JP6722691B2 - コーティングシステムにおけるワークピースの装填装置及び方法 - Google Patents

Description

本発明は、コーティングシステムにおけるワークピースの装填（ローディング）に関し、特にこのための装填装置、そのような装置を備えたコーティングシステム、及びワークピースを装填する方法に関する。

種々のタイプのコーティングシステムが、ワークピース、特に工具に対して、表面コーティング（被覆）を施すために知られている。例えば、コーティング（被覆）材料は、物理的な蒸着（ＰＶＤ）システム又は化学的な蒸着（ＣＶＤ）システムにおいて、ワークピース上に付着させられる。

コーティングシステムの内側において、すなわち、真空コーティングシステムにおいて、例えば、ワークピースは、コーティング処理に曝されるために配列されて位置決めされる。装填装置の機能は、ワークピースを正確に保持し、位置決めすることであり、又、ワークピースが最も有利な方法で、特にできるだけ均一にコーティングが施されるようにコーティング処理に曝されるために、一般にコーティングチャンバー内においてワークピースを移動させることである。

ワークピースを配列するためのターンテーブルが知られており、特に、その上の回転軌道において、ワープピースの取付け台を備えた回転プレートが、位置付けられている。

工業用のコーティングにおいては、複数のワークピースが、全てにおいて装填され、すなわち、装填装置上に配列され、そして、コーティング処理が施される。コーティング（被覆）された工具は、その後取り除かれる。したがって、特に容易な方法によりワークピースの取付け及び取り外しを行うことができる簡単な取扱いが有利である。しかしながら、同時に、ワークピースは、コーティングの際にできるだけ規定された位置に保持されるべきである。基材（substrate）の範囲でバイアスをかけることがコーティング処理で用いられ、又、電気的な接触がワークピースのために要求される。

コーティングが有利な、特に摩耗を防ぐ層を備えた工具の一つのタイプは、円柱状のワークピースであり、又、少なくとも円柱状のシャフトを有する円柱状のワークピース、特にドリルビット（drill bits）、フライス（milling cutters）等の回転工具のような工具である。

ＵＳ２００８／０３０５２６７Ａ１では、複数の基材をコーティングするための装置及び方法が開示されている。回転自在なサポートが、スパッタターゲットと共に真空チャンバー内に配置される。複数のパレットが、真空チャンバーの内側のサポート上に配置される。その各々は、軸線上において上方に配列された複数のディスクを有する。各々のディスクは、円柱状の境界を備える周縁部に沿って複数のボアホールを有する。円柱状の壁をもつ複数のスピンドルが、ボアホール内に支えられるように形成されており、スピンドルの壁は、ぎざぎざが付けられ得る。コーティング処理の間、ディスク及びサポートは、それらの各々の軸線回りに回転させられ、ボアホール内のスピンドルは、二つの求心力にさらされて、ホール内でスピンドルはころがりを生じる。

ＤＥ３９３３９１１Ａ１では、真空下で幾何学的に複雑な基材本体のコーティングに使用する基材ホルダが開示されており、ここでは、基材は回転が施される。遊星システム（epicyclic system）の軌道旋回要素は、二つの平行なシャフトを有し、それには同心リングが設けられ、それらは、同一ピッチの複数のボアホールを有する。螺旋ドリルビットのようなコーティングされるべき基材を備えた基材ホルダは、ボアホール内にセットされる。シャフトが回転すると、ボアホールをもつリングが移動し、基材ホルダは、ボアホルダの壁に支持され、基材ホルダはボアホールの壁上で回転動作を行い、それ故に回転する。

ＤＥ６９７０９３０６Ｔ２では、複数のワークピースを同時にコーティングするためのモジュール式のサポートが開示されている。互いに離隔した二つのサポートが、中央シャフトに溶着されており、そこでは中空円筒状の要素により形成された複数のブッシングを備えている。シャフト部分を備えたスピンドルアセンブリが、ブッシングに収容されており、スコップやブレードのようなコーティングされるべき複数のワークピースを収容するためのキャップ形状の要素を備えた保持装置を有する。ホルダは、コーティング処理の際に駆動システムによりその長手軸線上で回転させられ、それにより、各々のワークピースが、その重力及びブッシングとスピンドルアセンブリの間の摩擦により回転するようになっている。

ＤＥ２０２００４００９２５６Ｕ１では、例えばコーティングのような特に表面処理の際に、ワークピースを保持するワークピースの支持装置が開示されている。このワークピースの支持装置は、遊星軸（epicyclic axis）回りに回転させられ得る軌道回転要素を備えた基材テーブルを含む。軌道回転要素は、ボアホールを有し、その中にスリーブ形状の衛星要素が回転自在に取り付けられている。

ＤＥ１０２０１３００７４５２Ａ１では、真空コーティングシステムにおけるドリルビットのホルダが開示されている。これらは、ドリルビットのクランプスロットに係合するピンにより受入れスリーブ上に固定されている。

ＵＳ２００８／０３０５２６７Ａ１ ＤＥ３９３３９１１Ａ１ ＤＥ６９７０９３０６Ｔ２ ＤＥ２０２００４００９２５６Ｕ１ ＤＥ１０２０１３００７４５２Ａ１

本発明の目的は、コーティングシステムにおいて、異なるワークピースに対して柔軟な装填を特に容易に行うことができる、ワークピースを装填するための装填装置（ローディング装置）、その装填装置及び方法を備えたコーティングシステムを提供することである。

この目的は、請求項１に係る装填装置、請求項１３に係るコーティングシステム、請求項１５に係る方法により、解決される。従属請求項は、本発明の有利な実施形態に関係するものである。

本発明に係る装填装置は、少なくとも一つの直立に配置されたスタンドを含む。このスタンドは、外側表面、すなわち、外側に向けて面するフロント（正面）を有する。外側表面は、チャンバー壁の方向に、好ましくはマグネトロンカソードのようなコーティング材料の供給源に方向付けられ得る。

互いに上方に配列された複数の開口部が、好ましくは、スタンドの直立位置に対応する少なくとも本質的に鉛直方向（すなわち、例えば±１５°）に方向付けられた外側表面に設けられている。複数の挿入スリーブが、開口部に収容されるために提供される。この複数の挿入スリーブは、それぞれ、シャフト、保持構造、及びワークピースを収容するためのボアホールを有する。
ここで、ボアホールは、好ましくは、円柱状のワークピース又はワークピースの円柱状シャフトをそれぞれ挿入するために使用される。ボアホールは、円形である必要はないが、円形が好ましい。さらに、ボアホールは、好ましくは円筒形状である。
ワークピースのシャフトは、特に、ボアホールに適合するがアンダーカット無しで収容されるのが望ましく、それにより、簡単に挿入することができ、又、同様に再び取り外すことができる。

スタンドは、直立に、すなわち、完全に鉛直に又は鉛直に対して僅かに傾斜して位置付けられており、コーティング処理の際に移動させられるように回転プレートのような回転装置の上に配置されることができる。ここで、回転軸線は、好ましくは、鉛直に配置され、又、それ故に、少なくとも本質的にホルダ及びその外側表面と平行である。

挿入スリーブのシャフトは、それぞれの開口部を通してスタンド内に伸長するように指向される。このため、関係する開口部は、その寸法及び大きさが、挿入スリーブのシャフトが挿通でき又挿入スリーブの保持構造が開口部で保持されて係合することができるように、挿入されるべき挿入スリーブの寸法に、適合される。

挿入スリーブの保持構造及び関係する開口部は、シャフトが挿入された後、開口部とそれに挿入された挿入スリーブの間で保持係合状態が生じるような形状及び大きさに互いに構成される。

好ましくは、挿入スリーブは、コーティングシステムの運転操作のために、開口部に固定されるように同じ場所に固定されることができる。そのとき、挿入スリーブの姿勢位置は、好ましくは固定され、それ故に、ホルダに対して不動である。十分に均一なコーティングは、例えば回転プレート上でホルダを回転させることにより達成され得る。

ボアホール内にワークピースを収容することを可能にするために、本発明に従って設計される装填装置は、コーティングの際にワークピースを保持するために特に十分に適合される。ボアホールは、好ましくは、ワークピースに又はワークピースのシャフトにそれぞれ適合し得る形状及び大きさを有する。また、金属からなるスタンド及び挿入スリーブの好ましい使用では、良好な電気的接触が保証され得る。

ここで、装填装置のスタンドは、特に、簡単で、コスト上効果的な方法で、例えば板状の金属部分として、すなわち、所望の形状に折り曲げられる平たい材料で組み立てられることができ、又、例えば、開口部が、ダイカッティング（型打ち抜き）あるいはレーザーカッティング（レーザー切断）により形成される。開口部は、板状の金属材料に形成されることができ、それにより、挿入スリーブの保持構造が、開口部のエッジ又は境界部と係合することができる。

少なくとも複数の開口部が、好ましくは全ての開口部が、同一の形状及び大きさをもつことができる。他方において、種々のタイプの挿入スリーブが、好ましくは、同じ外部形状を備えるがワークピースの要求に対してそれぞれの場合に適合される異なるボアホールを備えて、使用され得る。したがって、挿入スリーブは、スタンド上において種々のワークピースを収容する一種のアダプターを形成する。これにより、特に柔軟な方法で備え付けが可能になり、異なるバッチのための装填装置の迅速な適合が容易になる。

異なる直径（内径）のボアホールを備えた挿入スリーブが準備され得る。ここでは、ボアホールは、好ましくは、全て貫通ではなく有限のドリル深さを有する。種々のドリル深さを備えた異なる挿入スリーブは、ワークピースの長さに応じて使用され得る。

挿入スリーブは、特に簡単な方法で又コスト的に有効な方法でも作製され得る。少なくとも挿入スリーブのシャフトの円柱形状が好まれる。現在、円柱形状は、一定の断面をなす長尺な形状として、それには、例えば、多角形状の挿入スリーブが含まれるものとして一般的に理解されるが、円柱形状の挿入スリーブが好ましい。
何故ならば、この形状は、単純、コスト的に有効な製造、容易な取扱いのために特に適している。一般的には、少なくとも本質的に回転対称な形状が、挿入スリーブのために好ましく、それは、回転する部分として、その製造が特に簡単にかつコスト的に有効になる。

したがって、装填装置の部品を簡単にかつコスト的に有効に製造することが可能になる。特に、板状金属部分としてのスタンドと回転部分としての挿入スリーブの好ましい組合せにより、簡単で、コスト的に有効な製造が可能になる。

本発明のさらなる実施形態によれば、挿入スリーブの保持構造は、開口部を貫通して全てを挿入できない止め部を含むように設計される。保持構造は、好ましくは、いずれの場合にもスリーブの端部に位置付けられ得る。この止め部は、特に、開口部を通過しないより大きな直径のフランジである。保持構造は、開口部のエッジと係合するべく挿入スリーブの周囲において、例えば、少なくとも部分的な周溝、特に好ましくは全周溝のような凹部を有することがさらに好まれる。

本発明のさらなる実施形態によれば、開口部は、第１の、広がった（幅広）部分と、第２の、狭まった（幅狭）部分を有するように設計される。第１の部分は、挿入スリーブのシャフトを挿入するために使用されることができ、一方、そのとき、挿入スリーブの保持構造が、第２の部分のエッジと係合する。第１の広がった部分は、好ましくは第２の狭まった部分の上方に位置付けられて、挿入スリーブは、その重力により、第２の狭まった部分の方向に作用する（力を及ぼす）。二つの部分は、例えば、異なる直径をなす円形のボアホールとして設計される。

本発明のさらなる実施形態は、挿入スリーブがスタンドに対してある作業角度（working angle）で傾かせられるように開口部及び保持構造が設計されることを想定している。このことは、挿入スリーブがまず第１に少なくともホルダに対するそれらの角度での係合位置に固定されないことを意味することが理解される。
ここで、作業角度は、例えば、挿入スリーブの長手中心線と開口部に垂直な方向との間において形成され得る。好ましくは、開口部及び保持構造は、挿入スリーブがスタンドの外側表面に垂直な挿入位置において開口部を通してガイドされ得ると共に、挿入された状態の挿入スリーブが好ましくは水平挿入位置に対して作業角度だけ傾かせられ得るように、設計される。

好ましくは、挿入スリーブ及び開口部を備えたホルダが配置されることで、挿入スリーブは、ボアホールが少なくとも僅かに上向きに斜めに傾いて向くようにして、ホルダにおいてその係合位置に収容される。ワークピースの収容及び良好な保持は、ボアホールへの簡単な挿入により可能であり、一方、傾斜した配置のため、その重力により、ワークピースがボアホールから抜け落ち得ないことが保証される。

その配置は、ホルダが本質的に少なくとも鉛直に配置され、それと係合する挿入スリーブが、水平に対して３〜６０度の角度、例えば、好ましくは４５度より小さく、又、特に好ましくは水平に対して５〜３０度を形成するようなものが好ましい。
挿入スリーブのこの位置は、ボアホールが斜め上向きに向いた状態で、保持構造と開口部との係合により所望の位置に保持されるまで、その重量及び大きさ（寸法）のために挿入スリーブを斜め下向きに傾かせるそのシャフトによりセットされ得る。
好ましくは、挿入スリーブは、適切な位置にセットされた後、例えば、ロック片により、特に櫛状構造を用いて、ホルダ上にロックされ得る。

本発明のさらなる実施形態によれば、スタンドに形成される複数の開口部は、少なくとも部分的に互い違い（千鳥配列状、staggered）に及び／又は互いに斜めに（skewed）配列される。特に、互いに直上に位置している開口部は、いずれの場合も互いにオフセット（offset）又はねじれ（twist）をもつことができる。
これにより、開口部に挿入された複数の挿入スリーブは、平行に配列されず、むしろ互いに向きを逸らして配置される結果となる。このような配置は、均一なコーティングにとって有利に成り得る。
相応じて、スタンドにおいて互いに上方に並ぶ開口部の配置は、それらに収容される挿入スリーブとの実際の係合で、挿入スリーブがスタンドに対して少なくとも二つの異なる角度で配置されるように形成されるのが好ましい。

そのような互い違いの配列は、例えば、相応してホルダの湾曲形状により達成され得る一方で、開口部が互いに向きが斜めに逸れるように配列されるのが好ましい。この場合、開口部は円形形状ではなく、むしろ例えば、上述したように、第１の広がった部分と第２の狭まった部分を有する。例えば、互いに上方に配列された複数の開口部は、互いに特定量だけ、例えば５〜４５度向きを逸らされることができ、それにより、その中のある角度で収容された挿入スリーブは、相応して、ホルダに対して異なる角度を形成することができる。

好ましくは、多数のスタンドが互いに隣り合って（隣接して）配置される。種々のスタンドが互いに軌道に沿って回転可能であり得る一方で、本発明の配置は、特に外部装填（external loading）のため適合され、ここでは、複数のホルダは、挿入スリーブに収容されたワークピースが全ての場合にホルダから外側向きに延出する状態で、その周囲を取り巻いて直立して互いに隣接して配置される。

また、本発明は、上述の装填装置を備えたコーティングシステムに言及する。コーティングシステムは、コーティングチャンバー、すなわち、封じ込められた空間を含み、その中でコーティングが適用され得る。ホルダは、コーティングチャンバーの内側に配置される。コーティングは、コーティングエージェントと共に装填装置内に保持されたワークピースに適用される。コーティングチャンバーは、特に、真空チャンバーとして設計されるのが好ましく、又、コーティングエージェントは、プラズマを生成するために機能し、それから生じる成分がコーティング（被覆剤）としてワークピース上に付着させられる。

コーティングシステムにおけるワークピースの装填に係る本発明の方法では、ワークピースは、上述の挿入スリーブのボアホールに挿入され、挿入スリーブはスタンドの開口部に挿入される。これらのステップの順序は取るに足らないものであり、先ず挿入スリーブにワークピースを配置し、その後に開口部に挿入スリーブを挿入することができ、もちろん逆の順序を適用することもできる。

本発明の実施形態は、図面に基づいてより詳細に以下に述べられる。

図１は、装填装置を備えたコーティングシステムの斜視部分概略図である。 図２ａは、図１の装填装置の一部を示す斜視図である。 図２ｂは、図１の装填装置の一部を示す斜視図である。 図１の装填装置のための種々の挿入スリーブを示す斜視図である。 図４は、装填装置の一部を示す上部図である。 図５は、図４の一部の代表部分を示す断面図である。 図６ａは、図４及び図５の装填装置の一部の代表部分を示す種々の位置での側面図である。 図６ｂは、図４及び図５の装填装置の一部の代表部分を示す種々の位置での側面図である。 図６ｃは、図４及び図５の装填装置の一部の代表部分を示す種々の位置での側面図である。 図６ｄは、図４及び図５の装填装置の一部の代表部分を示す種々の位置での側面図である。

図１は、部分的な概略図において、コーティングシステム１０を示すものである。例えば、それは、真空チャンバー１２を備えたＰＶＤコーティングシステムであり得る。真空チャンバー内には、多数のマグネトロンカソード１４が位置付けられており（図１においては、一例として、一つだけが示されている）、それを用いて、プラズマが真空チャンバー１２内で生成されることができ、その成分がワークピース１６上に表面コーティングを形成するべく付着させられる。

ワークピース１６は、装填装置２０において、チャンバー１２の内側に配置される。これは、鉛直な回転軸線Ａ回りに回転し得る回転プレート１８上に位置付けられ、互いに隣接して配置された複数の直立する鉛直の（スタンドとしての）ホルダ２２を含む。明確性のために三つだけのホルダ２２が図１において互いに隣り合って位置付けられて示されているが、装填装置２０は、より多くのホルダ２２、例えば１８のホルダを含んでおり、それらは、回転プレート１８上において全体的に円形状に互いに隣接して配置されている。
ここで、装填装置２０は、外部装填（external loading）を提供し、ワークピース１６が全て外側に向かうホルダ２２上に動かないように配置されている。

図４に見られるように、例えば、各々のホルダ２２は、ある角度で曲げられた板状金属からなる板状金属曲げ部品である。複数の開口部２２が、各々のホルダ２２の平坦で直立する外側に向かう表面４４に、互いに上方に並ぶように切り抜かれている。

図２ａ，図２ｂに示されるように、例えば、挿入スリーブ３０は、ホルダ２２が備え付けられると、開口部２４に挿入される。挿入スリーブ３０は、全てにおいて中央にボアホール２６を有する。ワークピース１６は、ボアホール２６に挿入される。
ここで、ボアホール２６は、それぞれ有限のドリル深さを有し、それで、ワークピース１６はドリル深さまでだけ挿入されることができ、それ故に、規定された位置が想定される。

ワークピース１６は、示された実施例において、ドリルビット（drill bits）、ルータビット（router bits）のような、ピン形状の、円柱部品である。しかしながら、円柱シャフトを有する他の形状のワークピースも、ボアホール２６に挿入することができる。

図３に示されるように、種々のタイプの挿入スリーブ３０が、異なるシャフト直径をもつワークピース１６を収容するのに利用され、これらの挿入スリーブは、同一の外径を有するが異なる内径のボアホール２６を有する。
例えば、挿入スリーブ３０では、外径が１４ｍｍ、ボアホール２６の直径（内径）が６〜１２ｍｍのものが、ワークピースのシャフトを収容するために提供されることができ、ワークピースのシャフトは、全てにおいて嵌め込まれ、又、それぞれに僅かに小さい直径をなす。
ここで、ワークピース１６は、さらなるアタッチメントや緊急に要するロッキングなしで、ボアホール２６に締りなく緩く簡単に挿入される。

他の実施形態として、複数の挿入スリーブ３０には、異なる内径のボアホールを設けることができる。この場合、異なる内径のボアホールは、使用される挿入スリーブ３０のそれぞれの外径に基づいて選択されることが理解できる。
ホルダ２２の代案は、例えば、より小さい直径をなす非常に多くの開口部２４を設けることである。例えば、外径が１０ｍｍの複数の挿入スリーブ３０は、これらの挿入スリーブ３０が例えば２〜８ｍｍの内径のボアホールを有する状態で、これらの開口部２４に挿入されることができる。

一般に、ボアホールの内径は、挿入スリーブの外径に基づいて選択され得るものであり、例えば、外径の２０〜８５％の範囲である。

それらの同一の外径寸法のため、異なるボアホール内径をもつ種々の挿入スリーブ３０は、装填装置２０の同じホルダ２２上で、異なるシャフト直径をもつ異なるワークピース１６を配列するアダプターとして機能する。ワークピース１６のシャフト長さに応じて、ドリル深さを適合させることがきる。

各々の挿入スリーブ３０は、外見的に円柱状のシャフト３２、周囲溝３６及びフランジ３８を備えたヘッド３４を有する。挿入スリーブ３０は、回転対称であり、それ故に、単一部品の回転部品として作製され得る。鋼、特にステンレス鋼のような金属を用いて、挿入されたワークピースの電気的コーティングが、金属であるホルダ２２を介して行われることができる。

開口部２４の形状は、図４及び図５に示される。これらは、全てにおいて、第１の広がった（幅広）部分２８ａ及び第２の狭まった（幅狭）部分２８ｂを含む。示される実施例において、広がった部分２８ａ及び狭まった２８ｂは、それぞれ、略半円形であり、広がった部分２８ａは上方に位置付けられた大きな直径を有し、狭まった部分２８ｂは下方に位置付けられた小さな直径を有する。

開口部２４の二つの部分２８ａ，２８ｂにおける間隔（隔たり）は、ここでは、正確に垂直に伸びておらず、代わりに、全てにおいて、水平に対して約１５度だけ僅かに回転した配置となっている。ここでは、複数の開口部２４は、全てにおいて、互いに逆向きに回転した配置に位置付けられており、それにより、それらは、お互いに約３０度の回転角度をなす。以下に示されるように、これは、ホルダ２２上において、複数の挿入スリーブ３０が異なる角度で互い違い（波形）に配列されることを提供する役割を果たす。

挿入スリーブ３０は、図６ａ〜図６ｄに関して以下に述べられるように、ホルダ２２に挿入される。ここで、スリーブ３０のシャフト３２は、先ず、それぞれの開口部２４を通して水平に、したがって、ホルダ２２の直立外側表面４４に直角（図６ｂ）に、挿入される。開口部２４及び特にその広がった部分２８ａは、シャフト３２が少しの遊びをもって容易に挿通され得るように、必要な大きさに形成されている。

挿入スリーブ３０のヘッド３４は、ホルダ２２上において、挿入スリーブ３０を固定するための保持構造を形成する。ここで、フランジ３８は、その拡大した外径のため開口部２４を通り抜けて挿入できない大きさに形成され、そして、挿入の際の止め部として機能する（図６ｃ）。この位置において、周囲溝３６は、開口部２４のエッジ、特に下側部分２８ｂのエッジと係合することがきる。

ここで、挿入スリーブ３０の直径（外径）は、周囲溝３６の領域において、開口部２４の直径（内径）よりも小さく、それにより、挿入スリーブの周囲溝は遊びをもって開口部に収容される。その結果として、挿入スリーブ３０は、その方位付け、すなわち、ホルダ２２に対する作業角度（working angle）に固定されず、代わりに傾くことができる。
図６ｄに示されるように、挿入後において、挿入スリーブ３０は、水平に対して例えば約１０度だけ傾かせられており、それにより、ボアホール２６は僅かに上向きに斜めになっている。この作業角度において、ワークピース１６は、挿入スリーブ３０から抜け落ちることができない。

図２ｂに特に示されるように、複数の挿入スリーブ３０は、上述のように回転方向において互い違いの配列に位置付けられた開口部２４（図４）のため、互い違いに（千鳥配列）となる位置を受け入れる。
挿入スリーブ３０は、ホルダ２２から内側に向かって突出し、その中に収容されたワークピース１６は、水平に対して前述の小さい作業角度で、ホルダ２２の外側表面４４から外側に向けて突出する。
ここで、挿入スリーブは、全てにおいて正確に放射状に伸長しておらず、むしろ互い違い（ジグザグ配列）の方向に向いている。したがって、装填装置２０に備え付けられたワークピース１６（図２ａ）は、ホルダ２２上において互いに平行ではなく、代わりに互い違い配列をなす。

使用される挿入スリーブ３０は、ロック片（locking strip）４０により、ホルダ２２上にロックされる（図２ｂ）。ロック片４０は、平行な複数の歯４２を備えた櫛状構造を有する。
ロック片４０は、全てにおいて歯４２が挿入スリーブ３０のシャフト３上に横たわり、挿入スリーブを傾斜状態において（例えば、図６ｄを参照）ロックするように、ホルダ２２に取り付けられている。したがって、挿入スリーブ３０及びそれに挿入されたワークピース１６は、ホルダ２２に対して、静止して動けないように固定される。

したがって、図１のコーティングシステム１０は、先ず第１に、それぞれワークピース１６を嵌め込む複数の挿入スリーブ３０を組み付けることにより、種々のワークピース１６をコーティングするために使用され得る。それで、挿入スリーブ３０は、上述のようにホルダ２２の開口部２４に挿入され、ロック片４０を用いてロックされる。これで、装填装置２０が準備され、ワークピース１６を挿入することができる。代わりに、挿入スリーブ３０が、既にワークピース１６を備えた状態で使用されて、開口部２４に挿入されることもできる。

このようにして装填が行われた後、チャンバー１２は閉じられて、コーティング処理が開始され得る。その処理の間、回転プレートが回転し、外向きに装填されたワークピースは、所望のコーティング（被覆剤）が付着させられるように、全てにおいてカソード１４を素通りさせられる。コーティングが行われた後、ワークピース１６は、挿入スリーブ３０から引き出すことにより、簡単に取り外すことができる。

ワークピース１６の同一のバッチサイズ又は直径で、連続するコーティング処理を行う場合は、装填装置２０は変更することなく使用することができる。他の装填、すなわち、異なる直径をなすワークピース１６の場合は、個々の挿入スリーブ３０又はそれらの全てを、要求される大きさ（寸法）にしたがって置き換えることができる。

Claims (15)

1. 複数の開口部（２４）が上方に向けて配列された外側に向く表面（４４）を有する少なくとも一つのスタンド（２２）と、
   シャフト（３２）、保持構造（３４）及びワークピース（１６）を収容するボアホール（２６）を各々が有し、前記開口部（２４）に収容される複数の挿入スリーブ（３０）と、
   を備えた、コーティングシステムにおけるワークピース（１６）の装填装置であって、
   前記開口部（２４）及び前記挿入スリーブ（３０）の前記シャフト（３２）は、前記挿入スリーブ（３０）が前記開口部（２４）に挿入自在となるように設計され、
   前記開口部（２４）及び前記保持構造（３４）は、前記挿入スリーブ（３０）と前記開口部（２４）との間で保持係合状態を生じるように設計されている、
   ことを特徴とする装填装置。
2. 前記保持構造（３４）は、前記開口部（２４）を挿通不可能に設計された止め部（３８）を含む、
   ことを特徴とする請求項１に記載の装填装置。
3. 前記保持構造（３４）は、前記開口部（２４）のエッジと係合するべく前記挿入スリーブ（３０）の外周上において凹部（３６）を有する、
   ことを特徴とする請求項１又は２に記載の装填装置。
4. 前記開口部（２４）は、第１の広がった部分（２８ａ）と、第２の狭まった部分（２８ｂ）を有し、
   前記保持構造（３４）は、前記第２の狭まった部分（２８ｂ）のエッジと係合する、
   ことを特徴とする請求項１ないし３いずれか一つに記載の装填装置。
5. 前記開口部（２４）及び前記保持構造（３４）は、前記挿入スリーブ（３０）が前記スタンド（２２）の外側表面（４４）に垂直な挿入位置に前記開口部（２４）を通してガイドされ得るように、かつ、前記挿入スリーブ（３０）がその挿入状態において前記挿入位置に対して作業角度だけ傾けられ得るように形成されている、
   ことを特徴とする請求項１ないし４いずれか一つに記載の装填装置。
6. 前記挿入スリーブ（３０）は、前記スタンド（２２）に対して前記開口部（２４）に固定される、
   ことを特徴とする請求項１ないし５いずれか一つに記載の装填装置。
7. 前記挿入スリーブ（３０）は、前記ボアホール（２６）が上向き傾斜で配置されるように前記スタンド（２２）に収容される、
   ことを特徴とする請求項１ないし６いずれか一つに記載の装填装置。
8. 前記複数の開口部（２４）は、同一の形状及び寸法である、
   ことを特徴とする請求項１ないし７いずれか一つに記載の装填装置。
9. 前記複数の開口部（２４）は、前記スタンド（２２）において、お互いに、互い違いに及び／又は斜めに逸れるように配列されている、
   ことを特徴とする請求項１ないし８いずれか一つに記載の装填装置。
10. 前記スタンド（２２）で互いに上方に配列される前記開口部（２４）の配列は、その中に収容された前記挿入スリーブ（３０）が前記スタンド（２２）に対して少なくとも二つの異なる角度で配列された係合状態が生じるように形成されている、
    ことを特徴とする請求項１ないし９いずれか一つに記載の装填装置。
11. 前記スタンド（２２）は、板状の金属部分として形成され、前記挿入スリーブ（３０）は、回転部分として形成されている、
    ことを特徴とする請求項１ないし１０いずれか一つに記載の装填装置。
12. 前記スタンド（２２）を鉛直に位置付けられた回転軸線（Ａ）に対して回転させる装置（１８）が設けられている、
    ことを特徴とする請求項１ないし１１いずれか一つに記載の装填装置。
13. コーティングチャンバー（１２）と、
    前記コーティングチャンバー（１２）の内側において請求項１ないし１２いずれか一つに記載の装填装置（２０）と、
    前記装填装置（２０）に保持された前記ワークピース（１６）に被覆剤を適用するコーティングエージェント（１４）と、を備えた、
    コーティングシステム。
14. 前記コーティングチャンバー（１２）は、真空チャンバーとして設計され、
    前記コーティングエージェント（１４）は、プラズマを生成するように設計されている、
    ことを特徴とする請求項１３に記載のコーティングシステム。
15. コーティングシステム（１０）におけるワークピース（１６）の装填方法であって、
    ワークピース（１６）が、シャフト（３２）及び保持構造（３４）を有する挿入スリーブ（３０）のボアホール（２６）に挿入され、
    前記挿入スリーブ（３０）が、直立して配置された少なくとも一つのスタンド（２２）の外側に向く表面（４４）において上方に並ぶように配列された開口部（２４）に、前記開口部（２４）を通して前記シャフト（３２）を挿入することにより、挿入され、
    前記挿入スリーブ（３０）の保持構造（３４）と前記開口部（２４）の間で、保持係合状態が形成される、
    ことを特徴とする装填方法。
    

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