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JP6723054B2 - 木質繊維及び木質繊維板の製造方法 - Google Patents

木質繊維及び木質繊維板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、木質繊維の製造方法、及び、木質繊維からの木質繊維板の製造方法に関する。
パーティクルボード、中密度繊維板(MDF)等の木質繊維板は木質繊維を含む木質材料を接着剤とともに熱圧成形して製造される。
このための木質繊維は、本来は、新規な木材を小片化したバージンチップをダイジェスタとよばれる大型の蒸煮釜中で、加熱した水及び/又は水蒸気により蒸煮処理して木部を軟化した後、リファイナと呼ばれる解繊機により解繊することにより製造される。
一方、近年は、木質繊維の原料として、解体材(シュレッダー、ピン)、燃料向けチップ、竹、バーク、パーティクルボード、MDF等の木質繊維板等の廃材に由来する廃材木質チップが利用されている。
特許文献1では、パーティクルボード又はファイバーボードの廃材を水および/または加熱水蒸気によって処理し、木部を軟化し、接着剤を軟化、劣化させた後、切削または破砕等の小片化処理することを特徴とする、パーティクルボード又はファイバーボードの原料の製造方法が開示されている。特許文献1では更に、水および/または加熱水蒸気が酸、アルカリ等の接着剤の分解を促進する薬剤を含有する実施形態が好ましいと記載されている。
特許文献2では、木質繊維を蒸煮解繊して得た木質繊維を、更に、アルカリ溶液中で蒸煮したのち成形して木質繊維板を形成し、更にそれを炭化処理して炭化ボードを製造することが記載されている。特許文献2によれば、木質繊維をアルカリ溶液で蒸煮処理することにより結晶質のセルロース分の割合を高めることができる。
特許文献3では、新規な木質片を粉砕又は切削して調製した新規原料と、既存の木質繊維板を粉砕して調製した再生原料とを用い、それらを接着剤により一体に熱圧成形して木質繊維板を製造することが開示されている。特許文献3の技術は、従来も廃棄処理されていた使用済みの木質繊維板を、新規な木質繊維板のための再生原料として再利用することにより、天然木材の消費量を低減し、自然環境の保護に寄与することを目的としている。
特公平6−22803号公報 特開2006−35792号公報 特開2003−311718号公報
バージンチップは新規な木材から成りチップ中の木質繊維の状態が概ね均質であるため、良質な木質繊維を得るための蒸煮処理は、温度、圧力、時間等の条件をほぼ一定として行うことができる。一方、廃材木質チップは、バージンチップとは異なり、チップ中の木質繊維の状態が不均質であるため、蒸煮処理において十分に軟化されない部分を含むことが多い。このため、廃材木質チップを蒸煮処理し解繊して得られた木質繊維は、粗大な繊維束を含んでいる場合がある。粗大な繊維束を含む木質繊維を用いて製造すると木質繊維板の表面に粗大な繊維束が現れる。粗大な繊維束を表面に含む木質繊維板は、見た目が悪いだけではなく、吸湿時に表面に微細な凹凸ができる、木質繊維板の強度が劣る等の問題が発生する可能性があると本発明者らは推定した。
特許文献3のように、新規木材からの木質繊維と、廃材からの木質繊維とを併用して木質繊維板を製造することは従来から知られているが、廃材からの木質繊維のみを単独で使用した場合には上記の課題が顕著になる可能性がある。
一方、蒸煮処理は、蒸煮釜による高温高圧処理であるため安全管理に慎重を要するという課題や、廃液処理のコストが大きいという課題があると考えられる。特に特許文献1、2に記載のように酸又はアルカリを含む水を用いて蒸煮処理をする場合、廃液はそのままでは環境中に排出できないため中和処理などの処理を行う必要があり、廃液処理の手間が大きいと考えられる。
そこで本発明は、木質チップを解繊処理して木質繊維を製造する方法において、使用する木質チップでの繊維の状態にかかわらず、粗大な繊維束の量が低減された木質繊維を製造するための、簡便な手段を提供することを課題とする。
本発明の一実施形態は、
木質繊維の製造方法であって、
木質チップを圧縮押出機により圧縮押出処理して破砕し、木質チップ破砕物を得る前処理工程と、
木質チップ破砕物を解繊して木質繊維を得る解繊工程と
を含む方法に関する。
本発明のこの実施形態によれば、使用する木質チップでの繊維の状態にかかわらず、粗大な繊維束の量が低減された木質繊維を製造することができる。本発明のこの実施形態での前処理は、安全性が高く、多量の廃液を生じない簡便な処理である。
本発明のこの実施形態では、原料となる木質チップとして、廃材に由来する木質チップを含む木質チップを使用することが可能である。
前記前処理工程では、より好ましくは、木質チップと、水及びパラフィンのうち1以上とを混合した混合原料を、圧縮押出機により圧縮押出処理して破砕する。
本発明の他の一実施形態は、
前記方法により木質繊維を製造する木質繊維製造工程と、
前記木質繊維を含む木質材料を接着剤の存在下で熱圧成形する熱圧成形工程と
を含む、木質繊維板の製造方法に関する。
この方法により得られた木質繊維板は、素板の表面に現れる粗大な繊維束が少ないため、見た目が良好であるとともに、吸湿時に表面に微細な凹凸が生じ難く、加工性が良く、曲げ強度が高いという点で好ましい。
本発明の一実施形態によれば、使用する木質チップでの繊維の状態にかかわらず、粗大な繊維束の量が低減された木質繊維を製造することができる。
本発明の一実施形態における圧縮押出機による前処理は、安全性が高く、多量の廃液を生じない簡便な処理である。
図1は、本発明で用いる圧縮押出機1の模式図である。 図2上段は、比較例1の原料チップA、図2下段は、原料チップAを圧縮押出処理して得られた実施例1のチップ破砕物である。圧縮押出処理により粗大な木片が減少することが分かる。 図3は、比較例1のリファイナ処理後の木質繊維、及び、実施例1のリファイナ処理後の木質繊維の、それぞれの1mmオンの画分を比較した写真を示す。 図4左列は、比較例1、実施例1、実施例4でのリファイナ処理後の木質繊維の1mmオンの画分の写真を示す。図4右列は、比較例1、実施例1、実施例4で得られたパーティクルボードの素板の表面の写真を示す。
以下、本発明を具体化した実施の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
<1.木質チップ>
本発明で前処理の原料として用いる木質チップは、木材をハッカー、クラッシャー、ハンマーミル等の破砕機械を用いて小片化したものである。木質チップの寸法は特に限定されないが、典型的には個々の小片の最大幅が10mm〜30mm、最小幅が2mm〜10mmのものが大部分(例えば90重量%以上)を占める木質チップである。
木質チップは、廃材に由来する木質チップ(以下「廃材木質チップ」という場合がある)であってもよいし、新規木材に由来する木質チップ(すなわちバージンチップ)であってもよいし、廃材木質チップとバージンチップとの混合物であってもよい。好ましくは、廃材再利用の観点から、木質チップは、廃材木質チップを含む。
廃材木質チップとしては、解体材(シュレッダー、ピン)、燃料向けチップ、竹、バーク、木質繊維板(パーティクルボード、MDF等)の等の廃材を小片化したものが例示できる。廃材木質チップは、木質繊維板の廃材のように接着剤を含むものであってもよいし、含まないものであってもよい。後述する前処理工程では木質チップが十分に破砕されるため、木質チップが接着剤を含む場合であっても支障は少ない。
<2.木質繊維の製造方法>
本発明の木質繊維の製造方法は、
木質チップを圧縮押出機により圧縮押出処理して破砕し、木質チップ破砕物を得る前処理工程と、
木質チップ破砕物を解繊して木質繊維を得る解繊工程と
を含む。
そこで各工程の好適な実施形態について以下に詳述する。
<2.1.前処理工程>
前処理工程で用いる圧縮押出機の概略を図1に示す。圧縮押出機1は一般的に植繊機等と呼ばれることもある。
図1に示す圧縮押出機1は、軸21を中心に回転可能なスクリュー20と、スクリュー20と同軸的に配置されスクリュー20の外側を覆う筒体10と、筒体10の、スクリュー20の回転により内容物が圧縮押出しされる向きの端部に設けられた、複数の排出口31が形成された面板30と、筒体10の側面に開口された投入口51の周縁に立設された投入口部50と、原動機60と、減速機70と、カップリング80とを備える。
圧縮押出機1では、スクリュー20は、原動機60の回転が伝達されて、筒体10内の内容物を面板30に押し出す方向に回転する。投入口部50に投入された木質チップは筒体10内に入ると、面板30に押し付けられ圧縮される。スクリュー20の羽22は軸21の周りに螺旋状に形成されている。図示する実施形態では、羽22は、面板30に近づくほど軸21方向の距離が狭く、木質チップが圧縮され易いように形成されているが、この実施形態には限定されない。圧縮押出機1の図示する実施形態では、スクリュー20を1つ備える一軸式であるが、これには限定されずスクリュー20を複数備える多軸式、例えば二軸式であってもよい。
圧縮押出機1では筒体10内の木質チップはスクリュー20の回転による圧縮のエネルギーにより加熱される。加熱の程度としては特に限定されないが、典型的には、木質チップが筒体10内部では面板30の近傍で約110〜130℃の温度となり、排出口31から排出された木質チップ破砕物は約80〜100℃の温度となるように圧縮押出を行う。
原料として用いる木質チップは特段の水分添加を行わなくとも内部に水を保持しており、ドライベース含水率は5重量%以上であることが通常である。圧縮押出処理の好ましい実施形態では、筒体10内で圧縮された木質チップの粒内でこの水が水蒸気を形成し、面板30の排出口31から、開放された大気中に木質チップが排出される際に、爆砕により木質チップが破砕される。また圧縮押出処理の際に加熱された水が木質繊維内に浸透するため、ダイジェスタを用いた蒸煮処理による繊維の軟化と同様に木質繊維の軟化も生じると考えられる。
本発明の一実施形態では、前処理工程において圧縮押出機1に投入する原料として、木質チップと、水及びパラフィンのうち1以上とを混合した混合原料を用いる。
木質チップと水との混合原料を用いることにより、上記の爆砕の作用及び水の浸透による軟化の作用がより生じ易い。水の混合量は、前記混合原料において、木質の絶乾重量を基準とする水の割合を指すドライベース含水率が例えば5重量%以上、好ましくは30重量%以上、より好ましくは50重量%以上となる量とすることができる。ドライベース含水率の上限は特に限定されないが例えば150重量%以下とすることができる。
木質チップとパラフィンとの混合原料を用いることにより、圧縮押出機1内での木質チップの流動性を高めることができるため、圧縮押出機1の作動時の負荷の変動を低減し、極限まで効率を高めることができる。パラフィンの混合量は前記混合原料において、木質の絶乾重量を基準とするパラフィンの割合が例えば0.1重量%以上、好ましくは0.5重量%以上、より好ましくは1重量%以上となる量とすることができる。パラフィンの混合量の上限は特に限定されないが例えば3重量%以下とすることができる。パラフィンの種類は特に限定されないが、例えばパラフィンワックス、脂肪酸類が例示できる。
圧縮押出機1を用いた圧縮押出処理では、スクリュー20と面板30の仕事による木質チップの機械的な破砕と、木質チップ自体が保持する水及び/又は混合した水が加熱されて生じる水蒸気圧による爆砕による破砕とにより、木質チップが破砕され、木質チップ破砕物が形成される。
圧縮押出処理で得られた木質チップ破砕物の粒度分布は特に限定されないが、目開1mmの篩で分級したときに、1mmオンが好ましくは85重量%以下、より好ましくは80重量%以下となるように圧縮押出処理を行うことが好ましく、目開0.25mmの篩で分級した時に、0.25mmパスが好ましくは3重量%以上、より好ましくは5重量%以上となるように圧縮押出処理を行うことが好ましい。
好ましい実施形態では、圧縮押出機1の排出口31から排出された木質チップ破砕物は、開放された大気中で冷却してから次の解繊工程に供する。このとき、木質チップ破砕物は排出直後に高温、例えば約80〜100℃、であるため、冷却中に木質チップ破砕物の自己保持熱により余剰な水が蒸発することができる。このため、前処理工程の後は特段の乾燥処理を行う必要がないため好ましい。また、余剰な水は廃液として排出されないため、廃液処理の必要性がない。
また、圧縮押出機1は、ダイジェスタと呼ばれる大型の蒸煮釜と比べて小型であり、かつ、高温高圧となる部分が小さいため、本発明の前処理工程は省スペースで行うことができ且つ安全性が高く好ましい。
<2.2.解繊工程>
上記の前処理工程で得られた木質チップ破砕物を解繊して木質繊維を得る工程が解繊工程である。
解繊はリファイナと呼ばれる解繊機により行うことができる。リファイナとしてはシングルディスクリファイナ、ダブルディスクリファイナ等が例示できる。
解繊工程での解繊の程度は特に限定されないが、典型的には、見かけ比重40〜200kg/m、繊維長0.1〜40mmとなるように解繊することができる。
上述の圧縮押出処理による前処理を行った後に解繊処理をすることにより、粗大な繊維束が少ない木質繊維を得ることが可能である。解繊処理で得られた木質繊維の粒度分布は特に限定されないが、目開1mmの篩で分級したときに、1mmオンが好ましくは25重量%以下、より好ましくは20重量%以下、より好ましくは15重量%以下となるように圧縮押出処理及び解繊処理を行うことが好ましく、目開0.25mmの篩で分級した時に、0.25mmパスが好ましくは20重量%以上、より好ましくは25重量%以上、より好ましくは30重量%以上となるように圧縮押出処理及び解繊処理を行うことが好ましい。
解繊処理で得られた木質繊維に対して、必要に応じて、乾燥処理を行ってもよい。乾燥処理の手段は特に限定されず、ジェットドライヤ等の通常の乾燥手段を用いることができる。
<3.木質繊維板の製造>
本発明の木質繊維板の製造方法は、
上記で詳述した方法により木質繊維を製造する木質繊維製造工程と、
前記木質繊維を含む木質材料を接着剤の存在下で熱圧成形する熱圧成形工程と
を含む。
ここで木質繊維板とは、木質繊維を含み、必要に応じて木質チップ等を更に含む木質材料を成形加工して得られる板状の成形体である。木質繊維板としてはパーティクルボード、MDF等が例示できる。
熱圧成形工程では、本発明の前記方法で得られた木質繊維を含み、必要に応じて木質チップ等を更に含む木質材料を、接着剤の存在下で熱圧成形する。
製造される木質繊維板は多層構造のものであってもよい。例えば、本発明の前記方法で得られた木質繊維を主成分とする層と、他の方法で得られた木質材料(例えば木質チップ)を主成分とする層とがそれぞれ1層以上積層されたものであってもよい。
本発明の前記方法で得られた木質繊維は、好ましくは、木質繊維板の表層部分に現れるように熱圧成形工程を行うことが好ましい。
本発明の前記方法で得られた木質繊維はそのまま用いてもよいし、必要に応じて寸法別に分画したものを使用してもよい。
本発明により得られた木質繊維板は、素板の表面に現れる粗大な繊維束が少ないため見た目が良好であるとともに、強度(特に曲げ強度)が高いため好ましい。更に、前記木質繊維板の素板の表面に化粧層を積層した場合に、吸湿時に化粧層の表面に微細な凹凸のムラが生じ難い。更にまた、前記木質繊維板の素板の表面に化粧層を積層した板をのこぎり等で切断する場合に、切り口近傍で、化粧層の直下の粗大な繊維束やチップが剥がれることにより生じる化粧層の欠けが生じ難い。
以下、本発明の具体的な実施形態について実験結果を参照して説明するが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
<原料チップ>
原料チップとして以下のものを用いた。
原料チップA:木質の解体材を破砕機械により破砕したチップ。寸法:長辺が100mm以下。
原料チップB:MDFを破砕機械により破砕したチップ。寸法:長辺が100mm以下。
原料チップC:パーティクルボードを破砕機械により破砕したチップ。寸法:長辺が100mm以下。
<条件まとめ>
後述する比較例1、実施例1〜5の条件は以下の通りである。
Figure 0006723054
<比較例1>
原料チップAに対し前処理を行わずにリファイナによる解繊処理を施し、乾燥処理して比較例1の木質繊維を得た。
リファイナによる処理は具体的には次の手順で行った。投入する原料チップに加工を加えず、水及び蒸気を添加し、スクリュー装置で強制的に前方のダイスに送り込み圧縮力を加える。案内羽根で外周側へ原料を押し出しながら、臼状の刃物で解繊する。
比較例1の木質繊維を用いてパーティクルボードを製造した。パーティクルボードの製造は具体的には次の手順で行った。得られた繊維をパーティクルボード表層部に混合し、乾燥を行う。粒度調整し、接着剤と混合して熱圧成型する。
<実施例1>
図1に概略を示す圧縮押出機1を用いて、原料チップAを圧縮押出処理して破砕した。この処理で投入された原料チップAは筒体10内でスクリュー20により面板30に向けて圧縮される。圧縮のエネルギーにより原料チップAは面板30の近傍で約110〜130℃の温度に加熱される。実施例1では原料チップAに水分の添加は行わなかったが、原料チップA自体が保持する水分がありドライベース含水率は30重量%であった。筒体10内で圧縮された原料チップAの粒内ではこの水が水蒸気を形成し、面板30に形成された微細な排出口31から開放された大気中に原料チップAが排出される際に、爆砕により原料チップAが破砕されるように圧縮押出処理を行った。
圧縮押出機1の排出口31から排出された実施例1のチップ破砕物は、排出直後は約80〜100℃の温度であり、開放された大気中で静置して冷却した。
冷却後に前記チップ破砕物に対しリファイナによる解繊処理を施し、乾燥処理して実施例1の木質繊維を得た。解繊処理の手順は、原料チップAに代えて前記チップ破砕物を用いた以外は比較例1について記載の通りである。
実施例1の木質繊維を用いてパーティクルボードを製造した。パーティクルボードの製造手順は比較例1について記載の通りである。
<実施例2>
図1に概略を示す圧縮押出機1を用いて、原料チップAを圧縮押出処理して破砕した。
このとき原料チップAに加えて水を、添加した水と内部保持水とを合計したドライベース含水率が30〜150重量%となるように、投入口部50から筒体10内に投入し、混合物を圧縮押出処理した。このとき、実施例1と同様に、筒体10内において混合物の温度が面板30の近傍で約110〜130℃となり、排出口31から排出されたチップ破砕物の排出時の温度が80〜100℃となるように圧縮押出処理を行った。
圧縮押出機1の排出口31から排出された実施例2のチップ破砕物は、排出直後は約80〜100℃の温度であり、開放された大気中で静置して冷却した。冷却中、実施例2のチップ破砕物の自己保持熱により余剰な水は蒸発した。
冷却後に前記チップ破砕物に対しリファイナによる解繊処理を施し、乾燥処理して実施例2の木質繊維を得た。解繊処理の手順は、原料チップAに代えて前記チップ破砕物を用いた以外は比較例1について記載の通りである。
実施例2の木質繊維を用いてパーティクルボードを製造した。パーティクルボードの製造手順は比較例1について記載の通りである。
<実施例3>
図1に概略を示す圧縮押出機1を用いて、原料チップAを圧縮押出処理して破砕した。
このとき原料チップAに加えて水とパラフィンを、添加した水と内部保持水とを合計したドライベース含水率が30〜150重量%、パラフィンを木質絶乾重量に対して0.5〜1重量%となるように、投入口部50から筒体10内に投入し、混合物を圧縮押出処理した。このとき、実施例1と同様に、筒体10内において混合物の温度が面板30の近傍で約110〜130℃となり、チップ破砕物の排出口31からの排出時の温度が80〜100℃となるように圧縮押出処理を行った。
圧縮押出機1の排出口31から排出された実施例3のチップ破砕物は、排出直後は約80〜100℃の温度であり、開放された大気中で静置して冷却した。冷却中、実施例3のチップ破砕物の自己保持熱により余剰な水は蒸発した。
冷却後に前記チップ破砕物に対しリファイナによる解繊処理を施し、乾燥処理して実施例3の木質繊維を得た。解繊処理の手順は、原料チップAに代えて前記チップ破砕物を用いた以外は比較例1について記載の通りである。
実施例3の木質繊維を用いてパーティクルボードを製造した。パーティクルボードの製造手順は比較例1について記載の通りである。
<実施例4>
図1に概略を示す圧縮押出機1を用いて、原料チップBを圧縮押出処理して破砕した。この処理で投入された原料チップBは筒体10内でスクリュー20により面板30に向けて圧縮される。実施例4では原料チップBに水分の添加を行った。原料チップBのドライベース含水率は水添加前は5〜12重量%であり、これに水を添加して30〜150重量%に調整した。実施例1と同様に、筒体10内において混合物の温度が面板30の近傍で約110〜130℃となり、チップ破砕物の排出口31からの排出時の温度が80〜100℃となるように圧縮押出処理を行った。
圧縮押出機1の排出口31から排出された実施例4のチップ破砕物は、排出直後は約80〜100℃の温度であり、開放された大気中で静置して冷却した。
冷却後に前記チップ破砕物に対しリファイナによる解繊処理を施し、乾燥処理して実施例4の木質繊維を得た。解繊処理の手順は、原料チップAに代えて前記チップ破砕物を用いた以外は比較例1について記載の通りである。
実施例4の木質繊維を用いてパーティクルボードを製造した。パーティクルボードの製造手順は比較例1について記載の通りである。
<実施例5>
図1に概略を示す圧縮押出機1を用いて、原料チップCを圧縮押出処理して破砕した。この処理で投入された原料チップCは筒体10内でスクリュー20により面板30に向けて圧縮される。実施例5では原料チップCに水分の添加を行った。原料チップCのドライベース含水率は水添加前は5〜12重量%であり、これに水を添加して30〜150重量%に調整した。実施例1と同様に、筒体10内において混合物の温度が面板30の近傍で約110〜130℃となり、チップ破砕物の排出口31からの排出時の温度が80〜100℃となるように圧縮押出処理を行った。
圧縮押出機1の排出口31から排出された実施例5のチップ破砕物は、排出直後は約80〜100℃の温度であり、開放された大気中で静置して冷却した。
冷却後に前記チップ破砕物に対しリファイナによる解繊処理を施し、乾燥処理して実施例5の木質繊維を得た。解繊処理の手順は、原料チップAに代えて前記チップ破砕物を用いた以外は比較例1について記載の通りである。
実施例5の木質繊維を用いてパーティクルボードを製造した。パーティクルボードの製造手順は比較例1について記載の通りである。
<粒度分布の比較>
前処理後リファイナ処理前のチップ破砕物の粒度を篩による分級により評価した。比較例1については前処理を行っていない原料チップAの粒度を評価した。
目開1mmの篩と目開0.25mmの篩を用意し、1mmオン、1mmパス0.25mmオン、0.25mmパスの割合を粒度分布として求めた。
同様の方法で、リファイナ処理後の木質繊維の粒度を篩による分級により評価した。
結果を次表に示す。
Figure 0006723054
比較例1でリファイナ処理に用いる前の原料チップAと、実施例1での前処理後リファイナ処理前のチップ破砕物のそれぞれの1mmオンの画分の写真を図2に示す。図2において上段が比較例1の原料チップA、下段が実施例1のチップ破砕物である。原料チップAよりも実施例1のチップ破砕物のほうが粗大な木片が減少していることが分かる。
比較例1のリファイナ処理後の木質繊維、及び、実施例1のリファイナ処理後の木質繊維の、それぞれの1mmオンの画分を比較した写真を図3に示す。比較例1の木質繊維よりも、実施例1の木質繊維のほうが細かく解繊されており粗大な繊維束が少ないことが分かる。
<パーティクルボードの表面の外観の比較>
図4の左列には、比較例1、実施例1、実施例4でのリファイナ処理後の木質繊維の1mmオンの画分の写真を示す。
図4の右列には、比較例1、実施例1、実施例4で得られたパーティクルボードの素板の表面の写真を示す。
原料チップA(解体材)を前処理せずにリファイナで解繊して得られた木質繊維を用いた比較例1では、パーティクルボードの表面に現れる1mm以上の木片(繊維束、大チップ)が多い。一方、原料チップA(解体材)又は原料チップB(MDF)を前処理により破砕した後に解繊して得られた木質繊維を用いた実施例1及び4ではパーティクルボードの表面に現れる1mm以上の木片が少ない。実施例4ではパーティクルボードは少量の繊維束が表面に現れたが許容できる範囲(粗大な繊維束の割合が10%以下)であった。
<パーティクルボードの物性の比較>
比較例1、実施例1、実施例4、実施例5で得られたパーティクルボードの密度、剥離強度、曲げ強度を測定した。
剥離強度の測定は、JISA5908に従い行った。
曲げ強度の測定は、JISA5908に従い行った。
測定結果を次表に示す。
Figure 0006723054
前処理(圧縮押出処理)を行った実施例1、4、5で得られた木質繊維を用いたパーティクルボードは曲げ強度が比較例1で得られた木質繊維を用いたものよりも1.5倍程度高い。この理由は、前者においてはより微細で均質な木質繊維が表面を形成しているためであると推定される。
<パーティクルボードの吸湿性の比較>
吸湿性試験は、パーティクルボードの表面に平滑な化粧板を積層したものを用いて行った。この板を湿潤条件に一定時間置き、前記化粧版の本来は平滑な表面の凹凸を確認し、凹凸が大きいものを吸湿性が劣る、凹凸が小さいものを吸湿性に優れると判断した。
その結果、実施例1、4、5はずれも吸湿性が優れており、比較例1では吸湿性が劣っていた。
<パーティクルボードの加工性の比較>
パーティクルボードの加工性の評価試験は、パーティクルボードの表面に平滑な化粧板を積層したものを用いて行った。この板をパネルソー(電動式鋸刃)で切断したときに、前記化粧版の切断により形成された端部を観察した。前記端部に欠けが見られず平坦である場合に加工性が優れると評価し、前記端部に欠けが見られる場合に加工性が劣ると評価した。前記端部の欠け(トビ)は粗大な繊維束・木片や灰分(砂、サンディンブペーパーの石)がパーティクルボード表層に混入した場合に生じる。
その結果、実施例1,4,5はいずれも加工性が比較例1よりも良好であった。特に実施例4は、実施例1、5よりも加工性が優れていた。

Claims (4)

  1. 木質繊維の製造方法であって、
    木質チップを圧縮押出機により圧縮押出処理して破砕し、圧縮押出機から排出直後の温度が80〜100℃となるように排出して木質チップ破砕物を得る前処理工程と、
    排出された木質チップ破砕物を開放された大気中で冷却する工程と、
    冷却された木質チップ破砕物を解繊して木質繊維を得る解繊工程と
    を含み、
    圧縮押出処理に供される木質チップの、絶乾重量を基準とする水の割合であるドライベース含水率が、5重量%以上150重量%以下である、
    方法。
  2. 木質チップが、廃材に由来する木質チップを含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前処理工程において、木質チップと、水及びパラフィンのうち1以上とを混合した混合原料を、圧縮押出機により圧縮押出処理して破砕する、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法で木質繊維を製造する木質繊維製造工程と、
    前記木質繊維を含む木質材料を接着剤の存在下で熱圧成形する熱圧成形工程と
    を含む、木質繊維板の製造方法。
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