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JP6683094B2 - 焼結機の排ガスの可視レベル評価方法および焼結用炭材の選定方法 - Google Patents

焼結機の排ガスの可視レベル評価方法および焼結用炭材の選定方法 Download PDF

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Description

本発明は、焼結機の煙突から排出される排ガスの可視レベルを評価する方法と、排ガスの可視レベルを考慮して、焼結機で使用される炭材を選定する方法とに関する。
焼結機の煙突から排出される排ガスについては、この色が注目されることがある。排ガスが白色に着色する現象については、環境に直接影響を与える現象ではないが、排ガスを見た者に対して、心理的にマイナスの印象を与える懸念がある。
排ガスの着色の原因物質は、一般的には、排ガスに含まれ、炭材の揮発分から生成される油分(液体状の揮発成分)であると考えられていた。しかし、同等の揮発分を有する複数種類の炭材を焼結機で使用した場合であっても、排ガスの着色レベルには差があることも経験上認められていた。したがって、実際に焼結機で炭材を使用してみないと、排ガスの着色レベルを確認することができない。
特開平11−50159号公報 特開2001−011544号公報 特開2002−167621号公報
鉄と鋼 Vol.91 (2005) No.10 757頁〜762頁
本願発明者によれば、炭材を燃焼させたときに発生したガスを分析したところ、炭材の燃焼を開始した初期段階において、炭化水素成分(CH)の発生を確認した。炭化水素成分(CH)の発生量を把握するために、質量数が15であるマススペクトルを測定したところ、このマススペクトルのピーク面積が、焼結機の排ガスの可視レベルと相関があることが分かった。この知見に基づいて、本発明を完成するに至った。
本願第1の発明は、焼結機の排ガスの可視レベルを評価する評価方法である。この評価方法では、まず、焼結機で使用予定の炭材を空気雰囲気下で燃焼させたときに生成されるガスについて、質量数が15であるマススペクトルを測定する。そして、測定したマススペクトルのピーク面積に基づいて、可視レベルを評価する。
上述したように、本願発明者によれば、質量数が15であるマススペクトルのピーク面積と、焼結機からの排ガスの可視レベルとの間に相関関係があることが分かった。そこで、質量数が15であるマススペクトルのピーク面積を測定することにより、実際の焼結機で炭材を使用させる前に、排ガスの可視レベルを評価することができる。
排ガスの可視レベルを評価するとき、ピーク面積の閾値を予め定めておくことができる。そして、測定したピーク面積が閾値以下であるとき、排ガスを白色として視認できないレベルであることを評価することができる。
ピーク面積としては、炭材の単位重量当たりのピーク面積とすることができる。これにより、ピーク面積を測定するときの炭材の重量にバラツキがあっても、これらの炭材について、排ガスの可視レベルの評価を画一的に行うことができる。
示差熱天秤−質量分析装置を用いれば、空気雰囲気下における炭材の燃焼と、質量数が15であるマススペクトルの測定とを両立させることができる。
本願第2の発明は、焼結機で使用される炭材を選定する選定方法である。この選定方法では、まず、空気雰囲気下で炭材を燃焼させたときに生成されるガスについて、質量数が15であるマススペクトルを測定する。そして、測定したマススペクトルのピーク面積が予め定められた閾値以下である炭材を、焼結機で使用される炭材として選定する。
本願第1の発明で説明したように、質量数が15であるマススペクトルのピーク面積は、炭材の燃焼によって生成される排ガスの可視レベルと相関関係がある。そこで、排ガスが白色であると視認されるときのピーク面積を閾値として予め決めておくことができる。そして、ピーク面積が閾値以下である炭材を、焼結機で使用される炭材として選定すれば、この炭材を焼結機に装入しても、焼結機の煙突から、白色と視認される排ガスが発生することを抑制できる。
排ガスの可視レベルを評価する方法を説明するフローチャートである。 所定の炭材を燃焼させたときにおいて、炭材の重量減少量と、排ガスに含まれる各種成分(質量数が15,18,44)のマススペクトルとを示す図である。
本発明の実施形態について説明する。本実施形態は、焼結機で使用される炭材(焼結用炭材という)について、焼結機の煙突から大気中に排出される排ガスの可視レベルを評価するものである。可視レベルとは、排ガスの色(具体的には、白色)について、視認に関するレベルである。ここで、可視レベルが高いほど、排ガスが白色として視認されやすくなる。言い換えれば、可視レベルが低いほど、排ガスが白色として視認されにくくなる。
焼結用炭材としては、粉コークス、無煙炭、半無煙炭、チャーを用いることができる。揮発分が高い炭材を焼結機で使用すると、揮発分由来の物質が排ガス中へ流出し、電気集塵機に油分として付着することがある。このため、焼結用炭材としては、揮発分が抑えられた炭材、具体的には、粉コークス、無煙炭、半無煙炭、チャーを用いることができる。
本発明において、無煙炭とは、揮発分が10%未満の石炭であり、半無煙炭とは、揮発分が10%以上、15%以下の石炭である。チャーとは、揮発分が高い石炭を無酸素雰囲気下で熱処理(熱分解、乾留)することにより、揮発分を低減させた炭材である。粉コークスの揮発分は、無煙炭の揮発分、半無煙炭の揮発分およびチャーの揮発分よりも低い。
炭材を燃焼させると、燃焼を開始した初期段階において、炭化水素成分(すなわち、CH)が発生することが分かった。本実施形態では、炭化水素成分(CH)の発生量が、排ガスの可視レベルと相関関係にあることに着目し、炭化水素成分(CH)の発生量に基づいて、排ガスの可視レベルを評価している。
炭化水素成分(CH)の発生量と排ガスの可視レベルとの間には、以下に説明する相関がある。すなわち、炭化水素成分(CH)の発生量が多いほど、可視レベルが高くなり、排ガスが白色として認識されやすくなる。言い換えれば、炭化水素成分(CH)の発生量が少ないほど、可視レベルが低くなり、排ガスが白色として認識されにくくなる。
上述した相関関係に基づけば、炭材の炭化水素成分(CH)の発生量を測定することにより、炭材を焼結機で使用したときの排ガスの可視レベルを評価することができる。これにより、炭材を焼結機で実際に使用させる前に、排ガスの可視レベルを把握することができたり、焼結用炭材として、排ガスの可視レベルを低減できる炭材を選定したりすることができる。
本発明において、炭化水素成分(CH)の発生量とは、質量数(m(質量)/z(電荷))が15のマススペクトルにおけるピーク面積である。示差熱天秤−質量分析装置を用いることにより、空気雰囲気下で炭材を燃焼させたときに発生する排ガスについて、質量数(m/z)が15のマススペクトルを測定することができる。そして、このマススペクトルのピーク面積を測定することにより、炭化水素成分(CH)の発生量を特定することができる。
炭化水素成分(CH)の質量数は16であるが、炭材の燃焼に用いられる酸素原子の質量数も16となる。このため、質量数が16のマススペクトルを測定しても、排ガスに含まれる炭化水素成分(CH)を特定することは困難である。一方、マススペクトルを測定するときには、炭化水素成分(CH)のほとんどがイオン化されることにより、フラグメントとして炭化水素成分(CH )が生成される。炭化水素成分(CH )の質量数は15となるため、質量数が15のマススペクトルを測定することにより、炭化水素成分(CH)を特定することができる。
質量数が15のマススペクトルを測定するために、炭材を燃焼させるときには、炭材の燃焼雰囲気を、実際の焼結機における炭材の燃焼雰囲気と同等にする必要がある。そこで、本実施形態では、空気雰囲気下において、炭材を燃焼させている。
また、炭材を燃焼させるときには、炭材の雰囲気温度を、炭材を完全に燃焼させるための目標温度以上まで上昇させることが好ましい。目標温度は、実験に基づいて、予め決めておくことができる。炭材の雰囲気温度を目標温度以上まで上昇させて、炭材を完全に燃焼させることにより、排ガスに含まれる炭化水素成分(CH )の発生量を把握しやすくなる。言い換えれば、質量数が15であるマススペクトルを精度良く測定することができる。
質量数が15であるマススペクトルのピーク面積、すなわち、炭化水素成分(CH)の発生量を測定した後、この発生量に基づいて、排ガスの可視レベルを評価することができる。排ガスの可視レベルを評価するとき、例えば、排ガスの可視レベルを複数のレベルに分け、各レベルに対応する炭化水素成分(CH)の発生量の範囲を決めておくことができる。これにより、測定された炭化水素成分(CH)の発生量が、複数のレベルのうち、いずれのレベルに属するかを特定することにより、排ガスの可視レベルを評価することができる。
可視レベルのレベル数は、適宜決めることができる。例えば、白色を視認できないレベルと、わずかに白色を視認できるレベルと、白色を視認できるレベルといったように、3つのレベルに分けることができる。このように、排ガスの可視レベルを決めておけば、各レベルに対応する炭化水素成分(CH)の発生量の範囲を決めることができる。ここで、実験に基づいて、可視レベルと炭化水素成分(CH)の発生量との相関を決めることにより、各レベルに対応する炭化水素成分(CH)の発生量の範囲を決めることができる。そして、測定した炭化水素成分(CH)の発生量が、いずれのレベルの発生量の範囲に含まれるかを判別することにより、可視レベルを決定することができる。
複数種類の炭材について、質量数が15のマススペクトルを測定するとき、示差熱天秤−質量分析装置に設置するときの炭材の重量を一定にする必要がある。これは、炭材の重量が異なると、炭材の燃焼によって発生するガスの量が異なってしまい、炭化水素成分(CH)の発生量を測定しても、排ガスの可視レベルについて、画一的な評価を行うことができなくなるからである。
一方、排ガスの可視レベルを評価するとき、炭材の単位重量当たりにおける炭化水素成分(CH)の発生量を算出することもできる。示差熱天秤−質量分析装置に設置するときの炭材の重量Mcを測定しておき、測定された炭化水素成分(CH)の発生量を重量Mcで除算することにより、炭材の単位重量当たりにおける炭化水素成分(CH)の発生量を算出することができる。炭材の単位重量当たりにおける炭化水素成分(CH)の発生量を算出することにより、複数種類の炭材について、示差熱天秤−質量分析装置に設置するときの炭材の質量Mcが異なっていても、排ガスの可視レベルの画一的な評価を行うことができる。
示差熱天秤−質量分析装置で用いられる炭材としては、乾燥後の炭材を用いることが好ましい。炭材に含まれる水分量が異なると、示差熱天秤−質量分析装置の測定結果にバラツキが発生することがある。この場合には、複数種類の炭材について、炭化水素成分(CH)の発生量に基づく可視レベルの評価を画一的に行いにくくなる。そこで、示差熱天秤−質量分析装置に炭材を設置する前に、炭材を乾燥させておくことが好ましい。
炭材を乾燥させるときには、炭材の燃焼が開始するときの温度よりも低い温度であって、炭材に含まれる水分を蒸発させるために必要な温度以上において、炭材を加熱することが好ましい。
また、炭材を乾燥させるときには、不活性ガスの雰囲気下において、炭材を加熱することが好ましい。炭材の燃焼が開始するときの温度よりも低い温度において、炭材を加熱したときであっても、酸素の雰囲気下では、炭材が酸素と反応してしまう。そこで、炭材が酸素と反応することを抑制するために、不活性ガスの雰囲気下において、炭材を加熱することが好ましい。不活性ガスとしては、例えば、アルゴンガスを用いることができる。
上述した本実施形態において、排ガスの可視レベルを評価するための手順(一例)について、図1に示すフローチャートを用いて説明する。
ステップS101では、評価対象の炭材を示差熱天秤−質量分析装置に設置し、空気雰囲気において、炭材を燃焼させる。ここで、炭材の雰囲気温度は、上述した目標温度以上まで上昇させる。炭材の燃料によって発生したガスについて、質量数(m/z)が15であるマススペクトルを測定する。
ステップS102では、ステップS101の処理で測定されたマススペクトルに基づいて、このマススペクトルのピーク面積、すなわち、炭化水素成分(CH)の発生量を算出する。ステップS103では、ステップS102の処理で算出された炭化水素成分(CH)の発生量に基づいて、排ガスの可視レベルを評価する。評価方法は、上述した通りである。
炭化水素成分(CH)の発生量の算出は、1種類の炭材について、1回又は複数回行うことができる。炭化水素成分(CH)の発生量の算出を複数回行うときには、発生量の平均値を算出することができる。
本実施形態によれば、炭化水素成分(CH)の発生量と排ガスの可視レベルとの間に相関があることに着目することにより、炭化水素成分(CH)の発生量に基づいて、排ガスの可視レベルを評価することができる。可視レベルを評価するときには、示差熱天秤−質量分析装置を用いて炭材を燃焼させるだけでよいため、炭材を実際の焼結機で使用させなくても、排ガスの可視レベルを評価することができる。
本実施形態のように排ガスの可視レベルを評価すれば、この評価結果に基づいて、実際の焼結機で使用される炭材を選定することができる。すなわち、複数種類の炭材の中から、排ガスが白色になりにくい炭材を選定することができる。そして、選定された炭材を実際の焼結機で使用することにより、白色と視認される排ガスが大気中に排出されることを抑制できる。
以上の実施形態では、炭材が一銘柄の単独の場合について説明した。ここで、焼結操業では、複数種類の炭材を混合した混合炭材(揮発分の異なる炭材の混合物)を焼結機に装入することがある。混合炭材を使用する場合であっても、それを一銘柄として扱うことにより、本実施形態と同様に排ガスの可視レベルを評価できる。
混合炭材を使用する場合には、混合炭材について、炭化水素成分(CH)の発生量を測定しておき、この発生量が閾値以下である混合炭材を用いることができる。この閾値は、排ガスが白色であると視認しにくい可視レベルに対応する炭化水素成分(CH)の発生量であり、予め定めておくことができる。一方、混合炭材を構成する各種の炭材について、炭化水素成分(CH)の発生量を測定しておき、この発生量が閾値以下であるか否かを確認することができる。そして、発生量が閾値以下であるときの炭材の混合物を、焼結用炭材として用いることができる。
以下、本発明の実施例について説明する。
粉コークスと8種類の炭材、および混合炭材を用意し、粉コークスおよび各炭材について、炭化水素成分(CH)の発生量を算出した。
(炭材の種類)
粉コークスおよび8種類の炭材A〜H、混合炭材I、Jの分析値(工業分析値および元素分析値)は、下記表1に示す通りである。8種類の炭材A〜Hには、チャー、無煙炭および半無煙炭が含まれる。混合炭材Iは、竪型のシャフト炉(移動層)を用いて石炭を乾留することによって製造された乾留物(チャー)である。このチャーは、シャフト炉の構造上焼けむらが生じるため、高揮発分(揮発分20〜30%)のチャーと低揮発分(揮発分5%以下)のチャーが2:8の質量割合で混合した状態となっている。ここでは、このようなチャーを混合炭材として取り上げた。混合炭材Jは、製鉄所で使用した揮発分が高い石炭から揮発分が低い石炭あるいは乾留物(コークス)が混合された状態で回収された、いわゆる雑炭を想定したものである。今回は揮発分が20〜40%の石炭(瀝青炭)と揮発分1%以下のコークスを4:6の質量割合で混合してこの雑炭を再現した。
Figure 0006683094
(炭化水素成分(CH)の発生量の測定)
粉コークスおよび炭材A〜Jとして、乾燥を行い、粒径が150〜250μmに調製されたサンプルを15mgずつ用意した。示差熱天秤−質量分析装置を用いて、質量数(m/z)が15であるマススペクトルを測定するときには、測定精度を担保する上で、粒径が150〜250μmである粉コークスや炭材A〜Jを用いることが好ましい。
示差熱天秤−質量分析装置としては、ブルカー・エイエックスエス社製/TG-DTA2000SA+MS-9610を用いた。示差熱天秤−質量分析装置に粉コークスおよび炭材A〜Jをそれぞれ設置し、空気雰囲気下で粉コークスおよび炭材A〜Jをそれぞれ燃焼させた。ここで、空気雰囲気としては、50ml/minの流量で空気を供給した。また、50℃/minの昇温速度において、雰囲気温度を常温から1450℃(上述した目標温度以上の温度)まで上昇させた。雰囲気温度を上昇させるとき、粉コークスや炭材A〜Jにおける燃焼の偏りを抑制するために、昇温速度を一定とすることが好ましい。
粉コークスおよび炭材A〜Jの燃焼によって発生するガスについて、示差熱天秤−質量分析装置によって、質量数(m/z)が15であるマススペクトルを測定した。ここで、示差熱天秤−質量分析装置の測定条件としては、エミッション電圧を100[μA]、SEM電圧を950[V]、真空度を1.9E−3[Pa](フィルタースプリットモード)とした。粉コークスおよび炭材A〜Jについてマススペクトルを測定するときには、この測定条件を固定する必要がある。測定条件が異なってしまうと、マススペクトルのピーク面積が変化してしまい、炭化水素成分(CH)の発生量に基づく可視レベルの画一的な評価を行いにくくなる。そこで、測定条件を固定した上で、質量数(m/z)が15であるマススペクトルを測定する必要がある。
図2には、表1に示す炭材Fについての測定結果を示す。図2において、横軸は雰囲気温度を示す。また、左側の縦軸は、炭材の重量の減少量[mg]を示し、右側の縦軸は、マススペクトルの強度[A]を示す。
図2では、質量数(m/z)が15であるマススペクトルの他に、質量数(m/z)が18,44であるマススペクトルをそれぞれ示している。質量数(m/z)が18であるマススペクトルは、水成分(HO)に由来するものであり、質量数(m/z)が44であるマススペクトルは、二酸化炭素成分(CO)に由来するものである。
炭材Fの燃焼が開始されると、示差熱天秤−質量分析装置によって測定される炭材Fの重量が減少する。図2では、雰囲気温度が400[℃]を超えたときに、炭材Fの重量が減少し始めている。また、雰囲気温度が400[℃]を超えたときに、質量数(m/z)が15であるマススペクトルの強度が増加し始めている。図2では、雰囲気温度が400〜700[℃]の範囲内において、質量数(m/z)が15であるマススペクトルが発生しているとともに、このマススペクトルのピークが存在している。図2に示す領域Rの面積は、質量数(m/z)が15であるマススペクトルにおけるピーク面積、すなわち、炭化水素成分(CH)の発生量となる。
粉コークスおよび炭材Aでは、質量数(m/z)が15であるマススペクトルが発生しなかった。炭材B〜E,G〜Jでは、質量数(m/z)が15であるマススペクトルが、炭材Fと同様にピークを示した。ただし、炭材B〜Jでは、質量数(m/z)が15であるマススペクトルの強度が異なっていた。
粉コークスおよび各炭材A〜Jについて、炭化水素成分(CH)の発生量の測定結果を下記表2に示す。ここで、炭化水素成分(CH)の発生量としては、炭材の単位重量当たりにおける炭化水素成分(CH)の発生量を算出している。
Figure 0006683094
(焼結試験)
実際の焼結機を小型サイズにした実験設備(鍋という)を用いて、焼成処理を行うことにより、煙突から排出された排ガスの可視レベルを確認した。ここで、鍋および煙突の間における排ガスの移動通路には、排ガスに含まれるダストを除去するためのサイクロンと、吸引ブロアだけを配置した。また、排ガスの可視レベルを確認できるように、鍋および煙突の間における排ガスの移動通路には、排ガス処理設備などは設置していない。なお、鍋の直径は300[mm]であり、鍋の厚さは600[mm]である。また、吸引ブロアの吸引圧は1530[kPa]である。
焼結試験で用いられた原料を下記表3に示す。
Figure 0006683094
鉄鉱石として、A〜Eの銘柄を用意し、これらの鉄鉱石を上記表3に示す質量%で混合した。また、鉄鉱石に対して、副原料としての、石灰石、生石灰および蛇紋岩を混合した。石灰石、生石灰および蛇紋岩の混合量(質量%)は、上記表3に示す通りである。一方、鉄鉱石および副原料の混合物に対して、返鉱および粉コークスを配合したり、返鉱および各炭材A〜J(上記表1参照)を配合したりした。
返鉱の配合量は、鉄鉱石および副原料の総質量に対して15質量%とした。また、返鉱と共に配合される粉コークスの配合量は、鉄鉱石および副原料の総質量に対して4.5重量%とした。一方、返鉱と共に配合される各炭材A〜Jについては、各炭材A〜Jに含まれる固定炭素の量が、粉コークスに含まれる固定炭素の量と等しくなるように、各炭材A〜Jの配合量を調整した。
粉コークスおよび各炭材A〜Jは、粒度分布が同一となるように調製した。下記表4は、粉コークスおよび各炭材A〜Jの粒度分布を示す。
Figure 0006683094
下記表5は、上述した焼結試験における排ガスの可視レベルを確認した結果を示す。ここで、煙突から排出された排ガスを目視することにより、排ガスの可視レベルを確認した。排ガスの白色を全く確認できない場合を「○」とし、排ガスに僅かに白色を確認できる場合を「△」とし、排ガスの白色を確認できる場合を「×」とした。一方、下記表5では、粉コークスおよび各炭材A〜Jについて、炭化水素成分(CH)の発生量、揮発分の量および硫黄含有量(Total-S)を示している。
Figure 0006683094
上記表5に示すように、排ガスの可視レベルは、炭化水素成分(CH)の発生量と相関がある。具体的には、粉コークスおよび炭材A〜Cについては、炭化水素成分(CH)の発生量が3.00E−7[A・sec/g-sample(dry)]以下であり、可視レベルが「○」であった。また、炭材D〜F、Iについては、炭化水素成分(CH)の発生量が3.00E−7[A・sec/g-sample(dry)]よりも多く、1.00E−6以下であり、可視レベルが「△」であった。炭材G〜Jについては、炭化水素成分(CH)の発生量が1.00E−6よりも多く、可視レベルが「×」であった。
一方、上記表5によれば、排ガスの可視レベルは、炭材の揮発分と相関が無いことが分かる。例えば、無煙炭としての炭材B,C,E〜Gに着目すると、排ガスの可視レベルと、炭材の揮発分との間に相関を見出すことはできない。また、上記表5によれば、排ガスの可視レベルは、炭材の硫黄含有量(Total-S)と相関が無いことが分かる。例えば、無煙炭としての炭材B,C,E〜Gに着目すると、排ガスの可視レベルと、炭材の硫黄含有量(Total-S)との間に相関を見出すことはできない。
上記表5に示す試験結果によれば、炭化水素成分(CH)の発生量が3.00E−7[A・sec/g-sample(dry)]以下である炭材を実際の焼結機で使用することにより、白色の排ガスが発生することを抑制できる。
なお、排ガス処理設備(集塵機、脱硝設備、脱硫設備など)を有する場合には、白色の排ガスに由来する成分が排ガス処理設備において除去される可能性もある。その場合、白色の排ガスに由来する成分が排ガス処理設備に対して悪影響(吸着剤の短寿命化など)を及ぼすことも否定できない。
ここで、実際の焼結機で使用される炭材を選定するときには、炭化水素成分(CH)の発生量の閾値を予め決めておけばよい。そして、測定した炭化水素成分(CH)の発生量が閾値以下である炭材を、焼結用炭材として選定することができる。上述した例では、閾値を3.00E−7[A・sec/g-sample(dry)]とすることができる。なお、炭化水素成分(CH)の発生量は、マススペクトルを測定するときの測定条件に応じて変化するため、所定の測定条件における閾値を予め決めておけばよい。

Claims (5)

  1. 焼結機で生成される排ガスの可視レベルを評価する評価方法であって、
    前記焼結機で使用予定の炭材を空気雰囲気下で燃焼させたときに生成されるガスについて、質量数が15であるマススペクトルを測定し、
    測定した前記マススペクトルのピーク面積に基づいて、前記可視レベルを評価する、
    ことを特徴とする評価方法。
  2. 前記ピーク面積が予め定められた閾値以下であるとき、前記可視レベルの評価において、前記排ガスを白色として視認できないレベルであると評価することを特徴とする請求項1に記載の評価方法。
  3. 前記ピーク面積は、前記炭材の単位重量当たりのピーク面積であることを特徴とする請求項1又は2に記載の評価方法。
  4. 示差熱天秤−質量分析装置を用いて、空気雰囲気下における前記炭材の燃焼と、前記マススペクトルの測定を行うことを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の評価方法。
  5. 焼結機で使用される炭材を選定する選定方法であって、
    空気雰囲気下で前記炭材を燃焼させたときに生成されるガスについて、質量数が15であるマススペクトルを測定し、
    測定した前記マススペクトルのピーク面積が予め定められた閾値以下である前記炭材を、前記焼結機で使用される炭材として選定する、
    ことを特徴とする焼結用炭材の選定方法。
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