JP6679224B2 - W/o/w型乳化組成物 - Google Patents
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Description
W/O/W型乳化組成物は、従来のO/W型乳化組成物やW/O型乳化組成物とは異なる使用感を与えることができる。
また、本発明の好ましい形態では、ギャップ感を有し、かつ、べたつきが生じにくいW/O/W型乳化組成物を提供することを課題とする。
さらに、本発明の好ましい形態では、ギャップ感を有し、かつ、保湿感とハリ感に優れたW/O/W型乳化組成物を提供することを課題とする。
さらに、本発明の好ましい形態では、ギャップ感を有し、かつ、高温安定性に優れたW/O/W型乳化組成物を提供することを課題とする。
W/O粒子を15質量%以上含有することを特徴とする、W/O/W型乳化組成物である。
W/O粒子の平均粒子径を前記範囲とすることにより、肌への塗布前から塗布の初期段階に感じるコク感を向上させることができる。また、肌への塗布の中盤から終盤にかけての伸びの良い使用感を向上させることができる。
つまり、W/O粒子の平均粒子径を前記範囲とすることにより、コク感と伸びの良い使用感の落差の大きい、すなわちギャップ感が大きいユニークな使用感を実現することができる。
(a)1Pa〜80Paの応力の範囲において、貯蔵弾性率G´の低下量が500Pa以下
(b)80Paを超える応力の範囲において、100Paの応力の増加量に対する貯蔵弾性率G´の低下量が2000Pa以上の範囲がある
(c)80Paを超える応力の範囲において、応力の増加量に対する貯蔵弾性率G´の低下量が50Pa以上の範囲がある。
このような形態とすることにより、コク感から、伸びの良い使用感へ急激に変化するという、従来の化粧料にはなかった顕著なギャップ感を有するW/O/W型乳化組成物を提供することができる。
このような形態とすることにより、肌への塗布の中盤から終盤にかけてのべたつきを抑制することができる。
このような形態とすることにより、べたつきを抑制することができる。
このような形態とすることにより、W/O/W型乳化組成物の安定性を向上させることができる。
シリコーン系界面活性剤を含有する形態とすることにより、W/O/W型乳化組成物の安定性を向上させることができる。
このような形態とすることによって、コク感から伸びの良い使用感に転じた後に保湿感とハリ感を発揮するという、心地の良いギャップ感を有するW/O/W型乳化組成物を提供することができる。
このような形態とすることにより、高温下における長期保存を経ても優れたギャップ感を維持するW/O/W型乳化組成物を提供することができる。
さらに、本発明の好ましい形態では、ギャップ感を有し、かつ、べたつきが生じにくいW/O/W型乳化組成物を提供することができる。
さらに、本発明の好ましい形態では、ギャップ感を有し、かつ、保湿感とハリ感のあるW/O/W型乳化組成物を提供することができる。
さらに、本発明の好ましい形態では、ギャップ感を有し、かつ、高温安定性に優れたW/O/W型乳化組成物を提供することができる。
ここで、貯蔵弾性率G´とは、レオメーターによって、オシレーション測定、ギャップ1mm、1Hz、20℃の条件下で応力を増加させながら測定したときの値である。
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
以下、本明細書においては、図1に示すように、内水相をW1、外水相をW2、水相を内包する油相をO1、水相を内包しない油相をO2と呼ぶ。
また、本明細書においては、水相を内包しない油滴を、さらに外水相に分散させた形態のW/O/W型乳化組成物を、特に(W/O1+O2)/W型乳化組成物という。
また、コク感とはリッチで濃密な触感のことを言い、伸びの良い使用感とは軽やかに肌に広がる心地の良い使用感のことを言う。
ギャップ感は、官能評価によって評価することができる。具体的には、コク感と、伸びの良い使用感について官能評価を行うことによって評価することができる。
また、ギャップ感は市販のレオメーターを用いて評価することもできる。具体的には、応力を変化させたときの貯蔵弾性率G´を測定することによって評価することができる。
図2に示すように、本発明のW/O/W型乳化組成物の貯蔵弾性率G´は、応力1Paのときには、2000Pa以上である。また、本発明のW/O/W型乳化組成物の貯蔵弾性率G´は、応力1Paのときには、好ましくは3000Pa以上、さらに好ましくは4000〜10000Paである。すなわち、本発明のW/O/W型乳化組成物は、皮膚への塗布前においては、一定以上の硬さを有する乳化組成物である。
応力1Paにおける貯蔵弾性率G´を前記範囲に調整するためには、外水相の粘度を調整すればよい。外水相の粘度が高いほど、応力1Paにおける貯蔵弾性率G´は高くなる。
外水相の粘度の調整方法としては、具体的には、外水相における増粘剤の濃度の調整、また、外水相に分散させるW/O粒子又は水相を内包しない油相の量の調整、さらに、外水相における高級アルコールと親水性界面活性剤によるαゲルの形成などが挙げられる。
外水相におけるαゲルの形成に関しては後に詳述する。
本発明者らは、上記条件で計測した応力と貯蔵弾性率G´の関係が、W/O/W型乳化組成物を肌へ塗布する際の塗布初期段階〜塗布終盤にかけての感触の変化を如実に表していることを見出した。
具体的には1〜100Pa程度までの応力が加わる段階は、肌への塗布の初期段階においてW/O/W型乳化組成物に加わる応力であると擬制することができることを見出した(図2)。また、80Paより大きい応力、例えば90Paより大きい応力又は100Paより大きい応力が加わる段階は、肌への塗布の中盤以降のW/O/W型乳化組成物に加わる応力であると擬制することができることを見出した(図2)。
本発明のW/O/W型乳化組成物に、上記条件で応力を加えると、加える応力が比較的小さい範囲、例えば1〜100Pa程度の範囲においては、貯蔵弾性率G´は応力の変化の影響をほとんど受けない。しかし、ある一定の応力を越えた時点、例えば80Paを超える範囲で、貯蔵弾性率G´は応力の増加に応じて顕著に低下する(図2)。この貯蔵弾性率G´の顕著な低下が、本発明のユニークな使用感を特徴づけるギャップ感に影響する。
応力1〜80Paにおける貯蔵弾性率G´を前記範囲とすることにより、肌への塗布の初期段階において、優れたコク感を発揮するW/O/W型乳化組成物を提供することができる。
このように、より大きい応力を加えた時であっても、大きな貯蔵弾性率G´を示す形態とすることにより、肌への塗布の初期段階における一定の間、十分なコク感を奏するW/O/W型乳化組成物を提供することができる。
前記応力における貯蔵弾性率G´を前記範囲に調整するためには、外水相の粘度を調整すればよい。外水相の粘度が高いほど、前記貯蔵弾性率G´は高くなる。
外水相の粘度の調整方法としては、具体的には、外水相における増粘剤の濃度の調整、また、外水相に分散させるW/O粒子又は水相を内包しない油相の量の調整、さらに、外水相における高級アルコールと親水性界面活性剤によるαゲルの形成などが挙げられる。
外水相におけるαゲルの形成に関しては後に詳述する。
また、好ましくは1〜90Pa、さらに好ましくは1〜100Paの応力の範囲においても、前記貯蔵弾性率G´の低下量が前記範囲であることが好ましい。
前記応力の範囲における貯蔵弾性率G´の低下量を前記範囲とすることにより、肌への塗布の初期段階の操作中には、優れたコク感を持続させることができ、それにより、後述する使用感の変化を顕著に感じさせることが可能となる。
具体的には、W/O粒子の含有量、好ましくはこれに加えてW/O粒子の粒子径を、後述する範囲に調整することにより、実現できる。
また、本発明のW/O/W型乳化組成物は、100Paの応力の増加量に対する貯蔵弾性率G´の低下量が好ましくは3000Pa以上、さらに好ましくは4000Pa以上であることが好ましい。
このような形態とすることにより、肌への塗布の初期段階と中盤以降に感じる触感の差が大きい、よりユニークな使用感を有するW/O/W型乳化組成物を提供することができる。
上述した応力の範囲における貯蔵弾性率G´の低下量を前記範囲に調整するためには、W/O粒子の含有量、及びW/O粒子の粒子径を調整すればよい。W/O粒子の含有量が高いほど前記応力の範囲における貯蔵弾性率G´の低下量が小さくなる。また、W/O粒子の粒子径が大きいほど応力1〜80Paにおける貯蔵弾性率G´の低下量が小さくなる。
具体的には、W/O粒子の含有量、好ましくはこれに加えてW/O粒子の粒子径を、後述する範囲に調整することにより、実現できる。
また、前記貯蔵弾性率G´の低下量が55Pa以上((ΔY/ΔX)の値が−55以下)の範囲があることが好ましい。
このように、応力の増加に応じた貯蔵弾性率G´の低下が急激に起こるような形態の本発明のW/O/W型乳化組成物は、コク感から、伸びの良い使用感への急激な使用感の変化を示し、非常にユニークな使用感を有する。
W/O粒子の含有量が大きいほど、前記(ΔY/ΔX)の値は小さくなる。したがって、W/O粒子の含有量を調整することにより、前記範囲の(ΔY/ΔX)の値を示すW/O/W型乳化組成物を提供することができる。
W/O粒子の含有量を前記範囲とすることによって、肌への塗布の中盤から終盤にかけて、伸びの良い使用感を向上させることができる。
なお、後述するW/O/W型乳化組成物の調製工程において外水相に添加するW/O型乳化組成物(一次乳化物)の量を、W/O/W型乳化組成物におけるW/O粒子の含有量とみなすことができる。すなわち、外水相に分散させる一次乳化物の量を調整することにより、所望のW/O粒子の含有量とすることができる。
W/O粒子の平均粒子径を前記範囲とすることにより、肌への塗布前から塗布の初期段階に感じるコク感を向上させることができる。また、肌への塗布の中盤から終盤にかけての伸びの良い使用感を向上させることができる。すなわち、このような実施の形態のW/O/W型乳化組成物は、コク感と伸びの良い使用感の落差の大きいユニークな使用感を有する。
また、後述するように、膜乳化法によって外水相に一次乳化物を分散させる場合には、膜乳化に使用する多孔質膜の孔径によってW/O粒子の粒子径を調整することができる。
水相と油相の質量比を前記範囲とすることにより、肌への塗布の中盤から終盤にかけての伸びの良い使用感を向上させることができる。
W/O/W型乳化組成物におけるW1とW2の質量比を前記範囲とすることにより、肌への塗布の中盤から終盤にかけての伸びの良い使用感を向上させることができる。
W/O/W型乳化組成物における水相と油相の質量比を前記範囲とすることにより、肌への塗布前から塗布の初期段階に感じるコク感を向上させることができる。また、肌への塗布の中盤から終盤にかけての伸びの良い使用感を向上させることができる。
O1とO2の質量比を前記範囲とすることにより、肌への塗布前から塗布の初期段階に感じるコク感を向上させることができる。
なお、後述するW/O/W型乳化組成物の調製工程において外水相に添加する一次乳化物とは別に添加する油相の量を、W/O/W型乳化組成物におけるO2粒子の含有量とみなすことができる。すなわち、外水相に分散させる一次乳化物の量を調整することにより、所望のO2粒子の含有量とすることができる。
また、O2粒子の含有量を1質量部としたときの前記W/O1粒子の含有量は、好ましくは0.2質量部以上、より好ましくは0.4質量部以上、さらに好ましくは0.6質量部以上である。
W/O1粒子とO2粒子の総和及び比率を前記範囲とすることによって、よりギャップ感を向上させることができる。
また、W/O1粒子とO2粒子の平均粒子径の比は、100:1〜2:1であり、好ましくは20:1〜3:1であり、より好ましくは10:1〜4:1である。
W/O1粒子とO2粒子の平均粒子径の比を前記範囲とすることによって、優れたギャップ感を実現することができる。
本発明における乳化剤としては、イオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤の何れをも制限なく用いることができる。
本発明のより好ましい実施の形態では、乳化剤としてシリコーン系界面活性剤を用いる。
界面活性剤の含有量を前記範囲とすることにより、W/O/W型乳化組成物の安定性を向上させることが可能になる。
W/O型乳化組成物の調製の際に添加する界面活性剤の添加量を前記範囲とすることにより、W/O型乳化組成物、ひいてはW/O/W型乳化組成物の安定性を向上させることが可能になる。
W/O/W型乳化組成物の調製の際に添加する界面活性剤の添加量を前記範囲とすることにより、W/O/W型乳化組成物の安定性を向上させることが可能になる。
有機変性粘土鉱物を含有することにより、W/O/W型乳化組成物の安定性をさらに向上させることが可能になる。
W/O粒子が有機変性粘度鉱物を含有することで、W/O/W型乳化組成物の安定性をさらに向上させることができる。
有機化合物としては、4級アミノ基を有する化合物があげられる。具体的には、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ジメチルジステアリルアンモニウムクロリド等があげられる。
本発明の実施の形態では、有機変性粘土鉱物として、ジメチルジステアリルアンモニウムクロリド変性ヘクトライト(ジステアリルジモニウムヘクトライト)を用いることが好ましい。
ジメチルジステアリルアンモニウムクロリド変性ヘクトライトを含有することにより、W/O/W型乳化組成物の安定性がより向上する。
また、W/O/W型乳化組成物のギャップ感を向上させることが可能になる。
W/O粒子がシリコーン系界面活性剤を含有する形態とすることにより、W/O/W型乳化組成物の安定性を向上させることが可能になる。
W/O粒子が有機変性粘土鉱物及びシリコーン系界面活性剤を含有する形態とすることにより、W/O/W型乳化組成物の安定性を向上させることができる。
水溶性高分子の含有量を前記範囲とすることにより、W/O/W型乳化組成物のべたつきを抑制することができる。
また、本発明のさらに好ましい実施の形態では、変性されていてもよいカルボキシビニルポリマーを含まない。
変性されていてもよいカルボキシビニルポリマーの含有量を前記範囲とすることにより、W/O/W型乳化組成物のべたつきを抑制することができる。
内水相に電解質を含有しない形態とすることにより、W/O/W型乳化組成物のべたつきを抑制することができる。
油溶性の保湿剤を含むことにより、コク感から伸びの良い使用感に転じた後に保湿感とハリ感を発揮するという、心地の良いギャップ感をW/O/W型乳化組成物に付与することができる。
油溶性の保湿剤としてダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)を含有することにより、保湿感とハリ感をさらに向上させることができ、それにより、さらに心地の良いギャップ感をW/O/W型乳化組成物に付与することができる。
本発明を(W/O1+O2)/W型乳化組成物とする場合には、油溶性の保湿剤は、O1とO2の何れに含有させてもいい。
本発明の好ましい実施の形態では、油溶性の保湿剤をO2に含有させる。特に、ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)をO2に含有させる形態とすると、保湿感とハリ感に優れたW/O/W型乳化組成物を提供することができる。
油溶性の保湿剤の含有量を前記範囲とすることにより、W/O/W型乳化組成物の使用時における保湿感とハリ感を向上させることができる。
このような実施の形態とすることにより、外水相に形成されたαゲルの作用によりW/O粒子の合一や排液が抑制され、高温安定性に優れたW/O/W型乳化組成物を提供することができる。すなわち、このような実施の形態の本発明のW/O/W型乳化組成物は、高温下での保存を経てもなおギャップ感のある使用感を維持する。
イオン性界面活性剤を用いることによって、よりW/O/W型乳化組成物の高温安定性を向上させることができる。
本発明の好ましい実施の形態では、イオン性界面活性剤として脂肪酸塩を含有する。
このような親水性度の高い界面活性剤を用いることによって、よりW/O/W型乳化組成物の高温安定性を向上させることができる。
なお、本明細書におけるHLBとはグリフィン法にて計算されたHLBのことを言う。
前記親水性界面活性剤の含有量を前記範囲とすることにより、より長期にわたる高温下での保存を経た後であっても、優れたギャップ感を発揮するW/O/W型乳化組成物を提供することができる。
前記範囲の炭素数の高級アルコールを用いることによって、より長期にわたる高温下での保存を経た後であっても、優れたギャップ感を発揮するW/O/W型乳化組成物を提供することができる。
高級アルコールの含有量を前記範囲とすることによって、より長期にわたる高温下での保存を経た後であっても、優れたギャップ感を発揮するW/O/W型乳化組成物を提供することができる。
高級アルコールと親水性界面活性剤のモル比を前記範囲とすることによって、より長期にわたる高温下での保存を経た後であっても、優れたギャップ感を発揮するW/O/W型乳化組成物を提供することができる。
W/O粒子と親水性界面活性剤及び高級アルコールの質量比を前記範囲とすることによって、より長期にわたる高温下での保存を経た後であっても、優れたギャップ感を発揮するW/O/W型乳化組成物を提供することができる。
まず、油相成分と内水相成分をそれぞれ加熱混合して均一な混合物を調製しておく。次に、撹拌混合装置を用いて前記油相成分の混合物を撹拌した状態で、前記内水相成分の混合物を該油相成分の混合物に徐々に添加して乳化させて(一次乳化工程)、一次乳化物を調製する。
一般に、前記二次乳化工程において使用する撹拌混合装置の回転数が大きいほど、また、撹拌時間が長いほど、せん断・衝突・キャビテーションによる負荷が大きくなるので、形成されるW/O粒子は微小化する。したがって、本発明のW/O/W型乳化組成物のW/O粒子の平均粒子径は、撹拌混合装置の種類、その回転数、撹拌時間といった撹拌条件を複合的に調製することによって、目的の粒径範囲に制御することができる。
つまり、分散相となる液体を、多孔質膜を通して、連続相となる液体内に窒素ガス等により圧入する方法により調製することも可能である。
以下の方法により、実施例1〜3並びに比較例1及び2のW/O/W型乳化組成物を製造した。
まず、表1に示すO1成分、W1成分をそれぞれ加熱溶解した後、O1成分にW1成分を撹拌しながら徐々に加えて乳化し、冷却してW/O型の一次乳化物を作製した。
なお、O2/W型乳化物及びW/O1/W型乳化組成物の作製の際の撹拌における応力を調整することによって、W/O1粒子とO2粒子の平均粒子径を調整した。
このO2/W型乳化物と、W/O1/W型乳化組成物を混合することによって、実施例1〜3並びに比較例1及び2のW/O/W型乳化組成物((W/O1+2)/W型乳化組成物)を調製した。
このようにして調製したW/O/W型乳化組成物を顕微鏡で観察し、W/O1粒子及びO2粒子の平均粒子径を測定した。それぞれの粒子の平均粒子径及び比を表2に示す。
製造例1で製造した実施例1〜3並びに比較例1及び2のW/O/W型乳化組成物について、以下の方法でコク感と伸びの良さとついて評価した。
20人のパネラーに、容器に入った実施例1〜3並びに比較例1及び2のW/O/W型乳化組成物を自分の肌に塗布させた。そして、以下の評価基準に従って、容器からW/O/W型乳化組成物をすくい上げた時から塗布の初期段階までに感じるコク感と、塗布の中盤から終盤にかけての伸びの良さについて1〜5点の評点を付けさせ、その平均値をとった。
そして、コク感と伸びの良い使用感の評価結果に基づき、ギャップ感の評価を行った。
結果は表2に示す。
・コク感
5点・・・非常にコク感が強い
4点・・・コク感が強い
3点・・・コク感がある
2点・・・コク感が弱い
1点・・・コク感が無い
・伸びの良さ
5点・・・伸びがかなり良い
4点・・・伸びが良い
3点・・・伸びがある
2点・・・伸びがやや悪い
1点・・・伸びがかなり悪い
この結果から、W/O粒子の含有量が15質量%以上であるW/O/W型乳化組成物は、両立が困難なコク感と伸びの良い使用感というユニークな特性を有することがわかった。
実施例1〜3並びに比較例1及び2のW/O/W型乳化組成物について、レオメーター(ティー・エイ・インスツルメント AR−G2)を用い、温度20℃、オシレーション測定、ギャップ1mm、1Hzの条件で応力を1Paから増加させながら貯蔵弾性率(G´)を測定した。結果を表3と図3に示す。
なお、使用したレオメーターにおいては、ジオメトリーがステンレススチール製の40mmパラレルプレートであり、台がハードクロームメッキの銅製ペルチェプレートである。
一方、比較例1及び2のW/O/W型乳化組成物は、1Pa〜80Paの応力の範囲において、それぞれ約2300Pa、約700Pa低下する。
この結果と表2の結果を合わせると、レオメーターによる計測の結果、上記(a)と(b)を満たすW/O/W型乳化組成物は、コク感が強く、伸びの良い使用感にも優れ、ギャップ感が強いことがわかる。
この結果と表2の結果を合わせると、貯蔵弾性率G´がほとんど低下しない応力の範囲が大きいほど、W/O/W型乳化組成物の肌への塗布の初期段階に感じるコク感が強く、ギャップ感が強まる傾向があることがわかる。
この結果と表2の結果を合わせると、前記範囲を超えてからの貯蔵弾性率G´の低下幅が大きいほど、コク感が強くなる傾向があることがわかる。
この結果と表2の結果を合わせると、(c)80Paを超える応力の範囲において、応力の増加量に対する貯蔵弾性率G´の低下量が50Pa以上の範囲があるW/O/W型乳化組成物は、コク感が強く、ギャップ感が強いことがわかる。
表4に示す配合率のW/O/W型乳化組成物を製造例1と同様の方法により製造した(実施例4〜9)。
また比較例として、表2に示す配合率のO/W型乳化組成物を製造した(比較例3)。比較例3のO/W型乳化組成物は、油相成分と水相成分をそれぞれ調製し、撹拌しながら徐々に水相成分に油相成分を加えることにより製造した。
実施例4〜9のW/O/W型乳化組成物及び比較例3のO/W型乳化組成物の保湿感とハリ感を以下の方法により評価した。
20人のパネラーに、実施例4〜9のW/O/W型乳化組成物及び比較例3のO/W型乳化組成物を自分の肌に塗布させた。そして、以下の評価基準に従って、保湿感とハリ感を評価させた。
結果を表4に示す。
・保湿感
◎・・・強い保湿感を感じる
○・・・保湿感を感じる
△・・・あまり保湿感を感じない
×・・・保湿感を感じない
・ハリ感
◎・・・強いハリ感を感じる
○・・・ハリ感を感じる
△・・・あまりハリ感を感じない
×・・・ハリ感を感じない
この結果は、油溶性の保湿剤を含有するW/O/W型乳化組成物は、使用時の保湿感とハリ感に優れることを示している。
一方、ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)の含有量が、2質量%又は5質量%の実施例4及び7のW/O/W型乳化組成物は、べたつきを生じないことがわかった。
この結果は、油溶性の保湿剤の含有量が2〜5質量%のW/O/W型乳化組成物は、保湿感を発揮しながらもべたつきを生じず、伸びの良い使用感に優れることを示している。
この結果は、油溶性の保湿剤を含有することによって、保湿感とハリ感が、本発明のW/O/W型乳化組成物の有するギャップ感と相まって非常に心地よい使用感となることを示している。
表5に示す配合率のW/O/W型乳化組成物を製造例1と同様の方法により製造した(実施例10〜17)。
以下の方法により実施例10〜17のW/O/W型乳化組成物の高温安定性、保湿性及びべたつきのなさを評価した。結果は表5に示す。
・高温安定性
実施例10〜17のW/O/W型乳化組成物を40℃下で保存し、保存試験開始前に観察されたW/O/W型を維持している期間を調べた。
・保湿感及びべたつきのなさ
20人のパネラーに、実施例10〜17のW/O/W型乳化組成物を自分の肌に塗布させた。そして、以下の評価基準に従って保湿感とべたつきのなさについて評点を付けさせ、その平均値をとった。
保湿感
5点・・・非常に良好な保湿感を感じる
4点・・・良好な保湿感を感じる
3点・・・保湿感を感じる
2点・・・ほとんど保湿感を感じない
1点・・・保湿感を感じない
べたつきのなさ
5点・・・全くべたつかない
4点・・・ほとんどべたつかない
3点・・・少しべたつく
2点・・・べたつく
1点・・・非常にべたつく
そして、表5に示す通り、実施例10〜17のW/O/W型乳化組成物はいずれも40℃下において1か月以上の間W/O/W型の乳化形態を維持している。
この結果は、親水性界面活性剤と高級アルコールとが形成するαゲルを外水相に含むW/O/W型乳化組成物は、高温下における長期保存を経ても優れたギャップ感を維持することを示している。
この結果は、親水性界面活性剤としてステアリン酸カリウムを含有することにより、W/O/W型乳化組成物の高温安定性が向上することを示している。
すなわち、この結果は、αゲルの形成のための親水性界面活性剤としてイオン性界面活性剤を含有することで、より長期にわたる高温下での保存を経た後であっても、優れたギャップ感を発揮するW/O/W型乳化組成物を提供することができることを示している。
またラウリルアルコール(炭素数12)を用いた実施例16のW/O/W型乳化組成物に比して、セタノール(炭素数16)、ベヘニルアルコール(炭素数22)を用いた実施例10〜12のW/O/W型乳化組成物は、より高温安定性に優れている。この結果は、炭素数が16以上の高級アルコールを用いることがより好ましいことを示している。
また、高級アルコールの総含有量が3.5質量%の実施例11のW/O/W型乳化組成物に比して、高級アルコールの総含有量が2.6質量%の実施例10は、べたつきのなさに優れている。
これらの結果は、高級アルコールの含有量を2〜3質量%とすることによって、高温安定性に優れ、また、べたつきを生じず保湿性に優れた心地の良いギャップ感を感じさせるW/O/W型乳化組成物を提供することができることを示している。
この結果は、高級アルコールと前記親水性界面活性剤のモル比が2:1〜5:1の形態のW/O/W型乳化組成物が特に高温安定性に優れていることを示している。
製造例1と同様の方法によって、表6に示す配合率と乳化粒子径のW/O/W型乳化組成物を製造した(実施例18〜21)。
試験例1と同様の方法によって、コク感、伸びの良さ及びギャップ感を評価した。結果を表6に示す(参考に実施例1の評価結果も示す)。
この結果は、W/O1粒子とO2粒子の平均粒子径の比が100:1〜2:1であるW/O/W型乳化組成物はギャップ感に特に優れることを示している。
Claims (10)
- レオメーターによって、オシレーション測定、ギャップ1mm、1Hz、20℃の条件下で応力を増加させながら貯蔵弾性率G´を測定した時の、1Paの応力における貯蔵弾性率G´が2000Pa以上であって、貯蔵弾性率G´の変化量が以下の条件(a)及び(b)を満たし、
W/O粒子を15質量%以上含有し、さらにO粒子を含み、前記O粒子の含有量を1質量部とした時の前記W/O粒子の含有量が、0.6質量部以上であることを特徴とする、W/O/W型乳化組成物。
(a)1Pa〜80Paの応力の範囲において、貯蔵弾性率G´の低下量が500Pa以下、
(b)80Paを超える応力の範囲において、100Paの応力の増加量に対する貯蔵弾性率G´の低下量が2000Pa以上の範囲がある。 - 前記W/O粒子の平均粒子径が10μm以上であることを特徴とする、請求項1に記載のW/O/W型乳化組成物。
- 前記貯蔵弾性率G´の変化量が以下の条件(c)をさらに満たすことを特徴とする、請求項1に記載のW/O/W型乳化組成物。
(c)80Paを超える応力の範囲において、応力の増加量に対する貯蔵弾性率G´の低下量が50Pa以上の範囲がある。 - 変性されていてもよいカルボキシビニルポリマーの含有量が0.3質量%以下である、請求項1〜3の何れか一項に記載のW/O/W型乳化組成物。
- 前記W/O粒子が電解質を含有しないことを特徴とする、請求項1〜4の何れか一項に記載のW/O/W型乳化組成物。
- 前記W/O粒子が有機変性粘土鉱物を含有する、請求項1〜5の何れか一項に記載のW/O/W型乳化組成物。
- 前記W/O粒子がシリコーン系界面活性剤を含有する、請求項1〜6の何れか一項に記載のW/O/W型乳化組成物。
- 油溶性の保湿剤を含有する、請求項1〜7の何れか一項に記載のW/O/W型乳化組成物。
- 親水性界面活性剤と高級アルコールとが形成するαゲルを外水相に含むことを特徴とする、請求項1〜8の何れか一項に記載のW/O/W型乳化組成物。
- 請求項1〜9の何れか一項に記載のW/O/W型乳化組成物を含有する化粧料。
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