<第1の実施形態>
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1の実施形態における作業支援システムの概略構成を示したブロック図である。作業支援システム1は、作業制御装置100と、作業実行装置200とを含んで構成される。また、作業支援システム1は、さらに、記憶装置300を含んで構成されてもよい。作業支援システム1は、プラント内に設置された設備において点検作業やトラブル対応を行う作業員の作業を支援するシステムである。
なお、作業支援システム1を構成するそれぞれの構成要素(作業制御装置100、作業実行装置200、および記憶装置300)は、それぞれが異なる装置として構成されてもよいが、同じ装置の中に構成されてもよい。図1においては、作業支援システム1を構成するそれぞれの構成要素が、同じ装置である作業支援装置10内に構成されている場合を示している。より具体的には、図1には、作業制御装置100と、作業実行装置200と、記憶装置300とを含んだ作業支援装置10として、作業支援システム1が構成されている場合を示している。
なお、図1には、一例として、プラントにおいて作業員が点検作業やトラブル対応を行う対象(作業対象)の設備Faと、設備Faに対して行う作業を制御するために作業支援装置10に入力される作業制御情報WIと、設備Faに対して行った作業の結果をまとめて作業支援装置10が出力する報告書Rとのそれぞれを併せて示している。ここで、作業制御情報WIは、図1に示したように、作業支援装置10の外部から入力される形態であってもよいが、作業支援装置10に内蔵されている形態であってもよい。作業制御情報WIが作業支援装置10に内蔵されている形態である場合、作業制御情報WIを、例えば、記憶装置300に予め記憶しておき、作業制御装置100が記憶装置300から作業制御情報WIを読み込むことによって、作業制御情報WIを作業支援装置10に取り込む(入力する)形態が考えられる。また、作業制御情報WIが作業支援装置10の外部から入力される形態である場合、作業制御情報WIを、例えば、クラウドコンピューティングシステムにおけるインターネット上の記憶装置などの外部の記憶装置に予め記憶しておき、作業制御装置100が外部の記憶装置300から作業制御情報WIを読み込むことによって、作業制御情報WIを作業支援装置10に取り込む(入力する)形態が考えられる。以下の説明においては、作業支援装置10として構成された作業支援システム1について説明する。また、以下の説明においては、作業制御情報WIが、作業支援装置10の外部から入力される形態である場合について説明する。
作業支援装置10は、プラント内に設置された設備において点検作業やトラブル対応を行う作業員の作業を支援する携帯端末装置である。プラントにおいて作業員は、例えば、プラントに配置されたそれぞれの設備の運用(稼働)を管理する管理者から設備Faに対する作業を依頼された場合、作業支援装置10を携帯してプラント内に配置された設備Faのところに出向き、設備Faに対して依頼された点検作業やトラブル対応の作業を実施する。なお、プラントとしては、石油の精製や化学製品の生産を行う工業プラントの他、ガス田や油田などの井戸元やその周辺を管理制御するプラント、水力・火力・原子力などの発電を管理制御するプラント、太陽光や風力などの環境発電を管理制御するプラント、上下水やダムなどを管理制御するプラントなどが含まれる。
なお、作業支援装置10は、プラント内において専用に使用される携帯端末装置であってもよい。また、作業支援装置10は、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)や、携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistant)の機能を備えた、いわゆる、タブレット端末などの携帯端末機器であってもよい。また、作業支援装置10は、既存の移動体通信網を利用した携帯電話の機能と、携帯情報端末の機能とを融合させた、いわゆる、スマートフォンなどの携帯通信端末機器であってもよい。また、作業支援装置10は、例えば、ウエラブル端末など、作業員が身につける端末機器であってもよい。以下の説明においては、作業支援装置10が、携帯通信端末機器として構成されているものとして説明する。
なお、一般的に、プラントには複数の作業員が所属している。このため、プラントにおいては、複数の作業支援装置10が存在することが考えられる。そして、それぞれの作業員は、作業支援装置10を各自で携帯して、作業対象の設備Faのところに出向いて作業を行う。しかし、プラントにおいては、作業支援装置10が、それぞれの作業員で共有されている、つまり、それぞれの作業員に専用の作業支援装置10が用意されていないことも考えられる。以下の説明においては、作業支援装置10が複数の作業員によって共有されるものとして説明する。
作業制御装置100は、入力された作業制御情報WIに基づいて、作業実行装置200において作業を実施する際に実行する機能を制御する。また、作業制御装置100は、作業実行装置200が作業を実施するための機能を実行して得た結果をまとめた報告書Rを作成し、作成した報告書Rを、例えば、管理者に出力する。作業制御装置100は、作業情報入力部110と、作業情報認証部120と、作業認証部130と、機能制御部140と、結果報告部150とを含んで構成される。
作業情報入力部110は、設備Faに対して行う作業を制御するための情報が含まれた作業制御情報WIの入力を受け付ける。なお、作業情報入力部110に作業制御情報WIを入力する方法としては、様々な方法が考えられる。例えば、作業情報入力部110は、プラント内に構築された無線通信ネットワークを介して送信されてきた作業制御情報WIを受信する構成であってもよい。この場合における無線通信ネットワークとしては、例えば、ISA100.11aやWireless HART(登録商標)など、プラント内に構築される種々の工業用の無線通信規格に準拠した無線通信ネットワークが考えられる。また、例えば、作業情報入力部110は、一般的なインターフェースによって接続された機器から出力された作業制御情報WIを受け付ける構成であってもよい。この場合における一般的なインターフェースとしては、例えば、USB(Universal Serial Bus(登録商標))などの有線インターフェースや、WiFi(登録商標)などの無線通信規格、ブルートゥース(登録商標)(Bluetooth(登録商標))などの短距離無線通信規格、NFC(Near Field radio Communication)などの近距離無線通信規格などに準拠した無線通信が考えられる。なお、作業支援装置10(作業情報入力部110)は、例えば、ウェブサービス(Webサービス)などの公衆のネットワーク通信網であるインターネット上にデータを保有して利用する、いわゆる、クラウドコンピューティングシステムに備えたクラウドサーバ装置から、インターネットを介して作業制御情報WIを受け付ける構成であってもよい。このように、作業制御情報WIが作業支援装置10の外部から入力される形態である場合、作業情報入力部110は、外部の記憶装置に予め記憶されている作業制御情報WIを、様々な方法で受け付ける。なお、作業制御情報WIが作業支援装置10に内蔵されている形態である場合、作業情報入力部110は、例えば、記憶装置300に予め記憶されている作業制御情報WIを読み込むことによって、作業制御情報WIを受け付ける方法が考えられる。
ここで、作業情報入力部110に入力される作業制御情報WIについて説明する。作業制御情報WIは、プラント内に配置された設備に対する作業を作業員に依頼する際に管理者によって作成される、依頼する1つの作業ごとの作業内容が表された情報である。作業制御情報WIは、プラント内に配置された設備に対して行う作業が示された作業指示書や作業手順書に含まれる1つ1つの作業ごとに作成される。従って、管理者が一連の作業を作業員に依頼する場合には、一連の作業に含まれるそれぞれの作業ごとに作業制御情報WIが作成される。つまり、一連の作業を作業員に依頼する場合には、複数の作業制御情報WIが管理者によって作成される。なお、作業制御情報WIは、作業員に作業を依頼するごとに管理者が作成してもよいし、予め定め作成しておいた作業制御情報WIを使用してもよい。なお、管理とは、管理者である人が行うほか、コンピュータが、実行しているプログラムに従って行ってもよい。この場合、コンピュータは、今回の報告書Rに含まれる報告内容を、他の作業員が行った作業の報告内容と比較して、比較した結果を作業制御情報WIにフィードバックして反映させてもよい。以下の説明においては、作業制御情報WIは、管理者がプラントに配置されたそれぞれの設備の運用(稼働)を管理するために使用している、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)などによって、作業員に作業を依頼するごとに作成されるものとして説明する。
作業制御情報WIには、作業制御情報WI自体を識別するための「識別情報(ID)」と、作業を行う対象(作業対象)の設備(図1においては、設備Fa)を認識するための「対象設備」と、設備に対して行う作業内容を表す「対象作業」とが、少なくとも含まれている。「識別情報(ID)」は、例えば、n桁(n=自然数、正の整数)の文字列から構成される、作業制御情報WIに排他的に付与された情報である。「対象設備」は、例えば、「機器ID」、「機種名」、「シリアル番号」など、作業対象の設備に排他的に付与されている情報である。なお、「対象設備」は、複数の作業対象の設備が含まれた情報であってもよい。「対象作業」は、例えば、「ゼロ点調整」など、作業対象の設備に対して作業員が実際に行う作業の内容を示した情報である。
また、作業制御情報WIには、「対象作業」の情報に基づいて行った作業の結果として報告する内容を指定するための「報告項目」が含まれていてもよい。「報告項目」は、例えば、作業を行った時間を報告するための「作業時間」や、作業を行った結果を報告するための「作業結果」、作業を行う前と後で比較するための「パラメータ」、作業支援装置10を使用して撮影した「写真」や「画像」、作業支援装置10に備えたセンサによって計測した「計測値」など、報告書Rとして報告する必要がある項目(内容)を指定する情報である。また、「報告項目」は、例えば、作業の前後に撮影したそれぞれの画像を報告書Rに貼付する(紐づける)ことを指定する情報が含まれていてもよい。
また、作業制御情報WIには、この作業制御情報WIを受け取るための「作業情報認証方法」が含まれていてもよい。「作業情報認証方法」は、例えば、「パスワード認証」や「指紋認証」など、作業制御情報WIを受け取る際に必要な認証方法を示した情報である。また、作業制御情報WIには、「対象作業」で示された作業を実施するための「登録認証方法」が含まれていてもよい。「登録認証方法」は、例えば、「パスワード認証」や「指紋認証」など、「対象作業」で示された作業内容を設備に対して行う際に必要な認証方法を示した情報である。この「作業情報認証方法」や「登録認証方法」の情報に基づいて認証を行うことによって、作業員が、例えば、キーワードなどによって作業制御情報WIを検索して受け取ろうとした場合に、適正な作業員のみが作業制御情報WIを受け取れるようになる。なお、「作業情報認証方法」や「登録認証方法」は、同じ認証方法であってもよいし、異なる認証方法であってもよい。また、この「作業情報認証方法」や「登録認証方法」には、0個以上の認証方法を示すことができる。例えば、作業情報入力部110が、USB(登録商標)などの有線インターフェースによって1対1に接続して作業制御情報WIを受け付ける場合であれば、「作業情報認証方法」や「登録認証方法」に示される認証方法は、0個であってもよい。つまり、作業支援装置10は、認証を行わずに作業制御情報WIを受け取るようにしてもよい。これは、作業支援装置10がUSB(登録商標)などの有線インターフェースによって作業制御情報WIを直接受け取る場合には、「作業情報認証方法」や「登録認証方法」によって認証を行わなくても、誤った作業員が作業制御情報WIを受け取ってしまうことはなく、「対象作業」で示された作業を実施することができると考えられるからである。また、例えば、作業情報入力部110が、プラント内に構築された無線通信ネットワークを介して作業制御情報WIを受け付ける場合であれば、「作業情報認証方法」や「登録認証方法」に示される認証方法として、1個または複数の認証方法が示されることが望ましい。つまり、作業支援装置10は、認証を行って作業制御情報WIを受け付けることが望ましい。これは、作業支援装置10は、無線通信ネットワークを介して複数の作業制御情報WIを受け取ることができる環境にあるため、「作業情報認証方法」や「登録認証方法」によって認証を行うことによって、作業制御情報WIを受け取って、「対象作業」で示された作業を設備に対して作業を実施することができる作業支援装置10や作業支援装置10を使用する作業員を限定することができると考えられるからである。
また、作業制御情報WIには、「対象作業」で示された作業の実施を開始するための「作業開始条件」が含まれていてもよい。「作業開始条件」は、例えば、「作業計画日」や、「開始時間」、「順序」など、「対象作業」で示された作業内容を設備に対して行う際に必要な条件を示した情報である。この「作業開始条件」によって、「対象作業」で示された作業を実施する前にすでに実施されていなければならない他の作業制御情報WIに含まれている「対象作業」で示された作業や、複数の作業制御情報WIに含まれている「対象作業」によって連携して行う必要がある作業を行うようにすることができる。また、この「作業開始条件」によって、定期的に実施する作業を作業制御情報WIで示すことができる。なお、作業支援装置10は、「作業計画日」や「開始時間」が近づくと、「作業計画日」や「開始時間」が近づいたことを外部(作業員など)に通知する機能を備えていてもよい。
また、作業制御情報WIには、「対象作業」で示された作業を実施することができる「作業者」が含まれていてもよい。「作業者」は、例えば、「対象作業」で示された作業の難易度や、作業後に必要な対処の有無などに基づいて、作業を行う作業員を指定するための情報である。なお、「作業者」は、「対象作業」で示された作業を実施することができる複数の作業員を指定してもよい。この「作業者」の情報によって、作業員は、自分が作業の実施を依頼されたのか否かを確認することができ、適正な作業員のみが作業制御情報WIを受け取れるようになる。また、作業制御情報WIには、「作成者」が含まれていてもよい。「作成者」は、作業制御情報WI自体を作成した管理者の情報である。
作業情報入力部110は、入力された(受け付けた)作業制御情報WIを、作業情報認証部120に出力する。なお、作業情報入力部110は、複数の作業制御情報WIが入力された(受け付けた)場合には、入力された(受け付けた)それぞれの作業制御情報WIを記憶装置300に一旦記憶し(書き込み)、作業制御情報WIを記憶したことを、作業情報認証部120に通知する構成であってもよい。この場合、作業情報認証部120は、作業情報入力部110からの通知に応じて、記憶装置300に記憶している作業制御情報WIを適宜読み出して処理を行う構成となる。
作業情報認証部120は、作業情報入力部110から出力された作業制御情報WIに含まれている「作業情報認証方法」の情報に基づいた認証方法によって、作業制御情報WIを受け取る際の認証を行う。ここで、作業情報認証部120は、作業支援装置10を使用している作業員が、作業制御情報WIを受け取ることができる作業員であるか否かを判定する。作業情報認証部120は、複数の認証方法によって認証を行う多要素認証の機能を備えている。例えば、「作業情報認証方法」に、「指紋認証」と「パスワード認証」とが示されている場合、作業情報認証部120は、指紋による認証と、いわゆる、ワンタイムパスワードなどのパスワードによる認証とを行って、作業制御情報WIを受け取ることができる作業員であるか否かを判定する。作業情報認証部120は、作業制御情報WIを受け取ることができる作業員であると判定した場合に、作業情報入力部110から出力された作業制御情報WIを、作業認証部130に出力する。なお、作業情報認証部120は、作業情報入力部110から出力された作業制御情報WIに「作業者」の情報が含まれている場合には、認証を行う際に作業員によって入力された情報(指紋やワンタイムパスワード)と、「作業者」の情報とを照合して、作業制御情報WIを受け取ることができる作業員であるか否かを判定してもよい。
作業認証部130は、作業情報認証部120から出力された作業制御情報WIに含まれている「登録認証方法」の情報に基づいた認証方法によって、「対象作業」で示された作業を実施する際の認証を行う。ここで、作業認証部130は、作業支援装置10を使用している作業員が、「対象作業」で示された作業を実施することができる作業員であるか否かを判定する。作業認証部130は、複数の認証方法によって認証を行う多要素認証の機能を備えている。例えば、「登録認証方法」に、「指紋認証」と「パスワード認証」とが示されている場合、作業認証部130は、指紋による認証と、パスワード(ワンタイムパスワードなど)による認証とを行って、作業支援装置10を使用している作業員が、「対象作業」で示された作業を実施することができる作業員であるか否かを判定する。作業認証部130は、「対象作業」で示された作業を実施することができる作業員であると判定した場合に、作業情報認証部120から出力された作業制御情報WI、つまり、作業情報入力部110が受け付けた作業制御情報WIを、機能制御部140に出力する。なお、作業認証部130は、作業情報認証部120から出力された作業制御情報WIに「作業者」の情報が含まれている場合には、認証を行う際に作業員によって入力された情報(指紋やワンタイムパスワード)と、「作業者」の情報とを照合して、「対象作業」で示された作業を実施することができる作業員であるか否かを判定してもよい。また、作業認証部130は、作業情報認証部120から出力された作業制御情報WIに含まれている「対象作業」の情報に基づいて、作業支援装置10が、「対象作業」で示された作業を実施することができる作業支援装置10であるか否かを判定してもよい。この場合、作業認証部130は、「対象作業」で示された作業を実施することができる機能が、作業実行装置200に備えられているか否かを判定する。そして、作業認証部130は、「対象作業」で示された作業を実施することができる作業員であり、「対象作業」で示された作業を実施することができる機能を作業実行装置200に備えている場合に、作業情報認証部120から出力された作業制御情報WIによって依頼された作業を実施することができると判定する。
また、作業認証部130は、設備に付与されているタグの情報を、例えば、バーコードや、拡張現実(AR:Augmented Reality)、RFID(Radio Frequency IDentifier)などによって読み取り、読み取ったタグの情報と、作業制御情報WIにおいて「対象設備」を認識するため情報として含まれているタグとを比較することによって、「対象作業」で示された作業を実施する対象設備の認証を行う。なお、この対象設備の認証は、作業支援装置10を設備に接続して通信を行っていない状態で実行することができる。
なお、作業認証部130が行う認証方法が、作業情報認証部120が行う認証方法と同じ認証方法である場合には、作業認証部130は、作業情報認証部120が認証を行う際に作業員によって入力された認証を行うための情報(指紋やワンタイムパスワード)を使用して認証を行ってもよい。また、プラントにおいてそれぞれの作業員に専用の作業支援装置10が用意されている場合、作業員が作業支援装置10を起動する際に、同様の認証を行う構成であることも考えられる。この場合、作業情報認証部120と作業認証部130とのそれぞれは、作業支援装置10を起動する際に作業員によって入力された認証を行うための情報を使用して認証を行ってもよい。
機能制御部140は、作業認証部130から出力された作業制御情報WIに含まれている「対象設備」および「対象作業」の情報に基づいて、「対象設備」に示された作業対象の設備(図1においては、設備Fa)に対して、「対象作業」で示された作業の実施に用いる作業実行装置200に備えた機能の動作を制御する。このとき、機能制御部140は、作業対象の設備に対して「対象作業」で示された作業を実施するために必要な機能のみを動作させるように、作業実行装置200を制御してもよい。言い換えれば、機能制御部140は、作業対象の設備に対して「対象作業」で示された作業以外の実施に用いる作業実行装置200の機能を動作させないように制御してもよい。なお、「対象作業」で示された作業を実施するために必要な機能は、例えば、設備に対して実施する作業の手順を示した作業手順書などに基づいて、予め定めた決定されている。これにより、作業支援システム1では、機能制御部140が、実施する作業以外の作業を、作業対象の設備や、作業対象ではない設備に対して行わないように、作業実行装置200を制御することができる。なお、機能制御部140は、作業認証部130から出力された作業制御情報WIに「作業開始条件」が含まれている場合には、「作業開始条件」に示された条件を満たすタイミングで、「対象作業」で示された作業を実施するための機能を動作させるように、作業実行装置200を制御する。機能制御部140は、動作させる機能を表す情報を、作業実行装置200に出力する。また、機能制御部140は、作業認証部130から出力された作業制御情報WI、つまり、作業情報入力部110が受け付けた作業制御情報WIを、結果報告部150に出力する。
また、機能制御部140は、作業認証部130から出力された作業制御情報WIに「報告項目」の情報が含まれている場合には、「報告項目」の情報に基づいて、作業実行装置200に備えた機能を動作させ、「対象設備」に示された作業対象の設備(図1においては、設備Fa)に対して「対象作業」で示された作業を実施した結果の情報を取得するために用いる作業実行装置200に備えた機能の動作を制御する。そして、機能制御部140は、「対象作業」で示された作業を実施した結果の情報を、作業実行装置200から取得する。機能制御部140は、作業実行装置200から取得した作業を行った結果の情報を、結果報告部150に出力する。
なお、作業支援システム1において、作業制御装置100と作業実行装置200とが異なる装置として構成されている場合、作業制御装置100(機能制御部140)は、例えば、プラント内に構築された無線通信ネットワークを介して、動作させる機能を表す情報を、作業実行装置200に送信する。なお、作業制御装置100が、クラウドコンピューティングシステムに備えたクラウドサーバ装置内に構成されている場合には、機能制御部140は、インターネットを介して、動作させる機能を表す情報を、作業実行装置200に送信する構成であってもよい。
結果報告部150は、機能制御部140から出力された作業を行った結果の情報を、機能制御部140から出力された作業制御情報WIに含まれている「報告項目」の情報に基づいてまとめた報告書Rを作成する。結果報告部150は、作成した報告書Rを、作業支援装置10の外部に出力する。なお、結果報告部150が報告書Rを出力する方法としては、作業情報入力部110と同様に、様々な方法が考えられる。例えば、結果報告部150は、プラント内に構築された無線通信ネットワークを介して、管理者がプラントに配置されたそれぞれの設備の運用(稼働)を管理するために使用している、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)に送信する構成であってもよい。また、例えば、結果報告部150は、一般的なインターフェースによって、管理者が使用しているパーソナルコンピュータ(PC)に報告書Rを出力する構成であってもよい。なお、作業支援装置10(結果報告部150)は、クラウドコンピューティングシステムに備えたクラウドサーバ装置に、インターネットを介して、報告書Rを出力する構成であってもよい。
作業実行装置200は、プラント内に配置された設備に対して、様々な作業を行うための機能(以下、「作業機能」という)を実行する。作業実行装置200は、設備のあらゆる動作を制御するための作業機能を備えており、作業機能を実行することによって、設備に対して様々な作業を実行することができる。作業実行装置200は、例えば、プラント内に配置された設備に対して行う保守作業に対応したメンテナンスツールなどの作業機能を備えている。ただし、作業実行装置200は、起動した状態のみでは、設備の動作を制御することはできず、作業制御装置100から出力された動作させる機能を表す情報が入力されることによって、対応する作業機能を実行することができる。作業実行装置200は、作業制御装置100(より具体的には、機能制御部140)から出力された動作させる機能を表す情報に応じて、備えている作業機能の内、作業制御情報WIに含まれている「対象作業」に示された作業を実施するために必要な作業機能のみを動作させる。また、作業実行装置200は、作業制御装置100から出力された動作させる機能を表す情報に応じて、動作させた作業機能によって設備から得た作業の結果の情報を、作業制御装置100(より具体的には、機能制御部140)に出力する。作業実行装置200は、表示操作部210と、機能実行部220と、通信部230とを含んで構成される。
表示操作部210は、機能実行部220から出力されたデータに応じた表示画面を生成して表示することによって、作業支援装置10を携帯している作業員に様々な情報を提示する表示部である。また、表示操作部210は、作業支援装置10を携帯している作業員による操作を受け付け、受け付けた作業員の操作の情報を機能実行部220に出力する操作部でもある。表示操作部210は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)などの表示デバイスと、表示デバイス内に備えられた、例えば、押圧センサなどによって作業員によるタップやフリックなどの各種のタッチ操作を検出する検出デバイスとが組み合わされたタッチパネルとして構成されている。
機能実行部220は、作業支援装置10によって設備(図1においては、設備Fa)に対して行うことができる様々な作業機能を実行する。機能実行部220は、作業制御装置100から出力された動作させる機能を表す情報に応じて、「対象作業」に示された作業を実施するための作業機能を実行し、実行した作業機能に従って設備Faを制御するための制御信号を、通信部230を介して設備Faに出力する。また、機能実行部220は、出力した制御信号に応じた動作によって通信部230を介して設備Faから出力された様々な情報を受け取り、受け取った情報を、作業を行った結果の情報として作業制御装置100(より具体的には、機能制御部140)に出力する。
なお、作業支援システム1において、作業制御装置100と作業実行装置200とが異なる装置として構成されている場合、作業実行装置200(機能実行部220)は、例えば、プラント内に構築された無線通信ネットワークを介して、作業を行った結果の情報を、作業制御装置100に送信する。なお、作業制御装置100が、クラウドコンピューティングシステムに備えたクラウドサーバ装置内に構成されている場合には、機能実行部220は、インターネットを介して、作業を行った結果の情報を、作業制御装置100に送信する構成であってもよい。
なお、機能実行部220は、通信部230を介して設備Faから出力された作業の結果の情報を、記憶装置300に一旦記憶し(書き込み)、作業の結果を記憶したことを、作業制御装置100に通知する構成であってもよい。この場合、作業制御装置100に備えた結果報告部150は、機能実行部220からの通知に応じて、記憶装置300に記憶している作業の結果の情報を適宜読み出して、作業制御情報WIに含まれている「報告項目」の情報に基づいてまとめた報告書Rを作成する構成となる。
通信部230は、設備Faとの間で通信を行って、機能実行部220から出力された制御信号を設備Faに送信する。また、通信部230は、設備Faとの間で通信を行って、出力した制御信号に応じて設備Faから出力された様々な情報を受信し、受信した情報を機能実行部220に出力する。なお、通信部230と設備Faとの間の通信方法としては、様々な通信方法が考えられるため、本発明においては、有線、無線を問わず、通信部230と設備Faとの間の通信方法に関しては、特に規定しない。
記憶装置300は、作業支援装置10における種々の処理において使用するデータを一時的に記憶(保持)する記憶装置である。記憶装置300は、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などで構成されている。記憶装置300は、例えば、作業制御装置100に備えた作業情報入力部110に入力された(受け付けた)作業制御情報WIを一時的に記憶(保持)する。また、記憶装置300は、作業実行装置200に備えた機能実行部220が通信部230を介して得た、設備Faに対して作業を行った結果の様々な情報を一時的に記憶(保持)する。
なお、図1においては、記憶装置300が、作業支援装置10に備えた構成要素である場合を示しているが、記憶装置300は、作業支援装置10の外部に備えた構成要素であってもよい。この場合、記憶装置300は、例えば、プラント内に構築された無線通信ネットワークを介して作業支援装置10から送信されてきた作業制御情報WIや作業を行った結果の情報を、一時的に記憶(保持)する。また、記憶装置300は、クラウドコンピューティングシステムにおいてクラウドサーバ装置が利用するインターネット上のデータを保有する記憶装置であってもよい。この場合、記憶装置300は、インターネットを介して作業支援装置10から送信されてきた作業制御情報WIや作業を行った結果の情報を、一時的に記憶(保持)する。
このような構成によって、作業支援装置10(作業支援システム1)は、作業支援装置10を携帯してプラント内に配置された設備Faのところに出向いて、管理者から依頼された点検作業やトラブル対応の作業を実施する作業員を支援する。より具体的には、作業支援装置10は、作業制御情報WIに含まれる「対象設備」および「対象作業」で示された作業対象の設備に対する依頼された作業を行えるようにすることによって、作業員が行う作業を支援する。さらに具体的には、作業支援装置10は、作業制御情報WIに含まれる「対象設備」および「対象作業」で示された作業対象の設備に対する依頼された作業のみを行えるようにすることによって、作業対象の設備に対して他の作業を行ってしまったり、作業対象ではない設備に対して他の作業を行ってしまったりすることがないように、つまり、誤った作業をしてしまわないように、作業員が行う作業を支援する。例えば、ゼロ点調整の場合、作業制御装置100は、「対象作業」として「ゼロ点調整」が記載されている作業制御情報WIを受け取り、作業実行装置200に対して、ゼロ点調整を設備Faで実行させるための制御信号を送信する。作業実行装置200は、設備Faにおけるゼロ点調整の動作を実行させるための作業機能を備え、作業制御装置100から送信された制御信号を受信し、受信した制御信号に基づいて、設備Faにゼロ点調整の動作を行わせる。
また、作業支援装置10は、作業制御情報WIに含まれる「報告項目」で示された作業の結果をまとめた報告書を作成することによって、作業員が報告書を作成する作業を支援する。これにより、作業支援装置10(作業支援システム1)では、作業員が作業対象の設備に対して適切な作業を実施することができ、管理者は、所望する作業の結果がまとめられた報告書を得て確認することができる。
次に、第1の実施形態の作業支援システム1が構築されたプラントにおける作業の手順について説明する。なお、以下の説明においても、作業支援システム1を構成するそれぞれの構成要素が、作業支援装置10内に構成されているものとして説明する。図2は、本第1の実施形態の作業支援システム1(作業支援装置10)を利用して作業を行う手順の一例を示した図である。
(手順P11):管理者Mは、プラント内に配置された設備Faに対する作業を作業員FOに依頼するための作業制御情報WIを、管理者Mがプラントに配置されたそれぞれの設備の運用(稼働)を管理するために使用しているパーソナルコンピュータ(PC)などによって作成する。
ここで、管理者Mが作成した作業制御情報WIの一例について説明する。図3は、本第1の実施形態の作業支援システム1において作業を依頼するための作業制御情報WIの一例を示した図である。図3には、「識別情報(ID)」、「作業者」、「作業情報認証方法」、「登録認証方法」、「対象設備」、「対象作業」、「報告項目」のそれぞれの情報が含まれた作業制御情報WIの一例を示している。より具体的には、図3に示した作業制御情報WIには、「識別情報(ID)」の情報として、この作業制御情報WIを識別するために付与された「1234」が含まれている。また、図3に示した作業制御情報WIには、「作業者」の情報として、作業を依頼する作業員FOの担当者名である「横河太郎」が含まれている。また、図3に示した作業制御情報WIには、「作業情報認証方法」の情報として、作業制御情報WIを受け取る際に認証を行わないことを表す「なし」が含まれている。また、図3に示した作業制御情報WIには、「登録認証方法」の情報として、パスワードによる認証を行うことを表す「パスワード認証(パスワード:XXXX)」が含まれている。また、図3に示した作業制御情報WIには、「対象設備」の情報として、付与されているタグが「PT100」である設備Faが作業対象の設備であることを表す「タグ:PT100(機種:EJX110)」が含まれている。また、図3に示した作業制御情報WIには、「対象作業」の情報として、作業対象の設備Faのゼロ点を校正する作業を行うことを表す「ゼロ点調整」が含まれている。また、図3に示した作業制御情報WIには、「報告項目」の情報として、作業の前後の圧力値PVの測定値、圧力設定値PLTPの設定値、および出力電流AOの出力値のそれぞれのパラメータを、報告書として報告する必要があることを表す、「作業前取得パラメータ:PV(測定値)、PLTP(設定値)、AO(出力値)」および「作業後取得パラメータ:PV(測定値)、PLTP(設定値)、AO(出力値)」が含まれている。上述したようなそれぞれの情報によって、図3に示した作業制御情報WIでは、作業員=「横河太郎」に、タグ=「PT100」が付与されている設備Faに対して「ゼロ点調整」の作業を行って、作業の前後の圧力値PV、圧力設定値PLTP、および出力電流AOが含まれる報告書で報告することを依頼している。
(手順P12):管理者Mは、作成した作業制御情報WIを出力して、作業員FOに作業を依頼する。なお、管理者Mが作業員FOに作業を依頼する方法は、上述したように、様々な方法が考えられる。例えば、管理者Mが使用しているパーソナルコンピュータ(PC)から作成した作業制御情報WIのデータを取り出して作業員FOに渡す方法であってもよいし、作成した作業制御情報WIのデータを、作業員FOが使用するパーソナルコンピュータ(PC)や作業支援装置10に送信する方法であってもよい。また、例えば、作成した作業制御情報WIのデータを、プラント内に構築された無線通信ネットワークを介して、作業員FOが操作することができるサーバ装置に送信して、作業を依頼することを作業員FOに伝える方法であってもよい。また、例えば、作成した作業制御情報WIのデータを、プラント内に構築された無線通信ネットワークを介して直接、作業支援装置10に送信してもよい。
(手順P13):作業員FOは、管理者Mからの作業の依頼に応じて、作業制御情報WIを、作業支援装置10に入力する。これにより、作業支援装置10は、それぞれの構成要素が上述した処理を行い、入力された作業制御情報WIを受け取って、「対象作業」に示された作業を実施するための作業機能が動作している状態になる。より具体的には、作業制御装置100は、入力された作業制御情報WIに含まれる「作業情報認証方法」および「登録認証方法」による認証方法によって、作業員FOが、「対象作業」に示された作業を実施することができる作業員であることが認証された場合に、作業制御情報WIを受け取って登録する。そして、作業制御装置100は、登録した作業制御情報WIに含まれる「対象作業」に示された作業の実施に必要な機能を動作させるように作業実行装置200を制御する。作業実行装置200は、作業制御装置100からの制御に応じて、登録した作業制御情報WIに含まれる「対象作業」に示された作業を実施するための作業機能を実行している状態で待機する。
このとき、作業支援装置10は、登録した作業制御情報WIに含まれる情報を、表示操作部210に表示することによって、作業制御情報WIによって表されている管理者Mからの作業の依頼内容を、作業員FOに提示する。ここで、作業支援装置10は、少なくとも、「対象設備」に示された作業対象の設備と、「対象作業」に示された作業対象の設備に対して行う作業内容との情報を、表示操作部210に表示する。これにより、作業員FOは、プラント内に配置されたどの設備に対してどのような作業を行うことが依頼されたのかを確認することができる。なお、作業支援装置10は、登録した作業制御情報WIに「報告項目」が含まれている場合には、「報告項目」に示された作業の結果として報告する内容の情報を、表示操作部210に表示する。これにより、作業員FOは、プラント内に配置されたどの設備に対して作業を行った際に、どのような結果を報告する必要があるのかを確認することができる。また、作業支援装置10は、登録した作業制御情報WIに「作業開始条件」が含まれている場合には、「作業開始条件」に示された条件も、表示操作部210に表示する。これにより、作業員FOは、プラント内に配置されたどの設備に対して、どのようなタイミングで依頼された作業を行うのかを確認することができる。
(手順P14):作業員FOは、表示操作部210に表示された設備の情報に基づいて、依頼された作業対象の設備Faに出向き、登録した作業制御情報WIに含まれる「対象作業」に応じた作業機能を実行している作業支援装置10を、作業対象の設備Faに接続する。これにより、作業支援装置10は、実行している作業機能によって、設備Faに対して、「対象作業」に示された作業、つまり、作業員FOが管理者Mから依頼された作業を実施する。このとき、作業員FOは、必要に応じて、表示操作部210に表示された操作の指示に従った作業支援装置10の操作を行う。なお、作業支援装置10は、設備Faに対して、作業を行っているときに、登録した作業制御情報WIに含まれる「報告項目」で示された作業の結果として報告する内容の情報を、設備Faから取得する。
(手順P15):作業員FOは、作業支援装置10による設備Faに対する作業が終了すると、設備Faから作業支援装置10を切り離して、例えば、管理者Mが待機している、または作業員FO自体が待機する事務所などに戻る。このとき、作業支援装置10は、設備Faから取得した情報に基づいて、実施した作業の結果をまとめた報告書Rを作成する。そして、作業員FOは、例えば、事務所において、作業支援装置10が作成した報告書Rを、管理者Mに提出する。なお、作業員FOが管理者Mに報告書Rを提出する方法は、上述したように、様々な方法が考えられる。例えば、作業支援装置10が作成した報告書Rのデータを取り出して管理者Mに渡す方法であってもよいし、取り出した報告書Rのデータを、作業員FOが操作することができるサーバ装置から、管理者Mが使用しているパーソナルコンピュータ(PC)に送信する方法であってもよい。また、例えば、取り出した報告書Rのデータを、プラント内に構築された無線通信ネットワークを介して、管理者Mが操作することができるサーバ装置に送信して、報告書を提出したことを管理者Mに伝える方法であってもよい。また、例えば、作業支援装置10が作成した報告書Rのデータを、プラント内に構築された無線通信ネットワークを介して直接、管理者Mが使用しているパーソナルコンピュータ(PC)やサーバ装置に送信してもよい。
ここで、作業支援装置10が作成する報告書Rの一例について説明する。図4は、本第1の実施形態の作業支援システム1を利用して行った作業の結果を報告する報告書Rの一例を示した図である。図4には、図3に示した作業制御情報WIに応じた作業の結果を報告する報告書Rの一例を示している。より具体的には、図3に示した作業制御情報WIにおいて「報告項目」の情報として示された、作業の前後の圧力値PV(測定値)、圧力設定値PLTP(設定値)、および出力電流AO(出力値)のそれぞれを報告する報告書Rの一例を示している。図4に示した報告書Rには、図3に示した作業制御情報WIの「対象設備」において作業対象の設備Faのタグとして示された「PT100」、および作業対象の設備Faの機種として示された「EJX110」とが、「設備」の欄に示されている。また、図4に示した報告書Rには、図3に示した作業制御情報WIの「対象作業」において作業内容として示された「ゼロ点調整」が、「作業」の欄に示されている。また、図4に示した報告書Rには、作業対象の設備Faに対して依頼された作業を行った「日付」および「時刻」が、「作業日」の欄に示されている。また、図4に示した報告書Rには、図3に示した作業制御情報WIの「作業者」において作業を依頼する担当者名として示された「横河太郎」が、「担当者」の欄に示されている。なお、図4に示した報告書Rにおいて「責任者」の欄は、空欄である。また、図4に示した報告書Rには、図3に示した作業制御情報WIの「報告項目」において報告する必要がある情報として示された作業前の圧力値PV(測定値)、圧力設定値PLTP(設定値)、および出力電流AO(出力値)のそれぞれの値が、作業前取得パラメータの対応する欄に示されている。また、図4に示した報告書Rには、図3に示した作業制御情報WIの「報告項目」において報告する必要がある情報として示された作業後の圧力値PV(測定値)、圧力設定値PLTP(設定値)、および出力電流AO(出力値)のそれぞれの値が、作業後取得パラメータの対応する欄に示されている。図4に示したような報告書Rによって、管理者Mは、作業員=「横河太郎」に依頼した、タグ=「PT100」が付与されている設備Faに対して「ゼロ点調整」の作業を行った結果として得られた作業の前後の圧力値PV、圧力設定値PLTP、および出力電流AOを確認することができる。
このような手順によって、作業支援装置10(作業支援システム1)では、作業支援装置10を携帯してプラント内に配置された設備Faのところに出向いて、管理者Mから依頼された点検作業やトラブル対応の作業を実施する作業員FOを支援する。より具体的には、作業支援装置10が、作業制御情報WIに含まれる「対象設備」および「対象作業」で示された作業対象の設備Faに対して依頼された作業のみを実施する作業機能を実行する。また、作業支援装置10が、実行している作業機能によって作業対象の設備Faから取得した作業の結果を報告書Rとしてまとめる。これにより、作業支援装置10(作業支援システム1)では、作業員FOが、管理者Mから依頼された作業を正確に実施することができる。また、作業支援装置10(作業支援システム1)では、作業制御情報WIに含まれる「報告項目」で示された、管理者Mが報告を受けたい結果を正確に報告することができる。
上記に述べたように、第1の実施形態の作業支援システム1では、作業支援システム1が構成された作業支援装置10を携帯してプラント内に配置された設備Faのところに出向き、管理者Mから依頼された点検作業やトラブル対応の作業を実施する作業員FOが、誤った作業をしてしまわないように支援する。これにより、第1の実施形態の作業支援システム1では、作業員FOが作業対象の設備に対して適切な作業を実施することができる。
また、第1の実施形態の作業支援システム1では、作業支援システム1が構成された作業支援装置10によって実施された作業の結果に基づいて、作業員FOが、管理者Mが所望する作業の結果が記載された報告書Rを作成することができるように支援する。これにより、第1の実施形態の作業支援システム1では、管理者Mが所望する作業の結果が記載された報告書Rを作成することができ、管理者Mは、所望する作業の結果がまとめられた報告書Rを得て確認することができる。
なお、第1の実施形態の作業支援システム1では、作業支援システム1を構成する作業制御装置100、作業実行装置200、および記憶装置300のそれぞれが、1つの作業支援装置10として構成されている場合について説明した。しかし、上述したように、プラントにおいては、複数の作業員が所属しており、それぞれの作業員は同じ作業を行うとは限らない。このため、プラントに属しているそれぞれの作業員が使用する作業支援装置は、必ずしもプラント内に配置された設備に対して保守作業を行うメンテナンスツールなどの作業機能を実行するものに限定されるものではない。このことから、それぞれの作業機能を実行する作業支援装置の分だけ、つまり、プラントに存在するそれぞれの作業支援装置の分だけ、複数の異なる作業支援システムが存在してもよい。例えば、プラント内に配置された設備が動作している状態を監視するための作業機能を実行する作業支援システムが存在してもよい。また、上述したように、プラントにおける作業には、複数の作業機能が連携して1つの作業を行う場合もある。このため、連携する作業機能を備えた異なる作業支援システム(作業支援装置)が、1つの作業支援システムとして構成されてもよい。
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態では、プラントにおいてループテストを行う場合について説明する。なお、ループテストとは、設備からテスト用の信号を出力し、監視する対象の経路を伝達してきたテスト用の信号を監視することによって、テスト用の信号を出力した設備からテスト用の信号を監視した位置までの間の経路の健全性を確認するテストである。
図5は、本発明の第2の実施形態における作業支援システムの概略構成を示したブロック図である。作業支援システム2は、作業支援装置21と、作業支援装置22とを含んで構成される。作業支援システム2は、作業支援装置21と作業支援装置22とが連携して、プラント内に設置された設備において点検作業やトラブル対応を行う作業員の作業を支援するシステムである。
なお、作業支援システム2においても、第1の実施形態の作業支援システム1と同様に、作業支援システム2を構成するそれぞれの構成要素は、それぞれが異なる装置として構成されてもよいが、同じ装置の中に構成されてもよい。図5においては、作業支援システム2を構成するそれぞれの構成要素が、作業支援装置21と作業支援装置22との2つの作業支援装置内に構成されている場合を示している。より具体的には、図5には、作業制御装置100および作業実行装置200を含んだ作業支援装置21と、作業制御装置100、作業監視装置400、および記憶装置300を含んだ作業支援装置22とによって、作業支援システム2が構成されている場合を示している。
なお、図5には、一例として、プラントにおいて作業員が点検作業やトラブル対応を行う対象である、設備Faの動作に応じた状態が伝達される経路(以下、「監視対象経路」という)と、監視対象経路を監視するために作業支援装置21に入力される作業制御情報WI−1および作業支援装置22に入力される作業制御情報WI−2と、監視対象経路を監視した結果として作業支援装置22が出力する報告書Rとのそれぞれを併せて示している。なお、作業制御情報WI−1と作業制御情報WI−2とのそれぞれは、プラント内に配置された設備に対する1つの作業を複数の作業機能が連携して実施するために互いに紐づけられた作業制御情報WIである。以下の説明においては、作業支援装置21と作業支援装置22とで構成された作業支援システム2について説明する。
なお、作業支援システム2を構成する作業支援装置21と作業支援装置22とには、図1に示した第1の実施形態の作業支援システム1を構成する構成要素と同様の構成要素も含んでいる。従って、以下の説明においては、第2の実施形態の作業支援システム2において、第1の実施形態の作業支援システム1の構成要素と同様の構成要素には同一の符号を付与し、その構成要素に関する詳細な説明は省略する。
作業支援装置21と作業支援装置22とのそれぞれは、プラント内に設置された設備において点検作業やトラブル対応を行う作業員の作業を連携して支援する携帯端末装置である。より具体的には、作業支援装置21は、監視対象経路の監視を行う際に、入力された作業制御情報WI−1に基づいて、設備Faに予め定めた動作を行わせる。また、作業支援装置22は、監視対象経路の監視を行う際に、入力された作業制御情報WI−2に基づいて、監視対象経路を伝達してきた設備Faの動作を監視する。作業支援装置22は、監視対象経路上の予め定めた位置(例えば、監視対象経路の終端に配置された設備の位置)において、監視対象経路を伝達してきた設備Faの動作を監視する。これにより、作業支援装置22は、作業支援装置21によって制御された設備Faの動作が、監視している監視対象経路上の位置まで正しく伝達されているか否かを判定する。
なお、作業支援装置21と作業支援装置22とのそれぞれは、第1の実施形態の作業支援システム1と同様に、プラント内において専用に使用される携帯端末装置であってもよい。また、作業支援装置21と作業支援装置22とのそれぞれは、第1の実施形態の作業支援システム1と同様に、携帯端末機器や携帯通信端末機器であってもよい。以下の説明においては、作業支援装置21と作業支援装置22とのそれぞれが、第1の実施形態の作業支援システム1と同様に、携帯通信端末機器として構成されているものとして説明する。
以下の説明においては、管理者から依頼された2人の作業員が連携して、設備Faの動作が伝達される監視対象経路の点検作業(以下、「監視作業」という)を行うものとして説明する。この場合、1人の作業員が、作業支援装置21を携帯してプラント内に配置された設備Faのところに出向いて、設備Faに予め定めた動作を行わせる。また、もう1人の作業員が、作業支援装置22を携帯して設備Faの動作を監視する監視対象経路上の予め定めた位置のところに出向いて、設備Faが予め定めた動作している状態を監視する。このようにして、2人の作業員が連携して、作業支援システム2を用いて設備Faの監視対象経路に対する監視作業を実施する。
ここで、作業支援システム2を構成する作業支援装置21および作業支援装置22の構成について説明する。
まず、作業支援装置21の構成について説明する。作業支援装置21は、作業制御装置100と、作業実行装置200とを含んで構成される。作業制御装置100は、作業情報入力部110と、作業情報認証部120と、作業認証部130と、機能制御部140と、結果報告部150とを含んで構成される。また、作業実行装置200は、表示操作部210と、機能実行部220と、通信部230とを含んで構成される。作業支援装置21は、図1に示した第1の実施形態の作業支援システム1として構成された作業支援装置10から、記憶装置300が削除された構成である。作業支援装置21に含まれるその他の構成要素は、第1の実施形態の作業支援システム1として構成された作業支援装置10に含まれる構成要素と同様である。ただし、上述したように、作業支援装置21は、入力された作業制御情報WI−1に基づいて、設備Faに、監視対象経路の監視を行うための予め定めた動作を行わせる。しかし、作業支援装置21における作業制御情報WI−1に基づいたそれぞれの構成要素の動作は、第1の実施形態の作業支援システム1として構成された作業支援装置10に含まれる対応する構成要素の動作と同様に考えることができる。従って、作業支援装置21に含まれる構成要素に関する詳細な説明は省略する。
続いて、作業支援装置22の構成について説明する。作業支援装置22は、作業制御装置100と、作業監視装置400と、記憶装置300とを含んで構成される。作業制御装置100は、作業情報入力部110と、作業情報認証部120と、作業認証部130と、機能制御部140と、結果報告部150とを含んで構成される。作業制御装置100は、図1に示した第1の実施形態の作業支援システム1として構成された作業支援装置10に備えた作業制御装置100や、作業支援装置21に含まれる作業制御装置100と同様である。また、記憶装置300も、第1の実施形態の作業支援システム1として構成された作業支援装置10に備えた記憶装置300と同様である。ただし、上述したように、作業支援装置22は、入力された作業制御情報WI−2に基づいて、監視対象経路を伝達してきた設備Faの動作を監視する。しかし、作業支援装置22における作業制御情報WI−2に基づいたそれぞれの構成要素の動作は、第1の実施形態の作業支援システム1として構成された作業支援装置10に含まれる対応する構成要素の動作と同様に考えることができる。従って、作業支援装置22に含まれる作業制御装置100および記憶装置300に関する詳細な説明は省略し、作業支援装置22に含まれる作業監視装置400について説明する。
作業監視装置400は、プラント内に配置された監視対象経路において、設備が動作している状態を監視する監視作業の作業機能(以下、「監視機能」という)を実行するための作業実行装置である。また、作業監視装置400は、実行した監視機能によって監視した設備が動作している状態を判定する機能を備えている。ただし、作業監視装置400は、図1に示した第1の実施形態の作業支援システム1として構成された作業支援装置10に備えた作業実行装置200や、作業支援装置21に含まれる作業実行装置200と同様に、起動した状態のみでは、監視機能を実行することはできず、作業制御装置100から出力された動作させる監視機能を表す情報が入力されると、対応する監視機能を実行することができる。作業監視装置400は、作業制御装置100(より具体的には、機能制御部140)から出力された動作させる監視機能を表す情報に応じて、備えている監視機能の内、作業制御情報WI−2に含まれている「対象作業」に示された作業(監視作業)を実施するために必要な監視機能のみを動作させる。作業監視装置400は、動作させた監視機能によって、監視対象経路を伝達してきた設備の動作状態を監視した結果の情報を、作業制御装置100(より具体的には、機能制御部140)に出力する。作業監視装置400は、表示操作部210と、監視機能実行部420と、通信部430とを含んで構成される。
なお、作業監視装置400を構成する表示操作部210は、第1の実施形態の作業支援システム1として構成された作業支援装置10に含まれる作業実行装置200や、作業支援装置21に含まれる作業実行装置200を構成する表示操作部210と同様である。従って、作業監視装置400に含まれる表示操作部210に関する詳細な説明は省略し、作業監視装置400に含まれる監視機能実行部420および通信部430について説明する。
監視機能実行部420は、作業支援装置21による制御によって設備(図5においては、設備Fa)が予め定めた動作をし、監視対象経路を伝達してきた設備の動作状態を監視するための様々な監視機能を実行する。監視機能実行部420は、作業制御装置100から出力された動作させる監視機能を表す情報に応じて、「対象作業」に示された監視作業を実施するための監視機能を実行し、実行した監視機能に従って監視対象経路の監視をするための制御信号を、通信部430を介して監視対象経路に設置された計測器などの不図示の計測装置に出力する。また、監視機能実行部420は、出力した制御信号に応じて通信部430が計測装置から取得した設備Faの動作状態を表す様々な情報を受け取り、受け取った情報を、監視作業を行った結果の情報として作業制御装置100(より具体的には、機能制御部140)に出力する。
なお、作業支援システム2において、作業支援装置22に備えた作業制御装置100と作業監視装置400とが異なる装置として構成されている場合、作業監視装置400(監視機能実行部420)は、第1の実施形態の作業支援システム1として構成された作業支援装置10に含まれる作業実行装置200や、作業支援装置21に含まれる作業実行装置200と同様に、例えば、プラント内に構築された無線通信ネットワークを介して、監視作業を行った結果の情報を、作業制御装置100に送信する。なお、作業制御装置100が、クラウドコンピューティングシステムに備えたクラウドサーバ装置内に構成されている場合には、監視機能実行部420は、第1の実施形態の作業支援システム1として構成された作業支援装置10に含まれる作業実行装置200や、作業支援装置21に含まれる作業実行装置200と同様に、インターネットを介して、監視作業を行った結果の情報を、作業制御装置100に送信する構成であってもよい。
なお、監視機能実行部420は、通信部430が計測装置から取得した設備Faの動作状態を表す情報を、記憶装置300に一旦記憶し(書き込み)、動作状態を記憶したことを、作業制御装置100に通知する構成であってもよい。この場合、作業制御装置100に備えた結果報告部150は、監視機能実行部420からの通知に応じて、記憶装置300に記憶している設備Faの動作状態を表す情報を適宜読み出して、作業制御情報WI−2に含まれている「報告項目」の情報に基づいた報告書Rを作成する構成となる。
通信部430は、監視対象経路に設置された不図示の計測装置との間で通信を行って、監視機能実行部420から出力された制御信号を計測装置に送信する。また、通信部430は、不図示の計測装置との間で通信を行って、出力した制御信号に応じて不図示の計測装置から出力された様々な情報を受信し、受信した情報を監視機能実行部420に出力する。なお、通信部430と不図示の計測装置との間の通信方法としては、様々な通信方法が考えられるため、本発明においては、有線、無線を問わず、通信部430と不図示の計測装置との間の通信方法に関しては、特に規定しない。
このような構成によって、作業支援システム2は、作業支援装置21を携帯してプラント内に配置された設備Faのところに出向いて、管理者から依頼された監視作業において設備Faに予め定めた動作を行わせる作業員を支援する。また、作業支援システム2は、作業支援装置22を携帯してプラント内に配置された監視対象経路上の予め定めた位置のところに出向いて、管理者から依頼された監視作業において設備Faの動作状態を監視するために不図示の計測装置を制御する作業員を支援する。より具体的には、作業支援システム2では、作業支援装置21が、作業制御情報WI−1に含まれる「対象設備」および「対象作業」で示された監視対象の設備に対する依頼された監視作業のみを行えるようにし、作業支援装置22が、作業制御情報WI−2に含まれる「対象設備」および「対象作業」で示された監視対象経路に対する依頼された監視作業のみを行えるようにする。これにより、作業支援システム2でも、第1の実施形態の作業支援システム1と同様に、監視対象の設備や監視対象経路に対して他の作業を行ってしまったり、監視対象ではない設備や経路に対して他の作業を行ってしまったりすることがないように、つまり、誤った監視作業をしてしまわないように、それぞれの作業員が行う監視作業を支援する。また、作業支援システム2は、作業支援装置22が、作業制御情報WI−2に含まれる「報告項目」で示された監視作業の結果や取得した情報をまとめた報告書を作成することによって、作業員が報告書を作成する作業を支援する。これにより、作業支援システム2では、作業員が監視対象の設備や監視対象経路に対して適切な監視作業を実施することができ、管理者は、所望する監視作業の結果がまとめられた報告書を得て確認することができる。
なお、作業支援システム2では、作業支援装置21に備えた作業制御装置100と、作業支援装置22に備えた作業制御装置100とのそれぞれは、入力される作業制御情報WIが異なるが、監視作業を連携して実施するために、対応する作業実行装置200または作業監視装置400が実行する機能を制御する。そして、作業支援システム2においても、第1の実施形態の作業支援システム1と同様に、作業支援システム2を構成するそれぞれの構成要素は、それぞれが異なる装置として構成されてもよい。このため、作業支援装置21において作業制御装置100と作業実行装置200とが異なる装置として構成され、作業支援装置22において作業制御装置100と作業監視装置400とが異なる装置として構成されてもよい。この場合、異なる装置として構成された作業支援装置21に対応する作業制御装置100と、作業支援装置22に対応する作業制御装置100とは、同じ装置であってもよい。つまり、作業支援システム2において、作業実行装置200と作業監視装置400とのそれぞれに対応した1つの作業制御装置100が構成されていてもよい。この場合、作業実行装置200と作業監視装置400とのそれぞれに対応した作業制御装置100(機能制御部140)は、例えば、プラント内に構築された無線通信ネットワークを介して、動作させる機能を表す情報を、作業実行装置200と作業監視装置400とのそれぞれに送信する。なお、作業制御装置100が、クラウドコンピューティングシステムに備えたクラウドサーバ装置内に構成されている場合には、機能制御部140は、インターネットを介して、動作させる機能を表す情報を、作業実行装置200と作業監視装置400とのそれぞれに送信する構成であってもよい。
次に、第2の実施形態の作業支援システム2が構築されたプラントにおける監視作業の手順について説明する。なお、以下の説明においては、作業支援システム2を構成する作業支援装置21と作業支援装置22とが連携して、監視対象経路の監視作業を行う場合について説明する。図6は、本第2の実施形態の作業支援システム2(作業支援装置21および作業支援装置22)を利用して作業を行う手順の一例を示した図である。
(手順P21):管理者Mは、プラント内に配置された設備Faの動作に応じた状態が伝達される監視対象経路の点検作業(監視作業)を作業員FO−1および作業員FO−2に依頼するための作業制御情報WI−1と作業制御情報WI−2とのそれぞれを作成する。
ここで、管理者Mが作成した作業制御情報WI−1と作業制御情報WI−2との一例について説明する。図7は、本第2の実施形態の作業支援システム2において作業を依頼するための作業制御情報WIの一例を示した図である。図7の(a)には、作業支援装置21によって設備Faに予め定めた動作を行わせるための作業制御情報WI−1を示し、図7の(b)には、作業支援装置22によって設備Faが予め定めた動作している状態を監視するための作業制御情報WI−2を示している。
まず、図7の(a)に示した作業制御情報WI−1の一例について説明する。作業制御情報WI−1には、「識別情報(ID)」、「作業者」、「対象設備」、「対象作業」、「報告項目」のそれぞれの情報が含まれている。より具体的には、図7の(a)に示した作業制御情報WI−1には、「識別情報(ID)」の情報として、この作業制御情報WI−1を識別するために付与された「2100−1」が含まれている。また、図7の(a)に示した作業制御情報WI−1には、「作業者」の情報として、設備Faに出向いて監視作業の実施を依頼する作業員FO−1の担当者名である「横河太郎」が含まれている。また、図7の(a)に示した作業制御情報WI−1には、「対象設備」の情報として、付与されているタグが「PT100」である設備Faが作業対象の設備であることを表す「タグ:PT100(機種:EJX110)」が含まれている。また、図7の(a)に示した作業制御情報WI−1には、「対象作業」の情報として、監視対象経路に対する監視作業としてループテストを行うことを表す「ループテスト」が含まれている。そして、ループテストにおける「出力側」である設備Faの動作を制御するパターンが示されている。より具体的には、設備Faの出力の割合を「70(%)−30(%)−50(%)」の順に変化させことによってループテストの「開始合図」とし、その後、出力の割合を「10秒間隔」で「0(%)−50(%)−100(%)−50(%)−0(%)」の順に変化させた「テストパターン」を出力することが示されている。なお、「開始合図」や「テストパターン」は、上述したような設備Faの出力の割合で表す以外にも、設備Faの出力値で表してもよい。また、図7の(a)に示した作業制御情報WI−1には、「報告項目」の情報として、報告書を作成しないことを表す「なし」が含まれている。上述したようなそれぞれの情報によって、図7の(a)に示した作業制御情報WI−1では、作業員=「横河太郎」が「ループテスト」の監視作業を実施する際に、タグ=「PT100」が付与されている設備Faを、「開始合図」および「テストパターン」で示されたパターンで出力の割合が変化するように動作を制御することを依頼している。
続いて、図7の(b)に示した作業制御情報WI−2の一例について説明する。作業制御情報WI−2には、「識別情報(ID)」、「作業者」、「対象設備」、「対象作業」、「報告項目」のそれぞれの情報が含まれている。より具体的には、図7の(b)に示した作業制御情報WI−2には、「識別情報(ID)」の情報として、この作業制御情報WI−2を識別するために付与された「2100−2」が含まれている。この「識別情報(ID)」の情報によって、作業制御情報WI−2は、「識別情報(ID)」が「2100−1」である作業制御情報WI−1と連携する、つまり、作業制御情報WI−1と作業制御情報WI−2とは1つの作業として紐づけられた(組となっている)作業制御情報WIであることを表している。なお、作業制御情報WI−1と作業制御情報WI−2とを1つの作業として紐づけるための「識別情報(ID)」の情報は、「2100−1」と「2100−2」のような情報の形式に限定されるものではない。例えば、「2100」、「2101」のように上位の桁を同じ値にした情報の形式によって、作業制御情報WI−1と作業制御情報WI−2とを紐づけてもよい。また、図7の(b)に示した作業制御情報WI−2には、「作業者」の情報として、監視対象経路を伝達してきた設備Faの動作を監視する予め定めた位置(例えば、監視対象経路の終端に配置された設備の位置)に出向いて監視作業の実施を依頼する作業員FO−2の担当者名である「横河次郎」が含まれている。また、図7の(b)に示した作業制御情報WI−2には、「対象設備」の情報として、付与されているタグが「PT100」である設備Faの監視対象経路であることを表す「タグ:PT100(機種:EJX110)」が含まれている。また、図7の(b)に示した作業制御情報WI−2には、「対象作業」の情報として、監視対象経路に対する監視作業としてループテストを行うことを表す「ループテスト」が含まれている。そして、ループテストにおける「受信側」である、例えば、不図示の計測装置が計測する、ループテストを行っているときの設備Faの動作のパターンと、計測した結果の合否を判定するための判定基準とが示されている。より具体的には、不図示の計測装置が「70(%)−30(%)−50(%)」の順に出力の割合の変化を計測した場合に、監視対象経路に対するループテストの開始を表す「開始合図」であると判定し、その後、「0(%)−50(%)−100(%)−50(%)−0(%)」の順に「10秒間隔」で出力の割合が変化する「テストパターン」が計測されるはずであることを示している。つまり、作業制御情報WI−2では、監視対象経路に伝達された出力の割合が「開始合図」を表している場合、その後の50秒間「テストパターン」が表された出力の割合を監視することを示している。なお、不図示の計測装置による「開始合図」や「テストパターン」の監視は、上述したような出力の割合の変化ではなく、出力値を監視するようにしてもよい。また、「テストパターン」を計測したときの測定値が表す出力の割合の誤差が、±0.3(%)以内であれば、ループテストの結果が合格であることを示している。また、図7の(b)に示した作業制御情報WI−2には、「報告項目」の情報として、判定基準に基づいて判定した結果を表す「判定結果:合否」と、テストパターンにおけるそれぞれの出力の割合とした「測定値」が含まれている。上述したようなそれぞれの情報によって、図7の(b)に示した作業制御情報WI−2では、作業員=「横河次郎」が「ループテスト」の監視作業を実施する際に、タグ=「PT100」が付与されている設備Faの動作を、監視対象経路上の予め定めた位置で監視して、判定基準に基づいた判定結果(合否)と、テストパターンにおけるそれぞれの測定値とが含まれる報告書で報告することを依頼している。
(手順P22):管理者Mは、作成した作業制御情報WI−1と作業制御情報WI−2とをそれぞれ出力して、作業員FO−1と作業員FO−2とのそれぞれに監視作業を依頼する。より具体的には、管理者Mは、作成した作業制御情報WI−1を出力して、作業員FO−1に、ループテストにおける「出力側」である設備Faに「テストパターン」を出力する動作をさせるように依頼する。また、管理者Mは、作成した作業制御情報WI−2を出力して、作業員FO−2に、ループテストにおける「受信側」である、例えば、不図示の計測装置によって、監視対象経路を伝達してきた「テストパターン」を計測し、報告書で報告するように依頼する。なお、管理者Mが、作業員FO−1および作業員FO−2に監視作業を依頼する方法は、第1の実施形態の作業支援システム1と同様に、様々な方法が考えられる。なお、図7の(a)に示した作業制御情報WI−1、および図7の(b)に示した作業制御情報WI−2には、「作業情報認証方法」や「登録認証方法」の情報が含まれていない。このため、管理者Mは、作業員FO−1が携帯する作業支援装置21と、作業員FO−2が携帯する作業支援装置22とのそれぞれに、USB(登録商標)などの有線インターフェースによって作業制御情報WI−1および作業制御情報WI−2を受け渡すことが考えられる。このとき、管理者Mは、作業員FO−1と作業員FO−2とのそれぞれに、監視作業を行う時間を指定(伝達)してもよい。なお、上述したように、作業制御情報WIには、作業を行う際に必要な条件として、「作業開始条件」を含めることができる。このため、管理者Mは、手順P21において作業制御情報WI−1と作業制御情報WI−2とのそれぞれを作成する際に、作業制御情報WI−1と作業制御情報WI−2とのそれぞれに、「作業開始条件」の情報を含めることによって、作業員FO−1と作業員FO−2とのそれぞれが監視作業を行う日時を指定してもよい。
(手順P23−1):作業員FO−1は、管理者Mからの監視作業の依頼に応じて、作業制御情報WI−1を、作業支援装置21に入力する。これにより、作業支援装置21は、それぞれの構成要素が上述した処理を行い、入力された作業制御情報WI−1を受け取って、「対象作業」に示された監視作業を実施するための作業機能が動作している状態になる。より具体的には、作業支援装置21に備えた作業制御装置100は、入力された作業制御情報WI−1を受け取って登録する。そして、作業制御装置100は、登録した作業制御情報WI−1に含まれる「対象作業」に示された監視作業の実施に必要な機能を動作させるように作業実行装置200を制御する。作業実行装置200は、作業制御装置100からの制御に応じて、登録した作業制御情報WI−1に含まれる「対象作業」に示された監視作業を実施するための作業機能を実行し、ループテストの「開始合図」および「テストパターン」で示されたパターンで設備Faの出力の割合を変化させる状態で待機する。
このとき、作業支援装置21は、第1の実施形態の作業支援システム1として構成された作業支援装置10と同様に、登録した作業制御情報WI−1に含まれる情報を、表示操作部210に表示することによって、作業制御情報WI−1によって表されている管理者Mからの監視作業の依頼内容を、作業員FO−1に提示する。なお、作業支援装置21は、登録した作業制御情報WI−1に「作業開始条件」が含まれている場合には、「作業開始条件」に示された条件も、表示操作部210に表示する。これにより、作業員FO−1は、プラント内に配置されたどの設備に対する監視作業を、どのようなタイミングで行うのかを確認することができる。
(手順P23−2):作業員FO−2は、管理者Mからの監視作業の依頼に応じて、作業制御情報WI−2を、作業支援装置22に入力する。これにより、作業支援装置22は、それぞれの構成要素が上述した処理を行い、入力された作業制御情報WI−2を受け取って、「対象作業」に示された監視作業を実施するための監視機能が動作している状態になる。より具体的には、作業支援装置22に備えた作業制御装置100は、入力された作業制御情報WI−2を受け取って登録する。そして、作業制御装置100は、登録した作業制御情報WI−2に含まれる「対象作業」に示された監視作業の実施に必要な機能を動作させるように作業監視装置400を制御する。作業監視装置400は、作業制御装置100からの制御に応じて、登録した作業制御情報WI−2に含まれる「対象作業」に示された監視作業を実施するための監視機能を実行し、監視対象経路を伝達してきたループテストの「開始合図」および「テストパターン」を監視する状態で待機する。
このとき、作業支援装置22も、第1の実施形態の作業支援システム1として構成された作業支援装置10や、作業支援装置21と同様に、登録した作業制御情報WI−2に含まれる情報を、表示操作部210に表示することによって、作業制御情報WI−2によって表されている管理者Mからの監視作業の依頼内容を、作業員FO−2に提示する。なお、作業支援装置22も、作業支援装置21と同様に、登録した作業制御情報WI−2に「作業開始条件」が含まれている場合には、「作業開始条件」に示された条件も、表示操作部210に表示することによって、作業員FO−2が、プラント内に配置されたどの設備に対する監視作業を、どのようなタイミングで行うのかを確認することができるようにしてもよい。
(手順P24−1):作業員FO−1は、表示操作部210に表示された設備の情報に基づいて、依頼された監視対象の設備Faに出向き、登録した作業制御情報WI−1に含まれる「対象作業」に応じた作業機能を実行している作業支援装置21を、監視対象の設備Faに接続する。これにより、作業支援装置21は、実行している作業機能によって、設備Faの動作を制御し、「対象作業」に示されたループテストの「開始合図」および「テストパターン」で出力の割合を変化させる。
(手順P24−2):作業員FO−2は、表示操作部210に表示された設備の情報に基づいて、依頼された監視対象経路の設備の情報に基づいて、依頼された監視作業において設備Faの動作状態を監視する不図示の計測装置のところに出向き、登録した作業制御情報WI−2に含まれる「対象作業」に応じた監視機能を実行している作業支援装置22を、不図示の計測装置に接続する。これにより、作業支援装置22は、実行している監視機能によって、不図示の計測装置が計測した測定値を取得し、取得した計測値から、「対象作業」に示されたループテストの「開始合図」を判定する。そして、作業支援装置22は、「開始合図」であると判定した後、実行している監視機能によって、不図示の計測装置が計測した測定値を取得し、取得した計測値から、「対象作業」に示されたループテストの「テストパターン」を監視する。このとき、作業支援装置22は、登録した作業制御情報WI−2に含まれる「報告項目」で示された作業の結果として報告する内容の情報として、不図示の計測装置から取得した測定値を、記憶装置300に記憶する(書き込む)。なお、作業員FO−2は、監視作業を行っているとき、必要に応じて、表示操作部210に表示された操作の指示に従った作業支援装置22の操作を行う。これによって、設備Faから不図示の計測装置までの経路(ループテスト用の信号を出力した設備Faからループテスト用の信号を監視した位置までの経路)の健全性を確認することができる。
(手順P25):作業員FO−2は、作業支援装置22による監視対象経路の監視作業が終了すると、不図示の計測装置から作業支援装置22を切り離して、例えば、事務所などに戻る。なお、このとき作業員FO−2は、監視作業が終了したことを作業員FO−1に連絡する。これにより、作業員FO−1も、設備Faから作業支援装置21を切り離して、例えば、事務所などに戻る。作業支援装置22は、記憶装置300に記憶している不図示の計測装置から取得した測定値に基づいて、実施した監視作業において監視対象経路を監視した結果をまとめた報告書Rを作成する。そして、作業員FO−2は、例えば、事務所において、作業支援装置22が作成した報告書Rを、管理者Mに提出する。
ここで、作業支援装置22が作成する報告書Rの一例について説明する。図8は、本第2の実施形態の作業支援システム2を利用して行った作業の結果を報告する報告書Rの一例を示した図である。図8には、図7の(b)に示した作業制御情報WI−2に応じた作業の結果を報告する報告書Rの一例を示している。より具体的には、図7の(b)に示した作業制御情報WI−2において「報告項目」の情報として示された、判定結果(合否)と、テストパターンにおけるそれぞれの測定値とを報告する報告書Rの一例を示している。図8に示した報告書Rには、図7の(b)に示した作業制御情報WI−2の「対象設備」において作業対象の設備Faのタグとして示された「PT100」、および作業対象の設備Faの機種として示された「EJX110」とが、「設備」の欄に示されている。また、図8に示した報告書Rには、図7の(b)に示した作業制御情報WI−2の「対象作業」において作業内容として示された「ループテスト」が、「作業」の欄に示されている。また、図8に示した報告書Rには、監視対象経路に対して依頼された作業を行った「日付」および「時刻」が、「作業日」の欄に示されている。また、図8に示した報告書Rには、図7の(b)に示した作業制御情報WI−2の「作業者」において作業を依頼する担当者名として示された「横河次郎」が、「担当者」の欄に示されている。なお、図8に示した報告書Rにおいて「責任者」の欄は、空欄である。また、図8に示した報告書Rには、図7の(b)に示した作業制御情報WI−2の「報告項目」において報告する必要がある情報として示された判定結果=「合格」が、「結果」の欄に、「対象作業」においてループテストを行っているときの設備Faの動作のパターンとして示されたテストパターン(%)=「0(%)−50(%)−100(%)−50(%)−0(%)」および時間間隔=「10秒間隔」が、「テストパターン」および「出力間隔」のそれぞれの欄に示されている。また、図8に示した報告書Rには、図7の(b)に示した作業制御情報WI−2の「報告項目」において報告する必要がある情報として示されたそれぞれの測定値が、テストパターンにおけるそれぞれの出力の割合に対応する欄に示されている。より具体的には、テストパターン=「0(%)」に対応する測定値=「0(kPa)」、テストパターン=「50(%)」に対応する測定値=「49.9(kPa)」、テストパターン=「100(%)」に対応する測定値=「99.9(kPa)」、テストパターン=「50(%)」に対応する測定値=「49.9(kPa)」、テストパターン=「0(%)」に対応する測定値=「0(kPa)」が、それぞれの欄に示されている。図8に示したような報告書Rによって、管理者Mは、作業員=「横河次郎」に依頼した、タグ=「PT100」が付与されている設備Faの監視対象経路に対して「ループテスト」の監視作業を行った判定結果が「合格」であることを確認することができる。また、管理者Mは、このとき設備Faにテストパターンとして動作させた出力の割合に対応する実際の出力値(測定値)を確認することができる。
このような手順によって、作業支援システム2では、管理者Mから依頼された監視作業において、作業支援装置21を携帯してプラント内に配置された設備Faのところに出向いて、設備Faに予め定めた動作を行わせる作業員FO−1を支援する。より具体的には、作業支援システム2では、作業支援装置21が、作業制御情報WI−1に含まれる「対象設備」および「対象作業」で示された監視対象の設備に対する依頼された監視作業のみを行えるようにする。また、作業支援システム2は、管理者Mから依頼された監視作業において、作業支援装置22を携帯してプラント内に配置された監視対象経路上の予め定めた位置のところに出向いて、設備Faの動作状態を監視するために不図示の計測装置を制御する作業員FO−2を支援する。より具体的には、作業支援システム2では、作業支援装置22が、作業制御情報WI−2に含まれる「対象設備」および「対象作業」で示された監視対象経路に対する依頼された監視作業のみを行えるようにし、作業制御情報WI−2に含まれる「報告項目」で示された監視対象経路を監視した結果を報告書Rとしてまとめる。これにより、作業支援システム2でも、第1の実施形態の作業支援システム1と同様に、作業員FO−1および作業員FO−2のそれぞれが、管理者Mから依頼された監視作業を正確に実施することができる。これにより、作業支援システム2でも、第1の実施形態の作業支援システム1と同様に、作業員FO−2が、管理者Mが報告を受けたい結果を正確に報告することができる。
なお、上述した作業支援システム2が構築されたプラントにおける監視作業の手順では、監視作業を行った判定結果が「合格」である場合について説明した。しかし、監視作業を行った判定結果が「不合格」であることも考えられる。そして、作業員FO−2は、「不合格」であることが示された報告書Rを管理者Mに提出した後、不合格の原因となった場所を特定するために、管理者Mから、新たな作業制御情報WI−2(同じ作業制御情報WI−2であってもよい)に基づいて、監視対象経路上の予め定めた他の位置において監視作業を再び行うことを依頼されることが考えられる。この場合、作業員FO−2は、例えば、図6に示した中継装置Rdところに出向き、作業支援装置22によって、監視作業を再度実施、つまり、作業員FO−2は、手順P22、手順P23−2、手順P24−2、および手順P25を繰り返す。なお、監視作業を行った判定結果が「不合格」であった場合の新たな作業制御情報WI−2は、「不合格」であることが示された報告書Rを管理者Mに提出した後、管理者Mから監視作業を再び行うことを依頼されるときに受け取るのではなく、監視作業が依頼された最初の段階で、作業制御情報WI−2と共に受け取っていてもよい。言い換えれば、管理者Mは、作業制御情報WI−1と、作業制御情報WI−2に相当する複数の作業制御情報が1つの作業として紐づけられた(組になった)作業制御情報WIを作成して、作業員FO−1に作業制御情報WI−1による監視作業を依頼し、作業員FO−2に作業制御情報WI−2に相当する複数の作業制御情報による監視作業を依頼してもよい。この場合、作業員FO−2は、監視作業を行った判定結果が「合格」であったときには、手順P25において作業支援装置22が作成した報告書Rを管理者Mに提出し、監視作業を行った判定結果が「不合格」であったときには、例えば、事務所などに戻らずに、中継装置Rdところに直接出向いて、監視作業を再度実施する。
上記に述べたように、第2の実施形態の作業支援システム2では、作業支援システム2を構成する作業支援装置21を携帯してプラント内に配置された設備Faのところに出向いて監視作業を実施する作業員FO−1、および作業支援システム2を構成する作業支援装置22を携帯して監視対象経路上の予め定めた位置のところに出向いて監視対象経路を監視する作業員FO−2が、誤った作業をしてしまわないように支援する。これにより、第2の実施形態の作業支援システム2では、作業員FO−1と作業員FO−2とが連携して、監視対象の設備や監視対象経路に対して適切な監視作業を実施することができる。
また、第2の実施形態の作業支援システム2では、作業支援システム2が構成された作業支援装置22によって実施された監視作業の結果に基づいて、作業員FO−2が、管理者Mが所望する監視作業の結果が記載された報告書Rを作成することができるように支援する。これにより、第2の実施形態の作業支援システム2では、管理者Mが所望する監視作業の結果が記載された報告書Rを作成することができ、管理者Mは、所望する監視作業の結果がまとめられた報告書Rを得て確認することができる。
なお、第2の実施形態の作業支援システム2では、プラントにおいてループテストを行う場合について説明したが、プラントにおける他の作業においても、第2の実施形態の作業支援システム2と同様の考え方を適用することによって、複数の作業支援装置が連携して実施する作業を行うことができ、同様の効果を得ることができる。
また、第2の実施形態の作業支援システム2では、作業支援システム2を構成する作業支援装置21を作業員FO−1が携帯し、作業支援装置22を作業員FO−2が携帯して、作業員FO−1と作業員FO−2とが連携、つまり、作業支援装置21と作業支援装置22とが連携して監視作業を行う場合について説明した。しかし、作業支援システム2を構成する作業支援装置21と作業支援装置22とを1人の作業員が携帯してそれぞれの位置に設置して、監視作業を行うことも考えられる。より具体的には、作業員FO−1が、手順P24−1において作業支援装置21を監視対象の設備Faに接続して、「対象作業」に示されたループテストの「開始合図」と「テストパターン」との出力の割合の変化を繰り返し行うように設備Faの動作を制御した後、依頼された監視作業において設備Faの動作状態を監視する不図示の計測装置のところに移動して、手順P24−1を行うことも考えられる。この場合も、作業支援装置21と作業支援装置22とは、互いに連携して対応する機能(作業機能や鑑識機能)を実行し、監視作業を行うことができる。
また、第2の実施形態の作業支援システム2では、作業員FO−1と作業員FO−2とが連携して監視対象経路のループテストを行う場合について説明した。しかし、例えば、3人の作業員が連携し、図6に示した中継装置Rdの位置においても同時期に、監視対象経路を伝達してきた設備Faの動作を監視するようにすることができる。この場合、管理者Mは、中継装置Rdの位置で監視対象経路の監視作業を行うための、図7の(b)と同様の作業制御情報WI−2(同じ作業制御情報WI−2であってもよい)を作成して、中継装置Rdの位置での監視作業を3人目の作業員FOに依頼する。これにより、3人目の作業員FOは、作業員FO−2が携帯する作業支援装置22と同様(記憶装置300を備えていなくてもよい)の作業支援装置を携帯して中継装置Rdのところに出向いて、作業員FO−2と同様に監視作業を行う。これによって、設備Faから中継装置Rdまでの経路と、中継装置Rdから不図示の計測装置までの経路との両方の健全性を確認することができ、設備Faから不図示の計測装置までの詳細な経路の確認を行うことができる。
上記に述べたとおり、本発明を実施するための形態によれば、作業支援システムに、作業制御装置を備える。そして、本発明を実施するための形態では、依頼する1つの作業ごとの作業内容が表された作業制御情報を管理者が作成し、作成した作業制御情報を作業制御装置に出力することによって、作業の実施を作業員に依頼する。これにより、本発明を実施するための形態では、作業対象の設備に対して行う作業の内容を、実際に作業を実施する作業員に正確にかつ効率的に伝えることができる。また、本発明を実施するための形態では、作業制御装置が、入力された作業制御情報に基づいて、作業を実施するために必要な機能のみを動作させるように、作業実行装置を制御する。これにより、本発明を実施するための形態では、作業員が実際に作業を行う際に、作業対象の設備ではない誤った設備に対して作業を行ってしまったり、作業実行装置の誤った操作や実施する作業ではない誤った作業をしてしまったりすること、つまり、作業ミスが少なくなり、正確かつ効率的に作業を行うことができる。また、本発明を実施するための形態では、作業制御装置が、入力された作業制御情報に基づいて、作業実行装置によって実施した作業の結果をまとめた報告書を作成する。これにより、本発明を実施するための形態では、作業員が実際に行った作業に関する報告書を作成する際に、報告が必要な情報が抜けてしまったり、誤った情報を報告してしまったりすることが少なくなり、つまり、より有効な報告書を作成し、管理者は、正確かつ効率的に報告書を得ることができる。
このように、本発明を実施するための形態では、作業制御装置が、作業制御情報に基づいて、作業員への作業の依頼、作業員による作業の実施、実施した作業の結果の報告を支援することができる。このことにより、本発明を実施するための形態では、作業内容の伝達が不十分であることによって発生する問題、作業内容の理解が不十分であることによって発生する問題、報告内容の理解が不十分であることによって発生する問題などを低減し、作業対象の設備に対して適切な作業を実施することができ、管理者が所望する作業の結果がまとめられた報告書を作成することができる。
なお、本発明を実施するための形態では、作業制御情報WIが、依頼する1つの作業ごとの作業内容をまとめて表した形態である場合について説明した。また、第2の実施形態では、作業制御情報WI−1と作業制御情報WI−2との組によって、監視作業を連携して実施する場合について説明した。しかし、作業制御情報WIの形態は、それぞれの実施形態に示した形態に限定されるものではない。また、作業制御情報WIの紐づけは、連携して実施する作業に対応する組み合わせに限定されるものでもない。例えば、作業制御情報WIは、階層をもった形態であってもよい。より具体的には、作業制御情報WIに含まれる「対象設備」の情報と「対象作業」の情報とを階層化し、作業対象の設備を示した「対象設備」が含まれる作業制御情報WIを主の作業制御情報とし、「対象設備」に示された設備に対して実施する作業を示した「対象作業」が含まれる作業制御情報WIを副の作業制御情報として、複数の副の作業制御情報を1つの主の作業制御情報に紐づけた形態であってもよい。この形態の場合、それぞれの副の作業制御情報には、作業対象の設備を示した「対象設備」を含める必要がなくなり、管理者Mは、より効率的に作業制御情報WIを作成することができる。そして、この形態の作業制御情報WIが入力された作業制御装置は、主の作業制御情報の「対象設備」に示された作業対象の設備において、紐づけられている副の作業制御情報の「対象作業」に示された作業を実施するために必要な機能を順次動作させるように、作業実行装置を制御することができる。
作業制御情報WIを、階層をもった形態にする場合、その階層は、上述した「対象作業」が含まれる複数の副の作業制御情報を1つの主の作業制御情報に紐づけた形態に限定されるものではない。例えば、「対象作業」として示す作業対象の設備に対して実施する作業の内容を、異なる記載方法で示してもよい。より具体的には、作業員の習熟の度合い(習熟度)を複数の段階(レベル)に分け、作業対象の設備に対して実施する同じ作業の内容を、それぞれの段階ごとに示した「対象作業」が含まれるそれぞれの作業制御情報WIを副の作業制御情報として、複数の副の作業制御情報を1つの主の作業制御情報に紐づけた形態であってもよい。この場合、この形態の作業制御情報WIが入力された作業制御装置は、「作業情報認証方法」や「登録認証方法」の情報に基づいて認証した作業員の情報から、作業員の習熟度に合った副の作業制御情報を選択し、選択した副の作業制御情報の「対象作業」に示された作業の内容を表示操作部210に表示させるように、作業実行装置を制御することができる。これにより、習熟度が高い(熟練した)作業員は、例えば、表示操作部210に表示された作業項目を確認するのみで作業を把握して、正確に作業を実施することができ、習熟度が低い作業員は、例えば、表示操作部210に表示された実施する作業の手順や作業を行う際の注意事項など確認しながら作業を行うことによって、正確に作業を実施することができる。つまり、作業者の習熟度によらずに、作業対象の設備に対して正確な作業を実施することができる。
なお、本発明を実施するための形態では、作業対象の設備に対して、作業制御情報WIに含まれる「対象作業」で示された作業を実施するために必要な機能(作業機能や鑑識機能)のみを動作させるように、作業実行装置200や作業監視装置400を制御する場合について説明した。しかし、上述したように、作業者の習熟度を考えると、習熟度が高い(熟練した)作業員であれば、管理者Mから依頼された作業を行っているときに、設備の不具合を発見した場合、発見した不具合に対応する処置をすぐに実施することができることもある。このとき、作業実行装置200や作業監視装置400において動作している機能が、「対象作業」で示された作業を実施するために必要な機能のみであると、熟練した作業員であっても、動作している機能のみでは、発見した不具合に対応する処置を実施することができないことも考えられる。このため、作業制御情報WIにおいて、「対象作業」で示された作業を実施する際に、動作させる作業実行装置200や作業監視装置400の機能を制限するか否かを表す情報を含めてもよい。例えば、上述したように、作業制御情報WIを、作業者の習熟度に合わせた副の作業制御情報を選択する形態にした場合、熟練した作業員に合わせた副の作業制御情報では、「機能制限なし」や「機能一部制限」とし、習熟度が低い作業員に合わせた副の作業制御情報では、「機能制限あり」としてもよい。より具体的には、図3に示した作業制御情報WIの一例において、作業を実施するために必要な機能のみに制限する場合には、「対象作業」の情報を「ゼロ点調整(機能制限あり)」とし、作業を実施するために必要な機能には制限しないものの、その他の機能は一部を制限する場合には、「対象作業」の情報を「ゼロ点調整(機能一部制限)」としてもよい。また、図3に示した作業制御情報WIの一例において、全ての機能を制限しない場合には、「対象作業」の情報を「ゼロ点調整(機能制限なし)」としてもよい。これにより、例えば、熟練した作業員が、作業制御情報WIの「対象作業」に示された「ゼロ点調整」の作業を行っているときに設備の不具合を発見した場合、「ゼロ点調整(機能一部制限)」であれば、制限されていない機能の範囲内で、「ゼロ点調整(機能制限なし)」であれば、全ての機能を適宜用いて、発見した不具合に対応する処置をすぐに実施することができる。この場合、報告書Rに、発見した不具合に対応する処置を実施したことを表す情報や、実施した処置の内容を表す情報が含まれるようにしてもよい。なお、作業制御情報WIの「対象作業」に示された「ゼロ点調整(機能制限あり)」に応じた「ゼロ点調整」の作業では、本発明を実施するための形態で説明した動作となる。
また、本発明を実施するための形態では、プラント内に配置された設備に対して行う保守作業の一例として、「ゼロ点調整」を行う場合について説明した。しかし、プラントにおいて設備に対して行う保守作業は、「ゼロ点調整」に限定されるものではない。プラントにおける保守作業には、「ゼロ点調整」以外にも、例えば、プラント内に新たに設備を配置して稼働させるための「スタートアップ作業」や、設備を稼働した後に発生した故障などに対応するための「設備の交換作業」などもある。また、作業支援システムは、プラントにおける保守作業のみへの利用に限定されるものでもない。
なお、本発明を実施するための形態では、作業制御情報WIのデータ形式について説明していないが、作業制御情報WIは、作業制御情報WIに含まれる全ての情報、または一部の情報が、予め定めた方法によって暗号化されている形式であってもよい。この場合、作業制御装置100は、入力された作業制御情報WIの暗号化を解除した後に、作業制御情報WIに含まれる情報に基づいて動作する構成となる。
なお、本発明を実施するための形態では、作業支援システムが、プラント内に配置されたそれぞれの設備に対して行う作業を支援するシステムである場合について説明した。しかし、本発明の作業支援システムは、プラントにおける利用に限定されるものではない。例えば、本発明の作業支援システムの考え方を、ビルの設備の点検や、家のガス・水道・電気などの点検、トンネルや橋の点検において利用される点検システムに適用することもできる。
なお、例えば、図1に示した作業支援システム1として構成された作業支援装置10内の作業制御装置100や作業実行装置200に含まれる各構成要素など、本実施形態における作業支援システムを構成する各構成要素による処理を実現するためのプログラムを、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、当該記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、本実施形態の作業支援システムに係る上述した種々の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
以上、本発明の実施形態について、図面を参照して説明してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲においての種々の変更も含まれる。