本開示にかかる二次電池の充電機構は、電気機器の動作電源として用いられる二次電池と、前記二次電池を充電する充電回路部と、前記二次電池の満充電時容量の減少度合いを示す劣化指数を検出する劣化指数検出部と、前記二次電池への充電、または、前記二次電池からの放電を制御する充放電制御部とを備え、前記充放電制御部は、前記劣化指数の値が、前記二次電池が前記電気機器を所定時間動作させることができないと判断される第1の閾値よりも大きい場合には、前記二次電池への充電、または、前記二次電池からの放電を行わないように制御する。
本開示の二次電池の充電機構は、電気機器の動作電源として用いられる二次電池の劣化度合いを劣化指数で把握して、二次電池の劣化指数の値が電気機器を所定時間動作させることができないと判断される第1の閾値を上回ったとき、充放電制御部が二次電池の充電または放電を停止する。このため、電気機器を所定時間動作させることができない状態まで劣化した二次電池は、電気機器の動作電源として用いることができなくなり、電気機器が一連の動作の途中で停止してしまうという不所望な事態を確実に回避することができる。
本開示の二次電池の充電機構において、前記二次電池が劣化していることを報知する報知部をさらに備え、前記充放電制御部は、前記劣化指数の値が、前記二次電池の劣化が進んでいることをユーザに報知する基準となる第2の閾値よりも大きい場合には、前記報知部で前記二次電池の劣化が進んでいることを報知することが好ましい。このようにすることで、二次電池の劣化指数の値が充放電を停止させる値に近づいている場合に、二次電池の劣化が一定以上進んでいることをユーザに報知して新たな二次電池の準備をユーザに促すことができる。
また、前記電子機器に対応して定められた前記第1の閾値を記憶する記憶部をさらに備え、前記充放電制御部は、前記記憶部内の前記第1の閾値に基づいて前記二次電池の充放電の制御を行うことが好ましい。このようにすることで、特定の電気機器に使用される二次電池の劣化指数における閾値を把握して二次電池の劣化度合いを監視することができ、当該電気機器の動作が途中で停止してしまう事態を回避することができる。
さらにまた、前記電気機器の動作時間を判定する動作時間判定部をさらに備え、前記動作時間判定部は、ユーザによる前記電気機器への動作設定に対応してその動作時間を判定し、判定した動作時間に基づいて算出した前記第1の閾値を前記充放電制御部に伝達し、前記充放電制御部は、前記動作時間判定部が算出した前記第1の閾値に基づいて前記二次電池の充放電の制御を行うことが好ましい。このようにすることで、ユーザの使用形態によって一連の動作時間が変化するような電気機器の動作電源として用いられる二次電池に対して、ユーザの実際の操作に対応して所定の動作時間の動作が可能か否かを把握することかでき、より正確な充放電制御を行うことができる。
なお、本開示にかかる二次電池の充電機構は、前記充電回路部と、前記充放電制御部とが、前記二次電池を充電する充電装置に搭載され、前記二次電池と、前記劣化指数検出部とが二次電池パックに搭載されたものとして構成することができる。
また、本願で開示する二次電池の充電機構は、前記充電回路部が前記二次電池を充電する充電装置に搭載され、前記二次電池と、前記充放電制御部と、前記劣化指数検出部とが二次電池パックに搭載されたものとして構成することができる。
本開示にかかる二次電池の充電装置は、電気機器の動作電源として用いられる二次電池を充電する充電装置であって、前記二次電池を充電する充電回路部と、前記二次電池への充電、または、前記二次電池からの放電を制御する充放電制御部と、前記二次電池が前記電気機器を所定時間動作させることができないと判断される第1の閾値を記憶する記憶部とを備え、前記充放電制御部は、前記二次電池の満充電時容量の減少度合いを示す劣化指数の値が前記第1の閾値よりも大きい場合には、前記二次電池への充電、または、前記二次電池からの放電を行わないように制御する。
このようにすることで、本開示にかかる二次電池の充電装置は、電気機器の動作電源として用いられる二次電池の劣化度合いを劣化指数で把握し、二次電池の劣化指数の値が電気機器を所定時間動作させることができないと判断される第1の閾値より大きい場合には、充放電制御部が二次電池の充電または放電を停止する。このため、電気機器を所定時間動作させることができない状態になっている二次電池は、電気機器の動作電源として使用することができなくなり、電気機器が一連の動作の途中で停止してしまう事態を確実に回避することができる。
本開示にかかる二次電池の充電装置において、前記劣化指数の値を検出する劣化指数検出部をさらに備え、前記充放電制御部は、前記劣化指数検出部が検出した前記劣化指数の値に基づいて前記二次電池の充放電を制御することが好ましい。このようにすることで、二次電池に対応して定められた第1の閾値に基づいて、二次電池の充放電の制御を行うことができる。
また、前記劣化指数の値を受信する劣化情報受信部をさらに備え、前記充放電制御部は、前記劣化情報受信部を介して前記二次電池を内蔵する二次電池パック内に配置された劣化指数検出部が検出した前記劣化指数の値を受け取り、受け取った前記劣化指数の値に基づいて前記二次電池の充放電を制御することが好ましい。このようにすることで、駆動電源として電気機器に装着される二次電池パックにおいて検出された劣化指数の値を用いて、充電装置において正確な充放電制御を行うことができる。
さらに、前記二次電池が劣化していることを報知する報知部をさらに備え、前記充放電制御部は、前記劣化指数の値が、前記二次電池の劣化が進んでいることをユーザに報知する基準となる第2の閾値よりも大きい場合には、前記報知部で前記二次電池の劣化が進んでいることを報知することが好ましい。このようにすることで、二次電池の劣化をいち早くユーザに知らせて、新しい二次電池の準備を促すことができる。
本開示にかかる二次電池パックは、電気機器の動作電源として用いられる二次電池を内蔵する二次電池パックであって、前記二次電池の満充電時容量の減少度合いを示す劣化指数を検出する劣化指数検出部と、前記二次電池への充電または前記二次電池からの放電を制御する充放電制御部と、前記二次電池が前記電気機器を所定時間動作させることができないと判断される第1の閾値を記憶する記憶部とを備え、前記充放電制御部は、前記劣化指数の値が前記第1の閾値よりも大きい場合には、前記二次電池への充電、または、前記二次電池からの放電が行われないように制御する。
このようにすることで、本開示にかかる二次電池パックは、二次電池の劣化指数の値を用いて動作させる電気機器を所定時間動かすことができない状態であることを検知でき、劣化の進んだ二次電池パックを用いて電気機器を動作させてしまうことを確実に防止することができる。
本開示にかかる二次電池パックにおいて、前記二次電池が劣化していることを報知する報知部をさらに備え、前記記憶部が、前記第1の閾値に加えて前記二次電池の劣化が進んでいることをユーザに報知する基準となる第2の閾値を記憶しており、前記充放電制御部は、前記劣化指数の値が前記第2の閾値よりも大きい場合には、前記二次電池の劣化が進んでいることを報知することが好ましい。このようにすることで、二次電池パック自体によって、ユーザに新しい二次電池パックの準備を促すことができる。
(実施の形態)
以下、本開示にかかる二次電池の充電制御機構、充電装置、二次電池パックの具体的な実施形態について、図面を参照して説明する。
なお、本実施形態の説明で用いる、二次電池の充電機構、充電装置、二次電池パックの構成を説明するための各図面は、それぞれを構成する構成要素とその相互関係とを機能面から説明するものであり、各図に示した各ブロックそれぞれは物理的に独立した部材を示すものではない。したがって、各図における一つのブロックが、実際には2つの異なる部材として別々に構成される場合があり、また、複数のブロックが1つの部材として構成される場合がある。
また以下では、二次電池が動作電源として用いられる電気機器として、一般にドローンと称されるマルチコプターの例を用いて説明する。マルチコプターは、農業・畜産、自然災害対応、インフラ保守点検、測量、警備セキュリティなど幅広い用途で実用化が期待されていて、その市場規模も大きく拡大している。しかし一方で、マルチコプターに起因する事件、事故の発生も無視できない状況にある。
マルチコプターに関する事件や事故における大きな問題の一つは、マルチコプターの墜落である。操縦になれない初心者による人的な操作ミスに限らず、例えば空撮を専門とする専門業者でもマルチコプターを墜落させてしまうことがある。その理由として、駆動電源である二次電池(バッテリー)の問題がある。マルチコプターに搭載される二次電池に対しては、当然ながら小型軽量化への強い要請がある。このためマルチコプター用の二次電池ではその電池容量に限界があり、現状では、一般用途で15分〜20分程度、一部の商業用のものでも30分〜40分程度の連続使用しかできない。二次電池は、使えば使うほど劣化して満充電時における電池容量が低減し、当初は15分程あった飛行時間が徐々に短くなってしまう。ユーザ自身による二次電池の残り容量のチェックだけでは、劣化状態を把握することは容易ではなく、劣化状態を確認できない状態で飛行をさせたがゆえに飛行の途中で二次電池の電池容量を使い切ってしまって、墜落させてしまうケースが多い。
本願で開示する二次電池の充電機構、充電装置、二次電池パックは、二次電池を駆動電源として使用する電気機器の所定時間動作を確保するものであるため、上述のようなマルチコプターの墜落の問題を解決することができる。このため、本願で開示する二次電池の充電機構、充電装置、二次電池パックは、マルチコプターのような、自体が移動しながら一定時間連続して動作する電気機器の動作電源としての二次電池の充放電の制御として、極めて効果的である。
[二次電池の充電機構と充放電の制御]
図1は、本実施形態にかかる二次電池の充電機構の概略構成を示すブロック図である。
本実施形態の充電機構は、電気機器であるマルチコプター30の動作電源としての二次電池11の充放電を制御するものであり、二次電池11を含む二次電池パックとしての電池パック10と、この二次電池11の充電時に電池パック10と接続される二次電池の充電装置である充電器20の内部に配置された部材により主として構成される。また、必要に応じて、電気機器であるマルチコプター30の内部に配置される部材が、本実施形態で示す二次電池の充電機構を構成する一部材となる場合がある。
図1では、二次電池の充電機構において二次電池の充放電を制御する充放電制御部が、充電装置内に配置された場合の構成例を示している。
本実施形態で示す二次電池の充電機構において、電池パック10は、リチウムイオン二次電池である二次電池11と、電池パック10の内部に配置されて二次電池11への充電や二次電池からの放電を監視、調整する電池制御部12とを備えている。
二次電池11は、正極と、負極と、正極および負極の間に配置された電解質とを含み、これらの間でのリチウムイオンの移動を利用して充電と放電とが可能な二次電池セルである。
電池制御部12は、電池パック10内に二次電池11とともに封入されていて、本実施形態にかかる電池パック10内の電池制御部12は、二次電池11の劣化の度合いを示す劣化指数を検出する劣化指数検出部としての機能を果たす。
ここで、劣化指数とは、対象となる二次電池の実際の劣化度合いを示す数値であり、当該二次電池の初期状態において二次電池を満充電状態とした場合の電池容量の値に対する、劣化指数を検出する時点において二次電池を満充電状態に充電した場合における電池容量値の割合を求め、その残存度合いをパーセント(%)で表示するものである。
すなわち劣化指数は、
劣化指数(%)=(1−現実の容量値/初期状態の容量値)×100
として算出される。
劣化指数が大きいほど、検出対象となる二次電池の劣化が進んでいて、満充電状態となるように充電した場合でも得られる電池容量の値が小さくなっている、すなわち、駆動電源とする電気機器を動作させ得る時間が短くなっている状態であることを示す。
なお、電池パック10内に配置される電池制御部12は、上述した劣化指数検出部としての機能の他に、充電器20と接続された際に、充電器20の充放電制御部22との間のデータ通信を行う送受信部としての機能を備えている。さらに、電池制御部12は、二次電池11の温度などの状態を検知する二次電池状態検知回路、二次電池の充電と放電とを制御する制御回路、電池保護回路、出力電圧の変換回路、残量検知回路などの機能を果たす電気回路が組み込まれる場合もある。
本実施形態にかかる電池パック10は、一方向に長い略直方体形状を有している。しかし、本開示にかかる二次電池の充電機構や二次電池パックにおいて、その取り得る外形形状に限定はなく、携帯型電子機器に多く用いられる薄型の略直方体形状、乾電池と互換可能な筒型形状、大容量バッテリなどのボックス型形状、補聴器など小型の機器に用いられるコイン型(ボタン型)形状などのさまざまな形状を採ることができる。
また、本実施形態では、二次電池11の形式としてリチウムイオン二次電池を例示したが、ニッケル水素二次電池、ニッケルカドミウム電池など、各種形式の二次電池を本願で開示する充電機構や二次電池パックの二次電池として使用することができる。
さらに、電池パック10内に、二次電池11の状態をユーザに報知するためのランプなどの報知手段、電池パック10と、充電器20やマルチコプター30との間の情報伝達を行う送受信部が配置される場合もある。
充電器20は、電池パック10内の二次電池11を充電する際の充電電源となる充電回路部21、二次電池11の充電状態を把握して充電回路部21から供給される充電電圧と充電電流とをより好ましいものにする充放電制御部22とを備えている。また、本実施形態にかかる充電器20は、充放電制御部22によって行われる充放電制御の際に用いられる閾値データを記憶する記憶部23と、充電状態や二次電池の劣化状態をユーザに報知する報知部24とを備えている。
充電回路部21は、二次電池11を充電するための電圧または電流を生成する電源回路である。充電回路部21は、商用電源(100VAC)から、所定の電圧の直流または交流の電圧または電流を生成するものであって、電圧変換回路、整流回路、AD変換回路またはDA変換回路、保護回路などの各種の電気回路によって構成される。
充放電制御部22は、充電回路部21を制御して二次電池11に効率的に充電のための電圧、電流を供給する制御回路である。
一般にリチウムイオン二次電池の充電は、まず定電流充電を行った後に定電圧充電が行われるという充電プログラムにしたがって行われる。また、充電開始時点での電池電圧が所定の値よりも低い場合には、電池を保護して劣化を防ぐことを目的として、低電圧での予備充電が行われる。このような充電プログラムを実行可能とするために、本実施形態の充電器20の充放電制御部22は、二次電池11の電圧値や二次電池11へと供給される電流値を検知する電圧センサや電流センサ、さらに、上記例示した充電プログラムを記憶するメモリ部を備えている。なお、二次電池の電池電圧などの諸情報は、電池パック10内に配置された電池制御部12が把握し、充放電制御部22が電池制御部12から伝達された情報に基づいて充電回路部21の充電動作の制御を行う場合もある。
本実施形態の充電器20の充放電制御部22は、二次電池11の劣化の状態を電池パック10の電池制御部12から劣化指数として取得し、この劣化指数の値と、記憶部に記憶されていた第1の閾値および第2の閾値との大小を比較して、充電回路部21から二次電池11への充電や二次電池11からの放電の制御を行う。充放電制御部22による、二次電池11の充放電の制御については、図2を用いて後に詳述する。
このような二次電池11の充電制御を行う充放電制御部22は、マイコンや各種論理回路の集合体である電子回路などとして実現することができる。また、充放電制御部22は、電池パック10と充電器20とが接続された際に、電池パック10の電池制御部11との間で劣化指数などの諸情報のやりとりを行う送受信部としての機能を有している。
記憶部23は、充放電制御部22が上述した二次電池11の充放電制御を行う際に用いる、劣化指数の第1の閾値と第2の閾値とを記憶するメモリ部である。記憶部23は、半導体メモリ素子などの、汎用されているデータの記憶が可能な部材を用いて構成することができる。
報知部24は、二次電池11の充電を制御する充放電制御部22が、二次電池11が、すでに劣化が進んでいて使用することができなくなっている場合や、まだ使用は可能であるがまもなく寿命を迎えるために、新しい二次電池を用意しておくことが好ましい場合などに、ユーザにその状況を知らせる部分である。また、報知部24は、充電器20への商用電源の供給や、充電器20自体の動作状況をユーザに知らせる機能を果たすことができる。
報知部24としては、LEDランプなどのランプ類、液晶(LCD)やELなどの各種の表示パネル類、報知内容が録音され再生可能な音声再生機構などを用いることができ、視覚的にまたは音声などによってユーザに情報を伝達する。
本実施形態の充電器20は、電気機器であるマルチコプター30から取り外された電池パック10を装着して充電を行うクレードルとして実現することができる。また、本実施形態の充電器20は、電池パック10に接続する充電ケーブルを備え、マルチコプター30に装着されている状態で、または、マルチコプター30から取り外された状態で、電池パック10の充電端子に充電ケーブルを接続する形態として実現することができる。さらに、電池パック10と充電器20との間を充電ケーブルで接続する場合に限られず、電池パック10と充電器20との間の誘導起電力や磁気共鳴などを利用して、両者が非接触の状態で充電を行うこともできる。この場合には、電池パック10と充電器20との間の各種の情報交換は、相互の機器に配置された無線通信可能な情報伝達部間で行われる。
マルチコプター(ドローン)30は、二次電池11を駆動電源として動作する電気機器であって、駆動回路部31、機器制御部32、操作設定部33、動作時間判定部34を備えている。
駆動回路部31は、電気機器がそれ自体の機能を果たすための回路部分であって、本実施形態のマルチコプター30の場合には、飛行のために必要なプロペラとそれを回すモータ、撮影を行うためのカメラ、複数個のプロペラの回転を調節して飛行姿勢や速度などを制御するマイコン、機体の姿勢を検知する傾斜センサや加速度センサなどの各種センサ、マルチコプター30の動作状態などを表示する表示モニタなどが含まれる。
機器制御部32は、マルチコプター30の全体的な動作制御を行う制御回路であり、操作設定部33から入力されたユーザからの操作指示に従って駆動回路部31の起動と所定の動作、さらに停止を制御する。また機器制御部32は、電池パック20内の電池制御部12との間での情報の送受信が可能であり、後述する動作時間判定部34が判定した動作時間に基づく閾値の値を、電池制御部12に伝達することができる。
操作設定部33は、ユーザによってマルチコプター30の動作設定が行われる部分であり、マルチコプター30の起動スイッチや操作ボタン、操作ダイヤルなどでマルチコプター30の動作設定を受け付けることができる。また、操作設定部33は、専用の操縦機器、または、タブレット型コンピュータやスマートホンなどの汎用機器上の専用ソフトウェアとして構成されるコントローラ40との間で、ユーザの操縦指示を受け付けたり、カメラで撮影した画像をコントローラ40へと送信したりする送受信部を備えることができる。
操作設定部33は、操作ボタン等を介して直接、または、コントローラ40を通じて間接的に、ユーザが指示したマルチコプター30に対する動作指示の内容を機器制御部32へと伝達する。
動作時間判定部34は、機器制御部32からの指示に従って、操作設定部33からユーザが指示したマルチコプター30の動作内容を実行した場合の動作時間(飛行時間)を判定し、その動作時間の動作が可能と判断することができる二次電池11の劣化指数の値を算出して、算出した劣化指数の値を第1の閾値として機器制御部32へと伝達する。
次に、上述の二次電池の制御機構における制御の内容について、図2を用いて説明する。
図2は、本実施形態にかかる二次電池の制御機構における、充放電制御部の動作を説明するフローチャートである。
図1で示した実施形態では、充放電制御部22は充電器20に備えられているため、充電のために電池パック10と充電器20とが接続されることで、充放電制御部22の充放電制御がスタートする。
まず、充放電制御部22は、充放電制御に使用する閾値を取得する(ステップS01)。
図1の実施形態の場合、閾値は、充電器20内の記憶部23にあらかじめ備えられていた充電パック10に対応した劣化指数の値であり、本実施形態の場合は、第1の閾値と第2の閾値とを取得する。
第1の閾値は、二次電池11の劣化が進んでいるために、二次電池を満充電状態となるまで充電したとしてもマルチコプター30を一定の時間動作させることができる電池容量を実現できない状態であると判断される劣化指数の値である。また、第2の閾値は、二次電池11の劣化の度合いが、第1の閾値に到達したとして判断されるほどではないが、二次電池11の繰り返しの使用によって、近い将来満充電状態での電池容量がマルチコプター30を一定の時間動作させることができる状態とはならなくなると判断される劣化指数の値である。具体的な数値例としては、第1の閾値としての劣化指数を30%、第2の閾値としての劣化指数を10%とすることができる。なお、この数値は、一例であって、二次電池の種類や容量、二次電池の電圧値、想定される環境温度など二次電池が動作する動作環境、二次電池を動作電源とする電気機器の種類などによって、適宜設定される数値である。
次に、充放電制御部22は、電池パック10の電池制御部12から、現時点での二次電池11の劣化指数の値を取得する(ステップS02)。
本実施形態では、上述したように劣化指数検出部としての機能を果たす電池パック10内の電池制御部12が、例えば前回の充電時、放電時、または、充電器20が接続された時点での二次電池11の電圧値、その他の電気的特性値や充放電時の所要時間などの各種データに基づいて、その時点における二次電池11の劣化指数の値を検出してその値を充放電制御部22に伝達する。
なお、図2では、閾値の取得(ステップS01)の後に劣化指数の取得(ステップS02)が行われるように示しているが、この順序に制限はなく、劣化指数の取得の後に閾値の取得が行われても、また、閾値の取得と劣化指数の取得とが同時に行われてもよい。
次に、充放電制御部22は、取得された閾値と劣化指数の値との比較を行う。
まず、充放電制御部22は、劣化指数の値が第1の閾値を上回っているか否かを判断する(ステップS03)。
劣化指数の値が、第1の閾値よりも大きい場合には(ステップS03で「Yes」の場合)、二次電池11はすでに劣化が進んでいて今後充電を行って満充電状態としてもマルチコプター30を所定時間動作させることができる電池容量に到達しないと判断される状態である。このため、充放電制御部22は、充電回路部21の動作を停止して、または、充電回路部21と二次電池11とを接続する充電回路を切断して、二次電池11への充電を停止する(ステップS04)。
さらに、充放電制御部22は、充電器20の報知部24の警告ランプを点灯(一例として赤色連続点灯)させるなどして、ユーザに電池パック10の二次電池11が、劣化のため使用不可の状態であること、さらに、充電が行われていないことを報知する(ステップS05)。
劣化指数の値が、第1の閾値よりも大きくない場合(ステップS03で「No」の場合)は、充放電制御部22は、引き続いて劣化指数の値が第2の閾値より大きいか否かを判断する(ステップS06)。
劣化指数の値が第2の閾値よりも大きい場合(ステップS06で「Yes」の場合)、充放電制御部22は、充電対象となる二次電池11が現時点ではまだマルチコプター30を所定の時間動作させることは可能であるが、今後比較的早い時期にマルチコプター30を所定時間動作させることができない状態となり、二次電池11への充電が停止される事態となる状況であると判断する。
このとき、充放電制御部22は、充電器20の報知部24のランプを点灯させる(一例としてオレンジ色点灯、または、赤色点滅)などして、電池パック10の交換時期が近づいていることをユーザに報知する(ステップS07)。
二次電池11の劣化指数の値は、現時点ではマルチコプター30を所定の時間動作させることが可能である状態であるため、充放電制御部22は所定の充電プログラムに従って充電回路部21を動作させて二次電池11を満充電となるように充電する(ステップS08)。
なお、ステップS06において、二次電池11の劣化指数の値が第2の閾値を上回っていない場合(ステップS06で「No」の場合)には、充放電制御部22は、当該二次電池11は十分使用可能な正常な状態にあると判断し、正規の充電プログラムで二次電池11を充電する(ステップS08)。
以上のように、充放電制御部22は、二次電池11がマルチコプター30を所定の時間動作させることができる状態の場合には、二次電池11を充電してその動作を終了する。一方、二次電池11がマルチコプターを所定時間動作させることができない状態にまで劣化している場合には、充放電制御部22は、二次電池11への充電を行わずに二次電池11の充電制御を終了する。
このように、本実施形態にかかる二次電池の充電機構は、充電対象である二次電池の劣化度合いを劣化指数の値によって把握し、当該二次電池が、その二次電池を動作電源とする電気機器を所定の時間動作させることができない場合には、二次電池への充電自体を行わない。このため、本実施形態の充電機構では、充電完了となった二次電池を使用する限りにおいて、確実に電気機器を所定の動作時間動作させることができる。一方で、本実施形態にかかる充電機構では、二次電池の劣化が進んで当該二次電池を動作電源とする電気機器を所定の時間動作させることができない状態にある二次電池は充電されないため、このような二次電池を電源として装着しても電気機器を動作させることができない。この結果、例えば一定の距離の飛行が必要なマルチコプターにおいて、飛行途中に電池容量がなくなって墜落してしまうという不所望な事態が生じることを確実に防止することができる。
なお上記実施形態では、充放電制御部22が劣化指数の現状の値と比較する閾値の値を、対象の電池パック10によって使用される電気機器が所定の時間動作させることが可能であると判断できる劣化指数の値としてあらかじめ設定され、充電器20が備える記憶部23から取得する例を説明した。
しかし、充放電制御部が二次電池の充電または二次電池からの放電を制御するための判断に利用する第1の閾値と第2の閾値とは、充電器の記憶部に記憶されていた数値を取得するものに限られない。閾値を記憶する記憶部は、二次電池パック内に備えられていても、また、電気機器であるマルチコプターに備えられていてもよい。
さらに、図1に示したように、本実施形態の二次電池の充電機構では、マルチコプター30が動作時間判定部34を備えることで、充放電制御部22が行う充放電制御に用いられる閾値を、マルチコプターへのユーザの操作指示に対応して取得することができ、具体的には、ユーザが操作設定部33を用いて指示設定したマルチコプター30の動作内容から、動作時間判定部34が連続する動作時間である1回の飛行時間を判定し、判定された1回の飛行時間を確保できる電池容量値の観点から二次電池11の劣化指数の値を算出して、算出された劣化指数の値を第1の閾値とすることができる。このようにして、動作時間判定部34が判定算出した第1の閾値を、電池パック10の電池制御部12を介するなどして充電器20の充放電制御部22に送信して、充放電制御部22は、得られた第1の閾値を用いて図2に示した充放電制御を行うことができる。
このように、ユーザがマルチコプター30への動作指示を実際に行った場合に、その指示内容に応じた第1の閾値を用いて充放電制御部22が二次電池11への充電を制御することで、充電器20が備える記憶部23に設定された画一的な閾値を充放電制御に用いる場合と比較して、実際の動作内容に応じた二次電池11の充放電制御を行うことができ、二次電池11を効率よく使用することができるようになる。
また上記説明では、充放電制御部22が、二次電池11の劣化指数の値と第1の閾値に基づいて二次電池11への充電を停止す制御を行う例を説明したが、充放電制御部22が二次電池11からの放電を制御することも可能である。
具体的には、充放電制御部22が、二次電池11の劣化指数の値が第1の閾値より大きいと判断した場合(ステップS3で「Yes」の場合)は、電池パック10の電池制御部12に、二次電池11からの放電を停止するよう指示する信号を送信して、電池制御部12がこの指示を実行するように構成することができる。
この場合、仮に二次電池11が充電されたとしても当該二次電池11からの放電ができない状態となるため、二次電池11の充電が行われない場合と同様に、劣化が進んだ二次電池11を動作電源として用いたマルチコプター30が、動作の途中で二次電池11の容量が無くなって墜落してしまうという事態を確実に防止することができる。なお、充放電制御部22が、電池パック10内の電池制御部12を制御して二次電池11からの放電を停止させる構成とした場合には、二次電池11への充電課程での電圧値や充電時間などの最新のデータに基づいて算出された二次電池11の劣化指数の値に基づいてその放電を制御できるため、より現状に即した最新のデータによって二次電池11の制御を行うことができる。
[充電機構の変形例]
以下、本実施形態にかかる充電機構の変形例について説明する。
以下で説明する変形例の充電機構は、二次電池の充放電制御を行う充放電制御部が電池パック内に備えられている点が、充放電制御部が充電器内に配置された図1の場合の実施形態の充電機構と異なる。
図3は、本実施形態の変形例の充電機構の構成を示すブロック図である。
図3に示すように、変形例の充電機構では、電池パック10’内に、二次電池11、二次電池11の充放電を制御する充放電制御部13、第1の閾値と第2の閾値とを記憶する記憶部14、二次電池11の劣化をユーザに報知する報知部15が配置されている。
また、充電器20’内に、充電回路部21と充電回路制御部25が配置されている。
図3に示す変形例の充電機構において、マルチコプター30、マルチコプター30を操作するためのコントローラ40は、図1に示した実施形態にかかる充電機構と同じである。なお、図3において、図1に示した実施形態の構成と同じ部材には同じ符号を付与して、その詳細な説明は省略する。
図3に示す、変形例の充電機構の場合、二次電池11の充放電を制御する充放電制御部13、さらに、記憶部14や報知部15がいずれも電池パック10’内に配置されているため、図2で示した充放電制御の主要部分を電池パック10’のみにおいて行うことができる。
より具体的には、図3に示す変形例の充電機構において、電池パック10’の充放電制御部13は、二次電池11の劣化度合いを劣化指数として取得する機能、劣化指数の値と記憶部に記憶されていた第1の閾値と第2の閾値とを取得する機能、さらに、取得した劣化指数の値と第1の閾値と第2の閾値との大小とを比較して、二次電池11への充電電流の供給や二次電池11からの放電電流の供給を停止する機能、二次電池11の劣化度合いや二次電池11が使用できない状態であることを報知部15によってユーザに報知する機能を果たすことができる。
なお、充放電制御部13に、電池制御ICとして汎用化されている、二次電池11の温度などの状態を検知する二次電池状態検知回路、二次電池の充電と放電とを制御する制御回路、電池保護回路、出力電圧の変換回路、残量検知回路などの機能を果たす電気回路が適宜組み込まれる場合もある。
一方、図3に示す変形例の充電機構の場合は、充電器20’に備えられた充電回路制御部25は、充電回路部21を制御して、たとえば、定電流充電を行った後に定電圧充電が行われるという充電プログラムにしたがった充電や、充電開始時点での電池電圧が所定の値よりも低い場合の予備充電を行うなどの、二次電池11をより適切に充電するための充電回路部21の制御のみを行う。なお、充電器20’は、充電器20’自体の動作や、充電器20’と電池パック10’との接続状態などを報知する報知機能を備えることができる。
また、図3に示した変形例の充電機構の場合においても、充放電制御部13が二次電池11の劣化度合いに基づいてその充放電の制御を行う第1の閾値として、マルチコプター30の動作時間判定部34により算出された値を用いることができる。
さらに、図3に示した変形例の充電機構の場合には、マルチコプター30に搭載された状態で二次電池11の劣化度合いに応じた充放電の制御を行うことができるため、最後に二次電池11を充電した際の各種特性値に基づいた最新の状態の数値として検出された劣化指数の値を用いた充放電制御を行うことができる。
このようにして、図3に示した変形例の充電機構においても、二次電池の劣化度合いに応じて二次電池への充電や二次電池からの放電を停止することができるため、二次電池を動作電源として用いる電気機器が所定の時間の動作を行うことができず、動作の途中で電池容量が無くなって不所望に停止してしまうという不測の事態を確実に防止することができる。
[二次電池の充電装置]
次に、本実施形態にかかる二次電池の充電装置について説明する。
本実施形態にかかる充電装置は、図2を用いて説明した二次電池の充電制御を行う充電装置であり、充電器として実現できる。
図4は、本実施形態にかかる充電装置としての充電器の構成を示すブロック図である。
図4に示すように、本実施形態の充電器50は、電気機器70の動作電源である二次電池61を充電する充電器であって、充電回路部51、充放電制御部52、劣化情報受信部53、記憶部54、報知部55を備えている。
充電回路部51は、充電器50に接続された電池パック60内に配置されている二次電池61を充電する充電電圧や充電電流を供給する電源回路部である。なお、充電回路部51の具体的な構成は、上記本実施形態の充電機構において説明した充電回路部21と同様である。
充放電制御部52は、充電回路部51を制御して、所定の充電プログラムにしたがって二次電池61を満充電状態とするとともに、図2に示したフローチャートにしたがって、二次電池61の劣化度合い示す劣化指数の値と所定の閾値とを比較して、二次電池61が電気機器70を所定の時間動作させることができない状態である場合には、二次電池61の充放電を停止する制御を行う。充放電制御部52の具体的な構成、二次電池61の劣化指数の値と、第1の閾値、第2の閾値とを用いた充放電の制御の内容は、上記本実施形態の充電機構において説明した充放電制御部22のものと同様である。
劣化情報受信部53は、充電器50に接続された電池パック60内に配置された電池制御部62と接続されて、電池制御部62が備える劣化情報検出部としての機能によって得られた充電対象である二次電池61の現時点での劣化状態を劣化指数として受信する。充電器50の充放電制御部52は、劣化情報受信部53から受信した二次電池61の劣化指数の値に基づいて、上述の充放電制御を行う。
記憶部54は、充放電制御部52が行う充放電制御に使用される第1の閾値と、第2の閾値とを記憶している。記憶部54の具体的な構成、記憶部54が記憶する第1の閾値と第2の閾値の内容は、上記本実施形態の充電機構において説明した記憶部23の構成と記憶部23に記憶された閾値の内容と同様である。
報知部55は、LEDランプや表示パネル、音声手段などを用いて、ユーザに対して二次電池61の劣化度合いを報知する部材である。報知部55の構成、二次電池61の劣化度合いによる具体的な報知方法については、上記本実施形態の充電機構において説明した報知部24のものと同様である。
このように、本実施形態の充電器50は、電気機器70の動作電源として用いられる二次電池61を充電するとともに、二次電池61の劣化度合いを劣化指数として把握して、この二次電池61の劣化指数の値と予め設定された閾値との大小を比較することで、二次電池61が電気機器70を一定の時間動作させることができない程度にまで劣化している場合には、二次電池61への充電、または、二次電池からの放電を停止させるという充放電制御を行う。
このため、本実施形態にかかる充電器を用いて充電することで、二次電池を動作電源とする電気機器が、その動作の途中で不所望に停止してしまうという不測の事態を確実に防止することができる。
なお、図4で示した充電器の実施形態において、充電器50が二次電池61の劣化指数の値を、劣化情報受信部53を介して取得する構成について説明した。しかし、本実施形態の充電器50は、充電対象の二次電池61の劣化指数を検出する劣化指数検出部を自身の内部に備え、二次電池61が充電のために接続された際に、二次電池61の電圧値や二次電池61を充電する課程での電気的特性などの数値情報に基づいて、二次電池61の劣化指数の値を自ら取得することができる構成とすることができる。
また、充放電制御部による充放電制御に用いられる第1の閾値、第2の閾値について、上記実施形態では、充電器50内部に配置された記憶部54に記憶された値を用いる例を示した。しかし、充放電制御に用いられる閾値は、電池パック60や電気機器70の内部の記憶手段に記憶されていた値を用いることができる。また、上述の充電機構の実施形態として示したように、電気機器に実際のユーザの設定に応じて閾値を算出することができる動作時間判定部を設けて、この動作時間判定部によって得られた閾値を用いて二次電池61の充放電制御を行うことができる。
[二次電池パック]
次に、本実施形態にかかる二次電池パックについて説明する。
本実施形態にかかる二次電池パックは、図2を用いて説明した二次電池の充電制御を行うことができる電池パックである。
図5は、本実施形態にかかる二次電池パックとしての電池パックの構成を示すブロック図である。
図5に示すように、本実施形態の電池パック80は、電気機器100の動作電源である二次電池81、充放電制御部82、充放電制御を行う際に用いられる二次電池の劣化状態を劣化指数として検出する劣化指数検出部83、二次電池81の充放電制御を行う際に用いる閾値を記憶する記憶部84、さらに報知部85を備えており、二次電池81を充電する充電器90からの充電電流により充電される。
二次電池81は、一例としてリチウムイオン電池であり、所定の電圧値と電流容量値とを備え、電気機器100の動作電源として機能する。
充放電制御部82は、二次電池81の劣化度合いを劣化指数として取得する劣化指数検出部83としての機能を備えている。さらに、充放電制御部82は、劣化指数の値と記憶部84に記憶されていた第1の閾値と第2の閾値とを取得する機能、さらに、取得した劣化指数の値と第1の閾値と第2の閾値との大小とを比較して、二次電池81への充電電流の供給や二次電池81からの放電電流の供給を停止する機能、二次電池81の劣化度合いや二次電池81が使用できない状態であることを報知部85によってユーザに報知する機能を果たすものである。なお、充放電制御部82に、電池制御ICとして汎用化されている、二次電池81の温度などの状態を検知する二次電池状態検知回路、二次電池の充電と放電とを制御する制御回路、電池保護回路、出力電圧の変換回路、残量検知回路などの機能を果たす電気回路が適宜組み込まれる場合もある。
このように、充放電制御部82の具体的な構成、図2のフローチャートに示した二次電池81の劣化指数の値と、第1の閾値、第2の閾値とを用いた充放電の制御の内容は、上記本実施形態の充電機構において説明した電池パック10’内の充放電制御部13と同様である。
記憶部84は、二次電池81が動作させる電気機器100の動作状態に対応して、電気機器100を所定の時間動作することができなくなる劣化指数の値である第1の閾値と、二次電池81の劣化が進んだことをユーザに報知すべき基準の劣化指数の値である第2の閾値とを記憶している。具体的に、記憶部84は、上記本実施形態の充電機構において説明した電池パック10’内の記憶部14と同様のものである。
報知部85は、ランプや表示パネル、音声手段などによって、二次電池81の劣化状態をユーザに報知可能とする部材である。報知部85の構成、二次電池81の劣化度合いによる具体的な報知方法については、上記本実施形態の充電機構において説明した報知部15と同様である。
なお、図5に示す電池パックの実施形態において、充電器90の充電回路制御部は、図3に示した充電機構の変形例における充電回路制御部25と同様であり、充電回路部を制御して、たとえば、定電流充電を行った後に定電圧充電が行われるという充電プログラムにしたがった充電や、充電開始時点での電池電圧が所定の値よりも低い場合の予備充電を行うなどの、二次電池81をより適切に充電するための制御を行う。
また、図5に示した電池パック80の場合においても、充放電制御部82が二次電池81の劣化度合いに基づいてその充放電の制御を行う第1の閾値として、電気機器100に実際のユーザの設定に応じて閾値を算出することができる動作時間判定部を設けて、この動作時間判定部によって得られた閾値を用いて二次電池81の充放電制御を行う構成とすることができる。
以上説明したように、本実施形態にかかる二次電池の充電機構、二次電池充電装置、二次電池パックは、いずれも、充電対象の二次電池の劣化度合いを劣化指数の値として検出するとともに、当該二次電池が駆動する電気機器が所定の時間動作できなくなると判断される劣化指数の値を第1の閾値として取得する。そして、充放電制御部が、劣化指数の値と第1の閾値とを比較して、二次電池の劣化が電気機器を所定の時間動作させることができなくなるまで進んでいる場合には、二次電池への充電、または、二次電池からの放電を停止するように制御する。このため、本実施形態にかかる二次電池の充電機構、または、二次電池の充電装置で充電した二次電池、ならびに、本実施形態にかかる二次電池パックを用いることによって、電気機器がその動作の途中で不所望に停止してしまうという不測の事態を確実に回避することができる。
なお、上記実施形態において、二次電池の使用の可否を判断するための第1の閾値に加えて、第2の閾値を用いて二次電池の劣化が進んでその交換時期が近づいていることをユーザに報知する構成について説明した。しかし、本願で開示する二次電池の充電機構、充電装置、二次電池パックにおいて、第2の閾値を用いた警告を行うことは必須の要件ではない。また、第1の閾値、第2の閾値に加えて、さらに一つまたは複数個の閾値を用いて、ユーザに二次電池の劣化の進行度合いをより詳細に報知する構成とすることができる。
また、上記実施形態において、充放電制御部によって行われた二次電池の劣化度合いの判別結果にしたがった充放電制御として、二次電池への充電、または、二次電池からの放電のいずれか一方を停止する場合について説明した。しかし、本願で開示する二次電池の充放電制御としては、二次電池への充電と二次電池からの放電とを同時に停止するような制御を行うことができる。
なお、上記実施の形態では、一定の時間動作する電気機器としてマルチコプターの例を例示した。本願で開示する、二次電池の制御機構、二次電池の充電装置、二次電池パックの対象となる二次電池が動作電源として用いられる電気機器として、マルチコプターには限られず、例えば、陸上を走行するものや水中を移動可能なものなど、災害時などに対応する機器を含めた各種の遠隔操作機器を用いることができる。さらには、身体の不自由な人などの階段の昇降を補佐する昇降機、介護を受けている人の入浴などを助ける補助機器、屋外や電源停止時などの非常時に用いられる医療機器、心臓ペースメーカーや補聴器などの身体に障害を持つ人の機能を補助する医療機器など、用いられる二次電池の大きさや電流値などに関係なく、一旦動作が開始された場合には、一連の動作が完了しない状態で電池の容量不足で動作が停止してしまっては困る各種電気機器を採用することができる。