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JP6643917B2 - タイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、リムに装着されるタイヤに関する。
従来、乗用車等の車両には、ゴム、有機繊維材料、スチール部材等を用いて形成された空気入りタイヤが用いられている。
近年では、軽量化、成形の容易さ、リサイクルのし易さ等の理由から、熱可塑性樹脂や熱可塑性エラストマーといった熱可塑性の高分子材料を含む樹脂材料をタイヤの材料として用いることが検討されている。例えば、特許文献1には、熱可塑性の高分子材料を用いて形成された空気入りタイヤが開示されている。
特開2003−104008号公報
特許文献1に記載のタイヤは、樹脂製の骨格体とゴム層とを有する。このようなタイヤは、ゴム層の耐光性が低い傾向にある。骨格体はタイヤ使用時において光が当たりにくい環境であるため耐光性を向上させる要求は低く、骨格体には老化防止剤等は配合されていない、又は配合されていてもごく少量である。一方、ゴム層はタイヤの最表層であるため光等が当り易い。そのため、ゴム層中に老化防止剤及びプロセスオイルを含んでいたとしても、これらが消費されて減少していく。さらに、老化防止剤及びプロセスオイルのような配合物は、隣接部材間において濃度が低い方へ移行する傾向にある。そのため、前述のような特徴を有する樹脂製の骨格体を有するタイヤの場合、ゴム層中から骨格体へ老化防止剤及びプロセスオイルが移行し、ゴム骨格体を有するタイヤと比較してよりタイヤの劣化が進行しやすい傾向にある。
上記の対策として、ゴム層中に老化防止剤及びプロセスオイルの含有量を増やすことが挙げられるが、老化防止剤及びプロセスオイルの含有量が多すぎるとこれらがタイヤの表面に移行し外観が悪化すること、及び隣接部材間の界面に析出し隣接部材間の接着を阻害すること等の悪影響を及ぼす可能性がある。
本明細書においてタイヤの劣化とは、タイヤが光に曝されることにより耐久性が低下することを意味する。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、劣化及び外観悪化が抑制されたタイヤを提供することを課題とする。
上記課題を解決するための具体的な手段には、以下の態様が含まれる。
[1] 樹脂材料で形成された環状のタイヤ骨格体と、ゴム材料で形成された外装用部材と、を有し、前記タイヤ骨格体はプロセスオイルA及び老化防止剤Aの少なくとも一方を含み、前記外装用部材はプロセスオイルB及び老化防止剤Bを含み、前記タイヤ骨格体におけるプロセスオイルAの含有量a1が、前記外装用部材の前記ゴム材料におけるゴム成分100質量部に対して0質量部又は0.5質量部〜15質量部であり、前記タイヤ骨格体における老化防止剤Aの含有量a2が、前記外装用部材の前記ゴム材料におけるゴム成分100質量部に対して0質量部又は0.5質量部〜20質量部であり、下記式1で示される前記タイヤ骨格体のプロセスオイルAの含有量a1と前記外装用部材のプロセスオイルBの含有量b1との関係、又は下記式2で示される前記タイヤ骨格体の老化防止剤Aの含有量a2と前記外装用部材の老化防止剤Bの含有量b2との関係の少なくとも一方の関係を満たし、前記タイヤ骨格体の厚みが1mm〜2.5mmであるタイヤ。
a1>b1 式1
a2>b2 式2
[2] 前記タイヤ骨格体と前記外装用部材との間に、樹脂若しくはゴムを含む組成物で形成された接着層、又は、レゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックスを含む組成物で形成された接着層を有する[1]に記載のタイヤ。
[3] 前記樹脂若しくはゴムを含む組成物で形成された接着層を有し、前記樹脂は、エポキシ樹脂及びフェノール樹脂から選ばれる少なくとも1つの樹脂を含む[2]に記載のタイヤ。
[4] 前記樹脂材料は、ポリアミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド樹脂、及びポリエステル樹脂から選ばれる少なくとも1つを含む[1]〜[3]のいずれか1つに記載のタイヤ。
本発明によれば、劣化及び外観悪化が抑制されたタイヤが提供される。
(A)〜(D)はタイヤ骨格体と外装用部材との層構成を示す摸式図である。 (A)は本発明の第1の実施形態に係るタイヤの一部の断面を示す斜視図であり、(B)は、リムに装着したビード部の断面図である。 第1の実施形態のタイヤのタイヤ骨格体のクラウン部と外装用部材であるトレッドとの積層構造を示した断面図である。 (A)は本発明の第2の実施形態に係るタイヤの一部の断面を示す斜視図であり、(B)は、リムに装着したビード部の断面図である。 第2の実施形態のタイヤのタイヤケースのクラウン部上に補強コード部材が埋設された積層構造を示すタイヤ回転軸に沿った断面図である。 コード加熱装置、及びローラを用いてタイヤ骨格体のクラウン部に補強コードを埋没する動作を説明するための説明図である。
以下、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
なお、本明細書において、「樹脂」とは、熱可塑性樹脂(熱可塑性エラストマーを含む)及び熱硬化性樹脂を含む概念であり、加硫ゴムは含まない。
また、「ゴム」とは、弾性を有する高分子化合物であるが、本明細書では、熱可塑性エラストマーとは区別される。
また、「熱可塑性エラストマー」とは、弾性を有する高分子化合物であって、結晶性で融点の高いハードセグメント若しくは高い凝集力のハードセグメントを構成するポリマーと、非晶性でガラス転移温度の低いソフトセグメントを構成するポリマーとを有する共重合体を意味する。
また、以下の樹脂の説明において「同種」とは、エステル系同士等、樹脂の主鎖を構成する骨格と共通する骨格を備えたものを意味する。
また、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
また、「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても、その工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
≪タイヤ≫
タイヤは、樹脂材料で形成された環状のタイヤ骨格体と、ゴム材料で形成された外装用部材と、を有し、前記タイヤ骨格体はプロセスオイルA及び老化防止剤Aの少なくとも一方を含み、前記外装用部材はプロセスオイルB及び老化防止剤Bを含み、前記タイヤ骨格体におけるプロセスオイルAの含有量a1が、前記外装用部材の前記ゴム材料におけるゴム成分100質量部に対して0質量部又は0.5質量部〜15質量部であり、前記タイヤ骨格体における老化防止剤Aの含有量a2が、前記外装用部材の前記ゴム材料におけるゴム成分100質量部に対して0質量部又は0.5質量部〜20質量部であり、下記式1で示される前記タイヤ骨格体のプロセスオイルAの含有量a1と前記外装用部材のプロセスオイルBの含有量b1との関係、又は下記式2で示される前記タイヤ骨格体の老化防止剤Aの含有量a2と前記外装用部材の老化防止剤Bの含有量b2との関係の少なくとも一方の関係を満たし、前記タイヤ骨格体の厚みが1mm〜2.5mmである。
a1>b1 式1
a2>b2 式2
樹脂材料で形成されたタイヤ骨格体を有するタイヤにおける外装用部材としてのゴム材料は、タイヤが光等に曝されることで劣化しやすいため、このようなタイヤは光等による劣化が生じやすい。このタイヤの劣化を抑制するため、外装用部材にはプロセスオイル及び老化防止剤が用いられるが、プロセスオイル及び老化防止剤は経時で消費される、また、外装用部材からタイヤ骨格体等への移行が起きるため、劣化抑制の効果は長期間持続しない傾向にある。
タイヤの劣化抑制の効果を長期間持続させる目的で、外装用部材に用いるプロセスオイル及び老化防止剤の含有量を増やすことがあるが、これらの含有量を増やすことでプロセスオイル及び老化防止剤がタイヤの表面に移行しやすくなりタイヤの外観が悪化しやすくなること、及び隣接部材間の界面に析出し隣接部材間の接着を阻害すること等の原因となりうる。
本発明のタイヤは、外装用部材がプロセスオイルB及び老化防止剤Bを含み、タイヤ骨格体がプロセスオイルA及び老化防止剤Aの少なくとも一方を含む。そして、タイヤ骨格体を形成する樹脂材料及び外装用部材を形成するゴム材料におけるプロセスオイル及び老化防止剤の含有量が上記のとおりであり、かつ、上記式1及び式2の関係の少なくとも一方の関係を満たす。
タイヤを上記の構成とすることで、プロセスオイル及び老化防止剤の少なくとも一方の含有量がより多いタイヤ骨格体から、これらの含有量がより少ない外装用部材へ向けて、プロセスオイル及び老化防止剤の少なくとも一方の移行が生じる。つまり、タイヤ骨格体から外装用部材へプロセスオイル及び老化防止剤の少なくとも一方が供給されるため、外装用部材に含まれるプロセスオイル及び老化防止剤が消費され含有量が減少することで起こるタイヤの劣化を長期間抑制することができると考えられる。
また、タイヤを上記の構成とすることで、タイヤ骨格体から外装用部材へプロセスオイル及び老化防止剤の少なくとも一方が供給されるため、外装用部材におけるプロセスオイル及び老化防止剤の含有量を予め増やさずとも外装用部材の耐光性を向上させ劣化を抑制することができる。また、タイヤ骨格体から外装用部材へ供給される老化防止剤及びプロセスオイルは外装用部材中において消費されるため、外装用部材中において老化防止剤及びプロセスオイルの量が過剰な状態にはなりにくい。つまり、外装用部材におけるプロセスオイル及び老化防止剤の含有量は多くなりすぎず、プロセスオイル及び老化防止剤のタイヤ表面及び隣接部材との界面への移行を抑制することができる。そのため、タイヤの外観の悪化及び接着を阻害することによる耐久性低下を抑制することができると考えられる。
また、タイヤ骨格体の厚みが1mm〜2.5mmであることで、タイヤとしての形状を維持しやすく、タイヤ骨格体から外装用部材へのプロセスオイル及び老化防止剤の供給がよりスムーズに行われると考えられる。
以上のことから、本発明のタイヤは劣化の抑制及び外観悪化の抑制が両立できると考えられる。
<タイヤ骨格体及び外装用部材におけるプロセスオイル及び老化防止剤の量的関係>
タイヤは、タイヤ骨格体と外装用部材とを有し、前記タイヤ骨格体はプロセスオイルA及び老化防止剤Aの少なくとも一方を含み、前記外装用部材はプロセスオイルB及び老化防止剤Bを含む。
前記タイヤ骨格体におけるプロセスオイルAの含有量a1は、前記外装用部材のゴム材料におけるゴム成分100質量部に対して0質量部又は0.5質量部〜15質量部である。
プロセスオイルAの含有量a1が0.5質量部以上であることでタイヤの劣化を抑制することができる。一方、プロセスオイルAの含有量a1が15質量部以下であることでタイヤ表面へのプロセスオイルの移行を抑制でき、タイヤの外観の悪化を抑制することができる。また、プロセスオイルAの含有量a1が0質量部の場合は、後述のタイヤ骨格体における老化防止剤Aの含有量a2が、前記外装用部材のゴム材料におけるゴム成分100質量部に対して0.5質量部〜20質量部となる。
前記タイヤ骨格体における老化防止剤Aの含有量a2は、前記外装用部材のゴム材料におけるゴム成分100質量部に対して0質量部又は0.5質量部〜20質量部である。
老化防止剤Aの含有量a2が0.5質量部以上であることでタイヤの劣化を抑制することができる。一方、老化防止剤Aの含有量a2が20質量部以下であることでタイヤ表面への老化防止剤の移行を抑制でき、タイヤの外観の悪化を抑制することができる。また、老化防止剤Aの含有量a2が0質量部の場合は、前述のタイヤ骨格体におけるプロセスオイルAの含有量a1が、前記外装用部材のゴム材料におけるゴム成分100質量部に対して0.5質量部〜15質量部となる。
そして、下記式1で示される前記タイヤ骨格体のプロセスオイルAの含有量a1と前記外装用部材のプロセスオイルBの含有量b1との関係、又は下記式2で示される前記タイヤ骨格体の老化防止剤Aの含有量a2と前記外装用部材の老化防止剤Bの含有量b2との関係の少なくとも一方の関係を満たす。
a1>b1 式1
a2>b2 式2
すなわち、タイヤ骨格体及び外装用部材におけるプロセスオイル及び老化防止剤の量的関係は、以下の通りとなる。
1)タイヤ骨格体がプロセスオイル及び老化防止剤を含む場合、タイヤ骨格体におけるプロセスオイルAの含有量a1は0.5質量部〜15質量部であり、かつ、老化防止剤Aの含有量a2は0.5質量部〜20質量部であり、外装用部材におけるプロセスオイルBの含有量b1及び老化防止剤Bの含有量b2の少なくとも一方が、上記式1の関係又は上記式2の関係を満たす。
この場合、タイヤの劣化の抑制及び外観悪化の抑制を両立する観点から、タイヤ骨格体におけるプロセスオイルAの含有量a1、老化防止剤Aの含有量a2、外装用部材におけるプロセスオイルBの含有量b1、及び老化防止剤Bの含有量b2が上記式1の関係及び上記式2の関係を両方満たすことが好ましい。
2)タイヤ骨格体がプロセスオイルを含み老化防止剤を含まない場合、タイヤ骨格体におけるプロセスオイルAの含有量a1は0.5質量部〜15質量部であり、老化防止剤Aの含有量a2は0質量部であり、外装用部材におけるプロセスオイルBの含有量b1が、上記式1の関係を満たす。
3)タイヤ骨格体が老化防止剤を含みプロセスオイルを含まない場合、タイヤ骨格体におけるプロセスオイルAの含有量a1は0質量部であり、老化防止剤Aの含有量a2は0.5質量部〜20質量部であり、外装用部材におけるプロセスオイルBの含有量b2が、上記式2の関係を満たす。
タイヤ骨格体におけるプロセスオイルAの含有量a1、及び老化防止剤Aの含有量a2、並びに外装用部材におけるプロセスオイルBの含有量b1、及び老化防止剤Bの含有量b2が、上記式1の関係又は上記式2の関係の少なくとも一方の関係を満たすことで、タイヤ骨格体から外装用部材へプロセスオイル又は老化防止剤の少なくとも一方が供給されるためタイヤの劣化を抑制することができ、劣化の抑制の効果が長期間持続する。
<タイヤ骨格体>
タイヤは、樹脂材料で形成された環状のタイヤ骨格体を有する。タイヤ骨格体は、プロセスオイルA及び老化防止剤Aの少なくとも一方を含む。なお、プロセスオイルA及び老化防止剤Aの含有量は前述の通りである。
[プロセスオイルA]
タイヤ骨格体に含まれ得るプロセスオイルAは、特に限定されず、従来公知のゴム製品に軟化剤として用いられるプロセスオイル等を用いることができる。具体的には、例えば、石油系オイル、植物油系オイル、合成系オイルが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
タイヤ骨格体に含まれ得るプロセスオイルAは、後述の外装用部材に含まれるプロセスオイルBと同じものでもよく、異なるものでもよい。タイヤ骨格体から外装用部材へのプロセスオイルの供給の観点から、プロセルオイルAとプロセスオイルBとは同じものであることが好ましい。
石油系オイルとしては、具体的には、例えば、パラフィン系オイル、ナフテン系オイル、及びアロマ系オイルが挙げられる。
中でも、耐候性の観点から、アロマ系オイルが好ましく、パラフィン系オイルがより好ましい。
タイヤ骨格体におけるプロセスオイルの含有量は上記の通りである。
[老化防止剤]
タイヤ骨格体に含まれ得る老化防止剤は、特に限定されず、従来公知のゴム組成物に用いられる老化防止剤を使用できる。具体的には、例えば、フェノール誘導体、芳香族アミン誘導体、アミン−ケトン縮合物、ベンズイミダゾール誘導体、ジチオカルバミン酸誘導体、チオウレア誘導体が好適に挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
タイヤ骨格体に含まれ得る老化防止剤Aは、後述の外装用部材に含まれる老化防止剤Bと同じものでもよく、異なるものでもよい。タイヤ骨格体から外装用部材への老化防止剤の供給の観点から、老化防止剤Aと老化防止剤Bとは同じものであることが好ましい。
上記フェノール誘導体としては、具体的には、例えば、スチレン化フェノール、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチルクレゾール、4,4′−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4′−メチレン−ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4′−チオ−ビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)等が挙げられる。
上記芳香族アミン誘導体としては、具体的には、例えば、4,4′−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、オクチル化ジフェニルアミン、N,N′−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N,N′−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン、N−(1,3−ジメチルブチル)−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン等が挙げられる。
上記アミン−ケトン縮合物としては、具体的には、例えば、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体、6−エトキシ−1,2−ジヒドロ−2,2,4−トリメチルキノリン、ジフェニルアミンとアセトンの反応物等が挙げられる。
上記ベンズイミダゾール誘導体としては、具体的には、例えば、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトメチルベンズイミダゾール、2−メルカプトベンズイミダゾールの亜鉛塩等が挙げられる。
上記ジチオカルバミン酸誘導体としては、具体的には、例えば、ジエチルジチオカルバミン酸ニッケル、ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル等が挙げられる。
上記チオウレア誘導体としては、具体的には、例えば、1,3−ビス(ジメチルアミノプロピル)−2−チオ尿素、トリブチルチオ尿素等が挙げられる。
中でも、耐候性、及びコストの観点から、芳香族アミン誘導体が好ましく、N−(1,3−ジメチルブチル)−N′−フェニル−p−フェニレンジアミンがより好ましい。
タイヤ骨格体における老化防止剤の含有量は上記の通りである。
[樹脂材料]
本発明におけるタイヤ骨格体は、樹脂材料で形成されている。
本発明において、「樹脂材料」は、樹脂(樹脂成分)を少なくとも含み、添加剤等の他の成分を含んでいてもよい。
また、本明細書において、「樹脂材料」とは、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、及び熱硬化性樹脂を含む概念であるが、加硫ゴムは含まない。
熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール系熱硬化性樹脂、ユリア系熱硬化性樹脂、メラミン系熱硬化性樹脂、エポキシ系熱硬化性樹脂等が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリアミド系熱可塑性樹脂、ポリエステル系熱可塑性樹脂、オレフィン系熱可塑性樹脂、ポリウレタン系熱可塑性樹脂、塩化ビニル系熱可塑性樹脂、ポリスチレン系熱可塑性樹脂等を例示することができる。
これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
熱可塑性エラストマーとしては、例えば、JIS K6418に規定されるポリアミド系熱可塑性エラストマー(TPA)、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー(TPS)、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、ポリエステル系熱可塑性エラストマー(TPEE)、熱可塑性ゴム架橋体(TPV)、若しくはその他の熱可塑性エラストマー(TPZ)等が挙げられる。
これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
中でも、タイヤ骨格体を形成する樹脂材料に含まれる樹脂成分としては、走行時に必要とされる弾性、製造の際の成形性の観点から、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性樹脂、ポリエステル系熱可塑性樹脂、及びオレフィン系熱可塑性樹脂が好ましく、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性樹脂、及びポリエステル系熱可塑性樹脂がより好ましい。
(ポリアミド系熱可塑性エラストマー)
ポリアミド系熱可塑性エラストマーとは、結晶性で融点の高いハードセグメントを形成するポリマーと非晶性でガラス転移温度の低いソフトセグメントを形成するポリマーとを有する共重合体からなる熱可塑性の樹脂材料であって、ハードセグメントを形成するポリマーの主鎖にアミド結合(−CONH−)を有するものを意味する。
ポリアミド系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、少なくともポリアミドが結晶性で融点の高いハードセグメントを形成し、他のポリマー(例えば、ポリエステル、ポリエーテル等)が非晶性でガラス転移温度の低いソフトセグメントを形成している材料が挙げられる。また、ポリアミド系熱可塑性エラストマーは、ハードセグメント及びソフトセグメントの他に、ジカルボン酸等の鎖長延長剤を用いて形成されてもよい。
ポリアミド系熱可塑性エラストマーとしては、具体的には、JIS K6418:2007に規定されるアミド系熱可塑性エラストマー(TPA)等や、特開2004−346273号公報に記載のポリアミド系エラストマー等を挙げることができる。
ポリアミド系熱可塑性エラストマーにおいて、ハードセグメントを形成するポリアミドとしては、例えば、下記一般式(1)又は一般式(2)で表されるモノマーによって生成されるポリアミドを挙げることができる。

一般式(1)
一般式(1)中、Rは、炭素数2〜20の炭化水素の分子鎖(例えば、炭素数2〜20のアルキレン基)を表す。

一般式(2)
一般式(2)中、Rは、炭素数3〜20の炭化水素の分子鎖(例えば、炭素数3〜20のアルキレン基)を表す。
一般式(1)中、Rとしては、炭素数3〜18の炭化水素の分子鎖(例えば、炭素数3〜18のアルキレン基)が好ましく、炭素数4〜15の炭化水素の分子鎖(例えば、炭素数4〜15のアルキレン基)が更に好ましく、炭素数10〜15の炭化水素の分子鎖(例えば、炭素数10〜15のアルキレン基)が特に好ましい。また、一般式(2)中、Rとしては、炭素数3〜18の炭化水素の分子鎖(例えば、炭素数3〜18のアルキレン基)が好ましく、炭素数4〜15の炭化水素の分子鎖(例えば、炭素数4〜15のアルキレン基)が更に好ましく、炭素数10〜15の炭化水素の分子鎖(例えば、炭素数10〜15のアルキレン基)が特に好ましい。
一般式(1)又は一般式(2)で表されるモノマーとしては、ω−アミノカルボン酸やラクタムが挙げられる。また、ハードセグメントを形成するポリアミドとしては、これらω−アミノカルボン酸やラクタムの重縮合体や、ジアミンとジカルボン酸との共縮重合体等が挙げられる。
ω−アミノカルボン酸としては、6−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、8−アミノオクタン酸、10−アミノカプリン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸等の炭素数5〜20の脂肪族ω−アミノカルボン酸等を挙げることができる。また、ラクタムとしては、ラウリルラクタム、ε−カプロラクタム、ウデカンラクタム、ω−エナントラクタム、2−ピロリドン等の炭素数5〜20の脂肪族ラクタム等を挙げることができる。
ジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、3−メチルペンタメチレンジアミン、メタキシレンジアミン等の炭素数2〜20の脂肪族ジアミン等のジアミン化合物を挙げることができる。また、ジカルボン酸は、HOOC−(R−COOH(R:炭素数3〜20の炭化水素の分子鎖、m:0又は1)で表すことができ、例えば、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等の炭素数2〜20の脂肪族ジカルボン酸が挙げられる。
ハードセグメントを形成するポリアミドとしては、ラウリルラクタム、ε−カプロラクタム、又はウデカンラクタムを開環重縮合したポリアミドを好ましく用いることができる。
また、ソフトセグメントを形成するポリマーとしては、例えば、ポリエステル、ポリエーテル等が挙げられ、例えば、ポリエチレングリコール、プリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ABA型トリブロックポリエーテル等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、ポリエーテルの末端にアンモニア等を反応させることによって得られるポリエーテルジアミン等も用いることができる。
ここで、「ABA型トリブロックポリエーテル」とは、下記一般式(3)に示されるポリエーテルを意味する。

一般式(3)
一般式(3)中、x及びzは、1〜20の整数を表す。yは、4〜50の整数を表す。
一般式(3)において、x及びzは、それぞれ、1〜18の整数が好ましく、1〜16の整数が更に好ましく、1〜14の整数が特に好ましく、1〜12の整数が最も好ましい。また、一般式(3)において、yは、5〜45の整数が好ましく、6〜40の整数が更に好ましく、7〜35の整数が特に好ましく、8〜30の整数が最も好ましい。
ハードセグメントとソフトセグメントとの組合せとしては、上述で挙げたハードセグメントとソフトセグメントとのそれぞれの組合せを挙げることができる。これらの中でも、ラウリルラクタムの開環重縮合体/ポリエチレングリコールの組合せ、ラウリルラクタムの開環重縮合体/ポリプロピレングリコールの組合せ、ラウリルラクタムの開環重縮合体/ポリテトラメチレンエーテルグリコールの組合せ、及びラウリルラクタムの開環重縮合体/ABA型トリブロックポリエーテルの組合せが好ましく、ラウリルラクタムの開環重縮合体/ABA型トリブロックポリエーテルの組合せが特に好ましい。
ハードセグメントを形成するポリマー(ポリアミド)の数平均分子量は、溶融成形性の観点から、300〜15000が好ましい。また、ソフトセグメントを形成するポリマーの数平均分子量としては、強靱性及び低温柔軟性の観点から、200〜6000が好ましい。さらに、ハードセグメント(x)及びソフトセグメント(y)との質量比(x:y)は、成形性の観点から、50:50〜90:10が好ましく、50:50〜80:20が更に好ましい。
ポリアミド系熱可塑性エラストマーは、ハードセグメントを形成するポリマー及びソフトセグメントを形成するポリマーを公知の方法によって共重合することで合成することができる。
ポリアミド系熱可塑性エラストマーの市販品としては、例えば、宇部興産(株)の「UBESTA XPA」シリーズ(例えば、XPA9063X1、XPA9055X1、XPA9048X2、XPA9048X1、XPA9040X1、XPA9040X2XPA9044等)、ダイセル・エポニック(株)の「ベスタミド」シリーズ(例えば、E40−S3、E47−S1、E47−S3、E55−S1、E55−S3、EX9200、E50−R2等)等を用いることができる。
ポリアミド系熱可塑性エラストマーは、弾性率(柔軟性)、強度等の観点からタイヤ骨格体として要求される性能を満たすため、樹脂材料として好適である。
(ポリエステル系熱可塑性エラストマー)
ポリエステル系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、少なくともポリエステルが結晶性で融点の高いハードセグメントを形成し、他のポリマー(例えば、ポリエステル又はポリエーテル等)が非晶性でガラス転移温度の低いソフトセグメントを形成している材料が挙げられる。
ハードセグメントを形成するポリエステルとしては、芳香族ポリエステルを用いることができる。芳香族ポリエステルは、例えば、芳香族ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体と脂肪族ジオールとから形成することができる。芳香族ポリエステルとしては、好ましくは、テレフタル酸及び/又はジメチルテレフタレートと、1,4−ブタンジオールから誘導されるポリブチレンテレフタレートであり、更に、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、5−スルホイソフタル酸、或いは、これらのエステル形成性誘導体等のジカルボン酸成分と、分子量300以下のジオール、例えば、エチレングリコール、トリメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、デカメチレングリコール等の脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメチロール等の脂環式ジオール、キシリレングリコール、ビス(p−ヒドロキシ)ジフェニル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(2−ヒドロキシ)フェニル]スルホン、1,1−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]シクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシ−p−ターフェニル、4,4’−ジヒドロキシ−p−クオーターフェニル等の芳香族ジオール等から誘導されるポリエステル、或いはこれらのジカルボン酸成分及びジオール成分を2種以上併用した共重合ポリエステルであってもよい。また、3官能以上の多官能カルボン酸成分、多官能オキシ酸成分及び多官能ヒドロキシ成分等を5モル%以下の範囲で共重合することも可能である。
ハードセグメントを形成するポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等が挙げられ、ポリブチレンテレフタレートが好ましい。
また、ソフトセグメントを形成するポリマーとしては、例えば、脂肪族ポリエステル、脂肪族ポリエーテル等が挙げられる。
脂肪族ポリエーテルとしては、ポリ(エチレンオキシド)グリコール、ポリ(プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(ヘキサメチレンオキシド)グリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体、ポリ(プロピレンオキシド)グリコールのエチレンオキシド付加重合体、エチレンオキシドとテトラヒドロフランとの共重合体等が挙げられる。
脂肪族ポリエステルとしては、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリエナントラクトン、ポリカプリロラクトン、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンアジペート等が挙げられる。
これらの脂肪族ポリエーテル及び脂肪族ポリエステルの中でも、得られるポリエステルブロック共重合体の弾性特性の観点から、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(プロピレンオキシド)グリコールのエチレンオキシド付加物、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンアジペート等が好ましい。
また、ソフトセグメントを形成するポリマーの数平均分子量は、強靱性及び低温柔軟性の観点から、300〜6000が好ましい。さらに、ハードセグメント(x)とソフトセグメント(y)との質量比(x:y)は、成形性の観点から、99:1〜20:80が好ましく、98:2〜30:70が更に好ましい。
上述のハードセグメントとソフトセグメントとの組合せとしては、例えば、上述で挙げたハードセグメントとソフトセグメントとのそれぞれの組合せを挙げることができる。これらの中でも、ハードセグメントがポリブチレンテレフタレートであり、ソフトセグメントが脂肪族ポリエーテルである組み合わせが好ましく、ハードセグメントがポリブチレンテレフタレートであり、ソフトセグメントがポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールである組み合わせが更に好ましい。
ポリエステル系熱可塑性エラストマーの市販品としては、例えば、東レ・デュポン(株)製の「ハイトレル」シリーズ(例えば、3046、5557、6347、4047、4767等)、東洋紡(株)製の「ペルプレン」シリーズ(例えば、P30B、P40B、P40H、P55B、P70B、P150B、P280B、P450B、P150M、S1001、S2001、S5001、S6001、S9001等)等を用いることができる。
ポリエステル系熱可塑性エラストマーは、ハードセグメントを形成するポリマー及びソフトセグメントを形成するポリマーを公知の方法によって共重合することで合成することができる。
(ポリアミド系熱可塑性樹脂)
ポリアミド系熱可塑性樹脂としては、前述のポリアミド系熱可塑性エラストマーのハードセグメントを形成するポリアミドの中から融点が160℃以上のものを挙げることができる。ポリアミド系熱可塑性樹脂としては、具体的には、ε-カプロラクタムを開環重縮合したポリアミド(アミド6)、ウンデカンラクタムを開環重縮合したポリアミド(アミド11)、ラウリルラクタムを開環重縮合したポリアミド(アミド12)、ジアミンと二塩基酸とを重縮合したポリアミド(アミド66)、メタキシレンジアミンを構成単位として有するポリアミド(アミドMX)等を例示することができる。
アミド6は、例えば、{CO−(CH)5−NH}で表すことができる。アミド11は、例えば、{CO−(CH10−NH}で表すことができる。アミド12は、例えば、{CO−(CH11−NH}で表すことができる。アミド66は、例えば、{CO(CHCONH(CHNH}で表すことができる。アミドMXは、例えば、下記構造式(A−1)で表すことができる。ここで、nは構成単位数を表す。
アミド6の市販品としては、例えば、宇部興産(株)製の「UBEナイロン」シリーズ(例えば、1022B、1011FB等)を用いることができる。アミド11の市販品としては、例えば、アルケマ(株)製の「Rilsan B」シリーズを用いることができる。アミド12の市販品としては、例えば、宇部興産(株)製の「UBEナイロン」シリーズ(例えば、3024U、3020U、3014U等)を用いることができる。アミド66の市販品としては、例えば、宇部興産(株)製の「UBEナイロン」シリーズ(例えば、2020B、2015B等)を用いることができる。アミドMXの市販品としては、例えば、三菱ガス化学(株)製の「MXナイロン」シリーズ(例えば、S6001、S6021、S6011等)を用いることができる。
ポリアミド系熱可塑性樹脂は、上記の構成単位のみで形成されるホモポリマーであってもよく、上記の構成単位と他のモノマーとのコポリマーであってもよい。コポリマーの場合、各ポリアミド系熱可塑性樹脂における上記構成単位の含有率は、40質量%以上であることが好ましい。
(ポリエステル系熱可塑性樹脂)
ポリエステル系熱可塑性樹脂としては、前述のポリエステル系熱可塑性エラストマーのハードセグメントを形成するポリエステルを挙げることができる。
ポリエステル系熱可塑性樹脂としては、具体的には、ポリ乳酸、ポリヒドロキシ−3−ブチル酪酸、ポリヒドロキシ−3−ヘキシル酪酸、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリエナントラクトン、ポリカプリロラクトン、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンアジペート等の脂肪族ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリスチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等の芳香族ポリエステルなどを例示することができる。これらの中でも、耐熱性及び加工性の観点から、ポリエステル系熱可塑性樹脂としては、ポリブチレンテレフタレートが好ましい。
ポリエステル系熱可塑性樹脂の市販品としては、例えば、ポリプラスチック(株)製の「ジュラネックス」シリーズ(例えば、2000、2002等)、三菱エンジニアリングプラスチック(株)製の「ノバデュラン」シリーズ(例えば、5010R5、5010R3−2等)、東レ(株)製の「トレコン」シリーズ(例えば、1401X06、1401X31等)等を用いることができる。
(その他の熱可塑性樹脂及び熱可塑性エラストマー)
上記の樹脂成分以外にも、国際公開第2014/175452号公報の段落〔0069〕〜〔0086〕に記載のポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、及びオレフィン系熱可塑性エラストマー等も本発明に適用することができる。
タイヤ骨格を形成する樹脂材料の融点は、通常100℃〜350℃程度であるが、タイヤの耐久性及び生産性の観点から100℃〜250℃程度が好ましく、100℃〜200℃が更に好ましい。
また、樹脂材料には、所望に応じて、ゴム、エラストマー、熱可塑性樹脂、各種充填剤(例えば、シリカ、炭酸カルシウム、クレイ等)、可塑剤、発色剤、耐候剤等の各種添加剤を含有(ブレンド)させてもよい。
タイヤ骨格体を形成する樹脂材料自体のJIS K7113:1995に規定される引張弾性率は、50MPa〜1000MPaが好ましく、50MPa〜800MPaがさらに好ましく、50MPa〜700MPaが特に好ましい。樹脂材料の引張弾性率が、100MPa〜1000MPaであると、タイヤ骨格の形状を保持しつつ、リム組みを効率的に行なうことができる。
タイヤ骨格体を形成する樹脂材料自体のJIS K7113:1995に規定される引張強さは、通常、15MPa〜70MPa程度であり、17MPa〜60MPaが好ましく、20MPa〜55MPaが更に好ましい。
タイヤ骨格体を形成する樹脂材料自体のJIS K7113:1995に規定される引張降伏強さは、5MPa以上が好ましく、5MPa〜40MPaが好ましく、5MPa〜30MPaが更に好ましい。樹脂材料の引張降伏強さが、5MPa以上であると、走行時等にタイヤにかかる荷重に対する変形に耐えることができる。
タイヤ骨格体を形成する樹脂材料自体のJIS K7113:1995に規定される引張降伏伸びは、10%以上が好ましく、10%〜70%が好ましく、15%〜60%が更に好ましい。樹脂材料の引張降伏伸びが、10%以上であると、弾性領域が大きく、リム組み性を良好にすることができる。
タイヤ骨格体を形成する樹脂材料自体のJIS K7113:1995に規定される引張破断伸びは、50%以上が好ましく、100%以上が好ましく、150%以上が更に好ましく、200%以上が特に好ましい。樹脂材料の引張破断伸びが、50%以上であると、リム組み性が良好であり、衝突に対して破壊し難くすることができる。
タイヤ骨格体を形成する樹脂材料自体のISO 75−2又はASTM D648に規定される荷重たわみ温度(0.45MPa荷重時)は、50℃以上が好ましく、50℃〜150℃が好ましく、50℃〜130℃が更に好ましい。樹脂材料の荷重たわみ温度が、50℃以上であると、タイヤの製造において加硫を行う場合であってもタイヤ骨格体の変形を抑制するこができる。
タイヤ骨格体の厚みは、1mm〜2.5mmである。
タイヤ骨格体の厚みが1mm以上であると、タイヤとしての形状を維持しやすく耐久性に優れる。一方、タイヤ骨格体の厚みが2.5mm以下であると、タイヤが変形(例えば、屈曲)した際の割れの発生を抑制することができる。また、厚みが2.5mm以下であると、タイヤ骨格体から外装用部材へのプロセスオイル及び老化防止剤の供給が行われやすくなる。
上記の観点から、タイヤ骨格体の厚みは、1.2mm〜2.5mmが好ましく、1.5mm〜2.0mmがより好ましい。
本明細書においてタイヤ骨格体の厚みとは、タイヤ骨格体において最も薄い部分の厚みを意味する。厚みの具体的な測定方法は以下の通りである。
タイヤ骨格体のサイド部の最大屈曲部及びクラウン部の中心の厚みを測定し、いずれか薄い方をタイヤ骨格体の厚みとする。
<外装用部材>
タイヤは、ゴム材料で形成された外装用部材を有する。外装用部材は、プロセスオイルB及び老化防止剤Bを含む。なお、外装用部材におけるプロセスオイルB及び老化防止剤Bと、前述のタイヤ骨格体におけるプロセスオイルA及び老化防止剤Aとの量的関係は前述の通りである。
外装用部材は、タイヤ骨格体の外側に配置される。
外装用部材としては、例えば、タイヤ骨格体のクラウン部に設置されるトレッド部材やタイヤ骨格体のサイド部に設置されるサイド部材、タイヤ骨格体のビード部に設置されるチェーファー部材、ゴム被覆された有機繊維や金属コードを補強材として用いる場合における被覆用ゴム等が挙げられる。尚、本発明における外装用部材は、必ずしも本発明のタイヤの最外層である必要はなく、例えば、外装用部材の外表面に更に装飾層や保護層が設けられていてもよい。
[プロセスオイルB]
外装用部材に含まれるプロセスオイルBは、特に限定されず、従来公知のゴム製品に軟化剤として用いられるプロセスオイル等を用いることができる。具体的には、前述のタイヤ骨格体に含み得るプロセスオイルAと同じものを挙げることができ、好ましい態様も同じである。
外装用部材に含まれるプロセスオイルBは、前述のタイヤ骨格体に含まれ得るプロセスオイルAと同じものでもよく、異なるものでもよい。タイヤ骨格体から外装用部材へのプロセスオイルの供給の観点から、プロセルオイルAとプロセスオイルBとは同じものであることが好ましい。
外装用部材におけるプロセスオイルBの含有量は、後述のゴム材料におけるゴム成分100質量部に対して、0.1質量部以上20質量部以下が好ましく、0.15質量部以上15質量部以下がより好ましい。但し、タイヤ骨格体がプロセスオイルAを含み老化防止剤Aを含まない場合、外装用部材におけるプロセスオイルBの含有量は、上記式1の関係を満たす。
[老化防止剤B]
外装用部材に含まれる老化防止剤Bは、特に限定されず、従来公知のゴム組成物に用いられる老化防止剤を使用できる。具体的には、前述のタイヤ骨格体に含み得る老化防止剤Aと同じものを挙げることができ、好ましい態様も同じである。
外装用部材に含まれる老化防止剤Bは、前述のタイヤ骨格体に含まれ得る老化防止剤Aと同じものでもよく、異なるものでもよい。タイヤ骨格体から外装用部材への老化防止剤の供給の観点から、老化防止剤Aと老化防止剤Bとは同じものであることが好ましい。
外装用部材における老化防止剤の含有量は、後述のゴム材料におけるゴム成分100質量部に対して、0.5質量部以上10質量部以下が好ましく、1.0質量部以上5.0質量部以下がより好ましい。但し、タイヤ骨格体が老化防止剤を含みプロセスオイルを含まない場合、外装用部材における老化防止剤の含有量は、上記式2の関係を満たす。
[ゴム材料]
本発明における外装用部材は、ゴム材料で形成されている。
本発明において、「ゴム材料」は、ゴム(ゴム成分)を少なくとも含み、添加剤等の他の成分を含んでいてもよい。
ゴム成分としては、特に限定されず、例えば、天然ゴム(NR);ポリイソプレン合成ゴム(IR)、ポリブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)等の共役ジエン系合成ゴム;エチレン−プロピレン共重合体ゴム(EPM);エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム(EPDM);ポリシロキサンゴムなどのゴムが挙げられる。
これらは単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
中でも、耐摩耗性の観点から、天然ゴム(NR)、並びに、天然ゴム及びスチレン−ブタジエン共重合体ゴムの混合物(SBR/NR)が好ましい。
添加物としては、例えば、カーボンブラック等の補強材、充填剤、加硫剤、加硫促進剤、脂肪酸又はその塩、金属酸化物等が挙げられ、これらを適宜配合することができる。
外装用部材は、例えば、ゴム材料に含まれるゴム成分が未加硫の状態である未加硫のゴム材料を、タイヤ骨格体上に設け、加熱によってゴムを加硫することで得られる。
すなわち、例えば、未加硫のゴム材料に含まれる未加硫ゴムの少なくとも一部が接着層を介して、又は介さずにタイヤ骨格体上に設けた状態で加熱され、未加硫ゴムが加硫されることで、タイヤ骨格体に設けられた外装用部材を得ることができる。
加熱手段には特に制限はなく、金型中にタイヤ骨格体と、外装用部材と、を有するタイヤを配置し、直接加熱する方法、加熱ゾーン中に配置し、赤外線や熱風などの非接触加熱手段により加熱する方法、超音波やマイクロ波を用いて加熱する方法などが挙げられる。
中でも、熱量の制御性、安全性、及び装置の簡便さなどの観点から、熱風乾燥装置内に常圧で所定の加熱温度下に静置し、所定時間で加熱後、成形品を取り出して室温まで冷却させることが好ましい。
この加硫処理における圧力は、目的とする耐熱性の向上の他に、成形品に含有する水分やモノマー分などの成分の除去を促進させる目的で、通常の真空ポンプ装置を用いて10mmHg以下の減圧状態で加熱したり、また異材質又は同一材質の成形品との接着促進を目的とする場合などは、通常のコンプレッサー装置を用いて0.5MPa以上の高圧状態で加熱したりするなど、目的に応じて適宜圧力を設定することもできる。
加硫処理においては、成形品を構成する樹脂材料がガラス転移温度(Tg)以上の温度条件下に配置されると、ミクロな分子運動がおこりその材料の弾性率は著しく低下する、すなわち軟化する。そのため、加硫処理中に成形品に応力がかかった場合には容易に変形するおそれがある。このため所望されない変形を防止するために、所望の成形品の形状を保持し、かつ加熱温度下において変形のない、例えば、鉄、ステンレス、アルミニウム、チタンなどの材質からなる治具を成形品の形状に沿う形状で配置し、変形を防止することもできる。
この加硫処理を経ることにより、タイヤは耐熱性と転がり摩擦抵抗の双方を高いレベルで両立しうるものとなる。
〜外装用部材の厚み〜
外装用部材の厚みは、0.5mm〜10mmであることが好ましく、1mm〜5mmであることがより好ましく、1.5mm〜3mmであることがさらに好ましい。外層部材が複数の部材が積層されたものである場合は、外層部材となる積層体の合計厚みが前記範囲に含まれていればよい。
外装用部材の厚みが0.5mm以上であると乗り心地性及び耐摩耗性に有利である。一方、外装用部材の厚みが10mm以下であると老化防止剤及びプロセスオイルが十分に拡散できるため耐光性に有利である。
タイヤが外装用部材として、トレッド部材を有する場合、トレッド部材の厚みは、形状により適宜好ましい厚みを選択できるが、最も厚い部分(最厚部)の厚みが1.5mm〜15mmであることが好ましく、2.0mm〜13mmであることがより好ましく、3.0mm〜10mmであることがさらに好ましい。
トレッド部材の最厚部の厚みが15mm以下であることで、未加硫状態やトレッド表面のオーバー加硫状態を抑制できる。
最厚部とは、トレッド部材の表面からタイヤの中心方向に向かいトレッド部材と隣接する部材とが接する面までの厚みのうち最も厚い部分を指す。
タイヤが外装用部材として、サイド部材を有する場合、サイド部材の厚みは、形状により適宜好ましい厚みを選択できるが、最も薄い部分(最薄部)の厚みが0.5mm〜10mmであることが好ましく、1.0mm〜8.0mmであることがより好ましく、1.5mm〜5.0mmであることがさらに好ましい。
サイド部材の最薄部の厚みが1.0mm以上であることで、ゴム材料を外装することによるタイヤ骨格体への保護効果を発揮し易い。
最薄部とはサイド部材の表面からサイド部材と隣接する部材と接する面までの厚みのうち最も薄い部分を指す。
<接着層>
タイヤは、前記タイヤ骨格体と前記外装用部材との間に、樹脂若しくはゴムを含む組成物で形成された接着層、又は、レゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックス(RFL)を含む組成物で形成された接着層を有することが好ましい。
タイヤが接着層を有するとタイヤ骨格体と外装用部材との接着性がより向上する。
接着層の厚みは、5μm〜200μmが好ましく、20μm〜150μmがより好ましい。接着層の厚みが5μm以上であるとタイヤ骨格体と外装用部材との接着性がより向上する。一方、接着層の厚みが200μm以下であるとタイヤ骨格体から外装用部材へのプロセスオイル及び老化防止剤の供給が行われやすくなる。
[樹脂若しくはゴムを含む組成物]
樹脂若しくはゴムを含む組成物としては、特に限定されるものではなく、例えば、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、オレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ビニル系樹脂(例えば、酢酸ビニル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂等)、合成ゴム等の1種又は2種以上を主剤として含む組成物が挙げられる。
中でも、タイヤ骨格体と外装用部材との接着性の観点から、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、オレフィン系樹脂、及びビニル系樹脂から選ばれる少なくとも1種を含む組成物が好ましく、エポキシ系樹脂及びフェノール系樹脂から選ばれる少なくとも1種を含む組成物が更に好ましい。
(エポキシ系樹脂)
樹脂若しくはゴムを含む組成物に含まれ得るエポキシ系樹脂としては、特に限定されるものではなく、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、多官能性エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂等のアルコール型エポキシ樹脂、ゴム変性エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂等が挙げられる。
これらは1種単独又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂が、分子量の異なるグレードのものを広く入手可能で、接着性や反応性を任意に設定できるという点においてより好ましい。
(フェノール系樹脂)
樹脂若しくはゴムを含む組成物に含まれ得るフェノール系樹脂としては、特に限定されるものではなく、例えば、フェノール、m−クレゾール、3,5−キシレノール、p−アルキルフェノール、レゾルシン等の各種フェノール類とホルムアルデヒドとの縮合物(例えば、アルキルフェノール樹脂、キシレンホルムアルデヒド系樹脂等)、上記各種フェノール類とホルムアルデヒドとをアルカリ触媒で付加反応させたレゾールや、上記各種フェノール類とホルムアルデヒドとを酸触媒で縮合反応させて得られるノボラック等が挙げられる。
これらは1種単独又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、ホルムアルデヒド系が、物性及び作業性の点においてより好ましい。
(ゴム)
樹脂若しくはゴムを含む組成物に含まれ得るゴムとしては、特に限定されるものではなく、例えば、ハロゲン化ゴム(塩化ゴム)、ニトリルゴム、NR、IR、BR、SBR、CR、IIR等の共役ジエン系合成ゴム、EPM、EPDMが挙げられる。これらは1種単独又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
〜溶剤系接着剤の調整〜
樹脂若しくはゴムを含む組成物で接着層を形成する場合、まず樹脂又はゴムを溶剤に溶解若しくは分散させた溶剤系接着剤を調整し、前記接着剤を塗布することで行うことができる。
溶剤系接着剤は、例えば、溶媒として用いる溶剤の極性を利用することで、被着体への濡れ性を改善し、被着体の表面の凹凸や隙間に浸透させることができるので、異種物質であるタイヤ骨格体と外装用部材との両方に対して良好な接着性を発現させることができる。そのため、タイヤ骨格体と外装用部材との間に溶剤系接着剤を塗布して形成された接着層を介在させると、タイヤ骨格体と外装用部材とを強固に固定することができ接着性が向上する。
−溶剤−
溶剤系接着剤は、塗布方法や塗布装置に合わせて任意に溶剤希釈して固形分を調整することができるが、接着層の形成容易性、接着性能の確保等の観点から、溶媒により希釈された固形分が5質量%〜50質量%であることが好ましい。
溶剤系接着剤において、溶媒として用いられる溶剤は、特に限定されるものではなく、主成分(主剤)に応じて適宜、選択するとよい。具体例としては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール等のアルコール系溶剤、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、メチルグリコール、エチルグリコール、イソプロピルグリコール、等のグリコール系溶剤、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド等の溶剤を挙げることができる。
これら接着剤は市販品を用いてもよく、例えば、東洋化学研究所(株)製のメタロックシリーズ(例えば「メタロックR−46」、「メタロックPH−56」、「メタロックF−112」など)、ロード・コーポレーション社製のケムロックシリーズ(例えば「ケムロック6250」、「ケムロック210」など)を適宜用いることができる。
溶剤系接着剤には、主成分となる上記樹脂等以外に、必要に応じて、例えば、前述のプロセスオイル、前述の老化防止剤、粘着性付与樹脂、熱安定剤等の添加剤が含まれていてもよい。
[RFLを含む組成物]
RFLを含む組成物は、RFLを主成分とする組成物である。RFLは、レゾール化反応により得られたレゾルシノール−ホルムアルデヒド縮合物と、ラテックスとからなる組成物の溶液である。
レゾルシノール−ホルムアルデヒド縮合物は、レゾルシノールとホルムアルデヒド又は比較的低分子量のレゾルシノール・ホルムアルデヒド縮合物とホルムアルデヒドを、いわゆるレゾール反応によりレゾルシノール・ホルムアルデヒド縮合反応させ得られる反応物である。ホルムアルデヒド由来の構成単位とレゾルシノール由来の構成単位とを含有し、ホルムアルデヒド由来の構成単位が化学量論的に不足する状態を維持して、これにより樹脂部材を低分子量で可溶性に維持することができる。
ラテックスとしては、例えば、アクリルゴムラテックス、アクリロニトリル−ブタジエンゴムラテックス、イソプレンゴムラテックス、ウレタンゴムラテックス、エチレン−プロピレンゴムラテックス、ブチルゴムラテックス、クロロプレンゴムラテックス、シリコーンゴムラテックス、スチレン−ブタジエンゴムラテックス、天然ゴムラテックス、ビニルピリジン−スチレン−ブタジエンゴムラテックス、ブタジエンゴムラテックス、ブチルゴムラテックス、カルボキシル化ブタジエン・スチレン共重合体ラテックス又はクロルスルホン化ポリエチレンラテックス、ニトリルゴムラテックス等が挙げられる。
中でも、ゴム部材との接着性から、ビニルピリジン−スチレン−ブタジエンゴムラテックスが好ましい。さらに、この場合には、ビニルピリジン、スチレン及びブタジエンの2段重合からなる2重構造を有する共重合ゴムラテックスであることがより好ましい。なお、これらは単独であるいは二種以上混合したものなどを用いてもよく、またレゾルシノールとホルムアルデヒドを反応させる反応系に反応前から共存させてもよい。
ビニルピリジン、スチレン及びブタジエンの2段重合からなる2重構造を有する共重合ゴムラテックスは、ビニルピリジン、スチレン、ブタジエンの共重合ゴムラテックスであり、(i)スチレン含有率が10質量%〜60質量%、ブタジエン含有率が60質量%未満及びビニルピリジン含有率0.5質量%〜15質量%で構成される単量体混合物を重合させた後、次いで、(ii)スチレン含有率10質量%〜40質量%、ブタジエン含有率45質量%〜75質量%及びビニルピリジン含有率5質量%〜20質量%で構成される単量体混合物を、(i)における重合で用いたスチレン含有量よりも低いスチレン含有量で重合させて得ることができる。
〜RFL系接着剤の調製〜
RFLを含む組成物で接着層を形成する場合、まずRFL系接着剤を調整し、前記接着剤を塗布することで行うことができる。
RFL系接着剤は、レゾルシノール−ホルムアルデヒド縮合物がレゾール化した高分子とラテックスとが3次元的に十分にからみあった構造を有する。このため、RFL系接着剤の調製においては、レゾール化反応をラテックスが分散した溶液中で行われることが好ましい。
この場合に用いられる溶液としては酸性、中性若しくはアルカリ性の水、又はアセトン、アルコール等の溶剤を用いることができるが、ラテックスはpHが中性領域では水溶性が低く、熟成でのレゾルシノール・ホルムアルデヒド縮合反応(レゾール化反応)を十分行わせるため、アルカリ性又は、中性の水を用いることが好ましい。このレゾール化反応は、通常pH8.0以上、好ましくはpH8.5〜10.0の範囲で行われることが好ましい。
ここで、アルカリ性の水とは水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水
酸化アンニモニウム又は、モノメチルアミン、アンモニア等の有機アミンを水に溶解し
たものである。また、任意のアニオン系界面活性剤を用いて、ボールミル、サンドミルに
よって中性の水に分散させて使用することも可能である。この場合、接着力を有効に発現
させるために、界面活性剤の量を分散状態が悪くならない程度に少量にすることが必要で
ある。
なお、RFL液中のホルムアルデヒド(F)とレゾルシノール(R)とのモル比(F/R)や全ラテックスの固形分質量(L)に対するレゾルシノール及びホルムアルデヒド総質量(RF)の割合(RF/L)等は目的に応じて適宜選択することができる。
前記レゾール化させて得られるレゾルシノール−ホルムアルデヒド縮合物をラテックスとの混合下で反応させる方法としては、例えば、アルカリ性液下で、レゾルシノール−ホルムアルデヒド縮合物の原材料(レゾルシノール、比較的低分子量のレゾルシノール−ホルムアルデヒド縮合物、ホルムアルデヒド)とラテックスとを混合させる方法、更に、反応開始時はラテックスと混合せず、アルカリ液性下で、レゾルシノール−ホルムアルデヒド縮合物の原材料でレゾール化反応を開始させるが、なるべく反応初期段階で低縮合度の反応中間体をラテックスと混合して反応を続行させる方法等が挙げられる。
〜接着方法〜
RFL系接着剤又は溶剤系接着剤(以下、RFL系接着剤及び溶剤系接着剤を総称して接着剤ともいう)によるタイヤ骨格体と外装用部材との接着は、例えば、未加硫の外装用部材若しくはタイヤ骨格体に接着剤を塗布した後、これらを貼着し、その後、必要に応じて熱処理等を行い、完了させることができる。
接着剤を塗布する前に各部材に対して行われる前処理としては、必要に応じて適宜選択されることが好ましい。例えば、接着剤を塗布する前に、タイヤ骨格体と外装用部材との接着面を、あらかじめ前処理することで、接着力を強固にすることができる。このような前処理法としては、電子線、マイクロ波、コロナ放電、プラズマ放電及び脱脂処理等を挙げることができる。また、単にバフ掛けやヤスリなどを用いて前処理することもできる。
前記前処理を行う場所としては、より十分な接着の観点から、タイヤ骨格体であることが好ましい。
ここで、前処理として、上記の接着剤以外の接着剤処理(下塗り処理)を行ってもよい。下塗り処理に用いる下塗り処理剤としては、タイヤ骨格体を接着剤によってより十分に外装用部材に接着させる場合に用いられるものであれば特に限定されない。例えば、特開2009−191395に記載のエポキシ化合物とイソシアネート化合物とを含む水溶性高分子を有するアンダーコート組成物、再表02−094962号公報に記載のアルキル化ビスフェノールとアクリル(メタクリル)酸との共重合体を有するアンダーコート組成物、及び特開平11−001658号公報に記載の塩化ビニルプラスチゾル系高分子を含むアンダーコート組成物等が挙げられる。なお、下塗り処理剤と接着剤とは、塗布の過程で混合された状態となってもよい。
前記下塗り処理剤によって形成する下塗り層の層厚としては、1μm〜15μmであることが好ましい。
また、タイヤ骨格体の表面粗さをある程度の範囲にすることで、接着後の接着強度をより強めることができる。タイヤ骨格体の表面粗さとしては、例えば算術平均粗さ(Ra)で0.1μm以上が好ましい。0.1μm以上であることで、接着剤と接するタイヤ骨格体の接着面積が増すので、より十分に接着できる。また、接着剤の液だれをより低減させる観点からは、0.5μm以上が好ましく、さらに好ましくは1μm以上である。また、同じく接着強度を高める観点から、Raとしては10μm以下が好ましい。
接着剤の塗布方法としては、浸漬法、バーコート法、ニーダーコート法、カーテンコート法、ローラコート法、スピンコート法、刷毛塗法、スプレー法等が挙げられる。
接着剤によってタイヤ骨格体と未加硫の外装用部材とを接着させた場合は、さらに加硫処理を行うことが好ましい。この場合の加硫処理は公知の方法で行なえばよく、例えば、特開平11−048264号公報、特開平11−029658号公報、特開2003−238744号公報等に記載される方法が挙げられる。ゴムの加硫は、前記未加硫のゴムに、例えば、カーボンブラック等の補強材、充填剤、加硫剤、加硫促進剤、脂肪酸又はその塩、金属酸化物等を適宜配合し、バンバリミキサーを用いて混練した後、加熱することで行うことができる。
<補強コード部材>
タイヤは、タイヤ骨格体の外周部に周方向に巻回された補強コード部材を有していてもよい。タイヤ骨格体の外周部に補強コード部材を巻回すると、タイヤの耐久性(耐パンク性、耐カット性、タイヤ周方向剛性等)が向上する。なお、周方向剛性が向上すると、樹脂材料で形成されたタイヤ骨格体のクリープ(一定の応力下でタイヤ骨格体の塑性変形が経時で増加する現象)が抑制される。
補強コード部材は、部材の少なくとも一部が被覆樹脂を含む被覆層で被覆されていてもよく、被覆樹脂は前述のタイヤ骨格体を形成する樹脂材料と同種の樹脂材料であることが好ましく、さらに被覆層には前述のタイヤ骨格体と同様の老化防止剤及びプロセスオイルを含むことが好ましい。被覆層における老化防止剤及びプロセスオイルの含有量は、前述のタイヤ骨格体における老化防止剤及びプロセスオイルの含有量と同じである。
補強コード部材としては、従来のゴム製タイヤに用いられる金属製のコード等を適宜用いることができ、例えば、金属繊維のモノフィラメント(単線)、スチール繊維を撚ったスチールコード等のマルチフィラメント(撚り線)等が挙げられる。補強コード部材の断面形状やサイズ(直径)等は、特に限定されるものではなく、所望のタイヤに適したものを適宜選定して用いることができる。
補強コード部材は、1本又は複数本がタイヤ骨格体の周方向に巻回されていてもよいし、連続的に周方向に連続して螺旋状に巻回されていてもよい。また、補強コード部材は、タイヤ骨格体の幅方向に均一な間隔で周方向に巻回されていてもよいし、交差して巻回されていてもよい。
補強コード部材自体の引張弾性率(以下、特に特定しない限り本明細書で「弾性率」とは引張弾性率を意味する。)としては、通常、100000MPa〜300000MPa程度であり、120000MPa〜270000MPaであることが好ましく、150000MPa〜250000MPaであることが更に好ましい。なお、補強コード部材の引張弾性率は、引張試験機にてZWICK型チャックを用いて応力−歪曲線を描き、その傾きから算出する。
補強コード部材自体の破断伸び(引張破断伸び)としては、通常、0.1%〜15%程度であり、1%〜15%が好ましく、1%〜10%が更に好ましい。補強コード部材の引張破断伸びは、引張試験機にてZWICK型チャックを用いて応力−歪曲線を描き、歪から求めることができる。
補強コード部材は、部材の少なくとも一部が被覆樹脂により被覆されていてもよい。具体的には、例えば、補強コード部材を芯としてその外周の一部又は全体が被覆樹脂を含む被覆層で被覆されている状態、被覆樹脂を含んで形成される補強コード被覆層を、接着剤を介在させてタイヤ骨格体の外周部に設けた場合に補強コード部材の一部又は全部が補強コード被覆層に埋設された状態が挙げられる。
補強コード部材は、該補強コード部材とタイヤ骨格体との界面となる部位全体が被覆層で被覆されていることが好ましく、補強コード部材の表面全体が被覆層で被覆されていることがより好ましい。
被覆層に含まれる被覆樹脂は、タイヤ骨格体に用いられる樹脂材料との接着性を考慮して選定されることが好ましい。特に、タイヤ骨格体を形成する樹脂材料と被覆層に含まれる被覆樹脂とで同種の樹脂を用いると、タイヤ骨格体と被覆層との接着性を更に高めることができる。例えば、被覆層に含まれる被覆樹脂としてポリアミド系熱可塑性樹脂を用いた場合には、タイヤ骨格体を形成する樹脂材料としてポリアミド系熱可塑性エラストマーを用いることが好ましい。
補強コード部材を被覆する被覆層は、熱可塑性樹脂及び熱可塑性エラストマーから選ばれる少なくとも1種の熱可塑性材料を含むことが好ましい。
被覆層に含まれる熱可塑性樹脂、及び熱可塑性エラストマーとしては、前述のタイヤ骨格体に用いられる熱可塑性樹脂と同種のものを挙げることができる。
被覆層に含まれる熱可塑性材料は、ポリアミド系熱可塑性樹脂、ポリエステル系熱可塑性樹脂、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、及びポリエステル系熱可塑性エラストマーから選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、ポリアミド系熱可塑性エラストマー及びポリエステル系熱可塑性エラストマーから選ばれる少なくとも1種であることが更に好ましい。
ポリアミド系熱可塑性樹脂、ポリエステル系熱可塑性樹脂、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、及びポリエステル系熱可塑性エラストマーの具体的な例は、既述の通りである。
被覆層は、熱可塑性樹脂及び熱可塑性エラストマーの両方を含み、かつ、熱可塑性樹脂を含むマトリックス相である海相と、熱可塑性エラストマーを含む分散相である島相とを有する態様であってもよい。
被覆層は熱可塑性樹脂のマトリックスに熱可塑性エラストマーが分散した海島構造とすることで、被覆層に対する補強コード部材の引き抜き耐性を向上させることができる。
上記態様の場合における被覆層中の熱可塑性樹脂(p)と熱可塑性エラストマー(e)との質量比(p/e)は、熱可塑性樹脂を含む海相と熱可塑性エラストマーを含む島相とで構成される海島構造を容易に形成する観点から、95/5〜55/45であることが好ましく、90/10〜60/40であることが更に好ましく、85/15〜70/30であることが特に好ましい。
なお、熱可塑性エラストマーを含む島相が熱可塑性樹脂を含む海相中に微分散していることは、SEM(走査型電子顕微鏡、scanning electron microscope)を用いた写真観察により確認することができる。
また、熱可塑性エラストマーを含む島相のサイズ(島相の長径)は、0.4μm〜10.0μm程度であることが好ましく、0.5μm〜7μm程度であることが更に好ましく、0.5μm〜5μm程度であることが特に好ましい。これら各相のサイズは、SEM(走査型電子顕微鏡、scanning electron microscope)を用いた観察写真を用いて測定することができる。
〜積層構造の例〜
タイヤは、タイヤ骨格体と外装用部材とを有する。
外装用部材としては、例えば、ゴム材料で形成されたトレッド部材、サイド部材、及びチェーファー部材が挙げられる。
また、タイヤ骨格体は樹脂材料で形成されていれば特に限定はされない。
タイヤは、タイヤ骨格体と外装用部材とが直接積層された積層構造を有していてもよく、タイヤ骨格体上に補強コード部材を設け、その上に外装用部材が積層された積層構造を有していてもよく、タイヤ骨格体と外装用部材との間に接着層を設けた積層構造を有していてもよい。
また、タイヤは、タイヤ骨格体と外装用部材との間に、接着層以外の層を有していてもよい。接着層以外の層としては、プロセスオイル及び老化防止剤の移動を阻害しない層であれば特に限定されない。
プロセスオイル及び老化防止剤の移動を阻害しない層としては、前述のタイヤ骨格体を形成する樹脂材料に含まれる樹脂成分と同種の樹脂成分を含む層、又は前述の外装用部材を形成するゴム材料に含まれるゴム成分と同種のゴム成分を含む層が挙げられる。一方、プロセスオイル及び老化防止剤の移動を阻害しやすい層としては、極性が高い樹脂(例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)を含む層などが挙げられる。
図1(A)〜図1(D)に、本発明のタイヤにおける積層構造の具体例(層構成)を示す。図1に示される層構成はこの順で積層され、かつ接着されていることを示す。
なお、本発明のタイヤの層構成は図1で示される層構成のみに限定されるものではない。
図1(A)においては、タイヤ骨格体(タイヤケース)17上に外装用部材30がこの順で積層されている。
例えば、図1(B)に示すように、タイヤ骨格体17と外装用部材30とが接着層26Cを介して積層される構成とすることができる。
図1(C)においては、タイヤ骨格体17上に補強コード部材26が配置されており、これらの表面に外装用部材30が積層されている。
例えば、図1(D)に示すように、タイヤ骨格体17上に補強コード部材26が配置されており、これらの表面に、接着層26Cを介して外装用部材30が積層されている構成とすることができる。
以下、図面に従って、本発明の実施形態に係るタイヤについて説明する。なお、以下に示す各図(図2及び図3)は、模式的に示した図であり、各部の大きさ及び形状は、理解を容易にするために、適宜誇張して示している。
また、第1の実施形態及び第2の実施形態では、タイヤ骨格体をタイヤケースと称する。
<第1の実施形態>
図面に従って本発明のタイヤの第1の実施形態について説明する。
図2(A)に示すように、タイヤ10は、図2(B)に示すリム20のビードシート21及びリムフランジ22に接触する1対のビード部12と、ビード部12からタイヤ径方向外側に延びるサイド部14と、一方のサイド部14のタイヤ径方向外側端と他方のサイド部14のタイヤ径方向外側端とを連結するクラウン部16(外周部)と、からなるタイヤケース17を備えている。接着層は、図2(A)のクラウン部16(外周部)とゴム部材であるトレッド30との間に位置し、クラウン部16の外周に沿って形成されている。また、サイド部14の外周部上にさらにゴム部材を設ける場合には、そのゴム部材とサイド部14との間に接着層を形成してもよい。さらに、接着層は、クラウン部の中心では厚く、サイド部14に近い部分などは薄くするなど、場所によって異なる層厚としてもよい。
第1の実施形態においてタイヤケース17は、単一の樹脂材料(例えば、ポリアミド系熱可塑性エラストマー)で形成されているが、本発明はこの構成に限定されず、従来一般のゴム製の空気入りタイヤと同様に、タイヤケース17の各部位毎(サイド部14、クラウン部16、ビード部12など)に異なる特徴を有する樹脂材料を用いてもよい。また、タイヤケース17(例えば、ビード部12、サイド部14、クラウン部16等)に、補強材(高分子材料や金属製の繊維、コード、不織布、織布等)を埋設配置し、補強材でタイヤケース17を補強してもよい。
第1の実施形態のタイヤケース17は、樹脂材料で形成された一対のタイヤケース体半体(タイヤケース片)17A同士を接合させたものである。タイヤケース体半体17Aは、一つのビード部12と一つのサイド部14と半幅のクラウン部16とを一体として射出成形等で成形された同一形状の円環状のタイヤケース体半体17Aを互いに向かい合わせてタイヤ赤道面部分で接合することで形成されている。なお、タイヤケース17は、2つの部材を接合して形成するものに限らず、3以上の部材を接合して形成してもよい。
前記樹脂材料で形成されるタイヤケース体半体17Aは、例えば、真空成形、圧空成形、インジェクション成形、メルトキャスティング等で成形することができる。このため、従来のようにゴムでタイヤケースを成形する場合に比較して、タイヤケース形成の際に加硫を行う必要がなく、製造工程を大幅に簡略化でき、成形時間を省略することができる。
また、第1の実施形態では、タイヤケース体半体17Aは左右対称形状、即ち、一方のタイヤケース体半体17Aと他方のタイヤケース半体17Aとが同一形状とされているので、タイヤケース体半体17Aを成形する金型が1種類で済むメリットもある。
本実施形態において、図2(B)に示すようにビード部12には、従来一般の空気入りタイヤと同様の、スチールコードからなる円環状のビードコア18が埋設されている。しかし、本発明はこの構成に限定されず、ビード部12の剛性が確保され、リム20との嵌合に問題なければ、ビードコア18を省略することもできる。なお、スチールコード以外に、有機繊維コード、樹脂被覆した有機繊維コード、又は硬質樹脂などで形成されていてもよい。
第1の実施形態では、ビード部12のリム20と接触する部分や、少なくともリム20のリムフランジ22と接触する部分に、タイヤケース17を構成する樹脂材料よりもシール性に優れた材料、例えば、ゴムから形成される円環状のシール層24が形成されている。このシール層24はタイヤケース17(ビード部12)とビードシート21とが接触する部分にも形成されていてもよい。タイヤケース17を構成する樹脂材料よりもシール性に優れた材料としては、タイヤケース17を構成する樹脂材料に比して軟質な材料を用いることができる。シール層24に用いることのできるゴムとしては、従来一般のゴム製の空気入りタイヤのビード部外面に用いられているゴムと同種のゴムを用いることが好ましい。また、前記樹脂材料よりもシール性に優れる他の樹脂材料を用いてもよい。このような他の樹脂材料としては、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系熱可塑性樹脂、ポリエステル樹脂等の樹脂やこれら樹脂とゴム若しくはエラストマーとのブレンド物等が挙げられる。また、熱可塑性エラストマーを用いることもでき、例えば、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、或いは、これらエラストマー同士の組み合わせや、ゴムとのブレンド物等が挙げられる。
図2(A)に示すように、タイヤケース17のクラウン部16のタイヤ径外周側には、ゴム材料で形成された外装用部材としてトレッド30が配置されている。
図3を用いて、タイヤの積層構造を説明する。図3は、タイヤケース17のクラウン部16、接着層26C、及びトレッド30が積層された積層構造の断面図であり、クラウン部16とトレッド30とが、接着層26Cを介して接着されている。
トレッド30に用いるゴムは、従来のゴム製の空気入りタイヤに用いられているゴムと同種のゴムを用いることが好ましい。また、トレッド30には、従来のゴム製の空気入りタイヤと同様に、路面との接地面に複数の溝からなるトレッドパターンが形成されている。
以下、本実施形態のタイヤの製造方法について説明する。
(タイヤケース形成工程)
まず、薄い金属の支持リングに支持されたタイヤケース半体同士を互いに向かい合わせる。次いで、タイヤケース半体の突き当て部分の外周面と接するように図を省略する接合金型を設置する。ここで、前記接合金型はタイヤケース半体17Aの接合部(突き当て部分)周辺を所定の圧力で押圧するように構成されている。次いで、タイヤケース半体の接合部周辺を、タイヤケースを形成する樹脂材料の融点以上で押圧する。タイヤケース半体の接合部が接合金型によって加熱・加圧されると、前記接合部が溶融しタイヤケース半体同士が融着しこれら部材が一体となってタイヤケース17が形成される。尚、本実施形態においては接合金型を用いてタイヤケース半体の接合部を加熱したが、本発明はこれに限定されず、例えば、別に設けた高周波加熱機等によって前記接合部を加熱したり、予め熱風、赤外線の照射等によって軟化又は溶融させ、接合金型によって加圧して、タイヤケース半体を接合させてもよい。
タイヤケースを形成する樹脂材料は、樹脂成分(例えば、ポリアミド系熱可塑性エラストマー)と、プロセスオイルAと、老化防止剤Aと、を2軸押出機で混練することで得ることができる。
樹脂材料における、プロセスオイルAの含有量a1は後述の外装用部材のゴム材料におけるゴム成分100質量部に対して0.5質量部〜15質量部であり、老化防止剤Aの含有量a2は外用部材のゴム材料におけるゴム成分100質量部に対して0.5質量部〜20質量部である。
(外装用部材積層工程)
次に、タイヤケース17のクラウン部16のトレッド30のクラウン部16と接する面について、RFL系接着剤を塗布する。塗布においては、通常使用される塗布又はコーティング方法又は装置を特別な制限なく使用することができるが、ナイフコーティング法、バーコーティング法、グラビアコーティング法、スプレー法及び浸漬法を用いることができる。中でも、ナイフコーティング法、バーコーティング法又はグラビアコーティング法を用いることが、接着剤の均一な塗布及びコーティングの面で好ましい。
なお、外装用部材積層工程に用いられる接着剤は、RFL系接着剤のみに限定されるものではない。
タイヤケース17の外周面に未加硫のゴム材料である帯状のトレッド30を1周分巻き付けてタイヤケース17の外周面にトレッド30を、RFL系接着剤を用いて貼着する。なお、トレッド30は、ゴム成分と、プロセスオイルBと、老化防止剤Bと、をバンバリミキサーで混練することで得られるゴム材料を用いることができる。
ゴム材料におけるプロセスオイルBの含有量b1及び老化防止剤Bの含有量b2は、式1で示されるa1とb1との関係、又は式2で示されるa2とb2との関係の少なくとも一方の関係を満たす量から選択される。
(加硫工程)
次に、トレッド30が貼着されたタイヤケース17を加硫缶やモールドに収容して加硫する。加硫を行うことによって、RFL系接着剤のラテックスゴムとジエン系ゴムとの間での化学的な結合が新たに形成されるので、結果的にゴム材料で形成されたトレッド30と樹脂材料で形成されたタイヤケースとの結合がより強固になる。
そして、タイヤケース17のビード部12に、樹脂材料よりも軟質である軟質材料からなるシール層24を、接着剤等を用いて接着すれば、タイヤ10の完成となる。
そして、タイヤケース17のビード部12に、加硫済みのゴムからなるシール層24を、接着剤等を用いて接着すれば、タイヤ10の完成となる。
第1の実施形態のタイヤ10は、ビード部12をリム20に装着することで、タイヤ10とリム20との間で空気室を形成する、所謂チューブレスタイヤであるが、本発明はこの構成に限定されず、完全なチューブ形状であってもよい。
<第2の実施形態>
次に、図面に従って本発明タイヤの第2の実施形態について説明する。第2の実施形態のタイヤは、上述の第1実施形態と同様に、従来一般のゴム製の空気入りタイヤと類似の断面形状を呈している。このため、以下の図において、前記第1実施形態と同様の構成については同様の番号が付される。
図4(A)に示すように、タイヤ200は、図4(B)に示すリム20のビードシート21及びリムフランジ22に接触する1対のビード部12と、ビード部12からタイヤ径方向外側に延びるサイド部14と、一方のサイド部14のタイヤ径方向外側端と他方のサイド部14のタイヤ径方向外側端とを連結するクラウン部16(外周部)と、からなるタイヤケース17を備えている。接着層は、図4(A)のクラウン部16(外周部)とゴム部材であるトレッド30との間に位置している。また、サイド部14の外周部上にさらにゴム部材を設ける場合には、そのゴム部材とサイド部14との間に接着層を形成してもよい。さらに、接着層は、補強コード部材26が存在する場所では厚く、サイド部14に近い部分などは薄くするなど、場所によって異なる層厚としてもよい。
第2の実施形態においてタイヤケース17は、単一の樹脂材料、すなわちポリアミド系熱可塑性エラストマー材料で形成されているが、本発明はこの構成に限定されず、従来一般のゴム製の空気入りタイヤと同様に、タイヤケース17の各部位毎(サイド部14、クラウン部16、ビード部12など)に異なる特徴を有する樹脂材料を用いてもよい。また、タイヤケース17(例えば、ビード部12、サイド部14、クラウン部16等)に、補強材(高分子材料や金属製の繊維、コード、不織布、織布等)を埋設配置し、補強材でタイヤケース17を補強してもよい。
第2の実施形態のタイヤケース17は、第1の実施形態と同様に、樹脂材料で形成された一対のタイヤケース体半体(タイヤケース片)17A同士を接合させたものである。
第2の実施形態において、図4(B)に示すようにビード部12には、従来一般の空気入りタイヤと同様の、スチールコードからなる円環状のビードコア18が埋設されている。しかし、本発明はこの構成に限定されず、ビード部12の剛性が確保され、リム20との嵌合に問題なければ、ビードコア18を省略することもできる。なお、スチールコード以外に、有機繊維コード、樹脂被覆した有機繊維コード、又は硬質樹脂などで形成されていてもよい。
第2の実施形態では、ビード部12のリム20と接触する部分や、少なくともリム20のリムフランジ22と接触する部分に、タイヤケース17を構成する樹脂材料よりもシール性に優れた材料、例えば、ゴムからなる円環状のシール層24が形成されている。シール層24の好ましい態様及び使用できる素材は第1の実施形態と同じである。
図4に示すように、第2の実施形態では、クラウン部16には、タイヤケース17を構成する樹脂材料よりも剛性が高い補強コード部材26がタイヤケース17の周方向に巻回されている。補強コード部材26は、タイヤケース17の軸方向に沿った断面視で、少なくとも一部がクラウン部16に埋設された状態で螺旋状に巻回されており、被覆層で被覆された補強コード(樹脂被覆補強コード)28であることが好ましい。樹脂被覆補強コード28のタイヤ径方向外周側には、タイヤケース17を構成する樹脂材料よりも耐摩耗性に優れた材料、例えばゴム部材であるトレッド30が配置されている。
図5を用いて補強コード部材26によって形成される樹脂被覆補強コード28について説明する。図5は、本実施形態のタイヤのタイヤケースのクラウン部16に補強コード部材26が埋設された状態を示すタイヤ回転軸に沿った断面図であり、さらにトレッド30とクラウン部16が接着層26Cを介して接着されている。図5に示されるように、補強コード部材26は、タイヤケース17の軸方向に沿った断面視で、少なくとも一部がクラウン部16に埋設された状態で螺旋状に巻回されており、タイヤケース17の外周部の一部と共に図5において破線部で示される樹脂被覆補強コード28を形成している。補強コード部材26のクラウン部16に埋設された部分は、クラウン部16(タイヤケース17)を構成する樹脂材料と密着した状態となっている。補強コード部材26としては、金属繊維や有機繊維等のモノフィラメント(単線)、又は、スチール繊維を撚ったスチールコードなどこれら繊維を撚ったマルチフィラメント(撚り線)などを用いることができる。なお、第2の実施形態において補強コード部材26としては、スチールコードが用いられている。
また、図5において埋設量Lは、タイヤケース17(クラウン部16)に対する補強コード部材26のタイヤ回転軸方向への埋設量を示す。補強コード部材26のクラウン部16に対する埋設量Lは、補強コード部材26の直径Dの1/5以上であれば好ましく、1/2を超えることがさらに好ましい。そして、補強コード部材26全体がクラウン部16に埋設されることが最も好ましい。補強コード部材26の埋設量Lが、補強コード部材26の直径Dの1/2を超えると、補強コード部材26の寸法上、埋設部から飛び出し難くなる。また、補強コード部材26全体がクラウン部16に埋設されると、表面(外周面)がフラットになり、補強コード部材26が埋設されたクラウン部16上に部材が載置されても補強コード周辺部に空気が入るのを抑制することができる。なお、樹脂被覆補強コード28は、従来のゴム製の空気入りタイヤのカーカスの外周面に配置されるベルトに相当するものである
上述のように補強コード部材26のタイヤ径方向外周側にはトレッド30が配置されている。このトレッド30に用いるゴムは、従来のゴム製の空気入りタイヤに用いられているゴムと同種のゴムを用いることが好ましい。また、トレッド30には、従来のゴム製の空気入りタイヤと同様に、路面との接地面に複数の溝からなるトレッドパターンが形成されている。
以下、本実施形態のタイヤの製造方法について説明する。
(タイヤケース形成工程)
第2の実施形態におけるタイヤケースは、第1の実施形態におけるタイヤケースと同様の方法により形成することができる。
(補強コード部材巻回工程)
次に、補強コード巻回工程について図6を用いて説明する。図6は、コード加熱装置、及びローラ類を用いてタイヤケースのクラウン部に補強コードを埋設する動作を説明するための説明図である。図6において、コード供給装置56は、補強コード部材26を巻き付けたリール58と、リール58のコード搬送方向下流側に配置されたコード加熱装置59と、補強コード部材26の搬送方向下流側に配置された第1のローラ60と、第1のローラ60をタイヤ外周面に対して接離する方向に移動する第1のシリンダ装置62と、第1のローラ60の補強コード部材26の搬送方向下流側に配置される第2のローラ64と、第2のローラ64をタイヤ外周面に対して接離する方向に移動する第2のシリンダ装置66と、を備えている。第2のローラ64は、金属製の冷却用ローラとして利用することができる。また、本実施形態において、第1のローラ60又は第2のローラ64の表面は、溶融又は軟化した熱可塑性樹脂材料の付着を抑制するためにフッ素樹脂(本実施形態では、テフロン(登録商標))でコーティングされている。なお、本実施形態では、コード供給装置56は、第1のローラ60又は第2のローラ64の2つのローラを有する構成としているが、本発明はこの構成に限定されず、何れか一方のローラのみ(即ち、ローラ1個)を有している構成でもよい。
また、コード加熱装置59は、熱風を生じさせるヒーター70及びファン72を備えている。また、コード加熱装置59は、内部に熱風が供給される、内部空間を補強コード部材26が通過する加熱ボックス74と、加熱された補強コード部材26を排出する排出口76とを備えている。
本工程においては、まず、コード加熱装置59のヒーター70の温度を上昇させ、ヒーター70で加熱された周囲の空気をファン72の回転によって生じる風で加熱ボックス74へ送る。次に、リール58から巻き出した補強コード部材26を、熱風で内部空間が加熱された加熱ボックス74内へ送り加熱(例えば、補強コード部材26の温度を100〜200℃程度に加熱)する。加熱された補強コード部材26は、排出口76を通り、図6の矢印R方向に回転するタイヤケース17のクラウン部16の外周面に一定のテンションをもって螺旋状に巻きつけられる。ここで、加熱された補強コード部材26がクラウン部16の外周面に接触すると、接触部分の樹脂材料が溶融又は軟化し、加熱された補強コード部材26の少なくとも一部がクラウン部16の外周面に埋設される。このとき、溶融又は軟化した樹脂材料に加熱された補強コード部材26が埋設されるため、樹脂材料と補強コード部材26とが隙間がない状態、つまり密着した状態となる。これにより、補強コード部材26を埋設した部分へのエア入りが抑制される。なお、補強コード部材26をタイヤケース17の樹脂材料の融点(又は軟化点)よりも高温に加熱することで、補強コード部材26が接触した部分の樹脂材料の溶融又は軟化が促進される。このようにすることで、クラウン部16の外周面に補強コード部材26を埋設しやすくなると共に、効果的にエア入りを抑制することができる。
また、補強コード部材26の埋設量Lは、補強コード部材26の加熱温度、補強コード部材26に作用させるテンション、及び第1のローラ60による押圧力等によって調整することができる。そして、本実施形態では、補強コード部材26の埋設量Lが、補強コード部材26の直径Dの1/5以上となるように設定されている。なお、補強コード部材26の埋設量Lとしては、直径Dの1/2を超えることがさらに好ましく、補強コード部材26全体が埋設されることが最も好ましい。
このようにして、加熱した補強コード部材26をクラウン部16の外周面に埋設しながら巻き付けることで、タイヤケース17のクラウン部16の外周側に補強コード層28が形成される。
次に、タイヤケース17のクラウン部16のトレッド30のクラウン部16と接する面について、RFL系接着剤を塗布する。塗布においては、通常使用される塗布又はコーティング方法又は装置を特別な制限なく使用することができるが、ナイフコーティング法、バーコーティング法、グラビアコーティング法、スプレー法及び浸漬法を用いることができる。中でも、ナイフコーティング法、バーコーティング法又はグラビアコーティング法を用いることが、接着剤の均一な塗布及びコーティングの面で好ましい。
タイヤケース17の外周面に未加硫のゴム部材である帯状のトレッド30を1周分巻き付けてタイヤケース17の外周面にトレッド30を、RFL系接着剤を用いて貼着する。なお、トレッド30は、例えば、従来知られている更生タイヤに用いられるプレキュアクラウンを用いることができる。本工程は、更生タイヤの台タイヤの外周面にプレキュアクラウンを接着する工程と同様の工程である。
(加硫工程)
次に、トレッド30が貼着されたタイヤケース17を加硫缶やモールドに収容して加硫する。加硫を行うことによって、RFL系接着剤のラテックスゴムとジエン系ゴムとの間での化学的な結合が新たに形成されるので、結果的にゴム部材であるトレッド30と樹脂部材であるタイヤケースとの結合がより強固になる。
そして、タイヤケース17のビード部12に、樹脂材料よりも軟質である軟質材料からなるシール層24を、接着剤等を用いて接着すれば、タイヤ200の完成となる。
そして、タイヤケース17のビード部12に、加硫済みのゴムからなるシール層24を、接着剤等を用いて接着すれば、タイヤ200の完成となる。
また、タイヤ200の完成後に、第1の実施形態と同様に、更に、タイヤ10を加熱するアニール処理を行ってもよい。
第2の実施形態のタイヤ200は、ビード部12をリム20に装着することで、タイヤ10とリム20との間で空気室を形成する、所謂チューブレスタイヤであるが、本発明はこの構成に限定されず、完全なチューブ形状であってもよい。
以上、実施形態を挙げて本発明の実施の形態を説明したが、これらの実施形態は一例であり、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。また、本発明の権利範囲がこれらの実施形態に限定されないことは言うまでもない。
以下、本発明により、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの記載に何ら制限を受けるものではない。
(実施例1)
<タイヤ骨格体の形成>
ポリアミド系熱可塑性エラストマー(宇部興産(株)、XPA9055)及びプロセスオイル(出光興産(株)、ダイアナプロセスオイルPW380)を下記表1に記載の配合量となるように混合し、2軸押出機(テクノベル(株)、φ32mm、L/D=45)により混練し樹脂材料を得た。
得られた樹脂材料を、射出成形機によりタイヤ骨格体に成形し、樹脂材料で形成されたタイヤ骨格体を得た。
タイヤ骨格体のクラウン部中央の厚みは1.5mmであった。
<外装用部材の形成>
天然ゴム(NR、RSS#3、ゴム成分)、スチレンブタジエンゴム(SBR、JSR(株)、JSR1502、ゴム成分)、カーボンブラック(C/B、旭カーボン(株)、旭#51)、ステアリン酸、酸化亜鉛、硫黄、加硫促進剤(大内新興化学工業(株))、プロセスオイル(出光興産(株)、ダイアナプロセスオイルPW380)、及び老化防止剤(大内新興化学工業(株)、ノクラック6C)を下記表1に記載の配合量となるように混合し、バンバリミキサー((株)神戸製鋼、MIXTRON BB MIXER)により混練しゴム材料を得た。
得られたゴム材料を、シート形状に成形し、ゴム部材で形成された外装用部材を得た。
<RFL系接着剤>
レゾルシノール9g、ホルムアルデヒド(37質量%溶液、日本ホルマリン工業(株)製)12g及びNaOH(0.1mol/l)4質量%溶液28gを軟水217gに添加混合したものに、あらかじめ混合しておいたスチレン−ブタジエンラテックス(SBL)[(JSR2108、JSR社製)40質量%ラテックス]96g及びビニルピリジン(VP)ラテックス[PYRATEX(41質量%ラテックス)、日本エイアンドエル(株)]93gを、混合して1時間撹拌して、レゾルシノールホルマリンラテックス(RFL)の20質量%溶液を得た。これをRFL系接着剤として用いた。
<タイヤの作製>
上記で得られたタイヤ骨格体に、上記で得られたRFL系接着剤を用いて上記で得られた外装用部材を貼り付け、加硫処理(加硫条件:145℃、5MPa、20分間)を行い、タイヤを作製した。なお、接着層の厚みは100μmであった。
(実施例2〜実施例9、実施例11、実施例13、比較例1、比較例4〜比較例7)
実施例1において、樹脂材料及びゴム材料の各成分を下記表1及び表2に示す種類及び配合量に変更した以外は同様にして、各実施例及び比較例のタイヤを作製した。
なお、表1及び表2における、ポリアミド系熱可塑性樹脂、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、及び老化防止剤は、下記に示すものを用いた。
ポリアミド系熱可塑性樹脂:宇部興産(株)、UBEナイロン3020U
ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー:三井化学(株)、タフマーMH7010
ポリエステル系熱可塑性エラストマー:東レ・デュポン(株)、ハイトレル5557
老化防止剤:大内新興化学工業(株)、ノクラック6C
(実施例10、実施例12、比較例2)
実施例1において、樹脂材料及びゴム材料の各成分を下記表1及び表2に示す種類及び配合量に変更し、RFL系接着剤を有機溶剤系接着剤(メタロック、(株)東洋化学研究所、2液型接着剤(下塗り剤:メタロックPH−56(エポキシ系樹脂を含む組成物)、上塗り剤:メタロックF−112(クロロスルホン化ゴムを含む組成物)))に変更した以外は上記と同様にしてタイヤを作製した。
(実施例14、実施例15、比較例3)
実施例1において、樹脂材料及びゴム材料の各成分を下記表1及び表2に示す種類及び配合量に変更し、RFL系接着剤を有機溶剤系接着剤(ケムロック210(フェノール系樹脂を含む組成物)、ロード・コーポレーション社)に変更した以外は上記と同様にしてタイヤを作製した。
<評価>
上記で作製した各実施例及び比較例のタイヤについて、下記の評価を行い、評価結果を下記表1及び表2に示した。
作製した各タイヤの初期における外観の悪化を評価するため、まず作製した各実施例及び比較例のタイヤの初期のブリード、加硫後外観、接着強度について評価した。
次いで、作製した各タイヤの劣化及び耐久試験後の外観の悪化を評価するため、オゾンドラム耐久性及び傷入りCBU(Cord Breaking Up)ドラム耐久性を評価した。
[ブリード]
作製した各タイヤからタイヤ骨格体表面をサンプリングし、サンプリングしたタイヤ骨格体表面について、ゼラチン膜を押し付け、そのゼラチン膜の表面をフーリエ変換赤外分光光度計(日本分光(株)、FT/IR−4000)を用いて全反射吸収測定(ATR)により赤外分光分析を行った。赤外分光分析の結果、老化防止剤、及びプロセスオイルに由来するピークが検出された場合を「ブリード有」と判断し、ピークが検出されなかった場合を「ブリード無」と判断した。
[加硫後外観(加硫処理による変形)]
各実施例及び比較例の加硫後の外観を、目視で観察し、タイヤの変形の有無を確認した。変形がみられないものを「OK」として、変形がみられるものを「NG」とした。
[初期接着強度]
各実施例及び比較例のタイヤを150mm×20mmの短冊形状に加工し、初期接着強度評価用サンプルとした。初期接着強度評価用サンプルを用い、JIS K 6854−3:1999に準拠して、サンプルのタイヤ骨格体と外装用部材とをそれぞれ別方向(タイヤ骨格体に対して外装用部材が180°となる方向)に毎分200mmで引っ張ることで、剥離時の引張強度(接着強度、単位:kN/m)を求め、下記の基準に従い評価した。
A:接着強度が10kN/m以上であった。
B:接着強度が1kN/m以上10kN/m未満であった。
C:接着強度が1kN/m未満であった。
[タイヤ耐久性]
各実施例及び比較例のタイヤをリムに装着し、タイヤの耐久性の評価として下記のオゾンドラム耐久性及び傷入りCBUドラム耐久性を評価した。各耐久性試験後にはタイヤの外観を目視で評価し、外観の悪化の有無を確認した。
−オゾンドラム耐久性−
各実施例及び比較例のタイヤを、オゾン環境下で10日間放置した。このタイヤを用いて、JIS D 4230:1999(高速性能試験B)に準拠して高速性能試験を行い、下記の基準に従いオゾンドラム耐久性を評価した。
A:完走した。
B:試験段階3の時点で故障(クラック)が発生し、試験を停止した。
C:試験段階2の時点で故障(クラック)が発生し、試験を停止した。
−傷入りCBUドラム耐久性−
各実施例及び比較例のタイヤのサイド部に1.0mmの切り込みを入れた。このタイヤについて、最大空気圧を充填し、最大負荷能力の1.2倍の荷重をかけて1回当たり40mph(マイル/時)で10分間走行させる、CBUドラム耐久性試験を行い、下記の基準に従い傷入りCBUドラム耐久性を評価した。
A:走行距離3マイル以上でも切り込みが広がらなかった。
B:走行距離1マイル以上3マイル未満で切込みが広がった。
C:走行距離1マイル未満で切込みが広がった。
[耐久試験後の老化防止剤及びプロセスオイルの移行量]
実施例1を例に耐久試験後の老化防止剤及びプロセスオイルの移行量の評価方法を説明する。
まず、オゾンドラム耐久性の試験後の実施例1に示すタイヤのトレッド部分から、3gの試験片を切り出し、凍結粉砕により微細粉末を作製した。次いで、得られた微細粉末から、ソックスレー抽出により老化防止剤及びプロセスオイルを抽出した後、液体クロマトグラフ質量分析計((株)島津製作所、LC/MS)によって老化防止剤及びプロセスオイルを定量した。
実施例1において、骨格体に対して老化防止剤及びプロセスオイルを配合していない以外は実施例1と同様の対照用タイヤを用いて実施例1と同条件でオゾンドラム耐久性の試験を実施し、試験後の老化防止剤及びプロセスオイルの量を上記と同様の方法で定量した。
次に、実施例1のタイヤから得られた老化防止剤及びプロセスオイルの量から対照用タイヤから得られた老化防止剤及びプロセスオイルの量を減算することで、実施例1における骨格体から外層部材への老化防止剤及びプロセスオイルの移行量を求めた。
実施例1と同様に各実施例及び比較例について、対照用タイヤを用いて耐久試験後の骨格体から外層部材への老化防止剤及びプロセスオイルの移行量を求めた。結果を表1に示した。
なお、求めた移行量が0以下となるものは骨格体から外層部材に対する老化防止剤及びプロセスオイルの移行が無いと判断でき、この場合、結果をすべて0として記載した。
表1及び表2より、実施例の各タイヤは、初期の外観が良好であり、かつ、耐久性試験後の劣化及び外観の悪化が抑制されたタイヤであることがわかる。
10,200 タイヤ、12 ビード部、16 クラウン部(外周部)、18 ビードコア、20 リム、21 ビードシート、22 リムフランジ、17 タイヤケース(タイヤ骨格体)、24 シール層、25 接着層、26 補強コード部材、26C 接着層、30 トレッド、D 補強コード部材の直径、L 補強コード部材の埋設深さ

Claims (4)

  1. 樹脂材料で形成された環状のタイヤ骨格体と、ゴム材料で形成された外装用部材と、を有し、
    前記タイヤ骨格体はプロセスオイルA及び老化防止剤Aの少なくとも一方を含み、前記外装用部材はプロセスオイルB及び老化防止剤Bを含み、
    前記タイヤ骨格体におけるプロセスオイルAの含有量a1が、前記外装用部材の前記ゴム材料におけるゴム成分100質量部に対して0質量部又は0.5質量部〜15質量部であり、前記タイヤ骨格体における老化防止剤Aの含有量a2が、前記外装用部材の前記ゴム材料におけるゴム成分100質量部に対して0質量部又は0.5質量部〜20質量部であり、
    下記式1で示される前記タイヤ骨格体のプロセスオイルAの含有量a1と前記外装用部材のプロセスオイルBの含有量b1との関係、又は下記式2で示される前記タイヤ骨格体の老化防止剤Aの含有量a2と前記外装用部材の老化防止剤Bの含有量b2との関係の少なくとも一方の関係を満たし、
    前記タイヤ骨格体の厚みが1mm〜2.5mmであるタイヤ。
    a1>b1 式1
    a2>b2 式2
  2. 前記タイヤ骨格体と前記外装用部材との間に、樹脂若しくはゴムを含む組成物で形成された接着層、又は、レゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックスを含む組成物で形成された接着層を有する請求項1に記載のタイヤ。
  3. 前記樹脂若しくはゴムを含む組成物で形成された接着層を有し、前記樹脂は、エポキシ系樹脂及びフェノール系樹脂から選ばれる少なくとも1つの樹脂を含む請求項2に記載のタイヤ。
  4. 前記樹脂材料は、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性樹脂、及びポリエステル系熱可塑性樹脂から選ばれる少なくとも1つを含む請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のタイヤ。
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