本発明について、様々な実施形態を参照しながら以下により詳細に説明する。これらの実施形態は、本開示を徹底的かつ完全なものにし、かつ、本発明の範囲を当業者に十分に伝える目的で提供するものである。実際、本発明は、多くの様々な形態で実施してよく、本明細書に説明する実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではない。そうではなく、これらの実施形態は、本開示が該当する法的要件を満たすために提供するものである。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(前記)(the)」は、文脈が明らかに別の意を示していない限り、複数の指示物を含む。
本発明は、高効率燃料燃焼器(浸み出し冷却式燃焼器など)および関連する循環流体(CO2循環流体など)を用いた発電のためのシステムおよび方法を提供する。適当な燃料、任意の必要な酸化剤、および効率的な燃焼に有用であり得る任意の関連材料と共に、循環流体を燃焼器に供給する。具体的な実施形態では、本方法は、非常に高温(例えば、約1,600℃〜約3,300℃の範囲、または本明細書に開示されているような他の温度範囲)で動作する燃焼器を用いて行うことができ、循環流体の存在は、燃焼器から流出する流体流の温度を緩和するように作用し得て、流体流を発電のためのエネルギー伝達に利用することができるようにする。具体的には、燃焼生成物流を少なくとも1つのタービン全体に膨張させて発電することができる。膨張させたガス流を冷却して、この流れから水などの各種成分を除去することができ、膨張させたガス流から取り出した熱を使用して、CO2循環流体を加熱することができる。次いで、精製した循環流体流を、燃焼器によって再利用するために加圧および加熱することができる。必要に応じて、燃焼生成物流からのCO2の一部(すなわち、酸素の存在下で炭素含有燃料を燃焼させることによって生成されたCO2から生じる)を、CO2パイプラインへの移動などの隔離または他の廃棄処分のために取り出すことができる。本システムおよび方法は、具体的なプロセスパラメータおよび構成要素を利用して、特に大気へのCO2の放出を回避しながら本システムおよび方法の効率を最大にすることができる。特に本明細書に説明されているように、循環流体は、循環流体としてCO2を使用することによって例示されている。CO2循環流体を使用することは、本発明による有利な実施形態であるが、そのような開示は、特に明記しない限り、必ずしも本発明に使用し得る循環流体の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
特定の実施形態では、本発明による発電システムは、主にCO2を含む循環流体を使用することができる。換言すると、燃焼器内への投入直前の循環流体の化学的性質は、循環流体が主にCO2を含むというような性質である。この意味で、「主に」という言葉は、流体が少なくとも約90モル濃度%、少なくとも約91モル濃度%、少なくとも約92モル濃度%、少なくとも約93モル濃度%、少なくとも約94モル濃度%、少なくとも約95モル濃度%、少なくとも約96モル濃度%、少なくとも約97モル濃度%、少なくとも約98モル濃度%、または少なくとも約99モル濃度%のCO2を含むことを意味し得る。燃焼器に投入される直前の循環流体は、好適には、実質的にCO2のみを含む。この意味で、「実質的に〜のみ」という語句は、少なくとも約99.1モル濃度%、少なくとも約99.25モル濃度%、少なくとも約99.5モル濃度%、少なくとも約99.75モル濃度%、少なくとも約99.8モル濃度%または少なくとも約99.9モル濃度%のCO2を意味することができる。燃焼器では、CO2を、燃料、任意の酸化剤、および燃料燃焼によるあらゆる派生物に由来し得る1種以上のさらなる成分と混合することができる。よって、本明細書で燃焼生成物流として表現し得る、燃焼器から流出する循環流体は、H2O、O2、N2、Ar、SO2、SO3、NO、NO2、HCl、Hgなどのより少量の他の物質、およびさらなる可燃物を含む、燃焼プロセスに由来し得る微量の他の成分(例えば、灰または液状の灰などの微粒子)と共に、CO2を含んでいてもよい。以下にさらに詳しく説明するように、流体流の性質が還元性または酸化性のいずれかであり得るように燃焼プロセスを制御することができ、それにより、具体的に示す利点を得ることができる。
本発明のシステムおよび方法には、本明細書に説明するように、好適な燃料の燃焼に有用な1つ以上の燃焼器を組み込むことができる。好適には、本発明によって使用される少なくとも1つの燃焼器は、比較的高い燃焼温度で燃料を実質的に完全に燃焼させ得る高効率燃焼器である。高温燃焼は、燃料を実質的に完全に燃焼させるのに、ひいては効率を最大にするのに特に有用であり得る。様々な実施形態では、高温燃焼は、少なくとも約1,200℃、少なくとも約1,300℃、少なくとも約1,400℃、少なくとも約1,500℃、少なくとも約1,600℃、少なくとも約1,750℃、少なくとも約2,000℃、少なくとも約2,500℃、または少なくとも約3,000℃の温度における燃焼を意味することができる。さらなる実施形態では、高温燃焼は、約1,200℃〜約5,000℃、約1,500℃〜約4,000℃、約1,600℃〜約3,500℃、約1,700℃〜約3,200℃、約1,800℃〜約3,100℃、約1,900℃〜約3,000℃、または約2,000℃〜約3,000℃の温度における燃焼を意味することができる。
本発明に従って様々な燃焼器を使用してもよい。一部の実施形態では、本システムおよび方法において単一の燃焼器のみを使用してもよい。一部の実施形態では、複数の燃焼器を使用してもよく、複数の膨張タービンと組み合わせて直列で、または並行して運転させてもよい。1つの燃焼器または複数の燃焼器を利用する複数タービンの実施形態の利点については、そのようなシステムおよび方法の例示的な実施形態に関して本明細書で詳述する。柔軟性のおかげで、本開示により使用されうる燃焼器は、本発明が包含するいくつかの実施形態による温度および圧力の様々な条件下で機能するように構成される任意の燃焼器を含む。本開示による有用な燃焼器は、高温燃焼を含む本明細書に説明される温度および圧力において燃焼するように構成される任意の燃焼器を含むことができる。非限定的な例として、有用な燃焼器は、冷却媒体(例えば、本開示の一部の実施形態では、再利用CO2流)と共に冷却用に構成されるライナを備える任意の燃焼器であってもよい。例示的な冷却手段は、スロット、穴、裏側冷却、およびトリップストリップのうちの1つ以上を通る冷却媒体の通路を含んでもよい。
特定の実施形態では、浸み出し冷却式燃焼器を用いてもよい。本発明で使用し得る浸み出し冷却式燃焼器の一例は、2010年2月26日に出願の米国特許出願第12/714,074号に説明されており、その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。一部の実施形態では、本発明による有用な浸み出し冷却式燃焼器は、1つ以上の熱交換ゾーン、1種以上の冷却流体、および1種以上の浸み出し流体を含んでいてもよい。浸み出し冷却は、燃焼器の腐食、汚損、および浸食を防止するのに有用であり得、そのような燃焼条件が存在する場合、特に望ましい。
特定の一実施態様では、本発明による有用な浸み出し冷却式燃焼器は、浸み出し部材によって少なくとも部分的に画定された燃焼室を備えることができ、ここで、浸み出し部材は、圧力格納部材によって少なくとも部分的に取り囲まれている。燃焼室は、入口部分と、対向する出口部分とを有することができる。燃焼室の入口部分は、燃焼室内で燃焼温度で燃焼して燃焼生成物を生成する炭素含有燃料を受容するように構成することができる。燃焼室は、燃焼生成物を出口部分に向けて導くようにさらに構成することができる。浸み出し部材は、燃焼生成物と浸み出し部材との相互作用を緩和するために、浸み出し物質をそこを通して燃焼室に向けて導くように構成することができる。加えて、浸み出し物質を燃焼室に導入して、燃焼生成物の所望の出口温度を達成してもよい。特定の実施形態では、浸み出し物質は、循環流体を少なくとも部分的に含むことができる。燃焼室の壁は、CO2および/またはH2Oなどの浸み出し物質を、そこを通して導きかつそれらを流す多孔質材料の層で覆われていてもよい。
またさらなる実施態様では、内側浸み出し部材2332は、浸み出し部材230の入口部分222Aから出口部分222Bまで延在していてもよい。一部の場合では、内側浸み出し部材2332の穿孔された多孔質構造は、浸み出し流体210が燃焼室222の実質的に長さ全体に導かれるように、入口部分222Aから出口部分222Bまで実質的に完全に(軸方向に)延在していてもよい。すなわち、燃焼室222の実質的に長さ全体が浸み出し冷却されるように、内側浸み出し部材2332の実質的に全体が、穿孔された多孔質構造を有するように構成されていてもよい。より詳細には、一部の実施態様では、穿孔/孔の面積を積算したものが、内側浸み出し部材2332の表面積に実質的に等しくてもよい。また他の実施態様では、内側浸み出し部材2332から燃焼室222の中まで、浸み出し物質が実質的に一様に分布する(すなわち、浸み出し物質210の流れまたは存在が欠如している「デッドスポット」が存在しない)ように、穿孔/孔は適当な密度で離間されていてもよい。一例では、1平方インチ(約645平方ミリメートル)の内側浸み出し部材2332は、約62,500個/iN2の孔を得るために、1平方インチ当たり250×250のオーダーで穿孔/孔の配列を含んでいてもよく、そのような穿孔/孔は、約0.004インチ(約0.1mm)で離間されている。総壁面積に対する孔面積の比(多孔率(%))は、例えば、約50%であってもよい。孔の配列は、浸み出し部材を横切る流量に対する所望の圧力降下などの他のシステム設計パラメータに適合させるために、広範囲にわたって変えることができる。いくつかの例では、約10%〜約80%の多孔率を有する1インチ当たり約10×10〜約10,000×10,000の配列サイズを利用することができる。
この多孔質浸み出し層を通る、また任意で追加的に設けた層を通る、浸み出し物質の流れは、燃焼器からの所望の総流出流体流出口温度を達成するように構成することができる。一部の実施形態では、さらに本明細書に説明するように、そのような温度を、約500℃〜約2,000℃の範囲にすることができる。この流れはまた、浸み出し部材を、浸み出し部材を形成している材料の最大許容動作温度よりも低い温度まで冷却するように機能し得る。浸み出し物質はまた、壁を腐食、汚損、またはそれ以外の方法で損傷し得る、燃料中のあらゆる液体もしくは固体の灰物質または他の汚染物質の衝突を防止するように機能してもよい。そのような場合、偶発的な放射熱を、多孔質浸み出し部材を通して半径方向外側に伝導させ、次いで多孔質層構造の表面から浸み出し層を半径方向内側に通る流体への対流伝熱によって妨害し得るように、妥当な熱伝導率を有する浸み出し部材の材料を使用することが望ましいこともある。そのような構成は、多孔質浸み出し部材の温度をそのために使用される材料の設計範囲内に維持しながら、浸み出し部材を通して導かれる流れのその後の部分を約500℃〜約1,000℃などの望ましい範囲の温度まで加熱可能にし得る。多孔質浸み出し部材に適した材料には、例えば、多孔質セラミック、耐火性金属繊維マット、穴が穿設された円筒状部分、および/または焼結金属層もしくは焼結金属粉末が含まれてもよい。浸み出し部材の第2の機能は、燃焼器に沿った長手方向だけではなく、浸み出し流体の実質的に一様な半径方向内側への流れを確保して、燃焼室の長さに沿った一様な軸方向の流れを促進しながら、浸み出し流体流と燃焼生成物との良好な混合を達成することであってもよい。浸み出し部材の第3の機能は、燃焼生成物内の灰または他の汚染物質の固体および/または液体粒子が、浸み出し層の表面に衝突し、かつ閉塞または他の損傷を引き起こさないように緩衝部分を提供するかそれ以外の方法で妨害するために、半径方向内側への希釈流体の速度を達成することであり得る。例えば、残留する不活性不燃焼性残渣を有する石炭などの燃料を燃焼させる場合にのみ、そのような要因が重要となり得る。浸み出し部材を取り囲む燃焼器の圧力容器の内壁を覆って、燃焼器内の高温の浸み出し流体流を隔離してもよい。
本発明によって使用することができる燃焼装置の一実施形態が図1に概略的に示されており、燃焼装置は一般に符号220で示されている。この例では、燃焼装置220は、石炭などの粒子状固体を燃焼させて燃焼生成物を生成するように構成されていてもよいが、本明細書に開示されているような任意の他の好適な可燃性炭素含有材料も燃料として使用してもよい。燃焼室222は、浸み出し部材230によって画定されていてもよく、浸み出し部材230は、浸み出し流体をそこを通して燃焼室222内に導くように(すなわち、浸み出し冷却を容易にするように、および/または燃焼生成物と浸み出し部材230との相互作用を緩和するように)構成されている。当業者であれば、入口部分222Aと、対向する出口部分222Bとを有する実質的に円筒状の燃焼室222を画定するために、浸み出し部材230を実質的に円筒状にし得ることを理解するであろう。浸み出し部材230は、圧力格納部材2338によって少なくとも部分的に取り囲まれていてもよい。燃焼室222の入口部分222Aは、一般に符号250で示されている混合装置から燃料混合物を受容するように構成されていてもよい。他の実施形態では、そのような混合装置は存在していなくてもよく、燃焼器内に投入される1種以上の材料を、独立した入口から別々に添加してもよい。特定の実施形態によれば、燃焼室222内で燃料混合物を特定の燃焼温度で燃焼させて燃焼生成物を生成することができ、ここでは、燃焼室222は、燃焼生成物を出口部分222Bに向かって導くようにさらに構成されている。熱除去装置2350(例えば、図2を参照)を圧力格納部材2338に関連させ、その温度を制御するように構成してもよい。特定の場合には、熱除去装置2350は、圧力格納部材2338に対向する壁2336によって少なくとも部分的に画定された伝熱ジャケットを備えていてもよく、ここでは、液体を、その間に画定された水循環ジャケット2337内に循環させてもよい。一実施形態では、循環させる液体は水であってもよい。
よって、特定の一実施態様では、多孔質内側浸み出し部材2332は、浸み出し物質210が内側浸み出し部材2332の内面に対して実質的に直角(90°)に燃焼室222に流入するように浸み出し流体を燃焼室222内に導くように構成されている。他の利点の中でも、内側浸み出し部材2332に対して実質的に直角に浸み出し物質210を導入することにより、液体もしくは固体のスラグ滴または他の汚染物質あるいは高温燃焼流体の渦を内側浸み出し部材2332の内面から離れるように導くという効果を容易にするかそれ以外の方法で高め得る。液体もしくは固体のスラグ滴間の接触をなくすことにより、滴または粒子と固体の壁との接触時に生じることが従来技術で知られる、前記滴が合体して大きな滴または塊になることを防止し得る。内側浸み出し部材2332に対して実質的に直角に浸み出し物質210を導入することにより、内側浸み出し部材に衝突して損傷させ得る内側浸み出し部材に垂直な、かつこれに近接する十分な速度を有する燃焼流体渦の形成を防止するという効果を容易にするかそれ以外の方法で高め得る。そのような場合、浸み出し物質/流体210を内側浸み出し部材2332まで、そしてそこを通して燃焼室222の中まで輸送することに関して、「多岐管」効果を得るように(すなわち、供給が実質的に一様に分布するように)、外側浸み出し部材2331、圧力格納部材2338、伝熱ジャケット2336および/または断熱層2339は、個々にまたは組み合わせて構成されていてもよい。すなわち、浸み出し物質210の内側浸み出し部材2332への一様な供給を得るように外側浸み出し部材2331、圧力格納部材2338、伝熱ジャケット2336および/または断熱層2339を構成することによって、浸み出し物質210の燃焼室222内への実質的に一様な(流量、圧力、または任意の他の好適かつ適当な尺度の点で)供給を達成してもよく、あるいは、燃焼室222内において浸み出し物質210が実質的に一様に分布するように、内側浸み出し部材2332の外面の周りへの浸み出し物質210の供給を特にカスタマイズおよび構成してもよい。そのような実質的に一様な分布によって、そうでない場合に燃焼流体流を含む一様でない浸み出し流の相互作用によって形成され得、かつその頂点が内側浸み出し部材に衝突して損傷させ得る、高温燃焼流体渦の形成が防止され得る。
混合装置250(存在する場合)は、炭素質燃料254を富化酸素242および循環流体236と混合して燃料混合物200を形成するように構成することができる。炭素質燃料254は、固体炭素質燃料、液体炭素質燃料、および/または気体炭素質燃料の形態で提供してもよい。富化酸素242は、約85%を超えるモル純度を有する酸素であってもよい。例えば、富化酸素242は、例えば極低温空気分離プロセスなどの当技術分野で知られる任意の空気分離システム/技術によって供給してもよく、あるいは高温イオン輸送膜酸素分離プロセス(空気から)を実装することもできる。循環流体236は、本明細書に記載されているように、二酸化炭素であってもよい。炭素質燃料254が粉末状石炭254Aなどの粒子状固体である場合、混合装置250は、粒子状固体炭素質燃料254Aを流動化物質255と混合するようにさらに構成されてもよい。一実施態様によれば、粒子状固体炭素質燃料254Aは、約50ミクロン〜約200ミクロンの平均粒径を有していてもよい。さらに別の実施態様によれば、流動化物質255は、約450kg/m3〜約1100kg/m3の密度を有する水および/または液体CO2を含んでいてもよい。より詳細には、流動化物質255は、粒子状固体炭素質燃料254Aと協働して、例えば、約25重量%〜約55重量%の粒子状固体炭素質燃料254Aを有するスラリー250Aを形成してもよい。酸素242は、燃焼室222への導入前に燃料254および循環流体236と混合するものとして図1に示されているが、一部の場合では、必要または所望に応じて、酸素242を燃焼室222に別々に導入してもよい。
いくつかの実施態様では、混合装置250は、例えば、円筒状燃焼室222の入口部分222Aに関連した浸み出し部材230の端壁223の周りに配置された離間した噴射ノズルの配列(図示せず)を含んでもよい。燃料/燃料混合物を燃焼室222内にこのように噴射することにより、例えば、噴射される燃料混合物入口流の表面積を大きくし、ひいては、輻射による、噴射される燃料混合物入口流への急速な伝熱を容易にし得る。このようにして、噴射される燃料混合物の温度を燃料の発火点まで急速に上昇させてもよく、このようにして、コンパクトな燃焼を生じさせてもよい。燃料混合物の噴射速度は、例えば、約10m/秒〜約40m/秒の範囲であってもよいが、これらの値は、特定の噴射ノズルの構成などの多くの要因によって決まるのであってよい。そのような噴射装置は、多くの異なる形態を取ってもよい。例えば、噴射装置は、例えば、その直径が約0.5mm〜約3mmの範囲である穴の配列を含んでいてもよく、ここでは、噴射される燃料は、約10m/s〜約40m/sの速度でそこから噴射される。
より詳細に図2に示すように、燃焼室222は、浸み出し部材230によって画定することができ、浸み出し部材230は、圧力格納部材2338によって少なくとも部分的に取り囲まれていてもよい。一部の場合では、圧力格納部材2338はさらに、伝熱ジャケット2336によって少なくとも部分的に取り囲まれてよく、ここで、伝熱ジャケット2336は、圧力格納部材2338と協働してその間に1つ以上のチャネル2337を画定することができ、チャネル2337を通して低圧水流を循環させてもよい。このようにして、蒸発機構によって、循環水を使用して、例えば、約100℃〜約250℃の範囲にある、圧力格納部材2338の選択された温度を制御および/または維持してもよい。一部の実施態様では、断熱層2339を、浸み出し部材230と圧力格納部材2338との間に配置してもよい。
一部の場合では、浸み出し部材230は、例えば、外側浸み出し部材2331と、内側浸み出し部材2332とを含んでいてもよく、内側浸み出し部材2332は、外側浸み出し部材2331の、圧力格納部材2338とは反対の側に配置されており、燃焼室222を画定している。外側浸み出し部材2331は、例えば、ステンレス鋼およびニッケル合金を含む鋼や鋼合金などの任意の好適な高耐熱材料から作られていてもよい。一部の場合では、外側浸み出し部材2331は、断熱層2339に隣接するその表面から内側浸み出し部材2332に隣接するその表面までそこを通って延在する、第1の浸み出し流体供給路2333Aを画定するように構成されていてもよい。第1の浸み出し流体供給路2333Aは、一部の場合では、圧力格納部材2338、伝熱ジャケット2336および/または断熱層2339によって画定された第2の浸み出し流体供給路2333Bに対応していてもよい。よって、第1の浸み出し流体供給路2333Aおよび第2の浸み出し流体供給路2333Bは、協働して、そこを通して浸み出し流体を内側浸み出し部材2332まで導くように構成されていてもよい。一部の場合では、例えば、図1に示すように、浸み出し流体210は、循環流体236を含んでいてもよく、それに関連する同じ供給源から得られてもよい。第1の浸み出し流体供給路2333Aおよび第2の浸み出し流体供給路2333Bは、浸み出し流体210を内側浸み出し部材2332を通して燃焼室222内まで導くような十分な供給量および十分な圧力で浸み出し流体210(すなわち、CO2)を輸送するために、必要に応じて断熱されていてもよい。本明細書に開示されているような浸み出し部材230および関連の浸み出し流体210を含むそのような手段によって、燃焼装置220を、別途本明細書に開示されている比較的高い圧力および比較的高い温度で動作させることができる。
この点に関して、内側浸み出し部材2332は、例えば、多孔質セラミック材料、穿孔材料、積層材料、2次元にランダムに配向させ、かつ3次元に並べた繊維からなる多孔質マット、あるいは本明細書に開示されているような必要とされる特性、すなわち内側浸み出し部材2332を通して浸み出し流体を受容しかつ導くための複数の流路もしくは孔または他の好適な開口部2335を呈する、任意の他の好適な材料またはそれらの組み合わせで作られていてもよい。そのような浸み出し冷却式システムに好適な多孔質セラミックおよび他の材料の非限定的な例には、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、相転移強化ジルコニウム、銅、モリブデン、タングステン、銅浸透タングステン、タングステン被覆モリブデン、タングステン被覆銅、各種高温ニッケル合金、およびレニウムシースもしくはレニウムコートの材料が含まれる。好適な材料の供給元には、例えば、CoorsTek,Inc.(コロラド州ゴールデン)(ジルコニウム)、UltraMetAdvancedMaterialsSolutions(カリフォルニア州パコイマ)(耐火性金属被覆)、OrsamSylvania(マサチューセッツ州ダンバーズ)(タングステン/銅)、およびMarkeTechInternational(ワシントン州ポートタウンゼンド)(タングステン)が含まれる。そのような浸み出し冷却式システムに好適な穿孔材料の例には、上記材料および供給元(例えば、当製造技術分野で知られている方法を用いて本来非多孔質である構造を穿孔することによって穿孔端部構造が得られる材料および供給元)のうちのすべてが含まれる。好適な積層材料の例には、上記材料および供給元(例えば、当製造技術分野で知られている方法を用いて所望の端部多孔率を達成するような方法で非多孔質もしくは部分多孔質構造体を積層することによって積層端部構造が得られる材料および供給元)のうちのすべてが含まれる。
図3Aおよび図3Bは、燃焼装置220の一実施態様では、燃焼室222を画定する構造が、浸み出し部材230と、圧力格納部材2338または浸み出し部材230と圧力格納部材2338との間に配置された断熱層2339などの周囲構造との「高温」締まり嵌めによって形成され得ることを示す。例えば、比較的「低温である」場合には、浸み出し部材230は、周囲の圧力格納部材2338に対して半径方向および/または軸方向に、より小さくなるように寸法決めされていてもよい。そのため、圧力格納部材2338の中に挿入された場合、半径方向および/または軸方向の間隙がその間に存在していてもよい(例えば、図3Aを参照)。当然のことながら、そのような寸法の違いによって、浸み出し部材230の圧力格納部材2338への挿入を容易にしてもよい。しかしながら、例えば、動作温度に向けて加熱された場合、浸み出し部材230は、半径方向および/または軸方向に膨張して前述の間隙を減少または排除するように構成されていてもよい(例えば、図3Bを参照)。その際、軸方向および/または半径方向の締まり嵌めが、浸み出し部材230と圧力格納部材2338との間に形成されてもよい。外側浸み出し部材2331および内側浸み出し部材2332を含む浸み出し部材230を含む場合では、そのような締まり嵌めにより、内側浸み出し部材2332を圧縮下に置いてもよい。多孔質セラミックなどの好適な耐高温性脆性材料を内側浸み出し部材2332に使用してもよい。
内側浸み出し部材2332がこのように構成された状態で、浸み出し物質210は、浸み出し物質210が燃焼室222内の内側浸み出し部材2332のすぐ隣に緩衝層231(すなわち「蒸気の壁」)を形成するように、内側浸み出し部材2332を通って導かれる、例えば、二酸化炭素(すなわち、循環流体236と同じ供給源に由来)を含んでいてもよく、ここでは、緩衝層231は、内側浸み出し部材2332と液化不燃焼性成分との相互作用および燃焼生成物に伴う熱を緩和するように構成されていてもよい。すなわち、一部の場合では、浸み出し流体210は、例えば、少なくとも燃焼室222内の圧力で内側浸み出し部材2332を通って輸送することができ、ここでは、燃焼室222内への浸み出し流体210(すなわちCO2流)の流量は、浸み出し流体210を燃焼生成物と混合しかつそれを冷却して、その後の下流プロセスの入口要件に対して十分な温度(すなわち、タービンは、例えば、約1,225℃の入口温度を必要とし得る)の出口流体混合物を形成するのに十分であるが、出口流体混合物は、燃料中のスラグ滴または他の汚染物質を流体または液体の状態に維持するのに十分に高いままである。燃料の不燃焼性成分が液体の状態であることにより、例えば、そのような分離のために実装されている任意の除去システムを閉塞させたりそれ以外の方法で損傷させたりする可能性が低い液体の形態、好適には、自由に流動する低粘性形態の燃焼生成物からのそのような汚染物質の分離を容易にしてもよい。実際には、そのような要件は、用いられる固体炭素質燃料(すなわち、石炭)の種類および燃焼プロセスで形成されるスラグの特定の特性などの様々な要因によって決まり得る。すなわち、燃焼室222内の燃焼温度は、炭素質燃料中のあらゆる不燃焼性成分が燃焼生成物内で液化されるような温度にすることができる。
よって、特定の実施態様では、多孔質内側浸み出し部材2332は、燃焼室222を画定する内側浸み出し部材2332の表面の周りに流体障壁または緩衝層231を形成するために、燃焼室222の中に半径方向内側に浸み出し流体を導くように構成されている(例えば、図2を参照)。内側浸み出し部材2332の表面もまた、燃焼生成物によって加熱される。そのため、内側浸み出し部材2332を通る浸み出し流体210が加熱される一方で、多孔質内側浸み出し部材2332が同時に冷却され、その結果、燃焼室222を画定する内側浸み出し部材2332の表面の温度が、例えば、最高燃焼温度範囲の約1,000℃になるように、多孔質内側浸み出し部材2332は、好適な熱伝導率を有するように構成されていてもよい。よって、内側浸み出し部材2332と協働して浸み出し流体210によって形成される流体障壁または緩衝層231は、内側浸み出し部材2332と高温燃焼生成物とスラグまたは他の汚染物質粒子との相互作用を緩和し、このようにして、内側浸み出し部材2332の接触、汚損、または他の損傷を緩和する。さらに、所望の温度(例えば、約500℃〜約2,000℃)で、燃焼室222の出口部分222Bの周りで浸み出し流体210と燃焼生成物との出口混合物を調整するような方法で、浸み出し流体210を、内側浸み出し部材2332を介して燃焼室222に導入してもよい。
よって、具体的な実施形態では、燃焼装置220は、本明細書に記載されているような比較的高い動作温度で燃料254の比較的完全な燃焼をもたらすことができる高効率な浸み出し冷却式燃焼装置として構成されていてもよい。そのような燃焼装置220は、一部の場合では、1種以上の冷却流体および/または1種以上の浸み出し流体210を実装していてもよい。燃焼装置220に関連して、さらなる構成要素も実装されていてもよい。例えば、N2およびO2を分離するために空気分離装置が設けられていてもよく、空気分離装置からO2を受容し、かつO2を、CO2循環流体、および高密度CO2流体でスラリー化されたガス、液体、超臨界流体、もしくは固体の微粒燃料を含む燃料流と合わせるために、燃料噴射装置が設けられていてもよい。
別の実施態様では、浸み出し冷却式燃焼装置220は、加圧した燃料流を燃焼装置220の燃焼室222内に噴射するための燃料噴射器を備えていてもよく、ここでは、燃料流は、処理済炭素質燃料254と、流動化媒体255(本明細書で論じられているような循環流体236を含んでいてもよい)と、酸素242とを含んでいてもよい。酸素(富化されたもの)242およびCO2循環流体236を、均質な超臨界混合物として合わせることができる。存在する酸素の量は、燃料を燃焼させ、かつ所望の組成を有する燃焼生成物を生成するのに十分であればよい。燃焼装置220はまた、燃料流ならびに燃焼室222を画定する多孔質浸み出し部材230の壁を通して燃焼空間に流入する浸み出し流体210を受容するための高圧高温燃焼空間として構成された燃焼室222を備えていてもよい。浸み出し流体210の供給量を使用して、燃焼装置出口部分/タービン入口部分温度を所望の値に制御してもよい、および/または浸み出し部材230を、浸み出し部材230を形成している材料に適合可能な温度まで冷却してもよい。浸み出し部材230を通して導かれる浸み出し流体210は、燃焼室222を画定する浸み出し部材230の表面で流体/緩衝層を提供し、ここでは、流体/緩衝層によって、特定の燃料燃焼により生じる灰または液体スラグの粒子が浸み出し部材230の露出した壁と相互作用するのを防止してもよい。
燃焼室222は、燃焼が生じる圧力よりも大きな圧力で、燃焼室222内に燃料流(および循環流体236)を噴射するかそれ以外の方法で導入することができるようにさらに構成されていてもよい。燃焼装置220は、燃焼室230を画定する浸み出し部材230を少なくとも部分的に取り囲んでいる圧力格納部材2338を備えていてもよく、ここでは、断熱部材2339を圧力格納部材2338と浸み出し部材230との間に配置することができる。一部の場合では、水循環ジャケット2337を画定するジャケット付き水冷却システムなどの熱除去装置2350を、圧力格納部材2338に係合させてもよい(すなわち、燃焼装置220の「シェル」を形成している圧力格納部材2338の外側)。燃焼装置220の浸み出し部材230に接続した状態で実装される浸み出し流体210は、例えば、微量のH2Oおよび/またはN2もしくはアルゴンなどの不活性ガスと混合したCO2にすることができる。浸み出し部材230は、例えば、多孔質金属、セラミック、複合体マトリックス、積層状マニホールド、任意の他の好適な構造またはそれらの組み合わせを含んでいてもよい。一部の実施態様では、より詳細に本明細書に記載されているように、燃焼室222内における燃焼により、高圧高温燃焼生成物流を生成することができ、その後に、その流れをそれに関する膨張のためにタービンなどの発電装置に導いてもよい。
本明細書に開示されているような燃焼装置の実施形態によって実装される比較的高い圧力は、生成されたエネルギーを集中させて、最小体積で比較的高い強度にし、原則として比較的高いエネルギー密度を生じさせるように機能してもよい。比較的高いエネルギー密度により、このエネルギーの下流処理を低圧力である場合よりも効率的な方法で行うことができ、ひいては本技術が実現可能になる。本開示の実施態様は、このようにして、既存の発電所よりも桁外れに大きい(すなわち10〜100倍)エネルギー密度を提供し得る。エネルギー密度が高まると、プロセス効率が上昇するだけでなく、設備の大きさおよび質量を減少させ、ひいては、設備のコストを低下させることによって、熱エネルギーから電気へのエネルギー変換を実行するために必要な設備コストも低下させる。
本明細書に別途論じられているように、本発明の方法およびシステムで使用される燃焼装置は、様々な異なる炭素含有燃料源の燃焼にとって有用であり得る。具体的な実施形態では、燃焼生成物流中に液体もしくは固体の不燃焼性物質が含まれないように、炭素含有燃料を実質的に完全に燃焼させることができる。しかしながら、一部の実施形態では、本発明で使用し得る固体の炭素含有燃料(例えば、石炭)では、不燃焼性物質が生じるのであってもよい。具体的な実施形態では、燃焼装置は、固体の炭素含有燃料中の不燃焼性成分を燃焼プロセスの間に液化させる燃焼温度を達成するという能力を備えていてもよい。そのような場合、液化不燃焼性成分を除去するための装置を適用してもよい。除去するために、例えば、サイクロン分離器、衝突分離器、もしくは環状に配置された段階的な耐火性粒状フィルタの床、またはそれらの組み合わせを用いてもよい。特定の実施形態では、例えば、図4に示す分離装置2340などの一連のサイクロン分離器によって、高温循環流体流から液滴を除去してもよい。一般に、本開示によって実装されるそのようなサイクロン分離器の実施態様は、燃焼生成物/出口流体流およびそれらに伴う液化不燃焼性成分を受容するように構成された入口遠心分離装置100Aと、実質的にそこから除去された液化不燃焼性成分を有する燃焼生成物/出口流体流を排出するように構成された出口遠心分離装置100Bとを含む、複数の直列に配置された遠心分離装置100を備えていてもよい。各遠心分離装置100は、中央捕集器パイプ2の周りに並列に動作可能に配置された複数の遠心分離要素またはサイクロン1を備え、ここでは、各遠心分離要素またはサイクロン1は、燃焼生成物/出口流体流から液化不燃焼性成分の少なくとも一部を除去し、かつ液化不燃焼性成分の除去部分を排液溜め20まで導くように構成されている。そのような分離装置2340は、高圧で動作するように構成されていてもよく、そのため、遠心分離装置および排液溜めを収容するように構成された耐圧ハウジング125をさらに備えていてもよい。そのような実施態様によれば、耐圧ハウジング125は、同様に燃焼装置220を取り囲んでいる圧力格納部材2338の延長部分であってもよく、あるいは耐圧ハウジング125は、燃焼装置220に関連づけられた圧力格納部材2338に係合することができる別個の部材であってもよい。いずれの場合も、出口流体流を介して分離装置2340が受ける高温のために、耐圧ハウジング125はまた、そこから熱を除去するためにそこに動作可能に係合されたその中を循環する液体を有する伝熱ジャケットなどの散熱システム(図示せず)も備えていてもよい。一部の実施態様では、熱回収装置(図示せず)は、伝熱ジャケットに動作可能に係合されていてもよく、ここでは、熱回収装置は、伝熱ジャケット内に循環される液体を受容し、かつその液体から熱エネルギーを回収するように構成されていてもよい。
特定の実施形態では、図4に示す(スラグ除去)分離装置2340は、燃焼装置220に対して、そこからの出口流体流/燃焼生成物を受容するために、その出口部分222B付近において、直列に配置されるように構成することができる。その中に液体スラグ(不燃焼性成分)滴を含む燃焼装置220からの浸み出し冷却された出口流体流を、円錐形のレデューサ10を介して入口遠心分離装置100Aの中央捕集装置2Aに流入するように導くことができる。一実施態様では、分離装置2340は、3つの遠心分離装置100A、100B、100Cを備えていてもよい(ただし、当業者であれば、そのような分離装置は、必要または所望に応じて1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の遠心分離装置を備え得ることを理解するはずである)。この場合、直列に動作可能に配置された3つの遠心分離装置100A、100B、100Cは、3段サイクロン分離装置を提供する。各遠心分離装置は、例えば、対応する中央捕集器パイプ2の円周の周りに配置された複数の遠心分離要素(サイクロン1)を備える。入口遠心分離装置100Aの中央捕集装置2Aおよび中央捕集器パイプ2ならびに中間遠心分離装置100Cはそれぞれ、その出口端で密閉されている。そのような場合、出口流体流は、各遠心分離装置100の遠心分離要素(サイクロン1)のそれぞれに対応する分岐チャネル11内に導かれる。分岐チャネル11は、各サイクロン1の入口端に係合して、その接線方向の入口を形成するように構成されている(これにより、例えば、サイクロン1に流入する出口流体流を螺旋流の中でサイクロン1の壁と相互作用させる)。次いで、各サイクロン1からの出口チャネル3を、各遠心分離装置100の中央捕集器パイプ2の入口部分の中に経路指定する。出口遠心分離装置100Bでは、出口流体流(そこから実質的に分離された不燃焼性成分を有する)を、その後、「浄化された」出口流体流を変換装置に関連するプロセスなどのその後のプロセスに導くことができるように、出口遠心分離装置100Bの中央捕集器パイプから捕集器パイプ12および出口ノズル5を介して導く。よって、例示的な三段サイクロン分離構成によって、例えば、出口流体流中に質量換算で5ppm未満になるまでスラグを除去することができる。
分離装置2340の各段では、分離された液体スラグを、サイクロン1のそれぞれから排液溜め20に向かって延在する出口管4を介して導く。次いで、分離された液体スラグを、そこからの成分の除去および/または回収のために排液溜め20および耐圧ハウジング125から延在する出口ノズルまたはパイプ14内に導く。スラグの除去の達成に際して、液体スラグを、水冷却部分6を通すか、そうでない場合は高圧の冷水接続を有する部分を通して導いてもよく、ここでは、水との相互作用によって、液体スラグを凝固および/または粒状化させる。次いで、凝固されたスラグと水の混合物を、容器(捕集装置)7内で、特に減圧後に好適な弁9によって除去することができるスラグ/水の流体混合物に分離すると共に、別個のライン8を介してあらゆる残留ガスを除去してもよい。一部の実施形態では、順番に動作する関連のシステムと共に一対の容器によって、本システムの連続的な動作を可能にすることができる。
比較的高温の燃焼生成物流と共に(すなわち、不燃焼性成分を比較的低粘性の液体形態に維持するのに十分な温度で)分離装置2340を実装することができるため、一部の場合では、燃焼生成物/出口流体流およびそれに関連する液化不燃焼性成分のうちの1つに曝される分離装置2340の表面が、高耐温性、高耐腐食性、および低熱伝導率のうちの少なくとも1つを有するように構成された材料で作られていることが望ましいこともある。そのような材料の例には、酸化ジルコニウムおよび酸化アルミニウムが含まれ得るが、そのような例は、いかなる方法によっても本発明を限定するものではない。そのため、特定の実施態様では、分離装置2340は、液化不燃焼性成分を燃焼生成物/出口流体流から実質的に除去し、かつ不燃焼性成分を、少なくとも排液溜め20から除去するまでは低粘性の液体形態に維持するように構成することができる。当然のことながら、非固体燃料が使用され、かつ燃焼生成物流中に不燃焼性物質が含まれていない実施形態では、スラグ分離器の追加が不要になり得る。
一部の実施形態では、分離装置2340を使用して、石炭などの不燃焼性固体残渣を生成する任意の燃料の燃焼による粒子状固体灰残渣を分離してもよい。例えば、石炭を所望の大きさ(例えば、1重量%未満の粒子炭または微粉炭が100μmを超える大きさの粒子を含むような大きさ)まで粉砕し、かつ液体CO2でスラリー化することができる。具体的な実施形態では、液体CO2を約−40℃〜約−18℃の温度にすることができる。スラリーは、約40重量%〜約60重量%の石炭を含んでいてもよい。次いで、スラリーを、所要の燃焼圧力まで加圧することができる。図1を参照すると、再利用流236を、燃焼器220内への流入様式に関して分割することができる。第1の部分(流れ236a)を、混合装置250を介して燃焼器220に投入することができ、第2の部分(流れ236b)を、浸み出し冷却層230に通すことによって燃焼器220に投入することができる。上述のように、還元性ガス混合物(例えば、H2、CH4、CO、H2S、および/またはNH3を含む)の生成を引き起こすO2と燃料との比を用いてバーナ220を動作させることができる。浸み出し冷却層230を通って燃焼器に流入する流れ236の一部を使用して、燃焼ガスとCO2循環流体との混合物を、実質的に灰凝固温度よりも低い温度(例えば、約500℃〜約900℃の範囲)まで冷却することができる。分離装置2340からの総ガス流5を濾過装置に通すことができ、それにより、残留する固体の灰粒子レベルを非常に低い値(例えば、フィルタを通るガスの約2mg/m3未満)まで減少させる。次いで、この浄化したガスを、第2の燃焼器で燃焼させることができ、そこでは、さらなる部分の再利用流体流236で希釈することができる。そのような実施形態では、再利用流体流236を、必要に応じて2つの燃焼器間に分配することができる。
本発明による燃料として、任意の炭素含有材料を使用してもよい。特に、本発明の方法およびシステムに使用される酸素を燃料とする燃焼装置によって高圧および高温が維持されるという理由から、有用な燃料には、各種等級および種類の石炭、木、油、燃料油、天然ガス、石炭系燃料ガス、タールサンドからのタール、瀝青、バイオマス、藻類、可燃性と指定された固体廃棄物、アスファルト、使用済タイヤ、ディーゼル、ガソリン、ジェット燃料(JP−5、JP−4)、炭化水素材料のガス化または熱分解により得られたガス、エタノール、固体、および液体バイオ燃料が含まれるが、これらに限定されない。これは、従来技術のシステムおよび方法からの重要な脱却とみなし得る。例えば、石炭などの固体燃料の燃焼のための既知技術のシステムは、天然ガスなどの非固体燃料の燃焼のためのシステムとはかなり異なる設計を必要とする。
燃料は、十分な流量および燃焼室内の圧力を超える圧力で燃焼装置内に噴射できるように好適に処理することができる。そのような燃料は、周囲温度または高温で適当な流動性および粘性を有する液体、スラリー、ゲルまたはペースト形態であってもよい。例えば、燃料は、約30℃〜約500℃、約40℃〜約450℃、約50℃〜約425℃または約75℃〜約400℃の温度で提供してもよい。任意の固体燃料材料を、粉砕もしくは破砕またはそれ以外の方法で処理して、必要に応じて粒径を減少させてもよい。必要に応じて、流動化またはスラリー化媒体を添加して好適な形態を達成し、かつ高圧ポンプ圧縮のための流れの要件を満たすことができる。当然のことながら、流動化媒体は、燃料の形態(すなわち、液体または気体)によっては必要でない場合もある。同様に、一部の実施形態では、循環される循環流体を流動化媒体として使用してもよい。
本発明による有用な燃焼器に好適な浸み出し流体には、蒸気壁を形成するように内側ライナーを通って十分な量および圧力で流れることができるあらゆる流体を含むことができる。本実施形態では、CO2は、形成された蒸気壁が良好な断熱特性ならびに可視光およびUV光吸収特性を有するという点で、理想的な浸み出し流体であり得る。CO2は超臨界流体として使用することができる。浸み出し流体の他の例には、H2O、下流から再利用される冷却した燃焼生成ガス、酸素、水素、天然ガス、メタン、および他の軽質炭化水素が含まれる。特に、燃料を燃焼器の始動時に浸み出し流体として使用して、主燃料源の噴射前に燃焼器内の適当な動作温度および圧力を達成してもよい。また、燃料を浸み出し流体として使用して、主燃料として石炭からバイオマスに切り替える場合などの主燃料源間の切替え時に燃焼器の動作温度および圧力を調整してもよい。一部の実施形態では、2種以上の浸み出し流体を使用することができる。さらに、燃焼器に沿った異なる位置で、異なる浸み出し流体を使用することができる。例えば、第1の浸み出し流体を高温熱交換ゾーンで使用することができ、第2の浸み出し流体を低温熱交換ゾーンで使用することができる。浸み出し流体を、浸み出し流体が蒸気壁を形成している燃焼室の温度および圧力条件に合わせて最適化することができる。この例では、浸み出し流体は、予熱した再利用CO2である。
一実施態様では、本発明は発電方法を提供する。具体的には、本方法は、好適には、本明細書に記載されているように、本方法によって再利用されるCO2循環流体を利用する。本発明の方法はまた、非限定的な例として、浸み出し冷却式燃焼器を含む高効率燃焼器を利用する。さらなる燃焼器も同様に使用してもよい。特に、本発明は、本開示に照らして有用であると認識されうるあらゆる種類の燃焼器を包含することを意図している。特定の実施形態では、本方法は一般に、図5に示すフローチャートに関して説明することができる。そこに示されているように、燃焼器220が設けられており、その中に様々な投入口が設けられている。炭素含有燃料254およびO2242(必要に応じて)を、循環流体236(本実施形態ではCO2)と共に燃焼器220に導入することができる。破線で示されている混合装置250は、この構成要素が任意に存在することを示している。具体的には、2つまたは3つの材料すべて(燃料、O2、およびCO2循環流体)の任意の組み合わせを、燃焼器220内への導入前に混合装置250で合わせてもよい。図5には単一の燃焼器が示されているが、本明細書でさらに説明するように、本開示によるシステムおよび方法では複数の燃焼器を利用してもよいことを理解されたい。よって、以下の議論は単一の燃焼器を参照してなされているかもしれないが、開示された動作条件を、同じサイクルにおいて、2つ以上の燃焼器に対して独立に適用してもよいことを理解されたい。
様々な実施形態では、燃焼器に投入される材料が、発電方法の望ましい効率的な動作を容易にすることができる特定の物理的特性を呈することが望ましいことがある。例えば、特定の実施形態では、CO2循環流体中のCO2を規定の圧力および/または温度で燃焼器に導入することが望ましいことがある。具体的には、燃焼器に導入されるCO2が少なくとも約8MPaの圧力を有することが有益であり得る。さらなる実施形態では、燃焼器に導入されるCO2を、少なくとも約10MPa、少なくとも約12MPa、少なくとも約14MPa、少なくとも約15MPa、少なくとも約16MPa、少なくとも約18MPa、少なくとも約20MPa、少なくとも約22MPa、少なくとも約24MPa、または少なくとも約25MPaの圧力にすることができる。他の実施形態では、圧力を、約8MPa〜約50MPa、約12MPa〜約50MPa、約15MPa〜約50MPa、約20MPa〜約50MPa、約22MPa〜約50MPa、約22MPa〜約45MPa、約22MPa〜約40MPa、約25MPa〜約40MPa、または約25MPa〜約35MPaにすることができる。さらに、燃焼器に導入されるCO2が少なくとも約200℃の温度を有することが有益であり得る。さらなる実施形態では、燃焼器に導入されるCO2を、少なくとも約250℃、少なくとも約300℃、少なくとも約350℃、少なくとも約400℃、少なくとも約450℃、少なくとも約500℃、少なくとも約550℃、少なくとも約600℃、少なくとも約650℃、少なくとも約700℃、少なくとも約750℃、少なくとも約800℃、少なくとも約850℃、または少なくとも約900℃の温度にすることができる。
一部の実施形態では、燃焼器に導入される燃料を特定の条件下で提供することが望ましいことがある。例えば、特定の実施形態では、炭素含有燃料を規定の圧力および/または温度で燃焼器に導入することが望ましいことがある。一部の実施形態では、炭素含有燃料を、CO2循環流体の条件と同じであるか実質的に同様の条件下で燃焼器に導入することができる。「実質的に同様の条件」という語句は、本明細書に説明されている基準条件パラメータ(例えば、CO2循環流体の条件パラメータ)の5%以内、4%以内、3%以内、2%以内、または1%以内である条件パラメータを意味することができる。特定の実施形態では、炭素含有燃料を、燃焼器内への導入前にCO2循環流体と混合してもよい。そのような実施形態では、炭素含有燃料およびCO2循環流体が、同じまたは実質的に同様の条件(具体的には、CO2循環流体に関して説明されている条件を包含し得る)下にあると予測される。他の実施形態では、炭素含有燃料を、CO2循環流体とは別々に燃焼器に導入してもよい。そのような場合、炭素含有燃料をなおCO2循環流体に関して説明されているような圧力で導入してもよい。一部の実施形態では、炭素含有燃料を、燃焼器への導入前に、CO2循環流体の温度とは異なる温度に維持することが有用であり得る。例えば、炭素含有燃料を、約30℃〜約800℃、約35℃〜約700℃、約40℃〜約600℃、約45℃〜約500℃、約50℃〜約400℃、約55℃〜約300℃、約60℃〜約200℃、約65℃〜約175℃、または約70℃〜約150℃の温度で燃焼器に導入することができる。
他の実施形態では、燃焼器に導入されるO2を特定な条件下で提供することが望ましいことがある。そのような条件は、O2の提供方法に付随するものであってもよい。例えば、O2を特定の圧力で提供することが望ましいことがある。具体的には、燃焼器に導入されるO2が少なくとも約8MPaの圧力を有することが有益であり得る。さらなる実施形態では、燃焼器に導入されるO2は、少なくとも約10MPa、少なくとも約12MPa、少なくとも約14MPa、少なくとも約15MPa、少なくとも約16MPa、少なくとも約18MPa、少なくとも約20MPa、少なくとも約22MPa、少なくとも約24MPa、少なくとも約25MPa、少なくとも約30MPa、少なくとも約35MPa、少なくとも約40MPa、少なくとも約45MPa、または少なくとも約50MPaの圧力にすることができる。O2の提供は、深冷O2濃縮器、O2輸送分離器、またはO2を周囲空気から分離するためのO2イオン輸送分離器などの任意の同様の装置などの空気分離器(または酸素分離器)の使用を包含することができる。別々にまたはそれらと組み合わせたO2の提供は、上述のように、所望の圧力を達成するためにO2を加圧することを含むことができる。そのような作用によってO2を加熱させることができる。一部の実施形態では、O2を、本質的にガスを加圧することによって達成される温度とは異なる所望の温度にすることが望ましいことがある。例えば、O2を30℃〜約900℃、約35℃〜約800℃、約40℃〜約700℃、約45℃〜約600℃、約50℃〜約500℃、約55℃〜約400℃、約60℃〜約300℃、約65℃〜約250℃、または約70℃〜約200℃の温度で燃焼器に提供することが望ましいことがある。一部の実施形態では、CO2循環流体および/または炭素含有燃料の条件と同じであるか実質的に同様の条件下でO2を燃焼器に導入することができる。これは、燃焼器内への導入前に各種成分を混合することよって生じてもよく、あるいは燃焼器内への導入のためにO2を用意する具体的な方法によって生じてもよい。特定の実施形態では、O2がCO2循環流体流と同じ温度で提供され得るような規定のモル比で、O2をある量のCO2と合わせてもよい。例えば、このような組み合わせは、CO2を超臨界圧にしながら、100℃未満の温度で行うことができる。これにより、CO2の希釈作用に起因して、純粋なO2だけを加熱することに関わる燃焼の危険性を排除する。そのような混合物は、約1:2〜約5:1、約1:1〜約4:1、または約1:1〜約3:1のCO2/O2比にすることができる。
一部の実施形態では、燃焼器に供給されるO2を実質的に精製する(すなわち、空気中に本来存在する他の成分に対するO2のモル含有量の点で向上させる)ことが有用であり得る。特定の実施形態では、O2は、約50モル%超、約60モル%超、約70モル%超、約80モル%超、約85モル%超、約90モル%超、約95モル%超、約96モル%超、約97モル%超、約98モル%超、約99モル%超、または約99.5モル%超の純度を有することができる。他の実施形態では、O2は、約85モル%〜約99.6モル%、約85モル%〜約99モル%、約90モル%〜約99モル%、約90モル%〜約98モル%、または約90モル%〜約97モル%のモル純度を有することができる。燃料中の炭素からCO2をすべて回収すると、少なくとも約99.5モル%の範囲のより高純度の使用に有利である。
CO2循環流体は、O2および炭素含有燃料と共に、燃焼器の入口で燃焼器に導入することができる。しかしながら、浸み出し冷却式燃焼器に関して上述したように、CO2循環流体も、浸み出し冷却式燃焼器内に形成された1つ以上の浸み出し流体供給路を通して浸み出し部材内に導かれる浸み出し冷却流体のすべてまたは一部として浸み出し冷却式燃焼器に導入することができる。一部の実施形態では、CO2循環流体を、燃焼器の入口で(すなわち、O2および燃料と共に)燃焼器に導入することができ、CO2循環流体も、浸み出し冷却流体のすべてまたは一部として浸み出し部材を通して燃焼器に導入することができる。他の実施形態では、CO2循環流体は、浸み出し冷却流体のすべてまたは一部として浸み出し部材を通してのみ燃焼器に導入することができる(すなわち、CO2は、O2および燃料と共に燃焼器入口に導入されない)。
一部の実施形態では、本発明を、燃焼室に導入される様々な成分の比に関して特徴づけてもよい。最大燃焼効率を達成するために、高温で炭素含有燃料を燃焼させることが有用であり得る。しかしながら、燃焼温度および燃焼器を出る燃焼生成物流の温度は、規定のパラメータの範囲内で制御しなければならないことがある。この目的のために、電力に変換することができるエネルギー量を最大にすると共に、燃焼温度および/またはタービン入口温度を所望の範囲内で制御することもできるように燃料に対する特定の比でCO2循環流体を提供することが有用であり得る。具体的な実施形態では、これを、CO2循環流体流と燃料中の炭素との比を調整することによって達成することができる。より詳細に本明細書に説明されているように、所望の比は、所望のタービン入口温度ならびに熱交換器の高温端における入口流と出口流との温度差によって影響を受ける可能性がある。この比は、具体的には、炭素含有燃料中に存在する炭素に対するCO2循環流体中のCO2のモル比として表現することができる。燃焼器に導入されるCO2のモル量を決定するために、一部の実施形態では、燃焼器に提供されるCO2の全含有量(すなわち、燃料およびO2ならびに浸み出し冷却流体として使用されるあらゆるCO2と共に入口で導入される)が計算に含まれる。しかしながら、具体的な実施形態では、この計算は、燃焼器入口で導入されるCO2のモル量にのみ基づいていてもよい(すなわち、浸み出し冷却流体として使用されるあらゆるCO2を除外する)。CO2が浸み出し冷却流体としてのみ燃焼器に導入される実施形態では、この計算は、浸み出し冷却流体として燃焼器に導入されるCO2の含有量に基づく。よって、この比を、燃焼器に投入される燃料中の炭素に対する燃焼器入口に投入されるCO2のモル含有量として表現してもよい。あるいは、この比を、燃焼器に投入される燃料中の炭素に対する、浸み出し冷却流体を通して燃焼器に投入されるCO2のモル含有量として表現してもよい。
特定の実施形態では、燃焼器に導入される燃料中の炭素に対するCO2循環流体のモル比は、約10〜約50(すなわち、燃料中の炭素1モル当たり約10モルのCO2〜燃料中の炭素1モル当たり約50モルのCO2)にすることができる。さらなる実施形態では、燃料中の炭素に対する循環流体中のCO2の比を、約15〜約50、約20〜約50、約25〜約50、約30〜約50、約15〜約45、約20〜約45、約25〜約45、約30〜約45、約15〜約40、約20〜約40、約25〜約40、または約30〜約40にすることができる。他の実施形態では、燃料中の炭素に対する循環流体中のCO2の比を、少なくとも約5、少なくとも約10、少なくとも約15、少なくとも約20、少なくとも約25、または少なくとも約30にすることができる。
炭素含有燃料中に存在する炭素に対する燃焼器に導入されるCO2のモル比は、全体的なシステムの熱効率に対する重要な影響を有し得る。この効率に対する影響はまた、熱交換器、水分離器、および加圧装置を含む、本システムのさらなる構成要素の設計および機能によって影響を受けることもある。本明細書に説明されている本システムおよび方法の様々な要素の組み合わせにより、本明細書に説明されている具体的なCO2/C比で高い熱効率の達成が可能となる。本明細書に説明されている様々な要素を備えていない以前から知られているシステムおよび方法は典型的に、本明細書において達成される効率に近い効率を達成するために、本発明で使用されるCO2/Cモル比よりも著しく低いCO2/Cモル比を必要とする。しかしながら、本発明は、既知の技術で使用することができるCO2/Cモル比を大きく超えるCO2/Cモル比の使用を可能にするCO2の再利用のための非常に有効なシステムおよび方法を特定している。さらに、本発明による高いCO2/Cモル比の使用は、燃焼流中の不純物を希釈するために有利である。よって、システムの構成要素に対する不純物(例えば、塩化物および硫黄)の腐食または浸食作用は大幅に減少する。現在のところ、高塩化物および/または高硫黄石炭は既知のシステムでは使用することができない。それは、そのような石炭(HClおよびH2SO4を含む)からの燃焼生成物はあまりに腐食性および侵食性が高く、発電所の構成要素は耐えることができないためである。多くの他の不純物(例えば、固体灰粒子や、鉛、ヨウ素、アンチモン、および水銀などの成分を含有する揮発性材料)は、高温で発電所の構成要素に対して深刻な内部損傷も引き起こし得る。再利用CO2の希釈作用は、発電所の構成要素に対するそのような不純物の有害作用を大きく改善または排除することができる。次いで、CO2/Cモル比の選択では、効率および発電所構成要素の浸食および腐食に対する効果ならびにCO2再利用システムの構成要素および機能の設計の複合的な検討が必要となり得る。本発明は、CO2の非常に効率的な再利用、ひいては、既知技術によって予測することができなかった高い熱効率を併せたCO2/Cモル比の増加を可能にする。このように、高いCO2/Cモル比により、少なくとも前述の利点がもたらされる。
同様に、燃焼器に導入されるO2の含有量を制御することが有用であり得る。これは、特に、燃焼器の動作の性質に依存し得る。本明細書により詳細に説明されているように、本発明の方法およびシステムは、完全酸化モード、完全還元モード、またはこれら両方の変形における動作を可能にすることができる。完全酸化モードでは、燃焼器に提供されるO2の量は、好適には、少なくとも、炭素含有燃料の完全な酸化を達成するのに必要な化学量論量である。特定の実施形態では、提供されるO2の量は、少なくとも約0.1モル%、少なくとも約0.25モル%、少なくとも約0.5モル%、少なくとも約1モル%、少なくとも約2モル%、少なくとも約3モル%、少なくとも約4モル%、または少なくとも約5モル%だけ上記化学量論量を上回る。他の実施形態では、提供されるO2の量は、約0.1モル%〜約5モル%、約0.25モル%〜約4モル%、または約0.5モル%〜約3モル%だけ上記化学量論量を上回る。完全還元モードでは、燃焼器に提供されるO2の量は、好適には、炭素含有燃料を成分H2、CO、CH4、H2S、およびNH3に変換するのに必要な化学量論量に、少なくとも約0.1モル%、少なくとも約0.25モル%、少なくとも約0.5モル%、少なくとも約1モル%、少なくとも約2モル%、少なくとも約3モル%、少なくとも約4モル%、または少なくとも約5モル%の過剰量を加えた量である。他の実施形態では、提供されるO2の量は、約0.1モル%〜約5モル%、約0.25モル%〜約4モル%、または約0.5モル%〜約3モル%だけ上記化学量論量を上回る。
本発明の方法は、一部の実施形態では、プロセスにおける様々な工程の全体にわたるCO2の物理状態に関して特徴づけることができる。CO2は、材料の物理的条件に応じた様々な状態で存在しているものとして認識される。CO2は、0.518MPaかつ−56.6℃の三重点を有するが、CO2はまた、7.38MPaかつ31.1℃の臨界圧および温度も有する。この臨界点を超えると、CO2は、超臨界流体として存在し、本発明は、サイクル中の特定の点でCO2を指定の状態に維持することによって発電効率を最大にする能力を実現している。具体的な実施形態では、燃焼器に導入されるCO2は、好適には、超臨界流体の形態である。
発電システムまたは方法の効率は典型的に、本システムまたは方法に投入されるエネルギーに対する本システムまたは方法によって出力されるエネルギーの比を表現するものと理解される。発電システムまたは方法の場合、効率は、燃焼して電気(または電力)を生成する燃料の総低位発熱量熱エネルギーに対する顧客グリッドに出力される電気または電力(例えば、メガワットまたはMW)の比として表現することが多い。そこで、この比を、システムまたは方法の正味効率(LHVに基づく)と呼んでもよい。この効率は、精製された酸素の生成(例えば、空気分離装置による)、加圧されたパイプラインに輸送するためのCO2の加圧、およびエネルギー投入を必要とする他のシステムまたは方法条件を含む、内部システムまたは方法プロセスに必要なすべてのエネルギーを考慮に入れることができる。
様々な実施形態では、本発明のシステムおよび方法は、CO2の臨界圧を上回る圧力で実質的に純粋なO2中で炭素含有燃料を燃焼させて(すなわち、燃焼器中で)、燃焼生成物流を生成するサイクルにおいて、作動流体として主にCO2を利用することができる。この流れをタービン全体に膨張させ、次いで、再生熱交換器に通す。熱交換器では、タービン排気が超臨界状態の再利用CO2循環流体を予熱する。この予熱した再利用CO2循環流体を燃焼器に投入し、そこで、炭素含有燃料の燃焼からの生成物と混合して、規定の最高タービン入口温度の総流量を得る。本発明は、優れた効率を提供することができる。これは、少なくとも部分的には、再生熱交換器の高温端で温度差を最小にすることの有益さを認めているためである。この最小化は、低温度レベルの熱源を使用して、燃焼器への導入前に再利用CO2の一部を加熱することによって達成することができる。これらの低温度レベルにおいて超臨界CO2の比熱および密度は非常に高く、このように追加で加熱することで、タービン排気流によってCO2をより高い温度まで予熱することができ、これにより、再生熱交換器の高温端における温度差を著しく減少させることができる。有用な低温熱源は、具体的な実施形態では、断熱的に動作する深冷空気分離装置に使用される空気圧縮機または従来のガスタービンからの高温排気流である。本発明の具体的な実施形態では、再生熱交換器の高温端における温度差は約50℃未満、好適には、約10℃〜約30℃の範囲である。低い圧力比(例えば、約12未満)の使用は、効率を上げることができるさらなる要因である。低い圧力比に加えて、作動流体としてCO2を使用することで、冷却したタービン排気の圧力を再利用圧力まで上昇させる際のエネルギー損失を低下させる。さらなる利点は、燃料からほぼ100%の炭素回収率でさらなる寄生電力消費をほとんど生じさせずに、パイプライン圧力(典型的には約10MPa〜約20MPa)でCO2の超臨界圧力を超える高圧流体としてCO2に変換される量の燃料中の炭素を生成することができる点である。そのようなシステムおよび方法のパラメータは、さらにより詳細に本明細書にさらに説明されている。さらに、本開示のシステムおよび方法のの基本的な例をさらに上回る効率およびコスト削減を提供するために、燃焼器、タービン、および熱交換器の様々な組み合わせを特定することができる。そのような組み合わせの特定の例示的な実施形態を本明細書に説明するが、本発明、特に、既知の技術を超える明白な利点をもたらし得るそのいくつかの構成要素の性質の完全な説明を提供するために、本システムおよび方法の基本的な要素に関して本発明を以下にまず説明する。その後、本発明から生じるシステム要素および動作条件の適当な組み合わせにより実現され得る、本開示のシステムおよび方法のさらなる利点をさらなる実施形態において例示する。
図5に戻ると、O2242およびCO2循環流体236と共に燃焼器220に導入される炭素含有燃料254を燃焼させて燃焼生成物流40を得る。具体的な実施形態では、燃焼器220を浸み出し冷却式燃焼器または上述のようなものなどの任意のさらなる好適な燃焼器とすることができる。燃焼温度は、具体的なプロセスパラメータ、例えば、使用される炭素含有燃料の種類、燃焼器に導入される燃料中の炭素に対するCO2のモル比、および/または燃焼器に導入されるO2に対するCO2のモル比に応じて変わり得る。具体的な実施形態では、燃焼温度は、浸み出し冷却式燃焼器の説明に関して上述したような温度である。特に好ましい実施形態では、本明細書に説明されているような約1,300℃を上回る燃焼温度は有利であり得る。
燃焼器を出る燃焼生成物流が所望の温度を有するように燃焼温度を制御することも有用であり得る。例えば、燃焼器を出る燃焼生成物流が、少なくとも約700℃、少なくとも約750℃、少なくとも約800℃、少なくとも約850℃、少なくとも約900℃、少なくとも約950℃、少なくとも約1,000℃、少なくとも約1,050℃、少なくとも約1,100℃、少なくとも約1,200℃、少なくとも約1,300℃、少なくとも約1,400℃、少なくとも約1,500℃、または少なくとも約1,600℃の温度を有することが有用であり得る。一部の実施形態では、燃焼生成物流は、約700℃〜約1,600℃、約800℃〜約1,600℃、約850℃〜約1,500℃、約900℃〜約1,400℃、約950℃〜約1,350℃または約1,000℃〜約1,300℃の温度を有していてもよい。
上述のように、発電サイクル全体にわたるCO2の圧力は、電力サイクル効率を最大にするための重要なパラメータとなり得る。燃焼器に導入される材料が具体的に定義されている圧力を有することが重要であり得るが、燃焼生成物流が規定の圧力を有することも重要であり得る。具体的には、燃焼生成物流の圧力は、燃焼器に導入されるCO2循環流体の圧力に関係させることができる。具体的な実施形態では、燃焼生成物流の圧力を、燃焼器に導入されるCO2、すなわち、循環流体の圧力の少なくとも約90%にすることができる。さらなる実施形態では、燃焼生成物流の圧力は、燃焼器に導入されるCO2の少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%にすることができる。
燃焼器を出る燃焼生成物流の化学組成は、使用される炭素含有燃料の種類に応じて変わり得る。重要なことに、以下により詳細に説明するように、燃焼生成物流は、燃焼器またはさらなるサイクルに再利用および再導入されるCO2を含む。さらに、大気への放出を含まない隔離または他の廃棄処分のために、過剰なCO2(燃料の燃焼によって生成されるCO2を含む)をCO2循環流体から(特に、CO2パイプラインに直接移動させるのに好適な圧力で)取り出すことができる。さらなる実施形態では、燃焼生成物流は、水蒸気、SO2、SO3、HCl、NO、NO2、Hg、過剰なO2、N2、Ar、および場合により燃焼される燃料中に存在し得る他の汚染物質のうちの1種以上を含んでいてもよい。本明細書に説明されているプロセスなどによって除去されない限り、燃焼生成物流中に存在するこれらの物質はCO2循環流体流中に残り得る。CO2に加えて存在するそのような物質を、本明細書では「二次成分」ともいう。
図5に示すように、燃焼生成物流40をタービン320に導くことができ、ここでは、燃焼生成物流40を膨張させて発電する(例えば、電気を生成する発電機(図示せず)によって)。タービン320は、燃焼生成物流40を受容するための入口と、CO2含有タービン排気流50を放出するための出口とを有することができる。単一のタービン320が図5に示されているが、2つ以上のタービンを使用してもよく、複数のタービンが直列で接続されているか、場合により1つ以上のさらなる構成要素、例えば、さらなる燃焼構成要素、圧縮構成要素、または分離構成要素などによって分離されていることが理解される。別途本明細書に提供されるさらなる開示に加えて、特に、実施例3に説明する例示的な実施形態に照らして、このようなマルチタービンの実施形態に関連する利点を認識することができる。
ここでも、プロセスパラメータをこのステップで厳密に制御してサイクル効率を最大にしてもよい。既存の天然ガス発電所の効率は、タービン入口温度に非常に依存している。例えば、約1,350℃と同程度に高い入口温度を可能にするタービン技術を達成するために大きなコストをかけて大規模な作業が行われている。タービン入口温度が高くなる程、発電所の効率は高くなるが、タービンも高価になり、場合によってはその寿命は短くなる。高値を支払い、かつ寿命が短くなるというリスクも有することに尻込みしている公益事業もある。本発明は、一部の実施形態では、そのようなタービンを利用してなおさらに効率を上げることができるが、そのようなことは必要ではない。具体的な実施形態では、上述のように、本システムおよび方法は、非常に低い範囲のタービン入口温度を使用しながら所望の効率を達成することができる。よって、本発明は、同じ燃料を用いて同じ効率を達成するために必要であると当技術分野で認識されている温度よりも著しく低いものであり得る本明細書に説明されているような規定の温度でタービン入口に燃焼生成物流を提供しながら、本明細書に説明されているような具体的な効率を達成することを特徴としてもよい。
上記のように、燃焼器220を出る燃焼生成物流40は、好適には、燃焼器220に流入するCO2循環流体236の圧力に非常に近い圧力を有する。よって、具体的な実施形態では、燃焼生成物流40は、流れの中に存在するCO2が超臨界流体状態にあるような温度および圧力にある。燃焼生成物流40をタービン320全体に膨張させると、流れの圧力は低下する。好適には、燃焼生成物流40の圧力がタービン排気流50の圧力に対して規定の比にあるように、この圧力降下を制御する。特定の実施形態では、タービン出口におけるタービン排気流に対するタービン入口における燃焼生成物流の圧力比は、約12未満である。これは、出口圧力(Op)に対する入口圧力(Ip)の比(すなわち、Ip/Op)として定義することができる。さらなる実施形態では、圧力比は、約11未満、約10未満、約9未満、約8未満、または約7未満にすることができる。他の実施形態では、タービンにおける出口圧力に対する入口圧力の比を、約1.5〜約12、約2〜約12、約3〜約12、約4〜約12、約2〜約11、約2〜約10、約2〜約9、約2〜約8、約3〜約11、約3〜約10、約3〜約9、約3〜約9、約4〜約11、約4〜約10、約4〜約9、または約4〜約8にすることができる。
具体的な実施形態では、タービン排気流が、流れの中のCO2がもはや超臨界流体状態ではなく、気体の状態であるような条件下にあることが望ましいことがある。例えば、気体の状態でCO2を提供することにより、あらゆる二次成分の除去を容易にすることができる。一部の実施形態では、タービン排気流は、CO2が超臨界状態にある圧力よりも低い圧力を有する。好適には、タービン排気流は、約7.3MPa未満、約7MPa以下、約6.5MPa以下、約6MPa以下、約5.5MPa以下、約5MPa以下、約4.5MPa以下、約4MPa以下、約3.5MPa以下、約3MPa以下、約2.5MPa以下、約2MPa以下、または約1.5MPa以下である圧力を有する。他の実施形態では、タービン排気流の圧力は、約1.5MPa〜約7MPa、約3MPa〜約7MPa、または約4MPa〜約7MPaにすることができる。好適には、タービン排気流の圧力は、流れが遭遇する冷却(例えば周囲冷却)温度でCO2凝縮圧力よりも低い。よって、本発明によれば、タービン320の下流(および、好適には、加圧装置620の上流)のCO2を気体の状態に維持し、かつ液体CO2が形成し得る条件に到達させないことが好ましい。
上述の優先的な圧力比を利用することから生じる利点に加えて、本発明のシステムおよび方法において複数のタービンを利用した場合、さらなる利点を提供することができる。特に、上記の圧力比は、一連のタービンの中の単一のタービンのみに適用されてもよい。上記圧力範囲の下端で排出するように、その系の1つ以上のさらなるタービンを適合させてもよい。例えば、CO2の超臨界圧力以下の圧力または1.5MPa以下でタービンが排出する実施形態では、タービンまたは複数のタービンは、周囲圧力付近または周囲圧力である圧力で流れを排出するように適合されてもよい。
燃焼生成物流をタービンに通すことで若干温度が低下し得るが、タービン排気流は典型的に、燃焼生成物流中に存在するあらゆる二次成分の除去を妨げ得る温度を有する。例えば、タービン排気流は、約500℃〜約1,000℃、約600℃〜約1,000℃、約700℃〜約1,000℃、または約800℃〜約1,000℃の温度を有していてもよい。燃焼生成物流が比較的高温であるため、タービンがそのような温度に耐えることができる材料で形成されていることが有益であり得る。また、タービンが、燃焼生成物流中に存在し得る種類の二次物質に対する良好な耐化学性を示す材料を含むことも有用であり得る。
よって、一部の実施形態では、タービン排気流50を、タービン排気流50を冷却しかつ規定の範囲の温度を有するCO2循環流体流60を提供する少なくとも1つの熱交換器420に通すことが有用であり得る。具体的な実施形態では、熱交換器420(または2つ以上の熱交換器が使用されている場合には一連の熱交換器の中の最終の熱交換器)を出るCO2循環流体60は、約200℃未満、約150℃未満、約125℃未満、約100℃未満、約95℃未満、約90℃未満、約85℃未満、約80℃未満、約75℃未満、約70℃未満、約65℃未満、約60℃未満、約55℃未満、約50℃未満、約45℃未満、または約40℃未満の温度を有する。
上記のように、タービン排気圧力が、燃焼生成物流の圧力と特定の比にある圧力を有すると有益であり得る。具体的な実施形態では、タービン排気流を、本システムのさらなる構成要素をなんら通さずに、本明細書に説明されている1つ以上の熱交換器に直接通す。よって、圧力比も、熱交換器(または一連の熱交換器が使用されている場合には第1の熱交換器)の高温端に流入する流れの圧力に対する燃焼器を流出する際の燃焼生成物流の圧力の比に関して表現してもよい。ここでも、この圧力比は、好適には、約12未満である。さらなる実施形態では、熱交換器に流入する流れに対する燃焼生成物流の圧力比は、約11未満、約10未満、約9未満、約8未満、または約7未満にすることができる。他の実施形態では、この圧力比を、約1.5〜約10、約2〜約9、約2〜約8、約3〜約8、または約4〜約8にすることができる。
他の実施形態では、タービン排気流(またはその一部)を、熱交換器に通す前に、燃焼器へ、次いで1つ以上のさらなるタービン(および、任意で、1つ以上のさらなる燃焼器)へ直接通してもよい。本明細書に説明されているような一連のタービンの中のあるタービンの排気流を、タービンの入口流よりも低温にしてもよいことをさらに理解されたい。
浸み出し冷却式燃焼器の使用により、高熱燃焼が可能となるが、本発明のシステムおよび方法は、本システムに関連するコストを下げ、熱交換器(複数可)の寿命を延ばし、かつ本システムの性能および信頼性を向上させるのに十分に低い温度でタービン排気流を熱交換器(または一連の熱交換器)に提供することも可能であることを特徴とすることができる。具体的な実施形態では、本発明によるシステムまたは方法における熱交換器にとって最も高い動作温度は、約1,100℃未満、約1,000℃未満、約975℃未満、約950℃未満、約925℃未満、または約900℃未満である。
特定の実施形態では、熱交換器420が、タービン排気流50を受容し、それを所望の温度に冷却するための少なくとも2つの熱交換器を直列で含むことが特に有用であり得る。使用される熱交換器の種類は、熱交換器に流入する流れの条件に応じて変わり得る。例えば、タービン排気流50は、上述したように比較的高温であってもよく、よって、タービン排気流50を直接受容する熱交換器が、極限条件に耐えるように設計された高性能材料で形成されていることが有用であり得る。例えば、一連の熱交換器の中の第1の熱交換器は、INCONEL(登録商標)合金または同様の材料を含んでいてもよい。好適には、一連の熱交換器の中の第1の熱交換器は、少なくとも約700℃、少なくとも約750℃、少なくとも約800℃、少なくとも約850℃、少なくとも約900℃、少なくとも約950℃、少なくとも約1,000℃、少なくとも約1,100℃、または少なくとも約1,200℃の一貫した動作温度に耐えることができる材料を含む。また、熱交換器のうちの1つ以上が、燃焼生成物流中に存在し得る二次物質の種類に対する良好な耐化学性を示す材料を含むことが有用であり得る。INCONEL(登録商標)合金は、SpecialMetalsCorporationから入手可能であり、一部の実施形態は、オーステナイト系ニッケル−クロム系合金を含むことができる。有用であり得る合金の例には、INCONEL(登録商標)600、INCONEL(登録商標)601、INCONEL(登録商標)601GC、INCONEL(登録商標)603XL、INCONEL(登録商標)617、INCONEL(登録商標)625、INCONEL(登録商標)625LCF、INCONEL(登録商標)686、INCONEL(登録商標)690、INCONEL(登録商標)693、INCONEL(登録商標)706、INCONEL(登録商標)718、INCONEL(登録商標)718SPF(商標)、INCONEL(登録商標)722、INCONEL(登録商標)725、INCONEL(登録商標)740、INCONEL(登録商標)X−750、INCONEL(登録商標)751、INCONEL(登録商標)MA754、INCONEL(登録商標)MA758、INCONEL(登録商標)783、INCONEL(登録商標)903、INCONEL(登録商標)N06230、INCONEL(登録商標)C−276、INCONEL(登録商標)G−3、INCONEL(登録商標)HX、INCONEL(登録商標)22が含まれる。好ましい熱交換器の設計例は、上記合金のうちの1種などの高温材料で製造された板の中にケミカルミーリングされたフィンを備えた拡散接合型小型平板熱交換器である。好適な熱交換器には、商品名HEATRIC(登録商標)で入手可能(米国テキサス州ヒューストンのMeggittから入手可能)なものを含むことができる。
一連の熱交換器の中の第1の熱交換器は、好適には、一連の熱交換器の中に存在する1つ以上のさらなる熱交換器をより従来の材料、例えば、ステンレス鋼で形成することができるように熱をタービン排気流から十分に伝達させることができる。具体的な実施形態では、少なくとも2つの熱交換器または少なくとも3つの熱交換器を直列で使用して、タービン排気流を所望の温度に冷却する。複数の熱交換器を直列で使用する有用性は、特に、燃焼器内への導入前に、循環流体を再加熱するためにタービン排気流からCO2循環流体に熱を伝達することに関する以下の説明から理解することができる。
一部の実施形態では、本方法およびシステムは、単一段の燃焼方法またはシステムであることを特徴としてもよい。これは、上記浸み出し冷却式燃焼器などの高効率燃焼器の使用によって達成することができる。基本的に、燃料を完全に燃焼させるために一連の燃焼器を提供することが不要になるように、燃料を単一の燃焼器で実質的に完全に燃焼させることができる。よって、一部の実施形態では、本発明の方法およびシステムを、浸み出し冷却式燃焼器が唯一の燃焼器であるようなものとして表現することができる。さらなる実施形態では、本方法およびシステムは、排気流を熱交換器の中に通す前に、単一の浸み出し冷却式燃焼器においてのみ燃焼が生じるようなものとして表現することができる。またさらなる実施形態では、本方法およびシステムは、タービン排気流をさらなる燃焼器に通さずに熱交換器の中に直接通すようなものとして表現することができる。
冷却後、少なくとも1つの熱交換器420から流出するCO2循環流体流60をさらなる処理に供して、燃料の燃焼によりCO2循環流体流60中に残留するあらゆる二次成分を分離することができる。図5に示すように、循環流体流60を1つ以上の分離装置520に導くことができる。以下にさらに詳細に説明するように、本発明は、CO2を大気に放出することなく炭素含有燃料の燃焼によって発電するための高効率な方法を提供することができることを特に特徴とすることができる。これは、少なくとも部分的に、発電サイクルで循環流体としての炭素含有燃料の燃焼により生成されたCO2を使用することによって達成することができる。ただし、一部の実施形態では、連続燃焼および循環流体としてのCO2の再利用により、本システムにCO2の蓄積が生じることがある。そのような場合、CO2の少なくとも一部(例えば、炭素含有燃料の燃焼により生じたCO2の量にほぼ等しい量)を循環流体から取り出すことが有用であり得る。そのように取り出したCO2は、任意の好適な方法によって処分することができる。具体的な実施形態では、以下にさらに説明するように、好適な手段によって、隔離または廃棄処分のためにCO2をパイプラインまで導いてもよい。
パイプラインに流入するCO2がパイプラインのために使用される炭素鋼の腐食を防止するために実質的に水を含有しないということをCO2パイプラインシステム仕様の要件にすることができる。「湿った」CO2をステンレス鋼CO2パイプラインの中に直接投入することができるが、これは必ずしも可能ではなく、実際には、コストの問題のために、炭素鋼パイプラインを使用することがより望ましいことがある。よって、特定の実施形態では、CO2循環流体中に存在する水(例えば、炭素含有燃料の燃焼時に生成され、かつ燃焼生成物流、タービン排気流、およびCO2循環流体流中に残存する水)を、冷却したCO2循環流体流から液相として大部分を除去することができる。具体的な実施形態では、これは、ガス混合物を周囲温度冷却手段で達成される最低温度まで冷却した場合にガス混合物中に存在するCO2が液化される点よりも低い圧力でCO2循環流体(例えば、気体の状態)を提供することによって達成することができる。例えば、CO2循環流体は、特に、そこから二次成分を分離する間に7.38MPa未満の圧力で提供することができる。低い周囲温度範囲または実質的に周囲温度よりも低い温度で冷却手段が使用される場合には、なおより低い圧力が必要となり得る。これにより、液体として水を分離することができ、分離装置を出る精製したCO2循環流65の汚染も最小にする。これにより、タービン排気圧力を、タービン排気ガスの臨界圧よりも低い値に制限することもできる。実際の圧力は、利用可能な周囲冷却手段の温度に依存し得る。例えば、30℃で水の分離が生じる場合、7MPaの圧力により、CO2凝縮圧力に対して0.38MPaの余地が可能となる。一部の実施形態では、熱交換器を出て分離装置に流入するCO2循環流体は、約2MPa〜約7MPa、約2.25MPa〜約7MPa、約2.5MPa〜約7MPa、約2.75MPa〜約7MPa、約3MPa〜約7MPa、約3.5MPa〜約7MPa、約4MPa〜約7MPa、または約4MPa〜約6MPaの圧力で提供してもよい。他の実施形態では、圧力はタービン出口における圧力と実質的に同じであってもよい。
具体的な実施形態では、水の分離後の精製したCO2循環流65は、水蒸気を含まないか水蒸気を実質的に含んでいない。一部の実施形態では、精製したCO2循環流を、モル換算で1.5%未満、モル換算で1.25%未満、モル換算で1%未満、モル換算で0.9%未満、またはモル換算で0.8%未満、モル換算で0.7%未満、モル換算で0.6%未満、モル換算で0.5%未満、モル換算で0.4%未満、モル換算で0.3%未満、モル換算で0.2%未満、またはモル換算で0.1%未満の量だけ水蒸気を含むものとして特徴づけることができる。一部の実施形態では、精製したCO2循環流体流は、モル換算で約0.01%〜約1.5%、モル換算で約0.01%〜約1%、モル換算で約0.01%〜約0.75%、モル換算で約0.01%〜約0.5%、モル換算で約0.01%〜約0.25%、モル換算で約0.05%〜約0.5%、またはモル換算で約0.05%〜約0.25%の量だけ水蒸気を含むことができる。
上に定義されている温度および圧力条件でCO2循環流体を提供して、水などの二次成分の分離を容易にすることが非常に有利であり得る。換言すると、本発明は特に、分離前のCO2循環流体中のCO2および水が分離を容易にする所望の状態にあるようにCO2循環流体を所望の条件下に維持することを提供することができる。上述したような圧力でCO2循環流体を提供することによって、流れの中の水が液体の状態にあり、そのために気体のCO2からより容易に分離可能である点まで流体流の温度を低下させることができる。
特定の実施形態では、精製したCO2循環流体が完全または実質的に水を含有しないように、さらなる乾燥条件を提供することが望ましいことがある。上記のように、材料の相の違いに基づくCO2循環流体からの水の分離は、少量(すなわち低濃度)の水をCO2循環流体中に残し得る。一部の実施形態では、CO2循環流体がその中に残留している微量の水を有し続けることを許容される場合もある。他の実施形態では、CO2循環流体をさらなる処理に供して、残留する水のすべてまたは一部の除去を促進することが有用であり得る。例えば、乾燥剤による乾燥器または本開示に照らして好適な他の手段によって低濃度の水を除去してもよい。
ここでも、規定の圧力でCO2循環流体を分離装置に提供することは、電力サイクルの効率を最大にするために特に有益であり得る。具体的には、CO2循環流体を規定の圧力範囲で提供することにより、気相中の精製したCO2循環流体を最小の総電力消費で高圧に圧縮することができる。以下に説明するように、精製したCO2循環流体の一部を燃焼器に再利用することができ、かつ一部を必要なパイプライン圧力(例えば、約10MPa〜約20MPa)で供給することができるように、そのような加圧が必要とされ得る。これは、上述のように、膨張タービンの出口に対する入口の圧力比を最小にするという利点をさらに示している。これは、全体的なサイクル効率を上げ、かつ水および他の二次成分をCO2循環流体から分離するために、タービンからの排気圧力を上記の望ましい範囲にすることを可能にする役割も果たす。
分離装置520を通るCO2循環流体の流れの一実施形態が図6に示されている。そこに示されているように、熱交換器からのCO2循環流体流60を、水を使用してCO2循環流体60から熱をさらに除去し、かつ混合相CO2循環流体61を排出する冷水熱交換器530(または任意の同様に機能する装置)に通すことができ、ここでは、CO2はガスのままであり、CO2循環流体中の水は液相に変換されている。例えば、CO2循環流体60を冷水熱交換器530に通すことにより、CO2循環流体を約50℃未満、約55℃未満、約40℃未満、約45℃未満、約40℃未満、または約30℃未満の温度まで冷却することができる。好適には、CO2循環流体の圧力は、冷水熱交換器530に通すことによって実質的に変化しない。混合相CO2循環流体61は水分離装置540に導かれ、ここで、液体水流62aが分離器520から排出される。富化CO2循環流体流62bも、水分離装置540から流出する。この富化流は、精製したCO2循環流体流65として分離器520から直接排出することができる。他の実施形態では(破線によって表されている流れおよび構成要素によって示されているように)、以下により詳細に説明するように、さらなる二次成分の除去のために、富化されたCO2循環流体流62bを1つ以上のさらなる分離装置550に導いてもよい。具体的な実施形態では、水の除去後に、CO2循環流体のあらゆるさらなる二次成分を除去することができる。次いで、CO2循環流体が、精製されたCO2循環流体65として1つ以上のさらなる分離装置から流出する。しかしながら、一部の実施形態では、最初に、水の除去前に1種以上の二次成分を除去するために混合相CO2循環流体61を導き、次いで、部分的に精製した流れを水分離装置540に導いてもよい。本開示を検討した当業者であれば、望ましいものとなり得る分離器の様々な組み合わせを想到し得、すべてのそのような組み合わせは、本発明によって組み込まれることが意図されている。
上記のように、CO2循環流体は、水に加えて、燃料由来、燃焼由来、および酸素由来不純物などの他の二次成分を含有していてもよい。そのような二次成分も、水の分離と同時およびその前後に、冷却した気体のCO2循環流体から除去することができる。例えば、水蒸気に加えて、SO2、SO3、HCl、NO、NO2、Hgなどの二次成分および過剰なO2、N2およびArを除去することができる。CO2循環流体のこれらの二次成分(不純物または汚染物質として認識されることが多い)を、適当な方法(例えば、米国特許出願公開第2008/0226515号および欧州特許出願第1952874号および第1953486号に定義されている方法、これらの開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる)を用いて、冷却したCO2循環流体からすべてを除去することができる。SO2およびSO3を硫酸に100%変換することができ、95%超のNOおよびNO2を硝酸に変換することができる。CO2循環流体中に存在するあらゆる過剰なO2を、燃焼器への任意の再利用のために、富化流として分離することができる。存在するあらゆる不活性ガス(例えば、N2およびAr)を低圧力で大気に排出することができる。よって、特定の実施形態では、燃焼される燃料中の炭素に由来するCO2を最終的に高密度の純粋な流れとして輸送することができるようにCO2循環流体を精製することができる。具体的な実施形態では、精製したCO2循環流体は、少なくとも98.5モル%、少なくとも99モル%、少なくとも99.5モル%、または少なくとも99.8モル%の濃度でCO2を含むことができる。さらに、CO2循環流体は、CO2パイプライン内に直接投入するために、所望の圧力、例えば、少なくとも約10MPa、少なくとも約15MPa、または少なくとも約20MPaで提供することができる。
上記を要約すると、一実施形態では、好適な燃焼器220でO2242およびCO2循環流体236の存在下で炭素含有燃料254を燃焼させると、比較的高い温度および圧力を有する燃焼生成物流40を形成することができる。比較的大量のCO2を含むこの燃焼生成物流40をタービン320に通して燃焼生成物流40を膨張させ、それによりこの流れの圧力を低下させ、発電することができる。タービン320の出口を出るタービン排気流50は、圧力は低下しているが、なお比較的高温のままである。燃焼生成物流中に汚染物質および不純物が存在するため、CO2循環流体を本システムに再利用する前にそのような汚染物質および不純物を分離することが有益である。この分離を達成するために、タービン排気流50を1つ以上の熱交換器420に通して冷却する。二次生成物(例えば、水ならびにあらゆる他の汚染物質および不純物)の分離を上述のように達成することができる。CO2循環流体を燃焼器に再利用するために、CO2循環流体に対して、再加熱および再加圧の両方を行う必要がある。特定の実施形態では、本発明は、同時に汚染物質(例えば、CO2)を大気中に排出するのを防止しながら、発電サイクルの効率を最大にするための具体的なプロセスステップの実施を特に特徴とすることができる。これは、特に、分離装置から流出する冷却および精製したCO2循環流体の再加熱および再加圧に関して理解することができる。
図5にさらに示すように、1つ以上の分離装置520を出る精製したCO2循環流体65を、1つ以上の加圧装置620(例えば、ポンプまたは圧縮機など)に通して、精製したCO2循環流体65の圧力を上昇させることができる。特定の実施形態では、精製したCO2循環流体65を、少なくとも約7.5MPaまたは少なくとも約8MPaの圧力まで圧縮することができる。一部の実施形態では、燃焼器220への導入のために、単一の加圧装置を使用して、精製したCO2循環流体の圧力を本明細書に説明されている所望の圧力まで上昇させることができる。
具体的な実施形態では、加圧装置620内の一連の2つ以上の圧縮機(例えば、ポンプ)を用いて加圧を行うことができる。1つのそのような実施形態が図7に示されており、ここでは、精製したCO2循環流体65を第1の圧縮機630に通して、精製したCO2循環流体65を第1の圧力(好適にはCO2の臨界圧を超える)まで圧縮し、そのようにして流れ66を形成する。流れ66を、熱(例えば、第1の圧縮機の加圧作用によって生成された熱)を取り出し、かつ、好適にはほぼ周囲温度の、流れ67を形成する冷水熱交換器640に導くことができる。流れ67を、CO2循環流体を第1の圧力よりも大きい第2の圧力まで加圧するために使用される第2の圧縮機650に導くことができる。以下に説明するように、第2の圧力は、燃焼器に投入される(または再利用される)CO2循環流体にとって望ましい圧力と実質的に同様にすることができる。
具体的な実施形態では、精製したCO2循環流体を気体の状態から超臨界流体の状態に変換するように、第1の圧縮機630を使用して、精製したCO2循環流体65の圧力を上昇させることができる。具体的な実施形態では、精製したCO2循環流体を、第1の圧縮機630で、約7.5MPa〜約20MPa、約7.5MPa〜約15MPa、約7.5MPa〜約12MPa、約7.5MPa〜約10MPa、または約8MPa〜約10MPaの圧力まで加圧することができる。次いで、第1の圧縮機630から流出する流れ66(超臨界流体状態にある)を、さらにより大きな圧力までより効率的にポンプ圧縮することができる高密度流体を形成するのに十分な温度までCO2循環流体を冷却することができる冷水熱交換器640(または任意の同様に機能する装置)に通す。これは、循環流体として使用される再利用される大量のCO2を考慮すると重要である。超臨界流体状態の大量のCO2をポンプ圧縮することは本システムでは著しいエネルギー流出になり得る。しかしながら、本発明は、CO2の密度を高め、そのようにして、再利用のために燃焼器にポンプ圧送される超臨界CO2の総体積を減少させることによって提供することができる有益な効率の上昇を実現する。具体的な実施形態では、CO2循環流体は、冷水熱交換器640からの排出後(および加熱のために熱交換装置420に通す前)に少なくとも約200kg/m3、少なくとも約250kg/m3、少なくとも約300kg/m3、少なくとも約350kg/m3、少なくとも約400kg/m3、少なくとも約450kg/m3、少なくとも約500kg/m3、少なくとも約550kg/m3、少なくとも約600kg/m3、少なくとも約650kg/m3、少なくとも約700kg/m3、少なくとも約750kg/m3、少なくとも約800kg/m3、少なくとも約850kg/m3、少なくとも約900kg/m3、少なくとも約950kg/m3、または少なくとも約1,000kg/m3の密度で提供することができる。さらなる実施形態では、上記密度は、約150kg/m3〜約1,100kg/m3、約200kg/m3〜約1,000kg/m3、約400kg/m3〜約950kg/m3、約500kg/m3〜約900kg/m3、または約500kg/m3〜約800kg/m3であってもよい。
具体的な実施形態では、流れ66を冷水熱交換器640に通すことにより、CO2循環流体を約60℃未満、約50℃未満、約40℃未満、または約30℃未満の温度まで冷却することができる。他の実施形態では、流れ67として冷水熱交換器640を出るCO2循環流体の温度を、約15℃〜約50℃、約20℃〜約45℃、または約20℃〜約40℃にすることができる。第2の圧縮機650に流入する流れ67中のCO2循環流体は、CO2循環流体の燃焼器への導入のために流れを本明細書に説明されているような所望の圧力までエネルギー効率良くポンプ圧縮するのを容易にする条件下にあることが好ましい。例えば、加圧した超臨界CO2循環流体流70を、少なくとも約12MPa、少なくとも約15MPa、少なくとも約16MPa、少なくとも約18MPa、少なくとも約20MPa、または少なくとも約25MPaの圧力までさらに加圧することができる。一部の実施形態では、加圧した超臨界CO2循環流体流70を、約15MPa〜約50MPa、約20MPa〜約45MPa、または約25MPa〜約40MPaの圧力までさらに加圧することができる。上記温度下で動作することができ、かつ記載の圧力を達成することができる、高圧多段ポンプなどの任意の種類の圧縮機を使用することができる。
1つ以上の加圧装置620を出る加圧したCO2循環流体流70を、タービン排気流50を冷却するために先に使用した熱交換器に戻すことができる。図5に示すように、加圧したCO2循環流体流70を、最初に、CO2パイプライン流体流80およびCO2循環流体流85(流れの中に存在するCO2の実際の量を除いてCO2循環流体流70と実質的に同じである)を形成する分流器720に通してもよい。よって、一部の実施形態では、加圧したCO2循環流体流中のCO2の少なくとも一部を、隔離のために加圧されたパイプラインに導入する。CO2循環流体流から除去され、かつパイプライン(または他の隔離または廃棄処分手段)に導かれるCO2の量は、燃焼温度を制御するために燃焼器に導入されるCO2の所望の含有量および燃焼器から流出する燃焼排気流中に存在するCO2の実際の含有量に応じて変わり得る。一部の実施形態では、上述したように取り出されるCO2の量は、実質的に、燃焼器内の炭素含有燃料の燃焼によって生成されたCO2の量にすることができる。
高効率動作を達成するために、加圧装置620を出るCO2循環流体を、超臨界流体がさらにより低い比熱を有する温度まで加熱することが有益であり得る。これは、比較的低い温度範囲にわたる非常に大きな熱の投入を提供することに相当する。再利用CO2循環流体の一部をさらに加熱するための外部熱源(例えば、比較的低い温度の熱源)の使用により、熱交換装置420を、タービン排気流50と、熱交換装置420(または一連の2つ以上の熱交換器が使用されている場合には第1の熱交換器)の高温端における再利用CO2循環流体流236との温度差が小さい状態で動作させることができる。具体的な実施形態では、加圧したCO2循環流体を1つ以上の熱交換器に通すことは、加圧したCO2循環流体流を、加圧したCO2循環流体流を燃焼器に投入するための所望の温度に加熱するのに有用であり得る。特定の実施形態では、加圧したCO2循環流体流を、CO2循環流体流を燃焼器に投入する前に、少なくとも約200℃、少なくとも約300℃、少なくとも約400℃、少なくとも約500℃、少なくとも約600℃、少なくとも約700℃、または少なくとも約800℃の温度に加熱する。一部の実施形態では、加熱は、約500℃〜約1,200℃、約550℃〜約1,000℃、または約600℃〜約950℃の温度であってもよい。
図8は、熱交換装置420の一実施形態を示し、ここでは、3つの個々の熱交換器を直列で使用して、タービン排気流50から熱を取り出し、二次成分を除去するのに適した条件下でCO2循環流体流れ60を提供すると同時に、CO2循環流体流236の燃焼器内への再利用および導入前に、加圧した超臨界CO2循環流体流70(または85)に熱を添加する。以下にさらに説明するように、本システムおよび方法は、その効率および/または出力を高めるように従来の電力システム(例えば、石炭火力発電所)に組み込まれたものであってもよい。よって、一部の実施形態では、二次熱交換装置も使用されている(図12に示されている)そのような改良型では、以下に説明するような熱交換装置420を、主熱交換装置と呼ぶこともある。よって、二次熱交換装置は、例えば、蒸気流を過熱するために使用される1つ以上の熱交換器にすることができる。主熱交換装置および二次熱交換装置という用語の使用は、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではなく、単に説明を明確にするために使用されている。
図8の実施形態では、タービン排気流50は、最初に第1の熱交換器430を通ることより一連の熱交換器420に流入して、タービン排気流50の温度よりも低い温度を有する流れ52を提供する。第1の熱交換器430は、一連の熱交換器の中で最も高温の流れ、すなわち、タービン排気流50を受容し、よって、一連の熱交換器420において最も高い温度範囲の熱を伝達するため、高温熱交換器と呼んでもよい。上述のように、比較的高温のタービン排気流50を受容する第1の熱交換器430は、特殊合金または、上記温度に耐えるのに適した熱交換器を製造するのに有用な他の材料を含むことができる。第1の熱交換器430(2つ以下または4つ以上の個々の熱交換器が使用されている他の実施形態にも適用することができる)に通すことによって、タービン排気流50の温度を著しく低下させることができる。一部の実施形態では、第1の熱交換器430を出る流れ52の温度を、少なくとも約100℃、少なくとも約200℃、少なくとも約300℃、少なくとも約400℃、少なくとも約450℃、少なくとも約500℃、少なくとも約550℃、少なくとも約575℃、または少なくとも約600℃だけタービン排気流50の温度よりも低くすることができる。具体的な実施形態では、流れ52の温度は、約100℃〜約800℃、約150℃〜約600℃、または約200℃〜約500℃であってもよい。好ましい実施形態では、第1の熱交換器430を出る流れ52の圧力は、タービン排気流50の圧力と実質的に同様である。具体的には、第1の熱交換器430を出る流れ52の圧力を、タービン排気流50の圧力の少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、または少なくとも99.8%にすることができる。
第1の熱交換器430を出る流れ52を第2の熱交換器440に通して、第2の熱交換器440に流入する流れ52の温度よりも低い温度を有する流れ56を生成する。第2の熱交換器440は、中間温度範囲(すなわち、第1の熱交換器430よりも低いが、第3の熱交換器450よりも高い温度範囲)の熱を伝達するため、中間温度熱交換器と呼んでもよい。一部の実施形態では、第1の流れ52と第2の流れ56との温度差を、タービン排気流50と第1の熱交換器430を出る流れ52との温度差よりも実質的に小さくすることができる。一部の実施形態では、第2の熱交換器440を出る流れ56の温度を、第2の熱交換器440に流入する流れ52の温度よりも約10℃〜約200℃、約20℃〜約175℃、約30℃〜約150℃、または約40℃〜約140℃だけ低くすることができる。具体的な実施形態では、流れ56の温度は、約75℃〜約600℃、約100℃〜約400℃、または約100℃〜約300℃であってもよい。ここでも、第2の熱交換器440を出る流れ56の圧力を、第2の熱交換器440に流入する流れ52の圧力と実質的に同様であることが好ましいことがある。具体的には、第2の熱交換器440を出る流れ56の圧力を、第2の熱交換器440に流入する流れ52の圧力の少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、または少なくとも99.8%にすることができる。
第2の熱交換器440を出る流れ56を第3の熱交換器450に通して、第3の熱交換器450に流入する流れ56の温度よりも低い温度を有するCO2循環流体流れ60を生成する。第3の熱交換器450は、一連の伝熱器420の最も低い温度範囲の熱を伝達するため、低温熱交換器と呼んでもよい。一部の実施形態では、第3の熱交換器450を出るCO2循環流体流れ60の温度は、第3の熱交換器450に流入する流れ56の温度よりも、約10℃〜約250℃、約15℃〜約200℃、約20℃〜約175℃、または約25℃〜約150℃だけ低くすることができる。具体的な実施形態では、流れ60の温度は、約40℃〜約200℃、約40℃〜約100℃、または約40℃〜約90℃であってもよい。ここでも、第3の熱交換器450を出るCO2循環流体流れ60の圧力が第3の熱交換器450に流入する流れ56の圧力と実質的に同様であることが好ましいことがある。具体的には、第3の熱交換器450を出るCO2循環流体流れ60の圧力を、第3の熱交換器450に流入する流れ56の圧力の少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、または少なくとも99.8%にすることができる。
上述のように、第3の熱交換器450を出る(ひいては、一般に熱交換装置420を出る)CO2循環流体流れ60を、1つ以上の分離装置520に導くことができる。また、上述のように、CO2循環流体流を1つ以上の種類の分離に供して、流れから二次成分を除去することができ、次いで、これを、再利用される循環流体(場合により、CO2パイプラインまたは大気への放出を伴わない隔離もしくは廃棄処分のための他の手段の中に投入するために分離されたCO2の一部を有する)として燃焼器に戻すために加圧する。
図8に戻ると、燃焼器220に投入する前に、元々熱交換器によって取り出された熱を使用して加圧したCO2循環流体流70に熱を与えることができるように、加圧したCO2循環流体流70(または、図5に示すように最初に分離装置に通す場合には85)を同じ一連の3つの熱交換器に戻すことができる。典型的には、3つの熱交換器(450、440、および430)を通すことによって、加圧したCO2循環流体流70に与えられた熱は、上述のように熱交換器によって取り出した熱の量に比較的に比例し得る。
一部の実施形態では、本発明は、熱交換器の低温端(または一連の熱交換器の中の最後の熱交換器)に出入りする流れの温度差を特徴としてもよい。図8を参照すると、これは、具体的には流れ60および70の温度差に関していてもよい。熱交換器の低温端(または一連の熱交換器の中の最後の熱交換器)における上記流の温度差は、具体的にはゼロよりも大きく、かつ約2℃〜約50℃、約3℃〜約40℃、約4℃〜約30℃、または約5℃〜約20℃の範囲であってもよい。
一部の実施形態では、加圧したCO2循環流体流70を、一連の3つの熱交換器に直接通すことができる。例えば、加圧したCO2循環流体流70(すなわち、比較的低い温度)を、第3の熱交換器450に通して温度が上昇した流れ71を形成することができ、これを第2の熱交換器440に直接通して温度が上昇した流れ73を形成することができ、これを第1の熱交換器430に直接通して、燃焼器220に導くことができる高温の加圧したCO2循環流体流236を形成することができる。
しかしながら、特定の実施形態では、本発明は、再利用CO2循環流体の温度をさらに上昇させる外部熱源の使用を特徴とすることができる。例えば、図8に示すように、加圧したCO2循環流体流れ70を第3の熱交換器450に通した後、形成された流れ71を、第2の熱交換器440に直接通す代わりに、流れ71を2つの流れ71bおよび72aに分割する分割構成要素460に通すことができる。そうでない場合は上記のとおり、流れ71bを第2の熱交換器440に通すことができる。流れ72aを、熱交換器自体によって与えられた熱に加えてさらなる量の熱を加圧したCO2循環流体流れ70に与えるために使用することができる副加熱器470に通すことができる。
第2の熱交換器440および副加熱器470に導かれる流れ71からの加圧したCO2循環流体の相対量は、本システムの動作条件および燃焼器220に投入するための加圧したCO2循環流体流の所望の最終温度に応じて変わり得る。特定の実施形態では、第2の熱交換器440に導かれる流れ71bと副加熱器470に導かれる流れ72aとにおけるCO2モル比は、約1:2〜約20:1(すなわち、流れ72a中のCO22モルにつき流れ71b中のCO2を約1モル〜流れ72a中のCO21モルにつき流れ71b中のCO2を約20モル)にすることができる。さらなる実施形態では、第2の熱交換器440に導かれる流れ71b中のCO2と副加熱器470に導かれる流れ72a中のCO2とのモル比を、約1:1〜約20:1、約2:1〜約16:1、約2:1〜約12:1、約2:1〜約10:1、約2:1〜約8:1、または約4:1〜約6:1にすることができる。
副加熱器は、CO2循環流体に熱を与えるのに有用な任意の装置を含むことができる。一部の実施形態では、副加熱器によって与えられるエネルギー(すなわち、熱)を、外部源から本システムに投入することができる。しかしながら、本発明による特定の実施形態では、サイクル中の1つ以上の時点で生成される廃熱を利用することによって、サイクルの効率を高めることができる。例えば、燃焼器に投入するためのO2の生成によって熱を生成することができる。既知の空気分離装置は、分離プロセスの副生成物として熱を生成することができる。さらに、O2を上述のような高い圧力で提供することは有用であり得、ガスのそのような加圧によっても副生成物として熱を生成することができる。例えば、深冷空気分離プロセスの動作によってO2を生成してもよく、このプロセスにおいて、冷却状態を保つ周囲温度まで効率的に加熱される液体酸素をポンプ圧縮することによって酸素が加圧される。そのような深冷ポンプ圧縮酸素装置は、2つの空気圧縮機を有することができ、その両方を、高温の加圧した空気を外部源によって加熱される流れ(例えば図8の流れ72a)の温度に近い温度および/またはそれよりも高い温度まで冷却することができるように、段間冷却なしに断熱的に動作させることができる。既知の技術の場では、副生成物の熱を除去するために二次冷却システムが必要になるため、そのような熱を利用しない、あるいは実際にはシステム上において排出物になり得る。しかしながら、本発明では、冷却剤を使用して空気分離プロセスから生成熱を取り出し、熱を図8に示されている副加熱器に提供してもよい。他の実施形態では、副加熱器自体を空気分離装置(または関連装置)とすることができ、CO2循環流体(例えば図8の流れ72a)自体を空気分離装置上またはそれに関連する冷却システムを通して直接循環させて、空気分離プロセスで生成された熱を取り出すことができる。より具体的には、CO2圧縮機を断熱的に動作させ、かつ高圧CO2循環流体の一部を加熱するように圧縮熱を伝達させる循環伝熱流体に接触させて最終冷却器で圧縮熱を除去することによって、あるいは再利用される高圧CO2循環流体流(例えば図8の流れ72a)に直接熱を伝達することによって、添加される熱を得ることができる。さらに、そのような熱の添加は、図8に関して説明されている位置に必ずしも限定されるものではないが、CO2循環流体から二次成分を分離した後の任意の時点で(ただし好適には、CO2循環流体を、燃焼器内への投入口の直接上流にある熱交換器に通す前に)サイクルに投入することができる。当然のことながら、好適な凝縮温度の蒸気の供給または従来の開放サイクルガスタービンからの高温排気ガスを用いるなどの、発電サイクルで生成された廃棄物を利用するあらゆる同様の方法も本開示によって包含される。
副加熱器470によって与えられる熱の量は、使用される材料および装置ならびに燃焼器220に投入するためにCO2循環流体流236に対して達成される最終温度に応じて変えることができる。一部の実施形態では、副加熱器470は、流れ72aの温度を少なくとも約10℃、少なくとも約20℃、少なくとも約30℃、少なくとも約40℃、少なくとも約50℃、少なくとも約60℃、少なくとも約70℃、少なくとも約80℃、少なくとも約90℃、または少なくとも約100℃だけ事実上上昇させる。他の実施形態では、副加熱器470は、流れ72aの温度を、約10℃〜約200℃、約50℃〜約175℃、または約75℃〜約150℃だけ事実上上昇させる。具体的な実施形態では、副加熱器470は、流れ72aの温度を、熱交換器440を出る流れ73の温度の少なくとも約15℃以内、少なくとも約12℃、少なくとも約10℃以内、少なくとも約7℃以内、または少なくとも約5℃以内で上昇させる。
さらなる熱源のこのような添加によって、第3の熱交換器450を出る流れ71を、流れの中のCO2の全量が第2の熱交換器440を通して導かれる場合に流れ71を加熱するために第2の熱交換器440で利用可能な熱の能力を超えて過熱することができる。流れを分割することによって、第2の熱交換器440で利用可能な熱を、流れ71b中のCO2循環流体の部分的な含有量に完全に与えることができると共に、副加熱器470から利用可能な熱を、流れ72a中のCO2循環流体の部分的な含有量に完全に与えることができる。よって、代替の分割方法を利用する際の第1の熱交換器430に流入する合わせられた流れの温度は、上述のように、分割して別々に加熱する代わりに流れ71中のCO2循環流体の全量が第2の熱交換器440に導かれる場合に、第2の熱交換器440から流出する流れ73の温度よりも高くなり得ることが分かる。一部の実施形態では、分割方法によって得られる熱の上昇は、CO2循環流体流236が燃焼器に流入する前に十分に加熱されているか否かを限定するのに十分に大きくなり得る。
図8に示すように、分割器460を出る流れ71bを第2の熱交換器440に通して流れ73を形成し、これを、流れ73と副加熱器470から排出される流れ72bとを合わせる混合機480に導く。次いで、合わせた流れ74を第1の熱交換器430に通して、CO2循環流体を第1の熱交換器430に流入する際のタービン排気流の温度に実質的に近い温度まで加熱する。第1の熱交換器の高温端における流体流のこの温度の近さは、2つ以下または4つ以上の熱交換器が使用される本発明のさらなる実施形態に適用することができ、かつCO2循環流体がタービンからの排出後に通る第1の熱交換器に適用することができる。第1の熱交換器の高温端において流体流のこの温度の近さを達成する能力は、所望の効率レベルを達成するための本発明の重要な特徴となり得る。特定の実施形態では、タービンから一列に並んだ(すなわち、タービンにおける膨張後に)第1の熱交換器に流入するタービン排気流の温度と燃焼器に再利用するために熱交換器を出るCO2循環流体流の温度と差は、約80℃未満、約75℃未満、約70℃未満、約65℃未満、約60℃未満、約55℃未満、約50℃未満、約45℃未満、約40℃未満、約35℃未満、約30℃未満、約25℃未満、約20℃未満、または約15℃未満にすることができる。
上記から分かるように、タービン排気流50と再利用CO2循環流体流236との熱交換器420(または図8に示すような一連の熱交換器の中の第1の熱交換器430)の高温端における温度差を精密に制御することによって、本発明のシステムおよび方法の効率を大きく促進することができる。好ましい実施形態では、この温度差は50℃未満である。理論に縛られるものではないが、本発明によれば、再利用CO2循環流体を加熱するために利用可能な熱(例えば、1つ以上の熱交換器でタービン排気流から取り出される熱)は、再利用CO2循環流体の総ての流れを十分に加熱するのに不十分であり得ることが分かった。本発明は、既に上に説明したように、流れ71bが熱交換器440に流入し、流れ72aが、外部熱源470を出る流れ72bの温度を、熱交換器440を出る流れ73の温度に実質的に近い温度まで上昇させるさらなる外部源の熱を提供する外部熱源470に流入するように流れ71を分割することによって、これを克服することができることが分かった。次いで、流れ72bおよび73を合わせて流れ74を形成する。流れ71b(および流れ72a)の流量は、熱交換器440の低温端における温度差によって制御することができる。流れ56の温度を可能な限り低くし、次いで熱交換器440の低温端温度差を最小にすることによって、上記熱の不十分さを克服するために必要な外部熱の量を最小にすることができる。燃焼生成物から生じる流れ56中に存在する水蒸気は、流れ56の組成およびその圧力に依存する温度でその露点に達する。この温度よりも低い場合、水の凝縮により、流れ56と流れ60との有効なmCpが大きく上昇し、かつ総再利用流れ70を加熱するのに必要なすべての熱が流れ71に提供される。熱交換器440を出る流れ56の温度は、好適には流れ56の露点の約5℃以内にすることができる。流れ56と71との熱交換器440の低温端における温度差は、好適には少なくとも約3℃、少なくとも約6℃、少なくとも約9℃、少なくとも約12℃、少なくとも約15℃、少なくとも約18℃、または少なくとも約20℃にすることができる。
図5に戻ると、膨張タービン320を通った後の高温タービン排気流50を受容する少なくとも1つの熱交換器420に関して説明したように、CO2循環流体236を燃焼器220に再利用する前に予熱することができる。サイクルの効率を最大にするために、高温ガス入口経路および大きな圧力が加えられるタービン翼の利用可能な構造材に適合する可能な限り高い入口温度、ならびにシステムの動作圧力に適合する熱交換器420で許容可能な最高温度で膨張タービン320を動作させることが有用であり得る。タービン入口流の高温入口経路およびタービン翼の第1の列を任意の有用な手段によって冷却することができる。一部の実施形態では、高圧再利用CO2循環流体の一部を用いて効率を最大にすることができる。具体的には、より低温のCO2循環流体(例えば、約50℃〜約200℃の範囲)を、熱交換器の低温端420前にサイクルから、または一連の複数の熱交換装置が利用されている場合には熱交換器420内の中間時点から(例えば、図8の流れ71、72a、71b、72b、73、または74から)取り出すことができる。翼冷却流体をタービン翼の穴から排出させ、タービン流の中に直接投入することができる。
本明細書に説明されている浸み出し冷却式燃焼器などの高効率バーナの動作により、過剰な酸素濃度(例えば、約0.1モル%〜約5モル%の範囲)を有する酸化性ガスである燃焼ガスを生成することができる。あるいは、燃焼器により、ある濃度のH2、CO、CH4、H2S、およびNH3のうちの1種以上を有する還元性ガスである燃焼ガスを生成することができる。これは、本発明によれば、1つのみのタービン装置または一連のタービン装置(例えば、2つ、3つ、またはそれ以上の装置)を備えた電力タービンの使用が可能になるという点で特に有益である。有益なことに、一連の装置を用いる具体的な実施形態では、装置のすべてを同じ入口温度で動作させることができ、かつ所与の第1のタービン供給圧力と全体の圧力との比に対して電力出力を最大にすることができる。
還元モードで直列で動作する2つのタービン330、340を利用するタービン装置320の一例が図9に示されている。そこに示されているように、燃焼生成物流40は第1のタービン330に導かれる。そのような実施形態では、上述のように、燃焼生成物流40は、その中に1種以上の可燃成分を含む還元性ガスになるように(例えば、使用される燃料、使用されるO2の量、および燃焼器の動作条件の制御により)設計されている。燃焼生成物流40を第1のタービン330全体に膨張させて発電し(例えば、ここに図示してはいない、発電機に関連している)、第1の排気流42を形成する。第2のタービン340への導入前に、所定の量のO2を第1のタービン排気流42に添加して、第1のタービン排気流42中に存在する可燃性成分を燃焼させることができる。このことにより、第2のタービン装置340における入口温度を第1のタービン装置330の入口温度と実質的に同じ値まで上昇させると共に、過剰な酸素が残る。例えば、第1のタービン装置330からの排気流42の温度を約500℃〜約1,000℃の範囲にしてもよい。還元モードの場合、この温度の排気流42にO2を添加することにより、過剰な燃料ガスを、第1のタービン装置330に流入する前の燃焼器220から流出する燃焼生成物流40と実質的に同じ温度範囲である約700℃〜約1,600℃の範囲の温度まで燃焼させることによって、流れの中のガスを加熱することができる。換言すると、2つのタービンのそれぞれの入口における動作温度は実質的に同じである。具体的な実施形態では、タービンの入口における動作温度は、約10%以下、約9%以下、約8%以下、約7%以下、または約6%、約5%以下、約4%以下、約3%以下、約2%以下、または約1%以下だけ異なる。さらなるタービン装置のための同様の再熱工程も、残留燃料が残る程度まで達成することができる。必要であれば、酸素が供給される燃焼空間に好適な触媒を用いて燃焼を強化することができる。複数のタービンと、任意で、複数の燃焼器とを利用する、本開示によるそのようなシステムおよび方法の利点を以下にさらに説明する。特定の実施形態では、高温高圧加熱流体(例えば、本明細書に説明されているタービン排気流)を従来のランキンサイクル発電所の蒸気過熱サイクルに導入することによるなどして、本明細書に説明されているような電力サイクルを既存の発電所に組み込むように使用することができる。これは、石炭火力発電所あるいは沸騰水型原子炉(BWR)または加圧水型原子炉(PWR)熱サイクルを有する原子力発電所にすることができる。これにより、蒸気を既存のシステムで生成される過熱した蒸気の最高温度よりもはるかに高い温度まで過熱することによって、蒸気ランキン発電所の効率および電力出力を効果的に高める。原子力発電所の蒸気条件は一般に最高約320℃であるが、微粉炭燃焼ボイラの場合、蒸気温度の最高温度は現在では約600℃である。本発明のシステムおよび方法において熱交換により可能な過熱を用いて、蒸気温度を700℃超まで上昇させることができる。蒸気を過熱するために燃焼させるさらなる燃料が、凝縮される蒸気の量を増加させずに蒸気系発電所における追加の電力に変換されるため、これにより、熱エネルギーの追加の軸動力への直接変換が生じる。二次熱交換装置を設けることによってこれを達成してもよい。例えば、別途本明細書に説明されているように、本発明の方法およびシステムに関して説明されているタービン排気流を、主熱交換装置に通す前に二次熱交換装置を通して導くことができる。上述のように、二次熱交換装置で得られた熱を使用してボイラからの蒸気を過熱することができる。過熱した蒸気を1つ以上のタービンに導いて発電することができる。次いで、別途本明細書に説明されているように、二次熱交換装置を通った後のタービン排気流を主熱交換装置に導くことができる。そのようなシステムおよび方法は、実施例2に説明されており、かつ図12に示されている。さらに、上述のように、最終蒸気タービンの入口からの低圧蒸気を回収し、再利用CO2循環流体の一部を加熱するために、これを使用することができる。具体的な実施形態では、熱交換装置の低温端(例えば、一部の実施形態では約80℃の温度)を出るCO2循環流体流を用いた脱気前に、汽力発電所からの凝縮物を中間温度まで加熱することができる。この加熱は通常、最終LP蒸気タービン段への入口から回収された抽気蒸気を使用するため、本発明の側流加熱に関する欠陥による汽力発電所効率に対する正味効果は、凝縮物の予熱によって補償され、これにより抽気蒸気を節約する。
上記一般的な発電方法(すなわち、電力サイクル)を、本明細書に説明されているような好適な発電システムを用いて本発明によって実施することができる。一般に、本発明による発電システムは、本発電方法に関連して本明細書に説明されている構成要素のいずれかを備えていてもよい。例えば、発電システムは、O2およびCO2循環流体の存在下で炭素含有燃料を燃焼させるための燃焼器を備えていてもよい。具体的には、燃焼器は、本明細書に説明されているような浸み出し冷却式燃焼器であってもよい。しかしながら、別途本明細書に説明されている条件下で動作することができる他の燃焼器も使用することができる。燃焼器を、具体的には、それが動作する燃焼条件ならびに燃焼器自体の特定の構成要素に関連して特徴づけてもよい。一部の実施形態では、本システムは、炭素含有燃料(および場合により、流動化媒体)、O2およびCO2循環流体を提供するための1つ以上の噴射器を備えていてもよい。本システムは、液体スラグ除去のための構成要素を備えていてもよい。燃焼器は、固体の灰粒子をガスから効果的に濾過することができる温度で燃料ガスを生成してもよく、ガスをクエンチCO2と混合し、かつ第2の燃焼器で燃焼させることができる。燃焼器は、本明細書に説明されているような圧力および温度でCO2を含む燃焼生成物流を提供するために、CO2循環流体の存在下で炭素含有燃料を燃焼させる少なくとも1つの燃焼段階を含むことができる。
本システムは、燃焼器に流体連通した発電タービンをさらに含んでもよい。タービンは、燃焼生成物流を受容するための入口と、CO2含有タービン排気流を放出するための出口とを有することができる。流体流が膨張すると発電することができ、本明細書に説明されているように、タービンは、流体流を所望の圧力比(Ip/Op)に維持するように設計されている。
本システムは、タービン排気流を受容しかつ流れを冷却して冷却したCO2循環流体流を形成するために、タービンに流体連通した少なくとも1つの熱交換器をさらに備えることができる。同様に、燃焼器に投入されるCO2循環流体を加熱するために少なくとも1つの熱交換器を使用することができる。熱交換器(複数可)を、具体的には、本明細書に説明されているような具体的な条件下における動作を可能にするそれらの構造材に関して特徴づけてもよい。
本システムはまた、回収または廃棄処分のために、熱交換器から流出するCO2循環流体流をCO2および1種以上のさらなる成分に分離するための1つ以上の装置も備えることができる。具体的には、本システムは、CO2循環流体流から水(または本明細書に説明されている他の不純物)を分離するための手段を備えていてもよい。
本システムは、少なくとも1つの熱交換器に流体連通した(および/または1つ以上の分離装置に流体連通した)、精製したCO2循環流体を圧縮するための1つ以上の装置(例えば、圧縮機)をさらに備えることができる。さらに、本システムは、CO2循環流体を、2つの流れ、すなわち、熱交換器を通って燃焼器内に流入する1つの流れと、加圧されたパイプライン(またはCO2の隔離および/または廃棄処分のための他の手段)の中に輸送するためのもう1つの流れに分離するための手段を備えることができる。
一部の実施形態では、さらなる構成要素が本システムに含まれていてもよい。例えば、本システムは、O2を燃焼器の中(または噴射器もしくはO2を1種以上のさらなる材料と混合するための同様の装置の中)に輸送するためのO2分離装置を備えていてもよい。一部の実施形態では、空気分離装置によって熱を生成してもよい。よって、本システムが、空気分離装置から燃焼器の上流にあるCO2循環流体流まで熱を伝達する1つ以上の伝熱構成要素さらに備えることが有用であり得る。さらなる実施形態では、本発明によるシステムは、本発電サイクルおよび発電方法に関連して別途本明細書に説明されているあらゆるすべての構成要素を備えていてもよい。
さらなる実施形態では、本発明は、燃焼時に不燃焼性残渣を残す燃料(石炭など)を用いた発電に特に有用なシステムおよび方法を包含する。特定の実施形態では、図4に示されている汚染物質除去装置などの適当な装置を用いてそのような不燃焼性物質を燃焼生成物流から除去することができる。しかしながら、他の実施形態では、図10に示されているような複数の燃焼器システムおよび方法を用いて不燃焼性物質を処理することが有用であり得る。
図10に示すように、石炭燃料254を粉砕装置900に通して微粉炭を得ることができる。他の実施形態では、石炭燃料254を微粒子化状態で得ることができる。具体的な実施形態では、石炭は、約10μm〜約500μm、約25μm〜約400μm、または約50μm〜約200μmの平均粒径を有していてもよい。他の実施形態では、石炭は、50%、60%、70%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または99.5%超の石炭粒子が約500μm、450μm、400μm、350μm、300μm、250μm、200μm、150μm、または100μm未満の平均的大きさを有する点において表現してもよい。微粉炭を流動化物質と混合してスラリーの形態の石炭を得ることができる。図10では、微粉炭と、再利用CO2循環流体からのCO2副回収物68とを混合機910で合わせる。図10では、CO2副回収物68を流れ67から取り出し、それを超臨界高密度状態のCO2循環流体を得るために処理している。具体的な実施形態では、石炭スラリーを形成するために使用されるCO2は約450kg/m3〜約1,100kg/m3の密度を有することができる。より詳細には、CO2副回収物68は、粒子炭と協働して、例えば、約10重量%〜約75重量%、または約25重量%〜約55重量%の粒子炭を有するスラリー255を形成してもよい。さらに、スラリーを形成するために使用される副回収物68からのCO2は、約0℃未満、約−10℃未満、約−20℃未満、または約−30℃未満の温度であってもよい。さらなる実施形態では、スラリーを形成するために使用される副回収物68からのCO2は、約0℃〜約−60℃、約−10℃〜約−50℃、または約−18℃〜約−40℃の温度であってもよい。
微粉炭/CO2スラリー255を、混合機910からポンプ920を介して部分酸化燃焼器930まで移動させる。本明細書に説明されているように、空気241を精製したO2に分離する空気分離装置30を用いて、O2流を形成する。O2流を、部分酸化燃焼器930に導かれるO2流243と、燃焼器220に導かれるO2流242とに分割する。図10の実施形態では、CO2流86を、部分酸化燃焼器930を冷却するために使用される再利用CO2循環流体流85から取り出す。さらなる実施形態では、部分酸化燃焼器930を冷却するために使用されるCO2を流れ86の代わりに流れ236から取り出してもよく、あるいは、CO2を流れ86および流れ236の両方から取り出してもよい。好適には、取り出されるCO2の量は、灰が安全に除去することができる固体の形態で存在するように流れ256の温度を冷却するのに十分である。別途本明細書に説明されているように、石炭を部分的にのみ酸化してH2、CO、CH4、H2S、およびNH3のうちの1種以上と共にCO2を含む部分的に酸化された燃焼生成物流256を生成するような比でCO2、石炭、およびO2を部分酸化燃焼器930に提供する。CO2、石炭、およびO2もまた、部分的に酸化された燃焼生成物流256の温度が、流れ256中に存在する灰のすべてが1つ以上のサイクロン分離器および/またはフィルタによって容易に除去することができる固体粒子の形態である程に十分に低くなるような所要の比で、部分酸化燃焼器930に導入する。図10の実施形態は、フィルタ940を介した灰除去を示す。具体的な実施形態では、部分的に酸化された燃焼流れ256の温度を、約1,100℃未満、約1,000℃未満、約900℃未満、約800℃未満、または約700℃未満にすることができる。さらなる実施形態では、部分的に酸化された燃焼流256の温度を、約300℃〜約1,000℃、約400℃〜約950℃、または約500℃〜約900℃にすることができる。
濾過した部分的に酸化された燃焼流257を、別途本明細書に説明されているように、浸み出し冷却式燃焼器にすることができる第2の燃焼器220内に直接投入することができる。この投入はO2流242および再利用CO2循環流体流236と共に行う。別途本明細書に説明されているのと同様に、この時点の燃焼は進行することができる。部分的に酸化された燃焼流256中の可燃性材料を、O2およびCO2の存在下で、燃焼器220で燃焼させて燃焼流40を得る。この流れをタービン320全体に膨張させて(例えば、発電機1209によって)発電する。タービン排気流50を熱交換装置420(図8に関して説明されているような一連の熱交換器であってもよい)に通す。CO2循環流体流60を冷水熱交換器530に通して流れ61を形成し、流れ61を、流れ62中の二次成分(例えば、H2O、SO2、SO4、NO2、NO3、およびHg)の除去のために分離器540に通す。分離器540は、以下に図12に関して説明されているカラム1330と実質的に同様であってもよい。好適には、分離器540は、不純物が水と反応して、容易に除去される物質(例えば、酸)を生成することができるように、十分な滞留時間を有する接触器を提供する反応器を備える。精製したCO2循環流体流65を第1の圧縮機630に通して流れ66を形成し、これを冷水熱交換器640で冷却して、超臨界高密度CO2循環流体67を得る。上述のように、流れ67の一部を、混合機910で流動化媒体として使用される流れ68として取り出して石炭スラリー流255を形成することができる。そうでない場合は、超臨界高密度CO2循環流体流67を圧縮機650でさらに加圧して、加圧した超臨界高密度CO2循環流体流70を形成する。流れ70中のCO2の一部を、図5および図11に関して本明細書に説明されているような時点720で取り出して、流れ80をCO2パイプラインまたは他の隔離手段に提供してもよい。CO2の残りの部分は加圧された超臨界高密度CO2循環流体流85として進行し、その一部を、上述のように、部分酸化燃焼器930の冷却のために使用される流れ86として取り出してもよい。そうでない場合は、流れ85を熱交換器420(または図8に関して説明されているような一連の熱交換器)に再度通して流れを加熱し、かつ最終的に、燃焼器220への投入のために再利用CO2循環流体流236を形成する。上述のように、外部熱源を熱交換装置420と組み合わせて使用して所要の効率を得てもよい。同様に、流れの温度および圧力、ならびにタービン装置320、熱交換装置420、分離装置520、および圧縮装置630に関する他の動作条件などの別途本明細書に説明されているような他のシステムおよび方法のパラメータを図10によるシステムおよび方法に適用することができる。
上記の開示は、当技術分野においてこれまで開示されたことのない、予想以上の高効率を提供し得る本開示のシステムおよび方法のうちのいくつかの要素を示してきた。驚くべきことに、本発明は、CO2作動流体を利用して本明細書に説明される密閉発電サイクルの任意の点で誘導された温度および/または圧力降下を利用することにより、大幅な追加的な利益を得ることができるという点でさらに有益である。膨張機および燃焼器の具体的な組み合わせは、直列でまたは並列に動作するように適合させることができ、燃焼器における流体の加熱および/または膨張機における流体の冷却が任意である、様々な条件を包含することができ、密閉サイクルのうちの1つ以上のセグメント内に配置させて、これまで認識されていない方法で、利用可能なエネルギーを回収することができる。
特定の実施形態では、例えば、本開示のシステムおよび方法は、1つ以上のさらなるタービンを利用することにより所与の固定高圧再利用CO2流量および圧力に対して電力出力を最大にするように適合されるタービンシステムを備えることができる。具体的な実施形態では、さらなるタービンのうちの1つ以上は、第1のタービンからの排気流の一部またはすべてを取り込むことができる。第1のタービンからの流れを、任意で、第2の酸素燃焼燃焼器を用いて再加熱することができ、再加熱された流れを、1つ以上のさらなるタービンにより大気圧付近まで膨張させることができる。1つ以上のさらなる膨張機からの流れを使用して、使用される全冷却流量の少なくとも一部に再利用高圧CO2流を加熱することを提供することができる。
第2のタービン(または一連のタービンの中のその後のタービン)の入口圧力を、第1のタービン(または一連のタービンの中のすぐ上流のタービン)の排気圧力から、配管およびタービンの間に介在するあらゆる燃焼器による圧力降下を除することによって画定することができる。さらに、第2のタービン(または一連のタービンの中のその後のタービン)の排気温度を、最も高圧のタービンの入口流の圧力によって画定された圧力における再生熱交換器の最大設計温度によって画定することができる。
一実施形態では、2つのタービンを使用してもよく、そして第1のタービンからのすべての流れを再加熱し、第2の介在する燃焼器において純粋な酸素との炭化水素および/または炭素質気体燃料の燃焼生成物と混合することができ、次いで、第2のタービンにおいて膨張させ、追加的な軸動力を産み出すことができる。再生熱交換器の設計条件によって第2のタービンの出口温度が固定されているため、第2のタービンの出口圧力が決まると第2のタービンの入口温度も同様に固定される。
一部の実施形態では、本開示のシステムおよび方法で使用される1つ以上のタービンを、タービンの軸動力から機械的エネルギーを(つまり、発電ではなく)提供するように適合することができる。よって、1つ以上のタービンは、本システムおよび方法の1つ以上のさらなる構成要素(例えば、圧縮機、ポンプ、空気分離ユニット)と機械的動作接続状態にあってもよい。例えば、複数のタービンは、発電機を含む1つ以上のさらなる構成要素と機械的接続状態にある主ギヤボックスなどと機械的接続状態にあってもよい。別の例では、複数のタービンはそれぞれ別個に、タービンからの軸動力を利用する単一の構成要素と機械的接続状態にあってもよい。他の実施形態では、機械的動作接続をさらなるシステムまたは方法と組み合わせて使用することができる。特に、機械的回転からの電力供給の恩恵を受けるあらゆる産業システムまたは方法を、本開示のシステムおよび方法と組み合わせてもよい。
さらなる実施形態では、タービンの排気圧力が大気圧付近となるように動作させることにより、第2のタービン(または、3つ以上のタービンを使用する場合、さらなるタービン)の電力出力を最大にすることができる。具体的には、これにより、再生熱交換器、周囲冷却器、および液体の水の分離器の構成要素を通る発電サイクル全体の圧力降下が可能になる。圧力は、好適には、再利用CO2圧縮機において大容積流量を避けるために、0.9バール(0.09MPa)超であってもよい。
一部の実施形態では、本開示による単一の多段タービンを使用してもよい。他の実施形態では、複数の単一段のタービンを使用してもよい。
第2のタービンの出口温度を固定することにより、入口温度を、第1のタービン出口圧力および第2のタービン圧力比により画定させることができる。一般に、ここで第1のタービン入口温度を、設計、材料、および寿命に関する考慮事項と矛盾しない、可能な限り最も高い値で固定することができることが分かっており、これはつまり、単一のタービンの場合に比べて第1のタービン電力出力をかなり大きくすることができることを意味している。この理由は、今やすべての第1のタービン出口流が第2のタービンに入ることから、第1のタービン出口流は再生熱交換器をもはや通過せず、再生熱交換器のための設計上の考慮事項によってもたらされる第1のタービン出口温度にはもはや温度の制約は存在しないためである。第2のタービン入口温度を、第1の温度流のすべてが第2のタービンに流入する場合に第2のタービン入口流を直接燃焼することにより加熱する第2の酸素燃焼燃焼器から生じる第1のタービン排気温度よりも高くすることができる。第1の燃焼器への再利用CO2入口温度および第2のタービン出口温度は、単一および2つのタービンの場合、第2のタービンに入る第1のタービン排気流のすべてによって規定されるように、事実上同じである。第1のタービンの電力出力は、しかしながら、第1の燃焼器においてより多くの気体燃料の酸素燃焼で入口温度を高めることによりかなり増加する。2つのタービンの場合の燃焼される追加的な燃料の値は、ほぼ100%の効率で軸動力に変換される。この結果、単一のタービンシステムに比べて、2つのタービンシステムの全電力出力および効率が著しく高まる。2つのタービンシステムの設置機器および費用における増分は、基本的に単一のタービンの場合を取り、第2のタービンおよび燃焼器を加え、そこに圧力を大気圧付近から単一のタービンの場合の冷却されたタービン出口圧力まで高めるための追加的な再利用圧縮機を加える。これは、最大280%である電力出力における増加に比べて大きな費用増分ではない。あるシステムの代表的な実際のプロセス設計の数字を用いると、天然ガス燃料を用いる効率は、すべてのCO2が大気圧で生成される場合、ISOの条件で(低位発熱量ベースで)58.5%〜62%の範囲にある。CO2正味生成物を300バール(30MPa)まで圧縮することにより、圧縮機およびタービンの効率に主として依存して、これらの効率は約1.8パーセントだけ下がる。
第2の燃焼器における追加的な燃料および酸素は第2のタービン流を増やし、その結果、再生熱交換器において高圧力再利用CO2の加熱に必要なタービン流の量が使用されると、他の加熱負荷に利用可能な少量の追加的なタービン排気流が生じる。この追加的な少量の流れでは、典型的には、すべての第1のタービン流が第2のタービンへと通る場合、全第2のタービン流の4%〜8%の範囲にある。タービン排気温度にあるこの流れを、2つのタービンで使用される燃料および第2の燃焼器で使用される酸化剤を予熱するために使用することができる。なお、第1の燃焼器で使用される酸化剤は一般に、CO2で希釈され、再生熱交換器で加熱される。
2つのタービンシステムは低温度レベルの熱を使用して、深冷空気分離装置への空気供給の少なくとも一部の断熱圧縮に一般に由来する高圧力CO2再利用流の加熱に寄与することができるが、他の熱源もまた包含される。一部の実施形態では、余分の第2のタービン排気流に存在する熱エネルギーの一部を使用して、この低温度レベル再利用CO2加熱負荷の少なくとも一部を提供してもよい。第2のタービンが大気圧付近の排気圧力で動作することは、第1の燃焼器のために必要な酸素の一部が酸素発生装置から大気圧付近で生成できることを意味している。次いで、15%〜40%モルのO2の組成を与える液体の水分離に続いて、酸素を再利用CO2とほぼ大気圧で混合することができ、次いで、これを第1の燃焼器システムによる圧力降下に等しい圧力増分で、CO2高圧力再利用流の排気圧力まで圧縮する。これにより、燃焼器に必要なより高い圧力での空気分離装置からの酸素生産に代替策を提供できる。
一部の実施形態では、第2のタービンの流量を、第1および第2の燃焼器で使用される燃料に存在する酸化炭と等量のCO2含有量を有する量に制限することができる。この場合、全第2の排気流を大気圧付近で再生熱交換器における別個の一式の経路に通すことができる。再生熱交換器の低温端を出た後、これを大気中に放出することができる。正味CO2生成物を廃棄のために回収する場合、これを高圧力再利用CO2圧縮機の吸込圧力まで圧縮し、その点から、廃棄用パイプラインシステムへの輸送のために再生熱交換器に入る再利用圧力までの任意の圧力で生成することができる。
2つのタービンシステムの一部の実施形態では、全第1のタービン流は、大気圧付近の排気圧力を有する第2のタービンを通ることができる。そのような実施形態を、LNG受入ターミナルから高圧力ガスパイプラインシステム内へ、天然ガスを輸送するために使用される加圧液体天然ガス加熱設備に組み込んでもよい。単一のタービンを使用するそのようなシステムは、米国特許出願第13/666,522号に説明されており、その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。そのような実施形態では、液体の水分離後の、第2のタービンからの大気圧付近のCO2を、約6バール(0.6MPa)〜約10バール(1MPa)の範囲にある圧力まで圧縮することができ、これは、CO2凍結圧力である5.18バール(0.518MPa)よりも大きい。次いで、CO2ガスを乾燥剤による乾燥機で−56℃未満の露点まで乾燥させ、液化用熱交換器内に送り、ここで、高圧天然ガスの流れに典型的には、約40バール(4MPa)〜約70バール(7MPa)の範囲にある圧力および約−160℃〜約−140℃の範囲にある温度を有する入口条件で接触させて液化させる。天然ガスは、CO2入口温度から約10℃〜約20℃まで接近した温度でCO2液化装置を出る。液化CO2は、多段遠心力ポンプで必要なCO2再利用圧力までポンプ圧縮される。この装置から正味CO2生成物を液体CO2として約6バール(6MPa)〜10バール(1MPa)の圧力で生成することができる。この液体CO2は、廃棄または原油増進回収のための使用のために容易に送出することができる。そのような使用法は、Palmerらの米国特許出願公開第2012/0067568号に説明されており、その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。原油増進回収で使用する場合、O2および不活性ガス含有量を、必要な純度仕様を満たすようなppmのオーダーに収まるように調整することができる。このシステムの特定の変形は、再生熱交換器、周囲冷却器、および水分離における冷却の後、CO2圧縮機が不要となるように、約6.5バール(0.65MPa)〜約10.5バール(1.05MPa)の範囲にある排気圧力で第2のタービンを作動させることである。第2のタービンの入口温度は、低圧力比のために低下する。これらの実施形態は両方とも、CO2圧縮電力の大幅な低下、ならびに高圧低温の天然ガスの温度をパイプライン輸送のための周囲温度付近まで昇温するための液中燃焼用水槽ヒーター内で通常消費される天然ガスの節約に起因して、極めて高い効率を提供することができる。
実施例
本発明を、具体的な実施例に関して以下にさらに説明する。本実施例は、本発明の特定の実施形態を例示するために提供するものであり、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
実施例1
再利用CO2循環流体を用いたメタン燃焼による発電のためのシステムおよび方法
本発明によるシステムおよび方法の具体的な一例を図11に示す。以下の説明は、コンピュータモデリングを用いて、具体的な条件下における具体的なサイクルに関して本システムを説明するものである。
このモデルでは、浸み出し冷却式燃焼器220への導入前に、混合機252で、134℃の温度および30.5MPaの圧力のメタン(CH4)燃料流254を、860℃の温度および30.3MPaの圧力(よって、超臨界流体状態)の再利用CO2循環流体流236と合わせる。空気分離装置30を使用して105℃の温度および30.5MPaの圧力の濃縮されたO2242を得る。空気分離装置は、本プロセスで使用するために取り出される熱(Q)も生成する。燃焼器220で、O2242をメタン燃料流254およびCO2循環流体236と合わせるが、ここでは、燃焼が行われ、1189℃の温度および30MPaの圧力の燃焼生成物流40が得られる。CO2、O2、およびメタンを、約35:2:1のモル比(すなわち、lbmol/hr−ポンドモル/時間)で提供する。本実施形態における燃焼は、344,935Btu/時(363,932kJ/時)の工率のエネルギー投入を使用する。
燃焼生成物流40をタービン320全体に膨張させて、885℃の温度および5MPaの圧力のタービン排気流50(タービン排気流中のCO250は気体の状態である)を生成する。燃焼生成物流40をタービン320全体に膨張させると、毎時83.5キロワット(kW/時)の工率で発電する。
次いで、タービン排気流50を一連の3つの熱交換器に通して、二次成分の除去のために流れを連続的に冷却する。第1の熱交換器430に通して、237℃の温度および5MPaの圧力の流れ52を生成する。流れ52を第2の熱交換器440に通して123℃の温度および5MPaの圧力の流れ56を生成する。流れ56を第3の熱交換器450に通して80℃の温度および5MPaの圧力の流れ60を生成する。
再利用CO2循環流体を一連の熱交換器に通した後、流れ60を、冷水熱交換器530に通してさらに冷却する。24℃の温度の水(C)を冷水熱交換器530に循環させて、CO2循環流体流60を27℃の温度まで冷却し、このようにしてCO2循環流体流中に存在するあらゆる水を凝縮させる。次いで、液体の水を除去し、かつ流れ62aとして排出するように、冷却したCO2循環流体流61を水分離装置540に通す。「乾燥した」CO2循環流体流65を34℃の温度および3MPaの圧力で水分離装置540から排出させる。
次に、乾燥したCO2循環流体流65(気体の状態のままである)を2工程加圧スキームで第1の圧縮装置630に通す。CO2循環流体流を8MPaまで加圧し、これにより、CO2循環流体流の温度も78℃まで上昇させる。これは、5.22kW/時の電力入力を必要とする。次いで、この超臨界流体CO2循環流体流66を第2の冷水熱交換器640に通し、ここで、超臨界流体CO2循環流体流66を24℃の温度の水で冷却して、27℃の温度、8MPaの圧力、および762kg/m3の密度の冷却した超臨界流体CO2循環流体流67を生成する。次いで、この流れを第2の圧縮装置650に通して、69℃の温度および30.5MPaの圧力の加圧したCO2循環流体流70を形成する。これは、8.23kW/時の電力入力を必要とする。この流れをパイプライン分割器720に通し、これにより、1lbmolのCO2を流れ80を介して加圧されたパイプラインに導き、34.1lbmolのCO2を、燃焼器220への投入前にCO2循環流体流を再加熱するための一連の3つの熱交換器に流れ85として戻す。
加圧したCO2循環流体流85を第3の熱交換器450に通して114℃の温度および30.5MPaの圧力の流れ71を形成する。27.3lbmolのCO2を流れ71bとして第2の熱交換器440に導き、6.8lbmolのCO2を流れ72aにおいて副加熱器470を通して導くように、流れ71を分割器460に通す。流れ71bおよび流れ72aは、それぞれ、114℃の温度および30.5MPaの圧力を有する。副加熱器470は、空気分離装置30からの熱(Q)を使用して、さらなる熱をCO2循環流体流に提供する。流れ71bを第2の熱交換器440に通すと、224℃の温度および30.5MPaの圧力の流れ73を生成する。流れ72aを副加熱器470に通すと、同様に224℃の温度および30.4MPaの圧力である流れ72bを形成する。流れ73および72bを混合機480で合わせて、224℃の温度および30.3MPaの圧力の流れ74を形成する。次いで、流れ74を第1の熱交換器430に通して、燃焼器220内に再投入するための860℃の温度および30.0MPaの圧力の再利用CO2循環流体流236を得る。
上記モデル化されたサイクルの効率は、上述のように、メタン燃料のLHVおよびシステム内へのさらなるエネルギー投入に対する生成されたエネルギーに基づいて計算した。モデル化された条件下では、約53.9%の効率を達成した。これは、そのような優れた効率を達成すると同時に、CO2(特に、炭素含有燃料の燃焼により生じるCO2)の大気放出を防止することができるという点で特に驚くべきことである。
実施例2
再利用CO2循環流体を使用するように改良した微粉炭発電所による発電のためのシステムおよび方法
本発明によるシステムおよび方法の別の具体的な例を図12に示す。以下の説明は、数学的モデリングを用いて、具体的な条件下における具体的なサイクルに関して本システムを説明するものである。このモデルは、従来の微粉炭火力発電所に、本明細書に説明されているようなシステムおよび方法を組み込むことが可能であることを示す。
圧力30.5MPaのO2流1056を、30.5MPaの圧力の炭素含有燃料1055(例えば、部分的な酸化によって生成された石炭由来ガス)および30.5MPaの圧力のCO2循環流体流1053と共に、浸み出し冷却式燃焼器220に導入する。熱(Q)を生成することができる空気分離器または同様の装置からO2を受容してもよく、これをシステムで使用するために取り出して、例えば、膨張のために蒸気を生成するか、または冷却したCO2循環流体流に熱を添加することができる。燃焼器220における燃料の燃焼により、1,150℃の温度および30.0MPaの圧力の燃焼生成物流1054を生成する。この流れをタービン320(一般に、主発電タービンともいう)全体に膨張させて、発電機1209を駆動することによって発電する。775℃の温度および約3.0MPaの圧力の膨張タービン排気流1001を、熱交換器1100の高温端に導入し、そこで、タービン排気流1001からの熱を使用して、従来の微粉炭火力発電所1800で生成される高圧蒸気流1031および中間圧蒸気流1032を過熱する。ボイラ給水1810および石炭1810を発電所1800に投入して、石炭1810の燃焼によって蒸気流1031および1032を生成する。熱交換器内への熱の伝達により、蒸気流1031および1032を約550℃の温度〜約750℃の温度に過熱して、蒸気流1033および1034を形成し、これらを以下に説明するように発電所に戻す。この方法により、ほぼ大気圧で石炭を燃やす従来の発電所の大型の蒸気ボイラで高価な高温合金を使用するという必要性なしに、非常に高い蒸気温度を達成する。蒸気流1033および1034を、三段タービン1200(一般に、二次発電タービンともいう)で膨張させて、発電機1210を駆動する。復水器1220でタービン1200から流出する蒸気1035を凝縮する。処理した凝縮物1036を給水ポンプ1230で高圧になるまでポンプで圧縮し、次いで、上述のように、熱交換器1100の中に排出するために石炭燃焼ボイラ1800で蒸発および過熱する。このシステムを使用して、既存の石炭火力発電所の電力出力および効率を上昇させる。
熱交換器100は、典型的には617合金などの高温の高ニッケル含有合金で構築された、ケミカルミーリングされた通路を有するHeatric型の拡散接合型平板熱交換器であり、顕著な蒸気過熱および酸化性条件下における動作を可能にする高圧力および高温度に対応することができる。この熱交換器は、すべての流体に対する高い熱伝達係数を有する高効率伝熱装置である。
図12に示すシステムおよび方法の残りの部分は、別途本明細書に説明されているシステムおよび方法に構造および動作の点で類似している。具体的には、膨張タービン排気流1001を、熱交換器1100で冷却し、575℃の温度である排気流1037として熱交換器1100の低温端を出る。次いで、この流れ1037を第2の熱交換器1300に通し、そこで、90℃の温度および2.9MPaの圧力まで冷却して、流れ1038を形成する。この流れを、第3の熱交換器1310内の発電所復水器1230からの凝縮物1057の一部に接触させて40℃の温度までさらに冷却して流れ1039を形成し、これを冷水熱交換器1320内の冷却水に接触させて27℃の温度までさらに冷却して、2.87MPaの圧力の流れ1040を形成する。熱交換器1300は、Heatric型の310ステンレス鋼製拡散接合型装置であってもよい。
30℃の冷却した流れ1040を、流入ガスと洗浄用弱酸との間で接触する逆流を与える逆流弱酸循環流を提供する循環ポンプ1340を備えた充填カラム1330の基部に供給する。SO2、SO3、NO、およびNO2をHNO3およびH2SO4に変換し、復水および任意の他の水溶性成分と共に液体に吸収させる。カラム1330からの正味液体生成物をライン1042で除去し、圧力を大気圧まで低下させ、分離器1360に流入させる。溶解したCO2をライン1043で蒸発させ、ポンプ1350を用いて2.85MPaの圧力まで圧縮し、流れ1044として流して、カラム1330の上部を出る流れ1045に合流させる。これらの合わせた流れは、燃焼器に再利用されるCO2循環流体を形成する。希釈したH2SO4およびHNO3水溶液は、流れ1046として分離器1360の基部を出る。その濃度は、接触カラム1330における燃料組成および温度によって決まる。なお、硝酸は存在するあらゆる水銀と反応してこの不純物を完全に除去するため、酸流1046中に硝酸が存在することが好ましい。
開示内容が参照により本明細書に組み込まれる欧州特許出願第1952874(A1)号に示されているように、圧縮機1380に流入する再利用CO2循環流体流を、最初に乾燥剤による乾燥器で約−60℃の露点まで乾燥した後、精製して、低温度分離スキームを用いてO2、N2およびArを除去する。
8.5MPaの圧力で圧縮機1380を出る圧縮した再利用CO2循環流体流1047を、冷水熱交換器1370内の27℃の冷却水に接触させて冷却し、高密度の超臨界CO2流体流1048を形成し、これをポンプ1390で30.5MPaの圧力および74℃の温度までポンプ圧縮して、高圧の再利用CO2循環流体流1050を形成する。CO2の一部をCO2生成物流1049として流れ1050から除去して、隔離するか、そうでない場合は、大気に排出することなく廃棄処分する。この実施形態では、CO2生成物流1049を約20MPaの所要のパイプライン圧力まで圧力を低下させ、CO2パイプラインの中に輸送する。
高圧の再利用CO2循環流体流(ここでは、流れ1051)の残りの部分は、熱交換器の低温端1300に流入する。74℃の高密度の超臨界流体であるこの流れは、相当量の低位熱を受容して、それを237℃の温度の非常に低い比熱を有する流体に変換しなければならない。この実施形態では、そのような低位熱は、従来の発電所の低圧蒸気タービンに流入する蒸気流からO2流1056を供給する深冷酸素装置内の空気圧縮機から生じた断熱圧縮熱と共に回収された、0.65MPaの圧力のLP蒸気流1052によって提供される。低圧蒸気は、流れ1301として熱交換器1300から流出する。場合により、熱のすべてを、最大3.8MPaの圧力で石炭火力発電所からのいくつかの利用可能な蒸気流を用いて提供することができる。このエネルギーも、上述のように、空気分離装置によって生成された熱(Q)から提供することができる。再利用CO2流の一部を側流加熱することにより、熱交換器の低温端1300で必要とされる熱の大部分が提供され、かつ熱交換器の高温端1300におけるわずか約25℃の小さな温度差熱を可能にし、これにより全体的効率を上昇させる。
高圧高温の再利用CO2循環流体流1053は、550℃の温度で熱交換器1300を流出し、燃焼器220に流入し、そこで、上述のように、97モル%の酸素流1056を含む天然ガス流1055(この実施形態では)の燃焼により生じた燃焼ガスを冷却して燃焼生成物流1054を生成するために使用される。この実施形態では、74℃の温度でポンプ排気流1050から回収されたCO2流1058を用いて、タービン高温経路および第1の列のタービン翼を冷却する。上記システムを、純粋なCH4によってシミュレートされる天然ガス燃料を用いる独立型発電所として動作させる場合、再利用CO2流1053は、約750℃の温度で燃焼器に流入し、タービン排気1001は、約775℃の温度で熱交換器1300に流入する。
この実施形態における独立型電力システムの効率は53.9%(LHV)である。この数字は、深冷O2装置および天然ガス供給およびCO2圧縮機の電力消費を含む。燃料が、27.92Mj/kgの発熱量を有する、シミュレートされる石炭である場合(例えば、第1の燃焼器および濾過装置で除去した灰で部分的に酸化された後、第2の燃焼器で燃料ガスおよびCO2混合物を燃焼させる)、効率は54%(LHV)になる。どちらの場合も、燃料中の炭素から生じた実質的に100%のCO2が20MPaのパイプライン圧力で生成される。
上に説明し、かつ石炭燃料を用いて図12に例示されているシステムおよび方法は、以下に説明する具体的なパラメータを有する発電所に適用されるものとして特徴づけることができる。本発明による微粉炭火力発電所に改造した効果は、以下のように計算する:
蒸気条件
HP蒸気:16.6MPa、565℃、流量:473.14kg/秒
LP蒸気:4.02MPa、565℃、流量:371.62kg/秒
正味電力出力:493.7Mw
既存の発電所のため石炭:1256.1MW
正味効率(LHV):39.31%
CO2回収率:0%
既存の発電所に本システムおよび方法が組み込まれた改造型発電所:
CO2電力システム正味電力出力:371.7MW
既存の発電所の正味電力:639.1MW
総正味電力:1010.8MW
CO2電力システムのための石炭:1053.6MW
既存の発電所のため石炭:1256.1MW
全体的正味効率(LHV):43.76%
CO2回収率:45.6%*
*この例では既存の発電所からCO2が全く回収されないことに留意されたい。
実施例3
複数の膨張ステップを用いる、再利用CO2循環流体を用いたメタン燃焼による発電のためのシステムおよび方法
タービンのそれぞれの入口流を予熱するために酸化剤として純粋な酸素を用いて天然ガスを燃焼させる2つの燃焼器を有する、直列の2つのタービンを備える、本開示の実施形態によるシステムおよび方法を図13に示す。第2の膨張タービンの存在は、再生熱交換器の熱負荷を事実上同じに保ちながら、全タービンシステムの圧力比を著しく高める。図示の実施形態は、(本明細書に説明されたような)外部で生成された熱を約150℃〜400℃の範囲にある温度レベルで再生熱交換器において再利用高圧CO2流に投入することによってもたらされる効率の増加からさらに恩恵を受ける。この追加的な熱の熱源は、深冷空気分離装置の主空気圧縮機の断熱圧縮熱である。
この例で説明される実施形態を、以下の利点によって定義することができる。2つのタービンを直列で使用して、100バール〜600バールの範囲にある高圧で加熱された高圧再利用CO2流を20よりも大きい圧力比で膨張させる。好適には、第2のタービンの排気圧力は、1.5バール未満であり、場合により約1.1バールである。他の実施形態では、3つ以上のタービンを使用することによりそのような圧力降下を達成してもよい。2つのタービンは、炭化水素または炭素質燃料を純粋な酸素中で燃焼することにより予熱される入口流を有する。他の実施形態では、各膨張ステップの前に燃焼が必要でないこともある。第2のタービンは、その入口流を、予熱する第2の燃焼器からの燃焼生成物と共に、第1のタービンの排気流の少なくとも一部から得ている。第2のタービン最大の出口温度は、再生熱交換器を構築するために使用される材料の最大許容温度によって再生熱交換器の高温端および第1のタービンの燃焼器に入る高圧力再利用CO2流の圧力で固定される。第1のタービンからの全流量を第2の燃焼器の入口流として使用する場合、第1および第2のタービンの電力出力を最大にするために、第1のタービンの入口温度を、その構築に使用される材料の特性に基づいて可能な限り高くすることができる。第1のタービンからの全流量を第2の燃焼器の入口流として使用する場合、第1の燃焼器への所与の入口圧力および再利用高圧力CO2温度かつ所与の出口圧力および規定された第2のタービンの出口温度で、第1に加え第2のタービンから利用可能な電力出力を最大にする必要性により、第1のタービンの圧力比が固定される。第1のタービンの入口圧力および第2のタービンの出口圧力が規定されると、第1のタービンの入口温度および圧力のそれぞれが第1のタービンの異なる最適圧力比をもたらす。第2のタービンからの出口流の少なくとも一部を使用して、第1の燃焼器に入る高圧再利用CO2流の予熱に使用される再生熱交換器における熱負荷の少なくとも一部を供給する。一般に、第1の燃焼器への高圧再利用CO2および酸素の流れを加熱するために、再生熱交換器を通すのに必要な量を超える過剰な第2のタービン出口流が存在する。第2の燃焼器のための酸素に加え、第1および第2の燃焼器のための天然ガスの予熱の少なくとも一部のためにこれを使用する。
本開示による発電システムの例示的な実施形態を図13に示す。図13における参照番号は、図13に示されている要素のみと関係する。図1〜図12のうちの1つ以上における類似の参照番号の存在は、同様の要素を参照することを意図していない。
図13のシステムは、高温CO2富化流体流67および57を受け入れ、かつ電力出力68を生成する発電機5を駆動する共通の軸上にこの場合設置されている、直列な2つのタービン3および4を備える。タービン3入口流67は、295バールの圧力および1154℃の温度である。入口流67は、303.4バールおよび735℃の再利用CO2流56と共に、25.6モル%のO2および74.4%のCO2を含む酸化剤流52を304.2バールおよび735℃で用いて、天然ガス流44(この場合純粋なメタンの特性でシミュレートしている)を204℃および304.4バールで燃焼することにより、燃焼器1で加熱されてきている。全再利用CO2にCO2+O2酸化剤中のCO2希釈液を加えたものは、CH4燃料の完全な酸化によって生成されるCO2よりも29.2倍多い。タービン1を出る、30バールおよび746℃の排気流37は、2つの部分に分割される。流れ36は、30バールおよび316℃の酸素流35と混合し、30バールおよび204℃のメタン流40を燃焼させる、合わせられた酸化剤流39を提供する。燃焼生成物を第2の部分の流れ38で冷却され、タービン4に入口流57を29.1バールおよび1269℃で供給する。1.1バールおよび738℃のタービン出口流58を再生熱交換器14および13で冷却し、流れ60として出す。この流れは、流れ58、供給流の予熱に使用される流れ71と合わせ、1.04バールの圧力および79℃である。これを直接接触式冷水装置9で17.2℃まで冷却し、流れ63として出す。水およびCO2の間の直接接触に使用される充填部の基部を出る液体の水は、9の基部に集まり、ポンプ75により冷水装置10を通して塔9の頂部までポンプ圧送される。電力サイクルによって生成される正味の生成水は、流れ62として除去される。出口流63を、入口流64および出口流65が30バールの圧力である中間冷却器8で分離される2つのユニット、すなわち、中間冷却される6および中間冷却器のない7として示されている、多段軸流/遠心力圧縮機システムで圧縮する。これらの2つの別個のCO2再利用圧縮機要素は、ガスタービンと発電機との共通の駆動軸上に直接設置されている。これは、タービンにかかる制動荷重を提供して、システムトリップアウト後の圧力でシステムが停止する際、過速度を阻止する。57.5バールおよび93.3℃の圧縮機7出口流12を用いて、305バールの熱交換器76のポンプ11からの出口を54.4℃から73.9℃に加熱する。57.5バールの出口CO2流を60℃まで冷却し、熱交換器12においてさらに冷却および凝縮し、ポンプ11への液体CO2供給流を形成する。再生熱交換器13へのCO2入口を加熱することにより、流れ60がその露点よりも確実に高くなる。なお、これらの温度および対応するCO2圧力である57.5バールは、システムのISOの条件に関係する。より高い周囲温度では、圧縮機7の排気圧力が約57.5バールから最大100バールの範囲で固定されるが、すべてのこれらの場合において、CO2は高密度であり、多段遠心力ポンプ11に適する。ポンプ11排気流47は、2つの流れに分かれる。流れ46は、305バールおよび15.5℃の酸素流27と混合し、プレヒーター15および73で252℃の温度まで加熱される酸化剤流45を形成し、再生熱交換器14で加熱されて、高圧酸化剤流52を形成する。流れ48は、同様に2つの流れに分かれる。多い方の高圧再利用CO2流53を13および14で加熱し、加熱された再利用流52を形成する。少ない方の流れ49は、低温再生熱交換器13を迂回し、熱交換器15において空気流24に接触させて185℃の流れ50に加熱される。空気流24は、入口空気流23を圧縮機16で5.7バールおよび226℃まで断熱圧縮されてきたものである。流れ50は、加熱されたCO2流54に合流し、合わせられた流れ55は、14でさらに加熱され、加熱された再利用CO2流56を形成する。79.4℃で15を出る冷却された空気流25を直接接触式冷水装置17で冷却し、すべての水およびCO2を除去する熱スイング吸着器18に通す。ほとんどの空気流29は、深冷空気分離装置20の保冷槽に入る。残りの部分30は、5段の一体に適合された空気圧縮機19に入り、ここで、2つの加圧空気流、すなわち60バールの31および100バールの32を生成し、これらもさらに保冷槽に入り、生成物酸素流、すなわち、30バールの34および305バールの27を周囲温度付近まで加熱するために使用される。第2のタービン排気流58は、2つの部分に分かれる。主要部分77は、再生熱交換器13および14において再利用CO2流および酸化剤流を予熱するために必要とされる。残りの部分69は、予熱用熱交換器73および22を連続して通過する。ユニット22は、40バールおよび15℃の全メタン供給流43を予熱するために使用される。全メタン供給流43は、燃焼器2において燃料として使用される部分41と、中間冷却圧縮機21で304.5バールまで圧縮され、流れ42としてプレヒーター22に輸送される部分78とに分かれる。1.04バールで流れ60から、または304.9バールで蒸気48から、あるいは圧縮機6および7の任意の段間圧力で、酸化メタン流77に由来する正味CO2生成物流66を生成することができる。
代替的な実施形態では、空気分離器からのすべての酸素を、32バールの圧力で得ることができる。燃焼器1のためのO2を、流れ65から得たCO2と混合し、追加的な圧縮機で305バールまで圧縮する。次いで、これを上述のように予熱し、酸化剤流52として使用する。残りのO2流を、流れ35として予熱し燃焼器2に輸送する。
さ らなる代替的な実施形態では、空気分離器からの燃焼器2のための酸素の一部を30バールで輸送することができ、1.2バールの燃焼器1のために必要な部分を取得して、流れ63から得たCO2の一部と混合することができる。次いで、酸化剤混合物を多段圧縮機で305バールまで圧縮して、同様に15、73および14において加熱する。
タービン1の入口温度を高めたことの効果を下記の表で見ることができる。この表は、空気分離装置から燃焼器1のためのO
2を1.2バールの圧力で生成し、流れ65からの1バールのCO
2と混合し、中間冷却式多段圧縮機で305バールまで圧縮した場合に基づいている。この表は、純粋なメタンを燃料として用いる、ISOの条件に基づいており、正味のCO
2生成物が1バールの圧力であり、燃料燃焼に由来するすべての水が17.2℃の液体として生成される。すべてのこれらのケースは、295バールのタービン1入口圧力および30バールの出口圧力、ならびに29.1バールのタービン2入口圧力および1.1バールの出口圧力に基づいている。
本発明が属する当技術分野の当業者であれば、上記説明および関連する図面に示されている教示の利点を有する本発明の多くの修正および他の実施形態を思いつくであろう。したがって、本発明は、開示されている具体的な実施形態に限定されるものではなく、修正および他の実施形態が、添付の特許請求の範囲の範囲に含まれるものであることを理解されたい。具体的な用語が本明細書に用いられているが、それらは、単に一般的かつ記述的な意味で使用されており、限定のためのものではない。