以下に添付図面を参照して、本発明に係る燃焼バーナ及び燃焼装置並びにボイラの好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。
[第1実施形態]
図3は、第1実施形態のボイラを表す概略構成図、図4は、燃焼バーナの配置構成を表す平面図である。
第1実施形態のボイラは、石炭を粉砕した微粉炭を微粉燃料(固体燃料)として用い、この微粉燃料を燃焼バーナにより燃焼させ、この燃焼により発生した熱を回収することが可能なボイラである。
第1実施形態において、図3に示すように、ボイラ10は、火炉11と燃焼装置12と煙道13を有している。火炉11は、四角筒の中空形状をなして鉛直方向に沿って設置され、この火炉11を構成する火炉壁が伝熱管により構成されている。
燃焼装置12は、この火炉11を構成する火炉壁(伝熱管)の下部に設けられている。この燃焼装置12は、火炉壁に装着された複数の燃焼バーナ21,22,23,24,25を有している。本実施形態にて、この燃焼バーナ21,22,23,24,25は、周方向に沿って4個均等間隔で配設されたものが1セットとして、鉛直方向に沿って5セット、つまり、5段配置されている。但し、火炉の形状や一つの段における燃焼バーナの数、段数はこの実施形態に限定されるものではない。
この各燃焼バーナ21,22,23,24,25は、微粉燃料供給管26,27,28,29,30を介して粉砕機(ミル)31,32,33,34,35に連結されている。火炉11は、各燃焼バーナ21,22,23,24,25の装着位置に風箱36が設けられており、この風箱36に空気ダクト37の一端部が連結されており、この空気ダクト37の他端部に送風機38が連結されている。また、火炉11は、燃焼バーナ21,22,23,24,25の装着位置より上方に位置して追加空気ノズル39が設けられており、空気ダクト37から分岐した追加空気ダクト40が連結されている。
煙道13は、火炉11の上部に連結され、燃焼ガスの熱を回収するための熱交換器としての過熱器41,42,43、再熱器44,45、節炭器46,47が設けられている。また、煙道13のガスダクト48は、エアヒータ49が設けられ、燃焼バーナ21,22,23,24,25に供給する燃焼用空気を昇温することができる。
ここで、燃焼装置12について詳細に説明するが、この燃焼装置12を構成する燃焼バーナ21,22,23,24,25は、それぞれほぼ同様の構成をなしていることから、燃焼バーナ21を代表してその配置構成について説明する。
燃焼バーナ21は、図4に示すように、火炉11における4つの壁部にそれぞれ設けられる燃焼バーナ21a,21b,21c,21dから構成されている。各燃焼バーナ21a,21b,21c,21dは、微粉燃料供給管26から分岐した各分岐管26a,26b,26c,26dが連結されると共に、空気ダクト37から分岐した各分岐管37a,37b,37c,37dが連結されている。
そのため、各燃焼バーナ21a,21b,21c,21dは、火炉11に対して、微粉燃料と搬送用空気が混合した微粉燃料混合気を吹き込むと共に、その微粉燃料混合気の周囲外側に燃焼用空気を吹き込む。そして、この微粉燃料混合気に着火することで、4つの火炎F1,F2,F3,F4を形成することができ、この火炎F1,F2,F3,F4は、火炉11の鉛直上方から見て(図4にて)反時計周り方向に旋回する火炎旋回流Cとなる。
また、以下に、各燃焼バーナ21の具体的な構成について詳細に説明する。図1は、第1実施形態の燃焼バーナを表す正面図、図2は、燃焼バーナの水平断面図である。
燃焼バーナ21は、図1及び図2に示すように、中心O側から燃料ノズル51、燃焼用空気ノズル52、2次空気ノズル53が順に設けられると共に、燃料ノズル51内に保炎器54が設けられて構成されている。
燃料ノズル51は、微粉燃料(固体燃料)と搬送用空気(1次空気)とを混合した微粉燃料混合気(以下、燃料ガスと称する。)Fを水平方向に沿って噴出することができる。燃焼用空気ノズル52は、燃料ノズル51の外側に配置され、燃料ノズル51から噴出された燃料ガスFの外周側に燃焼用空気の一部(以下、燃料ガス燃焼用空気)A1を水平方向に沿って噴出することができる。2次空気ノズル53は、燃焼用空気ノズル52の外側に配置され、燃焼用空気ノズル52から噴出された燃料ガス燃焼用空気A1の外周側に燃焼用空気の一部(以下、2次空気)を水平方向に沿って噴出することができる。本実施形態にて、2次空気ノズル53は、燃焼用空気ノズル52の鉛直方向における上方側に配置される2次空気ノズル53Aと、燃焼用空気ノズル52の鉛直方向における下方側に配置される2次空気ノズル53Bとから構成されている。
ここで、燃料ノズル51は、四角い管形状をなし、その外側に同心をなして四角いリング状の燃焼用空気ノズル52が配置され、燃焼用空気ノズル52の上方側及び下方側にそれぞれ略矩形状をなす2次空気ノズル53(53A,53B)が配置される。そして、燃料ノズル51からの燃料ガスFと、燃焼用空気ノズル52からの燃料ガス燃焼用空気A1と、2次空気ノズル53からの2次空気は、水平方向に沿って平行に噴出される。
なお、上述した鉛直方向とは、鉛直な方向に対して微小角度だけずれた方向も含むものである。また、2次空気ノズル53は、燃焼用空気ノズル52の外側で、且つ、鉛直方向に隣接する位置に配置したが、水平方向に隣接する位置に配置してもよく、全周に設けてもよい。更に、2次空気ノズル53は、ダンパ開度調整機構などを設けることで、2次空気の噴出量を調整可能としてもよい。
燃料ノズル51は、基端部が微粉燃料供給管26の先端部に連結されており、先端部が火炉11内に露出している。燃焼用空気ノズル52と2次空気ノズル53は、基端部が連結部71を介して風箱36(図3参照)に連結されており、先端部が火炉11内に露出している。燃焼バーナ21は、燃料ノズル51と燃焼用空気ノズル52と2次空気ノズル53からなるノズル部75と、微粉燃料供給管26と連結部71からなる管路部76とを有している。ノズル部75は、管路部76及び風箱36に対して水平方向に沿う支持軸(図示略)により上下方向に沿って角度調整可能となっている。即ち、燃料ノズル51と燃焼用空気ノズル52と2次空気ノズル53は、噴出方向が鉛直方向に沿って調整可能となっている。なお、ノズル部75を管路部76及び風箱36に対して鉛直方向に沿う支持軸により水平方向に移動自在としてもよい。
燃料ノズル51は、直管であり、燃料ガスFを噴出する方向に直交する断面(通路)の面積(通路面積)が一定となっている。燃焼用空気ノズル52は、先端側、つまり、燃料ガス燃焼用空気A1の流れ方向の下流端部端に向かうにしたがって絞られた形状である。そのため、燃焼用空気ノズル52は、燃料ガス燃焼用空気A1を噴出する方向に直交する断面(通路)の面積(通路面積)が、先端に向かうにしたがって小さくなる。2次空気ノズル53は、先端側、つまり、2次空気の流れ方向の下流端部端に向かうにしたがって絞られた形状である。そのため、2次空気ノズル53は、2次空気を噴出する方向に直交する断面(通路)の面積(通路面積)が、先端に向かうにしたがって小さくなる。
なお、燃料ノズル51、燃焼用空気ノズル52の開口の形状は、長方形に限らず、正方形、円形、楕円形としてもよい。また、燃焼用空気ノズル52を長方形とした場合、角部に曲率をつけた形状としてもよい。角部に曲率をつけた管状構造とすることで、ノズルの強度を向上することができる。
また、燃料ノズル51及び燃焼用空気ノズル52は、長尺な管状構造をなし、燃料ノズル51と燃焼用空気ノズル52は、二重管構造となっている。燃料ノズル51は、鉛直方向に沿う一対の平坦な内壁面51a,51bと、水平方向に沿う一対の平坦な内壁面51c,51dとにより区画されて構成される。そして、燃料ノズル51は、燃料ガスFが流れる燃料通路51eと、燃料通路51eにおける燃料ガスFの流れ方向の下流端部に設けられて矩形状をなす噴出開口51fを有する。燃焼用空気ノズル52は、同様に、燃料ノズル51の外側に設けられる燃料ガス燃焼用空気A1が流れる空気通路52aと、空気通路52aの流れ方向の下流側に設けられて矩形リング状をなす噴出開口52bを有する。燃料ノズル51及び燃焼用空気ノズル52は、その外側の上方側に2次空気ノズル53Aが配置され、下方側に2次空気ノズル53Bが配置されている。各2次空気ノズル53A,53Bは、長尺な管状構造をなし、図示しないが、2次空気が流れる空気通路と、空気通路の流れ方向の下流側に設けられる噴出開口を有する。
保炎器54は、燃料ノズル51内であって、燃料ノズル51の先端部、つまり、燃料ガスFの噴出方向の下流側に配置されており、燃料ガスFの着火用及び保炎用として機能するものである。この保炎器54は、3個の第1保炎部材61と2個の第2保炎部材62,63とから構成されている。この第1保炎部材61と第2保炎部材62,63は、鉛直方向に沿って配置されると共に、水平方向に所定間隔を空けて配置されている。この場合、鉛直方向とは、鉛直な方向に対して微小角度だけずれた方向も含むものである。
第1保炎部材61は、燃料ノズル51の先端部であって、燃料ノズル51の中心O側に所定間隔(隙間)を空けて配置されており、鉛直方向に沿うと共に燃料ガスFの噴出方向に沿う板形状をなしている。第2保炎部材62,63は、燃料ノズル61の先端部であって、各第1保炎部材61に対して水平方向の外側の両側に所定間隔(隙間)を空けて配置されており、鉛直方向に沿うと共に燃料ガスFの噴出方向に沿う板形状をなしている。
これらのノズル51,52,53は、噴出開口51f,52bが同一面上に揃えられて配置されている。そして、保炎器54は、第1保炎部材61と第2保炎部材62,63の先端部が噴出開口51fと同一面上に揃えられている。
保炎器54は、上述したように、複数の第1保炎部材61及び複数の第2保炎部材62,63を有しており、重心位置が燃料ノズル51の中心Oより燃料ガスの噴出方向に交差する水平方向に流れる火炎旋回流Cの下流側に位置している。即ち、複数の保炎部材61,62,63は、火炎旋回流Cの下流領域側に密に配置されている。ここで、保炎器54の重心位置とは、保炎器54の中心であり、質量(重量)を考慮したときにその点を支えると全体を支えることができる点である。本実施形態では、燃料ノズル51内の空間にて、保炎器54を構成する複数の第1保炎部材61及び複数の第2保炎部材62,63が火炎旋回流Cの下流側にずれて位置している。つまり、燃料ノズル51を炉内側(図1正面)から見たとき、燃料ノズル51の中心Oから火炎旋回流Cの下流側(図1左側)における各保炎部材61,63(拡幅部82,86)の投影面積の合計面積が、燃料ノズル51の中心Oから右側(火炎旋回流Cの上流側)における各保炎部材61,63(拡幅部82,84)の投影面積の合計面積より大きくなっている。
第1保炎部材61は、水平方向に沿って破断した断面形状(図2)にて、幅が一定な平坦部81と、この平坦部81の先端部(燃料ガスFの流れ方向の下流端部)に一体に設けられた拡幅部(第1保炎部)82とから構成されている。平坦部81は、燃料ガスFの流れ方向に沿って幅が一定である。拡幅部82は、燃料ガスFの流れ方向に向かって幅が大きくなる。この拡幅部82は、水平断面が略二等辺三角形状をなし、基端部が平坦部81に連結され、先端部が燃料ガスFの流れ方向の下流側に向って両側の幅が広くなり、先端がこの燃料ガスFの流れ方向に直交する平面となっている。
第2保炎部材62は、水平方向に沿って破断した断面形状(図2)にて、幅が一定な平坦部83と、この平坦部83の先端部(燃料ガスFの流れ方向の下流端部)に一体に設けられた拡幅部(第2保炎部)84とから構成されている。平坦部83は、燃料ガスFの流れ方向に沿って幅が一定である。拡幅部84は、燃料ガスFの流れ方向に向かって幅が大きくなる。この拡幅部84は、水平断面が直角三角形状をなし、基端部が平坦部83に連結され、先端部が燃料ガスFの流れ方向の下流側に向って一方側の幅が広くなり、先端がこの燃料ガスFの流れ方向に直交する平面となっている。即ち、第2保炎部材62の拡幅部84は、燃料ノズル51の中心O側(第1保炎部材61側)だけに拡幅し、燃料ノズル51の内壁面51a側には拡幅しない平面となっている。
また、第2保炎部材63は、水平方向に沿って破断した断面形状(図2)にて、幅が一定な平坦部85と、この平坦部85の先端部(燃料ガスFの流れ方向の下流端部)に一体に設けられた拡幅部(第2保炎部)86とから構成されている。平坦部85は、燃料ガスFの流れ方向に沿って幅が一定である。拡幅部86は、燃料ガスFの流れ方向に向かって幅が大きくなる。この拡幅部86は、水平断面が直角三角形状をなし、基端部が平坦部85に連結され、先端部が燃料ガスFの流れ方向の下流側に向って一方側の幅が広くなり、先端がこの燃料ガスFの流れ方向に直交する平面となっている。即ち、第2保炎部材63の拡幅部86は、燃料ノズル51の中心O側(第1保炎部材61側)だけに拡幅し、燃料ノズル51の内壁面51b側には拡幅しない平面となっている。
なお、各拡幅部82,84,86は、その長手方向(鉛直方向)に沿って幅が一定となっているが、幅を異ならせてもよい。拡幅部84,86を拡幅部82より小さくすることで外部着火を抑制して内部着火を強くすることもできる。各拡幅部82,84,86の傾斜面と端面は、平面であることが望ましいが、凹状または凸状に屈曲または湾曲した面であってもよい。
そして、3個の第1保炎部材61は、燃料ノズル51の中心Oに対して、火炎旋回流Cの上流側に1つ、下流側に2つ配置されている。第2保炎部材62は、3つの第1保炎部材61より火炎旋回流Cの上流側に配置され、第2保炎部材63は、3つの第1保炎部材61より火炎旋回流Cの下流側に配置されている。また、火炎旋回流Cの上流側に配置される第2保炎部材62と燃料ノズル51の内壁面51aとの隙間S1が、火炎旋回流Cの下流側に配置される第2保炎部材63と燃料ノズル51の内壁面51bとの隙間S2より大きく設定される。
この場合、第1保炎部材61と第2保炎部材62,63と燃料ノズル51の内壁面51a,51bとは、前述したように、所定間隔の隙間を空けて配置されているが、この所定間隔とは、少なくとも保炎部材61,62,63における拡幅部82,84,86の幅以上の隙間、または、少なくとも保炎部材61,62,63における拡幅部82,84,86が熱延びにより互いにまたは燃料ノズル51の内壁面51a,51bに干渉(接触)しない程度の隙間である。
燃料ノズル51は、内部にこの保炎器54として第1、第2保炎部材61,62,63が幅方向(水平方向)に所定間隔を空けて配置されている。そして、各保炎部材61,62,63は、先端部に拡幅部82,84,86がそれぞれ設けられており、この拡幅部82,84,86は、先端の端面がそれぞれ燃料ノズル51の噴出開口51fと燃料ガスFの流れ方向における同位置に同一面上に揃えられて配置されている。
なお、本実施形態では、保炎器54として第1、第2保炎部材61,62,63の先端部(拡幅部82,84,86)をそれぞれ燃料ノズル51の噴出開口51fと同一面上に揃えられて配置したが、この構成に限定されるものではない。例えば、保炎器54において、保炎部材62の先端部を燃料ノズル51の噴出開口51aと同一面上に配置し、保炎器の保炎部材61,63の先端部を燃料ノズル51の噴出開口51aから燃料ノズル51の上流側に配置した段違い構造としもよい。また、必要に応じて、保炎部材61,62,63のいずれかを燃料ノズル51の上流側に配置した段違い構造としもよい。
なお、第1、第2保炎部材61,62,63は、図示しないが、平坦部81,83,85または拡幅部82,84,86の上端部と下端部が支持部材を介して燃料ノズル51の内壁面51c,51dに支持されている。但し、この構成に限定されるものではない。例えば、各保炎部材61,62,63を燃料ガスFの噴出方向に沿って位置調整自在に支持し、燃料の種類や噴出量などに応じて拡幅部82,84,86の位置を調整自在としてもよい。また、この支持部材は、各保炎部材61,62,63を支持するものであるが、燃料ガスFの流れに影響を与えるものではない。
燃料ノズル51は、保炎器54として第1、第2保炎部材61,62、63が所定間隔を空けて配置されていることから、燃料通路51eが6個の領域に分割されることとなり、第2保炎部材62と内壁面51aとの領域がその他の領域より大きなものとなっている。
このように構成された燃焼バーナ21にて、図1及び図2に示すように、燃料ガスFは、微粉燃料供給管26から燃料ノズル51の燃料通路51eに流れ、噴出開口51fから炉内に噴出される。燃料ガス燃焼用空気A1は、風箱36から連結部71を通して燃焼用空気ノズル52の空気通路52aに流れ、噴出開口52bから燃料ガスFの外側に噴出される。2次空気は、風箱36から連結部を通して2次空気ノズル53A,53Bの各空気通路に流れ、噴出開口53Ab,53Bbから燃料ガス燃焼用空気A1の外側に噴出される。このとき、燃料ガスFと燃料ガス燃焼用空気A1と2次空気は、旋回させずにバーナ軸線方向(中心O)に沿った直進流として噴出させることが望ましい。
このとき、保炎器54は、第1保炎部材61及び第2保炎部材62,63がスプリット形状をなしているため、燃料ガスFが拡幅部82,84,86に沿って流れて先端面側に回り込むことで、前方に再循環領域が形成される。そのため、燃料ガスFは、この再循環領域で着火と保炎が行われることとなり、燃焼火炎の内部保炎(燃料ノズル51における中心O側の中央領域における保炎)が実現される。すると、燃焼火炎の外周部が低温となり、2次空気により高酸素雰囲気下にある燃焼火炎の外周部の温度を低くすることができ、燃焼火炎の外周部におけるNOx発生量が低減される。
燃焼バーナ21の外周側から噴出された2次空気は、水平方向からの火炎旋回流C(図6参照)の流れの影響を受けやすい。ところが、本実施形態では、複数の第1保炎部材61及び複数の第2保炎部材62,63の重心位置が燃料ノズル51の中心Oより火炎旋回流Cの下流側に位置している。そのため、火炎旋回流Cの上流側では、第2保炎部材62と燃料ノズル51の内壁面51aとの隙間S1が大きいことから保炎性能が抑えられ、火炎旋回流Cの下流側では、第2保炎部材63と燃料ノズル51の内壁面51bとの隙間S2が小さいことから保炎性能が向上する。すると、火炎旋回流Cの上流側では、この火炎旋回流Cによる燃料ガスFの早期着火が抑制され、火炎旋回流Cの下流側では、この火炎旋回流Cによる燃料ガスFの着火が促進される。その結果、保炎器54による内部着火を適正なタイミングにすることで有害物質としてのNOxの発生と未燃分の発生が抑制される。
このように第1実施形態の燃焼バーナにあっては、燃料ガスを水平方向に沿って噴出する燃料ノズル51と、燃料ノズル51の外側から空気を水平方向に沿って噴出する燃焼用空気ノズル52と、燃料ノズル51の先端部に設けられる保炎器54とを設け、保炎器54の重心位置を燃料ノズル51の中心Oより燃料ガスの噴出方向に交差する水平方向に流れる火炎旋回流Cの下流側に位置させている。
従って、火炎旋回流Cの上流側で保炎性能が抑えられ、火炎旋回流Cの下流側で保炎性能が向上するため、火炎旋回流Cの上流側で燃料ガスの早期着火が抑制され、火炎旋回流Cの下流側で燃料ガスの着火が促進される。その結果、保炎器54による内部着火を適正なタイミングにすることで有害物質(NOx)の発生を抑制することができると共に、未燃分の発生を抑制することができる。
第1実施形態の燃焼バーナでは、保炎器54として複数の保炎部材61,62,63を設け、複数の保炎部材61,62,63を火炎旋回流Cの下流領域側に密に配置している。従って、簡単な構成で容易に火炎旋回流Cの上流側での保炎性能を抑えて早期着火を抑制することができ、火炎旋回流Cの下流側での保炎性能を維持して内部着火性を向上することができる。
第1実施形態の燃焼バーナでは、火炎旋回流Cの上流側に配置される第2保炎部材62と燃料ノズル51の内壁面51aとの隙間S1が、火炎旋回流Cの下流側に配置される第2保炎部器本体63と燃料ノズル51の内壁面51bとの隙間S2より大きく設定されている。従って、火炎旋回流Cから第2保炎部材62を遠ざけて保炎性能を容易に抑えることができ、火炎旋回流Cから第2保炎部材63を近づけて保炎性能を維持することができる。
第1実施形態の燃焼バーナでは、燃料ノズル51の中心O側に配置されて水平方向の両側に拡幅する第1保炎部材61と、燃料ノズル51の内壁面51a,51b側に配置されて燃料ノズル51の中心O側だけに拡幅する第2保炎部材62,63を設けている。従って、第1保炎部材61により燃料ノズル51の中心O側で内部保炎性能を向上することができ、第2保炎部材62,63により外部着火を抑制してNOxの発生を抑制することができる。
また、第1実施形態の燃焼装置にあっては、燃焼バーナ21,22,23,24,25を火炉11の周方向に所定間隔を空けて複数配置することで、火炎旋回流を形成可能としている。従って、火炎旋回流Cの上流側で保炎性能が抑えられ、火炎旋回流Cの下流側で保炎性能が向上するため、火炎旋回流Cの上流側で燃料ガスの早期着火が抑制され、火炎旋回流Cの下流側で燃料ガスの着火が促進される。その結果、保炎器54による内部着火を適正なタイミングにすることで有害物質(NOx)の発生を抑制することができると共に、未燃分の発生を抑制することができる。
また、第1実施形態のボイラにあっては、中空形状をなして鉛直方向に沿って設置される火炉11と、燃焼バーナ21,22,23,24,25から構成される燃焼装置12とを備えている。従って、保炎器54による内部着火を適正なタイミングにすることで有害物質(NOx)の発生を抑制することができると共に、未燃分の発生を抑制することができる。その結果、火炉11の下流側に配置される脱硝装置の小型化を図ることができると共に、ボイラ燃焼効率を向上することができる。
[第2実施形態]
図5は、第2実施形態の燃焼バーナを表す正面図、図6は、燃焼バーナの水平断面図である。なお、上述した実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
第2実施形態において、図5及び図6に示すように、燃焼バーナ21は、中心O側から燃料ノズル51、燃焼用空気ノズル52、2次空気ノズル53が順に設けられると共に、燃料ノズル51内に保炎器54が設けられて構成されている。
燃料ノズル51は、燃料ガスを水平方向に沿って噴出することができる。燃焼用空気ノズル52は、燃料ノズル51の外側に配置され、燃料ガスの外周側に燃料ガス燃焼用空気を水平方向に沿って噴出することができる。2次空気ノズル53は、燃焼用空気ノズル52の外側で、燃料ガス燃焼用空気の上方と下方に2次空気を水平方向に沿って噴出することができる。本実施形態にて、2次空気ノズル53は、燃焼用空気ノズル52の鉛直方向における上方側に配置される2次空気ノズル53Aと、燃焼用空気ノズル52の鉛直方向における下方側に配置される2次空気ノズル53Bとから構成されている。
保炎器54は、燃料ノズル51内であって、燃料ノズル51の先端部に配置されており、3個の第1保炎部材61と2個の第2保炎部材62,63とから構成されている。第1保炎部材61は、燃料ノズル51の中心O側に所定間隔を空けて配置され、第2保炎部材62,63は、各第1保炎部材61の両側に所定間隔を空けて配置されている。燃料ノズル51と燃焼用空気ノズル52と2次空気ノズル53は、噴出開口51f,52bが同一面上に揃えられて配置され、保炎器54は、各保炎部材61,62,63の先端部が噴出開口51fと同一面上に揃えられている。
この保炎器54は、重心位置が燃料ノズル51の中心Oより燃料ガスの噴出方向に交差する水平方向に流れる火炎旋回流Cの下流側に位置している。即ち、複数の保炎部材61,62,63は、火炎旋回流Cの下流領域側に密に配置されている。
3つの第1保炎部材61は、燃料ノズル51の中心Oに対して、火炎旋回流Cの上流側に1つ、下流側に2つ配置されている。第2保炎部材62は、3つの第1保炎部材61より火炎旋回流Cの上流側に配置され、第2保炎部材63は、3つの第1保炎部材61より火炎旋回流Cの下流側に配置されている。また、火炎旋回流Cの上流側に配置される第2保炎部材62と燃料ノズル51の内壁面51aとの隙間S1が、火炎旋回流Cの下流側に配置される第2保炎部材63と燃料ノズル51の内壁面51bとの隙間S2より大きく設定される。
また、本実施形態では、火炎旋回流Cの上流領域で第2保炎部材62と燃料ノズル51の内壁面51aとの間に抵抗部材としてのベーン91を配置している。このベーン91は、鉛直方向に沿うと共に燃料ガスの噴出方向に長い平板形状をなし、燃料ガスの噴出方向に沿って同じ厚さに形成されている。即ち、ベーン91における水平方向の厚さは、各保炎部材61,62,63の拡幅部82,84,86における水平方向の厚さより薄いものとなっている。そして、ベーン91は、燃料ガスを第2保炎部材62側に導くように傾斜する傾斜面を有しており、拡幅部82,84,86より燃料ガスの噴出方向の上流側に配置されている。なお、このベーン91は、図示しないが、各保炎部材61,62,63と同様に、上端部と下端部が支持部材を介して燃料ノズル51の内壁面51c,51dに支持されている。
そのため、燃料ガスは、燃料ノズル51の噴出開口51fから炉内に噴出され、燃料ガス燃焼用空気は、燃焼用空気ノズル52の噴出開口52bから燃料ガスの外側に噴出される。すると、燃料ガスFは、各保炎部材61,62,63の拡幅部82,84,86により先端面側に回り込むことで、前方に再循環領域が形成される。燃料ガスは、この再循環領域で着火と保炎が行われることとなり、燃焼火炎の内部保炎が実現される。そして、火炎旋回流Cの上流側では、隙間S1が大きいことから火炎旋回流Cによる燃料ガスの早期着火が抑制され、火炎旋回流Cの下流側では、隙間S2が小さいことから火炎旋回流Cによる燃料ガスの着火が促進される。
また、燃料ノズル51は、内壁面51a側の隙間S1が内壁面51b側の隙間S2より大きいことで、燃料ガスは、隙間S1側に流れやすくなり、水平方向における燃料の濃度分布がばらついてしまう。ところが、本実施形態では、隙間S1にベーン91が配置されていることで、このベーン91が燃料ガスの流動抵抗となり、水平方向における燃料の濃度分布のばらつきが抑制される。その結果、燃料ノズル51は、各保炎部材61,62,63及びベーン91により水平方向に均一に燃料ガスを流すことができ、保炎器54による内部着火が適正なタイミングとなる。
このように第2実施形態の燃焼バーナにあっては、火炎旋回流Cの上流領域で第2保炎部材62と燃料ノズル51の内壁面51aとの間にベーン91を配置している。従って、複数の保炎部材61,62,63とベーン91により燃料ノズル51内の水平方向における流動抵抗の分布が均一に近づくこととなり、燃料ガスの偏りを抑制して安定した火炎を形成することができる。
第2実施形態の燃焼バーナでは、ベーン91を各保炎部材61,62,63の拡幅部82,84.86より燃料ガスの噴出方向の上流側に配置している。従って、ベーン91により燃料ガスの再循環領域が形成されることはなく、保炎による燃料ガスの早期着火を防止することができる。
第2実施形態の燃焼バーナでは、ベーン91により燃料ガスを第2保炎部材62側に導くようにベーン91を傾斜させている。従って、ベーン91により燃料ガスが火炎旋回流Cから遠ざかる方向に導かれることとなり、火炎旋回流Cによる燃料ガスの早期着火を防止することができると共に、各保炎部材61,62,63による内部着火性能を向上することができる。
[第3実施形態]
図7は、第3実施形態の燃焼バーナを表す正面図、図8は、燃焼バーナの水平断面図である。なお、上述した実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
第3実施形態において、図7及び図8に示すように、燃焼バーナ21は、中心O側から燃料ノズル51、燃焼用空気ノズル52、2次空気ノズル53が順に設けられると共に、燃料ノズル51内に保炎器54が設けられて構成されている。
燃料ノズル51は、燃料ガスを水平方向に沿って噴出することができる。燃焼用空気ノズル52は、燃料ノズル51の外側に配置され、燃料ガスの外周側に燃料ガス燃焼用空気を水平方向に沿って噴出することができる。2次空気ノズル53は、燃焼用空気ノズル52の外側で、燃料ガス燃焼用空気の上方と下方に2次空気を水平方向に沿って噴出することができる。本実施形態にて、2次空気ノズル53は、燃焼用空気ノズル52の鉛直方向における上方側に配置される2次空気ノズル53Aと、燃焼用空気ノズル52の鉛直方向における下方側に配置される2次空気ノズル53Bとから構成されている。
保炎器54は、燃料ノズル51内であって、燃料ノズル51の先端部に配置されており、3個の第1保炎部材61と2個の第2保炎部材62,63とから構成されている。この保炎器54は、重心位置が燃料ノズル51の中心Oより燃料ガスの噴出方向に交差する水平方向に流れる火炎旋回流Cの下流側に位置している。即ち、複数の保炎部材61,62,63は、火炎旋回流Cの下流領域側に密に配置されている。第2保炎部材62は、3つの第1保炎部材61より火炎旋回流Cの上流側に配置され、第2保炎部材63は、3つの第1保炎部材61より火炎旋回流Cの下流側に配置されている。そして、火炎旋回流Cの上流側に配置される第2保炎部材62と燃料ノズル51の内壁面51aとの隙間S1が、火炎旋回流Cの下流側に配置される第2保炎部材63と燃料ノズル51の内壁面51bとの隙間S2より大きく設定される。
そして、本実施形態にて、燃焼用空気ノズル52は、火炎旋回流Cの上流側における燃料ノズル51の外壁面と燃焼用空気ノズル52の内壁面との隙間である噴出開口52bの幅が、火炎旋回流Cの下流側における燃料ノズル51の外壁面と燃焼用空気ノズル52の内壁面との隙間である噴出開口52bの幅より大きく設定されている。即ち、燃焼用空気ノズル52の噴出開口52bは、火炎旋回流Cの上流側(内壁面51a側)に位置する第1開口52cと、火炎旋回流Cの下流側(内壁面51b側)に位置する第2開口52dと、鉛直方向の上方側(内壁面51c側)に位置する第3開口52eと、鉛直方向の下方側(内壁面51d側)に位置する第4開口52fとから構成されている。そして、第1開口52cの噴出開口幅S11は、第2開口52dの噴出開口幅S12より大きく設定されている。なお、第1開口52cの噴出開口幅S11は、第3開口52eと第4開口52fの噴出開口幅と同等、または、大きく設定されている。
そのため、燃料ガスは、燃料ノズル51の噴出開口51fから炉内に噴出され、燃料ガス燃焼用空気は、燃焼用空気ノズル52の噴出開口51bから燃料ガスの外側に噴出される。すると、燃料ガスFは、各保炎部材61,62,63の拡幅部82,84,86により先端面側に回り込むことで、前方に再循環領域が形成される。燃料ガスは、この再循環領域で着火と保炎が行われることとなり、燃焼火炎の内部保炎が実現される。そして、火炎旋回流Cの上流側では、隙間S1が大きいことから火炎旋回流Cによる燃料ガスの早期着火が抑制され、火炎旋回流Cの下流側では、隙間S2が小さいことから火炎旋回流Cによる燃料ガスの着火が促進される。
また、第1開口52cの噴出開口幅S11が第2開口52dの噴出開口幅S12より大きいことから、第1開口52cから噴出される燃料ガス燃焼用空気の流量が多くなる。そのため、燃料ノズル51の先端部に近づく火炎旋回流Cがこの燃料ガス燃焼用空気により吹き飛ばされると共に、火炎旋回流Cによる燃焼で消費される燃料ガス燃焼用空気の量が補充される。その結果、保炎器54による内部着火を適正なタイミングにすることで有害物質としてのNOxの発生と未燃分の発生が抑制される。
このように第3実施形態の燃焼バーナにあっては、燃焼用空気ノズル52における火炎旋回流Cの上流側に位置する第1開口52cの噴出開口幅S11を、火炎旋回流Cの下流側に位置する第2開口52dの噴出開口幅S12より大きく設定している。
従って、第1開口52cから噴出される多量の燃料ガス燃焼用空気により火炎旋回流Cが、燃料ノズル51から噴出される燃料ガスから離され、燃料ガスと共に燃焼する空気を減少してNOxの発生を抑制することができる。また、第1開口52cから噴出される燃料ガス燃焼用空気が火炎旋回流Cにより燃焼することで消費されるが、燃料ガス燃焼用空気が多量であることから、燃料ガスと混合して燃焼する空気が減少することはなく、適正な内部保炎を維持することができる。
[第4実施形態]
図9は、第4実施形態の燃焼バーナを表す正面図、図10は、燃焼バーナの水平断面図である。なお、上述した実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
第4実施形態において、図9及び図10に示すように、燃焼バーナ21は、中心O側から燃料ノズル51、燃焼用空気ノズル52、2次空気ノズル53が順に設けられると共に、燃料ノズル51内に保炎器54が設けられて構成されている。
燃料ノズル51は、燃料ガスを水平方向に沿って噴出することができる。燃焼用空気ノズル52は、燃料ノズル51の外側に配置され、燃料ガスの外周側に燃料ガス燃焼用空気を水平方向に沿って噴出することができる。2次空気ノズル53は、燃焼用空気ノズル52の外側で、燃料ガス燃焼用空気の上方と下方に2次空気を水平方向に沿って噴出することができる。本実施形態にて、2次空気ノズル53は、燃焼用空気ノズル52の鉛直方向における上方側に配置される2次空気ノズル53Aと、燃焼用空気ノズル52の鉛直方向における下方側に配置される2次空気ノズル53Bとから構成されている。
保炎器54は、燃料ノズル51内であって、燃料ノズル51の先端部に配置されており、3個の第1保炎部材61と2個の第2保炎部材62,63とから構成されている。この保炎器54は、重心位置が燃料ノズル51の中心Oより燃料ガスの噴出方向に交差する水平方向に流れる火炎旋回流Cの下流側に位置している。即ち、複数の保炎部材61,62,63は、火炎旋回流Cの下流領域側に密に配置されている。第2保炎部材62は、3つの第1保炎部材61より火炎旋回流Cの上流側に配置され、第2保炎部材63は、3つの第1保炎部材61より火炎旋回流Cの下流側に配置されている。そして、火炎旋回流Cの上流側に配置される第2保炎部材62と燃料ノズル51の内壁面51aとの隙間S1が、火炎旋回流Cの下流側に配置される第2保炎部材63と燃料ノズル51の内壁面51bとの隙間S2より大きく設定される。
そして、本実施形態にて、燃焼用空気ノズル52は、火炎旋回流Cの上流側における燃料ノズル51の外壁面と燃焼用空気ノズル52の内壁面との隙間である噴出開口52bの幅が、火炎旋回流Cの下流側における燃料ノズル51の外壁面と燃焼用空気ノズル52の内壁面との隙間である噴出開口52bの幅より小さく設定されている。即ち、燃焼用空気ノズル52の噴出開口52bは、火炎旋回流Cの上流側に位置する第1開口52cと、火炎旋回流Cの下流側に位置する第2開口52dと、鉛直方向の上方側に位置する第3開口52eと、鉛直方向の下方側に位置する第4開口52fとから構成されている。そして、第1開口52cの噴出開口幅S11は、第2開口52dの噴出開口幅S12より小さく設定されている。なお、第2開口52dの噴出開口幅S12は、第3開口52eと第4開口52fの噴出開口幅と同等に設定されている。
そのため、燃料ガスは、燃料ノズル51の噴出開口51fから炉内に噴出され、燃料ガス燃焼用空気は、燃焼用空気ノズル52の噴出開口52bから燃料ガスの外側に噴出される。すると、燃料ガスFは、各保炎部材61,62,63の拡幅部82,84,86により先端面側に回り込むことで、前方に再循環領域が形成される。燃料ガスは、この再循環領域で着火と保炎が行われることとなり、燃焼火炎の内部保炎が実現される。そして、火炎旋回流Cの上流側では、隙間S1が大きいことから火炎旋回流Cによる燃料ガスの早期着火が抑制され、火炎旋回流Cの下流側では、隙間S2が小さいことから火炎旋回流Cによる燃料ガスの着火が促進される。
また、第1開口52cの噴出開口幅S11が第2開口52dの噴出開口幅S12より小さいことから、第1開口52cから噴出される燃料ガス燃焼用空気の流量が少なくなる。そのため、燃料ノズル51の先端部に近づく火炎旋回流Cが衝突する燃料ガス燃焼用空気の量が減少することとなる。その結果、外部着火や空気過剰による有害物質としてのNOxの発生が抑制される。一方、第2開口52dの噴出開口幅S12が大きいことから、第2開口52dから噴出される燃料ガス燃焼用空気の流量が多くなる。この第2開口52dからの燃料ガス燃焼用空気は、火炉11(図4参照)の炉壁に沿って流れるため、空気不足による硫化水素の発生が抑制される。
このように第4実施形態の燃焼バーナにあっては、燃焼用空気ノズル52における火炎旋回流Cの上流側に位置する第1開口52cの噴出開口幅S11を、火炎旋回流Cの下流側に位置する第2開口52dの噴出開口幅S12より小さく設定している。
従って、第1開口52cから噴出される少量の燃料ガス燃焼用空気が火炎旋回流Cや燃料ガスと共に燃焼する空気量が減少し、NOxの発生を抑制することができる。また、第2開口52dから噴出される燃料ガス燃焼用空気の流量が多くなり、この空気が火炉11の炉壁側に流れて冷却されて温度が低下するため、空気不足による硫化水素の発生が抑制されることとなり、硫化水素による炉壁の腐食を抑制することができる。
[第5実施形態]
図11は、第5実施形態の燃焼バーナを表す正面図である。
第5実施形態において、図11に示すように、燃焼バーナ101は、中心O側から燃料ノズル111、燃焼用空気ノズル112、2次空気ノズル113が順に設けられると共に、燃料ノズル111内に保炎器114が設けられて構成されている。
燃料ノズル111は、燃料ガスを水平方向に沿って噴出することができる。燃焼用空気ノズル112は、燃料ノズル111の外側に配置され、燃料ガスの外周側に燃料ガス燃焼用空気を水平方向に沿って噴出することができる。2次空気ノズル113は、燃焼用空気ノズル112の外側で、燃料ガス燃焼用空気の上方と下方に2次空気を水平方向に沿って噴出することができる。本実施形態にて、2次空気ノズル113は、燃焼用空気ノズル112の鉛直方向における上方側に配置される2次空気ノズル113Aと、燃焼用空気ノズル112の鉛直方向における下方側に配置される2次空気ノズル113Bとから構成されている。
保炎器114は、燃料ガスの噴出方向の下流側に配置されており、燃料ガスの着火用及び保炎用として機能するものである。この保炎器114は、水平方向に沿う第1保炎部材(水平保炎部)121,122と、鉛直方向に沿う第2保炎部材(鉛直保炎部)123とが十字形状に交差するように配置された、所謂、クロススプリット構造をなすものである。そして、図示しないが、各第1保炎部材121,122、123は、その厚さが一定な平板形状をなす平坦部と、この平坦部の先端部(燃料ガスの流れ方向の下流端部)に一体に設けられた拡幅部を有している。なお、第1保炎部材121,122と第2保炎部材113の個数は、上述したものに限定されるものではなく、適宜設定すればよいものである。
この保炎器114は、重心位置が燃料ノズル111の中心Oより燃料ガスの噴出方向に交差する水平方向に流れる火炎旋回流Cの下流側に位置している、即ち、第2保炎部材113は、燃料ノズル111の中心Oより火炎旋回流Cの下流領域側、つまり、図11にて左側に配置されている。そのため、火炎旋回流Cの上流側に配置される第2保炎部材123の一方の側面と燃料ノズル111の内壁面111aとの隙間S1が、火炎旋回流Cの下流側に配置される第2保炎部材123の一方の側面と燃料ノズル111の内壁面111bとの隙間S2より大きく設定される。
そのため、火炎旋回流Cの上流側では、第2保炎部材123と燃料ノズル51の内壁面111aとの隙間S1が大きいことから保炎性能が抑えられ、火炎旋回流Cの下流側では、第2保炎部材123と燃料ノズル111の内壁面111bとの隙間S2が小さいことから保炎性能が向上する。すると、火炎旋回流Cの上流側では、この火炎旋回流Cによる燃料ガスの早期着火が抑制され、火炎旋回流Cの下流側では、この火炎旋回流Cによる燃料ガスの着火が促進される。その結果、保炎器114による内部着火を適正なタイミングにすることで有害物質としてのNOxの発生と未燃分の発生が抑制される。
このように第5実施形態の燃焼バーナにあっては、水平方向に沿って配置される第1保炎部材121,122と、鉛直方向に沿って配置される第2保炎部材123とを設け、第2保炎部材123の重心位置を火炎旋回流Cの下流側に位置している。
従って、クロススプリット構造をなす保炎器114にて、火炎旋回流Cの上流側で保炎性能が抑えられ、火炎旋回流Cの下流側で保炎性能が向上するため、火炎旋回流Cの上流側で燃料ガスの早期着火が抑制され、火炎旋回流Cの下流側で燃料ガスの着火が促進される。そのため、簡単な構成で容易に保炎器114による内部着火を適正なタイミングとし、有害物質(NOx)の発生を抑制することができると共に、未燃分の発生を抑制することができる。
また、上述した実施形態では、本発明のボイラを石炭焚きボイラとしたが、固体燃料としては、石炭の他に、バイオマス、石油コークス、石油残渣などを使用するボイラであってもよい。また、燃料として固体燃料に限らず、重質油などの油焚きボイラにも使用することができる。更には、これら燃料の混焼焚きにも適用することができる。