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JP6627226B2 - 無方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

無方向性電磁鋼板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、無方向性電磁鋼板及びその製造方法に関し、特に、電気機器の鉄心材料として使用される、鉄損に優れた無方向性電磁鋼板およびその製造方法に関する。
無方向性電磁鋼板は、重電機器、家電用などの各種モーターの鉄芯材料として用いられている。無方向性電磁鋼板は、商業的には鉄損でグレード分けされ、モーターやトランスの設計特性に応じて使い分けられている。
近年、エネルギー節減の観点から、無方向性電磁鋼板に対して、一層の低鉄損化が強く要望されている。
一般に、鋼板中に微細な析出物が存在すると、磁壁移動が阻害され、ヒステリシス損は劣化する。
そこで、従来、無方向性電磁鋼板の鉄損の改善を目的に、熱延における硫化物の析出制御、脱硫による硫化物の低減方法、仕上焼鈍後の急速冷却によるCu硫化物の析出抑制などの方法が提案されてきた。
例えば、特許文献1では、Cuを0.2%以下含んだ鋼片を900〜1100℃の範囲で30分以上保定し、その後、1150℃で高温保定し、引き続いて圧延を開始するとともに、仕上熱延中の冷却速度を50℃/秒以下に抑えることによって、Cu硫化物の分散状態を無方向性電磁鋼板の磁気特性、即ち、鉄損および磁束密度にとって好ましい状態に制御する方法が開示されている。
特許文献2では、鋳造完了時までに溶鋼にCaSiを添加し、S含有量を0.005%以下に制御し、1000℃以上の温度でスラブを加熱した後、熱間圧延し、特定の温度域でコイル巻取りすることによって、微細な析出物の生成を回避する方法が開示されている。
また、特許文献3では、仕上焼鈍後、500〜600℃の温度域から300℃までの間を10〜50℃/秒の冷却速度で急冷し、Cu硫化物の析出を抑制する技術が開示されている。
特許文献4〜7では仕上焼鈍後の冷却速度を制御することによって、磁気特性の向上を期待する技術が開示されている。
特開2010−174376号公報 特開平10−183244号公報 特開平09−302414号公報 特開2011−006721号公報 特開2006−144036号公報 特開2003−113451号公報 国際公開第2014/168136号
CAMP−ISIJ Vol.25(2012),p1080 CAMP−ISIJ Vol.22(2009),p1284 j.Flux Growth vol.5(2010),p48 Tetsu−to−Hagane vol.100(2014),p1229 Tetsu−to−Hagane vol.83(1997),p479 Tetsu−to−Hagane vol.92(2006),p609 Bunnseki vol.11(2002),p639
しかし、上記特許文献1〜6に記載の従来の方法では、以下のような問題があった。
特許文献1に記載の方法では、スラブ加熱温度の低温化による圧延負荷の増大や、冷却速度の厳密な制御の困難さなど、生産性に問題があった。
また特許文献2に記載の方法では高純度鋼が必須であるが、不可避レベルで混入するCuによる微細Cu硫化物の形成は避けられないので、Cu混入によって、かえって磁気特性が劣化するという問題があった。
また特許文献3には、500〜600℃の温度域から300℃までの間を10〜50℃/秒の冷却速度で急冷する方法が開示されているが、Cu硫化物は50℃/秒以上の冷却速度でも冷却中に析出する事実が非特許文献1および2などで知られている。すなわち、10〜50℃/秒程度の冷却を行う特許文献3の技術では完全にCu硫化物の析出を抑制することは困難である。
また特許文献4〜6においては、上述した方法により鋼板への冷却歪の導入を回避でき、鉄損劣化を低減することは可能であるが、Cu硫化物の析出状態を制御することはできず、微細に析出したCu硫化物が磁気特性に悪影響してしまう。特許文献7においては、Cu硫化物の析出形態を制御する技術が開示されているが、Cu硫化物以外の析出物(例えば窒化物など)が存在する場合、Cu硫化物の無害化が困難になるという課題があった。
本発明は上述の問題を鑑み、Cu硫化物の析出形態を制御し、コスト増加や生産性の低下を招くことなく、鉄損に優れた無方向性電磁鋼板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は上記課題を解決するため、無方向性電磁鋼板の鋼板成分、製造条件が硫化物の分散状態と磁気特性の関係に及ぼす影響について検討を重ねた。その結果、窒化アルミニウムを含んだ無方向性電磁鋼板をある条件で焼鈍した場合に、Cu硫化物の微細分散が抑制され、かつ磁気特性が著しく向上する現象を認識した。そしてさらに鋼中析出物の形態や構造について詳細な調査を行った結果、この現象が特にCu硫化物が窒化アルミニウムと複合析出することで、(A)Cu硫化物の単独分散が回避されていること、(B)Cu硫化物が地鉄と良好な格子整合性を有することに起因することを見出した。また、Cu硫化物と窒化アルミニウムの複合析出は、析出核である窒化アルミニウムとCu硫化物の格子整合性が最適化された場合に起こりうることを見出した。
本発明は上記知見をもとになされたもので、以下の(1)〜(5)を要旨とする。
(1)本発明の一態様に係る無方向性電磁鋼板の製造方法は、質量%で、C:0.0001〜0.01%、Si:0.05〜7.0%、Mn:0.02〜3.0%、Al:0.002〜3.0%、S:0.0005〜0.05%、P:0.002〜0.15%、N:0.0010〜0.0100%、Cu:0.010〜5.00%を含有し、残部がFe及び不純物からなる化学組成を有し、電解抽出残渣に対するX線回折において得られる、2θ=33.5°に現れるHexagonal構造を有する窒化アルミニウムの回折強度であるI 2θ=33.5 と、2θ=32.1°に現れるCubic構造を有するCu硫化物の回折強度であるI 2θ=32.1 とが、下記式1の条件を満たす無方向性電磁鋼板の製造方法であって、質量%で、C:0.0001〜0.01%、Si:0.05〜7.0%、Mn:0.02〜3.0%、Al:0.002〜3.0%、S:0.0005〜0.05%、P:0.002〜0.15%、N:0.0010〜0.0100%、Cu:0.010〜5.00%を含有し、残部がFe及び不純物からなる化学組成を有する鋼片に熱間圧延を行い、熱延鋼板を得る熱延工程と、前記熱延鋼板を焼鈍する熱延板焼鈍工程と、前記熱延板焼鈍工程後の前記熱延鋼板を酸洗する酸洗工程と、前記酸洗工程後の前記熱延鋼板に冷間圧延を行い冷延鋼板を得る冷延工程と、前記冷延鋼板を焼鈍する仕上焼鈍工程とを有する無方向性電磁鋼板の製造工程において、前記熱延板焼鈍工程において、下記式3に示すT2℃以上で10〜3600秒の保持を行い、前記仕上焼鈍工程において、室温から下記式2に示すT1℃以上、前記T2℃以下に昇温する際、下記式6に示すT5℃以上、下記式7に示すT6℃以下の温度域における平均加熱速度を10℃/秒以上1000℃/秒以下とし、前記T1℃以上、前記T2℃以下で10〜3600秒の保持を行い、その後の冷却について、下記式4に示すT3℃以下、下記式5に示すT4℃以上の温度域における平均冷却速度を20℃/秒以上200℃以下とする。
2θ=32.1 /I 2θ=33.5 ≧0.01 …式1
T1=15000/(12−log10([%Cu]2×[%S]))−273…式2
T2=10000/(3.5−log10([%Al]×[%N]))−273…式3
T3=15000/(12−log10([%Cu]2×[%S]))−323…式4
T4=15000/(12−log10([%Cu]2×[%S]))−423…式5
T5=10000/(3.5−log10([%Al]×[%N]))−923…式6
T6=10000/(3.5−log10([%Al]×[%N]))−523…式7
ここで、[%Cu]はCuの質量%での含有量、[%S]はSの質量%での含有量、[%Al]はAlの質量%での含有量[%N]はNの質量%での含有量である。
(2)上記(1)に記載の無方向性電磁鋼板の製造方法は、前記熱延板焼鈍工程において、上記T2℃以上での上記保持を行った後の冷却において、上記T5℃以上、上記T6℃以下の温度域における平均冷却速度を10℃/秒以上200℃以下にしてもよい。
本発明によれば、無方向性電磁鋼板に対し、高純化や、スラブ加熱温度の低温化、熱延条件の最適化などを施さなくても、微細Cu硫化物の単独析出を回避するとともに、鉄損に好影響をもたらす析出形態に制御することで、鉄損に優れた無方向性電磁鋼板を提供することができる。
なお、本発明によれば、無方向性電磁鋼板において求められる鉄損以外の特性(磁束密度や加工性など)は、従来材と同等以上を確保できる。
以下に本発明の一実施形態に係る無方向性電磁鋼板(本実施形態に係る無方向性電磁鋼板と言う場合がある。)及びその製造方法について、詳細に説明する。
まず、本実施形態に係る無方向性電磁鋼板の成分組成の限定理由について説明する。なお以下に記す含有量の%は、特に断りがない限り全て質量%である。
C:0.0001〜0.01%
Cは磁気時効によって鉄損を著しく劣化させる。そのため、C含有量の上限を0.01%とする。鉄損改善の観点から0.0040%以下が好ましい。より好ましくは0.0020%以下である。一方で、C含有量が0.0001%未満であると、磁束密度が劣化する。そのため、十分な磁束密度を確保するため、C含有量の下限を0.0001%とし、好ましくは0.0010%とする。より好ましくは0.0015%以上である。
Si:0.05〜7.0%
Si含有量は鉄損の確保と通板性との兼ね合いから0.05〜7.0%とする。Si含有量が0.05%未満では良好な鉄損が得られない。好ましくは、Si含有量は2.00%以上であり、より好ましくは3.00%以上である。一方で、Si含有量が7.0%を超えると鋼板が脆化し、製造工程での通板性が顕著に劣化する。好ましくは、Si含有量は、3.50%以下であり、より好ましくは3.30%以下である。
Mn:0.02〜3.0%
MnはSと反応して硫化物を形成するので、本発明では重要な元素である。鋼中にMnが存在する場合、MnSが析出することにより、CuSの析出量が低下し、CuSが微細に析出しやすくなる。そのため、Mn含有量の上限を3.0%とする。好ましくは、Mn含有量は2.0%以下、より好ましくは、1.0%以下である。一方、Mn含有量が0.02%未満であると、熱間圧延時に鋼板が脆化する。そのため、Mn含有量の下限を0.02%とする。好ましくは、Mn含有量は、0.10%以上、より好ましくは、0.15%以上である。
Al:0.002〜3.0%
AlはAlNを形成する元素であり、本発明において特に重要な元素のひとつである。Alを多く添加すると、AlNが形成し易くなり、本発明の効果も享受し易い。そのため、鋼中のAl含有量を多くする方が有利である。しかしながら、Al含有量の高い溶鋼は鋳造時の操業性を悪化させるとともに、鋼板の脆化を招く。そのため、Al含有量の上限を3.0%とする。好ましくはAl含有量は、2.0%以下、より好ましくは1.5%以下である。一方、Al含有量が少ないと、AlNが十分に生成せず、AlNの代わりに、結晶粒成長を阻害する微細TiNが生成し、磁束密度が顕著に劣化する。そのためAl含有量の下限を0.002%とする。好ましくはAl含有量は、0.050%以上、より好ましくは0.100%以上である。
S:0.0005〜0.05%
S含有量は硫化物の析出量に直接関係する。S含有量が過剰であると、Sが固溶状態で鋼中に存在し、熱間圧延時に鋼が脆化する。そのため、S含有量の上限を0.050%とする。好ましくはS含有量は0.010%以下であり、より好ましくは0.005%以下である。一方で、Sが存在しないと、Cuは金属Cuとして微細析出し、鉄損劣化の原因となる。そのためS含有量の下限を0.0005%とする。好ましくは0.0020%以上であり、より好ましくは0.0040%以上である。
P:0.002〜0.15%
Pは鋼板の硬度を高め、打ち抜き性を向上させる作用を有する。また、微量のPは磁束密度を改善する効果を有する。これらの効果を得るため、P含有量の下限を0.002%とする。好ましくはP含有量は、0.020%以上であり、より好ましくは0.040%以上である。ただし、P含有量が過剰になると磁束密度が劣化するのでP含有量の上限を0.150%とする。P含有量は、好ましくは0.10%以下であり、より好ましくは0.08%以下である。
N:0.0010〜0.0100%
Nは、AlNを形成する元素であるため、本発明においては特に重要な元素のひとつである。ただし、N含有量が過剰であるとTiN、VN、Siなど他の窒化物の析出量が多くなり、これらの窒化物が結晶粒の成長を阻害する。そのためN含有量の上限を0.0100%とする。好ましくはN含有量は0.0080%以下であり、より好ましくは0.0070%以下である。一方、AlNを析出させ、本発明効果を享受する上では、N含有量の下限を0.0010%とする。好ましくはN含有量は0.0030%以上であり、より好ましくは0.0050%以上である。
Cu:0.010〜5.00%
CuはMnと同様に硫化物を形成する元素であり、特に重要な元素である。Cu含有量が多すぎると、Cuが鋼板中に固溶し、固溶Cuが熱間圧延中の鋼板の脆化をもたらす。そのためCu含有量の上限を5.00%とする。好ましくはCu含有量は3.00%以下であり、より好ましくは1.00%以下である。一方、Cuが少なすぎる場合、TiSなどの他の微細な硫化物が析出し、鉄損劣化の原因となるため、Cu含有量の下限を0.010%とする必要がある。好ましくはCu含有量は0.10%以上であり、より好ましくは0.50%以上である。
本実施形態に係る無方向性電磁鋼板は、上述の化学成分を含有し、残部がFe及び不純物からなることを基本とする。しかしながら、磁気特性の更なる向上、強度、耐食性や疲労特性などの構造部材に求められる特性の向上、鋳造性や通板性の向上、スクラップ使用などによる生産向を目的として、Mo、W、In、Sn、Bi、Sb、Ag、Te、Ce、V、Cr、Co、Ni、Se、Re、Os、Nb、Zr、Hf、Ta、Y、La等の微量元素を、合計で0.5%以下の範囲で含有させてもよい。また、これらの元素が、合計で0.5%以下の範囲で混入したとしても、本実施形態の効果を損なうものではない。
Mg、Ca、Zn、Tiなどの硫化物生成元素についてはCu硫化物の析出温度に影響を及ぼすため、含有量の合計を0.1%以下とすることが好ましい。
次に本実施形態に係る無方向性電磁鋼板における重要な制御因子であるCu硫化物の状態について説明する。
Cu硫化物は、鋼板中での存在を完全になくすことが困難である。そこで、本実施形態に係る無方向性電磁では、Sを積極的にCu硫化物として析出させることに加え、析出するCu硫化物について、AlNを析出核として複合析出するように制御することで良好な鉄損を得る。
Cu硫化物とAlNの複合析出のしやすさは析出核であるAlNの結晶構造、つまり原子配列の周期性で決まる。すなわちAlNの結晶系がHexagonalである場合に、AlNがCu硫化物の析出核として最も有効に機能する。なお、AlN(Hexagonal)と複合析出しているCu硫化物の結晶系は、Cubicであり、結晶構造はX線回折(XRD)により同定可能である。
本実施形態に係る無方向性電磁鋼板においては、例えば鋼板の電解抽出残渣に対してCu−Kα線によるX線回折(XRD)を行ったとき、2θ=33.5°±3°におけるAlN(Hexagonal)の100回折強度であるI2θ=33.5と、2θ=32.1°±3°におけるCu硫化物(Cubic)の200回折強度であるI2θ=32.1とが、下記式1の条件を満たすように制御する。
2θ=32.1/I2θ=33.5 ≧ 0.01・・・式1
XRD回折では試料の結晶構造に応じて、特定の2θ位置に回折ピークが観察される。ただし鉄鋼材料中の析出物は、析出物に対するFe固溶、地鉄マトリクスとの格子整合性などの諸要因で結晶格子が変動する。それに伴い、AlN(Hexagonal)由来の100回折、およびCu硫化物(Cubic)由来の200回折が現れる上記2θの値は、誤差の範囲で少なくとも±3°を含むことになる。結晶構造の同定は結晶格子のデータベースであるJCPDS−CARDを用いて照合すればよいが、AlN(Hexagonal)は、JCPDS−CARD:087−1054や025−1133、Cu硫化物(Cubic)はJCPDS−CARD:00−012−0174、00−024−0061や023−0962、053−0522、33−0491、33−0492、070−9133などが存在し、これらは2θの誤差範囲±3°に収まるため、いずれも本発明の効果が得られる析出物である。上記以外にも2θの誤差範囲±3°に収まるような、AlN(Hexagonal)やCu硫化物(Cubic)であれば本発明の効果は当然享受できる。
特にCu硫化物においてはFeとSが一部置換することで、Cu9Fe9S16(JCPDS:00−027−0165)、Cu5FeS4(JCPDS:024−0050, 089−2620)やCuFe2S3(JCPDS:027−0166)、CuFeS2(JCPDS:075−0253、041−1404)などの析出物を形成するが、このようなCu−Fe−S系化合物についても、結晶系がCubicであり、かつ2θ=32.1°±3°において200回折ピークが観察されれば、I2θ=32.1と定義できる。なお、上記誤差範囲において、Cu硫化物(Cubic)について2つ以上の回折ピークが存在した場合については、それらのピーク強度を足し合わせたものをI2θ=32.1とする。
一般的に、XRD回折強度とはスペクトルのバックグラウンドからピークまでの高さである。バックグラウンド強度が十分低く、除去する必要がない状況が理想的だが、析出物からの回折強度が弱い場合、相対的にバックグラウンドの強度が高くなる場合がある。そのような場合には、非特許文献3、4に記載あるように、XRD解析ソフトウェアを用いてバックグラウンドを除去する必要があり、本実施形態におけるXRD回折強度(ピーク強度)も、同様にソフトウェアを用いて、バックグラウンドを除去して求めた。
また、AlNの析出量とCu硫化物の析出量には最適なバランスがあるため、I2θ=32.1/I2θ=33.5が0.5以上25以下であることがより好ましい。さらに好ましい範囲は2以上10以下である。
また、本実施形態に係る無方向性電磁においては、Cu硫化物とAlNを複合析出せしめ鉄損を改善するが、この効果をより享受するためには、鋼板中に、CuおよびAlを含有し、かつ5〜1000nmの直径を有する析出物が、単位面積当たりの個数密度(面密度)で、0.01〜80個/μm存在することが好ましい。
上記析出物の個数密度が0.01個未満だと、効果を十分に享受できないおそれがある。一方、個数密度が80個/μmを超えると、粒成長性が悪化し、磁束密度の劣化の恐れがあるからである。好ましくは、上記析出物の個数密度(面密度)は0.5個〜20個/μmであり、より好ましくは1個〜5個/μmである。
上記のCuおよびAlを含有する析出物の観察は、TEM(透過型電子顕微鏡)またはSEM(走査型電子顕微鏡)により行えばよい。析出物の構成元素はEDS分析により同定が可能である。具体的には対象の析出物にEDS分析を行った場合に、スペクトル横軸のエネルギー1.5±0.2kevの位置にAl−Kα線および、8.0±0.2kevの位置にCu−Kα線が同時に検出されればよい。元素同定はKα線以外にもLα線、Kγ線で行ってもよい。ただし、抽出レプリカをTEM−EDSの観察試料として供す場合、Cu硫化物とレプリカメッシュのシグナルを分離する必要があるため、Cuメッシュの使用は避けなければならない。また、Cu硫化物にはMnまたはFeが少量固溶することが知られており、EDS分析の結果、Cu硫化物からMn−KαまたはFe−KαのEDSシグナルが検出されても本発明の効果を失うものではない。
次に、本実施形態に係る無方向性電磁鋼板の製造方法について述べる。
本実施形態に係る無方向性電磁鋼板は、上述した成分組成となるよう通常の電磁鋼板と同様に転炉で溶製され、連続鋳造された鋼片に、熱間圧延、熱延板焼鈍、冷間圧延、仕上焼鈍などを行うことによって製造できる。
熱間圧延については特に限定せず、直送熱延や、連続熱延などの熱延方法およびスラブ加熱温度によらず、鉄損改善効果を享受できる。
冷間圧延についても特に限定せず、二回以上冷延、温間圧延などの冷延方法及び冷延圧下率によらず、鉄損改善効果を享受できる。
またこれらの工程に加え、絶縁皮膜の形成や脱炭工程などを経ても構わない。また、通常の工程ではなく急冷凝固法による薄帯の製造や熱延工程を省略する薄スラブ、連続鋳造法などの工程によって製造しても問題ない。
しかしながら、本実施形態に係る無方向性電磁鋼板を得る場合、仕上焼鈍工程において、以下に説明するような熱履歴を経ることが重要である。すなわち、仕上焼鈍工程においてCu硫化物を全量固溶させ、仕上焼鈍工程の冷却中に、Cu硫化物とAlNを複合析出させるよう制御することである。
以下、仕上焼鈍工程、および必要に応じて行う熱延板焼鈍工程の各条件について詳述する。
本発明では以下に示すT1〜T6℃の6つの温度が重要な意味を持つ。T1℃はCu硫化物の固溶開始温度であり、T2℃はAlN(Hexagonal)の固溶開始温度である。T3℃はCu硫化物が析出する上限温度であり、T4℃はCu硫化物が析出する下限温度である。T5℃はAlN(Hexagonal)が析出する上限温度であり、T5℃は、AlN(Hexagonal)が析出する下限温度である。
T1=15000/(12−log10([%Cu]×[%S]))−273…式2
T2=10000/(3.5−log10([%Al]×[%N]))−273…式3
T3=15000/(12−log10([%Cu]×[%S]))−323…式4
T4=15000/(12−log10([%Cu]×[%S]))−423…式5
T5=10000/(3.5−log10([%Al]×[%N]))−923…式6
T6=10000/(3.5−log10([%Al]×[%N]))−523…式7
ここで、[%Cu]はCuの質量%での含有量、[%S]はSの質量%での含有量、[%Al]はAlの質量%での含有量、[%N]はNの質量%での含有量である。
以下、これらの温度に基づいた硫化物制御方法について説明する。
本実施形態に係る無方向性電磁鋼板では、Cu硫化物とAlNを複合析出せしめ鉄損改善の効果を得る。
一般にCu硫化物は析出速度が速く、仕上焼鈍で固溶しても、その後の冷却中に単独で微細に再析出してしまい鉄損に悪影響を及ぼす。しかし、冷却開始時にAlN(Hexagonal)が存在すると、Cu硫化物は、冷却中にAlNを核として複合析出するため、微細析出を抑制できる。しかも、この複合析出物(Cu硫化物+AlN)が存在する場合に良好な鉄損が得られる。このため、仕上焼鈍の保持温度を、Cu硫化物を固溶させつつ、AlNが固溶しない温度域に制御することで冷却開始時にAlNを存在させておく必要がある。
すなわち、仕上焼鈍工程においては、Cu硫化物をその固溶温度T1℃以上で10秒以上保持することで、Cu硫化物を全量固溶させることが可能となる。保持温度がT1℃未満では、Cu硫化物を固溶させることができない。ただし、鋼板がAlNの溶解温度T2℃を超えてしまうと、Cu硫化物の析出核であるAlNが消失してしまうことになり、本発明効果は享受できない。そのため、保持温度の上限はT2℃とする。
また、仕上焼鈍の保持時間(T1℃以上T2℃以下の滞在時間)は10秒以上3600秒以下とする。保持時間が10秒未満ではCu硫化物の固溶が十分に進まない。一方で、3600秒を超えて保持すると、析出速度の遅いTiSなどの他の微細硫化物が生成し、鉄損改善に悪影響を及ぼす。そのため、好ましい保持時間は、100秒以上1000秒以下である。
仕上焼鈍工程における冷却速度の制御も本発明において重要な制御因子である。冷却速度が小さすぎると、Cu硫化物はAlNと複合析出せず、単独に析出してしまい本発明の効果を享受できない。そのため、Cu硫化物の析出温度域である上記T3℃以下T4℃以上の温度範囲において20℃/秒以上で急速冷却する必要がある。しかしながら、200℃/秒を超える冷却速度だと、鋼板に冷却歪が導入される懸念がある。したがって、上記T3℃以下T4℃以上の温度範囲における冷却速度は20℃/秒以上200℃/秒以下に制御する必要がある。好ましくは50℃/秒以上100℃/秒以下である。
本発明ではAlN(Hexagonal)をCu硫化物の析出核として積極的に活用しているため、Hexagonalの結晶構造を有するAlNをなるべく多く析出させるのが好ましい。しかし熱延板でのAlNの結晶構造はHexagonalのみならず様々な形態を有する。
そこで、熱延板焼鈍工程において全てのAlNを固溶させ、かつ続く仕上焼鈍の昇温工程にて、上記T5℃以上、T6℃以下で定める温度範囲の滞留時間を稼ぐことで、結晶構造がHexagonalのAlNをより多く析出させることができる。そのため、熱延板焼鈍の温度はAlNの溶解開始温度T2℃以上にすることが好ましい。
また、熱延板焼鈍における保持時間が10秒未満ではAlNの固溶が十分に進まない。一方で、3600秒を超えて保持すると、TiNなどのほかの窒化物が微細析出し、鉄損劣化の原因となる。そのため、熱延板焼鈍における保持時間は10秒以上3600秒以下とすることが好ましい。より確実にAlNを固溶させつつ、TiNなどの窒化物の析出を防ぐためには、保持時間を30秒以上1000秒以下にすることが好ましい。
仕上焼鈍の昇温工程においては、AlN(Hexagonal)の析出温度域であるT5〜T6℃の温度域における加熱速度を100℃/秒以下で徐加熱することで、Cu硫化物とAlNとが複合析出する。ただし、加熱速度が10℃/秒未満だと、AlN自体が微細な状態で析出してしまい、鋼板の粒成長を抑制してしまう。そのため、加熱速度は10℃/秒以上1000℃/秒以下とする必要がある。好ましくは30℃/秒以上500℃/秒以下である。また熱延板焼鈍を伴わないプロセスにおいても、仕上焼鈍の昇温工程において、加熱速度を10℃/秒以上1000℃/秒以下に制御することは有効である。これはスラブ加熱によっても、AlNは固溶するためであると考える。
より鉄損改善を図るうえで、熱延板焼鈍工程の冷却中に析出物が再析出しないよう、冷却速度を制御することも重要である。冷却速度が遅いと、AlN以外の窒化物が析出し、固溶したNを消費してしまうため、Cu硫化物の析出サイトであるAlNの数自体が減ってしまう。そこで、熱延板焼鈍工程において、T2℃以上の温度で10秒以上3600秒以下に保持した後、上記T5〜T6(℃)で定める温度範囲における冷却速度を10℃/秒以上にすることが好ましい。仕上焼鈍においてCu硫化物の単独析出の抑制には冷却速度が20℃/秒以上にする必要があったが、これはCu硫化物の析出速度が窒化物に比べて早いからである。窒化物の析出抑制は10℃/秒以上で十分である。ただし200℃/秒を超える冷却速度だと、冷却歪により鋼板形状が劣化し、その後の冷延が困難となる。したがって、冷却速度は10℃/秒以上200℃/秒以下に制御しなくてはならない。好ましくは、30℃/秒以上100℃/秒以下である。
一般的に析出物と鋼の界面との整合性が良好なほど、磁壁移動はスムーズとなり、鉄損が良好となる。Cu硫化物は単独かつ極微細(<5nm)に析出することで、鉄損に悪影響するが、本実施形態に係る無方向性電磁鋼板では、Cu硫化物はAlNと複合析出することで、微細析出が回避される。さらに、AlN(Hexagonal)と複合析出することでCu硫化物は、その結晶構造がCubicになる。Cu硫化物(Cubic)は、鋼との界面における原子配列の周期性、すなわち結晶格子の整合性が良好であるため、本実施形態に係る無方向性電磁鋼板では、磁壁移動が容易であり、良好な鉄損を示すと考えられる。
以下、本発明の実施例を挙げながら、本発明の技術的内容について更に説明する。なお、以下に示す実施例での条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例であり、本発明は、この一条件例に限定されるものではない。また本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
なお、下記の説明で用いる表中の下線は、本発明の範囲外であることを示す。
<実施例1>
表1に示す成分のインゴットを真空溶解し、このインゴットを1150℃で加熱し、熱延仕上温度を875℃、巻取温度を630℃として熱延し、板厚2.0mmの熱延鋼板とした。その後、T2+30℃で200秒の熱延板焼鈍を行った。なお、熱延板焼鈍後の炉冷却過程において、T5〜T6℃間の冷却速度を8℃/秒とした。その後、酸洗を経て圧下率75%で冷間圧延し、板厚0.50mmの冷延鋼板とした。続いてT1+30℃で200秒の仕上焼鈍を行った。室温からの昇温において、T5〜T6℃間の加熱速度を25℃/秒とし、仕上焼鈍後の炉冷却過程においては、T3〜T4℃間の冷却速度を40℃/秒とした。
X線回折結果と磁気特性(磁束密度および鉄損)の結果を表2に示す。なお、表中の「ICuS/IAlN」はI2θ=32.1/I2θ=33.5を示す。
鉄損に応じて、VG:非常に優れる、G:優れる、F:効果がみられる、B:従来レベルとして評価した。なお、磁気特性の評価はJIS C 2550:2000に準じて行った。歪取焼鈍は実施していない。鉄損については、W15/50(W/kg)を評価した。W15/50は、周波数50Hz、最大磁束密度1.5Tのときの鉄損である。また、磁束密度については、B50を用いて評価した。B50は、磁界の強さ5000A/mにおける磁束密度を示す。なお、B50の最低目標値を従来材と同等である1.50Tとした。
試料の鉄損評価基準は、以下の通りとした。
VG(VeryGood):W15/50(W/kg)<2.20
G(Good):2.20≦W15/50(W/kg)≦2.50
F(Fair):2.50<W15/50(W/kg)≦4.50
B(Bad):4.50<W15/50(W/kg)
X線回折には非特許文献5〜7に記載されている一般的な抽出残渣法により介在物のみをフィルターで捕集したものを分析試料として用いた。XRD測定は非特許文献4〜6に記載のCuKα線をプローブとした広角X線回折により行った。
Figure 0006627226
Figure 0006627226
<実施例2>
表1に示す成分のインゴットを真空溶解し、このインゴットを1150℃で加熱し、熱延仕上温度を875℃、巻取温度を630℃として熱延し、板厚2.0mmの熱延鋼板とした。その後、T2+30℃で200秒の熱延板焼鈍を行った。なお、熱延板焼鈍後の炉冷却過程において、T5〜T6℃間の冷却速度を50℃/秒とした。その後、酸洗を経て圧下率75%で冷間圧延し、板厚0.50mmの冷延鋼板とした。続いてT1+30℃で200秒の仕上焼鈍を行った。室温からの昇温において、T5〜T6℃間の加熱速度を40℃/秒とし、仕上焼鈍後の炉冷却過程においては、T3〜T4℃間の冷却速度を75℃/秒とした。
表3にはX線回折結果、析出物の析出状態、磁気特性(磁束密度および鉄損)の評価結果も示す。X線回折、磁気特性の測定については、<実施例1>と同様の評価を行った。また、析出物観察は、鋼板の圧延方向に垂直な断面をエッチングし、SEM観察により測定した。その際、100μmの視野を10視野観察した。観察されたAlおよびCuを含む析出物の総数を、1000(100μm×10視野)で割った数字を、1μmあたりの析出物の個数、すなわち面密度とした。
No.c1〜c3はいずれも発明例であるが、No.c1は析出物の面密度が大きく、No.C1〜C6の発明例と比較し、鉄損が少々劣った。一方、No.c2、c3は析出物の面密度が小さく、これらも同様に、No.C1〜C6の発明例と比較して鉄損が少々劣った。
Figure 0006627226
<実施例3>
表1に示す鋼No.A1、A17、A18の成分を有するインゴットを、1100℃で加熱し、仕上温度が850℃、巻取温度が630℃となるように熱延して板厚2.0mmの熱延板とした。その後、酸洗を経て圧下率75%で冷間圧延し、板厚0.50mmの冷延鋼板とし、表4に示す条件で仕上焼鈍を実施した。表4にはX線回折結果、析出物の析出状態、磁気特性(磁束密度および鉄損)の評価結果も示す。X線回折、磁気特性の測定、析出物の測定については、実施例1と同様の評価を行った。
仕上焼鈍の条件が本発明範囲外であるNo.d1〜d5はいずれも、ICuS/IAlNが小さく、析出物密度も十分に確保できなかったため、鉄損が劣化してしまった。
Figure 0006627226
<実施例4>
表1に示す鋼No.A1、A17、A18の成分を有するインゴットを、1100℃で加熱し、仕上温度が850℃、巻取温度が630℃となるように熱延して板厚2.0mmの熱延板とした。この熱延板のうち、No.E1〜E7については、表5に示す条件で熱延板焼鈍を実施した。
その後、酸洗を経て圧下率75%で冷間圧延し、板厚0.50mmの冷延鋼板とし、鋼No.A1については950℃、鋼No.A17については1050℃、鋼No.A18については1100℃で60秒の仕上焼鈍を実施した。仕上焼鈍のT5〜T6℃間の加熱速度は表5に示す通りであり、仕上焼鈍後の炉冷却過程においては、T3〜T4℃間の冷却速度を40℃/秒とした。
表5にはX線回折結果、析出物の析出状態、磁気特性(磁束密度および鉄損)の評価結果も示す。X線回折、磁気特性の測定、析出物の測定については、<実施例1>と同様の評価を行った。
No.E1〜E7のいずれもの試料についても、仕上焼鈍の温度、時間及び冷却速度が本発明範囲内にあるため、本発明効果が得られた。特に、仕上焼鈍のT5〜T6℃間の加熱速度を好ましい範囲に制御した、No.E6およびE7では、ICuS/IAlNおよび析出物の面密度も好ましい範囲に制御されており、特に良好だった。No.E1〜E7は、仕上焼鈍の加熱速度の制御により、AlNをより多く析出させた効果が得られた。
Figure 0006627226
<実施例5>
表1に示す鋼No.A1、A17、A18の成分を有するインゴットを、1100℃で加熱し、仕上温度が850℃、巻取温度が630℃となるように熱延して板厚2.0mmの熱延板とした。この熱延版に、表6に示す条件で熱延板焼鈍を実施した。その後、酸洗を経て圧下率75%で冷間圧延し、板厚0.50mmの冷延鋼板とし、A1については950℃、A17については1050℃、A18については1100℃で60秒の仕上焼鈍を実施した。仕上焼鈍後の炉冷却過程においては、T3〜T4℃間の冷却速度を40℃/秒とした。
表6にはX線回折結果、析出物の析出状態、磁気特性(磁束密度および鉄損)の評価結果も示す。X線回折、磁気特性の測定、析出物の測定については、<実施例1>と同様の評価を行った。
No.F1〜F10のいずれもの試料についても、良好な鉄損が得られた。熱延板焼鈍工程の冷却速度および仕上焼鈍の加熱速度を好ましい範囲に制御した、No.F5〜F6において、特に良好な鉄損が得られた。次いで、熱延板焼鈍工程の冷却速度および仕上焼鈍の昇温工程の加熱速度が本発明範囲内に入っているNo.F9〜F10において良好な鉄損が得られた。また、No.F5〜F6、No.F9〜F10において優れた鉄損を確保できたのは、熱延板焼鈍の冷却速度を好ましい範囲内となるよう制御することで、AlN以外の窒化物の析出を回避し、かつ仕上焼鈍の加熱速度を好ましい範囲に制御することで、Cu硫化物とAlNとを効率よく複合析出せしめたためであり、熱延板焼鈍の冷却速度および仕上焼鈍の加熱速度が好ましい範囲ではないNo.F1〜F4、7、8と比較して、鉄損は優位だった。
Figure 0006627226

Claims (2)

  1. 質量%で、C:0.0001〜0.01%、Si:0.05〜7.0%、Mn:0.02〜3.0%、Al:0.002〜3.0%、S:0.0005〜0.05%、P:0.002〜0.15%、N:0.0010〜0.0100%、Cu:0.010〜5.00%を含有し、残部がFe及び不純物からなる化学組成を有し、電解抽出残渣に対するX線回折において得られる、2θ=33.5°に現れるHexagonal構造を有する窒化アルミニウムの回折強度であるI 2θ=33.5 と、2θ=32.1°に現れるCubic構造を有するCu硫化物の回折強度であるI 2θ=32.1 とが、下記式1の条件を満たす無方向性電磁鋼板の製造方法であって、
    質量%で、C:0.0001〜0.01%、Si:0.05〜7.0%、Mn:0.02〜3.0%、Al:0.002〜3.0%、S:0.0005〜0.05%、P:0.002〜0.15%、N:0.0010〜0.0100%、Cu:0.010〜5.00%を含有し、残部がFe及び不純物からなる化学組成を有する鋼片に熱間圧延を行い、熱延鋼板を得る熱延工程と、
    前記熱延鋼板を焼鈍する熱延板焼鈍工程と、
    前記熱延板焼鈍工程後の前記熱延鋼板を酸洗する酸洗工程と、
    前記酸洗工程後の前記熱延鋼板に冷間圧延を行い冷延鋼板を得る冷延工程と、
    前記冷延鋼板を焼鈍する仕上焼鈍工程と、
    を有する無方向性電磁鋼板の製造工程において、
    前記熱延板焼鈍工程において、下記式3に示すT2℃以上で10〜3600秒の保持を行い、
    前記仕上焼鈍工程において、室温から下記式2に示すT1℃以上、前記T2℃以下に昇温する際、下記式6に示すT5℃以上、下記式7に示すT6℃以下の温度域における平均加熱速度を10℃/秒以上1000℃/秒以下とし、前記T1℃以上、前記T2℃以下で10〜3600秒の保持を行い、その後の冷却について、下記式4に示すT3℃以下、下記式5に示すT4℃以上の温度域における平均冷却速度を20℃/秒以上200℃/秒以下とすることを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法。
    2θ=32.1 /I 2θ=33.5 ≧0.01 …式1
    T1=15000/(12−log10([%Cu]×[%S]))−273…式2
    T2=10000/(3.5−log10([%Al]×[%N]))−273…式3
    T3=15000/(12−log10([%Cu]×[%S]))−323…式4
    T4=15000/(12−log10([%Cu]×[%S]))−423…式5
    T5=10000/(3.5−log10([%Al]×[%N]))−923…式6
    T6=10000/(3.5−log10([%Al]×[%N]))−523…式7
    ここで、[%Cu]はCuの質量%での含有量、[%S]はSの質量%での含有量、[%Al]はAlの質量%での含有量[%N]はNの質量%での含有量である。
  2. 前記熱延板焼鈍工程において、前記T2℃以上での前記保持後の冷却において、前記T5℃以上、前記T6℃以下の温度域における平均冷却速度を10℃/秒以上200℃/秒以下にすることを特徴とする請求項1に記載の無方向性電磁鋼板の製造方法。
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