以下、点灯装置、照明装置及びそれを用いた車両の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されず、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
(実施形態1)
図1に、実施形態1の点灯装置1の回路図を示す。本実施形態の点灯装置1は、例えば車両(例えば自動車や自動二輪車など)に搭載された照明装置(例えば前照灯など)を点灯させる点灯装置であるが、点灯装置1は車両の前照灯を点灯させるものに限定されず、他の用途に適用してもよい。
本実施形態の点灯装置1は、直流電源回路10と、調光制御回路である制御回路20と、スイッチ部30とを備える。直流電源回路10は直流電圧を出力する。スイッチ部30は、直流電源回路10の出力端子間に半導体光源2と直列に接続されている。スイッチ部30は、半導体光源2に第1電流値の電流を流す第1状態と、半導体光源2に第1電流値よりも小さい第2電流値の電流を流す第2状態とに切り替えられる。制御回路20は、スイッチ部30の状態を第1状態と第2状態とに交互に切り替え、第1状態と第2状態との時間的な割合であるデューティ比を調整することで半導体光源2をPWM調光する。
これにより、PWM調光時の第2状態においても、半導体光源2には第2電流値の電流が流れるから、スイッチ部30に印加される電圧は、直流電源回路10の出力電圧から半導体光源2の両端電圧を引いた電圧となる。したがって、スイッチ部30に印加される電圧が低下し、スイッチ部30の耐電圧を直流電源回路10の出力電圧よりも低い電圧に設定できるから、スイッチ部30に耐電圧がより低い部品を使用できる。スイッチ部30に耐電圧がより低い部品を使用できるから、点灯装置1の小型化や低コスト化を図ることができる。
次に、点灯装置1の回路構成をより詳細に説明する。
本実施形態の点灯装置1は、3つの入力端子t1,t2,t3と、2つの出力端子t4,t5と、直流電源回路10と、制御回路20と、スイッチ部30と、インピーダンス調整回路50とを備える。この点灯装置1は、直流電源100から供給される電力で、半導体光源2を点灯させる。
直流電源100は例えば車両のバッテリである。なお、直流電源100は、交流電源から入力される交流電圧を整流、平滑して直流電圧に変換するAC−DCコンバータでもよい。
半導体光源2は、直列に接続された複数(本実施形態では40個)のLED2aを備えている。なお、半導体光源2は光源としてLED2aを備えるものに限定されず、LED以外の固体発光光源(例えばLED以外のエレクトロルミネッセンス素子、有機EL素子など)を備えていてもよい。半導体光源2を構成する40個のLED2aの直列回路は、出力端子t4と出力端子t5との間に、出力端子t4から半導体光源2を介して出力端子t5へと電流が流れる向きに接続されている。なお、図2にLED2aの順方向電圧−順方向電流特性を示す。
入力端子t1,t2はそれぞれスイッチ101,102を介して直流電源100の正極に電気的に接続されている。入力端子t3は直流電源100の負極に電気的に接続されている。スイッチ101は、半導体光源2の点灯/消灯を切り替えるために用いられる。スイッチ102は、半導体光源2の点灯状態を全点灯状態と調光点灯状態とに切り替えるために用いられる。スイッチ101がオンの状態でスイッチ102がオフの状態になると、半導体光源2は100%の調光レベルで点灯する(この状態を全点灯状態という)。スイッチ101がオンの状態でスイッチ102がオンの状態になると、半導体光源2はあらかじめ設定された調光レベルで点灯する(この状態を調光点灯状態という)。
出力端子t4と出力端子t5との間には半導体光源2が接続されている。
直流電源回路10は、スイッチング素子11と、チョークコイル12と、コンデンサ13,15と、ダイオード14とで構成される昇圧チョッパ回路からなる。
入力端子t1と入力端子t3との間には、コンデンサ13と、チョークコイル12及びスイッチング素子11の直列回路とが並列に接続されている。チョークコイル12及びスイッチング素子11の接続点にはダイオード14のアノードが接続され、ダイオード14のカソードと入力端子t3との間にはコンデンサ15が接続されている。コンデンサ15の高電位側の端子は出力端子t4に接続され、コンデンサ15の低電位側の端子はスイッチ部30を介して出力端子t5に電気的に接続される。スイッチング素子11は、例えばNチャネル型のMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)であり、制御回路20から入力される制御信号S2によってオン/オフが切り替わる。
直流電源回路10は、制御回路20から入力される制御信号S2に応じてスイッチング素子11がスイッチング動作を行うことによって、直流電源100から入力される電源電圧V1を、半導体光源2を点灯させるのに必要な電圧値の直流電圧V2に変換する。
スイッチ部30は、出力端子t5と入力端子t3との間に接続されたスイッチング素子31を有している。全点灯状態ではスイッチング素子31は常にオンの状態(第1状態)に制御される。調光点灯状態ではスイッチング素子31は第1状態と第2状態とに切り替えられる。ここにおいて、「第1状態」とは、半導体光源2に第1電流値の電流(例えば定格負荷電流)を流す状態(飽和状態でオンになる状態)であり、「第2状態」とは、半導体光源2に第1電流値よりも小さい第2電流値の電流を流す状態である。なお、第2電流値は第1電流値の100分の1以下の電流値とするのが好ましい。
制御回路20は、出力制御回路21、コンパレータ22、ORゲート23、ANDゲート24、定電圧源25、発振回路26を構成要素として備えている。
出力制御回路21は例えばマイクロコンピュータを構成要素として備えている。マイクロコンピュータがメモリに記憶されたプログラムを実行することによって、直流電源回路10の出力を制御する機能や、スイッチ部30のオン/オフなどを制御する機能が実現される。このプログラムは電気通信回線を通じて提供されてもよいし、メモリカードなどの記録媒体に記憶されて提供されてもよい。出力制御回路21には、直流電源回路10の入力電圧及び出力電圧V2の電圧値と、電流センサ16によって測定された直流電源回路10の出力電流の電流値とが入力されている。出力制御回路21は、直流電源回路10の出力電流があらかじめ設定された目標値となるように、スイッチング素子11をPWM制御する制御信号S2をANDゲート24に出力する。
コンパレータ22の反転入力端子は入力端子t2に接続され、コンパレータ22の非反転入力端子は定電圧源25に接続されている。スイッチ102がオンの場合には、定電圧源25の電圧値に比べて入力端子t2の電圧(電源電圧V1)が高くなるから、コンパレータ22の出力信号はローになる。一方、スイッチ102がオフの場合には、定電圧源25の電圧値に比べて入力端子t2の電圧が低くなるので、コンパレータ22の出力信号はハイになる。
ORゲート23には、コンパレータ22の出力信号と、発振回路26の矩形波信号とが入力されている。ORゲート23の出力信号S1は、ダイオード53と抵抗52とを介してスイッチング素子31のベースに入力される。
ANDゲート24には、ORゲート23の出力信号S1と、出力制御回路21から出力される制御信号S2とが入力されている。
発振回路26はあらかじめ設定された周波数、デューティ比の矩形波信号を出力する。
インピーダンス調整回路50は、一端がスイッチング素子31のベースに接続された抵抗51を有している。抵抗51の他端は、制御回路20などに一定の直流電圧Vccを供給する制御用の定電圧回路に接続されている。
インピーダンス調整回路50は、PWM調光時の第2状態において、スイッチング素子31の両端間のインピーダンスを、半導体光源2に流れる電流の電流値が第2電流値となるようなインピーダンスに調整する。インピーダンス調整回路50は、全点灯時又はPWM調光時の第1状態では、スイッチング素子31の両端間のインピーダンスを、第2状態でのインピーダンスに比べて非常に小さいインピーダンスに調整する。
次に、本実施形態の点灯装置1の動作について説明を行う。
スイッチ101がオフの状態では、直流電源回路10に電源電圧V1が入力されず、半導体光源2は消灯する。
スイッチ101がオン、スイッチ102がオフの状態では、コンパレータ22の出力信号がハイになり、ORゲート23の出力信号S1がハイの状態を維持するので、スイッチング素子31はオン状態を継続する。出力制御回路21は、出力電圧及び出力電流の検出値に応じて、スイッチング素子11のスイッチング周波数、あるいはデューティ比を調整した制御信号S2をANDゲート24に出力する。ORゲート23の出力信号S1はハイの状態を維持しているので、ANDゲート24からは制御信号S2がそのまま出力され、制御信号S2によってスイッチング素子11のオン/オフが制御される。これにより、直流電源回路10の出力電圧は、あらかじめ設定された出力電流を維持するのに必要な電圧値に制御され、直流電源回路10の出力電流が半導体光源2に供給されて、半導体光源2が点灯する。また、出力制御回路21は直流電源回路10の出力電圧V2を監視している。出力電圧V2の計測値があらかじめ設定された上限電圧を超えると、出力制御回路21は、制御信号S2のオンデューティを小さくするか、又は、制御信号S2の出力を停止してスイッチング動作を停止させることで、出力電圧V2を抑制する過電圧保護制御を行う。
また、スイッチ101,102が共にオンになると、入力端子t2の電圧値が定電圧源25の電圧値よりも高くなり、コンパレータ22の出力信号がローになって、ORゲート23からは発振回路26の矩形波信号がそのまま出力される。すなわち、ORゲート23の出力信号S1は発振回路26の矩形波信号と同じ信号になる。
出力信号S1の信号レベルがハイの期間では、制御回路20からダイオード53と抵抗52とを介してスイッチング素子31にベース電流が流れて、スイッチング素子31が第1状態(飽和領域でオンとなる状態)になり、半導体光源2に電流が流れる。スイッチング素子31が第1状態になると、スイッチング素子31の両端間のインピーダンスは、半導体光源2に第1電流値の電流(例えば定格点灯電流)を流すことができるようなインピーダンスとなる。
ここで、半導体光源2を構成する40個のLED2aの定格点灯電流を50[mA]、順方向電圧を2.8[V]とすると、半導体光源2に定格点灯電流が流れている場合、半導体光源2の両端電圧は約112[V]となる。スイッチング素子31の電流増幅率をβとすると、スイッチング素子31のオン時(第1状態)にスイッチング素子31に定格点灯電流を流すには、スイッチング素子31に少なくとも(50/β)[mA]以上のベース電流を流す必要がある。したがって、抵抗52の抵抗値は、第1状態においてベース電流が(50/β)[mA]以上になるような抵抗値に設定されている。
出力信号S1の信号レベルがローになると、ANDゲート24の出力もローになり、出力制御回路21の制御信号S1がANDゲート24から出力されなくなる。このとき、スイッチング素子11がオフになって、直流電源回路10のスイッチング動作が停止されるので、出力電流が低下しても直流電源回路10の出力電圧V2は上昇しない。なお、直流電源回路10の出力電圧V2が上昇しなくても、直流電源回路10の出力端には平滑用のコンデンサ15が接続されているので、出力電圧V2はゆっくりと低下する。
また、出力信号S1の信号レベルがローになると、制御回路20からスイッチング素子31にベース電流が流れなくなる。ここで、スイッチング素子31が完全にオフになって、出力電流がゼロになった場合、定格負荷電圧(約112V)が全てスイッチング素子31に印加されるため、スイッチング素子31は少なくとも120Vの耐電圧が必要になる。LED2aの順方向電圧のばらつきや温度特性などを考慮すると、更に高い耐電圧のスイッチング素子が必要になる。
そこで、本実施形態では、出力信号S1の信号レベルがローの期間に、定電圧回路から抵抗51を通してスイッチング素子31に微小なベース電流を流し、スイッチング素子31を第2状態に切り替えている。第2状態では、スイッチング素子31の両端間のインピーダンス(オン抵抗)が、半導体光源2に流れる電流の電流値を第2電流値とするようなインピーダンスに調整される。ここで、第2電流値は、第1状態において半導体光源2に流れる電流(例えば定格点灯電流)の100分の1以下の電流値とすることが好ましい。例えば、第2電流値を定格点灯電流の1000分の1の電流値(0.05[mA])とする場合は、スイッチング素子31のベースに(0.05/β)[mA]のベース電流が流れるように、抵抗51の抵抗値を設定すればよい。このようなベース電流をスイッチング素子31に流すことによって、半導体光源2に流れる電流が定格点灯電流の1000分の1の電流(0.05[mA])となり、LED2aには1個当たり2.45[V]の順方向電圧が発生する。したがって、半導体光源2の全体では98Vの電圧降下が発生するので、スイッチング素子31に印加される電圧は14Vに低減され、スイッチング素子31に耐電圧の低い素子を使用することができる。
スイッチ101,102が共にオンの場合には、矩形波信号となる出力信号S1のハイ/ローに応じて、スイッチング素子31が第1状態と第2状態とに交互に切り替えられる。したがって、出力電流が第1電流値となる期間と第2電流値となる期間とが交互に繰り返されることで、半導体光源2がPWM調光されるのである。半導体光源2に流れる電流値を低下させることで調光する場合は出力光の色味が変化する可能性があるが、本実施形態では、第1状態と第2状態とのデューティ比を調整することで調光しているので、出力光の色味の変化を抑制しつつ調光することができる。
なお、ダイオード53は、PWM調光時において出力信号S1の信号レベルがローになった場合に、定電圧回路から抵抗51を介してスイッチング素子31に供給されるベース電流が抵抗52側に流れないように設けられている。抵抗51,52の抵抗値などの条件によってはダイオード53を省略することも可能である。
また、図1の回路構成では、PWM調光時の第2状態において、定電圧回路から抵抗51を介してスイッチング素子31にベース電流を供給しているが、直流電源100や直流電源回路10の出力からベース電流を流すような回路構成でもよい。
また、第1状態において半導体光源2に流れる定常点灯電流に比べて、第2状態において半導体光源2に流れる電流を十分小さい値(例えば100分の1以下)にすれば、第2状態での半導体光源2の光出力は、PWM調光時の平均光出力にほとんど影響しない。
本実施形態の点灯装置1の他の回路例を図3に基づいて説明する。なお、図1に示す点灯装置1と共通する構成要素には、同一の符号を付して説明を省略する。
図3に示す点灯装置1では、PWM調光用のスイッチング素子31とともに電流ミラー回路を構成するスイッチング素子54を備えている。スイッチング素子54はnpn型のトランジスタであり、スイッチング素子54のベース及びコレクタはスイッチング素子31のベースに接続され、スイッチング素子54のエミッタは抵抗55を介して回路のグランドに接続される。また、スイッチング素子31と直列に電流検出用の抵抗17が接続されている。
図3に回路構成を示した点灯装置1では、PWM調光時に出力信号S1の信号レベルがハイになると、制御回路20からダイオード53及び抵抗52を介してトランジスタ54にコレクタ電流が流れる。
ここで、出力信号S1の信号レベルがハイとなる場合の電圧値をVS1、抵抗17,51,52,55の抵抗値をそれぞれR17,R51,R52,R55とする。スイッチング素子31,54のベース−エミッタ間電圧及びダイオード53の順方向電圧を0[V]、スイッチング素子31,54の電流増幅率を無限大と仮定し、抵抗51に流れる電流が、抵抗52に流れる電流に比べて非常に小さいとする。また、抵抗値R17,R55は、抵抗値R51,R52に比べて非常に小さい抵抗値に設定されている。この場合、スイッチング素子54のコレクタ電流はVS1/R52となり、スイッチング素子31のコレクタ電流は(R55/R17)×(VS1/R52)となる。ここで、第1状態で半導体光源2に流れる電流の電流値に対して、(R55/R17)×(VS1/R52)の値が十分大きければ、スイッチング素子31の第1状態でのインピーダンスは十分に小さくなる。
一方、出力信号S1の信号レベルがローになる場合(第2状態)、スイッチング素子54のコレクタ電流は定電圧回路から抵抗51を介して流れる電流のみになる。
ここにおいて、第2状態で半導体光源2に流れる電流は、第1状態で半導体光源2に流れる電流に比べて非常に小さい電流(例えば100分の1以下の電流)に設定される。したがって、第2状態で半導体光源2に流れる電流の電流値をImとすると、スイッチング素子54のコレクタ電流が(R17/R55)×Imとなるように抵抗17,55の抵抗値が設定されていればよい。
これにより、第2状態においても、第1状態に比べて非常に小さい電流が半導体光源2に流れるから、スイッチング素子31に印加される電圧を小さくでき、スイッチング素子31に耐電圧の小さい素子を使用できる。
なお、図3の回路では、第2状態において、スイッチング素子31に流れる電流値を設定するスイッチング素子54に、定電圧回路から抵抗51を介してコレクタ電流を流しているが、直流電源100や直流電源回路10からコレクタ電流を流しても良い。
なお、図1及び図3の点灯装置1では、PWM調光用のスイッチング素子31がトランジスタであるが、スイッチング素子31はトランジスタに限定されない。スイッチング素子31はIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)やMOSFETなどのスイッチング素子でもよく、制御回路20から出力されるPWM調光用の出力信号S1で第1状態と第2状態とが切り替えられるようなスイッチング素子であればよい。
また、本実施形態の点灯装置1では、PWM調光用のスイッチング素子31が直流電源回路10の低電位側の出力端に接続されているが、PWM調光用のスイッチング素子31は直流電源回路10の高電位側の出力端に接続されてもよい。
また、本実施形態の点灯装置1において、インピーダンス調整回路50を更に備えてもよい。スイッチ部30は、直流電源回路10の出力端子間に半導体光源2を介して接続されたスイッチング素子31を有している。スイッチング素子31は、インピーダンスを調整可能な制御端子を有している。インピーダンス調整回路50は、PWM調光時の第2状態において、制御端子に入力する信号(電流又は電圧)を調整することで、スイッチング素子31のインピーダンスを、半導体光源2に流れる電流の電流値が第2電流値となるようなインピーダンスに調整する。
このように、インピーダンス調整回路50は、PWM調光時の第2状態において、スイッチング素子31のインピーダンスを、半導体光源2に流れる電流の電流値が第2電流値となるようなインピーダンスに調整している。これにより、スイッチング素子31に印加される電圧を低減でき、スイッチング素子31に耐電圧がより低い素子を使用できる。
また、本実施形態の点灯装置1において、電源制御回路(制御回路20)を更に備えてもよい。直流電源回路10は、直流電源100から入力される電源電圧をスイッチングすることによって電圧変換を行う電圧変換回路(例えば昇圧チョッパ回路)を有している。電源制御回路は、電圧変換回路のスイッチング動作を制御する。電源制御回路は、PWM調光時の第2状態においてはスイッチング動作を停止するように電圧変換回路を制御する。
このように、電源制御回路となる制御回路20は、PWM調光時の第2状態においてはスイッチング動作を停止するように電圧変換回路を制御するので、出力電流が低下した場合に直流電源回路10の出力電圧V2の増加を抑制できる。
(実施形態2)
図4に、実施形態2の点灯装置1の回路図を示す。実施形態1の点灯装置1と共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。
本実施形態の点灯装置1では、PWM調光用のスイッチ部30が、スイッチング素子32と、スイッチング素子32に並列に接続されたバイパス回路33とを備えている。
スイッチング素子32は、例えばNチャネル型のMOSFETであり、制御回路20からゲート電極に直接入力される出力信号S1に応じてオン又はオフに切り替えられる。すなわち、PWM調光時において、出力信号S1の信号レベルがハイになるとスイッチング素子32はオンになり、スイッチング素子32には定格点灯電流が流れる。一方、PWM調光時において、出力信号S1の信号レベルがローになるとスイッチング素子32はオフになり、スイッチング素子32には電流が流れない。
バイパス回路33は例えば抵抗であり、半導体光源2に流れる電流の電流値が第2電流値となるようなインピーダンスを有している。なお、バイパス回路33は抵抗に限定されず、所定のインピーダンスを有するような回路要素であれば、抵抗以外の回路要素でもよい。
本実施形態では、PWM調光時において出力信号S1の信号レベルがハイになるとスイッチング素子32はオンになるので、スイッチング素子32を介して半導体光源2に定常点灯電流(第1電流値の電流)が流れる。一方、PWM調光時において出力信号S1の信信号レベルがローになるとスイッチング素子32はオフになり、バイパス回路33を介して半導体光源2に第2電流値の電流が流れる。すなわち、第1状態ではスイッチング素子32を介して半導体光源2に電流が流れ、第2状態ではバイパス回路33を介して半導体光源2に電流が流れることになる。
これにより、PWM調光時においてPWM調光用のスイッチング素子32がオフとなる場合でも、バイパス回路33を介して半導体光源2に微小な電流が流れるから、スイッチング素子32に印加される電圧を低減できる。
なお、バイパス回路33は定電流(第2電流値の電流)を流す定電流回路でもよく、定電流回路で実現されたバイパス回路40を備える点灯装置1の回路図を図5に示す。図5に回路構成を示す点灯装置1において、図4で説明した点灯装置1と共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図5の点灯装置1では、PWM調光用のスイッチ部30が、定電流回路で実現されたバイパス回路40と、スイッチング素子32とで構成されている。
バイパス回路40は、npn型のトランジスタ41と、定電圧源42と、抵抗43とを備えている。トランジスタ41のコレクタは、半導体光源2とスイッチング素子32との接続点に接続されている。トランジスタ41のベースには定電圧源42が接続され、トランジスタ41のエミッタは抵抗43を介して回路のグランドに接続されている。
このバイパス回路40では、トランジスタ41をエミッタフォロア動作させており、トランジスタ41のベースに印加される定電圧源42の電圧値によってエミッタ端子電圧が決定される。したがって、トランジスタ41のエミッタ電流は、エミッタ端子電圧と抵抗43の抵抗値とで決まる一定の電流となる。ベース電流が無視できるほど小さければ、コレクタ電流はエミッタ電流とほぼ同じになるので、トランジスタ41のコレクタには一定の電流が流れることになる。なお、バイパス回路40を構成する定電流回路は図5の回路例に限定されず、適宜変更が可能である。
また、本実施形態では、PWM調光用のスイッチング素子32がMOSFETであるが、スイッチング素子32はバイポーラトランジスタやIGBTなどのスイッチング素子でもよい。
また、本実施形態では、PWM調光用のスイッチング素子32が直流電源回路10の低電位側の出力端に接続されているが、図6に示すように、PWM調光用のスイッチング素子32が直流電源回路10の高電位側の出力端に接続されてもよい。図6に回路構成を示す点灯装置1において、図4又は図5で説明した点灯装置1と共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図6に示す点灯装置1では、スイッチ部30がスイッチング素子32と抵抗34とを備えている。
スイッチング素子32はPチャネル型のMOSFETであり、直流電源回路10の高電位側の出力端と出力端子t4との間に接続されている。スイッチング素子32のゲート・ソース間には抵抗57及びツェナーダイオード59の並列回路が接続されている。スイッチング素子32のゲート電極は抵抗58とスイッチング素子56とを介して直流電源回路10の低電位側の出力端に接続されている。スイッチング素子56はNチャネル型のMOSFETであり、スイッチング素子56のゲート電極には制御回路20の出力信号S1が直接入力されている。
抵抗34はバイパス回路を構成しており、抵抗34のインピーダンスは、PWM調光時の第2状態において半導体光源2に流れる電流が第2電流値となるようなインピーダンスに設定されている。なお、バイパス回路は、抵抗34に限定されず、第2状態において半導体光源2に流れる電流が第2電流値となるようなインピーダンスを有する回路要素であれば抵抗以外の回路要素でもよい。
PWM調光時以外の動作は実施形態1の点灯装置1と同様であるので、その説明を省略する。
PWM調光時に出力信号S1の信号レベルがハイになると、レベルシフト用のスイッチング素子56がオンになり、スイッチング素子32のソース電極から抵抗57,58を介して電流が流れる。このとき、スイッチング素子32のゲート電極には、直流電源回路10の出力電圧V2を抵抗57,58で分圧した電圧が印加される。ソース電極の電圧を基準にしてゲート電極の電圧がしきい値電圧を超えて低下すると、スイッチング素子32がオンになり、半導体光源2に第1電流値の電流が流れる。
PWM調光時に出力信号S1の信号レベルがローになると、レベルシフト用のスイッチング素子56がオフになる。スイッチング素子56がオフになると、抵抗57,58には電流が流れず、スイッチング素子32のゲート電極の電圧はソース電極の電圧とほぼ同じ電圧になり、スイッチング素子32はオフになる。スイッチング素子32がオフになると、抵抗34を介して半導体光源2に第2電流値の電流が流れるから、半導体光源2に電圧降下が発生し、スイッチング素子32に印加される電圧が低減される。
上述のように点灯装置1のスイッチ部30はスイッチング素子32とバイパス回路(バイパス回路33,40又は抵抗34)とを有してもよい。スイッチング素子32は、直流電源回路10の出力端子間に半導体光源2を介して接続される。バイパス回路は、半導体光源2に流れる電流の電流値を第2電流値とするようなインピーダンスを有し、PWM調光時の第2状態においてスイッチング素子32と並列に接続される。
PWM調光時の第2状態において、バイパス回路を介して半導体光源2に電流を供給することによって、半導体光源2に電圧降下を発生させ、スイッチング素子31に印加される電圧を低減できるから、スイッチング素子31に耐電圧がより低い素子を使用できる。
なお、本実施形態では、バイパス回路がスイッチング素子32と常に並列に接続されているが、PWM調光時の第2状態のみに、スイッチング素子32と並列にバイパス回路を接続するスイッチを有してもよい。
(実施形態3)
図7に実施形態3の点灯装置1の回路図を示す。なお、実施形態1で説明した点灯装置1と共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。
実施形態1の点灯装置1では、インピーダンス調整回路50が、PWM調光時の第2状態において、半導体光源2に流れる電流を第2電流とするようなインピーダンスにスイッチング素子31のインピーダンスを設定している。
それに対して、本実施形態のインピーダンス調整回路50は、PWM調光時の第2状態において、スイッチング素子32の両端電圧の計測値が上限電圧値を超えないように、スイッチング素子32のオン抵抗を調整している。
図7の回路構成では、出力端子t5と直流電源回路10の低電位側の出力端との間に、スイッチ部30を構成するスイッチング素子32が接続されている。スイッチング素子32はNチャネル型のMOSFETである。
インピーダンス調整回路50は、ツェナーダイオード60と抵抗61とを備える。ツェナーダイオード60のカソードはスイッチング素子32のドレイン電極に接続され、ツェナーダイオード60のアノードはスイッチング素子32のゲート電極に接続されている。抵抗61は、スイッチング素子32のゲート電極と、制御回路20の出力端(ORゲート23の出力端子)との間に接続されている。
PWM調光時以外の動作は実施形態1の点灯装置1と同様であるので、その説明を省略する。
PWM調光時において出力信号S1の信号レベルがローになると、スイッチング素子32がオフになり、ドレイン電圧が上昇する。スイッチング素子32のドレイン電圧がツェナーダイオード60のツェナ電圧VZ60を超えると、ツェナーダイオード60が導通し、ドレイン電圧からツェナ電圧VZ60を差引いた電圧が抵抗61およびゲート電極に印加される。ドレイン電圧が更に上昇し、ツェナ電圧VZ60にスイッチング素子32のしきい値電圧Vthを加算した電圧付近に達すると、スイッチング素子32がオンし始め、ドレイン・ソース電極間のインピーダンスが低下して、半導体光源2に電流が流れ始める。半導体光源2に流れる電流が増加すると、ドレイン電圧が低下し、ドレイン・ソース電極間のインピーダンスが上昇するので、ドレイン・ソース電極間電圧は、電圧値(VZ60+Vth)付近で安定化する。よって、電圧値(VZ60+Vth)が、スイッチング素子32の耐電圧よりも小さい所定の電圧値となるようなツェナーダイオード60を選定すれば、スイッチング素子32に加わるストレスを低減できる。
なお、電圧値(VZ60+Vth)をあまり低く設定すると、スイッチング素子32が第2状態であるにもかかわらず、スイッチング素子32に流れる電流が第2電流値まで減少せず、調光時の平均光出力に影響する。したがって、LED2aの順方向電圧−順方向電流特性を考慮し、電圧値(VZ60+Vth)をある程度高い電圧値に設定することで、第2状態において半導体光源2に流れる電流を、定格点灯電流に比べて十分小さい電流値に抑制することができる。
図7の回路構成では、スイッチング素子32の両端電圧を直接計測するために、ツェナーダイオード60がドレイン・ゲート電極間に接続されているが、この構成に限定するものではない。PWM調光時の第2状態において、スイッチング素子32の両端電圧を計測し、この両端電圧が所定電圧を超えないように、スイッチング素子32の制御端子(ゲート電極)に入力する信号を調整するような回路構成であれば、どのような回路構成でもよい。
また、図7の回路構成ではスイッチング素子32がMOSFETであるが、バイポーラトランジスタやIGBTなどのスイッチング素子でもよい。
また、図7の回路構成では、PWM調光用のスイッチング素子32が直流電源回路10の低電位側の出力端に接続されているが、図8に示すように、PWM調光用のスイッチング素子32は直流電源回路10の高電位側の出力端に接続されてもよい。
図8の回路構成では、直流電源回路10の高電位側の出力端と出力端子t4との間に、スイッチ部30を構成するスイッチング素子32が接続されている。
スイッチング素子32はPチャネル型のMOSFETである。直流電源回路10の出力端子間には抵抗57,58とスイッチング素子56との直列回路が接続されている。スイッチング素子56のゲート電極には制御回路20の出力信号S1が入力されている。抵抗57,58の接続点はスイッチング素子32のゲート電極に接続されている。スイッチング素子32のゲート電極にはツェナーダイオード62のカソードが接続されている。ツェナーダイオード62のアノードにはダイオード63のアノードが接続され、ダイオード63のカソードは抵抗65を介して直流電源回路10の低電位側の出力端子に接続されている。また、スイッチング素子32のドレイン電極にはダイオード64のアノードが接続され、ダイオード64のカソードはダイオード63と抵抗65との接続点に接続されている。ここにおいて、抵抗57,58,65、ツェナーダイオード62、ダイオード63,64、スイッチング素子56などからインピーダンス調整回路50が構成される。
PWM調光時以外の動作は実施形態1の点灯装置1と同様であるので、その説明を省略する。
PWM調光時において出力信号S1の信号レベルがハイになり、スイッチング素子56がオンになると、スイッチング素子32のゲート電極には、直流電源回路10の出力電圧V2を抵抗57,58で分圧した電圧が印加される。この時、スイッチング素子32のソース電圧(出力電圧V2)とゲート電圧との電位差(抵抗57の両端電圧)はしきい値電圧Vth32以上になるので、スイッチング素子32がオンになり、直流電源回路10から半導体光源2に定格点灯電流が供給される。
PWM調光時において出力信号S1の信号レベルがローになり、スイッチング素子56がオフになると、スイッチング素子32のゲート電圧が上昇する。ゲート電圧が上昇すると、スイッチング素子32のインピーダンスが増加して、半導体光源2に流れる電流が低下し、出力端子t4の電圧が低下する。ダイオード63と抵抗65との接続点は、ダイオード64を介して出力端子t4に接続されているので、ダイオード63と抵抗65との接続点の電位は出力端子t4の電圧とほぼ同じ電圧になる。出力端子t4の電圧が低下することで、直流電源回路10の出力電圧V2と出力端子t4の電圧との電位差が、ツェナーダイオード62のツェナー電圧VZ62を上回ると、抵抗65への電流の一部がツェナーダイオード62側から供給されるようになる。この電流によって抵抗57の電圧降下量、すなわちスイッチング素子32のゲート電圧が制御され、スイッチング素子32のインピーダンスが調整される。
直流電源回路10の出力電圧V2と出力端子t4との電位差が(VZ62+Vth32)よりも大きいほど、スイッチング素子32のゲート電圧が低下して、スイッチング素子32のインピーダンスが低下するから、出力端子t4の電圧値が上昇する。逆に、直流電源回路10の出力電圧V2と出力端子t4との電位差が(VZ62+Vth32)より小さいほど、スイッチング素子32のゲート電圧が上昇して、スイッチング素子32のインピーダンスが増加するから、出力端子t4の電圧値が低下する。すなわち、PWM調光時において出力信号S1の信号レベルがローになる期間(第2状態)では、スイッチング素子32の両端間の電圧(ドレイン−ソース間電圧)を(VZ62+Vth32)付近に調整することができる。
これにより、第2状態において半導体光源2に流れる電流は、第1状態において半導体光源2に流れる電流よりも非常に小さい電流値に制御される。
なお、図8に示す回路構成は一例であって、点灯装置1の回路構成を図8の回路構成に限定する趣旨ではない。PWM調光時の第2状態において、スイッチング素子32の両端電圧を差動増幅回路などで検出し、スイッチング素子32の両端電圧が所定電圧を超えないよう、スイッチング素子32の制御端子を調整する構成であれば、点灯装置1はどのような回路構成でもよい。
また、図8に示す点灯装置1では、PWM調光用のスイッチング素子32がMOSFETであるが、バイポーラトランジスタやIGBTなどのスイッチング素子でもよい。
上述のように、点灯装置1のインピーダンス調整回路50は、PWM調光時の第2状態において、スイッチング素子32の両端電圧を直接又は等価的に計測した計測値が、スイッチング素子32の耐電圧よりも低い上限電圧値を超えないように、スイッチング素子32の両端間のインピーダンスを調整してもよい。
これにより、スイッチング素子32の両端電圧を上限電圧値を超えないように制御できる。
なお、本実施形態の構成を実施形態2の点灯装置1に適用してもよい。
(実施形態4)
図9に実施形態4の点灯装置1の回路図を示す。なお、実施形態1で説明した点灯装置1と共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。
実施形態1〜3では、PWM調光時にスイッチング素子31が第2状態になる場合、直流電源回路10のスイッチング動作を停止して、直流電源回路10の出力電圧V2が過度に上昇しないようにしている。一方、PWM調光時にスイッチング素子31が第2状態から第1状態に切り替わり、直流電源回路10がスイッチング動作を再開した場合に、出力電流が急速に増加しないため、再開直後に出力電圧V2がオーバーシュートし、それによって出力電流に過電流が生じる可能性がある。
このため、本実施形態の点灯装置1では、インピーダンス調整回路50に過電流保護回路の機能を追加している。
本実施形態の点灯装置1では、スイッチ部30が、npn型のトランジスタであるスイッチング素子31からなり、スイッチング素子31のコレクタと入力端子t3との間には出力電流を検出するための抵抗17が接続されている。
インピーダンス調整回路50は、トランジスタ71,72と抵抗73〜76とを用いた差動増幅回路である。
抵抗17とスイッチング素子31の接続点にはトランジスタ72のベースが接続されており、差動増幅回路の一方のトランジスタ72のベースに出力電流に比例した電圧が印加される。差動増幅回路の他方のトランジスタ71のベースには、制御回路20の出力信号S1を抵抗74,75で分圧した電圧が印加されており、トランジスタ71のコレクタはスイッチング素子31のベースに接続されている。また、スイッチング素子31のベースには、出力端子t5の電圧を抵抗76,77で分圧した電圧が印加されている。また、トランジスタ72のベースに入力されるベース電圧VB72は、抵抗17の両端間に発生する電圧とほぼ同じ電圧になる。
PWM調光時以外の動作は実施形態1の点灯装置1と同様であるので、その説明を省略する。
PWM調光時に出力信号S1の信号レベルがハイの場合で、半導体光源2に流れる出力電流が第1電流値程度であれば、トランジスタ72のベース電圧VB72(抵抗17の両端電圧)がトランジスタ71のベース電圧VB71よりも低くなるように、抵抗17及び分圧抵抗74,75の抵抗値は設定されている。半導体光源2に過電流が流れて、トランジスタ72のベース電圧VB72がトランジスタ71のベース電圧VB71まで上昇すると、トランジスタ72のコレクタ電流が増加する。これにより、トランジスタ71のコレクタ電流が減少し、スイッチング素子31のベース電流が低下するので、半導体光源2に流れる電流を低下させるように、過電流保護回路としてのインピーダンス調整回路50が動作する。
また、PWM調光時に出力信号S1の信号レベルがローの場合は、差動増幅回路を構成するトランジスタ71のベース電圧が低下し、トランジスタ71がオフになることで、スイッチング素子31が第2状態となり、スイッチング素子31の両端電圧、すなわちエミッタ電圧が上昇する。このとき、スイッチング素子31のベース電圧もエミッタ電圧とほぼ同じ電圧に上昇するので、抵抗77を介してベース電流が流れる。第2状態におけるエミッタ電圧VE31を制限するために、出力電流を第1モードでの第1電流値(定常負荷電流)よりも十分小さい第2電流値Imとする場合、抵抗77の抵抗値R77を、R77=VE31/(Im/β)となるように設定すればよい。これにより、第2状態において半導体光源に第2電流値Imを流すことができ、半導体光源2に電圧降下を発生させることで、スイッチング素子31の両端電圧が低減される。
以上のように、インピーダンス調整回路50が、PWM制御時に制御回路20の出力信号S1に応じて、スイッチング素子31を第1状態と第2状態とに切り替えることで、半導体光源2を調光しつつ、過電流に対する保護動作を行うことができる。
なお、PWM調光用のスイッチング素子31に過電流保護機能を付加する過電流保護回路の回路構成は、図9の回路構成に限定されず、同様の動作を行う回路であれば、他の回路構成でも良い。例えば図10に示す点灯装置1は、PWM調光用のスイッチング素子31がnpn型のトランジスタであり、作動増幅回路をオペアンプ79で実現している。
図10に示す点灯装置1でも、図9に示す点灯装置1と同様の回路動作を行うことで過電流に対する保護機能を実現できる。
図10に示す点灯装置1では、PWM調光時に出力信号S1がローになる第2状態では、スイッチング素子31のコレクタ電圧が上昇する。第2状態においてスイッチング素子31のコレクタ電圧V31を制限するために、出力電流を第1電流値(定格負荷電流)に比べて小さい第2電流値Imとする場合、抵抗76の抵抗値R76を、R76=V31/(Im/β)となるように設定すればよい。これにより、第2状態において半導体光源2に第2電流値Imの出力電流を流すことができ、半導体光源2の電圧降下によって、スイッチング素子31に印加される電圧値を低減できる。なお、第2状態ではオペアンプ79の出力がローになるため、抵抗76を流れる電流がオペアンプ79に流れ込まないように、抵抗76とオペアンプ79の出力端との間にダイオード80が接続されている。
上述のように、点灯装置1は、過電流保護回路(本実施形態ではインピーダンス調整回路50が兼用)を更に備えてもよい。過電流保護回路は、PWM調光時および全点灯時のそれぞれにおいて、スイッチ部30が第1状態の場合に半導体光源2に流れる電流の計測値が上限電流値を超えないように、スイッチ部30の両端間のインピーダンスを調整する。
これにより、点灯装置1を構成する回路部品を過電流から保護することができる。
(実施形態5)
図11に実施形態5の点灯装置1の回路図を示す。なお、本実施形態の点灯装置1は、実施形態3で説明した図7に示す点灯装置1と共通の回路構成を有しており、実施形態3の点灯装置1と共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。
上述の実施形態1〜4では、PWM調光時にスイッチング素子31又は32を第2状態とする場合に、直流電源回路10のスイッチング動作を停止するため、PWM調光時にはANDゲート24でスイッチング素子11に制御信号が入力されないようにしている。
それに対して、本実施形態の点灯装置1では、PWM調光時にスイッチング素子32が第2状態となる場合に、スイッチング素子32の両端間に発生する高い電圧を、出力信号の検出値(電圧信号)に重畳させて出力制御回路21に入力させている。出力制御回路21は、第2状態において、スイッチング素子32の両端間に発生する高い電圧を、出力信号の検出値(電圧信号)に重畳した信号が入力されるから、出力電流が過大であるような検知状態となり、直流電源回路10の出力を抑制するように動作する。
図11の点灯装置1では、PWM調光用のスイッチング素子32がNチャネル型のMOSFETであり、スイッチング素子32のドレイン電極にツェナーダイオード60のカソードが接続され、ゲート電極にツェナーダイオード60のアノードが接続されている。電流センサ16は、出力電流の大きさに比例した電圧信号を測定信号として出力する。そして、本実施形態では、電流センサ16の測定信号(出力電流の大きさに比例した電圧値の信号)と、ツェナーダイオード60のカソードの電圧(出力端子t5の電圧)とを加算回路82で加算した電圧信号を出力制御回路21に入力している。
本実施形態では、PWM調光時にスイッチング素子32が第1状態となる場合、スイッチング素子32のインピーダンスが十分小さく、出力端子t5の電圧レベルはほぼゼロとなるから、電流センサ16の測定信号がそのまま出力制御回路21に入力される。一方、PWM調光時にスイッチング素子32が第2状態となる場合、スイッチング素子32の両端電圧が上昇するため、加算回路82の出力が増大し、出力制御回路21には、過大な出力電流が流れているのと同様の計測信号が入力されることになる。これにより、出力制御回路21は、直流電源回路10のスイッチング動作を停止させるか、又は、直流電源回路10の出力電圧を低下させるような制御動作を行う。
図12は、電流センサ16の代わりに抵抗17が接続された場合の回路構成を示し、抵抗17の両端電圧はスイッチング素子32を介して出力制御回路21に入力されている。
PWM調光時にスイッチング素子32が第1状態となる場合、スイッチング素子32のインピーダンスが十分小さく、スイッチング素子32の両端電圧はほぼゼロとなるから、電流センサ16の測定信号がそのまま出力制御回路21に入力される。一方、PWM調光時にスイッチング素子32が第2状態となる場合、スイッチング素子32の両端電圧が上昇するため、出力制御回路21には、過大な出力電流が流れているのと同様の計測信号が入力されることになる。これにより、出力制御回路21は、直流電源回路10のスイッチング動作を停止させるか、又は、直流電源回路10の出力電圧を低下させるような制御動作を行う。
また、図13に示すように、PWM調光時の第2状態において、スイッチング素子32の両端間に発生する高い電圧を、直流電源回路10の出力電圧V2の計測値に重畳させて制御回路20入力させてもよい。
制御回路20は、直流電源回路10の出力電圧V2の計測値を用いて過電圧保護を行う過電圧保護回路29を備えている。また、制御回路20は、直流電源回路10の入力電圧を監視する入力電圧監視回路28を備えている。
ANDゲート24には、入力電圧監視回路28の出力と、過電圧保護回路29の出力と、出力制御回路21から出力される制御信号とが入力されている。
したがって、直流電源回路10の入力電圧及び出力電圧が正常範囲にある場合のみ、ANDゲート24は出力制御回路21から入力された制御信号をスイッチング素子11のゲート電極に出力する。
過電圧保護回路29は、コンパレータ291と定電圧源292とを備えている。
コンパレータ291の反転入力端子は、抵抗294を介して直流電源回路10の高電位側の出力端に接続され、かつ、抵抗293を介して出力端子t5に接続されている。コンパレータ291の非反転入力端子には定電圧源292が接続されている。
ここで、PWM調光時にスイッチング素子32が第1状態となる場合、出力端子t5の電圧は回路のグランドレベルとなるため、直流電源回路10の出力電圧V2を抵抗294,293で分圧した電圧がコンパレータ291の反転入力端子に入力される。この場合、反転入力端子の電圧レベルが定電圧源292の電圧レベルを下回るように、抵抗294,293の電圧値は設定されており、コンパレータ291の出力信号はハイになる。したがって、直流電源回路10のスイッチング素子11には出力制御回路21の出力信号が入力され、直流電源回路10はスイッチング動作を継続する。
このとき、半導体光源2の開放故障や出力端子からの脱落などが発生して、直流電源回路10の出力電圧V2が上昇し、コンパレータ29の反転入力端子の電圧レベルが定電圧源292の電圧レベルを上回ると、コンパレータ29の出力はローになる。これにより、ANDゲート24の出力はローになり、スイッチング素子11のゲート電極に制御信号S2が入力されなくなるから、直流電源回路10がスイッチング動作を停止して、出力電圧V2に生じる過電圧を抑制できる。
一方、PWM調光時にスイッチング素子32が第2状態となる場合、直流電源回路10の出力電圧V2と、スイッチング素子32の両端間に発生した電圧とを抵抗294,293で分圧した電圧がコンパレータ291の反転入力端子に入力される。第2状態では、スイッチング素子32の両端電圧が上昇し、抵抗294,293で分圧した電圧レベルが定電圧源292の電圧レベルを上回るため、コンパレータ291の出力がローになり、直流電源回路10のスイッチング素子11に制御信号が入力されなくなる。これにより、直流電源回路10がスイッチング動作を停止し、直流電源回路10の出力電圧が増加しすぎる事態を回避できる。
このように、直流電源回路10の出力電圧の計測値に、PWM調光時においてスイッチング素子32が第2状態となった場合に発生する電圧を重畳するようにすれば、直流電源回路10のスイッチング動作を停止させるか、又は、出力電圧V2を抑制できる。
上述のように、点灯装置1は、電源制御回路(本実施形態では制御回路20が兼用)を更に備えてもよい。直流電源回路10は、直流電源100から入力される電源電圧をスイッチングすることによって電圧変換を行う電圧変換回路(例えば昇圧チョッパ回路)を有している。電源制御回路は、直流電源回路10の出力電圧又は出力電流の計測値に基づいて電圧変換回路10のスイッチング動作を制御する。電源制御回路は、PWM調光時の第2状態においては、スイッチ部30の両端電圧に比例した加算値を計測値に重畳させた値に基づいて、電圧変換回路のスイッチング動作を制御する。
PWM調光時の第2状態ではスイッチ部30の両端電圧が増加するので、電源制御回路は、電圧変換回路のスイッチング動作を抑制するような動作を行うから、直流電源回路10の出力電圧が増加しすぎる事態を回避できる。
なお、このような機能を実現するための回路構成は図11、図12、図13に示す回路構成に限定されず、同様の動作を実現可能な回路構成であれば、他の回路構成でもよい。
また、実施形態1〜5の点灯装置1では、直流電源回路10が昇圧チョッパ回路であったが、直流電源回路10は、昇降圧チョッパやフライバックコンバータ、フォワードコンバータなどでもよい。すなわち、直流電源回路10は、電源からインダクタ要素に供給される電力をスイッチング素子によって高周波で断続させることで、少なくとも負荷と直列に接続されたインダクタ要素から整流回路を介して負荷側に出力し、出力電圧を電源電圧に対し昇圧又は昇降圧させる構成であれば、どのような回路構成でもよい。
また、実施形態1〜5の点灯装置1は、入力端子t2に所定の電圧値が印加されると、全点灯状態から調光点灯状態に切り換わる段調光の点灯装置であったが、調光器などから入力された矩形波状の調光信号に応じて連続調光を行う点灯装置でもよい。
更に、実施形態1〜5の点灯装置1の制御回路20は、アナログ回路で実現されてもよいし、ディジタル回路で実現されてもよい。制御回路20の一部又は全部の機能が、マイクロコンピュータによってソフトウェアにてディジタル制御を行う構成であってもよい。
(実施形態6)
図14は、実施形態1〜5のいずれかの点灯装置1が組み込まれた照明装置200の概略構成図である。
本実施形態の照明装置200は例えば車両300に搭載される前照灯装置であり、照明装置200を車体301に搭載した車両300の外観図を図15に示す。
照明装置200のケース201は、一面が開口した箱型のボディ202と、ボディ202の開口に取り付けられた透光性のカバー203とを備えている。ボディ202の内部には半導体光源2が収納されている。半導体光源2は放熱構造体204に搭載されており、放熱構造体204はアルミ合金で形成され、複数のフィンを有している。放熱構造体204には、半導体光源2からの照射光を前方に反射する反射部材205が取り付けられている。また、ボディ202の下側には、実施形態1〜5で説明した点灯装置1を収納したサブケース209が取り付けられている。サブケース209に収納された点灯装置1と半導体光源2との間はリード線208を介して電気的に接続されている。
点灯装置1の入力端子t1,t2は、それぞれスイッチ101,102を介して直流電源100(車両300のバッテリ)の正極に接続されている。点灯装置1の入力端子t3は直流電源100の負極に接続されている。
ここで、スイッチ101がオンになると点灯装置1が半導体光源2に電流を供給して、半導体光源2を点灯させる。またスイッチ102がオフであれば、点灯装置1は半導体光源2を全点灯状態で点灯させ、スイッチ102がオンになると、点灯装置1は半導体光源2を調光点灯状態で点灯させる。
上述のように、本実施形態の照明装置200は、実施形態1〜5のいずれかの点灯装置1と、点灯装置1が点灯させる半導体光源2と、点灯装置1及び半導体光源2を収納するケース201とを備える。
また、本実施形態の車両300は、照明装置200と、照明装置200が取り付けられる車体201とを備える。
これにより、スイッチ部30に耐電圧がより低い部品を使用できる照明装置200及び車両300を提供することができる。
なお、照明装置200は車両300の前照灯を点灯させる照明装置に限定されない。照明装置200は、デイタイムランニングランプやアクセサリランプを点灯させる照明装置でもよく、その場合は他の光源を点灯又は消灯させた場合や、周囲の明るさなどの環境に応じて、全点灯状態及び調光点灯状態のいずれかに切り替えればよい。