JP6736049B2 - ガラス複合体、それを備えた透明スクリーン、およびそれを備えた映像投影システム - Google Patents
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Description
無機ガラスと、光輝性薄片状微粒子または略球状微粒子の少なくともいずれか一方とを含んでなる、透明スクリーン用ガラス複合体が提供される。
|n1―n2|≧0.1 ・・・(1)
を満たすことが好ましい。
本発明によるガラス複合体は、無機ガラスと、光輝性薄片状微粒子または略球状微粒子の少なくともいずれか一方とを含んでなり、反射防止層、粘着層、および基材等の他の層をさらに積層してもよい。後述する光輝性薄片状微粒子または略球状微粒子の少なくともいずれか一方を用いることで、ガラス複合体内で光を異方的に散乱反射させて、視野角を向上させることができる。無機ガラスは、耐傷性に優れ、化学的に安定な材料であるため長期使用した際経時変化が生じにくい。特に、光輝性薄片状微粒子または略球状微粒子として、酸化チタン等の光活性を有する粒子を樹脂に分散させた場合、樹脂の劣化が促進されるため長期使用できない恐れがある。本発明においては、無機ガラスを用いることで、光活性を有する微粒子を用いた場合でも長期使用可能な透明スクリーンを製造することができる。
(反射正面光度)
変角光度計(日本電色工業(株)製、品番:GC5000L)を用いて測定した。光源の入射角を45度にセットし、測定ステージに白色度95.77の標準白色板を載せたときの0度方向への反射光強度を100とした。サンプル測定時は、光源の入射角を15度にセットし、0度方向への反射光の強度を測定した。
(透過正面光度)
変角光度計(日本電色工業(株)製、品番:GC5000L)を用いて測定した。光源の入射角を0度にセットし、測定ステージに何も置かない状態での0度方向への透過光強度を100とした。サンプル測定は、光源の入射角を15度にセットし、0度方向への透過光の強度を測定した。
ガラス複合体を形成する無機ガラスとしては、後述する光輝性薄片状微粒子または略球状微粒子の分散性がよいものを用いるのが好ましく、水ガラス、ゾルゲル材料、または低軟化点を有するガラスの微細粉末の分散液を用いるのが特に好ましい。これらのガラス材料は、液体状態であるため光輝性薄片状微粒子または略球状微粒子の分散性が良く、かつ成形性に優れる。なお、本明細書においてガラス複合体とは、焼結やゾルゲルの加水分解反応等の硬化反応によって、液体状の無機ガラスを硬化した微粒子分散ガラス(ガラス複合体)であってもよく、溶融した無機ガラス(珪砂、ソーダ灰、石灰石やカレット等のガラス屑)に微粒子を分散させて冷却した微粒子分散ガラス(ガラス複合体)であってもよい。
水ガラスとは、アルカリ珪酸塩の濃厚水溶液をいい、アルカリ金属としては通常ナトリウムが含まれている。代表的な水ガラスは、Na2O・nSiO2(n:正の任意の数)により示すことができる。市販される水ガラスは、nが2から4の範囲にある。市販される水ガラスには珪酸ナトリウム水溶液として1号から3号があり、この順にNa2Oに対するSiO2の比率が高くなる。水ガラスから水分を蒸発させると和水ガラスと称される水分を10〜30質量%程度含んだ割れにくく弾性を有する固体が形成され、接着性を有するバインダとしての機能が発現する。また、場合により、Na2Oに換えて一部K2Oを含むことがあるが、この場合であってもSiO2とのモル比は上記の範囲にあることが好ましい。バインダとしての機能は水ガラスに含まれるポリ珪酸イオンの分子量が高いほど力学的強度の高い塗膜を形成する傾向があるが、塗膜にひび割れが生成し易くなる場合があるため、塗布液として使用する際の含まれる水ガラスの濃度やpH、及びヒドロキシアパタイトに対する割合等によってNa2Oに対するSiO2の最適なモル比で含まれる水ガラスを使用することが好ましい。水ガラスとしては、富士化学(株)社製珪酸ソーダを用いることができる。
ゾルゲル材料は、熱や光、触媒などの作用により、加水分解重縮合が進行し、硬化する化合物群である。例えば、金属アルコキシド(金属アルコラート)、金属キレート化合物、ハロゲン化金属、液状ガラス、スピンオングラス、またはこれらの反応物であり、これらに硬化反応を促進させる触媒を含ませたものであってもよい。また、金属アルコキシド官能基の一部にアクリル基などの光反応性の官能基を有するものであってもよい。ゾルゲル材料は、要求される物性に応じて、単独で用いても良いし、複数種類を組み合わせて用いても良い。ゾルゲル材料の硬化膜とは、ゾルゲル材料の重合反応が十分に進行した状態を指す。ゾルゲル材料は、重合反応の過程において無機基板の表面と化学的に結合して強く接着する。そのため、ガラス複合体としてゾルゲル材料の硬化膜を用いることで、安定したガラス複合体を形成することができる。
低軟化点ガラス材料は、軟化温度が150〜620℃の範囲にあるのが好ましく、200〜600℃の範囲にあるのがさらに好ましく、250〜550℃の範囲にあるのが最も好ましい。このような範囲のガラス材料としては、PbO−B2O3系、PbO−B2O3−SiO2系、PbO−ZnO−B2O3系、酸成分及び金属塩化物を含む混合物を熱処理することにより得られる鉛フリー低軟化点ガラス等を用いることができる。これらのなかでも、特に環境汚染性の低い、鉛フリーの低軟化点ガラスを用いるのが好ましい。低軟化点ガラス材料は、後述する硬化工程で溶解する、いわゆるガラスフリットが好ましい。また、低軟化点ガラス材料としては、メジアン径が1〜50μmの範囲の粉末を用いるのが好ましい。低軟化点ガラス材料には、微粒子の分散性および成形性向上のために、バインダ、極性溶剤および高沸点有機溶剤等を混合することができる。
光輝性薄片状微粒子としては、薄片状に加工できる光輝性材料を好適に用いることができる。光輝性薄片状微粒子の正反射率は、好ましくは12.0%以上であり、より好ましくは15.0%以上であり、さらに好ましくは20.0%以上80.0%以下である。なお、本発明において、光輝性薄片状微粒子の正反射率は、以下のようにして測定した値である。
(正反射率)
分光測色計(コニカミノルタ(株)製、品番:CM−3500dを用いて測定した。適切な溶媒(水またはメチルエチルケトン)に分散させた光輝性薄片状微粒子をスライドガラス上に膜厚が0.5mm以上になるように塗布、乾燥させた。得られた塗膜付きガラス板について、ガラス面の法線に対して45度の角度でガラス面から塗膜へ光を入射したときの正反射率を測定した。光輝性薄片状微粒子を塗膜としたときの正反射率を測定することで、微粒子表面の酸化状態等を考慮した光輝性薄片状微粒子の反射性能を把握することができる。
R={(1−n)2+k2}/{(1+n)2+k2} 式(1)
すなわち、測定波長550nmにおける反射率R(550)は、波長550nmで測定したときのnおよびkより算出できる。金属材料は、測定波長450nmにおける反射率R(450)と、測定波長650nmにおける反射率R(650)の差の絶対値が、測定波長550nmにおける反射率R(650)に対して25%以内であり、好ましくは20%以内であり、より好ましくは15%以内であり、さらに好ましくは10%以内である。このような金属材料を用いることで、反射型透明スクリーンとして用いた場合、投影光の反射性および色再現性に優れ、スクリーンとしての性能に優れる。
ε’=n2−k2 式(2)
本発明はいかなる理論にも束縛されるものではないが、金属材料の誘電率の実数項ε’が上記数値範囲を満たすことで、以下の作用が生じ、透明光散乱体が反射型透明スクリーンとして好適に使用できると考えられる。すなわち、光が金属系微粒子の中に入ると、金属系微粒子中には光による振動電界が生じるが、同時に金属系微粒子の自由電子によって逆向きの電気分極が生じ電界を遮蔽してしまう。誘電率の実数光ε’が0以下であるとき、光が完全に遮蔽され金属系微粒子の中に光が入って行けない、すなわち、表面凹凸による拡散や金属系微粒子による光の吸収が無いという理想状態を仮定すると、光は全て金属系微粒子表面で反射されることになるため、光の反射性は強い。ε’が0より大きいとき、金属系微粒子の自由電子の振動は光の振動に追随出来ないため光による振動電界を完全には打ち消すことが出来ず、光は金属系微粒子の中に入ったり、透過したりする。その結果、金属系微粒子表面で反射されるのは一部の光だけになり、光の反射性は低くなる。
略球状微粒子とは、真球状粒子を含んでいてもよく、凹凸や突起のある球状粒子を含んでいてもよい。無機ガラスの屈折率n1と略球状微粒子の屈折率n2は、下記数式(1):
|n2−n1|≧0.1 ・・・(1)
を満たすことが好ましく、下記数式(2):
|n2−n1|≧0.15 ・・・(2)
を満たすことがより好ましく、下記数式(3):
3.0≧|n2−n1|≧0.2 ・・・(3)
を満たすことがさらに好ましい。ガラス複合体を形成する無機ガラスと略球状微粒子の屈折率が上記数式を満たすことで、ガラス複合体内で光を異方的に散乱させ、視野角を向上させることができる。また、略球状の微粒子を用いることで、光を全方位的に散乱させ、輝度を向上させることができる。
0.05≦(t×c)≦50 ・・・(I)
を満たすことが好ましく、
0.1≦(t×c)≦40 ・・・(I−2)
を満たすことがより好ましく、
0.15≦(t×c)≦35 ・・・(I−3)
を満たすことがさらに好ましく、
0.3≦(t×c)≦30 ・・・(I−4)
を満たすことがさらにより好ましい。ガラス複合体の厚さtと濃度cが上記の数式(I)を満たす場合、ガラス複合体中の微粒子の分散状態が疎である(ガラス複合体中の微粒子の濃度が低い)ため、真直ぐに透過する光の割合を増やし(微粒子に衝突しない光の割合を増やし)、その結果、透過光の視認性を損なわずに、スクリーンに鮮明な映像を表示することができる。なお、光輝性薄片状微粒子および/または略球状微粒子が2種以上含まれる場合、濃度cは全微粒子の合計濃度である。
反射防止層は、外光の映り込み現象や層表面におけるプロジェクターからの入射光の反射を低減することで、画像視認性を改善するための層である。さらに、反射防止層は、光源から出射された光の一部がスクリーン表面で反射することを抑制し、結果としてガラス複合体内に入射する光量が増加するため輝度向上効果を有する。反射防止層は、ガラス複合体の視認者側に積層されるものであってもよく、両面に積層されるものであってもよい。反射防止層は、単層であってもよく、全波長領域で反射を防止するために、屈折率の異なる樹脂を多層積層したものであってもよい。
基材は、前記ガラス複合体を薄膜状に形成するための支持体である。基材は、具体的には、金属、セラミックス、ソーダガラス、石英ガラス、サファイヤ基板、石英、シリコン基板等の無機材料からなる基板やポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンテレナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリスチレン(PS)、ポリイミド(PI)、ポリアリレート等の樹脂基板を用い得る。基板は透明でも不透明でもよいが、例えば、400nm〜780nmの可視光領域で光学的に透明な基材は、そのまま透明スクリーンとして使用できるだけでなく、スクリーン以外のさまざまな光学用途に用いることができるため特に好ましい。紫外光領域において用いる場合には、紫外線の透過率が高い石英ガラスやサファイアガラスを含む基材を用いることが好ましい。基板上には密着性を向上させるために、表面処理や易接着層を設けるなどをしてもよく、水分や酸素等の気体の浸入を防ぐ目的で、ガスバリア層を設けるなどしてもよい。また、硬化反応が焼結等の高温工程を含む場合は、高温で軟化や損傷の起こらない材料を用いるのが好ましい。具体的には軟化温度が600℃以上のガラス基板が好ましく、650℃以上のものがより好ましく、700℃以上のものが最も好ましい。基材は、平板であっても良いし、使用する目的に応じてどのような形状であっても良い。なお、基材の厚さは、その強度が適切になるように用途・材料に応じて適宜変更することができる。例えば、10μm〜1mm(1000μm)の範囲としてもよく、1mm以上の厚板であってもよい。
粘着層は、ガラス複合体の少なくとも片面に基材、反射防止層等を貼付するための層である。ガラス複合体の両面に粘着層を設け、基材でガラス複合体を挟んだ積層構造を作製することも可能である。粘着層は、ガラス複合体の透過視認性や所望の光学特性を損なわないような粘着剤組成物を用いて形成することが好ましい。粘着剤組成物としては、例えば、天然ゴム系、合成ゴム系、ポリ(メタ)アクリル系、ポリビニルエーテル系、ポリウレタン系、ポリシリコーン系、ポリビニルアルコール系等が挙げられる。合成ゴム系の具体例としては、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、ポリイソブチレンゴム、イソブチレン−イソプレンゴム、スチレン−イソプレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−エチレン−ブチレンブロック共重合体が挙げられる。ポリビニルアルコール系の具体例としてはポリビニルブチラール、エチレン-酢酸ビニル樹脂が挙げられる。ポリシリコーン系の具体例としては、ジメチルポリシロキサン等が挙げられる。これらの中でも、ポリビニルアルコール系粘着剤、アクリル系粘着剤が好ましい。これらの粘着剤は、1種単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明によるガラス複合体の製造方法は、特に限定されるものではなく、無機ガラス中に光輝性薄片状微粒子または略球状微粒子の少なくともいずれか一方を分散させたガラス複合体用材料を用いて、従来公知の成形方法でガラス複合体を形成することができる。例えば、本発明によるガラス複合体の製造方法は(1)光輝性薄片状微粒子または略球状微粒子の少なくともいずれか一方、無機ガラス、および溶剤を混合した無機ガラス溶液を作製する工程、(2)前記無機ガラス溶液を基材に塗布して塗布膜を形成する工程、(3)溶剤を乾燥させる工程および(4)前記塗布膜を硬化する工程を含む。なお、前記ガラス複合体は、工業的には、フロート法、ロールアウト法等の高温で溶融させた無機ガラス中に上記微粒子を分散させ、成形・冷却して板状のガラス複合体を製造することもできる。
無機ガラス溶液は、光輝性薄片状微粒子または略球状微粒子の少なくともいずれか一方、無機ガラス、及び溶剤を混合し、必要に応じてバインダ、高沸点有機溶剤、触媒等を添加し、分散することによって作製する。無機ガラス溶液は、固体の分散物なので、長期の保存安定性が必ずしも十分ではない。従って、光輝性薄片状微粒子または略球状微粒子の少なくともいずれか一方、無機ガラス、必要に応じてバインダ、触媒および高沸点有機溶剤等を含有するペーストをあらかじめ作製しておき、使用時に前記ペーストに溶剤を添加して分散し、ガラス材料溶液を作製するのが好ましい。この場合、ペーストは公知の分散法により作製することができる。
作製した無機ガラス溶液の基材への塗布は、公知の方法、例えば、スピンコート、ディップコート、バーコート、フローコート、ロールコート、スプレーコート、ダイコート、インクジェット、グラビアコート等によって行うことができる。中でも、比較的大面積の基板にゾルゲル溶液を均一に塗布可能であること、ゾル溶液が硬化する前に素早く塗布を完了させることができるという観点から、バーコート、ダイコート及びスピンコートが好ましい。
塗布工程後、塗布した塗膜中の溶剤を蒸発させるために基板を大気中もしくは減圧下で保持する。この保持時間が短いと溶剤が残存し、耐久性が悪化する。また、保持温度として、10〜200℃の範囲が望ましく、10〜100℃の範囲がより望ましい。保持温度がこの範囲より高いと、硬化反応が急速に進行する等して好ましくなく、保持温度がこの範囲より低いと、硬化反応に長時間必要となるため、生産性が低下し好ましくない。
硬化反応は、無機ガラスの種類にもよるが、200〜700℃で行うのが好ましい。200℃以下では硬化が不十分となるため硬化後のガラス複合体の強度が低くなる。700℃以上では基材の損傷を招く恐れがある。硬化時間は、5分〜1時間程度であるのが好ましく、10〜30分程度がより好ましい。450℃以上の温度では光輝性薄片状微粒子または略球状微粒子の酸化が始まる可能性があるので、このような温度域で硬化反応を行う場合は、低酸素雰囲気(窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガス中、又は真空中)で行うのが好ましい。
本発明による透明スクリーンは、上記のガラス複合体を備えてなる。透明スクリーンは、上記のガラス複合体のみからなるものでもよく、無機ガラス溶液を塗布した基板をそのまま使用してもよく、透明パーティション等の支持体をさらに備えるものでもよい。透明スクリーンは、平面であってもよく、曲面であってもよく、凹凸面を有していてもよい。
(反射正面光度)
変角光度計(日本電色工業(株)製、品番:GC5000L)を用いて測定した。光源の入射角を45度にセットし、測定ステージに白色度95.77の標準白色板を載せたときの0度方向への反射光強度を100とした。サンプル測定時は、光源の入射角を15度にセットし、0度方向への反射光の強度を測定した。
(透過正面光度)
変角光度計(日本電色工業(株)製、品番:GC5000L)を用いて測定した。光源の入射角を0度にセットし、測定ステージに何も置かない状態での0度方向への透過光強度を100とした。サンプル測定は、光源の入射角を15度にセットし、0度方向への透過光の強度を測定した。
支持体は、ガラス複合体を支持するためのものである。支持体は、透明スクリーンの透過視認性や所望の光学特性を損なわないものであればよく、例えば、透明パーティション、ガラスウィンドウ、乗用車のヘッドアップディスプレイ、およびウェアラブルディスプレイ等が挙げられる。
本発明による車両用部材は、上記のガラス複合体または透明スクリーンを備えてなる。車両用部材としては、フロントガラスやサイドガラス等が挙げられる。車両用部材は上記のガラス複合体または透明スクリーンを備えることで、別途のスクリーンを設けなくても、車両用部材上に鮮明な画像を表示させることができる。
本発明による建物用部材は、上記のガラス複合体または透明スクリーンを備えてなる。建物用部材としては、住宅の窓ガラス、コンビニや路面店のガラス壁等を挙げることができる。建物用部材は上記のガラス複合体または透明スクリーンを備えることで、別途のスクリーンを設けなくても、建物用部材上に鮮明な画像を表示させることができる。
本発明による映像投影システムは、上記のガラス複合体または透視可能な反射型スクリーンと、投射装置とを備えてなる。投射装置とは、スクリーン上に映像を投射できるものであれば特に限定されず、例えば、市販のフロントプロジェクタを用いることができる。
(1)ヘイズ
濁度計(日本電色工業(株)製、品番:NDH−5000)を用い、JIS K7136に準拠して、後述するガラス複合体の積層体(石英ガラス基材付き)のヘイズを測定した。さらに基材として用いた石英ガラスのみのヘイズを測定し、ガラス複合体の積層体(石英ガラス基材付き)のヘイズ値から石英ガラス基材のヘイズ値を引くことでガラス複合体のヘイズを算出した(ガラス板のヘイズ値はほぼ0であるため、実質的にガラス複合体のヘイズ値には影響を与えない)。
(2)全光線透過率
濁度計(日本電色工業(株)製、品番:NDH−5000)を用い、JIS K7361−1に準拠して、ガラス複合体の積層体(石英ガラス基材付き)の全光線透過率を測定した。
(3)拡散透過率
濁度計(日本電色工業(株)製、品番:NDH−5000)を用い、JIS K7361−1に準拠してガラス複合体の積層体(石英ガラス基材付き)の拡散透過率を測定した。
(4)反射正面光度
変角光度計(日本電色工業(株)製、品番:GC5000L)を用いて測定した。光源の入射角を45度にセットし、測定ステージに白色度95.77の標準白色板を載せたときの0度方向への反射光強度を100とした。サンプル測定時は、光源の入射角を15度にセットし、0度方向への反射光の強度を測定した。
(5)透過正面光度
変角光度計(日本電色工業(株)製、品番:GC5000L)を用いて測定した。光源の入射角を0度にセットし、測定ステージに何も置かない状態での0度方向への透過光強度を100とした。サンプル測定は、光源の入射角を15度にセットし、0度方向への透過光の強度を測定した。
(6)視野角
変角光度計(日本電色工業(株)製、品番:GC5000L)を用いて測定した。光源の入射角を0度にセットし、測定ステージに何も置かない状態での0度方向への透過光強度を100とした。サンプル測定時は、光源の入射角は0度のまま、−85度から+85度までの透過光強度を1度刻みで測定した。測定範囲の中で、透過光強度が0.001以上ある範囲を視野角とした。
(7)正反射率
分光測色計(コニカミノルタ(株)製、品番:CM−3500dを用いて測定した。適切な溶媒(水またはメチルエチルケトン)に分散させた光輝性薄片状微粒子をスライドガラス上に膜厚が0.5mm以上になるように塗布、乾燥させた。得られた塗膜付きガラス板について、ガラス面の法線に対して45度の角度でガラス面から塗膜へ光を入射したときの正反射率を測定した。
(8)写像性
写像性測定器(スガ試験機(株)製、品番:ICM−1T)を用い、JIS K7374に準拠して、光学くし幅0.125mmで測定した時の像鮮明度(%)の値を写像性とした。像鮮明度の値が大きい程、透過写像性が高いことを示す。
(9)引っかき硬度
JIS−K5600−5−4 引っかき硬度法を用い、ガラス複合体について、硬度を評価した。
(10)スクリーン性能
透明スクリ−ンとして下記で作製したガラス複合体に、ガラス複合体の法線方向に対して角度15度で50cm離れた位置から、オンキョーデジタルソリューションズ(株)製のモバイルLEDミニプロジェクターPP−D1Sを用いて画像を投影した。次に、スクリ−ンの面上に焦点が合うようにプロジェクターの焦点つまみを調整した後、ガラス複合体の前方1mおよび後方1mの2ヶ所からガラス複合体に映し出された画像を目視で観察し、下記の基準に基づいて目視で評価した。スクリ−ンの前方からの観察は反射型スクリーンとしての性能が評価でき、後方からの観察により透過型スクリーンとしての性能が評価できる。
[評価基準]
◎:極めて鮮明に映像を視認することができた。
○:鮮明に映像を視認することができた。
△:映像の輪郭、色相がややぼやけて視認された。
×:映像の輪郭がぼやけ、スクリーンとして使用するには不適であった。
(1)無機ガラス溶液作製工程
無機ガラス材料として水ガラス(珪酸ナトリウム水溶液、キシダ化学(株)製、商品名:水ガラス3号)を用意した。該水ガラスに、光輝性薄片状微粒子として、薄片状アルミニウム微粒子A(一次粒子の平均径1μm、アスペクト比25、正反射率16.8%)を珪酸ナトリウムに対して0.13質量%加え、さらに、珪酸ナトリウム濃度が20質量%になるように、イソプロピルアルコールを加えて23℃、湿度45%で撹拌することで無機ガラス溶液Aを得た。
(2)塗布工程
前記無機ガラス溶液Aを、基材として洗浄した石英ガラス板(100×100×2mm、Ya=83%、Tg=63%、T1500=59%、T850=47%、ヘイズ率=0%)上に、バーコーターを用いて塗布した。バーコーターとしては、ドクターブレード(YOSHIMITSU SEIKI社製)を用いた。このドクターブレードは塗膜の膜厚が5μmとなるような設計であったが、ドクターブレードに35μmの厚みのイミドテープを張り付けて塗膜の膜厚が40μmとなるように調整し、膜厚25μmの塗布膜を得た。
(3)乾燥工程
塗布後のガラス板をホットプレート上で100℃、10分間熱処理して塗膜を乾燥した。乾燥後の膜厚は7μmであった。
(4)硬化工程
前記乾燥工程で得られた塗布膜を室温で乾燥させ、さらに250℃の乾燥炉中で10分間加熱して乾燥させ、ガラス複合体と基材(石英ガラス板)とを備えるガラス複合体の積層体を形成した。透過型電子顕微鏡(TEM)にて断面を確認したところ、得られたガラス複合体の厚みは5μmであった。
(5)透明スクリーンの評価
作製したガラス複合体の積層体をそのまま透明スクリーンとして用いたところ、ヘイズ値は4.7%であり、拡散透過率は4.1%であり、全光線透過率は88.1%であり、写像性は91%であり、引っかき硬度は6Hであり、高い透明性と耐傷性を有していた。
また、変角光度計にて測定した透過正面光度(×1000)は、1.08であり、透過正面光度に優れることが分かった。変角光度計にて測定した反射正面光度は、9.6であり、反射正面光度に優れることが分かった。変角光度計にて測定した視野角は±16度であり、視野角特性に優れることが分かった。また、ガラス複合体を形成してなる面は、指紋が付着しにくく、指紋が付着しても容易に拭き取ることができるものであった。さらに、スクリーン性能を評価したところ、前方観察時、後方観察時ともに鮮明な映像を視認することができ、特に前方観察時に極めて鮮明な映像を視認することができた。
(1)無機ガラス溶液作製工程
エタノール530質量部、水45質量部及び濃塩酸0.2質量部を混合した液に、ゾルゲル材料としてテトラエトキシシラン(TEOS)54.3質量部と、メチルトリエトキシシラン(MTES)45.7質量部を滴下して加え、さらに光輝性薄片状微粒子として薄片状アルミニウム微粒子Aを、TEOSとMTESの合計質量に対して0.70質量%加え、23℃、湿度45%で2時間攪拌して無機ガラス溶液Bを得た。
(2)塗布工程
実施例1と同様にして、無機ガラス溶液Bを基材として洗浄した石英ガラス板上に塗布し、膜厚10μmの塗布膜を得た。
(3)乾燥工程
前記工程で得られた塗布膜を室温で乾燥させ、さらに40℃で20分、80℃で10分乾燥した。
(4)硬化工程
前記乾燥工程で得られた塗布膜を、窒素雰囲気下のオーブンを用いて、300℃で1時間保持し、ガラス複合体と基材(石英ガラス板)とを備えるガラス複合体の積層体を得た。硬化後のガラス複合体の膜厚は2μmであった。
(5)透明スクリーンの評価
作製したガラス複合体の積層体をそのまま透明スクリーンとして用いたところ、ヘイズ値は17.7%であり、拡散透過率は13.2%であり、全光線透過率は74.7%であり、写像性は86%であり、引っかき硬度は7Hであり、十分な透明性と高い耐傷性を有していた。
変角光度計にて測定した透過正面光度(×1000)は、3.57であり、透過正面光度(×1000)に優れることが分かった。変角光度計にて測定した反射正面光度は、32.7であり、反射正面光度に優れることが分かった。変角光度計にて測定した視野角は±28度であり、視野角特性に優れることが分かった。また、視認性を目視で評価した結果、鮮明に映像を視認することができた。また、ガラス複合体を形成してなる面は、指紋が付着しにくく、指紋が付着しても容易に拭き取ることができるものであった。さらに、スクリーン性能を評価したところ、前方観察時、後方観察時ともに鮮明な映像を視認することができ、特に前方観察時に極めて鮮明な映像を視認することができた。
(1)無機ガラス溶液作製工程
硼珪酸鉛系ガラスフリット(78質量%のPbO、10質量%のSO2、12質量%のBa2O3からなる低軟化点ガラス)に対して、略球状微粒子として酸化ジルコニウム(関東電化工業(株)製、一次粒子のメジアン径10nm、屈折率2.40)を0.15質量%、パインオイルを10質量%加えて混練し、ペーストを作製した。前記ペースト中の硼珪酸鉛系ガラスフリット)濃度が20質量%となるようにイソプロピルアルコールを混合し、ディゾルバーで分散することにより、無機ガラス溶液Cを作製した。
(2)塗布工程
ディップコート法を用いて無機ガラス溶液Cを、基材として洗浄した石英ガラス板上に塗布し、膜厚120μmの塗布膜を得た。
(3)乾燥工程
前記塗布膜を200℃で15分間乾燥し、イソプロピルアルコールを除去した。
(4)硬化工程
前記乾燥工程で得られた塗布膜を、580℃で20分間焼結することで、ガラス複合体(ガラス複合体)と基材(石英ガラス板)とを備えるガラス複合体の積層体を作製した。得られたガラス複合体の厚みは100μmであった。
(5)透明スクリーンの評価
作製したガラス複合体の積層体をそのまま透明スクリーンとして用いたところ、ヘイズ値は10.2%であり、拡散透過率は9.0%であり、全光線透過率は88.7%であり、写像性は92%であり、引っかき硬度は7Hであり、高い透明性および耐傷性を有していた。
変角光度計にて測定した透過正面光度(×1000)は、2.66であり、透過正面光度に優れることが分かった。変角光度計にて測定した反射正面光度は、1.2であり、反射正面光度に優れることが分かった。変角光度計にて測定した視野角は±22度であり、視野角特性に優れることが分かった。また、ガラス複合体を形成してなる面は、指紋が付着しにくく、指紋が付着しても容易に拭き取ることができるものであった。さらに、スクリーン性能を評価したところ、前方観察時、後方観察時ともに鮮明な映像を視認することができ、特に後方観察時に極めて鮮明な映像を視認することができた。
実施例1の(1)無機ガラス溶液作成工程において、薄片状アルミニウム微粒子Aの代わりに、酸化チタン(TiO2)被覆雲母(トピー工業(株)製、商品名:HeliosR10S、一次粒子の平均径12μm、アスペクト比80、正反射率16.5%)を0.03質量%用いた以外は実施例1と同様にして、のガラス複合体(厚み20μm)と基材(石英ガラス板)とを備えるガラス複合体の積層体を作製した。
作製したガラス複合体の積層体をそのまま透明スクリーンに用いたところ、ヘイズ値は3.2%であり、拡散透過率は3.0%であり、全光線透過率は92.3%であり、写像性は90%であり、引っかき硬度は6Hであり、高い透明性および耐傷性を有していた。
変角光度計にて測定した透過正面光度(×1000)は、0.56であり、透過正面光度に優れることが分かった。変角光度計にて測定した反射正面光度は、5.5であり、反射正面光度に優れることが分かった。変角光度計にて測定した視野角は±12度であり、視野角特性に優れることが分かった。また、ガラス複合体を形成してなる面は、指紋が付着しにくく、指紋が付着しても容易に拭き取ることができるものであった。さらに、スクリーン性能を評価したところ、前方観察時に鮮明な映像を視認することができたが、後方観察時に映像の輪郭、色相がややぼやけて視認された。
実施例1の(1)無機ガラス材料溶液作製工程において、薄片状アルミニウム微粒子Aの代わりに、薄片状アルミニウム微粒子B(一次粒子の平均径10μm、アスペクト比300、正反射率62.8%)を0.03質量%、さらに略球状微粒子として酸化ジルコニウムを0.6質量%加えた以外は実施例1と同様にして、ガラス複合体(厚み20μm)と基材(石英ガラス板)とを備えるガラス複合体の積層体を作製した。
作製したガラス複合体の積層体をそのまま透明スクリーンに用いたところ、ヘイズ値は12.1%であり、拡散透過率は10.7%であり、全光線透過率は88.5%であり、写像性は85%であり、引っかき硬度は6Hであり、高い透明性および耐傷性を有していた。
変角光度計にて測定した透過正面光度(×1000)は、13.62であり、透過正面光度に優れることが分かった。変角光度計にて測定した反射正面光度は、3.5であり、反射正面光度に優れることが分かった。変角光度計にて測定した視野角は±26度であり、視野角特性に優れることが分かった。また、ガラス複合体を形成してなる面は、指紋が付着しにくく、指紋が付着しても容易に拭き取ることができるものであった。さらに、スクリーン性能を評価したところ、前方観察時、後方観察時ともに極めて鮮明な映像を視認することができた。
実施例3の(1)無機ガラス溶液作製工程において、酸化ジルコニウムの代わりに、酸化チタン(テイカ(株)製、商品名:MT−01、屈折率2.72、一次粒子のメジアン径10nm)0.003質量%を加え、塗布工程を50回繰り返した以外は実施例3と同様にして、ガラス複合体(厚み5000μm)と基材(石英ガラス板)とを備えるガラス複合体の積層体を作製した。
作製したガラス複合体の積層体をそのまま透明スクリーンとして用いたところ、ヘイズ値は9.1%であり、拡散透過率は7.7%であり、全光線透過率は84.2%であり、写像性は88%であり、引っかき硬度は7Hであり、高い透明性および耐傷性を有していた。
変角光度計にて測定した透過正面光度(×1000)は、3.12であり、透過正面光度に優れることが分かった。変角光度計にて測定した反射正面光度は、2.3であり、反射正面光度に優れることが分かった。変角光度計にて測定した視野角は±24度であり、視野角特性に優れることが分かった。また、ガラス複合体を形成してなる面は、指紋が付着しにくく、指紋が付着しても容易に拭き取ることができるものであった。さらに、スクリーン性能を評価したところ、前方観察時、後方観察時ともに鮮明な映像を視認することができ、特に後方観察時に極めて鮮明な映像を視認することができた。
実施例1の(1)無機ガラス材料溶液作製工程において、薄片状アルミニウム微粒子Aの代わりに、銀微粒子(一次粒子の平均径1μm、アスペクト比200、正反射率32.8%)を0.85質量%加えた以外は実施例1と同様にして、ガラス複合体(厚み20μm)と基材(石英ガラス板)とを備えるガラス複合体の積層体を作製した。
作製したガラス複合体の積層体をそのまま透明スクリーンに用いたところ、ヘイズ値は5.4%であり、拡散透過率は3.8%であり、全光線透過率は70.1%であり、写像性は75%であり、引っかき硬度は6Hであり、高い透明性および耐傷性を有していた。
変角光度計にて測定した透過正面光度(×1000)は、1.32であり、透過正面光度に優れることが分かった。変角光度計にて測定した反射正面光度は、13.8であり、反射正面光度に優れることが分かった。変角光度計にて測定した視野角は±15度であり、視野角特性に優れることが分かった。また、ガラス複合体を形成してなる面は、指紋が付着しにくく、指紋が付着しても容易に拭き取ることができるものであった。さらに、スクリーン性能を評価したところ、前方観察時、後方観察時ともに鮮明な映像を視認することができ、特に前方観察時に極めて鮮明な映像を視認することができた。
実施例3の(1)無機ガラス溶液作製工程において、酸化ジルコニウムを添加せず、光輝性薄片状微粒子として薄片状アルミニウム微粒子Aを0.002質量%加えた以外は実施例3と同様にして、ガラス複合体(厚み80μm)と基材(石英ガラス板)とを備えるガラス複合体の積層体を作製した。
作製したガラス複合体の積層体をそのまま透明スクリーンとして用いたところ、ヘイズ値は2.0%であり、拡散透過率は1.8%であり、全光線透過率は90.1%であり、写像性は84%であり、引っかき硬度は7Hであり、高い透明性および耐傷性を有していた。
変角光度計にて測定した透過正面光度(×1000)は、0.81であり、透過正面光度に優れることが分かった。変角光度計にて測定した反射正面光度は、5.2であり、反射正面光度に優れることが分かった。変角光度計にて測定した視野角は±15度であり、視野角特性に優れることが分かった。また、ガラス複合体を形成してなる面は、指紋が付着しにくく、指紋が付着しても容易に拭き取ることができるものであった。さらに、スクリーン性能を評価したところ、前方観察時、後方観察時ともに鮮明な映像を視認することができ、特に前方観察時に極めて鮮明な映像を視認することができた。
実施例1の(1)無機ガラス溶液製造工程で用いた水ガラス水溶液の代わりに、アクリル溶液(三菱レイヨン(株)社製、商品名:アクリペットVHをトルエンに溶解し、20質量%としたもの)を用い、薄片状アルミニウム微粒子Aの代わりに酸化ジルコニウムをアクリル樹脂に対して0.60質量%添加し、23℃、湿度45%で5時間攪拌して微粒子分散アクリル溶液を得た。
(2)塗布工程
実施例1と同様にして、微粒子分散アクリル溶液を、基材として洗浄した石英ガラス板上に塗布し、膜厚12μmの塗布膜を得た。
(3)乾燥工程
前記工程で得られた塗布膜を室温で乾燥させ、さらに40℃で20分、80℃で1時間、減圧下で12時間乾燥した。乾燥後の微粒子分散アクリル層の膜厚は3μmであった。
(4)透明スクリーンの評価
作製した微粒子分散アクリル層と石英ガラス基材の積層体をそのまま透明スクリーンとして用いたところ、ヘイズ値は12.2%であり、拡散透過率は10.3%であり、全光線透過率は84.8%であり、写像性は84%であり、引っかき硬度は3Bであり、透明であるものの、耐傷性が劣っていた。また、変角光度計にて測定した透過正面光度(×1000)は、2.54であり、反射正面光度は、1.1であり、視野角は±20度であった。また、微粒子分散アクリル層を形成してなる面は、指紋が付着しやすく、付着した指紋は容易に拭き取ることができなかった。さらに、スクリーン性能を評価したところ、前方観察時、後方観察時ともに鮮明な映像を視認することができ、特に後方観察時に極めて鮮明な映像を視認することができた。
比較例1において、酸化ジルコニウムの代わりに、アルミニウム微粒子Aをアクリル樹脂ペレットに対して0.03質量%添加した以外は比較例1と同様にして微粒子分散アクリル層を作製した。作製した微粒子分散アクリル層と石英ガラス基材の積層体をそのまま透明スクリーンとして用いたところ、ヘイズ値は4.7%、拡散透過率は4.1%、全光線透過率は88.1%、写像性は88%、引っかき硬度は3Bであり、透明であるものの、耐傷性が劣っていた。また、変角光度計にて測定した透過正面光度(×1000)は、1.02であり、反射正面光度は、9.6であり、視野角は±16度であった。また、微粒子分散アクリル層を形成してなる面は、指紋が付着しやすく、付着した指紋は容易に拭き取ることができなかった。さらに、スクリーン性能を評価したところ、前方観察時、後方観察時ともに鮮明な映像を視認することができ、特に前方観察時に極めて鮮明な映像を視認することができた。
比較例1において、酸化ジルコニウムの代わりに、光輝性を有さない薄片状微粒子として雲母粒子((株)ヤマグチマイカ製、商品名:A−21S、一次粒子の平均径23μm、アスペクト比70、正反射率9.8%)をアクリル樹脂ペレットに対して0.20質量%添加した以外は比較例1と同様にして微粒子分散アクリル層を作製した。作製した微粒子分散アクリル層と石英ガラス基材の積層体をそのまま透明スクリーンとして用いたところ、ヘイズ値は0.5%、拡散透過率は0.4%、全光線透過率は88.3%、写像性は70%、引っかき硬度は3Bであり、透明であるものの、耐傷性が劣っていた。また、変角光度計にて測定した透過正面光度(×1000)は、0.00であり、反射正面光度は、0.0であり、視野角は±6度であり、透過正面光度、反射正面光度、視野角ともに劣っていた。った。また、微粒子分散アクリル層を形成してなる面は、指紋が付着しやすく、付着した指紋は容易に拭き取ることができなかった。さらに、スクリーン性能を評価したところ、前方観察時に映像の輪郭がぼやけ、スクリーンとして使用するには不適であり、後方観察時に映像の輪郭、色相がややぼやけて視認された。
11 光輝性薄片状微粒子
12 略球状微粒子
13 ガラス複合体
14 基材
15、21 ガラス複合体の積層体
16、17、26A、26B 投影光
18、27A、27B 散乱光
19、24 視認者
22 透明パーティション(支持体)
23 透明スクリーン
25A、25B 投射装置
Claims (18)
- 無機ガラスと、前記無機ガラス中に混在された光輝性薄片状微粒子および略球状微粒子とを含み、ヘイズ値が50%以下である、透明スクリーン用ガラス複合体。
- 前記光輝性薄片状微粒子の一次粒子の平均径が、0.01〜100μmである、請求項1に記載のガラス複合体。
- 前記光輝性薄片状微粒子の正反射率が、12%以上である、請求項1または2に記載のガラス複合体。
- 前記光輝性薄片状微粒子の平均アスペクト比が、3〜800である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のガラス複合体。
- 前記光輝性薄片状微粒子が、アルミニウム、銀、銅、白金、金、チタン、ニッケル、スズ、スズ‐コバルト合金、インジウム、クロム、酸化チタン、酸化アルミニウム、および硫化亜鉛からなる群から選択される金属系粒子、ガラスに金属または金属酸化物を被覆した光輝性材料、または天然雲母もしくは合成雲母に金属または金属酸化物を被覆した光輝性材料である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のガラス複合体。
- 前記無機ガラスが、水ガラス、ゾルゲル材料、および軟化温度が150〜650℃のガラス材料からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のガラス複合体。
- 前記光輝性薄片状微粒子の含有量が、前記無機ガラスに対して0.0001〜5.0質量%である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のガラス複合体。
- 前記略球状微粒子の屈折率n2と前記無機ガラスの屈折率n1の差が下記数式(1):
|n1―n2|≧0.1 ・・・(1)
を満たす、請求項1〜7のいずれか一項に記載のガラス複合体。 - 前記略球状微粒子が、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム、チタン酸バリウム、およびチタン酸ストロンチウムからなる群より選択された少なくとも1種である、請求項1〜8のいずれか一項に記載のガラス複合体。
- 前記略球状微粒子の一次粒子のメジアン径が、0.1〜100nmである、請求項1〜9のいずれか一項に記載のガラス複合体。
- 前記略球状微粒子の含有量が、前記無機ガラスに対して0.0001〜2.0質量%である、請求項1〜10のいずれか一項に記載のガラス複合体。
- 透過型透明スクリーン用または反射型透明スクリーン用である、請求項1〜11のいずれか一項に記載のガラス複合体。
- 請求項1〜12のいずれか一項に記載のガラス複合体と、基材とを備えた、ガラス複合体の積層体。
- 請求項1〜12のいずれか一項に記載のガラス複合体または請求項13に記載のガラス複合体の積層体を備えた、透過型透明スクリーン。
- 請求項1〜12のいずれか一項に記載のガラス複合体または請求項13に記載のガラス複合体の積層体を備えた、反射型透明スクリーン。
- 請求項1〜12のいずれか一項に記載のガラス複合体、請求項13に記載のガラス複合体の積層体、請求項14に記載の透過型透明スクリーン、または請求項15に記載の反射型透明スクリーンを備えた、車両用部材。
- 請求項1〜12のいずれか一項に記載のガラス複合体、請求項13に記載のガラス複合体の積層体、請求項14に記載の透過型透明スクリーン、または請求項15に記載の反射型透明スクリーンを備えた、建物用部材。
- 請求項1〜12のいずれか一項に記載のガラス複合体、請求項13に記載のガラス複合体の積層体、請求項14に記載の透過型透明スクリーン、または請求項15に記載の反射型透明スクリーンと、投射装置とを備えた、映像投影システム。
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