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JP6779627B2 - 月下美人のカルス作出方法及び、その抽出物を有効成分とする皮膚外用剤や内用剤など - Google Patents

月下美人のカルス作出方法及び、その抽出物を有効成分とする皮膚外用剤や内用剤など Download PDF

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Description

本発明は月下美人の組織・器官を材料としたカルス(脱分化細胞)の誘導方法、カルス培養増殖方法及び培養したカルスの抽出物を含有する、抗酸化効果、コラゲナーゼ活性阻害効果、美白効果、フィラグリン生成促進効果、抗炎症効果、細胞増殖効果、コラーゲン生成促進効果、ヒアルロン酸生成促進効果などに優れた新規な皮膚外用剤や内用剤などに関する。
皮膚は生体の最外層に位置し、紫外線等の影響により活性酸素が発生しやすい臓器であり、絶えずその酸素ストレスに曝されている。一方、皮膚細胞内には活性酸素消去酵素が存在しており、その能力を超える活性酸素が発生しないかぎり活性酸素の傷害から皮膚細胞を防衛している。ところが、皮膚細胞内の活性酸素消去酵素の活性は加齢とともに低下することが知られており、活性酸素による傷害がその防御反応を凌駕したとき、皮膚は酸化され、細胞機能が劣化して老化してゆくと考えられる。また、皮膚以外の臓器においても、その活性酸素消去能を越える活性酸素に曝されたとき、機能低下が起こり老化したり、ガンや心筋梗塞など様々な生活習慣病が発症すると考えられる。そこで、活性酸素による傷害からの防御を目的として活性酸素消去剤や抗酸化剤が検討され、SODやカタラーゼ等の活性酸素消去酵素、SOD様活性物質などの活性酸素消去剤や抗酸化剤を配合した食品、化粧品、医薬部外品及び医薬品などが開発されている(特許文献1,2参照)。
皮膚は、紫外線、乾燥、寒冷、熱、薬物等の様々な物理的及び化学的ストレスに日々曝されている。その結果、皮膚の機能低下が引き起こされ、様々な皮膚の老化現象が顕在化する。皮膚の老化現象の一つに、しわがある。しわには、表皮性のしわと、真皮性のしわの二種類が存在することが知られている。表皮性のしわは小じわと呼ばれ、皮膚の乾燥により、表皮角質層中の水分量が低下することによって一時的に生じるしわである。小じわの改善方法としては、保湿効果を有する化粧品の使用が一般的である。一方、真皮性のしわは、太陽光線に含まれる紫外線や加齢によって形成されるしわである。その形成メカニズムとしては、紫外線や加齢による真皮線維芽細胞におけるコラーゲン合成能の低下や、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)の増加によるコラーゲンの分解促進が挙げられる。
乾燥に起因する表皮性のしわと真皮性のしわでは、組織学的形態、発症メカニズム、治療方法が異なり、紫外線や加齢により生じる真皮性のしわは、保湿効果を有する化粧品の使用によっては改善できない。
これまでに、紫外線によって生じる真皮性のしわを改善することを目的として、加水分解アーモンドを有効成分とする皮膚のしわ形成防止・改善剤(特許文献3)、ジョチョウケイ、テンキシ及びキセンウの抽出物を有効成分とする紫外線照射に起因するしわの改善剤(特許文献4)が報告されている。
また、真皮には線維芽細胞やコラーゲンが存在し、I型コラーゲンが全体の80%を占める。I型コラーゲンのほかにはIII、V、XII及びXIV型コラーゲンの存在が知られている。しわやたるみの原因の一つとして、I型コラーゲンの減少が挙げられる。従って、I型コラーゲンの生成を促進させることが、しわ・たるみの予防・改善に有効であると考えられる。また、I型コラーゲンの生成促進は皮膚の創傷治癒の改善にも有効である。
また、線維芽細胞はコラーゲンなどのタンパク質を産生して真皮結合組織を形成し、皮膚のはりを保っている。この結合組織が収縮力を失い、さらに弾力性を失う結果として皮膚のしわやたるみが発生すると考えられている。
コラーゲンは、哺乳動物組織の約1/3を占める主要な構造タンパク質であり、軟骨、骨、腱、及び皮膚を含む多くのマトリックス組織の必須な成分である。マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)に属するコラゲナーゼ(MMP−1など)により1箇所を切断されると、通常の組織内では安定なコラーゲン分子は、変性して一本鎖のゼラチンとなり、他の様々なプロテアーゼにより分解されるようになる。その結果、マトリックス組織の構造の完全性が失われてしまう。
一般に、しみ、そばかす、日焼けなどに見られる皮膚の色素沈着は、ホルモンの異常や紫外線の刺激により、皮膚内に存在するメラノサイトがメラニン色素を過剰に生成し、これが皮膚内に沈着することが原因と考えられている。このような色素沈着を防ぐ方法の一つに、メラニンの過剰な生成を抑制する方法が知られている。従来、色素沈着の治療には、内用や外用などにおいて、アスコルビン酸(ビタミンC)等が用いられてきた。
加齢とともに表皮細胞の増殖・分裂能は低下し、表皮層自体は薄くなる(非特許文献1参照)。生体因子であるEpidermal Growth Factor(EGF/上皮細胞成長因子)や女性ホルモン(エストロゲン)は皮膚の表皮細胞増殖に働きかけるが、加齢と共にその分泌は低下する。このような加齢による表皮細胞代謝機能の低下は、皮膚のターンオーバー速度を遅らせ、肌荒れや皮膚の老化の原因となる。また、角層表面から剥がれ落ちる角層細胞が滞留することで、表皮内メラニンの排泄がスムーズに行われなくなり、色素沈着や肌のくすみの原因となる。さらに表皮の創傷治癒が遅くなることなども知られている。これらの現象の進行を防止あるいは改善するために、表皮細胞の増殖を促進させる成分の探索や、多くの皮膚外用剤の提案がなされてきた。
従来、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、湿疹、乾癬等の皮膚疾患による肌荒れや炎症、並びに健常人の肌荒れ、ニキビに対する皮膚外用剤の有効成分として、抗炎症、抗アレルギー作用を有するステロイド剤や保湿効果を有するワセリンや尿素などが用いられてきた。しかしながら、ステロイド剤は副作用が強く、保湿剤はその効果が必ずしも十分ではないことから、より安全性の高い優れた有効成分が望まれていた。
皮膚の炎症反応において、炎症に関わる様々な細胞の炎症部位への遊走および活性化に関わるサイトカイン類が明らかになってきている。このうち、IL−1αは表皮角化細胞や浸潤してきた炎症細胞により産生され、炎症反応に関与するNFκB(Nuclear Factor κB)やMAPキナーゼなどの活性化を引き起こし、一連の炎症反応の引き金を引く重要な役割を担っているものと考えられている(特許文献5)。
角質層の保湿性に重要な役割を果たしているのがNMFであることは古くから知られており、これまでNMF成分は保湿剤の開発に応用されてきた。角質層におけるNMFの減少は、その保湿性を低下させ乾燥を招く。その結果として乾燥性のカユミが引き起こされる。近年、NMFの主体をなすアミノ酸は、ケラトヒアリン顆粒の主成分であるフィラグリンというタンパク質の分解により産生されることが明らかとなった(非特許文献2)。すなわち、表皮顆粒層において合成されたプロフィラグリンはケラトヒアリン顆粒に蓄積された後、顆粒層上層から角質層に至る過程で脱リン酸、加水分解を経てフィラグリンに分解される。さらにフィラグリンは角質層上層に至る過程でアミノ酸に分解されNMFの主体となる。一方、乾燥肌を呈する病態とフィラグリンに関する研究が進められ、老人性乾皮症やアトピー性皮膚炎などの角質層中ではアミノ酸が減少していることが知られているが、それらの皮膚ではフィラグリンの発現が低下していることが明らかにされている(非特許文献3)。したがって、角質層の保湿性維持の目的でNMFの産生を高めるためにはケラチノサイトにおけるフィラグリンあるいはプロフィラグリンの生成促進が重要であると考えられるようになり、特許文献6、7などの植物成分を用いたフィラグリンあるいはプロフィラグリンの生成促進剤が報告されている。
従来より、皮膚中には真皮・表皮のいずれにもヒアルロン酸があることが知られている。ヒアルロン酸はグルクロン酸とN―アセチルグルコサミンが交互に結合した高分子で、その分子量は数百万にも及び、皮膚の弾力性又は粘弾性、保水性に深く関与している事が明らかとなっている。しかしながらこのヒアルロン酸は加齢と共に減少することが報告されており(特許文献11)、これにより老化に伴う皮膚の保水力の減少を引き起こし、乾燥肌などの原因となると考えられている。
一方で、月下美人抽出物には、コラーゲン生成促進及び分解抑制の作用や、フィラグリン生成促進剤、ケラチノサイト分裂促進剤、ケラチノサイトのATP産生促進剤としての効果が知られている(特許文献8、特許文献9、特許文献10)。
しかし、月下美人のカルスには、抗酸化効果、コラゲナーゼ活性阻害効果、美白効果、フィラグリン生成促進効果、抗炎症効果、細胞増殖効果、コラーゲン生成促進効果、ヒアルロン酸生成促進効果において高い効果を有することは知られていなかった。
特開平9−118630号公報 特開平9−208484号公報 特開2000−119125号公報 特開2006−199611号公報 特開平10−216106号公報 特開2001−261568号公報 特開2002−201125号公報 特開2008−280296号公報 特開2011−162515号公報 特開2003−342156号公報 特開平10−182402号公報
Varani J et al., J Invest Dermatol ,Vol.3,pp 57−60,1998, Scott I.R., Biochim Biophys Acta, Vol.719, pp110−117, 1982 Seguchi T., Arch Dermatol Res, Vol.288, pp442−446, 1996
本発明は、安定的に原料を供給でき、かつ安全で安定性に優れ、抗酸化効果、コラゲナーゼ活性阻害効果、美白効果、フィラグリン生成促進効果、抗炎症効果、細胞増殖効果、コラーゲン生成促進効果、ヒアルロン酸生成促進効果などに優れた新規な皮膚外用剤や内用剤などを提供することを課題とする。
本発明者らは、この問題を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、特定の濃度のオーキシンとサイトカイニンを含む培地で月下美人をカルス化・大量培養することに成功し、その抽出物に、抗酸化効果、コラゲナーゼ活性阻害効果、美白効果、フィラグリン生成促進効果、抗炎症効果、細胞増殖効果、コラーゲン生成促進効果、ヒアルロン酸生成促進効果などが優れていることを見出した。さらに、その抽出物を含有する外用剤が、安全で安定であり、抗酸化効果、コラゲナーゼ活性阻害効果、美白効果、フィラグリン生成促進効果、抗炎症効果、細胞増殖効果、コラーゲン生成促進効果、ヒアルロン酸生成促進効果などが優れており、多機能性美容剤となりうることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(6)からなる。
(1)月下美人のカルスであって、オーキシン及びサイトカイニンを含有する培地で培養することを特徴とする月下美人のカルス。
(2)月下美人のカルスであって、オーキシンがインドール酢酸、インドール酪酸、α―ナフタレン酢酸、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸及び2,6−ジクロロ安息香酸から一種又は二種以上選択され、サイトカイニンがゼアチン、フルフリルアミノプリン(カイネチン)、ベンジルアデニン、イソペンテニルアデニン及びジメチルアミノプリンから一種又は二種以上選択されることを特徴とする、(1)記載の月下美人のカルス。
(3)月下美人のカルスの製造方法であって、オーキシン及びサイトカイニンを含有する培地で培養することを特徴とし、オーキシンがインドール酢酸、インドール酪酸、α―ナフタレン酢酸、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸及び2,6−ジクロロ安息香酸から一種又は二種以上選択され、サイトカイニンがゼアチン、フルフリルアミノプリン(カイネチン)、ベンジルアデニン、イソペンテニルアデニン及びジメチルアミノプリンから一種又は二種以上選択され、それぞれ10−10〜10−2Mの濃度でMS培地及び/又はB5培地を用いて培養することを特徴とする月下美人のカルスの製造方法。
(4)月下美人のカルス及び/又はその抽出物を含有することを特徴とする皮膚外用剤。
(5)月下美人のカルス及び/又はその抽出物を含有することを特徴とする医薬品。
(6)月下美人のカルス及び/又はその抽出物を含有することを特徴とする食品。
本発明の月下美人のカルス又はその抽出物は、優れた抗酸化効果、コラゲナーゼ活性阻害効果、美白効果、フィラグリン生成促進効果、抗炎症効果、細胞増殖効果、コラーゲン生成促進効果、ヒアルロン酸生成促進効果などを有しており、医薬品、医薬部外品、化粧品、食品の分野などにおいて貢献できるものである。
以下に、本発明の詳細について述べる。
本発明に用いる月下美人とは、サボテン科クジャクサボテンの原種(Epiphyllum oxypetalum)及びその近縁種を用いることができる。また、園芸品種を用いることができる。
本発明に用いるカルスとは、分化していない状態の植物細胞又は分化していない状態の植物細胞塊のことをいう。
本発明の月下美人のカルスは、前記の月下美人の植物体や植物細胞などから誘導することができる。更に、得られたカルスを増殖させる2段階の培養で製造することもできる。
一例としては、カルスを誘導する培養では、月下美人の葉、茎、根などの組織を30〜95%エタノール水溶液、0.1〜5%次亜塩素酸ナトリウム水溶液などによってその植物体の表面を殺菌してから特定の培地にてカルスを誘導し、培養することができる。
カルスを誘導する培地は、ムラシゲ・スクーグ(MS培地)、リンスマイヤー・スクーグ、ホワイト、ニッチ、ガンボーグ(B5培地)、WPM(Woody Plant Medium)などの、植物組織培養に一般的に用いられる培地成分に炭素源及び植物ホルモンを添加して、121℃、15分間の条件で蒸気加熱滅菌して使用することができる。中でも、有効性の面から、MS培地、B5培地が好ましく、MS培地が最も好ましい。
また、炭素源はグルコース、フルクトースなどの単糖又はそれらを構成糖とするショ糖、マルトースなどの二糖類やオリゴ糖を培地全量に対して0.1〜10%の範囲で含有することができるが、中でもショ糖を0.5〜5%の範囲で含有することが好ましい。
植物ホルモンとしては、オーキシン類、サイトカイニンなどを培地全量に対して10−10〜10−2 Mの濃度範囲で単独、又は組み合わせて含有する。オーキシン類としては、インドール酢酸、インドール酪酸、α―ナフタレン酢酸、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸、2,6−ジクロロ安息香酸が挙げられ、また、サイトカイニンとしては、ゼアチン、フルフリルアミノプリン(カイネチン)、ベンジルアデニン、イソペンテニルアデニン、ジメチルアミノプリンなどが挙げられる。中でも、オーキシン類としてはインドール酢酸及びα―ナフタレン酢酸が好ましく、サイトカイニンとしてはフルフリルアミノプリン(カイネチン)及びベンジルアデニンが好ましく、α―ナフタレン酢酸とベンジルアデニンとを組み合わせて含有することが最も好ましい。
また、オーキシン類やサイトカイニンの含有量は、10−10〜10−2Mが好ましく、10−6〜10−4Mがより好ましい。
さらには、ジベレリン、アブシジン酸、ブラシノステロイドなどを培地に添加することもできる。
カルスの誘導に使用する培地に加える成分の内、加熱によって分解する物質は、それ以外の成分を蒸気加熱滅菌した後に別途、0.2μmなどのフィルターを使用した濾過滅菌をして添加することができる。培地のpHは調製時に水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどの希アルカリ溶液と塩酸溶液によってpH4〜7.5、好ましくは5.5〜6とすることができる。
カルス化に用いる植物体としては、上述のとおり、月下美人の葉、茎、根などの組織があげられるが、種子や子葉が好ましく、発芽したばかりの子葉(例えば高さが0.5〜10cm程度)が最も好ましい。
子葉を使用する場合は、月下美人の果実から種子を取り出し、例えばホルモンを添加していないMS寒天培地などに播種して無菌的に培養することにより、子葉を得ることができる。より具体的には、月下美人の果実表面を滅菌し、果実から種子を無菌的に取り出し、例えばホルモンを添加していないMS寒天培地に直接播種して無菌的に培養することが子葉を効率よく得る点で好ましい。果実から取り出し、種子の状態で保存したものよりも果実から取り出し、すぐに播種するほうが子葉の発生率の面で好ましい。
カルス誘導は固体培地でも、液体培地でも可能であるが、通常、前記培地に対して、0.4〜2%の寒天や0.1〜0.5%のゲルライトなどを添加することによって固化した固体培地上で培養するのが好ましい。培養は15〜30℃、好ましくは23〜27℃の温度で培養するのが好ましい。その際、明所で培養することが好ましい。培養については、10〜24時間明期、好ましくは16〜24時間明期で培養するのが好ましい。通常、培養5〜60日後に、0.1〜30mm径の細胞塊としてカルスを得ることができる。
次に、カルスを新しい培地に移植して培養することによってカルスを増殖させることができる。本培養は固体培養、液体培養のどちらでも良いが、経済性、大量生産性を考えて液体培養で行うのが好ましい。培養はカルスを誘導する際の培地と同じか、又は塩濃度を減ずるなどの改変を加えた培地で培養を行うことができる。塩濃度を減ずる改変を加えた培地とは培地成分中の硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸アンモニウム、リン酸二水素ナトリウム、塩化カルシウム、硫酸マグネシウムなどの主要無機塩のうち1種又は2種以上の成分をペクチンの生産に影響を及ぼさない程度に減じた培地であることが好ましい。また、培地中に公知の添加剤として知られるカザミノ酸などの有機酸、アミノ酸などの窒素源、ココナッツミルク、酵母エキス、ポリペプトンを0.01〜10g/Lの濃度で加えることもできる。
カルスを増殖させる培養の培養温度、光条件、培養期間は、カルス誘導時の培養条件と同様の条件で、培養を2〜5回繰り返すことによって数個の細胞から数百個の細胞によって作られる細胞塊として培養細胞が得られる。液体培養時の酸素供給は往復及び旋回振とうや、培養液への直接通気又はフォローファイバーを用いた間接的な方法のいずれの方法でも可能である。旋回振とう培養では振とう数を50回転/分以上、200回転/分以下とすることやフラスコ容器あたりの培地量を容量の5%以上、30%以下として気液界面を増大することが好ましく、培養液へ直接通気する場合では培養液あたりの通気量が毎分5容積%以上、20容積%以下とすることが好適である。酸素供給量の増大は細胞の増殖速度を早めることに対して有効である。
本発明に用いる月下美人のカルス抽出物とは、前記の月下美人のカルスから抽出溶媒によって抽出したものである。その抽出方法は特に限定されず、例えば、加熱抽出したものであっても良いし、常温抽出したものであっても良い。また、培養したカルスを生のまま抽出しても良いし、乾燥や凍結乾燥したカルス、冷凍保存したカルスを使用することができる。
抽出溶媒としては、例えば、水、低級アルコール(メタノール、エタノール、1‐プロパノール、2‐プロパノール、1‐ブタノール、2‐ブタノール)、液状多価アルコール(1,3‐ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなど)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)、アセトニトリル、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、炭化水素類(ヘキサン、ヘプタン、流動パラフィンなど)、エーテル類(エチルエーテル、テトラヒドロフラン、プロピルエーテルなど)が挙げられる。好ましくは、水、低級アルコール及び液状多価アルコールなどの極性溶媒が良く、特に好ましくは、水、エタノール、1,3−ブチレングリコール及びプロピレングリコールが良い。これらの溶媒は一種でも二種以上を混合して用いても良い。
上記抽出物は、抽出した溶液のまま用いても良く、必要に応じて、濃縮、希釈及び濾過処理、活性炭などによる脱色、脱臭処理などをして用いても良い。更には、抽出した溶液を濃縮乾固、噴霧乾燥、凍結乾燥などの処理を行い、乾燥物として用いても良い。
本発明の皮膚外用剤や内用剤は、上記カルス及び/又はその抽出物をそのまま使用しても良く、これらの効果を損なわない範囲内で、化粧品、医薬部外品、医薬品又は食品などに用いられる成分である油脂類、ロウ類、炭化水素類、脂肪酸類、アルコール類、エステル類、界面活性剤、金属石鹸、pH調整剤、防腐剤、香料、保湿剤、粉体、紫外線吸収剤、増粘剤、色素、酸化防止剤、美白剤、キレート剤、賦形剤、皮膜剤、甘味料などの成分を配合することもできる。
本発明は、医薬品、医薬部外品、化粧品又は食品などに用いることができ、その剤型としては、例えば、化粧水、クリーム、マッサージクリーム、乳液、ゲル剤、エアゾール剤、パック、洗浄剤、浴用剤、ファンデーション、打粉、口紅、軟膏、パップ剤、ペースト剤、プラスター剤、エッセンス、散剤、丸剤、錠剤、注射剤、坐剤、乳剤、カプセル剤、顆粒剤、液剤(チンキ剤、流エキス剤、酒精剤、懸濁剤、リモナーデ剤などを含む)、飲料などが挙げられる。
本発明に用いる上記抽出物の含有量は、外用の場合、全量に対し、固形物に換算して0.0001重量%以上が好ましく、0.001〜10重量%がより好ましい。さらに、0.01〜5重量%が最も好ましい。0.0001重量%未満では十分な効果は望みにくい。10重量%を越えて含有した場合、効果の増強は認められにくく不経済である。一方、内用の場合、投与量は年齢、体重、症状、治療効果、投与方法、処理時間などにより異なるが、通常、成人1人当たりの1日の量としては、乾燥物に換算して、5mg以上が好ましく、10mg〜5gがより好ましい。さらに、100mg〜1gが最も好ましい。
次に本発明を詳細に説明するため、実施例として本発明に用いる月下美人カルスの抽出物の製造例、実験例及び処方例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。製造例に示す%とは重量%を、実施例に示す含有量の部とは重量部を示す。
製造例A 月下美人のカルス
月下美人の果実から種子を無菌的に取り出し、ホルモンを添加していないMS寒天培地に播種して無菌的に培養し、子葉を得る。この子葉の切片を10−5Mのα―ナフタレン酢酸及び10−5Mのベンジルアデニンを含むMS寒天培地に置床し、明期16時間でカルスを誘導した。一ヶ月後、このカルスを前記のMS液体培地75mLに入れて明期24時間で2週間、100rpmで回転振とう培養し、その懸濁培養細胞を調製した。この培養細胞を10−5Mのα―ナフタレン酢酸及び10−5Mのベンジルアデニンを含むMS液体培地0.75Lに接種し、明期24時間で2週間、100rpmで回転振とう培養した。得られた培養細胞を精製水で十分に洗浄し、カルスを得た(湿潤物)。
製造例1 月下美人カルスの熱水抽出物
製造例Aで得たカルス20gに精製水200mLを加え、95〜100℃で2時間抽出した後、濾過し、その濾液を濃縮し、凍結乾燥して熱水抽出物を0.2g得た。
製造例2 月下美人カルスの50%エタノール抽出物
製造例Aで得たカルス20gに50%エタノール水溶液200mLを加え、常温で1〜7日間抽出した後、濾過し、その濾液を濃縮し、凍結乾燥して50%エタノール抽出物を0.2g得た。
製造例3 月下美人カルスのエタノール抽出物
製造例Aで得たカルス20gにエタノール200mLを加え、常温で1〜7日間抽出した後、濾過し、その濾液を濃縮し、凍結乾燥してエタノール抽出物を0.18g得た。
製造例4 月下美人花、月下美人葉・茎の熱水抽出物
月下美人の花20g又は、月下美人の葉・茎混合物の乾燥物20gに精製水400mLを加え、95〜100℃で2時間抽出した後、濾過し、その濾液を濃縮し、凍結乾燥して熱水抽出物をそれぞれ、5.9g、3.6g得た。
製造例5 月下美人花、月下美人葉・茎の50%エタノール抽出物
月下美人の花20g又は、月下美人の葉・茎混合物の乾燥物20gに50%エタノール水溶液400mLを加え、常温で1〜7日間抽出した後、濾過し、その濾液を濃縮し、凍結乾燥して50%エタノール抽出物をそれぞれ、1.8g、0.8g得た。
製造例6 月下美人花、月下美人葉・茎のエタノール抽出物
月下美人の花20g又は、月下美人の葉・茎混合物の乾燥物20gにエタノール水溶液400mLを加え、常温で1〜7日間抽出した後、濾過し、その濾液を濃縮し、凍結乾燥してエタノール抽出物をそれぞれ、0.4g、0.3g得た。
実験例1 活性酸素消去作用
フリーラジカル捕捉除去作用の評価を行った。陽性対照としてはアスコルビン酸を用いた。フリーラジカルのモデルとしては、安定なフリーラジカルであるα,α−ジフェニル−β−ピクリルヒドラジル(以下DPPHとする)を用い、試料と一定の割合で一定時間反応させ、減少するラジカルの量を波長517nmの吸光度の減少量から測定した。
フリーラジカル捕捉除去作用の測定方法
各試料を、最終濃度0.005〜0.02mg/mL(アスコルビン酸は0.01mg/mL)となるように加えた0.1M酢酸緩衝液(pH5.5)2mLに無水エタノール2mL及び0.5mM DPPH無水エタノール溶液1mLを加えて反応液とした。その後、37℃で30分間反応させ、水を対照として波長517nmの吸光度(A)を測定した。また、ブランクとして試料の代わりに精製水を加えた反応液を用いて吸光度(B)を測定した。フリーラジカル補足除去率が50%のときの試料の濃度(IC50)を算出した。
フリーラジカル補足除去率(%)=(1−A/B)×100
これらの試験結果を表1に示した。本発明の抽出物は、安定で優れたフリーラジカル補足除去作用を有していることが認められた。これは、従来技術である月下美人の花や葉・茎と比較して顕著に高い効果である。なお、アスコルビン酸は、100℃、1時間の熱処理で失活するが、本発明の抽出物は、活性に変化はなかった。
実験例2 コラゲナーゼ活性阻害試験
試料液50μL(最終濃度が5mg/mL)に酵素液として50U/mLのコラゲナーゼType IV(シグマ製)水溶液を50μL加えた。基質溶液として0.39mg/mLのPz−ペプタイド(Pz−Pro−Leu−Gly−Pro−D−Arg−OH、シグマ製)を含む20mM塩化カルシウム入りトリス塩酸緩衝液(pH7.1)を400μL加えて混合し、37℃、30分反応させた後、25mMクエン酸0.5mLを加えて反応を停止させた。酢酸エチル2.5mLを加え、酢酸エチル層について320nmにおける吸光度を測定した。また、各試料の阻害作用は、次の式から求められる阻害率で算出した。なお、対照には試料の代わりに精製水を用い、ブランクとしてコラゲナーゼの代わりに20mM塩化カルシウム入りトリス塩酸緩衝液(pH7.1)を用いた。
阻害率(%)=〔1−(C−D)/(A−B)〕×100
A:対照の320nmにおける吸光度(O.D.320)
B:対照ブランクのO.D.320
C:試料のO.D.320
D:試料ブランクのO.D.320
これらの実験結果を表2に示した。その結果、本発明の月下美人カルスの抽出物は優れたコラゲナーゼ活性阻害作用を示した。
実験例3 メラニン生成抑制試験
対数増殖期にあるB16マウスメラノーマ細胞を60mm dishに3×10個播種し、各試料(最終濃度10μg/mL)を含むEagles’MEM(10%牛胎児血清含有)培地にて、37℃、5%CO条件下で5日間培養した。次に、細胞をdishから剥離し、超音波破砕した後、4N NaOHを加え60℃で2時間の処理を行い、分光光度計でO.D.475nmを測定した。尚、超音波処理後の細胞破砕液についてLowryの方法(J.Biol.Chem.,193,265−275,1951)にてタンパク定量し、タンパク量当りのメラニン量を算出、試料未添加のメラニン生成量をコントロールとし、コントロールに対する試料添加時のメラニン生成量の値からメラニン生成抑制率を算出した。
これらの試験結果を表3に示した。本発明の抽出物は、優れたメラニン生成抑制作用を有していることが認められた。
実験例4 フィラグリン生成促進試験
NMF(天然保湿因子)の前駆物質であるフィラグリン生成への影響をフィラグリン遺伝子(FLG)のmRNA発現量を指標として評価した。すなわち、ケラチノサイト由来HaCaT細胞を6wellプレートに1wellあたり5×10個播種し、10%FBSを含むDMEM培養液にて、37℃、5%CO条件下で4日間培養した。次に、各試料(最終濃度10μg/mL)を添加したDMEM培養液にて、24時間培養した後、総RNAの抽出を行った。細胞からの総RNAの抽出はTRIZOL Reagent(Invitrogen)を用いて行い、総RNA量は分光光度計(NanoDrop)を用いて260nmにおける吸光度により求めた。mRNA発現量の測定は、細胞から抽出した総RNAを基にしてリアルタイムRT−PCR法により行った。リアルタイムRT−PCR法には、SuperScriptIII Platinum Two−Step qRT−PCR Kit with SYBR Green(Invitrogen)を用いた。すなわち、500ngの総RNAを逆転写反応後、PCR反応(95℃:15秒間、60℃:30秒間、40cycles)を行った。その他の操作は定められた方法に従い、FLG mRNAの発現量を、内部標準であるGAPDH mRNAの発現量に対する割合として求めた。FLG発現量は、コントロールのFLG mRNAの発現量に対する試料添加群のFLG mRNAの発現量の比率として算出した。なお、FLG用のプライマーは、以下に示したものを使用した。
FLG用のプライマーセット
GGATCACTTGGATATAGACCACAACA(配列番号1)
TGAGCCAACTTGAATACCATCAGA(配列番号2)
GAPDH用のプライマーセット
TGCACCACCAACTGCTTAGC(配列番号3)
TCTTCTGGGTGGCAGTGATG(配列番号4)
これらの試験結果を表4に示した。その結果、本発明の抽出物にはフィラグリン生成促進効果が認められた。
実験例5 IL−1α産生阻害試験
界面活性剤であるsodium dodecyl sulfate(SDS)曝露によるケラチノサイトにおける炎症性サイトカイン、IL−1α発現亢進に対する抑制作用を指標に抗炎症効果を評価した。すなわち、ケラチノサイト由来HaCaT細胞を、60mm dishに1×10個播種し、10%FBSを含むDMEM培養液にて、37℃、5%CO条件下で培養した。コンフルエントな状態になったところで、20μg/mLのSDSおよび10μg/mLの試料を添加した2%FBSを含むDMEM培養液にてさらに6時間培養した後、総RNAの抽出を行った。細胞からの総RNAの抽出はTRIZOL Reagent(Invitrogen)を用いて行い、総RNA量は分光光度計(NanoDrop)を用いて260nmにおける吸光度により求めた。mRNA発現量の測定は、細胞から抽出した総RNAを基にしてリアルタイムRT−PCR法により行った。リアルタイムRT−PCR法には、SuperScriptIII Platinum Two−Step qRT−PCR Kit with SYBR Green(Invitrogen)を用いた。すなわち、500ngの総RNAを逆転写反応後、PCR反応(95℃:15秒間、60℃:30秒間、40cycles)を行った。その他の操作は定められた方法に従い、IL−1α mRNAの発現量を、内部標準であるGAPDH mRNAの発現量に対する割合として求めた。尚、IL−1α用のプライマーは、以下に示したものを使用した。
IL−1αのプライマーセット
ATTGTATGTGACTGCCCAAGATGA(配列番号5)
AGTTTCCCAGAAGAAGAGGAGGTT(配列番号6)
GAPDH用のプライマーセット
TGCACCACCAACTGCTTAGC(配列番号3)
TCTTCTGGGTGGCAGTGATG(配列番号4)
試料の抗炎症効果は、試料のSDS曝露によるHaCaT細胞のIL−1α mRNA発現量の増加を抑制する割合として、以下の計算式にて算出した。
IL−1α産生阻害率(%)=(試料未添加SDS添加のIL−1α mRNA発現量−試料・SDS添加のIL−1αmRNA発現量)/(試料未添加SDS添加のIL−1αmRNA発現量−コントロールのIL−1αmRNA発現量)×100
これらの試験結果を表5に示した。その結果、本発明の抽出物にはIL−1α産生抑制効果が認められた。
実験例6 細胞増殖促進試験
ケラチノサイト由来HaCaT細胞を96wellプレートに1wellあたり5×10個播種し、各試料(最終濃度1μg/mL)を添加した0.1%FBSを含むDMEM培養液にて、37℃、5%CO条件下で3日間培養した。細胞数の測定は、MTT法により行った。すなわち、培養終了後、培養液を除き、500μg/mLの濃度にて、MTT(3−[4,5−dimethylthiazol−2−yl]−2,5−diphenyl tetrazolium bromide)を溶解させたDMEMに培地を入れ替え、2時間培養した後、150μLのisopropanolに細胞を溶解させ、マイクロプレートリーダーを用いて570及び630nmにおける吸光度を測定した。細胞数は、570nmの吸光度値から、630nmの吸光度値を引いた値にて算出し、試料未添加の細胞数をコントロールとし、コントロールに対する試料添加時の細胞数から試料の細胞増殖促進効果を評価した。
これらの実験結果を表6に示した。その結果、本発明の抽出物は、ケラチノサイトに対して優れた細胞増殖促進作用を示した。
実験例7 コラーゲン生成促進効果
I型コラーゲン(COL1A)のmRNA発現量の測定を行った。ヒト皮膚線維芽細胞(NB1RGB)を60mm dishに1×10個播種し、10%FBSを含むDMEM培養液にて、37℃、5%CO条件下で培養した。コンフルエントな状態になったところで、COL1A mRNA発現量測定では各試料を最終濃度1μg/mLを添加したDMEM培養液にて、24時間培養した後、総RNAの抽出を行った。細胞からの総RNAの抽出はTRIZOL Reagent(Invitrogen)を用いて行い、総RNA量は分光光度計(NanoDrop)を用いて260nmにおける吸光度により求めた。mRNA発現量の測定は、細胞から抽出した総RNAを基にしてリアルタイムRT−PCR法により行った。リアルタイムRT−PCR法には、SuperScriptIII Platinum Two−Step qRT−PCR Kit with SYBR Green(Invitrogen)を用いた。すなわち、500ngの総RNAを逆転写反応後、PCR反応(95℃:15秒間、60℃:30秒間、40cycles)を行った。その他の操作は定められた方法に従い、COL1A mRNAの発現量を、内部標準であるβ―actin mRNAの発現量に対する割合として求めた。COL1A発現量は、コントロールのCOL1A mRNAの発現量に対する試料添加群のCOL1A mRNAの発現量の比率として算出した。なお、各遺伝子の発現量の測定に使用したプライマーは次の通りである。
COL1A用のプライマーセット
AGGACAAGAGGCATGTCTGGTT(配列番号7)
TTGCAGTGGTAGGTGATGTTCTG(配列番号8)
β―Actin用のプライマーセット
CACTCTTCCAGCCTTCCTTCC(配列番号9)
GTGTTGGCGTACAGGTCTTTG(配列番号10)
これらの実験結果を表7に示した。その結果、本発明の抽出物は、優れたCOL1A発現促進効果(コラーゲン生成促進効果)が認められた。
実験例8 ヒアルロン酸生成促進効果
HaCaT細胞を60mm dishに1×10個播種し、10%FBSを含むDMEM培地にて37℃、5% CO条件下で4日間培養した。PBS(−)にて2回洗浄後、試料を最終濃度として10μg/mLとなるように添加したFBSを含まないDMEMにてさらに24時間培養し、総RNAを抽出した。総RNAの抽出には、RNAiso Plus(タカラバイオ)を用いた。細胞から抽出した総RNAをもとに、RT−PCR法によりHAS1およびHAS3 mRNA発現量の測定を行った。RT−PCR法にはPrimeScript RT Master Mix(タカラバイオ)及びSYBR Select Master Mix(ライフテクノロジーズ)を用い、HAS1及びHAS3のプライマーは、以下に示したものを使用した。PCR反応は、95℃:2分の初期変性を行った後、95℃:15秒、60℃:60秒を1cycleとして40cycle行った。また、内部標準としては、GAPDHを用いた。その他の操作は、定められた方法に従い、HAS1及びHAS3 mRNAの発現量を、内部標準であるGAPDH mRNA発現量に対する割合として求めた。
HAS1用のプライマーセット
AATGTGGAGCGGGCTTGTC(配列番号11)
AGGCCTAGAGGACCGCTGAT(配列番号12)
HAS3用のプライマーセット
GACATGGCCCCCAAGCA(配列番号13)
TCCCCTTCCCTCCCTTACC(配列番号14)
GAPDH用のプライマーセット
TGCACCACCAACTGCTTAGC(配列番号3)
TCTTCTGGGTGGCAGTGATG(配列番号4)
これらの実験結果を表8、9に示した。その結果、本発明の抽出物は、優れたHAS1、HAS3発現促進効果(ヒアルロン酸生成促進効果)が認められた。
処方例1 化粧水
処方 含有量(部)
1.製造例1の抽出物 1.0
2.1,3‐ブチレングリコール 8.0
3.グリセリン 2.0
4.キサンタンガム 0.02
5.クエン酸 0.01
6.クエン酸ナトリウム 0.1
7.エタノール 5.0
8.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
9.ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(40E.O.) 0.1
10.香料 適量
11.精製水にて全量を100とする
[製造方法]成分1〜6及び11と、成分7〜10をそれぞれ均一に溶解し、両者を混合し濾過して製品とする。
処方例2 クリーム
処方 含有量(部)
1.製造例2の抽出物 0.5
2.スクワラン 5.5
3.オリーブ油 3.0
4.ステアリン酸 2.0
5.ミツロウ 2.0
6.ミリスチン酸オクチルドデシル 3.5
7.ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.) 3.0
8.ベヘニルアルコール 1.5
9.モノステアリン酸グリセリン 2.5
10.香料 0.1
11.パラオキシ安息香酸メチル 0.25
12.1,3‐ブチレングリコール 8.5
13.精製水にて全量を100とする
[製造方法]成分2〜9を加熱溶解して混合し、70℃に保ち油相とする。成分1及び11〜13を加熱溶解して混合し、75℃に保ち水相とする。油相に水相を加えて乳化して、かき混ぜながら冷却し、45℃で成分10を加え、更に30℃まで冷却して製品とする。
処方例3 乳液
処方 含有量(部)
1.製造例1の抽出物 1.0
2.スクワラン 5.0
3.オリーブ油 5.0
4.ホホバ油 5.0
5.セタノール 1.5
6.モノステアリン酸グリセリン 2.0
7.ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.) 3.0
8.ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(20E.O.) 2.0
9.香料 0.1
10.プロピレングリコール 1.0
11.グリセリン 2.0
12.パラオキシ安息香酸メチル 0.2
13.精製水にて全量を100とする
[製造方法]成分2〜8を加熱溶解して混合し、70℃に保ち油相とする。成分1及び10〜13を加熱溶解して混合し、75℃に保ち水相とする。油相に水相を加えて乳化して、かき混ぜながら冷却し、45℃で成分9を加え、更に30℃まで冷却して製品とする。
処方例4 ゲル剤
処方 含有量(部)
1.製造例3の抽出物 0.001
2.エタノール 5.0
3.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
4.ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(60E.O.) 0.1
5.香料 適量
6.1,3‐ブチレングリコール 5.0
7.グリセリン 5.0
8.キサンタンガム 0.1
9.カルボキシビニルポリマー 0.2
10.水酸化カリウム 0.2
11.精製水にて全量を100とする
[製造方法]成分2〜5と、成分1及び6〜11をそれぞれ均一に溶解し、両者を混合して製品とする。
処方例5 パック
処方 含有量(部)
1.製造例1の抽出物 0.1
2.製造例2の抽出物 0.1
3.ポリビニルアルコール 12.0
4.エタノール 5.0
5.1,3‐ブチレングリコール 8.0
6.パラオキシ安息香酸メチル 0.2
7.ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(20E.O.) 0.5
8.クエン酸 0.1
9.クエン酸ナトリウム 0.3
10.香料 適量
11.精製水にて全量を100とする
[製造方法]成分1〜11を均一に溶解し製品とする。
処方例6 ファンデーション
処方 含有量(部)
1.製造例3の抽出物 1.0
2.ステアリン酸 2.4
3.ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート(20E.O.) 1.0
4.ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.) 2.0
5.セタノール 1.0
6.液状ラノリン 2.0
7.流動パラフィン 3.0
8.ミリスチン酸イソプロピル 6.5
9.カルボキシメチルセルロースナトリウム 0.1
10.ベントナイト 0.5
11.プロピレングリコール 4.0
12.トリエタノールアミン 1.1
13.パラオキシ安息香酸メチル 0.2
14.二酸化チタン 8.0
15.タルク 4.0
16.ベンガラ 1.0
17.黄酸化鉄 2.0
18.香料 適量
19.精製水にて全量を100とする
[製造方法]成分2〜8を加熱溶解し、80℃に保ち油相とする。成分19に成分9をよく膨潤させ、続いて、成分1及び10〜13を加えて均一に混合する。これに粉砕機で粉砕混合した成分14〜17を加え、ホモミキサーで撹拌し75℃に保ち水相とする。この油相に水相をかき混ぜながら加え、乳化する。その後冷却し、45℃で成分18を加え、かき混ぜながら30℃まで冷却して製品とする。
処方例7 浴用剤
処方 含有量(部)
1.製造例1の抽出物 5.0
2.製造例2の抽出物 1.0
3.炭酸水素ナトリウム 50.0
4.黄色202号(1) 適量
5.香料 適量
6.硫酸ナトリウムにて全量を100とする
[製造方法]成分1〜6を均一に混合し製品とする。
処方例8 軟膏
処方 含有量(部)
1.製造例3の抽出物 0.5
2.ポリオキシエチレンセチルエーテル(30E.O.) 2.0
3.モノステアリン酸グリセリン 10.0
4.流動パラフィン 5.0
5.セタノール 6.0
6.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
7.プロピレングリコール 10.0
8.精製水にて全量を100とする
[製造方法]成分2〜5を加熱溶解して混合し、70℃に保ち油相とする。成分1及び6〜8を加熱溶解して混合し、75℃に保ち水相とする。油相に水相を加えて乳化して、かき混ぜながら30℃まで冷却して製品とする。
処方例9 散剤
処方 含有量(部)
1.製造例1の抽出物 20.0
2.乾燥コーンスターチ 30.0
3.微結晶セルロース 50.0
[製造方法]成分1〜3を混合し、散剤とする。
以上のことから、月下美人のカルスの抽出物は、優れた抗酸化効果、コラゲナーゼ活性阻害効果、美白効果、フィラグリン生成促進効果、抗炎症効果、細胞増殖効果、コラーゲン生成促進効果、ヒアルロン酸生成促進効果などを示し、これらを含有する皮膚外用剤又は内用剤などは特に有効である。

Claims (8)

  1. 月下美人の種子から子葉を得た後、その子葉から、10 −5 Mのα―ナフタレン酢酸及び10 −5 Mのベンジルアデニンを含有するMS培地及び/又はB5培地を用いて誘導したカルスであって、新しい培地に移植したとき、さらに増殖することができることを特徴とする月下美人のカルス。
  2. 月下美人の種子から子葉を得た後、その子葉から、10 −5 Mのα―ナフタレン酢酸及び10 −5 Mのベンジルアデニンを含有するMS培地及び/又はB5培地を用いて培養することを特徴とする月下美人のカルスの製造方法。
  3. 請求項1に記載の月下美人のカルス及び/又はその抽出物を含有することを特徴とする活性酸素消去剤。
  4. 請求項1に記載の月下美人のカルス及び/又はその抽出物を含有することを特徴とするコラゲナーゼ活性阻害剤。
  5. 請求項1に記載の月下美人のカルス及び/又はその抽出物を含有することを特徴とする美白剤。
  6. 請求項1に記載の月下美人のカルス及び/又はその抽出物を含有することを特徴とするIL−1α産生阻害剤。
  7. 請求項1に記載の月下美人のカルス及び/又はその抽出物を含有することを特徴とするコラーゲン産生促進剤。
  8. 請求項1に記載の月下美人のカルス及び/又はその抽出物を含有することを特徴とする皮膚外用剤。
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