本開示の好ましい実施形態が本明細書において示され、記載されているが、そのような実施形態は単に例として提供されるものであることは当業者には明白であろう。当業者は、本開示から逸脱することなく、多数の変形、変化および置換をすぐに思いつくであろう。本明細書に記載されている本開示の複数の実施形態に対する種々の代替を本開示の実施に使用することができることが理解されるべきである。添付の特許請求の範囲により本開示の範囲が定義されること、これらの特許請求の範囲およびそれらの均等物の範囲内に入る方法および構造もそれに包含されることが意図されている。
別段の定義のない限り、本明細書において使用される全ての科学技術用語は、本開示が属する技術分野の当業者に一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で言及される特許および刊行物は全て、参照により組み込まれる。
本明細書および特許請求の範囲において使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「この(the)」は、文脈によりそうでないことが明確に規定されない限り、複数の参照対象を含む。
「有効量」または「治療有効量」という用語は、本明細書では、下で定義される通り、これだけに限定されないが、疾患の処置を含めた意図された適用をもたらすために十分である、本明細書に記載の化合物の量を指す。治療有効量は、意図された適用(in vitroまたはin vivo)、または処置される対象および疾患状態、例えば、対象の体重および年齢、疾患状態の重症度、投与の様式などに応じて変動し得、これらは、当業者が容易に決定することができる。この用語は、標的細胞における特定の応答、例えば、インターロイキン−6(IL−6)、NFκB、またはリン酸化ERK(pERK)などの1つまたは複数の生物学的マーカーの発現または活性の低減による炎症応答の低減を誘導する用量にも適用される。特定の用量は、選択される特定の化合物、従われる投薬レジメン、他の化合物と組み合わせて投与されるかどうか、投与のタイミング、投与される組織、および運搬の物理的な送達系に応じて変動する。
本明細書で使用される場合、「処置(treatment)」または「処置すること(treating)」または「緩和すること(palliating)」および「好転させること(ameliorating)」は、本明細書では互換的に使用される。これらの用語は、これだけに限定されないが、治療的利益および/または予防的利益を含めた有益なまたは所望の結果を得るための手法を指す。治療的利益とは、処置される基礎障害の根絶または好転を意味する。また、治療的利益は、基礎障害に付随する生理的症状の1つまたは複数の根絶または好転で実現され、したがって、患者がなお基礎障害を患っている可能性があっても、患者において改善が観察される。予防的利益のために、組成物を、特定の疾患が発生するリスクがある患者、または、疾患の診断がなされていない可能性があるにもかかわらずこの疾患の生理的症状の1つまたは複数が報告されている患者に投与することができる。
「治療効果」という用語は、本明細書において使用される場合、上記の治療的利益および/または予防的利益を包含する。予防的効果としては、疾患または状態の出現の遅延もしくは排除、疾患または状態の症状の発症の遅延もしくは排除、疾患または状態の進行の減速、停止、もしくは反転、またはそれらの任意の組合せが挙げられる。
「同時投与(co−administration)」、「と組み合わせて投与する(administered in combination with)」という用語、およびそれらの文法上の等価物は、本明細書で使用される場合、2つまたはそれ超の薬剤を動物に投与し、したがって、両方の薬剤および/またはそれらの代謝産物が動物内に同時に存在することを包含する。同時投与は、別々の組成物として同時に投与すること、別々の組成物として違う時間に投与すること、または両方の薬剤が存在する組成物として投与することを含む。
「薬学的に許容される塩」という用語は、本明細書では、当技術分野で周知の種々の有機対イオンおよび無機対イオンに由来する塩を指し、単に例として、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、テトラアルキルアンモニウムなど;および、分子が塩基官能性を含有する場合には、有機酸または無機酸の塩、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、酒石酸塩、メシル酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、シュウ酸塩などが挙げられる。
本明細書で使用される場合、「薬剤」または「生物学的に活性な薬剤」は、本明細書では、生物学的化合物、医薬化合物、または化学化合物または他の部分を指す。非限定的な例としては、単純なまたは複雑な有機分子または無機分子、ペプチド、タンパク質、オリゴヌクレオチド、抗体、抗体誘導体、抗体断片、ビタミン誘導体、炭水化物、毒素、または化学療法化合物が挙げられる。様々な化合物、例えば、小分子およびオリゴマー(例えば、オリゴペプチドおよびオリゴヌクレオチド)、および合成有機化合物を種々のコア構造に基づいて合成することができる。さらに、種々の天然の供給源により、例えば植物抽出物または動物抽出物など、スクリーニングされる化合物がもたらされ得る。当業者は、本開示の薬剤の構造的性質に関する限定はないことを容易に理解することができる。
「シグナルトランスダクション」とは、刺激性シグナルまたは阻害性シグナルが細胞内におよび細胞内で伝達されて、細胞内応答が引き出されるプロセスである。シグナルトランスダクション経路のモジュレーターとは、同じ特定のシグナルトランスダクション経路にマッピングされる1つまたは複数の細胞タンパク質の活性を調節する化合物を指す。モジュレーターは、シグナル伝達分子の活性を強化するもの(アゴニスト)または抑制するもの(アンタゴニスト)であり得る。
本明細書で使用される場合、「阻害」という用語は、生物学的に活性な薬剤を指す場合、標的シグナル伝達活性を、標的との直接または間接的な相互作用により、オフターゲットのシグナル伝達活性と比較して低減する薬剤の能力を指す。
本明細書で使用される場合、「対象」とは、哺乳動物、例えば、ヒトなどの動物を指す。本明細書に記載の方法は、ヒト治療薬と動物への適用の両方において有用であり得る。一部の実施形態では、患者は哺乳動物であり、一部の実施形態では、患者はヒトである。
本明細書で使用される場合、「異常な免疫応答」という用語は、自己抗原などの抗原に対する免疫応答が増大し、したがって炎症および/または自己免疫疾患または神経変性疾患が見られる、増大した、望ましくない、過剰な、または不適切な免疫応答を指す。異常な免疫応答は、本明細書で使用される場合、体の組織の破壊がもたらされる免疫カスケードを特徴とする。一般には、異常な免疫という結果は、感染に対する正常な応答では見られないが、感染によって誘発され得る。異常な免疫応答の非限定的な例としては、自己免疫障害、免疫不全およびアレルギーが挙げられる。
本明細書に記載の通り、「炎症」、「炎症応答」または「免疫応答」という用語は、血流の増大および免疫細胞の流入および分泌の結果として生じる発赤、温感、腫脹、疼痛、および機能喪失を特徴とする、損傷、感染または刺激に対する生組織の反応を意味する。
「瘢痕組織」という用語は、組織の破壊を補修するように作用する、無秩序なコラーゲンおよび他の結合組織タンパク質の過剰産生によって引き起こされる、体の任意の組織内の損傷または疾患の部位において形成される線維状(線維性)結合組織を意味する。
「再生」という用語は、損傷後のまたは正常な体のプロセスとしての、体または体の部分、組織、または実質の一新、再成長、または回復を意味する。
本明細書で使用される場合、「幹細胞」とは、それ自体で一新し、分化して1つまたは複数の異なる細胞型を生じることが可能である、組織もしくは器官において分化細胞の中で見出される、または、外部の供給源、例えば胚性幹細胞、成体骨髄系幹細胞から導入される未分化細胞である。
本明細書で使用される場合、「フリーラジカル」および「フリーラジカル誘導体」という用語は、活性酸素種(ROS)および/または活性窒素種(RNS)とみなされる分子を包含する。ROSは、分子状酸素(二原子酸素;O2)の部分的な還元の結果として形成されるラジカル種および非ラジカル種の両方を含む。ROSの非限定的な例としては、スーパーオキシドラジカルアニオン(O2 −.)、過酸化水素(H2O2)、ヒドロキシルラジカル(.OH)、一重項酸素(1O2)、およびペルオキシナイトライト(ONOO−)が挙げられる。RNSは、L−アルギニンの酸化の結果として形成されるラジカル種および非ラジカル種の両方を含む。RNSの非限定的な例としては、一酸化窒素(.NO)、ニトロソニウムカチオン(NO+)、ニトロキシルアニオン(NO−)、およびペルオキシナイトライト(ONOO−)が挙げられる。
本明細書に記載されている場合、生物学的マーカーまたはバイオマーカーとは、一般に、いくつかの生物学的な状況または状態の測定可能な指標を指す。生物学的マーカーは、多くの場合、正常な生物学的プロセス、病原プロセス、または治療介入に対する薬理的応答を調査するために測定および評価される。
「抽出物」とは、多くの場合にはエタノールまたは水などの溶媒を使用することによって、原料の一部を抽出することによって作製される物質である。抽出物は、液体、固体、半固体、ゲルまたは粉末の形態であってよい。
本明細書において記載される場合、「飲料」とは、ヒトによる摂取用に特に調製した液体である。飲料は、一般には、いくつかの形態の水を含む。飲料の例としては、水、乳、茶、コーヒー、ジュースおよびジュース飲料、清涼飲料、および炭酸飲料が挙げられる。
「栄養補助食品」は、そうでなければ十分な量で摂取されない可能性がある栄養分を提供することを意図したものである。一般に理解されている補助食品としては、とりわけ、ビタミン、無機物、繊維、脂肪酸、またはアミノ酸が挙げられる。米国当局によると栄養補助食品は食物として定義されているが、他の場所では、栄養補助食品は薬物または他の製品として分類される可能性がある。
種々の態様では、本開示は、急性および/または慢性炎症障害、肝線維症、および神経変性障害に関連する薬物適用による状態を含めた自己免疫障害などの異常な免疫応答に関連する疾患に罹患している個体を処置するための化合物、組成物、および方法に関する。一部の実施形態では、これは、治療有効量のシネチルカロールまたはSpiranthes sinensisの抽出物を含む組成物を、疾患に罹患している個体に投与することによって実現される。一部の実施形態では、有効量のシネチルカロールおよび/またはSpiranthes sinensisの抽出物は、抗炎症活性、抗肝線維症活性、および抗酸化活性を有する。
組成物
一態様では、本開示は、シネチルカロール(SI)を炎症応答を低減するために有効な量で含む組成物を、それを必要とする対象に投与するために製剤化された医薬組成物を提供する。一部の実施形態では、医薬組成物はシネチルカロールを含み、シネチルカロールは以下の化学構造を有する:
一部の実施形態では、開示される組成物は、植物Spiranthes sinensisに由来するSpiranthes sinensis抽出物(SSE)を含む。Spiranthes sinensis植物は図23に示されている。
抽出物
一部の実施形態では、主題の組成物は、植物Spiranthes sinensisの抽出物から分離されたシネチルカロールを含む。一部の実施形態では、Spiranthes sinensisの抽出物が提供される。一部の実施形態では、前記抽出物は、以下のステップを含む方法に従って調製されたエステル抽出物である:(a)Spiranthes sinensisの植物体を得るステップ;(b)前記植物体を溶媒と混合して流体(例えば、液体または超臨界流体)を得るステップ;および(c)前記流体を乾燥させてSpiranthes sinensisの前記エステル抽出物を得るステップ。
植物Spiranthes sinensisは、植物全体であってもよく、これだけに限定されないが、前記植物体の新鮮なまたは乾燥させた葉、根、種子、樹皮、果実、皮、花、および/または幹を含めた、生物体Spiranthes sinensisの任意の一部分であってもよい。一部の実施形態では、Spiranthes sinensisの植物体を乾燥させた後に抽出ステップに進む。一部の実施形態では、前記植物体と溶媒の相互作用の効果を増大させるために、Spiranthes sinensisの植物体を乾燥させ、適切なサイズに粉砕する。
一部の実施形態では、Spiranthes sinensis抽出物は、Spiranthes sinensisの植物体を得、前記植物体を溶媒と混合して混合物を得、その後、前記混合物を乾燥させて抽出物を得ることによって調製する。一部の場合では、溶媒は、酢酸エチル、アセトン、および/またはn−ヘキサンである。一部の実施形態では、溶媒は、酢酸エチルである。一部の場合では、酢酸エチルの濃度は、約1%〜100%(v/v)、5%〜100%(v/v)、15%〜100%(v/v)、20%〜100%(v/v)、25%〜100%(v/v)、30%〜100%(v/v)、40%〜100%(v/v)、50%〜100%(v/v)、60%〜100%(v/v)、70%〜100%(v/v)、80%〜100%(v/v)、90%〜100%(v/v)、10%〜90%(v/v)、20%〜80%(v/v)、30%〜70%(v/v)、40%〜60%(v/v)、または25%〜75%(v/v)の間の範囲内であり、前記濃度は、酢酸エチルの総体積に基づく。一部の場合では、溶媒は、約5%〜100%(v/v)の間の濃度の酢酸エチルである。一部の場合では、酢酸エチルの濃度は、約10%〜100%(v/v)の間である。
一部の実施形態では、組成物は、Spiranthes sinensisの抽出物を溶媒と約15℃〜30℃、20℃〜30℃、25℃〜30℃、18℃〜28℃、20℃〜28℃、25℃〜28℃、15℃〜37℃、18℃〜37℃、20℃〜37℃、または25℃〜37℃の間の温度で混合することによって調製する。一部の場合では、混合は、20℃〜28℃で行う。一部の場合では、混合は、およそ1日、2日間、3日間、5日間、6日間、7日間またはそれ超にわたって行う。一部の場合では、混合は、およそ1〜2日にわたって行う。
調製は、Spiranthes sinensis抽出物と溶媒の混合物を乾燥させることをさらに含んでよい。乾燥のための多数の方法が利用可能であり、例えば、混合物の乾燥は、真空乾燥、フリーズドライ、凍結乾燥、またはこれらの組合せによって実現することができる。一部の実施形態では、抽出物は、前記乾燥後の粉末の形態である。
シネチルカロールおよびSpiranthes sinensis抽出物の量は、一般には、Spiranthes sinensisの乾燥重量と相関する。例えば、シネチルカロール:Spiranthes sinensis抽出物:Spiranthes sinensisの量は、約0.3:0.1:1(w/w/w)、約3:1:10(w/w/w)、約0.5:0.3:2(w/w/w)、または約5:3:20(w/w/w)の比率であり得る。非限定的な例として、Spiranthes sinensisの乾燥重量およそ1000gから抽出されたSpiranthes sinensis抽出物およそ150gから、およそ250mgのシネチルカロールを分離することができる。一部の実施形態では、シネチルカロールの量は、少なくとも約250mgである。一部の実施形態では、Spiranthes sinensis抽出物の量は、少なくとも約150gである。
一部の実施形態では、組成物は、前記医薬組成物の総体積に基づいて、約0.0001〜1000、0.001〜100、0.01〜100、0.1〜100、1〜100、1.2〜100、1.5〜100、1.8〜100、2〜100、3〜100、4〜100、5〜100、6〜100、7〜100、8〜100、9〜100、10〜100、30〜1000、50〜1000、80〜1000μg/mLの間の量のSpiranthes sinensis抽出物を含む。一部の実施形態では、医薬組成物は、前記医薬組成物の総体積に基づいて、約または少なくとも約0.0001、0.001、0.01、0.1、1、1.2、1.5、1.8、2、3、4、5、6、7、8、9、10、30、50、100、150、200、250、500μg/mLまたはそれ超の量のSpiranthes sinensis抽出物を含む。
一部の実施形態では、本開示の組成物中のシネチルカロールまたはSpiranthes sinensis抽出物の量は、100%、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、0.1%、0.09%、0.08%、0.07%、0.06%、0.05%、0.04%、0.03%、0.02%、0.01%、0.009%、0.008%、0.007%、0.006%、0.005%、0.004%、0.003%、0.002%、0.001%、0.0009%、0.0008%、0.0007%、0.0006%、0.0005%、0.0004%、0.0003%、0.0002%、または0.0001%w/w、w/vまたはv/vよりも少ない。
一部の実施形態では、シネチルカロールまたはSpiranthes sinensis抽出物の量は、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、19.75%、19.50%、19.25% 19%、18.75%、18.50%、18.25% 18%、17.75%、17.50%、17.25% 17%、16.75%、16.50%、16.25% 16%、15.75%、15.50%、15.25% 15%、14.75%、14.50%、14.25% 14%、13.75%、13.50%、13.25% 13%、12.75%、12.50%、12.25% 12%、11.75%、11.50%、11.25% 11%、10.75%、10.50%、10.25% 10%、9.75%、9.50%、9.25% 9%、8.75%、8.50%、8.25%、8%、7.75%、7.50%、7.25% 7%、6.75%、6.50%、6.25% 6%、5.75%、5.50%、5.25% 5%、4.75%、4.50%、4.25%、4%、3.75%、3.50%、3.25%、3%、2,75%、2.50%、2.25%、2%、1.75%、1.50%、125%、1%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、0.1%、0.09%、0.08%、0.07%、0.06%、0.05%、0.04%、0.03%、0.02%、0.01%、0.009%、0.008%、0.007%、0.006%、0.005%、0.004%、0.003%、0.002%、0.001%、0.0009%、0.0008%、0.0007%、0.0006%、0.0005%、0.0004%、0.0003%、0.0002%、または0.0001%w/w、w/v、またはv/vよりも多い。
一部の実施形態では、シネチルカロールおよび/またはSpiranthes sinensisの量は、0.0001〜1000g、0.001〜10g、0.005〜100g、0.0005〜9g、0.001〜8g、0.005〜7g、0.01〜6g、0.05〜5g、0.1〜4g、0.5〜4g、または1〜3gの範囲内である。一部の実施形態では、シネチルカロールおよび/またはSpiranthes sinensisの量は、少なくとも約0.0001、0.001、0.005、0.01、0.05、0.1、1、3、4、5、6、7、8、9、10、100、1000gまたはそれ超である。
本開示による化合物は、広い投与量範囲にわたって有効である。例えば、成人ヒトの処置では、使用することができる投与量の例は、1日当たり0.01mgから1000mgまで、0.5mgから100mgまで、1mgから50mgまで、および1日当たり5mgから40mgまでの投与量である。例示的な投与量は、1日当たり10〜30mgである。正確な投与量は、投与経路、化合物の投与形態、処置される対象、処置される対象の体重、ならびに担当の医療専門家の選択および経験に左右される。
一部の実施形態では、本開示は、Spiranthes sinensis抽出物を対象に1日当たり体重1kg当たり約1〜約100mgの間の範囲の有効量で投与することを含む。有効な投与量は、1日当たり体重1kg当たり約0.1〜80、0.5〜80、1〜80、10〜80、20〜80、50〜80、0.1〜10、0.5〜10、1〜100、10〜100、20〜100、または50〜100mgの範囲内であり得る。非限定的な例として、有効な投与量は、1日当たり体重1kg当たり約0.01〜1.0mg、または1日当たり体重1kg当たり0.06〜5mgであり得る。別の非限定的な例として、有効な投与量は、単回用量または分割用量で、1日当たり約0.6〜5mg/60kgであり得る。一部の場合では、対象に投与されるSpiranthes sinensis抽出物の量は、1日当たり体重60kg当たり約0.6〜5mgである。
製剤
一部の実施形態では、組成物は、それを必要とする対象に投与するために製剤化され、組成物は、シネチルカロールを炎症応答を低減するために有効な量で含む。組成物は、剤形に製剤化されている。一部の実施形態では、組成物は、シネチルカロールを含む剤形に製剤化されている。一部の実施形態では、組成物は、Spiranthes sinensisの抽出物を含む剤形に製剤化されている。
一部の実施形態では、組成物は、約0.001〜1000mg、0.01〜100mg、0.1〜200mg、3〜200mg、5〜500mg、10〜100mg、10〜1000mg、50〜200mg、または100〜1000mgの間のシネチルカロールを含む。一部の実施形態では、医薬組成物は、約0.001μgまたは約0.001μg超、約0.01μgまたは約0.01μg超、約0.1または約0.1超、約0.5μgまたは約0.5μg超、約1μgまたは約1μg超、約2μgまたは約2μg超、約3μgまたは約3μg超、約4μgまたは約4μg超、約5μgまたは約5μg超、約6μgまたは約6μg超、約7μgまたは約7μg超、約8μgまたは約8μg超、約9μgまたは約9μg超、約10μgまたは約10μg超、約15μgまたは約15μg超、約20μgまたは約20μg超、約25μgまたは約25μg超、約50μgまたは約50μg超、約75μgまたは約75μg超、約100μgまたは約100μg超、約200μgまたは約200μg超、約500μgまたは約500μg超、約1000μgまたは約1000μg超、またはそれ超のシネチルカロールを含む。一部の実施形態では、医薬組成物は、少なくとも約4.4μgのシネチルカロールを含む。一部の実施形態では、医薬組成物は、約4.4〜44μgの間の量のシネチルカロールを含む。
一部の実施形態では、組成物は、本開示の化合物が、活性成分、またはその薬学的に許容される塩、エステル、プロドラッグ、溶媒和物、水和物または誘導体として治療有効量でもたらされるように製剤化されている。所望であれば、医薬組成物は、その薬学的に許容される塩および/または配位化合物、ならびに1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤、不活性な固体希釈剤および充填剤を含めた担体、滅菌水溶液および種々の有機溶媒を含めた希釈剤、浸透増強剤、可溶化剤およびアジュバントを含有する。
本明細書に開示されている主題の組成物は、経口投与、静脈内注射による投与、および/または局所投与するために製剤化されていてよい。一部の実施形態では、開示されている医薬組成物は、局所投与のために製剤化されている。
一部の実施形態では、組成物は、静脈内投与、動脈内投与、経口投与、非経口投与、頬側投与、局所投与、経皮投与、直腸投与、筋肉内投与、皮下投与、骨内投与、経粘膜投与、吸入による投与、または腹腔内投与に適合する担体をさらに含む。
一部の実施形態では、組成物は、液体形態、ゲル形態、半液体形態、半固体形態、および/または固体形態の単位投与量として製剤化されている。
一部の実施形態では、組成物は、局所クリーム剤として製剤化されている。
一部の実施形態では、組成物は、食物として製剤化されている。一部の実施形態では、組成物は、飲料として製剤化されている。一部の実施形態では、組成物は、栄養補助食品として製剤化されている。
投薬単位
一態様では、本開示は、対象に投与するために製剤化された、シネチルカロールを含む剤形を提供する。一部の実施形態では、剤形は、単位剤形として製剤化されている。一部の実施形態では、組成物は、液体形態、ゲル形態、半液体形態、半固体形態、または固体形態の単位剤形で製剤化されている。一部の実施形態では、単位剤形は、食物、飲料、半固形食、半液体食、および/または栄養補助食品として製剤化されてよい。一部の態様では、剤形は、炎症応答の低減に有効な量で存在する、ある量のSpiranthes sinensis抽出物(SSE)またはシネチルカロールを含む。一部の実施形態では、医薬組成物は、薬学的に許容される担体をさらに含む。
一部の実施形態では、剤形は、抽出されたシネチルカロールを約0.1〜1000μg、0.1〜5μg、0.1〜10μg、0.1〜20μg、0.1〜30μg、0.1〜40μg、0.1〜50μg、0.1〜100μg、0.5〜100μg、1〜100μg、5〜100μg、10〜100μg、20〜100μg、または50〜100μgの間の量で含む。一部の実施形態では、剤形は、少なくとも約0.1μgまたは約0.1μg超、少なくとも約5μgまたは約5μg超、少なくとも約10μgまたは約10μg超、少なくとも約20μgまたは約20μg超、少なくとも約30μgまたは約30μg超、少なくとも約40μgまたは約40μg超、少なくとも約50μgまたは約50μg超、少なくとも約100μgまたは約100μg超、少なくとも約1000μgまたは約1000μg超、またはそれ超のシネチルカロールを含む。一部の実施形態では、シネチルカロールの投薬量は、約4.4μg〜44μgの間である。一部の実施形態では、シネチルカロールの量は、少なくとも約4.4μgである。一部の実施形態では、単位投与量は、Spiranthes sinensis抽出物を含む。一部の実施形態では、Spiranthes sinensis抽出物の量は、少なくとも約44μgである。
一部の実施形態では、単位剤形は、Spiranthes sinensis抽出物を、前記医薬組成物の総体積に基づいて、約0.1〜1000μg/mL、0.1〜100μg/mL、0.5〜100μg/mL、1〜100μg/mL、2〜100μg/mL、5〜100μg/mL、10〜100μg/mL、20〜100μg/mL、50〜100μg/mL、0.1μg〜150μg/mL、0.5〜150μg/mL、1〜150μg/mL、2〜150μg/mL、5〜150μg/mL、10〜150μg/mL、20〜150μg/mL、50〜150μg/mL、0.1〜200μg/mL、0.5〜200μg/mL、1〜200μg/mL、2〜200μg/mL、5〜200μg/mL、10〜200μg/mL、20〜200μg/mL、または50〜1000μg/mLの間の量で含む。一部の実施形態では、Spiranthes sinensis抽出物の単位投薬量は、少なくとも約0.1μg/mLまたは約0.1μg/mL超、少なくとも約1μg/mLまたは約1μg/mL超、少なくとも約2μg/mLまたは約2μg/mL超、少なくとも約5μg/mLまたは約5μg/mL超、少なくとも約10μg/mLまたは約10μg/mL超、少なくとも約20μg/mLまたは約20μg/mL超、少なくとも約50μg/mLまたは約50μg/mL超、少なくとも約100μg/mLまたは約100μg/mL超、少なくとも約150μg/mLまたは約150μg/mL超、少なくとも約200μg/mLまたは約200μg/mL超、少なくとも約500μg/mLまたは約500μg/mL超、少なくとも約1000μg/mLまたは約1000μg/mL超、またはそれ超である。一部の実施形態では、開示された組成物は、約5〜100μg/mLの間のSpiranthes sinensis抽出物を含む。
投与される化合物の量は、処置を受ける哺乳動物、障害または状態の重症度、投与の速度、化合物の体内動態および処方を行う医療専門家の自由裁量に左右される。一部の実施形態では、本開示の化合物を単回用量で投与する。本開示の化合物の単回用量は、急性の状態を処置するために使用することもできる。一部の実施形態では、本開示の化合物を複数回用量で投与する。投薬は、1日当たり約1回、2回、3回、4回、5回、6回、または6回超であってよい。投薬は、約1カ月に1回、2週間に1回、週に1回、または2日に1回であってよい。別の実施形態では、本開示の化合物と別の薬剤を一緒に、1日当たり約1回〜1日当たり約6回投与する。別の実施形態では、本開示の化合物と薬剤の投与を約7日未満にわたって継続する。さらに別の実施形態では、投与を約6日超、約10日超、約14日超、約28日超、約2カ月超、約6カ月超、または約1年超にわたって継続する。一部の場合では、必要な限り継続的な投薬を実現し維持する。
本開示の薬剤の投与は、必要な限り継続することができる。一部の実施形態では、本開示の薬剤を1日超、2日超、3日超、4日超、5日超、6日超、7日超、14日超、28日超またはそれ超にわたって投与する。一部の実施形態では、本開示の薬剤を28日未満、14日未満、7日未満、6日未満、5日未満、4日未満、3日未満、2日未満、または1日未満にわたって投与する。一部の実施形態では、例えば慢性の影響を処置するために、本開示の薬剤を長期にわたって継続的に投与する。
有効量の本開示の化合物は、単回用量または複数回用量のいずれかで、直腸経路、頬側経路、鼻腔内経路および経皮経路、動脈内注射によって、静脈内、腹腔内、非経口、筋肉内、皮下、経口、局所、または吸入剤としてを含めた、同様の有用性を有する許容される薬剤の投与形式のいずれかによって投与することができる。
本開示の化合物を、1つまたは複数の薬剤を含む組成物中に入れて投与し、薬剤の半減期が本開示の化合物よりも短い場合、それに応じて薬剤および本開示の化合物の単位投与形態を調整することができる。
自己免疫疾患の処置に関しては、主題の化合物または医薬組成物を、これだけに限定されないが、Enbrel(登録商標)、Remicade(登録商標)、Humira(登録商標)、Avonex(登録商標)、およびRebif(登録商標)を含めた、一般に処方される薬物と組み合わせて使用することができる。呼吸器疾患の処置に関しては、主題の化合物または医薬組成物を、これだけに限定されないが、Xolair(登録商標)、Advair(登録商標)、Singulair(登録商標)、およびSpiriva(登録商標)を含めた、一般に処方される薬物と組み合わせて投与することができる。
本開示の化合物は、脳脊髄炎、喘息、および本明細書に記載の他の疾患などの炎症性の状態の症状が軽減するように作用する他の薬剤と併せて製剤化または投与することができる。これらの薬剤としては、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、例えば、アセチルサリチル酸;イブプロフェン;ナプロキセン;インドメタシン;ナブメトン;トルメチン;などが挙げられる。炎症を低減し、免疫系の活性を抑制するためにコルチコステロイドが使用される。この型の最も一般的に処方される薬物は、プレドニゾンである。クロロキン(Aralen)またはヒドロキシクロロキン(Plaquenil)も同様に、ループスを有する一部の個体において非常に有用であり得る。これらは、ほとんどの場合、ループスの皮膚および関節の症状に対して処方される。アザチオプリン(Imuran)およびシクロホスファミド(Cytoxan)は、炎症を抑制し、免疫系を抑制する傾向がある。他の薬剤、例えば、メトトレキサートおよびシクロスポリンがループスの症状を制御するために使用される。血液が急速に凝固するのを防ぐために抗凝固薬が使用される。これらは、血小板が固着するのを防ぐ非常に低用量のアスピリンから、ヘパリン/クマジンまでにわたる。
本明細書に記載されている化合物は、滑沢剤としても公知の液体または固形の組織バリアと併せて製剤化または投与することができる。組織バリアの例としては、これだけに限定されないが、多糖、ポリグリカン、セプラフィルム、インターシードおよびヒアルロン酸が挙げられる。
本明細書に記載の化合物と併せて投与することができる医薬としては、吸入によって有用に送達される任意の適切な薬物、例えば、鎮痛薬、例えば、コデイン、ジヒドロモルヒネ、エルゴタミン、フェンタニルまたはモルヒネ;狭心症用調製物、例えば、ジルチアゼム;抗アレルギー薬、例えば、クロモグリク酸、ケトチフェンまたはネドクロミル;抗感染薬、例えば、セファロスポリン、ペニシリン、ストレプトマイシン、スルホンアミド、テトラサイクリンまたはペンタミジン;抗ヒスタミン薬、例えば、メタピリレン;抗炎症薬、例えば、ベクロメタゾン、フルニソリド、ブデソニド、チプレダン、トリアムシノロンアセトニドまたはフルチカゾン;鎮咳薬、例えば、ノスカピン;気管支拡張薬、例えば、エフェドリン、アドレナリン、フェノテロール、ホルモテロール、イソプレナリン、メタプロテレノール、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、ピルブテロール、レプロテロール、リミテロール、サルブタモール、サルメテロール、テルブタリン、イソエタリン、ツロブテロール、オルシプレナリンまたは(−)−4−アミノ−3,5−ジクロロ−α−[[[6−[2−(2−ピリジニル)エトキシ]ヘキシル]−アミノ]メチル]ベンゼンメタノール;利尿薬、例えば、アミロライド;抗コリン薬、例えば、イプラトロピウム、アトロピンまたはオキシトロピウム;ホルモン、例えば、コルチゾン、ヒドロコルチゾンまたはプレドニゾロン;キサンチン、例えば、アミノフィリン、コリンテオフィリネート、リシンテオフィリネートまたはテオフィリン;および治療用タンパク質およびペプチド、例えば、インスリンまたはグルカゴンが挙げられる。適切な場合には、医薬は、医薬の活性および/または安定性を最適化するために、塩の形態で(例えば、アルカリ金属もしくはアミン塩としてまたは酸付加塩として)、またはエステル(例えば、低級アルキルエステル)として、または溶媒和物(例えば、水和物)として使用することができることが当業者には明らかになろう。
併用療法に有用な他の例示的な治療剤としては、これだけに限定されないが、上記の薬剤、放射線療法、ホルモンアンタゴニスト、ホルモンおよびそれらの放出因子、甲状腺および抗甲状腺薬、エストロゲンおよびプロゲスチン、アンドロゲン、副腎皮質刺激ホルモン;副腎皮質ステロイドおよびそれらの合成類似体;副腎皮質ホルモンの合成および作用の阻害剤、インスリン、経口低血糖薬、および膵内分泌部の薬理学的物質、石灰化および骨ターンオーバーに影響を及ぼす薬剤:カルシウム、リン酸、副甲状腺ホルモン、ビタミンD、カルシトニン、ビタミン、例えば水溶性ビタミン、ビタミンB複合体、アスコルビン酸、脂溶性ビタミン、ビタミンA、K、およびEなど、増殖因子、サイトカイン、ケモカイン、ムスカリン受容体アゴニストおよびアンタゴニスト;抗コリンエステラーゼ剤;神経筋接合部および/または自律神経節において作用する薬剤;カテコールアミン、交感神経模倣薬、およびアドレナリン作動性受容体アゴニストまたはアンタゴニスト;ならびに5−ヒドロキシトリプタミン(5−HT、セロトニン)受容体アゴニストおよびアンタゴニストが挙げられる。
治療剤は、ヒスタミンおよびヒスタミンアンタゴニスト、ブラジキニンおよびブラジキニンアンタゴニスト、5−ヒドロキシトリプタミン(セロトニン)、膜リン脂質の選択的加水分解の産物の生体内変換によって生成する脂質、エイコサノイド、プロスタグランジン、トロンボキサン、ロイコトリエン、アスピリン、非ステロイド性抗炎症剤、プロスタグランジンおよびトロンボキサンの合成を阻害する鎮痛解熱剤、誘導性シクロオキシゲナーゼの選択的阻害剤、誘導性シクロオキシゲナーゼ−2の選択的阻害剤、オータコイド、パラ分泌ホルモン、ソマトスタチン、ガストリン、体液性免疫応答および細胞性免疫応答に関与する相互作用を媒介するサイトカイン、脂質由来オータコイド、エイコサノイド、β−アドレナリン作動性アゴニスト、イプラトロピウム、グルココルチコイド、メチルキサンチン、ナトリウムチャネル遮断薬、オピオイド受容体アゴニスト、カルシウムチャネル遮断薬、膜安定剤およびロイコトリエン阻害薬などの、疼痛および炎症に対する薬剤も含み得る。
シネチルカロールを含む組成物と組み合わせた使用が本明細書において意図されている追加的な治療剤として、利尿薬、バソプレシン、腎臓による水の保持に影響を及ぼす薬剤、レンニン、アンジオテンシン、心筋虚血の処置において有用な薬剤、抗高血圧剤、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、β−アドレナリン作動性受容体アンタゴニスト、高コレステロール血症を処置するための薬剤、および脂質異常症を処置するための薬剤を挙げることができる。
意図されている他の治療剤として、胃液酸度を制御するために使用される薬物、消化性潰瘍を処置するための薬剤、胃食道逆流性疾患を処置するための薬剤、消化管運動改善薬、制吐薬、過敏性腸症候群に使用される薬剤、下痢に対して使用される薬剤、便秘に対して使用される薬剤、炎症性腸疾患に対して使用される薬剤、胆管疾患に対して使用される薬剤、膵疾患に対して使用される薬剤を挙げることができる。原生動物感染を処置するために使用される治療剤、マラリア、アメーバ症、ジアルジア症、トリコモナス症、トリパノソーマ症、および/もしくはリーシュマニア症を処置するために使用される薬物、ならびに/または蠕虫症の化学療法において使用される薬物。他の治療剤としては、抗菌剤、スルホンアミド、トリメトプリム−スルファメトキサゾールキノロン、および尿路感染症に対する薬剤、ペニシリン、セファロスポリン、および他のもの、βラクタム系抗生物質、アミノグリコシドを含む薬剤、タンパク質合成阻害剤、結核、mycobacterium avium複合疾患、およびハンセン病の化学療法において使用される薬物、抗真菌剤、非レトロウイルス剤および抗レトロウイルス剤を含めた抗ウイルス剤が挙げられる。
主題の化合物と組み合わせることができる治療用抗体の例としては、これだけに限定されないが、抗受容体チロシンキナーゼ抗体(セツキシマブ、パニツムマブ、トラスツズマブ)、抗CD20抗体(リツキシマブ、トシツモマブ)、ならびにアレムツズマブ、ベバシズマブ、およびゲムツズマブなどの他の抗体が挙げられる。
さらに、免疫調節のために使用される治療剤、例えば、免疫調節物質、免疫抑制剤、寛容原、および免疫賦活薬などが本発明の方法により意図され得る。さらに、血液および造血臓器に作用する治療剤、造血剤、増殖因子、無機物、およびビタミン、抗凝固薬、血栓溶解薬、および抗血小板薬が本発明の方法により意図され得る。
対象の化合物と組み合わせることができる別の治療剤は、どちらもその全体が参照により本明細書に組み込まれる、GoodmanおよびGilmanの「The Pharmacological Basis of Therapeutics」第10版、Hardman、LimbirdおよびGilman編、またはPhysician's Desk Referenceにおいて見いだすことができる。
シネチルカロールおよびSpiranthes sinensis抽出物を含めた本明細書に記載の化合物は、処置される状態に応じて1つまたは複数の他の薬剤と組み合わせて使用することができる。したがって、一部の実施形態では、本開示の化合物を他の上記の薬剤と同時投与する。併用療法において使用する場合、本明細書に記載の化合物は、第2の薬剤と同時にまたは別々に投与することができる。この組み合わせ投与は、2つの薬剤を同じ剤形で同時に投与すること、別々の剤形で同時に投与すること、および別々に投与することを含む。すなわち、本明細書に記載の化合物と上記の薬剤のいずれかとを、同じ剤形に一緒に製剤化し、同時に投与することができる。あるいは、本開示の化合物と上記の薬剤のいずれかとを、両方の薬剤を別々の製剤として存在させて、同時に投与することができる。別の代替では、本開示の化合物を投与し、そのすぐ後に上記の薬剤のいずれかを投与することもでき、逆もまた同じである。別々の投与プロトコールでは、本開示の化合物と上記の薬剤のいずれかとを、数分間隔で、または数時間隔で、または数日間隔で投与することができる。
投与される化合物の量は、処置を受ける哺乳動物、障害または状態の重症度、投与の速度、化合物の体内動態および処方を行う医師の自由裁量に左右される。しかし、有効な投与量は、1日当たり体重1kg当たり約1〜約100mgの範囲内であり得る。有効な投与量は、1日当たり体重1kg当たり約0.1〜80mg、約0.5〜80mg、約1〜80mg、約10〜80mg、約20〜80mg、約50〜80mg、約0.1〜10mg、約0.5〜10mg、約1〜100mg、約10〜100mg、約20〜100mg、または約50〜100mgの範囲内であり得る。非限定的な例として、有効な投与量は、1日当たり体重1kg当たり約0.01kg〜体重1kg当たり1.0kgであり得る。別の非限定的な例として、有効な投与量は、単回用量または分割用量で1日当たり約0.6〜5mg/60kgであり得る。120kgのヒトについては、これは1日当たり約1.2〜10mgの量になる。
本開示の化合物の投与は、化合物の作用部位への送達を可能にする任意の方法によってもたらすことができる。有効量の本開示の化合物は、単回用量または複数回用量のいずれかで、直腸経路、頬側経路、鼻腔内経路および経皮的経路、動脈内注射によって、静脈内、腹腔内、非経口、筋肉内、皮下、経口、局所、吸入剤として、または例えばステントまたは動脈挿入型円柱状ポリマーなどの浸透性またはコーティングデバイスを介するものを含めた、同様の有用性を有する許容される薬剤の投与形式のいずれかによって投与することができる。
投与
一部の実施形態では、本明細書に記載されている剤形を含む本開示の組成物は、静脈内投与、動脈内投与、経口投与、非経口投与、頬側投与、局所投与、経皮投与、直腸投与、筋肉内投与、皮下投与、骨内投与、経粘膜投与、吸入投与、および/または腹腔内投与による投与経路の1つまたは複数のために製剤化されている。一部の実施形態では、主題の組成物は、経口投与によって投与される。一部の実施形態では、主題の組成物は、静脈内注射によって投与される。一部の実施形態では、主題の組成物は、経口投与と静脈内注射の組合せによって投与される。一部の実施形態では、主題の組成物は、局所投与のために製剤化されている。
主題の組成物は、単独で、または、同じく一般に医薬組成物の形態で投与される1つもしくは複数の他の薬剤と組み合わせて投与することができる。所望であれば、主題の化合物および他の薬剤(複数可)を混合して調製物にすることもでき、両方の構成成分を別々の調製物に製剤化してそれらを組み合わせて別々にまたは同時に使用することもできる。
本開示の化合物または医薬組成物の投与は、化合物の作用部位への送達を可能にする任意の方法によってもたらすことができる。これらの方法としては、経口経路、十二指腸内経路、非経口注射(静脈内、動脈内、皮下、筋肉内、血管内、腹腔内または注入を含む)、局所(例えば、経皮適用)、直腸内投与、カテーテルもしくはステントによる局部送達によるものまたは吸入によるものが挙げられる。化合物は、脂肪内またはくも膜下腔内に投与することもできる。
本開示の組成物は、例えばステントまたは動脈挿入型円柱状ポリマーなどの浸透性またはコーティングデバイスによって送達することもできる。そのような投与の方法により、例えば、バルーン血管新生術などの手順後の再狭窄の防止または好転を補助することができる。理論に束縛されることなく、本開示の化合物により、再狭窄に寄与する動脈壁における平滑筋細胞の遊走および増殖を遅らせるまたは阻害することができる。本開示の化合物は、例えば、ステントの支柱から、ステントグラフトから、グラフトから、またはステントのカバーもしくは鞘から局部送達することによって投与することができる。一部の実施形態では、本開示の化合物をマトリックスと混和する。そのようなマトリックスは、ポリマーマトリックスであってよく、化合物をステントに結合させるのに役立ち得る。そのような使用に適したポリマーマトリックスとしては、例えば、ラクトンに基づくポリエステルまたはコポリエステル、例えばポリ乳酸、ポリカプロラクトングリコリド、ポリオルトエステル、ポリ酸無水物、ポリアミノ酸、多糖、ポリホスファゼン、ポリ(エーテル−エステル)共重合体(例えば、PEO−PLLA);ポリジメチルシロキサン、ポリ(エチレン−酢酸ビニル)、アクリル酸ベースのポリマーまたは共重合体(例えば、ポリヒドロキシエチルメチルメタクリレート、ポリビニルピロリジノン)、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素化ポリマーおよびセルロースエステルが挙げられる。適切なマトリックスは、非分解性のものであってもよく、時間と共に分解され、化合物(複数可)を放出するものであってもよい。本開示の化合物は、ディップ/スピンコーティング、スプレーコーティング、ディップコーティング、および/またはブラシコーティングなどの種々の方法によってステントの表面に適用することができる。化合物は、溶媒中に入れて適用することができ、溶媒を蒸発させることができ、ステント上に化合物の層を形成することができる。あるいは、化合物は、ステントまたはグラフトの本体内、例えば、マイクロチャネルまたは微小孔内に配置することができる。埋め込まれると、化合物はステントの本体から出て拡散して、動脈壁に接触する。そのようなステントは、そのような微小孔またはマイクロチャネルを含有するように製造されたステントを適切な溶媒中の本開示の化合物の溶液に浸漬し、その後、溶媒を蒸発させることによって調製することができる。ステントの表面上の過剰な薬物は、追加的な簡単な溶媒洗浄によって除去することができる。さらに他の実施形態では、本開示の化合物は、ステントまたはグラフトに共有結合により連結することができる。in vivoにおいて分解され、本開示の化合物の放出をもたらす共有結合性リンカーを使用することができる。エステル連結、アミド連結または無水物連結などの任意の生体不安定性連結をそのような目的のために使用することができる。本開示の化合物は、さらに、血管新生術の間に使用されるバルーンから血管内に投与することができる。再狭窄を低減するために、本開示の製剤の心膜への適用または外膜への適用による化合物の血管外投与を行うこともできる。
記載の通り使用することができる種々のステントデバイスは、例えば、全てが参照により本明細書に組み込まれる以下の参考文献において開示されている:米国特許第5451233号;米国特許第5040548号;米国特許第5061273号;米国特許第5496346号;米国特許第5292331号;米国特許第5674278号;米国特許第3657744号;米国特許第4739762号;米国特許第5195984号;米国特許第5292331号;米国特許第5674278号;米国特許第5879382号;米国特許第6344053号。
主題の組成物は、例えば、錠剤、カプセル剤、ピル、マイクロスフェア、散剤、徐放性製剤、溶液、懸濁剤のような経口投与に適した形態、滅菌溶液、懸濁剤もしくは乳剤のような非経口注射に適した形態、軟膏剤もしくはクリーム剤のような局所投与に適した形態、または坐薬のような直腸内投与に適した形態であってよい。組成物は、的確な投与量の単回投与に適した単位剤形であってよい。組成物は、従来の医薬担体または賦形剤と、活性成分として本開示による化合物とを含んでよい。さらに、組成物は、他の薬品または医薬品、担体、アジュバントなどを含んでよい。
非経口投与用の調製物としては、一般には、滅菌水溶液または非水溶液、懸濁剤、および乳剤が挙げられる。非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油などの植物油、およびオレイン酸エチルなどの注射可能な有機エステルである。水性担体としては、生理食塩水および緩衝媒体を含めた水、アルコール/水溶液、乳剤または懸濁剤が挙げられる。非経口用ビヒクルとしては、塩化ナトリウム溶液、リンゲルブドウ糖、デキストロースおよび塩化ナトリウム、乳酸リンゲル液、または不揮発性油が挙げられる。静脈内ビヒクルとしては、流体および栄養分補充物質、電解質補充物質(例えば、リンゲルブドウ糖に基づくものなど)などが挙げられる。例えば抗菌薬、抗酸化物質、キレート化剤、および不活性ガスなどの防腐剤および他の添加剤も存在してよい。
本開示の化合物を、1つまたは複数の薬剤を含む組成物中に入れて投与し、薬剤の半減期が本開示の化合物よりも短い場合、それに応じて薬剤および本開示の化合物の単位投与形態を調整することができる。
一態様では、本開示は、炎症応答の低減に有効な量で存在する、ある量のシネチルカロールを含む組成物を提供する。開示された組成物の投与により、炎症応答が低下し得、炎症応答における1つまたは複数のフリーラジカルのレベルが低下し得、かつ/または組織腫脹が低減し得る。
本開示の一部の実施形態では、組成物の投与により、炎症応答が低減し、iNOS、COX−2、TNF−アルファ、PGE2、IL−6、IL−1β、IL−33、NLRP3、pERK、NFκB、MMP2、およびMMP9などの1つまたは複数の生物学的マーカーの発現または活性の低減が引き起こされる。
一般には、炎症は、侵入する感染性微生物に対する体の反応であり、一般に、患部への血流の増加、白血球を引き出す化学物質の放出、血漿の流れの増加、およびデブリを除去するための単球(または脳の場合ではアストロサイト)の出現がもたらされる。炎症応答を刺激するものはいずれも、炎症性であると言える。炎症の低減は、本明細書に記載の方法を含めた任意の適切な方法によって測定することができる。炎症の低減は、本明細書に記載の生物学的マーカーの発現レベルの低下によって測定することもできる。一般には、生物学的マーカーの発現レベルは、DNA、RNA、遺伝子の転写、および/またはタンパク質の発現のレベルを測定することによって実現することができる。本明細書に記載の生物学的マーカーの発現レベルを測定するための一般的な技法の例としては、PCR、qRT−PCR、マイクロアレイ、NanoString、RNA−seq、ウエスタンブロット、および分光測定が挙げられる。一部の実施形態では、組成物は、炎症応答を少なくとも約0.1%、2%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、50%、60%、または約75%〜90%またはそれ超低減することにおいて有効である。
一部の実施形態では、組成物の投与により、炎症応答における1つまたは複数のフリーラジカルのレベルが低下する。前記組成物の投与に応答して低下する1つまたは複数のフリーラジカルとしては、スーパーオキシドラジカルアニオン(O2 −)、過酸化水素(H2O2)、ヒドロキシルラジカル(.OH)、一重項酸素(1(O2)、ペルオキシナイトライト(ONOO−)、一酸化窒素(NO)、ニトロソニウムカチオン(NO+)、およびニトロキシルアニオン(NO−)からなる群を挙げることができる。
フリーラジカルを低下させることにおける前記組成物の効果は、例えば、亜硝酸数量化によって測定することができる。一部の実施形態では、組成物は、炎症応答を少なくとも約0.1%、2%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、50%、60%、または約75%〜90%またはそれ超低減することにおいて有効である。
一部の実施形態では、組成物の投与により組織腫脹が低減する。腫脹が低減し得る組織の非限定的な例としては、皮膚、上皮、滑膜組織、腱、軟骨、靭帯、骨、筋肉、器官、硬膜、血管、骨髄、および細胞外マトリックスが挙げられる。
組織腫脹の低減は、腫脹指数の変化によって決定することができる。非限定的な例として、動物の損傷を受けた肢の面積を対照である動物の損傷を受けていない肢の面積で割ることによって腫脹指数を算出することができる。腫脹指数は、損傷を受けた肢と対照である損傷を受けていない肢の腫脹指数に基づいた比率として示すことができる。一部の実施形態では、前記投与の前後の、損傷を受けた肢と対照である損傷を受けていない肢の腫脹指数を比較のために記録することができる。別の非限定的な例として、動物モデルにおける炎症を、一方の足に完全フロイントアジュバント(CFA)を注射することによって誘導することができる。腫脹指数を、以下に示す式を使用して算出することができ、注射前(0日目)の腫脹指数に基づいた比率として示すことができる。一部の実施形態では、組成物は、組織腫脹を少なくとも約0.1%、2%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、50%、60%、または約75%〜90%またはそれ超低減することにおいて有効である。
一部の実施形態では、組成物の投与には、抗肝線維症活性がある。抗肝線維症の例としては、これだけに限定されないが、肝星細胞における脂質の蓄積、肝星細胞の増殖の下方制御、肝星細胞の移動性の阻害、肝星細胞の活性化の防止、および/またはECMタンパク質の合成の減少などの徴候が挙げられる。
一般に、肝線維症は、肝損傷に応答した瘢痕化プロセスである。一般には、肝線維症は、肝臓において過剰な結合組織が構築される、過度または過剰増殖性の創傷治癒である。細胞外マトリックス(ECM)が過剰産生されるか、または不十分に分解されるか、またはこれらの組合せである。経時的に、このプロセスにより肝臓の硬変症が導かれる可能性があり、また、門脈圧亢進症、肝不全、および/または肝がんを含めた重症の合併症が導かれる可能性がある。
瘢痕は、一般には、高密度であり、厚く、かつ、一般に瘢痕への血液の供給は不十分であるので、通常は周囲の組織よりも青白く、また、瘢痕は、破壊された組織に構造的に置き換わるものであるが、一般には、欠如した組織の機能の全てを果たすことはできない。瘢痕は、一般には、コラーゲン線維で構成され、それにより、多くの場合、関与する組織における正常な弾性が制限される。瘢痕組織の減少は、損傷部位内の細胞型の集団によって評価することができる。例えば、瘢痕組織の減少形成は、瘢痕幅または瘢痕組織の面積の単純な測定によって測定することができる(Wilgusら、2003年)。さらに、治癒した組織内の、正常な組織と比較した構造的複雑さの回復に関して組織学的評価を行うことができる。一部の実施形態では、シネチルカロールを含む組成物または剤形などの本明細書に開示されている組成物により、瘢痕形成が少なくとも約0.1%、2%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、50%、60%、または約75%〜90%またはそれ超低減することができる。
医薬組成物
一態様では、本開示は、医薬組成物を提供する。一部の実施形態では、医薬組成物は、(a)炎症応答の低減に有効な量で存在する、ある量のSpiranthes sinensis抽出物(SSE)またはシネチルカロール、および(b)薬学的に許容される担体を含む。本開示の医薬組成物は、一般には、活性成分(例えば、本開示の化合物またはその薬学的に許容される塩および/または配位化合物)、ならびに1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤、これだけに限定されないが不活性な固体希釈剤および充填剤を含めた担体、希釈剤、滅菌水溶液および種々の有機溶媒、浸透増強剤、可溶化剤およびアジュバントを含有する。
一部の実施形態では、本開示は、それを必要とする対象に投与するために製剤化された、ある量のSpiranthes sinensis抽出物および/またはシネチルカロールを含む医薬組成物を提供する。一部の実施形態では、医薬組成物は、約0.001〜1000mg、0.01〜100mg、0.1〜200mg、3〜200mg、5〜500mg、10〜100mg、10〜1000mg、50〜200mg、または100〜1000mgのSpiranthes sinensis抽出物および/またはシネチルカロールを含む。一部の実施形態では、医薬組成物は、約0.001μgまたは約0.001μg超、約0.01μgまたは約0.01μg超、約0.1または約0.1超、約0.5μgまたは約0.5μg超、約1μgまたは約1μg超、約2μgまたは約2μg超、約3μgまたは約3μg超、約4μgまたは約4μg超、約5μgまたは約5μg超、約6μgまたは約6μg超、約7μgまたは約7μg超、約8μgまたは約8μg超、約9μgまたは約9μg超、約10μgまたは約10μg超、約15μgまたは約15μg超、約20μgまたは約20μg超、約25μgまたは約25μg超、約50μgまたは約50μg超、約75μgまたは約75μg超、約100μgまたは約100μg超、約200μgまたは約200μg超、約500μgまたは約500μg超、約1000μgまたは約1000μg超、またはそれ超のSpiranthes sinensis抽出物および/またはシネチルカロールを含む。一部の実施形態では、医薬組成物は、少なくとも約44μgのSpiranthes sinensis抽出物を含む。一部の実施形態では、医薬組成物は、少なくとも約44μgのシネチルカロールを含む。一部の実施形態では、医薬組成物は、約4.4〜44μgの量のSpiranthes sinensis抽出物量を含む。一部の実施形態では、医薬組成物は、約4.4〜44μgの量のシネチルカロールを含む。一部の実施形態では、医薬組成物は、少なくとも約150gのSpiranthes sinensis抽出物を含む。一部の実施形態では、医薬組成物は、少なくとも約250gのシネチルカロールを含む。
一部の実施形態では、医薬組成物は、それを必要とする対象に投与するために製剤化されている。組成物は、静脈内投与、動脈内投与、経口投与、非経口投与、頬側投与、局所投与、経皮投与、直腸投与、筋肉内投与、皮下投与、骨内投与、経粘膜投与、吸入投与、および/または腹腔内投与のために製剤化されていてよい。一部の実施形態では、組成物は、局所投与のために製剤化されている。
一部の実施形態では、医薬組成物は、液体形態、ゲル形態、半液体形態、または固体形態の単位投与量として製剤化されている。一部の実施形態では、医薬組成物は、局所クリーム剤として製剤化されている。
一部の実施形態では、医薬組成物は、固形食または半固形食などの食物として製剤化されたものであってよい。一部の実施形態では、組成物は、飲料に製剤化されたものであってよい。一部の実施形態では、組成物は、栄養補助食品に製剤化されたものであってよい。
一部の実施形態では、開示されている医薬組成物を、それを必要とする対象に投与すると、炎症応答を低減し、1つまたは複数の生物学的マーカーの発現または活性を低減することができる。いかなる理論にも縛られることなく、1つまたは複数の生物学的マーカーとしては、iNOS、COX−2、TNF−アルファ、PGE2、IL−6、IL−1β、IL−33、NLRP3、pERK、NFκB、MMP2、およびMMP9が挙げられる。
一部の実施形態では、開示されている医薬組成物を、それを必要とする対象に投与すると、炎症応答における1つまたは複数のフリーラジカルのレベルを低下させることができる。いかなる理論にも縛られることなく、前記組成物の投与に応答して低下する1つまたは複数のフリーラジカルとしては、スーパーオキシドラジカルアニオン(O2−)、過酸化水素(H2O2)、ヒドロキシルラジカル(.OH)、一重項酸素(1(O2)、ペルオキシナイトライト(ONOO−)、一酸化窒素(NO)、ニトロソニウムカチオン(NO+)、およびニトロキシルアニオン(NO−)からなる群が挙げられる。
一部の実施形態では、本明細書に開示されている組成物を投与することにより、炎症応答を低減し、組織腫脹を低減することができる。組織腫脹の低減の非限定的な例としては、皮膚、上皮、滑膜組織、腱、軟骨、靭帯、骨、筋肉、器官、硬膜、血管、骨髄、および細胞外マトリックスが挙げられる。
一部の実施形態では、医薬組成物は、液体形態、ゲル形態、半液体形態、半固体形態、または固体形態の単位投与量に製剤化されよい。
一部の実施形態では、薬学的に許容される担体、賦形剤は、水、アルコール、グリセロール、キトサン、アルギン酸、コンドロイチン、ビタミンE、鉱油、およびジメチルスルホキシド(DMSO)からなる群から選択される。
局所(例えば、経皮)送達のための医薬組成物
一部の実施形態では、本開示は、本開示の化合物および経皮送達に適した医薬賦形剤を含有する、経皮送達のための医薬組成物を提供する。組成物は、固体形態、液体形態、ゲル形態、半液体形態、または半固体形態であってよい。一部の実施形態では、組成物は、第2の薬剤をさらに含む。
本開示の組成物は、ゲル剤、水溶性ゼリー剤、クリーム剤、ローション剤、懸濁剤、フォーム剤、散剤、スラリー剤、軟膏剤、溶液、油、ペースト剤、坐剤、噴霧剤、乳剤、生理食塩水溶液、ジメチルスルホキシド(DMSO)に基づく溶液などの、局部投与または局所投与に適した固体形態、半固体形態、または液体形態の調製物に製剤化されたものであってよい。一般に、密度が高い担体は、活性成分への曝露が持続する領域をもたらすことができる。対照的に、溶液製剤は、選択された領域への活性成分の即時的な曝露をもたらすことができる。
医薬組成物は、治療用分子の透過または皮膚の角質層透過性障壁を越える送達の増大を可能にする化合物である、適切な固体またはゲル相担体または賦形剤も含んでよい。当技術分野における局所製剤として長けていることが公知の、これらの透過増強性分子が多く存在する。そのような担体および賦形剤の例としては、これだけに限定されないが、保湿剤(例えば、尿素)、グリコール(例えば、プロピレングリコール)、アルコール(例えば、エタノール)、脂肪酸(例えば、オレイン酸)、界面活性物質(例えば、ミリスチン酸イソプロピルおよびラウリル硫酸ナトリウム)、ピロリドン、グリセロールモノラウレート、スルホキシド、テルペン(例えば、メントール)、アミン、アミド、アルカン、アルカノール、水、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、種々の糖、デンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、およびポリエチレングリコールなどのポリマーが挙げられる。
局所投与のための製剤としては、軟膏剤、ローション剤、クリーム剤、ゲル剤(例えば、ポロキサマーゲル)、滴剤、坐剤、噴霧剤、液体および散剤が挙げられる。従来の医薬担体、水性、粉末または油性の基材、増粘剤などが必要または望ましい場合がある。開示された組成物は、例えば、マイクロファイバー、ポリマー(例えば、コラーゲン)、ナノスフェア、エアロゾル、ローション剤、クリーム剤、ファブリック、プラスチック、組織工学的に作製された足場、マトリックス材料、錠剤、埋め込み型容器、散剤、油、樹脂、創傷被覆材、ビーズ、マイクロビーズ、緩慢放出性ビーズ、カプセル剤、注射剤、点滴静注、ポンプデバイス、シリコーン埋め込み物、または任意の生物工学的に作製された材料として投与することができる。
本開示の方法において使用するための別の例示的な製剤では、経皮送達デバイス(「パッチ剤」)を使用する。そのような経皮吸収パッチは、本開示の化合物を、制御された量で、別の薬剤を伴ってまたは伴わずに、継続的または不連続に注入することでもたらすために使用することができる。
医薬品を送達するための経皮吸収パッチの構築および使用は当技術分野において周知である。例えば、米国特許第5,023,252号、同第4,992,445号および同第5,001,139号を参照されたい。そのようなパッチ剤は、継続的な、医薬品のパルス状の、または要望に応じた送達のために構築することができる。
経口投与のための医薬組成物
一部の実施形態では、本開示は、本開示の化合物および経口投与に適した医薬賦形剤を含有する、経口投与のための医薬組成物を提供する。組成物は、固体形態、液体形態、ゲル形態、半液体形態、または半固体形態であってよい。一部の実施形態では、組成物は、第2の薬剤をさらに含む。
経口投与に適した本開示の医薬組成物は、それぞれが所定量の活性成分を散剤または顆粒剤、溶液、または水性液もしくは非水性液中の懸濁剤、水中油エマルション、または油中水エマルション液中に含有する、カプセル剤、カシェ剤、もしくは錠剤などの別個の剤形、または液体またはエアロゾル噴霧剤として存在してよい。そのような剤形は、一般には、活性成分を担体と関連させるステップを含む、薬学的方法のいずれかによって調製することができる。一般に、組成物は、活性成分を液体担体または細かく分割された固体担体またはその両方と均一かつ密接に混合し、次いで、必要であれば、産物を所望の外見に形づくることによって調製される。例えば、錠剤は、場合によって1つまたは複数の副成分と共に圧縮または成形することによって調製することができる。圧縮錠剤は、適切な機械で、活性成分を、任意選択で、例えば、これだけに限定されないが、結合剤、滑沢剤、不活性な希釈剤、および/または表面活性もしくは分散剤などの賦形剤と混合した粉末または顆粒などのさらさらした形態に圧縮することによって調製することができる。成形錠剤は、適切な機械で不活性な液体希釈剤で湿らせた粉末化合物の混合物を成形することによって作製することができる。
水により一部の化合物の分解が容易になり得るので、本開示は、さらに、活性成分を含む無水医薬組成物および剤形を包含する。例えば、製薬技術分野において、経時的な製剤の貯蔵寿命または安定性などの特性を決定するために長期保管をシミュレートする手段として水を添加することができる(例えば、5%)。本開示の無水医薬組成物および剤形は、無水または水分含量の低い成分および低水分または低湿度条件を使用して調製することができる。ラクトースを含有する本開示の医薬組成物および剤形は、製造、包装、および/または保管の間の水分および/または湿度との実質的な接触が予測される場合、無水にすることができる。無水医薬組成物は、無水性が維持されるように調製および保管することができる。したがって、無水組成物は、水への曝露を防止する公知の材料を使用して包装することができ、したがって、適切な規定のキットに含めることができる。適切な包装の例としては、これだけに限定されないが、密封ホイル、プラスチックなど、単位用量容器、ブリスター包装、およびストリップパックが挙げられる。
活性成分は、従来の医薬配合技法に応じて、医薬担体と組み合わせて密接な混和物にすることができる。担体は、投与のために望ましい調製物の形態に応じて多種多様な形態をとり得る。経口剤形用の組成物の調製では、任意の通常の医薬媒体、例えば、経口用の液体調製物(例えば、懸濁剤、溶液、およびエリキシル剤など)もしくはエアロゾルの場合では、水、グリコール、油、アルコール、香味剤、防腐剤、着色料などを担体として使用することができる;または、経口用の固体調製物の場合では、デンプン、糖、微晶質セルロース、希釈剤、増粒剤、滑沢剤、結合剤、および崩壊剤などの担体を使用することができ、一部の実施形態では、ラクトースは使用しない。例えば、適切な担体として、固体の経口用調製物を伴う散剤、カプセル剤、および錠剤が挙げられる。所望であれば、錠剤を標準の水性または非水性技法によってコーティングすることができる。
医薬組成物および剤形に使用するために適した結合剤としては、これだけに限定されないが、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、または他のデンプン、ゼラチン、アラビアゴムなどの天然ゴムおよび合成ゴム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、他のアルギネート、トラガント粉末、グアーガム、セルロースおよびその誘導体(例えば、エチルセルロース、酢酸セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム)、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、アルファ化デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、結晶セルロース、ならびにそれらの混合物が挙げられる。
本明細書に開示されている医薬組成物および剤形への使用に適した充填剤の例としては、これだけに限定されないが、タルク、炭酸カルシウム(例えば、顆粒剤または散剤)、結晶セルロース、粉末セルロース、デキストレート、カオリン、マンニトール、ケイ酸、ソルビトール、デンプン、アルファ化デンプン、ならびにそれらの混合物が挙げられる。
水性環境に曝露すると崩壊する錠剤をもたらすために、本開示の組成物に崩壊剤を使用することができる。過剰量の崩壊剤によりビン中で崩壊し得る錠剤が生じる可能性がある。過少量では、不十分な崩壊が起こる可能性があり、活性成分(複数可)が剤形から放出される速度および程度が変化する可能性がある。活性成分(複数可)の放出が変化するほど少なすぎず多すぎない十分な量の崩壊剤を使用して、本明細書に開示されている化合物の剤形を形成することができる。使用される崩壊剤の量は、製剤の型および投与形式に基づいて変動し得、当業者には容易に識別可能であり得る。医薬組成物中に約0.5〜約15重量パーセントの崩壊剤、または約1〜約5重量パーセントの崩壊剤を使用することができる。本開示の医薬組成物および剤形を形成するために使用することができる崩壊剤としては、これだけに限定されないが、寒天、アルギン酸、炭酸カルシウム、結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポラクリリンカリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、ジャガイモデンプンまたはタピオカデンプン、他のデンプン、アルファ化デンプン、他のデンプン、粘土、他のアルギン、他のセルロー、ゴムまたはそれらの混合物が挙げられる。
本開示の医薬組成物および剤形を形成するために使用することができる滑沢剤としては、これだけに限定されないが、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、軽油、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコール、他のグリコール、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク、水素化植物油(例えば、ピーナッツ油、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、およびダイズ油)、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸エチル、ラウリン酸エチル、寒天、またはそれらの混合物が挙げられる。追加的な滑沢剤としては、例えば、サイロイドシリカゲル、合成シリカの凝固エアロゾル、またはそれらの混合物が挙げられる。滑沢剤は、任意選択で、医薬組成物の約1重量パーセント未満の量で添加することができる。
経口投与のために水性懸濁剤および/またはエリキシル剤が望まれる場合には、その中の活性成分は、種々の甘味剤または香味剤、着色物質または色素、ならびに、所望であれば乳化剤および/または懸濁化剤を、水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリンおよびそれらの様々な組み合わせのような希釈剤と共に組み合わせることができる。
錠剤は、コーティングしなくてもよく、胃腸管内での崩壊および吸収を遅延させ、それにより、長期間にわたって持続的作用をもたらすために、公知の技法によってコーティングしてもよい。例えば、モノステアリン酸グリセリンまたはジステアリン酸グリセリルなどの時間遅延材料を使用することができる。経口使用のための製剤は、活性成分を不活性な固体希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムもしくはカオリンと混合した硬ゼラチンカプセルとして、または、活性成分を水もしくは油媒体、例えば、ピーナッツ油、流動パラフィンもしくはオリーブ油と混合した軟ゼラチンカプセルとしてもたらすこともできる。
本開示の医薬組成物および剤形を形成するために使用することができる界面活性物質としては、これだけに限定されないが、親水性界面活性物質、親油性界面活性物質、およびそれらの混合物が挙げられる。すなわち、親水性界面活性物質の混合物を使用することもでき、親油性界面活性物質の混合物を使用することもでき、少なくとも1つの親水性界面活性物質と少なくとも1つの親油性界面活性物質の混合物を使用することもできる。
適切な親水性界面活性物質のHLB値は一般に少なくとも10であり得、適切な親油性界面活性物質のHLB値は一般に約10またはそれ未満であり得る。非イオン性両親媒性化合物の相対的な親水性および疎水性を特徴付けるために使用される経験的なパラメータは、親水性−親油性平衡(「HLB」値)である。HLB値が低い界面活性物質ほど親油性または疎水性が高く、油への溶解性が高く、HLB値が高い界面活性物質ほど親水性が高く、水溶液への溶解性が高い。親水性界面活性物質とは、一般に、HLB値が約10超である化合物、およびHLB尺度が一般には適用可能でないアニオン性化合物、カチオン性化合物、または両性イオン性化合物であるとみなされる。同様に、親油性(すなわち、疎水性)界面活性物質は、HLB値が約10と等しいまたはそれ未満の化合物である。しかし、界面活性物質のHLB値は、一般に工業用、医薬用および化粧品用乳剤の製剤を可能にするために使用される大まかな指針に過ぎない。
親水性界面活性物質はイオン性であっても非イオン性であってもよい。適切なイオン性界面活性物質としては、これだけに限定されないが、アルキルアンモニウム塩;フシジン酸塩;アミノ酸、オリゴペプチド、およびポリペプチドの脂肪酸誘導体;アミノ酸、オリゴペプチド、およびポリペプチドのグリセリド誘導体;レシチンおよび水素化レシチン;リゾレシチンおよび水素化リゾレシチン;リン脂質およびそれらの誘導体;リゾリン脂質およびそれらの誘導体;カルニチン脂肪酸エステル塩;アルキルスルフェートの塩;脂肪酸塩;ドキュセートナトリウム;アシルアクチレート;モノグリセリドおよびジグリセリのモノアセチル化酒石酸エステルおよびジアセチル化酒石酸エステル;サクシニル化モノグリセリドおよびジグリセリド;モノグリセリドおよびジグリセリドのクエン酸エステル;ならびにそれらの混合物が挙げられる。
上述の群の中で、イオン性界面活性物質としては、例として:レシチン、リゾレシチン、リン脂質、リゾリン脂質およびそれらの誘導体;カルニチン脂肪酸エステル塩;アルキルスルフェートの塩;脂肪酸塩;ドキュセートナトリウム;アシルアクチレート;モノグリセリドおよびジグリセリのモノアセチル化酒石酸エステルおよびジアセチル化酒石酸エステル;サクシニル化モノグリセリドおよびジグリセリド;モノグリセリドおよびジグリセリドのクエン酸エステル;ならびにそれらの混合物が挙げられる。
イオン性界面活性物質は、レシチン、リゾレシチン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、ホスファチジルセリン、リゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジルエタノールアミン、リソホスファチジルグリセロール、リゾホスファチジン酸、リゾホスファチジルセリン、PEG−ホスファチジルエタノールアミン、PVP−ホスファチジルエタノールアミン、脂肪酸のラクチル酸エステル、ステアロイル−2−ラクチレート、ステアロイルラクチレート、サクシニル化モノグリセリド、モノ/ジグリセリドのモノ/ジアセチル化酒石酸エステル、モノ/ジグリセリドのクエン酸エステル、コリルサルコシン、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸塩、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、リシノール酸、リノール酸、リノレン酸、ステアリン酸、ラウリル硫酸、テラセシル硫酸、ドキュセート、ラウロイルカルニチン、パルミトイルカルニチン、ミリストイルカルニチン、およびそれらの塩および混合物のイオン化形態であってよい。
親水性非イオン性界面活性物質としては、これだけに限定されないが、アルキルグルコシド;アルキルマルトシド;アルキルチオグルコシド;ラウリルマクロゴルグリセリド;ポリエチレングリコールアルキルエーテルなどのポリオキシアルキレンアルキルエーテル;ポリエチレングリコールアルキルフェノールなどのポリオキシアルキレンアルキルフェノール;ポリエチレングリコール脂肪酸モノエステルおよびポリエチレングリコール脂肪酸ジエステルなどのポリオキシアルキレンアルキルフェノール脂肪酸エステル;ポリエチレングリコールグリセロール脂肪酸エステル;ポリグリセリン脂肪酸エステル;ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステルなどのポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル;ポリオールと、グリセリド、植物油、硬化植物油、脂肪酸、およびステロールからなる群の少なくとも1つのメンバーとの親水性エステル交換反応生成物;ポリオキシエチレンステロール、誘導体、およびその類似体;ポリオキシエチル化ビタミンおよびそれらの誘導体;ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体;およびそれらの混合物;ポリオールとトリグリセリド、植物油、および硬化植物油からなる群の少なくとも1つのメンバーとのポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステルおよび親水性エステル交換反応生成物を挙げることができる。ポリオールは、グリセロール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、プロピレングリコール、ペンタエリスリトール、または糖類であってよい。
他の親水性非イオン性界面活性物質としては、限定することなく、PEG−10ラウリン酸、PEG−12ラウリン酸、PEG−20ラウリン酸、PEG−32ラウリン酸、PEG−32ジラウリン酸、PEG−12オレイン酸、PEG−15オレイン酸、PEG−20オレイン酸、PEG−20ジオレイン酸、PEG−32オレイン酸、PEG−200オレイン酸、PEG−400オレイン酸、PEG−15ステアリン酸、PEG−32ジステアリン酸、PEG−40ステアリン酸、PEG−100ステアリン酸、PEG−20ジラウリン酸、PEG−25グリセリルトリオレイン酸、PEG−32ジオレイン酸、PEG−20ラウリン酸グリセリル、PEG−30ラウリン酸グリセリル、PEG−20ステアリン酸グリセリル、PEG−20オレイン酸グリセリル、PEG−30オレイン酸グリセリル、PEG−30ラウリン酸グリセリル、PEG−40ラウリン酸グリセリル、PEG−40パーム核油、PEG−50硬化ヒマシ油、PEG−40ヒマシ油、PEG−35ヒマシ油、PEG−60ヒマシ油、PEG−40硬化ヒマシ油、PEG−60硬化ヒマシ油、PEG−60トウモロコシ油、PEG−6カプリン酸/カプリル酸グリセリド、PEG−8カプリン酸/カプリル酸グリセリド、ポリグリセリル−10ラウリン酸、PEG−30コレステロール、PEG−25フィトステロール、PEG−30ダイズステロール、PEG−20トリオレイン酸、PEG−40オレイン酸ソルビタン、PEG−80ラウリン酸ソルビタン、ポリソルベート20、ポリソルベート80、POE−9ラウリルエーテル、POE−23ラウリルエーテル、POE−10オレイルエーテル、POE−20オレイルエーテル、POE−20ステアリルエーテル、トコフェリルPEG−100コハク酸、PEG−24コレステロール、ポリグリセリル−10オレイン酸、Tween 40、Tween 60、スクロースモノステアレート、スクロースモノラウレート、スクロースモノパルミテート、PEG10〜100ノニルフェノールシリーズ、PEG15〜100オクチルフェノールシリーズ、およびポロキサマーが挙げられる。
適切な親油性界面活性物質としては、単に例として:脂肪アルコール;グリセロール脂肪酸エステル;アセチル化グリセロール脂肪酸エステル;低級アルコール脂肪酸エステル;プロピレングリコール脂肪酸エステル;ソルビタン脂肪酸エステル;ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル;ステロールおよびステロール誘導体;ポリオキシエチル化ステロールおよびステロール誘導体;ポリエチレングリコールアルキルエーテル;糖エステル;糖エーテル;モノグリセリドおよびジグリセリドの乳酸誘導体;ポリオールと、グリセリド、植物油、硬化植物油、脂肪酸およびステロールからなる群の少なくとも1つのメンバーとの疎水性エステル交換反応生成物;油溶性ビタミン/ビタミン誘導体;およびそれらの混合物が挙げられる。この群の中で、好ましい親油性界面活性物質としては、グリセロール脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、およびそれらの混合物が挙げられる、または、好ましい親油性界面活性物質は、ポリオールと、植物油、硬化植物油、およびトリグリセリドからなる群の少なくとも1つのメンバーとの疎水性エステル交換反応生成物である。
一実施形態では、組成物は、本開示の化合物の良好な可溶化および/または溶解を確実にするため、ならびに本開示の化合物の沈殿を最小限にするために、可溶化剤を含んでよい。これは、非経口使用のための組成物、例えば、注射用の組成物に関して特に重要になり得る。可溶化剤はまた、親水性薬物および/または界面活性物質などの他の構成成分の溶解性を増大させるため、または組成物を安定なまたは均一な溶液または分散として維持するためにも添加することができる。
適切な可溶化剤の例としては、これだけに限定されないが、以下が挙げられる:アルコールおよびポリオール、例えば、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオールおよびその異性体、グリセロール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、トランスクトール、ジメチルイソソルビド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび他のセルロース誘導体、シクロデキストリンおよびシクロデキストリン誘導体など;平均分子量が約200〜約6000のポリエチレングリコールのエーテル、例えば、テトラヒドロフルフリルアルコールPEGエーテル(グリコフロール)またはメトキシPEGなど;アミドおよび他の窒素を含有する化合物、例えば、2−ピロリドン、2−ピペリドン、イプシロン−カプロラクタム、N−アルキルピロリドン、N−ヒドロキシアルキルピロリドン、N−アルキルピペリドン、N−アルキルカプロラクタム、ジメチルアセトアミドおよびポリビニルピロリドンなど;エステル、例えば、プロピオン酸エチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、オレイン酸エチル、カプリル酸エチル、酪酸エチル、トリアセチン、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールジアセテート、ε−カプロラクトンおよびその異性体、δ−バレロラクトンおよびその異性体、β−ブチロラクトンおよびその異性体;ならびに当技術分野で公知の他の可溶化剤、例えば、ジメチルアセトアミド、ジメチルイソソルビド、N−メチルピロリドン、モノオクタノイン、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、および水。
可溶化剤の混合物も使用することができる。例としては、これだけに限定されないが、トリアセチン、クエン酸トリエチル、オレイン酸エチル、カプリル酸エチル、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、N−ヒドロキシエチルピロリドン、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルシクロデキストリン、エタノール、ポリエチレングリコール200〜100、グリコフロール、トランスクトール、プロピレングリコール、およびジメチルイソソルビドが挙げられる。特に好ましい可溶化剤としては、ソルビトール、グリセロール、トリアセチン、エチルアルコール、PEG−400、グリコフロールおよびプロピレングリコールが挙げられる。
含めることができる可溶化剤の量は、特に限定されない。所与の可溶化剤の量は、生体許容量に限定され得、これは、当業者が容易に決定することができる。一部の場合では、例えば、薬物の濃度を最大にするために生体許容量をはるかに超える量の可溶化剤を含め、組成物を患者にもたらす前に蒸留または蒸発などの従来の技法を使用して過剰な可溶化剤を除去することが有利であり得る。存在する場合、可溶化剤の重量比は、薬物、および他の賦形剤の合算した重量に基づいて、10%、25%、50%、100%、または最大約200重量%であってよい。所望であれば、5%、2%、1%またはさらに低い%などの非常に少量の可溶化剤を使用することもできる。一般には、可溶化剤は、重量で約1%〜約100%、より一般には、約5%〜約25%の量で存在してよい。
組成物は、1つまたは複数の薬学的に許容される添加剤および賦形剤をさらに含んでよい。そのような添加剤および賦形剤としては、限定することなく、粘着性低下剤、消泡剤、緩衝剤、ポリマー、抗酸化物質、防腐剤、キレート化剤、粘弾性調整剤、等張化剤、風味料、着色剤、着臭剤、乳白剤、懸濁化剤、結合剤、充填剤、可塑剤、滑沢剤、およびそれらの混合物が挙げられる。
さらに、加工を容易にするため、安定性を増強するため、または他の理由で、酸または塩基を組成物に組み入れることができる。薬学的に許容される塩基の例としては、アミノ酸、アミノ酸エステル、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、ナトリウム炭酸水素塩、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、合成ヒドロカルサイト、水酸化アルミニウムマグネシウム、ジイソプロピルエチルアミン、エタノールアミン、エチレンジアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、トリイソプロパノールアミン、トリメチルアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(TRIS)などが挙げられる。酢酸、アクリル酸、アジピン酸、アルギン酸、アルカンスルホン酸、アミノ酸、アスコルビン酸、安息香酸、ホウ酸、酪酸、炭酸、クエン酸、脂肪酸、ギ酸、フマル酸、グルコン酸、ヒドロキノンスルホン酸、イソアスコルビン酸、乳酸、マレイン酸、シュウ酸、パラ−ブロモフェニルスルホン酸、プロピオン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、タンニン酸、酒石酸、チオグリコール酸、トルエンスルホン酸、尿酸などの薬学的に許容される酸の塩である塩基も適切である。リン酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、およびリン酸二水素ナトリウムなどの多塩基酸の塩も使用することができる。塩基が塩である場合、カチオンは、例えば、アンモニウム、アルカリ金属、アルカリ土類金属などの任意の都合のよい薬学的に許容されるカチオンであり得る。例としては、これだけに限定されないが、ナトリウム、カリウム、リチウム、マグネシウム、カルシウムおよびアンモニウムを挙げることができる。
適切な酸は、薬学的に許容される有機酸または無機酸である。適切な無機酸の例としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、ホウ酸、リン酸などが挙げられる。適切な有機酸の例としては、酢酸、アクリル酸、アジピン酸、アルギン酸、アルカンスルホン酸、アミノ酸、アスコルビン酸、安息香酸、ホウ酸、酪酸、炭酸、クエン酸、脂肪酸、ギ酸、フマル酸、グルコン酸、ヒドロキノンスルホン酸、イソアスコルビン酸、乳酸、マレイン酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、パラ−ブロモフェニルスルホン酸、プロピオン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、タンニン酸、酒石酸、チオグリコール酸、トルエンスルホン酸、尿酸などが挙げられる。
注射用医薬組成物
一部の実施形態では、本開示は、本開示の化合物および注射に適した医薬賦形剤を含有する注射用医薬組成物を提供する。組成物中の薬剤の構成成分および量は本明細書に記載の通りである。
注射による投与のための、本開示の新規の組成物を組み入れることができる形態としては、水性もしくは油性懸濁剤、またはゴマ油、トウモロコシ油、綿実油、またはピーナッツ油を用いた乳剤、ならびにエリキシル剤、マンニトール、デキストロース、または滅菌水溶液、および同様の医薬ビヒクルが挙げられる。
生理食塩水中水溶液も注射用に慣習的に使用される。エタノール、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど(および適切なそれらの混合物)、シクロデキストリン誘導体、および植物油も使用することができる。妥当な流動性は、例えば、分散の場合では必要な粒子サイズを維持するためにレシチンなどのコーティングを使用することによって、および界面活性物質を使用することによって維持することができる。微生物の作用の防止は、種々の抗細菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどによってもたらすことができる。
滅菌注射液は、必要量の本開示の化合物を上に列挙されている種々の他の成分と共に適切な溶媒中に組み入れ、必要に応じて、その後に濾過滅菌することによって調製する。一般に、分散液は、種々の滅菌活性成分を、基本的な分散媒および上に列挙されているものからの必要な他の成分を含有する滅菌ビヒクル中に組み入れることによって調製する。滅菌注射液を調製するための滅菌粉末の場合では、特定の望ましい調製方法は、活性成分の粉末と、任意の追加的な所望の成分とを、予め滅菌濾過したその溶液から得る、真空乾燥およびフリーズドライ技法である。
吸入のための医薬組成物
吸入または吹送のための組成物としては、薬学的に許容される水性または有機溶媒またはそれらの混合物中の溶液および懸濁剤、ならびに散剤が挙げられる。液体または固体組成物は、上記の適切な薬学的に許容される賦形剤を含有してよい。組成物は、局部または全身効果のために、経口経路または経鼻呼吸器経路によって投与することが好ましい。薬学的に許容される溶媒中にあることが好ましい組成物を、不活性ガスを使用することによって霧状にすることができる。霧状にした溶液は、噴霧デバイスから直接吸入することもでき、噴霧デバイスを、フェイスマスクテントまたは間欠陽圧人工呼吸器に取り付けることもできる。溶液、懸濁剤、または散剤組成物は、好ましくは、製剤を適切な様式で送達するデバイスから経口的にまたは経鼻的に投与することができる。
他の医薬組成物
医薬組成物は、シネチルカロールまたはSpiranthes sinensis抽出物、および、舌下投与、頬側投与、直腸投与、骨内投与、眼内投与、鼻腔内投与、硬膜外投与、または脊髄内投与に適した1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤を含む組成物などの本明細書に記載の組成物を含むように調製することもできる。医薬組成物への賦形剤およびそれらの使用は、当技術分野で周知である。例えば、全て、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、Anderson, Philip O.;Knoben, James E.;Troutman, William G編、Handbook of Clinical Drug Data、第10版、McGraw-Hill、2002年;PrattおよびTaylor編、Principles of Drug Action、第3版、Churchill Livingston、New York、1990年;Katzung編、Basic and Clinical Pharmacology、第9版、McGraw Hill、20037ybg;GoodmanおよびGilman編、The Pharmacological Basis of Therapeutics、第10版、McGraw Hill、2001年;Remingtons Pharmaceutical Sciences、第20版、Lippincott Williams & Wilkins.、2000年;Martindale、The Extra Pharmacopoeia、第32版(The Pharmaceutical Press、London、1999年)を参照されたい。
一部の実施形態では、組成物および方法は、1種または複数(例えば、1種、2種、3種、4種、5種、またはそれ超)の追加的な薬剤を別々にまたは同時に投与するステップをさらに含む。追加的な薬剤は、創傷治癒において有用なものを含み得る。追加的な薬剤の非限定的な例としては、抗生物質(例えば、アミノグリコシド、セファロスポリン、クロラムフェニコール、クリンダマイシン、エリスロマイシン、フルオロキノロン、マクロライド、アゾリド、メトロニダゾール、ペニシリン、テトラサイクリン、トリメトプリム−スルファメトキサゾール、バンコマイシン)、ステロイド(例えば、アンドラン(例えば、テストステロン)、コレスタン(例えば、コレステロール)、コール酸類(例えば、コール酸)、コルチコステロイド(例えば、デキサメタゾン)、エストラエン(例えば、エストラジオール)、プレグナン(例えば、プロゲステロン)、麻薬性鎮痛薬および非麻薬性鎮痛薬(例えば、モルヒネ、コデイン、ヘロイン、ヒドロモルフォン、レボルファノール、メペリジン、メサドン、オキシドン、プロポキシフェン、フェンタニル、メサドン、ナロキソン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、ナルブフィン、ペンタゾシン)、化学療法(例えば、抗がん薬、例えば、これだけに限定されないが、アルトレタミン、アスパラギナーゼ、ブレオマイシン、ブスルファン、カルボプラチン、カルムスチン、クロラムブシル、シスプラチン、クラドリビン、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ジエチルスチルベステロール、エチニルエストラジオール、エトポシド、フロクスウリジン、フルダラビン、フルオロウラシル、フルタミド、ゴセレリン、ヒドロキシウレア、イダルビシン、イホスファミド、ロイプロリド、レバミソール、ロムスチン、メクロレタミン、メドロキシプロゲステロン、メゲストロール、メルファラン、メルカプトプリン、メトトレキサート、マイトマイシン、ミトタン、ミトキサントロン、パクリタキセル、ペンタスタチン、ピポブロマン、プリカマイシン、プレドニゾン、プロカルバジン、ストレプトゾシン、タモキシフェン、テニポシド、ビンブラスチン、ビンクリスチンなど)、抗炎症剤(例えば、アルクロフェナク;アルクロメタゾンジプロピオネート;アルゲストンアセトニド;アルファアミラーゼ;アムシナファル;アムシナフィド;アンフェナクナトリウム;塩酸アミプリロース;アナキンラ;アニロラク;アニトラザフェン;アパゾン;バルサラジド二ナトリウム;ベンダザック;ベノキサプロフェン;塩酸ベンジダミン;ブロメライン;ブロペラモール;ブデソニド;カルプロフェン;シクロプロフェン;シンタゾン;クリプロフェン;クロベタゾールプロピオネート;クロベタゾンブチレート;クロピラク;プロピオン酸クロチカゾン;コルメタソンアセテート;コルトドキソン;デカン酸;デフラザコート;デラテストリル;デポ・テストステロン;デソニド;デスオキシメタゾン;デキサメタゾンジプロピオネート;ジクロフェナクカリウム;ジクロフェナクナトリウム;ジフロラゾンジアセテート;ジフルミドンナトリウム;ジフルニサル;ジフルプレドネート;ジフタロン;ジメチルスルホキシド;ドロシノニド;エンドリソン;エンリモマブ;エノリカムナトリウム;エピリゾール;エトドラク;エトフェナマート;フェルビナク;フェナモール;フェンブフェン;フェンクロフェナック;フェンクロラク;フェンドサール;フェンピパロン;フェンチアザク;フラザロン;フルアザコルト;フルフェナム酸;フルミゾール;酢酸フルニソリド;フルニキシン;フルニキシンメグルミン;フルオコルチンブチル;酢酸フルオロメトロン;フルクァゾン;フルルビプロフェン;フルレトフェン;フルチカゾンプロピオネート;フラプロフェン;フロブフェン;ハルシノニド;ハロベタソールプロピオネート;ハロプレドンアセテート;イブフェナック;イブプロフェン;イブプロフェンアルミニウム;イブプロフェンピコノール;イロニダプ;インドメタシン;インドメタシンナトリウム;インドプロフェン;インドキソール;イントラゾール;イソフルプレドンアセテート;イソキセパク;イソキシカム;ケトプロフェン;ロフェミゾールヒドロクロリド;ロモキシカム;エタボン酸ロテプレドノール;メクロフェナム酸ナトリウム;メクロフェナム酸;メクロリソンジブチレート;メフェナム酸;メサラミン;メセクラゾン;メステロロン;メタンドロステノロン;メテノロン;メテノロンアセテート;スレプタン酸メチルプレドニゾロン;モルニフルメート;ナブメトン;ナンドロロン;ナプロキセン;ナプロキセンナトリウム;ナプロキソール;ニマゾン;オルサラジンナトリウム;オルゴテイン;オルパノキシン;オキサンドロロン(oxandrolane);オキサプロジン;オキシフェンブタゾン;オキシメトロン;塩酸パラニリン;ペントサンポリ硫酸ナトリウム;フェンブタゾンナトリウムグリセレート;ピルフェニドン;ピロキシカム;桂皮酸ピロキシカム;ピロキシカムオーラミン;ピルプロフェン;プレドナザート;プリフェロン;プロドール酸;プロカゾン;プロキサゾール;クエン酸プロキサゾール;リメキソロン;ロマザリット;サルコレクス;サルナセジン;サルサレート;塩化サングイナリウム;セクラゾン;セルメタシン;スタノゾロール;スドキシカム;スリンダク;スプロフェン;タルメタシン;タルニフルマート;タロサラート;テブフェロン;テニダップ;テニダップ ナトリウム;テノキシカム;テシカム;テシミド;テストステロン;テストステロン混和物;テトリダミン;チオピナク;チキソコルトールピバレート;トルメチン;トルメチンナトリウム;トリクロニド;トリフルミダート;ジドメタシン;ゾメピラクナトリウム)、または抗ヒスタミン剤(例えば、エタノールアミン(ジフェンヒドラミンカルビノキサミンなど)、エチレンジアミン(トリペレンアミンピリラミンなど)、アルキルアミン(クロルフェニラミン、デクスクロルフェニラミン、ブロムフェニラミン、トリプロリジンなど)、アステミゾール、ロラタジン、フェキソフェナジン、ブロフェニラミン、クレマスチン、アセトアミノフェン、プソイドエフェドリン、トリプロリジンなどの他の抗ヒスタミン薬)が挙げられる。
食物
一態様では、本開示は、食物担体およびある量のシネチルカロールを含む食物組成物を提供する。食物組成物は、本明細書に記載の剤形などの、シネチルカロールを投与するための剤形であってよい。一部の実施形態では、食物組成物は、シネチルカロールを、約0.001〜1000mg、0.01〜100mg、0.1〜200mg、3〜200mg、5〜500mg、10〜100mg、10〜1000mg、50〜200mg、または100〜1000mgの間でシネチルカロールで含む。一部の実施形態では、食物組成物は、約0.001μgまたは約0.001μg超、約0.01μgまたは約0.01μg超、約0.1または約0.1超、約0.5μgまたは約0.5μg超、約1μgまたは約1μg超、約2μgまたは約2μg超、約3μgまたは約3μg超、約4μgまたは約4μg超、約5μgまたは約5μg超、約6μgまたは約6μg超、約7μgまたは約7μg超、約8μgまたは約8μg超、約9μgまたは約9μg超、約10μgまたは約10μg超、約15μgまたは約15μg超、約20μgまたは約20μg超、約25μgまたは約25μg超、約50μgまたは約50μg超、約75μgまたは約75μg超、約100μgまたは約100μg超、約200μgまたは約200μg超、約500μgまたは約500μg超、約1000μgまたは約1000μg超、またはそれ超のシネチルカロールを含む。一部の実施形態では、食物組成物は、少なくとも約4.4μgのシネチルカロールを含む。一部の実施形態では、食物組成物は、約4.4〜44μgの間の量のシネチルカロールを含む。一部の実施形態では、食物組成物は、少なくとも約44μgのシネチルカロールを含む。一部の実施形態では、食物組成物は、Spiranthes sinensis抽出物を含む。
開示される食物組成物の包装は、種々の適切な方法のいずれかによって実現することができる。例えば、食物組成物を、飲料、固形食、および/または半固形食として包装することができる。一部の場合では、開示される食物組成物を、スナックバー、穀物製品、ベーカリー製品、および乳製品からなる群の1つまたは複数などの食品として包装する。
一部の実施形態では、開示されている医薬組成物を、単位投与量として製剤化された食糧に包装する。いかなる限定にも縛られることなく、単位投与量は、飲料、栄養補助食品、固形食、および/または半固形食として製剤化されている。
処置
一部の態様では、本開示は、フリーラジカルを低下させる、炎症応答を低減する、および/または創傷治癒を促進する医薬組成物および方法を提供する。一部の実施形態では、方法は、それを必要とする対象に、対象に投与するために製剤化された、シネチルカロールを含む剤形を投与するステップを含む。一部の実施形態では、剤形は、医薬担体をさらに含む。一部の実施形態では、剤形は、Spiranthes sinensis抽出物を含む。方法は、剤形、医薬組成物、または食物組成物などの本明細書に開示されている組成物のいずれかを投与するステップを含んでよい。組成物の投与および効果の測定は、例えば本明細書に開示されている種々の組成物に関してなど、本明細書に記載されている。
上記の通り、本開示は、それを必要とする対象にシネチルカロールを含む剤形を投与するステップを含む、炎症応答を低減するための方法を提供する。組成物は、本明細書に記載のシネチルカロール含有組成物のいずれかであってよい。一実施形態では、シネチルカロールの剤形は、対象に投与するために製剤化されている。関連する実施形態では、剤形は、薬学的に許容される担体を含む医薬組成物であり、その例は本明細書に記載されている。さらなる関連する実施形態では、剤形は、本明細書に記載の抽出物などの、Spiranthes sinensis抽出物を含む。
一部の実施形態では、本開示は、これだけに限定されないが、肝線維症を含めた炎症を処置するための医薬組成物および方法を提供する。開示される組成物は、抗炎症活性、抗肝線維症活性、および/または抗酸化活性をもたらすために使用することができる。一部の実施形態では、組成物は、有効量のシネチルカロールを含む。一部の実施形態では、医薬組成物は、有効量のSpiranthes sinensis抽出物を含む。一部の実施形態では、医薬組成物は、薬学的に許容される担体をさらに含む。
一部の実施形態では、本発明で提供される方法により、対象における炎症を低減することができる。一般には、炎症とは、侵入する感染性微生物に対する体の反応であり、一般には、患部への血流の増加、白血球を引き出す化学物質の放出、血漿の流れの増加、およびデブリを除去するための単球(または脳の場合ではアストロサイト)の出現がもたらされる。炎症性刺激物質は、炎症応答を刺激するあらゆるものであり得る。一部の実施形態では、組織損傷に応答した対象における炎症の低減に加えて、提供される組成物および方法は、例えば、喘息、湿疹、副鼻腔炎、アテローム性動脈硬化症、関節リウマチ、炎症性腸疾患、皮膚のおよび全身性肥満細胞症、乾癬、および多発性硬化症を含めた、炎症細胞のレベルの病理学的上昇に関連する障害を処置するためにも使用することができる。提供されるポリペプチドを用いた処置は、例えば、治癒中の創傷のそう痒を低減するために使用することができる。一般に、そう痒により、肥満細胞によるヒスタミンの放出が生じる。一部の実施形態では、肥満細胞の脱肉芽形成およびヒスタミンの放出を低減するために、提供される組成物を使用する。一部の実施形態では、これだけに限定されないが、そう痒、ひっかき、洞刺激、アレルギー性の咳、赤目、喘息、および湿疹を含めた、ヒスタミンの放出を伴う状態を処置するために、提供される組成物を使用する。
一部の実施形態では、炎症応答は、慢性または急性の免疫障害に関連する。一部の実施形態では、組成物は、慢性もしくは急性の免疫障害に関連する疾患もしくは状態、または原発性免疫不全症および続発性もしくは後天性免疫不全症などの免疫不全症、ならびに/または自己免疫障害を処置するための方法を提供する。自己免疫障害の例としては、ループス、強皮症、特定の型の溶血性貧血、血管炎、I型糖尿病、グレーブス病、関節リウマチ、多発性硬化症、グッドパスチャー症候群、悪性貧血、一部の型のミオパチー(myopthay)、およびライム病(後期)が挙げられる。例示的な原発性免疫不全症としては、重症複合免疫不全症(SCID)、ディジョージ症候群、高IgE症候群(ヨブ症候群としても公知)、分類不能型免疫不全症症(CVID)、慢性肉芽腫性疾患(CGD)、ウィスコット・アルドリッチ症候群(WAS)、自己免疫性リンパ増殖性症候群(ALPS)、高IgM症候群、白血球接着不全症(LAD)、NF−κB必須修飾因子(NEMO)突然変異、選択的免疫グロブリンA欠損症、X連鎖無ガンマグロブリン血症(XLA、ブルトン型無ガンマグロブリン血症としても公知)、およびX連鎖リンパ増殖性疾患(XLP)および運動失調−毛細血管拡張症が挙げられる。続発性免疫不全症の例はAIDSである。他の免疫障害としては、季節性アレルギー、肥満細胞症、通年性アレルギー、アナフィラキシー、食物アレルギー、アレルギー性鼻炎、およびアトピー性皮膚炎などのアレルギーが挙げられる。追加的な非限定的な例としては、急性散在性脳脊髄炎(ADEM)、アジソン病、抗リン脂質抗体症候群(APS)、再生不良性貧血、自己免疫性肝炎、セリアック病、クローン病、真性糖尿病(1型)、グッドパスチャー症候群、グレーブス病、ギラン・バレー症候群(GBS)、Ha e(OMS)、視神経炎、オード甲状腺炎、天疱瘡(oemphigus)、多発性関節炎、原発性胆汁性肝硬変、乾癬、リウマチ性橋本病(rheumatoid shimoto’s disease)、エリテマトーデス、多発性硬化症、重症筋無力症、眼球クローヌス・ミオクローヌス症候群、関節炎、ライター症候群、高安動脈炎、側頭動脈炎(「巨細胞性動脈炎」としても公知)、温式自己免疫性溶血性貧血、ウェゲナー肉芽腫症、汎発性脱毛症、シャーガス病、慢性疲労症候群、自律神経障害、子宮内膜症、化膿性汗腺炎、間質性膀胱炎、神経性筋強直症、サルコイドーシス、強皮症、潰瘍性大腸炎、白斑、および外陰部痛が挙げられる。他の障害としては、骨再吸収障害および血栓症(thromobsis)が挙げられる。
本開示の一部の実施形態では、前記組成物の投与により、自己免疫疾患、神経変性疾患、または炎症に関連する疾患に付随する1つまたは複数の症状が低減する。そのような症状の非限定的な例としては、炎症、疲労、浮動性めまい、倦怠感、高熱および高体温、手および足の冷えに対する極度の感受性、筋肉および関節の衰弱および硬直、体重変化、消化または胃腸の問題、低血圧または高血圧、被刺激性、不安、またはうつ病、不妊症または性衝動の減少(低リビドー)、血糖の変化、ならびに、自己免疫疾患の型に応じて、臓器もしくは組織のサイズの増大、または臓器もしくは組織の破壊が挙げられる。
一部の実施形態では、シネチルカロールを含む組成物の投与は、これだけに限定されないが、関節の腫脹の低減、血清抗コラーゲンレベルの低下、ならびに/または、骨吸収、軟骨損傷、パンヌス、および/もしくは炎症などの関節の病態の低減を含めた、関節リウマチに付随する症状の好転において有効である。一部の実施形態では、本主題の方法は、関節(例えば、脚または足首)の炎症を少なくとも約2%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、50%、60%、または約75%〜90%低減することにおいて有効である。一部の実施形態では、炎症が少なくとも約2%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、50%、60%、または約75%〜90%またはそれ超、低減する。一部の実施形態では、本主題の方法は、血清抗II型コラーゲンレベルを少なくとも約10%、12%、15%、20%、24%、25%、30%、35%、50%、60%、75%、80%、86%、87%、または約90%またはそれ超低減することにおいて有効である。一部の実施形態では、本主題の方法は、足首の病理組織検査スコアを約5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、90%またはそれ超低減することにおいて有効である。一部の実施形態では、本主題の方法は、膝の病理組織検査スコアを約5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、90%またはそれ超低減することにおいて有効である。
一部の実施形態では、喘息を処置するために、シネチルカロールを含む組成物を投与することが有効である。また、本明細書に記載の化合物または医薬組成物は、内毒血症および敗血症を処置するためにも使用することができる。一実施形態では、本明細書に記載の化合物または医薬組成物を、関節リウマチ(RA)を処置するために使用する。さらに別の実施形態では、本明細書に記載の化合物または医薬組成物を、接触皮膚炎またはアトピー性皮膚炎を処置するために使用する。接触皮膚炎としては、刺激性皮膚炎、光毒性皮膚炎、アレルギー性皮膚炎、光アレルギー性皮膚炎、接触蕁麻疹、全身性接触型皮膚炎などが挙げられる。刺激性皮膚炎は、ある特定の物質に対する皮膚の感受性が高い場合に物質が過剰に皮膚に使用されると起こり得る。アトピー性皮膚炎は、時には、湿疹と称され、一種の皮膚炎、アトピー性皮膚疾患である。
炎症の低減は、本明細書に記載の方法などの種々の方法を使用して測定することができる。一部の実施形態では、炎症応答の低減は、炎症の低減のしるしである。炎症応答の低減を測定するための方法としては、例えば、iNOS、COX−2、TNF−アルファ、PGE2、IL−6、IL−β、IL−33、NLRP3、pERK、NFκB、MMP2、およびMMP9からなる群から選択される1つまたは複数の生物学的マーカーの発現または活性の低減が挙げられる。
炎症の低減は、例えば、単球またはアストロサイトなどの炎症細胞型の密度の低下によって測定することもできる。炎症の低減は、例えば、好中球、肥満細胞、好塩基球、および単球などの炎症細胞型密度の低下によって測定することができる。炎症の低減は、好中球活性のin vivo測定によって算出することができる。さらに、肥満細胞脱肉芽形成の頻度またはヒスタミンレベルもしくは活性酸素種のレベルの測定値などの因子を炎症の低減の評価基準として使用することができる。炎症のレベルは、特定の遺伝子の転写レベルについて、例えば、インターフェロン−アルファ、インターフェロン−ベータおよびインターフェロン−ガンマ、腫瘍壊死因子−アルファ、インターロイキン1β、インターロイキン2、インターロイキン4、インターロイキン5、インターロイキン6、インターロイキン8、インターロイキン12、インターロイキン18、インターロイキン23、インターロイキン27、CD4、CD28、CD80、CD86、MHCII、ならびにiNOSなどの遺伝子について、qRT−PCRによって調査することにより間接的に測定することもできる。血漿を含めた対象の組織およびまたは体液における炎症促進性サイトカインレベルの測定により、炎症の低減を測定することができる。ACTペプチド作用の機構は、炎症細胞遊走の阻害、ならびに/または、炎症促進性化学物質(ヒスタミン、活性酸素種)、およびインターロイキン(IL)−1、IL−6、IL−8および腫瘍壊死因子(TNF)などの炎症促進性サイトカインの阻害によるものであり得ることに注目すべきである。
一部の実施形態では、炎症応答の低減は、活性酸素種または活性窒素種などの、炎症応答に関連する1つまたは複数のフリーラジカルのレベルの低下によっても証明される。活性酸素種(「ROS」)および活性窒素種(「RNS」)は、生物体において重要な生理機能を有する化合物の2つの主要な型である。ROSおよびRNSは、ラジカルだけでなく、細胞内酸化プロセスの間に形成される他の関連する非ラジカル種も包含する。これらのフリーラジカルおよび関連する種は、とりわけ、膜受容体からのシグナルトランスダクションの調節、免疫学的応答および炎症応答、平滑筋弛緩、酸化還元恒常性、アポトーシス、および血管緊張にも関与する。
ROSとしては、スーパーオキシドラジカルアニオン(O2 −.)およびヒドロキシルラジカル(.OH)などのラジカル種;ならびに、過酸化物(ROOR)、過酸化水素(H2O2)、一重項酸素(1O2)、およびペルオキシナイトライト(ONOO−)などの関連する非ラジカル種が挙げられる。RNSとしては、一酸化窒素(.NO)などのラジカル種;ならびにニトロソニウムカチオン(NO+)、ニトロキシルアニオン(NO−)、およびペルオキシナイトライト(ONOO−)などの関連する非ラジカル種が挙げられる。キサンチンオキシダーゼ、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADPH)オキシダーゼアイソフォームおよびシクロオキシゲナーゼアイソフォームによって触媒される反応などの、多数の酵素的プロセスにより、ROSの形成が導かれる(Fink M P.、「Reactive oxygen species as mediators of organ dysfunction caused by sepsis, acute respiratory distress syndrome, or hemorrhagic shock: potential benefits of resuscitation with Ringer's ethyl pyruvate solution」、Curr Opin Clin Nutr Metab Care、2002年、5巻:167〜174頁)。RNSは、L−アルギニンの酸化の結果として形成され得る中間体である。この酸化プロセスは、一酸化窒素合成酵素(NOS)アイソフォームによって触媒され、一酸化窒素(.NO)の形成をもたらす。3種のNOSアイソフォーム:ニューロンNOS(nNOS)、内皮NOS(eNOS)、および誘導性NOS(iNOS)が存在する。これらのアイソフォームは、種々の細胞内の場所および組織で発現し、その非限定的な例として、心筋細胞、グリア細胞、骨格細胞、好中球、血管平滑筋細胞、および血小板が挙げられる。一酸化窒素は、ニトロソニウムカチオン(NO+)、ニトロキシルアニオン(NO−)、およびペルオキシナイトライト(一酸化窒素と超酸化物アニオンの反応により形成される毒性化合物であるONOO−)などの他の非ラジカルRNSに変換され得る。
ROSおよびRNSは、炎症プロセスを含めたいくつもの異なる細胞内シグナル伝達カスケードのメディエーターとしても決定的な役割を果たし得る(Droge W、「Free radicals in the physiological control of cell function」、Physiol Rev.、82巻(1号):47〜95頁、2002年)。特に、ROSは、炎症促進性転写因子であるNF−κB(Pantanoら、「Redox-sensitive kinases of the nuclear factor-kappaB signaling pathway」、Antioxid Redox Signal.、8巻(9〜10号):1791〜806頁、2006年;Gloireら、「NF-kappaB activation by reactive oxygen species: fifteen years later」、Biochem Pharmacol、72巻:1493〜1505頁、2006年)および活性化因子タンパク質(AP)−1(Liuら、「Redox-dependent transcriptional regulation」、Circ Res 97巻:967〜974頁、2005年;Linら、「Superoxide dismutase inhibits the expression of vascular cell adhesion molecule-1 and intracellular cell adhesion molecule-1 induced by tumor necrosis factor-alpha in human endothelial cells through the JNK/p38 pathways」、Arterioscler Thromb Vasc Biol、25巻:334〜340頁、2005年)によって媒介されるシグナル伝達の調節に関係づけられている。酸化還元依存性シグナル伝達機構は、p38およびJNKを含めた炎症促進性マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)の活性化にも関係づけられている(Nagaiら、「Pathophysiological roles of ASK1-MAP kinase signaling pathways」、J Biochem Mol Biol、40巻:1〜6頁、2007年)。一酸化窒素合成酵素アイソフォームの発現は炎症に関連づけられており、誘導性一酸化窒素合成酵素(iNOS)の誘導は、リポサッカライド(LPS)、内毒素、またはIFN−γ、TNF−αc、およびIL−1などの炎症性サイトカイン、により開始され得る(Guziketら、「Nitric oxide and superoxide in inflammation and immune regulation」、J Physiol Pharmacol、54巻(4号):469〜87頁、2003年)。
ROSおよびRNSの適切な調節により、酸化ストレスに対する保護がもたらされ、また、細胞のプロセスにおける重要なメディエーターがもたらされる。しかし、ROSおよびRNSの過剰な生成または不適切なクリアランスにより、タンパク質、DNA、および膜脂質などの細胞構成物へのダメージ;細胞内シグナル伝達カスケードの機能障害;細胞傷害性;および酵素不活化が生じる。フリーラジカルは、様々な形態のがん、2型真性糖尿病、アテローム性動脈硬化症、慢性的な炎症性の状態、虚血/再灌流損傷、敗血症および一部の神経変性疾患を含めた広範囲の疾患および病理学的プロセスにおける病理発生において重要なものとして意味づけられている(Droge W. Free radicals in the physiological control of cell function. Physiol Rev、2002年、82巻:47〜95頁)。
一部の実施形態では、本開示による組成物の投与は、1つまたは複数のフリーラジカルのレベルを少なくとも約0.1%、2%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、50%、60%、または約75%〜90%またはそれ超低下させることにおいて有効である。1つまたは複数のフリーラジカルのレベルの低下は、例えば亜硝酸数量化によってなど、任意の適切なアッセイによって測定することができる。1つまたは複数のフリーラジカルのレベルの低下は、本明細書に開示されているアッセイなどの、抗酸化活性についてのアッセイにおいて測定することもできる。
炎症応答により、組織腫脹も生じる。本明細書に記載の通り、腫脹とは、一般には、炎症の領域への体液および白血球の移動の増大の結果としての、損傷に対する体の反応である。一般に、腫脹は、あらゆる体部位の異常な肥大である。腫脹は、血液を含めた体液、骨性形成異常、筋肉、または多くの事柄に起因するものであり得る。一部の場合では、腫脹は、ふくらはぎまたは大腿の腫脹を含めた、体液または腫脹が関節包の外側の組織内に蓄積したものを表す、浮腫であり得る。一部の場合では、腫脹は、腫脹した足首または膝などの、流体が関節包の内側にあるものを表す、滲出液であり得る。一部の場合では、腫脹は、関節包内の滲出液中に血液が存在する状態である関節血症であり得、ACL断裂などの靭帯損傷または骨折のいずれかを示す。これは、一般には、針を用いて関節包からいくらかの体液を抽出することにより決定される。関節血症は、急性または慢性であり得る。急性関節血症とは、損傷の24時間以内に起こる腫脹を指す。腫脹が最初の2時間以内に起こる場合、それはおそらく関節血症に関連し、医療専門家による確認を行うべきである。慢性関節血症とは、長期にわたって起こる腫脹を指し、検出が難しい場合があるが、処置しないままにすると非常に有害である。
一部の実施形態では、炎症応答の低減は、組織腫脹の低減によって証明される。本明細書に記載の通り、腫脹の低減は、皮膚、上皮、滑膜組織、腱、軟骨、靭帯、骨、筋肉、器官、硬膜、血管、骨髄、および細胞外マトリックスを含めた組織において見いだすことができる。組織腫脹の低減は、腫脹指数の変化によって決定することができる。非限定的な例として、動物の損傷を受けた肢の面積を対照である動物の損傷を受けていない肢の面積で割ることによって腫脹指数を算出することができる。腫脹指数は、損傷を受けた肢と対照である損傷を受けていない肢の腫脹指数に基づいた比率として示すことができる。一部の実施形態では、前記投与の前後の、損傷を受けた肢と対照である損傷を受けていない肢の腫脹指数を比較のために記録することができる。別の非限定的な例として、動物モデルにおける炎症を、一方の足に完全フロイントアジュバント(CFA)を注射することによって誘導することができる。一部の実施形態では、組成物の投与は、組織腫脹を少なくとも約0.1%、2%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、50%、60%、または約75%〜90%またはそれ超低減することにおいて有効である。
一態様では、本開示は、それを必要とする対象にシネチルカロールを含む剤形を投与するステップを含む、創傷治癒を促進するための医薬組成物および方法を提供する。組成物は、本明細書に記載のシネチルカロール含有組成物のいずれかであってよい。一実施形態では、シネチルカロールの剤形は、対象に投与するために製剤化されている。関連する実施形態では、剤形は、薬学的に許容される担体を含む医薬組成物であり、その例は本明細書に記載されている。さらなる関連する実施形態では、剤形は、本明細書に記載の抽出物などの、Spiranthes sinensis抽出物を含む。一部の実施形態では、創傷治癒の促進は、創傷治癒の速度が、相当する無処置の創傷の治癒の速度と比較して、または、処置された創傷の処置前の治癒の速度と比較して、増大することを含む。創傷治癒の速度の改善は、治癒速度の10%、20%、30%、40%、50%、100%、150%、200%、250%、500%、1000%、またはそれ超の増大を含む。
一部の実施形態では、創傷治癒の促進は、線維症が、相当する無処置の創傷において起こる線維症、または処置前の治癒中の創傷の部分的に治癒した部分において見出される線維症と比較して低減することを含む。線維症は、病理過程であり、組織損傷に対する応答として結合組織による瘢痕形成および細胞外マトリックスの過剰産生を含む。修復プロセスは、一般には、2つの別個の相:損傷を受けた細胞が同じ型の細胞によって置き換えられ、損傷の証拠が残されない、再生相;および、結合組織で正常な実質組織が置き換えられる、線維増殖または線維症として公知の相を伴う。この修復プロセスは、最初は有益であるが、適切に制御されないと病原性になり、その結果、正常な組織が恒久的な瘢痕組織で置き換えられた、細胞外マトリックス構成成分の実質的な沈着が生じる。一部の実施形態では、本開示の組成物を投与することにより、線維症が約10%または約10%超、約20%または約20%超、約30%または約30%超、約40%または約40%超、約50%または約50%超、約100%または約100%超、約150%または約150%超、約200%または約200%超、約250%または約250%超、約500%または約500%超、約1000%または約1000%超、またはそれ超低減する。
一部の実施形態では、本発明で提供される方法により、組織損傷後の対象における瘢痕組織形成を低減することができる。瘢痕組織により、損傷を受けた皮膚および基礎をなす筋肉、ダメージを受けた心筋、または肝臓などの内臓の疾患にかかっている領域が置き換えられ得る。瘢痕は、高密度であり、厚く、血液の供給が不十分であることが原因で通常は周囲の組織よりも青白く、また、瘢痕は、破壊された組織に構造的に置き換わるものであるが、一般には、欠如した組織の機能の全てを果たすことはできない。瘢痕は、一般には、コラーゲン線維で構成され、それにより、多くの場合、関与する組織における正常な弾性が制限される。したがって、瘢痕組織により、筋肉の動きの範囲が限定される、または、リンパ系または循環系が影響を受けた場合には、適切な体液の循環が妨げられる。脳または脊髄に対する損傷後の神経膠瘢痕組織は、中枢神経系に対する損傷後の神経機能の回復の主要な障害物の1つである。瘢痕組織の減少は、損傷部位内の細胞型の集団によって評価することができる。例えば、神経膠瘢痕組織の減少は、ニューロンのアストロサイト細胞に対する比の増大によって推定することができる。瘢痕組織形成の減少は、瘢痕幅または瘢痕組織の面積の単純な測定によって測定することができる(Wilgusら、「Reduction of scar formation in full-thickness wounds with topical celecoxib treatment」、Wound Rep Reg 11巻:25〜34頁、2003年)。さらに、治癒した組織内の、正常な組織と比較した構造的複雑さの回復に関して組織学的評価を行うことができる。一部の実施形態では、瘢痕形成は、少なくとも約0.1%、2%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、50%、60%、または約75%〜90%またはそれ超減少し得る。
対象における線維性組織形成の減少は、対象における所与の組織および/または器官の正常な構造および機能が処置後に元に戻ったかどうかを評価する医師の臨床的判断によって測定することができる。例として、乾癬に関しては、医療専門家が対象の皮膚を評価して、鱗状の白い盛り上がりに覆われた赤みが増した皮膚のパッチが減少したかどうかを決定する。ある特定の種類の乾癬は、面皰のような外観(膿疱性乾癬)または熱傷の外観(紅皮症)を特徴とする。そのような場合では、医療専門家は、処置によってこれらの症状の低減がもたらされたかどうかを決定する。医療専門家により、生検材料が臨床的に入手可能であり、かつ/もしくは必要であると判断される対象、またはヒト疾患の動物モデルにおける組織または器官の場合では、臨床病理医および/または訓練された組織病理学者が生検材料の組織断片を調製し、組織組織学的構造を評価して、線維症の低減および正常な組織の構造および機能の回復が生じたかどうかを決定する。正常な組織に対する線維症の面積も、そのような組織学的調製物において定量的に評価することができる。
創傷治癒をもたらすことは、美容外科手術を受けているまたは組織損傷を有する対象を処置することを含む。他の実施形態では、本開示は、主題の組成物を使用して、損傷を処置し、かつ/または組織の再生を促進するための方法を提供する。組織損傷の例としては、擦り傷、切り傷、裂傷、圧挫創、圧迫創、伸展損傷、咬創、かすり傷、射創、爆傷、褥瘡、ボディピアッシング、刺創、熱創傷、銃創、風傷、日焼け、化学熱傷、手術創、外科的介入、医療介入、細胞、組織もしくは器官移植後の宿主拒絶反応、医薬の作用、医薬の副作用、褥瘡、放射線障害、美容皮膚創傷、内臓損傷、疾患過程(例えば、喘息、がん)、感染、感染因子、発生プロセス、成熟プロセス(例えば、ざ瘡)、遺伝子異常、発生異常、環境毒素、アレルゲン、頭皮損傷、顔面損傷、顎損傷、足損傷、足指損傷、手指損傷、骨損傷、性器損傷、関節損傷、排泄器損傷、眼外傷、角膜損傷、筋損傷、脂肪組織損傷、肺損傷、気管損傷、ヘルニア、肛門損傷、痔核、耳損傷、網膜損傷、皮膚損傷、腹部損傷、腕損傷、下肢損傷、靭帯損傷、背部損傷、出生時損傷、早産損傷、毒咬傷、刺傷、腱損傷、靭帯損傷、心臓損傷、心臓弁損傷、脈管系損傷、軟骨損傷、リンパ系損傷、頭蓋脳損傷、脱臼、食道穿孔、瘻孔、爪損傷、異物、骨折、凍傷、手の損傷、熱ストレス障害、断裂、頚部損傷、自傷、ショック、外傷性軟部組織損傷、脊髄損傷、脊髄損傷、捻挫、挫傷、腱損傷、靭帯損傷、軟骨損傷、胸部損傷、歯の損傷、外傷、神経系損傷、老化、動脈瘤、脳卒中、消化管損傷、梗塞、虚血損傷、骨折、捻挫、挫傷、脳卒中、梗塞、動脈瘤、ヘルニア形成、虚血、瘻孔、脱臼、放射線、細胞、組織もしくは器官移植、またはがんが挙げられる。一部の実施形態では、ざ瘡を処置および/または防止するために本明細書に記載の化合物を使用する。
一部の実施形態では、創傷治癒の促進は、対象における組織損傷後の引張強度などの、ある量の正常な組織機械的特性を創傷組織に回復させることを含む。「引張強度」とは、組織または創傷を破壊するために必要な応力または歪力の量を指す。処置後1カ月以内、2カ月以内、3カ月以内、4カ月以内、5カ月以内または6カ月以内の処置された創傷の引張強度は、損傷を受けていない組織の引張強度の60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%であり得る。一部の実施形態では、対象における、治癒した損傷の引張強度を、正常な損傷を受けていない組織の引張強度に近づくまたは到達するまで増大させることを含めた、組織の機械的特性を回復させる方法であって、対象に、薬学的に許容される担体中の本発明で提供される組成物(例えば、シネチルカロールまたはSpiranthes sinensis抽出物)のうちの1つまたは複数を投与するステップを含む方法が提供される。
開示される組成物または方法を使用して引張強度が回復するように処置することができる組織の例としては、筋骨格構造/組織、およびこれらの構造を覆う皮膚に対する損傷が挙げられる。例えば、提供される組成物は、関節でつながった関節、骨、軟骨、腱、または靭帯の引張強度を改善するために投与することができる。引張強度の改善は、肘、膝、または足を覆う皮膚などの、高程度の応力/歪力の下での皮膚の引張強度の改善を含み得る。関節損傷の治癒に付随する最も一般的な問題は、これらの領域の過剰な瘢痕化により、治癒した関節領域の収縮、および非伸張性が導かれることである。これは、重篤な美容的および心理学的結果に至る。組成物の性質を使用して、そのような瘢痕組織の形成を調節し、減少させ、それにより、関節の可動性を大きくすることができる。
一部の実施形態では、創傷治癒の促進は、対象における組織損傷の組織再生の増大を含む。瘢痕化とは対照的に、組織再生は、組織が元の構造的、機能的、および生理的状態に回復することを伴う。これは、本明細書では、組織の「複雑性」とも称される。回復は、部分的なものまたは完全なもの、すなわち、ネイティブまたは対照レベルと比較して10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%回復、またはその間の任意の量の回復であり得る。例として、皮膚損傷の場合では、組織再生は、毛包、腺構造、血管、筋肉、または脂肪の回復を伴い得る。脳損傷の場合では、組織再生は、ニューロンの維持または回復を伴い得る。例として、皮膚の場合では、組織再生の改善は、比率としての正常な再生皮膚に対する線維状瘢痕組織の体積の測定によって評価することができる。別の例として、創傷領域の体積に対して標準化した、再生している皮膚腺などの別々の再生している構造の計数を行うことができる。
一実施形態では、組織再生は、ダメージを受けた細胞を置き換えるための幹細胞の動員および分化を伴う。生きている生物体における幹細胞の主要な役割は、それらが見いだされる組織を維持し、修復することである。幹細胞分化とは、特殊化されていない細胞(例えば、幹細胞)が、皮膚細胞、神経細胞、心臓細胞、肝臓細胞、または筋肉細胞などの特殊化した細胞の特徴を獲得するプロセスを意味する。例として、皮膚損傷の場合では、組織再生は、上皮内に存在する幹細胞の毛包への分化を伴い得る(AlonsoおよびFuchs、2003年)。脳損傷の場合では、組織再生は、幹細胞のニューロンへの分化を伴い得る。提供される方法により、対象における組織損傷後の幹細胞分化を増強することができる。増強された幹細胞分化は、内在性または植え付けられた幹細胞に印をつけ、印をつけた幹細胞の正常な組織構造への分化および組み入れの頻度を決定する、臨床的に許容される遺伝学的または他の手段をもたらすによって測定することができる。別の例として、毛包などのある特定の構造は、組織損傷後に内在性幹細胞から再生されるであることが公知である。そのように、組織損傷領域に対して標準化した毛包の計数が、幹細胞分化の増強の定量的評価として機能する。
続く実施例は、本発明の種々の実施形態を例示する目的で提供され、本発明をいかなる様式でも限定することを意味しない。本実施例は、本明細書に記載の方法と共に現在の代表的な好ましい実施形態であり、例示であって、本発明の範囲の限定であるとして意図されない。特許請求の範囲の範囲によって定義される本発明の精神の範囲内に包含される実施例における変更および他の使用も当業者によって想定される。
(実施例1)
シネチルカロールの精製
方法
Spiranthes sinensis(PERS.)AMESの風乾全植物体を2013年11月に地域の生薬店、Hualien、台湾から購入し、the Herbarium of the Department of Botany、National Taiwan University、Taipei、台湾(第TAI.218182号、1934年4月12日収集)に既に寄託されている証拠標本と比較することによって同定した。
Spiranthes sinensisの風乾全植物体(例えば2.4kg)を粉末化し、EtOAc(例えば50L)で直接、3回、室温、各72時間抽出し、合わせた抽出物を減圧下で濃縮した。粗抽出物(例えば160g)をn−ヘキサン−EtOAc−メタノール(それぞれ1:0:0、10:1:0、5:1:0、3:1:0、1:1:0、0:1:0、0:40:1、0:30:1、0:20:1および0:10:1)を溶出液とするグラジエント混合物を使用するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーに供した。TLC結果により13個の画分を得た。第4の画分をさらにn−ヘキサン−EtOAc(3:1)を溶出液として使用するシリカゲルカラム上でのクロマトグラフィーにかけ、10個の画分を得た。画分4−4および5は濾過後に結晶の出現が見出され、シネチルカロールを得るために再結晶化によって精製した。化合物の同一性は、それらのスペクトルデータ(IR、NMRおよび質量)を文献に報告されている情報と比較することによって完全に特徴付けた。
続く実験のために保存組成物を、前記抽出物をDMSO中に前記DMSOの総体積に基づいて1mg/mLの濃度で溶解することによって作製した。
(実施例2)
Spiranthes sinensisおよびシネチルカロールの細胞毒性
方法
細胞培養
RAW264.7マウス(murine)マクロファージ細胞株はthe Bioresource Collection and Research Center(BCRC、台湾)から購入した。細胞を100U/mLペニシリン、100μg/mLピルビン酸ナトリウムおよび10%ウシ胎児血清(FBS;Gibco Inc.)を補充したダルベッコ変法イーグル培地(DMEM、Gibco Inc.、NY、USA)中37℃、5%CO2でインキュベートした。
細胞は、ビヒクル対照として0.01%DMSOでも処置した。細胞を細胞6×105個/ウエルの密度で24時間12ウエルプレートに播種し、次いで0.1%BSAを含む無血清培地で3時間インキュベートし、さまざまな濃度のSpiranthes sinensis抽出物またはSIで処置し、次いでLPS(1μg/mL)の存在下で4時間インキュベートした。
細胞生存率
本開示の組成物の抽出物の生体適合性を検討するために、MTTアッセイ(3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド(MTT、Invitrogen)、比色分析に基づくアッセイ)を実施した。
簡潔には、1ウエルあたり細胞8x103個を96ウエルプレートに播種し、5%CO2、37℃中で一晩インキュベートした。細胞をさまざまな濃度(5、20、50および100μg/mL)のSpiranthes sinensis抽出物で24時間処置し、インキュベーション後、1ウエルあたり20μL(5mg/mL)のMTT溶液を加え、さらに4時間インキュベートした。培地を取り除き、ホルマザンを100μl/ウエルのDMSO(Sigma−Aldrich)を加えることによって溶解し、ODをマイクロプレートリーダー(ELISA reader、Thermo Labsystems)を使用して570nmで測定した。生細胞の百分率を未処置対照細胞と比較することによって概算した。対照細胞の平均吸光度値を100%生存率とした。
データは、平均±S.Eとして表される。結果の統計学的比較は、一元配置分散分析(ANOVA)を使用して作製した。異なる文字が続く各カラム内の平均は、テューキー(Turkey’s)の検定によってp<0.05で有意に異なっている。
結果
MTTアッセイによって分析されたRAW264.7細胞におけるSpiranthes sinensis抽出物およびシネチルカロールの細胞傷害性。細胞生存率は、Spiranthes sinensis抽出物(5、20、50および100μg/mL)ならびにシネチルカロール(0.1、1、5および10μM)、24時間での処置で影響を受けなかった(図1)。これらの観察は、Spiranthes sinensisおよびシネチルカロールが細胞に毒性ではないことを示唆した。
(実施例3)
Spiranthes sinensis抽出物およびシネチルカロールのマウスにおけるCFA誘導炎症への効果
方法
動物
C57BL/6マウスは、the National Laboratory Animal Center(Taipei、台湾)から得て、室温(22±2℃)および湿度(60±10%)の調節された環境条件で飼った。12時間の明(午前6時〜午後6時)および暗周期を、研究を通じて維持した。動物実験は、the National Dong−Hwa University Animal Ethics Committeeによって承認され、National Dong−Hwa Universityの「Guide for the Care and Use of Laboratory Animals」に従って使用した。CFAを受けたすべての動物は、重度の炎症を典型的には後肢に発症し、炎症スコアが200%腫脹であったような非常に赤く、浮腫を20分間以内に生じた。実験は:CFA群:この群はCFAによって誘導だけされ、処置を受けなかった、Spiranthes sinensis抽出物(SS)群:この群はさまざまな濃度(0.5、0.3および0.06mg/kg b.w)のSpiranthes sinensis抽出物の腹腔内注射を受けた;シネチルカロール(SI)群:この群はさまざまな濃度(4.4、2.2および0.44μg/kg)のSIの腹腔内注射を受けた;トリアムシノロン(TS):この群は陽性対照用の0.3mg/kgのトリアムシノロン(臨床ステロイド薬)の腹腔内注射を受けた;セバトリム(SE):この群は3mg/kgのトリアムシノロン(臨床用NSAID)の腹腔内注射を陽性対照として受けた。各群マウス5匹であった。慢性炎症応答を生じさせるために、マウスに20μLの完全フロイントアジュバント(CFA、Mycobacterium tuberculosis、Sigma、St.Louis、MO、USA)を右後足の足底面(i.pl.)に皮下で注射した。左後足は対照として使用した。
CFA(0日目)誘導後、マウスをSS抽出物およびSIで腹腔内注射によって2日目までの3回で処置した。抗炎症効果を4日間検討し、腫脹指数を毎日記録した。腫脹指数を下の式により算出し、注射前(0日目)の腫脹指数に基づいた割合として表した。
データは、平均±S.Eとして表される。結果の統計学的比較は、一元配置分散分析(ANOVA)を使用して作製した。異なる文字が続く各カラム内の平均は、テューキーの検定によってp<0.05で有意に異なっていた。
結果
Spiranthes sinensis抽出物およびSIの抗炎症性を評価するために、CFA誘導炎症マウスでこの効果を決定した。すべての処置群はCFA群と比較した場合に抗炎症効果を有した。処置間で高濃度のSpiranthes sinensis抽出物はより良好な抗炎症効果を有した。Spiranthes sinensis抽出物および陽性対照群、特にステロイド群は、処置停止後3日目に顕著な腫脹の回復を有した(図2)。しかし0.5mg/kgのSpiranthes sinensis抽出物の最高濃度では、0.3mg/kgトリアムシノロンのものより少ない足(foot)の腫脹回復であった。SI群は、Spiranthes sinensis抽出物のものよりさらに良好な抗炎症効果を有した。それは、足(foot)の腫脹回復が0.3mg/kgトリアムシノロンのものよりも少なかった。しかし0.44μg/kgのSIは、4.4μg/kg SIのものよりもより良好な効果であり、高濃度のSIが免疫因子の過度の抑制を生じた可能性があることを示している(図3)。
(実施例4)
Spiranthes sinensis抽出物のマウスにおけるCFA誘導炎症の血液MMP2およびMMP9への効果
方法
動物
C57BL/6マウスは、the National Laboratory Animal Center(Taipei、台湾)から得て、室温(22±2℃)および湿度(60±10%)の調節された環境条件で飼った。12時間の明(午前6時〜午後6時)および暗周期を、研究を通じて維持した。動物実験は、the National Dong−Hwa University Animal Ethics Committeeによって承認され、National Dong−Hwa Universityの「Guide for the Care and Use of Laboratory Animals」に従って使用した。CFAを受けたすべての動物は、重度の炎症を典型的には後肢に発症し、炎症スコアが200%腫脹であったような非常に赤く、浮腫を20分間以内に生じた。実験は:CFA群:この群はCFAによって誘導だけされ、処置を受けなかった、Spiranthes sinensis抽出物(SS)群:この群はさまざまな濃度(0.5、0.3および0.06mg/kg b.w)のSpiranthes sinensis抽出物の腹腔内注射;シネチルカロール(SI)群:この群はさまざまな濃度(4.4、2.2および0.44μg/kg)のSIの腹腔内注射;トリアムシノロン:この群は陽性対照用の0.3mg/kgの臨床ステロイド薬、トリアムシノロンの腹腔内注射;セバトリム:この群は陽性対照用の3mg/kgの臨床用NSAID、トリアムシノロンの腹腔内注射。各群マウス5匹であった。
ゼラチンザイモグラフィー
MMP2およびMMP9の活性をゼラチンザイモグラフィーによって、この方法がMMP2およびMMP9の活性形態および潜在型形態をそれらの分子量に基づいて検出できることから、アッセイした。CFA誘導マウスから血液を4日目に回収し、血清を得るために遠心分離した。血清を回収し、Bradford dye(Bio−Rad)を使用して数量化した。10%ゼラチンを含有する8%SDS−PAGEゲルを調製した。7.5μgのタンパク質試料をゲルにロードし、電気泳動分離を80Vで2〜3時間実施した。発色緩衝液中で37℃、16時間インキュベートした。最後にゲルを0.1%Coomassie blue R−250(Bio−Rad)中で4時間染色し、次いで固定緩衝液によって脱色した。ゲルを、Epsonスキャナーを使用してスキャンし、multi−gauge software(Fujifilm)を使用して数量化した。
SS群のマウス由来の試料を同様に処理した。血液試料を尾静脈から4日目に回収した。血液を2×ロード色素(0.125M Tris−HCl、pH6.8、4%SDS、0.04%ブロモフェノールブルー、20%グリセロール)と合わせて55℃で予備加熱した。10%ゼラチンを含有する8%SDS−PAGEゲルを調製した。5μLの血液試料をゲルにロードし、電気泳動分離を80V、2〜3時間実施した。電気泳動後、ゲルをゲル1枚あたり50mLの2.5%TritonX−100で2回洗浄し、次いで発色緩衝液(0.05M Tris−HCl、pH8.8、5mM CaCl2、0.02%NaN3)中で37℃、16時間インキュベートした。最後にゲルを0.1%Coomassie blue R−250(Bio−Rad)中で4時間染色し、次いで固定緩衝液(45%メタノール、10%酢酸)によって脱色した。ゲルを、Epsonスキャナーを使用してスキャンし、multi−gauge software (Fujifilm)を使用して数量化した。この方法は、MMP9の活性形態および潜在型形態をそれらの正確な分子量サイズで検出できる。
データは、平均±SEMとして表された。結果の統計学的比較は、一元配置分散分析(ANOVA)を使用して作製した。異なる文字が続く各カラム内の平均は、テューキーの検定によってp<0.05で有意に異なっていた。
結果
ザイモグラフィーをCFA誘導炎症マウスの血液MMP2およびMMP9へのSIの効果を測定するために適用した。CFA誘導炎症マウスは、血液中でより高いMMP2およびMMP9発現を有した(図4)。MMP数量化は、MMP9レベルがCFA誘導マウスにおけるさまざまな濃度でのSI処置群で低減したことを明らかにした。0.44μg/kgのSIはMMP9の活性に阻害効果を有したが、MMP2レベルではあまり顕著ではなかった。SS試料についての結果は図26に例示されており、Spiranthes sinensis抽出物が、肝線維症の際に上方制御されるゼラチナーゼの一種であるMMP9の活性に阻害効果を有することを示している。
(実施例5)
RAW264.7細胞におけるLPS誘導IL−1β、IL−6、iNOsおよびTNF−α mRNA発現へのSpiranthes sinensis抽出物およびシネチルカロールの効果
方法
細胞培養
RAW264.7マウス(murine)マクロファージ細胞株はthe Bioresource Collection and Research Center(BCRC、台湾)から購入した。細胞を100U/mLペニシリン、100μg/mLピルビン酸ナトリウムおよび10%ウシ胎児血清(FBS;Gibco Inc.)を補充したダルベッコ変法イーグル培地(DMEM、Gibco Inc.、NY、USA)中37℃、5%CO2でインキュベートした。
細胞は、ビヒクル対照として0.01%DMSOでも処置した。細胞を細胞6×105個/ウエルの密度で24時間12ウエルプレートに播種し、次いで0.1%BSAを含む無血清培地で3時間インキュベートし、さまざまな濃度のSpiranthes sinensis抽出物またはSIで処置し、次いでLPS(1μg/mL)の存在下で4時間インキュベートした。
リアルタイムPCR
全RNAを新鮮回収RAW264.7細胞から調製し、トリゾール抽出を使用して単離した。RNA試料を分析まで−80℃で凍結した。次いでcDNAをM−MLV RT kit(Invitrogen、Carlsbad、CA)を製造者のプロトコールに従って使用して作製した。本Spiranthes sinensis抽出物に曝露したマウス組織およびRAW264.7細胞中の選択したサイトカインおよび関連遺伝子の発現を既に記載のとおりSensiFAST SYBR No−ROX Kit(BIOLINE、London、UK)によって決定した。TNF−アルファについてのPCRサイクル条件は、実行ごとの最初の2分間の95℃加熱ステップを含んだ。次いでチューブを95℃で5秒間、60℃で10秒間アニールおよび72℃で20秒間伸長を40サイクル行った。iNOs、IL6およびIL1についてのPCR条件は、実行ごとの最初の2分間の95℃加熱ステップを含んだ。次いでチューブを95℃で5秒間、64℃で10秒間アニールおよび72℃で20秒間伸長を38サイクル行った。すべての場合、光学的データをアニーリング相の際に回収した。PCR産生物のそれぞれによって示される発現を数量化するためのβ−アクチンによる内部標準。本実施例のリアルタイムPCRにおいて使用したプライマーを表1に列挙した。
データは、平均±S.Eとして表される。結果の統計学的比較は、一元配置分散分析(ANOVA)を使用して作製した。異なる文字が続く各カラム内の平均は、テューキーの検定によってp<0.05で有意に異なっていた。
結果
次に本発明者らは、Spiranthes sinensis抽出物(図5)およびSI(図6)のLPS誘導IL−1β、IL−6およびIL−33放出への効果を調査した。結果は、Spiranthes sinensis抽出物がLPS誘導炎症性サイトカインIL−1βおよびIL−6転写を用量依存的様式で減少させたことを示した。本発明者らは、TNF−α、NLRP3およびiNOs mRNAレベルも50μg/mLのSpiranthes sinensis抽出物によって同様の様式で有意に減少したことを見出した。5μM SIは、炎症性サイトカイン転写のさらに良好な阻害を有した。Spiranthes sinensis抽出物またはSI処置後にRAW264.7細胞が用量依存的様式で見出された。Spiranthes sinensis抽出物についての結果の代替的例示を図25に提供する。
(実施例6)
Spiranthes sinensis抽出物およびシネチルカロールのLPS誘導RAW264.7細胞におけるCOX−2の発現、NFκBおよびphosphor ERK活性化への効果
方法
細胞培養
RAW264.7マウス(murine)マクロファージ細胞株はthe Bioresource Collection and Research Center(BCRC、台湾)から購入した。細胞を100U/mLペニシリン、100μg/mLピルビン酸ナトリウムおよび10%ウシ胎児血清(FBS;Gibco Inc.)を補充したダルベッコ変法イーグル培地(DMEM、Gibco Inc.、NY、USA)中37℃、5%CO2でインキュベートした。
細胞は、ビヒクル対照として0.01%DMSOでも処置した。細胞を細胞6×105個/ウエルの密度で24時間12ウエルプレートに播種し、次いで0.1%BSAを含む無血清培地で3時間インキュベートし、さまざまな濃度のSpiranthes sinensis抽出物またはSIで処置し、次いでLPS(1μg/mL)の存在下で4時間インキュベートした。
ウエスタンブロット
全細胞可溶化物由来のタンパク質の濃度をBradfordアッセイによって決定した。等量のタンパク質をSDS−PAGEによって分離し、ニトロセルロース膜に移行させた。次いでブロットを5%(wt/vol)脱脂粉乳で一晩ブロックし、COX−2、NFκB、ERKに対するリン酸化部位特異的抗体およびERK抗体でTBS/T(137mM NaClおよび0.05%(vol/vol)Tween−20を含有する20mM Tris−HCl緩衝液、pH7.6)に溶解した5%(wt/vol)BSA中で探索した。西洋ワサビペルオキシダーゼコンジュゲート抗ウサギまたは抗マウス二次抗体の使用で、結合した抗体を化学発光の増強によって検出した。シグナルを、Western Lightning(商標)Plus−ECL(Perkin Elmer Life Sciences)を使用してモニターし、PVDF膜をLuminescent image analyzer LAS−3000(Fujifilm、Minato、Tokyo、Japan)に曝露した。得られたデータを分析し、処置ごとの差異について比較した。
データは、平均±S.Eとして表される。結果の統計学的比較は、一元配置分散分析(ANOVA)を使用して作製した。異なる文字が続く各カラム内の平均は、テューキーの検定によってp<0.05で有意に異なっていた。
結果
ウエスタンブロットをLPS誘導RAW264.7細胞におけるCOX−2、NFκB、p−ERKおよびERKの変化へのSpiranthes sinensis抽出物およびSIの効果を調査するために用いた。ERKの活性化およびCOX−2タンパク質発現の上方制御がRAW264.7細胞におけるLPS誘導によって12時間で見られた。RAW264.7細胞に対する12時間のLPS処置は、COX−2およびNFκB発現を基礎レベルの約2倍に増加させ、ERKのリン酸化発現を約250倍増加させた。Spiranthes sinensis抽出物(図7)およびSI(図8)は、COX−2およびNFκBのLPS誘導炎症性サイトカインおよびiNOs発現(LPS−induced inflammatory cytokine and iNOs expression of COX−2 and NFκB)ならびにERKのリン酸化を用量依存的様式で減少させた。
(実施例7)
RAW264.7細胞におけるNO産生へのSpiranthes sinensis抽出物およびシネチルカロールの効果
方法
LPS誘導RAW264.7細胞において
方法
細胞培養
RAW264.7マウス(murine)マクロファージ細胞株はthe Bioresource Collection and Research Center(BCRC、台湾)から購入した。細胞を100U/mLペニシリン、100μg/mLピルビン酸ナトリウムおよび10%ウシ胎児血清(FBS;Gibco Inc.)を補充したダルベッコ変法イーグル培地(DMEM、Gibco Inc.、NY、USA)中37℃、5%CO2でインキュベートした。
細胞は、ビヒクル対照として0.01%DMSOでも処置した。細胞を細胞6×105個/ウエルの密度で24時間12ウエルプレートに播種し、次いで0.1%BSAを含む無血清培地で3時間インキュベートし、さまざまな濃度のSpiranthes sinensis抽出物またはSIで処置し、次いでLPS(1μg/mL)の存在下で4時間インキュベートした。
亜硝酸数量化
活性化RAW264.7細胞からのNO産生を亜硝酸塩、NOの安定酸化産生物の量を測定することによって決定した。条件培地のアリコートを等体積の水中1%スルファニルアミドおよび5%リン酸中0.1%N−1−ナフチルエチレンジアミンジヒドロクロリドと混合した。吸光度を550nmで決定した。10〜100μMの濃度で培養培地中に希釈した亜硝酸ナトリウムを、標準曲線を作成するために使用した。
データは、平均±S.Eとして表される。結果の統計学的比較は、一元配置分散分析(ANOVA)を使用して作製した。異なる文字が続く各カラム内の平均は、テューキーの検定によってp<0.05で有意に異なっていた。
結果
亜硝酸塩、NOの安定代謝物の量を培地中のNO産生の指標として使用した。1μg/mLのLPSを加えた場合、NO産生は2.0±0.57μMに劇的に増加した。RAW264.7細胞におけるLPS誘導NO産生へのSpiranthes sinensis抽出物またはSIの効果を評価するために、12時間のSpiranthes sinensis抽出物(5、20、50および100μg/mL)またはSI(0.1、1、5および10μM)処置後に細胞を1μg/mLのLPSで12時間処置した(図9)。Spiranthes sinensis抽出物およびSIは、LPS誘導RAW264.7細胞におけるNO産生に阻害効果を用量依存的様式で有した。本発明者らは、植物抽出物だけが炎症に寄与しているのではないことを確実にするために、Spiranthes sinensis抽出物およびSIだけでの処置もNO産生について検査した。
(実施例8)
Spiranthes sinensis抽出物のin vivo抗酸化活性
方法
細胞培養
RAW264.7マウス(murine)マクロファージ細胞株はthe Bioresource Collection and Research Center(BCRC、台湾)から購入した。細胞を100U/mLペニシリン、100μg/mLピルビン酸ナトリウムおよび10%ウシ胎児血清(FBS;Gibco Inc.)を補充したダルベッコ変法イーグル培地(DMEM、Gibco Inc.、NY、USA)中37℃、5%CO2でインキュベートした。
細胞は、ビヒクル対照として0.01%DMSOでも処置した。細胞を細胞6×105個/ウエルの密度で24時間12ウエルプレートに播種し、次いで0.1%BSAを含む無血清培地で3時間インキュベートし、さまざまな濃度のSpiranthes sinensis抽出物またはSIで処置し、次いでLPS(1μg/mL)の存在下で4時間インキュベートした。
DPPHアッセイ
Spiranthes sinensis抽出物またはSIのDPPHラジカル除去活性を以前記載のとおり決定した(Sharmaら、2009年)。簡潔には種々の濃度のSpiranthes sinensis抽出物および0.04mM DPPH(SIGMA、#D9132)を含有する96ウエルプレート中の反応混合物を37℃、30分間インキュベートし、吸光度を490nmで測定した。ビタミンCを陽性対照として使用した。
結果
炎症の際にマクロファージなどの種々の細胞は、呼吸性バーストを含め、活性化を受け、酸素取り込みの大幅な増加はROSの多量放出を生じる(Yangら、2011年)。100μg/mLのSpiranthes sinensis抽出物は、抗酸化性において0.1mg/mLのビタミンCに匹敵する能力を有する(図10)。
(実施例9)
THSCおよびNHSC細胞培養ならびに生存率
NHCSおよびTHSC細胞培養
肝星細胞(HSC)、非実質細胞は、肝線維症に関与する主な細胞型であり、肝損傷への応答における瘢痕組織の形成に典型的には関与する。正常な肝臓では、HSCは静止形態にあり、ビタミンAおよび脂質の主な保存部位である。ビタミンAの保存量は肝臓の損傷において徐々に減少する。肝臓が損傷した場合、星細胞は活性状態に変化する(Hjelkrem, Moralesら、2012年)。活性化星細胞は増殖、収縮性および走化性によって特徴付けられる。したがってHSCの静止形態は、肝臓の状態の指標として使用できる。
本発明者らの以前の研究に記載のとおり、非化学物質誘導肝星細胞(NHSC純度>95%)はオススプラーグドーリーラット肝臓から単離し、チオアセタミド(TAA)誘導肝星細胞(THSC純度>95%)はオススプラーグドーリーラットのTAA(Fluka)誘導線維性肝臓から単離した。両細胞株は10%FBSを補充したDMEM(pH7.4)で維持し、水飽和インキュベーターで37℃、5%CO2でインキュベートした。培地を2日ごとに交換し、細胞を80%〜90%コンフルエンスでトリプシン/EDTA(Sigma−Aldrich)を使用して継代した。
細胞生存率
本開示の組成物の抽出物の生体適合性を検討するために、MTTアッセイ(3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド(MTT、Invitrogen)、比色分析に基づくアッセイ)を実施する。
MTTアッセイ
生細胞を分析するために、3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド(MTT、Invitrogen)、比色分析に基づくアッセイを実施した。1ウエルあたり細胞8×103個を96ウエルプレートに播種した。細胞をさまざまな濃度のSpiranthes sinensis抽出物またはSIで24時間処置し、インキュベーション後、1ウエルあたり20μL(5mg/mL)のMTT溶液を加え、さらに4時間インキュベートした。培地を取り除き、ホルマザンを100μL/ウエルのDMSO(Sigma−Aldrich)を加えることによって溶解し、ODを、ELISAリーダーを使用して570nmで測定した。生細胞の百分率を未処置対照細胞と比較することによって概算した。対照細胞の平均吸光度値を100%生存率とした。
図11の結果は、Spiranthes sinensisの抽出物が所与の投与量で細胞に実質的に害がないことを示した。
(実施例10)
脂質蓄積へのSpiranthes sinensis抽出物の効果
方法
脂質蓄積におけるSpiranthes sinensis抽出物の効果を検討するためにオイルレッドO染色およびAdipoRedアッセイを実施した。
データは、平均±S.Eとして表される。結果の統計学的比較は、一元配置分散分析(ANOVA)を使用して作製した。異なる文字が続く各カラム内の平均は、テューキーの検定によってp<0.05で有意に異なっていた。
オイルレッドO染色アッセイ
簡潔には、1ウエルあたり細胞1×105個(NHSCまたはTHSC)を6ウエルプレートに播種し、5%CO2、37℃で一晩コンフルエンスまでインキュベートした。その後、細胞を種々の濃度(5、20および50μg/mL)の本Spiranthes sinensis抽出物で24時間、それぞれ処置した。細胞をPBSで2回洗浄し、次いで(予備加温した)3.7%パラホルムアルデヒドによって10分間で固定した。0.5%(w/v)オイルレッドO保存溶液を濾過し、RT、暗所で1時間染色した。細胞を50%イソプロパノールで5秒間洗浄し、ヘマトキシリン(Sigma−Aldrich)で1分間対比染色した。細胞を蒸留水で3回洗浄し、グリセロールを使用して保存した。Canon 700 D cameraに接続したZEISS倒立顕微鏡を使用して画像を取得した。
結果
結果を図12に示す。対照群と比較した場合に本Spiranthes sinensis抽出物がNHSCおよびTHSCの両方において多量の核周囲脂肪滴を増加させたことが注目される。図12の結果は、図13に示す棒グラフとしても数量化し、後者からは、本Spiranthes sinensis抽出物の処置が未処置対照群と比較してNHSCおよびTHSCの脂肪酸保存をそれぞれ約3倍および約1.5倍増加させたことがさらに明らかであった。
AdipoRedアッセイ
1ウエルあたり細胞およそ1×104個を96ウエルプレートに播種し、5%CO2、37℃で一晩インキュベートした。細胞を種々の濃度(5、20、50および100μg/mL)のSpiranthes sinensis抽出物で48時間処置した。インキュベーション後、培養上清を取り除き、各ウエルを注意深く200μLのPBSでリンスした。次いで各ウエルを200μLのPBSおよび5μLのAdipoRed Reagent(Lonza、Walkersville、MD、USA)で満たした。室温、10分間のインキュベーション後、プレートを蛍光光度計に置き485nmでの励起および572nmでの発光で(Multimode Plate Reader、PerkinElmer Inc Waltham、MA、USA)蛍光を取得した。
結果
結果(図14)は、対照群と比較した場合にSpiranthes sinensis抽出物がNHSC(1.8倍)およびTHSC(1.4倍)における脂質蓄積を増加させたことを示している。観察は、前述のオイルレッドO染色アッセイの結果と一致し、脂質蓄積における本Spiranthes sinensis抽出物の能力をさらに確認した。
(実施例11)
コラーゲン蓄積へのSpiranthes sinensisの効果
方法
シリウスレッド染色をコラーゲン蓄積における本Spiranthes sinensis抽出物の効果を検討するために使用した。簡潔には、1ウエルあたり細胞3×104個を12ウエルプレートに播種し、5%CO2、37℃で一晩コンフルエンスまでインキュベートした。その後、細胞を種々の濃度(5、20および50μg/mL)の本Spiranthes sinensis抽出物で24時間、それぞれ処置した。細胞をPBSで2回洗浄し、次いで(予備加温した)3.7%パラホルムアルデヒドによって10分間で固定した。Picro−Sirius Red solution(ScyTek、Logan、Utah、USA)で、RT、暗所で1時間染色した。細胞をddH2Oで2回洗浄し、ヘマトキシリン(Sigma−Aldrich)で1分間対比染色した。細胞を蒸留水で3回洗浄し、グリセロールを使用して保存した。Canon 700 D cameraに接続したZEISS倒立顕微鏡を使用して画像を取得した。
データは、平均±S.Eとして表される。結果の統計学的比較は、一元配置分散分析(ANOVA)を使用して作製した。異なる文字が続く各カラム内の平均は、テューキーの検定によってp<0.05で有意に異なっていた。
結果
結果を図15に示す。Spiranthes sinensis抽出物(5、20および50μg/mL)で24時間処置したNHSCおよびTHSCの両方は、対照群と比較して核周囲コラーゲンの低減を示した。
(実施例12)
COL1 I、COL1 III、TGF−/3 R1、TGF−/3 R2、RXRα、NrF2およびPPARγの発現へのSpiranthes sinensis抽出物の効果
方法
COL1 III(コラーゲンアルファ1 III型)、COL1 I(コラーゲンアルファ1 I型)、TGF−β R1(TGF−β受容体1)、TGF−β R2(TGF−β受容体2)、RXRa(レチノイドX受容体)、NrF2(核因子(赤血球由来2)様2)およびPPARγ(ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体y)の発現をリアルタイムPCRによって検討した、18Sを対照として使用する。
RNA単離およびcDNA合成のために、HSC 4×105個を6ウエルプレートに播種し、70から80%コンフルエンス後、次に5%FBSを含有するDMEM中のさまざまな濃度(5、20、50および100μg/mL)の本Spiranthes sinensis抽出物で8および12時間それぞれ処置した。陽性対照群を25μMのクルクミンで処置した。全RNAを新鮮回収HSCから調製し、トリゾール抽出を使用して単離した。RNA試料を分析まで−80℃で凍結した。次いでcDNAをM−MLV RT kit(Invitrogen、Carlsbad、CA)を製造者のプロトコールに従って使用して作製した。
リアルタイムPCRのためにSensiFAST SYBR No−ROX Kit(BIOLINE、London、UK)を使用した。RXRα、NrF2およびPPARγのためのPCRサイクリング条件は、実行ごとの始めに95℃、2分間の加熱ステップを含んだ。次いでチューブを95℃で5秒間、64℃で10秒間アニール、72℃で20秒間伸長を40サイクル行った。コラーゲンアルファ1 III型、コラーゲンアルファ1 I型、TGF−β受容体1およびTGF−β受容体2のためのPCR条件は、実行ごとの始めに95℃、2分間の加熱ステップを含んだ。次いでチューブを95℃で5秒間、62℃で10秒間アニール、72℃で20秒間伸長を45サイクル行った。すべての場合について光学データをアニーリング相の際に回収した。各PCR産生物についての発現を数量化するために18Sによる内部標準。本実施例において使用したプライマーセットを表2に列挙した。
データは、平均±S.Eとして表される。結果の統計学的比較は、一元配置分散分析(ANOVA)を使用して作製した。異なる文字が続く各カラム内の平均は、テューキーの検定によってp<0.05で有意に異なっていた。
結果
図16は、本Spiranthes sinensis抽出物で8時間処置したNHSCおよびTHSCはCOL1 I、COL1 III、TGF−βR1およびTGF−βR2の発現が低減したことを示している。
図17および図18は、RXRα、NrF2およびPPARγ遺伝子発現が本Spiranthes sinensis抽出物で12時間処置したNHSCおよびTHSCの両方において増加したことを示している。
(実施例13)
組織損傷/創傷治癒へのSpiranthes sinensisの効果
方法
ラットを2群に分けた:滅菌ガーゼで処置した対照群動物、および白色ワセリンおよび滅菌ガーゼと共に5%Spiranthes sinensis抽出物で処置したSpiranthes sinensis抽出物(SS)群動物。ラットの背側領域の皮膚を損傷し、創傷治癒へのSpiranthes sinensis抽出物の効果を評価するために創傷に処置を適用した。各ラットの創傷サイズ(1.5cm×1.5cm)を測定し、記録した。創傷を対照またはSpiranthes sinensis抽出物で処置し、0日目、1日目、2日目、3日目、5日目、6日目、7日目、9日目 12日目および13日目に観察した。瘢痕組織切除を14日目に実施し、病理組織学的検討をヘマトキシリンおよびエオシンでの染色によって実施した。創傷治癒サイズおよび割合を、ImageJソフトウェアを使用して算出した。
結果
図19は、処置への応答におけるラット皮膚の創傷治癒進行を示している。Spiranthes sinensis抽出物で処置したラットは、対照群のラットと比較して広範囲の漸進的な回復を示した。図20および21は、SS群および対照群ラットにおける修復領域の変化を示している。さらにこの有益な効果は、組織切片によって実証された(図22)。SS群ラットは、創傷領域において皮膚の上皮および真皮層の完成を示した一方で、皮膚の上皮および真皮層は十分に治癒されなかった。
(実施例13)
Spiranthes sinensis抽出物の調製
風乾Spiranthes sinensisは、地域の小売店、Hualien、台湾から得た。乾燥Spiranthes sinensisを粉末に挽き、100%酢酸エチル(好ましくは、乾燥重量の10倍の体積)で1週間、室温(RT)で抽出した。液体抽出物を真空蒸発させその乾燥粉末を乾燥重量に基づく約20.9%の収量で産生した。続く実験のために前記抽出物をDMSO中に前記DMSOの総体積に基づいて1mg/mLの濃度で溶解することによって保存組成物を作製した。抽出物をDMSO中に前記DMSOの総体積に基づいて1mg/mLの濃度で溶解することによって保存組成物を作製した。
(実施例14)
細胞生存率へのSpiranthes sinensis抽出物の効果
RAW264.7マウス(murine)マクロファージ細胞株はthe Bioresource Collection and Research Center(BCRC、台湾)から購入した。細胞を100U/mLペニシリン、100μg/mLピルビン酸ナトリウムおよび10%ウシ胎児血清(FBS;Gibco Inc.)を補充したダルベッコ変法イーグル培地(DMEM、Gibco Inc.、NY、USA)中37℃、5%CO2でインキュベートした。細胞は、ビヒクル対照として0.01%DMSOでも処置した。細胞を細胞6×105個/ウエルの密度で24時間12ウエルプレートに播種し、次いで0.1%BSAを含む無血清培地で3時間インキュベートし、実施例13において調製したさまざまな濃度(5、10、20、50および100μg/mL)のSpiranthes sinensis抽出物で処置し、次いでLPS(0.4または1μg/mL)の存在下で追加的に4時間インキュベートした。
Spiranthes sinensis抽出物の生体適合性を検討するために、本実施例ではMTTアッセイ(3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド(MTT、Invitrogen)、比色分析に基づくアッセイ)を実施した。簡潔には、1ウエルあたり細胞8×103個を96ウエルプレートに播種し、5%CO2、37℃中で一晩インキュベートした。細胞をさまざまな濃度(5、20、50および100μg/mL)のSpiranthes sinensis抽出物で24時間処置し、インキュベーション後、1ウエルあたり20μL(5mg/mL)のMTT溶液を加え、さらに4時間インキュベートした。培地を取り除き、ホルマザンを100μL/ウエルのDMSO(Sigma−Aldrich)を加えることによって溶解し、ODをマイクロプレートリーダー(ELISA reader、Thermo Labsystems)を使用して570nmで測定した。生細胞の百分率を未処置対照細胞と比較することによって概算した。対照細胞の平均吸光度値を100%生存率とした。結果は、Spiranthes sinensis抽出物が所与の投与量で細胞に害を生じないことを示している(図24を参照されたい)。
(実施例15)
細胞培養におけるMMP2へのSpiranthes sinensis抽出物の効果
本実施例ではMMP2の活性をゼラチンザイモグラフィーによって決定した。HSC 2×105個を6ウエルプレートに播種した。70から80%コンフルエンス後に、細胞を、0.1%BSAを含有するDMEM中で6時間欠乏させ、次いでさまざまな濃度(5、20、50および100μg/mL)のSpiranthes sinensis抽出物で24時間、それぞれ処置した。条件培地を回収し、細胞デブリを取り除くために12,000×g、4℃、30分間遠心分離した。上清を回収し、Bradford dye(Bio−Rad)を使用して数量化した。10%ゼラチンを含有する8%SDS−PAGEゲルを調製した。タンパク質を55℃で2×ロード色素(0.125M Tris−HCl、pH6.8、4%SDS、0.04%ブロモフェノールブルー、20%グリセロール)と共に予備加熱した。7.5μgのタンパク質試料をゲルにロードし、電気泳動分離を80Vで2〜3時間実施した。電気泳動後、ゲルをゲル1枚あたり50mLの2.5%TritonX−100中で2回洗浄し、次いで発色緩衝液(0.05M Tris−HCl、pH8.8、5mM CaCl2、0.02%NaN3)中で37℃、16時間インキュベートした。最後にゲルを0.1%Coomassie blue R−250(Bio−Rad)中で4時間染色し、次いで固定緩衝液(45%メタノール、10%酢酸)によって脱色した。ゲルを、Epsonスキャナーを使用してスキャンし、multi−gauge software(Fujifilm)を使用して数量化した。
MMP2の活性をデンシトメーターによって数量化した。結果は図27に例示され、MMP2活性が5、20、50および100μg/mLのSpiranthes sinensis抽出物で処置したNHSCおよびTHSCの両方において低減されたことを示している。