液滴基盤のマイクロ流体技術は、DNAシーケンシング、シーケンシングのためのゲノム富化、およびデジタルPCRが含まれるバイオテクノロジーにおける非常に多くの目立った商業的応用に至っている。本明細書では、これらの応用の著しい制限を打破するための新規の生化学的方法が提供される。本発明の生化学的方法を支持するのに最適な新規のマイクロ流体法が提供され、さらにまた、任意の液滴基盤のマイクロ流体適用のための実質的な改善も提案する。
この分野では、液滴基盤の技術の遂行を成功させることは、概してマイクロ流体回路の自動プライミングおよび操作を統合するための高価なビジョンシステムを必要としている。ビジョンシステムに肩代わりされるタスクには、チャネルを流体で満たすこと、発生中の液滴のサイズを測定すること、および他の液滴、または連続相のいずれかとの液滴の混合を特徴付けることが一般に含まれる。典型的には、結果は閉ループ器具制御の一部としてフィードバックされる。同じ流体タスクを実施するための非光学的方法が本明細書に記載され、概して液滴基盤のマイクロ流体工学の経費および複雑さを低減する。
簡単に説明すると、幾つかの態様では、本発明は液滴を検出するための方法であり;他の態様では、これは液滴を発生させるための方法であり;他の態様では、これは液滴の内容物を取り扱うための方法であり;なお他の態様では、これは液滴の内容物を分類するための方法である。1つの実施形態では、本発明は、「X」形のような交点で合う4つのチャネルを含むマイクロ流体回路である。2つの反対向きのチャネルは水性液体の連続相を運び、本明細書ではサイドチャネルと称され、第3のチャネルは先の2つに垂直であり、本明細書ではメインチャネルと称され、油の連続相の中を流れる水性の液滴のストリームを交点に運ぶ。メインチャネル相からの油は、サイドチャネルにおける水性流体から分離されて、交点で水相間に油のギャップを生成する。4つのチャネルは排出口である。サイドチャネルに圧力を適用して、この内容物を交点に向かって推進し、メインチャネルから到着する個々の液滴を接触させる。流体系は釣り合って、液滴がメインチャネルから到着したときに、これはサイドチャネルから出現した流体の塊と接触し、これらと融合し、チャネルの一方から他方までの一過性の水性のブリッジを形成するようになる。この間に、いくらかの流体は液滴とサイドチャネルの間を流れることができ、これが排出口チャネルに出現するときに、これが流れの中で剪断される前に、液滴の内容物を変化させる。
電極は、チャネルあたり少なくとも1つ、サイドチャネルの流体と直接電気的に接触して位置し、電極を通して電圧を適用する。電気回路は、液滴が到着するまでは開回路であるが、これは油が満たされた交点が電気的に絶縁であり、従って電流が流れないためである。液滴が到着したときに水性のブリッジが形成され、電気回路を閉じ、交点を通る液滴のエクスカーションの間に電流を流れさせる。交点を通るこのエクスカーションの後に液滴が一度ちぎり取られると、油が再度電気回路を破壊し、次の液滴が到着するまで、電流は停止する。このように、電流のバーストにより、典型的な液滴の特徴付けのために使用することができる液滴の直接的な観察、例えば、液滴の計数および液滴容量の測定が提供される。
加えて、液滴およびサイドチャネル内の相対圧力を釣り合わせることができ、液滴の内外へ流れさせて、液滴基盤の流体系の別の重要な特色である、試薬を混合する能力を提供する。さらに本発明のある特定の実施形態では、液滴の連続相との、例えば界面活性剤で安定化された接触面との融合が圧力の適用を必要とする。本発明のこの方法では、トリガシグネチャ(例えば、液滴に含有されるサンプルからの蛍光のバースト)に選択的に依存して、圧力をパルス化して、サイドチャネル中の選択された液滴の内容物を捕捉するか、または試薬を特定の液滴に選択的に添加することができる。最後にメインチャネルからの液滴のストリームの支援なしに直接的にサイドチャネルからの流体を融合することにより、機器を液滴発生器として操作できる。本発明のこれらの方法では、サイドチャネルからの液体の塊が流体交点の内部で直接接触するので、これらは融合して、新たに発生した液滴がちぎり取られる前に、検出可能な閉じた電気回路を創成する。このように、本発明の方法は液滴を発生させ、混合し、分類し、測定するための、任意の液滴基盤のマイクロ流体系の重要な態様を提供する。
液滴を融合するための技術が開示されており、例えば、米国特許出願第13/379782号(2010年6月25日出願「Fluid Injection」Weitzら、米国特許出願公開第2012/0132288号として2012年5月31日に公開)には「ピコインジェクタ」と称される機器が記載されている。ピコインジェクタは1つのT−接合部または一連のT−接合部から構成され、各々のT−接合部単位は単一の連続相チャネルから構成され、「T」の幹上のサイドチャネル、および「T」の上端を横切るメインチャネルと称される。ピコインジェクタの連続相の圧力は釣り合って、流れがラプラス圧による対抗が停止するまで、液体の塊が部分的に流体の交点に伸びるようになり、これはさらに交点に突き出る塊として成長する。油中の液滴のストリームは、メインチャネルの中を交点へと流れるが、しかし電極近くからの高圧電場による支援がなければ、液滴は突き出る連続相とは融合しない。一度電場が適用されると、増幅された液滴と連続した水相との間の薄い、界面活性剤で安定化された膜が破裂して、連続相が液滴に流れることができるようになる。液滴および流れる連続相から組み合わされた液体の塊が出現し、この塊が臨界容量に到達した後、流体剪断のために塊は連続相からちぎり取られる。次の液滴の到着の前にちぎり取りが起こる限り、連続相から各液滴に一定の容量を加える操作は成功する。また、ピコインジェクタは逆行することができ、分類および他の適用のために液滴の内容物をサイドチャネルに抽出することができる。
液滴を融合するための技術はまた米国特許出願第13/371222号(2012年2月10日出願、「Methods for Forming Mixed Dropets」Yurkovetskyら、米国特許出願公開第2012/0219947号として2012年8月30日に公開)に開示されており、「ラムダインジェクタ」と称される機器を記載しているが、なぜなら、「T」の幹が典型的には、直角から離れて傾いているためである。マイクロ流体機器は、連続相の圧力が増加して、連続水相と油との間の安定した接触面が破壊されるようになること以外はピコインジェクタに類似して作動する。むしろ、連続相は十分遠くに交点に突き出て、これが繰り返し別個の液滴に剪断されるようになり、これはThorsen et al.(Phys.Rev.Lett.86(18),4163−4166,2001を参照のこと)により記載されるT接合部における単純な液滴の発生に類似する。しかしながら、この方法では液滴発生の頻度が「T」の上端を横切る液滴のストリームの到着頻度よりも低く設定されている。従って液滴は連続相のちぎり取りが起こる前に交点に到着し、これらは高圧電場の影響下で出現する連続相の塊と融合する。新たな拡大された塊が即座にちぎり取られる。
液滴を融合する技術は国際出願第PCT/US2012/030811号(2012年3月28日出願「Injection of Multiple Volumes Into or Out of Droplets」Abateら、WO2012/135259として2012年10月4日に公開)にも開示されており、これは複数の制御された容量を入ってくる液滴のストリームに逐次的に、または同時に噴射するための、複数のピコインジェクタの使用について記載している。ピコおよびラムダインジェクタは伝統的に流体交点と接触する固体電極を用いているが、O’Donovanらは1つのサイドチャネルと流体接触する1つの電極、および電気的に単離された「ファラデーモート」(Lab Chip 12,4029−4032,2012を参照のこと)と流体接触する別の電極を有する、異なるピコインジェクタを記載する。
前記されたピコおよびラムダインジェクタの実施形態のすべては、1つの共通の特質を有し、この特質は電気的な方法によって流体接触面を乱すことは、1つ以上の電気的に単離された電極を通じて高電圧電場を適用することにより実施されるということである。1つを除いてすべての場合で、融合帯域に近接近した一対の電極により電場が供給される。1つの例外では、O’Donovan et al.(2012)からの機器はただ1つの近位の流体電極「ファラデーモート」を用いる。しかしながら、この機器でさえ、電気的に単離された電極を通して接触面に適用されるのは高圧電場である。電極間の電気的な単離のために、機器内で液滴の運動状態を表す、定常的で、実質的な電流を運ぶことができる前述の技術はない。対照的に、ここで本発明の1つの核心は、電場ではなく電流が噴射チャネルと流体接触した外部電極を通して接触面に適用されるということである。電荷の蓄積は接触面を不安定化して、流体が融合できるようにする。マイクロ流体機器内の液滴運動状態は、電流の混乱を通して容易に観察され、解釈される。
本発明の他の態様には、前記されたマイクロ流体法、または概して分子定量用であるが、しかし特にDNA定量用の他の流体法の適用が含まれる。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅によるDNA定量は分子生物学において、無数の適用があるほぼ普遍的な技術である。従来の定量的PCR(qPCR)は増幅の間の各熱サイクルの後の反応生成物をモニター観察することにより実施され、典型的にはDNA含量に比例する蛍光シグナルを検出する。qPCR測定は2倍程度の範囲内で相対的に正確であり、標準曲線に対して比較した場合、これは同様にこの程度まで正確になり得る(Bakerら,Nature Methods,9(6),541−544,2012を参照のこと)。qPCR反応は、異なる波長で蛍光を発する別々の配列特異的プローブを使用して多重化(同一の反応混合物内の複数の標的を定量すること)することもできる。しかしながら、qPCRにはある特定の適用に関して重大な限定がある。例えば多重qPCRは概して、ある程度は窮屈なスペクトル空間のために、しかしさらに重要なことには、反応間の適合性の深刻な挑戦のために、5つ以下の反応に限定される。従って実際には、qPCRはほとんど多重化されない。qPCRの別の重要な限定は、野生型DNAの大きなバックグラウンドの中の希少な遺伝的変異体に関する感受性であり、突然変異体の野生型に対する比率(M−Wt)はほとんど1:100を超えない(上掲のBakerら.を参照のこと)。qPCRはまた、反応生成物の量が膨大な量であるために、増幅によって発生する、アンプリコンと称される、以前の実行で増幅されたDNAを伴うサンプルの二次汚染の影響を受けやすい。
デジタルPCR(dPCR)はqPCRの欠点の多くを改善する技術であり、これは、各容量が、限界希釈と称される、ゼロまたは1個の標的DNA分子を含有する可能性があるように、サンプルを十分に少容量に希釈および分割することに基づく(Sykesら,Biotechniques,13(3),444−449,1992を参照のこと)。dPCRでは、増幅反応を終点まで実行し、PCR(+)反応の数は明るい蛍光シグナルによって表示され、出発DNA濃度の直接測定値として、低い蛍光シグナルによって表示されるPCR(−)反応の数と比較される。dPCRのためのエマルジョンフォーマットを使用して、ここで数百万の個々のPCR反応物が、およそ10pLの容量の隣接するマイクロ流体液滴内で単離され、1:105M−Wtを超える極度に高い感受性がdPCRで達成されている(例えばPekinら,Lab Chip,11,2156−2166,2011を参照のこと)。このように高い感受性が、突然変異体分子を取り囲む、単離された環境によって可能になり:突然変異体増幅はdPCRにおいて野生型と競合することはないが、qPCRを用いるバルク反応では、そうではなくて競合する。デジタルPCRはまた単一の標的のカプセル封入とは異なる様式で利益を得る。多重化反応は、異なる反応が決して競合しないので、開発が極めて簡単である。限界希釈では、たとえ反応混合物が多重化反応のすべてに関するPCRプライマーを含有しても、各液滴内の1つのPCR反応だけが実際に開始する。この生化学的な単純化により、Zhongらが、シングルプレックス反応よりほとんどさらに発展させることなく9プレックス反応を実証することが可能になった(Zhongら,Lab Chip,11,2167−2174,2011)。さらにまたdPCRによって、多重化混合物中の別々の反応が、蛍光強度および色によって同定されることができるようになり、9プレックス反応の識別が可能になるが、従来のqPCRによっては、一般に使用されるフルオロフォアのスペクトル制限を考慮すると、そうではなくて、不可能であったであろう。
エマルジョンdPCRは、「干し草の中の針(無駄骨)」型の適用に関して効果的な方法であり、これは標準的なqPCRよりも多重化に関して有意により大きな可能性を提案する。しかしながら、この研究法の感受性と多重度との間にトレードオフが存在する。液滴はある程度、蛍光強度によって識別されるので、通常、異常な強度に基づいて異常値として同定され得る、1つの反応に関する偽陽性の液滴は、異なる型の真の陽性反応として間違って現れるかもしれない。この理由のために、異なる標的の数はしばしば4つ以下に限定されるが、シングルプレックス反応の十分な感受性は依然達成されていない。
エマルジョンdPCRはまた、持ち越しの夾雑リスクをも提示する。従来のqPCRでは持ち越しは、熱サイクリングの前にPCR反応物をチューブおよびプレートに密閉することによりリスク排除され、次に、容器を決して再度開けることなく、シグナルが後で読み出される。対照的にdPCRでは、エマルジョンは典型的には熱サイクリングの後に標準的なPCR実験機器から除去されて、特注の器具類で読み出しを実施する。アンプリコンに関して破壊されることのない密閉を維持することは、熱サイクリングの液滴の順次1つずつの読み出しとの特注の統合を必要とするか、またはさもなければ、読み手への移送の間および移送の後にアンプリコンを永久的に含有するための機械的な解決が必要とされるかのいずれかである。両方の研究法は経費がかかり、扱い難い。
本発明の態様は、エマルジョンdPCRを損なわせる前記の問題点の両方に対する解決に関与する。以下に詳記するように、本発明の方法はエマルジョンの限界希釈で核酸サンプルをカプセル封入し、次にサンプルを増幅することに関与する。本発明のマイクロ流体法は、次に増幅された反応性物(アンプリコン)を個々のヒドロゲル粒子内に取り込むのに理想的に適している。各液滴からのDNAはヒドロゲルマイクロ粒子に隔離され、各ミクロゲルは1個のおよび唯一の元来の液滴からのDNAを含有するようになる。このように、アンプリコンの物理的な夾雑はエマルジョンフォーマットから固体支持体へとシフトする。本発明の方法は、アンプリコンを粒子内に物理的に固定化することにより、持ち越し夾雑に対する防御の層を提供し、これは、液滴の閉じ込められた環境からアンプリコンを解放することにより、従来のエマルジョンdPCRにおける多重化に及ぼす制限を避ける。例えばアンプリコンを、一度粒子内に包埋すると、洗浄し、ハイブリダイゼーションによってプロービングすることができるが、この単純な手順はエマルジョン中のアンプリコンには管理しにくい。DNAの取り込みに関しては、本発明は本発明のマイクロ流体法に限定されるものではない。しかしながら、本発明のマイクロ流体法は本発明の生化学的方法に好ましい。
本発明に関係する1つのデジタルPCR技術はBEAMing(Diehlら,Nature Methods,3(7),551−559,2006を参照のこと)と称される。この研究法では、標的サンプルはバルク予備増幅の後、油キャリア溶液内の直径約10μmの小さな水性液滴にエマルジョン化される。エマルジョン化された溶液はまた、予備増幅の間にアンプリコンに組み込まれたユニバーサル配列に相補的なオリゴヌクレオチドでコートされた、直径1μmの小さな磁性ビーズをも含有する。エマルジョンPCRの第2ラウンドはビーズ結合オリゴを完全なアンプリコンに伸長する。PCR後にエマルジョンは破壊され、ビーズは洗浄され、次にアンプリコンでコートされたビーズは、蛍光オリゴヌクレオチドプローブを用いる配列特異的ハイブリダイゼーションによってプロービングされる。ビーズは標準的なフローサイトメータを使用して読み出しされ、計数された蛍光ビーズの数は初期の標的濃度に相当する。
BEAMingは本発明と共通の利点を共有する:アンプリコンはエマルジョンPCRの後に固体支持体に捕捉され、生化学的な特徴付けのための従来のツールを用いる下流の分析を容易にする。しかしながら、BEAMingにおける液滴が固体支持体のためにゼロまたは1個以上のビーズを含有するという点で、BEAMingは根本的に本発明とは異なる。対照的に本発明では、液滴自体が重合化を通して固体支持体になり、各液滴の内容物が粒子に捕捉されるのを保証する。またBEAMingでは、エマルジョンPCRの前にユニバーサルタグを組み込むためにバルク予備増幅が必要とされるが、一方本発明は予備増幅を必要としない。これらの差違は本発明のための非常に多くの重要な機能的な利点に転換される。
BEAMingでは、液滴あたりのビーズの数は分布の確率によって決定づけられる。液滴がすべて均等なサイズである場合、ビーズ占有はポアゾン分布に従う。Diehlら(2006)は20%未満の液滴が複数のビーズを含有するはずであり、これは相対的に低いビーズ濃度であり、ポアゾン分布に従うと、ゼロビーズを含有する液滴は40%を超えることになると教示している。任意の鋳型DNAがビーズを伴わずに液滴中で無駄になり、高い感受性を必要とする適用に関しては深刻な欠点である。しかしながら、ビーズにも適合する方法で均一な液滴容量を達成するのは困難であり得る。報告されている最も高い液滴の均一性は、マイクロ流体技術によって達成されたが、しかしながら、マイクロ流体液滴発生器はビーズによる詰まりを非常に受けやすい。代わりに、BEAMingにおけるエマルジョン化は、概して機械的な撹拌によって実施され、結果的に直径で約10倍の変動を伴う液滴をもたらし、これは容量では約1000倍の変動に相当する。20%の最大占有のガイドラインが最も大きな液滴に適用される場合、このように高い非均一性は、結果的に鋳型のさらなる無駄をもたらす。この非均一性はまた、反応条件における広い変動に関係する他の挑戦をもたらし得る。例えば、PCRは早期により小さな液滴で飽和でき、そこでは閉じ込めの増加のために、アンプリコン濃度はより速く上昇する。限界希釈では、各PCR陽性液滴の内側のアンプリコンの数は液滴のサイズに関わらず、いつもPCRの指数関数的段階の間に類似する。この結果、より小さい液滴中のアンプリコン濃度はより大きくなり、結果的にPCR飽和の早期の始まりをもたらし、従ってアンプリコンの全収量はより低くなる。対照的に、本発明における液滴は非常に均一的なサイズになり、より高度に均一な反応条件を生じる。また、本発明における各液滴の内容物を最大アッセイ感受性に関して計数する。
予備増幅はBEAMingの別の欠点であり、これは本発明により回避される。予備増幅に伴う2つの有意な問題がある。第1に、SNPジェノタイピングアッセイ(dPCRのための重要な適用)では、アッセイは約100bpの鎖に沿って、単一の塩基対の差違を区別しなければならないが、しかしながら、予備増幅の間は、異なる対立遺伝子からの2本のほぼ相補的な鎖が、これにも関わらず依然一緒にハイブリダイズでき、結果的にエマルジョンPCRの後の曖昧な、または誤解を招く結果をもたらす。熱動力学は相補鎖間の完全な対応を好むが、アンプリコンハイブリダイゼーションの特異性はしばしば非平衡結合動態学によって決定づけられる。換言すれば、ミスマッチはエネルギー的に完全ではないが、しかし反応の時間尺度では、2本の鎖の間の最初の遭遇がミスマッチである場合、エマルジョンへの取り込みの前に、複合体が再び解離することはないかもしれない。さらに、より高いM−Wt比はミスマッチの確率を増加させ、分析用に適切に対応した突然変異体アンプリコンの数を有効に低減させる。BEAMingにおいて、両方の対立遺伝子からのシグナルを含有するビーズを軽視することは、概して標準的な手順であるので、この結果、感受性は低減される。
予備増幅での第2の問題点は、ポリメラーゼエラーによる感受性の喪失である。校正機能を伴わないDNAポリメラーゼは10,000塩基対に約1つの率でヌクレオチドの組み込みミスがあり(Cha and Thilly(1993)により概説される。)、アッセイの感受性に根本的な限定を負わせている。本質的には、ポリメラーゼは野生型からの突然変異体を創成し、これは真の突然変異型とは区別できない。予備増幅を伴わないエマルジョンPCRは、組み込みミスに起因する野生型および突然変異体アンプリコンの混合物を検出することにより、この根本的な限定を打破する。真の突然変異体のみが、突然変異体のみのPCR(+)液滴を生じる。
要約すると、非均一エマルジョン、予備増幅およびポリメラーゼエラーの組み合わせのために、BEAMingは、約1:10,000M−Wtの感受性に限定され、これはdPCRによって達成可能なものよりも10分の1から100分の1の低い能力であり、これは本発明の基本である。さらに予備増幅は、異なる競合反応の中で、反応収量に予測できない偏りを導入することで広く知られているので、BEAMingは多重適用にはあまり適していない。本発明の態様はこれらの欠点のすべてを回避する。
生体分子ミクロゲルをカプセル封入するための技術は、例えば国際特許出願第PCT/CA2005/000627号(2005年4月25日出願「Method of Producing Polymeric Particles with Selected Size,Shape,Morphology and Composition」Kumachevaら、米国特許出願公開第2011/0129941号として2011年6月2日に公開)にて開示されており、これにはエマルジョンから形成されたヒドロゲル粒子内にDNAを捕捉するための方法が記載され、この方法では個々の液滴が、マイクロ流体チャネルに閉じ込められることにより決定づけられた、球状を含む、予め決定された形状の粒子に固化する。粒子は、最終形状に硬直化されて、マイクロ流体機器から出現する。本発明のある特定の方法が、マイクロ流体チャネル内の液滴のある程度の予備重合を実施して、エマルジョンを安定化することをまさに想定しているが、マイクロ流体機器内で任意の特定の形状にゲル化することにより、液滴を硬直化させるための要件はなく、また本発明はマイクロ流体研究法に関する要件も全く有しない。これに関して、限定されるものではないが、バルクエマルジョン中の液滴によって自発的に形成された球形の粒子が、本発明の方法の単純さのために好ましい。
ミクロゲル内にDNAを閉じ込め、合成するための技術はまた、例えば国際出願第PCT/US08/03185号(2008年3月7日出願「Assays and Other Reactions Involving Droplets」Agrestiら、米国特許出願公開第2010/0136544号として2010年6月3日に公開)にも開示されており、これには、限界希釈でDNAを含有するエマルジョンを重合化することにより製作される、ゲル液滴内の個々のDNA分子を増幅することが記載され、そこでは、PCRプライマーの1つは、増幅前にゲルに共有結合によって組み込まれる。ポリメラーゼコロニーに関して、空間的に共局在するクローン性アンプリコンを「ポロニー」と称し、これらを、本発明のゲルに組み込まれたアンプリコンに類似して、洗浄、処理および分析することができる。しかしながら、ゲルに組み込まれたクローン性アンプリコンを製作する方法は本発明のものと比較して、ポロニーに関して異なるので、結果の類似性は表面的である。Agrestiら(2006)の方法では、予め形成されたゲルマトリクスに既に結合したプライマーを伸長することによりPCR増幅が進行するが、本発明の方法では、プライマーは増幅の間、非結合であり、ゲルマトリクスはDNA増幅の後に形成される。溶液状のDNA増幅の1つの強い利点はPCR効率である。Agrestiらの方法では、ヒドロゲル内の孔の閉じ込められた環境においては、非常に多くのピットフォールがある可能性があり、拡散が邪魔される。第1に、アンプリコンの拡散が妨害されて、局所的に高いアンプリコン濃度に至り、これは潜在的にプライマーハイブリダイゼーションと競合するアンプリコン−アンプリコン相互作用のために、早期のPCR飽和を引き起こし、また非均一性の粒子がアンプリコンを担う。第2に、逆方向プライマーの拡散が妨害されて、この局所的な枯渇に至り、前記の問題点を悪化させる。第3に、順方向プライマーは結合しており、全く拡散できない。従って反応は標的DNAよびアンプリコンの両方の拡散に依存して、反応動態を、特に初期の幾つかの複製において停滞させる。最初の鋳型DNA分子の幾つかは、概してアンプリコンよりも有意に大きく、ゲル重合化の間に固定化されるようになる場合もあり、故に任意の増幅が開始できず、結果的に全体的な感受性の喪失をもたらす。加えて、閉じ込めによって引き起こされるDNAおよびプライマーの局所的な高濃度は、非特異的ゲノムDNA増幅フラグメントまたはプライマー−プライマー生成物の増幅の機会を増加させる。ポロニーに関するこれらの懸念の幾つかを、粒子の孔サイズを増加させることにより和らげることができるが、しかしながら大きな孔サイズはアンプリコンのゲルへの組み込みの効率を低減させ得る。このような生化学的および他の限定(Edwards,Jeremy S.「Polony Sequencing:History,Technology,and Applications.」Ed.Michal Janitz.Next−Generation Genome Sequencing:Towards Personalized Medicine.John Wiley&Sons,2011.を参照のこと)のために、元来のポロニーの概念(Mitra and Church,Nucleic Acids Res.,27(24),e34,1999を参照のこと)は実際には、ポロニーシーケンシングへのこの進化の間にBEAMingの態様を採用した(Shendureら,Science,309,1728−1732,2005を参照のこと)。組み込み効率の問題点および非理想的なPCR条件が本発明の方法によって打破される。
幾つかの方法には、系を提供することが含まれ、この系にはマイクロ流体チャネルを規定する基質が含まれ、このマイクロ流体チャネルにはメイン流出口に流体連結されたメイン流入口を有するメインチャネルが含まれ、このメインチャネルはメイン流入口からメイン流出口までの流体の流路に沿って交点部位を規定し、第1サイドチャネルは第1サイド流出口と流体連結された第1サイド流入口を有し、この第1サイド流出口は交点部位でメインチャネルと流体連結されており、第2サイドチャネルは第2サイド流出口と流体連結された第2サイド流入口を有し、この第2サイド流出口は交点部位でメインチャネルと流体連結されており、第1サイドチャネルが第1サイドチャネル流体で充填されているときに、第1サイドチャネル流体と電気的に接触しているように第1電極が配置され、第2サイドチャネルが第2サイドチャネル流体で充填されているときに、第2サイドチャネル流体と電気的に接触しているように第2電極が配置される。このような方法にはさらに、メインチャネルをメイン流入口からのメインチャネル流体で充填する工程、第1サイドチャネルを第1サイド流入口からの第1サイドチャネル流体で充填する工程であって、第1サイドチャネル流体は、メインチャネル流体の少なくとも第1成分とは非混和性である工程、第2サイドチャネルを第2サイド流入口からの第2サイドチャネル流体で充填する工程であって、第1および第2サイドチャネルはメインチャネル流体によって互いに分離されており、第2サイドチャネル流体は、メインチャネル流体の少なくとも第1成分とは非混和性である工程、メインチャネル流体をメインチャネル流入口からメインチャネル流出口に、交点を通って流す工程、第1および第2サイドチャネル流体を交点において流体ブリッジで接続する工程、ならびに流体ブリッジを第1または第2いずれかのサイドチャネル流体の少なくとも1つから接続解除して、第1および第2サイドチャネル流体をメインチャネル流体の第1成分によって分離する工程が含まれる。
このような方法では、流体ブリッジはメインチャネル流体の第2成分から構成されてよい。
このような方法では、第1および第2サイドチャネル流体は互いに混和性でよい。
このような方法では、流体ブリッジは第1および第2両方のサイドチャネル流体と混和性でよい。
このような方法では、第1および第2サイドチャネル流体を流体ブリッジと接続することには、第1および第2サイドチャネル流体間の電気伝導性接続を形成することが含まれてよい。
このような方法では、系にはさらに第1電極および第2電極の両方に接続された電圧源が含まれてよい。
このような方法では、第1電極は第1サイドチャネル内に配置され、第2電極は第2サイドチャネル内に配置されてよい。
このような方法では、第1サイドチャネル流体、第2サイドチャネル流体および流体ブリッジはすべて水性でよい。
このような方法では、メインチャネル流体の第1成分は油でよい。
このような方法では、流体ブリッジは本質的には第1および第2サイドチャネル流体から構成されてよく、実質的にはメインチャネル流体の第1成分を含有できない。
このような方法では、第1および第2サイドチャネル流体を流体ブリッジと接続することには、第1および第2サイドチャネル流体を交点部位まで伸長させて、第1および第2流体が接触するようになり、これによって流体ブリッジを形成することが含まれてよい。
このような方法では、流体ブリッジを第1および第2サイドチャネル流体と接続解除することには、流体ブリッジを第1および第2両方のサイドチャネル流体から分離し、これによって本質的に第1および第2サイドチャネル流体から構成される液滴を創成することが含まれてよい。
このような方法では、流体ブリッジを接続解除することには、ゲル重合化のための種および反応物が含まれてよく、この方法はさらに液滴中のゲル内に種を反応物のゲル重合化によって取り込むことを含む。種は、例えば(a)核酸、または(b)細胞でよい。
このような方法では、系にはさらに、第1および第2電極と操作可能なように接続された電流計が含まれてよく、第1および第2電極の間の電流を時間の関数として測定することができるようになる。このような方法には、電流計によって測定された電流を時間の関数として記録することが含まれてよい。
このような方法では、流体ブリッジは第1サイドチャネル流体、または第2サイドチャネル流体、または両方と混和性でよい。
このような方法では、流体ブリッジは第1サイドチャネル流体と非混和性でよい。
このような方法では、流体ブリッジは第2サイドチャネル流体と非混和性でよい。
このような方法では、流体ブリッジはメインチャネル流体の第2成分でよく、メインチャネル流体を流すことは、流体ブリッジをメインチャネル流入口から交点へ、および交点からメインチャネル流出口へ流すことを含む。
このような方法では、系にはさらに、第1および第2電極と操作可能なように接続された電流計が含まれてよく、第1および第2電極の間の電流を時間の関数として測定することができるようになり、この方法はさらに、電流計によって測定された電流を時間の関数として記録することを含んでよい。
このような方法では、第1および第2サイドチャネル流体を流体ブリッジと接続することには、第1および/または第2サイドチャネル流体の少なくともいくらかを流体ブリッジに組み込むことが含まれてよく、流体ブリッジを接続解除することには、流体ブリッジに、組み込まれた第1および/または第2サイドチャネル流体の少なくともいくらかを保持することが含まれてよい。
このような方法では、流体ブリッジを接続解除することには、流体ブリッジを第2サイドチャネル流体から接続解除すること、および流体ブリッジと第1サイドチャネル流体との間の接触を維持することが含まれてよい。
このような方法には、流体ブリッジをメインチャネルから第1サイドチャネルに流すことが含まれてよい。
このような方法では、系にはさらに第1サイド流入口と流体連結された第1圧力源が含まれてよく、第1圧力源は、第1サイドチャネルが第1サイド流体で充填された場合、第1圧力源が第1サイドチャネル流体内に、交点でのメインチャネル流体の圧力に関して、陽圧または陰圧またはゼロ圧を発生させるか、または維持することができるように構成され、第2サイド流入口と流体連結された第2圧力源が含まれてよく、第2圧力源は、第2サイドチャネルが第2サイド流体で充填された場合、第2圧力源が第2サイドチャネル流体内に、交点でのメインチャネル流体の圧力に関して、陽圧または陰圧またはゼロ圧を発生させるか、または維持することができるように構成される。
このような方法では、第2サイドチャネルは(a)第2サイド電流チャネルおよび(b)第2サイド圧力チャネルを規定することができ、第2サイド電流チャネルおよび第2サイド圧力チャネルの両方は流入口ポートで流体連結されており、第2サイド電流チャネルおよび第2サイド圧力チャネルは、第2サイドチャネルの第2サイド交点で繋がっていてよく、第2サイド電極は第2サイド電流チャネル内に位置してよく、第2サイド圧力源は第2サイド圧力チャネルに位置してよい。
このような方法では、第2サイド交点から第2サイド電極までの流体流路は長さ、横断面面積、または長さおよび横断面面積の両方で、第2サイド交点から第2圧力源までの流体流路とは実質的に異なってよい。
このような方法では、第2サイド交点から第2サイド電極までの流体流路は第2サイド交点から第2圧力源までの流体流路に実質的に類似してよい。
このような方法では、第2サイドチャネルには第2サイド流出口と流体連結された第3サイド流入口が含まれてよい。
このような方法には、第2サイドチャネルを第3サイド流入口からの第3サイドチャネル流体で充填することが含まれてよい。
このような方法では、第1サイドチャネル流体には、予め決定された核酸配列に相補的なハイブリダイゼーション捕捉剤に付着したビーズが含まれてよい。
種を封じる幾つかの方法には、種を流体液滴内にカプセル封入すること、次いで流体液滴内にゲル重合化のための反応物を噴射すること、次いでゲル重合化により液滴を硬直化させ、次に重合化の間に硬直化された液滴内に種を捕捉することが含まれてよい。
このような方法では、噴射することには本明細書に開示される噴射法のいずれかによる方法が含まれてよい。
このような方法では、噴射することにはマイクロ流体噴射、ピコインジェクションまたはラムダインジェクションが含まれてよい。
このような方法では、種には核酸が含まれてよく、核酸はクローン性でよいか、または、例えば種は細胞を含んでよい。
このような方法では、クローン性核酸は液滴内の単一のDNA分子をカプセル封入すること、次に液滴内のDNAを増幅することから生じてもよい。
このような方法には、核酸を特徴付けすることが含まれてよい。
このような方法では、特徴付けには核酸をシーケンシングすることが含まれてよい。
このような方法には、核酸の特徴付けに基づいて遺伝子型を同定および定量することが含まれてよい。
このような方法には、核酸の特徴付けに基づいて硬直化された液滴を分類することが含まれてよい。
このような方法には、分類された液滴を特徴付けすることが含まれてよい。
このような方法には、分類された液滴を特徴付けすることが核酸をシーケンシングすることを含むことが含まれてよい。
このような方法には、核酸の特徴付けに基づいて遺伝子型を同定および定量することが含まれてよい。
このような方法では、核酸は、ゲル重合化の間のフリーラジカル化学を介するゲルマトリクスへの共有結合による組み込みのための官能基を含有する1つ以上のプライマーを用いる増幅から生じるDNAでよい。
このような方法では、官能基は5’アクリダイトである。
このような方法では、核酸は、DNA伸長の後のオーバーハングを残すか、またはオーバーハングに開裂されるかのいずれかである1つ以上のプライマーを用いて増幅されたDNAでよい。
このような方法では、プライマーには標的結合領域およびオーバーハング領域が含まれてよく、そこではオーバーハング領域は核酸アナログを含む。
このような方法では、核酸アナログはLNAまたはPNAでよい。
このような方法では、3’標的結合領域、重合化の間にオーバーハングを形成する5’付着領域、およびこれの間にポリメラーゼがオーバーハングを伸長するのを遮断する非複製領域を含む1つ以上のトリパルタイトプライマーを用いてDNAを増幅することができる。
このような方法では、DNAを室温で、ユニオンおよびブロックを用いてまたは用いずに、制限消化およびライゲーションを用いてまたは用いずに、コンカテマー化して、ゲル液滴内にDNAを取り込むことができる。
クローン性DNAを共局在化する方法には、予め決定された1つの核酸配列に相補的なハイブリダイゼーション捕捉剤に付着された1つのビーズを1つの液滴に噴射することであって、この液滴は増幅されたDNAを含有し、および増幅されたDNAをハイブリダイゼーション捕捉剤に捕捉することが含まれてよい。
このような方法では、噴射には本明細書の噴射法のいずれかが含まれてよい。
このような方法には、捕捉されたDNAを特徴付けすることが含まれてよい。
このような方法では、特徴付けにはDNAをシーケンシングすることが含まれてよい。
このような方法には、核酸の特徴付けに基づいて遺伝子型を同定および定量することが含まれてよい。
可変のDNA配列を遺伝子型判定するためのキットには、第1の予め決定された配列に相補的な第1のハイブリダイゼーションプローブ、および第2の予め決定された配列に相補的な第2のハイブリダイゼーションプローブが含まれてよい。第1の予め決定された配列は保存されたドメインの野生型配列でよく、第2の予め決定された配列は、疑われる可変のドメインが含まれる野生型配列でよい。第1および第2プローブは各々異なり、独立して検出可能なシグネチャを有してよい。
幾つかのこのようなキットでは、第1および第2プローブの検出可能なシグネチャは、以下の群:放射活性標識、吸光度、リン光、化学発光および蛍光から選択される。
可変のDNAを遺伝子型判定する方法には、前記したような可変のDNA配列を遺伝子型判定するためのキットを提供すること、標的核酸を提供すること、第1および第2プローブを標的核酸にハイブリダイズさせること、第1および第2プローブの各々の検出可能なシグネチャの存在または不在を決定すること、(a)両方の検出可能なシグネチャが検出される場合は、野生型DNAの存在を、または(b)第1プローブの検出可能なシグネチャだけが検出される場合は、変異体の存在を推測することが含まれてよい。
このような方法には、変異体の存在が推測されている場合、変異体を同定するためにDNAをシーケンシングすることが含まれてよい。
本発明の態様は液滴を創成し、取り扱い、特徴付けする方法を包含する。本発明の他の態様にはまた、液滴を創成し、取り扱い、/または特徴付けするマイクロ流体装置も含まれる。マイクロ流体法および/または装置はこれらの機能のうちの具体的な1つに特殊化され得るか、またはこの機能の幾つかまたはすべてを概して可能にできる。この方法の各々を以下に別々に記載するが、しかしながら、可能ならばいつでも1つの方法に関して記載された機器を、実現可能な場合、他の方法のいずれかに使用できることは理解されるべきである。また,本発明の重要な態様は電解質溶液を通る電流の測定である。明確にするために、本発明を電気伝導性の水溶液および電気的に絶縁性の油の混合相に関して記載する。しかしながら、本発明は水溶液および絶縁性油に限定されないことは理解されるべきである。本発明は2相間で伝導性の差を呈する任意の2相系を考慮する。本発明は、空間的に分離された流体の相互作用および電気的特徴における変化を広く考慮する。この方法のある特定の可能性を生じさせる、ラプラス圧のような物理学的現象は、マイクロスケールで、例えばマイクロ流体機器を用いて最もうまく活用される。マイクロ流体機器を製作する方法は当業者に周知であり、すべてのマイクロ流体を製作する方法が本発明により考慮される。しかしながら、本発明はマイクロ流体チップの局面で記載するが、これに関して限定されるものではない。空間的な分離および混合相内での流体の融合が可能な任意の流体回路が考慮される。
1つの実施態様において、本発明には液滴を特徴付けする方法が含まれる。これらの方法では、液滴の存在に依存して測定可能な電流のバーストを創成するインターロゲーション帯域を通る液滴の通過の間、電気回路は閉じられる。最も単純な実施態様では、図1にて図示されるように、4つのマイクロ流体チャネルは「X」交点で組み合わされる。2つの反対のチャネルは、本明細書では「サイドチャネル」、またはこれに替えて、「噴射チャネル」もしくは「インジェクタ」と称され、交点に流れる可溶化された電解質を伴う連続した水相(6および7)を含有する。サイドチャネルに含有される流体はまた本明細書では「サイド流体」とも称される。第3のチャネルは本明細書では「メインチャネル」と称され、これもまた交点に流れ込む液滴(1)のストリームを含有する。第4のチャネルは本明細書では「出口チャネル」と称され、機器から出る先の3つのチャネルからの流れを運ぶ。
流体(6および7)の圧力は、各々からの流体の塊(8)が、十分遠くに交点に突き出るように釣り合い、到着する液滴と密接に接触するようになる。本発明のある特定の方法では、流体(6および7)の圧力は十分に高く、いくらかの流体を交点まで推進するが、しかしより多くの流体が交点に入り、メニスカスの半径が減少するので、流れに対抗して高まるラプラス圧を打破するほどに十分に高くない。これらの方法では、いくらかの距離を交点に突き出す各々からの流体の塊で、サイドチャネルからの流れが最終的に停止する定常的な状態が達成される。本発明の他の方法では、流体(6および7)の圧力は十分に高く、実質的な量の流体を交点に推進し、塊はある特定のサイズまで成長した後、最終的に個別の液滴に壊れる。これに関して限定されるものではないが、この液滴発生の頻度は、好ましくはメインチャネルからの液滴(1)の到着頻度よりも低い。このように、メインチャネルからの液滴(1)の到着は交点での流体運動状態のペースを設定する。
一度液滴(1)がメインチャネルから交点に到着すると、液滴間の密接な接触および連続相(6および7)のメニスカスにより、3つの空間的に分離された流体が1つの一過性の連続相(10)に融合できるようになる。この後間もなく、交点での流体歪みが液滴(13)を再度ちぎり取り、サイドチャネルから離れる。サイドチャネルでのメニスカス(12)は次の液滴の到着の前に静止する。いかなる理論にも束縛されるつもりはないが、空間的に分離された水相を自発的に融合させる能力は、表面での界面活性剤安定化の程度に依存する。例えば界面活性剤がない、界面活性剤がほとんどない、または有効でない界面活性剤を伴う系において、不安定な表面は自発的に融合されるであろう。他の系は完全に界面活性で安定化され、表面を破るために高い電場が必要とされる。自発的な、および支援された融合は両方共に本発明によって考慮される。
自発的な融合の1つの非限定例では、本発明の装置は分離された液滴発生器からすぐ下流に置かれる。液滴発生器から収集された液滴の自発的な合体を防御するために、界面活性剤を提供することはしばしば望ましいが、しかし新たに形成された液滴の表面での界面活性剤負荷には、平衡になるためにいくらかの時間が必要とされ、液滴成熟と称される過程である。成熟段階の間、界面活性剤分子は油相および/または水相から接触面に再区分し、定常状態に到達するのにいくらかの時間がかかる、動的拡散が限定される過程である。本発明のこの例では、サイドチャネルは上流の液滴発生器に十分に接近して位置して、新たに形成された液滴はサイドチャネルに到達する前に成熟できない。成熟していない液滴は、たとえサイド流体の接触面が既にこれ自体成熟していたとしても、本発明のサイドチャネル中の流体と自発的に合体できない。ある特定の界面活性剤系では、表面を接触する両方が、融合を防御するために成熟しなければならない。代替的な例では、融合を防御するために、上流の水相および油相には界面活性剤がゼロか、または存在する界面活性剤が不十分であり、エマルジョン中の液滴を安定化するために、後の段階でさらなる界面活性剤を下流で混合する。
支援された融合の1つの非限定例では、本発明の装置はエマルジョン再噴射ノズルからすぐ下流に置かれる。しばしばエマルジョンの貯蔵の間に、油相がエマルジョンから流れ出て、界面活性剤および油の薄相によって分離された、緊密に詰め込まれた液滴を残す。エマルジョン再噴射ノズルは、例えばZhong et al.(2011)Lab Chip,11,2167−2174に記載され、各液滴間のスペーサーの油の均一な量を加え戻すことにより、マイクロ流体チャネル中に詰め込まれた液滴を分離する、一般的なマイクロ流体機器である。スペーサーの油はしばしば、任意のマイクロ流体の取り扱いの後に、エマルジョンの安定化を続けさせるために、界面活性剤自体を含有する。従ってこの一般的な例では、接触面のすべて、液滴およびサイド流体の両方が成熟している。これらの場合では、融合に高電場が必要とされ、これを任意の手段によって提供できる。本発明はこれに関して限定されるものではないが、しかしながら最も一般的な方法はマイクロ流体機器内で流体チャネルに近接して電極対を組み込み、次にこれらの全体にわたって高い振動電圧を適用することである。好ましい実施態様では、以下に記載するように、電極をサイド流体と直接電気的に接触して置く。
図1にて概略図を図示するように、本発明のある特定の実施態様では幾つかの可能な目的のために、一対の電極(2および3)をサイド流体と直接電気的に接触して置き、限定されるものではないが、電気導通を測定すること、および流体融合を開始することが含まれる。電極は任意の型でよく、多くの型が当業者に公知であり、限定されるものではないが、金およびプラチナのような金属、半導体、有機導電体、およびAg/AgClのようなレドックス対が含まれる。電圧(4)は電極間で適用され、DCまたは時変性のいずれかで、回路の電気抵抗に依存して電流を送る。電圧を創成する多くの方法が当業者に公知であり、すべてが本発明によって考慮される。電極を通って流れる電流をアンメータ(5)で測定する。電流を測定する多くの方法が当業者に公知であり、本発明はこれに関して限定されるものではない。電流を測定するすべての方法が考慮される。電圧源、電極およびアンメータを図1の特定の順序で図示するが、同じ目的を果たす多くの異なる電気回路構造が当業者に明白であることは理解されるべきであり、本発明はこれに関して限定されるものではない。
本発明のある特定の方法において、電気抵抗は時間で変化し、マイクロ流体機器の流体交点内の液滴によって形成される一過性の電解質ブリッジの存在に依存する。抵抗におけるこれらの液滴依存性変動は、図1にて図示されるように、電流のバーストとして直接的に測定される。液滴(1)の到着の前に、絶縁性の油ギャップが導電性のサイド流体を分離して、高い電気抵抗を確立し、従って電流の読み(9)は低い。液滴(10)が2つのサイド流体と融合すると、抵抗は降下し、高い電流の読み(11)によって表示される。液滴(13)が交点から出発した後、油ギャップが再度現れ、電流は元来の低い読み(14)に戻る。このように、電流のバーストが交点を通る個々の液滴の通過を表示する。本発明の方法は電流のバーストから液滴を計数すること、液滴の計数から、時間の関数として液滴の頻度を測定すること、水相(液滴のストリームを生じさせる。)の流速を頻度で割って、初期の液滴容量を測定すること、および電流パルスの幅によって示されるように、液滴のサイズを直接測定することを含む。
サイド流体と直接接触する電極を使用する本発明のこれらの方法では、電子は溶液と電極との間を移動しなければならず、電荷キャリアは溶液内に存在して当業者に公知の電気化学的ガイドラインに従って電気回路を完成しなければならない。各電極は電気化学的「半電池」を構成し、ここで一方の電極であるカソードでは、種は化学的に還元され(電子は噴射される。)、他方の電極であるアノードでは、種は化学的に酸化される(電子は取り込まれる。)。一般的なAg/AgCl電極のようなレドックス対を約1V以下の低電圧で使用できるが、しかしながら流体回路および電解質のイオン強度に依存して、低電圧で生成される電流は、測定がしづらいかもしれない。水の電気分解の標準的な電位である1.23Vよりも高い電圧では、水の水素ガスおよび酸素ガスへの分裂が、それぞれカソードおよびアノードで起こる。任意の水系に存在するレドックス対の固有の対として便利であるが、電極でのガス生成は、ピストン駆動ポンプ系のような閉じた流体系に挑戦をもたらすかもしれない。ガスの蓄積は圧力および流体コンプライアンスを増加させ、潜在的に意図された流れを改変し、マイクロ流体系内の流れの制御において、不活発な挙動を引き起こす。故に、固定圧力条件によって駆動される流体系が、固定された流速とは対照的に、有意な量のガスを生成する高電圧電極には好ましいかもしれない。そうでなければ、高電圧電極の場合でさえ、高い電気抵抗をマイクロ流体チャネルに組み込むことによるか、または低導電性バッファーを用いるかのいずれかで、電流を限定できる。しかしながら、バッファー組成物はしばしば適用によって制限され、流体抵抗は、電気抵抗に影響力があるマイクロチャネルにおける同じ変化によって影響される。電気化学的か、マイクロ流体設計かの任意の望ましくないトレードオフを打破するために、平行するチャネルを用いて、電気化学的回路に必要な高い電気抵抗を、流体回路に必要であり得る低い流体抵抗から分離することができる。図5に図示される本発明の1つの例では、マイクロ流体チップ上の一対の流体ポートは、本発明の機器においてサイドチャネルになる単一のチャネルに交差する一対のチャネル(35および36)と流体接続している。2つの平行するチャネルは異なり、1つは長いか、狭いかまたはこれらの両方であり、より高い流体および電気的抵抗を提供する。電極(32)は高抵抗チャネル(36)のポートに位置して、高抵抗電気回路を提供する。低抵抗チャネル(35)のポートに圧力を適用して、本発明のサイドチャネルに、また高抵抗チャネルにも流れを生じる。高抵抗チャネルへの任意の流れが望ましくない場合、次いで同じ圧力を両方のポートに同時に適用してこの問題点を排除することができる。故に本発明の方法は、同じ機器において、低電圧または高電圧のいずれかで、流体力学的な流れを電気学的な電流と組み合わせる種々の手段を提供する。この例は具体的には、ある特定の環境で、流体力学的な流れおよび電流のための2つの異なる流体経路に関して可能な必要性に取り組み、他の場合では、両方に関して同じ経路を使用できるが、流体回路内で電気的および流体力学的な接続を確立するために、当業者に明白な多くの異なる方式があることは理解される。このような方法はすべて本発明によって考慮される。
サイドチャネルにおいて溶液を介して電場を送達することの1つの利点は、界面活性剤で安定化された接触面は、チップにパターン形成された、近接する電極で典型的には必要とされる電圧よりもかなり低い適用電圧で破られるであろうという点である。平行平板キャパシタに類似して、油ギャップにより分離されている本発明の2つのサイド流体に接触する電極対をわたって電圧が適用される場合、水−油接触面での電荷の蓄積が、適用電圧に対する電場を生成するまで、電解質は溶液を通って流れる。接触面間の非常に短い距離、典型的には、交点における液滴の不在時には数十ミクロン、液滴が存在すればさらに短い距離のために、極度に高力価の電場が適度な電圧から創成される。対照的に、製造上の限定のために、パターン形成された電極はしばしば流体チャネルから20から50μmの間隔を空けて、距離に比例して電場を低減させる。さらにパターン形成された電極との幾何学的な制約はしばしば融合に最適ではない電場の配向に至る。結果的に500V以上の電圧はしばしば液滴をパターン形成された電極と融合するのに使用される。しかしながら、例えば20μmの油ギャップにわたって直接的に適用された500Vは、本発明のある特定の実施態様における、電気を流したサイドチャネルの場合にあり得るように、結果的にシリコンおよび鉱物油のような一般的な油の誘電性の絶縁破壊電圧を超える25MV/mの電場をもたらす。さらに、液滴が交点に入ったときに、油ギャップは1μmを下回って降下し、結果的に500MV/mを超える電場強度をもたらし、マイカおよびテフロン(登録商標)様の優れた絶縁体の誘電性の絶縁破壊よりもなお高い。溶液を介して電場を送達することの幾何学的な利点は、要求される電圧が0.1から10Vの範囲でより低くなることに転換され、低コストの半導体機器で容易に達成され、さもなければパターン形成された電極を駆動するために典型的に使用される、高価で、危険を伴う高電圧増幅器および変圧器よりも非常に好ましい。
本発明のある特定の実施態様では、流体交点を通る液滴のエクスカーションの間にサイドチャネルの内容物を液滴内容物と混合する。図2に図示されるように、本発明のある特定の方法では、サイドチャネルは流体(17)を到着液滴(15)に噴射し、これはちぎり取りの後に液滴(18)内に捕捉されたままになり、後に液滴内で混合される。サイド流体は、水溶液中に可溶化または懸濁することができる試薬、ビーズ、細胞、または任意の他の化学的、生化学的、または材料を含有し得る。故に、本発明のこの方法は液滴インジェクタである。適切な操作のために、サイド流体(16)の圧力は到着液滴(15)の内部圧力よりも高くなければならない。到着液滴(15)の内部圧力はマイクロ流体チャネルへの閉じ込めによって駆動され、一方サイド流体の圧力は圧力源駆動流によって外部から設定される。サイド流体のメニスカスの曲線の半径が到着液滴の曲線の半径よりも小さい場合、サイド流体のラプラス圧は高くなり、融合時のサイドチャネルから液滴への流れのための最適条件を設定する。本発明のある特定の方法では、同じ流体が両方のサイドチャネルから噴射され、本発明の他の方法では、異なる流体を噴射できる。後者の場合は、添加された流体がお互いと化学的に反応する種を含有し、液滴内で混合の瞬間まで分離が必要とされる種を含有する場合に特に重要である。
本発明の他の実施態様では、図4A−Cで図示されるように、サイドチャネルは液滴から流体を抽出する。本発明のこれらの方法では、到着液滴(24)は閉じ込められて、内部圧がサイド流体(22)の圧力を超え、融合時に液滴内容物のサイドチャネルへの流れを引き起こすようになる。本発明の方法は、対称的な交点およびサイドチャネルでの等圧に限定されず、むしろ本発明はこれに関して無制限である。サイドチャネルの圧力は類似するか、または異なってよく、交点に入るサイドチャネルのオリフィスは同様に類似するか、または異なってよい。図4A−Cで図示されるように、系を抽出装置およびインジェクタの両方として同時に釣り合うことができる。本発明のこの方法では、インジェクタチャネル(23)の圧力は到着液滴(24)の内部圧力よりも高く、抽出装置チャネル(22)の圧力は両方よりも低い。従って、融合時に、液滴の内容物のいくらかまたはすべてがインジェクタチャネルからいくらかの流体と共に抽出装置チャネルに流れる。液滴が再度、消耗するか、またはちぎり取られるかのいずれかの後、液滴の抽出された内容物(26)は抽出装置チャネルに捕捉されたままである。
本発明のある特定の実施態様では、液滴噴射または抽出は選択的である。図4で図示される1つの非限定例では、液滴抽出が、上流の蛍光支援セルソーティング(FACS)に類似する蛍光測定によって始動し得る。本発明のこの例では、特定の蛍光シグネチャを有する液滴(24)は、例えば高度な蛍光シグネチャを含有するものは、上流で蛍光測定によって同定され、これが融合のための電圧源(30)を始動させる。交点へのエクスカーションの後に、これらの液滴の内容物(26)をサイドチャネル(22)に抽出する。低い蛍光を伴う他の液滴(27)は電圧源を始動させず(31)、従ってこれらは抽出装置を迂回する(29)。
先の実施態様とは対照的に、ある特定の適用のために、液滴内容物のサイドチャネルとの最低限の混合が望ましいかもしれない。本発明の方法はまた、最低限の混合も促す。いかなる理論にも束縛されるつもりはないが、液滴内圧がサイドチャネル内の圧力と等しい場合、典型的には最小の混合が達成されるが、しかしながら完全な均衡を得ることは困難かもしれない。混合時の圧力不均衡の影響力はサイドチャネルの流体抵抗を増加させることによって減弱され得る。本発明のこの方法では、チャネル内の高い抵抗性の特質は、そうでなければ圧力不均衡に起因するであろう、任意の噴射または抽出流を限定するであろう。エラストマーチップのような高いコンプライアンスを伴うマイクロ流体の遂行のために、抵抗器を交点に接近して置いて、抵抗器を迂回する一過性の流れを回避すべきである。これ以外には、本発明はサイズ、形状または抵抗性の流体要素の設置に関して限定されない。
本発明のさらに他の実施態様では、サイドチャネルは液滴発生器として一緒に働く。図3にて図示されるように、本発明の他の方法に関して記載されたように、メインチャネルでは機器に液滴は入らない。むしろ、サイドチャネルの圧力は、流体の塊が交点に十分に遠くに突き出て、互いに接触し(19)、融合する(20)ように、釣り合っている。融合は自発的か、または電場に支援されてよい。前記したように、一度融合すると、水相は電極間のギャップに及び、液滴形成の電子導通測定ができるようになる。メインチャネルを流れる油からの流体歪みが新たな液滴(21)をちぎり取るまで、融合した液滴は成長し続ける。この過程は不均一なサイズの液滴のストリームを繰り返し、発生し続けるが、同時に液滴発生を電気的にモニタリングすることができるようになる。メインチャネルのキャリア油は、下流のエマルジョン中の液滴を安定化するために界面活性剤を含有できる。界面活性剤は、たとえ交点に出現したとしても、成長する塊の接触面を安定化でき、この場合、接触面を破るために高電場が必要とされ得る。しかしながら、他の場合では、界面活性剤は存在しなくてよいか、または不十分な量もしくは能力のものでよいか、または自発的な融合を防御できるほど十分に速く成熟できないかもしれない。これにもかかわらず、これらの場合には、融合を支援することは不必要であるが、液滴発生をモニタリングするために、電気系を依然用いることができる。余分な界面活性剤を油ストリーム中に混合させて、この後エマルジョン中で液滴を安定化することができる。
本発明は、ここまでは単一のサイドチャネル対に関して記載し、これは場合により流体チャネルと近接しているか、またはサイド流体と直接流体接触しているかのいずれかの一対の電極と対応し、メインおよび出口チャネルに関して幾何学的に直角である。しかしながら、本発明は交差するチャネルの数に関しても、電極の数または設置に関しても、チャネルが交差する角度に関しても、チャネルの相対的なサイズに関しても、電極の型に関しても、限定されるものではない。本発明は混合相流体系において一過性の流体連続性を達成することができ、任意の幾何学的な並びのネットワークに、相対的なサイズまたは対称的もしくは非対称的な設計に制限されることなく組み合わされる、任意の数のチャネルを考慮する。本発明はまた、電極なしも含まれる、任意の型の電極の任意の並びをも考慮し、これは流体融合において支援するために、および場合によりネットワーク内の電気導通をモニタリングするために必要とされ得る。
本発明はまた、ここまでは単一であるが、複雑な流体回路に関して記載してきた。本発明の態様が単一の機器内で組み合わされ、繰り返されることができることは、当業者には明らかに明白であろう。本発明が本明細書に記載される任意の複数の、および組み合わせの方法および装置を考慮することは理解されるべきである。
本発明はまた、ここまではサイドチャネルに含有される、および液滴内の類似の水性流体に関して記載してきたが、しかしながら本発明はこれに関して限定されるものではない。当業者は異なる流体、水性またはそうでなければ、本発明の方法に従って実行され得る、多くの組み合わせを想定するであろう。流体の任意のこのような組み合わせは本発明によって考慮される。
本発明はまた、ここまでは単純には、抵抗測定に関して記載してきたが、本発明はこれに関して限定されるものではない。電気抵抗が、キャパシタンスおよびインダクタンスもまた含まれる、複合電気インピーダンスの1つの成分にすぎないことは、当業者には理解されよう。複合インピーダンスは、時変の、または一定の電圧が適用されたときに回路が強いる電流に対する、一般化された対抗である。本発明は、同じか、または異なる型の2つ以上の連続相の間の液滴の通過を表示する任意のインピーダンス測定を考慮する。とりわけ、本発明また、液滴がサイド流体と融合しない場合を考慮し、この場合、キャパシタンスはインピーダンス特徴付けの非常に重要な態様になる。導電性流体を分離する界面活性剤および油の薄層が、電気キャパシタンスを、流体の電気抵抗と直列に導入する。平行平板キャパシタに類似して、キャパシタンスは接触面間の距離が減少するにつれて増加する。交点内の液滴の到着は油ギャップを劇的に低減し、従って、増加したキャパシタンスのバーストが、本発明の方法によって使用される液滴占有を伴い、液滴の存在を表示する。インピーダンス変化を表示する電気シグナルを分析する多くの方式があることは、当業者には認識され、このような方法のすべが本発明によって考慮される。当業者はまた、信号対雑音比を改善するような、電気シグナルを強化する、ロックイン増幅、フィルトレーション等のような、非常に多くの電流駆動スキームが存在することを認識するであろう。すべてのこのようなシグナル強化スキームもまた本発明によって考慮される。
本発明はまた、ここまでは単純化した、液滴を特徴付けするインピーダンス変化の事象に基づく解釈に関して記載してきた。例えば抵抗変化に基づいて個別の液滴を計数することを、液滴頻度を測定する手段として、液滴計数を時間の関数としてモニタリングすることにより、記載してきた。本発明の方法によって提供されるデータから計数、頻度および容量測定値を誘導するための、多くの分析研究法が存在し、本発明は本明細書にて提供される分析例に限定されないことは、当業者には容易に理解されよう。代替的な分析技術の1つの非限定例として、フーリエ分析が頻度分析に一般的に使用され、また本発明によって考慮される。本発明は前記されたデータ分析からの結果の型、即ち液滴計数、頻度および容量にも限定されない。むしろ、当業者は、インピーダンス変化に関して時間の関数として得ることができる他の分析結果を、液滴サイズ、液滴速度、流速等の統計分析が含まれる非限定例と共に、容易に想定するであろう。本発明はすべてのこのような分析結果を考慮する。
本発明はまた、好ましい実施態様として本発明のマイクロ流体法を使用する、高い感受性があり、特異的なDNA分子の検出のための方法も包含するが、しかし本発明のマイクロ流体法に限定されるものではない。これらの生化学的方法は、遺伝的変異体の検出および識別の局面で記載されるが、しかし本発明はこれに関して限定されるものではない。DNA検出および特徴付けはすべての型のDNAに関して、およびすべての適用に関して考慮される。本発明はまた他のマクロ分子を間接的に定量化するための、例えばRNAのDNAへの逆転写に付随される場合のRNA検出のための、またはDNAの存在によって表示され得るか、もしくはDNAに形質転換され得るマクロ分子の任意の他のシグネチャのための、DNA検出および特徴付けを想定する。本発明はまた、フリーラジカル重合化に参加し、故にミクロゲルに取り込まれるようになる、未変化の、または増大した能力のいずれかを伴う任意の生物学的分子の捕捉および定量化をも想定する。
本発明のすべての態様では、DNAはPCR増幅を実施するために必要な十分な純度で、サンプルのエマルジョン化を乱し得る不純物を伴わないで、定量化するために提供される。クロロホルム/フェノールでの化学的抽出、限外ろ過によるサイズ排除、微孔性マトリクスへの結合、塩析、塩化セシウム密度勾配、およびシリカゲルへの吸着のような非常に多くのDNA精製方法が当業者に公知であるが、しかしこれに関して本発明は限定されるものではない。PCRを支持することができる任意の精製方法およびエマルジョン化が考慮されるが、しかしながら実際には、ユーザーに使いやすい「キット」、例えばQiagen QIAquickによる精製が最もしばしば妥当である。非常に長い、典型的には3kbよりも長いDNA鎖を生じる、ある特定の適用では、精製されたDNAはより小片にフラグメント化されて、エマルジョン化に適するレベルまで、またエマルジョン化の方法に依存して、溶液粘度を低減させる必要があるかもしれない。例えば細胞培養からのヒトゲノムDNAは、非常に長い鎖で単離されるので、典型的にはマイクロ流体乳化剤に噴射する前に機械的に剪断する必要がある。対照的に、死細胞に起因するヒトの血流からの、循環遊離DNA(cfDNA)は概してもっとさらに小さいフラグメントに破壊され、さらなるフラグメント化を必要としない(Jahrら,Cancer,Res.,61,1659−1665,2001を参照のこと)。DNAフラグメント化のための許容される方法には、機械的剪断、噴霧化、超音波処理、ボルテックス処理、音響による条件付け(別称Covaris)、および制限酵素消化が含まれるが、しかし本発明はこれに関して限定されるものではない。当業者に公知の任意のフラグメント化方法で十分であろうが、しかしながら噴霧化が単純で、ほとんどの場合妥当である。制限酵素消化は無作為なフラグメント化からの偏りを被る適用に関して有利である。一例は、1つのDNA標的の量を別のものと比較するコピー数変動である。1つの標的に関するアンプリコンの長さが他のものよりもかなり長い場合、プライマー結合部位間の鎖破損の機会が増加するために、この濃度は無作為フラグメント化を伴って低く見積もられるであろう。このエラーは系統的であり、制御され得るが、非整数のコピー数測定値に至り、さらなる説明を必要とする。制限酵素消化はこれらの場合により良好な研究法になり得て、標的領域内でいかなるフラグメント化をも完全に回避する。ある特定のエマルジョン化技術はまた長いDNAフラグメントの影響をさらに受けやすいかもしれない。マイクロ流体液滴発生器は概して、ある程度のフラグメント化をまさに必要とするが、一方、例えばボルテックス処理によるエマルジョン化は、本質的に液滴発生自体の間にDNAをフラグメント化し、故により長い分子を容認し得る。最終的に、適切なDNAフラグメント化およびエマルジョン化方法は相互依存性であり、本発明は、相互に適合する方法の任意のこのようなペアリングを意図する。
図6にて図示されるように、精製の後、DNAサンプルを限界希釈でエマルジョン化して、各液滴(37)が多重アッセイによって標的化されたただ1個の、またはゼロ個のDNA分子(38)を含有する可能性があるようになる。油中水エマルジョンは当業者に公知の任意の方法によって創成され、この方法には、限定されるものではないが、ボルテックスによる混合相の撹拌、機械的混合(例えば磁気撹拌)、超音波処理、ビーズビーティングおよびろ過が含まれる。これらの研究法は水性液滴サイズの幾分非均一な分布を生じる。エマルジョン発生のための代替的なマイクロ流体法もまた適しており、限定されるものではないが、剪断(Thorsenら,Phys.Rev.Lett.,86(18)4163−4166,2001)、延長(Annaら,Appl.Phys.Lett.,82(3)364−366,2003)、または混合された流体歪み流における液滴発生が含まれる。マイクロ流体法は概して液滴サイズの高度に均一な分布を生じ、これは高い感受性を必要とする適用に関して有利であり、均一な反応が、標的あたり1分子で生じる。高い液滴サイズ均一性はまた、本発明のある特定の下流の過程に、例えば既存の液滴に1個ずつでプレポリマーを添加する幾つかのマイクロ流体法のために望ましいが、しかしながら本発明は液滴サイズ均一性の程度に関して限定されるものではない。エマルジョンの最低限の品質は適用および下流の処理によって決定づけられるであろう。
エマルジョン中の水相は、インビトロDNA増幅を持続させるために必要とされるような鋳型DNA、PCRプライマー、DNAポリメラーゼ、ヌクレオチド三リン酸(別称dNTP)、塩およびバッファーを含む。この混合物は本明細書の記載全体にわたって単純に「PCR混合物」と称される。好ましい実施態様では、ポリメラーゼは熱安定性であり、熱サイクリングによってPCRを可能にするが、しかしながら本発明はこれに関して限定されるものではない。標準的なPCRプライマーの代わりに、水相は、異なるPCR戦略のための、およびプロセシング後のアンプリコンのための、代替的なプライマーを含有できる。多くの異なるPCR戦略が当業者に公知であり、すべてが本発明によって考慮される。最も一般的なPCR戦略の幾つかには、対立遺伝子特異的PCR、CAST−PCR、MyTプライマーを伴うPCR、非対称PCR、冷却PCR(COLD−PCR)、氷冷PCR(Ice−COLD−PCR)およびタッチダウンPCRが含まれる。ヘリカーゼ依存性増幅、ローリングサークル増幅、リコンビナーゼポリメラーゼ増幅、および鎖置換増幅のような等温増幅法もまた本発明によって考慮される。個々のDNA分子のための単離された環境を維持するDNA増幅の任意の方法が本発明によって考慮される。
水相は増幅後のDNAの存在を検出するためのプローブをも含有し、ヒドロゲル内に捕捉できる。DNAプローブは配列特異的かまたは非特異的のいずれかである。配列特異的プローブには、TaqMan、スコーピオン、鎖置換、PNA、LNA、分子ビーコン、Solaris、蛍光標識DNAオリゴマー、およびDNA結合タンパク質が含まれる。非特異的プローブには、臭化エチジウム、SYBRグリーン、ビスインターカレーター(例えばYoYo−1)およびDNA結合タンパク質が含まれる。本発明はこれらの特異的および非特異的プローブに限定されるものではない。多くのDNAプローブが当業者に公知であり、すべてが本発明によって考慮される。しかしながら、本発明の好ましい実施態様は増幅およびゲル化の前にプローブを用いない。むしろ以下にさらに詳記されるように、ゲル化を待ち、配列特異的プローブでのハイブリダイゼーションの前に粒子を洗浄することに利点がある。概して蛍光プローブが、高い感受性、多色および付着化学の豊富さ、ならびにハイスループットの直接的な検出のために好ましい。しかしながら、本発明の方法から生ずる、増幅されたDNAの高濃度で、DNA検出の代替的な方法を支持する修飾を伴うプライマーが考慮され、限定されるものではないが、電気化学的方法、吸光度および放射性標識が含まれる。
水相はまた液滴ゲル化のためのプレポリマー混合物の幾つかの、またはすべての成分を含有できる。プレポリマー混合物はモノマー(重合化の間に一緒に結合する個々の分子)1つ以上の重合化の開始剤、および場合によりヒドロゲルの多孔性を増加させるために存在するポロゲンを含む。本発明によって考慮されるヒドロゲルの多孔性を調整するための1つの方法の一例に関しては、Choiら,Anal.Chem.,84,9370−9378,2012を参照されたいが、しかしながら本発明はこれに関して限定されるものではない。ヒドロゲルの孔のサイズを調整する任意の方法は当業者に公知であり、本発明によって考慮される。
本発明は、DNA増幅およびゲル重合化がいずれかの順序で、または同時に起こるようにし、プレポリマー混合物に異なる制約を強いる。1つの実施態様では、プレポリマー成分のすべてをエマルジョン化および熱サイクリングの前にPCR混合物に添加する。この実施態様では、ゲル重合化がDNA増幅に先行しない限り、プレポリマー混合物のすべての成分がPCRに必要とされる温度で熱的に安定でなければならない。これに代えて水相はプレポリマーの構成成分を何も含有しないかもしれない。この場合、プレポリマーは熱サイクリングの後に、水相を選択的に融合することによるか、または以下にさらに詳記されるような油相を介して、液滴に添加されなければならない。最後に水相はいくらかのプレポリマーを含有でき、すべてのプレポリマーをより低い濃度で含有するか、またはより少ない構成要素を伴うかのいずれかで、または両方でよい。エマルジョン化の後にプレポリマーが不完全である任意のシナリオでは、残りのものは、以下にさらに記載される方法を使用して、エマルジョンを乱すことなく、添加されなければならない。
油相は2つの一次成分を含む:1つ以上の疎水性油および、エマルジョンの安定化のためのゼロ、1またはこれより多い界面活性剤。本発明はDNA増幅の間中、エマルジョンを安定化するすべての油相組成物を考慮し、いかなる理論にも束縛されるつもりはないが、概して、界面活性剤は液滴合体の防御を支援することは理解される。適した油には、鉱物油、TegoSoft DEC、テトラデカン、ヘキサデカン、オクタデカン、ドデカン、Isopar M、植物性および有機性のような炭化水素油;DC200、PDMSおよびAR20のようなシリコン油;ならびにPFH、PFC、PFD、PFPH、HFE、Novec、FC40、FC70、FC77およびFC3283のようなフッ素系油が含まれる。適した炭化水素界面活性剤には、SDS、Span80、モノオレインオレイン酸、Triton X−100、Tween20、Tween80、Synperonic PDF、C12E8、リン脂質およびAbil WE09が含まれる。適したフッ化炭素界面活性剤には、PF−オクタノール、PF−デカノール、PF−TD OEG、PFPE−COOH、PFPE−COONH4、PFPE−PEGおよびPFPE−DMPが含まれる。しかしながら、本発明はこれに関して限定されるものではない。DNA増幅の間中、エマルジョンを安定化することができる任意の界面活性剤系は本発明によって考慮される。
油相はまた2つの相を混合した後、水相に再区分できる反応構成要素を含有できる。いかなる特定の生化学系にも束縛されるつもりはないが、PCRミックスは概して、油相にうまく区分されない親水性成分を含む。しかしながら、塩のような小型分子は界面活性剤ミセルを介して油に溶解することができ、必要な酵素補因子または反応物の増幅反応を枯渇させる。これらの移動可能な化合物での油相の前飽和または前負荷は、反応物の再区分を低減させ、性能を救済することができる。加えて、プレポリマーミックスの幾つかの構成要素は部分的に、もしくは好ましくは油方向に区分できるか、または界面活性剤によって可溶化され得る。ゲル重合化を救済するか、またはプレポリマー混合物の幾つかの成分を意図的に単離するかのいずれかのために、プレポリマー成分を、水相に加えて、または水相の代わりに、油相を介して2相系に添加することができる。本発明の方法はこの2相系の代替的な配合を見込み、この方法はこれに関して制限されない。液滴内のDNAの増幅を可能にする任意の2相配合、続くゲル化が考慮され、ゲル化、続くDNAの増幅を可能にする任意の2相配合が考慮される。
場合により、エマルジョン化の前にPCRミックスおよびプレポリマーミックスを組み合わせる場合、プレポリマーをエマルジョン化の後に部分的に硬化させて、増幅の間の液滴合体を阻止できる。熱サイクリングがエマルジョンに圧力を加え、これは潜在的に界面活性剤の分子単層間に孔を形成するための十分な活性化エネルギーを提供するが、これがなければ隣接する液滴の水相の直接的な接触を遮る。一度水相が初期の孔を通じて接触すると、表面張力が非可逆的に合体を推進する。部分的なゲル化が、隣接する液滴の合体または実質的な混合の前に、徐々に消える孔を修復するようにできる。部分的なゲル化の有効性は、重合化の程度に依存し、合体を最小にするために最適化できる変動し得る過程であるが、液滴全体にわたって迅速で均一なDNA増幅を維持する。
図6にて図示されるように、エマルジョン化の後、この標的DNAを増幅する(39)か、またはゲル重合化を開始する(40)かの、いずれかであるか、またはこれらの両方である。本記載は最初に標的DNAを増幅する場合に、最初に着目する。数多くのDNA増幅戦略が当業者に公知であり、限定されるものではないが、熱安定性のDNAポリメラーゼの熱サイクリングによる増幅、および等温DNA増幅が含まれる。固定されたサンプルの熱サイクリングは、典型的には、サンプルと緊密に熱接触する温度制御された加熱ブロックで達成される。これに代えて、異なる温度帯域の間で、最も便利には、異なる温度の帯域を通ってサンプルを流すことにより、サンプルを置き換えることができる。しかしながら、熱サイクリングによるDNA増幅のために、サンプルを加熱および冷却する任意の方法が、本発明によって考慮されるが、等温DNA増幅の任意の方法でも同様である。DNA増幅を受けている液滴を、これ以降、単純に「増幅された液滴」と称する。
液滴配合に依存して、DNA増幅後に、さらなるプレポリマー試薬を水相および/または油相に添加する必要があるかもしれない。1つの実施態様では、サンプル溶液は、エマルジョン化の前に、完全PCRおよびプレポリマーミックスを含有し、ここで重合化をDNA増幅の後に開始または持続することができる。しかしながら、プレポリマーミックスの幾つかの成分を欠如する本発明の実施態様では、これらの成分をDNA増幅後の水相に添加しなければならない。このように、反応物を分離する一次的な理由は、第1に、プレポリマー反応物は熱サイクリングの高温で安定ではない場合、第2に、プレポリマー反応物がDNA増幅を妨害する場合である。プレポリマー混合物がDNA増幅の後に不完全である場合、エマルジョンを乱すこと、および有意な液滴合体を引き起こすことなく、プレポリマーの失われた成分を水相に添加して、クローン性アンプリコンが混合されるようにしなければならない。いかなる理論にも束縛されるつもりはないが、合体した液滴の内容物がDNAの単一のコピーからのクローンではないかもしれないので、液滴合体は概して結果における情報内容を低減させる。
増幅された液滴にプレポリマー試薬を添加するための、本発明によって考慮される一連の方法では、制御可能な量のプレポリマー試薬を、2つ以上の水相を一緒に融合することにより、各液滴に添加する。液滴に試薬を添加するための任意の技術が本発明によって考慮され、限定されるものではないが、以下のものが含まれる:対をなす液滴融合(Millerらによる、2010年3月23日出願の、「Manipulation of Microfluidic Droplets」と題された米国特許出願第12/729,462号、2011年1月6日に米国特許公開第2011/0000560号として公開、を参照のこと)、ピコインジェクション(前記参照)、ラムダインジェクション(前記参照)、および当業者に公知のこの他のもの。本発明は、融合機器の内部配管に関して任意の並びの、プレポリマー構成要素の任意の組み合わせを考慮するが、融合が起こるまで、開始剤からゲルモノマーを物理的に単離して、未成熟の重合化による機器の詰まりを防御することは、概して優れた実践である。さらに、ある特定のDNA増幅方法はゲルモノマーまたは開始剤によって開始されてよく、おそらく分離のための他の制約を強いる。本発明のマイクロ流体法は従って、他の方法よりも単純性および適応性に関して好ましいが、なぜなら本発明の方法のみが、単一の融合事象が起こるまで、3つすべての水性サンプル、即ち増幅された液滴、モノマーおよび開始剤が単離されるようにするためである。他の一般的なマイクロ流体法はすべて単一の水性ストリームからの液滴への噴射に関与し、従っていくらかの予混合、そうでなければ複数の段階における融合操作のいずれかを必要とする。
プレポリマー構成要素を増幅された液滴に添加するための別の一連の溶液では、失われたプレポリマー試薬を、再区分によって油相を通して液滴に添加する。いかなる特定の生化学的な取り決めにも束縛されるつもりはないが、重合開始剤は概して油を通る増幅された液滴への噴射に最適であるが、なぜなら、他のゲル成分が典型的には油に不溶性であるためであるが、本発明はこれに関して限定されるものではない。本発明のこの方法では、油に存在する開始剤またはプレポリマー混合物の任意の他の成分が水相に区分されるように、油の化学的組成を変化させる。最も単純な実施態様では、増幅された液滴は、新しい油中で混合すること、または元来の油を置き換えることのいずれかによって、失われたプレポリマー構成要素を含有する異なる油に曝露される。この実施態様では、油溶質の幾つかの分画が、分配係数に従って水相に置き換わるであろう。しかしながら、油相から到着するこれらのプレポリマー構成要素は水相における重合化の間に消耗され、従って、たとえ分配係数が低くとも、質量作用がこれらの化合物の連続する流束を増幅された液滴に推進する。本発明は油相および水相中のプレポリマー構成要素の平衡バランスを乱すための任意の方法を考慮する。これに代わる方法には、限定されるものではないが、1つ以上のプレポリマー構成要素を油内の溶液中に遊離する化学反応を開始すること、および1つ以上のプレポリマー構成要素を油内の溶液中に遊離する光化学反応を開始することが含まれる。
元来の油を1つ以上の失われたプレポリマー構成要素を含有する新しい油と混合する場合、2つの油が混和性である必要はない。本発明によって考慮される1つの取り決めは、フッ素系油を使用するDNA増幅を実施し、次に、この後に失われたプレポリマー構成要素を含有する炭化水素油中で混合することである。高密度フッ素系油は自発的に液滴から流れ出て、これらを自発的に炭化水素油に曝露するであろう。しかしながら、本発明はこれに関して限定されるものではない。油の任意の組み合わせ、混和性であるか、またはそうでないかは、本発明によって考慮される。
もしまだ必要であれば、増幅された液滴に、任意の残りのプレポリマー構成要素を添加した後、ゲル重合化が続くか、または開始されるかのいずれかである。本発明では、DNA増幅の前にゲル重合化が開始され、ずっと続くか;またはDNA増幅の前にゲル重合化が開始されて、初期のゲル足場を提供し、続いてDNA増幅の後に重合化を完了するか;またはDNA増幅の前にゲル重合化が完了するか;またはゲル重合化のすべてがDNA増幅の後に起こるかどうかの制限はない。好ましい実施態様では、DNA増幅およびゲル重合化は時間内に単離された事象である。いかなる特定の生化学的な取り決めにも束縛されるつもりはないが、概して2つの過程を単離するための2つの方法がある:DNA増幅の後までは、ゲル重合化のための1つ以上の重要な反応物を保留する、またはこの後のゲル重合化反応を活性化する。後者の場合、光開始剤のUV光活性化が最も一般的な技術であるが、本発明はこれに関して限定されるものではない。DNA増幅と干渉しないゲル重合化の任意の方法が本発明によって考慮される。
幾つかの、またはすべてのプレポリマー構成要素を、油相を介して液滴に添加する場合、粒子内の重合化は均一でないかもしれない。1つの極端な条件では、粒子の周縁部を、硬直な、選択透過性の外殻に重合化でき、サイズ排除により、アンプリコンを内側に閉じ込めるが、ハイブリダイゼーションプローブのようなより小型の試薬は流体内部に拡散できるようになる。別の条件では、ゲルマトリクスは粒子全体にわたって完全に均一である。なお別の極端な条件では、油相は重合化の阻害剤、最も一般的には酸素分子を含有し、結果的に、粒子の中心部で濃いゲルをもたらす。本発明はこれらの極端なことに入るすべての条件を考慮する。
1つの実施態様では、開始剤は光開始剤であるDarocur(商標)であり、ゲルモノマーはポリエチレングリコールジアクリレート(PEG−DA)である。Irgacure(商標)のような他のUV開始剤は当業者に公知である。多くのゲルモノマーは当業者に公知であり、アクリルアミドおよびビスアクリルアミドが含まれる。しかしながら、本発明はこれに関して限定されるものではない。光開始剤およびゲルモノマーの任意の組み合わせは本発明によって考慮される。DNA増幅の後、および任意の残りのプレポリマー構成要素の添加の後、前記されたように必要な場合、増幅された液滴はバルクでUV光活性化によって硬直化される。
好ましい代替的な実施態様では、開始剤は、化学的開始剤であるテトラメチルエチレンジアミン(TEMED)および過硫酸アンモニウムの一般的な組み合わせであり、ゲルモノマーはアクリルアミド/ビスアクリルアミド19:1の混合物である。アクリルアミドの神経毒性にもかかわらず、アクリルアミドはPEG−DAよりも好ましく、なぜならPEGはある特定のエマルジョンを不安定化し得るためである。多くの化学的開始剤が当業者に公知であるが、しかしながら本発明はこれに関して限定されるものではない。化学的開始剤およびゲルモノマーの任意の組み合わせが本発明によって考慮される。本発明は、プレポリマー構成要素を添加する方法に関して限定されるものではない。エマルジョンの完全性を維持し、未成熟なゲル重合化を引き起こさない、任意の流体の取り決めが本発明によって考慮される。UV開始に代わる化学的開始の1つの利点は、UV光はDNAアンプリコンを損傷するかもしれず、潜在的に下流のDNA特徴付けを妨害するという点である。しかしながら、生化学の実験室において一般的に扱われるが、TEMEDの使用は、余分な安全性の予防措置をまさに必要とする。
本発明の1つの実施態様では、DNAアンプリコンはゲルマトリクス内に結合する。本発明はゲルマトリクスへのアンプリコン付着の具体的な化学に関して限定されるものではない。むしろ、任意の化学的、生化学的または物理的付着戦略が本発明によって考慮される。本発明の好ましい方法では、DNA増幅に使用されるプライマーはAcrydite(商標)での5’−修飾を含有する。PCRの間のDNA伸長の後、得られた鎖は5’− Acrydite(商標)を保持し、別のAcrydite(商標)プライマーから合成された相補鎖にハイブリダイズする場合、得られたアンプリコンは2つのAcrydite(商標)部分を、いずれかの末端に1つで含有する。Acrydite(商標)は従来のフリーラジカル重合化の間に活性化された二重結合と反応し、付着されたアンプリコンを成長するポリマー鎖に組み込む(Kenneyら,BioTechniques,25,516−521,1998)。Acrydite(商標)はプライマーを介する直接的な組み込みに関して好ましい化学であり、なぜなら、これは熱サイクリングの高温に耐えることが知られているからであるが、しかしながら、本発明はこれに関して限定されるものではない。任意の化学的付着戦略、およびゲルマトリクスへの組み込みのために、アンプリコンの一方の末端、他方の末端または両方の末端が官能化されているかどうかに関する任意の立体配置が本発明によって考慮される。
これに代えて、図9にて図示されるように、あまり安定でない付着化学は、熱サイクリングの後に導入できる。本発明の1つの実施態様では、プライマーは、最終アンプリコン(51)において、対応する制限酵素によって、オーバーハング、または「粘着末端」に開裂される(53)制限部位(52)を含有する。制限部位は標的特異的ドメイン自体の内に属することができるか、またはこれは完全にもしくは部分的に5’プライム末端での伸長として、導入され得る。第2のオリゴヌクレオチドは本明細書ではリンカーオリゴと称され、アンプリコンオーバーハングに相補的である3’末端(50)、および重合化を介してゲルマトリクス(56)に組み込むための反応性の種で修飾された5’末端(49)を含有する。本発明の1つの方法では、反応性の種はアクリレートであるが、しかしながら、本発明はこれに関して限定されるものではない。ゲルへの化学的または物理的組み込みが可能な任意の反応性の種が本発明によって考慮され、本発明は任意の特定の5’または3’配向に限定されるものではない。DNAリガーゼを添加して、アンプリコンのハイブリダイゼーションの後にリンカーオリゴ(55)に残る一本鎖切断(54)を修復して、リンカーを介してゲルマトリクスにアンプリコン(57)の1本の鎖を共有結合で結合する。本発明はリンカーオリゴ、制限酵素およびリガーゼの添加のタイミングに関しても、順序に関しても、制限されない。最良の実践は、リンカーオリゴ上の活性基が実質的に高温で不安定な場合、リンカーオリゴを熱サイクリングの後に加えるべきであるということを決定づけるが、本発明はこれに関して限定されるものではない。また、アンプリコンの付着は、実質的な量のアンプリコンが粒子から逃れる前に起こるべきである。そうでなければ、アンプリコンは粒子間に混合されて、取り込みの目標を弱体化するかもしれない。しかしながら、本発明は完全な取り込みがすべての適用に必要というわけではなく、ある程度の混合が容認され得ることを考慮する。アンプリコン組み込みからリンカー付着を分離することの余分な利点は、リンカーをより高濃度で添加することができ、より小型のサイズのリンカーと組み合わせる場合、そうでない場合にアンプリコンの直接的な組み込みによって達成されるものよりも高いリンカーのゲルマトリクスへの負荷を生じることができる点である。この後は、アンプリコンライゲーションが効率的な方法である。この2工程研究法はより長い鎖長のポリマーの組み込みの典型である、潜在的な低効率の可能性を打破する。
本発明の方法はまた粒子へのアンプリコン付着の非共有結合的な方法をも含み、これには限定されるものではないが、イオン相互作用、疎水性相互作用およびヒドロゲルマトリクス内のアンプリコンの受動的取り込みが含まれる。ある特定の実施態様では、ヒドロゲルの孔サイズは十分に小さく、これに続く特徴付けの期間中、アンプリコンはヒドロゲルマトリクス内で非可逆的に絡み合う。取り込まれたアンプリコンの幾つかの分画は、一部においては、溶媒露出であり、さらなる生化学的特徴付けができるようになるであろう。本発明の別の実施態様では、アンプリコンはオリゴマー化、環状化、分岐化、または他の複雑な形態への自己集合のように、さらに修飾されて取り込みを促進する。
本発明の1つの方法では、両方のプライマーは制限部位を含有し、PCRの間、またはPCRの後に相当する制限酵素が二本鎖DNAの末端を開裂してオーバーハングを残す。前記のリンカーオリゴと同様に、制限部位は標的特異的領域に属し得るか、または完全にまたは一部、伸長として5’末端に導入され得る。本発明のこの方法では、制限部位は、単一の分子のいずれかの末端のオーバーハングが自己相補性であり、両方の部位に関して同じパリンドローム制限酵素を選択することにより、確実になる。図10にて図示されるように、自己相補性が環状化(61)の可能性を開くが、しかしながら、100から200bp長のオーダーの短いアンプリコン(60)が半硬直性であり、実質的には二重鎖DNAの持続長に類似する長さである。従って、これらの分子は内部の環状化の一次反応に抵抗して、代わりに二次のコンカテマー化(62)を可能にする。マクロ分子が環状化のための十分な適応性を達成するまで、鎖の成長は続く。この後、ゲル重合化の間、ゲルマトリクスを含む成長する鎖はコンカテマー化されたアンプリコンを取り込むことができ、時々環状化アンプリコンの中心部を通過して、これらを永久的に、だが共有結合的ではなく捕らえる。
内部環状化は単純なアンプリコンコンカテマーのサイズを限定する。本発明の1つの方法では、プライマーのある分画はオーバーハングを形成せず、これらはオーバーハングを形成する大部分のプライマーと混合されて、本明細書では遮断末端と称されるものを生成する。図13にて図示されるように、低頻度の遮断末端(76)は一方向のコンカテマー成長を防御し、環状化を阻害することにより、直鎖成長(77)に関するシードポイントとして役立つ。遮断末端の最適な分画は、環状化の阻害と第2の遮断末端での鎖導入の終止との間のバランスであり、これはアンプリコンの濃度および長さに依存する。より高いアンプリコン濃度は直鎖成長を好み、遮断末端のより低い分画を許容するが、一方より長いアンプリコンはより適応性があり、従って、環状化しやすく、遮断末端のより大きな分画を好む。本発明の別の方法では、アンプリコンは小型の多価「ユニオン」(78)にアニーリングすることにより、さらに大きな分岐構造に自己集合する。前記のように、制限消化が、プライマーに導入された部位を介して、アンプリコンオーバーハングを生成する。1つの実施態様では、制限部位は異なり、直ぐに内部の環状化を防御するが、しかしながら、本発明はまた自己相補的なオーバーハングをも考慮する。図12Aにて図示されるように、ユニオンは、内部の自己相補的領域(73)を伴い、アンプリコン上でこれらに相補的なオーバーハング(72)を伴う小型の二重鎖DNA構造である。ユニオンを含む一本鎖(71)は室温でお互いに安定してアニーリングするために十分に長くなければならず、少なくとも8塩基対で、オーバーハングのために余分を加えるが、しかしアンプリコンほど長くなく、コンカテマーの動態を妨害することを回避する。最も単純な実施態様では、ユニオンは2つのオーバーハングを伴う2本の鎖を含み、直線コンカテマーのためにアンプリコンの対を橋渡しする。ユニオン上のオーバーハングを、PCRにおける伸長の間に埋めることができるが、しかしながら、ユニオンが対応するアンプリコンと同じ制限部位を含有する場合、次いでユニオンのオーバーハングは、アンプリコンのオーバーハングを提供する同じ制限消化の間にリフレッシュされるか、または初めて創成される。
本発明の他の実施態様では、図12Aにて図示されるように、ユニオンは3つ以上のオーバーハングを有する。これらのより複雑な3次元DNA構造は当業者に周知であり、3つ以上の別々のDNA鎖から形成されるY形およびX形DNAが含まれるが、本発明はこれに関して限定されるものではない。2つのアンプリコンを橋渡しすることができる任意のマクロ分子構造が本発明によって考慮され、限定されるものではないが、LNA、PNA、RNAおよびこれの任意のハイブリッド;ならびにストレプトアビジン−ビオチンおよびジゴキシゲニン抗体複合体のようなタンパク質系が含まれる。コンカテマー化の間の分岐化およびループ形成の程度を制御するために、異なる型のユニオンの混合物もまた本発明によって考慮される。本発明はまたアンプリコンの、これ自体および/またはユニオンのいずれかへのブラント末端ライゲーションをも考慮する。
いかなる特定の生化学的な取り決めにも束縛されるつもりはないが、制限消化からのオーバーハングは典型的には短すぎて室温では安定してアニーリングできない。従って、好ましい実施態様では、エマルジョン混合物はまたアンプリコンおよびユニオンを大きなナノスケールの、またはさらにはミクロスケールのDNA構造に共有結合するためのリガーゼをも含有する。前記のリンカー付着と同様に、本発明はユニオン、リガーゼおよび制限酵素の添加の操作のタイミングまたは順序に限定されるものではないが、概して制限酵素消化はライゲーションに先行する。DNA構造が十分に大きく、安定である場合、本発明にはまたこれによる方法も含まれ、余分なヒドロゲル足場の形成が必要でなく、「DNAヒドロゲル」は下流の物理的および生化学的特徴付けに十分である。本発明の1つの方法では、エマルジョンは脱水されて、DNAヒドロゲルの密度を増加させる。任意の脱水方法が本発明に適合し、限定されるものではないが、増幅された液滴を、増幅された液滴と比較して低張である、液滴の第2の集団に曝露することが含まれる。次いで浸透圧が油相を通じて増幅された液滴から「乾燥剤」液滴への水の流束を推進するが、最も可能性があるのが、界面活性剤ミセルを介してであるが、しかしまた大部分の油を抜かれたエマルジョン中で、接している液滴間の界面活性剤の二層を直接わたって推進することもある。
ライゲーションのための本発明の代替的な方法では、室温での自己集合は、必要な場合、アンプリコンおよびユニオンから、大きな分岐した、および/または分岐していないDNAコンカテマーの形成を推進する。共有結合による付着なしで、粘着末端の長さを増加させること、および/またはより強力な結合のDNAアナログに切り替えることによって、複合体構造を室温で安定化させて、前記の方法におけるライゲーションの必要性を排除する。図11にて図示されるように、本発明のある特定の方法では、より高い親和性のオーバーハングが3つのドメイン:プライマー伸長のための標的DNA(66)に特異的な3’ドメイン、反対のプライマーの5’末端に自己相補的か、またはユニオンに相補的かのいずれかである5’付着末端(65)、および遮断ドメインと称される、ポリメラーゼ(63)によって複製できない2つ(64)の間に及ぶドメインを含有するプライマーと共にアンプリコンに組み込まれる。遮断ドメインはポリメラーゼを止め(70)、オーバーハングが塩基対と対応することを遮る代わりに、元来の設計のとおりにオーバーハングを保存し、これに続く制限消化を必要とする。本発明のこの方法により、オリゴ合成を通してオーバーハングの適応性のある操作ができるようになるが、対照的に立体配置により、公知の制限酵素からのパターンを開裂することが限定される。多くのポリメラーゼ遮断剤が当業者に公知であり、限定されるものではないが、C3スペーサーのようなアルキル基;光切断可能なスペーサー;ポリエチレングリコールスペーサー;代替的な塩基もしくは置換基を伴うか、または塩基を欠くヌクレオチド;ならびにLNAおよびPNAが含まれる。ある特定の実施態様では、遮断ドメインは付着ドメインと部分的にまたは完全に重複する。これらの実施態様では、LNAおよびPNAのような未変化ではないヌクレオチドまたはアナログはポリメラーゼを遮断するが、しかし反対の鎖の対応物と選択的に結合する能力を保持する。本発明は2つのオーバーハングと一緒に選択的または非選択的に結合することができる任意の付着化学を考慮し、この化学がDNA増幅を阻害し、またはエマルジョンを乱してはならないという制限のみを受けることになる。
これらのトリパルタイトプライマーの標的特異的ドメインは、当業者に周知の標準的なプライマー設計ガイドラインに従って設計され、付着ドメインは類似のガイドラインにより設計され、これもまた当業者に周知であり、相補鎖に関する親和性を最大にするが、PCRを邪魔しない。概して、全長プライマー構築物は、そうでなければ意図される相互作用と競合するであろう、最低限の二次構造を有するべきであり、これの対応物に対する付着ドメインの融解温度はPCRのアニーリング/伸長温度よりも低くなるべきであるが、しかしそうでなければ、安定したコンカテマー化のために室温を超えてできるだけ高い。望ましくないプライマー二量体の形成は、付着ドメイン間の任意の自己相補性に関わらず、遮断ドメインのために、これらのプライマーには問題点ではないことに留意されたい。ある特定の実施態様では、オーバーハングは自己相補性であり、コンカテマー化はアンプリコン間で自発的に起こる。他の実施態様では、前記されるように、ユニオンは非相補性末端を橋渡しする。
自己集合構造の望ましい複雑さを、末端遮断剤およびユニオンで調整でき、制限消化およびライゲーションを通じた付着の場合に関して、前記されたのと同様である。図12にて図示されるように、適合するユニオンのための1つの構築物は、複製できない遮断剤(74)を伴うプライマーと同じトリパルタイト構造を採用し、付着のためのオーバーハング(75)を保護する。簡単には、複雑さはほぼ以下の立体配置の順に増す:(低)小型の環状コンカテマーを生じる自己相補性プライマー、(中)より長い直線分子を生じる2価のユニオンと接続された末端ブロックが含まれる非相補性プライマー、ならびに(高)以前の条件に加えて、分岐した複合体分子を生じるXおよびY形ユニオン。自己集合の1つの利点は、PCRのための反応条件を乱すことなく、アンプリコン複合体のサイズを調整できる点である。PCRプライマーへの5’修飾がPCR効率に及ぼす影響は無視できるほどであるということは概して理解されているが、ただし、当業者に公知の典型的なプライマー設計ガイドラインに従った場合である。また、ユニオン付着の融解温度がPCRのアニーリング/伸長温度を実質的に下回るという条件で、およびまたユニオンの内部領域が、標的または任意のバックグラウンドDNAのいずれかに対する配列相同性が無視できるほどで適切に設計されているという条件で、エマルジョン化の前にユニオンをPCR混合物に導入することができる。これに代えて、この後に、前記された本発明の方法によって、液滴ごとにユニオンを導入することができる。いずれかの方法では、一度温度が付着の融解温度に戻ると、ユニオンはこれの影響力を奏するのみである。
アンプリコンコンカテマー化は1工程成長重合化メカニズムによって進行し、反応動態は十分に理解されている。このメカニズムの1つの有利な特徴は、迅速なモノマーの喪失および溶液全体にわたる低分子量ポリマーである。従って、均一な取り込みを高い効率で達成することができる。対照的に、Acrydite(商標)修飾プライマーを用いるような、共有結合的方法での組み込み効率は、核酸の長さの関数として減少することが知られている。加えて、アンプリコンコンカテマー化はより高温で付着を融解することにより、完全に可逆性であり、後の段階で粒子からのアンプリコンの放出のために、およびハイブリダイゼーションプローブに対する到達性のために有用である。
1つの態様では、本発明は1つの品物である。1つの実施態様では、この品物は2つの物質:取り込まれたナノスケールまたはミクロスケールのDNAコンカテマーを伴う従来のヒドロゲル足場;を含むゲル液滴である。DNAコンカテマーは前記の本発明の方法によって形成され、結果的に従来のヒドロゲル足場内の、高収量のDNA取り込みをもたらす。足場はDNAコンカテマーと共局在し、これは、コンカテマーが乱されるときに、DNA放出を制御する。別の実施態様では、この品物は当業者に公知の非常に多くの方法のいずれかによって、DNAが化学的または生化学的に官能化される以外は、前記と同じである。1つの非限定例としては、ユニオンの1つの末端はビオチンを含有でき、コンカテマー化およびゲル重合化の後に、ゲル液滴はストレプトアビジン、および酵素のような別のビオチン化生物学的マクロ分子に曝露される。酵素はゲルに拡散したときに、DNA−ビオチン−ストレプトアビジン複合体によって捕捉される。故に、本発明のこの実施態様では、この品物は効率よく、容易に可逆性の酵素捕捉を呈するヒドロゲル足場であるが、しかしながら、本発明はこれに関して限定されるものではない。粒子をこのように、任意の化学的または生化学的分子で可逆的に官能化できる。
本発明の別の態様では、前記された非共有結合的コンカテマー化を可能にするために、トリパルタイトプライマーを使用する同じ生化学的戦略をまた使用して、さらに前記されたリンカー戦略を用いて、ゲルマトリクスに非共有結合的に付着することもできる。前記したように、本発明のこの方法では、アンプリコンを、長いオーバーハング、または遮断剤のためにポリメラーゼ伸長を乗り切る塩基アナログを伴うオーバーハングと共に組み込む。3’末端では、リンカーはアンプリコンへの付着のための相補性ドメイン、および前記されるように、重合化の間に成長するヒドロゲルへの直接的な共有結合的組み込みのための、5’末端の化学的に活性な修飾を含有する。このように、アンプリコンは、リンカーへのハイブリダイゼーションによってゲルに捕捉され、これは容易に可逆的な過程である。
本発明の1つの実施態様では、ゲルの完全な重合化はDNA増幅に先行する。本発明はこの場合、前記されたいずれかの方法を使用する、アンプリコンの受動的取り込みを考慮し、共有結合的および非共有結合的の両方のアンプリコンコンカテマー化が含まれる。
図6にて図示されるように、一度ヒドロゲル粒子が形成され、アンプリコンがゲル(40)に組み込まれると、任意の手段により、しかし典型的にはDNase不含バッファーでの洗浄を繰り返すことにより、油(41)から粒子が分離される。粒子をさらに洗浄して、PCRの未反応成分およびプレポリマー混合物、ならびにサンプルからの任意の元来のDNAおよび非結合または捕らわれていないアンプリコンが含まれるすべての非結合成分を除去する。高分子量PEGのような低浸透圧の選択透過性溶液での浸漬は、ヒドロゲル粒子を脱水し、標準バッファーへの再浸漬により、容易に可逆性の過程である。粒子の内外へのこの水の流れは、スポンジを絞るのに似た、内部孔を洗い流すことにより、深い洗浄を促す。
実際には、粒子清浄度の程度は適用に依存するが、しかし粒子は、PEG溶液での2回の洗浄およびバッファーでの2回の洗浄の後に、大抵の意図および目的に関して、概して清浄である。
精製された粒子は理想的には結合した、または取り込まれた増幅されたクローン性DNAのみを含有し、これ以降、DB(DNAビーズ)と称される。本発明の方法には、DBの任意の化学的、生物学的、生化学的、または物理的特徴付けが含まれる。本発明のある特定の方法では、DBは多重アッセイフォーマットにおいて非常に高い感受性および特異性で、希少な遺伝的変異体を同定するために特徴付けられる。好ましい実施態様では、第1の工程は希少なDNA型または遺伝子型を含有するDBを物理的に分離することであり、第2の工程は遺伝子型を同定することである。
DNA配列をプロービングするための多くの方法が当業者に公知であり、ダイナミック対立遺伝子特異的ハイブリダイゼーション(DASH)、制限フラグメント長ポリモルフィズム、インベーダーアッセイ、プライマー伸長、5’ヌクレアーゼアッセイ、分子ビーコン、高分解能融解分析、DNAミスマッチ結合タンパク質、およびオリゴヌクレオチドライゲーションアッセイが含まれる。しかしながら、本発明はこれに関して限定されるものではない。DNA配列をプロービングする任意の方法が本発明によって考慮される。しかしながら、好ましい技術は、図7にて図示される蛍光標識を用いるDNAオリゴヌクレオチドプローブの直接ハイブリダイゼーション(46)である。本発明の1つの方法では、希少なDNA標的(43)に対するプローブは、存在する場合、豊富なDNA標的に対するプローブと比較して識別可能な蛍光色(44)を有する。豊富な標的が希少な標的と、ただ1つまたは数個のヌクレオチド塩基で異なる場合、概して非特異的結合を防御するために、両方の標的型に対するプローブが含められる。しかしながら、希少型がサンプル中の他の遺伝物質と実質的に異なる場合、次いで豊富な型に対するプローブは不必要かもしれない。DNAハイブリダイゼーション技術は当業者に周知であり、高温、低塩濃度、および適切なプローブ設計のような高ストリンジェンシーハイブリダイゼーションのための一般的なガイドラインが含まれる。本発明の方法はこれらの技術を用いて、結合DNAに対するプローブの高特異性ハイブリダイゼーションを達成する。本発明のある特定の方法では、DBは最初に機械的撹拌の下で加熱されて、粒子に結合するアンプリコンの相補鎖を一時的に解離するか、または完全に洗い出す。結合鎖(42)は残る。そうでなければ、ハイブリダイゼーションプローブと非結合相補的アンプリコン鎖との間の競合のために、ハイブリダイゼーション効率が低くなるかもしれない。本発明の他の方法では、この工程は不必要であり、図8にて図示されるように、限定されるものではないが、一方の鎖に他方より多く生じる非対称PCRによって製作されるDB、またはLNAおよびビス−PNAプローブ(47)のような、鎖侵入(48)のための設計されたハイブリダイゼーションプローブが含まれる。分子ビーコンのような特殊化されたプローブは特異性を改善するために本発明によって考慮される。分子ビーコンはまたハイブリダイゼーションの後にDBを洗浄する必要性を排除し、そうでなければ、ハイブリダイズされなかった任意のプローブを除去する工程が望まれる。
ハイブリダイゼーションおよび洗浄の後、希少DNA型を伴うDBは、蛍光色もしくは任意の他の蛍光源またはDBの光散乱特性に基づいて、空のビーズ、および豊富なDNA型を伴うビーズから同定されるかまたは分類されるかのいずれかである。蛍光ビーズを分類する種々の方法は当業者に公知であり、すべてが本発明によって考慮されるが、しかし好ましい方法は蛍光活性化セルソーティング(FACS)である。大抵のFACS供給業者は、さらなる分析のためにマイクロタイタープレートの別々のウェルに個々のビーズを分注する能力を有する、秒あたり104ビーズを超えるハイスループットを支持する。このように、希少遺伝子型を含有する少数のDBを、総数で数百万個のビーズから迅速に分類して、非常に高い感受性を達成することができる。多重アッセイでは、DBの収集されたプールは幾つかの、またはすべての異なる希少標的、加えて豊富なDNA型と共におそらく数個の偽陽性ビーズを含有するであろう。本発明の非常に重要な態様では、ビーズをさらに特徴付けして、異なる希少標的を同定し、偽陽性を排除するために第2段階を提供することができる。
少数の収集されたDBの特徴付けを、無数の方式で実施することができ、すべてが本発明によって考慮される。本発明の方法には、限定されるものではないが、シーケンシング、ハイブリダイゼーション、タンパク質結合、および制限消化が含まれる。DBに捕捉されたDNA配列を同定する任意の方法が本発明によって考慮され、最良の方法は適用に依存する。少数の標的でのアッセイのためには、直接ハイブリダイゼーションが最良の戦略であるかもしれない。本発明のこの方法では、DBを洗浄し、1つ以上の標的特異的ハイブリダイゼーションプローブに曝露し、必要に応じて再度プローブを遮断して、類似の配列への非特異的結合を回避することが含まれる。多くの標的を同時にプロービングすることができ、プローブの識別可能なシグネチャの数によってのみ限定される。検出方法が従来の蛍光撮像法である場合、プローブの最大数は、閉じ込められたスペクトル空間および相対的に広い蛍光発光プロフィールのために、典型的には4または5個であるが;しかしながら、本発明はこれに関して限定されるものではない。当業者に公知のこの障壁を打破するための種々の特殊化された技術があり、すべてが本発明によって考慮される。最大数を超える標的でのアッセイのために、DBを連続した操作で複数のプローブセットを用いて特徴付けすることができる。
本発明の別の方法では、DBはDNAシーケンシングによって特徴付けされる。いかなる生化学的な取り決めにも束縛されるつもりはないが、シーケンシングのための入力サンプルは概して任意の表面に非結合の遊離DNAである。ある特定の実施態様では、二次PCRを使用して、DBのDNAを増幅する。シングルプレックスアッセイのために、元来のプライマーはさらなる増幅に十分である。しかしながら、多重アッセイのためには、DBの同一性は知られていないかもしれない。本発明の1つの実施態様では、元来の配列特異的PCRプライマーはユニバーサルプライマー部位を含有できる。リンカーオリゴを使用する場合、ユニバーサルプライマー部位はリンカー認識部位と重複し得るか、またはこれをリンカー部位と標的認識部位との間にサンドウィッチすることができる。これに代えて、標的特異的プライマーの混合物を多重PCRに使用することができる。概して、多重PCRはDNAバイアスのような挑戦をもたらすが、しかしながら、本発明のある特定の方法では、このような挑戦は二次増幅の間にお互いからDBを単離することによって和らげられ、これによりバックグラウンドDNAがほとんどないか、または全くない、各々の個々の増幅のためにただ1つの標的を提示する。加えて、標的特異的プライマーは元来のプライマーと同じであっても、同じでなくてもよい。これらが部分的に、または完全に異なる場合、しばしばネステッドPCRと称され、二次PCRは類似の配列に起因する偽陽性を排除するために別の層のストリンジェンシーを与える。本発明はこれらの二次PCR戦略に限定されるものではなく、むしろ本発明は、結合DNAを遊離形態に複製することができるすべてのPCR戦略を考慮する。
本発明の他の実施態様では、制限酵素消化を使用してDBからDNAを遊離する。ある特定の実施態様では、元来のPCRプライマーは標的DNA配列には存在しない制限酵素部位を伴う5’オーバーハングを含有し、これによりこの部位をアンプリコンに導入する。これに代えて、標的DNAは適した制限部位を含有できる。多くの制限酵素が当業者に公知であり、すべてが本発明によって考慮される。制限酵素部位がプライマー配列に組み込まれる場合、制限酵素の型の選択は周囲のDNAコンテクストを考慮に入れ、当業者に周知の一般的なプライマー設計ガイドラインに従わなければならない。
サンガーシーケンシングのような、ある特定のDNAシーケンシング技術に関して、大抵の入力DNAは最も明確な結果に実質的に類似すべきである。これらの場合では、DBからのDNAは個別にビーズから複製されるか、またはフラグメント化されるべきであり、例えばマイクロタイタープレートのウェルあたり、ビーズは1個になるべきである。他のDNAシーケンシング技術に関しては、限定されるものではないが、次世代454、イルミナ、またはイオントレント技術が含まれ、すべてのDBからのDNAを、後のバイオインフォマティクス分析の間に分類された結果と混合できる。本発明のある特定の実施態様では、短いDNA配列を含むサンプル特異的「バーコード」が、元来のPCRプライマーに含まれる。これに代えて、バーコードを二次シーケンシングのプライマーに組み込むことができる。これらのバーコードにより、複数のサンプルを、単一の次世代シーケンシング実行にプールしてシーケンシングコストを低減させることができるようになる。
マイクロ液滴重合化に関与する本発明の方法を、ここまではDNA取り込みの局面で記載してきたが、本発明はこれに関して限定されるものではない。本発明は、前記で詳記された試薬構成のすべてにおいて、入ってくる液滴のストリームへの重合化試薬の噴射を広く考慮する。この目的のために噴射は、連続した非混和性の相によって取り囲まれた液滴の、1つ以上の連続した混和性の相との一過性の融合として規定され、この間に、混和性の相が再度分離される前に、連続相のいくらかの容量が液滴に置き換わる。本発明のマイクロ流体法はポリアクリルアミドでのゲル化のための試薬の噴射に好ましいが、しかしながら、本発明はこれに関して限定されるものではない。プレポリマー試薬を液滴に噴射するための任意のマイクロ流体法が考慮され、ラムダおよびピコインジェクションと称される前記された方法が含まれる。どんな種がミクロゲルに取り込まれるようになれるかということに関して、本発明は限定されるものではない。むしろ、本発明はフリーラジカル重合化に参加して、故に共有結合的に取り込まれるか、または単に物理的なエンタングルメントによって取り込まれるようになるかのいずれかの任意の種の取り込みを考慮する。非限定例としては、本発明はゲルを通して移動できない相対的に大きな生物学的物体、例えば細胞、ウイルス、胞子、花粉、小型の多細胞生成物、ミクロスケールおよびナノスケールのビーズ、より小さいゲルマイクロ粒子、染色体のような大きなDNA構造および人工染色体、ならびにリポソームの取り込みを考慮する。本発明はまた溶液に十分に分散できる微細粉末のような無機物質の限定された移行による取り込みもまた本発明によって考慮される。本発明はまた、フリーラジカル重合化に参加する必要のある、ビニル基のような化学的部分を、未変化で、または分子操作を介することによるかのいずれかで含有する、より小さい種の共有結合的取り込みをも考慮する。非限定例には、アクリダイトまたは他のビニル基で官能化されたタンパク質、および接近可能な電子対を有する任意のマクロ分子が含まれる。
本発明は、今までのところ、入ってくる液滴のストリームに重合化試薬を噴射する局面で、液滴重合化を記載してきたが、本発明はこれに関して限定されるものではない。本発明はまた、図3に示される本発明の方法によって発生された液滴の重合化をも考慮する。この実施態様では、モノマー、開始剤、および任意のポロゲンを、取り込みに望ましい任意の種と共にサイドチャネルを通って噴射する。前記のように、本発明はフリーラジカル重合化に参加して、故に共有結合的に取り込まれるようになるか、または単に物理的なエンタングルメントによって取り込まれるようになるかのいずれかの任意の種の取り込みを考慮する。
本発明のさらに別の実施態様では、本発明のマイクロ流体法または他の類似のマイクロ流体法を使用して、DNA捕捉ビーズを伴うエマルジョンPCRからの液滴を噴射することにより、これ以外にエマルジョンを乱すことなく、1つずつで核酸を定量する。本発明のこの方法では、クローン性DNAの空間的共局在は、DNAをマイクロビーズに固定することにより保持されるが、依然液滴内では単離され、液滴をヒドロゲル粒子に変換することとは対照的である。本発明のバイインジェクタマイクロ流体機器か、または当業者に公知の液滴融合の任意の他のマイクロ流体法のいずれかを使用して、少数のビーズを液滴に、そうでなければエマルジョンを乱すことなく、噴射するであろう。本発明は当業者に公知の任意のDNAビーズ結合方法を考慮するが、しかしながら、DNAをビーズに固定するためのある特定の標準的な方法、例えばストレプトアビジン−ビオチン結合は、未反応のPCRプライマーを洗い出すことができないので、適さないかもしれない。ライゲーションローリングサークル増幅のような代替的な方法は、このような挑戦を打破することができる。一度クローン性DNAがビーズに共局在化されると、エマルジョンは破壊され、ビーズは洗浄され、標準的な蛍光ハイブリダイゼーションプローブまたはDNA配列特徴付けの任意の他の方法で調べられる。蛍光活性化セルソーター(FACS)内の蛍光色により、変異体DNAを野生型から識別し、変異の型を表すさらなるシーケンシング分析のために隔離することもできる。
本発明のさらに別の実施態様では、DNAの正確な配列が不確かである場合、ゲルマイクロ粒子内にDNAを取り込むための本発明の方法を、ハイブリダイゼーションによってDNA配列を分析するための新規の方法と組み合わせる。小さな遺伝子座内でDNAが変異している場合に、例えば肺癌に随伴するEGFRのエクソン19における可変性の欠失変異において、この状況はしばしば現れる。この方法では、異なる色の2つのハイブリダイゼーションプローブを使用する。1つのプローブは可変ドメインを重複し、別のプローブは隣接する保存ドメインを重複する。プローブは異なるフルオロフォアを有し、色の相関を使用して変異体と野生型とを識別する。野生型粒子は二色になるが、しかし変異体粒子は可変ドメインのためのプローブを欠く。粒子分類の間、単色の変異体粒子のみが収集される。この後、前記のようなシーケンシングによって正確な変異が同定される。このように、アンプリコンをゲル粒子に組み込むことは、幾分限定された伝統的な「ホットスポット」変異から分析され得る変異の型を有意に拡大して、可変領域を同様に含める。この方法は欠失単独に限定されず;付加および置換でもうまくいく。
[電子工学]
液滴融合を開始するために、マイクロ流体チップで電解質の導通を測定するために、供給電圧VDを、マイクロ流体インジェクタチャネルと流体接続している1つの電極に適用した。他のインジェクタチャネルと流体接続している別の電極を増幅器の入力に接続し、図14にて概略図を示す。増幅器は、入力で「仮想」接地をアサートする電流/電圧コンバータとして構成され、構成は当業者に周知である。従ってVDに等しい全電圧をマイクロ流体機器全体に適用した。VDは直線DC供給(GPS−3030D、Instek)から電力供給され、典型的には5から20Vの間の範囲で作動する。
マイクロ流体チャネル内の電解質の導電性が、液滴検出のための電気シグナルを条件付けるためのガイドとして推定された。50mM NaCl溶液をモデルと考え、導電性は1.8Ω・mであった。原型的なマイクロ流体設計の幾何学は3つの長方形セクション:マイクロ流体接合部、上流の、接合部への入り口、および離れたチップポートへの大きなコネクタ(幅、長さおよび高さがそれぞれ50μm、50μm、50μm;500μm、1000μm、50μm;および1000μm、104μm、200μm)として、200kΩのオーダーで予測される全抵抗に関して概算された。マイクロ流体チップ内の抵抗の大きさの評価のこのオーダーは、以下のように、電流のモニタリングに使用される電流/電圧コンバータにおけるフィードバック抵抗器の選択を誘導した。
図15はマイクロ流体回路内の導電性の変化を測定するために使用された電流/電圧コンバータを示す。低ノイズおよび低入力バイアス電流の高速操作増幅器(LT1793、Linear Technology)を当業者に周知の典型的なトランスインピーダンス構成で並べた。増幅器を各々供給入力において4.7および0.1μF平衡キャパシタで迂回させ、1MΩフィードバック抵抗器を供給し、16pFフィードバックキャパシタで安定した操作を補った。典型的な電流/電圧コンバータとして機能するが、マイクロ流体機器内の高い電気抵抗のために、マイクロ流体機器を含む完全な回路の周波数応答は実際には反転構成におけるフィードバック増幅器として動き(図14を参照のこと)、VDの入力「シグナル」は一定で、ゲインは変化する抵抗RC(マイクロ流体チップの抵抗)に伴って変動する。これにも関わらず、周波数応答を支配する第1の極はフィードバック成分であるRfおよびCfに起因し、予測されるロールオフは約10kHzであった。より高い周波数応答を得ることができ、Cfはより積極的に選択され、フィードバック抵抗は低減され、より早い増幅器が選択されるが、しかし低減された信号対雑音比のトレードオフが可能である。以下の液滴検出データで示されるように、信号対雑音比はかなり高く、必要に応じてより高い周波数応答のために余裕のあるヘッドルームが認められるようになった。従って、本明細書にて実証された約10kHzの応答は本発明に関して限定されるものではない。有意に早い応答が見込まれる。
第2の低域RCフィルターが増幅器出力に付属され、また10kHzのロールオフを伴い、増幅器入力からのノイズゲインの原因となる。入力の反転で現れるノイズを、非単一性のフィードバック分画のために増幅する。マイクロ流体チャネルを通る(Rc)および増幅器の入力キャパシタンスを通る(Ci)入力の反転からグラウンドへの平行経路はノイズシグナルのフィードバックを減衰させる。一連のキャパシタンス、CfおよびCiのために、ノイズ増幅は、シグナルに関するRfCfロールオフを超える周波数で存続する。従って第2のフィルターは最も高い信号対雑音性能に関して推奨されるが、しかし回路が、液滴検出のためのある特定の環境で、第2段階フィルターなしで十分に機能する可能性はある。従って本発明はこれに関して限定されるものではない。さらに本発明は導電性変化を測定するのに適した任意の電気的方法を考慮し、限定されるものではないが、電流測定機器として単純な抵抗器をわたる電圧を測定することが含まれる。
[マイクロ流体]
マイクロ流体機器を標準的なソフトリソグラフィを用いて製作し、これは当業者に周知の方法である。簡単には、SU−8(2050、Microchem)を滑らかなシリコンウエハ上に公称50μm厚でスピンコーティングし、透明度マスク(Cad/ART)およびマスクアライナ(MJB4、SUSS MicroTec)を使用して光パターン化した。スピンコーティング、UV曝露およびパターン開発をすべてクリーンルーム環境でSU−8に関する製造者の説明書に従って実行した。得られたパターン化されたウエハをポリジメチルシロキサン(PDMS)(Sylgard184、Dow Corning)に関する鋳型マスターとして使用し、真空脱ガスを使用して、マスター表面の硬化していないPDMSから任意の気泡を除去した。PDMSは65℃で、2時間で硬化し、流体接近のためのポートは硬化したPDMSを通して、0.5mm生検パンチ(Robins Instruments)で芯抜きされ、次にカバーグラスを即座に接着させ、続いてPDMSおよびカバーグラスの両方をプラズマ活性化した。FC−3283(3M)中1H,1H,2H,2H−ペルフルオロデシルトリクロロシラン(Alfa Aesar)(1:100容量/容量)を、チップを通じて、シリンジポンプ(14−831−200、Fisher Scientific)により推進し、ID油(以下の油組成物を参照のこと)で洗い出して、油中水エマルジョンを発生させ、取り扱うのに適した疎水性表面を創成した。
2つのマイクロ流体設計を実証し、一方は液滴発生のため、他方は液滴融合ためのものである。単純には、第1の設計を全体にわたって液滴発生器と称し、第2の設計を全体にわたってバイインジェクタと称する。しかしながら、各設計は両方の機能を実施することが実証された。このような名称は本発明において何ら限定を意味するものではない。
液滴発生器は図16にて示され、1つの場所で交差する4つのチャネルを含む。チップを通して芯を抜かれた外側のポートからこの交点までの流体送達は当業者に周知の技術によって達成された。相対的に大きな横断面を伴うアクセスチャネルは、ポートから交点までの距離に及んで、流体力学および電気抵抗の両方を限定するが、後者は適用可能な場合である。機器全体にわたるチャネルの深さは公称50μmであった。図16において左から交点に入るメインチャネルの幅は50μmであり、上端部から交点に入るインジェクタチャネルの狭いオリフィスおよび底部は20μmであった。各チャネル内で意図される流れの方向は図16において矢印によって表示される。この機器での液滴の発生のために、連続油相が左チャネルから交点に推進され、2つの連続水相が上端部および底部から交点に推進される。混合された相流体はチャネル中で交点から右に出現する。
水性チャネルは交点に入る急な先細りを特色とする。突然の狭窄までの広いチャネルはこれらのチャネルの流体力学および電気抵抗を最小にし、とりわけ液滴検出のための電気的信号対雑音比測定を最大にするために重要であるが、しかしある特定の操作のモードで水性噴射速度を最大にするためにも重要である。急な開口を特色とする交点の流出口は出口ポートに対して低い流体力学的抵抗を提供する。機器操作に必要ではないが、固定圧力境界条件で流速を制御する場合、低い下流抵抗は、異なる上流チャネルの流れの間のクロストークを最小にする。簡単には、下流抵抗を最低限にすることは、いずれかの流入チャネル内の流れを変化させることによって引き起こされる、交点での任意の圧力変化を低減させる。例えば、図16の左からの油流速を増加させることは、交点での圧力を上昇させるであろう。固定圧力条件下では、上端部および底部水性チャネルをわたる全体の圧力降下は、交点での圧力増加に伴って低下し、これらのチャネルを通る流れを低減させる。このクロストークの程度は相対的な上流および下流の抵抗に依存する。この実施例に関して、下流抵抗を低くすることは、機器において何ら制限を意味しない。より高い下流抵抗は当業者に周知の多くの方法のいずれかによって容易に適応させることができ、限定されるものではないが、修正抵抗器モデリングおよび固定流速境界条件が含まれる。ある特定の実例では、より高い下流抵抗が有利かもしれない。例えば、出口チャネルに類似の幅の、相対的に長いチャネルは、油からの界面活性剤が、液滴の水−油接触面で成熟する時間を許容するための設計に含まれ得る。
図17は、液滴発生またはエマルジョンの再噴射のいずれかのための、余分な上流の特色(81)を伴うバイインジェクタ(83)マイクロ流体設計および下流のサーペンタインミキサー(84)を示す。図17の矢印は意図される流れの方向を表示する。チャネル幅(85、86、87および88)は50μmであり、フレア82から下流は75μMに広がり、バイインジェクタ(83)に入り、次に離れる(84)。標的チャネルの深さはマイクロ流体層全体にわたって均一に50μmであった。以前の設計と同様に、低抵抗アクセスチャネルはこれらのチャネルをチップの外側のポートに接続した。
バイインジェクタ(83)は図17の左から入ってくる液滴のストリームを受け、これは液滴発生器またはエマルジョンリインジェクタのいずれかとして機能できる上流の「X」形特色に由来する。このマイクロ流体構造は当業者に周知であるが、簡単には、両方のモードで、連続油相は上端部および底部チャネル(86)から交点(81)に到着する。液滴発生器モードでは、連続水相は左チャネル(85)から交点(81)に入り、油により空間を空けられた均一のサイズの液滴のストリームに分散される。水相の分散は交点(81)内の流体歪みに起因し、周期的に交点に突き出る水相の塊の表面張力を打破する。エマルジョン再噴射のためのモードでは、詰め込まれた油中水エマルジョンは左からチャネル(85)を通って交点(81)に推進される。再噴射チャネル(85)の横断面は、液滴のエクアトリアルな横断面に合わせて、意図的に十分に小さく、エマルジョン内の液滴が交点(81)に一列縦隊で到着するようになる。このモードでは、適切に釣り合った流速で交点(81)に到着する液滴は、交点内の流体歪みを乗り切り、無傷で出現するが、しかしチャネル(86)からの少量の油によって互いに分離される。上流の「X」形特色(81)は液滴発生器またはエマルジョンリインジェクタのいずれかとして代替になるものとして記載されてきたが、この機能はこれらの役割に限定されるものではないことは理解される。油で空間を分けられた液滴を下流のバイインジェクタ(83)に送達するような、この特色を操作する任意の方法が、本発明によって考慮される。代替の一例としては、(81)に到着する詰め込まれたエマルジョンからの液滴を交点内の流体歪みによってなおさらに小さい液滴に分けることができる。このハイブリッド機器はエマルジョンリインジェクションおよび液滴発生の両方を同時に実行し、概して当業者には液滴スプリッタとして公知である。さらに特色(81)自体は本発明を支持するために必要ではない。油の連続相内に分散された水性液滴のストリームを送達する任意の方法が考慮される。本明細書にて実証された非限定例に関しては、さらに以下に従って、特色(81)を液滴発生モードで操作した。
本明細書のこの実施例では、(81)から通じるチャネルはバイインジェクタ(83)に入る前に広くなる。チャネルにおけるこのフレアはバイインジェクタ操作には不必要であるが、インジェクタ内のサイドチャネルからのより大きな容量の噴射を促すことができる。いかなる理論にも束縛されるつもりはないが、マイクロ流体交点内で発生できる液滴サイズの範囲は、「X」形でも、「T」形でも、そうでなくても、概して交点のサイズに対応する。故に、フレアなしでは、これ以外は類似の操作条件下で、サイドチャネルから到着液滴に噴射される最大容量がより小さくなるであろうということが見込まれる。換言すれば、フレアは最終融合液滴内で噴射される流体の容量分画を増加させることを意図し、性能特性はこれ以降「噴射能力」と称する。
図17において、連続水相は、上端部および底部チャネル(87および88)からバイインジェクタ交点(83)に到着する。交点(83)でのこれらのインジェクタチャネル(本明細書ではサイドチャネルとも称される。)の口はこの設計では先行の設計(図16)での20μmから50μmまで広くなり、また設計の目標はより大きな噴射能力を達成することである。フレア(82)およびより広いチャネル(87および88)の組み合わせは噴射能力の改善に成功した。図17における機器は規定通りに全容量の2/3を超える噴射された流体の容量分画を生じたが、一方図16における機器は最終容量の半分に近づくのでさえやっとであった(データは示さず)。
本発明によって考慮されるバイインジェクタの非限定的な適用では、インジェクタチャネルは一度液滴に融合すれば混合時に反応する別々の溶質を含有する。サーペンタイン特色(84)が下流に付属されて、液滴混合を促し、結果的に反応を加速させるか、またはこれらをさらに均一化した。このマイクロ流体特色は当業者に周知である。
[器具]
以下の非限定例では、マイクロ流体チップ内の流れは固定圧によって推進される。他の方法では、例えばシリンジポンプからの明らかな流体「振動」が最低限になるか、または排除されるので、固体圧が概して液滴適用に好ましい。しかしながら、本発明はこれに関して限定されるものではない。流れを推進する任意の方法が考慮されるが、ある特定の状況では、適用が下流で高い流体力学抵抗を必要とし得るので、特に固定された流速の使用が含まれる。これらの場合には、流れの安定性とクロストーク(前記)との間のトレードオフは、代わりに固定された流速条件を好むかもしれない。本明細書の実施例では、下流の抵抗は十分に低く、固定圧が好ましい。また、固定圧はしばしば遂行するのに経費がかなり安い。
マイクロ流体チップの各ポートに推進される異なる流体を標準的な1.8mL低温チューブ(ArcticIce、USA Scientific)に充填した。最初にこれらの「クライオバイアル」のキャップに穴を開けて、2本のチューブ、および場合により電極ワイヤを収容し、次いでチューブおよびワイヤを適切な深さに挿入し、最後に集合体を、多めの量の、一般的な5minute epoxy(Devcon)で密閉した。各クライオバイアルに入るチューブの1つ(1/32”ID、1/16”OD、PTFE)は圧力源であり、一方の末端で圧力マニホルドに接続され、クライオバイアル中の流体上の空間の他方の末端で終わり、任意のバブリングを回避した。他のチューブは加圧された流体をチップに送達し、クライオバイアルの底部の流体内の一方の末端で終わり、他方の末端のPDMSマイクロ流体チップの芯抜きされたポートに圧入した。電極ワイヤは、存在する場合、プラチナであり、キャップの上に十分突き出て、標準的な電気コネクタにクリップで留めた。他方の末端で、電極をクライオバイアル内の電解質流体に浸漬して、電気化学的に接触させた。4つの異なるクライオバイアルの各々を別々の試薬で充填し、キャップアセンブリできつく密閉して、以下で実証される実施例で使用した。Bongら(Lab Chip,11,743−747)に詳記される設計に従う簡単な自家製の圧力マニホルドは、4つのクライオバイアルの各々に関して独立した圧力制御を提供し、0から10psiの範囲であった。圧力ゲージを各系列に加えて、独立してモニタリングした。
マイクロ流体機器内の液滴運動状態の画像およびムービーを、自家製顕微鏡および特別注文のストロボ照明を使用して記録した。顕微鏡は主に、10×対物レンズ(CFI LU PLAN EPI 10X、Nikon)、鏡筒レンズ(AC254−200−A、ThorLabs)、カメラ(Guppy F−046、Allied Vision Technologies)、ならびに組み立ておよび焦点合わせのための様々なオプトメカニカルハードウェアから構成された。サンプルの背面照明のための個別のLEDを対物レンズの光軸に沿って並べた。特別注文設計の電子回路はLEDの短時間20μsストロボをカメラの長時間曝露と同期化して、液滴の高速撮像を可能にした。そうではなくてストロボ照明なしでは、低価格カメラでは一般的である長い最低曝露時間のために、液滴は画像において縞として現れるであろう。カメラおよび商業用フレームグラビングソフトウェア(VIMBA SDK、Allied Vision Technologies)によって支持されるFireWireを介するインターフェースで、カメラをパーソナルコンピュータに接続した。
典型的な操作条件下で、相対的に低い16Hzのカメラのフレーム速度と組み合わされて、本明細書で使用されたストロボ照明の1つの結果は、各液滴に関して、唯一の画像が可能であったということである。フレームの間の時間に1つの画像からの液滴は視野から出て、次の画像のための新しいもので置き換わるであろう。これにも関わらず、流れを推進するための使用している固定圧から非常に安定した流速を巧みに利用して、液滴運動状態の超高品質動画撮影が得られた。高流速安定性が、非常に均一な液滴発生速度に転換された。本明細書の擬似高速動画撮影を送達するために使用された技術は、液滴発生または融合速度を調整するためであり、このために特徴的な液滴頻度はカメラのフレーム速度の整数倍で、次にほんの少し埋め合わせされた。相対頻度が互いに完全な相にある場合、次いで1つの液滴は連続的な画像において理想的な位置で他のものと置き換えられるであろう。この条件は実際には容易に達成され、動画は静止画像として現れ、安定した発生/融合速度のみならず、安定した流れの結果として、液滴サイズにおける高い均一性をも表示することを証明した(データは示さず)。流速をわずかに調節して、液滴頻度とフレーム速度との間に小さな相シフトを加えた場合、連続的な各一連の液滴は画像フレームの短い距離を置き換えたように思われ、結果的にゆっくりした動きが現れる。この研究法を本明細書では擬似高速動画撮影と称する。
[液滴発生]
図18は、図16のマイクロ流体機器および前記したような器具を使用する液滴発生を示す。図18の3つのパネルは、液滴発生における3つの主要な工程の間の擬似シーケンシャル事象を示す。前記したように、ストロボ照明法は当業者に周知の高速動画撮影の安価な代替であり、液滴運動状態を特徴付けするために広く認められている。明確にするために、これ以降、液滴発生における事象は、連続的な画像が、創成の前、間および後に、個々の液滴の運動状態をあたかも捕捉するかのように記載する。実際の画像が、これらの段階の間の異なる液滴を示すことは理解されるが、しかし個々の液滴に関する運動状態は、合理的に同一であると予期される。図18の第1のパネルの矢印は流れの方向を表示する。図18において、上端部でチャネルからの流体交点に到着した連続油相、および2つの異なる連続水相は左および右から交点に推進される。連続相に分散された個別の水性液滴を含有する混合された相の流れは図18の交点から底部に向かって出現した。
液滴発生の第1工程では、液体(89)の2つの塊が図18の左および右チャネルから出現した。油相からの流体歪みが、これらの塊が出現したときの塊の形状を変形させたが、しかしながら、これらは2つの塊が接触し融合する前にはちぎり取られなかった(90)。以下で詳記するように、2つの塊の間での電場の適用は融合を促した。最後に、一度融合した塊がしきいサイズまで成長すると、これは、油からの流体歪みの下で、左および右両方のチャネルからちぎり取られ、個別の液滴(91)を生じた。この過程を連続して繰り返して、均一なサイズの水性液滴の定常的なストリームを発生させた。
3つの異なる目的のために、前記した回路を使用して左および右チャネルにわたって適度な電圧を適用した(図14も参照のこと)。水相は10mM Trisバッファー(pH8.0)、1mM EDTAおよび50mM NaClを含有し、従って余裕のある電気伝導性を有して、前記のマイクロ流体回路の抵抗器モデルにおいて記載したような適度な電圧でマイクロ流体機器を通して電流を運んだ。電場の第1の目的は、発生の交点に出現する水性流体の2つの塊の間の接触を可能にすることであった。電場なしでは、これらの流速条件下では2つの塊は概して接触せず、この流速条件はこれ以外は、電場が適用されたときに液滴発生に適した。むしろ図18の左および右チャネルは自発的に、2つの独立した「T」形液滴発生器として作動したが、互いに交替でき、最初に一方が液滴を発生し、次いで他方が液滴を発生し、また最初に戻るであろう。いかなる理論にも束縛されるつもりはないが、本明細書の液滴発生器に類似する機器での並行した液滴発生は、自発的に交互的な液滴発生を採用するが、なぜならこの条件が交点内のピーク圧を最小にするためである。従って、液体の2つの塊の間で電場を適用する主な目的は、2つの塊の間に求引性の電気力を提供することによって自発的な交互性を打破することである。電場に誘起される融合の間に、出現する2つの液体の塊の間の絶縁ギャップ(図18の89)は平行平板キャパシタのようにエネルギーを与える:電流は外部から適用された電圧から機器に流れ、結果的に2つの表面での荷電蓄積をもたらす。一方の表面は漸増的に正に荷電し、他方は負に荷電するようになる。絶縁ギャップをわたる電圧が供給電圧を埋め合わせるまで荷電は蓄積する。一方の表面での正の荷電および他方の表面での負の荷電がクーロン引力を経験して、2つの表面間で引力を生成し、これは交互的な作動を通して自己排除する自発的な傾向を打破することができる。この実施例での機器は、交互的な作動を打破するために約10Vを必要とするが、しかしながら、作動におけるヒステリシスが観察された。一度融合が確立されると、約4Vまで下げて低電圧で維持できるであろう。この閾値を下回って電圧を低減させることは、液滴発生を交互的に戻し、次に融合機能化を回復するために、最大限の10Vが再度必要とされた。いかなる理論にも束縛されるつもりはないが、ヒステリシスを、この系を同期化するための余分なエネルギーの要求として理解できる。しかしながら、一度同期化すると、定常的な作動を維持するために、あまりエネルギーを必要とされない。
前記されたように、電場に関する第2の目的は、2つの水性接触面の研究法を妨害する任意の界面活性剤層を通って穴を開けることである。本明細書の実施例では、そうではなくて、融合の成功を阻む、優勢な効果は、交互的な流れであった。交互することを打破する、すべての適用電圧はまた融合を誘起するのに十分であった。従って、この実施例では、界面活性剤安定化の影響力は直接的に観察されなかったが、交互することを打破する表面での荷電蓄積はまた境界不安定化に十分であったと仮定される。
電場に関する第3の目的は、液滴測定の電気的方法を提供することであった。図19は、図18に関する条件と類似の条件下で液滴発生の間に図16のマイクロ流体機器を通って流れる電流を示す。電流を前記した電気回路によって測定した(図15もまた参照のこと)。液滴発生の間に電解質ブリッジ(90)の形成と同時発生する周期的な電流のバースト(92)をデジタル保存オシロスコープで記録した。電気シグナルのこの解釈を確認するために、マイクロ流体系を、カメラフレーム速度を下回る非常に低い液滴発生頻度で推進して、個々の液滴の運動状態が、ブリッジ形成の前、間および後に観察されるようになり、この一方でこれらの事象を電気的測定と相関させた。より高い発生頻度では、撮像システムの時間分解能が個々の液滴を追跡するには不十分であった。これにも関わらず、電気的研究法によって測定された頻度はまたビジョンシステムからの予期とも一致した。ストロボ動画撮影は、電気システムによって測定された頻度で液滴を発生したときはいつも、見かけの静止動画を示して、動画フレーム速度の整数倍に等しかった。またこれらの静止動画は整数倍でのみ起こった。電気的測定の最も単純な解釈は、電流の各バーストは液滴発生器中のマイクロ流体交点をわたる電解質ブリッジの形成に起因する。発生した液滴あたり1つのブリッジが形成されるので、電気的測定により、頻度測定および液滴計数のために本明細書で使用された液滴発生の直接観察が提供される。例えば図19にて示されるプロットでは、8個の完全な液滴発生事象を約23分に及んで記録し、約350Hzの液滴発生頻度に転換した。
この実施例に関する推進圧はチップの条件、標的操作頻度、および望ましい液滴サイズに依存して3から8psiの範囲であった。概して、油系列のより高い圧力は、交点における増加した流体歪みのために、より高い頻度でより小さな液滴を好み、より高い水性流速度はより大きな液滴を好んだ。故に、油および水性流速を変化させることにより、液滴サイズおよび発生頻度を調整することが可能であった。水相の相対流速を変化させて、異なる液滴組成物を生じることも可能であった。
本明細書および実施例全体で使用された油相は、SchutzeおよびGlokler(Lab Times,1,50,2011を参照のこと)からの配合に従って、73%Tegosoft DEC(Evonik)、20%鉱物油および7%ABIL WE(Evonik)を含有した。この油は全体にわたってID油と称される。
[液滴融合]
図20は、図17のバイインジェクタマイクロ流体機器および前記したような器具を使用する液滴融合を示す。最も左のパネルの矢印は流れの方向を示し、6つのパネルは、以下のような液滴融合における3つの主要な工程の間の擬似シーケンシャル事象を示す。最初に、連続油相内で単離された分散された水性液滴が、底部チャネルからバイインジェクタ交点に到着した(図20における3つの最も左のパネル)。同時に2つの液体の塊がインジェクタチャネル(図20における左および右のチャネル)から交点に出てきて、入ってきた液滴と融合して、2つの水性インジェクタの間で一過性のブリッジ(93)を形成した。この後直ぐに流体歪みが表面張力を打破し、組み合わされた塊が水性インジェクタからちぎり取られ(94)、元来の液滴に左および右チャネルから余分に噴射された流体容量を加えた全てのものを含む、より大きな液滴(最も右のパネル)を生じた。
図20では示されていないが、バイインジェクタからの上流で、「X」形のマイクロ流体成分が液滴発生器として動作して、油および分散された液滴の両方をバイインジェクタに供給した。バイインジェクタに供給された液滴の大きさおよび頻度は、当業者に周知のガイドラインに従って、水相および油相の流速を変化させることによって制御した。水性インジェクタの流速を、バイインジェクタ交点に到着する各液滴がインジェクタ流体の2つの突き出た塊と遭遇し、融合するように、釣り合わせた。
入ってくる液滴すべてが噴射流体と遭遇するわけではないように、インジェクタからの流速をより低く設定することは可能であった(データは示さず)。この操作モードでは、噴射流体を「スキップした」各液滴は、このうちに噴射塊が交点にさらに伸長してきているであろうために、スキップしてとばすことができなかった別のものによって即座に追随されるであろうから、液滴融合は、融合された液滴と融合されていない液滴と交互になる。融合とスキッピングとの間の推移は非常に鋭敏であった。融合とスキッピングとの間の無作為な動揺によって特徴付けされる2つのモードの間の推移点で、流速の正常な変動内で系を維持することは困難であった。推移はまた、以下に記載される電気的測定を使用して、融合頻度において2分の1になる急な降下として明確に認識できた。インジェクタ流速をさらに低下させることにより、または液滴到着速度を増加させることにより、より高いオーダーのスキッピングが可能である。
他方で、インジェクタからの流速が、液滴到着速度に相対してあまりに高く設定された場合、次いで反対の現象が起こる:インジェクタ流体が互いに遭遇して、最初に融合塊を形成し、これは意図された液滴の到着の前にちぎり取られる。操作のこの「オーバーシューティング」モードでは、前記の実施例のように、インジェクタは単純な発生器として半分機能し、他の半分は融合機器として機能する。この操作モードはまた電気的検出によっても識別できた:インジェクタ間の流体ブリッジの持続時間は標的液滴の存在に依存して変化し、結果的に異なる幅の電流のバーストが交互になる(データは示さず)。もちろん、流速を変化させることから、他の可能な操作のモードがあり、例えば、一方のインジェクタで他方よりも速い流れを伴う非対称噴射がある。本発明は、バイインジェクタ交点に及ぶ一過性の流体ブリッジに至る任意の操作を考慮するが、しかしながら、最も直接的な操作は図20における1対1対応の噴射である。スキッピングとオーバーシューティングモードとの間の1対1対応の噴射のための流れの条件のかなり大きな開き(window)があり、これにより融合された液滴が3つの水性供給源からの有意に異なる流体の分画と配合されるようになる。故にバイインジェクタ機器は液滴運動状態に関して共に安定であるが、また配合の変化に順応するために操作は適応性もある。
この実施例では、油相およびすべての水相は、液滴発生に関する前記と同じであった。典型的な操作電圧は10から20Vの範囲であった。流れを推進するために使用された圧力は2から8psiであった。
図21は、液滴発生に関する前記と同様に実施された電気的測定を示す。明らかに識別される電流のバースト(95)が、液滴融合事象と同時に起こり、ビジョンシステムとは独立したマイクロ流体機器内で融合作業の直接的な測定ができるようになった。以前の通り、ストロボ照明を使用して、電気系によって測定されるような、見かけの静止動画と同時に起こったこれらの融合頻度を同定した。再度これらの頻度は動画フレーム速度の整数倍であり、電流バーストを融合事象に起因するとする解釈を確認した。前記の液滴発生のように、融合液滴からの電気的シグネチャは、液滴融合頻度、液滴計数、前記したような「スキッピング」および「オーバーシューティング」モード、デューティーサイクルからの相対的な水性分画対油性分画、流速÷頻度からの入ってくる液滴容量、ならびに他の性能パラメータを表すことができる。本発明は電子シグネチャが表すことができる情報の型に関して限定されるものではない。
[マイクロ粒子合成およびDNA取り込み]
複雑な生化学的反応を実施するための、バイインジェクタの適応性の非限定例として、図17のバイインジェクタ機器を使用して、共有結合で結合したDNA分子を含有したヒドロゲルマイクロ粒子を合成した。以下のように、これらのミクロゲルは液滴内で合成され、液滴は図17のバイインジェクタ機器を使用して配合された。
上流の液滴発生器によって分散される(85)の水相は、DNA、pHバッファー、電解質および界面活性剤の混合物を含有した。合成ErbB3遺伝子フラグメント(gBlock、IDT)のPCR増幅によりDNAを合成し、PCR増幅には従来の順方向プライマー(IDT)、Acrydite(商標)部分を含有した逆方向プライマー(IDT)、PCRマスターミックス(TaqMan Universal Master Mix II、Life Technologies)を用い、dNTP(0.2mM、PCR Nucleotide Mix Plus、Roche)を補充し(核酸配列に関しては表1を参照のこと)、以下の熱サイクリングパラメータを使用した:95℃で10分、ホットスタートで60℃で1分、次いで95℃で15秒の31サイクル。増幅生成物のゲル電気泳動(2%アガロースゲルを伴うE−Gel Go!、Life Technologies)によって、予期される位置で単一のバンドが表され、蛍光定量法(dsDNA BRアッセイを用いるQubit2.0、Life Technologies)により測定されたDNAの濃度は2.3μg/mLであった。当業者に周知の方法に従って、実際に合成されたものよりも大きな、ErbB3遺伝子のセクションを使用して、オンラインPrimer3ソフトウェアでプライマーを設計した。むしろ、プライマー選択の後、実際に合成された遺伝子のセクションはプライマーのみに広がるようにトリミングされた。増幅されたDNAを何らさらに精製することなく使用し、チップ内で動作するためにバッファーに希釈した。バイインジェクタに入る液滴の最終組成物は、PCR混合物からの消耗されていない残余物を無視して、0.3μg/mL DNA、8.7mM Tris(pH8.0)、43mM NaCl、2.6mM MgCl2、および0.4%Tween−20であった。
反応性の、プレポリマー混合物、モノマーおよび化学的開始剤の半分ずつを、2つの異なるインジェクタ(87および88)に分けて、エマルジョン化の後まで重合化を阻んだ。モノマー溶液は12%19:1アクリルアミド/ビスアクリルアミド、7mM Tris(pH8.0)、35mM NaCl、2.1mM MgCl2、0.35%Tween−20、および100mM過硫酸アンモニウム(APS)を含有した。開始剤溶液は200mMテトラメチルエチレンジアミン(TEMED)、10mM Tris(pH8.0)、50mM NaCl、3mM MgCl2、および0.5%Tween−20を含有した。アクリルアミドモノマーおよびAPSを1つの溶液に組み合わせたが、まだTEMED触媒なしでは重合化を開始しなかった。作動中のマイクロ流体の伸長期間の間の活性化された開始剤機能の任意の喪失を阻むために、APSおよびTEMEDをこの方式で分離した。過硫酸塩は、硫酸塩への電気化学的還元を受けやすく、レドックス中点電位は2.1Vである。本明細書で使用される有意により高い電圧でのAPS還元の任意の意図されない結果を阻むために、APSを含有する溶液が、カソードでの還元環境の代わりにアノードの酸化環境内で保護されるように、電気回路の極性を設定した。
前記の3つの水相およびID油内に器具を装着し、前記の液滴融合に関して記載されたように操作した。目測で、画像において突き出た液滴領域に基づいて、各水性流体の等量が最終融合液滴に融合されるように流速を調節した。名目上の得られた反応混合物は、4%19:1アクリルアミド/ビスアクリルアミド、70mM TEMED、30mM APS、0.1μg/mL DNA、10mM Tris(pH8.0)、50mM NaCl、3mM MgCl2、および0.5%Tween−20を含有した。液滴を100Hzの速度で融合し、バイインジェクタにわたって20Vを適用し、流体推進圧は2.5と5.0psiの間であった。液滴を2時間収集し、さらに2時間で重合化を完了させた。
約0.5mLのエマルジョンを収集し、1−ブタノール、および10mM Tris(pH8.0)、1mM EDTA、および0.5%Tween−20(TETバッファー)を含有する水性バッファーの各々0.5mLを添加することにより、エマルジョンを破壊した。混合の後、破壊されたエマルジョンを200×gで30秒間遠心して、2つの明確に区別できる相を生じ、これには可視的な大きなペレットが含まれた。ペレットを、ピペッティングによって低相に穏やかに再懸濁し、次に低相を吸引し、上相を捨てた。ペレットを1mLのTETで2回洗浄し、この間に遠心し、次に0.5mLのTETに再懸濁した。弱拡大明視野顕微鏡により、精製された粒子を簡単に検査して、多数の円形が粒子と合致することが表示された。
陰性対照実験として、DNAを伴わないこと以外は、前記と同じ手順を繰り返した。粒子の各型の小アリコートを、二本鎖DNAのための非特異的蛍光染色剤である1×SYBR Green(Life Technologies)と共に挿入した。粒子を反転エピ蛍光顕微鏡(IX81、Olympus)で、蛍光フィルター(ET480/40x励起、ET535/50m発光、T5101 pxrxt BS二色性、Chroma)および高効率蛍光撮像カメラ(Insight、SPOT Imaging)を使用して撮像した。DNAを伴わない陰性対照では、粒子は明視野照明下で明白であったが、しかしながら、これらは蛍光撮像によっては完全に不可視であった。この結果により、アクリルアミドヒドロゲル自体の非特異的蛍光染色はないことが確認される。対照的に、DNAを含有する粒子は、洗浄に関わらず、明るい蛍光であった。逆方向プライマー上のAcrydite(商標)部分は熱に安定であり、プライマーの伸長を乗り切り、二本鎖PCR増幅生成物(略してアンプリコンと称される。)になるはずである。しかしながら、Acrydite(商標)は、アクリルアミドのゲル化のメカニズムであるフリーラジカル重合化の間、反応性であり、従ってアンプリコンは重合化の間、Acrydite(商標)リンカーを介してアクリルアミドヒドロゲルに共有結合によって組み込まれるようになると予期された。これまでに提示された証拠は、アンプリコンが単にミクロゲル内に巻き込まれたという可能性を排除することができないが、DNAのSYBR染色への容易な接近しやすさにより、ゲル内の可動性の程度が高いことが示唆され、これはまたDNAの粒子からの拡散を許容するであろう。共有結合的連結のより強い証拠は、DNAを同定するための配列特異的ハイブリダイゼーションを使用する次の実施例で提示される。
粒子が確かに半硬直性の固体であったことを実証するために、DNA粒子を含有するスライドを短時間乾燥させた。図22は、乾燥したスライドの蛍光画像を示す。乾燥させる前に、粒子を単分散させ、スライド表面にわたって無作為にばらまいた。乾燥の間に、後退する水のメニスカスが粒子を運び、最終的には一緒に集まって、図22で明白な集塊になった。粒子が半硬直性でなく、代わりに洗浄を乗り切った一種の残りの混合相液体状態である場合、次いでこれらが本明細書の乾燥過程の全体にわたって完全に無傷で乗り切る可能性はより高い。
[ヒドロゲルマイクロ粒子内のDNAジェノタイピング]
ヒドロゲルマイクロ粒子に取り込まれたDNAの配列を蛍光ハイブリダイゼーションによって同定した。以前の実施例で製作された両方の型の粒子(+/−DNA)を、一方は完全に対応する配列を伴い、他方は無視できる配列類似性を伴う、2つの異なるハイブリダイゼーションプローブを別々に用いて分析した。以下に詳記するように、対応する配列を伴うプローブは成功裏にヒドロゲル内に含有されるDNAを同定した。この非限定例は、本発明の方法を使用して、標準的な溶液状態の生化学を使用して創成されたヒドロゲル内に取り込まれたDNA配列を特徴付けする能力を実証する。アンプリコンはゲルの足場内に共局在したが、なおこれらは従来の形態のDNA特徴付けに利用可能なままである。
各実験条件に関して150μLアリコートの粒子を200×gで1分間沈降させて、10mM Tris(pH8.0)、50mM NaCl、3mM MgCl2、および0.5%Tween−20を含有する300μLのハイブリダイゼーションバッファーに再懸濁した。次の工程で、取り込まれたDNAを、融解し、ゲルマトリクスに共有結合によって結合していなかった相補鎖を洗い出すことにより、ハイブリダイゼーション用に調製した。ErbB3鋳型DNAを増幅するための逆方向プライマーのみが、ゲルマトリクスへの共有結合的組み込みのために必要なAcrydite(商標)部分を含有した。従って、この工程の後に、逆鎖のみが粒子の内側に残るであろうと予期された。再懸濁された粒子をロータリーシェーカー(BioShake IQ、QUANTIFOIL Instruments GmbH)中90℃および1200rpmで30分間を2回インキュベートし、各インキュベーションの後に1mLのハイブリダイゼーションバッファーで2回洗浄し、再懸濁して300μLに戻した。
次いで粒子を1μMのプローブに対して58℃および1200rpmで2時間、回転混合しながらインキュベートした。プローブを当業者に周知の方法により設計し、IDTにより合成した。IDT Biophysics v1.00およびmFold(Zukerら,Nucleic Acids Res.,31(13),3406−3415,2003)を使用して融解温度を決定し、それぞれの二次構造を回避した。ハイブリダイゼーションの後、粒子を熱ハイブリダイゼーションバッファー(58℃)で2回洗浄して、非特異的結合を回避し、再度、300μLの熱ハイブリダイゼーションバッファーに再懸濁した。ヒドロゲルマトリクス内からの任意の非結合プローブを除去するために、次いで粒子を回転混合しながら、58℃および1200rpmで30分間を2回インキュベートし、続いて熱ハイブリダイゼーションバッファーで2回洗浄し、この後300μLの熱ハイブリダイゼーションバッファーに再懸濁した。
図23は4つの異なる粒子調製物(+/−DNAおよびErbB3/MLH−1プローブ)の蛍光画像を示す。前記したように蛍光顕微鏡法を実施し、各サンプルに関して同じカメラ設定を使用して、画像を捕捉して(2秒間曝露、ゲイン=1および4×4ビニング)定量的比較をできるようにした。すべての粒子がいくらかの量の蛍光を呈したが、しかしながら、配列特異的ErbB3プローブによってプロービングされたDNA(+)粒子は他のものよりも目測で明らかに有意に明るかった。蛍光強度分析のために、図23における各画像からの5つの類似するサイズの粒子を選択することにより、異なるハイブリダイゼーション反応の定量的比較を実施した。類似するサイズの粒子を選択して、任意のサイズ関連のアーチファクトを回避した。以下に詳細に論じるように、選択された粒子は無傷で、完全なサイズの液滴から由来する可能性が最も高い。
図24は分析用の単一の粒子の選択を示す。線形プロファイルに沿った画像強度(図24における挿入)を、ImageJ画像分析ソフトウェア(米国国立衛生研究所)を使用して記録し、ピーク強度が中程度の放物線形の強度プロファイルを表した(図24におけるプロットの実線)。強度プロファイルは、ベースラインを引いた後、式:
のピタゴラス関数に優れた適合(図24におけるプロットの点線)を生じ、ここでBはピーク蛍光強度であり、Aは粒子の半径であり、x
0はx方向での中心のオフセットである。粒子エリアの外側の線形プロファイルの平均からベースラインを決定した。各選択された粒子に関して、カイ二乗最小化のためにカスタムソフトウェアを使用して、A、Bおよびx
0パラメータスペースのグリッド検索によってベストフィット分析を実施した。分析された各粒子に関して優れた適合が見出された。ピーク強度の値であるBは粒子の各型に関する平均であり、図25にて提示され、そこでエラーバーはBの標準偏差を反映する。対応するプローブを用いるDNA(+)サンプルのピーク強度は、実験的不確実性内で、他のものよりも有意に明るく、ミスマッチプローブの有意な非特異的会合はなかった。ミスマッチプローブの強度は、実験的不確実性内で、DNAを伴わない陰性対照粒子と弁別できなかった。これらの結果は蛍光ハイブリダイゼーションによるヒドロゲル内に取り込まれたDNAの配列特異的同定を実証する。
前記のピタゴラス関数の適合度は粒子全体にわたる均一なハイブリダイゼーションと合致する。均一なハイブリダイゼーションにより、蛍光強度は球形の粒子の横断面の関数にちがいないことが予測され、ピタゴラス関数に従って、中央部で最大で、周縁部でゼロまで降下する。対照的に、例えばゲルが相対的にハイブリダイゼーションプローブに不透過性であった場合、次いで大抵の蛍光染色は表面で起こるであろう。この場合、球形の外殻の最大横断面は周縁で起こり、中央部で最小になり、各末端でホーンを伴う強度プロファイルが予測される。粒子全体にわたる、アンプリコンDNAのハイブリダイゼーションへの見かけの接近しやすさは、アンプリコンが共有結合していることを強く示唆している。第1に、効率的なハイブリダイゼーションは、相補鎖が除去されていることを必要とし、第2にこれは、ハイブリダイゼーションプローブが粒子全体にわたって相対的に自由に拡散することを必要とする。相補鎖およびハイブリダイゼーションプローブの両方が粒子内を自由に移動でき、しかも類似のサイズの逆鎖がゲル内で幾分制限されているということはほとんどあり得ない。本明細書における結果の最も単純な説明は、逆鎖がAcrydite(商標)部分を通じて共有結合しているということである。
液滴基盤のマイクロ流体の1つの利点は、典型的に生成された液滴サイズにおける高度な均一性である。実際に、本明細書のバイインジェクタから出現する液滴はまたサイズが非常に均一に見えた。しかしながら、本発明に無関係の単純な設計の欠陥のために、出口ポートに近いバイインジェクタから下流ではチャネルは部分的に崩壊した(データは示さず)。結果的に、融合された液滴の幾つかの分画はより小型の液滴に剪断された。液滴サイズのこの分布は、図23の画像における粒子の検査で明白である。1つのサイズの粒子が圧倒的多数であり、このサイズは本明細書の強度分析のために選択され、より小さいサイズの広い分布およびかなり大きい唯一の粒子と組み合わせた。さらに粒子半径Aに関するCVは4つすべての粒子調製物に関して非常に小さかった(2から5%)。粒子サイズのこの分布の最も単純な解釈は、多くの粒子がポートの欠陥にも関わらず、チップから無傷で出現して、均一なサイズの粒子に重合化されたことである。チップを出るときに寸断された液滴は、非常に様々な、より小型の粒子に重合化された。優勢なサイズよりもわずかでも大きいいかなる粒子も完全に欠如することはまた、この解釈に合致する。概して、より大きな液滴は2つ以上の液滴の合体に起因する。故に均一なエマルジョンの表示は、間にギャップを有する液滴サイズの多モード分布である。優勢なサイズよりもわずかに大きい液滴の欠如は、非常に大きな液滴の存在と組み合わされて、多モード分布を示唆する。結論としては、この実施例における様々な粒子サイズは、本発明の何らかの限定を意味するものではない。
本発明の方法を使用する、本明細書にて示されるDNAジェノタイピングの実施例において、DNAを最初に増幅して、次いで液滴にエマルジョン化して、最後にヒドロゲルマイクロ粒子内に取り込まれた。本発明はこの事象の順序に限定されるものではない。例えば、DNAを最初にエマルジョン化して、次いで増幅し、最後にヒドロゲル取り込みのためにマイクロ流体機器に噴射できることは当業者には理解されよう。この場合、出発のエマルジョン化はまた、エマルジョンPCRでのように、限界希釈で実施することもできる。本発明はこれらの事象の順序のいずれかに限定されるものではなく、またDNAサンプルはPCR生成物に限定されるものでもない。むしろ本発明は任意の起源の核酸を、取り込みのために本発明のマイクロ流体機器に送達する任意の手段を広く考慮する。
本明細書にて示されるDNAジェノタイピングの実施例において、本発明のマイクロ流体法をDNA取り込みのために使用した。本発明はこれに関して限定されるものではない。本発明のマイクロ流体法はこの適用に十分に適しているが、他のマイクロ流体法を様々な方式で置き換えることができることは、当業者には理解されよう。本発明はDNAを含有する液滴のストリームを、別のストリームまたはプレポリマー溶液および開始剤を含有する連続するか、もしくは分散されるかのいずれかの流体のストリームと融合する任意のマイクロ流体法を考慮する。
また本明細書にて示されるDNAジェノタイピングの実施例において、DNA配列を蛍光ハイブリダイゼーションによって同定した。本発明はこれに関して限定されるものではない。DNA配列を特徴付けする任意の方法が本発明によって考慮される。