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JP6661353B2 - 栽培方法 - Google Patents

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JP6661353B2
JP6661353B2 JP2015236872A JP2015236872A JP6661353B2 JP 6661353 B2 JP6661353 B2 JP 6661353B2 JP 2015236872 A JP2015236872 A JP 2015236872A JP 2015236872 A JP2015236872 A JP 2015236872A JP 6661353 B2 JP6661353 B2 JP 6661353B2
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Description

本発明は、栽培方法及び化学肥料に関する。
一般に、果菜類等の植物の栽培においては、カリウム、窒素成分、リン成分等を一定の割合で配合した培養液等の化学肥料が育苗期から収穫期に亘って用いられる。中でも、カリウムは、植物体内において植物体液に溶解した無機塩として機能し、根の発育や細胞内の浸透圧調節等に利用される。一方、培養液におけるカリウムの含有率が高くなると培養液の電気伝導度(EC)が高くなり、塩ストレスと同様の効果をもたらす。そのため、培養液におけるカリウムの含有率が高くなると植物の根が弱くなり、ひいては収量の減少につながる。
この点に関し、今日では、植物に供給する培養液のEC等を監視制御することで、植物に供給する養分のバランスの最適化を図る方法も提案されている。このような肥料の供給方法としては、例えば「養液栽培による植物の育成方法」(特開2013−201983号公報)が発案されている。
この公報に記載の植物の育成方法は、葉菜類や果菜類の育成方法として用いられるもので、培養液のEC及びpHに応じて追肥を行うものである。この植物の育成方法は、培養液のpHが基準値を超え、かつ培養液のECが基準値未満の場合には原肥の2倍以上のアンモニア性窒素を含む追肥を行い、培養液のpHが基準値以下で、かつ培養液のECが基準値未満の場合には原肥の0〜1倍のアンモニア性窒素を含む追肥を行うものである。
上記植物の育成方法は、培養液のEC及びpHを植物が養分を吸収しやすい範囲に保つことで、植物の養分の吸収率を高めることができるとされている。
特開2013−201983号公報
一方、果菜類を栽培するに当たり、カリウムの供給量が増加すると、果実の酸味が向上することが知られている。しかしながら、従来の栽培方法によると、上述のように培養液におけるカリウムの含有率が高くなると培養液のECが高くなり果実の収量が減少するため、果実の収量と果実の酸味とはトレードオフの関係にある。そのため、上記公報に記載の植物の育成方法は、培養液のECとpHとに応じてアンモニア性窒素の供給量を増減することで果実の収量を増加することができるとしても、果実の酸味を向上することは困難である。
これに対し、本発明者らが鋭意検討したところ、活着までに供給する肥料におけるカリウムの含有率を高くすると果実の収量の減少につながるが、活着後にカリウムの含有率を高めても果実の収量には余り影響がないことが分かった。また、活着後にカリウムの含有率を高めると、果実の酸味を効果的に向上できることが分かった。
本発明は、このような事情に基づいてなされたものであり、果実の収量の低減を抑えつつ、果実の酸味を向上することができる栽培方法及び化学肥料の提供を目的とする。
上記課題を解決するためになされた本発明の一態様に係る栽培方法は、肥料を供給する肥料供給工程を備える果菜類の栽培方法であって、上記肥料供給工程で供給する肥料における平均カリウム含有率を活着後に高くする。
上記課題を解決するためになされた本発明の他の一態様に係る化学肥料は、当該栽培方法における活着後に用いられ、カリウムの含有率が20me/L以上45me/L以下である。
本発明の栽培方法及び化学肥料は、果実の収量の低減を抑えつつ、果実の酸味を向上することができる。
Aの培地に定植した苗に対する施肥成分量を示すグラフである。 Bの培地に定植した苗に対する施肥成分量を示すグラフである。 Cの培地に定植した苗に対する施肥成分量を示すグラフである。 Dの培地に定植した苗に対する施肥成分量を示すグラフである。 果実a〜dの収量を示すグラフである。 果実a〜dの全有機酸含量を示すグラフである。 果実a〜dの全糖含量を示すグラフである。 果実a〜dの全アミノ酸含量を示すグラフである。
[本発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。
本発明の一態様に係る栽培方法は、肥料を供給する肥料供給工程を備える果菜類の栽培方法であって、上記肥料供給工程で供給する肥料における平均カリウム含有率を活着後に高くする。
本発明者らの知見によると、活着後であれば果菜類の根が伸長し苗が安定しているので、肥料における平均カリウム含有率を高くしても、果実の収量に対する影響は比較的小さい。また、本発明者らの知見によると、活着後に供給する肥料の平均カリウム含有率を高めることで、果実の酸味を十分に向上することができる。そのため、当該栽培方法は、肥料における平均カリウム含有率を活着後に高くすることによって、果実の収量の低減を抑えつつ、果実の酸味を向上することができる。
上記肥料供給工程で供給する肥料における活着までの平均カリウム含有率に対する活着後の平均カリウム含有率の比としては、1.5以上3以下が好ましい。このように、上記肥料供給工程で供給する肥料における活着までの平均カリウム含有率に対する活着後の平均カリウム含有率を上記範囲内とすることによって、果実の収量の低減を抑えつつ、果実の酸味をより向上することができる。
上記肥料供給工程で活着までに供給する肥料の平均カリウム含有率としては、10me/L以上18me/L以下が好ましく、活着後に供給する肥料の平均カリウム含有率としては、20me/L以上45me/L以下が好ましい。このように、上記肥料供給工程で活着までに供給する肥料の平均カリウム含有率及び活着後に供給する肥料の平均カリウム含有率を上記範囲内とすることによって、果実の収量の低減を抑えつつ、果実の酸味をより向上することができる。
上記肥料供給工程で供給する肥料における果実肥大初期以降の平均窒素成分含有率を果実肥大初期までの平均窒素成分含有率よりも低くするとよい。本発明者らの知見によると、上記肥料供給工程で供給する肥料における果実肥大初期以降の平均窒素成分含有率を果実肥大初期までの平均窒素成分含有率よりも低くすることによって、果実の収量の減少を抑えつつ、果実の甘みを向上することができる。そのため、かかる構成によると、果実の収量の低減を抑えつつ、果実の酸味に加えて果実の甘みを向上することができる。
上記肥料供給工程で供給する肥料における果実肥大初期までの平均窒素成分含有率に対する果実肥大初期以降の平均窒素成分含有率の比としては、0.3以上1未満が好ましい。このように、上記肥料供給工程で供給する肥料における果実肥大初期までの平均窒素成分含有率に対する果実肥大初期以降の平均窒素成分含有率の比を上記範囲内とすることによって、果実の収量の低減を抑えつつ、果実の甘みを十分に向上することができる。
上記肥料供給工程で果実肥大初期までに供給する肥料の平均窒素成分含有率としては、15me/L以上25me/L以下が好ましく、果実肥大初期以降に供給する肥料の平均窒素成分含有率としては、5me/L以上15me/L未満が好ましい。このように、上記肥料供給工程で果実肥大初期までに供給する肥料の平均窒素成分含有率及び果実肥大初期以降に供給する肥料の平均窒素成分含有率を上記範囲内とすることによって、果実の収量の低減を抑えつつ、果実の甘みを十分に向上することができる。
当該栽培方法は、養液栽培に用いられるとよい。かかる養液栽培によると、果菜類が吸収する養分を制御し易いため、果実の酸味を的確に高めることができる。つまり、土壌栽培によると、果菜類は予め土壌に含まれるカリウムを吸収すべくカリウムの存在領域に根を伸ばし易く、その結果供給量以上のカリウムが果菜類に吸収され易い。これに対し、上記養液栽培によると、肥料のカリウム含有率を調整することで、果菜類が吸収するカリウムを的確に制御することができ、これにより果実の収量の低減を抑えつつ、果実の酸味を向上し易い。
当該栽培方法に用いられる上記果菜類がトマトであるとよい。このように、上記果菜類がトマトであることによって、果実の酸味を的確に高めて高品質なトマトを供給することができる。
本発明の他の一態様に係る化学肥料は、当該栽培方法における活着後に用いられ、カリウムの含有率が20me/L以上45me/L以下である。
当該化学肥料は、カリウムの含有量が上記範囲内であるので、活着後に用いられることで、果実の収量の低減を抑えつつ、果実の酸味を向上することができる。
なお、本明細書において、「活着までの平均カリウム含有率」とは、定植から活着までの平均カリウム含有率をいう。「果実肥大初期」とは、各株における第1花房に着果した果実の肥大初期をいう。「窒素成分」とは、窒素単体に加え、アンモニア性窒素のようにアンモニウム塩として含まれる窒素や、亜硝酸性窒素、硝酸性窒素のように酸化窒素として含まれる窒素を含む。「窒素成分含有率」とは、窒素原子の含有率をいう。なお、本明細書に記載のその他の成分についても同様である。また、「果実肥大初期までの平均窒素成分含有率」とは、定植から果実肥大初期までの平均窒素成分含有率をいう。「養液栽培」とは、土壌の代わりに必要な養分を含む培養液を用いる栽培方法をいい、例えば固形培地を用いる固形培地耕や、固形培地を用いない水耕栽培、噴霧耕栽培等が挙げられる。なお、本発明における「養液栽培」とは、定植期以降の栽培で土壌の代わりに培養液を用いるものであればよく、定植期までの栽培では土壌を用いてもよい。「化学肥料」とは、化学的に合成された無機肥料をいう。
[本発明の実施形態の詳細]
<果菜類の栽培方法>
以下、本発明の一実施形態に係る栽培方法について説明する。
当該栽培方法は、果菜類の栽培方法であって、果菜類に肥料を供給する工程を備える。果菜類は、一般に播種から育苗期、定植期、開花期、着果期及び果実肥大期を経て収穫される。当該栽培方法は、これらの各段階において適宜肥料を供給する。つまり、当該栽培方法は、これらの各段階において肥料供給工程を有する。当該栽培方法は、定植期以降の肥料の供給に特徴を有し、具体的には肥料の平均カリウム含有量を活着後に高くすることを特徴とする。なお、本明細書においては、定植から活着までを「定植期前半」、活着から開花までを「定植期後半」ともいう。
本発明者らの知見によると、活着後であれば果菜類の根が伸長し苗が安定しているので、肥料における平均カリウム含有率を高くしても、果実の収量に対する影響は比較的小さい。また、本発明者らの知見によると、活着後に供給する肥料の平均カリウム含有率を高めることで、果実の酸味を十分に向上することができる。そのため、当該栽培方法は、肥料における平均カリウム含有率を活着後に高くすることによって、果実の収量の低減を抑えつつ、果実の酸味を向上することができる。
当該果菜類の栽培方法は、養液栽培に用いられることが好ましい。養液栽培によると、果菜類が吸収する養分を制御し易いため、果実の酸味を的確に高めることができる。つまり、土壌栽培によると、果菜類は予め土壌に含まれるカリウムを吸収すべくカリウムの存在領域に根を伸ばし易く、その結果供給量以上のカリウムが果菜類に吸収され易い。これに対し、上記養液栽培によると、肥料のカリウム含有率を調整することで、果菜類が吸収するカリウムを的確に制御することができ、これにより果実の収量の低減を抑えつつ、果実の酸味を向上し易い。
当該栽培方法によって栽培可能な果菜類としては、特に限定されるものではなく、例えばトマト、ピーマン、イチゴ、トウガラシ、カボチャ、キュウリ、スイカ、メロン、インゲン豆、枝豆、エンドウ豆、そら豆等が挙げられる。当該栽培方法は、例えば上記果菜類がトマトである場合、果実の酸味を的確に高めて高品質なトマトを供給することができる。以下、トマトを栽培する場合を例に挙げて、各段階における栽培手順を肥料供給工程中心に説明する。
(育苗期における栽培手順)
育苗期における栽培手順としては、特に限定されるものではなく、例えば公知の育苗ポットを用い、この育苗ポットに培土又は土壌を充填した上で種子を播き、苗まで育てる方法が挙げられる。
上記培土としては、特に限定されるものではないが、例えば砂土又は砂状の人工培土、ロックウール等の人工無機培土、ポリウレタン、ポリエステル等の人工有機培土、おがくず、もみ殻等の有機天然培土等が挙げられ、中でも砂土又は砂状の人工培土が好ましい。上記培土として砂土又は砂状の人工培土を用いることによって、培土中に空隙を形成することができる。これにより、この空隙に育苗に必要な養水分を保持することができると共に、根に十分な酸素を供給することができる。
育苗期には、種子又は苗に水、肥料、殺虫剤等を適宜供給するのが好ましい。水、肥料、殺虫剤等の供給方法としては、特に限定されるものではなく、例えばミスト状にして噴霧する方法が挙げられる。かかる噴霧方式としては、高圧気体を使用した霧吹きタイプや、超音波ミスト等が挙げられる。
育苗期に供給する肥料に含まれる成分としては、例えば窒素成分、リン成分、カリウム、カルシウム、マンガン、マグネシウム、ホウ素成分等が挙げられる。育苗期においては、これらの成分を含む肥料を苗の生長に応じて適宜供給することができる。
(定植期前半における栽培手順)
育苗後の苗は培地に定植する。この培地としては、例えば砂培地又は砂状の人工培地、ロックウール等の人工無機培地、ポリウレタン、ポリエステル等の人工有機培地、おがくず、もみ殻等の有機系天然培地等が挙げられる。中でも、上記培地としては、砂培地又は砂状の人工培地が好ましい。砂培地又は砂状の人工培地は、ロックウール等の他の無機培地に比べて保水性が高いため、生長に必要な養水分を十分に保持できると共に、根に対して十分な酸素を供給することができる。また、施肥量、灌水頻度等を調整することで、培地中の水分量を容易に調節することができる。なお、上記培地としては、必ずしも固体培地を用いる必要はなく、液体培地を用いてもよい。上記液体培地としては、例えばMS培地(Murashige−Skoog培地)、WP培地(Woody Plant培地)、GamborgB5培地等が挙げられる。
定植から活着までにおける施肥方法としては、特に限定されるものではなく、固形培地を用いる場合であれば、例えば養液をミスト状にして噴霧する方法や、養液を吸水シートや培地等の毛管力によって吸い上げて果菜類の根に供給する方法(毛管型水耕法)が挙げられる。また、液体培地を用いる場合であれば、例えば養液が貯留される栽培槽に苗を定植し、この貯留される養液によって施肥する方法(湛液型水耕法)が挙げられる。なお、「活着」とは、苗が根付いて生長し始めることをいい、詳細には定植後、育苗培土等から本圃培地に向けて根が伸長することを目視にて確認することができ、根からの吸水が活発になることで成長点付近の伸長や本葉の展開が目視できる頃をいい、例えばトマトについては定植後5日目から14日目程度を意味する。
定植から活着までに供給する肥料としては、一般的には化学肥料が用いられる。また、定植から活着までおいては、苗に養分をバランスよく供給する点から同一の化学肥料が用いられることが好ましい。かかる化学肥料の種類としては、特に限定されないが、液肥(培養液)が好ましい。
上記化学肥料に含まれる成分としては、窒素成分、リン成分、カリウム、カルシウム、マグネシウム等が挙げられる。また、上記化学肥料には、イオンバランスを保つ点から、水素成分、硫酸、塩素成分等を含んでいてもよい。
上記化学肥料おける平均カリウム含有率の下限としては、10me/Lが好ましく、12me/Lがより好ましい。一方、上記平均カリウム含有率の上限としては、18me/Lが好ましく、16me/Lがより好ましい。上記平均カリウム含有率が上記下限に満たないと、苗が十分生長しないおそれがある。逆に、上記平均カリウム含有率が上記上限を超えると、過度な塩ストレスにより根が弱くなるおそれがある。
上記化学肥料における平均窒素成分含有率の下限としては、15me/Lが好ましく、18me/Lがより好ましい。一方、上記平均窒素成分含有率の上限としては、25me/Lが好ましく、23me/Lがより好ましい。上記平均窒素成分含有率が上記下限に満たないと、苗が十分生長しないおそれがある。逆に、上記平均窒素成分含有率が上記上限を超えると、裂果等を生じるおそれがある。
上記化学肥料に含まれるリン成分の含有率の下限としては、3me/Lが好ましく、4me/Lがより好ましい。一方、上記化学肥料に含まれるリン成分の含有率の上限としては、10me/Lが好ましく、8me/Lがより好ましい。上記リン成分の含有率が上記下限に満たないと、果実が十分に生長しないおそれがある。逆に、上記リン成分の含有率が上記上限を超えると、鉄成分や亜鉛成分の低下を助長して葉が枯死するおそれがある。
上記化学肥料に含まれるカルシウムの含有率の下限としては、4me/Lが好ましく、6me/Lがより好ましい。一方、上記化学肥料に含まれるカルシウムの含有率の上限としては、12me/Lが好ましく、10me/Lがより好ましい。上記カルシウムの含有率が上記下限に満たないと、果実の尻腐れが生じるおそれがある。逆に、上記カルシウムの含有率が上記上限を超えると、他の成分の欠乏を誘発するおそれがある。
上記化学肥料に含まれるマグネシウムの含有率の下限としては、0.5me/Lが好ましく、1me/Lがより好ましい。一方、上記化学肥料に含まれるマグネシウムの含有率の上限としては、6me/Lが好ましく、4me/Lがより好ましい。上記マグネシウムの含有率が上記下限に満たないと、葉が黄化するおそれがある。逆に、上記マグネシウムの含有率が上記上限を超えると、果菜類に供給されるカリウムやカルシウムが欠乏するおそれがある。
上記化学肥料に含まれる水素成分の含有率の下限としては、特に限定されるものではなく、理論上の下限値は0me/Lである。一方、上記化学肥料に含まれる水素成分の含有率の上限としては、8me/Lが好ましく、6me/Lがより好ましい。上記水素成分の含有率が上記上限を超えると、リン成分等が養液中に沈殿して果菜類に適切に供給され難くなるおそれがある。
上記化学肥料に含まれる硫酸成分の含有率の下限としては、特に限定されるものではなく、理論上の下限値は0me/Lである。一方、上記化学肥料に含まれる硫酸成分の含有率の上限としては、15me/Lが好ましく、12me/Lがより好ましく、5me/Lがさらに好ましい。上記硫酸成分の含有率が上記上限を超えると、カリウム、カルシウム、マグネシウム等が養液中に沈殿して果菜類に適切に供給され難くなるおそれがある。
上記化学肥料に含まれる塩素成分の含有率の下限としては、0me/Lとすることができる。一方、上記化学肥料に含まれる塩素成分の含有率の上限としては、30me/Lが好ましく、20me/Lがより好ましい。上記塩素成分の含有率が上記上限を超えると、カリウム、カルシウム、マグネシウム等が養液中に沈殿して果菜類に適切に供給され難くなるおそれがあると共に、根が枯れるおそれがある。
定植から活着までにかけては、苗に過度なストレスをかけないことが好ましい。そのため定植から活着までにかけては施肥量を略一定に保つことが好ましい。定植から活着までにおける1日当たりの平均施肥量の下限としては、0.1L/株が好ましく、0.12L/株が好ましい。一方、上記平均施肥量の上限としては、0.18L/株が好ましく、0.16L/株がより好ましい。上記平均施肥量が上記下限に満たないと、苗が十分に生長しないおそれがある。逆に、上記平均施肥量が上記上限を超えると、各成分が供給過剰になるおそれがある。
定植から活着までにおけるカリウムの1日当たりの平均供給量の下限としては、1.3me/株が好ましく、1.6me/株がより好ましい。一方、上記カリウムの1日当たりの平均供給量の上限としては、2.5me/株が好ましく、2.2me/株がより好ましい。上記カリウムの1日当たりの平均供給量が上記下限に満たないと、苗が十分生長しないおそれがある。逆に、上記カリウムの1日当たりの平均供給量が上記上限を超えると、過度な塩ストレスにより根が弱くなるおそれがある。
定植から活着までにおける窒素成分の1日当たりの平均供給量の下限としては、2.1me/株が好ましく、2.6me/株がより好ましい。一方、上記窒素成分の1日当たりの平均供給量の上限としては、3.8me/株が好ましく、3.4me/株がより好ましい。上記窒素成分の1日当たりの平均供給量が上記下限に満たないと、苗が十分生長しないおそれがある。逆に、上記窒素成分の1日当たりの平均供給量が上記上限を超えると、裂果等を生じるおそれがある。
定植から活着までにおけるリン成分の1日当たりの平均供給量の下限としては、0.7me/株が好ましく、0.8me/株がより好ましい。一方、上記リン成分の1日当たりの平均供給量の上限としては、1.2me/株が好ましく、1.1me/株がより好ましい。上記リン成分の1日当たりの平均供給量が上記下限に満たないと、苗が十分に生長しないおそれがある。逆に、上記リン成分の1日当たりの平均供給量が上記上限を超えると、鉄成分や亜鉛成分の低下を助長して葉が枯死するおそれがある。
定植から活着までにおけるカルシウムの1日当たりの平均供給量の下限としては、1me/株が好ましく、1.2me/株がより好ましい。一方、上記カルシウムの1日当たりの平均供給量の上限としては、1.8me/株が好ましく、1.6me/株がより好ましい。上記カルシウムの1日当たりの平均供給量が上記下限に満たないと、根が十分に生長しないおそれがある。逆に、上記カルシウムの1日当たりの平均供給量が上記上限を超えると、他の成分の欠乏を誘発するおそれがある。
定植から活着までにおけるマグネシウムの1日当たりの平均供給量の下限としては、0.15me/株が好ましく、0.18me/株がより好ましい。一方、上記マグネシウムの1日当たりの平均供給量の上限としては、0.27me/株が好ましく、0.24me/株がより好ましい。上記マグネシウムの1日当たりの平均供給量が上記下限に満たないと、葉が黄化するおそれがある。逆に、上記マグネシウムの1日当たりの平均供給量が上記上限を超えると、果菜類に供給されるカリウムやカルシウムが欠乏するおそれがある。
(定植期後半から果実肥大初期までにおける栽培方法)
定植期後半から果実肥大初期までの栽培は、育苗後に定植された培地を用いて行う。つまり、定植期後半から果実肥大初期までの栽培は、上記定植期前半と同様の栽培装置を用いてこれらの期間の栽培に連続して行う。また、定植期後半から果実肥大初期までにおける施肥方法としては、上記定植期前半と同様の方法を用いることができる。
定植期後半から果実肥大初期までに供給する肥料としては、一般的には化学肥料が用いられ、好ましくは培養液が用いられる。また、定植期後半から果実肥大初期までにおいては、上記定植期前半とは異なる化学肥料が用いられる。さらに、定植期後半から果実肥大初期までにおいては、苗に養分をバランスよく供給して苗を十分に生長させることができるよう同一の化学肥料が用いられることが好ましい。
上記化学肥料に含まれる成分としては、窒素成分、リン成分、カリウム、カルシウム、マグネシウム等が挙げられ、イオンバランスを保つ点から、水素成分、硫酸、塩素成分等を含んでいてもよい。また、上記化学肥料に含まれるカリウム以外の各成分の含有率としては、上記定植期前半で供給する化学肥料に含まれる各成分の含有率と同様とすることができる。
定植期後半から果実肥大初期までに供給する化学肥料における平均カリウム含有率は、上記定植期前半に供給する化学肥料における平均カリウム含有率よりも高い。つまり、当該栽培方法は、肥料供給工程で供給する肥料における平均カリウム含有率を活着後に高くする。
肥料供給工程で供給する肥料における活着までの平均カリウム含有率に対する活着後の平均カリウム含有率の比の下限としては、1.5が好ましく、1.7がより好ましく、1.9がさらに好ましい。一方、上記比の上限としては、3が好ましく、2.7がより好ましく、2.5がさらに好ましい。上記比が上記下限に満たないと、果実の酸味を十分に向上することができないおそれがある。逆に、上記比が上記上限を超えると、果実の収量が十分に得られないおそれがある。
定植期後半から果実肥大初期までに供給する化学肥料における平均カリウム含有率の下限としては、20me/Lが好ましく、25me/Lがより好ましく、27me/Lがさらに好ましい。一方、上記平均カリウム含有率の上限としては、45me/Lが好ましく、42me/Lがより好ましく、34me/Lがさらに好ましい。上記平均カリウム含有率が上記下限に満たないと、果実の酸味を十分に向上できないおそれがある。逆に、上記平均カリウム含有率が上記上限を超えると、果実の収量が十分に得られないおそれがある。これに対し、平均カリウム含有率が上記範囲内に調整された当該化学肥料は、果実の収量の低減を抑えつつ、果実の酸味を向上することができる。
また、当該栽培方法は、肥料供給工程で活着までに供給する肥料の平均カリウム含有率が上述の範囲内に含まれると共に、活着後に供給する肥料の平均カリウム含有率が上記範囲内に含まれることが好ましい。当該栽培方法は、肥料供給工程で活着までに供給する肥料の平均カリウム含有率及び活着後に供給する肥料の平均カリウム含有率を共に上記範囲内とすることによって、果実の収量の低減を抑えつつ、果実の酸味をより向上することができる。
肥料供給工程で活着までに供給する肥料における平均窒素成分含有率、平均リン成分含有率、平均カルシウム含有率及び平均マグネシウム含有率に対する活着から果実肥大初期までに供給する肥料におけるこれらの成分の含有率の比としては、それぞれ0.8以上1.2以下とすることが好ましい。当該栽培方法は、上記各成分の含有率の比を上記範囲内とすることによって、果菜類の生長を十分に促進することができる。
定植期後半から果実肥大初期までにかけては、徐々に施肥量を増加させることが好ましい。また、定植期後半から果実肥大初期までにかけては例えば1日毎に施肥量を増加させてもよいが、5〜10日程度単位で段階的に施肥量を増加させてもよい。施肥量を段階的に増加させる場合、例えば2段階以上4段階以下程度で増加させることができる。活着から果実肥大初期までにおける1日当たりの平均施肥量の下限としては、0.15L/株が好ましく、0.20L/株がより好ましい。一方、上記平均施肥量の上限としては、0.25L/株が好ましく、0.23L/株がより好ましい。上記平均施肥量が上記下限に満たないと、苗が十分に生長しないおそれがある。逆に、上記平均施肥量が上記上限を超えると、各成分が供給過剰になるおそれがある。
定植期後半から果実肥大初期までにおけるカリウムの1日当たりの平均供給量の下限としては、4.6me/株が好ましく、5.5me/株がより好ましい。一方、上記カリウムの1日当たりの平均供給量の上限としては、9.2me/株が好ましく、7.7me/株がより好ましい。上記カリウムの1日当たりの平均供給量が上記下限に満たないと、果実の酸味を十分に向上することができないおそれがある。逆に、上記カリウムの1日当たりの平均供給量が上記上限を超えると、果実の収量が十分に得られないおそれがある。
定植期後半から果実肥大初期までにおける窒素成分の1日当たりの平均供給量の下限としては、3.6me/株が好ましく、4.3me/株がより好ましい。一方、上記窒素成分の1日当たりの平均供給量の上限としては、7.2me/株が好ましく、6me/株がより好ましい。一般に定植期後半から果実肥大初期までは窒素を最も必要とする時期であり、上記窒素成分の1日当たりの平均供給量が上記下限に満たないと、果実の収量が低下するおそれがある。逆に、上記窒素成分の1日当たりの平均供給量が上記上限を超えると、過繁茂を招来し、果菜類を適切に生長させるための管理に手間が掛かるおそれがある。
(果実肥大初期以降における栽培方法)
果実肥大初期以降の栽培は、上記定植期後半から果実肥大初期までと同様の栽培装置を用いてこれらの期間の栽培に連続して行う。また、果実肥大初期以降における施肥方法としては、上記定植期前半と同様の方法を用いることができる。さらに、果実肥大初期以降における施肥期間としては、例えば果実の収穫までとすることができる。
果実肥大初期以降に施肥する肥料としては、一般的には化学肥料が用いられ、好ましくは培養液が用いられる。また、果実肥大初期以降においては、上記定植期後半から果実肥大初期までと同一の化学肥料を用いてもよいが、果実の甘みを向上する点からは、窒素成分の含有率を低くした化学肥料を用いることが好ましい。つまり、当該栽培方法は、上記肥料供給工程で供給する肥料における果実肥大初期以降の平均窒素成分含有率を果実肥大初期までの平均窒素含有率よりも低くすることが好ましい。本発明者らの知見によると、上記肥料供給工程で供給する肥料における果実肥大初期以降の平均窒素成分含有率を果実肥大初期までの平均窒素成分含有率よりも低くすることで、果実の収量の減少を抑えつつ、果実の甘みを向上することができる。そのため、当該栽培方法は、上記肥料供給工程で供給する肥料における果実肥大初期以降の平均窒素成分含有率を果実肥大初期までの平均窒素成分含有率よりも低くすることによって、活着後に供給する肥料における平均カリウム含有率を高めることとの相乗効果で、果実の収量の低減を抑えつつ、果実の酸味に加えて果実の甘みを向上することができる。
なお、窒素成分の含有率を低くした化学肥料を用いる場合であっても、上記化学肥料に含まれる窒素成分以外の含有率としては、上記定植期後半から果実肥大初期までで供給する化学肥料に含まれる各成分の含有率と同様とすることができる。
果実肥大初期以降においては、果実の品質を一定に保つことができるよう施肥量を略一定に保つことが好ましい。果実肥大初期以降における1日当たりの平均施肥量の下限としては、0.2L/株が好ましく、0.24L/株がより好ましい。一方、上記平均施肥量の上限としては、0.34L/株が好ましく、0.3L/株がより好ましい。上記平均施肥量が上記下限に満たないと、果実の品質が十分に向上されないおそれがある。逆に、上記平均施肥量が上記上限を超えると、各成分が供給過剰になるおそれがある。
果実肥大初期以降に窒素成分の含有率を低くした化学肥料を用いる場合、上記肥料供給工程で供給する肥料における果実肥大初期までの平均窒素成分含有率に対する果実肥大初期以降の平均窒素成分含有率の比の下限としては、0.3が好ましく、0.4がより好ましく、0.5がさらに好ましい。一方、上記比としては、1未満が好ましく、上記比の上限としては、0.8がより好ましく、0.6がさらに好ましい。上記比が上記下限に満たないと、果実の収量が十分に得られないおそれがある。逆に、上記比が上記上限を超えると、甘みが十分に向上しないおそれがある。
果実肥大初期以降に窒素成分の含有率を低くした化学肥料を用いる場合、果実肥大初期以降に供給する肥料の平均窒素成分含有率の下限としては、5me/Lが好ましく、7me/Lがより好ましく、10me/Lがさらに好ましい。一方、上記平均窒素成分含有率の上限としては、15me/Lが好ましく、13me/Lがより好ましく、11me/Lがさらに好ましい。上記平均窒素成分含有率が上記下限に満たないと、果実の収量が十分に得られないおそれがある。逆に、上記平均窒素成分含有率が上記上限を超えると、甘みが十分に向上しないおそれがある。
また、当該栽培方法は、上記肥料供給工程で果実肥大初期までに供給する肥料の平均窒素成分含有率が上述の範囲に含まれると共に、果実肥大初期以降に供給する肥料の平均窒素成分含有率が上記範囲内に含まれることが好ましい。当該栽培方法は、上記肥料供給工程で果実肥大初期までに供給する肥料の平均窒素成分含有率及び果実肥大初期以降に供給する肥料の平均窒素成分含有率を共に上記範囲内とすることによって、果実の収量の低減を抑えつつ、果実の甘みをより向上することができる。
肥料供給工程で活着から果実肥大初期までに供給する肥料における平均リン成分含有率、平均カリウム含有率、平均カルシウム含有率及び平均マグネシウム含有率に対する果実肥大初期以降に供給する肥料におけるこれらの成分の含有率の比としては、それぞれ0.8以上1.2以下とすることが好ましい。当該栽培方法は、上記各成分の含有率を上記範囲内とすることにより、果実の品質を高めつつ、果実の収量を十分に得ることができる。
果実肥大初期以降に窒素成分の含有率を低くした化学肥料を用いる場合、果実肥大初期以降における窒素成分の1日当たりの平均供給量の下限としては、1.5me/株が好ましく、2.2me/株がさらに好ましい。一方、果実肥大初期以降における窒素成分の1日当たりの平均供給量の上限としては、4me/株が好ましく、3.5me/株がより好ましい。上記窒素成分の1日当たりの平均供給量が上記下限に満たないと、果実の収量が低下するおそれがある。逆に、上記窒素成分の1日当たりの平均供給量が上記上限を超えると、果実の甘みが十分に向上しないおそれがある。
また、果実肥大初期以降におけるカリウムの1日当たりの平均供給量の下限としては、5.7me/株が好ましく、6.8me/株がより好ましい。一方、上記カリウムの1日当たりの平均供給量の上限としては、11.5me/株が好ましく、9.5me/株がより好ましい。上記カリウムの1日当たりの平均供給量が上記下限に満たないと、果実の酸味が十分に向上しないおそれがある。逆に、上記カリウムの1日当たりの平均供給量が上記上限を超えると、果実の収量が十分に得られないおそれがある。
当該栽培方法は、少なくとも3段以上の摘心栽培に用いられることが好ましい。当該栽培方法は、肥料供給工程で供給する肥料におけるカリウム含有率を活着後に高くするので、3段目以上の果実の酸味を十分に高めることができる。また、かかる摘心栽培によると、果実は下方の1段目から順に肥大していくことになる。そのため、1段目及び2段目においては、培地中に残存する窒素成分や既に果菜類が内部に吸収した窒素成分の影響を受け易い。これに対し、3段目以上になると、培地中に残存する窒素成分等の影響が及びにくいため、果実肥大初期以降で施肥する化学肥料に含まれる窒素含有率を低くすることで、果実に含まれる糖含量を容易かつ確実に高めて果実の甘みを向上することができる。
[その他の実施形態]
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
当該栽培方法は、必ずしも2種又は3種の化学肥料を用いる必要はなく、例えば4種以上の化学肥料を用いてもよい。また、当該栽培方法は、必ずしも定植期前半、定植期後半から果実肥大初期まで、及び果実肥大初期以降の区切りで化学肥料を変える必要はない。
当該栽培方法は、活着後に供給する肥料における平均カリウム含有率を定植から活着までに供給する肥料における平均カリウム含有率よりも高くする限り、カリウム含有率を高めた肥料の供給期間は特に限定されるものではない。当該栽培方法は、例えば肥料における平均カリウム含有率を必ずしも活着直後に高くする必要はなく、活着から開花期の間の任意の時点から高くしてもよい。但し、果実の酸味を高める点からは、少なくとも開花期以前の段階でカリウム含有率を高めることが好ましい。さらに、果実の酸味を高める点からは、活着直後から肥料におけるカリウム含有率を高めることが好ましく、活着直後から収穫期まで継続的に高くすることがより好ましい。
当該栽培方法は、活着後に供給する肥料におけるカリウム含有率を活着後から収穫期までの間で変化させてもよい。当該栽培方法は、例えば活着後から収穫期までの間に供給する肥料におけるカリウム含有率を漸増又は漸減してもよい。
果実肥大初期以降に窒素成分の含有率を低くした化学肥料を用いる場合、果実肥大初期以降における窒素成分の供給量削減期間は、果実肥大初期を含む限り、例えば果実肥大初期から収穫期に至るまで継続してもよいし、果実肥大初期から果実肥大後期までの間のみであってもよい。また、当該栽培方法は、果実肥大初期以降の肥料における平均窒素成分含有率を果実肥大初期までの肥料における平均窒素成分含有率よりも低くする場合、例えば着果期後かつ果実肥大初期前に供給する肥料における平均窒素成分含有率を低くしてもよい。但し、当該栽培方法は、果実の収量の減少を抑える点から、果実肥大初期以降に供給する肥料における平均窒素成分含有率のみを低くすることが好ましい。
当該栽培方法は、上記窒素成分の供給量削減期間後に供給する肥料における窒素成分含有率を果実肥大初期前に供給する肥料における窒素成分含有率と同じにしてもよい。また、当該栽培方法は、窒素成分の供給量削減期間に供給する肥料における窒素成分含有量を漸増又は漸減してもよい。
また、果実肥大初期以降に窒素成分の含有率を低くした化学肥料を用いる場合、上記窒素成分の供給量削減期間としては、開花の4週間後から10週間後までの期間を含むことが好ましい。上記窒素成分の供給量削減時期が果実肥大初期よりも遅くなると果実の甘みを十分に向上し難くなるが、上記窒素成分の供給量削減期間として上記範囲の期間を含むことによって、果実の収量の減少を抑えつつ、この果実の甘みをより的確に向上することができる。
当該栽培方法は、必ずしも養液栽培に用いられる必要はなく、土壌栽培に用いられてもよい。当該栽培方法は、土壌栽培に用いられる場合であっても、果実の収量の低減を抑えつつ、果実の酸味を向上することができる
また、当該栽培方法は、必ずしも摘心栽培に用いられる必要はない。また摘心栽培に用いられる場合であっても、必ずしも3段以上の摘心栽培に用いられる必要はなく、1段摘心栽培又は2段摘心栽培に用いられてもよい。
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[No.1]
有限会社グリーンアップサービス製のトマト用培養液「グリーンアップA−1」(塩の含有量が350gとなる量)及び和光純薬工業株式会社製の硝酸カルシウム(233.0g)を混合してNo.1の培養液を調製する。No.1の培養液に含まれる成分を表1に示す。
[No.2]
No.1で用いた和光純薬工業株式会社製の硝酸カルシウム(232.3g)に、リン酸二水素カリウム(61.6g)、硝酸カリウム(233.0g)、塩化カリウム(203.5g)及び硫酸マグネシウム七水和物(36.5g)を混合してNo.2の培養液を調製する。No.2の培養液に含まれる成分を表1に示す。
[No.3]
No.1で用いた和光純薬工業株式会社製の硝酸カルシウム(232.3g)に、リン酸二水素カリウム(61.6g)、硝酸カリウム(233.0g)、塩化カリウム(407.0g)及び硫酸マグネシウム七水和物(36.5g)を混合してNo.3の培養液を調製する。No.3の培養液に含まれる成分を表1に示す。
[No.4]
No.1で用いた和光純薬工業株式会社製の硝酸カルシウム(116.5g)に、リン酸二水素カリウム(61.6g)、硝酸カリウム(113.1g)、塩化カルシウム七水和物(71.0g)、塩化カリウム(290.9g)及び硫酸マグネシウム七水和物(36.5g)を混合してNo.4の培養液を調製する。No.4の培養液に含まれる成分を表1に示す。
<電気伝導度>
No.1〜No.4の培養液の電気伝導度(培養液EC)を東亜ディーケーケー株式会社製の「ポータブル電気伝導率・pH計」を用いて測定した。この培養液ECの測定結果を表1に示す。
Figure 0006661353
同一条件で育苗された複数のトマトの苗を用意し、これらの苗を各々の養液が混ざらないように離間した培地A〜Dに定植する。なお、培地A〜Dとしては、いずれも川砂を用いる。これらの苗を3段摘心栽培によって栽培する。
図1〜4に示すように、培地A〜Dに定植した苗に対し、定植後10日目まではいずれもNo.1の培養液を点滴かん水チューブによって一定量供給する。なお、培地A〜Dに定植した苗の活着は、いずれも定植後11日目である。また、培地A〜Dに定植した苗の開花期は、いずれも定植後24日目である。また、培地A〜Dに定植した苗の着果期は、いずれも定植後33日目である。さらに、培地A〜Dに定植した苗は、定植後36日目に入った時点で果実肥大初期に至る。
次に、定植後11日目から35日目までについて、培地Aに定植した苗に対してはNo.1の培養液を各成分が図1の施肥量となるよう供給する。また、上記期間について、培地B,Dに定植した苗に対してはNo.2の培養液を各成分が図2及び図4の施肥量となるよう供給する。さらに、上記期間について、培地Cに定植した苗に対してはNo.3の培養液を各成分が図3の施肥量となるよう供給する。
続いて、定植後36日目以降について、培地A,B及びCに定植した苗に対しては、定植後11日目から35日目までと同様の培養液を各成分が図1〜図3の施肥量となるよう供給する。一方、上記期間について、培地Dに定植した苗に対してはNo.4の培養液を各成分が図4の施肥量となるよう供給する。なお、培地Aに定植した苗から得られる果実を果実a、培地Bに定植した苗から得られる果実を果実b、培地Cに定植した苗から得られる果実を果実c、培地Dに定植した苗から得られる果実を果実dとする。
上記栽培方法によって得られる果実a〜dの収量を図5に示す。なお、「収量」とは、摘心栽培における3段目までの果実の収量をいう。
また、上記栽培方法によって得られる果実a〜dの全有機酸含量、全糖含量及び全アミノ酸含量を図6〜図8に示す。なお、「全有機酸含量」、「全糖含量」及び「全アミノ酸含量」は、ジーエルサイエンス株式会社製の「高速液体クロマトグラフGL−7420」を用いて測定した。
<収量の変化>
図5から分かるように、果実a,b,dの総収量は余り変わらない。但し、定植後11日目以降に供給する肥料におけるカリウム含有率をNo.1の培養液の3倍としたNo.3の培養液を用いた果実cについては、果実a,b,dに比べると総収量が若干低下する。これは、培養液ECが高いことに起因して苗に塩ストレスがかかるためと考えられる。
<食味成分の変化>
図6に示すように、定植後11日目以降に供給する肥料におけるカリウム含有率を高くして得られる果実b,c,dについては、全有機酸含量が高くなり、果実の酸味が向上する。特に、肥料におけるカリウム含有率が高くなるほど3段目以上の果実の全有機酸含量が高くなる。これは、当該栽培方法では、果実の収量の低下が抑えられるよう活着までの期間におけるカリウム供給量を一定程度に抑えるため、1段目、2段目については全有機酸含量の増加が顕著とはならないが、3段目以上になると定植から一定期間のカリウム供給量の抑制効果よりも活着後のカリウム供給量の増加効果がより顕著に表れるためと考えられる。
また、図7に示すように、定植後11日目以降に供給する肥料におけるカリウム含有率をNo.1の培養液の3倍としたNo.3の培養液を用いて得られる果実cについては、全糖含量が高くなる。さらに、定植後36日目以降に供給する肥料における窒素成分含有率を低くして得られる果実dについては、全糖含量がより高くなる。加えて、果実dは、段数が上がるにつれて他の果実a,b,cに対する全糖含量の上昇割合が大きくなる。これは、段数が上がるにつれて培地中に残存する窒素成分等の影響を受けにくくなり、窒素成分の供給量と全糖含量との関連付けが強まるためと考えられる。
さらに、図8に示すように、全アミノ酸含量については、果実a〜cで顕著な差は見られない。つまり、果実b,cは、甘み及びうまみを一定程度に維持しつつ酸味を高めることができる。また、定植後36日目以降に供給する肥料における窒素成分含有率を低くして得られる果実dについては、果実a〜cに比べると全アミノ酸含量が低くなるものの、うまみを適度に維持しつつ酸味及び甘みを高めることができる。
以上のように、本発明の栽培方法及び化学肥料は、果実の収量の低減を抑えつつ、果実の酸味を向上することができ、トマト等の果菜類の栽培に適している。

Claims (4)

  1. 肥料を供給する肥料供給工程を備える果菜類の栽培方法であって、
    上記肥料供給工程で、
    活着までに供給する肥料の平均カリウム含有率が10me/L以上18me/L以下、活着後に供給する肥料の平均カリウム含有率が20me/L以上45me/L以下とし、
    供給する肥料における平均カリウム含有率を活着後に高くし、
    活着までの平均カリウム含有率に対する活着後の平均カリウム含有率の比が1.5以上3以下である栽培方法。
  2. 肥料を供給する肥料供給工程を備える果菜類の栽培方法であって、
    上記肥料供給工程で、
    果実肥大初期までに供給する肥料の平均窒素成分含有率が15me/L以上25me/L以下、果実肥大初期以降に供給する肥料の平均窒素成分含有率が5me/L以上15me/L未満とし、
    果実肥大初期以降の平均窒素成分含有率を果実肥大初期までの平均窒素成分含有率よりも低くし、
    果実肥大初期までの平均窒素成分含有率に対する果実肥大初期以降の平均窒素成分含有率の比が0.3以上1未満である栽培方法。
  3. 養液栽培に用いられる請求項1から請求項2のいずれか1項に記載の栽培方法。
  4. 上記果菜類がトマトである請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の栽培方法。
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