以下、本発明による制御ユニット、電動パワーステアリング装置、および、ステアリングシステムを図面に基づいて説明する。以下、複数の実施形態において、実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
(第1実施形態)
第1実施形態による制御ユニット、電動パワーステアリング装置、および、ステアリングシステムを図1〜図15に示す。電動パワーステアリング装置901を備えるステアリングシステム90を図1に示す。ステアリングシステム90は、操舵部材としてのステアリングホイール91、ステアリングシャフト92、ピニオンギア96、ラック軸97、車輪98、および、電動パワーステアリング装置901等を備える。
ステアリングホイール91は、ステアリングシャフト92と接続される。ステアリングシャフト92には、ステアリングシャフト92に入力されるトルクを検出するセンサ部としてのトルクセンサ30が設けられる。ステアリングシャフト92の先端には、ピニオンギア96が設けられる。ピニオンギア96は、ラック軸97に噛み合っている。ラック軸97の両端には、タイロッド等を介して一対の車輪98が設けられる。
運転者がステアリングホイール91を回転させると、ステアリングホイール91に接続されているステアリングシャフト92が回転する。ステアリングシャフト92の回転運動は、ラックアンドピニオンにより、ラック軸97の直線運動に変換され、ラック軸97の変位量に応じた角度に一対の車輪98が操舵される。
ステアリングシャフト92は、ステアリングホイール91と接続される第1軸93およびピニオンギア96と接続される第2軸94を有し、第1軸93と第2軸94とは図示しないトーションバーで接続される。トルクセンサ30は、トーションバーの捻れ変位に応じた磁界の変化を検出する。トルクセンサ30は、ハーネス39を経由して、ECU45と接続される。本実施形態では、ハーネス39を経由して接続されるトルクセンサ30およびECU45を、制御ユニット46とする(図6参照)。
電動パワーステアリング装置901は、トルクセンサ30、および、駆動装置40等を備える。電動パワーステアリング装置901は、トルクセンサ30から取得される操舵トルクに係る信号S1、S2や、車両通信網195、295(図2参照)から取得される車速等の信号に基づき、ステアリングホイール91の操舵を補助するための補助トルクをモータ80から出力する。モータ80から出力されたトルクは、動力伝達部910を介してラック軸97に伝達される。本実施形態のモータ80は、EPSモータである。
動力伝達部910は、ベルトドライブ機構で構成され、出力軸911、ベルト912、ベアリング913、および、ボールねじ914を有する。出力軸911は、モータ80のシャフト870(図3参照)と一体に回転する。出力軸911の回転は、ベルト912およびベアリング913を経由してボールねじ914に伝達され、ボールねじ914により直線運動に変換される。これにより、ラック軸97の直線運動をアシストする。すなわち、本実施形態の電動パワーステアリング装置901は、モータ80にて発生したトルクをラック軸97に伝達する、いわゆるラックアシストタイプ、詳細にはラックパラレルアシストタイプである。本実施形態では、ラック軸97が「駆動対象」に対応する。
図1〜図3に示すように、駆動装置40は、モータ80、および、コントローラ部としてのECU45を有する。モータ80は、運転者によるステアリングホイール91の操舵を補助する補助トルクを出力するものであって、電源であるバッテリ101、201から電力が供給されることにより駆動され、出力軸911を正逆回転させる。モータ80は、例えば3相ブラシレスモータであって、ステータ840およびロータ860を有する。
駆動装置40のシステム構成を図2に基づいて説明する。図2に示すように、モータ80は、第1モータ巻線180および第2モータ巻線280を有する。ここで、第1モータ巻線180、および、第1モータ巻線180に対応して設けられ、第1モータ巻線180の通電制御に係る第1インバータ回路120および第1制御部150等の組み合わせを第1系統L1とする。第2モータ巻線280、および、第2モータ巻線280に対応して設けられ、第2モータ巻線280の通電制御に係る第2インバータ回路220および第2制御部250等の組み合わせを第2系統L2とする。
以下、第1系統L1に係る構成を100番台で符番し、第2系統L2に係る構成を200番台で符番する。また、第1系統L1および第2系統L2において、同様の構成には、下2桁が同じとなるように符番し、説明を適宜省略する。図2において、第1モータ巻線180を「モータ巻線1」、第2モータ巻線280を「モータ巻線2」とする。後述の他の構成についても、図中、系統を示す「第1」を添え字の「1」、「第2」を添え字の「2」として記載する。
ECU45は、インバータ回路120、220、電源リレー122、222、および、制御部150、250等を備える。ECU45には、コネクタユニット50、電源コネクタ111、211、および、車両通信コネクタ112、212が設けられる。コネクタ111、112、211、212は、集合コネクタ462(図5参照)として一体に設けられているが、複数に分割されていてもよい。
第1電源コネクタ111は、第1バッテリ101に接続される。第1バッテリ101の電力は、第1電源コネクタ111、第1電源リレー122、第1インバータ回路120、および、第1モータリレー123を経由して、第1モータ巻線180に供給される。また、第1バッテリ101の電力は、第1制御部150および第1系統L1のセンサ類にも供給される。
第2電源コネクタ211は、第2バッテリ201に接続される。第2バッテリ201の電力は、電源コネクタ211、第2電源リレー222、第2インバータ回路220、および、第2モータリレー223を経由して、第2モータ巻線280に供給される。また、第2バッテリ201の電力は、第2制御部250および第2系統L2のセンサ類にも供給される。
バッテリ101、201は、同様のものであってもよいし、出力電圧等の性能が異なっていてもよい。バッテリ101、201とコネクタ111、211との間には、出力電圧等に応じてDCDCコンバータ等を設けてもよい。また、電源コネクタ111、211は、同一のバッテリに接続され、系統L1、L2にてバッテリを共用していてもよい。
第1車両通信コネクタ112は、第1車両通信網195に接続され、第2車両通信コネクタ212は、車両通信網295に接続される。車両通信コネクタ112、212は、同一の車両通信網に接続されてもよい。図2では、車両通信網195、295としてCAN(Controller Area Network)を例示しているが、CAN−FD(CAN with Flexible Data rate)やFlexRay等、どのような規格のものでもよい。コネクタユニット50は、トルクセンサ30と接続される。
トルクセンサ30は、磁気信号変換部31、エンコーダ132、232を有し、ステアリングシャフト92に入力される操舵トルクを検出する。磁気信号変換部31は、ステアリングシャフト92に入力されたトルクに応じたトーションバーの捻れ変位を磁気信号に変換する。
エンコーダ132、232は、磁気信号変換部31の検出信号を電気信号に変換する。第1エンコーダ132の信号S1は、コネクタユニット50、および、第1インターフェース回路133を経由して、第1制御部150に入力される。第2エンコーダ232の信号S2は、コネクタユニット50、および、第2インターフェース回路233を経由して、第2制御部250に入力される。インターフェース回路133、233には、ノイズフィルタが含まれる。
信号S1、S2は、いずれも操舵トルクに係る信号であって、冗長信号であるといえる。本実施形態では、2系統の冗長信号である信号S1、S2が、それぞれ、制御部150、250に入力される。なお、信号S1、S2は、完全に同一である必要はなく、制御部150、250側にて操舵トルクに換算可能な値を含んでいれば、操舵トルクに係る「冗長信号」とみなす。
第1インバータ回路120は、6つのスイッチング素子121(図4参照)を有する3相インバータであって、第1モータ巻線180へ供給される電力を変換する。第1インバータ回路120のスイッチング素子121は、第1制御部150から出力される制御信号に基づいてオンオフ作動が制御される。第2インバータ回路220は、6つのスイッチング素子221(図4参照)を有する3相インバータであって、第2モータ巻線280へ供給される電力を変換する。第2インバータ回路220のスイッチング素子221は、第2制御部250から出力される制御信号に基づいてオンオフ作動が制御される。
第1電源リレー122は、第1電源コネクタ111と第1インバータ回路120との間に設けられる。第1電源リレー122は、第1制御部150により制御され、オンのときに第1バッテリ101側と第1インバータ回路120側との間の通電が許容され、オフのときに第1バッテリ101側と第1インバータ回路120側との通電が禁止される。第2電源リレー222は、第2電源コネクタ211と第2インバータ回路220との間に設けられる。第2電源リレー222は、第2制御部250により制御され、オンのときに第2バッテリ201側と第2インバータ回路220側との間の通電が許容され、オフのときに第2バッテリ201側と第2インバータ回路220側との通電が禁止される。
第1モータリレー123は、第1インバータ回路120と第1モータ巻線180との間の各相に設けられる。第1モータリレー123は、第1制御部150により制御され、オンのときに第1インバータ回路120側と第1モータ巻線180との間の通電が許容され、オフのときに第1インバータ回路120側と第1モータ巻線180との間の通電が禁止される。第2モータリレー223は、第2インバータ回路220と第2モータ巻線280との間の各相に設けられる。第2モータリレー223は、第2制御部250により制御され、オンのときに第2インバータ回路220側と第2モータ巻線280との間の通電が許容され、オフのときに第2インバータ回路220側と第2モータ巻線280との間の通電が禁止される。
第1電流センサ125は、第1モータ巻線180の各相に通電される電流を検出し、検出値を第1制御部150に出力する。第2電流センサ225は、第2モータ巻線280の各相に通電される電流を検出し、検出値を第2制御部250に出力する。第1回転角センサ126は、モータ80の回転角を検出し、第1制御部150に出力する。第2回転角センサ226は、モータ80の回転角を検出し、第2制御部250に出力する。
第1ドライバ回路140は、第1制御部150からの制御信号に基づき、第1インバータ回路120のスイッチング素子、第1電源リレー122、および、第1モータリレー123を駆動する駆動信号を各素子に出力する。第2ドライバ回路240は、第2制御部250からの制御信号に基づき、第2インバータ回路220のスイッチング素子、第2電源リレー222、および、第2モータリレー223を駆動する駆動信号を各素子に出力する。
第1制御部150は、デコーダ151、および、フィードバック制御部155等を有する。第2制御部250は、デコーダ251、および、フィードバック制御部255等を有する。
制御部150、250は、マイコン等を主体として構成され、内部にはいずれも図示しないCPU、ROM、RAM、I/O、及び、これらの構成を接続するバスライン等を備えている。ECU45における各処理は、ROM等の実体的なメモリ装置(すなわち、読み出し可能非一時的有形記録媒体)に予め記憶されたプログラムをCPUで実行することによるソフトウェア処理であってもよいし、専用の電子回路によるハードウェア処理であってもよい。後述の制御部160、260も同様である。
デコーダ151は、エンコーダ132から入力される電気信号である信号S1を、操舵トルクに応じた信号であって、各種演算に利用可能な操舵トルク信号にデコードする。デコーダ251は、エンコーダ232から入力される電気信号である信号S2を、操舵トルクに応じた信号であって、各種演算に利用可能な操舵トルク信号にデコードする。
フィードバック制御部155は、電流センサ125および回転角センサ126の検出値、車両通信網195から車両通信回路117を経由して取得される車速信号等の車両信号、ならびに、デコーダ151から取得される操舵トルク信号等に基づくフィードバック演算を行い、スイッチング素子121の駆動を制御する制御信号を生成する。フィードバック制御部255は、電流センサ225および回転角センサ226の検出値、車両通信網295から車両通信回路217を経由して取得される車速信号等の車両信号、ならびに、デコーダ251から取得される操舵トルク信号等に基づくフィードバック演算を行い、スイッチング素子221の駆動を制御する制御信号を生成する。
駆動装置40の構成を図3〜図5に基づいて説明する。本実施形態の駆動装置40は、モータ80の軸方向の一方側にECU45が一体的に設けられており、いわゆる「機電一体型」である。ECU45は、モータ80の出力軸911(図1参照)とは反対側において、シャフト870の軸Axに対して同軸に配置されている。ECU45は、モータ80の出力軸911側に設けられていてもよい。機電一体型とすることで、搭載スペースに制約のある車両において、ECU45とモータ80とを効率的に配置することができる。
モータ80は、ステータ840、ロータ860、および、これらを収容するハウジング830等を備える。ステータ840は、ハウジング830に固定されており、モータ巻線180、280が巻回される。ロータ860は、ステータ840の径方向内側に設けられ、ステータ840に対して相対回転可能に設けられる。
シャフト870は、ロータ860に嵌入され、ロータ860と一体に回転する。シャフト870は、軸受835、836により、ハウジング830に回転可能に支持される。シャフト870のECU45側の端部は、ハウジング830からECU45側に突出する。シャフト870のECU45側の端部には、マグネット875が設けられる。
ハウジング830は、リアフレームエンド837を含む有底筒状のケース834、および、ケース834の開口側に設けられるフロントフレームエンド838を有する。ケース834とフロントフレームエンド838とは、ボルト等により互いに締結されている。リアフレームエンド837には、リード線挿通孔839が形成される。リード線挿通孔839には、モータ巻線180、280の各相と接続されるリード線181、281が挿通される。リード線181、281は、リード線挿通孔839からECU45側に取り出され、基板470に接続される。
ECU45は、カバー460、カバー460に固定されているヒートシンク465、ヒートシンク465に固定されている基板470、および、基板470に実装される各種の電子部品等を備える。
カバー460は、外部の衝撃から電子部品を保護したり、ECU45の内部への埃や水等の浸入を防止したりする。カバー460は、カバー本体461、集合コネクタ462、および、後述の第1コネクタ部51が一体に形成される。なお、集合コネクタ462および第1コネクタ部51の少なくとも一方は、カバー本体461と別体であってもよい。集合コネクタ462の端子463は、図示しない配線等を経由して基板470と接続される。なお、端子数は、信号数等に応じて適宜変更可能である。集合コネクタ462および第1コネクタ部51は、駆動装置40の軸方向の端部に設けられ、モータ80と反対側に開口する。
基板470は、例えばプリント基板であり、リアフレームエンド837と対向して設けられる。基板470には、2系統分の電子部品が系統ごとに独立して実装されており、完全冗長構成をなしている。本実施形態では、1枚の基板470に電子部品が実装されているが、複数枚の基板に電子部品を実装するようにしてもよい。
基板470の2つの主面のうち、モータ80側の面をモータ面471、モータ80と反対側の面をカバー面472とする。図4に示すように、モータ面471には、インバータ回路120を構成するスイッチング素子121、インバータ回路220を構成するスイッチング素子221、回転角センサ126、226、カスタムIC159、259等が実装される。回転角センサ126、226は、マグネット875の回転に伴う磁界の変化を検出可能なように、マグネット875と対向する箇所に実装される。カスタムIC159、259には、それぞれ、インターフェース回路133、233およびドライバ回路140、240等が含まれる。
カバー面472には、コンデンサ128、228、インダクタ129、229、および、制御部150、250を構成するマイコン等が実装される。図4では、制御部150、250を構成するマイコンについて、それぞれ「150」、「250」を付番した。コンデンサ128、228は、バッテリ101、201から入力された電力を平滑化する。また、コンデンサ128、228は、電荷を蓄えることで、モータ80への電力供給を補助する。コンデンサ128、228、および、インダクタ129、229は、フィルタ回路を構成し、バッテリ101、201を共用する他の装置から伝わるノイズを低減するとともに、駆動装置40からバッテリ101、201を共用する他の装置に伝わるノイズを低減する。なお、図4中には図示を省略しているが、電源リレー122、222、モータリレー123、223、および、電流センサ125、225等についても、モータ面471またはカバー面472に実装される。
図6に示すように、コネクタユニット50は、第1コネクタ部51、第2コネクタ部61、および、シール部材70(図10等参照)を有する。本実施形態では、第1コネクタ部51がオスコネクタであり、第2コネクタ部61がメスコネクタである。図6においては、駆動装置40を簡略化して記載しており、集合コネクタ462等は省略した。図16〜図19、図21についても同様である。
第1コネクタ部51は、ECU45のカバー本体461と一体に設けられる。第2コネクタ部61は、ハーネス39の先端に設けられている。ハーネス39の第2コネクタ部61と反対側の端部は、トルクセンサ30と一体に設けられる。第1コネクタ部51と第2コネクタ部61とを接続することで、トルクセンサ30とECU45との間での信号伝達が可能となり、トルクセンサ30からの信号S1、S2をECU45に送信可能となる。本実施形態では、2系統分の信号S1、S2を送信する信号線が、1本のハーネス39の内部に設けられる。
図7〜図9に第1コネクタ部51、図10〜図12に第2コネクタ部61を示す。図7〜図9に示すように、第1コネクタ部51は、ハウジング52およびオス端子56等を有する。本実施形態では、ハウジング52が「オスコネクタハウジング」に対応する。ハウジング52は、カバー本体461と一体に形成される。ハウジング52は、樹脂等で形成され、外壁面521には、ロック部53が立設される。
ハウジング52には、先端側に開口する2つの端子収容室55が形成される。端子収容室55の間には、仕切り部54が形成される。ハウジング52の周壁部525の先端面と、仕切り部54の先端面とは、同一平面上となるように形成される。なお、「同一平面上」とは、製造誤差程度は許容されるものとする。
本実施形態では、トルクセンサ30からの信号S1、S2は2系統であり、端子収容室55は、それぞれの系統に対応するように、2つ形成されている。すなわち、信号S1は、一方の端子収容室55に形成されるオス端子56を経由して入力され、信号S2は、他方の端子収容室に形成されるオス端子56を経由して入力される。
オス端子56は、基端側がハウジング52に埋設され、先端側が端子収容室55内に突出する。本実施形態では、1つの端子収容室55に4本のオス端子56が設けられている。すなわち本実施形態では、1系統につき、4本のオス端子56が設けられる。端子数は、信号数に応じて、いくつであってもよい。後述のメス端子66も同様である。
芯線57は、オス端子56の基端側に接続される。芯線57は、オス端子56との接続箇所を除き、被覆部571にて被覆される。芯線57のオス端子56と接続される側と反対側の端部は、ハウジング52から取り出され、基板470と接続される。芯線57とハウジング52との間には、弾性材で形成される止水部材58が設けられる。
図10〜図12に示すように、第2コネクタ部61は、ハウジング62およびメス端子66等を有する。本実施形態では、ハウジング62が「メスコネクタハウジング」に対応する。ハウジング62は、ハウジング本体621およびロック部形成部628を有する。ハウジング本体621は、樹脂等で有底筒状に形成される。ロック部形成部628は、樹脂等で形成され、ハウジング本体621の一方の幅広面およびハーネス39と接続される側を覆うように、ハウジング本体621に固定される。ロック部形成部628には、ロック部63が形成される。
端子形成部65は、ハウジング本体621と一体に形成されている。2つの端子形成部65は、ハウジング本体621の周壁部625の内側に、2股に形成されている。端子形成部65の端面は、周壁部625の先端面と同一平面上となるように形成される。2つの端子形成部65の間、および、端子形成部65と周壁部625との間には、第1コネクタ部51のハウジング52の先端側が挿入される嵌合溝626が形成される。2つの端子形成部65間の溝部627には、仕切り部54が挿入される。
メス端子66は、端子形成部65に埋設されている。本実施形態では、1つの端子形成部65に4本のメス端子66が設けられる。端子形成部65は、メス端子66の先端側に開口651が形成される。第1コネクタ部51と第2コネクタ部61とが接続されると、オス端子56の先端は、開口651に挿入されて、メス端子66と当接する。これにより、オス端子56とメス端子66とが電気的に接続される。
芯線67は、メス端子66の基端側に接続される。芯線67は、メス端子66との接続箇所を除き、被覆部671にて被覆される。芯線67のメス端子66と接続される側と反対側の端部は、ハウジング62から取り出され、ハーネス39の内部に設けられる。芯線67とハウジング62との間には、弾性材で形成される止水部材68が設けられる。
シール部材70は、端子形成部65ごとに設けられる。矢印Asで示すように、シール部材70は、端子形成部65の外周側に嵌め込まれる。
第1コネクタ部51と第2コネクタ部61との接続について、図13および図14に基づいて説明する。図13は、図9および図11に対応する断面図であり、図14は図10および図12に対応する断面図である。
図13および図14に示すように、第1コネクタ部51は、第2コネクタ部61の嵌合溝626に挿入される。このとき、端子形成部65は、それぞれ、対応する系統の端子収容室55に挿入される。これにより、オス端子56とメス端子66とは、仕切り部54にて系統ごとに間仕切られた空間にて、電気的に接続される。
シール部材70は、ゴム等の弾性材にて形成され、第1コネクタ部51と第2コネクタ部61との間に設けられる。図15は、シール部を拡大した模式図である。図15に示すように、シール部材70は、第1コネクタ部51が挿入されていない状態にて、第2コネクタ部61の端子形成部65の外周に嵌め込まれている。第1コネクタ部51が第2コネクタ部61の嵌合溝626に挿入されると、シール部材70は、ハウジング52の内壁面522または仕切り部54の側壁面542と端子形成部65の周壁面652との間にて、面接触にて、嵌合時の応力Fにより、潰れ代Agの分、押し潰される。これにより、第1コネクタ部51と第2コネクタ部61との間の隙間が埋められ、オス端子56とメス端子66との接続部が気密状態となる。したがって、矢印Awで示すように、外部からの浸水から、端子56、66の接続部が守られる。
また、第1コネクタ部51のロック部53は、開口側が低くなる傾斜面531、および、開口と反対側にて、ハウジング52の外壁面521に略垂直に形成される係止面532を有し、側面視略台形状に形成される(図8参照)。第1コネクタ部51が第2コネクタ部61に挿入されるとき、傾斜面531が第2コネクタ部61のロック部63をスライドする。そして、係止面532がロック部63に係止されることで第1コネクタ部51が第2コネクタ部61に挿入された状態にて、スナップフィット固定される。本実施形態では、保持角が略90°にてロック状態となるため、第1コネクタ部51と第2コネクタ部61とは、着脱不能となる。これにより、シール部材70の弾性力にて第1コネクタ部51が押し戻されて嵌合が外れるのを防止し、オス端子56とメス端子66との接続部の気密状態が半永久的に維持される。換言すると、系統毎に配線が密閉された状態が維持される。
本実施形態では、端子収容室55および端子形成部65が系統毎に設けられており、それぞれにシール部材70が設けられる。すなわち、信号S1、S2の経路毎に、独立して防水性が確保されている、といえる。そのため、仮に、一方の系統の端子収容室55が浸水し、例えばピン間ショート等の異常が生じたとしても、他方の系統の端子収容室55への浸水を防ぐことができるので、両系統が共に浸水する確率を低減することができる。本実施形態では、操舵トルクに係る信号S1、S2を用いてモータ80の駆動を制御している。そのため、トルクセンサ30からの信号S1、S2が共に利用できない場合、適切なアシスト制御ができないため、モータ80の駆動を停止し、マニュアルステアとなる。本実施形態では、一方の系統が浸水したとしても、他方の系統が浸水していなければ、トルクセンサ30からの信号S1、S2のいずれか一方が利用可能であるので、操舵トルクに基づいてモータ80を駆動し、操舵のアシストを継続することができる。
本実施形態では、第1コネクタ部51において、仕切り部54を設けることで、同一のハウジング52内にて、独立した2つの端子収容室を形成している。また、第2コネクタ部61において、同一のハウジング62内にて、端子形成部65を2股にしている。そして、第1コネクタ部51を第2コネクタ部61に挿入することで、系統ごとに独立した空間にて、オス端子56とメス端子66とを接続している。これにより、系統毎にコネクタユニットを別途に設ける場合と比較し、部品点数の増加や、装置の大型化を防ぐことができる。また、系統毎の接続の独立性を確保しつつ、トルクセンサ30の信号が1系統である場合と同等の車両搭載性を確保することができる。
以上説明したように、本実施形態の制御ユニット46は、ECU45と、第1コネクタ部51と、第2コネクタ部61と、複数のシール部材70と、ロック部53、63と、を備える。ECU45は、モータ巻線180、280を有するモータ80の電力を変換するインバータ回路120、220、および、インバータ回路120、220を構成するスイッチング素子121、221のオンオフ作動を制御する制御部150、250を有する。
第1コネクタ部51は、ECU45に設けられる。第2コネクタ部61は、ハーネス39を経由してトルクセンサ30と接続され、第1コネクタ部51と嵌まり合う。シール部材70は、第1コネクタ部51と第2コネクタ部61との間に設けられる。ロック機構を構成するロック部53、63は、第1コネクタ部51と第2コネクタ部61とが嵌まり合っている状態にて固定する。
第1コネクタ部51または第2コネクタ部61は、一方がオスコネクタであり、他方がメスコネクタである。本実施形態では、第1コネクタ部51がオスコネクタであり、第2コネクタ部61がメスコネクタである。ここで、コネクタ部51、61に付された「第1」、「第2」は、コネクタユニット50を構成する2つの部材を区別するものであって、系統を区別するものとは異なることを補足しておく。第5実施形態のセンサコネクタユニット300についても同様である。
第1コネクタ部51は、ハウジング52の内部にて、オス端子56が設けられる端子収容室55が、仕切り部54により、複数に区画されている。第2コネクタ部61は、メス端子66が埋設され、端子収容室55のそれぞれに挿入される端子形成部65が、ハウジング62の内部にて分割されている。シール部材70は、端子収容室55ごとに設けられる。
本実施形態では、ハウジング52、62の内部にて、端子収容室55および端子形成部65が、複数、独立しており、シール部材70がそれぞれの端子収容室55に設けられている。これにより、例えば一部のシール部材70の破損等により一部の端子収容室55が浸水したとしても、他の端子収容室55への浸水を防ぐことができ、コネクタユニット50の防水性を確保することができる。また、コネクタハウジングを複数設ける場合と比較し、駆動装置40の体格の大型化や部品点数の増加を最小限に抑えることができる。
シール部材70は、ハウジング52の内壁面522または仕切り部54の側壁面542と、端子形成部65の周壁面652との間に設けられる。シール部材70は、面接触にて押し潰されることで、端子56、56の接続箇所の気密状態を適切に保つことができる。
トルクセンサ30は、冗長的な複数系統の信号S1、S2を出力可能である。端子収容室55および端子形成部65は、トルクセンサ30からの信号S1、S2の系統毎に設けられる。これにより、信号の多系統化に伴う体格の大型化を抑えつつ、浸水により全系統の信号が利用できなくなるのを防ぐことができる。
モータ80は、複数組のモータ巻線180、280を有する。インバータ回路120、220および制御部150、250は、モータ巻線180、280毎に設けられる。トルクセンサ30から出力される信号は、系統毎に対応する制御部150、250に入力される。これにより、一方の系統に異常が生じた場合であっても、他方の系統を用いてモータ80の駆動を継続することができる。
トルクセンサ30と第2コネクタ部61とを接続するハーネス39は、トルクセンサ30と一体に設けられている。これにより、トルクセンサ30からの信号は、ハーネス39を経由して、ECU45に適切に送信される。
トルクセンサ30は、操舵トルクを検出するトルクセンサである。これにより、操舵トルクに係る信号S1、S2を適切にECU45に入力することができる。
電動パワーステアリング装置901は、制御ユニット46と、ECU45と一体に設けられ、運転者による操舵をアシストするアシストトルクを出力するモータ80と、を備える。これにより、一部の系統が浸水した場合であっても、他方の系統にて操舵のアシストを継続することができる。また、ECU45とモータ80とを一体に設けることで、駆動装置40の体格を小型化することができる。
ステアリングシステム90は、電動パワーステアリング装置901と、動力伝達部910と、運転者により操舵されるステアリングホイール91と、ステアリングシャフト92と、ピニオンギア96と、ラック軸97と、を備える。動力伝達部910は、モータ80から出力されたトルクを駆動対象であるラック軸97に伝達する。ステアリングシャフト92は、ステアリングホイール91と一体に回転する。ピニオンギア96は、ステアリングシャフト92の先端に設けられる。ラック軸97は、ピニオンギア96と噛み合い、ピニオンギア96の回転運動を直線運動に変換する。
モータ80は、ラック軸97に沿って設けられる。ここで、モータ80の軸線がラック軸97の軸線と平行に配置されている状態を、「モータがラック軸に沿って設けられる」とする。なお、「平行」とは、設置誤差程度のずれは許容されるものとする。以下の実施形態についても同様である。
動力伝達部910は、ベルトドライブ機構を有する。モータ80のトルクにより、ラック軸97の直線運動をアシストすることで、運転者による操舵を適切にアシストすることができる。また、駆動装置40が、例えばエンジンルーム内の地面に比較的近い箇所に配置され、水はね等により被水した場合であっても、防水性が確保されているので、アシスト制御を適切に継続することができる。
(第2実施形態)
第2実施形態を図16に基づいて説明する。図16に示すように、本実施形態のコネクタユニット500は、第1コネクタ部501、第2コネクタ部502、および、シール部材70を有する。図16〜図19および図21において、シール部材70の図示を省略する。本実施形態では、第1コネクタ部501が、第1実施形態の第2コネクタ部61と同様のメスコネクタであり、第2コネクタ部502が第1実施形態の第1コネクタ部51と同様のオスコネクタである。第1コネクタ部501と第2コネクタ部502との接続関係等の詳細は、上記実施形態と同様である。このように構成しても、上記実施形態と同様の効果を奏する。
(第3実施形態、第4実施形態)
第3実施形態を図17、第4実施形態を図18に示す。図17に示すように、第3実施形態の駆動装置41は、ECU45とモータ80とが別々に設けられており、機電接続ハーネス49で接続されている「機電別体型」である。すなわち、本実施形態の電動パワーステアリング装置901(図17および図18では不図示)は、制御ユニット46と、ECU45と機電接続ハーネス49で接続され、運転者による操舵をアシストするアシストトルクを出力するモータ80と、を備える。機電別体型とすることで、ECU45の配置の自由度が高まる。
本実施形態のコネクタユニット50は、第1実施形態と同様であり、第1コネクタ部51がオスコネクタであり、第2コネクタ部61がメスコネクタである。また、図18に示す第4実施形態のコネクタユニット500は第2実施形態と同様であり、第1コネクタ部501がメスコネクタであり、第2コネクタ部502がオスコネクタである。このように構成しても、上記実施形態と同様の効果を奏する。
(第5実施形態)
第5実施形態を図19および図20に示す。図20は、センサコネクタユニット300の横方向断面図である。上記実施形態のトルクセンサ30は、ハーネス39が一体に設けられているのに対し、第5実施形態のトルクセンサ30とハーネス39とは、センサコネクタユニット300を介して接続される。なお、図19および後述の図21においては、ECU45側の構成の記載を省略しているが、ECU側コネクタユニットや駆動装置は、上記のいずれの実施形態のものであってもよい。
センサコネクタユニット300は、第1センサコネクタ部310、第2センサコネクタ部320、および、シール部材330を有する。第1センサコネクタ部310と第2センサコネクタ部320とを接続することで、トルクセンサ30とハーネス39との間での信号伝達が可能となり、ハーネス39を経由して、トルクセンサ30からの信号S1、S2をECU45に送信可能となる。
第1センサコネクタ部310は、ハウジング312およびセンサ側オス端子316等を有する。ハウジング312は、トルクセンサ30と一体に形成され、外周面にはロック部313が形成される。ハウジング312には、先端側に開口する2つのセンサ側端子収容室315が形成される。
センサ側オス端子316は、センサ側端子収容室315に突出する。センサ側オス端子316の基端側には、芯線317が接続される。芯線317のセンサ側オス端子316と接続される側と反対側の端部は、ハウジング312から取り出され、エンコーダ132、232と接続される。
第2センサコネクタ部320は、ハウジング322およびセンサ側メス端子326等を有する。ハウジング322には、ロック部323が形成される。2つのセンサ側端子形成部325は、ハウジング322と一体に形成される。換言すると、センサ側端子形成部325は、ハウジング322の周壁部の内側に、2股に形成されている。
センサ側メス端子326は、センサ側端子形成部325に埋設されている。センサ側メス端子326の基端側には、芯線327が接続される。芯線327のセンサ側メス端子326と接続される側とは反対側の端部は、ハウジング322から取り出され、ハーネス39の内部に設けられる。シール部材330は、センサ側端子収容室315ごとに設けられる。
第1センサコネクタ部310は、オスコネクタであって、第1実施形態の第1コネクタ部51と略同様であり、第2センサコネクタ部320は、メスコネクタであって、第1実施形態の第2コネクタ部61と略同様である。また、センサコネクタユニット300の接続形態は、第1実施形態のコネクタユニット50と同様であるので、詳細な説明を省略する。
制御ユニット46は、第1センサコネクタ部310と、第2センサコネクタ部320と、をさらに備える。第1センサコネクタ部310は、トルクセンサ30に設けられる。第2センサコネクタ部320は、ハーネス39により第2コネクタ部61と接続され、第1センサコネクタ部310と嵌まり合う。
本実施形態のように、トルクセンサ30とハーネス39とをセンサコネクタユニット300にて接続するようにしても、トルクセンサ30の信号をECU45側へ適切に出力することができる。
制御ユニット46は、複数のシール部材330と、センサコネクタロック部313、323と、をさらに備える。シール部材330は、第1センサコネクタ部310と第2センサコネクタ部320との間に設けられる。ロック部313、323は、第1センサコネクタ部310と第2センサコネクタ部320とが嵌まり合っている状態にて固定する。
第1センサコネクタ部310または第2センサコネクタ部320は、一方がオスコネクタであり、他方がメスコネクタである。本実施形態では、第1センサコネクタ部310がオスコネクタであり、第2センサコネクタ部320がセンサ側メス端子326を有するメスコネクタである。
第1センサコネクタ部310は、ハウジング312の内部にて、センサ側オス端子316が設けられるセンサ側端子収容室315がセンサ側仕切り部314により、複数に区画されている。第2センサコネクタ部320は、センサ側オス端子316と接続されるセンサ側メス端子326が埋設され、センサ側端子収容室315のそれぞれに挿入されるセンサ側端子形成部325がハウジング322の内部にて分割されている。
シール部材330は、センサ側端子収容室315ごとに設けられる。
本実施形態では、ハウジング312、322の内部で端子収容室315および端子形成部325が、複数、独立しており、シール部材330がそれぞれ設けられている。これにより、例えば一部のシール部材330の破損等により一部のセンサ側端子収容室315が浸水したとしても、他のセンサ側端子収容室315への浸水を防ぐことができ、センサコネクタユニット300の防水性を確保することができる。また、コネクタハウジングを複数設ける場合と比較し、トルクセンサ30の体格の大型化や部品点数の増加を最小限に抑えることができる。
本実施形態では、ハウジング312が「センサ側オスハウジング」、ハウジング322が「センサ側メスハウジング」に対応する。また、ロック部313、323が「センサコネクタロック部」に対応し、シール部材330が「センサコネクタシール部材」に対応する。なお、「センサ側端子収容室」等、センサコネクタユニット300に係る構成の名称に付された「センサ側」の文言については、配置関係を意味するものではなく、コネクタユニット50の構成と区別すべく付しているものであることを補足しておく。
(第6実施形態)
図21に示す第6実施形態のセンサコネクタユニット350は、トルクセンサ30と一体に設けられる第1センサ側コネクタユニット部351が、第1実施形態の第2コネクタ部61と同様のメスコネクタであり、ハーネス39側に設けられる第2センサコネクタ部352が、第2実施形態の第1コネクタ部51と同様のオスコネクタである。このように構成しても、上記実施形態と同様の効果を奏する。
(第7実施形態〜第10実施形態)
第7実施形態〜第10実施形態を図22〜図26に示す。第7実施形態〜第10実施形態は、ステアリングシステム90のバリエーションであって、機電一体型のものを例示するが、機電別体型としてもよい。また、コネクタユニット50に替えて、コネクタユニット550としてもよいし、センサコネクタユニット300に替えて、センサコネクタユニット350としてもよい。さらにまた、第1実施形態等のように、トルクセンサ30とハーネス39とが一体であってもよい。後述のステアバイワイヤシステムに係る実施形態についても同様である。
図22に示すように、第7実施形態では、動力伝達部920は、モータ80のトルクをラック軸97に伝達するボールねじ921を有する。本実施形態では、駆動装置40は、ラック軸97と同軸に設けられており、モータ80の回転は、ボールねじ921により直線運動に変換される。これにより、ラック軸97の直線運動をアシストする。すなわち、本実施形態の電動パワーステアリング装置901は、モータ80にて発生したトルクをラック軸97に伝達する、いわゆるラックアシストタイプ、詳細にはラック同軸アシストタイプである。本実施形態では、ラック軸97が「駆動対象」に対応する。
本実施形態では、コネクタユニット50は、ECU45の径方向外側を向いて設けられている。第1実施形態等においても、コネクタユニット50を、駆動装置40の軸方向端部に設けることに替えて、駆動装置40の径方向外側を向いて設けるようにしてもよい。また、図23に示すように、ECU45をモータ80と同軸に配置することに替えて、ECU45をモータ80の側方に設けるようにしてもよい。
図24に示すように、第8実施形態では、動力伝達部930は、モータ80のトルクをピニオンギア96に伝達するウォームギア931を有する。ウォームギア931のウォームは、モータ80により駆動され、ウォームホイールは、ピニオンギア96と一体に回転する。すなわち、本実施形態の電動パワーステアリング装置901は、モータ80にて発生したトルクをピニオンギア96に伝達する、いわゆるピニオンアシストタイプである。本実施形態では、ピニオンギア96が「駆動対象」に対応する。
図25に示すように、第9実施形態では、動力伝達部940は、ウォームギア941、および、ピニオン942を有する。ウォームギア941のウォームは、モータ80により駆動され、ウォームホイールは、ピニオン942と一体に回転する。これにより、モータ80のトルクは、ピニオン942に伝達される。ピニオン942は、ピニオンギア96とは別途に設けられており、ラック軸97に噛み合っている。すなわち、本実施形態の電動パワーステアリング装置901は、モータ80にて発生したトルクをピニオンギア96とは別途に設けられるピニオン942に伝達する、いわゆるデュアルピニオンアシストタイプである。本実施形態では、ラック軸97が「駆動対象」に対応する。
図26に示すように、第10実施形態では、駆動装置40は、モータ80の軸線がステアリングシャフト92の軸線と平行に配置される。動力伝達部950は、モータ80のトルクをステアリングシャフト92に伝達する減速機951を有する。モータ80の回転は、減速機951を経由してステアリングシャフト92に伝達される。すなわち、本実施形態の電動パワーステアリング装置901は、モータ80にて発生したトルクをステアリングシャフト92に伝達する、いわゆるコラムアシストタイプである。本実施形態では、ステアリングシャフト92が「駆動対象」に対応する。第7実施形態〜第10実施形態のように構成しても、上記実施形態と同様の効果を奏する。
(第11実施形態)
第11実施形態を図27〜図29に示す。上記実施形態では、制御ユニット46は、ステアリングシステム90に適用される。第11実施形態では、制御ユニット46は、ステアバイワイヤシステム970に適用される。
図27に示すように、ステアバイワイヤシステム970は、ステアリングホイール91、ステアリングシャフト971、ピニオンギア96、ラック軸97、車輪98、および、操舵装置975等を備える。操舵装置975は、反力モータ85、転舵モータ86、および、制御ユニット46等を有する。本実施形態の制御ユニット46は、コントローラ部として、上記実施形態のECU45に替えて、ECU450が設けられる。ECU450と反力モータ85とは、コネクタ451、ハーネス491およびコネクタ851を経由して接続される。ECU450と転舵モータ86とは、コネクタ452、ハーネス492およびコネクタ861を経由して接続される。
ステアリングホイール91は、ステアリングシャフト971の一端に接続される。ステアリングシャフト971には、ステアリングシャフト971に入力されるトルクを検出するトルクセンサ30が設けられる。ステアリングシャフト971の先端には、反力モータ85が設けられており、ステアリングシャフト971は、ラック軸97と分離されている。
反力モータ85は、運転者の操舵に応じた反力をステアリングホイール91に与えることで、運転者に適切な操舵フィーリングを与えるものである。反力モータ85は、例えば3相ブラシレスモータであって、第1モータ巻線185および第2モータ巻線285を有する(図28参照)。
転舵モータ86は、その回転により、車輪98の転舵角を制御する。転舵モータ86は、例えば3相ブラシレスモータであって、第1モータ巻線186および第2モータ巻線286を有する(図28参照)。本実施形態では、転舵モータ86の回転により、ピニオンギア96が回転する。ピニオンギアの回転運動は、ラックアンドピニオンにより、ラック軸97の直線運動に変換され、ラック軸97の変位量に応じた角度に一対の車輪98が転舵される。すなわち本実施形態のステアバイワイヤシステム970は、ピニオン駆動タイプである。
図28に示すように、反力モータ回転角センサ891は、反力モータ85の回転角を検出する。転舵モータ回転角センサ892は、転舵モータ86の回転角を検出する。ラックストロークセンサ893は、ラックストローク量を検出する。車速センサ894は、車両の走行速度を検出する。
反力モータ回転角センサ891、転舵モータ回転角センサ892、ラックストロークセンサ893および車速センサ894の検出値は、図示しないコネクタおよび配線等を経由して取得される。センサ891〜894の検出値は、センサがECU450の内部にあれば、内部的に取得すればよいし、車両通信網195、295(図28では不図示)等から通信にて取得してもよい。
ECU450は、図示しない基板、基板に実装される各種の電子部品、および、これらを収容する筐体等を備える。基板に実装される電子部品には、制御部160、260、および、インバータ回路167、168、267、268を構成するスイッチング素子等が含まれる。筐体には、コネクタユニット50が設けられる。コネクタユニット50の詳細は、上記実施形態と同様である。
第1制御部160は、デコーダ151、第1基本反力制御部161、第1反力補正部162、第1最終反力制御部163、および、第1転舵制御部165を有する。第2制御部260は、デコーダ251、第2基本反力制御部261、第2反力補正部262、第2最終反力制御部263、および、第2転舵制御部265を有する。図28では、制御部160、260は、それぞれ別途のマイコンにて構成されるが、図29に示すように、制御部160、260を1つのマイコン455にて構成するようにしてもよい。上述の制御部150、250についても同様である。なお、図28および図29では、デコーダ151、251の図示を省略した。
第1基本反力制御部161は、トルクセンサ30からの信号S1、反力モータ回転角センサ891の検出値、および、ラックストロークセンサ893の検出値等に基づき、反力モータ85に指令する基本反力Hb1を算出する。第2基本反力制御部261は、トルクセンサ30からの信号S2、反力モータ回転角センサ891の検出値、および、ラックストロークセンサ893の検出値等に基づき、反力モータ85に指令する基本反力Hb2を算出する。基本反力とは、基本的な状態量に基づく反力である。
反力補正部162、262は、転舵モータ回転角センサ892の検出値、および、ラックストロークセンサ893の検出値等に基づき、車両挙動の状態に応じた補正反力Hc1、Hc2を算出する。
第1最終反力制御部163は、第1基本反力制御部161にて演算された基本反力Hb1、および、第1反力補正部162にて演算された補正反力Hc1に基づき、反力モータ85がステアリングホイール91に与える最終反力Hf1を算出する。第2最終反力制御部263は、第2基本反力制御部261にて演算された基本反力Hb2、および、第2反力補正部262にて演算された補正反力Hc2に基づき、反力モータ85がステアリングホイール91に与える最終反力Hf2を算出する。
第1転舵制御部165は、トルクセンサ30からの信号S1、ラックストロークセンサ893の検出値、および、車速センサ894の検出値等に基づき、転舵トルクTb1を算出する。第2転舵制御部265は、トルクセンサ30からの信号S2、ラックストロークセンサ893の検出値、および、車速センサ894の検出値等に基づき、転舵トルクTb2を算出する。
第1反力インバータ回路167は、最終反力Hf1に基づいてオンオフ作動が制御される図示しないスイッチング素子を有し、反力モータ85の第1モータ巻線185の電力を変換する。第1転舵インバータ回路168は、転舵トルクTb1に基づいてオンオフ作動が制御される図示しないスイッチング素子を有し、転舵モータ86の第1モータ巻線186の電力を変換する。
第2反力インバータ回路267は、最終反力Hf2に基づいてオンオフ作動が制御される図示しないスイッチング素子を有し、反力モータ85の第2モータ巻線285の電力を変換する。第2転舵インバータ回路268は、転舵トルクTb2に基づいてオンオフ作動が制御される図示しないスイッチング素子を有し、転舵モータ86の第2モータ巻線286の電力を変換する。図中、反力インバータ回路を「INV_R」、転舵インバータ回路を「INV_T」と記載した。
本実施形態では、反力モータ85の第1モータ巻線185および転舵モータ86の第1モータ巻線186、ならびに、モータ巻線185、186に対応して設けられるインバータ回路167、168および制御部160等の組み合わせを第1系統とする。また、反力モータ85の第2モータ巻線285および転舵モータ86の第2モータ巻線286、ならびに、モータ巻線285、286に対応して設けられるインバータ回路267、268および制御部260等の組み合わせを第2系統とする。
本実施形態のステアバイワイヤシステム970は、トルクセンサ30、ECU450、反力モータ85および転舵モータ86が冗長構成となっている。また、トルクセンサ30とECU450との接続には、上記実施形態と同様のコネクタユニット50およびセンサコネクタユニット300を用いている。したがって、一方の系統が浸水したとしても、他方の系統が浸水していなければ、信号S1、S2のいずれか一方が利用可能であるので、操舵トルクに基づいてモータ85、86の駆動をすることで、車両のステアリング操作を継続することができる。
本実施形態のステアバイワイヤシステム970は、操舵部材であるステアリングホイール91と一体に回転するステアリングシャフトとラック軸97とが機械的に分離可能であって、ECU450と、ステアリングホイール91の反力を与える反力モータ85と、ステアリングホイール91の操舵に応じてラック軸97の駆動に伴って転舵される車輪98の転舵量を変更する転舵モータ86と、を備える。
ECU450は、反力モータ85および転舵モータ86と別体に設けられる。ECU450と反力モータ85とは、反力モータ接続ハーネス491で接続される。ECU450と転舵モータ86とは、転舵モータ接続ハーネス492で接続される。転舵モータ86は、ラック軸97と噛み合うピニオンギア96を駆動する。
コネクタユニット50は、本実施形態のようにステアバイワイヤシステム970にも適用可能であって、冗長化されているステアバイワイヤシステム970において、一部の系統が浸水した場合であっても、他の系統の防水性が確保されているので、車輪98の転舵制御を適切に継続することができる。また、上記実施形態と同様の効果を奏する。
(第12実施形態)
第12実施形態を図30に示す。本実施形態では、ピニオンギア96とは別途に、ラック軸97と噛み合うピニオンギア981が設けられる。ピニオンギア981は、転舵モータ87にて駆動される。すなわち本実施形態のステアバイワイヤシステム970は、デュアルピニオン駆動タイプである。
ECU450と転舵モータ87とは、コネクタ453、ハーネス493およびコネクタ871を経由して接続される。転舵モータ87は、転舵モータ86と同様、図示しない2組のモータ巻線を有しており、一方のモータ巻線への通電は第1制御部160にて制御され、他方のモータ巻線への通電は第2制御部260にて制御される。このように構成しても、上記実施形態と同様の効果を奏する。
(第13実施形態、第14実施形態)
第13実施形態を図31、第14実施形態を図32に示す。第13実施形態の転舵モータ86は、ラック軸97と同軸に設けられ、ボールねじ983を介してラック軸97を駆動する。すなわち本実施形態のステアバイワイヤシステム970は、ラック同軸タイプである。
第14実施形態の転舵モータ86は、モータ軸がラック軸97に沿って略平行に設けられ、ベルトドライブ984を介してラック軸97を駆動する。すなわち本実施形態のステアバイワイヤシステム970は、ラックパラレルタイプである。
第13実施形態および第14実施形態では、転舵モータ86は、ボールねじ983またはベルトドライブ984を介してラック軸97を駆動する。このように構成しても、上記実施形態と同様の効果を奏する。
(ステアバイワイヤシステムの変形例)
第11実施形態〜第14実施形態では、転舵モータ86、87とECU450とが別体である機電別体型のステアバイワイヤの例を説明した。図33〜図36に示すように、ステアバイワイヤシステム970は、転舵モータ88とECU450とが一体に設けられる機電一体型としてもよい。
図33はピニオン駆動タイプであり、図35はラック同軸タイプであり、図36はラックパラレルタイプであって、転舵モータ86とECU450とを機電一体に設けている。また、図34のように、デュアルピニオン駆動タイプの場合、2つの転舵モータ86、87に対し、それぞれECU450が設けられるようにしてもよい。図34では、トルクセンサ30に2つのコネクタユニット300を設けるものとして図示しているが、例えば、1つのコネクタユニットに、端子収容室55および端子形成部65(図34では不図示)を4つずつ形成することで、一体に形成してもよい。
変形例では、ECU450は、転舵モータ86、87と一体に設けられる。このように構成しても、上記実施形態と同様の効果を奏する。
(他の実施形態)
上記実施形態では、センサ部はトルクセンサである。他の実施形態では、センサ部は、コントローラ部の外部に設けられるトルクセンサ以外のセンサであってもよい。また、CAN等の車両通信網を「センサ部」とみなし、コネクタユニットを同様に形成してもよい。
上記実施形態では、センサ部から2系統の信号が入力される。他の実施形態では、センサ部から入力される信号の系統数は、3系統以上であってもよい。この場合、端子収容室および端子形成部は、系統数に応じた個数、設けられること望ましいが、端子収容室および端子形成部の数と系統数とは、必ずしも一致していなくてもよい。
上記実施形態では、駆動装置を構成する各部品は、2つずつ設けられており、完全2系統である。他の実施形態では、駆動装置を構成する各部品は、1系統であってもよいし、3系統以上であってもよい。また、例えばバッテリが複数系統で共用されている、といった具合に、一部の部品を系統間にて共用していてもよい。
上記実施形態では、ロック機構は、第1コネクタ部および第2コネクタ部のそれぞれに設けられるロック部が係合することによるスナップフィット固定である。他の実施形態では、ロック機構を構成するロック部は、第1コネクタ部および第2コネクタ部とは別途の部材であってもよく、例えばクランプ固定やボルト固定等によりロック機構を構成してもよい。
上記実施形態では、端子収容室および端子形成部は、いずれも平面視略矩形に形成される。他の実施形態では、端子収容室および端子形成部は、どのような形状であってもよい。
第3実施形態等では、コントローラ部に設けられるコネクタユニットと、センサ部に設けられるセンサコネクタユニットとは、同様の形状である。他の実施形態では、コントローラ部側に設けられるコネクタユニットと、センサ部側に設けられるコネクタユニットとが、異なる形状であってもよい。
上記実施形態では、モータは、3相ブラシレスモータである。他の実施形態では、例えばブラシ付きモータ等、どのようなモータであってもよい。
上記実施形態のステアバイワイヤシステムでは、コラム軸とラック軸とが、分離されている。他の実施形態では、ステアバイワイヤシステムにおいて、コラム軸とラック軸との間にクラッチ等の断接を切り替え可能な部材を設けてもよい。そして、例えばステアバイワイヤシステムの異常時には、コラム軸とラック軸とを接続することで、ステアバイワイヤシステムを、いわば電動パワーステアリング装置として機能させるようにしてもよい。以上、本発明は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。