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JP6771608B2 - 耐酸性を有するクチナシ色素製剤 - Google Patents

耐酸性を有するクチナシ色素製剤 Download PDF

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Description

本発明は、クチナシ赤色素又はクチナシ青色素を含有する、クチナシ色素製剤に耐酸性を付与する方法、並びに耐酸性が付与されたクチナシ色素製剤に関する。
クチナシ赤色素は、クチナシの果実から得られるイリドイド配糖体のエステル分解物とタンパク質分解物の混合物に、β−グルコシダーゼを添加して調製できる水溶性の赤系色素である。また、クチナシ青色素は、イリドイド配糖体及びタンパク質分解物の混合物にβ−グルコシダーゼを添加して調製できる水溶性の青系色素である。これらクチナシ赤色素及び青色素は天然色素であるため、天然素材を望む需要者の志向に応じた製品設計を可能とし、飲食品、医薬部外品、医薬品等の各種組成物に利用されている。しかし、一般的に、クチナシ赤色素及び青色素は、耐酸性を有さないという問題を有する。具体的には、クチナシ赤色素及び青色素は、pH3.5以下の酸性条件下で色素が凝集物を形成し、色素製剤や着色対象となる組成物の色価が低下してしまう。さらに当該凝集物が増加すると沈殿が生じ、色素製剤や組成物としての商品価値を失ってしまう。そのため、クチナシ赤色素及び青色素は、酸性組成物(例えば、酸性飲食品等)の着色に利用できないという問題を有している。
クチナシ赤色素に関する技術としては、例えば、イリドイド化合物(イリドイド配糖体のエステル分解物)と反応させるタンパク質加水分解物の組成を調整する方法(特許文献1)、イリドイド化合物と、アミノ酸又はタンパク質加水分解物との反応物に、亜硫酸イオンを生じる化合物を添加する方法(特許文献2)が知られている。また、クチナシ青色素に関する技術としては、イリドイド配糖体を、大豆タンパク分解物及び酵素処理イソクエルシトリンの存在下で、β−グルコシダーゼ処理する技術(特許文献3)が知られており、色素製剤の希釈剤、担体、又は添加剤として、任意に併用できる素材の一種として、アラビアガムが例示されている。しかし、通常、アラビアガムは、油性成分の乳化(例えば、乳化色素製剤の調製等)又は固体成分の水中での分散(例えば、水不溶性色素の分散製剤の調製等)を目的に使用されるものであり、水溶性色素であるクチナシ赤色素又はクチナシ青色素を含有する色素製剤において、耐酸性を付与するために使用された例はない。
特許第4526600号公報 特開2012−116925号公報 特許第4374494号公報
特許文献1〜3に開示された技術は、クチナシ赤色素又は青色素の製造条件を変更することで、クチナシ色素の色調を改善する技術であり、当該技術を用いることで、明るく鮮やかな色調を有する色素製剤を提供できるが、耐酸性の面では十分な効果が得られない。例えば、特許文献1の段落0007等には、得られたクチナシ赤色素が耐酸性を有する旨が記載されているが、実施例の表6に示すように、pH3.5前後では色素残存率が大幅に低下している。同様に、特許文献3に開示された技術を用いても、クチナシ色素に十分な耐酸性を付与することはできない。
特許文献2に開示された技術は、亜硫酸イオンを生じる化合物(例えば、亜硫酸ナトリウム)を必須成分として用いる技術である。しかし、亜硫酸ナトリウムは、急性毒性が認められ、ADI(Acceptable Daily Intake)が設定されている物質である。そのため、亜硫酸ナトリウムに関する健康被害の報告は見当たらないものの、その使用は市場で敬遠されている。更に、特許文献1〜3に開示された技術は、いずれも、クチナシ色素自体の製造条件に特徴を有する技術であるため、他の製造方法で製造されたクチナシ色素に応用できず、汎用性が低いといった問題を有している。
上記従来技術に鑑み、本発明では、従来技術では達成できなかった、原料となるクチナシ色素(色素自体)を製造する際の製造条件に制限を受けることなく、水溶性色素であるクチナシ赤色素又は青色素を含有するクチナシ色素製剤に、簡便に耐酸性を付与する方法、並びに耐酸性が付与されたクチナシ色素製剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意研究した結果、水溶性色素であるクチナシ赤色素又はクチナシ青色素に対し、ガティガム及び/又はアラビアガムを添加することで、クチナシ色素製剤に、極めて優れた耐酸性を付与できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は以下の態様を有する、クチナシ赤色素又はクチナシ青色素を含有するクチナシ色素製剤に耐酸性を付与する方法、及び耐酸性が付与されたクチナシ色素製剤に関する;
項1.ガティガム及び/又はアラビアガムを添加することを特徴とする、
クチナシ赤色素又はクチナシ青色素を含有し、色価が5以上500以下であるクチナシ色素製剤に耐酸性を付与する方法。
項2.前記クチナシ色素製剤において、少なくとも下記(式1)〜(式3)のいずれかを満たすように、ガティガム及び/又はアラビアガムを添加することを特徴とする、項1に記載のクチナシ色素製剤に耐酸性を付与する方法;
(式1)ガティガム含量(質量%) ≧(クチナシ色素製剤の色価)×0.005、
(式2)アラビアガム含量(質量%)≧(クチナシ色素製剤の色価)×0.2、
(式3)ガティガム含量(質量%) ≧(クチナシ色素製剤の色価)×0.005×(α/(α+0.025β))、
ここで、αはクチナシ色素製剤におけるガティガム含量(質量%)を、βはクチナシ色素製剤におけるアラビアガム含量(質量%)を意味する。
項3.前記クチナシ色素製剤の油脂含量が10質量%以下である、項1又は2に記載のクチナシ色素製剤に耐酸性を付与する方法。
項4.クチナシ赤色素又はクチナシ青色素、並びに、
ガティガム及び/又はアラビアガムを含有し、
ガティガム又はアラビアガムの含量が少なくとも下記(式1)〜(式3)のいずれかを満たすことを特徴とする、クチナシ色素製剤;
(式1)ガティガム含量(質量%) ≧(クチナシ色素製剤の色価)×0.005、
(式2)アラビアガム含量(質量%)≧(クチナシ色素製剤の色価)×0.2、
(式3)ガティガム含量(質量%) ≧(クチナシ色素製剤の色価)×0.005×(α/(α+0.025β))、
ここで、αはクチナシ色素製剤におけるガティガム含量(質量%)を、βはクチナシ色素製剤におけるアラビアガム含量(質量%)を意味する。
項5.下記吸光度A及びBの比(A/B)が0.5以上である、項4に記載のクチナシ色素製剤;
A:pH3.0のMcIlvaine緩衝液に、クチナシ色素製剤を添加したときの、極大吸収波長における吸光度、
B:pH5.0のMcIlvaine緩衝液に、クチナシ色素製剤を前記Aと同量添加したときの、極大吸収波長における吸光度。
本発明はまた、下記態様を有する、クチナシ色素製剤を用いて組成物を着色する方法、クチナシ色素製剤を用いて着色された組成物、並びにクチナシ色素製剤の製造方法にも関する;
項6.項4又は5に記載のクチナシ色素製剤を用いて、pH3.5以下の組成物を着色する方法。
項7.項4又は5に記載のクチナシ色素製剤を用いて着色された、pH3.5以下の組成物。
項8.下記(1)及び(2)を溶液中で混合する工程を含む、耐酸性を有するクチナシ色素製剤の製造方法;
(1)クチナシ赤色素又はクチナシ青色素、
(2)少なくとも下記(式1)〜(式3)のいずれかを満たすガティガム及び/又はアラビアガム;
(式1)ガティガム含量(質量%) ≧(クチナシ色素製剤の色価)×0.005、
(式2)アラビアガム含量(質量%)≧(クチナシ色素製剤の色価)×0.2、
(式3)ガティガム含量(質量%) ≧(クチナシ色素製剤の色価)×0.005×(α/(α+0.025β))、
ここで、αはクチナシ色素製剤におけるガティガム含量(質量%)を、βはクチナシ色素製剤におけるアラビアガム含量(質量%)を意味する。
本発明によれば、クチナシ赤色素又はクチナシ青色素を含有する色素製剤に、簡便に耐酸性を付与できる。本発明のクチナシ色素製剤は、pH3.5以下の酸性条件下においても色素の沈殿が顕著に抑制されているため、酸性飲食品等の各種組成物を安定して着色できる。更に、本発明の方法は、原料となるクチナシ色素製造時の製造条件(クチナシ色素自体を製造する際の条件)に何ら制限を受けず、耐酸性を付与できるので、非常に汎用性が高い技術である。
実験例1において、各pHのMcIlvaine緩衝液に、比較例1−1のクチナシ色素製剤を添加し、5℃で5日間静置した後の状態を示した写真である。 実験例1において、各pHのMcIlvaine緩衝液に、実施例1−3のクチナシ色素製剤を添加し、5℃で5日間静置した後の状態を示した写真である。 実験例1において、各pHのMcIlvaine緩衝液に、実施例1−5のクチナシ色素製剤を添加し、5℃で5日間静置した後の状態を示した写真である。 実験例2において、各pHのMcIlvaine緩衝液に、比較例2のクチナシ色素製剤を添加し、5℃で5日間静置した後の状態を示した写真である。 実験例2において、各pHのMcIlvaine緩衝液に、実施例2のクチナシ色素製剤を添加し、5℃で5日間静置した後の状態を示した写真である。 実験例4において、実施例4のクチナシ赤色素製剤を用いて着色した飲料の状態を示した写真である。
本発明が対象とするクチナシ赤色素は、クチナシ果実の抽出液に含まれるイリドイド配糖体のエステル加水分解物と、タンパク質分解物との混合物に、β−グルコシダーゼを添加することで得られる水溶性の赤色系色素である。クチナシ青色素は、クチナシ果実の抽出液に含まれるイリドイド配糖体と、タンパク質分解物との混合物に、β−グルコシダーゼを添加することで得られる水溶性の青色系色素である。本発明で用いるクチナシ赤色素及びクチナシ青色素は、これらの製造方法に準じて製造することができる。
(I.クチナシ赤色素又はクチナシ青色素を含有するクチナシ色素製剤に、耐酸性を付与する方法)
本発明の方法は、クチナシ赤色素又はクチナシ青色素を含有し、色価が5以上500以下であるクチナシ色素製剤に対し、ガティガム及び/又はアラビアガムを添加することを特徴とする。
本明細書中、「色価」とは「色価E10% 1cm」を意味し、「色価E10% 1cm」とは、10%(w/v)の色素含有溶液を調製した場合において、光路長が1cmの測定セルを用いて、可視光領域における極大吸収波長(λmax)の吸光度を測定することで、算出される値である。「色価(10%E)」と表記する場合もある。具体的な色価の算出方法は、色価は第8版食品添加物公定書(厚生労働省)に記載の方法に従う。
極大吸収波長は、使用するクチナシ色素原料によって異なるため、クチナシ色素製剤の色価を算出する際は、色素製剤に用いたクチナシ色素原料毎に極大吸収波長を測定し、当該極大吸収波長における吸光度を測定する。極大吸収波長の目安を例示すると、クチナシ赤色素は520〜545nmであり、クチナシ青色素は570〜610nmである。
本発明で用いるガティガムは、ガティノキ(Anogeissus latifolia Wallich)の樹液(分泌液)から得られる多糖類であり、通常、常温〜加温条件下で、30質量%程度まで水に溶解する水溶性多糖類である。商業上入手可能なガティガム製品としては、例えば三栄源エフ・エフ・アイ株式会社の「ガティガムSD」等が挙げられる。
本発明で用いるアラビアガムは、マメ科アカシア属の植物の樹液から得られる多糖類である。アラビアガムの分子構造は明らかにされてはいないが、ガラクトース、アラビノース、ラムノース、及びグルクロン酸を構成糖とすることが知られている。商業上入手可能なアラビアガム製品としては、例えば三栄源エフ・エフ・アイ株式会社の「ガムアラビックSD」等が挙げられる。
クチナシ色素製剤に対するガティガム及び/又はアラビアガムの添加量は特に制限されない。耐酸性付与の観点からは、クチナシ色素製剤におけるガティガム及び/又はアラビアガム含量が、少なくとも下記(式1)〜(式3)のいずれかを満たすように、ガティガム及び/又はアラビアガムを添加することが好ましい;
(式1)ガティガム含量(質量%) ≧(クチナシ色素製剤の色価)×0.005、
(式2)アラビアガム含量(質量%)≧(クチナシ色素製剤の色価)×0.2、
(式3)ガティガム含量(質量%) ≧(クチナシ色素製剤の色価)×0.005×(α/(α+0.025β))、
ここで、αはクチナシ色素製剤におけるガティガム含量(質量%)を、βはクチナシ色素製剤におけるアラビアガム含量(質量%)を意味する。
(式1)ガティガム含量(質量%) ≧(クチナシ色素製剤の色価)×0.005
(式1)は、例えば、色価100のクチナシ赤色素又はクチナシ青色素製剤であれば、製剤中にガティガムを0.5質量%以上含有させることを意味する。クチナシ赤色素又はクチナシ青色素製剤に含まれる色素含量が増加するに伴い、耐酸性を付与するために必要なガティガムの添加量が増加する傾向がある。そのため、色素含量を示す指標である色価が増加するにつれ、ガティガム含量を増加させることが好ましいことを(式1)は示している。(式1)中、「クチナシ色素製剤の色価」とは、クチナシ赤色素又はクチナシ青色素に由来する色価を示す。色価は前述のとおり、第8版食品添加物公定書(厚生労働省)に記載の方法に従って算出できる。
本発明では、上記(式1)を満たすことでクチナシ色素製剤に耐酸性を付与できるが、色素製剤における、より好ましいガティガム含量は、ガティガム含量(質量%)≧(クチナシ色素製剤の色価)×0.01であり、更に好ましくはガティガム含量(質量%)≧(クチナシ色素製剤の色価)×0.02であり、特に好ましくはガティガム含量(質量%)≧(クチナシ色素製剤の色価)×0.04である。
クチナシ色素製剤におけるガティガム含量の上限は特に制限されない。例えば、ガティガム含量(質量%)≦(クチナシ色素製剤の色価)×0.8であり、好ましくはガティガム含量(質量%)≦(クチナシ色素製剤の色価)×0.6であり、より好ましくはガティガム含量(質量%)≦(クチナシ色素製剤の色価)×0.5である。
(式2)アラビアガム含量(質量%)≧(クチナシ色素製剤の色価)×0.2
(式1)と同様に、(式2)は、例えば、色価100のクチナシ赤色素又はクチナシ青色素製剤であれば、製剤中にアラビアガムを20質量%以上含有させることを意味する。クチナシ色素製剤における、より好ましいアラビアガム含量は、アラビアガム含量(質量%)≧(クチナシ色素製剤の色価)×0.25であり、更に好ましくはアラビアガム含量(質量%)≧(クチナシ色素製剤の色価)×0.3である。クチナシ色素製剤におけるアラビアガム含量の上限は特に制限されない。例えば、アラビアガム含量(質量%)≦(クチナシ色素製剤の色価)×0.8であり、好ましくはアラビアガム含量(質量%)≦(クチナシ色素製剤の色価)×0.6であり、より好ましくはアラビアガム含量(質量%)≦(クチナシ色素製剤の色価)×0.5である。
(式3)ガティガム含量(質量%) ≧(クチナシ色素製剤の色価)×0.005×(α/(α+0.025β))
(式3)は、ガティガム及びアラビアガムを併用する場合の式であり、αはクチナシ色素製剤におけるガティガム含量(質量%)を、βはクチナシ色素製剤におけるアラビアガム含量(質量%)を意味する。
ガティガム及びアラビアガムを併用する場合は、各々がクチナシ色素製剤に耐酸性を付与する効果を有するため、クチナシ色素製剤における各々の含量に応じて、クチナシ色素製剤における必要量が変動する。また、上記(式1)及び(式2)が示すように、ガティガムはアラビアガムの1/40(=0.025)の量でクチナシ色素製剤に耐酸性を付与することができる。よって、両者を併用する場合は、上記(式3)を満たすことが好ましい。なお、本発明では、上記(式3)を満たさない場合であっても、上記(式2)を満たすようにガティガム及びアラビアガムを併用することで、クチナシ色素製剤に耐酸性を付与することができる。
クチナシ色素製剤におけるガティガム及びアラビアガム含量の上限は特に制限されない。例えば、ガティガム及びアラビアガム含量の総量(質量%)≦(クチナシ色素製剤の色価)×0.8であり、好ましくはガティガム及びアラビアガム含量の総量(質量%)≦(クチナシ色素製剤の色価)×0.6であり、より好ましくはガティガム及びアラビアガム含量の総量(質量%)≦(クチナシ色素製剤の色価)×0.5である。
本発明が対象とするクチナシ色素製剤の油脂含量は特に制限されないが、クチナシ色素製剤における好ましい油脂含量は10質量%以下であり、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは3質量%以下である。特には、本発明のクチナシ色素製剤は、実質的に油脂を含有しないことが望ましい。クチナシ色素製剤における油脂含量が10質量%を上回ると、対象組成物を着色する場合に濁りが生じる場合があり、透明度が高い対象組成物(例えば、飲料、デザート、砂糖菓子等)の着色に適していない場合があるためである。かかる点、本発明が対象とするクチナシ色素製剤は、非乳化の色素製剤であることが望ましい。
(II.耐酸性を有するクチナシ色素製剤)
本発明の耐酸性を有するクチナシ色素製剤は、
クチナシ赤色素又はクチナシ青色素、並びに、
ガティガム及び/又はアラビアガムを含有し、
ガティガム又はアラビアガムの含量が少なくとも下記(式1)〜(式3)のいずれかを満たすことを特徴とする;
(式1)ガティガム含量(質量%) ≧(クチナシ色素製剤の色価)×0.005、
(式2)アラビアガム含量(質量%)≧(クチナシ色素製剤の色価)×0.2、
(式3)ガティガム含量(質量%) ≧(クチナシ色素製剤の色価)×0.005×(α/(α+0.025β))、
ここで、αはクチナシ色素製剤におけるガティガム含量(質量%)を、βはクチナシ色素製剤におけるアラビアガム含量(質量%)を意味する。
本発明のクチナシ色素製剤は、耐酸性に極めて優れるという利点を有する。特に、クチナシ赤色素及びクチナシ青色素は、被着色組成物のpHが4未満、更には3.5以下になると色素が凝集物を形成し、色価が低下してしまう。また、pHの低下と共に、更に凝集物は増加し、最終的にはクチナシ色素が沈殿してしまう。かかるところ、本発明のクチナシ色素製剤は、pH3.5以下の被着色組成物を安定して着色することができ、特に、pH3〜3.5での安定性に優れるという利点を有する。
クチナシ色素製剤が耐酸性に優れるか否かの判断は、例えば、下記吸光度A及びBの比(A/B)を求めることで確認できる;
A:pH3.0のMcIlvaine緩衝液に、クチナシ色素製剤を添加したときの、極大吸収波長における吸光度、
B:pH5.0のMcIlvaine緩衝液に、クチナシ色素製剤を前記Aと同量添加したときの
、極大吸収波長における吸光度。
前記吸光度A及びBの比(A/B)の具体的な算出方法は、以下のとおりである。
(手順1)pH3.0及び5.0のMcIlvaine緩衝液を用意するMcIlvaine(マッキルベイン)緩衝液は、古くから広く利用されてきた緩衝液である。pH3.0のMcIlvaine緩衝液は、0.04mol/Lのリン酸一水素ナトリウムと、0.08mol/Lのクエン酸を用いて調製できる。pH5.0のMcIlvaine緩衝液は、0.103mol/Lのリン酸一水素ナトリウムと、0.0485mol/Lのクエン酸を用いて調製できる。
(手順2)pH3.0及び5.0のMcIlvaine緩衝液にクチナシ色素製剤を同量ずつ添加し、5℃で1日間経過後の極大吸収波長における吸光度を測定する(沈殿物がある場合は、沈殿物を除いた上澄み液の極大吸収波長における吸光度を測定する)。pH3.0のMcIlvaine緩衝液における、極大吸収波長での吸光度をA、pH5.0のMcIlvaine緩衝液における、極大吸収波長での吸光度をBとする。なお、McIlvaine緩衝液に対するクチナシ色素製剤の添加量は特に制限されないが、前記吸光度Bが0.3〜0.7の範囲に入るように、クチナシ色素製剤の添加量を調整することが望ましい。例えば、色価50〜100のクチナシ色素製剤であれば、McIlvaine緩衝液に対する添加量は通常、0.03〜0.15質量%である。
(手順3)測定した前記吸光度A及びBの比(A/B)を算出する。pH5では、クチナシ赤色素又はクチナシ青色素は安定であるため、pH3.0のMcIlvaine緩衝液における、極大吸収波長での吸光度Aと、pH5.0のMcIlvaine緩衝液における、極大吸収波長での吸光度Bの値が近いほど、すなわち、吸光度A及びBの比(A/B)の数値が1に近い程、そのクチナシ色素製剤が耐酸性に優れることを意味する。
本発明のクチナシ色素製剤は、前記吸光度A及びBの比(A/B)が0.5以上であることが好ましく、より好ましくは0.6以上、更に好ましくは0.7以上、更により好ましくは0.8以上である。一方、従来から市場に流通している一般的なクチナシ色素製剤の前記吸光度比(A/B)は、0.1以下である。
本発明のクチナシ色素製剤の色価は、5以上500以下の範囲で、着色用途に応じて適宜調整することができる。クチナシ色素製剤の好ましい色価は5〜300であり、より好ましい色価は20〜200である。
本発明のクチナシ色素製剤は、剤形(例えば、液体状、粉体状、顆粒状、又は錠剤状等)は特に制限されない。好ましくは液体製剤である。
(III.耐酸性を有するクチナシ色素製剤を用いた、組成物の着色方法、及び当該方法を用いて着色された組成物)
本発明のクチナシ色素製剤はpH3.5以下、更にはpH3以下でも優れた耐酸性を有するため、被着色組成物のpHに制限を受けることなく各種組成物を着色できる。着色対象となる組成物は特に制限されない。例えば、飲食品、医薬部外品、医薬品、又は香粧品等が挙げられ、好ましい組成物は飲食品である。また、本発明のクチナシ色素製剤はpH3.5以下の組成物、特にはpH3〜3.5の組成物に好適に使用できる。
本発明のクチナシ色素製剤が着色対象とする飲食品としては、特に制限されないが、例えば、飲料、冷菓、デザート(例えば、ゼリー、ババロア、ヨーグルト等)、砂糖菓子(例えば、キャンディー、グミ等)、チューインガム、ジャム、スープ、漬物、調味料(例えば、ドレッシング、ソース等)等が挙げられる。特に好ましい飲食品は、飲料、デザート又は砂糖菓子である。従来、飲料、デザート、砂糖菓子等の飲食品は、pHが3付近であることが多く、クチナシ赤色素又はクチナシ青色素を用いて、安定に着色することが困難であった。更に、飲料、デザート又は砂糖菓子は、透明度が高いものが多く、凝集物の形成が商品価値の低下に直結しやすい。しかし、本発明では、pH3.5以下の飲食品であっても、クチナシ色素の凝集物又は沈殿が顕著に抑制され、対象飲食品を目的とする色調に安定に着色することができる。
また、着色対象となる組成物によっては(例えば、飲料など)、予め調製した2以上の原料液を、製造工程時に混合する場合も多々ある。この場合、最終組成物のpHが3.5を超えるものであっても、いずれか1種以上の原料液のpHが3.5を下回る場合には、クチナシ色素を利用できないといった問題を有していた。かかるところ、本発明のクチナシ色素製剤はpHの制約を受けずに対象組成物を着色できるため、被着色組成物の製造工程にかかわらず、広く利用できるという利点も有している。
着色対象となる組成物に対する、本発明のクチナシ色素製剤の添加量は、組成物の種類や目的に応じて適宜調整できる。例えば、被着色組成物におけるクチナシ赤色素又はクチナシ青色素の含量が、0.01〜0.2質量%となるように、本発明のクチナシ色素製剤を添加することが望ましい。
本発明の着色方法は、着色対象となる組成物に、本発明のクチナシ色素製剤を添加し、混合することで実施できる。本発明のクチナシ色素製剤は耐酸性を有するため、色素製剤の添加時期や製造方法に制限を受けず、従来の天然色素と同様の方法、または異なった方法でも組成物を着色できる。
(IV.耐酸性を有するクチナシ色素製剤の製造方法)
本発明のクチナシ色素製剤は、クチナシ赤色素又はクチナシ青色素と、
少なくとも下記(式1)〜(式3)のいずれかを満たすガティガム及び/又はアラビアガムを混合することで製造できる;
(式1)ガティガム含量(質量%) ≧(クチナシ色素製剤の色価)×0.005、
(式2)アラビアガム含量(質量%)≧(クチナシ色素製剤の色価)×0.2、
(式3)ガティガム含量(質量%) ≧(クチナシ色素製剤の色価)×0.005×(α/(α+0.025β))、
ここで、αはクチナシ色素製剤におけるガティガム含量(質量%)を、βはクチナシ色素製剤におけるアラビアガム含量(質量%)を意味する。
クチナシ赤色素又はクチナシ青色素と、ガティガム及び/又はアラビアガムの混合方法は、特に制限されない。好ましくは、前記クチナシ色素と、ガティガム及び/又はアラビアガムを、溶液中で混合する工程を有することが望ましい。例えば、クチナシ色素を含有する溶液に、ガティガム及び/又はアラビアガムを添加し、混合する方法;ガティガム及び/又はアラビアガムを溶解した溶液に、クチナシ色素を添加し、混合する方法;溶液にクチナシ色素と、ガティガム及び/又はアラビアガムを添加し、混合する方法等である。溶液に使用する溶媒は、クチナシ色素と、ガティガム及び/又はアラビアガムが溶解可能な溶媒であれば特に制限されない。好ましくは水である。
溶液中でクチナシ色素と、ガティガム及び/又はアラビアガムを混合する手段としては、各種手段を使用できる。混合機として例えば、ホモジナイザー(例えば、高圧ホモジナイザー、ホモディスパー、ホモミキサー、ポリトロン式撹拌機、コロイドミル、ナノマイザー等)、プロペラ撹拌機、パドル式撹拌機等が挙げられる。好ましくは、ホモジナイザーを用いて混合する方法である。
本発明のクチナシ色素製剤は、前記クチナシ色素と、ガティガム及び/又はアラビアガムの混合溶液をそのまま製剤化しても良く、必要に応じて、希釈、濃縮、又は粉末化しても良い。
以下、本発明の内容を以下の実施例、比較例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
実験例1 クチナシ赤色素を含有する色素製剤に対する耐酸性付与(1)
(クチナシ赤色素製剤の調製)
表1に示す処方に従い、クチナシ赤色素製剤(実施例1−1〜1−5及び比較例1−1)を調製した。クチナシ赤色素製剤は、原料として、色価200のクチナシ赤色素製剤(水及びクチナシ赤色素を含有する色素製剤)、水、並びに実施例はガティガム又はアラビアガムを使用した。そして、クチナシ赤色素製剤におけるガティガム又はアラビアガム含量が表1に示す濃度となるように、また、クチナシ赤色素製剤の色価が50となるように、これらをTKホモディスパー(プライミクス株式会社製)を用いて回転数3200rpmにて15分間混合することで、クチナシ赤色素製剤を調製した。
(耐酸性試験)
調製したクチナシ赤色素製剤(実施例1−1〜1−5及び比較例1−1)について、耐酸性試験を行なった。耐酸性試験は、pH3.0及び5.0のMcIlvaine緩衝液に、クチナシ赤色素製剤を0.08質量%ずつ添加し、5℃で5日間静置後のクチナシ赤色素の凝集及び沈殿を、沈殿量を観察することで評価した。また、pH3.0及びpH5.0のMcIlvaine緩衝液における、極大吸収波長(530〜537nm)での吸光度A及びBを各々測定し、両者の吸光度A及びBの比(A/B)を算出した。なお、pH3.0のMcIlvaine緩衝液における、極大吸収波長での吸光度Aは、沈殿物がある場合は、それを除いた上澄み液の吸光度を測定した。結果を表1及び図1〜3に示す。
(沈殿量の評価基準):非常に多い+++(基準:図1のpH3.0における沈殿量)/多い++(基準:図1のpH3.2における沈殿量)/やや有り+/わずかに有り±/無し−
ガティガム又はアラビアガムを使用しなかった場合(比較例1−1)は、pH3.0のMcIlvaine緩衝液にクチナシ赤色素製剤を0.08質量%添加し、5℃で1日間経過した時点で、ほぼ全てのクチナシ赤色素が沈殿していた。また、5℃で5日間静置後の吸光度の比(A/B)は0.09と極めて低い数値を示した。また、比較例1−1のクチナシ赤色素製剤を、pH2.2〜5.0に調整したMcIlvaine緩衝液に0.08質量%ずつ添加し、5℃で5日間静置した後の液外観を、図1に示す。pH5.0では凝集などがなく安定であるが、pH3.3付近から凝集物が生じ、沈殿量が次第に増加しているのが分かる。
一方、ガティガム又はアラビアガムを添加した本発明のクチナシ赤色素製剤は、耐酸性が著しく改善されていた。具体的には、実施例1−1〜1−5のクチナシ赤色素製剤は、5℃で5日間静置後の吸光度比(A/B)がいずれも0.64以上と、高い数値を示した(表1)。特に、ガティガムを3質量%以上添加した実施例1−2〜1−4、及びアラビアガムを15質量%添加した実施例1−5は、吸光度比(A/B)がいずれも0.8以上と、極めて高い数値を示した。ガティガムを7.5質量%添加した実施例1−3、及びアラビアガムを15質量%添加した実施例1−5のクチナシ赤色素製剤を、pH2.2〜5.0に調整したMcIlvaine緩衝液に0.08質量%ずつ添加し、5℃で5日間静置した後の液外観を、図2及び図3に示す。図から明らかなように、実施例1−3及び実施例1−5のクチナシ赤色素製剤は、pH3においてもクチナシ赤色素が凝集、沈殿することなく、耐酸性に極めて優れていることが分かる。更に、実施例1−3のクチナシ赤色素製剤は、pH2.2においてもクチナシ赤色素の凝集や沈殿が確認されなかった。
実験例2 クチナシ青色素の耐酸性付与試験
(クチナシ青色素製剤の調製)
表2に示す処方に従い、クチナシ青色素製剤(実施例2及び比較例2)を調製した。クチナシ青色素製剤は、原料として、色価200のクチナシ青色素製剤(水及びクチナシ青色素を含有する色素製剤)、水、並びに実施例はガティガムを使用した。そして、クチナシ青色素製剤におけるガティガム含量が表2に示す濃度となるように、また、クチナシ青色素製剤の色価が50となるように、これらをTKホモディスパー(プライミクス株式会社製)を用いて回転数3200rpmにて15分間混合することで、クチナシ青色素製剤を調製した。
(耐酸性試験)
調製したクチナシ青色素製剤(実施例2及び比較例2)について、耐酸性試験を行なった。耐酸性試験は、pH3.0及び5.0のMcIlvaine緩衝液に、クチナシ青色素製剤を0.08質量%ずつ添加し、5℃で5日間静置後のクチナシ青色素の凝集及び沈殿を、沈殿量を観察することで評価した。また、pH3.0及びpH5.0のMcIlvaine緩衝液における、極大吸収波長(590〜600nm)での吸光度A及びBを各々測定し、両者の吸光度の比(A/B)を算出した。なお、pH3.0のMcIlvaine緩衝液における、極大吸収波長での吸光度Aは、沈殿物がある場合は、それを除いた上澄み液の吸光度を測定した。結果を表2及び図4〜5に示す。
ガティガムを使用しなかった場合(比較例2)は、pH3.0のMcIlvaine緩衝液にクチナシ青色素製剤を0.08質量%添加し、5℃で1日間経過した時点で、ほぼ全てのクチナシ青色素が沈殿していた。また、5℃で5日間静置後の吸光度の比(A/B)は0.27と極めて低い数値を示した。
比較例2のクチナシ青色素製剤を、pH2.2〜5.0に調整したMcIlvaine緩衝液に0.08質量%ずつ添加し、5℃で5日間静置した後の液外観を、図4に示す。図から明らかなように、ガティガムを使用しなかった場合(比較例2)は、pH3.5でクチナシ青色素が凝集物を形成し、沈殿したことが分かる。
一方、実施例2のガティガムを配合したクチナシ青色素製剤の場合は、原料として、同じクチナシ青色素を用いているにも関わらず、pH2.2においても色素の凝集及び沈殿が有意に抑制され、極めて優れた耐酸性を有していた(図5)。また、吸光度の比(A/B)も0.85と高い数値を示した。
実験例3 クチナシ赤色素を含有する色素製剤に対する耐酸性付与(2)
(クチナシ赤色素製剤の調製)
表3に示す処方に従い、クチナシ赤色素製剤(実施例3−1〜3−3)を調製した。クチナシ赤色素製剤は、原料として、色価200のクチナシ赤色素製剤(水及びクチナシ赤色素を含有する色素製剤)、水、並びに、ガティガム又はアラビアガムを使用した。そして、クチナシ赤色素製剤におけるガティガム又はアラビアガム含量が表3に示す濃度となるように、また、クチナシ赤色素製剤の色価が50となるように、これらをTKホモディスパー(プライミクス株式会社製)を用いて回転数3200rpmにて15分間混合することで、クチナシ赤色素製剤を調製した。
(耐酸性試験)
調製したクチナシ赤色素製剤(実施例3−1〜3−3)について、耐酸性試験を行なった。耐酸性試験は、pH3.0及び5.0のMcIlvaine緩衝液に、クチナシ赤色素製剤を添加し、5℃で5日間静置後のクチナシ色素の凝集及び沈殿を、沈殿量を観察することで評価した。クチナシ赤色素製剤は、McIlvaine緩衝液におけるクチナシ赤色素含量が、実験例1の耐酸性試験と同添加量になるように添加した(実施例3−1:0.06質量%、実施例3−2及び実施例3−3:0.04%質量)。また、pH3.0及びpH5.0のMcIlvaine緩衝液における、極大吸収波長(536〜541nm)での吸光度A及びBを各々測定し、両者の吸光度の比(A/B)を算出した。なお、pH3.0のMcIlvaine緩衝液における、極大吸収波長での吸光度Aは、沈殿物がある場合は、それを除いた上澄み液の吸光度を測定した。結果を表3に示す。
実施例3−1〜3−3のクチナシ赤色素製剤は、ガティガム又はアラビアガム無添加区(比較例1−1)と比較して、pH3.0における沈殿量が有意に少なくなり、クチナシ赤色素製剤に耐酸性が付与されていることが確認された。
実験例4:各種組成物の着色
(クチナシ赤色素製剤の調製)
クチナシ赤色素、水及びガティガムを混合し、色価50及びガティガム含量5質量%のクチナシ赤色素製剤を調製した(実施例4)。具体的には、クチナシ赤色素、水及びガティガムをTKホモディスパー(プライミクス株式会社製)を用いて回転数3200rpmにて15分間混合し、クチナシ赤色素製剤を調製した。
得られた実施例4のクチナシ赤色素製剤を用いて、各種組成物を着色した。
(飲料の着色)
表4に示す処方に従って、飲料を着色した。
詳細には、水に果糖ブドウ糖液糖、クエン酸及び実施例4のクチナシ赤色素製剤を添加し、クエン酸三ナトリウムにてpHを3.0に調整した。当該溶液を93℃達温で容器に充填し、飲料を調製した。調製された飲料は、色素の凝集や沈殿が生じることなく、透明な赤色に着色されていた。
(ゼリーの着色)
表5に示す処方に従って、ゼリーを着色した。
詳細には、水及び果糖ブドウ糖液糖を撹拌しながら、砂糖、ゲル化剤製剤及びクエン酸三ナトリウムの粉体混合物を添加し、80℃で10分間撹拌溶解した。次いで、クエン酸及び実施例4のクチナシ赤色素製剤を添加後、容器に充填し、90℃で30分間殺菌を行うことで、ゼリーを調製した。調製されたゼリーは、色素の凝集や沈殿が生じることなく、赤色に着色された透明なゼリーであった。
注1)ゲル化剤製剤として、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製「ゲルアップ(登録商標)WM−100」を使用した。
(ハードキャンディーの着色)
表6に示す処方に従って、ハードキャンディーを着色した。
詳細には、砂糖、水飴及び水を混合し、170℃まで加熱した。次いで、120℃まで冷却後、クエン酸及び実施例4のクチナシ赤色素製剤を混合し、成型することでハードキャンディーを調製した。調製されたハードキャンディーは、色素の凝集や沈殿が生じることなく、透明な赤色に着色されていた。
(グミの着色)
表7に示す処方に従って、グミを着色した。
詳細には、水(A)に、砂糖(A)及びハイメトキシルペクチンの粉体混合物を添加し、煮沸溶解し、そこへ砂糖(B)、水飴、及び還元澱粉糖化物を添加し、80kgになるまで煮詰めた。更に、予め水(B)で膨潤させたゼラチンと、クエン酸(無水)及び実施例4のクチナシ赤色素製剤を添加し、当該溶液をスターチモールドに注入し、成形した。成形後、自然乾燥することで、グミを調製した。調製されたグミは、クチナシ赤色素の凝集や沈殿が生じることなく、透明な赤色に着色されていた。
以上の結果より、本発明のクチナシ赤色素製剤(実施例4)は、pH3.0〜3.8の組成物を、凝集、沈殿を生じることなく着色できることが確認された。

Claims (8)

  1. ガティガムを添加することを特徴とする、
    クチナシ赤色素を含有し、色価が5以上500以下であるクチナシ色素製剤に耐酸性を付与する方法(但し、多価カチオンを添加し、且つ、アルカリ処理を行うことを含む方法を除く)。
  2. 前記クチナシ色素製剤の油脂含量が10質量%以下である、請求項1に記載のクチナシ色素製剤に耐酸性を付与する方法。
  3. 前記ガティガムの濃度が、クチナシ色素製剤全量に対して、1〜10質量%である、請求項1又は2に記載のクチナシ色素製剤に耐酸性を付与する方法。
  4. 前記クチナシ色素製剤が、pH3.8以下の被着色組成物を着色するための製剤である、請求項1〜のいずれか1項に記載のクチナシ色素製剤に耐酸性を付与する方法。
  5. 前記クチナシ色素製剤が、非乳化の製剤である、請求項1〜のいずれか1項に記載のクチナシ色素製剤に耐酸性を付与する方法。
  6. ガティガム、並びにクチナシ赤色素を含有し、色価が5以上500以下である、
    pH3.8以下の被着色組成物を着色するためのクチナシ色素製剤(但し、多価カチオンと組み合わせてアルカリ処理されたクチナシ赤色素を含有するものを除く)。
  7. 前記ガティガムの濃度が、クチナシ色素製剤全量に対して、1〜10質量%である、請求項に記載のクチナシ色素製剤。
  8. 非乳化の製剤である、請求項6又は7に記載のクチナシ色素製剤。
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