JP6650222B2 - 切断用ブレード及びその製造方法 - Google Patents
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また、下記特許文献2には、ブレード本体の高剛性化のため、SiCやh−BNなどのフィラーを砥粒とともにNiめっき相に共析(析出)させた電鋳ブレードが開示されている。
すなわち、本発明は、円板状をなすブレード本体の外周縁部が切れ刃とされた切断用ブレードであって、前記ブレード本体は、めっき相と、前記めっき相に分散されるダイヤモンド砥粒と、前記めっき相に分散され、前記ダイヤモンド砥粒よりも平均粒径が小さいダイヤモンドフィラーと、を有し、前記ダイヤモンド砥粒は、前記めっき相と異なる導電部を有しており、前記ダイヤモンド砥粒の導電部は、カーボングラファイトからなり、前記ダイヤモンドフィラーは、前記めっき相と異なる導電部を有していないことを特徴とする。
また本発明は、円板状をなすブレード本体の外周縁部が切れ刃とされた切断用ブレードであって、前記ブレード本体は、Niからなるめっき相と、前記めっき相に分散されるダイヤモンド砥粒と、前記めっき相に分散され、前記ダイヤモンド砥粒よりも平均粒径が小さいダイヤモンドフィラーと、を有し、前記ダイヤモンド砥粒は、前記めっき相と異なる導電部を有しており、前記ダイヤモンド砥粒の導電部は、Niよりも硬度が高いNi基化合物からなり、前記ダイヤモンドフィラーは、前記めっき相と異なる導電部を有していないことを特徴とする。
また本発明は、円板状をなすブレード本体の外周縁部が切れ刃とされた切断用ブレードであって、前記ブレード本体は、めっき相と、前記めっき相に分散されるダイヤモンド砥粒と、前記めっき相に分散され、前記ダイヤモンド砥粒よりも平均粒径が小さいダイヤモンドフィラーと、を有し、前記ダイヤモンド砥粒は、前記めっき相と異なる導電部を有しており、前記ダイヤモンド砥粒の導電部は、Pd又はTiからなり、前記ダイヤモンドフィラーは、前記めっき相と異なる導電部を有していないことを特徴とする。
また本発明は、円板状をなすブレード本体の外周縁部が切れ刃とされた切断用ブレードを製造する方法であって、めっき液中に、導電部を有するダイヤモンド砥粒と、該ダイヤモンド砥粒よりも平均粒径が小さく、導電部を有していないダイヤモンドフィラーと、を分散させ、前記めっき液中に陽極と陰極とを配置して電解めっきすることにより、前記陰極とされた台金上に、前記ブレード本体として、めっき相とともに前記ダイヤモンド砥粒及び前記ダイヤモンドフィラーを析出させることを特徴とする。
しかしながら、電解めっきを行うにあたって、例えばめっき液へのダイヤモンド砥粒やダイヤモンドフィラーの投入量を単純に増やしたり、攪拌条件を最適化したりしても、めっき相にダイヤモンド砥粒及びダイヤモンドフィラーを、多量にかつ均等に共析させることは難しい。
すなわち、従来例として、
・めっき液中に非導電性のダイヤモンド砥粒のみを分散させて電解めっきした場合。
・めっき液中に非導電性のダイヤモンドフィラーのみを分散させて電解めっきした場合。
・めっき液中に、ともに非導電性とされたダイヤモンド砥粒及びダイヤモンドフィラーを分散させて電解めっきした場合。
について、先に説明する。
切断用ブレードの製造時において、ブレード本体を析出させる台金である陰極(カソード電極)をめっき液中に配置し、めっき液中に、平均粒径が大きく導電部を有していないダイヤモンド砥粒のみを分散して、電解めっきによって台金上に砥粒を取り込みつつめっき相を析出させる。この場合、平均粒径が大きなダイヤモンド砥粒は質量も大きく、めっき液から受ける力が大きくなりやすい(ニュートン力学:F=ma(運動の第2法則)に従う)ことから、めっき液を高速攪拌すると、めっき液から受ける強い力によって砥粒がめっき相にトラップされにくくなる。つまり、ダイヤモンド砥粒がめっき液中を循環し続けて、めっき相に取り込まれにくくなる。
このため、平均砥粒が大きいダイヤモンド砥粒に対しては、図6に示されるように、めっき液を極微弱に攪拌させるか攪拌を停止して、ダイヤモンド砥粒を自重により沈降させ、めっき相に析出させることが好ましい。なお、この場合、ダイヤモンドフィラーをめっき相に析出させていないため、ブレード本体の硬度や剛性を十分に高められないことが問題となる。
めっき液中に、平均粒径が小さく導電部を有していないダイヤモンドフィラーのみを分散して、電解めっきによって台金上にフィラーを取り込みつつめっき相を析出させる。この場合、平均粒径が小さなダイヤモンドフィラーは質量も小さく、めっき液中で自重によっては沈降しにくいことから、めっき液を極微弱に攪拌させたり攪拌を停止すると、めっき相に析出させることが難しくなる。
このため、平均粒径が小さいダイヤモンドフィラーに対しては、図7に示されるように、めっき液を強く攪拌させてダイヤモンドフィラーの分散性を高め、台金付近のフィラー存在率を高めることにより、フィラーを強制的にめっき相に取り込ませることが好ましい。なお、この場合、ダイヤモンド砥粒をめっき相に析出させていないため、加工性(切れ味)を十分に高められないことが問題となる。
めっき液中に、非導電性のダイヤモンド砥粒及び非導電性のダイヤモンドフィラーを分散して、電解めっきによって台金上に砥粒及びフィラーを取り込みつつめっき相を析出させる。この場合、平均粒径(大きさ)が互いに異なるダイヤモンド砥粒とダイヤモンドフィラーとでは、適しためっき液の攪拌条件が互いに異なるため、攪拌条件の最適化のみでは、ダイヤモンド砥粒及びダイヤモンドフィラーをともに十分にめっき相に取り込むことは難しい。
つまり、大きさの異なるダイヤモンド砥粒とダイヤモンドフィラーをめっき液中に分散して電解めっきを行い、砥粒及びフィラーをともにめっき相に多量にかつ均等に析出(同時共析)させることは、従来技術では困難であった。
本発明ではめっき液中に、導電性のダイヤモンド砥粒及び非導電性のダイヤモンドフィラーを分散して、電解めっきによって台金上に砥粒及びフィラーを取り込みつつめっき相を析出させる。なお、ダイヤモンド砥粒の導電部としては、該ダイヤモンド砥粒(非導電性(絶縁性)のsp3炭素)の表面に、例えばグラファイトカーボン(導電性のsp2炭素)や、Ni基化合物、Ni、Pd、Ti等を設けることが好ましい。
そこで本発明のように、導電性のダイヤモンド砥粒と、該ダイヤモンド砥粒よりも平均粒径の小さな非導電性のダイヤモンドフィラー(非導電性(絶縁性)のsp3炭素)とをめっき液中に分散させて電解めっきを行ったところ、非導電性のダイヤモンドフィラーが、導電性のダイヤモンド砥粒同士の間に介在し分散剤として機能して、砥粒の凝集が発生しなくなることが確認された。
つまり、導電性のダイヤモンド砥粒と、非導電性のダイヤモンドフィラーとをめっき相に分散させるという特別な構成を採用したことによって、これら砥粒及びフィラーを、多量にかつ均等に分散してめっき相に同時共析させることが可能である。
また、めっき相に、平均粒径が小さなダイヤモンドフィラーが多量に取り込まれることにより、該ダイヤモンドフィラーがブレード本体の硬度や剛性の向上に効果的に寄与する。なお、本発明によれば、非導電性のダイヤモンドフィラーの投入量(めっき液中の含有量)を調整することにより、任意のブレード剛性を得ることができる。
この点、本発明では電気的な力を付加することによりダイヤモンド砥粒とダイヤモンドフィラーの同時共析を可能としているため、めっき相への影響(脆化等のおそれ)はない。なお、本発明において、めっき相の脆化への影響が出ない程度に、カチオン系などの界面活性剤を使用すること(化学的な力の付加を併用すること)については差し支えない。
また、本発明の切断用ブレードにおいて、前記ダイヤモンド砥粒の導電部は、カーボングラファイトからなる。
この場合、例えば、ダイヤモンド砥粒の表面を炭化させるなどの簡単な手法により、導電部(カーボングラファイト)を設けることができる。またこの場合、導電部が、ダイヤモンド砥粒本体よりも脆いカーボングラファイトからなるので、切断加工時においてこの導電部が滑り層として機能し、被切断材の切断面に対する摺動性が向上する。その結果、加工負荷が軽減されて、切断精度をより向上させる効果や、ブレード寿命をより延長させる効果が得られる。
また、本発明の切断用ブレードにおいて、前記めっき相は、Niからなり、前記ダイヤモンド砥粒の導電部は、Niよりも硬度が高いNi基化合物からなる。
この場合、導電部として、めっき相のNiよりも硬度が高い、例えばNi−P(ニッケル−リン)、Ni−B(ニッケル−ホウ素)、Ni−W(ニッケル−タングステン)等のNi基化合物が用いられるので、該導電部によってもブレード剛性を高める効果が得られることになる。
また、本発明の切断用ブレードにおいて、前記ダイヤモンド砥粒の導電部は、Pd又はTiからなる。
この場合、ダイヤモンド砥粒の導電部が、Pd又はTiからなることから、PdコートダイヤやTiコートダイヤ等の流通品を、導電部を有するダイヤモンド砥粒として用いることができる。なお、Tiコートダイヤを用いた場合には、切断加工時において導電部(Ti)が滑り層として機能し、被切断材の切断面に対する摺動性が向上する。その結果、加工負荷が軽減されて、切断精度をより向上させる効果や、ブレード寿命をより延長させる効果が得られる。
また、ダイヤモンドフィラーの平均粒径が、ダイヤモンド砥粒の平均粒径の半分以下であるので、上述したブレード剛性が高められるという効果が格別顕著なものとなる。
本実施形態の切断用ブレード10は、半導体素子や電子部品等の被切断材の超精密切断加工に用いられるものである。また、切断用ブレード10は、電解めっき(電気めっき)により作製された電鋳ブレードである。
本実施形態の切断用ブレード10は、ブレード本体1が図示しない切断装置の主軸にフランジを介して取り付けられる、ワッシャタイプ(平円板形)のブレードである。
なお本発明は、ワッシャタイプのブレードに限定されるものではない。すなわち、切断用ブレード10は、電鋳の際の台金11に析出したブレード本体1が固着されたままとされ、この台金11ごと主軸に取り付けられるハブタイプのブレード(ハブ付きブレード)であってもよい。
なお、本明細書においては、ブレード本体1の中心軸O方向に沿う方向を厚さ方向といい、中心軸Oに直交する方向を径方向といい、中心軸O回りに周回する方向を周方向という。
めっき相2において、複数のダイヤモンド砥粒3同士は、互いの間隔が均等となるように分散されており、複数のダイヤモンドフィラー5同士も、互いの間隔が均等となるように分散されている。そして、めっき相2内において隣り合うダイヤモンド砥粒3同士の間には、めっき相2及びダイヤモンドフィラー5が介在する。
めっき相2に分散されるダイヤモンド砥粒3の含有率は、例えば、5〜15%である。具体的に上記含有率とは、ブレード本体1全体の体積に対するダイヤモンド砥粒3の体積の割合を指す。
めっき相2に分散されるダイヤモンドフィラー5の含有率は、例えば、35〜45%である。具体的に上記含有率とは、ブレード本体1全体の体積に対するダイヤモンドフィラー5の体積の割合を指す。
本実施形態において、ダイヤモンド砥粒3の導電部6は、該ダイヤモンド砥粒3の表面(表層)に設けられている。導電部6は、ダイヤモンド砥粒3の表面のうち、少なくとも一部以上に設けられている。また導電部6は、ダイヤモンド砥粒3の表面のすべてを覆っていてもよい。
また、切断用ブレード10全体に使用されるダイヤモンド砥粒3の重量及びダイヤモンドフィラー5の重量の総和(総ダイヤ重量)に対する、ダイヤモンド砥粒3に付着するカーボングラファイト(導電部6)の重量の総和の割合は、例えば、0.1〜20wt%である。
図3〜図5に示されるように、本実施形態の切断用ブレード10のブレード本体1は、Niを主成分とするめっき液Pを用いた電鋳法により製造される。
めっき液Pには、Ni以外の成分として、所定の添加剤(例えば界面活性剤を含む)、ダイヤモンド砥粒3及びダイヤモンドフィラー5が混合される。つまり、めっき液P中に、導電部6を有するダイヤモンド砥粒3と、該ダイヤモンド砥粒3よりも平均粒径が小さく、導電部を有していないダイヤモンドフィラー5と、を分散させる。
このようにして、切断用ブレード10が製造される。
すなわち、従来例として、
・めっき液P中に非導電性のダイヤモンド砥粒30のみを分散させて電解めっきした場合。
・めっき液P中に非導電性のダイヤモンドフィラー5のみを分散させて電解めっきした場合。
・めっき液P中に、ともに非導電性とされたダイヤモンド砥粒30及びダイヤモンドフィラー5を分散させて電解めっきした場合。
について、先に説明する。
図6に示されるように、切断用ブレードの製造時において、ブレード本体を析出させる台金11である陰極(カソード電極)をめっき液P中に配置し、めっき液P中に、平均粒径が大きく導電部を有していないダイヤモンド砥粒30のみを分散して、電解めっきによって台金11上に砥粒30を取り込みつつめっき相2を析出させる。この場合、平均粒径が大きなダイヤモンド砥粒30は質量も大きく、めっき液Pから受ける力が大きくなりやすい(ニュートン力学:F=ma(運動の第2法則)に従う)ことから、めっき液Pを高速攪拌すると、めっき液Pから受ける強い力によって砥粒30がめっき相2にトラップされにくくなる。つまり、ダイヤモンド砥粒30がめっき液P中を循環し続けて、めっき相2に取り込まれにくくなる。
このため、平均砥粒が大きいダイヤモンド砥粒30に対しては、図6に示されるように、めっき液Pを極微弱に攪拌させるか攪拌を停止して、ダイヤモンド砥粒30を自重により沈降させ、めっき相2に析出させることが好ましい。なお、この場合、ダイヤモンドフィラーをめっき相2に析出させていないため、ブレード本体の硬度や剛性を十分に高められないことが問題となる。
図7に示されるように、めっき液P中に、平均粒径が小さく導電部を有していないダイヤモンドフィラー5のみを分散して、電解めっきによって台金11上にフィラー5を取り込みつつめっき相2を析出させる。この場合、平均粒径が小さなダイヤモンドフィラー5は質量も小さく、めっき液P中で自重によっては沈降しにくいことから、めっき液Pを極微弱に攪拌させたり攪拌を停止すると、めっき相2に析出させることが難しくなる。
このため、平均粒径が小さいダイヤモンドフィラー5に対しては、図7に示されるように、めっき液Pを強く攪拌させてダイヤモンドフィラー5の分散性を高め、台金11付近のフィラー存在率を高めることにより、フィラー5を強制的にめっき相2に取り込ませることが好ましい。なお、この場合、ダイヤモンド砥粒をめっき相2に析出させていないため、加工性(切れ味)を十分に高められないことが問題となる。
図8に示されるように、めっき液P中に、非導電性のダイヤモンド砥粒30及び非導電性のダイヤモンドフィラー5を分散して、電解めっきによって台金11上に砥粒30及びフィラー5を取り込みつつめっき相2を析出させる。この場合、平均粒径(大きさ)が互いに異なるダイヤモンド砥粒30とダイヤモンドフィラー5とでは、適しためっき液Pの攪拌条件が互いに異なるため、攪拌条件の最適化のみでは、ダイヤモンド砥粒30及びダイヤモンドフィラー5をともに十分にめっき相2に取り込むことは難しい。
つまり、大きさの異なるダイヤモンド砥粒30とダイヤモンドフィラー5をめっき液P中に分散して電解めっきを行い、砥粒30及びフィラー5をともにめっき相2に多量にかつ均等に析出(同時共析)させることは、従来技術では困難であった。
図4に示されるように、本実施形態ではめっき液P中に、導電性のダイヤモンド砥粒3及び非導電性のダイヤモンドフィラー5を分散して、電解めっきによって台金11上に砥粒3及びフィラー5を取り込みつつめっき相2を析出させる。
そこで本実施形態のように、導電性のダイヤモンド砥粒3と、該ダイヤモンド砥粒3よりも平均粒径の小さな非導電性のダイヤモンドフィラー(非導電性(絶縁性)のsp3炭素)5とをめっき液P中に分散させて電解めっきを行ったところ、非導電性のダイヤモンドフィラー5が、導電性のダイヤモンド砥粒3同士の間に介在し分散剤として機能して、砥粒3の凝集が発生しなくなることが確認された。
つまり、導電性のダイヤモンド砥粒3と、非導電性のダイヤモンドフィラー5とをめっき相2に分散させるという特別な構成を採用したことによって、これら砥粒3及びフィラー5を、多量にかつ均等に分散してめっき相2に同時共析させることが可能である。
また、めっき相2に、平均粒径が小さなダイヤモンドフィラー5が多量に取り込まれることにより、該ダイヤモンドフィラー5がブレード本体1の硬度や剛性の向上に効果的に寄与する。なお、本実施形態によれば、非導電性のダイヤモンドフィラー5の投入量(めっき液P中の含有量)を調整することにより、任意のブレード剛性を得ることができる。
この点、本実施形態では電気的な力を付加することによりダイヤモンド砥粒3とダイヤモンドフィラー5の同時共析を可能としているため、めっき相2への影響(脆化等のおそれ)はない。なお、本実施形態において、めっき相2の脆化への影響が出ない程度に、カチオン系などの界面活性剤を使用すること(化学的な力の付加を併用すること)については差し支えない。
従って、電解めっき時において、ダイヤモンド砥粒3がクーロン力(静電引力)によって陰極に確実に引き寄せられやすくなり、該ダイヤモンド砥粒3が、ダイヤモンドフィラー5とともにめっき相2により取り込まれやすくなって、上述した作用効果が格別顕著なものとなる。
具体的に、ダイヤモンド砥粒3は、砥粒製造時の触媒として鉄、ニッケル、マンガン、コバルト等の不純物メタルを含んでいる。このため、不純物メタルと砥粒3表面の導電部6との間で分極が起こり、不純物メタルの電荷(−Q)及び表面電荷(+Q)が得られるものと推測される。なお、特に図示していないが、導電部6の電位Vに対して、不純物メタルの電位は0である。
すなわち、ダイヤモンド砥粒3の平均粒径が5μm以上であるので、該ダイヤモンド砥粒3によって、上述した加工性(切れ味)が向上するという効果が格別顕著なものとなる。
また、ダイヤモンドフィラー5の平均粒径が、ダイヤモンド砥粒3の平均粒径の半分以下であるので、上述したブレード剛性が高められるという効果が格別顕著なものとなる。
具体的には、ダイヤモンドフィラー5の平均粒径が2μm以下であるので、ブレード剛性が高められるという効果が、より格別顕著なものとなる。
特に図示していないが、具体的に、C1sのスペクトル形状を表すグラフ(横軸:照射したX線を基準としたときの光電子のエネルギー、縦軸:観測された光電子の個数、とされたいわゆるXPS分析図)では、表面を炭化する前のダイヤモンド砥粒30(非導電性(絶縁性)のsp3炭素)は、285eV付近にピークを持ち、結晶性が良好なことからピークの対称性を有し半値幅も狭くなる。一方、ダイヤモンド砥粒30(3)の表面が炭化し始めると(つまり、導電性のsp2炭素が形成されると)、ピーク位置は低エネルギー側にシフトし、ピークの対称性も崩れて、半値幅が拡がる傾向がある。
本実施形態によれば、電流密度が3A/dm2以上であるので、電場Eが小さくなり過ぎることを防止でき、ダイヤモンド砥粒3のめっき相2への共析量が安定して確保される。また、電流密度が20A/dm2以下であるので、めっき焼けなどによる製品不良が生じにくい。
具体的には、めっき相2がNiからなり、ダイヤモンド砥粒3の導電部6が、Niよりも硬度が高いNi基化合物からなることとしてもよい。
この場合、導電部6として、めっき相2のNiよりも硬度が高い、例えばNi−P(ニッケル−リン)、Ni−B(ニッケル−ホウ素)、Ni−W(ニッケル−タングステン)等のNi基化合物が用いられるので、該導電部6によってもブレード剛性を高める効果が得られることになる。
この場合、ダイヤモンド砥粒3の導電部6が、Pd又はTiからなることから、PdコートダイヤやTiコートダイヤ等の流通品を、導電部6を有するダイヤモンド砥粒3として用いることができる。なお、Tiコートダイヤを用いた場合には、切断加工時において導電部(Ti)6が滑り層として機能し、被切断材の切断面に対する摺動性が向上する。その結果、加工負荷が軽減されて、切断精度をより向上させる効果や、ブレード寿命をより延長させる効果が得られる。
前述の実施形態で説明した切断用ブレード10の製造例として、ワッシャタイプのNi電鋳ブレードの製造について、下記に一例を挙げて説明する。
この切断用ブレード10は、Ni浴に導電性のダイヤモンド砥粒3と非導電性のダイヤモンドフィラー5を分散させためっき液Pにより作製可能である。この切断用ブレード10は、めっき相2自体をブレードとして使用する電鋳ブレードであるため、陰極である台金11との剥離容易性が良好に得られることが要求される。このため、台金11にはSUS材を用いた。
エッチング後、所望のブレードサイズとなるように研磨などの機械加工を施し、切断用ブレード10を得ることができる。
1A 切れ刃
2 めっき相
3 ダイヤモンド砥粒
5 ダイヤモンドフィラー
6 導電部
10 切断用ブレード
11 台金(陰極)
P めっき液
Claims (7)
- 円板状をなすブレード本体の外周縁部が切れ刃とされた切断用ブレードであって、
前記ブレード本体は、
めっき相と、
前記めっき相に分散されるダイヤモンド砥粒と、
前記めっき相に分散され、前記ダイヤモンド砥粒よりも平均粒径が小さいダイヤモンドフィラーと、を有し、
前記ダイヤモンド砥粒は、前記めっき相と異なる導電部を有しており、
前記ダイヤモンド砥粒の導電部は、カーボングラファイトからなり、
前記ダイヤモンドフィラーは、前記めっき相と異なる導電部を有していないことを特徴とする切断用ブレード。 - 円板状をなすブレード本体の外周縁部が切れ刃とされた切断用ブレードであって、
前記ブレード本体は、
Niからなるめっき相と、
前記めっき相に分散されるダイヤモンド砥粒と、
前記めっき相に分散され、前記ダイヤモンド砥粒よりも平均粒径が小さいダイヤモンドフィラーと、を有し、
前記ダイヤモンド砥粒は、前記めっき相と異なる導電部を有しており、
前記ダイヤモンド砥粒の導電部は、Niよりも硬度が高いNi基化合物からなり、
前記ダイヤモンドフィラーは、前記めっき相と異なる導電部を有していないことを特徴とする切断用ブレード。 - 円板状をなすブレード本体の外周縁部が切れ刃とされた切断用ブレードであって、
前記ブレード本体は、
めっき相と、
前記めっき相に分散されるダイヤモンド砥粒と、
前記めっき相に分散され、前記ダイヤモンド砥粒よりも平均粒径が小さいダイヤモンドフィラーと、を有し、
前記ダイヤモンド砥粒は、前記めっき相と異なる導電部を有しており、
前記ダイヤモンド砥粒の導電部は、Pd又はTiからなり、
前記ダイヤモンドフィラーは、前記めっき相と異なる導電部を有していないことを特徴とする切断用ブレード。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載の切断用ブレードであって、
前記ダイヤモンド砥粒の導電部は、該ダイヤモンド砥粒の表面に設けられていることを特徴とする切断用ブレード。 - 請求項1〜4のいずれか一項に記載の切断用ブレードであって、
前記ダイヤモンド砥粒の平均粒径は、5μm以上であり、
前記ダイヤモンドフィラーの平均粒径は、前記ダイヤモンド砥粒の平均粒径の半分以下であることを特徴とする切断用ブレード。 - 請求項5に記載の切断用ブレードであって、
前記ダイヤモンドフィラーの平均粒径が、2μm以下であることを特徴とする切断用ブレード。 - 円板状をなすブレード本体の外周縁部が切れ刃とされた切断用ブレードを製造する方法であって、
めっき液中に、導電部を有するダイヤモンド砥粒と、該ダイヤモンド砥粒よりも平均粒径が小さく、導電部を有していないダイヤモンドフィラーと、を分散させ、
前記めっき液中に陽極と陰極とを配置して電解めっきすることにより、前記陰極とされた台金上に、前記ブレード本体として、めっき相とともに前記ダイヤモンド砥粒及び前記ダイヤモンドフィラーを析出させることを特徴とする切断用ブレードの製造方法。
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