以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する部分を省略する。
[光モジュールの構成]
図1に示されるように、光モジュール1Aは、ミラーユニット2と、ビームスプリッタユニット3と、光入射部4と、第1光検出器6と、第2光源7と、第2光検出器8と、支持体9と、第1支持構造11と、第2支持構造12と、を備えている。ミラーユニット2は、Z軸方向(第1方向)における支持体9の一方の側に配置されており、例えば接着剤によって、支持体9に取り付けられている。支持体9は、例えば銅タングステンによって形成されており、例えば矩形板状を呈している。ミラーユニット2は、Z軸方向に沿って移動する可動ミラー22と、位置が固定された固定ミラー16と、を含んでいる(詳細については後述する)。なお、Z軸方向は、例えば鉛直方向であり、Z軸方向における一方の側は、例えば上側である。
ビームスプリッタユニット3は、Z軸方向におけるミラーユニット2の一方の側に配置されており、第1支持構造11によって支持されている。第1支持構造11は、例えば接着剤によって、支持体9に取り付けられている。光入射部4は、X軸方向(第1方向と交差する第2方向)におけるビームスプリッタユニット3の一方の側に配置されており、第2支持構造12によって支持されている。第1光検出器6、第2光源7及び第2光検出器8は、Z軸方向におけるビームスプリッタユニット3の一方の側に配置されており、第2支持構造12によって支持されている。第2支持構造12は、例えばボルトによって、支持体9に取り付けられている。
光モジュール1Aでは、ビームスプリッタユニット3、可動ミラー22及び固定ミラー16によって、測定光L0及びレーザ光L10のそれぞれについて干渉光学系が構成される。測定光L0及びレーザ光L10のそれぞれについて構成される干渉光学系は、例えばマイケルソン干渉光学系である。
測定光L0については、次のように、測定光の干渉光L1が検出される。すなわち、第1光源(図示省略)から測定対象(図示省略)を介して入射した測定光L0又は測定対象から発せられた測定光L0(例えば、測定対象自体の発光等)が、光入射部4からビームスプリッタユニット3に入射すると、当該測定光L0は、ビームスプリッタユニット3において一部及び残部に分割される。そして、測定光L0の一部は、Z軸方向に沿って往復移動する可動ミラー22で反射されてビームスプリッタユニット3に戻る。一方、測定光L0の残部は、固定ミラー16で反射されてビームスプリッタユニット3に戻る。ビームスプリッタユニット3に戻った測定光L0の一部及び残部は、干渉光L1としてビームスプリッタユニット3から出射され、当該測定光の干渉光L1が第1光検出器6によって検出される。
レーザ光L10については、次のように、レーザ光の干渉光L11が検出される。すなわち、第2光源7から出射されたレーザ光L10がビームスプリッタユニット3に入射すると、当該レーザ光L10は、ビームスプリッタユニット3において一部及び残部に分割される。そして、レーザ光L10の一部は、Z軸方向に沿って往復移動する可動ミラー22で反射されてビームスプリッタユニット3に戻る。一方、レーザ光L10の残部は、固定ミラー16で反射されてビームスプリッタユニット3に戻る。ビームスプリッタユニット3に戻ったレーザ光L10の一部及び残部は、干渉光L11としてビームスプリッタユニット3から出射され、当該レーザ光の干渉光L11が第2光検出器8によって検出される。
光モジュール1Aによれば、レーザ光の干渉光L11の検出結果に基づいて、Z軸方向における可動ミラー22の位置の計測が可能となり、その位置の計測結果、及び測定光の干渉光L1の検出結果に基づいて、測定対象についての分光分析が可能となる。
[ミラーユニットの構成]
図2、図3及び図4に示されるように、ミラーユニット2は、ミラーデバイス20と、光学機能部材13と、固定ミラー16と、応力緩和基板17と、を有している。ミラーデバイス20は、ベース21と、可動ミラー22と、駆動部23と、を含んでいる。
ベース21は、第1表面21a(Z軸方向における一方の側の表面)、及び第1表面21aとは反対側の第2表面21bを有している。第1表面21a及び第2表面21bの各々は、ベース21の主面である。ベース21は、例えば矩形板状を呈しており、例えば10mm×15mm×0.35mm(厚さ)程度のサイズを有している。可動ミラー22は、ミラー面22aと、ミラー面22aが配置された可動部22bと、を有している。可動ミラー22は、第1表面21aに垂直なZ軸方向(第1表面と交差する第1方向)に沿って移動可能となるようにベース21において支持されている。駆動部23は、Z軸方向に沿って可動ミラー22を移動させる。
ミラーデバイス20には、一対の光通過部24,25が設けられている。一対の光通過部24,25は、X軸方向における可動ミラー22の両側に配置されている。光通過部24は、ビームスプリッタユニット3と固定ミラー16との間の光路の第1部分を構成している。なお、本実施形態では、光通過部25は、光通過部として機能していない。
ここで、ミラーデバイス20の構成について、図2、図5及び図6を参照して詳細に説明する。なお、図5は、図3に示されるミラーデバイス20の模式的な断面図であり、図5には、例えば、Z軸方向における寸法が実際よりも拡大された状態でミラーデバイス20が模式的に示されている。
ベース21、可動ミラー22の可動部22b、及び駆動部23は、SOI(Silicon On Insulator)基板(半導体基板)100によって構成されている。つまり、ミラーデバイス20は、SOI基板100によって構成されたMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)デバイスである。ミラーデバイス20は、例えば、矩形板状に形成されている。SOI基板100は、支持層101、デバイス層102及び中間層103を有している。支持層101は、第1シリコン層(第1半導体層)である。デバイス層102は、第2シリコン層(第2半導体層)である。中間層103は、支持層101とデバイス層102との間に配置された絶縁層である。SOI基板100は、支持層101、中間層103及びデバイス層102を、Z軸方向における一方の側からこの順に有している。
ベース21は、支持層101、デバイス層102及び中間層103の一部によって構成されている。ベース21の第1表面21aは、支持層101における中間層103とは反対側の表面である。ベース21の第2表面21bは、デバイス層102における中間層103とは反対側の表面である。ベース21を構成する支持層101は、ベース21を構成するデバイス層102よりも厚い。ベース21を構成する支持層101の厚さは、例えば、ベース21を構成するデバイス層102の厚さの4倍程度である。ミラーユニット2では、後述するように、ベース21の第2表面21bと光学機能部材13の第3表面13aとが互いに接合されている(図3及び図4参照)。
可動ミラー22は、軸線R1と軸線R2との交点を中心位置(重心位置)として配置されている。軸線R1は、X軸方向に延在する直線である。軸線R2は、Y軸方向に延在する直線である。Z軸方向から見た場合に、ミラーデバイス20のうち、後述するベース21の第6表面21dと重なる部分以外の部分は、軸線R1及び軸線R2の各々に関して線対称な形状を呈している。
可動ミラー22(可動部22b)は、配置部221、枠部222、一対の連結部223、及び梁部224を有している。配置部221、枠部222及び一対の連結部223は、デバイス層102の一部によって構成されている。配置部221は、Z軸方向から見た場合に円形状を呈している。配置部221は、中央部221a及び外縁部221bを有している。中央部221aにおけるZ軸方向の一方の側の表面221as上には、例えば、金属膜(金属層)が形成されることで、ミラー面22aが設けられている。ミラー面22aは、Z軸方向に垂直に延在し、円形状を呈している。中央部221aの表面221asは、デバイス層102における中間層103側の表面である。ミラー面22aは、ベース21の第1表面21aよりもZ軸方向における他方の側に位置している。換言すれば、第1表面21aは、ミラー面22aよりもZ軸方向における一方の側に位置している。外縁部221bは、Z軸方向から見た場合に中央部221aを囲んでいる。
枠部222は、Z軸方向から見た場合に、配置部221から所定の間隔を空けて配置部221を囲むように、環状に延在している。枠部222は、例えば、Z軸方向から見た場合に円環状を呈している。一対の連結部223の各々は、配置部221と枠部222とを互いに連結している。一対の連結部223は、Y軸方向における配置部221の両側に配置されている。
梁部224は、デバイス層102上に配置された支持層101及び中間層103によって構成されている。梁部224は、内側梁部224a、外側梁部224b及び一対の連結梁部224cを有している。内側梁部224aは、外縁部221bにおけるZ軸方向の一方の側の表面上に配置されている。内側梁部224aは、Z軸方向から見た場合にミラー面22aを囲んでいる。例えば、内側梁部224aの外縁は、Z軸方向から見た場合に、配置部221の外縁から所定の間隔を空けて、配置部221の外縁に沿って延在している。内側梁部224aの内縁は、Z軸方向から見た場合に、ミラー面22aの外縁から所定の間隔を空けて、ミラー面22aの外縁に沿って延在している。内側梁部224aにおけるZ軸方向の一方の側の端面224asは、ミラー面22aよりもZ軸方向における一方の側に位置している。
外側梁部224bは、枠部222におけるZ軸方向の一方の側の表面上に配置されている。外側梁部224bは、Z軸方向から見た場合に内側梁部224aを囲んでおり、ひいてはミラー面22aを囲んでいる。例えば、外側梁部224bの外縁は、Z軸方向から見た場合に、枠部222の外縁から所定の間隔を空けて、枠部222の外縁に沿って延在している。外側梁部224bの内縁は、Z軸方向から見た場合に、枠部222の内縁から所定の間隔を空けて、枠部222の内縁に沿って延在している。外側梁部224bにおけるZ軸方向の一方の側の端面224bsは、ミラー面22aよりもZ軸方向における一方の側に位置している。
一対の連結梁部224cは、一対の連結部223におけるZ軸方向の一方の側の表面上にそれぞれ配置されている。各連結梁部224cは、内側梁部224aと外側梁部224bとを互いに連結している。連結梁部224cにおけるZ軸方向における一方の側の端面224csは、ミラー面22aよりもZ軸方向における一方の側に位置している。
Z軸方向における内側梁部224a、外側梁部224b及び各連結梁部224cの厚さは、互いに等しい。つまり、内側梁部224a、外側梁部224b及び各連結梁部224cを構成する支持層101の厚さは、互いに等しい。内側梁部224aの端面224as、外側梁部224bの端面224bs、及び各連結梁部224cの端面224csは、Z軸方向に垂直な同一の平面上に位置している。内側梁部224a、外側梁部224b及び各連結梁部224cを構成する支持層101は、ベース21を構成する支持層101よりも薄い。これにより、端面224as,224bs,224csは、ベース21の第1表面21aよりもZ軸方向における一方の側に位置している。換言すれば、第1表面21aは、端面224as,224bs,224csよりもZ軸方向の他方の側に位置している。
Z軸方向から見た場合に、外側梁部224bの幅は、内側梁部224aの幅よりも広い。Z軸方向から見た場合における内側梁部224aの幅とは、内側梁部224aの延在方向に垂直な方向における内側梁部224aの長さであり、本実施形態では、内側梁部224aの半径方向における内側梁部224aの長さである。この点は、Z軸方向から見た場合における外側梁部224bの幅についても同様である。各連結梁部224cの幅は、内側梁部224a及び外側梁部224bのそれぞれの幅よりも広い。各連結梁部224cの幅とは、内側梁部224aの延在方向に沿っての各連結梁部224cの長さである。
駆動部23は、第1弾性支持部(弾性支持部)26、第2弾性支持部(弾性支持部)27及びアクチュエータ部28を有している。第1弾性支持部26、第2弾性支持部27及びアクチュエータ部28は、デバイス層102の一部によって構成されている。
第1弾性支持部26及び第2弾性支持部27の各々は、ベース21と可動ミラー22との間に接続されている。第1弾性支持部26及び第2弾性支持部27は、可動ミラー22(可動部22b)がZ軸方向(ミラー面22aと交差する方向)に沿って移動可能となるように可動ミラー22を支持している。
第1弾性支持部26は、一対のレバー261、第1リンク部材262、第2リンク部材263、一対の梁部材264、中間部材265、一対の第1トーションバー(第1捩り支持部)266、一対の第2トーションバー(第2捩り支持部)267、一対の非線形性緩和バネ268、及び複数の電極支持部269を有している。
一対のレバー261は、Y軸方向における光通過部24の両側に配置され、Y軸方向において互いに向かい合っている。各レバー261は、Z軸方向に垂直な平面に沿って延在する板状を呈している。各レバー261は、第1部分261aと、第1部分261aに対して可動ミラー22とは反対側に配置された第2部分261bと、第1部分261a及び第2部分261bに接続された第3部分261cと、を有している。第1部分261a及び第2部分261bは、X軸方向に沿って延在している。X軸方向における第1部分261aの長さは、X軸方向における第2部分261bの長さよりも短い。一対のレバー261の第3部分261cは、可動ミラー22から遠ざかるほど互いに離れるように傾斜して延在している。
第1リンク部材262は、一対のレバー261における可動ミラー22とは反対側の第1端部261d間に掛け渡されている。第1リンク部材262は、Z軸方向に垂直な平面に沿って延在する板状を呈し、Y軸方向に沿って延在している。第2リンク部材263は、一対のレバー261における可動ミラー22側の第2端部261e間に掛け渡されている。第2リンク部材263は、Z軸方向に垂直な平面に沿って延在する板状を呈し、Y軸方向に沿って延在している。X軸方向における第2リンク部材263の幅は、X軸方向における第1リンク部材262の幅よりも狭い。Y軸方向における第2リンク部材263の長さは、Y軸方向における第1リンク部材262の長さよりも短い。
一対の梁部材264は、一対のレバー261の第2部分261bと、第1リンク部材262との間にそれぞれ掛け渡されている。各梁部材264は、Z軸方向に垂直な平面に沿って延在する板状を呈している。一対の梁部材264は、可動ミラー22から遠ざかるほど互いに近付くように傾斜して延在している。一対のレバー261、第1リンク部材262、第2リンク部材263及び一対の梁部材264は、光通過部24を画定している。光通過部24は、Z軸方向から見た場合に多角形状を呈している。光通過部24は、例えば空洞(孔)である。或いは、光通過部24内には、測定光L0及びレーザ光L10に対して光透過性を有する材料が配置されてもよい。
中間部材265は、Z軸方向に垂直な平面に沿って延在する板状を呈し、Y軸方向に沿って延在している。中間部材265は、可動ミラー22と第2リンク部材263との間(換言すれば、可動ミラー22と光通過部24との間)に配置されている。中間部材265は、後述するように、非線形性緩和バネ268を介して可動ミラー22に接続されている。
一対の第1トーションバー266は、それぞれ、一方のレバー261の第1端部261dとベース21との間、及び、他方のレバー261の第1端部261dとベース21との間に掛け渡されている。つまり、一対の第1トーションバー266は、一対のレバー261とベース21との間にそれぞれ接続されている。各第1トーションバー266は、Y軸方向に沿って延在している。一対の第1トーションバー266は、Y軸方向に平行な同一の中心線上に配置されている。本実施形態では、各第1トーションバー266の中心線と第1リンク部材262の中心線とは、同一の直線上に位置している。各レバー261の第1端部261dには、Y軸方向における外側に突出した突出部261fが設けられており、各第1トーションバー266は、突出部261fに接続されている。
一対の第2トーションバー267は、それぞれ、一方のレバー261の第2端部261eと中間部材265の一端との間、及び、他方のレバー261の第2端部261eと中間部材265の他端との間に掛け渡されている。つまり、一対の第2トーションバー267は、一対のレバー261と可動ミラー22との間にそれぞれ接続されている。各第2トーションバー267は、Y軸方向に沿って延在している。一対の第2トーションバー267は、Y軸方向に平行な同一の中心線上に配置されている。
一対の非線形性緩和バネ268は、可動ミラー22と中間部材265との間に接続されている。つまり、一対の非線形性緩和バネ268は、可動ミラー22と第2トーションバー267との間に接続されている。各非線形性緩和バネ268は、Z軸方向から見た場合に蛇行して延在する蛇行部268aを有している。蛇行部268aは、Y軸方向に延在し、X軸方向に並ぶ複数の直線状部分268bと、複数の直線状部分268bの両端を交互に連結する複数の折り返し部分268cと、を含んでいる。蛇行部268aの一端は中間部材265に接続され、蛇行部268aの他端は枠部222に接続されている。蛇行部268aにおける枠部222側の部分は、枠部222の外縁に沿った形状を呈している。
非線形性緩和バネ268は、可動ミラー22がZ軸方向に移動した状態において、Y軸方向周りにおける非線形性緩和バネ268の変形量がY軸方向周りにおける第1トーションバー266及び第2トーションバー267の各々の変形量よりも小さくなり、且つ、X軸方向における非線形性緩和バネ268の変形量がX軸方向における第1トーションバー266及び第2トーションバー267の各々の変形量よりも大きくなるように、構成されている。これにより、第1トーションバー266及び第2トーションバー267の捩れ変形に非線形性が生じるのを抑制することができ、当該非線形性に起因する可動ミラー22の制御特性の低下を抑制することができる。なお、Y軸方向周りにおける第1トーションバー266、第2トーションバー267及び非線形性緩和バネ268の変形量とは、例えば、捩れ量(捩れ角度)の絶対値を意味する。X軸方向における第1トーションバー266、第2トーションバー267及び非線形性緩和バネ268の変形量とは、例えば、撓み量の絶対値を意味する。Y軸方向周りにおける或る部材の変形量とは、当該部材の中心を通り且つY軸に平行な軸線を中心とする円の周方向における当該部材の変形量を意味する。これらの点は、後述する第1トーションバー276、第2トーションバー277及び非線形性緩和バネ278についても同様である。
複数の電極支持部269は、一対の第1電極支持部269a、一対の第2電極支持部269b、及び一対の第3電極支持部269cを含んでいる。各電極支持部269a,269b,269cは、Z軸方向に垂直な平面に沿って延在する板状を呈し、Y軸方向に沿って延在している。各電極支持部269a,269b,269cは、レバー261の第2部分261bから、光通過部24とは反対側に向かって延びている。一対の第1電極支持部269aは、Y軸方向に平行な同一の中心線上に配置されている。一対の第2電極支持部269bは、Y軸方向に平行な同一の中心線上に配置されている。一対の第3電極支持部269cは、Y軸方向に平行な同一の中心線上に配置されている。X軸方向において、第1電極支持部269a、第2電極支持部269b及び第3電極支持部269cは、可動ミラー22側からこの順に並んで配置されている。
第2弾性支持部27は、一対のレバー271、第1リンク部材272、第2リンク部材273、一対の梁部材274、中間部材275、一対の第1トーションバー(第1捩り支持部)276、一対の第2トーションバー(第2捩り支持部)277、一対の非線形性緩和バネ278、及び複数の電極支持部279を有している。
一対のレバー271は、Y軸方向における光通過部25の両側に配置され、Y軸方向において互いに向かい合っている。各レバー271は、Z軸方向に垂直な平面に沿って延在する板状を呈している。各レバー271は、第1部分271aと、第1部分271aに対して可動ミラー22とは反対側に配置された第2部分271bと、第1部分271a及び第2部分271bに接続された第3部分271cと、を有している。第1部分271a及び第2部分271bは、X軸方向に沿って延在している。X軸方向における第1部分271aの長さは、X軸方向における第2部分271bの長さよりも短い。一対のレバー271の第3部分271cは、可動ミラー22から遠ざかるほど互いに離れるように傾斜して延在している。
第1リンク部材272は、一対のレバー271における可動ミラー22とは反対側の第1端部271d間に掛け渡されている。第1リンク部材272は、Z軸方向に垂直な平面に沿って延在する板状を呈し、Y軸方向に沿って延在している。第2リンク部材273は、一対のレバー271における可動ミラー22側の第2端部271e間に掛け渡されている。第2リンク部材273は、Z軸方向に垂直な平面に沿って延在する板状を呈し、Y軸方向に沿って延在している。X軸方向における第2リンク部材273の幅は、X軸方向における第1リンク部材272の幅よりも狭い。Y軸方向における第2リンク部材273の長さは、Y軸方向における第1リンク部材272の長さよりも短い。
一対の梁部材274は、一対のレバー271の第2部分271bと、第1リンク部材272との間にそれぞれ掛け渡されている。各梁部材274は、Z軸方向に垂直な平面に沿って延在する板状を呈している。一対の梁部材274は、可動ミラー22から遠ざかるほど互いに近付くように傾斜して延在している。一対のレバー271、第1リンク部材272、第2リンク部材273及び一対の梁部材274は、光通過部25を画定している。光通過部25は、Z軸方向から見た場合に多角形状を呈している。光通過部25は、例えば空洞(孔)である。或いは、光通過部25内には、測定光L0及びレーザ光L10に対して光透過性を有する材料が配置されてもよい。
中間部材275は、Z軸方向に垂直な平面に沿って延在する板状を呈し、Y軸方向に沿って延在している。中間部材275は、可動ミラー22と第2リンク部材273との間(換言すれば、可動ミラー22と光通過部25との間)に配置されている。中間部材275は、後述するように、非線形性緩和バネ278を介して可動ミラー22に接続されている。
一対の第1トーションバー276は、それぞれ、一方のレバー271の第1端部271dとベース21との間、及び、他方のレバー271の第1端部271dとベース21との間に掛け渡されている。つまり、一対の第1トーションバー276は、一対のレバー271とベース21との間にそれぞれ接続されている。各第1トーションバー276は、Y軸方向に沿って延在している。一対の第1トーションバー276は、Y軸方向に平行な同一の中心線上に配置されている。本実施形態では、各第1トーションバー276の中心線と第1リンク部材272の中心線とは、同一の直線上に位置している。各レバー271の第1端部271dには、Y軸方向における外側に突出した突出部271fが設けられており、各第1トーションバー276は、突出部271fに接続されている。
一対の第2トーションバー277は、それぞれ、一方のレバー271の第2端部271eと中間部材275の一端との間、及び、他方のレバー271の第2端部271eと中間部材275の他端との間に掛け渡されている。つまり、一対の第2トーションバー277は、一対のレバー271と可動ミラー22との間にそれぞれ接続されている。各第2トーションバー277は、Y軸方向に沿って延在している。一対の第2トーションバー277は、Y軸方向に平行な同一の中心線上に配置されている。
一対の非線形性緩和バネ278は、可動ミラー22と中間部材275との間に接続されている。つまり、一対の非線形性緩和バネ278は、可動ミラー22と第2トーションバー277との間に接続されている。各非線形性緩和バネ278は、Z軸方向から見た場合に蛇行して延在する蛇行部278aを有している。蛇行部278aは、Y軸方向に延在し、X軸方向に並ぶ複数の直線状部分278bと、複数の直線状部分278bの両端を交互に連結する複数の折り返し部分278cと、を含んでいる。蛇行部278aの一端は中間部材275に接続され、蛇行部278aの他端は枠部222に接続されている。蛇行部278aにおける枠部222側の部分は、枠部222の外縁に沿った形状を呈している。
非線形性緩和バネ278は、可動ミラー22がZ軸方向に移動した状態において、Y軸方向周りにおける非線形性緩和バネ278の変形量がY軸方向周りにおける第1トーションバー276及び第2トーションバー277の各々の変形量よりも小さくなり、且つ、X軸方向における非線形性緩和バネ278の変形量がX軸方向における第1トーションバー276及び第2トーションバー277の各々の変形量よりも大きくなるように、構成されている。これにより、第1トーションバー276及び第2トーションバー277の捩れ変形に非線形性が生じるのを抑制することができ、当該非線形性に起因する可動ミラー22の制御特性の低下を抑制することができる。
複数の電極支持部279は、一対の第1電極支持部279a、一対の第2電極支持部279b、及び一対の第3電極支持部279cを含んでいる。各電極支持部279a,279b,279cは、Z軸方向に垂直な平面に沿って延在する板状を呈し、Y軸方向に沿って延在している。各電極支持部279a,279b,279cは、レバー271の第2部分271bから、光通過部25とは反対側に向かって延びている。一対の第1電極支持部279aは、Y軸方向に平行な同一の中心線上に配置されている。一対の第2電極支持部279bは、Y軸方向に平行な同一の中心線上に配置されている。一対の第3電極支持部279cは、Y軸方向に平行な同一の中心線上に配置されている。X軸方向において、第1電極支持部279a、第2電極支持部279b及び第3電極支持部279cは、可動ミラー22側からこの順に並んで配置されている。
アクチュエータ部28は、Z軸方向に沿って可動ミラー22を移動させる。アクチュエータ部28は、固定櫛歯電極(第1櫛歯電極)281、可動櫛歯電極(第2櫛歯電極)282、固定櫛歯電極(第1櫛歯電極)283及び可動櫛歯電極(第2櫛歯電極)284を有している。固定櫛歯電極281,283の位置は、固定されている。可動櫛歯電極282,284は、可動ミラー22の移動に伴って移動する。
固定櫛歯電極281は、ベース21のデバイス層102における電極支持部269と向かい合う表面の一部に設けられている。固定櫛歯電極281は、Y軸方向に垂直な平面に沿って延在する複数の固定櫛歯(第1櫛歯)281aを有している。これらの固定櫛歯281aは、Y軸方向に所定の間隔を空けて並んで配置されている。
可動櫛歯電極282は、各第1電極支持部269aにおける可動ミラー22側の表面、各第2電極支持部269bにおけるX軸方向の両側の表面、及び、各第3電極支持部269cにおける可動ミラー22側の表面に設けられている。可動櫛歯電極282は、Y軸方向に垂直な平面に沿って延在する複数の可動櫛歯(第2櫛歯)282aを有している。これらの可動櫛歯282aは、Y軸方向に所定の間隔を空けて並んで配置されている。
固定櫛歯電極281及び可動櫛歯電極282においては、複数の固定櫛歯281aと複数の可動櫛歯282aとが互い違いに配置されている。つまり、固定櫛歯電極281の各固定櫛歯281aが可動櫛歯電極282の可動櫛歯282a間に位置している。隣り合う固定櫛歯281aと可動櫛歯282aとは、Y軸方向において互いに向かい合っている。隣り合う固定櫛歯281aと可動櫛歯282aとの間の距離は、例えば数μm程度である。
固定櫛歯電極283は、ベース21のデバイス層102における電極支持部279と向かい合う表面の一部に設けられている。固定櫛歯電極283は、Y軸方向に垂直な平面に沿って延在する複数の固定櫛歯(第1櫛歯)283aを有している。これらの固定櫛歯283aは、Y軸方向に所定の間隔を空けて並んで配置されている。
可動櫛歯電極284は、各第1電極支持部279aにおける可動ミラー22側の表面、各第2電極支持部279bにおけるX軸方向の両側の表面、及び、各第3電極支持部279cにおける可動ミラー22側の表面に設けられている。可動櫛歯電極284は、Y軸方向に垂直な平面に沿って延在する複数の可動櫛歯(第2櫛歯)284aを有している。これらの可動櫛歯284aは、Y軸方向に所定の間隔を空けて並んで配置されている。
固定櫛歯電極283及び可動櫛歯電極284においては、複数の固定櫛歯283aと複数の可動櫛歯284aとが互い違いに配置されている。つまり、固定櫛歯電極283の各固定櫛歯283aが可動櫛歯電極284の可動櫛歯284a間に位置している。隣り合う固定櫛歯283aと可動櫛歯284aとは、Y軸方向において互いに向かい合っている。隣り合う固定櫛歯283aと可動櫛歯284aとの間の距離は、例えば数μm程度である。
ベース21には、複数の電極パッド211が設けられている。各電極パッド211は、デバイス層102に至るようにベース21の第1表面21aに形成された開口213内において、デバイス層102の表面上に配置されている。複数の電極パッド211のうちの幾つかは、デバイス層102を介して、固定櫛歯電極281又は固定櫛歯電極283と電気的に接続されている。複数の電極パッド211のうちの他の幾つかは、第1弾性支持部26又は第2弾性支持部27を介して、可動櫛歯電極282又は可動櫛歯電極284と電気的に接続されている。また、ベース21には、グランド電極として用いられる一対の電極パッド212が設けられている。一対の電極パッド212は、Y軸方向における可動ミラー22の両側に位置するように、第1表面21a上に配置されている。
以上のように構成されたミラーデバイス20では、後述するリードピン113及びワイヤ(図示省略)を介して、Z軸方向に沿って可動ミラー22を移動させるための電気信号が駆動部23に入力される。これにより、例えば、Z軸方向における一方の側に可動ミラー22が移動するように、互いに向かい合う固定櫛歯電極281と可動櫛歯電極282との間、及び、互いに向かい合う固定櫛歯電極283と可動櫛歯電極284との間に静電気力が生じる。このとき、第1弾性支持部26及び第2弾性支持部27において第1トーションバー266,276、第2トーションバー267,277が捩れて、第1弾性支持部26及び第2弾性支持部27に弾性力が生じる。ミラーデバイス20では、駆動部23に周期的な電気信号を付与することで、Z軸方向に沿って可動ミラー22をその共振周波数レベルで往復動させることができる。このように、駆動部23は、静電アクチュエータとして機能する。
図2、図3、図4及び図7に示されるように、光学機能部材13は、ベース21の第2表面21bと対向する第3表面13a(Z軸方向における一方の側の表面)、及び第3表面13aとは反対側の第4表面13bを有している。Z軸方向から見た場合に、光学機能部材13の外縁13cは、ベース21の外縁21cの外側に位置している。つまり、Z軸方向から見た場合に、光学機能部材13の外縁13cは、ベース21の外縁21cを包囲している。光学機能部材13は、測定光L0及びレーザ光L10に対して透過性を有する材料によって一体的に形成されている。光学機能部材13は、例えばガラスによって矩形板状に形成されており、例えば15mm×20mm×4mm(厚さ)程度のサイズを有している。なお、光学機能部材13の材料は、例えば、光モジュール1Aの感度波長が近赤外領域である場合にはガラス、光モジュール1Aの感度波長が中赤外領域である場合にはシリコンというように、光モジュール1Aの感度波長によって選択される。
光学機能部材13には、一対の光透過部14,15が設けられている。光透過部14は、光学機能部材13のうち、Z軸方向においてミラーデバイス20の光通過部24と対向する部分である。光透過部15は、光学機能部材13のうち、Z軸方向においてミラーデバイス20の光通過部25と対向する部分である。光透過部14におけるミラーデバイス20側の表面14a、及び光透過部15におけるミラーデバイス20側の表面15aは、第3表面13aと同一平面上に位置している。光透過部14は、ビームスプリッタユニット3と固定ミラー16との間の光路の第2部分を構成している。光透過部14は、ビームスプリッタユニット3と可動ミラー22との間の光路と、ビームスプリッタユニット3と固定ミラー16との間の光路と、の間に生じる光路差を補正する部分である。なお、本実施形態では、光透過部15は、光透過部として機能していない。
光学機能部材13は、ミラーデバイス20の可動ミラー22及び駆動部23と対向する第5表面13dを有している。第5表面13dは、第3表面13aよりも第4表面13b側に位置している。第5表面13dは、Z軸方向から見た場合に光学機能部材13の外縁13cまで延在している。本実施形態では、第5表面13dは、各光透過部14,15におけるミラーデバイス20側の端部を包囲しつつ、光学機能部材13の外縁13cのうち、Y軸方向(第1方向及び第2方向と交差する方向)に延在する一対の対辺のそれぞれまで、延在している。
光学機能部材13の第3表面13aは、ダイレクトボンディング(例えば、プラズマ活性化接合(Plasma Activation Bonding)、表面活性化接合(SAB:Surface-activated Room-temperature Bonding)、原子拡散接合(ADB:Atomic Diffusion Bonding)、陽極接合(Anodic Bonding)、フュージョンボンディング(Fusion Bonding)、親水化接合(Hydrophilic Bonding)等)によってベース21の第2表面21bと接合されている。本実施形態では、第3表面13aは、Y軸方向における第5表面13dの両側において、ベース21に設けられた複数の電極パッド211,212と対向するように延在している。ここで、第5表面13dは、第3表面13aよりも第4表面13b側に位置しているため、第5表面13dは、可動ミラー22及び駆動部23と対向する領域においてミラーデバイス20から離れることになる。また、光透過部14の表面14a、及び光透過部15の表面15aは、それぞれ、ミラーデバイス20の光通過部24,25と対向している。これにより、ミラーユニット2では、可動ミラー22がZ軸方向に沿って往復移動した際に、可動ミラー22及び駆動部23が光学機能部材13に接触することが防止されている。
なお、ミラーデバイス20のベース21には、光学機能部材13の第3表面13aとベース21の第2表面21bとが互いに接合された状態で光学機能部材13から離れた第6表面21dが設けられている。第6表面21dは、Z軸方向から見た場合におけるベース21の外縁の少なくとも一部を含む領域において光学機能部材13から離れている。本実施形態では、第6表面21dは、ベース21の外縁のうちY軸方向に延在する一辺に沿ってデバイス層102及び中間層103がエッチングによって除去されることで、形成されている。また、光学機能部材13の第3表面13aには、複数の基準孔13eが形成されている。本実施形態では、複数の基準孔13eは、ベース21が有する複数の角部にそれぞれ対応するように、第3表面13aに形成されている。光学機能部材13の第3表面13aとベース21の第2表面21bとが互いに接合される際には、ベース21のうち第6表面21dに対応する部分が把持されることでミラーデバイス20のハンドリングが実施され、第3表面13aに形成された複数の基準孔13eを基準として、X軸方向及びY軸方向におけるミラーデバイス20の位置、及びZ軸方向に垂直な平面内でのミラーデバイス20の角度が調整される。
図3及び図4に示されるように、固定ミラー16は、光学機能部材13に対してミラーデバイス20とは反対側に配置されており、ミラーデバイス20のベース21に対する位置が固定されている。固定ミラー16は、例えば蒸着によって、光学機能部材13の第4表面13bに形成されている。固定ミラー16は、Z軸方向に垂直なミラー面16aを有している。本実施形態では、可動ミラー22のミラー面22a及び固定ミラー16のミラー面16aが、Z軸方向における一方の側(ビームスプリッタユニット3側)に向いている。なお、固定ミラー16は、光学機能部材13の各光透過部14,15を透過する光を反射するように、光学機能部材13の第4表面13bに連続的に形成されているが、光透過部14を透過する光を反射する固定ミラーと、光透過部15を透過する光を反射する固定ミラーとが別々に設けられていてもよい。
応力緩和基板17は、固定ミラー16を介して光学機能部材13の第4表面13bに取り付けられている。応力緩和基板17は、例えば接着剤によって、固定ミラー16に取り付けられている。Z軸方向から見た場合に、応力緩和基板17の外縁は、光学機能部材13の外縁13cの外側に位置している。つまり、Z軸方向から見た場合に、応力緩和基板17の外縁は、光学機能部材13の外縁13cを包囲している。応力緩和基板17の熱膨張係数は、光学機能部材13の熱膨張係数よりもミラーデバイス20のベース21の熱膨張係数(より具体的には、支持層101の熱膨張係数)に近い。また、応力緩和基板17の厚さは、光学機能部材13の厚さよりもミラーデバイス20のベース21の厚さに近い。応力緩和基板17は、例えばシリコンによって矩形板状に形成されており、例えば16mm×21mm×0.65mm(厚さ)程度のサイズを有している。
以上のように構成されたミラーユニット2は、図1に示されるように、応力緩和基板17における光学機能部材13とは反対側の表面が例えば接着剤によって支持体9の表面9a(Z軸方向における一方の側の表面)に固定されることで、支持体9に取り付けられている。ミラーユニット2が支持体9に取り付けられる際には、図8に示されるように、支持体9に形成された基準孔9bを基準として、X軸方向及びY軸方向におけるミラーデバイス20の位置、及びZ軸方向に垂直な平面内でのミラーデバイス20の角度が調整される。なお、図8では、第2支持構造12の図示が省略されている。
[第1支持構造及びビームスプリッタユニットの構成]
図1及び図8に示されるように、第1支持構造11は、枠体111と、光透過部材112と、複数のリードピン113と、を有している。枠体111は、Z軸方向から見た場合にミラーユニット2を包囲するように形成されており、例えば銀ロウ等の接着剤によって、支持体9の表面9aに取り付けられている。枠体111は、例えばセラミックによって形成されており、例えば矩形枠状を呈している。枠体111における支持体9とは反対側の端面111aは、ミラーデバイス20のベース21の第1表面21aよりも支持体9とは反対側に位置している。
光透過部材112は、枠体111の開口を塞ぐように形成されており、例えば接着剤によって、枠体111の端面111aに取り付けられている。光透過部材112は、測定光L0及びレーザ光L10に対して透過性を有する材料によって形成されており、例えば矩形板状を呈している。ここで、枠体111の端面111aは、ミラーデバイス20のベース21の第1表面21aよりも支持体9とは反対側に位置しているため、光透過部材112は、ミラーデバイス20から離れることになる。これにより、光モジュール1Aでは、可動ミラー22がZ軸方向に沿って往復移動した際に、可動ミラー22及び駆動部23が光透過部材112に接触することが防止されている。なお、光モジュール1Aでは、支持体9、枠体111及び光透過部材112によって、ミラーユニット2を収容するパッケージが構成されている。
各リードピン113は、一端部113aが枠体111の内側に位置し且つ他端部(図示省略)が枠体111の外側に位置するように、枠体111に設けられている。リードピン113の一端部113aは、ミラーデバイス20において当該リードピン113に対応する電極パッド211,212とワイヤ(図示省略)によって電気的に接続されている。光モジュール1Aでは、Z軸方向に沿って可動ミラー22を移動させるための電気信号が、複数のリードピン113を介して駆動部23に入力される。本実施形態では、Y軸方向における光学機能部材13の両側においてX軸方向に延在する段差面111bが枠体111に形成されており、各リードピン113の一端部113aは、段差面111bに配置されている。各リードピン113は、Y軸方向における支持体9の両側においてZ軸方向に延在しており、各リードピン113の他端部は、支持体9よりもZ軸方向における他方の側に位置している。
図10に示されるように、ビームスプリッタユニット3は、例えば屈折率整合剤を兼ねた光学接着剤によって、光透過部材112におけるミラーデバイス20とは反対側の表面112aに取り付けられている。ビームスプリッタユニット3は、第1ミラー面(ビームスプリッタ)31、第2ミラー面32及び複数の光学面33a,33b,33c,33dを有している。ビームスプリッタユニット3は、複数の光学ブロック34,35,36が接合されることで構成されている。各光学ブロック34,35,36は、光学機能部材13と屈折率が同一又は類似の材料によって形成されている。なお、図10は、図1に示されるミラーユニット2及びビームスプリッタユニット3の模式的な断面図であり、図10には、例えば、Z軸方向における寸法が実際よりも拡大された状態でミラーデバイス20が模式的に示されている。
第1ミラー面31は、Z軸方向に対して傾斜したミラー面(例えば、ハーフミラー面)であり、光学ブロック34と光学ブロック35との間に形成されている。本実施形態では、第1ミラー面31は、Y軸方向に平行な面であり、且つZ軸方向と45°の角度を成す面であって、ミラーデバイス20に近付くほど光入射部4から離れるように傾斜した面である。第1ミラー面31は、測定光L0の一部を反射し且つ測定光L0の残部を透過させる機能、及びレーザ光L10の一部を反射し且つレーザ光L10の残部を透過させる機能を有している。第1ミラー面31は、例えば誘電体多層膜によって形成されている。第1ミラー面31は、Z軸方向から見た場合に、ミラーデバイス20の光通過部24、光学機能部材13の光透過部14、及び固定ミラー16のミラー面16aと重なっており、且つX軸方向から見た場合に光入射部4と重なっている(図1参照)。つまり、第1ミラー面31は、Z軸方向において固定ミラー16と対向しており、且つX軸方向において光入射部4と対向している。
第2ミラー面32は、第1ミラー面31に平行なミラー面(例えば、全反射ミラー面)であり、第1ミラー面31に対して光入射部4とは反対側に位置するように光学ブロック36に形成されている。第2ミラー面32は、測定光L0を反射する機能、及びレーザ光L10を反射する機能を有している。第2ミラー面32は、例えば金属膜によって形成されている。第2ミラー面32は、Z軸方向から見た場合にミラーデバイス20の可動ミラー22のミラー面22aと重なっており、且つX軸方向から見た場合に第1ミラー面31と重なっている。つまり、第2ミラー面32は、Z軸方向において可動ミラー22と対向しており、且つX軸方向において第1ミラー面31と対向している。
光学面33aは、Z軸方向に垂直な面であり、第1ミラー面31に対してミラーデバイス20とは反対側に位置するように光学ブロック35に形成されている。光学面33bは、Z軸方向に垂直な面であり、第2ミラー面32に対してミラーデバイス20側に位置するように光学ブロック36に形成されている。光学面33cは、Z軸方向に垂直な面であり、第1ミラー面31に対してミラーデバイス20側に位置するように光学ブロック34に形成されている。光学面33b及び光学面33cは、同一平面上に位置している。光学面33dは、X軸方向に垂直な面であり、第1ミラー面31に対して光入射部4側に位置するように光学ブロック34に形成されている。各光学面33a,33b,33c,33dは、測定光L0を透過させる機能、及びレーザ光L10を透過させる機能を有している。
以上のように構成されたビームスプリッタユニット3は、同一平面上に位置する光学面33b及び光学面33cが例えば光学接着剤によって光透過部材112の表面112aに固定されることで、光透過部材112に取り付けられている。ビームスプリッタユニット3が光透過部材112に取り付けられる際には、図9に示されるように、支持体9に形成された基準孔9bを基準として、X軸方向及びY軸方向におけるビームスプリッタユニット3の位置、及びZ軸方向に垂直な平面内でのビームスプリッタユニット3の角度が調整される。なお、図9では、第2支持構造12の図示が省略されている。
ここで、ミラーユニット2及びビームスプリッタユニット3における測定光L0の光路及びレーザ光L10の光路について、図10を参照して詳細に説明する。
図10に示されるように、光学面33dを介してビームスプリッタユニット3にX軸方向に沿って測定光L0が入射すると、測定光L0の一部は、第1ミラー面31を透過して第2ミラー面32で反射され、光学面33b及び光透過部材112を介して可動ミラー22のミラー面22aに至る。当該測定光L0の一部は、可動ミラー22のミラー面22aで反射され、同一の光路P1上を逆方向に進行して第1ミラー面31で反射される。測定光L0の残部は、第1ミラー面31で反射され、光学面33c、光透過部材112、ミラーデバイス20の光通過部24、及び光学機能部材13の光透過部14を介して、固定ミラー16のミラー面16aに至る。当該測定光L0の残部は、固定ミラー16のミラー面16aで反射され、同一の光路P2上を逆方向に進行して第1ミラー面31を透過する。第1ミラー面31で反射された測定光L0の一部と、第1ミラー面31を透過した測定光L0の残部とは、干渉光L1となり、当該測定光の干渉光L1は、光学面33aを介してビームスプリッタユニット3からZ軸方向に沿って出射される。
一方、光学面33aを介してビームスプリッタユニット3にZ軸方向に沿ってレーザ光L10が入射すると、レーザ光L10の一部は、第1ミラー面31及び第2ミラー面32で反射され、光学面33b及び光透過部材112を介して可動ミラー22のミラー面22aに至る。当該レーザ光L10の一部は、可動ミラー22のミラー面22aで反射され、同一の光路P3上を逆方向に進行して第1ミラー面31で反射される。レーザ光L10の残部は、第1ミラー面31を透過し、光学面33c、光透過部材112、ミラーデバイス20の光通過部24、及び光学機能部材13の光透過部14を介して、固定ミラー16のミラー面16aに至る。当該レーザ光L10の残部は、固定ミラー16のミラー面16aで反射され、同一の光路P4上を逆方向に進行して第1ミラー面31を透過する。第1ミラー面31で反射されたレーザ光L10の一部と、第1ミラー面31を透過したレーザ光L10の残部とは、干渉光L11となり、当該レーザ光の干渉光L11は、光学面33aを介してビームスプリッタユニット3からZ軸方向に沿って出射される。
以上のように、ミラーデバイス20の光通過部24は、ビームスプリッタユニット3と固定ミラー16との間の光路のうち、測定光L0の光路P2の第1部分P2a、及びレーザ光L10の光路P4の第1部分P4aを構成している。また、光学機能部材13の光透過部14は、ビームスプリッタユニット3と固定ミラー16との間の光路のうち、測定光L0の光路P2の第2部分P2b、及びレーザ光L10の光路P4の第2部分P4bを構成している。
測定光L0の光路P2の第2部分P2bが光透過部14によって構成されることで、測定光L0の光路P1の光路長(当該光路が通る各媒質の屈折率を考慮した光路長)と測定光L0の光路P2の光路長との差が小さくなるように、両光路P1,P2間の光路差が補正される。同様に、レーザ光L10の光路P4の第2部分P4bが光透過部14によって構成されることで、レーザ光L10の光路P3の光路長とレーザ光L10の光路P4の光路長との差が小さくなるように、両光路P3,P4間の光路差が補正される。本実施形態では、光透過部14の屈折率が、ビームスプリッタユニット3を構成する各光学ブロック34,35,36の屈折率と等しく、X軸方向に沿った第1ミラー面31と第2ミラー面32との距離が、Z軸方向に沿った光透過部14の厚さ(すなわち、Z軸方向に沿った光透過部14の表面14aと光学機能部材13の第4表面13bとの距離)に等しい。
光モジュール1Aでは、光路差ゼロ位置C0が、ミラーデバイス20における可動ミラー22の共振動作(共振周波数での往復動作)の中心位置C1からずれている。光路差ゼロ位置C0とは、測定光の干渉光L1を生じさせる可動ミラー22側の光路長が測定光の干渉光L1を生じさせる固定ミラー16側の光路長と等しくなる可動ミラー22の位置を意味する。本実施形態では、光路差ゼロ位置C0は、ビームスプリッタユニット3の第1ミラー面31と可動ミラー22のミラー面22aとの間の光路長(すなわち、光路P1,P3の光路長)が、ビームスプリッタユニット3の第1ミラー面31と固定ミラー16のミラー面16aとの間の光路長(すなわち、光路P2,P4の光路長)と等しくなる可動ミラー22の位置である。中心位置C1に対する光路差ゼロ位置C0のずれ量は、可動ミラー22の共振動作の振幅よりも小さい。本実施形態では、光路差ゼロ位置C0は、Z軸方向における光透過部14の表面14aの位置と同一である。中心位置C1は、デバイス層102の厚さとミラー面22aを構成する金属膜の厚さとの和の分だけ、Z軸方向における光透過部14の表面14aの位置からZ軸方向に沿ってビームスプリッタユニット3の第1ミラー面31側にずれた位置である。
[第2支持構造及び光入射部等の構成]
図1に示されるように、第2支持構造12は、連結ユニット120を有している。連結ユニット120は、本体部121と、枠体122と、固定プレート123と、を含んでいる。本体部121は、一対の側壁部124,125と、天壁部126と、を含んでいる。一対の側壁部124,125は、X軸方向において互いに対向している。X軸方向における一方の側の側壁部124には、開口124aが形成されている。天壁部126は、Z軸方向において支持体9と対向している。天壁部126には、開口126aが形成されている。本体部121は、例えば金属によって一体的に形成されている。本体部121には、複数の位置決めピン121aが設けられている。本体部121は、支持体9に形成された基準孔9b及び孔9cのそれぞれに位置決めピン121aが嵌められることで、支持体9に対して位置決めされ、その状態で、例えばボルトによって、支持体9に取り付けられている。
枠体122は、側壁部124におけるビームスプリッタユニット3とは反対側の表面に配置されている。枠体122の開口は、側壁部124の開口124aを介して、ビームスプリッタユニット3と対向している。枠体122には、光入射部4が配置されている。固定プレート123は、枠体122に配置された光入射部4を本体部121に固定するための部材である。
光入射部4は、ホルダ41と、コリメータレンズ42と、を有している。ホルダ41は、コリメータレンズ42を保持しており、測定光L0を導光する光ファイバ(図示省略)の接続が可能となるように構成されている。コリメータレンズ42は、光ファイバから出射された測定光L0をコリメートする。ホルダ41に光ファイバが接続された際に、光ファイバの光軸は、コリメータレンズ42の光軸に一致する。
ホルダ41には、フランジ部41aが設けられている。フランジ部41aは、枠体122と固定プレート123との間に配置されている。この状態で、固定プレート123が例えばボルトによって側壁部124に取り付けられることで、枠体122に配置された光入射部4が本体部121に固定されている。このように、光入射部4は、X軸方向におけるビームスプリッタユニット3の一方の側に配置されており、第2支持構造12によって支持されている。光入射部4は、第1光源から測定対象を介して入射した測定光L0又は測定対象から発せられた測定光L0(本実施形態では、光ファイバによって導光された測定光L0)をビームスプリッタユニット3に入射させる。
枠体122には、フィルタ54が取り付けられている。フィルタ54は、測定光L0を透過させ且つレーザ光L10を吸収する機能を有している。フィルタ54は、例えばシリコンによって板状に形成されている。フィルタ54は、光入射部4の光軸に対して傾斜した状態で、側壁部124の開口124a内に配置されている。フィルタ54は、X軸方向から見た場合に枠体122の開口を塞いでいる。このように、フィルタ54は、光入射部4とビームスプリッタユニット3との間に配置されており、光入射部4の光軸に対して傾斜した状態で第2支持構造12によって支持されている。本実施形態では、フィルタ54の光学面は、Z軸方向に平行な面であり、且つY軸方向と10°〜20°の角度を成す面である。なお、光入射部4の光軸は、X軸方向に平行である。
第2支持構造12は、保持ユニット130を更に有している。保持ユニット130は、本体部131を含んでいる。本体部131は、天壁部126における支持体9とは反対側の表面に取り付けられている。本体部131は、複数の位置決めピン131aによって、連結ユニット120の本体部121に対して位置決めされ、その状態で、例えばボルトによって、天壁部126に取り付けられている。本体部131には、第1貫通孔135、第2貫通孔136及び第3貫通孔137が形成されている。第1貫通孔135、第2貫通孔136及び第3貫通孔137のそれぞれは、Z軸方向に沿って本体部131を貫通している。第1貫通孔135は、Z軸方向においてビームスプリッタユニット3の第1ミラー面31と対向する位置に形成されている。第2貫通孔136は、X軸方向における第1貫通孔135の他方の側(すなわち、光入射部4とは反対側)に形成されている。第3貫通孔137は、X軸方向における第2貫通孔136の他方の側に形成されている。
第1貫通孔135内には、第1光検出器6が配置されている。第1光検出器6は、光検出素子62と、光透過窓64aを含むパッケージ64と、ホルダ61と、集光レンズ63と、を有している。パッケージ64は、光検出素子62を収容している。光検出素子62は、測定光の干渉光L1を検出する。光検出素子62は、例えばInGaAsフォトダイオードである。ホルダ61は、パッケージ64及び集光レンズ63を保持している。集光レンズ63は、光透過窓64aを介して光検出素子62に入射する測定光の干渉光L1を光検出素子62に集光する。光検出素子62の光軸と集光レンズ63の光軸とは、互いに一致している。
ホルダ61には、フランジ部61aが設けられている。フランジ部61aは、位置決めピン61bによって、連結ユニット120の本体部121に対して位置決めされ、その状態で、例えばボルトによって、本体部121の天壁部126に取り付けられている。このように、第1光検出器6は、Z軸方向におけるビームスプリッタユニット3の一方の側に配置されており、第2支持構造12によって支持されている。第1光検出器6は、Z軸方向においてビームスプリッタユニット3の第1ミラー面31と対向している。第1光検出器6は、ビームスプリッタユニット3から出射された測定光の干渉光L1を検出する。
第2貫通孔136内には、第2光検出器8が配置されている。第2光検出器8は、光検出素子82と、集光レンズ84aを含むパッケージ84と、を有している。光検出素子82は、レーザ光の干渉光L11を検出する。光検出素子82は、例えばSiフォトダイオードである。集光レンズ84aは、光検出素子82に入射するレーザ光の干渉光L11を光検出素子82に集光する。光検出素子82の光軸と集光レンズ84aの光軸とは、互いに一致している。
パッケージ84は、第2貫通孔136内において本体部131に固定されている。このように、第2光検出器8は、第1光検出器6と同一の側を向くように、X軸方向における第1光検出器6の他方の側(第1光デバイスの光軸と交差する方向における第1光デバイスの一方の側)に配置されており、第2支持構造12によって支持されている。第2光検出器8は、ビームスプリッタユニット3から出射されたレーザ光の干渉光L11を検出する。
第3貫通孔137内には、第2光源7が配置されている。第2光源7は、発光素子72と、コリメータレンズ74aを含むパッケージ74と、を有している。発光素子72は、レーザ光L10を出射する。発光素子72は、例えばVCSEL等の半導体レーザである。コリメータレンズ74aは、発光素子72から出射されたレーザ光L10をコリメートする。発光素子72の光軸とコリメータレンズ74aの光軸とは、互いに一致している。
パッケージ74は、第3貫通孔137内において本体部131に固定されている。このように、第2光源7は、第1光検出器6と同一の側を向くように、X軸方向における第2光検出器8の他方の側(第1光デバイスの光軸と交差する方向における第2光デバイスの一方の側)に配置されており、第2支持構造12によって支持されている。第2光源7は、ビームスプリッタユニット3に入射させるレーザ光L10を出射する。
以上のように、保持ユニット130は、第1光検出器(第1光デバイス)6、第2光検出器(第2光デバイス)8及び第2光源(第3光デバイス)7が同一の側を向くように、且つ、第1光検出器6、第2光検出器8、第2光源7の順序で並ぶように、第1光検出器6、第2光検出器8及び第2光源7を保持している。本実施形態では、保持ユニット130は、Z軸方向におけるビームスプリッタユニット3の一方の側において、第1光検出器6、第2光検出器8及び第2光源7がZ軸方向における他方の側(すなわち、ビームスプリッタユニット3側)を向くように、第1光検出器6、第2光検出器8及び第2光源7を保持している。また、保持ユニット130は、X軸方向における一方の側(すなわち、光入射部4側)から第1光検出器6、第2光検出器8、第2光源7の順序で並ぶように、第1光検出器6、第2光検出器8及び第2光源7を保持している。
なお、第1光検出器6が或る側を向くとは、光検出素子62の受光面がその或る側に向いていること(すなわち、その或る側から入射した光を検出するように第1光検出器6が配置されていること)を意味する。その場合、光検出素子62のリードピンは、例えば、或る側とは反対側に延在することになる。同様に、第2光検出器8が或る側を向くとは、光検出素子82の受光面がその或る側に向いていること(すなわち、その或る側から入射した光を検出するように第2光検出器8が配置されていること)を意味する。その場合、光検出素子82のリードピンは、例えば、或る側とは反対側に延在することになる。また、第2光源7が或る側を向くとは、発光素子72の光出射面がその或る側に向いていること(すなわち、その或る側に光を出射するように第2光源7が配置されていること)を意味する。その場合、発光素子72のリードピンは、例えば、或る側とは反対側に延在することになる。また、保持ユニット130は、第2支持構造12の一部であるから、保持ユニット130が或る構成を保持しているとは、その或る構成が第2支持構造12によって支持されていることを意味する。
連結ユニット120の本体部121には、第1ミラー51、第2ミラー52及び第3ミラー53が取り付けられている。第1ミラー51は、第1貫通孔135に対して第1光検出器6とは反対側に位置するように、開口126a内において本体部121の天壁部126に取り付けられている。第2ミラー52は、第2貫通孔136に対して第2光検出器8とは反対側に位置するように、開口126a内において本体部121の天壁部126に取り付けられている。第3ミラー53は、第3貫通孔137に対して第2光源7とは反対側に位置するように、開口126a内において本体部121の天壁部126に取り付けられている。
第1ミラー51は、測定光L0を透過させ且つレーザ光L10を反射する機能を有し、且つ第1光検出器6の光軸に対して傾斜したダイクロイックミラーである。第1ミラー51は、ビームスプリッタユニット3と第1光検出器6との間に配置されている。つまり、第1ミラー51は、ビームスプリッタユニット3及び第1光検出器6と対向するように配置されている。本実施形態では、第1ミラー51の光学面は、Y軸方向に平行な面であり、且つZ軸方向と45°の角度を成す面である。なお、第1光検出器6の光軸は、Z軸方向に平行である。
第2ミラー52は、レーザ光L10の一部を反射し且つレーザ光L10の残部を透過させる機能を有し、且つ第1ミラー51に平行なミラー(例えば、ハーフミラー)である。第2ミラー52は、X軸方向から見た場合に第1ミラー51と重なるように、且つZ軸方向から見た場合に第2光検出器8と重なるように、配置されている。つまり、第2ミラー52は、第1ミラー51及び第2光検出器8と対向するように配置されている。本実施形態では、第2ミラー52の光学面は、Y軸方向に平行な面であり、且つZ軸方向と45°の角度を成す面である。
第3ミラー53は、レーザ光L10を反射する機能を有し、且つ第2ミラー52に平行なミラー(例えば、全反射ミラー)である。第3ミラー53は、X軸方向から見た場合に第2ミラー52と重なるように、且つZ軸方向から見た場合に第2光源7と重なるように、配置されている。つまり、第3ミラー53は、第2ミラー52及び第2光源7と対向するように配置されている。本実施形態では、第3ミラー53の光学面は、Y軸方向に平行な面であり、且つZ軸方向と45°の角度を成す面である。
第1ミラー51と第1光検出器6との間には、フィルタ56が配置されている。第1ミラー51とフィルタ56との間には、アパーチャ55が配置されている。本実施形態では、アパーチャ55及びフィルタ56は、第1光検出器6のホルダ61によって保持されている。アパーチャ55は、Z軸方向から見た場合に円形状を呈する開口が形成された部材である。フィルタ56は、測定光L0を透過させ且つレーザ光L10を吸収する機能を有している。本実施形態では、フィルタ56は、ビームスプリッタユニット3側の表面(ビームスプリッタユニット3と対向する表面)に第1ミラー51が形成された部材とは別の部材である。より具体的には、フィルタ56は、例えば、光入射面に反射防止膜が形成されたシリコン板である。本実施形態では、フィルタ56が、第1ミラー51が形成された部材とは別の部材であるため、第1ミラー51及びフィルタ56のそれぞれの設計の自由度が向上する。
第2ミラー52に対して第2光検出器8とは反対側には、レーザ光吸収部57が配置されている。レーザ光吸収部57は、レーザ光L10を吸収する機能を有している。本実施形態では、レーザ光吸収部57は、第2ミラー52を支持する第2支持構造(支持体)12の一部である。より具体的には、レーザ光吸収部57は、連結ユニット120の本体部121の側壁部125からビームスプリッタユニット3側に突出した部分である。レーザ光吸収部57は、当該部分に黒色レジスト層が形成されたり、或いは、当該部分に黒アルマイト処理が施されたりすることで、構成されている。本実施形態では、レーザ光吸収部57が第2支持構造12の一部であるため、部品点数の増加が抑制される。
ここで、ビームスプリッタユニット3と第1光検出器6との間の光路等について説明する。ビームスプリッタユニット3からZ軸方向に沿って出射された測定光の干渉光L1は、第1ミラー51を透過して、アパーチャ55及びフィルタ56を介して第1光検出器6に入射し、第1光検出器6によって検出される。一方、第2光源7から出射されたレーザ光L10は、第3ミラー53で反射されて第2ミラー52を透過し、第1ミラー51で反射されてZ軸方向に沿ってビームスプリッタユニット3に入射する。ビームスプリッタユニット3からZ軸方向に沿って出射されたレーザ光の干渉光L11は、第1ミラー51及び第2ミラー52で反射されて第2光検出器8に入射し、第2光検出器8によって検出される。なお、第2ミラー52で反射されたレーザ光L10の一部は、レーザ光吸収部57によって吸収される。
光モジュール1Aでは、ビームスプリッタユニット3と第1光検出器6との間の光路の長さは、ビームスプリッタユニット3と第2光検出器8との間の光路の長さよりも短く、且つビームスプリッタユニット3と第2光源7との間の光路の長さよりも短い。なお、光路の長さとは、その光路に沿っての物理的な距離を意味する。
具体的には、光路とビームスプリッタユニット3の第1ミラー面31との交点から第1光検出器6の光入射面までの距離は、光路とビームスプリッタユニット3の第1ミラー面31との交点から第2光検出器8の光入射面までの距離よりも短く、且つ光路とビームスプリッタユニット3の第1ミラー面31との交点から第2光源7の光出射面までの距離よりも短い。光路とビームスプリッタユニット3の第1ミラー面31との交点から第1光検出器6の集光レンズ63の光入射面までの距離は、光路とビームスプリッタユニット3の第1ミラー面31との交点から第2光検出器8の集光レンズ84aの光入射面までの距離よりも短く、且つ光路とビームスプリッタユニット3の第1ミラー面31との交点から第2光源7のコリメータレンズ74aの光出射面までの距離よりも短い。ビームスプリッタユニット3の光学面33aから第1光検出器6の光入射面までの距離は、ビームスプリッタユニット3の光学面33aから第2光検出器8の光入射面までの距離よりも短く、且つビームスプリッタユニット3の光学面33aから第2光源7の光出射面までの距離よりも短い。ビームスプリッタユニット3の光学面33aから第1光検出器6の集光レンズ63の光入射面までの距離は、ビームスプリッタユニット3の光学面33aから第2光検出器8の集光レンズ84aの光入射面までの距離よりも短く、且つビームスプリッタユニット3の光学面33aから第2光源7のコリメータレンズ74aの光出射面までの距離よりも短い。
本実施形態では、光入射部4は、枠体122に対するホルダ41の角度調整が可能となるように構成されている。それに対し、第1光検出器6は、連結ユニット120の本体部121に対して位置決めされた状態で、例えばボルトによって、本体部121の天壁部126に固定される。そのため、第1光検出器6が位置決めされた状態で、測定光L0をビームスプリッタユニット3に入射させながら、第1光検出器6における検出強度が最大となるようにホルダ41の角度調整を実施することができる。そして、角度調整が実施された状態で、光入射部4を枠体122に固定することができる。
なお、光入射部4だけでなく、第1光検出器6も、ホルダ61の角度調整が可能となるように構成されていてもよい。また、第2光検出器8が位置決めされた状態で、第2光源7が、角度調整が可能となるように構成されていてもよい。更に、第2光源7だけでなく、第2光検出器8も、角度調整が可能となるように構成されていてもよい。
[信号処理部等の構成]
図11に示されるように、光モジュール1Aは、信号処理部200と、記憶部300と、を更に備えている。信号処理部200は、ミラーデバイス20、第2光源7、第1光検出器6及び第2光検出器8のそれぞれと電気的に接続されている。信号処理部200は、例えばFPGA(field-programmable gate array)等の集積回路であり、水晶振動子から分周したクロックを基準クロックとして用いる。記憶部300は、信号処理部200と電気的に接続されている。記憶部300は、例えばEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等の不揮発性メモリである。信号処理部200には、外部インターフェース410を介してPC(Personal Computer)500が電気的に接続されている。
信号処理部200は、高電圧発生回路401によってミラーデバイス20(具体的には、固定櫛歯電極281と可動櫛歯電極282との間、及び固定櫛歯電極283と可動櫛歯電極284との間)に印加される電圧信号を制御する(詳細については後述する)。高電圧発生回路401は、例えばHVIC(High Voltage IC)である。また、信号処理部200は、第2光源7を駆動させるためのデジタル信号を出力する。当該デジタル信号は、DAC(Digital-to-Analog Converter)402によってアナログ信号に変換されて、第2光源7に入力される。
第1光検出器6から出力されたアナログ信号は、アンプ403によって増幅され、ADC(Analog-to-Digital Converter)404によってデジタル信号に変換されて、信号処理部200に入力される。これにより、信号処理部200は、測定光の干渉光L1の強度を示すデジタル信号を取得する。また、第2光検出器8から出力されたアナログ信号は、アンプ405によって増幅され、ADC406によってデジタル信号に変換されて、信号処理部200に入力される。これにより、信号処理部200は、レーザ光の干渉光L11の強度を示すデジタル信号を取得する。
信号処理部200は、電圧信号制御部201と、強度取得部202と、を有している。
電圧信号制御部201は、ミラーデバイス20において可動ミラー22を共振動作させるための周波数を有する電圧信号がミラーデバイス20に印加されるように、電圧信号を制御する。当該電圧信号は、高電圧発生回路401から出力されてミラーデバイス20に印加される。
ここで、電圧信号の制御について詳細に説明する。前提として、光モジュール1Aでは、図12に示されるように、共振動作する可動ミラー22の位置(Z軸方向における可動ミラー22の位置)の時間変化が正弦波状となる。しかし、実際には、可動ミラー22の位置の時間変化は、理想的な正弦波ではなく、その波形は、可動ミラー22が往復方向のうちの一方向(例えば、ビームスプリッタユニット3に近付く方向)に移動する期間T1と、可動ミラー22が往復方向のうちの他方向(例えば、ビームスプリッタユニット3から離れる方向)に移動する期間T2とで異なる傾向を示す。そこで、期間T1と期間T2とに分けて測定光の干渉光L1の強度(インターフェログラム)についてフーリエ変換型分光分析を実施したい。
そのためには、期間T1から期間T2に切り替わるタイミング、及び期間T2から期間T1に切り替わるタイミングを検出したい。これらのタイミングは、可動ミラー22の位置の時間変化において極大値M1(例えば、ビームスプリッタユニット3から最も離れた位置)及び極小値M2(例えば、ビームスプリッタユニット3に最も近付いた位置)が出現するタイミングに相当するから、極大値M1及び極小値M2が出現するタイミングを検出すればよい。しかし、図13に示されるように、レーザ光の干渉光L11の強度の時間変化からでは、演算に負荷が掛かる等、極大値M1及び極小値M2が出現するタイミングを検出することは困難である。
なお、図12に示されるように、測定光の干渉光L1の強度の時間変化におけるセンターバーストCBは、期間T1の前半及び期間T2の後半に出現する。これは、図10に示されるように、可動ミラー22の光路差ゼロ位置C0が、可動ミラー22の共振動作の中心位置C1から、ビームスプリッタユニット3とは反対側にずれているためである。
以上の前提を踏まえ、期間T1と期間T2とに分けて測定光の干渉光L1の強度についてフーリエ変換型分光分析を実施することが可能となるように、電圧信号制御部201は、ミラーデバイス20に印加される電圧信号を制御する。具体的には、電圧信号制御部201は、図14に示されるように、電圧信号が可動ミラー22の共振周波数の2倍の値の周波数を有するように電圧信号を制御する。電圧信号は、連続パルス信号であり、本実施形態では、デューティ比0.5の矩形波である。
可動ミラー22の共振周波数の2倍の値の周波数を有する電圧信号がミラーデバイス20に印加されると、電圧信号の立ち上がりのタイミングが、可動ミラー22の折り返し位置である極大値M1及び極小値M2が出現するタイミングと一致することになる。なお、図14において、実線の矢印は、可動ミラー22の移動の向きであり、破線の矢印は、可動ミラー22に生じる力の向きである。また、ハッチングが施されている固定櫛歯電極281(283)は、電圧が印加されている状態を示し、ハッチングが施されていない固定櫛歯電極281(283)は、電圧が印加されていない状態を示す。
電圧信号の周波数と可動ミラー22の振幅との関係は、実際にミラーデバイス20を動作させることで取得することができる。なお、電圧信号の周波数と可動ミラー22の振幅との関係は、例えばルンゲクッタ法等の数値解析によって予測することができる。図15に示される数値解析の例では、電圧信号の周波数が566Hzに設定されると、可動ミラー22の振幅が最大となり、可動ミラー22が共振動作することになる。このように、ミラーデバイス20において可動ミラー22を共振動作させるための電圧信号の周波数は、実測、数値解析等によって予め取得される。
一例として、高電圧発生回路401がHVICである場合、電圧信号制御部201は、水晶振動子から分周したクロックを基準クロックとして、HVICのHigh端子及びLow端子のそれぞれに矩形波を入力するタイミングを調整することで、所望の周波数を有する電圧信号をHVICの出力端子から出力させる。図16に示されるように、HVICでは、High端子に入力される矩形波の立ち上がりのタイミングが、出力端子から出力される電圧信号の立ち上がりのタイミングとなり、Low端子に入力される矩形波の立ち上がりのタイミングが、出力端子から出力される電圧信号の立ち下がりのタイミングとなる。
可動ミラー22の動作開始時において、電圧信号制御部201は、最初から、可動ミラー22の共振周波数の2倍の周波数を有する電圧信号がミラーデバイス20に印加されるように動作する。この場合にも、ミラーデバイス20の製造誤差等の影響があるため、可動ミラー22が所定回数(例えば50回)往復するのを待てば、可動ミラー22を共振動作させることができる。なお、可動ミラー22の動作開始時において、電圧信号制御部201は、可動ミラー22が所定回数(例えば4回)往復する度に電圧信号の周波数を減少させることで、最終的に、可動ミラー22の共振周波数の2倍の周波数を有する電圧信号がミラーデバイス20に印加されるように動作してもよい。
可動ミラー22の共振動作が開始されると、可動ミラー22の共振周波数の2倍の周波数を有する電圧信号がミラーデバイス20に印加されている限り、図17の(a)に示されるように、電圧信号の立ち上がりのタイミングが、可動ミラー22の位置の時間変化において極大値M1及び極小値M2が出現するタイミングと一致する。したがって、電圧信号の立ち上がりのタイミングを基準とすれば、可動ミラー22が往復方向のうちの一方向に移動する期間T1と、可動ミラー22が往復方向のうちの他方向に移動する期間T2とを区別することができ、その結果、期間T1と期間T2とに分けて測定光の干渉光L1の強度についてフーリエ変換型分光分析を実施することが可能となる。なお、電圧信号の周波数が可動ミラー22の共振周波数の2倍の値からずれていると、図17の(b)に示されるように、電圧信号の立ち上がりのタイミングが、可動ミラー22の位置の時間変化において極大値M1及び極小値M2が出現するタイミングと一致しない。
強度取得部202(図11参照)は、第1強度取得処理及び第2強度取得処理を実施する。以下、第1強度取得処理及び第2強度取得処理について詳細に説明する。
まず、強度取得部202は、電圧信号において連続するP周期(P:4以上の整数)に相当する期間、図18、図19及び図20の(a)に示されるように、測定光の干渉光L1の強度を取得すると共に、図18、図19及び図20の(b)に示されるように、レーザ光の干渉光L11の強度を取得する。図18、図19及び図20の(a)に示される例では、測定光の干渉光L1の強度が、ADC404(図11参照)から出力された「ADC count」として示されており、図18、図19及び図20の(b)に示される例では、レーザ光の干渉光L11の強度が、ADC406(図11参照)から出力された「ADC count」として示されている。強度取得部202は、PC500から入力された信号をトリガとして、P周期(図18、図19及び図20の(a)及び(b)に示される例では、16周期)に相当する期間、強度データを取得する。
図19の(a)は、測定光の干渉光L1の強度の時間変化、及び電圧ロジックを示すグラフであり、図19の(b)は、レーザ光の干渉光L11の強度の時間変化、及び電圧ロジックを示すグラフである。電圧ロジックは、電圧信号を生成するために電圧信号制御部201によって用いられるロジック信号である。電圧ロジックの「0」が電圧信号のLowレベルに相当し、電圧ロジックの「1」が電圧信号のHighレベルに相当する。
図20の(a)は、測定光の干渉光L1の強度の時間変化、及びLSB(Least Significant Bit)ロジックを示すグラフであり、図20の(b)は、レーザ光の干渉光L11の強度の時間変化、及びLSBロジックを示すグラフである。LSBロジックは、可動ミラー22が往復方向のうちの一方向に移動する期間T1と、可動ミラー22が往復方向のうちの他方向に移動する期間T2とを区別するために、強度取得部202によって用いられるロジック信号である。上述したように、電圧信号の立ち上がりのタイミングが、可動ミラー22の折り返し位置である極大値M1及び極小値M2が出現するタイミングと一致するから、LSBロジックが「0」の場合における強度データが期間T1における強度データに相当し、LSBロジックが「1」の場合における強度データが期間T2における強度データに相当する。信号処理部200は、電圧ロジックの周期の数をカウントし、1bitを用いてLSBロジックを生成する。
強度取得部202は、電圧信号において連続するP周期に相当する期間、第1時間間隔で測定光の干渉光L1の強度を取得すると共に、第2時間間隔でレーザ光の干渉光L11の強度を取得する。このとき、強度取得部202は、例えば、電圧信号の各周期において電圧信号の立ち上がりを基準とする。強度取得部202が、各期間T1,T2においてM回(M:2以上の整数)、ADC404から測定光の干渉光L1の強度を取得する場合には、第1時間間隔は、電圧信号の1周期をMで割った値となる。強度取得部202が、各期間T1,T2においてN回(N:2以上の整数)、ADC406からレーザ光の干渉光L11の強度を取得する場合には、第2時間間隔は、電圧信号の1周期をNで割った値となる。ただし、電圧信号の立ち上がりのタイミングでADC404から測定光の干渉光L1の強度を取得しない場合には、第1時間間隔は、電圧信号の1周期をM+1で割った値となる。同様に、電圧信号の立ち上がりのタイミングでADC406からレーザ光の干渉光L11の強度を取得しない場合には、第2時間間隔は、電圧信号の1周期をN+1で割った値となる。つまり、第1時間間隔は、電圧信号の1周期の長さ及び測定光の干渉光L1の強度の取得回数に基づいて設定され、第2時間間隔は、電圧信号の1周期の長さ及びレーザ光の干渉光L11の強度の取得回数に基づいて設定される。このように、第1時間間隔及び第2時間間隔は、電圧信号の周波数に基づいて設定される。本実施形態では、図21に示されるように、第1時間間隔及び第2時間間隔は、同一の時間間隔である(すなわち、「M=N」である)。なお、図21において、実線上の点は、第1時間間隔で取得された測定光の干渉光L1の強度(すなわち、第1時間間隔でADC404から出力された強度データ)であり、破線上の点は、第1時間間隔と同一の第2時間間隔で取得されたレーザ光の干渉光L11の強度(すなわち、第1時間間隔と同一の第2時間間隔でADC406から出力された強度データ)である。
以上により、強度取得部202は、電圧信号において連続するP周期のうちの奇数番目の周期のそれぞれにおいて、第1時間間隔でM回、測定光の干渉光L1の強度を第1測定光強度として取得し、当該奇数番目の周期のそれぞれにおいて、第2時間間隔でN回、レーザ光の干渉光L11の強度を第1レーザ光強度として取得することになる。また、強度取得部202は、電圧信号において連続するP周期のうちの偶数番目の周期のそれぞれにおいて、第1時間間隔でM回、測定光の干渉光L1の強度を第2測定光強度として取得し、当該偶数番目の周期のそれぞれにおいて、第2時間間隔でN回、レーザ光の干渉光L11の強度を第2レーザ光強度として取得することになる。図19及び図20の(a)及び(b)に示される例では、奇数番目の周期は、LSBロジックが「1」で示される周期であって期間T2に相当する周期であり、偶数番目の周期は、LSBロジックが「0」で示される周期であって期間T1に相当する周期である。
強度取得部202は、奇数番目の周期のそれぞれにおいて第1測定光強度及び第1レーザ光強度を取得すると、互いに対応する同一回の第1測定光強度の平均値を取得すると共に、互いに対応する同一回の第1レーザ光強度の平均値を取得する(第1強度取得処理)。また、強度取得部202は、偶数番目の周期のそれぞれにおいて第2測定光強度及び第2レーザ光強度を取得すると、互いに対応する同一回の第2測定光強度の平均値を取得すると共に、互いに対応する同一回の第2レーザ光強度の平均値を取得する(第2強度取得処理)。なお、互いに対応する同一回の第1測定光強度とは、奇数番目の周期のそれぞれにおいて電圧信号の立ち上がりからカウントして同一回目に取得された第1測定光強度を意味し、互いに対応する同一回の第1レーザ光強度とは、奇数番目の周期のそれぞれにおいて電圧信号の立ち上がりからカウントして同一回目に取得された第1レーザ光強度を意味する。同様に、互いに対応する同一回の第2測定光強度とは、偶数番目の周期のそれぞれにおいて電圧信号の立ち上がりからカウントして同一回目に取得された第2測定光強度を意味し、互いに対応する同一回の第2レーザ光強度とは、偶数番目の周期のそれぞれにおいて電圧信号の立ち上がりからカウントして同一回目に取得された第2レーザ光強度を意味する。
図22に示されるように、強度取得部202は、第1強度取得処理を実施する場合に、P周期のうちの奇数番目の周期のそれぞれにおいて取得された第1測定光強度及び第1レーザ光強度のそれぞれを、記憶部300が有する第1記憶領域301に記憶する。第1記憶領域301は、第1強度取得処理が実施される場合に、P周期のうちの奇数番目の周期のそれぞれにおいて取得された第1測定光強度及び第1レーザ光強度のそれぞれを1周期ごとに積算して記憶する領域である。つまり、第1記憶領域301は、P周期のうちの奇数番目の周期のそれぞれにおいて取得された第1測定光強度のそれぞれを、互いに対応する同一回の第1測定光強度ごとに積算して記憶すると共に、当該奇数番目の周期のそれぞれにおいて取得された第1レーザ光強度のそれぞれを、互いに対応する同一回の第1レーザ光強度ごとに積算して記憶する領域である。なお、第1記憶領域301は、P周期のうちの奇数番目の周期のそれぞれにおいて取得された第1測定光強度のそれぞれを、互いに対応する同一回の第1測定光強度ごとに平均化して記憶すると共に、当該奇数番目の周期のそれぞれにおいて取得された第1レーザ光強度のそれぞれを、互いに対応する同一回の第1レーザ光強度ごとに平均化して記憶する領域であってもよい。
強度取得部202は、第2強度取得処理を実施する場合に、P周期のうちの偶数番目の周期のそれぞれにおいて取得された第2測定光強度及び第2レーザ光強度のそれぞれを、記憶部300が有する第2記憶領域302に記憶する。第2記憶領域302は、第2強度取得処理が実施される場合に、P周期のうちの偶数番目の周期のそれぞれにおいて取得された第2測定光強度及び第2レーザ光強度のそれぞれを1周期ごとに積算して記憶する領域である。つまり、第2記憶領域302は、P周期のうちの偶数番目の周期のそれぞれにおいて取得された第2測定光強度のそれぞれを、互いに対応する同一回の第1測定光強度ごとに積算して記憶すると共に、当該偶数番目の周期のそれぞれにおいて取得された第2レーザ光強度のそれぞれを、互いに対応する同一回の第2レーザ光強度ごとに積算して記憶する領域である。なお、第2記憶領域302は、P周期のうちの偶数番目の周期のそれぞれにおいて取得された第2測定光強度のそれぞれを、互いに対応する同一回の第2測定光強度ごとに平均化して記憶すると共に、当該偶数番目の周期のそれぞれにおいて取得された第2レーザ光強度のそれぞれを、互いに対応する同一回の第2レーザ光強度ごとに平均化して記憶する領域であってもよい。
一例として、ADC404のサンプリング周波数が5MHzであり、可動ミラーの共振周波数が250Hzであって電圧信号の周波数が500Hzである場合、各期間T1,T2においてADC404から強度データ(測定光の干渉光L1の強度を示すデータ)を取得する回数は、10000回(=(5×106)/500)となる。したがって、図22に示されるように、1回から10000回までの強度データは、第1記憶領域301の各アドレス301aに記憶され、10001回から20000回までの強度データは、第2記憶領域302の各アドレス302aに記憶され、以降、P周期の終了まで、第1記憶領域301の各アドレス301aへの記憶と第1記憶領域301の各アドレス301aへの記憶とが交互に繰り返される。ADC404のビット数が16bitである場合であって、上述したように、強度データを積算して記憶するときには、各アドレス301aのサイズは「16bit×積算回数」となる。一方、ADC404のビット数が16bitである場合であって、上述したように、強度データを平均化して記憶するときには、各アドレス301aサイズは16bitとなる。以上の事項は、ADC406から取得される強度データ(レーザ光の干渉光L11の強度を示すデータ)についても同様である。
以上のように、強度取得部202が第2強度取得処理を実施することで、図23に示されるように、偶数番目の周期(LSBロジックが「0」で示される周期であって期間T1に相当する周期)について、第1測定光強度の平均値の時間変化、及び第1レーザ光強度の平均値の時間変化が取得される。また、強度取得部202が第1強度取得処理を実施することで、図24に示されるように、奇数番目の周期(LSBロジックが「1」で示される周期であって期間T2に相当する周期)について、第2測定光強度の平均値の時間変化、及び第2レーザ光強度の平均値の時間変化が取得される。
第1強度取得処理及び第2強度取得処理が終了すると、強度取得部202は、第1測定光強度の平均値の時間変化、及び第1レーザ光強度の平均値の時間変化、並びに、第2測定光強度の平均値の時間変化、及び第2レーザ光強度の平均値の時間変化を示すデータをPC500(図11参照)に出力する。
PC500は、これらのデータを取得すると、第1スペクトラム取得処理及び第2スペクトラム取得処理を実施する。以下、第1スペクトラム取得処理及び第2スペクトラム取得処理について詳細に説明する。
PC500は、図25に示されるように、第1測定光強度の平均値(図25では、測定光の干渉光の強度)の時間変化から、第1レーザ光強度の平均値(図25では、レーザ光の干渉光Lの強度)の時間変化に極大値M3及び極小値M4が出現したタイミングでの第1強度値(図25では、白抜きの点)を取得する。PC500は、極大値M3及び極小値M4、並びに、第1強度値を演算によって取得する。続いて、PC500は、レーザ光L10の波長に基づいて、図26に示されるように、光路差(ビームスプリッタユニット3の第1ミラー面31と可動ミラー22のミラー面22aとの間の光路長と、ビームスプリッタユニット3の第1ミラー面31と固定ミラー16のミラー面16aとの間の光路長との差)と第1強度値との関係を取得し、フーリエ変換によって、図27の(a)に示されるように、測定光L0のスペクトラムを取得する(第1スペクトラム取得処理)。第1スペクトラム取得処理では、可動ミラー22が往復方向のうちの一方向に移動する場合における測定光L0のスペクトラムが取得される。
同様に、PC500は、第2測定光強度の平均値の時間変化から、第2レーザ光強度の平均値の時間変化に極大値及び極小値が出現したタイミングでの第2強度値を取得する。続いて、PC500は、レーザ光L10の波長に基づいて、光路差と第2強度値との関係を取得し、フーリエ変換によって、図27の(b)に示されるように、測定光のスペクトラムを取得する(第2スペクトラム取得処理)。第2スペクトラム取得処理では、可動ミラー22が往復方向のうちの他方向に移動する場合における測定光L0のスペクトラムが取得される。
なお、第1スペクトラム取得処理では、第1測定光強度の平均値の時間変化から、第1レーザ光強度の平均値の時間変化に極大値又は極小値が出現したタイミングでの第1強度値が取得され、レーザ光L10の波長に基づいて、光路差と第1強度値との関係が取得され、フーリエ変換によって、測定光L0のスペクトラムが取得されてもよい。同様に、第2スペクトラム取得処理では、第2測定光強度の平均値の時間変化から、第2レーザ光強度の平均値の時間変化に極大値又は極小値が出現したタイミングでの第2強度値が取得され、レーザ光L10の波長に基づいて、光路差と第2強度値との関係が取得され、フーリエ変換によって、測定光L0のスペクトラムが取得されてもよい。また、第1スペクトラム取得処理では、第1レーザ光強度の平均値の時間変化に中間値(連続する極大値と極小値との間の中間値)が出現したタイミングでの第1強度値が取得され、当該第1強度値が測定光L0のスペクトラムの取得に用いられてもよい。同様に、第2スペクトラム取得処理では、第2レーザ光強度の平均値の時間変化に中間値(連続する極大値と極小値との間の中間値)が出現したタイミングでの第2強度値が取得され、当該第2強度値が測定光L0のスペクトラムの取得に用いられてもよい。
以上のように、光モジュール1Aでは、可動ミラー22を共振動作させるための周波数を有する電圧信号がミラーデバイス20に印加されるように、電圧信号を制御する工程と、第1強度取得処理及び第2強度取得処理を実施する工程と、を備える信号処理方法が実施される。また、光モジュール1A及びPC500では、可動ミラー22を共振動作させるための周波数を有する電圧信号がミラーデバイス20に印加されるように、電圧信号を制御する工程と、第1強度取得処理及び第2強度取得処理を実施する工程と、第1スペクトラム取得処理及び第2スペクトラム取得処理を実施する工程と、を備える信号処理方法が実施される。
[作用及び効果]
光モジュール1Aでは、可動ミラー22を共振動作させるための周波数を有する電圧信号がミラーデバイス20に印加されるように、電圧信号が制御される。当該電圧信号の周波数は、理想的には、可動ミラー22の共振周波数の2倍の値となる。そのため、電圧信号において連続するP周期のうちの奇数番目の周期のそれぞれにおいて、電圧信号の周波数に基づく第1時間間隔でM回、測定光の干渉光L1の強度を第1測定光強度として取得し、互いに対応する同一回の第1測定光強度の平均値を取得することで、可動ミラー22が往復方向のうちの一方向に移動する場合の同一位置ごとに第1測定光強度の平均値を容易に且つ精度良く取得することができる。同様に、当該奇数番目の周期のそれぞれにおいて、電圧信号の周波数に基づく第2時間間隔でN回、レーザ光の干渉光L11の強度を第1レーザ光強度として取得し、互いに対応する同一回の第1レーザ光強度の平均値を取得することで、可動ミラー22が往復方向のうちの一方向に移動する場合の同一位置ごとに第1レーザ光強度の平均値を容易に且つ精度良く取得することができる。また、電圧信号において連続するP周期のうちの偶数番目の周期のそれぞれにおいて、第1時間間隔でM回、測定光の干渉光L1の強度を第2測定光強度として取得し、互いに対応する同一回の第2測定光強度の平均値を取得することで、可動ミラー22が往復方向のうちの他方向に移動する場合の同一位置ごとに第2測定光強度の平均値を容易に且つ精度良く取得することができる。同様に、当該偶数番目の周期のそれぞれにおいて、第2時間間隔でN回、レーザ光の干渉光L11の強度を第2レーザ光強度として取得し、互いに対応する同一回の第2レーザ光強度の平均値を取得することで、可動ミラー22が往復方向のうちの他方向に移動する場合の同一位置ごとに第2レーザ光強度の平均値を容易に且つ精度良く取得することができる。よって、光モジュール1Aは、フーリエ変換型分光分析を短時間で実施することを可能にする。
上述したように、共振動作する可動ミラー22の位置の時間変化は、可動ミラー22が往復方向のうちの一方向に移動する期間T1と、可動ミラー22が往復方向のうちの他方向に移動する期間T2とで異なる傾向を示すものの、光モジュール1Aによれば、期間T1と期間T2とに分けて、P周期分の平均値として測定光の干渉光L1の強度及びレーザ光の干渉光L11の強度を取得することができる。P周期分の平均値として測定光の干渉光L1の強度及びレーザ光の干渉光L11の強度を取得すると、ノイズレベルが1/(P1/2)倍となり、SNRを向上させることができる。
また、可動ミラー22を共振動作させる場合には、ミラーデバイス20において消費される電力が低く抑えられる。そのため、可動ミラー22を共振動作させ続けつつ、所望のタイミングで、測定光の干渉光L1の強度及びレーザ光の干渉光L11の強度を取得することができる。測定光の干渉光L1の強度及びレーザ光の干渉光L11の強度を取得する期間(すなわち、P周期のPの数値)は、例えばPC500において、設定可能である。
また、光モジュール1Aでは、第1強度取得処理が実施される場合に、記憶部300の第1記憶領域301が、P周期のうちの奇数番目の周期のそれぞれにおいて取得された第1測定光強度及び第1レーザ光強度のそれぞれを1周期ごとに積算して又は平均化して記憶し、第2強度取得処理が実施される場合に、記憶部300の第2記憶領域302が、P周期のうちの偶数番目の周期のそれぞれにおいて取得された第2測定光強度及び第2レーザ光強度のそれぞれを1周期ごとに積算して又は平均化して記憶するこれにより、記憶部300の記憶容量を抑えつつ、第1強度取得処理及び第2強度取得処理を確実に実施することができる。
また、光モジュール1Aでは、第1時間間隔及び第2時間間隔が同一の時間間隔である。これにより、第1強度取得処理及び第2強度取得処理をより容易に実施することができる。
また、PC500では、第1スペクトラム取得処理及び第2スペクトラム取得処理が実施される。これにより、測定光L0のスペクトラムを容易に且つ精度良く取得することができる。すなわち、測定光L0についてのフーリエ変換型分光分析を容易に且つ精度良く実施することができる。
[変形例]
本発明は、上述した実施形態に限定されない。例えば、ミラーデバイス20に印加される電圧信号は、デューティ比0.5の矩形波に限定されず、LowレベルとHighレベルとが交互に繰り返される信号であればよい。一例として、電圧信号は、図28に示されるように、立ち上がり及び立ち下がりが傾斜した信号であってもよい。この場合、LowレベルLLの終了点LL2又はHighレベルHLの開始点HL1を立ち上がりのタイミングとすることができる。また、LowレベルLLの開始点LL1又はHighレベルHLの終了点HL2を立ち下がりのタイミングとすることができる。
また、記憶部300は、図29に示されるように、第3記憶領域303を更に有していてもよい。第3記憶領域303は、第1強度取得処理が実施される場合に、P周期のうちの最新の1周期において取得された第1測定光強度及び第1レーザ光強度のそれぞれを、第1記憶領域301に転送するまで記憶し、第2強度取得処理が実施される場合に、P周期のうちの最新の1周期において取得された第2測定光強度及び第2レーザ光強度のそれぞれを、第2記憶領域302に転送するまで記憶する領域である。これにより、第3記憶領域303に各強度データが一時的に記憶されている間に、各強度データが正しいものであるか否かを確認することができる。
また、電圧信号制御部201は、固定櫛歯電極281と可動櫛歯電極282との間、及び固定櫛歯電極283と可動櫛歯電極284との間に生じる容量の時間変化に基づいて、電圧信号の周波数を調整してもよい。一例として、図30に示されるように、容量を示すアナログ信号は、アンプ407によって増幅され、ADC408によってデジタル信号に変換されて、信号処理部200に入力される。これにより、例えば使用環境の変化に起因して可動ミラー22の共振周波数が変化したとしても、可動ミラー22の共振周波数の2倍の値となるように電圧信号の周波数を調整することができ、その結果、第1強度取得処理及び第2強度取得処理をより精度良く実施することができる。
図31の(a)に示されるように、電圧信号がデューティ比0.5の矩形波である場合には、電圧信号の立ち下がりのタイミングが、容量信号にピーク値が出現するタイミングと一致することになる。これは、電圧信号がデューティ比0.5の矩形波である場合には、図14に示されるように、電圧信号の立ち下がりのタイミングが、可動ミラー22が共振動作の中心位置C1(図10参照)に位置するタイミングと一致するからである。図31の(b)に示されるように、電圧信号の立ち下がりのタイミングが、容量信号にピーク値が出現するタイミングよりも遅い場合には、それらのタイミングが互いに一致するように電圧信号の周波数を上げる。図31の(c)に示されるように、電圧信号の立ち下がりのタイミングが、容量信号にピーク値が出現するタイミングよりも早い場合には、それらのタイミングが互いに一致するように電圧信号の周波数を下げる。
このように、可動ミラー22の共振周波数の2倍の値となるように電圧信号の周波数が調整されると、可動ミラー22が往復方向のうちの一方向に移動する期間T1、及び可動ミラー22が往復方向のうちの他方向に移動する期間T2のそれぞれにおいて取得される強度データの有効性が向上し、その結果、フーリエ変換型分光分析の分解能が向上する。なお、上述したような電圧信号の周波数の調整を実施ない場合には、例えば使用環境の変化に起因して可動ミラー22の共振周波数が変化するのを想定し、第1強度取得処理及び第2強度取得処理において、各期間T1,T2の両端部で取得される強度データを無視し、各期間T1,T2の中間部で取得される強度データのみを用いてもよい。
また、強度取得部202は、第1強度取得処理として、P周期のうちの奇数番目の周期のそれぞれにおける前半(例えば、前半の1/2周期)又は後半(例えば、後半の1/2周期)において、互いに対応する同一回の第1測定光強度の平均値を取得すると共に、互いに対応する同一回の第1レーザ光強度の平均値を取得する処理を実施してもよい。同様に、強度取得部202は、第2強度取得処理として、P周期のうちの偶数番目の周期のそれぞれにおける前半(例えば、前半の1/2周期)又は後半(例えば、後半の1/2周期)において、互いに対応する同一回の第2測定光強度の平均値を取得すると共に、互いに対応する同一回の第2レーザ光強度の平均値を取得する処理を実施してもよい。光モジュール1Aでは、可動ミラー22の光路差ゼロ位置C0が、可動ミラー22の共振動作の中心位置C1からずれているため、図12に示されるように、測定光の干渉光L1の強度の時間変化におけるセンターバーストCBが、期間T1の前半及び期間T2の後半に出現する。そこで、図32に示されるように、例えば電圧信号の立ち下がりのタイミングを基準として、各周期を前半の1/2周期と後半の1/2周期とに分け、センターバーストCBが出現する1/2周期を用いて第1強度取得処理及び第2強度取得処理を実施することで、各強度データの分解能を低下させてSNRを向上させることができる。
なお、奇数番目の周期のそれぞれにおいてセンターバーストCBが前半又は後半のいずれに出現するか(つまり、奇数番目の周期のそれぞれにおいて前半又は後半のいずれの第1測定強度を用いて第1強度取得処理を実施するか)については、例えば、前半における第1測定強度の大きさ及び後半における第1測定強度の大きさに基づいて決定することができる。同様に、偶数番目の周期のそれぞれにおいてセンターバーストCBが前半又は後半のいずれに出現するか(つまり、偶数番目の周期のそれぞれにおいて前半又は後半のいずれの第2測定強度を用いて第2強度取得処理を実施するか)については、例えば、前半における第2測定強度の大きさ及び後半における第2測定強度の大きさに基づいて決定することができる。
また、図33に示されるように、PC500に、ハブ600を介して複数の光モジュール1Aが電気的に接続されていてもよい。上述したように、光モジュール1Aは、フーリエ変換型分光分析を短時間で実施することを可能にする。そのため、例えば、測定対象が搬送されるラインごとに光モジュール1Aを用意し、PC500から出力される信号をトリガとして光モジュール1Aを切り替えつつ、所望のタイミングでフーリエ変換型分光分析を実施することができる。
また、信号処理部200は、図34に示されるように、ビームスプリッタユニット3に入射させる測定光L0を出射する第1光源5と、ビームスプリッタユニット3から出射されて測定対象を介して入射した測定光の干渉光L1を検出する第1光検出器6と、を備える光モジュール1Bに適用されてもよい。
光モジュール1Bにおいて、保持ユニット130は、X軸方向におけるミラーユニット2の一方の側において、第1光源5、第2光源7及び第2光検出器8がZ軸方向における一方の側を向くように、且つX軸方向における他方の側(すなわち、ミラーユニット2側)から第1光源5、第2光源7、第2光検出器8の順序で並ぶように、第1光源5、第2光源7及び第2光検出器8を保持している。第1光源5は、発光素子5aと、集光レンズ5bと、を有している。発光素子5aは、例えばフィラメント等の熱型光源である。集光レンズ5bは、測定光L0を集光する。
保持ユニット130は、第1光源5、第2光源7及び第2光検出器8に加え、第1ミラー51、第2ミラー52及び第3ミラー53を保持している。第1ミラー51、第2ミラー52及び第3ミラー53は、互いに接合された複数の光学ブロックによって構成されている。
第1ミラー51は、測定光L0を反射し且つレーザ光L10を透過させる機能を有し、且つ第1光源5の光軸に対して傾斜したダイクロイックミラーである。第1ミラー51は、X軸方向から見た場合にビームスプリッタユニット3と重なるように、且つZ軸方向から見た場合に第1光源5と重なるように、配置されている。つまり、第1ミラー51は、ビームスプリッタユニット3及び第1光源5と対向するように配置されている。この例では、第1ミラー51の光学面は、Y軸方向に平行な面であり、且つZ軸方向と45°の角度を成す面である。なお、第1光源5の光軸は、Z軸方向に平行である。
第2ミラー52は、レーザ光L10の一部を反射し且つレーザ光L10の残部を透過させる機能を有し、且つ第1ミラー51に平行なミラーである。第2ミラー52は、X軸方向から見た場合に第1ミラー51と重なるように、且つZ軸方向から見た場合に第2光源7と重なるように、配置されている。つまり、第2ミラー52は、第1ミラー51及び第2光源7と対向するように配置されている。この例では、第2ミラー52の光学面は、Y軸方向に平行な面であり、且つZ軸方向と45°の角度を成す面である。
第3ミラー53は、レーザ光L10を反射する機能を有し、且つ第2ミラー52に平行なミラーである。第3ミラー53は、X軸方向から見た場合に第2ミラー52と重なるように、且つZ軸方向から見た場合に第2光検出器8と重なるように、配置されている。つまり、第3ミラー53は、第2ミラー52及び第2光検出器8と対向するように配置されている。この例では、第3ミラー53の光学面は、Y軸方向に平行な面であり、且つZ軸方向と45°の角度を成す面である。
光モジュール1Bでは、第1光源5からZ軸方向に沿って出射された測定光L0は、第1ミラー51で反射され、X軸方向に沿ってビームスプリッタユニット3の光学面33dに入射する。Z軸方向に沿ってビームスプリッタユニット3の光学面33aから出射された測定光の干渉光L1は、集光レンズ58aによって集光されつつ、筐体10に設けられた窓部10aを介して筐体10外に出射され、測定対象(図示省略)に照射される。当該測定対応で反射された測定光の干渉光L1は、窓部10aを介して筐体10内に入射し、集光レンズ58bによって集光される。集光された測定光の干渉光L1は、X軸方向に沿って第1光検出器6に入射し、第1光検出器6によって検出される。
一方、第2光源7から出射されたレーザ光L10は、第2ミラー52で反射されて第1ミラー51を透過し、X軸方向に沿ってビームスプリッタユニット3の光学面33dに入射する。ビームスプリッタユニット3の光学面33dからX軸方向に沿って出射されたレーザ光の干渉光L11は、第1ミラー51及び第2ミラー52を透過し、第3ミラー53で反射されて第2光検出器8に入射し、第2光検出器8によって検出される。
以上のように構成された光モジュール1Bでは、上述した光モジュール1Aと同様の信号処理が実施される。よって、光モジュール1Bは、フーリエ変換型分光分析を短時間で実施することを可能にする。
また、図35に示されるように、測定光L0用の干渉光学系とレーザ光L10用の干渉光学系とが別々に構成されていてもよい。図35に示される光モジュール1Cは、1つの可動ミラー22と、一対の固定ミラー16と、一対のビームスプリッタ30と、を備えている。ミラーデバイス20において、可動ミラー22には、両側にミラー面22aが設けられている。測定光L0用のビームスプリッタ30Aは、一方の側のミラー面22a及び測定光L0用の固定ミラー16Aのミラー面16aのそれぞれに対向するように配置されている。レーザ光L10用のビームスプリッタ30Bは、他方の側のミラー面22a及びレーザ光L10用の固定ミラー16Bのミラー面16aのそれぞれに対向するように配置されている。
光モジュール1Cでは、次のように、測定光の干渉光L1が検出される。すなわち、測定光L0がビームスプリッタ30Aに入射すると、当該測定光L0は、ビームスプリッタ30Aにおいて一部及び残部に分割される。そして、測定光L0の一部は、往復移動する可動ミラー22における一方の側のミラー面22aで反射されてビームスプリッタ30Aに戻る。一方、測定光L0の残部は、固定ミラー16Aのミラー面16aで反射されてビームスプリッタ30Aに戻る。ビームスプリッタ30Aに戻った測定光L0の一部及び残部は、干渉光L1としてビームスプリッタ30Aから出射され、当該測定光の干渉光L1が第1光検出器6によって検出される。
なお、測定光L0用の干渉光学系は、第1光源(図示省略)から出射された測定光L0が測定対象(図示省略)を介してビームスプリッタ30Aに入射するように構成されていてもよいし、測定対象から発せられた測定光L0がビームスプリッタ30Aに入射するように構成されていてもよい。或いは、測定光L0用の干渉光学系は、第1光源から出射された測定光L0が測定対象を介さずにビームスプリッタ30Aに入射し、ビームスプリッタ30Aから出射された測定光の干渉光L1が測定対象を介して第1光検出器6に入射するように構成されたものであってもよい。
また、光モジュール1Cでは、次のように、レーザ光の干渉光L11が検出される。すなわち、第2光源7から出射されたレーザ光L10がビームスプリッタ30Bに入射すると、当該レーザ光L10は、ビームスプリッタ30Bにおいて一部及び残部に分割される。そして、レーザ光L10の一部は、往復移動する可動ミラー22における他方の側のミラー面22aで反射されてビームスプリッタ30Bに戻る。一方、レーザ光L10の残部は、固定ミラー16Bのミラー面16aで反射されてビームスプリッタ30Bに戻る。ビームスプリッタ30Bに戻ったレーザ光L10の一部及び残部は、干渉光L11としてビームスプリッタ30Bから出射され、当該レーザ光の干渉光L11が第2光検出器8によって検出される。
以上のように、本発明の光モジュールにおいて構成される干渉光学系は、可動ミラー22、少なくとも1つの固定ミラー16及び少なくとも1つのビームスプリッタ30によって構成されたものであればよい。
また、図36に示されるように、PC(信号処理装置)500が信号処理部200を有していてもよい。図36に示される例では、光モジュール1Dと、光モジュール1Dと電気的に接続されたPC500と、によって信号処理システム700が構成されている。光モジュール1Dは、信号処理部200を有していない点で、上述した光モジュール1Aと相違している。ただし、光モジュール1Dにおいて構成される干渉光学系としては、可動ミラー22、少なくとも1つの固定ミラー16及び少なくとも1つのビームスプリッタ30によって構成されるもの(例えば、各光モジュール1A,1B,1Cにおいて構成される干渉光学系等)であれば適用可能である。PC500の信号処理部200は、プロセッサ、メモリ、ストレージ及び通信デバイス等を含むコンピュータ装置として構成されている。PC500の信号処理部200は、プロセッサが、メモリ等に読み込まれた所定のソフトウェア(プログラム)を実行し、メモリ及びストレージにおけるデータの読み出し及び書き込み、並びに、通信デバイスによる制御装置間での通信を制御することによって、電圧信号制御部201及び強度取得部202の機能が実現される。これにより、信号処理システム700でも、上述した光モジュール1Aと同様の信号処理が実施される。よって、信号処理システム700によれば、フーリエ変換型分光分析を短時間で実施することが可能になる。なお、各光モジュール1A,1B,1Cが有する信号処理部200も、ハードウェアとして構成されたものに限定されず、ソフトウェアとして構成されたものであってもよい。
また、ミラーデバイス20において、可動櫛歯電極282は、可動ミラー22及び第1弾性支持部26の少なくとも一方に設けられていればよく、可動櫛歯電極284は、可動ミラー22及び第2弾性支持部27の少なくとも一方に設けられていればよい。
また、強度取得部202は、第1強度取得処理及び第2強度取得処理の少なくとも一方を実施すればよい。強度取得部202が第1強度取得処理を実施する場合には、記憶部300は、第1記憶領域301を有していればよく、強度取得部202が第2強度取得処理を実施する場合には、記憶部300は、第2記憶領域302を有していればよい。また、強度取得部202が第1強度取得処理を実施する場合には、PC500は、第1スペクトラム取得処理を実施すればよく、強度取得部202が第2強度取得処理を実施する場合には、PC500は、第2スペクトラム取得処理を実施すればよい。また、第1時間間隔及び第2時間間隔は、同一の時間間隔でなくてもよい。
また、信号処理部200の強度取得部202は、電圧信号において連続するP周期(P:2以上の整数)のうちの複数の周期のそれぞれにおいて、周波数に基づく第1時間間隔でM回(M:2以上の整数)、測定光の干渉光L1の測定光強度を取得し、互いに対応する同一回の測定光強度の平均値を取得すると共に、当該複数の周期のそれぞれにおいて、周波数に基づく第2時間間隔でN回(N:2以上の整数)、レーザ光の干渉光L11のレーザ光強度を取得し、互いに対応する同一回のレーザ光強度の平均値を取得する強度取得処理を実施してもよい。その場合にも、電圧信号において連続するP周期のうちの複数の周期のそれぞれにおいて、電圧信号の周波数に基づく第1時間間隔でM回、測定光の干渉光L1の測定光強度を取得し、互いに対応する同一回の測定光強度の平均値を取得することで、可動ミラー22が移動する場合の同一位置ごとに測定光強度の平均値を容易に且つ精度良く取得することができる。同様に、当該複数の周期のそれぞれにおいて、電圧信号の周波数に基づく第2時間間隔でN回、レーザ光の干渉光L11のレーザ光強度を取得し、互いに対応する同一回のレーザ光強度の平均値を取得することで、可動ミラー22が移動する場合の同一位置ごとにレーザ光強度の平均値を容易に且つ精度良く取得することができる。
信号処理部200の強度取得部202が、複数の周期のそれぞれにおいて、互いに対応する同一回の測定光強度の平均値を取得すると共に、複数の周期のそれぞれにおいて、互いに対応する同一回のレーザ光強度の平均値を取得する強度取得処理を実施する場合、例えばPC500が、スペクトラム取得処理を実施すればよい。スペクトラム取得処理は、測定光強度の平均値の時間変化から、レーザ光強度の平均値の時間変化に極大値及び極小値の少なくとも一方が出現したタイミングでの強度値を取得し、レーザ光L10の波長に基づいて、光路差と強度値との関係を取得し、フーリエ変換によって、測定光L0のスペクトラムを取得する処理である。これにより、フーリエ変換型分光分析を短時間で実施することが可能になる。
また、上述したいずれの実施形態においても、信号処理部200の強度取得部202は、複数の周期のそれぞれにおいて、互いに対応する同一回の測定光強度(第1測定光強度及び第2測定光強度を含む)の平均値を取得すると共に、複数の周期のそれぞれにおいて、互いに対応する同一回のレーザ光強度(第1レーザ光強度及び第2レーザ光強度を含む)の平均値を取得したが、平均値に替えて積算値を取得してもよい。つまり、信号処理部200の強度取得部202は、複数の周期のそれぞれにおいて、互いに対応する同一回の測定光強度(第1測定光強度及び第2測定光強度を含む)の積算値を取得すると共に、複数の周期のそれぞれにおいて、互いに対応する同一回のレーザ光強度(第1レーザ光強度及び第2レーザ光強度を含む)の積算値を取得してもよい。このように、信号処理部200の強度取得部202は、複数の周期のそれぞれにおいて、互いに対応する同一回の測定光強度(第1測定光強度及び第2測定光強度を含む)の加算値を取得すると共に、複数の周期のそれぞれにおいて、互いに対応する同一回のレーザ光強度(第1レーザ光強度及び第2レーザ光強度を含む)の加算値を取得してもよい。加算値とは、積算値又は平均値に相当する値である。その場合、スペクトラム取得処理として、測定光強度の加算値の時間変化から、レーザ光強度の加算値の時間変化に極大値及び極小値の少なくとも一方が出現したタイミングでの強度値を取得し、レーザ光L10の波長に基づいて、光路差と強度値との関係を取得し、フーリエ変換によって、測定光L0のスペクトラムを取得する処理が実施される。