JP6715689B2 - プレススルーパック包装体 - Google Patents
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Description
また、蓋材には、内容物を押し出すことによって容易に破れるという性質(プレススルー性)に優れたアルミ箔にヒートシール性が付与された蓋材が一般に用いられている。
これを抑止するために、特許文献2には、成形時のシール金型上に緩衝材を設置し、溝のないフラットな加熱板を使用することによって、上記空気溜りを生じずにPTP包装体のアルミ箔面がフラット化できる方法が記されている。
例えば、特許文献1には積層プラスチックフィルムからなるプラスチック蓋材が示されているが、表面の平滑性に関する記述はない。
特許文献2では成形時のシール金型上に緩衝材を設置し、溝のないフラットな加熱板を使用することによって、PTP包装体のアルミ箔面を平滑にできる方法が記されている。
しかしながら、特許文献2ではプラスチック蓋材を用いたPTP包材については記載されておらず、更にシール金型上に樹脂製の緩衝材を設置する必要があり、金型の形状に応じた緩衝材を内容物の形状に応じて都度作成する必要があるため汎用性に乏しく、また緩衝材の耐久性にも問題がある。
[1]凹部とフランジ部とを有する底材と熱可塑性樹脂を含む基材層を有する蓋材とを備えるプレススルーパック包装体であり、前記蓋材の前記底材側の表面とは反対側の表面の算術平均粗さ(Ra2)が5μm以下であり、前記底材のフランジ部と前記蓋材との間に存在する空気溜まりの平均径が2.0mm以下であり、前記底材の深さ方向にみたときに、前記空気溜まりの占める総面積が、前記フランジ部の全面積の2.0%以上である、ことを特徴とする、プレススルーパック包装体。
[2]前記底材の深さ方向にみたときに、前記空気溜まりの占める総面積が、前記フランジ部の全面積の20%以下である、[1]に記載のプレススルーパック包装体。
[3]前記底材が、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリクロロトリフルオロエチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種を含むシートからなる、[1]又は[2]に記載のプレススルーパック包装体。
[4]包装体全体のカールによるシートの浮きが、5.0mm以下である、[1]〜[3]のいずれかに記載のプレススルーパック包装体。
[5]前記蓋材が、スチレン系樹脂を含む、[1]〜[4]のいずれかに記載のプレススルーパック包装体。
[6]平滑面を有する蓋材側の加熱金型と、凹部及び/又は凸部を有する底材側の加熱金型とを用いて、前記蓋材及び前記底材を熱で接着する工程を含む、[1]〜[5]のいずれかに記載のプレススルーパック包装体の製造方法。
なお、本明細書において、PTP包装体用蓋材を単に「蓋材」、PTP包装体用底材を単に「底材」と称する場合がある。
図1に示す本実施形態のPTP包装体10は、底材1とPTP包装体用蓋材8とを備える。
底材1は、成型されたポケット状の凹部1aと、蓋材8と貼り合わせられるフランジ部1bとを有しており、凹部1aには、内容物2が充填されている。
蓋材8は、基材層(以下、「蓋材フィルム」ともいう)4Aとヒートシール層3とを備え、ヒートシール層3はフランジ部1bで底材1と接着している。
詳細には、蓋材8のうちのヒートシール層3が、底材1のフランジ部1bの表面と蓋材フィルム4Aの表面F1とを接着している。ヒートシール層3は、底材1のフランジ部1bと融着される側の面、言い換えると、底材側の表面を形成している。
前述の通り、蓋材8は、基材層としての蓋材フィルム4Aとヒートシール層3とを備え、必要に応じて、印刷部分5や表面保護層(OPニス層)6を更に含む。
PTP包装体10の蓋材の底材とは反対の表面8aは、印刷された印字やバーコードの視認性・判別性の観点から、平滑であることが望ましく、JIS B 0601に準拠して測定される表面粗さ(Ra2)が、5.0μm以下であることが望ましく、より望ましくは3.0μm以下、最も望ましくは2.0μm以下である。
蓋材フィルム(基材層)4Aは、内容物を押し出すことによって容易に破れるという性質(プレススルー性)を持つ素材であればいずれのものからなっていてもよく、一般的にはアルミ箔、グラシン紙、熱可塑性樹脂を含むフィルム等が挙げられ、廃棄時の易焼却性、リサイクル性、印刷判読性等の観点から、熱可塑性樹脂を含むフィルムが好ましく、熱可塑性樹脂からなるフィルムが更に好ましい。
蓋材フィルム4Aが熱可塑性樹脂からなるフィルムである場合は、延伸フィルムであることが好ましい。
熱可塑性樹脂としては、フィルム状に製膜できるものであれば特に制限されず、スチレン系樹脂、エチレン系樹脂やプロピレン系樹脂等のオレフィン系樹脂、エステル系樹脂(ポリ乳酸を含む)、アミド系樹脂等が挙げられる。このうち1種を単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。熱可塑性樹脂の中でも、剛性と脆性の観点から、好ましくはスチレン系樹脂が用いられる。
また、スチレン系樹脂には、ポリスチレンとポリフェニレンエーテル樹脂のポリマーアロイ(m−PPE)等も用いられる。
上記のスチレン系共重合樹脂におけるスチレン成分は、スチレン系共重合樹脂を構成する樹脂成分の合計を基準(100質量%)として70〜97質量%であることが好ましく、75〜95質量%がより好ましい。スチレン成分が97質量%以下であると、プレススルー性が向上するばかりか、樹脂の耐熱性が向上し、PTP包装体の製造工程において底材とのヒートシール時に蓋材フィルムが変形せずに安定した製造が可能となる。また、スチレン成分が70質量%以上であると蓋材フィルムを作る際に延伸製膜しやすく、剛性とプレススルー性の両立が可能となる。
特に、白色の着色剤や印刷は、下記の理由から好ましい。近年、医薬品用のPTP包装体では、従来の製品名称ロゴや使用方法を示す図柄の他に、医療事故の防止やトレーザビリティーの確保を目的とした商品コード、有効期限、製造番号、数量といった各種情報を含んだバーコードを印刷することのニーズが高まりつつある。熱可塑性樹脂に白色の着色剤を配合した蓋材フィルムや白色印刷したものを用いると、バーコードの読取りの際、線のない部分(蓋材フィルムが直接見える部分)が白いために、無地のアルミ箔の蓋材に比べ鏡面反射が起こりにくく、バーコードの線のある部分(一般的には黒色)との色の濃淡もあるため、バーコードが読み取りやすく好ましい。
なお、突刺し強さは、JIS Z1707に準拠し、直径1mm、先端形状半径0.5mmの半円形の針を毎分50mmの速度で突き刺し、針が貫通するまでの最大応力のことをいう。
蓋材8を構成するヒートシール層3は、後述するヒートシール剤を原料とするものであり、ヒートシール剤のみからなることが好ましい。
樹脂αは、熱によって樹脂αが融解し、又は樹脂αが底材1と共に融解し、相互に融着(ヒートシール)し得るものとして、ガラス転移温度が−70℃以上30℃未満であるアクリル系樹脂、又はガラス転移温度が−70℃以上30℃未満であるポリエステル系樹脂を、単独で用いてもよいが、二種以上を併用してもよい。
なお、ガラス転移温度が複数存在する様な混合樹脂のヒートシール剤の場合、質量比率はJIS K7121に準じたDSC法により20℃/分の昇温速度で測定したチャートの、それぞれのガラス転移ピークの各ベースライン間の距離の比率により求めることができる。また、各ベースラインが平行でない場合は、各ベースラインの延長した直線間にある中間点ガラス転移点を通過する位置での各ベースライン間の距離を用いることができる。
アクリル系樹脂とは、少なくとも1種のカルボキシル基又はカルボン酸エステル基を持つエチレン性不飽和単量体を単量体成分として含む重合体であり、少なくとも1種のカルボキシル基又はカルボン酸エステル基を持つエチレン性不飽和単量体の単独重合体又は共重合体であっても、これと共重合可能な他の単量体との共重合体であってもよい。また、アクリル系樹脂は、上記単独重合体又は上記共重合体の、カルボキシル基(カルボン酸)のアルカリ金属塩、アミン塩、又はアンモニウム塩であってもよい。
カルボキシル基又はカルボン酸エステル基を持つエチレン性不飽和単量体としては、例えば、メタクリル酸、アクリル酸、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル等が挙げられる。
アクリル系樹脂が共重合体である場合、上記「他の単量体」としては、エチレン;スチレン、α−メチルスチレン(ビニルトルエン)、クロロスチレン等の芳香族ビニル単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアノ基含有エチレン性不飽和単量体;アクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド等のアクリルアミド系単量体;等が挙げられる。
共重合させる単量体の種類や割合を適宜変更することにより、ガラス転移温度を調整することができる。アクリル系樹脂が共重合体である場合、アクリル構造を有する構造単位の割合が共重合体全体の20%以上を占めることが好ましい。
ポリエステル系樹脂とは、多価カルボン酸と多価アルコールとの重縮合反応によって合成されるポリマーであり、各種の原料を使用することができる。
ポリエステル系樹脂の種類としては、(ポリエステル主鎖に不飽和結合を有しない)飽和ホモポリエステル樹脂、飽和共重合ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、(ポリエステル主鎖に不飽和結合を有する)不飽和ポリエステル樹脂のいずれでもよいが、耐圧低温ヒートシール性と耐ブロッキング性に優れる観点から、飽和共重合ポリエステル樹脂が好ましい。
重縮合させる多価カルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、フタル酸、クエン酸等が挙げられる。重縮合させる多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、グリセリン等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。ポリエステル系樹脂としては、例えば、1種の多価カルボン酸(例えば、フタ
ル酸等)と、2種の多価アルコール(例えば、エチレングリコールとブタンジオール等)とからなる樹脂等が挙げられる。
上記の通り、ヒートシール剤に必要に応じて添加されるフィラーとしては、炭酸カルシウム、フッ素樹脂、シリコーン、シリカ、ガラスビーズ、タルクや、チタニア、アルミナ、マグネシア等の金属酸化物等の無機フィラーや、種々の粒状高分子、例えば、ナイロン、PE、ポリスチレン(PS)、PP、ポリエステル、アクリル樹脂(ポリメチルメタクリレート、ポリメチルメタクリレートの架橋共重合体等)、ウレタンのプラスチック等の有機フィラーを用いることができる。このうち1種を、単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。
また、ヒートシール剤を塗工して乾燥する方法の場合、ヒートシール剤を水中にポリマー粒子を分散させた水性エマルジョンの状態で用いることが、環境性の観点や耐溶剤性に劣る樹脂フィルムにも塗工できる観点から、好ましい。
本実施形態のPTP包装体用蓋材8は、前述の通り、蓋材フィルム4A上に、ヒートシール剤を適用して、ヒートシール層3を形成することにより製造することができる。以下、蓋材フィルム4Aにヒートシール剤を塗工し乾燥する方法を例に挙げて、詳細を説明する。
乾燥温度は、好ましくは50〜115℃、より好ましくは60〜100℃である。50℃以上だと、乾燥不足による巻きジワやブロッキングが発生しにくく、115℃以下だと、乾燥時の過加熱がなく、塗工後にシワが生じにくい。
乾燥時間は、好ましくは1〜200秒、より好ましくは2〜100秒、更に好ましくは3〜30秒である。1秒以上であれば、乾燥不足による巻きジワやブロッキングの発生が起こりにくく、200秒以下であれば、乾燥時の過加熱がなく、塗工後にシワが生じにくく、生産性が向上する。
本実施形態におけるPTP包装体10に用いる底材1としては、例えば、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂、環状オレフィンからなる樹脂等)、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリエステル等の周知の合成樹脂を含む、好適にはこれらの合成樹脂からなるシート材が挙げられる。中でも、底材1のポケット状の凹部1aへの真空又は圧空成形する成形条件範囲の広さ、機械的強度、透明性、コスト面の観点から、ポリ塩化ビニル系樹脂からなるシート材が特に好ましい。
また、ヒートシール後に成形機で打ち抜かれたサンプルの底材1のサイズとしては、凹部1aの深さが、1〜15mmであってよく、好ましくは2〜10mmであり、また、特に、凹部1aの開口部分及び底面部分の形状が円形である場合、開口部分の直径は、それぞれ10〜150mmであってよく、好ましくは20〜100mmであり、底面部分の直径は、それぞれ開口部分の直径より10〜20%小さくてよい。
フランジ部1bの平均幅としては、2〜100mmであってよく、好ましくは4〜50mmである。
本実施形態では、空気溜まりの平均径は、長径の平均径としてよく、具体的には、PTP包装体10のフランジ部分1bをデジタルマイクロスコープを用いて観察し、空気溜まり部分とシール部位とを色調の差より二値化することで算出できる。
空気溜まりの平均径は2.0mm以下であり、好ましくは1.5mm以下であり、より好ましくは1.0mm以下である。2.0mmを超えると、シール部の導通の要因となり、空気溜まり部分から空気がリークするだけでなく、空気溜まりが蓋8の表面の美観を損なうため好ましくない。
また、上記平均径は0.10mm以上であってよく、好ましくは0.15mm以上であり、より好ましくは0.20mm以上である。
このカールの度合いは、作成したPTP包装体10を、ヒートシールから1日後に、蓋材8側を下にして平らな机の上に置き、PTP包装体10の蓋材8の一端部を指で押さえ、浮き上がった蓋材8の別の端部と机との最大距離を定規で測定することによって評価することができる。より具体的には、凹部1aの開口部分及び底面部分の形状が円形であるPTP包装体10の場合、PTP包装体10を机の上に置いた後、PTP包装体10のフランジ部1bの一端部を指で押さえたときに浮き上がった当該端部と開口部分を挟んで対向するもう一つのフランジ部1bの端部と机との最大距離を定規で測定することによって評価する。
上記カールの度合いを示す距離は、望ましくは5.0mm以下であり、より望ましくは4.0mm以下であり、最も好ましくは3.0mmである。
本実施形態のPTP包装体10は、底材1の表面と蓋材8のヒートシール層の表面とを重ね合わせて、ヒートシールすることにより製造することができる。
ヒートシール温度は、例えば、100〜200℃が挙げられ、内容物2の焼け跡がつきにくくなる観点から、100〜150℃が好ましい。また、ヒートシール時間は、例えば、0.05〜0.4秒が挙げられ、内容物2の焼け跡がつきにくくなる観点から、0.05〜0.2秒が好ましい。また、ヒートシール圧力は、例えば、0.2〜0.6MPaが挙げられ、内容物2の焼け跡がつきにくくなる観点から、0.3〜0.5MPaが好ましい。
本実施形態では、中でも、シール部分の空気溜まりの平均径の制御する観点から、フラットシール成形機を用いてPTP包装体10を成形する方法が望ましい。
PTP包装体に用いるフラットシール成形機には、蓋材側と底材側とに2つの加熱金型が配置されており、ここで、底材1側の加熱金型には、均一に微小な凹部及び/又は凸部が彫刻されており、蓋材8側の加熱金型には、平滑面が設けられていることが望ましい。
微小な凹部が彫刻された金型を用いた場合、凹部の周囲にある底材1側の加熱金型におけるベース部分は底材1に対して圧着されるものの、底材1側の加熱金型における微小な凹部の部分は、蓋材1に対して圧着されないため、未シール部分となる。ここで、この未シール部分に排出されなかった空気が留まることで、その他の部分に押し出された空気が集まって空気溜まりが発生することを抑制することができ、その結果、発生する空気溜まりは高度に分散して平均径が小さいものとなる。
一方、微小な凸部が彫刻された金型を用いた場合、底材1側における微小な凸部の部分は底材1に対して圧着されるものの、凸部の周囲にある底材1側の加熱金型におけるベース部分は蓋材1に対して圧着されないため、未シール部分となる。この場合には、排出されなかった空気はこの凸部周囲の未シール部分に留まることで、こちらについても、発生する空気溜まりは高度に分散して平均径が小さいものとなる。
そして、微小な凹部と凸部との両方が彫刻された金型を用いた場合にも同様の作用効果を奏する。
また、凹部及び凸部の密度としては、本発明の効果を得やすくする観点から、それぞれ、20〜1000個/cm2であることが好ましく、より好ましくは50〜500個/cm2である。
(i)PS系フィルム1:スチレン−メタクリル酸−メチルメタクリル酸エステル共重合体(メチルメタクリル酸エステル含量5質量%、メタクリル酸含量10質量%、ビカット軟化点=123℃)を90質量%、及び、ハイインパクトポリスチレン(DIC社製、耐衝撃ポリスチレン GH8300−5、ビカット軟化点=95℃)を樹脂成分の合計100質量%に対して10質量%配合し、インフレーション法によって延伸し、その後、フィルムの両面に50mN/mのコロナ処理を施して、作製した、ビカット軟化点=120℃、厚さ25μm、突刺し強さ4.8Nの熱可塑性樹脂からなるフィルム。
(ii)PS系フィルム2:汎用ポリスチレン(PSJ社製、汎用ポリスチレン G9504、ビカット軟化点=103℃)をインフレーション法によって延伸し、その後、フィルムの両面に50mN/mのコロナ処理を施して、作製した、ビカット軟化点=103℃、厚さ25μm、突刺し強さ4.2Nの熱可塑性樹脂からなるフィルム。
(i)HS剤−1:アクリル系樹脂エマルジョン型ヒートシール剤(BASF製、ジョンクリル(スチレン−アクリル酸エステル共重合体のアンモニウム塩の水分散体、不揮発分:35質量%、ガラス転移温度:−5℃))
(i)PVC:硬質塩化ビニル単層シート(住友ベークライト製スミライトVSSシリーズ(厚さ250μm)、熱変形温度A法及びB法とも約60〜70℃)深さ:4mm、開口部分の直径10mm、底面部分の直径8mmのサイズの凹部を有し、深さ方向に直交する方向に延びる平均幅10mmのフランジ部を有する底材に成形した。
得られた蓋材フィルムについて、JIS K7206に準拠して、試験荷重:50N、昇温速度:50℃/時の条件で、ビカット軟化点(℃)を測定した。
得られた底材について、JIS K7191(A法及びB法)に準拠して、熱プレス成形にて規格寸法に作成した試験片を用いて、熱変形温度(℃)を測定した。
蓋材からヒートシール層のみを剥離し、このヒートシール層について、JIS K7121に準じたDSC法により、20℃/分の昇温速度で、補外ガラス転移温度を測定し、これをガラス転移温度(℃)とした。
得られたPTP包装体の底材のフランジ部と蓋材との間に生じた空気溜まりの長径の平均径(mm)、及び空気溜まりのフランジ部における占有面積割合(%)は、PTP包装体のフランジ部分を蓋材の底面に垂直な方向(底材の深さ方向)からデジタルマイクロスコープ(キーエンス社製、VHX−5000)を用いて観察し、空気溜まりとシール部位とを色調差より二値化することによって算出した。
実施例及び比較例で作製した蓋材及びこれを用いたPTP包装体について、以下の項目について評価を行った。
底材の凹部(ポケット)のサイズは、前述の通りであり、内容物である錠剤は、円柱状形状を備え、サイズは、錠径8.6mm、錠高3.8mmであった。
ヒートシールの条件は、温度150℃、シール圧力0.4MPa、充填速度5m/分(120ショット/分、シール時間0.1秒相当)を標準条件として実施した。また、その他の条件は、底材成形温度及びスリット温度ともPVCは130℃、PPは135℃、作業室環境23℃、50%RHとした。
作製したPTP包装体について、減圧リーク試験(PTP包装体100ポケットを水中に入れて、−67kPaで5分間保持し、PTPポケット中に水の漏れがないかを確認する)を行って、ヒートシール強度を確認した。また、底材側から錠剤を親指で押し出すことにより蓋材を押し破って開封する時の様子を、下記基準に基づきヒートシール層と底材との低温ヒートシール強度を評価した。ヒートシール強度が高いほど、低温ヒートシール性が高いと評価した。
<判定基準>
○:減圧リーク試験の結果、100ポケット中、水が漏れたポケット数が0個である。ヒートシール層と底材が剥がれることなく、綺麗に錠剤が押出せた。ヒートシール温度が低温(120℃)でも確実に接着し、且つ十分な強度があり、非常に実用的である。
△:減圧リーク試験の結果、100ポケット中、水が漏れたポケット数が1〜2個である。ヒートシール層と底材がごく僅かに剥がれる場合があるが、特に問題なく錠剤を押出すことが可能で、実用上問題はない。
×:減圧リーク試験の結果、100ポケット中、水が漏れたポケット数が3個以上である。錠剤を押出す前に、ヒートシール層と底材が剥がれてしまい、ヒートシール強度が不十分である。実用上不適と判断される。
作製したPTP包装体の蓋材フィルムの表面の算術平均粗さ(Ra2)を、JIS B 0601に準拠して、レーザー顕微鏡(オリンパス社製)を用いて、3か所測定し、測定値の平均値を算出した。
作製したPTP包装体の蓋材フィルムの印刷部分を、バーコードリーダー(キーエンス製)を用いた読み取りを10回実施し、読み取り成功率により印刷部分の視認性(バーコード読み取り性)を評価した。
<判定基準>
○:バーコード読み取り成功率が100%である。
△:バーコード読み取り成功率が70%超100%未満である。
×:バーコード読み取り成功率が70%以下である。
作製したPTP包装体を、ヒートシールから1日後に、平らな机の上に置いた。そして、PTP包装体の端部を指で押さえたときに浮き上がった反対側の端部と机との距離を定規で測定することにより、PTP包装体のカール性を評価した(n数=5)。
<判定基準>
○:机との距離が3mm未満であり、ほとんどカールしていない。
△:机との距離が3mm〜5mmであり、ややカールしている。
×:机との距離が5mm超であり、カールしている。
作製したPTP包装体において空気溜まりによる凹部と外部との導通の有無を観察し、それから判断される外観を目視にて評価した。
<判定基準>
○:空気溜まりのそれぞれが独立しており、均一に分散している。
△:空気溜まりの一部については融合している状態だが、凹部と外部の導通は確認されない。
実用上の問題はない。
×:空気溜まりが大きく融合している箇所があり、空気溜まりによって凹部と外部が導通している様子が目視で確認される。実用上不適と判断される。
PS系フィルム1(スチレン−メチルメタクリレート−メタクリル酸共重合体及びハイインパクトポリスチレンからなるフィルム)の片面に、線数=230線/インチ、版深度=20μmの版を用いたグラビア印刷機にて、文字サイズ=7ポイントの黒色ゴシック体のアルファベット文字、及び、縦幅6mm、横幅22mmの大きさのバーコードを印刷し、その上に、線数=80線/インチ、版深度=130μmの版を用いて、ヒートシール剤(HS−1)を塗工した。
ヒートシール剤は、塗工前に、不揮発分が40質量%、粘度が100mPa・s〜1000mPa・sとなるように水で希釈した。
塗工後は、100℃に設定した熱風式乾燥機の中を5秒間乾燥して、蓋材を得た。
底材に厚さ250μmのポリ塩化ビニル(PVC)を用いて、凹部を成形した底材に錠剤を充填し、PTP用パックシール機(エーシンパック社製、EPK−半自動OS)によりヒートシールにより底材とPTP包装体用蓋材を接着して、PTP包装体を得た。その際、蓋材側の金型には、表面に彫刻による凹凸が無い鏡面板を使用し、底材側の金型には、ドット状に直径0.5mmの凹部の彫刻が、密度:200個/cm2で彫られた金型を使用した。
ヒートシール条件は、温度120℃、シール圧力0.2MPa、充填速度5.0m/分、シール時間1秒を標準条件として実施した。また、その他の条件は、底材成形温度及びスリット温度とも130℃、作業室環境23℃、50%RHとした。
得られたPTP包装体について、(2)に記載の方法で評価したところ、蓋材表面の平均粗さは0.6μmであり、平滑性に優れていた。
得られたPTP包装体について、(3)に記載の方法で評価したところ、バーコードの読み取りは10回中10回成功し、視認性に優れていた。
得られたPTP包装体について、(4)に記載の方法で評価したところ、机との距離は3mmとカールが少なく、カール抑止性に優れていた。
得られたPTP包装体について、(5)に記載の方法で評価したところ、空気溜まりによる凹部と外部との導通は見られず、外観は良好であった。
実施例2〜4は、表1に記載の通り、蓋材側の金型と基材を、表1に記載のものを用いた以外は実施例1と同様に、蓋材を作製し、PTP包装体を得た。詳細な条件を表1に示す。
実施例2で得られたPTP包装体の空気溜まりの平均径は1.1mm、占有面積割合は6.0%であった。バーコード読み取り性が10回中9回であったが、実用上問題ないレベルであり、その他の評価項目においては全ての評価項目で良好であり、実用上は問題ない結果が得られた。
実施例3で得られたPTP包装体の空気溜まりの平均径は1.8mm、占有面積割合は11.0%であった。バーコード読み取り性が10回中9回であったが、実用上問題ないレベルであり、その他の評価項目においては全ての評価項目で良好であり、実用上は問題ない結果が得られた
実施例4で得られたPTP包装体の空気溜まりの平均径は0.6mm、占有面積割合は3.0%であった。全ての評価項目で良好であり、実用上優れた結果が得られた。
実施例5は、表1に記載の通り、蓋材側の金型には、表面に彫刻による凹凸が無い鏡面板を使用し、底材側の金型には、表1に記載のサイズの凸部を表1に記載の密度で有する金型を用いた以外は実施例1と同様に、蓋材を作製し、PTP包装体を得た。詳細な条件を表1に示す。
実施例5で得られたPTP包装体の空気溜の平均径は0.7mm、占有面積割合は4.0%であった。バーコード読み取り性が10回中10回で良好であり、その他の評価項目においては全ての評価項目で良好であった。
比較例1、2は、通常のアルミ箔を用いたPTP包装体に用いられる、蓋材側の金型にドット状の凸の彫刻を施した金型を用いた以外は実施例1と同様にて蓋材を作製し、PTP包装体を得たものである。詳細な条件を表1に示す。
比較例1は、表1に示す通り、空気溜まりは確認されなかったが、金型とフィルムの接触する面積が小さく熱伝導が不十分なため、シールの接着性が弱くリークテストですべてのポケットにリークが発生し、実用上不適であった。また、金型の凹凸が転写されたことにより、視認性が低下し、バーコードによる読み取り性も10回中5回と不良であった。
比較例2は、比較例1のヒートシール温度を150℃に上昇させた条件で実施したものであるが、リークテストで100個中リークしたポケットは2個とシール性は向上したが、カールが18mmと大きく包装体が変形し、実用上不適と判断される。また、バーコード読み取り性では10回中1度も読み込めず不良であった。
比較例3は、蓋材側及び底材側の両面に、表面に凹凸の無い金型を用いた以外は実施例1と同様にしてヒートシールを行い、PTP包装体を得たものである。詳細な条件を表1に示す。
比較例3で得られたPTP包装体は蓋材と底材の間の空気が抜けず、かつ分散も不良であったため、空気溜まりの平均径が17mm、占有面積割合は22%となった。カールは2mmと良好であったが、リークテストを実施した結果、大きな空気溜の部分からシール部が導通し、100個中32個にリークが発生し、実用上不適であった。
1a 底材の凹部
1b 底材のフランジ部
2 内容物(錠剤)
3 ヒートシール層
3a フィラー
3b 接着性樹脂
4A 蓋材フィルム(基材層)
5 印刷部分
6 表面保護層
8 蓋材
10 包装体
L1 蓋材フィルムの厚み(フランジ部)
L2 底材の厚み(フランジ部)
S ヒートシール層の厚み(フランジ部)
F1 表面
F2 表面
Claims (6)
- 凹部とフランジ部とを有する底材と熱可塑性樹脂を含む基材層を有する蓋材とを備えるプレススルーパック包装体であり、
前記蓋材の前記底材側の表面とは反対側の表面の算術平均粗さ(Ra2)が5.0μm以下であり、
前記底材のフランジ部と前記蓋材との間に存在する空気溜まりの平均径が2.0mm以下であり、
前記底材の深さ方向にみたときに、前記空気溜まりの占める総面積が、前記フランジ部の全面積の2.0%以上である、
ことを特徴とする、プレススルーパック包装体。 - 前記底材の深さ方向にみたときに、前記空気溜まりの占める総面積が、前記フランジ部の全面積の20%以下である、請求項1に記載のプレススルーパック包装体。
- 前記底材が、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリクロロトリフルオロエチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種を含むシートからなる、請求項1又は2に記載のプレススルーパック包装体。
- 包装体全体のカールによるシートの浮きが、5.0mm以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のプレススルーパック包装体。
- 前記蓋材が、スチレン系樹脂を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載のプレススルーパック包装体。
- 平滑面を有する蓋材側の加熱金型と、凹部及び/又は凸部を有する底材側の加熱金型とを用いて、前記蓋材及び前記底材を熱で接着する工程を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載のプレススルーパック包装体の製造方法。
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