JP6689715B2 - ポリプロピレン系積層体、並びにそれを含む成形体及びその製造方法 - Google Patents
ポリプロピレン系積層体、並びにそれを含む成形体及びその製造方法 Download PDFInfo
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Description
しかしながら、実施例1では高密度ポリエチレン/EVOH/リン酸第一アンモニウム塩混合物を、反応を伴った溶融混練で製造しているが、未反応成分のブリードアウトが懸念される。予めOH基を含有する高分子とリン酸誘導体難燃剤の化学反応を行い、難燃樹脂成分を製造してからポリオレフィン系樹脂と溶融混練する方法もあるが、工程が増え、コスト高となる。また、VTM−0の高度な難燃性を有する材料は開示されていない。
リン系難燃剤のなかでも、融点を有さないリン酸アミン塩等は、溶融混練時に紛体として存在し、続いてシートに成形した場合でも、紛体として存在しているため、多量に配合してもブリードアウトし難い。しかし特許文献6のように、非常に多量に配合しないと難燃性能VTM−0(厚さ0.2mm)が得られず、また、シート成形体中で紛体として存在しているため、透明なシートが得られない。
1.少なくとも(B)層、(C)層、及び(B)層を、この順に含み、
前記(B)層は、下記成分(a),(b1)及び(c)を含み、2つの(B)層は同一でも異なってもよく、
前記(C)層は、下記成分(a),(b2),(c)及び(d)を含む積層体。
(B)層:
(a)ポリプロピレン系樹脂 67〜96.8質量%
(b1)酢酸ビニルに由来する構造単位の含有量が25質量%以上であるエチレン酢酸ビニル共重合体 3.0〜30質量%
(c)NOR型ヒンダードアミン系化合物 0.2〜3.0質量%
(C)層:
(a)ポリプロピレン系樹脂 16〜95.8質量%
(b2)エチレン酢酸ビニル共重合体 1〜40質量%
(c)NOR型ヒンダードアミン系化合物 0.2〜4.0質量%
(d)融点が300℃以下であるリン系難燃剤 3.0〜40質量%
2.さらに、(a)ポリプロピレン系樹脂を含む2つの同一でも異なってもよい(A)層を含み、
少なくとも(A)層、(B)層、(C)層、(B)層、及び(A)層を、この順に含む1に記載の積層体。
3.前記(A)層、(B)層及び前記(C)層から選択される1以上の層の(a)成分であるポリプロピレン系樹脂が、スメチカ晶を含む2に記載の積層体。
4.下記式(1)を満たす1〜3のいずれかに記載の積層体。
X≦3.7225×Y+3・・・(1)
(式中、Xは前記(C)層の(d)成分の含有量(質量%)であり、Yは前記(C)層の(a)〜(d)成分の合計に対する、(b2)成分中の酢酸ビニルに由来する構造単位の含有量(質量%)である。)
5.前記(C)層の(b2)成分中の酢酸ビニルに由来する構造単位の含有量が10〜90質量%である1〜4のいずれかに記載の積層体。
6.前記(C)層の(b2)成分中の酢酸ビニルに由来する構造単位の含有量が30〜90質量%である1〜5のいずれかに記載の積層体。
7.前記(C)層の(b2)成分と(d)成分との含有量の質量比((b2)/(d))が1以上である1〜6のいずれかに記載の積層体。
8.前記(C)層の(d)成分中のリン含有量が8質量%以上である1〜7のいずれかに記載の積層体。
9.前記(C)層の(d)成分が、リン酸エステル化合物、ホスファゼン化合物及びホスホン酸エステル化合物から選ばれる少なくとも1つである1〜8のいずれかに記載の積層体。
10.前記(a)ポリプロピレン系樹脂の130℃での結晶化速度が2.5min−1以下である1〜9のいずれかに記載の積層体。
11.1〜10のいずれかに記載の積層体を含む成形体。
12.前記(a)ポリプロピレン系樹脂の130℃での結晶化速度が2.5min−1以下である11に記載の成形体。
13.1〜10のいずれかに記載の積層体を成形用金型の内面に装着し、成形用樹脂を供給して一体化する11又は12に記載の成形体の製造方法。
14.1〜10のいずれかに記載の積層体を成形用金型の内面に合致するように附形し、得られた附形品を前記成形用金型の面に装着し、成形用樹脂を供給して一体化する11又は12に記載の成形体の製造方法。
15.被覆される芯材を配設したチャンバーボックス内を減圧状態とし、1〜10のいずれかに記載の積層体を加熱軟化させ、前記チャンバーボックス内を加圧して、前記加熱軟化させた前記積層体を前記芯材に押圧して被覆し、一体化する11又は12に記載の成形体の製造方法。
16.基体の少なくとも一部に積層体を設ける積層体の製造方法であって、複数の冷却ロールに巻装された鏡面エンドレスベルトと鏡面冷却ロールとを備え、前記鏡面冷却ロールと前記鏡面エンドレスベルトとの間に、Tダイ押出機により、下記成分(a),(b1)及び(c)を含む(B)層用組成物からなる溶融樹脂と、下記成分(a),(b2),(c)及び(d)を含む(C)層用組成物からなる溶融樹脂を押し出して導入し、圧接してシート状に成形するとともに、毎秒80℃以上の速度で急冷して透明な(B)層と(C)層を含む積層体を製造する方法。
(B)層用組成物:
(a)ポリプロピレン系樹脂 67〜96.8質量%
(b1)酢酸ビニルに由来する構造単位の含有量が25質量%以上であるエチレン酢酸ビニル共重合体 3.0〜30質量%
(c)NOR型ヒンダードアミン系化合物 0.2〜3.0質量%
(C)層用組成物:
(a)ポリプロピレン系樹脂 16〜95.8質量%
(b2)エチレン酢酸ビニル共重合体 1〜40質量%
(c)NOR型ヒンダードアミン系化合物 0.2〜4.0質量%
(d)融点が300℃以下であるリン系難燃剤 3.0〜40質量%
本発明の積層体は、少なくとも(B)層、(C)層、及び(B)層を、この順に含む。
2つの(B)層は同一でも異なってもよい。(B)層は、下記成分(a),(b1)及び(c)を含む。
(a)ポリプロピレン系樹脂 67〜96.8質量%
(b1)酢酸ビニルに由来する構造単位の含有量が25質量%以上であるエチレン酢酸ビニル共重合体 3.0〜30質量%
(c)NOR型ヒンダードアミン系化合物 0.2〜3.0質量%
(a)ポリプロピレン系樹脂 16〜95.8質量%
(b2)エチレン酢酸ビニル共重合体 1〜40質量%
(c)NOR型ヒンダードアミン系化合物 0.2〜4.0質量%
(d)融点が300℃以下であるリン系難燃剤 3.0〜40質量%
この場合、層構成は、(A)層/(B)層/(C)層/(B)層/(A)層の順番で積層されることとなり、各層の間に他の層が入っても、(A)層の上に他の層がさらに積層されてもよい。(A)層が最外層であることが好ましい。
(A)層、(B)層及び(C)層が、(a)成分を含む。各層の(a)成分は同一でも異なってもよい。
(a)成分のポリプロピレン系樹脂としては、ホモポリプロピレン、ブロックポリプロピレン、ランダムポリプロピレン等が挙げられる。(a)成分のポリプロピレン系樹脂の配合により、耐溶剤性を付与することができる。
ホモポリプロピレンはプロピレンの単独重合体である。ブロックポリプロピレンとして、プロピレン以外のα−オレフィン又はエチレンと、プロピレンの共重合体等が挙げられ、例えばエチレンとプロピレンのブロック共重合体である。ランダムポリプロピレンとして、プロピレン以外のα−オレフィン又はエチレンと、プロピレンの共重合体等が挙げられ、例えばエチレンとプロピレンのランダム共重合体であるこれらは従来の公知の方法によって得られるものを用いることができる。また、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アイソタクチックペンタッド分率等で表現される立体規則性、溶融張力及びスウェル比等の溶融特性等は特に限定されない。また、透明性向上のために、結晶核剤等の添加剤を添加してもよい。
(C)層における(a)成分の含有量(質量%)は16.0〜95.8質量%であり、好ましくは46.0〜91.8質量%であり、より好ましくは61.0〜89.8質量%である。
(B)層における(a)成分の含有量(質量%)は67.0〜96.8質量%であり、好ましくは70.0〜90.0質量%であり、より好ましくは75.0〜87.0質量%である。
ホモポリプロピレンとしては、アイソタクチックペンダット分率が85モル%〜99モル%のポリプロピレンであると耐傷付き性の観点から好ましい。アイソタクチックペンタッド分率とは、樹脂組成の分子鎖中のペンタッド単位(プロピレンモノマーが5個連続してアイソタクチック結合したもの)でのアイソタクチック分率である。
ポリプロピレンの13C−NMRスペクトルを評価することでアイソタクチックペンダット分率を測定する。具体的には、アイソタクチックペンダット分率の測定は、エイ・ザンベリ(A.Zambelli)等により「Macromolecules,8,687(1975)」で提案されたピークの帰属に従い、下記の装置、条件及び計算式を用いて行う。
装置:日本電子(株)製JNM−EX400型13C−NMR装置
方法:プロトン完全デカップリング法
濃度:220mg/ml
溶媒:1,2,4−トリクロロベンゼンと重ベンゼンの90:10(容量比)混合溶媒
温度:130℃
パルス幅:45°
パルス繰り返し時間:4秒
積算:10000回
[計算式]
アイソタクチックペンダット分率[mmmm]=m/S×100
S:全プロピレン単位の側鎖メチル炭素原子のシグナル強度
m:メソペンタッド連鎖:21.7〜22.5ppm
示差走査熱量測定器(DSC)(製品名「Diamond DSC」、パーキンエルマー社製)を用いて、ポリプロピレンの結晶化速度を測定する。具体的には、ポリプロピレンを10℃/minにて50℃から230℃に昇温し、230℃にて5分間保持し、80℃/minで230℃から130℃に冷却し、その後130℃に保持して結晶化を行う。130℃になった時点から熱量変化について測定を開始し、DSC曲線を得る。得られたDSC曲線から、以下の手順(i)〜(iv)により結晶化速度を求める。
(i)測定開始からピークトップまでの時間の10倍の時点から、20倍の時点までの熱量変化を直線で近似したものをベースラインとする。
(ii)ピークの変曲点における傾きを有する接線とベースラインとの交点を求め、結晶化開始及び終了時間を求める。
(iii)得られた結晶化開始時間から、ピークトップまでの時間を結晶化時間として測定する。
(iv)得られた結晶化時間の逆数から、結晶化速度を求める。
結晶性樹脂であるポリプロピレン系樹脂を透明にするには、例えばポリプロピレン系樹脂を含む層の製造時に80℃/秒以上で冷却し、スメチカ晶を形成する方法と、造核剤を添加して強制的に微細結晶を生成させる方法がある。造核剤は、ポリプロピレンの結晶化速度を2.5min−1を超える速度まで向上させ、結晶を多数発生させて充填することで、物理的に成長するスペースを無くし、結晶のサイズを低減している。しかし、造核剤は、核となる物質が存在するので、透明になっても若干白味を帯びているため、意匠性が低下するおそれがある。
そこで、造核剤を添加しないでポリプロピレン系樹脂の結晶化速度を2.5min−1以下とし、80℃/秒以上で冷却してスメチカ晶を形成することにより、意匠性に優れた積層体を得られる。さらに、赤外線ヒーターで積層体を加熱し、附形した場合は、ポリプロピレン系樹脂がスメチカ晶由来の微細構造を維持したまま、α晶に転移する。この転移により、表面硬度や透明性が造核剤を使用した場合と比較して、さらに向上できる。
ポリプロピレン系樹脂は結晶性樹脂であり、α晶、β晶、γ晶、スメチカ晶等の結晶形をとることができる。これら結晶形のうちスメチカ晶は、ポリプロピレン系樹脂を溶融状態から、毎秒80℃以上の速度で冷却することで、非晶と結晶の中間体として生成させることができる。スメチカ晶は、結晶の様な規則的構造をとった安定構造ではなく、微細な構造が寄り集まった準安定的な構造である。そのため、分子鎖間の相互作用が弱く、安定構造であるΑ晶等と比較して、加熱すると軟化しやすい性質を有する。
ポリプロピレンの結晶形を、T.Konishiらの用いた方法(Macromolecules、38,8749,2005)を参考にして、広角X線回折(WAXD:Wide−Angle X−ray Diffraction)により確認する。
解析は、X線回折プロファイルについて非晶相、中間相、及び結晶相それぞれのピーク分離を行い、各相に帰属されるピーク面積から存在比率を求める。
(A)層、(B)層及び(C)層は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて従来公知の樹脂((A)の場合は成分(a)成分以外の樹脂、(B)層及び(C)層の場合は成分(a),(b)成分以外の樹脂)や加工助剤成分を含むことができる。
難燃性樹脂としては、例えば、ポリフェニレンエーテルであるSABIC社製のノリルPPO640、ナイロン6であるユニチカ株式会社製A1020LP等が挙げられる。
難燃性樹脂の添加量は、透明性が低下しない範囲(約10質量%以下)が好ましい。
鉱物油系軟化剤は高沸点の石油留分であり、パラフィン鎖炭素数が全炭素数の50%以上を占めるものはパラフィン系、ナフテン環炭素数が30〜40%のものはナフテン系、芳香族炭素数が30%以上のものは芳香族系鉱物油系軟化剤と呼ばれている。
鉱物油系軟化剤としては、ゴム用として用いられるゴム用鉱物油系軟化剤が好ましい。ゴム用鉱物油系軟化剤は、芳香族環、ナフテン環及びパラフィン鎖の三者が組み合わされた混合物である。このゴム用鉱物油系軟化剤は、芳香族成分が多くなると汚染性が強くなり、また耐候性も低下するので、非芳香族系であるパラフィン系やナフテン系のゴム用鉱物油系軟化剤、特にパラフィン系ゴム用鉱物油系軟化剤が無色透明であるため好ましい。また、鉱物油系軟化剤とともに液状又は低分子量の合成軟化剤を用いることもできる。市販の商品としては、例えば、出光興産株式会社製のプロセスオイルPW90、PW100、PW380等が挙げられる。
(B)層及び(C)層が、それぞれ(b1)成分及び(b2)成分を含む。(b1)成分及び(b2)成分は同一でも異なってもよい。好ましくは(b1)成分及び(b2)成分は同一である。
(b1)成分及び(b2)成分のエチレン酢酸ビニル共重合体は、エチレンと酢酸ビニルから得られる共重合体であり、(a)成分のポリプロピレン系樹脂と(d)成分のリン系難燃剤との相溶化剤として作用する。(b2)成分は(d)成分のリン系難燃剤を組成物中に均一分散させるため、樹脂組成物(層を構成する樹脂を含む組成物を「樹脂組成物」という)の溶融混練が可能となり、優れた難燃性を得ることができる。また、(C)層における(d)成分のリン系難燃剤のブリードアウトが抑制され、透明性を向上することができる。
MFRが0.5g/10分以上であれば、溶融混練時の剪断発熱を防止でき(c)成分と(d)成分の熱分解が抑制できるため、優れた難燃性を確保できる。また、(a)成分のポリプロピレン系樹脂との溶融粘度差が大きく異なること(例えばMFRの低いエチレン酢酸ビニル共重合体と、MFRの高いポリプロピレン系樹脂の組合せ)がなく、相溶性の低下や溶融混練時の相分離が抑制され、優れた透明性、難燃性、耐溶剤性を確保できる。
MFRが30g/10分以下であれば、問題なくストランドを引くことができ、押出成形することができる。また、(a)成分のポリプロピレン系樹脂との溶融粘度差が大きく異なること(例えばMFRの高いエチレン酢酸ビニル共重合体と、MFRの低いポリプロピレン系樹脂の組合せ)がなく、相溶性に優れるため、透明性、難燃性及び耐溶剤性に優れる。
(B)層の場合、3.0〜30質量%、好ましくは5〜25質量%、より好ましくは、7〜20質量%である。3.0質量%以上であれば、極性の高い酢酸ビニル構造単位の成分量が(C)層から移行した極性の高い(d)成分のリン系難燃剤を取り込むことができ、シート表面からの(d)成分のリン系難燃剤のブリードアウトを抑制することができる。また、30質量%以下であれば、同様に、極性の高い酢酸ビニル構造単位が過剰ではなく適量であるため、(C)層から移行した極性の高い(d)成分のリン系難燃剤を取り込むことができ、シート表面からの(d)成分のリン系難燃剤のブリードアウトを抑制することができ、難燃性の低下を抑制できる。
(B)層の場合、酢酸ビニルに由来する構造単位の含有量が25質量%以上であり、好ましくは25〜90質量%であり、より好ましくは40〜80質量%であり、より好ましくは45〜70質量%であり、さらに好ましくは50〜60質量%である。酢酸ビニルの含有量が25質量%以上であれば、極性の高い酢酸ビニル構造単位の成分量が、(C)層から移行した極性の高い(d)成分のリン系難燃剤を取り込むことができ、シート表面からの(d)成分のリン系難燃剤のブリードアウトを抑制することができる。酢酸ビニルの含有量が90質量%以下であれば、同様に、極性の高い酢酸ビニル構造単位が過剰ではなく適量であるため、(C)層から移行した極性の高い(d)成分のリン系難燃剤を取り込むことができ、シート表面からの(d)成分のリン系難燃剤のブリードアウトを抑制することができる。
(C)層の場合、また、(b2)成分のエチレン酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル含有率と、(d)成分のリン系難燃剤の含有量は、式(1)の関係を満たすと好ましい。
X≦3.7225×Y+3・・・(1)
(式中、Xは(C)層における(d)成分の含有割合(質量%)であり、Yは(a)〜(d)成分の合計量中の、前記(b2)成分中の酢酸ビニルに由来する構造単位の含有量(質量%)である。)
式(1)を満たすと、極性の高い酢酸ビニル構造単位が比較的多いため、極性の高い(d)成分のリン系難燃剤との相溶性が高くなり、その結果、極性の高い(d)成分のリン系難燃剤と極性の低い(a)成分のポリプロピレン系樹脂の相溶性に優れるため、混練性に優れる。
70質量%以下であれば、極性の高い酢酸ビニル構造単位が過剰ではなく適量であるため、極性の低い(a)成分のポリプロピレン系樹脂との相溶性に優れ、相分離することなく均一に混練することができる。即ち、成形体の難燃性、透明性及び耐溶剤性に優れる。
また、70質量%以下であれば、加熱成形時に遊離酢酸が発生することがなく、装置の金属部分の腐食や、作業者に健康被害を及ぼすことを防止することができる。また、酢酸が脱離することに起因する架橋反応やゲル化を抑制することができ、製品の品質に悪影響を及ぼすことがない。
(b)は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(B)層及び(C)層が、(c)成分を含む。各層の(c)成分は同一でも異なってもよい。
(c)成分はNOR(アルコキシイミノ基)型ヒンダードアミン系化合物である。
NOR型ヒンダードアミン系化合物(安定剤)は、光安定化剤として機能するだけでなく、難燃剤としての機能も有する。NOR型ヒンダードアミン系安定剤のアルコキシイミノ基とは、ピペリジン環のイミノ基の部分が、NHのままであるNH型、Hがメチル基で置き換わったNCH3型に対して、N−アルコキシル基(>N−OR)の構造のものであり、アルキル・パーオキシラジカル(RO2・)を捕捉して容易にラジカルとなり難燃効果を発揮する。NOR型ヒンダードアミン系安定剤ではなく、N−メチル型ヒンダードアミン系安定剤又はN−H型ヒンダードアミン系安定剤の場合、難燃性が低下する。
上記のアルコキシル基(OR)は、アルキル基に酸素が結合したアルコキシル基に限定されず、Rはアルキル基以外に、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基を含む。これらアルコキシル基の具体的なものとしては、メトキシ基、プロポキシ基、シクロヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基が好ましく、特にプロポキシ基、シクロヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基等が、分子量が大きくなることで、シートからのブリードアウトを抑制できる点から好ましい。
(A)1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−オクタデシルアミノピペリジン
(B)ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバケート
(C)2,4−ビス[(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)ブチルアミノ]−6−(2−ヒドロキシエチルアミノ)−S−トリアジン
(D)ビス(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アジペート
(E)4,4’−ヘキサメチレンビス(アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン)と、2−クロロ−4,6−ビス(ジブチルアミノ)−S−トリアジンで末端キャップされた2,4−ジクロロ−6−[(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)ブチルアミノ]−S−トリアジンとの縮合生成物であるオリゴマー性化合物
(F)4,4’−ヘキサメチレンビス(アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン)と、2−クロロ−4,6−ビス(ジブチルアミノ)−S−トリアジンで末端キャップされた2,4−ジクロロ−6−[(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)ブチルアミノ]−S−トリアジンとの縮合性生成物であるオリゴマー性化合物
(G)2,4−ビス[(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−ピペリジン−4−イル)−6−クロロ−S−トリアジン
(H)過酸化処理した4−ブチルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンと、2,4,6−トリクロロ−S−トリアジンと、シクロヘキサンと、N,N’−エタン−1,2−ジイルビス(1,3−プロパンジアミン)との反応生成物(N,N’,N’’’−トリス{2,4−ビス[(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)N−ブチルアミノ]−S−トリアジン−6−イル}−3,3’−エチレンジイミノジプロピルアミン)
(I)ビス(1−ウンデカノキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)カーボネート
(J)1−ウンデシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オン
(K)ビス(1−ステアリルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)カーボネート
(C)層は(d)成分を含む。
(d)成分のリン系難燃剤は、融点が300℃以下である、即ち、ポリプロピレン系樹脂との溶融混練時に液体の難燃剤である。通常、ポリプロピレン系樹脂と難燃剤の溶融混練は150℃〜300℃で行う。溶融混錬時に固体である難燃剤(例えば融点を有さない難燃剤)を用いると、溶融混練時に難燃剤が液体状ではないため、(a)成分又は(b2)成分に均一に分散せず、物性低下を起こしたり、難燃性が低下したりするおそれがある。また、透明性が低下する。
炭化水素基としては、鎖状(直鎖及び分岐鎖のいずれでもよい)及び環状(単環、縮合多環、架橋環及びスピロ環のいずれでもよい)のいずれであってもよく、例えば、側鎖を有する環状炭化水素基が挙げられる。また、炭化水素基は、飽和及び不飽和のいずれでもよい。
炭化水素基としては、例えばアルキル基、シクロアルキル基、アリル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基等が挙げられる。
3質量%以上であれば、VTM−0の高度な難燃性が得られる。40質量%以下であれば、(a)成分のポリプロピレン系樹脂と相溶性が低い(d)成分のリン系難燃剤の含有量が適量であるため、(b2)成分のエチレン酢酸ビニル共重合体が特定量含まれていれば、(d)成分のリン系難燃剤の相分離がなく、均一に溶融混練ができる。
リン含有量は、吸光光度法にて測定する。
(d)成分のリン系難燃剤は、好ましくは下記式(20)で表される。この化合物を用いると、シートの透明性と耐ブリード性に優れる。
アルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第2ブチル、第3ブチル、アミル、第3アミル、ヘキシル、2−エチルヘキシル、N−オクチル、ノニル、デシル等が挙げられる。シクロアルキル基としてはシクロヘキシル等が挙げられる。アリール基としては、フェニル、クレジル、キシリル、2,6−キシリル、2,4,6−トリメチルフェニル、ブチルフェニル、ノニルフェニル等が挙げられる。アルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
式(20)のリン酸エステル化合物の含有量(質量%)は、好ましくは3〜20質量%であり、より好ましくは4〜15質量%、さらに好ましくは5〜10質量%である。3質量%以上であれば、高度な難燃性のVTM−0が得られ、透明性も良好である。また、20質量%以下であれば、(a)成分のポリプロピレン系樹脂と相溶性が低い(d)成分のリン酸エステル化合物の含有量が適量であるため、(d)成分のリン酸エステル化合物の相分離及びブリードアウトが少なく、その結果、透明で高度な難燃性VTM−0が得られる。
(d)成分は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の(A)層、(B)層及び(C)層に、上記(a)〜(d)成分とその他樹脂及び加工助剤成分の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて従来公知の添加剤等を添加することができる。これら添加剤等としては、酸化防止剤、耐候剤、滑剤、帯電防止剤、核剤、金属不活性化剤、充填剤等が挙げられる。
酸化防止剤としては、フェノール系、リン系化合物、チオエーテル系化合物等が挙げられる。
チオエーテル系酸化防止剤としては、例えば、チオジプロピオン酸ジラウリル、チオジプロピオン酸ジミリスチル、チオジプロピオン酸ジステアリル等のジアルキルチオジプロピオネート類、及びペンタエリスリトールテトラ(Β−アルキルメルカプトプロピオン酸エステル類が挙げられる。
具体的には、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−N−(3−ドデシルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)メチルアンモニウムメソスルフェート、(3−ラウリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムメチルスルフェート、ステアロアミドプロピルジメチル−2−ヒドロキシエチルアンモニウム硝酸塩、ステアロアミドプロピルジメチル−2−ヒドロキシエチルアンモニウムリン酸塩、カチオン性ポリマー、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、アルキル硝酸エステル塩、リン酸アルキルエステル塩、アルキルホスフェートアミン塩、ステアリン酸モノグリセリド、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ジグリセリン脂肪酸エステル、アルキルジエタノールアミン、アルキルジエタノールアミン脂肪酸モノエステル、アルキルジエタノールアミド、ポリオキシエチレンドデシルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリエーテルブロックコポリマー、セチルベタイン、ヒドロキシエチルイミダゾリン硫酸エステル等が挙げられる。これらを2種以上を混合して使用してもよい。
ソルビトール類としてはアルキル置換ベンジリデンソルビトール等があり、例えば、1,3,2,4−ジベンジリデンソルビトール、1,3,2,4−ジ−(P−メチルベンジリデン)ソルビトール、1,3−O−メチルベンジリデン2,4−P−メチルベンジリデンソルビトール、1,3,2,4−ジ−(P−エチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジ−(2’,4’−ジメチルベンジリデン)ソルビトールが挙げられる。リン系としては、リン酸ビス(4−T−ブチルフェニル)ナトリウム、リン酸2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−T−ブチルフェニル)ナトリウム、有機リン酸塩系複合品等が挙げられる。その他、安息香酸ナトリウム、P−T−ブチル安息香酸アルミニウム、モンタン酸ナトリウム、モンタン酸カルシウム、酸化アルミニウム、カオリンクレー、タルク、ロジン類、石油樹脂類等が挙げられる。これらを2種以上を混合して使用してもよい。
具体的には、N,N’−ビス[3−(3,5−ジ−T−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、イソフタル酸ビス(2−フェノキシプロピオニルヒドラジド)、デカンジカルボン酸ジサリチロイルビドラジド、シュウ酸ビスベンジリデンヒドラジド、N,N’−ビス{2−[3−(3,5−ジ−T−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシル]エチル}オキサミド、3−(N−サリチロイル)アミノ−1,2,4,−トリアゾール、酸アミド系、メラミン、トリス[2−T−ブチル−4−チオ(2’−メチル−4’−ヒドロキシ−5−T−ブチル)フェニル−5−メチル]ホスファイト等が挙げられる。これらを2種以上を混合して使用してもよい。
「実質的にのみからなる」とは、所定の成分が、層の95質量%以上100質量%以下、98質量%以上100質量%以下又は99質量%以上100質量%以下を占めることである。
(A)層、(B)層又は(C)層が複数の成分からなるとき、各層を構成する樹脂組成物(原料混合物)を製造する。具体的には、例えば、層を構成する成分を、任意の方法で溶融混練して、樹脂組成物を製造する。例えば、ヘンシェルミキサーに代表される高速撹拌機、バンバリーミキサーに代表されるバッチ式混練機、単軸又は二軸の連続混練機、ロールミキサー等を単独で又は組み合わせて用いる。
成形方法としては、従来公知の成形方法を採用することができ、例えば、射出成形、シート成形、押出成形、異形押出成形、熱プレス成形等が挙げられる。このうち、得られる成形品の外観に優れることや経済性な観点から、溶融押出機を用いて成形する方法が好ましい。成形条件は特に限定されない。
ポリプロピレンは、溶融状態から80℃/秒以上の速度で冷却されると、スメチカ晶が多数を占める構造となる。スメチカ晶は、準安定状態の中間相であり、一つ一つのドメインサイズが小さいため、透明性に優れる。また、準安定状態であるため、結晶化が進んだα晶と比較して、低い熱量でシートが軟化するため、成形性に優れる特徴がある。
この場合、急冷を表面温度が露点以上50℃以下に保たれた冷却ロールを用いて行うことが好ましい。このようにすることで、積層体の白化をさらに防止することができる。
この場合、鏡面冷却ロールと鏡面エンドレスベルトとの間に、Tダイ押出機によって溶融した各層の材料を導入、圧接してシート状に成形し、鏡面エンドレスベルトに当該ベルトの表面温度より低い温度の冷却水を吹き付けて急冷して積層体を製造する。
得られた積層体を非平面状に成形して、基体の少なくとも一部に設けると好ましい。複雑な形状に成形してもシートの白化を防止でき、複雑な形状の成形物でも外観を損なうことなく良好に加飾成形することができる。
図1に示す製造装置は、押出機のTダイ12、第1冷却ロール13、第2冷却ロール14、第3冷却ロール15、第4冷却ロール16、金属製エンドレスベルト17、冷却水吹き付けノズル18、水槽19、吸水ロール20、剥離ロール21を備える。
まず、押出機によって溶融混練された各層の樹脂は、フィードブロックにて積層され、Tダイにてシート状に成形されて押し出された積層体の溶融樹脂と直接接触し、これを冷却する金属製エンドレスベルト17及び第4冷却ロール16の表面温度が露点以上、50℃以下、好ましくは30℃以下に保たれるように、予め各冷却ロール13、14、15、16の温度制御を行う。
ここで、第4冷却ロール16及び金属製エンドレスベルト17の表面温度が露点未満では、表面に結露が生じ均一な製膜が困難になる可能性がある。一方、表面温度が50℃より高いと、得られる積層シート11の透明性が低くなるとともに、α晶が多くなり、熱成形しにくいものとなる可能性がある。従って、表面温度は例えば20℃である。
次に、押出機のTダイ12より押し出された溶融樹脂(造核剤を含まない)を第1冷却ロール13上で金属製エンドレスベルト17と、第4冷却ロール16との間に挟み込む。この状態で、溶融樹脂を第1、第4冷却ロール13、16で圧接するとともに、14℃で急冷する。
この際、第1冷却ロール13及び第4冷却ロール16間の押圧力で弾性材22が圧縮されて弾性変形する。
この弾性材22が弾性変形している部分、即ち、第1冷却ロール13の中心角度Θ1に対応する円弧部分で、急冷されたシートは各冷却ロール13、16により面状圧接されている。この際の面圧は、通常0.1MPa以上20MPa以下である。
吹き付けられた冷却水は、水槽19に回収されるとともに、回収された水は排水口19Aより排出される。
尚、金属製エンドレスベルト17の裏面に付着した水は、第4冷却ロール16から第2冷却ロール14への移動途中に設けられている吸水ロール20により除去される。
第2冷却ロール14上で冷却された積層シートは、巻き取りロール(図示省略)により、所定の速度で巻き取られる。
本発明の積層体は、UL94のVTM−0(厚さ0.2mm)に合格する難燃性を有することができる。
積層体は、ポリプロピレンの特徴である耐トラッキング性、電気絶縁性及び耐薬品性等が必要とされる用途に好適に使用することができる。具体的には、積層体のうち、透明薄肉積層体は、例えばデスクトップパソコンやノート型パソコン等のコンピューター部品、携帯電話部品、電気・電子機器、携帯情報端末、家電製品部品、自動車部品、産業資材及び建築材等に用いられることが好ましい。特に、透明薄肉成形体は、ディスプレイフィルム、加飾フィルム、絶縁シート、マスキングシート、及び養生シートとすることが好ましい。さらに近年、透明薄肉積層体の要望が高まっている加飾シート、バッテリーケース、プラスチックフレーム等も好適な用途として挙げることができる。
(成形体の製造)
本発明の積層体を成形することにより本発明の成形体が得られる。
成形方法として、インモールド成形、インサート成形、又は被覆成形を用いると好ましい。
インモールド成形として、積層体を金型に装着し、成形用樹脂を供給して一体化して行うことが好ましい。
インサート成形として、積層体を金型に合致するよう附形し、附形した積層体を金型に装着し、成形用樹脂を供給して一体化して行うことが好ましい。
金型に合致するようする附形(予備附形)は、真空成型、圧空成型、真空圧空成型、プレス成型、プラグアシスト成形等で行うことが好ましい。
供給は、射出で行うことが好ましく、圧力5MPa以上120MPa以下が好ましい。
金型温度は20℃以上90℃以下であることが好ましい。
加熱軟化後、芯材の上面に、積層体を接触させることが好ましい。
押圧は、チャンバーボックス内において、積層体の芯材と接する側を減圧したまま、積層体の芯材の反対側を加圧することが好ましい。
芯材は、凸状でも凹状であってもよく、例えば三次元曲面を有する樹脂、金属、セラミック等が挙げられる。樹脂は、上述の成形に用いる樹脂と同様のものが挙げられる。
まず、下成型室内のテーブル上へ芯材を載せ、セットする。被成型物である積層体を下成型室上面にクランプで固定する。この際、上・下成型室内は大気圧である。
次に上成型室を降下させ、上・下成型室を接合させ、チャンバーボックス内を閉塞状態にする。上・下成型室内の両方を大気圧状態から、真空タンクによって真空吸引状態とする。
上・下成型室内を真空吸引状態にした後、ヒータを点けて加飾シートの加熱を行なう。次に上・下成型室内は真空状態のまま下成型室内のテーブルを上昇させる。
次に、上成型室内の真空を開放し大気圧を入れることによって、被成型物である積層体は芯材へ押し付けられてオーバーレイ(成型)される。尚、上成型室内に圧縮空気を供給することで、より大きな力で被成型物である積層体を芯材へ密着させることも可能である。
オーバーレイが完了した後、ヒータを消灯し、下成型室内の真空も開放して大気圧状態へ戻し、上成型室を上昇させ、加飾印刷された積層体が表皮材として被覆された製品を取り出す。
積層体がインサート成形、インモールド成形、被覆成形された構成に限らず、例えば被覆後に積層体を剥してインキのみを残す転写成形法等、積層体を基体の一部に備えることが可能な各種方法を利用できる。また、積層体は、成形物の表面の一部に1つのみ設けた構成に限らず、複数の成形体を設けてもよい。
透明性が得られることでの意匠性の向上は得られる。さらに、印刷層や蒸着層を設け、積層体を形成して成形体としてインサート成形したり、積層体を形成して得られた成形体に印刷層を設けたりしてもよい。尚、成形物としては、以下に示す層構成としてもよい。
(A)積層体/基体
(B)積層体/印刷層/基体
(C)印刷層/積層体/基体
(D)積層体/印刷層/ポリプロピレン層(基材層)/基体
(E)印刷層/積層体/印刷層/基体
(F)積層体/印刷層/金属薄膜層/基体
(G)積層体/蒸着層/基体
(H)蒸着層/積層体/基体
(I)積層体/蒸着層/ポリプロピレン層(基材層)/基体
(J)印刷層/積層体/印刷層/基体
(K)積層体/易接着層/印刷層/基体
(L)積層体/易接着層/蒸着層/基体
等の構造を挙げることができる。
[ポリプロピレン系樹脂]
・ホモポリプロピレンA[MFR=3.0g/10分(230℃、2.16kg)、株式会社プライムポリマー製 F−133A]
・ホモポリプロピレンB[MFR=20g/10分(230℃、2.16kg)、株式会社プライムポリマー製 Y−2005GP]
・ホモポリプロピレンC[MFR=10g/10分(230℃、2.16kg)、株式会社プライムポリマー製 H−700]
・ランダムポリプロピレンA[MFR=7.0g/10分(230℃、2.16kg)、株式会社プライムポリマー製 F−744NP]
・ランダムポリプロピレンB[MFR=25g/10分(230℃、2.16kg)、株式会社プライムポリマー製 F329RA]
・ポリエチレンA[MFR=2.3g/10分(190℃、2.16kg)、株式会社プライムポリマー製 SP2020]
・エチレン酢酸ビニル共重合体A[MFR=1g/10分(190℃、2.16kg)、酢酸ビニル含有量(VA)40質量%、LANXESS社製 レパプレン400]
・エチレン酢酸ビニル共重合体B[MFR=1.7g/10分(190℃、2.16kg)、酢酸ビニル含有量50質量%、LANXESS社製 レパプレン500]
・エチレン酢酸ビニル共重合体C[MFR=3.8g/10分(190℃、2.16kg)、酢酸ビニル含有量70質量%、LANXESS社製 レパプレン700]
・エチレン酢酸ビニル共重合体D[MFR=5.0g/10分(190℃、2.16kg)、酢酸ビニル含有量24質量%、NUC社製 NUC−3195]
・シクロオレフィンポリマー[MFR=10g/10分(260℃、2.16kg)、ガラス転移温度123℃、日本ゼオン社製 ZEONEX330R]
・エチレン−ビニルアルコール共重合体[MFR=12g/10分(210℃、2.16kg)、エチレン含有量44mol%、日本合成化学工業社製 ソアノールA4412]
・リン酸エステルA(化合物No.1):トリフェニルホスフェート[大八化学工業株式会社製 TPP、融点49℃、リン含有量9.5%]
・リン酸エステルB(化合物No.2):レゾルシノールビス−ジキシレニルフォスフェート[大八化学工業株式会社製 PX−200、融点92℃、リン含有量9.0%]
・リン酸エステルC(化合物No.5):ビスフェノールAビス−ジフェニルフォスフェート[株式会社ADEKA製 FP−600、23℃で液体、リン含有量8.8%]
・リン酸アミン塩化合物:ピロリン酸又はポリリン酸とアミン化合物との塩[株式会社ADEKA製 FP−2050、融点なし、リン含有量19%]
・NOR型ヒンダードアミン系安定剤A[BASF社製 FlamestabNOR116FF]
・NOR型ヒンダードアミン系安定剤B[株式会社ADEKA製 LA−81]
・N−メチル型ヒンダードアミン系安定剤[株式会社ADEKA製 LA−52]
・N−H型ヒンダードアミン系安定剤[株式会社ADEKA製 LA−57]
(分散剤・滑剤)
グリセリンモノステアレート[ライオン株式会社製 GS95P]
(フェノール系酸化防止剤)
テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン[株式会社ADEKA製 アデカスタブAO60]
(リン系酸化防止剤)
トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト[株式会社ADEKA製 アデカスタブ2112]
〔1〕各層を製造するためのペレット状樹脂組成物の製造
成分(a)のポリプロピレン系樹脂、成分(b)のエチレン酢酸ビニル共重合体等の相溶化剤、成分(c)のNOR型ヒンダードアミン系安定剤、成分(d)のリン系難燃剤及びその他成分から選択される各層を形成する成分を混合し、2軸押出機により溶融混練し、ペレット状樹脂組成物を得た。以下、各工程を詳細に説明する。
層毎に、表1,3〜5に示す各成分を表1,3〜5に示す組成(質量%)で配合し、ヘンシェルミキサーで予備混合した。実施例1〜16及び比較例1〜26の(B)層及び(C)層については、成分(a)、(b)、(c)、(d)及びその他難燃剤・充填剤等表1,3〜5に示す成分の合計量100質量部に対して、添加剤として、GS95Pを0.3質量部、アデカスタブAO60を0.1質量部及びアデカスタブ2112を0.2質量部添加した。
得られた予備混合物を、二軸混練機((株)日本製鋼所製の商品名TEX30α)を用いて180〜230℃で混練して組成物を作製し、ストランドカットを用いてペレット化した。
上記の組成物を用いて(A)層/(B層)/(C)層/(B層)/(A)層の構成の積層体を製造した。
(1)実施例1〜13、及び比較例1〜20の(A)、(B)及び(C)層のシートの製造には、東洋精機(株)製ラボプラストミル4M150(フルフライトスクリュー、スクリュー径25mm)に、Tダイとして東洋精機製作所社製T150C(ダイス幅150mm)を備えた押出機を用いる。
押出機のホッパーに、上記溶融混練して得られたペレットを導入し、以下の押出条件でTダイから溶融押出する。押出条件は、押出温度200〜230℃、スクリュー回転数10〜50rpm、リップ開度0.1〜1.0mmとする。押出す樹脂は、冷却ロールを備えた巻取り機にて、冷却固化、巻取りし、所望の厚み(0.005〜0.2mm)の押出シートを得る。巻取り条件は、ロール温度50〜90℃、引取り速度1〜2m/分とする。
その後、各層のシートを、小平製作所社製のプレス成形機PY−50/50Aを用いて、積層して200℃に加熱し、30トンの圧力で1分加圧する。次いで、水冷プレスで30トンの圧力で3分間加圧し、厚み0.2mmの積層体を得る。
尚、比較例1,2,4,7,11は、混練性が悪く、シート成形できない。
・(A)層の押出機の直径:50mm
・(B)層の押出機の直径:65mm
・(C)層の押出機の直径:75mm
・Tダイの幅:900mm
・積層シートの引取速度:6m/分
・冷却ロール及び金属製エンドレスベルトの表面温度:20℃
・冷却速度:10,800℃/分
(1)(C)層を形成する組成物の混練性
混練性ついて以下のように評価した。結果を表1,3,4に示す。
TEX30α混練機を使用した。溶融混練時に、ポリプロピレン系樹脂とリン系難燃剤の相溶性が低く、以下のような生産不良現象がある場合を×とした。
・ポリプロピレン系樹脂のペレット又は溶融物が、開放ベント又は真空ベントから噴出する。
・吐出量が不安定になり、サージング現象が起こり、ストランド切れが発生する。
・水槽に、リン系難燃剤が溶出(ブリードアウト)し、排出水を汚染する。
・シクロオレフィンポリマーのような融点の高い樹脂を使用して、280℃と高い温度で混練したとき、難燃剤及びポリプロピレン系樹脂等が分解して激しく着色する。
上記の問題がない場合を○とした。
UL94−VTM試験により評価した。結果を表2〜5に示す。
得られた厚み0.2mmの積層体を、幅50mm、長さ200mmに切出して試料を作製した。Atlas社製のHVULプラスチックUL燃焼テストチャンバーを用いて、作製した試料について、UL94−VTMテスト規格に準じて20mm垂直燃焼試験を行った。5本の試料について、それぞれ1回目と2回目の燃焼時間、及び綿の発火の有無等から、UL94−VTM規格に従って燃焼ランクをつけた。燃焼ランクはVTM−0が最高であり、VTM−1、VTM−2となるに従って難燃性は低下する。但し、VTM−0〜VTM−2のランクのいずれにも該当しないものはnot−VTMとする。
透明性は内部ヘイズ値にて評価を行った。内部ヘイズ値が低いほど透明であることを表す。結果を表2〜5に示す。
日本電色工業(株)ヘイズメーターNDH−200を用いて、試験規格JIS K 7136に従って、内部ヘイズ値を測定した。内部ヘイズは、シート表面粗さの影響を除外してシート内部の透明性を測定するため、シート表面にシリコーンを塗布して、両面をガラス板で挟んだ状態でヘイズを測定した。このヘイズ値からガラスのみのヘイズ値を除算することで、内部ヘイズを測定できる。
アズワン(株)定温乾燥器 DO−600FAを用いて、積層体を40℃湿度30〜40%で7日間処理し、ブリード評価を行った。処理後の外観を評価し、変化なしをブリード「無」、白粉があるときブリード「有」とする。結果を表2〜5に示す。
また、処理前と処理後の内部ヘイズ値を測定し、その変化した値で評価を行った。変化値が3.5%を超えるとブリードが多く、変化値が3.5%以下ではブリードが少ないことを表す。結果を表2〜5に示す。
積層体の表面硬度をJIS K5600の鉛筆硬度試験法に準じて、荷重750gにて評価した。
1.実施例について
(1)実施例1〜11から明らかなように、(C)層の組成物は、問題なく溶融混練が可能であり、(A)/(B)/(C)/(B)/(A)の積層体では、高い難燃性(VTM−0)を有し、透明性が改善され、ブリードの発生もなく、外観が良好であることが分かる。
(2)実施例12及び13から明らかなように、(A)層の配置により表面硬度が付与されることが分かる。
(3)実施例14〜16から明らかなように、本発明の(A)/(B)/(C)/(B)/(A)の積層体を、急冷ベルト式冷却を備える押出機で製膜した積層体は、従来の公知のエアーナイフ式冷却を備える押出機で製膜したシートを積層してプレス成形したものに比較して、透明性が良好であった。
(1)比較例1及び2は、それぞれ(C)層のエチレン酢酸ビニル共重合体の組成が少ない又は多いため、リン酸エステルが適度に混じらず、溶融混練が不可能である。
(2)比較例3は、(C)層のリン酸エステルの配合量が少ないために、積層体の難燃性が低下する。
(3)比較例4は、(C)層のリン酸エステルの配合量が多すぎるために、リン酸エステルが溶融混練時に均一に混じらなく、溶融混練が不可能である。
(4)比較例5は、(C)層のリン系難燃剤として、融点のないリン酸アミン塩を配合する場合であり、積層体にリン酸アミン塩が紛体として存在するため、積層体からブリードはないものの、透明性が低下する。またリン酸アミン塩は、燃焼初期に成形品の表面に炭化層を形成して、外部からの熱を遮断して難燃性を発揮するが、この難燃効果を発揮するには、融点が300℃以下のリン酸エステルのようなリン系難燃剤に比較して、リン酸アミン塩を多く配合する必要があり、難燃性が不十分である。
(5)比較例6は、(C)層のNOR型ヒンダードアミン系安定剤が少ないため、積層体の難燃性が低下する。
(6)比較例7は、(C)層のNOR型ヒンダードアミン系安定剤が多いため、溶融混練時にポリプロピレンの可塑剤として作用してペレットのカット不良及び融着現象が起こり、混練が不可能である。
(7)比較例8及び9は、それぞれ(C)層にN−メチル型及びN−H型ヒンダードアミン系安定剤を使用するため、難燃性が低下する。
(8)比較例10は、(C)層に、ポリプロピレンの代わりに、リン酸エステルと相溶性が低いポリエチレンを使用するために、透明性及び耐ブリード性が低下する。また、ポリエチレンの難燃性が低いために、難燃性が低下する。
(9)比較例11は、(C)層に。エチレン酢酸ビニル共重合体の代わりに、シクロオレフィンポリマーを使用する例であるが、シクロオレフィンポリマーの融点が高く、溶融混練温度が高いため、ポリプロピレン系樹脂の熱分解による低分子量化やNOR型ヒンダードアミンの熱分解が発生し、溶融混練が不十分であり、積層体の加工ができない。
(10)比較例12は、(C)層に、エチレン酢酸ビニル共重合体の代わりに、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)を使用する例であるが、EVOHとリン酸エステルとの相溶性が低いためリン酸エステルがブリードアウトし、透明性及び高い難燃性を有する均一で表面外観が良好なシートは得られない。
(11)比較例13は、(B)層のエチレン酢酸ビニル共重合体の配合量が少ない場合であり、難燃性は良好であるが、相溶化剤のエチレン酢酸ビニル共重合体が少ないために、(C)層から移行したリン酸エステルを取り込むことができず、リン酸エステルがブリードする。
(12)比較例14は、(B)層のエチレン酢酸ビニル共重合体の配合量が多い場合であり、エチレン酢酸ビニル共重合体が多いため、(C)層から移行したリン酸エステルを取り込むことができるが、エチレン酢酸ビニル共重合体の難燃性が低いために、難燃性が低下する。
(13)比較例15は、(B)層のNOR型ヒンダードアミン系安定剤が少ないため、積層体の難燃性が低下する。
(14)比較例16は、(B)層のNOR型ヒンダードアミン系安定剤が多い場合であり、難燃性は低下しないが、ポリプロピレンの可塑剤として作用するため、ポリプロピレンの結晶化を阻害して、(C)層から移行したリン酸エステルが、(B)層を通過しやすくなり、ブリードし易くなる。
(15)比較例17は、(B)層のエチレン酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル含有量が少ない場合であり、相溶化剤のエチレン酢酸ビニル共重合体が少ないために、(C)層から移行したリン酸エステルを取り込むことができず、リン酸エステルがブリードする。
(16)比較例18は、(B)層のポリプロピレンの代わりに、ポリエチレンを使用した場合であり、リン酸エステルと相溶性が低いポリエチレンを使用するために、(C)層から移行したリン酸エステルが、(B)層を通過しやすくなり、透明性及び耐ブリード性が低下する。また、ポリエチレンの難燃性が低いために、難燃性が低下する。
(17)比較例19は、(B)層を配置せず、(A)/(C)/(A)の積層構造の場合であり、ポリプロピレンの(A)層の厚みが厚いために、リン酸エステルのブリードが少ないが、難燃剤が含まれない(A)層が積層されているため、難燃性が低下する。
(18)比較例20は、(C)層のみの場合であり、難燃性は良好であるが、(B)層がないために、リン酸エステルがブリードする。
(19)比較例21以降は、急冷ベルト製膜品であり、比較例21は、(B)層を配置せず、(A)/(C)/(A)の積層構造の場合であり、ポリプロピレンの(A)層の厚みが厚いために、リン酸エステルのブリードが少ないが、難燃剤が含まれない(A)層が積層されているため、難燃性が低下する。
(20)比較例22は、(B)を配置せず、(A)/(C)/(A)の積層構造の場合であり、ポリプロピレンの(A)層の厚みが、比較例21に比較して薄いために、リン酸エステルのブリードし、難燃剤が含まれない(A)層が積層されているため、難燃性が低下する。
(21)比較例23は、(B)層にエチレン酢酸ビニル共重合体が含まれない場合であり、難燃性は良好であるが、相溶化剤のエチレン酢酸ビニル共重合体がないために、(C)層から移行したリン酸エステルを取り込むことができず、リン酸エステルがブリードする。
(22)比較例24及び25は、(B)層にNOR型ヒンダードアミン系安定剤がないために、積層体の難燃性が低下する。
(23)比較例26は、(B)層のエチレン酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル含有量が少ない場合であり、相溶化剤のエチレン酢酸ビニル共重合体が少ないために、(C)層から移行したリン酸エステルを取り込むことができず、リン酸エステルがブリードする。
12 Tダイ
13 第1冷却ロール
14 第2冷却ロール
15 第3冷却ロール
16 第4冷却ロール
17 金属製エンドレスベルト
18 冷却水吹き付けノズル
19 水槽
19A 排水口
20 吸水ロール
21 剥離ロール
22 弾性材
Claims (16)
- 少なくとも(B)層、(C)層、及び(B)層を、この順に含み、
前記(B)層は、下記成分(a),(b1)及び(c)を含み、2つの(B)層は同一でも異なってもよく、
前記(C)層は、下記成分(a),(b2),(c)及び(d)を含む積層体。
(B)層:
(a)ポリプロピレン系樹脂 67〜96.8質量%
(b1)酢酸ビニルに由来する構造単位の含有量が25質量%以上であるエチレン酢酸ビニル共重合体 3.0〜30質量%
(c)NOR型ヒンダードアミン系化合物 0.2〜3.0質量%
(C)層:
(a)ポリプロピレン系樹脂 16〜95.8質量%
(b2)エチレン酢酸ビニル共重合体 1〜40質量%
(c)NOR型ヒンダードアミン系化合物 0.2〜4.0質量%
(d)融点が300℃以下であるリン系難燃剤 3.0〜40質量% - さらに、(a)ポリプロピレン系樹脂を含む2つの同一でも異なってもよい(A)層を含み、
少なくとも(A)層、(B)層、(C)層、(B)層、及び(A)層を、この順に含む請求項1に記載の積層体。 - 前記(A)層、(B)層及び前記(C)層から選択される1以上の層の(a)成分であるポリプロピレン系樹脂が、スメチカ晶を含む請求項2に記載の積層体。
- 下記式(1)を満たす請求項1〜3のいずれかに記載の積層体。
X≦3.7225×Y+3・・・(1)
(式中、Xは前記(C)層の(d)成分の含有量(質量%)であり、Yは前記(C)層の(a)〜(d)成分の合計に対する、(b2)成分中の酢酸ビニルに由来する構造単位の含有量(質量%)である。) - 前記(C)層の(b2)成分中の酢酸ビニルに由来する構造単位の含有量が10〜90質量%である請求項1〜4のいずれかに記載の積層体。
- 前記(C)層の(b2)成分中の酢酸ビニルに由来する構造単位の含有量が30〜90質量%である請求項1〜5のいずれかに記載の積層体。
- 前記(C)層の(b2)成分と(d)成分との含有量の質量比((b2)/(d))が1以上である請求項1〜6のいずれかに記載の積層体。
- 前記(C)層の(d)成分中のリン含有量が8質量%以上である請求項1〜7のいずれかに記載の積層体。
- 前記(C)層の(d)成分が、リン酸エステル化合物、ホスファゼン化合物及びホスホン酸エステル化合物から選ばれる少なくとも1つである請求項1〜8のいずれかに記載の積層体。
- 前記(a)ポリプロピレン系樹脂の130℃での結晶化速度が2.5min−1以下である請求項1〜9のいずれかに記載の積層体。
- 請求項1〜10のいずれかに記載の積層体を含む成形体。
- 前記(a)ポリプロピレン系樹脂の130℃での結晶化速度が2.5min−1以下である請求項11に記載の成形体。
- 請求項1〜10のいずれかに記載の積層体を成形用金型の内面に装着し、成形用樹脂を供給して一体化する請求項11又は12に記載の成形体の製造方法。
- 請求項1〜10のいずれかに記載の積層体を成形用金型の内面に合致するように附形し、得られた附形品を前記成形用金型の面に装着し、成形用樹脂を供給して一体化する請求項11又は12に記載の成形体の製造方法。
- 被覆される芯材を配設したチャンバーボックス内を減圧状態とし、請求項1〜10のいずれかに記載の積層体を加熱軟化させ、前記チャンバーボックス内を加圧して、前記加熱軟化させた前記積層体を前記芯材に押圧して被覆し、一体化する請求項11又は12に記載の成形体の製造方法。
- 基体の少なくとも一部に積層体を設ける積層体の製造方法であって、複数の冷却ロールに巻装された鏡面エンドレスベルトと鏡面冷却ロールとを備え、前記鏡面冷却ロールと前記鏡面エンドレスベルトとの間に、Tダイ押出機により、下記成分(a),(b1)及び(c)を含む(B)層用組成物からなる溶融樹脂と、下記成分(a),(b2),(c)及び(d)を含む(C)層用組成物からなる溶融樹脂を押し出して導入し、圧接してシート状に成形するとともに、毎秒80℃以上の速度で急冷して透明な(B)層と(C)層を含む積層体を製造する方法。
(B)層用組成物:
(a)ポリプロピレン系樹脂 67〜96.8質量%
(b1)酢酸ビニルに由来する構造単位の含有量が25質量%以上であるエチレン酢酸ビニル共重合体 3.0〜30質量%
(c)NOR型ヒンダードアミン系化合物 0.2〜3.0質量%
(C)層用組成物:
(a)ポリプロピレン系樹脂 16〜95.8質量%
(b2)エチレン酢酸ビニル共重合体 1〜40質量%
(c)NOR型ヒンダードアミン系化合物 0.2〜4.0質量%
(d)融点が300℃以下であるリン系難燃剤 3.0〜40質量%
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