JP6659019B2 - マイクロカプセル及びその製造方法 - Google Patents
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Description
<1>シリカを構成成分として含むシェルと、該シェルの内部にポリマー微粒子及び1種以上の油溶性液体を含むコアとを有する、マイクロカプセル。
<2>上記<1>に記載のマイクロカプセルを含むパーソナルケア製品。
<3>上記<1>に記載のマイクロカプセルを製造する方法であって、下記工程(1)及び(2)を有する、マイクロカプセルの製造方法。
工程(1):界面活性剤を含む水相中に、1種以上の油溶性液体とポリマー微粒子を構成し得るモノマーとラジカル重合開始剤と原料シリカとを含む有機相を混合して乳化した後、酸性条件下でゾル−ゲル反応を行ってシェルを形成し、前記の油溶性液体、モノマー及びラジカル重合開始剤を内包するカプセルを形成する工程
工程(2):工程(1)で得られたカプセルを含有する水分散体を加熱して、前記モノマーの重合反応を行い、シェルの内部にポリマー微粒子を形成する工程
本明細書において、好ましいとされている規定は任意に採用することができ、好ましいもの同士の組合せはより好ましい。
本発明のマイクロカプセルのシェルは、シリカを構成成分として含むものである。シリカは、アルコキシシラン等の加水分解によりシラノール化合物を生成する原料シリカから生成されることが好ましい。
原料シリカとしては、例えば、四塩化ケイ素、テトラアルコキシシラン、アルキルアルコキシシラン、水ガラス及び金属ケイ酸塩からなる群より選択される少なくとも1種が挙げられる。中でも、テトラアルコキシシラン、アルキルアルコキシシランが好ましく、テトラアルコキシシランがより好ましい。
アルキルアルコキシシランの具体例としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、エチルフェニルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、エチルフェニルジエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルフェニルエトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシラン等が挙げられる。
これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。また、これらの縮合物等も使用することができる。
ここで、第二シェルにおける「メソポーラス構造」とは、構造内に存在する細孔(いわゆる、メソ孔)の径が、好ましくは2nmを超え、より好ましくは10nm以上、更に好ましくは30nm以上であり、そして、好ましくは50nm以下、より好ましくは45nm以下、更に好ましくは40nm以下の範囲にある構造をいう。
第二シェルがメソポーラス構造であることにより、マイクロカプセルは高い機械的強度を有する。
本発明のマイクロカプセルのコアは、ポリマー微粒子及び1種以上の油溶性液体を含む。本発明のマイクロカプセルは、シェルの内部にポリマー微粒子を含有することで、シェルが破れてポリマー微粒子が放出したときに、ポリマー微粒子が適用表面の弾性や摩擦性を変化させて、感触を変化させることができる。
なお、本発明において、ポリマー微粒子の体積平均粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)観察により測定できる。
本発明のマイクロカプセルのコアは、1種以上の油溶性液体を含む。例えば当該油溶性液体として香料を用いた場合、本発明のマイクロカプセルは、シェルの内部に当該油溶性液体及びポリマー微粒子を含むコアを内包することで、シェルが破れたときに、香料が放出して発香すると共に、ポリマー微粒子が放出されて感触を変化させることができる。
ここで、ClogP値は、A. Leo in "Comprehensive Medicinal Chemistry", Vol.4, (C. Hansch, P.G. Sammes, J.B. Taylor and C.A. Ramsden, Eds.), p.295, Pergamon Press, 1990に記載の方法で計算した「計算logP(ClogP)」であり、プログラムCLOGP v4.01により計算したClogP値である。複数の香料を含む香料組成物である場合、その香料組成物のCLogP値は、各香料のCLogP値に香料組成物中の体積比を乗じ、それらの和とすることで求めることができる。
なお、本発明において、マイクロカプセルの体積平均粒径は、実施例に記載の方法で測定できる。例えば、レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置「LA−950」(商品名、株式会社堀場製作所製)を用いて測定することができる。その場合、測定はフローセルを使用し、媒体は水、屈折率は1.40−0iに設定する。マイクロカプセルを含む分散液をフローセルに添加し、透過率が90%付近を示した濃度で測定を実施し、体積基準で平均粒径を求める。
本発明のマイクロカプセルの製造方法は、下記工程(1)及び(2)を有し、好ましくは下記工程(3)を更に有する。
工程(1):界面活性剤を含む水相中に、1種以上の油溶性液体とポリマー微粒子を構成し得るモノマーとラジカル重合開始剤と原料シリカとを含む有機相を混合して乳化した後、酸性条件下でゾル−ゲル反応を行ってシェルを形成し、前記の油溶性液体、モノマー及びラジカル重合開始剤を内包するカプセルを形成する工程
工程(2):工程(1)で得られたカプセルを含有する水分散体を加熱して、前記モノマーの重合反応を行い、シェルの内部にポリマー微粒子を形成する工程
工程(3):工程(1)又は(2)で得られたカプセルを含む分散液に更に原料シリカを添加してゾル−ゲル反応を行い、第一シェルを包接する第二シェルを有するカプセルを形成する工程
はじめに、1種以上の油溶性液体とポリマー微粒子を構成し得るモノマーとラジカル重合開始剤と原料シリカ(シリカ前駆体)を油相成分とし、分散剤を含む水相成分と激しく撹拌することにより、水中油分散液を得る。シリカ前駆体は徐々に水相に分配され、水相に分配されたシリカ前駆体は適度なpH領域においてゾル−ゲル反応によりシリカゾルを形成する。これが油滴表面に吸着し、シリカを構成成分とするシェルが形成され、モノマー、ラジカル重合開始剤及び油溶性液体が内包されたマイクロカプセルが得られる(工程(1))。さらに、マイクロカプセルを含む分散液を加熱することで、シェル内においてモノマーの重合反応が起こり、ポリマーが形成される。このとき、ポリマーとシリカとの親和性が低いため、生成したポリマーはシェルに吸着することなく油溶性液体中で成長を続け、ポリマー微粒子が形成される(工程(2))。最終的に、シリカを構成成分として含むシェルの内部に、ポリマー微粒子及び1種以上の油溶性液体を含むコアを有するマイクロカプセルが形成されると考えられる。
工程(1)は、マイクロカプセルのシェルを形成する工程である。まず、界面活性剤を含む水相中に、1種以上の油溶性液体とポリマー微粒子を構成し得るモノマーとラジカル重合開始剤と原料シリカとを含む有機相を混合して乳化する。その後、酸性条件下でゾル−ゲル反応を行ってシェルを形成し、前記の油溶性液体、モノマー及びラジカル重合開始剤を内包するカプセルを形成する。
工程(1)における原料シリカの量は、ゾル−ゲル反応を促進する観点から、油溶性液体とポリマー微粒子を構成し得るモノマーとの総量100質量%に対して、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは20質量%以上であり、そして、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは40質量%以下、より更に好ましくは30質量%以下である。原料シリカの添加量が10質量%以上60質量%以下であることで、十分に緻密なシェルの層を形成でき、更に過剰の原料シリカが有機化合物中に残存することもないものと考えられる。
陽イオン性の界面活性剤としては、窒素系のカチオン性基を有する化合物、pH調整によりカチオン性を帯びることがある界面活性剤等が挙げられる。具体的にはアルキルアミン塩、第4級アンモニウム塩等が挙げられる。アルキル基の炭素数は、好ましくは10以上、より好ましくは12以上、更に好ましくは14以上であり、そして、好ましくは24以下、より好ましくは20以下、更に好ましくは18以下である。
工程(2)は、マイクロカプセルのシェルの内部にポリマー微粒子を形成する工程である。工程(1)で得られたカプセルを含有する水分散体を加熱して、前記モノマーの重合反応を行う。工程(1)で得られたカプセルの内部には、油溶性液体、モノマー及びラジカル重合開始剤が内包されている。加熱により重合開始剤が開裂してラジカルが発生し、モノマーの重合反応が起きる。重合により得られるポリマーはシェルに吸着することなく油溶性液体中で成長を続け、ポリマー微粒子が形成される。この結果、シリカを構成成分として含むシェルの内部に、ポリマー微粒子及び1種以上の油溶性液体を含むコアを有するマイクロカプセルが形成される。
なお、「重合開始剤の10時間半減期温度」とは、不活性ガスの存在下において、一定の温度で10時間熱分解反応を行った際に油溶性重合開始剤の濃度が反応前の濃度の半分になるときの温度である。例えば、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)の10時間半減期温度は51℃である。
また、重合温度は、生産性の観点から、好ましくは50℃以上、より好ましくは55℃以上であり、そして、好ましくは90℃以下、より好ましくは85℃以下、更に好ましくは80℃以下である。
工程(3)は、第二シェルを形成する工程であり、工程(3)を行うことにより、多重シェルを有するマイクロカプセルを得ることができる。工程(3)では、工程(1)又は(2)で得られたカプセルを含む分散液に更に原料シリカを添加してゾル−ゲル反応を行う。工程(3)は、工程(2)の後に行ってもよく、工程(2)の前に行ってもよい。
工程(3)における原料シリカの量は、ゾル−ゲル反応を促進する観点から、油溶性液体とポリマー微粒子を構成し得るモノマーとの総量100質量%に対して、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上であり、そして、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下である。
工程(3)のゾル−ゲル反応の初期pHを、上述した工程(1)のゾル−ゲル反応の初期pHより低く維持して、原料シリカを滴下しながらゾル−ゲル反応を進行させることで、原料シリカの加水分解によって生じるシリカゾルの系内の濃度を適切に制御することができ、シリカゾルを第一シェル上に効率的に沈着させ、縮合させることができ、第二シェルは、第一シェルとの界面に沿った方向のみならず厚み方向へもシリカが存在する高次構造を取り、メソポーラス構造になると考えられる。
工程(2−1):工程(3)の前に、工程(2)で得られたカプセルを含有する水分散体にカチオン性高分子化合物を添加する工程
カチオン性高分子化合物としては、四級アンモニウム塩基含有高分子化合物の他、窒素系のカチオン基を有する高分子化合物、pH調整によりカチオン性を帯びることがある高分子化合物が挙げられる。
スキンケア製品の例としては、リップクリーム、ハンドクリーム、日焼け止めクリーム、制汗剤等が挙げられる。ボディケア製品の例としては、石鹸、ボディソープ、ハンドソープ等が挙げられる。ヘアケア製品の例としては、シャンプー、コンディショナー、ヘアスプレー、育毛剤等が挙げられる。オーラルケア製品の例としては、歯磨き粉、液体ハミガキ、洗口液等が挙げられる。フェイスケア製品の例としては、洗顔フォーム、メイク落とし、クレンジングオイル、シェービングフォーム等が挙げられる。
(1)体積平均粒径
マイクロカプセル及び乳化液中の乳化滴の体積平均粒径は、レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置「LA−950」(商品名、株式会社堀場製作所製)を用いて測定した。測定にはフローセルを使用し、媒体として水、屈折率を1.40−0iに設定した。マイクロカプセルを含む分散液をフローセルに添加し、透過率が90%付近を示した濃度で測定を実施し、体積基準で平均粒径を求めた。
マイクロカプセル懸濁液0.05gを計りとり、イオン交換水で1000倍に希釈後、ステージ上で乾燥させた。ステージ上のマイクロカプセルにAu−Pd蒸着処理を行った後、電界放射型操作型電子顕微鏡「S−4000」(株式会社日立ハイテクノロジーズ製)でマイクロカプセルの観察を行った。
マイクロカプセルに内包する有機化合物として、表1に示す組成を有するモデル香料Aを使用した(体積平均ClogP:4.2、比重:0.96)。
ClogP値は、A. Leo in "Comprehensive Medicinal Chemistry", Vol.4, (C. Hansch, P.G. Sammes, J.B. Taylor and C.A. Ramsden, Eds.), p.295, Pergamon Press, 1990に記載の方法で計算した「計算logP(ClogP)」であり、プログラムCLOGP v4.01により計算したClogP値である。モデル香料Aの体積平均ClogPは、各香料成分のClogP値にモデル香料A中における体積比を乗じ、それらの和として算出した。
陽イオン性界面活性剤「コータミン60W」(花王株式会社製、セチルトリメチルアンモニウムクロライドの30質量%水溶液)1.74gをイオン交換水98.26gで希釈して水相溶液を調製した。
表1に示す組成のモデル香料A 20g、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート(シグマアルドリッチジャパン合同会社製)20g、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業株式会社製、「V−65」)0.30g及びテトラエトキシシラン(関東化学株式会社製)10gを混合し、油相溶液を調製した。
水相溶液に油相溶液を添加し、回転数8,500rpmに設定したホモミキサーを用いて混合液を乳化した。この時の乳化滴の平均粒径は2.4μmであった。1N水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを3.7に調整後、撹拌翼及び冷却器を備えたセパラブルフラスコに乳化液を移し、液温を30℃に保ちつつ、24時間撹拌してシェルの形成を行った(工程(1))。
次に、窒素雰囲気下、液温60℃で6時間加熱して、モノマーの重合を行いポリマー微粒子の形成を行った(工程(2))。
続いて、反応液に、カチオン性高分子化合物「マーコート100」(日本ルーブリゾール株式会社製、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド))の3質量%水溶液12.0gを加えた後、テトラエトキシシラン5.5gを330分かけて滴下した。滴下後、更に液温30℃で24時間撹拌を続けた後に冷却することにより、平均粒径3.6μmのマイクロカプセルを含む懸濁液を得た(工程(2−1)及び(3))。
実施例1における油相溶液の調製において、モデル香料Aの使用量を32g、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレートの使用量を8g、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)の使用量を0.24gにそれぞれ変更したこと以外は実施例1と同様にして油相溶液を調製した。得られた油相溶液を用いたこと以外は実施例1と同様にして、乳化し、pHを調整し、シェルの形成を行った(工程(1))。乳化滴の平均粒径は2.5μmであった。
次に、窒素雰囲気下、液温50℃で6時間加熱して、モノマーの重合を行いポリマー微粒子の形成を行った(工程(2))。
続いて、反応液に、テトラエトキシシラン6.1gを330分かけて滴下した。滴下後、更に液温30℃で24時間撹拌を続けた後に冷却することにより、平均粒径3.6μmのマイクロカプセルを含む懸濁液を得た(工程(3))。
実施例2における油相溶液の調製において、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)の使用量を0.16gに変更したこと以外は実施例2と同様にして油相溶液を調製した。得られた油相溶液を用いたこと以外は実施例1と同様にして、乳化し、pHを調整し、シェルの形成を行った(工程(1))。乳化滴の平均粒径は1.6μmであった。
次に、反応液に、カチオン性高分子化合物「マーコート100」(日本ルーブリゾール株式会社製、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド))の3質量%水溶液4.0gを加えた後、テトラエトキシシラン6.1gを330分かけて滴下した。滴下後、更に液温30℃で24時間撹拌を続けた(工程(2−1)及び(3))。
さらに、窒素雰囲気下、液温60℃で7時間加熱して、モノマーの重合を行いポリマー微粒子の形成を行い、平均粒径3.2μmのマイクロカプセルを含む懸濁液を得た(工程(2))。
得られたマイクロカプセルのSEM観察を行ったところ、マイクロカプセルはポリマー微粒子を内包していた。
実施例2と同様にして、乳化し、pHを調整し、シェルの形成を行った(工程(1))。乳化滴の平均粒径は2.6μmであった。
次に、窒素雰囲気下、液温50℃で24時間加熱して、モノマーの重合を行いポリマー微粒子の形成を行い、平均粒径3.6μmのマイクロカプセルを含む懸濁液を得た(工程(2))。
得られたマイクロカプセルのSEM観察を行ったところ、マイクロカプセルはポリマー微粒子を内包していた。
実施例2における油相溶液の調製において、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート8gを1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート4g及び2−エチルヘキシルメタクリレート(和光純薬工業株式会社製)4gに変更したこと以外は実施例2と同様にして油相溶液を調製した。得られた油相溶液を用いたこと及びpHを3.9に調整したこと以外は実施例1と同様にして、乳化し、シェルの形成を行った(工程(1))。乳化滴の平均粒径は2.6μmであった。
次に、窒素雰囲気下、液温60℃で6時間加熱して、モノマーの重合を行いポリマー微粒子の形成を行い、平均粒径3.6μmのマイクロカプセルを含む懸濁液を得た(工程(2))。
得られたマイクロカプセルのSEM観察を行ったところ、マイクロカプセルはポリマー微粒子を内包していた。
実施例1における油相溶液の調製において、モデル香料A 20gをモデル香料A 30g及びヘキサデカン(和光純薬工業株式会社製)3.0gに変更し、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート20gをヘキサデシルメタクリレート(和光純薬工業株式会社製)3.7g及びエチレングリコールジメタクリレート(シグマアルドリッチジャパン合同会社製)3.7gに変更し、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)の使用量を0.22g、テトラエトキシシランの使用量を14gにそれぞれ変更したこと以外は実施例1と同様にして油相溶液を調製した。得られた油相溶液を用いたこと以外は実施例1と同様にして、乳化し、pHを調整し、シェルの形成を行った(工程(1))。乳化滴の平均粒径は2.5μmであった。
次に、窒素雰囲気下、液温60℃で6時間加熱して、モノマーの重合を行いポリマー微粒子の形成を行い、平均粒径5.7μmのマイクロカプセルを含む懸濁液を得た(工程(2))。
得られたマイクロカプセルのSEM観察を行ったところ、マイクロカプセルはポリマー微粒子を内包していた。
実施例1における油相溶液の調製において、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を使用せず、モデル香料Aの使用量を40gに変更したこと以外は実施例1と同様にして油相溶液を調製した。得られた油相溶液を用いたこと以外は実施例1と同様にして、乳化し、pHを調整し、シェルの形成を行った(工程(1))。乳化滴の平均粒径は2.2μmであった。
次に、反応液に、カチオン性高分子化合物「マーコート100」(日本ルーブリゾール株式会社製、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド))の3質量%水溶液12.0gを加えた後、テトラエトキシシラン6.2gを330分かけて滴下した。滴下後、更に液温30℃で24時間撹拌を続けた後に冷却することにより、平均粒径3.1μmのマイクロカプセルを含む懸濁液を得た(工程(2−1)及び(3))。
実施例1における油相溶液の調製において、モデル香料A及びテトラエトキシシランを使用せず、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート20gを1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート0.024g及び2−エチルヘキシルメタクリレート12.0gに変更し、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)の使用量を0.36gに変更したこと以外は実施例1と同様にして油相溶液を調製した。
水相溶液に油相溶液を添加し、回転数8,500rpmに設定したホモミキサーを用いて混合液を乳化した。この時の乳化滴の平均粒径は5.5μmであった。窒素雰囲気下、液温60℃で6時間加熱して、モノマーの重合を行い、平均粒径3.4μmのポリマーゲル微粒子の形成を行った(工程(2))。
上記懸濁液5gをモデル香料A 0.5gと室温で24時間混合し、モデル香料Aで膨潤したポリマーゲル微粒子を得た。
マイクロカプセル懸濁液1gを計りとり、イオン交換水で10倍に希釈を行った。この希釈液1gを前腕上に塗布して乾燥させ、乾燥後の皮膚を摩擦した時の発香の変化及び皮膚感触の評価を行った。結果を表3に示す。
<評価基準>
(発香スイッチ性)
○:摩擦を与えると香りが強くなった。
×:摩擦を与えても香りの強度が変化しなかった。
(皮膚感触)
○:摩擦を与えるとさらさらした感触を与えた。
×:摩擦を与えても感触に変化がなかった。
これに対して、比較例1で得られたマイクロカプセルは、摩擦を与えると、シェルが破れて内包された香料が放出して香りが強くなったものの、ポリマー微粒子を含有しないため感触は特に変化しなかった。また、比較例2で得られたポリマーゲル微粒子は、カプセルを形成しておらず、単に香料で膨潤したものであるため、塗布乾燥後に摩擦を与えても香りの強度に変化がなく、感触も特に変化しなかった。
実施例1で得られた本発明のマイクロカプセル、比較例1で得られたマイクロカプセル、及び比較例2で得られたポリマーゲル微粒子について、香料の内包率を測定した。
マイクロカプセル懸濁液0.05gを計りとり、内部標準としてドデカンを10μg/mLの濃度で含むアセトニトリル10mLに分散させた。この分散液に超音波を10分照射し、メンブレンフィルター「DISMIC(登録商標)」(東洋濾紙株式会社製、型番:13JP020AN)に通液させた。通液後の溶液に含まれる香料の量を、ガスクロマトグラフィーを用いて測定し、分散液中に含まれる香料成分の量を測定した。
一方で、マイクロカプセル懸濁液0.05gを改めて計りとり、イオン交換水50gで希釈後、メンブレンフィルター「OMINIPORE(登録商標)」(MILLIPORE製、型番:JAWP04700)に通すことにより、メンブレンフィルター上にカプセルを回収した。さらに、メンブレンフィルター上で、イオン交換水10mL、次いでヘキサン10mLによりカプセルを洗浄後、該カプセルを、内部標準としてドデカンを10μg/mLの濃度で含むアセトニトリル10mLに浸漬後、この溶液に超音波を60分照射した。更にもう一度メンブレンフィルター「DISMIC(登録商標)」(東洋濾紙株式会社製、型番:13JP020AN)に通液させた。通液後の溶液に含まれる香料の量を、ガスクロマトグラフィーを用いて測定し、カプセル内に内包された香料成分の量として測定した。
上記で得られた分散液中に含まれる香料成分の量及びカプセルに内包されていた香料成分の量から以下の式にしたがって香料の内包率(%)を求めた。結果を表4に示す。
香料の内包率(%)=[カプセルに内包された香料成分の量]/[分散液中に含まれる香料成分の量]×100
Claims (8)
- シリカを構成成分として含むシェルと、該シェルの内部にポリマー微粒子及び1種以上の油溶性液体を含むコアとを有し、
該ポリマー微粒子が、油溶性でかつ不飽和二重結合をもつ単官能性モノマー及び多官能性モノマーから構成され、かつ該多官能性モノマーを用いて架橋されてなる、マイクロカプセル。 - 前記マイクロカプセルの体積平均粒径が0.5μm以上50μm以下である、請求項1に記載のマイクロカプセル。
- 前記ポリマー微粒子が、ジオール化合物と(メタ)アクリル酸とのジエステルの重合体を含む、請求項1又は2に記載のマイクロカプセル。
- 前記油溶性液体が、香料、香料前駆体、油剤、酸化防止剤及び溶媒からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のマイクロカプセル。
- 前記シェルが第一シェルと第二シェルとを有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のマイクロカプセル。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載のマイクロカプセルを含むパーソナルケア製品。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のマイクロカプセルを製造する方法であって、下記工程(1)及び(2)を有する、マイクロカプセルの製造方法。
工程(1):界面活性剤を含む水相中に、1種以上の油溶性液体とポリマー微粒子を構成し得るモノマーとラジカル重合開始剤と原料シリカとを含む有機相を混合して乳化した後、酸性条件下でゾル−ゲル反応を行ってシェルを形成し、前記の油溶性液体、モノマー及びラジカル重合開始剤を内包するカプセルを形成する工程
工程(2):工程(1)で得られたカプセルを含有する水分散体を加熱して、前記モノマーの重合反応を行い、シェルの内部にポリマー微粒子を形成する工程 - 下記工程(3)を更に有する、請求項7に記載のマイクロカプセルの製造方法。
工程(3):工程(1)又は(2)で得られたカプセルを含む分散液に更に原料シリカを添加してゾル−ゲル反応を行い、第一シェルを包接する第二シェルを有するカプセルを形成する工程
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