以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
<第1実施形態>
[管理システム]
本実施形態に係る運搬車両2の管理システム1について説明する。図1は、本実施形態に係る運搬車両2の管理システム1の一例を模式的に示す図である。管理システム1は、運搬車両2の運行管理を実施する。本実施形態において、運搬車両2は、鉱山を走行可能なダンプトラック2である。
図1に示すように、ダンプトラック2は、鉱山の作業場PA及び作業場PAに通じる搬送路HLの少なくとも一部を走行する。作業場PAは、積込場LPA及び排土場DPAの少なくとも一方を含む。搬送路HLは、交差点ISを含む。ダンプトラック2は、搬送路HL及び作業場PAに設定されたコースデータCDに従って走行する。
積込場LPAは、ダンプトラック2に積荷を積載する積込作業が実施されるエリアである。積込場LPAにおいて、油圧ショベルのような積込機3が稼働する。排土場DPAは、ダンプトラック2から積荷が排出される排出作業が実施されるエリアである。排土場DPAには、例えば破砕機CRが設けられる。
管理システム1は、管理装置10と、通信システム9とを備える。管理装置10は、コンピュータシステムを含み、鉱山に設けられる管制施設7に設置される。通信システム9は、管理装置10とダンプトラック2との間でデータ通信及び信号通信を実施する。通信システム9は、データ及び信号を中継する中継器6を複数有する。管理装置10とダンプトラック2とは、通信システム9を介して無線通信する。
本実施形態において、ダンプトラック2は、運転者の操作によらずに無人で走行する無人ダンプトラックである。ダンプトラック2は、管理装置10からの指令信号に基づいて鉱山を走行する。
本実施形態において、ダンプトラック2の位置が、GNSS(Global Navigation Satellite System:全地球航法衛星システム)を利用して検出される。GNSSは、複数の測位衛星5を有する。GNSSは、緯度、経度、及び高度の座標データで規定される位置を検出する。GNSSにより検出される位置は、グローバル座標系において規定される絶対位置である。GNSSにより、鉱山におけるダンプトラック2の絶対位置が検出される。
[ダンプトラック]
次に、本実施形態に係るダンプトラック2について説明する。図2は、本実施形態に係るダンプトラック2を後方から見た斜視図である。図2に示すように、ダンプトラック2は、車体フレーム21と、車体フレーム21に支持されるダンプボディ22と、車体フレーム21を支持して走行する走行装置23と、制御装置40とを備える。
走行装置23は、タイヤ24が装着される車輪25を有する。車輪25は、前輪25Fと後輪25Rとを含む。前輪25Fは、操舵装置33により操舵される。後輪25Rは、操舵されない。車輪25は、回転軸AXを中心に回転する。
以下の説明においては、後輪25Rの回転軸AXと平行な方向を適宜、車幅方向と称し、ダンプトラック2の進行方向を適宜、前後方向、と称し、車幅方向及び前後方向のそれぞれと直交する方向を適宜、上下方向、と称する。
前後方向の一方が前方であり、前方の逆方向が後方である。車幅方向の一方が右方であり、右方の逆方向が左方である。上下方向の一方が上方であり、上方の逆方向が下方である。前輪25Fは、後輪25Rよりも前方に配置される。前輪25Fは、車幅方向両側に配置される。後輪25Rは、車幅方向両側に配置される。ダンプボディ22は、車体フレーム21よりも上方に配置される。
車体フレーム21は、走行装置23を駆動させるための駆動力を発生する駆動装置31を支持する。ダンプボディ22は、積荷が積まれる部材である。
走行装置23は、駆動装置31で発生した駆動力を後輪25Rに伝達するリアアクスル26を有する。リアアクスル26は、後輪25Rを支持する車軸27を含む。リアアクスル26は、駆動装置31で発生した駆動力を後輪25Rに伝達する。後輪25Rは、リアアクスル26から供給された駆動力により回転軸AXを中心に回転する。これにより、走行装置23は走行する。
ダンプトラック2は、前進可能及び後進可能である。前進とは、ダンプトラック2の前部2Fが進行方向を向いている状態で走行することをいう。後進とは、ダンプトラック2の後部2Rが進行方向を向いている状態で走行することをいう。
制御装置40は、ダンプトラック2を制御する。制御装置40は、管理装置10から送信される指令信号に基づいてダンプトラック2を制御することができる。
[運搬車両の制御システム]
次に、本実施形態に係る運搬車両の制御システムについて説明する。図3は、本実施形態に係る運搬車両の制御システム100の一例を示す機能ブロック図である。運搬車両の制御システム100は、管理施設7に設置される管理装置10と、ダンプトラック2に搭載される制御装置40と、積込機3に搭載される制御装置50とを備える。管理装置10と、制御装置40と、制御装置50とは、通信システム9を介して無線通信する。
管理装置10は、コンピュータシステムを含む。管理装置10は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサを含む演算処理装置11と、ROM(Read Only Memory)又はRAM(Random Access Memory)のようなメモリ及びストレージを含む記憶装置12と、入出力インターフェース13とを有する。
管理装置10は、無線通信装置14と接続される。無線通信装置14は、管制施設7に配置される。管理装置10は、無線通信装置14及び通信システム9を介して、ダンプトラック2と通信する。
管理装置10は、入力装置15及び出力装置16と接続される。入力装置15及び出力装置16は、管制施設7に設置される。入力装置15は、例えばコンピュータ用のキーボード、マウス、及びタッチパネルの少なくとも1つを含む。入力装置15が操作されることにより生成された入力データは、管理装置10に出力される。出力装置16は、表示装置を含む。表示装置は、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display:LCD)又は有機ELディスプレイ(Organic Electroluminescence Display:OELD)のようなフラットパネルディスプレイを含む。出力装置16は、管理装置10から出力される表示データに基づいて作動する。なお、出力装置16は、例えば印刷装置でもよい。
演算処理装置11は、目標位置データ算出部111と、コースデータ生成部112と、データ取得部113とを有する。
目標位置データ算出部111は、作業場PAにおいて入力装置により入力されるダンプトラック2の目標地点の目標位置データを算出する。本実施形態において、ダンプトラック2の目標地点は、例えば積込機3の積込点である。なお、ダンプトラック2の目標地点は、積込機3の積込点以外の地点であってもよい。また、入力装置としては、例えば管理装置10の入力装置15、積込機3の入力装置55等が挙げられる。また、本実施形態において、入力装置により入力されるダンプトラック2の目標地点の目標位置データは、例えば入力装置で目標地点が入力された後に目標地点の平行移動、回転移動等が行われる場合、当該平行移動、回転移動等が行われた後の位置データや、入力装置以外の方法で平行移動、回転移動が行われた後の位置データを含む。
コースデータ生成部112は、鉱山を走行するダンプトラック2の走行条件を示すコースデータCDを生成する。コースデータ生成部112は、例えば作業場PAにおいて、目標位置データに基づいてダンプトラック2のコースデータCDを生成する。ダンプトラック2の走行条件は、ダンプトラック2の走行経路、走行速度、加速度、減速度、及び走行方向の少なくとも1つを含む。また、ダンプトラック2の走行条件は、ダンプトラック2の停車位置及び発車位置の少なくとも一方を含む。また、ダンプトラック2の走行条件は、ダンプトラック2が停車する際の方向を含む。
データ取得部113は、走行経路を含むコースデータCDを含むダンプトラック2の走行条件を示すコースデータを取得する。
入出力インターフェース13は、コースデータ生成部112で生成されたコースデータCDをダンプトラック2に出力する。入出力インターフェース13は、コースデータCDをダンプトラック2に出力する出力部として機能する。演算処理装置11で生成されたコースデータCDは、入出力インターフェース13及び通信システム9を介してダンプトラック2に出力される。
制御装置40は、コンピュータシステムを含む。制御装置40は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサを含む演算処理装置41と、ROM(Read Only Memory)又はRAM(Random Access Memory)のようなメモリ及びストレージを含む記憶装置42と、入出力インターフェース43とを有する。
制御装置40は、無線通信装置44と接続される。無線通信装置44は、ダンプトラック2に配置される。制御装置40は、無線通信装置44及び通信システム9を介して、管理装置10と通信する。
制御装置40は、駆動装置31、ブレーキ装置32、及び操舵装置33と接続される。また、制御装置40は、位置検出器34、及び検出装置35と接続される。駆動装置31、ブレーキ装置32、及び操舵装置33、位置検出器34、及び検出装置35は、ダンプトラック2に搭載される。
駆動装置31は、ダンプトラック2の走行装置23を駆動するために作動する。駆動装置31は、走行装置23を駆動させるための駆動力を発生する。駆動装置31は、後輪25Rを回転させるための駆動力を発生する。駆動装置31は、例えばディーゼルエンジンのような内燃機関を含む。なお、駆動装置31が、内燃機関の作動により電力を発生する発電機と、発電機で発生した電力に基づいて作動する電動モータとを含んでもよい。
ブレーキ装置32は、走行装置23を制動するために作動する。ブレーキ装置32の作動により、走行装置23の走行が減速したり停止したりする。
位置検出器34は、ダンプトラック2の絶対位置を検出する。位置検出器34は、測位衛星5からのGNSS信号を受信するGNSSアンテナと、GNSSアンテナで受信されたGNSS信号に基づいてダンプトラック2の絶対位置を算出するGNSS演算器とを含む。
検出装置35は、ダンプトラック2の走行方向を検出する。検出装置35は、操舵装置33によるダンプトラック2の操舵角を検出する操舵角センサ35Aと、ダンプトラック2の方位角を検出する方位角センサ35Bとを含む。操舵角センサ35Aは、例えば操舵装置33に設けられたロータリーエンコーダを含む。方位角センサ35Bは、例えば車体フレーム21に設けられたジャイロセンサを含む。
また、制御装置40は、障害物センサ36と接続される。障害物センサ36は、例えば車体フレーム21の前部の下部に配置される。障害物センサは、ダンプトラック2の前方の障害物を非接触で検出する。本実施形態において、障害物センサ36は、複数のレーダーと、非接触センサであるレーザーセンサとを備える。レーダーは、電波を発射して、その電波を障害物に照射し、障害物により反射された電波を受信する。これにより、レーダーは、当該レーダーに対する障害物の方向及び距離を検出可能である。レーザーセンサは、ダンプトラック2の周囲の物体の位置を検出するものであり、レーザー光線を発射して、そのレーザー光線を物体である障害物に照射し、障害物により反射されたレーザー光線を受信する。これにより、レーザーセンサは、当該レーザーセンサに対する障害物の方向及び距離を検出可能である。レーザーセンサは、レーザー光線を発射し、反射されたレーザー光線を受信するために、分解能がレーダーよりも高い。
演算処理装置41は、データ取得部411と、運転制御部412とを有する。データ取得部411は、管理装置10のコースデータ生成部112で生成されたコースデータCD等のデータを取得する。
運転制御部412は、データ取得部411で取得されたコースデータCDに基づいて、ダンプトラック2の駆動装置31、ブレーキ装置32、及び操舵装置33の少なくとも1つを制御する運転制御信号を出力する。運転制御信号は、駆動装置31に出力されるアクセル信号、ブレーキ装置32に出力されるブレーキ指令信号、及び操舵装置33に出力されるステアリング指令信号を含む。
また、運転制御部412は、予め作成された地図データと上記のレーザーセンサの検出結果とに基づいて、例えば照合航法(Scan Matching Navigation)等の手法を用いてダンプトラック2の位置を算出し、算出されたダンプトラック2の位置に基づいて、GNSSに依存せずにダンプトラック2を走行させる走行モードを行うためのコントローラを有している。この場合、地図データは、例えば管理装置10の記憶装置12に記憶されるが、ダンプトラック2の記憶装置42又は積込機3の記憶装置52(後述)に記憶されてもよい。なお、運転制御部412は、上記のレーザーセンサの検出結果に基づいて地図データを更新することが可能であってもよい。
制御装置50は、コンピュータシステムを含む。制御装置50は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサを含む演算処理装置51と、ROM(Read Only Memory)又はRAM(Random Access Memory)のようなメモリ及びストレージを含む記憶装置52と、入出力インターフェース53とを有する。
制御装置50は、無線通信装置54と接続される。無線通信装置54は、積込機3に配置される。制御装置50は、無線通信装置54及び通信システム9を介して、管理装置10と通信する。
制御装置50は、入力装置55及び表示装置56と接続される。入力装置55及び表示装置56は、積込機3に設置される。入力装置55は、例えばコンピュータ用のキーボード、マウス、及びタッチパネルの少なくとも1つを含む。入力装置55が操作されることにより生成された入力データは、演算処理装置51に出力される。表示装置56は、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display:LCD)又は有機ELディスプレイ(Organic Electroluminescence Display:OELD)のようなフラットパネルディスプレイを含む。
制御装置50は、位置検出器57と接続される。位置検出器57は、積込機3の絶対位置を検出する。位置検出器57は、測位衛星5からのGNSS信号を受信するGNSSアンテナと、GNSSアンテナで受信されたGNSS信号に基づいて積込機3の絶対位置を算出するGNSS演算器とを含む。
演算処理装置51は、表示制御部511と、データ取得部512とを有する。表示制御部511は、表示装置56における表示動作を制御する。表示制御部511は、表示装置56に対して表示データを出力する。表示データは、作業場PAのマップデータを含む。データ取得部512は、各種データを取得する。データ取得部512は、例えば作業場PAのマップデータ等を取得する。
積込機3による積込動作を行う場合、積込機3のオペレータは、入力装置55により積込開始の指示を入力する。オペレータの入力により、制御装置50は、積込開始の指示と積込機3の位置データを管理装置10に送信する。管理装置10は、積込開始の指示及び位置データを受信した場合、受信した位置データに基づいて積込機3のバケットの位置を推定し、積込点の位置データを算出する。そして、コースデータ生成部112は、積込点の位置データに基づいてコースデータCDを生成し、ダンプトラック2に送信する。
ダンプトラック2は、データ取得部411によりコースデータCDを取得する。運転制御部412は、取得したコースデータCDに基づいて、ダンプトラック2の駆動装置31、ブレーキ装置32、及び操舵装置33の少なくとも1つを制御する運転制御信号を出力する。
ダンプトラック2が鉱山の作業場PA及び搬送路HLを走行する際、電離層に異常が生じたりすると、GNSSを用いて検出された位置の精度が低下し、算出されるダンプボディ22の位置の精度が低下する。この場合、ダンプトラック2のコースデータの精度が低下し、オペレーションの精度が低下するため、鉱山における生産性が低下する可能性がある。そこで、本実施形態では、位置データが判明している対象物と入力装置55により入力された目標地点との位置関係に基づいて、作業場PAにおけるダンプトラック2の目標地点の目標位置データを算出し、算出した目標位置データに基づいてダンプトラック2のコースデータCDを生成する。
図4から図7は、積込機3の表示装置56に表示される表示画像の一例を示す図である。以下、当該表示画像を用いて、積込場LPAにおいて積込点までのコースデータを生成する手順を説明する。管理装置10は、図4に示すように、積込機3に地図データを送信し、表示装置56に地図データを表示させる。当該地図データは、例えば壁部Wの位置データを含んでいる。壁部Wの位置データは、これまでの作業において既に判明している位置データである。
この状態で、積込機3のオペレータは、入力装置55により、地図データ上に積込点を選択する。入力装置55がタッチパネルである場合、オペレータが表示装置56の表示画面をタッチすることにより、表示画面上のタッチされた部分61に対応するローカル座標上に積込点が設定される。なお、当該ローカル座標は、表示画面上の位置を示す2次元の座標である。積込機3の制御装置50は、入力地点を管理装置10に送信する。
管理装置10が入力地点を受信した場合、目標位置データ算出部111は、積込点のローカル座標をグローバル座標に変換し、グローバル座標における積込点の位置データを算出する。例えば壁部Wについては、地図データを作成する際に有人車両を走行させて位置データを作成しているため、位置データが判明している。このため、目標位置データ算出部111は、位置データが判明している壁部Wの一点を原点(基準点)とした場合の積込点のグローバル座標を位置データとして算出する。なお、位置データが判明している対象物であれば、壁部W以外を原点(基準点)としてもよい。このような対象物としては、例えばダンプトラック2の走行可能領域の内側と外側とを分ける境界線等が挙げられる。当該境界線は、上記の有人車両を走行させて位置データを作成しているため、位置データが判明している。また、目標位置データ算出部111は、地図上における壁部Wの基準点と入力地点との間の距離及び方位に基づいて変位を算出し、壁部Wの基準点の位置データに当該変位を加算することにより、目標位置データを算出することができる。なお、目標位置データ算出部111は、壁部Wの基準点については任意に設定することができる。目標位置データ算出部111は、算出結果を積込機3に送信する。積込機3が算出結果を受信した場合、図5に示すように、表示制御部511は、表示画面の地図上のうち入力地点の位置データに対応する箇所にダンプトラック2のアイコン62を表示させる。
アイコン62は、壁部Wに対するダンプトラック2の地図上での位置及び方向に関する情報を示している。アイコン62の方向については、例えばオペレータが目標地点を選択した時点でのダンプトラック2の方向と同一方向と設定することができる。図5に示す状態において、アイコン62は、車両の前後方向の前方が壁部W側を向いている。積込機3のオペレータは、入力装置55(タッチパネル)を用いて、例えば図6に示すようにアイコン62を平行移動したり、回転させたりすることで、地図上におけるアイコン62の位置及び方向を変更することができる。この場合、目標位置データ算出部111は、積込点の位置データを算出する場合と同様に、入力装置55の入力をグローバル座標に変換し、位置データが判明している壁部Wの一点を原点(基準点)とした場合の平行移動及び回転移動を算出する。なお、この場合においても、位置データが判明している対象物であれば、壁部W以外を原点(基準点)としてもよい。図6に示す例では、アイコン62のうち前後方向の後方が壁部Wに向けた状態となっている。また、積込機3のオペレータは、入力装置55により、地図上でのアイコン62の位置及び方向を確定することができる。アイコン62の地図上での位置及び方向が変更又は確定された場合、制御装置50は、変更後のアイコン62の地図上の位置及び方向、又は確定されたアイコン62の地図上の位置及び方向を管理装置10に送信する。
管理装置10が変更されたアイコン62の地図上の位置及び方向を受信した場合、目標位置データ算出部111は、変更後の位置データを算出する。また、管理装置10が確定されたアイコン62の地図上の位置及び方向を受信した場合、目標位置データ算出部111は、確定後の位置データ、つまり、目標位置データを算出する。
目標位置データが算出された後、コースデータ生成部112は、算出された目標位置データに基づいて、コースデータを生成する。この場合、コースデータ生成部112は、目標位置データ、つまり、積込機3の入力装置55により入力されグローバル座標に変換された積込点の位置データと、ダンプトラック2の位置データとに基づいて、コースデータCDを生成する。ダンプトラック2の位置データは、例えば走行経路上かつ積込場の入口に予め設定された地点のグローバル座標である。また、コースデータ生成部112は、走行条件の一つとして、アイコン62の方向に基づいた方向データを算出し、算出した方向データを用いてコースデータを生成する。図6に示すアイコン62は、車両後方が壁部Wに向けられた状態である。
このため図7に示すように、スイッチバックを行い、ダンプトラック2の後方が壁部Wに向けられた状態で積込点に到達するようにコースデータCDを生成する。スイッチバックとは、前進するダンプトラック2が鋭角的に進行方向を転換して後進する動作をいう。ダンプトラック2において、データ取得部411がコースデータCDを取得した場合、運転制御部412は、例えば照合航法を用いてダンプトラック2をコースデータCDに沿ってGNSSに依存せずに走行させる。
[制御方法]
次に、本実施形態に係るダンプトラック2の制御方法の一例について説明する。図8は、本実施形態に係るダンプトラック2の制御方法の一例を示すフローチャートである。ダンプトラック2の制御方法は、位置データが判明している対象物と入力装置55により入力された目標地点との位置関係に基づいて、作業場PAにおけるダンプトラック2の目標地点の目標位置データを算出することと(ステップS10)、目標位置データに基づいてダンプトラック2のコースデータCDを生成することと(ステップS20)とを含む。
図9は、ステップS10における動作を詳細に示すフローチャートである。図9に示すように、ステップS10において、管理装置10は、積込機3に地図データを送信して表示装置56に地図データを表示させる(ステップS11)。その後、管理装置10は、積込機3側から地図上の地点が入力されたか否かの判断を行う(ステップS12)。積込機3側からの入力が無い場合(ステップS12のNo)、管理装置10は、ステップS11の判断を繰り返し行う。積込機3側から送信された入力地点を受信した場合(ステップS12のYes)、目標位置データ算出部111は、位置データが判明している壁部Wとの位置関係に基づいて、入力地点の位置データを算出する(ステップS13)。
その後、目標位置データ算出部111は、積込機3側から変更後の入力地点が送信されたか、つまり入力地点の変更があるかを判定する(ステップS14)。目標位置データ算出部111は、積込機3側から入力地点の変更があると判定した場合(ステップS14のYes)、変更後の位置データを算出し(ステップS15)、算出後の位置データを目標位置データとして確定する(ステップS16)。また、目標位置データ算出部111は、積込機3側から入力地点の変更がないと判定した場合(ステップS14のNo)、既に算出した位置データを目標位置データとして確定する(ステップS16)。
ステップS20において、コースデータ生成部112は、ステップS16で確定した目標位置データに基づいて、コースデータCDを生成する。コースデータ生成部112は、生成したコースデータCDをダンプトラック2に送信させる。
以上のように、本実施形態に係る運搬車両の制御システム100は、位置データが判明している壁部W等の対象物と入力装置55により入力されるダンプトラック2の目標地点との位置関係に基づいて、作業場PAにおけるダンプトラック2の目標地点の目標位置データを算出する目標位置データ算出部111と、少なくとも目標位置データに基づいて、ダンプトラック2のコースデータCDを生成するコースデータ生成部112とを備える。
本実施形態によれば、電離層に異常が生じる等、GNSSを用いた位置検出の精度が低下する場合において、GNSSに依存せずにダンプトラック2の目標地点及びコースデータを生成することが可能である。これにより、GNSSを用いた位置検出の精度が低下する場合においてもオペレーションの精度低下を抑制することが可能であるため、作業現場の生産性の低下を抑制することができる。
本実施形態に係る運搬車両の制御システム100において、目標位置データ算出部111は、積込機3の入力装置55等の外部入力部で入力された位置データに基づいて目標位置データを算出するため、入力位置の設定を容易に行うことができる。例えば、積込機3に設けられる入力装置55により、積込場LPAにおける積込機3の積込点を目標地点として入力することができるため、より正確な位置を入力することができる。
<第2実施形態>
続いて、第2実施形態を説明する。第2実施形態では、運搬車両2の制御システム100が目標位置データを算出する方法が第1実施形態とは異なるため、当該目標位置データを算出する方法を中心として説明する。第2実施形態では、第1実施形態に係る運搬車両2の制御システム100と同一の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略又は簡略化する。
図10及び図11は、積込機3の表示装置56に表示される表示画像の一例を示す図である。以下、当該表示画像を用いて、積込場LPAにおいて積込点までのコースデータを生成する手順を説明する。例えば、積込場LPAでは、油圧ショベル等の積込機3により、壁部Wの一部が採掘される。この場合、採掘が進むにつれて、実際の壁部Wの位置が、積込場LPAの外側の位置Waに移動する。このように、積込場LPAでは、採掘により壁部Wの形状が時々刻々と変化し、積込機3が移動するため、積込機3の移動後の位置に応じてダンプトラック2の積込点が変化する。
そこで、積込機3による積込動作を行う際、積込機3のオペレータが入力装置55により積込開始の指示が入力され、管理装置10に積込開始の指示が送信された場合、管理装置10は、過去に設定された、つまり当該目標位置データを算出する時点以前に目標位置データとして設定された、ダンプトラック2の目標地点に基づいて目標位置データを算出してもよい。過去に設定されたダンプトラック2の目標地点としては、例えば前回以前の積込点であってもよい。前回以前の積込点の位置データ等については、記憶装置12に記憶させておくことができる。
以下、過去に設定されたダンプトラック2の目標地点として、前回の積込時の積込点を例に挙げて説明するが、これに限定されない。この場合、目標位置データ算出部111は、前回の積込時におけるダンプトラック2の位置データを仮目標位置データとして設定する。目標位置データ算出部111は、設定した仮目標位置データを積込機3に送信する。積込機3が算出結果を受信した場合、図10に示すように、表示制御部511は、表示画面の地図上のうち入力地点の位置データに対応する箇所にダンプトラック2のアイコン71を表示させる。この場合、アイコン71の方向については、例えば前回の積込時の方向と同一の方向となるように設定する。
図10に示す状態において、アイコン71は、車両の前後方向の後方が壁部W側を向いている。積込機3のオペレータは、入力装置55(タッチパネル)を用いて、例えば図11に示すようにアイコン71を平行移動等することで、地図上におけるアイコン71の位置及び方向を変更することができる。図11に示す例では、地図上における積込機3のアイコン71のショベル部分にアイコン71の位置が変更されている。なお、オペレータは、アイコン71の方向を変更してもよい。アイコン71の地図上での位置及び方向が変更又は確定された場合、制御装置50は、変更後のアイコン71の地図上の位置及び方向、又は確定されたアイコン71の地図上の位置及び方向を管理装置10に送信する。
管理装置10が変更されたアイコン71の地図上の位置及び方向を受信した場合、目標位置データ算出部111は、変更後の仮目標位置データを算出する。このとき、目標位置データ算出部111は、前回の積込時の積込点の位置データと、変更後のアイコン71との位置関係に基づいて、変更後の仮目標位置データを算出する。例えば、目標位置データ算出部111は、地図上におけるアイコン71の移動量及び移動方向に基づいて絶対座標における変位を算出し、前回の積込点の位置データに当該変位を加算することにより、仮目標位置データを算出することができる。また、管理装置10が確定されたアイコン71の地図上の位置及び方向を受信した場合、目標位置データ算出部111は、確定後の仮目標位置データ、つまり、目標位置データを算出する。
図12は、ダンプトラック2の制御方法の他の例を示すフローチャートである。図12は、過去に設定されたダンプトラック2の目標地点に基づいて目標位置データを算出する場合の動作を示している。図12に示すように、目標位置データ算出部111は、記憶装置12から前回の積込点の位置を示す過去目標位置データを取得し(ステップS111)、過去目標位置データに基づいて仮目標位置データを算出する(ステップS112)。その後、管理装置10は、仮目標位置データに変更があるか否かの判断を行う(ステップS113)。目標位置データ算出部111は、仮目標位置データに変更があると判定した場合(ステップS113のYes)、変更後の位置データを算出して仮目標位置データを更新し(ステップS114)、更新後の仮目標位置データを目標位置データとして確定する(ステップS115)。また、仮目標位置データに変更がないと判定した場合(ステップS113のNo)、仮目標位置データをそのまま目標位置データとして確定する(ステップS115)。
このように、電離層に異常が生じる等、GNSSを用いた位置検出の精度が低下する場合において、過去に設定されたダンプトラック2の目標地点に基づいて目標位置データを算出することにより、GNSSに依存せずにダンプトラック2の目標地点及びコースデータを生成することが可能である。これにより、GNSSを用いた位置検出の精度が低下する場合においてもオペレーションの精度低下を抑制することが可能であるため、作業現場の生産性の低下を抑制することができる。
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。例えば、ダンプトラック2の目標地点となる積込点と、壁部Wとの距離を予め設定しておくことにより、目標位置データの算出を効率的に行うことができる。
図13から図16は、積込機3の表示装置56に表示される表示画像の他の例を示す図である。以下、当該表示画像を用いて、積込場LPAにおいて積込点までのコースデータを生成する手順の変形例を説明する。図13に示すように、例えば上記した第2実施形態において、積込点と壁部Wとの距離を所定の距離Dと設定することにより、仮目標位置データが設定された場合、壁部Wとの距離が距離Dとなる位置に仮目標位置データを自動的に変更することができる。この場合、積込機3の表示装置56には、まず仮目標位置データに対応する地図上の地点にアイコン71が表示され、その後、自動的にアイコン71が移動するように表示させることができる。なお、変更後の仮目標位置データに対応する地図上の位置に別途アイコン72を併せて表示させてもよい。オペレータは、移動後のアイコン71又は別途表示されたアイコン72に基づいて位置及び方向を変更することができる。なお、図13に示すように、壁部Wの位置が変化する場合においても、定期的に上記の有人車両を走行させて壁部Wの位置データを作成し、更新していくことにより、目標地点の位置データを算出することができる。
また、上記した第1実施形態では、オペレータが入力装置55により、地図上の目標地点を選択する場合を例に挙げて説明したが、例えば図14に示すように、オペレータによりタッチされた地図上の地点81が、例えば壁部Wに重なる部分等、ダンプトラック2の稼働可能な領域の外側であった場合、目標位置データ算出部111は、当該地点の入力を無効とし、目標位置データの算出を行わないようにしてもよい。これにより、ダンプトラック2が周辺に存在する障害物と接触することを抑制できる。
また、上記した第1実施形態では、オペレータが入力装置55により地図上の目標地点を選択した後、目標位置データ算出部111がアイコン62の方向、つまり目標地点におけるダンプトラック2の方向を設定する場合に、オペレータが目標地点を選択した時点でのダンプトラック2の方向と同一方向になるように設定する例を挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、目標位置データ算出部111は、コースデータ生成部112が生成するコースデータCDに応じて、目標地点におけるダンプトラック2の方向を設定してもよい。
具体的には、図15に示すように、例えばスイッチバック動作を行う場合のように、目標地点に対して後進して到達するコースデータC1が設定される場合、目標位置データ算出部111は、目標地点におけるダンプトラック2の方向を、前後方向の後方が壁部Wの壁面Wbに向くように設定又は変更することができる。
また、図16に示すように、目標地点に対して前進して到達するコースデータC2が設定される場合、目標位置データ算出部111は、目標地点におけるダンプトラック2の方向を、前後方向の側方が壁部Wの壁面Wbに向くように設定又は変更することができる。この場合、積込点への進入方向に応じてダンプトラック2の前後方向を設定することができる。
このように、コースデータC1、C2に応じて目標地点におけるダンプトラック2の方向が自動的に設定または変更されるため、目標地点をより容易かつ効率的に設定することができる。
なお、上述の実施形態においては、ダンプトラック2が無人ダンプトラックであることとした。ダンプトラック2は、ダンプトラック2に搭乗した運転者の操作に従って走行する有人ダンプトラックでもよい。
なお、上述の実施形態においては、鉱山において用いられる運搬車両を例に説明した。上述の実施形態で説明した構成要素は、鉱山とは異なる作業現場で用いられる運搬車両に適用されてもよい。また、運搬車両は、ダンプトラック2でなくてもよい。
また、上述の実施形態においては、目標位置データ算出部111と、コースデータ生成部112と、コースデータ取得部113とが管理装置10の演算処理装置11に設けられる構成を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、上記のうち少なくとも1つがダンプトラック2の制御装置40又は積込機3の制御装置50に設けられてもよい。
また、上述の実施形態においては、積込機3の入力装置55により入力することで目標位置(積込点)を設定する場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、管理装置10の入力装置15により入力することで、積込点等の目標位置を設定する構成であってもよい。