大きく凹んでいる。シャフト30における当該凹んでいる部分には、軸方向に沿う長尺な平面32が形成されている。また、シャフト30の平面32が形成されている部分であって、容器20の内側の端から円板22を越えて外側の端に至る手前までの部分には、長手方向(軸方向)に亘って上方を向いて(上向きに)開口する長尺な溝34が形成されている。溝34のシャフト30の軸方向から見た断面形状は、図3Aに示されるとおり、矩形状とされている。
ここで、溝34におけるシャフト30の軸方向から見た幅は、図3Aに示されるように、ねじSの頭S1の径よりも狭く、かつ、軸S2の径よりも広い。また、溝34の深さは、図2及び図3Aに示されるように、軸S2の長さよりも深い。以上の関係により、シャフト30は、溝34に軸S2を挿入させ、かつ、平面32で頭S1を支持した状態(以下、定められた保持状態という。)で、ねじSを保持可能に構成されている。さらに、前述のとおり、平面32はシャフト30の軸方向に沿って傾斜していることから、シャフト30は、保持したねじSを自重により上方から下方に通すようになっている。以上のとおり、シャフト30は、容器20の内から外に亘って上向きに開口し、ねじSを通す溝34が形成されている。
シャフト30の平面32が形成されている部分であって、軸方向における溝34が形成されていない部分には、平面32に直交し、ねじSの頭S1の径よりも径の大きい貫通穴36が形成されている。そのため、シャフト30は、容器20の内側から外側に移動して貫通穴36が形成されている部位まで到達したねじSを自重で落下させるようになっている。なお、貫通穴36には、輸送ホース16の一端部が嵌め込まれて固定されている。
[接触部材及びコイルバネ]
接触部材40は、接触部の一例であり、図2に示されるように、一例として、板材で形成されている。接触部材40の厚みは、例えば、ねじSの頭S1の径の半分以下の厚みとされている。
この接触部材40は、図2及び図3Aに示されるように、容器20の内側に配置されている。具体的には、接触部材40は、一端部が、円板22における円筒21側(シャフト30から離れた側)に、支持部49によって支持部49の軸周りに回転可能(揺動可能)に支持されている。
接触部材40は、図3Aに示されるように、支持部49からシャフト30側(円板22の中心側)へ延び出ており、支持部49からシャフト30側へ向かって長さを有している。接触部材40における長さ方向X(長手方向X)と交差する短手方向Yの幅は、ねじSの軸方向長さと同程度か、当該軸方向長さよりも少し広くされている。
接触部材40は、短手方向Y(幅方向Y)の一方側であって、容器20の回転方向下流側に配置された端面42が、シャフト30における容器20の内側に配置されている部分であって溝34が形成されている被接触部分39(部分の一例)に接触している。すなわち、端面42がシャフト30と接触する接触面の一例である。そして、接触部材40は、容器20の回転により、端面42が、被接触部分39に接触しながらシャフト30の軸心O周りに回転する。
ここで、「シャフト30における溝34が形成されている被接触部分39」とは、シャフト30の軸方向において溝34が形成されている範囲であって、該範囲における周方向の全域の部分を意味する。したがって、当該被接触部分39は、溝34が形成された平面32と、平面32からシャフト30の周方向に連続する円弧面38と、平面32と円弧面38との境界に配置された稜線33、35と、を含んでいる。
接触部材40は、短手方向Y(幅方向Y)の他方側であって、容器20の回転方向上流側に配置された端面46が、シャフト30に接触しない非接触面とされている。
接触部材40の端面42には、シャフト30の軸方向視にて、湾曲状(R状)の面取部44が形成されている。接触部材40は、図2及び図3Bに示されるように、面取部44を含む先端部41が円板22から立ち上がるように、長さ方向の中間部で折り曲げられている。なお、面取部44としては、平面状(直線状)に面取りされた構成(C面取り)であってもよい。
先端部41の上面は、シャフト30の径方向の外側を向き且つ回転方向Rの下流側を向いている(図2参照)。この先端部41の上面が、ねじSをどかす(掻き落とす)機能を有している。先端部41よりも基端側(支持部49側)の基端側部分45は、図2及び図3Bに示されるように、円板22に接触している。先端部41は、円板22から離れており、円板22との間に隙間を有している。ここで、基端側部分45は、接触部分の一例であり、先端部41は立ち上がり部分の一例である。
そして、接触部材40の軸心O周りの回転により、図3Cに示されるように、先端部41と基端側部分45との境界43における端面42側の端部43Aが、溝34の開口面34A上を開口面34Aに沿って通過する。開口面34Aは、溝34の開口(上端)の面であり、平面32と同一面をなしている。なお、図3Cにおいて、二点鎖線で示す接触部材40は、接触部材40が軸心O周りに回転した際の移動軌跡を示すものである。
コイルバネ90は、弾性部材の一例であり、図2及び図3Aに示されるように、容器20の内側に配置されている。コイルバネ90の一端は、支持部49(接触部材40)に対する回転方向Rの下流側で円板22に固定されている。コイルバネ90の他端は、接触部材40の先端部41に固定されている。これにより、コイルバネ90は、その弾性力により、接触部材40をシャフト30側へ引っ張っている。なお、弾性部材としては、弾性力により、接触部材40をシャフト30側へ押す構成(例えば、圧縮ばね等)であってもよい。
接触部材40は、前述のように、端面42が被接触部分39に接触しながら回転することで、シャフト30に対して定められた保持状態で保持されているねじS以外のねじS(例えば、図3D及び図3Eに示されるように、頭S1が溝34に引っ掛かっている状態のねじS等)をどかす(掻き落とす)機能を有する。
[支持体]
支持体95は、図1及び図2に示されるように、シャフト30を傾斜した状態で支持する機能を有する。支持体95は、L字状に曲がった部材とされており、シャフト30における容器20の外側の部分に固定されている。支持体95は、シャフト30の軸方向と直交する方向の上方に延びて、シャフト30の軸方向に沿って、容器20側に曲がって延びている。支持体95における容器20側に延びている部分には貫通穴95Aが形成されており、供給装置12は、貫通穴95Aを通された紐96により吊るされている。なお、供給装置12の容器20内には、複数のねじSが収容されるようになっているが、ねじSの量に関わらず、支持体95は、シャフト30(及び容器20)が傾斜した状態で支持するように設定されている。
以上が、第1実施形態の供給装置12の構成についての説明である。
<締結装置の構成>
締結装置14は、輸送ホース16を介して供給装置12から供給されたねじSを用いて、頭S1と板18Bとで板18Aを挟んで、ねじSで板18Aと板18Bとを(複数の部材を)締結させる機能を有する。締結装置14は、図4、図5、図6及び図7に示されるように、ドライバー50と、取付部60と、コイルばね65と、筒部70と、カム部80と、を含んで構成されている。なお、本実施形態の締結装置14は、一例として作業者により手で(手動で)操作されるものとされている。また、本実施形態の締結装置14は、作業者がドライバー50の先端部(後述する先端部54A)を下方に向けた状態で操作されるものとされている。
[ドライバー]
ドライバー50は、ハンドル52と、軸部54と、を含んで構成されている(図1、図4、図5、図6及び図7参照)。ここで、軸部54は、棒体の一例である。ドライバー50は、(作業者により操作されることにより、)その軸方向に移動し、その先端部(先端部54A)にねじSの頭S1を嵌めて、軸周りに回転しながら、ねじSで板18Aと板18Bとを(すなわち、複数の部材を)締結させる機能を有する。軸部54は、ドライバー50の軸方向の移動に伴い移動し、ねじSを(軸周りに)回転させる機能を有する。ハンドル52は、作業者が手で持つための部材(部分)とされ、図1に示されるように、長尺の円柱状とされている。軸部54は、ハンドル52の長手方向に沿って、一端側がハンドル52内に固定されて、ハンドル52からはみ出している(図示省略)。軸部54におけるハンドル52からはみ出した側の先端部54Aには、ねじSの頭S1の十字溝に嵌る十字の突起が形成されている。すなわち、本実施形態のドライバー50は、一例としていわゆるプラスドライバーとされている。なお、本実施形態のドライバー50は、いわゆる電動ドライバーとされており、作業者がハンドル52に設けられているスイッチ(図示省略)を押すと、ハンドル52内に設けられている駆動機構(図示省略)が作動して軸部54を軸周りに回転させるようになっている。
[取付部及びコイルばね]
取付部60は、図1に示されるように、円筒状とされている。取付部60は、下端で筒部70(後述する第1筒72)に固定され、上端側でハンドル52の下端側の部分を囲んだ状態でドライバー50を軸方向に移動可能な状態で、ハンドル52を筒部70に取り付けている。
コイルばね65は、図4、図5、図6及び図7に示されるように、取付部60内であって軸部54の外側(軸部54の外周面を囲う領域)に配置されている。また、コイルばね65の下端は筒部70の第1筒72に、上端はドライバー50のハンドル52に固定されている。ここで、図4は、ドライバー50が高さ方向に沿っている状態で、ドライバー50にかかる重力とコイルばね65によるばね力とが釣り合っている状態を示している。図5は、作業者によりハンドル52が上方に引っ張られている状態を示している。図6及び図7は、作業者によりハンドル52が下方に押されている状態を示している。
[筒部]
筒部70は、図1、図4、図5、図6及び図7に示されるように、第1筒72と、第2筒74と、を含んで構成されている。ここで、第1筒72は、筒の一例である。また、第2筒74は、他の筒の一例である。
第1筒72は、軸方向に移動する軸部54の移動経路とされ、下端部72AでねじSを保持する機能を有する。別言すると、第1筒72は、軸部54が移動し、下端部72AでねじSを保持する機能を有する。第1筒72は、図4、図5、図6及び図7に示されるように、長尺の筒とされており、上端には取付部60が固定されている。また、第1筒72は、ドライバー50の軸部54の軸方向への移動経路とされていることから、その内径は、軸部54の径よりも大きい。また、第1筒72には、軸方向に並んだ2つの貫通穴(貫通穴72B、72C)が形成されている。なお、貫通穴72Cは、貫通穴72Bよりも上方に形成されている。
第1筒72の下端部72Aにおける第1筒72の下端からねじSの頭S1の厚みより上方の部分には、図4、図5、図6及び図7に示されるように、第1筒72の内周から内側に突出する突出部72Dが設けられている。突出部72Dは、弾性を有し、内周の全周に亘って設けられている。突出部72Dの内径は、ねじSの頭S1の径よりも小さく、ねじSの軸S2の径よりも大きい。そして、第1筒72は、第2筒74から落下してきたねじS(の頭S1)を、突出部72Dに引っ掛けることで、下端部72AでねじSを保持するようになっている。ここで、突出部72Dは、保持部の一例である。
第2筒74は、図1に示されるように、第1筒72が高さ方向に沿って配置されている状態において、第1筒72に上方から鋭角をなす方向から突き当たるように、第1筒72に対して鋭角を形成するように傾斜して、第1筒72に固定されている。第2筒74の下端は、図4、図5、図6及び図7に示されるように、第1筒72の貫通穴72Bの周縁に繋がっている。これに対して、第2筒72の上端は、図1に示されるように、輸送ホース16における供給装置12に固定されている側と反対側の端部に固定されている。そして、第2筒74には、輸送ホース16を介して、供給装置12からねじSが供給されるようになっている。また、第2筒74は、供給されたねじSを貫通穴72Bから第1筒72に落下させるようになっている。すなわち、第2筒74は、その下端から(貫通穴72Bから)落下するねじSを通すようになっている。
なお、第2筒74における第1筒72に向く側であって、高さ方向において第1筒72の貫通穴72Cが形成されている部分に対向する部分には、貫通穴74Aが形成されている。
[カム部]
カム部80は、カム82と、コイルばね88と、を含んで構成されている。ここで、カム部80は、回転部の一例である。カム82は、図4、図5、図6及び図7に示されるように、軸部54に押され(図4の矢印R1方向に)正転して第2筒74の中(筒中)のねじS(図4のねじSA)に後述する角部84A1を当ててねじSを停止させる機能を有する。また、カム82は、軸部54から離れ(図5の矢印R2方向に)逆転して角部84A1からねじS(図4及び図5のねじSA)を離しつつ当該ねじS(ねじSA)に接触していた他のねじS(図4及び図5のねじSB)を後述する第2部分84Bに当てて該他のねじS(ねじSB)を停止させる機能を有する。
カム82は、図4、図5、図6及び図7に示されるように、本体84と、回転軸86と、を含んで構成されている。回転軸86は、第1筒72と第2筒74との間の位置(回転位置)に配置されている。すなわち、カム82は、第1筒72と第2筒74との間に回転軸を有し、本体84は、回転軸86を中心として、回転(正転及び逆転)可能とされている。換言すると、本体84には、図4、図5、図6及び図7における紙面直交方向(別言すれば、第1筒72と第2筒74との対向方向に直交する方向であって第1筒72の径方向に沿う方向をいう。以下、必要に応じて装置正面方向とする。)に貫通する孔が形成されており、回転軸86は、当該孔に対して隙間を有して挿入されている。なお、本体84は、装置正面方向において、図示しない2枚の板部材に挟まれている。当該2枚の板部材には、装置正面方向で対向する貫通孔がぞれぞれ形成されており、回転軸86の両端部は、当該貫通孔に挿入されて固定されている。また、当該2枚の板部材は、それぞれ筒部70に固定されている。
本体84は、図4、図5、図6及び図7に示されるように、装置正面方向から見て、一例として長方形の第1部分84Aと、第1部分84Aにおける第2筒74側の面の上方側の部分から突出している(長方形の)第2部分84Bと、を含んで構成されている。ここで、第2部分84Bは、下部の一例である。
以下、第1部分84Aにおける下側の部分であって第2筒74側の角を含む部分を角部84A1とし、第1部分84Aにおける下側の部分であって第1筒72側の角を含む部分を角部84A2として説明する。ここで、角部84A1は、下部の一例である。コイルばね88の一端は、図4、図5、図6及び図7に示されるように、第1筒72における第2筒74側の外周であって、貫通穴72Cの形成されている部分よりも上方に固定されている。また、コイルばね88の他端は、第1部分84Aの第1筒72側を向く面における上側に固定されている。なお、カム82の動作については、締結装置14の動作の説明の中で説明する。
<構成についての補足>
以下、締結システム10の構成について補足する。輸送ホース16、第1筒72及び第2筒74の内径は、それぞれねじSの頭S1の径よりも大きく、かつ、ねじSの長さ(頭S1の厚みと軸S2の長さの和)よりも小さい。そのため、輸送ホース16、第1筒72及び第2筒74は、ねじSの姿勢を変えることなく(頭S1を上方、軸S2を下方とした姿勢のままで)、ねじSが移動可能とされている。
また、前述のとおり、供給装置12と締結装置14とは可撓性とされる輸送ホース16に連結されている。そのため、作業者は、締結装置14を自由に動かしながら締結動作(締結装置14の動作)を行えるようになっている。
以上が、第1実施形態の締結装置14の構成についての説明である。また、以上が、第1実施形態の締結システム10の構成についての説明である。
≪動作≫
次に、第1実施形態の締結システム10の動作(ねじ締結物18の製造方法)について図面を参照しつつ説明する。以下、締結システム10内にねじSが入っていない状態(初期状態)からの動作を説明する。
まず、作業者は、図1に示されるように、供給装置12の容器20内に複数のねじSを収容させる。また、作業者は、作業台(図示省略)上に、複数の板18Aと複数の板18Bとを準備し、各板18Bのねじ穴18B1の位置と各板18Aの貫通穴18A1の位置とを合わせて、各板18Aと各板18Bとを重ねて配置する。
<供給装置の動作>
次いで、作業者は、供給装置12の駆動系24を駆動させて容器20を回転させる。容器20内の複数のねじSは、図2及び図3Aに示されるように、容器20の回転に伴い回転する羽根26の湾曲面26Aに載せられた状態で羽根26によりシャフト30よりも上方に運ばれる。羽根26によりシャフト30よりも上方に運ばれた複数のねじSは、自重により落下する。
その結果、複数のねじSの一部は、(確率により)定められた保持状態でシャフト30に保持されつつ、自重によりシャフト30の平面32上を移動し、シャフト30における貫通穴36が形成されている部位に到達する。そして、当該部位に到達したねじSは、(自重によりシャフト30から落下し、)貫通穴36に嵌め込まれている輸送ホース16に供給される。なお、平面32上におけるねじSの移動は、自重のみならず振動も加える方が望ましい。本実施形態においては、駆動系24の駆動により生じる振動が供給装置12に伝わるので、平面32上におけるねじSの移動には、当該振動も作用している。
さらに、輸送ホース16内のねじSは、(自重により)輸送ホース16内を輸送されて、輸送ホース16における下端から締結装置14の第2筒74内に供給される。
なお、容器20内の複数のねじSは、羽根26により上方に運ばれることと、落下とを繰り返す。また、羽根26により上方に運ばれて落下したねじSのうちシャフト30に対して定められた保持状態で保持されずに、例えば、溝34に引っ掛かったねじSは、容器20の回転に伴い回転する接触部材40により接触される。その結果、当該引っ掛かったねじSは、定められた保持状態に姿勢を変える又はシャフト30から落下される。
以上のとおり、供給装置12は、容器20を回転させながら、容器20内のねじSをシャフト30の溝34に定められた保持状態で保持することで、容器20の内側から外側に(容器20内から外に)ねじSを移動させ、ねじSを定められた姿勢のまま輸送ホース16に送り込む。
<締結装置の動作>
次いで、締結装置14の動作について図面を参照しつつ説明する。
定められた姿勢のまま輸送ホース16により輸送されたねじSは、図4に示されるように、輸送ホース16を介して第2筒74内に供給される。その結果、逐次供給された複数のねじSのうち最初に供給されたねじSAは、カム82の角部84A1に当たって停止される。また、ねじSAの後に供給されたねじSは、第2筒74及び輸送ホース16内で他のねじSに当たって停止される。
次いで、作業者は、図5に示されるように、第1筒72を持って、締結装置14のドライバー50のハンドル52を上方に引っ張る。その結果、ドライバー50の軸部54がカム82の角部84A2から離れる。そうすると、カム82は、コイルばね88により押され、回転軸86の周りに逆転(矢印R2方向に回転)し、角部84A1に当たって停止していたねじSAを離しつつねじSAに当たって停止していたねじSBに第2部分84Bを当ててねじSBを停止させる。なお、ねじSAは、上記の動作に伴い、自重により第1筒72の貫通穴72Bから第1筒72内に落下し、第1筒72の下端部72Aに設けられた突出部72Dに接触して保持される。以上のとおり、図4の状態から図5の状態となると、第2筒74内で停止していた複数のねじSのうち最も下方で停止していたねじS(ねじSA)が第1筒72内に落下して下端部72Aで保持される。
次いで、作業者は、図6に示されるように、第1筒72を持って、ドライバー50のハンドル52を下方に押して、軸部54の先端部54Aを下端部72Aに保持されているねじSの頭S1に嵌め込む。そして、作業者は、図7に示されるように、締結装置14を用いて、ねじSで板18Aと板18Bとを締結してねじ締結物18を製造する。
なお、図5の状態から図6の状態に変化する場合、図5の状態から図4の状態を経て図6の状態となる。この場合、図5の状態から図4の状態となることで、カム82の角部84A2は、軸部54に当たってカム82を回転軸86の周りに正転させてねじSから第2部分84Bを離して当該ねじSを下方に落下させつつ、角部84A1に当該ねじSを当てて当該ねじSを停止させる。すなわち、図5の状態でカム82(の第2部分84B)に当たって停止していたねじSは、軸部54が移動して図6の状態になるまでに、下方に落下するものの、カム82(の角部84A1)に当たって停止されている。そのため、図5の状態から図6の状態になることで、第2筒74の中のねじSは、第1筒72の中に落下することがない。
以上のとおり、作業者は、締結装置14のハンドル52を軸方向に移動させることで、第2筒74からねじSを1個ずつ第1筒72に落下させて、第1筒72の下端部72Aに保持させる。そして、作業者は、締結装置14を操作して、複数のねじ締結物18を製造する。
以上が、第1実施形態の締結システム10の動作についての説明である。
≪効果≫
次に、第1実施形態の効果について説明する。
<供給装置12及び供給装置12を備えた締結システム10の効果>
まず、本実施形態の供給装置12及び供給装置12を備えた締結システム10の効果について図面を参照しつつ説明する。
[第1の効果]
第1の効果は、供給装置12におけるシャフト30が、傾斜しており、かつ、上向きに開口し容器20の内から外にねじSが通る溝34が形成されていることの効果である。以下、本実施形態を第1比較形態と比較して説明する。なお、第1比較形態の説明において、本実施形態で用いた部品等と同じ部品等を用いる場合、図示しない場合であってもその部品等の符号をそのまま用いる。
第1比較形態の供給装置12Aは、図8に示されるように、本実施形態の場合と異なり、シャフト30Aに平面32及び溝34が形成されておらず、羽根26及び接触部材40を備えていない。その代わり、第1比較形態の供給装置12Aは、容器20Aの円板22の径方向外側の部分に、ねじSの頭S1の径よりも径の大きい貫通穴22Bが形成されており、容器20Aの回転に伴い貫通穴22Bに入り込んだねじSが容器20Aの内から外に移動されるようになっている。また、輸送ホース16の一端は容器20Aの円板22の外側に支持された状態とされ、輸送ホース16には貫通穴22Bから移動したねじSが供給されるようになっている。なお、輸送ホース16は、容器20Aの外側で、円板22に対向して配置されている貫通穴の形成されたリング板22Cにより支持されている。そのため、第1比較形態の場合、貫通穴22Bと輸送ホース16の一端とが向き合うタイミングでしか、ねじSを容器20の内から外に供給させることができない。第1比較形態は、上記の点以外、本実施形態と同様の構成とされている。
第1比較形態の場合、容器20Aが回転している状態で、ねじSが貫通穴22Bを通って輸送ホース16に供給されることから、ねじSが移動に伴い容器20A(の貫通穴22Bの縁)に引っ掛かる虞がある。その結果、第1比較形態の場合、容器20Aの回転が停止して作業が中断する、又は、容器20Aが壊れる。
これに対して、本実施形態の場合、図2に示されるように、傾斜したシャフト30に形成されている溝34を利用して、ねじSを容器20の内から外に移動させる。そのため、本実施形態の場合、そもそも、第1比較形態の場合と異なり、容器20の内から外にねじSが移動する際にねじSが容器20に引っ掛かることがない。そのため、容器20の回転が停止し難い。これに伴い、本実施形態の場合、作業(ねじSの供給動作)が中断し難い。
したがって、本実施形態の供給装置12によれば、軸周りに回転する容器の底に形成された孔が回転に伴い該底に対向する筒の開口と向き合うタイミングでねじSを筒に移動させる場合に比べて、ねじSの供給率が高い(ねじSの単位時間当たりの供給数が大きい)。これに伴い、本実施形態の締結システム10の場合、軸周りに回転する容器の底に形成された孔が回転に伴い該底に対向する筒の開口と向き合うタイミングでねじSを筒に移動させる供給装置を備えた場合に比べて、ねじ締結物18の生産率が高い(ねじ締結物18の生産性が高い)。また、本実施形態の締結システム10を用いたねじ締結物18の製造方法によれば、軸周りに回転する容器の底に形成された孔が回転に伴い該底に対向する筒の開口と向き合うタイミングでねじSを筒に移動させる供給装置を備えた締結システムを用いた場合に比べて、ねじ締結物18を安価に製造することができる。
[第2の効果]
第2の効果は、シャフト30が定められた保持状態でねじSを保持可能に構成されていることの効果である。以下、本実施形態を第2比較形態(図示省略)と比較して説明する。なお、第2比較形態の説明において、本実施形態で用いた部品等と同じ部品等を用いる場合、図示しない場合であってもその部品等の符号をそのまま用いる。
第2比較形態の場合、シャフト30の軸方向から見た溝34の幅がねじSの頭S1の径よりも広い。第2比較形態は、上記の点以外、本実施形態と同様の構成とされている。第2比較形態は、供給装置12におけるシャフト30が、傾斜しており、かつ、上向きに開口し容器20の内から外にねじSが通る溝34が形成されていることから、第1の効果を奏する構成である。
第2比較形態の場合、シャフト30の軸方向から見た溝34の幅がねじSの頭S1の径よりも広いことから、ねじSの頭S1が上方で軸S2が下方となる姿勢以外でねじSが輸送ホース16に送り込まれる場合がある。
これに対して、本実施形態の場合、溝34におけるシャフト30の軸方向から見た幅は、図3Aに示されるように、ねじSの頭S1の径よりも狭く、かつ、軸S2の幅よりも広い。そのため、ねじSは、頭S1が上方で軸S2が下方となる姿勢以外で輸送ホース16に送り込まれることがない。
したがって、本実施形態の供給装置12によれば、ねじSを定められた姿勢で輸送ホース16に供給することができる(締結装置14に供給することができる)。
[第3の効果]
第3の効果は、本実施形態の供給装置12が容器20内でシャフト30の軸方向における溝34が形成されている部分に接触しながら回転する接触部材40を備えていることの効果である。以下、本実施形態を第3比較形態(図示省略)と比較して説明する。なお、第3比較形態の説明において、本実施形態で用いた部品等と同じ部品等を用いる場合、図示しない場合であってもその部品等の符号をそのまま用いる。
第3比較形態は、接触部材40を備えていない点以外、本実施形態と同様の構成とされている。なお、第3比較形態は、第1及び第2の効果を奏する構成である。
第3比較形態の場合、シャフト30に定められた保持状態で保持されているねじS以外のねじS(例えば、図3D及び図3Eに示されるように、頭S1が溝34に引っ掛かっている状態のねじS等)が、そのままの状態で残る虞がある。その結果、溝34に引っ掛かっているねじSがシャフト30の平面32上を移動し難くなる、若しくは、移動できなくなる、又は、円板22の貫通穴22Aの縁に引っ掛かり易くなる。このため、ねじSの供給率が低下する(ねじSの単位時間当たりの供給数が低下する)。
これに対して、本実施形態の場合、図2及び図3Aに示されるように、シャフト30の軸方向における溝34が形成されている部分に接触しながら回転する接触部材40を備えている。
したがって、本実施形態の供給装置12によれば、容器20内でシャフト30の軸方向における溝34が形成されている部分に接触しながら回転する接触部材40を備えていない場合に比べて、溝34に引っ掛かっているねじSをどかし(掻き落とし)易い。これに伴い、本実施形態の供給装置12によれば、容器20内でシャフト30の軸方向における溝34が形成されている部分に接触しながら回転する接触部材40を備えていない場合に比べて、ねじSの供給率が高い(ねじSの単位時間当たりの供給数が大きい)。
また、本実施形態では、図2及び図3Aに示されるように、接触部材40は、容器20の底としての円板22に設けられており、容器20の底でシャフト30の被接触部分39に接触しながら回転する。このため、接触部材40が円板22から離れた位置に配置された構成に比べ、容器20の底で貫通穴22Aの縁に引っ掛かったねじSをどかし(掻き落とし)易い。
また、本実施形態では、図3Aに示されるように、接触部材40は、シャフト30の被接触部分39に接触する端面42に面取部44が形成されている。このため、シャフト30の被接触部分39に角部が接触する構成に比べ、接触部材40が被接触部分39上を滑らかに(スムーズに)移動するため、被接触部分39から離れずに移動する。これにより、端面42に角部が形成されている構成に比べ、溝34に引っ掛かっているねじSをどかし(掻き落とし)易い。
また、本実施形態の供給装置12では、接触部材40の端面42に面取部44が形成されるため、接触部材40が、溝34に定められた保持状態で保持されている正常なねじSに接触すると、接触部材40は、当該ねじSの頭S1をなぞり(擦り、滑り)ながら回転する。ここで、端面42に角部が形成されている構成では、角部が溝34に入り込んで、ねじSの頭S1を引っ掛けて、当該ねじSの姿勢を乱したり、当該ねじSをどかしたり(掻き落としたり)する場合がある。これに対して、接触部材40の端面42に面取部44が形成されるため、端面42に角部が形成されている構成に比べて、当該ねじSの姿勢を乱したり、当該ねじSをどかしたり(掻き落としたり)し難い。
また、本実施形態の供給装置12では、接触部材40の端面42に面取部44が形成されるため、端面42に角部が形成されている構成に比べて、接触部材40が、シャフト30の稜線33、35で摩耗しにくい。
また、本実施形態の供給装置12では、接触部材40の先端部41が、円板22から立ち上がっているため、先端部41が寝た状態とされた構成に比べ、溝34に引っ掛かっているねじSをどかし(掻き落とし)易い。
また、本実施形態の供給装置12では、図3Cに示されるように、接触部材40の軸心O周りの回転により、先端部41と基端側部分45との境界43における端面42側の端部43Aが、溝34の開口面34A上を開口面34Aに沿って通過する。ここで、先端部41は、境界43に近いほど容器20の底側(円板22側)に近い位置を通過する。このため、境界43における端面42側の端部43Aが溝34の開口面34A上を通過する構成では、端部43Aが溝34の開口面34A上を通過しない場合に比べて、容器20の底で貫通穴22Aの縁に引っ掛かったねじSをどかし(掻き落とし)易い。
また、本実施形態の供給装置12では、コイルバネ90が、その弾性力により、接触部材40をシャフト30側へ引っ張っている。このため、接触部材40にシャフト30側への弾性力が作用していない構成に比べ、接触部材40がシャフト30の被接触部分に接触した状態が維持され、溝34に引っ掛かっているねじSをどかし(掻き落とし)易い。
<締結装置14及び締結装置14を備えた締結システム10の効果>
次に、本実施形態の締結装置14及び締結装置14を備えた締結システム10の効果について図面を参照しつつ説明する。以下、本実施形態を第4比較形態(図9参照)と比較して説明する。なお、第4比較形態の説明において、本実施形態で用いた部品等と同じ部品等を用いる場合、図示しない場合であってもその部品等の符号をそのまま用いる。
第4比較形態の締結装置14Aは、図9に示されるように、本実施形態の締結装置14と異なり、カム部80を備えていない。そのため、第4比較形態の締結装置14Aでは、第1筒72の貫通穴72C及び第2筒74の貫通穴74Aが形成されていない。また、第4比較形態の締結システム(図示省略)は、供給装置12と輸送ホース16とを直接固定せずに、シャッター機構(図示省略)を挟んだ状態で、供給装置12と輸送ホース16とを連結している。そして、シャッター機構は、作業者がスイッチ(図示省略)を押すことで開いて、供給装置12から輸送ホース16にねじSを1個ずつ供給するようになっている。第4比較形態は、上記の点以外、本実施形態と同様の構成とされている。なお、第4比較形態の締結システムは、本実施形態の供給装置12を備えることから、前述の供給装置12及び供給装置12を備えた締結システム10の効果を奏する。
第4比較形態の締結装置14Aの場合、第2筒74の中に複数のねじSを停止させておくことができない。また、第4比較形態の締結装置14Aの場合、ドライバー50の軸方向への移動に伴い、1つのねじSを第1筒72の下端部72Aに保持させることができない。
さらに、第4比較形態の締結装置14Aの場合、そもそも、第2筒74の中に複数のねじSを停止させておくことができない。そのため、作業者は、1つのねじ締結物18の製造の終了後にスイッチを押して、ねじSを供給装置12から輸送ホース16を介して締結装置14Aに供給させなければならない。
これに対して、本実施形態の締結装置14は、カム部80を備えている。そして、カム82が第2筒74内のねじSを停止させることで、第2筒74内にねじSを待機させることができる(図4、図5、図6及び図7参照)。また、本実施形態の締結装置14は、カム82に当たっていた軸部54を上方に移動させることで(図4及び図5参照)、カム82に当たって停止していたねじS(ねじSA)を第1筒72内に落下させることができる。
したがって、本実施形態の締結装置14は、軸部54の軸方向への移動に伴い、第1筒72の下端部にねじSを1個ずつ保持させて、ねじSで板18Aと板18Bとを締結することができる。また、本実施形態の締結装置14(及び締結システム10)は、ねじSを連続的に締結する場合において、締結装置14AによりねじSで板18Aと板18Bとを締結する毎に供給装置12からねじSを供給する場合に比べて、ねじSで板18Aと板18Bとを締結してから次のねじSが第1筒72の下端部72Aに保持されるまでの時間が短い。また、本実施形態の締結システム10を用いたねじ締結物18の製造方法によれば、ねじSを連続的に締結する場合において、締結装置14AによりねじSで板18Aと板18Bとを締結する毎に供給装置12からねじSを供給する場合に比べて、ねじ締結物18を安価に製造することができる。
以上が、第1実施形態の効果についての説明である。また、以上が、第1実施形態についての説明である。
『第2実施形態』
次に、第2実施形態の締結システム10B(図10参照)について、構成、動作、効果の順で説明する。以下、本実施形態の説明において、第1実施形態で用いた部品等と同じ部品等を用いる場合、図示しない場合であってもその部品等の符号をそのまま用いる。また、本実施形態の説明では、第1実施形態と異なる部分について行う。
≪構成≫
本実施形態の締結システム10Bは、図10に示されるように、供給装置12Bと、締結装置14と、輸送ホース16と、を含んで構成されている。すなわち、本実施形態の締結システム10Bは、第1実施形態の締結システム10の供給装置12が供給装置12Bとされている。本実施形態の締結システム10Bは、上記の点以外、第1実施形態の締結システム10と同様の構成とされている。
次に、供給装置12Bについて図11を参照しながら説明する。供給装置12Bは、第1実施形態の供給装置12(図2参照)の支持体95に換えて、後述する支持台100を備えている。ここで、シャフト30と、支持台100との組み合わせ110は、支持部材の一例である。また、供給装置12Bは、螺旋体120と、伝達部130と、一対の軸受部140と、カバー部材150とを含んで構成されている。ここで、カバー部材150は、抑制部材の一例である。
[支持台]
支持台100は、シャフト30を傾斜した状態で支持する機能を有する。支持台100は、正面視にて、台形状とされている。支持台100の下側の平面は、供給装置12Bを置くための台の平面(図示省略)に接触させている。また、支持台100の上側の平面は、当該台の平面に対して傾斜した状態で配置されている。支持台100の上側には、容器20側の端から容器20側と反対側に亘ってシャフト30が嵌め込まれる溝102が形成されている。溝102には、シャフト30の平面32が支持台100の上側の平面に面を合わせた状態で、シャフト30が嵌め込まれている。また、支持台100における嵌め込まれたシャフト30の貫通穴36に重なる部分には、支持台100の下側の平面に貫通する貫通穴104が形成されている。支持台100の下側の平面における貫通穴104が形成されている部分には、輸送ホース16の一端が固定されている。
以上の構成により、シャフト30と、支持台100との組み合わせ110は、容器20の円板22が下方となるように容器20を傾斜させた状態で容器20を軸周りに(軸心Oを中心として)回転可能に支持する機能を有する。また、組み合わせ110は、容器20の内から外にねじSを通す溝34と、容器20の外で溝34の端部に繋がりねじSが落下するための貫通穴104と、が形成された部材といえる。ここで、貫通穴104は、通路の一例である。
[螺旋体]
螺旋体120は、軸周りに回転して後述する螺旋部材122でねじS同士を分離させながらねじSを溝34の端部(すなわち、貫通穴36が形成されている部分)まで運ぶ機能を有する。螺旋体120は、螺旋部材122と、円弧部材124とを含んで構成されている。すなわち、螺旋体120は、螺旋部材122を有する。
螺旋部材122は、巻き線状とされている。また、螺旋部材122は、シャフト30の軸方向に沿った状態で(シャフト30の軸方向に巻き線方向を沿わせた状態で)、容器20の外かつシャフト30の軸方向における溝34が形成されている(溝34が形成された)部分の上に(平面32と溝34のエッジ部分に接触するようにして)配置されている。そして、螺旋部材122は、伝達部130から伝達された駆動力により駆動されて、軸周りに回転するようになっている。
螺旋部材122は、一例として5回巻かれた状態、すなわち、軸方向に離れて5ヶ所でシャフト30に接触した状態とされている。また、螺旋部材122におけるシャフト30に接触する部分同士の間には、ねじSが配置可能とされている。そして、螺旋部材122は、軸周りに回転してねじSの頭S1を押して複数のねじS同士を分離させながらねじSを溝34の端部(すなわち、貫通穴36が形成されている部分)まで運ぶようになっている。
円弧部材124は、螺旋部材122の(軸周りの)回転に伴い、溝34と貫通穴36との境界を跨いで溝34及び貫通穴36の上を周回する機能を有する。円弧部材124は、螺旋部材122の一部に固定されている。円弧部材124は、螺旋部材122の軸方向(シャフト30の軸方向)から見て螺旋部材122の径と同等の径の円弧状とされている。また、円弧部材124は、螺旋部材122の径方向から見て(シャフト30の径方向から見て)、周回方向の下流側になるに従い螺旋部材122の軸方向での幅が広くなる三角形状(見え方によっては台形状)とされている。なお、円弧部材124の最大幅は、一例としてねじSの頭S1の径よりも大きい。
なお、円弧部材124は、螺旋部材122の軸周りの回転に伴い、溝34と貫通穴36との境界を跨いで溝34及び貫通穴36の上を周回するようになっている。そのため、円弧部材124は、溝34を並んで運ばれる複数のねじSを溝34と貫通穴36との境界でねじSの頭S1の径以上離した状態で、当該複数のねじSを分離させるようになっている。
[伝達部及び一対の軸受部]
伝達部130は、螺旋体120を軸周りに回転させる機能を有する。伝達部130は、シャフト132と、円筒134と、歯車136とを含んで構成されている。円筒134は、一例としてゴム製(すなわち弾性を有する)長尺のロールとされており、その両端からシャフト132がはみ出した状態で、シャフト132の外周に固定されている。また、シャフト132の一端側には、歯車136が固定されている。そして、伝達部130は、その長手方向(シャフト132の軸方向)を螺旋体120の軸方向に沿わせ、かつ、螺旋体120の上で螺旋体120に接触している。また、歯車136は、歯車24Aにかみ合っている。伝達部130は、その両端側(円筒134の長手方向外側で)一対の軸受部140に回転可能に支持されている。各軸受部140は、シャフト30の軸方向における歯車24Aと支持台100との間のシャフト30の平面32と、支持台100の上側の平面であって、シャフト30の軸方向における貫通穴36が形成されている部分よりも歯車24Aに遠い側の部分に固定されている。なお、シャフト30の軸方向における歯車24Aと支持台100との間のシャフト30の平面32に固定されている軸受部140には、ねじSが通過可能な貫通孔(図示省略)が形成されている。
以上の構成により、駆動源(図示省略)により歯車24Aが駆動され歯車24Aが軸周り(軸心Oを中心として)に回転すると、歯車136が歯車24Aから駆動力を伝搬(伝達)されて、円筒134が軸周りに回転するようになっている。その結果、円筒134は、その外周で接触する螺旋体120を螺旋体120の軸周りに回転させるようになっている。
[カバー部材]
カバー部材150は、溝34からのねじSの飛び出しを抑制する機能を有する。カバー部材150は、一例として、長尺の板とされている。カバー部材150は、螺旋体120の径方向の内側に配置され、螺旋体120の軸方向の両端からはみ出している。すなわち、カバー部材150は、シャフト30の溝34を通るねじSの上に配置されるようになっている。カバー部材150の両端部は、一対の軸受部140に形成されている、シャフト30の平面32に直交する方向に沿った長尺な孔に嵌め込まれている。
以上の構成により、カバー部材150は、自重により少なくとも螺旋部材122又はねじSの頭S1の何れか一方に接触した状態で、一対の軸受部140に支持されるようになっている。
以上が、第2実施形態の構成についての説明である。
≪動作≫
次に、第2実施形態の締結システム10Bの動作(ねじ締結物18の製造方法)における第1実施形態と異なる部分ついて、図11を参照しつつ説明する。
供給装置12Bは、容器20を回転させて、容器20の内側から外側に(容器20内から外に)ねじSを移動させる。ここで、供給装置12Bの場合、容器20の回転に伴い伝達部130が軸周りに回転し、更に溝34の上に配置されている螺旋体120が軸周りに回転する。その結果、溝34に通っている複数のねじS同士は、螺旋部材122により分離されながら溝34の端部側まで運ばれる。また、溝34の端部側まで連続して運ばれた複数のねじS同士は、螺旋部材122の軸周りの回転に伴い軸周りを周回する円弧部材124により更に大きく分離される。そして、先に溝34の端部に到達したねじSは、貫通穴36及び貫通穴104から輸送ホース16に送り込まれる。本実施形態のねじ締結物18の製造方法は、上記の点以外、第1実施形態の場合と同様である。
以上が、第2実施形態の動作についての説明である。
≪効果≫
次に、第2実施形態の効果について説明する。
[第1の効果]
第1の効果は、供給装置12Bが軸周りに回転する螺旋部材122を備えていることの効果である。以下、本実施形態を第1実施形態と比較して説明する。
第1実施形態の供給装置12は、図2に示されるように、螺旋部材122を備えていない。第1実施形態の場合、溝34を移動して溝34の端部(貫通穴36)に2個のねじSが連続して到達すると、ねじSの形状等によっては貫通穴36から2個のねじSが落下できずに、2個のねじS同士が貫通穴36で引っ掛かってしまう虞がある。
これに対して、本実施形態の場合、供給装置12Bは、図11に示されるように、軸周りに回転する螺旋部材122を備えている。そのため、溝34を移動する複数のねじSは、螺旋部材122により分離されながら溝34の端部(貫通穴36)まで運ばれる。
したがって、本実施形態の供給装置12Bは、溝34を通るねじS同士を分離させずにねじSを貫通穴36まで運ぶ場合に比べて、ねじSの供給率が高い。
[第2の効果]
第2の効果は、供給装置12Bがカバー部材150を備えていることの効果である。以下、本実施形態を第5比較形態(図示省略)と比較して説明する。なお、第5比較形態の説明において、本実施形態で用いた部品等と同じ部品等を用いる場合、図示しない場合であってもその部品等の符号をそのまま用いる。
第5比較形態の供給装置(図示省略)は、カバー部材150を備えていない。第5比較形態は、上記の点以外は本実施形態と同様とされている。すなわち、第5比較形態は、螺旋部材122を備えていることから、本実施形態の第1の効果を奏する構成とされている。
第5比較形態の場合、ねじSの形状等によっては、容器20の回転に伴い発生する振動等によりシャフト30が振動して、溝34を移動しているねじSが溝34から飛び出す虞がある。
これに対して、本実施形態の供給装置12Bは、シャフト30の溝34を通るねじSの上には、自重により少なくとも螺旋部材122又はねじSの頭S1の何れか一方に接触しているカバー部材150が配置されている。そのため、本実施形態の場合、シャフト30の振動により溝34を通っているねじSが溝34から飛び出そうとしても、ねじSはカバー部材150に当たって飛び出し難くなる。
したがって、本実施形態の供給装置12Bは、溝34を通るねじSの上にカバー部材150を配置していない場合に比べて、ねじSの供給率が高い。
[第3の効果]
第3の効果は、螺旋体120が、溝34と貫通穴36との境界を跨いで溝34及び貫通穴36の上を周回する円弧部材124を含んで構成されていることの効果である。以下、本実施形態を第6比較形態(図示省略)と比較して説明する。なお、第6比較形態の説明において、本実施形態で用いた部品等と同じ部品等を用いる場合、図示しない場合であってもその部品等の符号をそのまま用いる。
第6比較形態の供給装置(図示省略)の螺旋体は、円弧部材124を備えていない。第6比較形態は、上記の点以外は本実施形態と同様とされている。すなわち、第6比較形態は、螺旋部材122を備えていることから、本実施形態の第1の効果を奏する構成とされている。また、第6比較形態は、カバー部材150を備えていることから、本実施形態の第2の効果を奏する構成とされている。
第6比較形態の場合、ねじSの形状等によっては、2個のねじS同士が短い時間で溝34の端部(貫通穴36)に到達して、2個のねじS同士が貫通穴36で引っ掛かってしまう虞がある。
これに対して、本実施形態の螺旋体120は、溝34と貫通穴36との境界を跨いで溝34及び貫通穴36の上を周回する円弧部材124を含んで構成されている。また、円弧部材124の最大幅は、一例としてねじSの頭S1の径よりも大きい。そのため、溝34の端部側まで連続して運ばれた複数のねじS同士は、円弧部材124により溝34と貫通穴36との境界でねじSの頭S1の径以上に離される。
したがって、本実施形態の供給装置12Bは、巻き線状の螺旋部材122のみで構成された螺旋体120を軸周りに回転させて溝34を通るねじS同士を分離させながらねじSを貫通穴36まで運ぶ場合に比べて、ねじSの供給率が高い。
以上が、第2実施形態についての説明である。
『第3実施形態』
次に、第3実施形態の締結システム10C(図12参照)について、構成、動作、効果の順で説明する。以下、本実施形態の説明において、第1実施形態で用いた部品等と同じ部品等を用いる場合、図示しない場合であってもその部品等の符号をそのまま用いる。また、本実施形態の説明では、第1実施形態と異なる部分について行う。
≪構成≫
本実施形態の締結システム10Cは、図12に示されるように、供給装置12と、締結装置14Cと、輸送ホース16と、を含んで構成されている。すなわち、本実施形態の締結システム10Cは、第1実施形態の締結システム10の締結装置14が締結装置14Cとされている。本実施形態の締結システム10Cは、上記の点以外、第1実施形態の締結システム10と同様の構成とされている。
次に、締結装置14Cについて図12〜図18を参照しながら説明する。締結装置14Cは、第1実施形態の締結装置14と異なり、第1筒72の下端部72AでねじSを保持する機構が異なる。具体的には、締結装置14Cは、第1実施形態の締結装置14の突出部72Dに換えて、保持部材200を備えている。ここで、保持部材200は、保持部の一例である。また、締結装置14Cは、第1実施形態の締結装置14と異なり、カム部80の回転軸86が回転位置(図13〜図16の回転軸86の位置)と退避位置(図17及び図18の回転軸86の位置)とに移動可能とされている。そのため、締結装置14Cは、回転軸86を移動させる移動部300を備えている。本実施形態の締結装置14Cは、上記の点以外は第1実施形態の締結装置14と同様の構成とされている。
[保持部材]
以下、本実施形態の保持部材200の構成について、図13〜図18を参照しつつ説明する。保持部材200は、第1筒72の下端部72Aに取り付けられている。保持部材200は、一対の突起部210と、一対の爪220と、一対のばね230とを含んで構成されている。ここで、一対のばね230は、押し部の一例である。また、ばね230は、一例としてコイルばねとされている。なお、別の見方をすると、保持部材200は、各突起部210、各爪220及び各ばね230の組み合わせが第1筒72の下端部72Aを挟んで一対設けられている。
突起部210は、第1筒72の外周から径方向に突起した部材とされている。突起部210には、第1筒72の軸方向及び径方向に直交する方向に貫通する貫通穴が形成されている。
爪220は、一端側が湾曲した長尺の板222と、板222の長手方向の中央に設けられた取付部224とを備えている。爪220は、取付部224のピン226を突起部210の貫通穴に嵌めてピン226を回転中心として揺動可能とされている。なお、爪220は、その一端側(湾曲した側)の凹み面を有する部分を下端部72Aから下側にはみ出させた状態で、第1筒72の軸側に向けている。また、爪220は、その他端側(直線状の部分)を第1筒72の外周に向けている。
ばね230は、第1筒72の外周と爪220の他端側の部分とに圧縮された状態で配置されている。ばね230は、第1筒72の外周の突起(図示省略)と爪220の他端側の部分の突起(図示省略)に嵌め込まれている。
以上のとおり、各突起部210、各爪220及び各ばね230の組み合わせについて説明したが、保持部材200は、前述のとおり、当該組み合わせが第1筒72の下端部72Aを挟んで対称に配置されている。そのため、一対の爪220は、第1筒72の下側で互いの一端部(以下、先端部228という。)を対向させつつ、他端側(直線状の部分)で下端部72Aを挟んだ状態で配置されている。一対の爪220は、互いの先端部228同士が対向する方向に揺動可能とされている。また、一対のばね230は、各爪220の先端部228同士が近づくように核爪220を押すようになっている。そして、保持部材200は、先端部228同士を接触させて第1筒72の下端部72AでねじSを保持するようになっている。なお、保持部材200に保持されているねじSをドライバー50で押すと、保持部材200の一対の爪220は、互いの先端部228同士が離れる方向に動くようになっている。
[移動部]
次に、本実施形態の移動部300の構成について、図13〜図18を参照しつつ説明する。移動部300は、突起部310と、移動部材320と、ばね330とを含んで構成されている。ばね330は、一例としてコイルばねとされている。
突起部310は、第1筒72の外周であって、第1筒72の径方向に第2筒74が重なる位置に設けられている。突起部310は、装置正面方向から見ると、矩形状の部材とされている。なお、突起部310は、第1筒72が第2筒74に向く方向に向いた端面312を有している。
移動部材320は、装置正面方向から見ると、第1筒72の径方向を長手方向とする長尺の部材とされている。移動部材320は、第1筒72側の端面から当該端面の反対側の端面側に亘って長尺の切欠322が形成されている。また、切欠322の終点部分は、円弧面324とされている。円弧面324は、回転軸86のをすべり軸受けとして機能する。移動部材320は、切欠322の開口側の部分に突起部310を嵌め込んだ状態で、第1筒72の径方向に沿って移動可能とされている。また、突起部310の端面312と回転軸86との間には、ばね330が圧縮された状態で配置されている。なお、前述のとおり、図13〜図16における回転軸86は回転軸86が回転位置に位置している状態を図示しているが、移動部材320は、当該状態において、図示しない引っ掛け部材を突起部310に引っ掛けて静止している。
また、移動部材320を第2筒74側から第1筒72側に押すと、移動部材320は回転軸86を第1筒72に対して相対移動させるようになっている。ここで、図17及び図18における回転軸86は、回転軸86が退避位置に位置している状態を図示している。当該状態では、移動部300は、第2筒74におけるねじSの通路から(第2筒74内から)カム部80の第1部分84A及び第2部分84Bを退避させるようになっている。
以上が、第3実施形態の構成についての説明である。
≪動作≫
次に、第3実施形態の締結システム10Cの動作(ねじ締結物18の製造方法)について図13及び図14を参照しつつ説明する。本実施形態のねじ締結物18の製造方法は、第1実施形態においてねじSを突出部72Dで引っ掛けて保持する点に対し(図6参照)、保持部材200により保持する点以外は、同様とされている。
以上が、第3実施形態の動作についての説明である。
≪効果≫
次に、第3実施形態の効果について説明する。
[第1の効果]
第1の効果は、締結装置14Cが一対の爪220を軸周りに揺動させてねじSを保持することの効果である。以下、本実施形態を第1実施形態と比較して説明する。
第1実施形態の締結装置14は、図6に示されるように、第1筒72の内周から突出する突出部72DによりねじSを引っ掛けて保持する。ところで、第1筒72内に第2筒74からねじSが2個落下した場合、第1実施形態の締結装置14では、ドライバー50を移動させて2個のねじSを第1筒72の外に押し出す必要がある。そのため、第1実施形態の場合、ドライバー50の移動に伴い第2筒74内の別のねじSが第1筒72内に落下してしまう。
これに対して、本実施形態の場合、保持部材200の一対の爪220を作業者が摘んで、一対の爪220の先端部228同士を離せば(図18参照)、第1筒72内の複数のねじSを第1筒72の外に出すことができる。
したがって、本実施形態の締結装置14Cによれば、ねじSをドライバー50で押すことなく、第1筒72内のねじSを取り出すことができる。
[第2の効果]
第2の効果は、カム部80の回転軸86が、回転位置と、退避位置との2つの位置に移動可能とされていることの効果である。以下、本実施形態を第1実施形態と比較して説明する。
第1実施形態の締結装置14は、図6に示されるように、回転軸86が回転位置から移動することができない。ところで、第1実施形態の場合、図15に示されるように、例えばねじSの寸法ばらつき等の原因により、カム部80にねじSが引っ掛かる虞がある。この場合、ドライバー50を図15(図16)の位置から図16(図15)の位置に移動させても、ねじSがカム部80に引っ掛かったままとなる場合がある。
これに対して、本実施形態の場合、回転軸86は、回転位置(図15及び図16参照)と、退避位置(図15及び図16参照)との2つの位置に移動可能とされている。そのため、本実施形態の場合、仮に図15及び図16に示されるように、カム部80にねじSが引っ掛かったとしても、作業者が移動部材320を突起部310側に押すことで回転軸86を退避位置に移動させることができる(図17及び図18参照)。
したがって、本実施形態の締結装置14Cは、簡単な構成で、ねじSのカム部80での引っ掛かりを解消することができる。
[第3の効果]
第3の効果は、締結装置14Cが一対の爪220を軸周りに揺動させてねじSを保持すること、及び、カム部80の回転軸86が、回転位置と、退避位置との2つの位置に移動可能とされていることの効果である。
前述の本実施形態における第1及び第2の効果では、各構成が奏する効果を別々に説明した。ところで、ねじSがカム部80に引っ掛かった場合、移動部300によりねじSがカム部80に引っ掛かった状態を解消させ(図17及び図18参照)、次いで、一対の爪220を作業者が摘んで、一対の爪220の先端部228同士を離せば(図18参照)、第2筒74から第1筒72内に落下した複数のねじSを第1筒72の外に出すことができる。
したがって、本実施形態の締結装置14Cは、簡単な構成で、ねじSのカム部80での引っ掛かりを解消させて、第1筒72の外に出すことができる。
以上が、第3実施形態についての説明である。
以上のとおり、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明の技術的範囲には前述した各実施形態に限定されるものではない。本発明の技術的範囲には、例えば、下記のような形態も含まれる。
本実施形態の供給装置12では、部品の一例はねじSであるとして説明した。しかしながら、シャフト30の溝34を利用して容器20の内側から外側に移動して供給される部品であれば、部品はねじSでなくてもよい。例えば、部品は、ナット(雌ねじ)、ピン、ばね等の機械部品、コンデンサ、IC(集積回路)、抵抗等の電子部品その他の部品であってもよい。
各実施形態の供給装置12では、シャフト30に形成されている溝34は、ねじSを定められた保持状態で保持するようになっているとして説明した。しかしながら、供給される部品の形状に応じて、溝の形状を変更してもよい。
第1実施形態の供給装置12は、支持体95により紐96を介して吊下げられているとして説明した。しかしながら、シャフト30を高さ方向に対して傾斜した状態とすることができれば、支持体95で吊下げていなくてもよい。例えば、図10及び図11に示される第2実施形態の供給装置12Bのようにしてもよい。
第1及び第3実施形態の供給装置12では、シャフト30に貫通穴36(図2参照)が形成されており、シャフト30の溝34に沿って移動して貫通穴36が形成されている部分まで到達したねじSは、貫通穴36から自重により落下するとして説明した。しかしながら、シャフト30に形成されている溝34をシャフト30の端まで形成して、シャフト30の端からねじSを供給してもよい。
本実施形態の締結装置14では、ドライバー50は、いわゆるプラスドライバーであるとして説明した。しかしながら、ねじSの頭S1に形成されている溝に嵌ればドライバー50の先端部54Aの形状は、別の形状であってもよい。例えば、先端部54Aの形状は、マイナスドライバー、六角レンチその他のねじSの頭S1に形成された溝に嵌る形状であればよい。
各実施形態の締結装置14、14Cでは、カム82(本体84)は、一例として長方形の第1部分84Aと、第1部分84Aにおける第2筒74側の面の上方側の部分から突出している第2部分84Bと、を含んで構成されているとして説明した(図4等参照)。しかしながら、本実施形態のカム82の形状は一例であり、ドライバー50の軸部54に当たる部分と、ねじSに当たる2ヶ所の部分とを有していればよい。
各実施形態の輸送ホース16は、可撓性を有するとして説明した。しかしながら、供給装置12から送り出されるねじSを輸送して締結装置14に供給することができれば、輸送ホース16は、可撓性でなくてもよい。
第1及び第2実施形態の供給装置12、12Bでは、シャフト30に貫通穴36が形成されているとして説明した。しかしながら、供給装置12は、シャフト30に貫通穴36を形成せず、定められた保持状態でねじSを供給する独立した(単独の)供給装置として使用することが可能である。
第2実施形態の螺旋部材122は、巻き線状であるとして説明した。しかしながら、軸周りの回転に伴って複数のねじS同士を分離させながら運ぶことができれば、螺旋部材122は巻き線状でなくてもよい。例えば、図19に示されるように外周に螺旋状の溝(又は螺旋状の突起)が形成された円柱122Aを螺旋部材として用いてもよい。
以上のとおり、各実施形態及び前述の変形例について、それぞれ別々に説明した。しかしながら、各実施形態及び前述の変形例に、他の実施形態等の構成要素を組み合せた締結システムとしてもよい。例えば、図20に示されるように、第2実施形態の締結システム10Bにおける締結装置14を、第3実施形態の締結装置14Cに換えた締結システム10Dとしてもよい。