JP6720643B2 - 浸炭部品 - Google Patents
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Description
浸炭処理としては、従来多く用いられてきたガス浸炭処理に代わって、真空浸炭処理が用いられるようになってきている(例えば、特許文献1〜9参照)。真空浸炭処理では、ガス浸炭処理と比較して、以下に示す効果がある。すなわち、浸炭温度を高くできるので、短時間で所定の炭素濃度の浸炭部品が得られる。また、浸炭処理に伴う粒界酸化を抑制できるため、曲げ疲労強度の高い浸炭部品が得られやすい。さらに、炭素収率が高いため、二酸化炭素の排出量を抑えることができる。
例えば、浸炭部品の表層における炭素濃度が低くなる条件で、真空浸炭処理を行なう方法がある。具体的には、特許文献1には、減圧浸炭工程を、炭素の拡散速度が速い歯形部の歯面または歯底の表面浸炭濃度が0.65±0.1質量%の範囲内となる条件で行う鋼部材の製造方法が記載されている。
鋼材に含まれるCr含有量を低くすると、真空浸炭処理によって生じる粗大セメンタイトの析出が抑制されるため、曲げ疲労強度の劣化が抑制される。具体的には、特許文献2および特許文献3には、浸炭処理される鋼部材として、Si:0.35〜3.0%、Mn:0.1〜3.0%、Cr:0.2%未満、Mo:0.1%以下とした化学組成が記載されている。
具体的には、浸炭部品の表層における炭素濃度が低くなる条件で、真空浸炭処理を行なう場合、浸炭部品の表層における炭素濃度が不足する場合があった。このため、浸炭部品の耐久性が不十分となる場合があった。
また、真空浸炭処理される鋼材の化学組成において、Cr濃度を低くした場合、焼入れ性が不十分となり、芯部硬度が不足する場合があった。
また、鋼材に含まれるSi含有量を多くすると、浸炭処理前の鋼材の硬さが高くなりすぎて、加工性が劣化する。このため、エッジ部の過剰浸炭を抑制する効果が十分に得られる濃度となるように、Si含有量を十分に多くすることは困難であった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、浸炭処理の施された鋼材からなり、エッジ部を含む形状を有する曲げ疲労強度に優れた浸炭部品を提供することを課題とする。
その結果、鋼材中のCr含有量を0.29%以下として、真空浸炭処理に伴うエッジ部でのセメンタイトの析出を抑制するとともに、Mn含有量を1.40%以上として、焼入れ性を確保すればよいことが分かった。そして、このような組成を有する鋼材を真空浸炭処理することで、エッジ部の過剰浸炭に起因する曲げ疲労強度の劣化を抑制しつつ浸炭部品の表層における炭素濃度を十分に高くすることができ、しかも芯部硬度を確保できることを確認し、本発明を想到した。
本発明の要旨は以下のとおりである。
C:0.10〜0.30%、
Si:0.16〜1.40%、
Mn:1.40〜3.00%、
P:0.030%以下、
S:0.060%以下、
Cr:0.01〜0.29%、
Al:0.010〜0.300%
およびN:0.003〜0.030%を含有し、
残部がFeおよび不純物からなる化学組成を有し、
表面が平坦部とエッジ部とを有し、
前記平坦部の表面から深さ0.05mmの位置までの平坦部表層領域の炭素濃度が0.76%以上0.89%以下であり、
前記エッジ部の表面から深さ0.05mmの位置までのエッジ部表層領域の炭素濃度が1.20%以下であり、
粒界酸化層深さが1μm以下であり、前記芯部のビッカース硬さが260以上であることを特徴とする浸炭部品。
Nb:0.10%以下、
Ti:0.100%以下、
B:0.0030%以下
からなる群から選ばれる1種以上を含有することを特徴とする[1]に記載の浸炭部品。
[3] 前記芯部が、質量%で、
Mo:0.20%以下、
Cu:0.5%以下、
Ni:0.50%以下
からなる群から選ばれる1種以上を含有することを特徴とする[1]または[2]に記載の浸炭部品。
さらに、本発明の浸炭部品では、芯部のMn含有量が1.40%以上であるため、Cr含有量が0.29%以下であっても、焼入れ性が確保される。このため、本発明によれば、高い芯部硬度を有し、かつ曲げ疲労強度に優れた浸炭部品を提供できる。
本発明者は、真空浸炭処理を実施して製造された浸炭部品の曲げ疲労強度について、調査および研究を行い、以下の知見を得た。
真空浸炭処理を実施された浸炭部品が、表面に頂点部とエッジ部と平坦部とを含む場合、エッジ部に過剰浸炭が発生しやすい。頂点部は鋼の体積に対する表面積が大きいため、炭素が多く入りやすく、深さ方向に拡散しにくい。そのため、過剰浸炭が起こりやすい。しかし、実際に使用される際に大きな負荷がかからない部分であるため、過剰浸炭の度合いを評価する必要がない。そのため、本発明で過剰浸炭を抑制する対象は頂点部ではなくエッジ部である。本実施形態の浸炭部品の表面における頂点部、エッジ部と平坦部は、以下に図示を併用して説明する。
図1に示す浸炭部品100は、全体が四角柱状であり、長さ方向略中央に切り欠き部分が形成されている。
さらに、本発明者らは、鋼材中のMn含有量を1.4%以上とすることで、Cr含有量が0.29%以下であっても、焼入れ性を高めることが出来るという知見を得た。
以下、以上の知見に基づいて完成された本実施形態の浸炭部品について詳述する。
「鋼材(芯部)の化学組成」
本実施形態の浸炭部品の芯部は、次の化学組成を有する。芯部の化学組成は上記した真空浸炭処理する前の鋼材の化学組成と同じものである。なお、元素の含有量の「%」は「重量%」を意味する。
炭素(C)は、浸炭部品の芯部硬度を高める。C含有量が低すぎると、上記効果が得られない。一方、C含有量が高すぎると、芯部硬度が高くなりすぎ、靭性が低下するため、曲げ疲労強度が低下する。したがって、Cの含有量を0.10〜0.30%とする。C含有量の好ましい下限は0.13%であり、さらに好ましくは0.16%である。C含有量の好ましい上限は0.23%であり、さらに好ましくは0.22%である。
Siは、鋼材の焼入れ性及び焼戻し軟化抵抗を高め、曲げ疲労強度及び面疲労強度を高める。しかし、Si含有量が低すぎると、上記効果が得られない。一方、Si含有量が高すぎると、芯部に軟質なフェライト相が生成し、疲労強度を低下させる。したがって、Siの含有量を0.16〜1.40%とした。また、Si含有量は、より好ましくは0.20〜1.10%であり、さらに好ましくは0.20〜0.50%である。
Mnは、焼入れ性を高める効果があり、曲げ疲労強度を高めるのに有効な元素である。しかし、Mn含有量が1.40%未満では、前記の効果が十分に得られない。一方、Mnの含有量が3.00%を超えて含有させても、効果が飽和するばかりか、熱間圧延や熱間鍛造後の強度が高くなりすぎて、切削加工性が大きく低下する。したがって、Mnの含有量を1.40〜3.00%とした。また、Mn含有量は、より好ましくは1.70〜2.5%である。
Pは、粒界偏析して粒界を脆化させやすい元素である。このため、P含有量が0.030%を超えると、曲げ疲労強度や面疲労強度を低下させる。したがって、P含有量は0.030%以下とする。P含有量の好ましい上限は0.020%である。なお、Pは鋼材中に不可避的に含有されるもので、P含有量を低くしようとすると、製造コストが高くなる。そのため、好ましい下限は0.003%である。さらに好ましい下限は0.006%である。
Sは、不純物として含有される元素である。また、Sは、積極的に含有させると、被削性を高める作用を有する。S含有量が多くなりすぎて、0.060%を超えると、曲げ疲労強度が低下する。したがって、Sの含有量を0.060%以下とする。S含有量のさらに好ましい上限は0.030%である。しかし、Sを0.003%未満に低減すると、製造コストが上昇する。そのため、好ましい下限は0.003%である。
Crは、焼入れ性および焼戻し軟化抵抗を高める効果があるため、曲げ疲労強度や面疲労強度を高めるのに有効な元素である。しかし、Crの含有量が0.29%を超えると、エッジ部の過剰浸炭により曲げ疲労強度が低下する。したがって、Crの含有量を0.29%以下とした。Cr含有量は、より好ましくは0.15%以下である。なお、Cr含有量を低くしようとすると、製造コストが高くなる。そのため、Cr含有量の下限は0.01%であり、好ましい下限は0.05%である。
Alは、脱酸作用を有し、焼入れ性と焼戻し軟化抵抗を高める効果を有する。しかし、Al含有量が0.010%未満ではこれらの効果は得られ難い。一方、Alは、硬質な酸化物系介在物を形成しやすく、Al含有量が0.300%を越えると、曲げ疲労強度が低下する。したがって、Alの含有量を0.010〜0.300%とした。Al含有量は、より好ましくは0.015〜0.100%、さらにより好ましくは0.015〜0.050である。
窒素(N)は、Alと結合してAlNを形成し、結晶粒を微細化し、曲げ疲労強度の低下を抑制する。しかしながら、N含有量を0.030%超えて含有させても、効果が飽和する。したがって、N含有量は0.003%以上、0.030%以下とする。N含有量の好ましい上限は0.020%であり、より好ましくは0.018%である。なお、N含有量を低減する理由は無く、また製鋼プロセスの都合上、0.003%未満に低減するのは困難である。そのため、N含有量の下限は0.003%とする。N含有量の下限は、より好ましくは0.007%、さらにより好ましくは0.011%である。
(Nb:0〜0.10%以下)
Nbは、鋼中のNおよび/またはCと結びついて、微細な炭化物、窒化物、又は炭窒化物を生成し、真空浸炭処理(表面硬化熱処理)での結晶粒成長を抑制する効果がある。Nbが少しでも含まれていれば、上記効果がある程度得られる。一方、0.10%を超えてNbを含有させた場合には、粗粒化抑制効果は飽和する。したがって、Nb含有量の上限を0.10%とする。Nb含有量の上限は、好ましくは0.08%、さらにより好ましくは0.04とする。
Tiは、鋼中のNおよび/またはCと結びついて、微細な炭化物、窒化物、又は炭窒化物を生成し、真空浸炭処理(表面硬化熱処理)での結晶粒成長を抑制する効果がある。さらに、Tiは、焼入性向上などのためにBを添加した場合に、Bの添加効果を阻害するBNの生成を抑制するのにも有用である。Tiが少しでも含まれていれば、上記効果がある程度得られる。一方、Ti含有量が過剰になると、粗大な窒化物や酸化物を生成し、鋼材の靭性を低下させる。したがって、Ti含有量は、0.100%以下とし、好ましくは0.050%以下とする。
Bは、焼入れ性を与え、粒界強度を強化するのに有効な元素である。しかし、B含有量が0.0006%未満では、その効果は不十分である。したがって、B含有量は0.0006%以上であることが好ましく、0.0010%以上であることがより好ましい。一方、B含有量が0.0030%を超えるとその効果は飽和する。したがって、B含有量は0.0030%以下とし、0.0020%以下であることが好ましい。
Moは、鋼材の焼入れ性を高め、鋼材の曲げ疲労強度を高める。Moが少しでも含まれていれば、上記効果がある程度得られる。一方、0.20%を超えてMoを含有させても、効果が飽和するばかりかコストが増加する。したがって、Mo含有量は0.20%以下とする。Mo含有量は、0.20%未満であることが好ましく、さらに好ましくは0.16%以下である。また、Moは、他の元素によって必要な焼き入れ性を確保できるのであれば添加しないことが好ましく、その場合のMo含有量は、積極的に添加しない場合の条件である0.01%以下とするのが好ましい。
Cuは、鋼材の過剰浸炭を抑制し、さらに、鋼材の靱性を高め曲げ疲労強度を高める。Cuが少しでも含有されていれば、上記効果がある程度得られる。一方、0.5%を超えてCuを含有させても、効果が飽和する。したがって、Cu含有量は0〜0.5%である。Cu含有量が0.1%以上であると、上記効果が顕著に得られる。Cu含有量は、0.5%未満であることが好ましく、さらに好ましくは0.3%以下である。
Niは、鋼材の過剰浸炭を抑制し、さらに鋼材の靱性を高め、曲げ疲労強度を高める。Niが少しでも含有されていれば、上記効果がある程度得られる。一方、0.50%を超えてNiを含有させても、効果が飽和するばかりか、鋼材の製造コストが上昇する。したがって、Ni含有量は、0〜0.50%とする。Ni含有量が0.10%以上であると、上記効果が顕著に得られる。Ni含有量は0.50%未満であることが好ましく、さらに好ましくは0.20%以下である。
本実施形態の浸炭部品は、平坦部の表面から深さ0.05mmの位置までの平坦部表層領域の炭素濃度(以下、「CP1」という場合がある。)が0.70%以上0.89%以下である。また、エッジ部の表面から深さ0.05mmの位置までのエッジ部表層領域の炭素濃度(以下、「CP2」という場合がある。)が、CP1を超え1.20%以下である。
平坦部表層領域の炭素濃度は、平坦部の断面の炭素濃度をEPMA(電子線マイク口アナライザ)により分析し、表面から深さ0.05mmの位置までの炭素濃度の平均値を算出することにより得られる。
図3は、エッジ部の断面における炭素濃度の測定位置を説明するための説明図である。図3は、図1および図2に示す断面CSのコーナの点Pc周辺のみを拡大して示した拡大図である。本実施形態では、図3に示すように、エッジを形成する2つの面11、12から5μm離れた箇所を起点P2とし、表面の辺(図3では点Pc)とは逆の方向に2つの面11、12から等距離で離間して伸びる長さ50μmの直線上を測定位置とする。
なお、本実施形態において、起点P2を2つの面11、12から5μm離れた箇所としたのは、起点P2よりも2つの面11、12に近い領域の炭素濃度は、表面に析出した黒鉛や、表面の汚れの影響を受けるためである。
このため、平坦部表層領域の炭素濃度を0.70%以上0.89%以下とし、エッジ部表層領域の炭素濃度を1.20%以下とする。平坦部表層領域の炭素濃度は、好ましくは0.75%以上である。平坦部表層領域の炭素濃度は、好ましくは0.85%以下である。また、エッジ部表層領域の炭素濃度は、1.10%以下であることが好ましい。
本実施形態の浸炭部品は、真空浸炭処理の施されたものであるため、浸炭処理によって形成される粒界酸化層が少ない。粒界酸化層は、不完全焼入れ組織を少なくするために、少ない程望ましい。不完全焼入れ組織は、浸炭部品の疲労強度の低下を招くものであり、不完全焼入れ組織が多くなるにつれて、疲労強度の低下の程度が大きくなる。したがって、浸炭部品の粒界酸化層深さの上限を1μmとする。
本実施形態の浸炭部品の芯部は、曲げ強度を高くするために、ビッカース硬さ(HV)が260以上である必要がある。芯部硬度が低いと、曲げ荷重が負荷された際に塑性変形し、表面における応力が増大し、部品として曲げ強度が低くなる。したがって、芯部硬度の下限をHV260とし、HV280以上とすることが好ましい。本実施形態において芯部とは、表面から深さ方向に2mm以上離れた部位を意味する。
次に、本実施形態の浸炭部品の製造方法について例を挙げて説明する。
まず、上述の化学組成を満たす鋼材を製造する。
本実施形態では、例えば、上記化学組成の溶鋼を製造し、連続鋳造法により鋳片(スラブまたはブルーム)を製造する。鋳片に代えて、上記化学組成の溶鋼を用いて造塊法によりインゴット(鋼塊)を製造してもよい。
次に、鋳片またはインゴッ卜を熱間加工して、ビレット(鋼片)を製造する。その後、ビレットを熱間加工して、棒鋼または線材とする。熱間加工は、熱間圧延であってもよいし、熱間鍛造であってもよい。
機械加工としては、例えば、切削加工、穿孔加工などが挙げられる。鋼材における頂点部と平坦部とエッジ部とを有する形状は、浸炭部品の用途に応じて決定されるものであり、公知の方法により形成できる。
本実施形態では、真空浸炭処理および焼入れ処理における各条件(均熱時間、浸炭ガスの種類、浸炭ガス圧、浸炭温度、浸炭工程での処理時間、拡散工程での処理時間、冷却工程での冷却速度、焼入れ温度など)は、特に限定されるものではなく、鋼材の化学組成と、目標とする平坦部表層領域およびエッジ部表層領域の浸炭濃度と、芯部硬度に応じて適宜決定される。
真空浸炭処理では、はじめに、例えば10Pa以下に減圧した炉内で鋼材を浸炭温度まで加熱する加熱工程を行う。次に、浸炭温度で鋼材を均熱する均熱工程を行う。続いて、炉内に浸炭ガスを導入し、所定の浸炭ガス圧および浸炭温度で鋼材を浸炭処理する浸炭工程を行う。その後、浸炭温度を維持した状態で鋼材に侵入した炭素を鋼材中に拡散させる拡散工程と、鋼材を冷却する冷却工程とをこの順で行う。
浸炭工程において用いられる浸炭ガスの種類は、真空浸炭処理に用いられている公知のものを用いることができ、例えば、アセチレン、プロパン、エチレンなどの炭化水素ガスを用いることができる。
拡散工程における炉内の圧力は、浸炭工程における残留ガスを取り除くため、100Pa以下であってもよいし、窒素ガスの導入と真空ポンプによる真空排気を同時に行なって、1000Pa以下の窒素雰囲気としてもよい。
本実施形態では、焼入れ処理における加熱および保持として、例えば、真空浸炭処理の冷却工程において焼入れ温度で冷却を停止し、所定の時間均熱する方法を用いてもよいし、真空浸炭処理の冷却工程において焼入れ温度以下(例えば、室温(25℃)程度)の温度まで冷却し、その後、焼入れ温度まで再加熱して所定の時間均熱する方法を用いてもよい。
焼入れ処理における保持時間は、10〜80分であることが好ましい。
均熱(保持)する際の雰囲気は、窒素ガス雰囲気であってもよい。ガス圧は、大気圧以下であることが好ましく、400hPa以下であることがさらに好ましい。
焼入れ処理での冷却方法としては、油冷、水冷など公知の方法を用いることができる。冷却方法として油冷を用いる場合、焼入れ油の温度は60〜160℃の範囲とすることが好ましい。
焼戻し処理を行う場合、焼戻し温度は、150〜200℃の範囲であることが好ましく、160〜190℃の範囲であることがより好ましい。
以上の工程により、本実施形態による浸炭部品が製造される。
表1に示す化学組成を有する鋼A〜鋼ABを有する溶鋼を製造し、製造した溶鋼を用いて、インゴッ卜を製造した。次に、インゴッ卜を熱間鍛造して棒鋼とした。次に、製造した棒鋼に対して、冷間鍛造および機械加工を行って、断面が一辺13mmの正方形である角棒を製造した。
このようにして製造した鋼A〜鋼ABの各化学組成を有する角棒から、頂点部と平坦部とエッジ部とを有する形状の鋼材として、図1に示す形状の4点曲げ疲労試験片を複数個採取した。4点曲げ疲労試験片は、高さ及び幅を共に13mmとし、長さを100mmとした。4点曲げ疲労試験片の長さ方向中央には、断面形状が半円である切り欠きを形成した。半円の切り欠きにおける半径は2mmとした。
参考例1、3、14、15、20、実施例2、4〜13、16〜19、比較例1〜14については、4点曲げ疲労試験片に対して、10Pa以下に減圧した炉内で鋼材を950℃の浸炭温度まで加熱し、浸炭温度で60分間鋼材を均熱した。続いて、炉内にアセチレンガスを導入し、950℃の浸炭温度、表2に示す処理時間で鋼材を浸炭処理する浸炭工程を行った。浸炭工程における浸炭ガス圧は100Pa以下とした。
次に、浸炭温度を維持した状態で10Pa以下の炉内の圧力、表2に示す処理時間で、鋼材に侵入した炭素を鋼材中に拡散させる拡散工程を行った。
その後、鋼材を冷却し、焼入れ温度である860℃で冷却を停止し、30分間均熱した後、120℃の焼入れ油を用いて油焼入れを行った。その後、焼戻し温度を170℃、焼戻し温度での保持時間を2時間とする焼戻しを実施した。
参考例1、3、14、15、20、実施例2、4〜13、16〜19、比較例1〜16の浸炭部品(4点曲げ疲労試験片)の平坦部表層領域およびエッジ部表層領域における炭素濃度を、上述したEPMA(電子線マイク口アナラ
イザ)を用いる方法により算出した。その結果を表2に示す。
参考例1、3、14、15、20、実施例2、4〜13、16〜19、比較例1〜16の浸炭部品(4点曲げ疲労試験片)のうち、浸炭部品の表面の炭素濃度の測定に用いられなかった他の4点曲げ疲労試験片を用いて、4点曲げ疲労試験を実施した。試験には、サーボ型疲労試験機を用いた。4点曲げ疲労試験片の支点間の距離は30mmとした。また、最大負荷応力は1373MPaであり、最大負荷応力と最小負荷応力との応力比は0.1であった。周波数は10Hzであった。そして、応力負荷繰り返し回数が1×104回での破断強度を、4点曲げ疲労強度(MPa)と評価した。その結果を表2に示す。このうち、1000MPa以上のものを曲げ疲労強度が良好であると評価した。
参考例1、3、14、15、20、実施例2、4〜13、16〜19、比較例1〜16の浸炭部品(4点曲げ疲労試験片)を長さ方向に直交する方向に切断し、切断面を測定面とする試験片を採取した。そして、浸炭部品の表面から深さ方向(断面の中心方向)に2mm以上離れた位置における切断面の硬さを、ビッカース硬度計を用いて、測定荷重を300gfとし、JIS Z 2244(2009)に準拠して測定した。その結果を表2に示す。
参考例1、3、14、15、20、実施例2、4〜13、16〜19、比較例1〜16の浸炭部品(4点曲げ疲労試験片)を、任意の表面に対しほぼ垂直となるように切断し、切断面を鏡面研磨して1000倍に設定した光学顕微鏡で観察した。そして、表面から内部に向かって連続して筋状に伸びる黒色の酸化物を観察し、筋状の黒色の酸化物の到達している表面からの最大深さを粒界酸化層深さとして測定した。
その結果、参考例1、3、14、15、20、実施例2、4〜13、16〜19、比較例1〜15の浸炭部品のいずれにおいても、筋状の黒色の酸化物が観察されず、粒界酸化層深さは0μmであった。比較例16の浸炭部品では、筋状の黒色の酸化物が観察され、粒界酸化深さは11μmであった。
具体的には、比較例1は、鋼材中のC含有量が少なすぎたため、曲げ疲労強度が低くなった。また、比較例2は、鋼材中のC含有量が多すぎたため、曲げ疲労強度が低くなった。
比較例3は、鋼材中のSi含有量が多いため、曲げ疲労強度が低くなった。また、比較例4は、鋼材中のSi含有量が少なすぎたため、エッジ部表層領域の炭素濃度が高くなり、曲げ強度が低くなった。
また、比較例6は、鋼材中のCr含有量が多すぎたため、過剰浸炭が発生してエッジ部表層領域の炭素濃度が高くなり、曲げ疲労強度が低くなった。
また、比較例7は、鋼材中のN含有量が少ないため、結晶粒が粗大化し、曲げ疲労強度が低くなった。
また、比較例8は、鋼材中のMn含有量が少なく、Cr含有量が多過ぎたため、エッジ部表層領域の炭素濃度が高くなり、曲げ疲労強度が低くなった。
また、比較例9は、鋼材中のMn含有量が少ないため、焼き入れ性が不足して芯部硬度が不足し、曲げ疲労強度が低くなった。
また、比較例14は、平坦部表層領域の炭素濃度が低過ぎたため、曲げ疲労強度が低かった。
比較例15は、芯部硬度が低すぎたため、曲げ疲労強度が低かった。
比較例16は、粒界酸化深さが大きすぎたため、曲げ疲労強度が低かった。
2 辺
3 平坦部
11、12 面
CS 断面
Claims (3)
- 芯部が、質量%で、
C:0.10〜0.30%、
Si:0.16〜1.40%、
Mn:1.40〜3.00%、
P:0.030%以下、
S:0.060%以下、
Cr:0.01〜0.29%、
Al:0.010〜0.300%
およびN:0.003〜0.030%を含有し、
残部がFeおよび不純物からなる化学組成を有し、
表面が平坦部とエッジ部とを有し、
前記平坦部の表面から深さ0.05mmの位置までの平坦部表層領域の炭素濃度が0.76%以上0.89%以下であり、
前記エッジ部の表面から深さ0.05mmの位置までのエッジ部表層領域の炭素濃度が1.20%以下であり、
粒界酸化層深さが1μm以下であり、前記芯部のビッカース硬さが260以上であることを特徴とする浸炭部品。 - 前記芯部が、質量%で、
Nb:0.10%以下、
Ti:0.100%以下、
B:0.0030%以下
からなる群から選ばれる1種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の浸炭部品。 - 前記芯部が、質量%で、
Mo:0.20%以下、
Cu:0.5%以下、
Ni:0.50%以下
からなる群から選ばれる1種以上を含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の浸炭部品。
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