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JP6681805B2 - 姿勢制御装置、宇宙機、姿勢制御方法および姿勢制御プログラム - Google Patents

姿勢制御装置、宇宙機、姿勢制御方法および姿勢制御プログラム Download PDF

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Description

本発明は、姿勢制御装置、宇宙機、姿勢制御方法および姿勢制御プログラムに関するものである。
特許文献1には、2台のCMGを用いて人工衛星の3軸姿勢制御を行う姿勢制御装置が開示されている。「CMG」は、コントロールモーメントジャイロの略語である。
非特許文献1には、VSCMGを用いた人工衛星の3軸姿勢制御方法が開示されている。「VSCMG」は、Variable Speed CMGの略語である。
特開2009−173069号公報
Hanspeter Schaub, Srinivas R. Vadali and John L. Junkins, "Feedback Control Law for Variable Speed Control Moment Gyros", Journal of the Astronautical Sciences, Vol. 46, No. 3, July−Sept., 1998, Pages 307−328
CMGを用いた人工衛星の姿勢制御において、一般的にCMGのホイールは角運動量の蓄積のみを行い、ジンバル軸の回転角度を制御することでホイール角運動量方向を変化させた際に発生するジャイロトルクを利用している。このような使い方をした場合、CMGの制御自由度は1台につき1であり、人工衛星の3軸姿勢制御を実現するためには3台以上の構成にすることが必要になる。さらに、冗長系を考慮すると、4台以上のCMG構成にすることが望ましいとされているため、CMG搭載台数の増加が人工衛星の小型化や軽量化の実現を妨げている。
特許文献1に開示されているシステムでは、CMGのホイールを一定回転させ、ジンバル軸の回転角度を制御することで出力されるトルクのみを利用している。このように、特許文献1の姿勢制御装置では、ジンバル軸の回転によって出力トルク方向が変化することを利用して姿勢制御をしているが、2台のCMGが瞬間的に出力できるトルク方向は平面上に固定されるため、人工衛星の3軸姿勢を同時に制御することができない。
非特許文献1に開示されている方法では、ジンバル軸の回転角度を制御することで出力されるトルクに加えて、ホイールの角運動量を変化させることで発生するトルクも利用することで、人工衛星の3軸姿勢制御トルクを出力している。非特許文献1のようなVSCMGでは、ホイール角運動量を変化させるとトルクが出力されるため、ジンバル軸の回転角度とホイール角運動量が制御可能であり、CMGの制御自由度が1台につき2になる。したがって、CMG2台で制御自由度が2×2=4になり、人工衛星の3軸姿勢制御が可能になる。制御自由度4に対して制御軸が3つであることから、1自由度が冗長であるため、そのままでは3軸姿勢制御トルクが2台のCMGに対して一意に分配されず、適切な制御が行われない可能性がある。また、ジンバル軸の回転角度とホイール角運動量との両方を制御するための演算処理が高負荷となり、処理時間が長くなる可能性がある。処理時間が長くなると、CMGへの指令コマンドを適切なタイミングで出力できなくなり、姿勢制御系の応答性や安定性が劣化する。
本発明は、少ない台数のコントロールモーメントジャイロを用いて、3軸同時の姿勢制御を軽負荷処理で行うことを目的とする。
本発明の一態様に係る姿勢制御装置は、
回転するホイールと、前記ホイールを保持しながら、前記ホイールの回転軸とは方向の異なる回転軸を中心に回転するジンバルとを個別に有する少なくとも2台のコントロールモーメントジャイロと、
姿勢制御のための3軸方向のトルクの設定値から、前記ジンバルの角速度については、コントロールモーメントジャイロごとの指令値を演算し、前記ホイールの角運動量については、共通の変化量を演算した後、演算した共通の変化量をコントロールモーメントジャイロごとの係数で重み付けしてコントロールモーメントジャイロごとの指令値を演算するジャイロ演算部とを備える。
本発明では、姿勢制御のための3軸方向のトルクの設定値から、ジンバルの角速度については、コントロールモーメントジャイロごとの指令値が演算され、ホイールの角運動量については、共通の変化量が演算された後、その共通の変化量をコントロールモーメントジャイロごとの係数で重み付けしてコントロールモーメントジャイロごとの指令値が演算される。このため、少ない台数のコントロールモーメントジャイロを用いて、3軸同時の姿勢制御を軽負荷処理で行うことができる。
実施の形態1に係る姿勢制御装置の構成を示すブロック図。 実施の形態1に係るコントロールモーメントジャイロの構成を示す図。 実施の形態1に係る2台のコントロールモーメントジャイロの配置例を示す図。 実施の形態1に係る2台のコントロールモーメントジャイロの配置例を示す図。 実施の形態1に係る姿勢制御装置の動作を示すフローチャート。 実施の形態1の変形例に係る姿勢制御装置の構成を示すブロック図。
以下、本発明の実施の形態について、図を用いて説明する。なお、各図中、同一または相当する部分には、同一符号を付している。実施の形態の説明において、同一または相当する部分については、説明を適宜省略または簡略化する。
実施の形態1.
本実施の形態について、図1から図5を用いて説明する。
***構成の説明***
図1を参照して、本実施の形態に係る姿勢制御装置10の構成を説明する。
姿勢制御装置10は、宇宙機40に搭載され、宇宙機40の姿勢を制御する装置である。宇宙機40は、本実施の形態では人工衛星であるが、宇宙ステーション等、他の種類の宇宙機であってもよい。
本実施の形態において、姿勢制御装置10は、コンピュータである。姿勢制御装置10は、プロセッサ11を備えるとともに、メモリ12、コントロールモーメントジャイロ13といった他のハードウェアを備える。プロセッサ11は、信号線を介して他のハードウェアと接続され、これら他のハードウェアを制御する。
姿勢制御装置10は、機能要素として、姿勢推定部21と、姿勢演算部22と、トルク演算部23と、ジャイロ演算部24とを備える。姿勢推定部21、姿勢演算部22、トルク演算部23、ジャイロ演算部24といった「部」の機能は、ソフトウェアにより実現される。
プロセッサ11は、プロセッシングを行うICである。「IC」は、Integrated Circuitの略語である。プロセッサ11は、具体的には、CPUである。「CPU」は、Central Processing Unitの略語である。
メモリ12は、具体的には、フラッシュメモリまたはRAMである。「RAM」は、Random Access Memoryの略語である。
コントロールモーメントジャイロ13については後述する。
姿勢制御装置10は、ハードウェアとして、通信装置を備えていてもよい。
通信装置は、データを受信するレシーバおよびデータを送信するトランスミッタを含む。通信装置は、具体的には、通信チップまたはNICである。「NIC」は、Network Interface Cardの略語である。
メモリ12には、「部」の機能を実現するプログラムが記憶されている。このプログラムは、プロセッサ11に読み込まれ、プロセッサ11によって実行される。メモリ12には、OSも記憶されている。「OS」は、Operating Systemの略語である。プロセッサ11は、OSを実行しながら、「部」の機能を実現するプログラムを実行する。なお、「部」の機能を実現するプログラムの一部または全部がOSに組み込まれていてもよい。
「部」の機能を実現するプログラムおよびOSは、補助記憶装置に記憶されていてもよい。補助記憶装置は、具体的には、フラッシュメモリまたはHDDである。「HDD」は、Hard Disk Driveの略語である。補助記憶装置に記憶されているプログラムおよびOSは、メモリ12にロードされ、プロセッサ11によって実行される。
姿勢制御装置10は、プロセッサ11を代替する複数のプロセッサを備えていてもよい。これら複数のプロセッサは、「部」の機能を実現するプログラムの実行を分担する。それぞれのプロセッサは、プロセッサ11と同じように、プロセッシングを行うICである。
「部」の処理の結果を示す情報、データ、信号値、および、変数値は、メモリ12、補助記憶装置、または、プロセッサ11内のレジスタまたはキャッシュメモリに記憶される。
「部」の機能を実現するプログラムは、磁気ディスク、光ディスクといった可搬記録媒体に記憶されてもよい。
姿勢制御装置10は、本実施の形態では2台のコントロールモーメントジャイロ13を備えるが、コントロールモーメントジャイロ13の台数は、2台に限らず、3台以上でもよい。すなわち、姿勢制御装置10は、少なくとも2台のコントロールモーメントジャイロ13を備えていればよい。
図2を参照して、それぞれのコントロールモーメントジャイロ13の構成を説明する。
コントロールモーメントジャイロ13は、ホイール31と、ジンバル32とを個別に有する。
ホイール31は、ホイール回転軸33を中心に回転する。ホイール31は、ロータとも呼ばれる。
ジンバル32は、ホイール31を保持しながら、ジンバル回転軸34を中心に回転する。ジンバル回転軸34は、ホイール31の回転軸であるホイール回転軸33とは方向の異なる回転軸である。ジンバル32は、宇宙機40である人工衛星の構造体に固定されたフレーム35と、フレーム35に対してジンバル回転軸34周りに回転するシャフト36と、シャフト36を駆動する、図示していないモータとを有する。シャフト36は、フレーム35の内側でホイール31と接続されている。
コントロールモーメントジャイロ13は、ホイール回転軸33周りに回転しているホイール31を、人工衛星の構造体に固定されたフレーム35に対して、ジンバル回転軸34周りに回転させることによってトルクを出力する。また、コントロールモーメントジャイロ13は、ホイール31の回転角速度を変化させることでホイール回転軸33の方向にトルクを出力する。
図示していないが、コントロールモーメントジャイロ13は、角度検出器を有し、角度検出器を用いて、フレーム35に対するシャフト36の回転角度であるジンバル角の測定値を出力する。また、コントロールモーメントジャイロ13は、角速度検出器を有し、角速度検出器を用いて、ホイール回転軸33周りのホイール31の回転角速度の測定値から得られるホイール角運動量の測定値を出力する。ただし、ホイール角運動量の測定値は、後述するジャイロ演算部24で計算されるホイール角運動量の指令値で代替することができるため、角速度検出器は必須ではない。
図3および図4を参照して、本実施の形態に適用される、2台のコントロールモーメントジャイロ13の配置例を説明する。ここでは、一方のコントロールモーメントジャイロ13をCMG#1、他方のコントロールモーメントジャイロ13をCMG#2と称する。
この例において、CMG#1とCMG#2はそれぞれ、ジンバル回転軸34とホイール回転軸33が互いに直交している。CMG#1のジンバル角が0°のときにCMG#1のホイール回転軸33の方向が宇宙機40の+X軸方向に一致する。CMG#2のジンバル角が0°のときにCMG#2のホイール回転軸33の方向が宇宙機40の−X軸方向に一致する。CMG#1のジンバル回転軸34の方向は、宇宙機40の+Y軸を宇宙機40の+X軸周りにαだけ回転させた方向に一致する。CMG#2のジンバル回転軸34の方向は、宇宙機40の+Y軸を宇宙機40の+X軸周りにαだけ回転させた方向に一致する。
***動作の説明***
図5を参照して、本実施の形態に係る姿勢制御装置10の動作を説明する。姿勢制御装置10の動作は、本実施の形態に係る姿勢制御方法に相当する。姿勢制御装置10の動作は、本実施の形態に係る姿勢制御プログラムの処理手順に相当する。
ステップS1において、姿勢推定部21は、宇宙機40の姿勢を推定する。
具体的には、姿勢推定部21は、宇宙機40に搭載された姿勢クオタニオン検出センサ、角速度検出ジャイロといったセンサのデータから、宇宙機40の姿勢角および姿勢角速度の推定値を計算する。そして、姿勢推定部21は、計算した推定値をプロセッサ11のレジスタまたはメモリ12に出力する。
ステップS2において、姿勢演算部22は、宇宙機40の目標の姿勢を演算する。
具体的には、姿勢演算部22は、予め設定されているか、または、外部から指令された目的地に合わせて、宇宙機40の姿勢角および姿勢角速度の目標値とフィードフォワードトルクの設定値とを計算する。そして、姿勢演算部22は、計算した目標値および設定値をプロセッサ11のレジスタまたはメモリ12に出力する。
ステップS3において、トルク演算部23は、姿勢推定部21により推定された姿勢と目標の姿勢との差異から、宇宙機40の姿勢制御のための3軸方向のトルクの設定値を演算する。
具体的には、トルク演算部23は、ステップS1で出力された姿勢角および姿勢角速度の推定値を、ステップS2で出力された姿勢角および姿勢角速度の目標値からそれぞれ引いて、姿勢角および姿勢角速度の誤差を求める。トルク演算部23は、求めた誤差と、ステップS2で出力されたフィードフォワードトルクの設定値とから、宇宙機40の姿勢制御に必要な姿勢制御トルクの設定値を計算する。そして、トルク演算部23は、計算した設定値をプロセッサ11のレジスタまたはメモリ12に出力する。
ステップS4において、ジャイロ演算部24は、姿勢制御のための3軸方向のトルクの設定値から、ジンバル32の角速度については、コントロールモーメントジャイロ13ごとの指令値を演算する。また、ジャイロ演算部24は、姿勢制御のための3軸方向のトルクの設定値から、ホイール31の角運動量については、共通の変化量を演算した後、演算した共通の変化量をコントロールモーメントジャイロ13ごとの係数で重み付けしてコントロールモーメントジャイロ13ごとの指令値を演算する。本実施の形態では、このとき、ジャイロ演算部24は、ホイール31の角運動量について、共通の基準値と、演算した共通の変化量をコントロールモーメントジャイロ13ごとの係数で重み付けした値との合計を、コントロールモーメントジャイロ13ごとの指令値として演算する。
具体的には、ジャイロ演算部24は、後述する計算方法により、ステップS3で出力された設定値と、CMG#1およびCMG#2から得られるジンバル角の測定値とに基づいて、CMG#1のジンバル角速度の指令値と、CMG#2のジンバル角速度の指令値と、CMG#1のホイールトルクの指令値と、CMG#2のホイールトルクの指令値とを計算する。そして、ジャイロ演算部24は、計算した指令値をプロセッサ11のレジスタまたはメモリ12に出力する。
なお、ジャイロ演算部24は、ホイールトルクの指令値に代えて、ホイールトルクの指令値を積分することによって得られるホイール角運動量の指令値を計算してもよい。本実施の形態では、ホイールトルクの指令値を計算することも、ホイール角運動量の指令値することも、ホイール31の角運動量についてコントロールモーメントジャイロ13ごとの指令値を演算することに相当する。
また、前述したように、ホイール角運動量の測定値は、ホイール角運動量の指令値で代替することができるため、ジャイロ演算部24は、本実施の形態では、ホイール角運動量の指令値を用いてジンバル角速度の指令値を計算するが、ホイール角運動量の測定値を用いてジンバル角速度の指令値を計算してもよい。すなわち、ジャイロ演算部24は、ステップS3で出力された設定値と、CMG#1およびCMG#2から得られるジンバル角の測定値と、CMG#1およびCMG#2から得られるホイール角運動量の測定値とに基づいて、CMG#1のジンバル角速度の指令値と、CMG#2のジンバル角速度の指令値と、CMG#1のホイールトルクの指令値と、CMG#2のホイールトルクの指令値とを計算してもよい。
ステップS5において、ジャイロ演算部24は、ジンバル32の角速度とホイール31の角運動量とについて演算したコントロールモーメントジャイロ13ごとの指令値に応じて、それぞれのコントロールモーメントジャイロ13のホイール31およびジンバル32を回転させる。それぞれのコントロールモーメントジャイロ13は、ホイール31およびジンバル32の回転によって、姿勢制御のための3軸方向のトルクを宇宙機40に出力する。
具体的には、ジャイロ演算部24は、ステップS4で出力したCMG#1のジンバル角速度の指令値と、CMG#1のホイールトルクの指令値とを、CMG#1に送信する。CMG#1は、送信された指令値を受信し、受信した指令値に応じて、CMG#1のホイール31およびジンバル32を回転させる。同様に、ジャイロ演算部24は、ステップS4で出力したCMG#2のジンバル角速度の指令値と、CMG#2のホイールトルクの指令値とを、CMG#2に送信する。CMG#2は、送信された指令値を受信し、受信した指令値に応じて、CMG#2のホイール31およびジンバル32を回転させる。
以下では、ステップS4の具体的な計算方法を説明する。
CMG#1およびCMG#2によって出力される3軸姿勢制御トルクは、CMG#1のジンバル角速度と、CMG#2のジンバル角速度と、CMG#1のホイール角運動量の時間変化率と、CMG#2のホイール角運動量の時間変化率とを用いて式1のように表される。なお、「ホイール角運動量の時間変化率」は、ホイールトルクと同義である。
Figure 0006681805
ここで、Aはコントロールモーメントジャイロ13の配置によって決まる3×4の行列であり、各コントロールモーメントジャイロ13のジンバル角度とホイール角運動量の関数になる。3軸姿勢制御トルクからコントロールモーメントジャイロ13への指令値を計算するためには、Aの逆行列を計算する必要がある。3×4の行列のような正則でない行列の逆行列は存在しないため、式2のような擬似逆行列を用いることで、コントロールモーメントジャイロ13への指令値を計算することができる。
Figure 0006681805
しかし、FPGAや組み込みソフトウェアのような、演算処理能力が制限された計算機では擬似逆行列の計算は高負荷となり、処理時間が長くなる。「FPGA」は、Field−Programmable Gate Arrayの略語である。処理時間が長くなると、コントロールモーメントジャイロ13への指令値を適切なタイミングで出力できなくなり、姿勢制御系の応答性や安定性が劣化する。そこで、本実施の形態では、各コントロールモーメントジャイロ13のホイール角運動量に一定の関係式を設けることで、3軸姿勢制御トルクを2台のコントロールモーメントジャイロ13に対して分配する。具体的には、ホイール角運動量の基準値をh、ホイール角運動量の共通変化量をΔhとし、CMG#1のホイール角運動量をh=h+kΔh、CMG#2のホイール角運動量をh=h+kΔhとする。hは固定値である。このとき、係数パラメータkおよびkに互いに異なる任意の値を与えることでCMG#1とCMG#2のホイール角運動量に関係式を与えることができる。この関係式を与えることで、宇宙機40の3軸姿勢制御トルクを式3で表すことができる。
Figure 0006681805
ここで、Bはコントロールモーメントジャイロ13の配置によって決まる3×3の行列であり、各コントロールモーメントジャイロ13のジンバル角度とホイール角運動量の関数になる。ホイール角運動量の時間微分値はトルクを表現しているため、Δhの時間微分値に基づいてホイールトルクを計算することができる。3×3の行列の逆行列は、3×4の行列の擬似逆行列の計算よりも簡単に解くことができるため、式3をCMG#1のジンバル角速度と、CMG#2のジンバル角速度と、Δhの時間微分値とについて解いた結果は簡易な数式になる。ジャイロ演算部24は、式3をCMG#1のジンバル角速度と、CMG#2のジンバル角速度と、Δhの時間微分値とについて解いた結果の数式を処理することで、所望の姿勢制御トルクから各コントロールモーメントジャイロ13のジンバル角速度の指令値とホイールトルクの指令値とを求める。
前述したように、本実施の形態では、CMG#1のジンバル角が0°のときにCMG#1のホイール回転軸33の方向が宇宙機40の+X軸方向に一致する。CMG#2のジンバル角が0°のときにCMG#2のホイール回転軸33の方向が宇宙機40の−X軸方向に一致する。CMG#1のジンバル回転軸34の方向は、宇宙機40の+Y軸を宇宙機40の+X軸周りにαだけ回転させた方向に一致する。CMG#2のジンバル回転軸34の方向は、宇宙機40の+Y軸を宇宙機40の+X軸周りにαだけ回転させた方向に一致する。このとき、式3におけるAは式4で表される。
Figure 0006681805
式4において、θ=0、θ=0としたとき、Aの擬似逆行列は式5のように表される。
Figure 0006681805
このとき、コントロールモーメントジャイロ13への指令値は式6のように計算される。
Figure 0006681805
一方、同じコントロールモーメントジャイロ13の配置で、式3におけるBは式7のように表される。
Figure 0006681805
式7において、Bの逆行列を計算することで、コントロールモーメントジャイロ13への指令値は式8のように表される。
Figure 0006681805
式8において、θ=0、θ=0、k=−1、k=1とすると、コントロールモーメントジャイロ13への指令値は式9のように計算される。
Figure 0006681805
式9において求められたΔhの時間微分値を用いると、CMG#1のホイール角運動量の時間変化率と、CMG#2のホイール角運動量の時間変化率は式10のように計算される。
Figure 0006681805
式6と、式9および式10とを比較すると、計算結果がまったく同じものになっている。つまり、式8はCMG#1のジンバル角とCMG#2のジンバル角がともに0°に近いときの擬似逆行列によるコントロールモーメントジャイロ13への指令値の計算を簡易にしている。ジャイロ演算部24は式8を計算することで、所望の姿勢制御トルクから各コントロールモーメントジャイロ13のジンバル角速度の指令値とホイールトルクの指令値とを求めることができる。
このような計算方法により、3×4の行列の擬似逆行列を解くことなく、2台のコントロールモーメントジャイロ13による宇宙機40の3軸姿勢制御を簡易な計算で行うことが可能になる。これにより、コントロールモーメントジャイロ13の搭載台数を最小限に抑えながら、軽負荷の処理で人工衛星等の宇宙機40の3軸姿勢を同時に制御することが可能になる。また、3台以上のコントロールモーメントジャイロ13に対して、各コントロールモーメントジャイロ13の角運動量に一定の関係式を設けることで、解くべき行列の次数を減らすことができるため、演算処理の負荷を軽くすることができる。
***実施の形態の効果の説明***
本実施の形態では、姿勢制御のための3軸方向のトルクの設定値から、ジンバル32の角速度については、コントロールモーメントジャイロ13ごとの指令値が演算され、ホイール31の角運動量については、共通の変化量が演算された後、その共通の変化量をコントロールモーメントジャイロ13ごとの係数で重み付けしてコントロールモーメントジャイロ13ごとの指令値が演算される。このため、少ない台数のコントロールモーメントジャイロ13を用いて、3軸同時の姿勢制御を軽負荷処理で行うことができる。
つまり、本実施の形態では、各コントロールモーメントジャイロ13のホイール角運動量を可変とした上で、一定の関係式を設けることで、3軸姿勢制御トルクが少なくとも2台のコントロールモーメントジャイロ13に対して分配される。具体的には、少なくとも2台のコントロールモーメントジャイロ13に対して、それぞれのホイール角運動量が、ホイール角運動量の基準値と、共通変化量に決まった係数を掛けた値とを足した値になるように関係式を設けることで、人工衛星の姿勢制御トルクから、コントロールモーメントジャイロ13に対するジンバル角速度コマンドと、ホイールトルクコマンドもしくはホイール角運動量コマンドが計算される。このため、コントロールモーメントジャイロ13の搭載台数を最小限にした人工衛星等の宇宙機40の3軸同時の姿勢制御が軽負荷処理で可能になる。最小限の搭載台数は、冗長性を考慮しなければ2台である。
***他の構成***
本実施の形態では、「部」の機能がソフトウェアにより実現されるが、変形例として、「部」の機能がハードウェアにより実現されてもよい。この変形例について、主に本実施の形態との差異を説明する。
図6を参照して、本実施の形態の変形例に係る姿勢制御装置10の構成を説明する。
姿勢制御装置10は、処理回路14、コントロールモーメントジャイロ13といったハードウェアを備える。
処理回路14は、「部」の機能を実現する専用の電子回路である。処理回路14は、具体的には、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ロジックIC、GA、FPGA、または、ASICである。「GA」は、Gate Arrayの略語である。「ASIC」は、Application Specific Integrated Circuitの略語である。
姿勢制御装置10は、処理回路14を代替する複数の処理回路を備えていてもよい。これら複数の処理回路により、全体として「部」の機能が実現される。それぞれの処理回路は、処理回路14と同じように、専用の電子回路である。
別の変形例として、「部」の機能がソフトウェアとハードウェアとの組み合わせにより実現されてもよい。すなわち、「部」の機能の一部が専用の電子回路により実現され、残りがソフトウェアにより実現されてもよい。
プロセッサ11、メモリ12、および、処理回路14を、総称して「プロセッシングサーキットリ」という。つまり、姿勢制御装置10の構成が図1および図6のいずれに示した構成であっても、「部」の機能は、プロセッシングサーキットリにより実現される。
「部」を「工程」、「手順」、または、「処理」に読み替えてもよい。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、この実施の形態を部分的に実施しても構わない。具体的には、この実施の形態に係る姿勢制御装置10の機能要素のうち、一部の機能要素のみを採用してもよい。なお、本発明は、この実施の形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。
10 姿勢制御装置、11 プロセッサ、12 メモリ、13 コントロールモーメントジャイロ、14 処理回路、21 姿勢推定部、22 姿勢演算部、23 トルク演算部、24 ジャイロ演算部、31 ホイール、32 ジンバル、33 ホイール回転軸、34 ジンバル回転軸、35 フレーム、36 シャフト、40 宇宙機。

Claims (6)

  1. 回転するホイールと、前記ホイールを保持しながら、前記ホイールの回転軸とは方向の異なる回転軸を中心に回転するジンバルとを個別に有する少なくとも2台のコントロールモーメントジャイロと、
    姿勢制御のための3軸方向のトルクの設定値から、前記ジンバルの角速度については、コントロールモーメントジャイロごとの指令値を演算し、前記ホイールの角運動量については、共通の変化量を演算した後、演算した共通の変化量をコントロールモーメントジャイロごとの係数で重み付けしてコントロールモーメントジャイロごとの指令値を演算するジャイロ演算部と
    を備える姿勢制御装置。
  2. 前記ジャイロ演算部は、前記ホイールの角運動量について、共通の基準値と、演算した共通の変化量をコントロールモーメントジャイロごとの係数で重み付けした値との合計を、コントロールモーメントジャイロごとの指令値として演算する請求項1に記載の姿勢制御装置。
  3. 宇宙機の姿勢を推定する姿勢推定部と、
    前記姿勢推定部により推定された姿勢と目標の姿勢との差異から、前記宇宙機の姿勢制御のための前記3軸方向のトルクの設定値を演算するトルク演算部と
    をさらに備える請求項1または2に記載の姿勢制御装置。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の姿勢制御装置が搭載された宇宙機。
  5. 回転するホイールと、前記ホイールを保持しながら、前記ホイールの回転軸とは方向の異なる回転軸を中心に回転するジンバルとを個別に有する少なくとも2台のコントロールモーメントジャイロを用いる姿勢制御方法において、
    姿勢制御のための3軸方向のトルクの設定値から、前記ジンバルの角速度については、コントロールモーメントジャイロごとの指令値を演算し、前記ホイールの角運動量については、共通の変化量を演算した後、演算した共通の変化量をコントロールモーメントジャイロごとの係数で重み付けしてコントロールモーメントジャイロごとの指令値を演算し、
    前記ジンバルの角速度と前記ホイールの角運動量とについて演算したコントロールモーメントジャイロごとの指令値に応じて、前記ホイールおよび前記ジンバルを回転させる姿勢制御方法。
  6. 回転するホイールと、前記ホイールを保持しながら、前記ホイールの回転軸とは方向の異なる回転軸を中心に回転するジンバルとを個別に有する少なくとも2台のコントロールモーメントジャイロへの指令値を演算するコンピュータに、
    姿勢制御のための3軸方向のトルクの設定値から、前記ジンバルの角速度については、コントロールモーメントジャイロごとの指令値を演算し、前記ホイールの角運動量については、共通の変化量を演算した後、演算した共通の変化量をコントロールモーメントジャイロごとの係数で重み付けしてコントロールモーメントジャイロごとの指令値を演算する処理を実行させる姿勢制御プログラム。
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