JP6576275B2 - 自動変速機の制御装置 - Google Patents
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Description
つまり、駆動源トルクが高い状態とは、駆動源トルクの最大出力値との差分が小さい状態であり、変速中に増大可能なトルクアップ代が小さい。このような状態で変速が実施される場合、変速ショックを抑制するために必要な駆動源トルクのトルクアップ量に対し、上述したトルクアップ代が不足する場合がある。この場合では、変速ショックを十分に低減することができない。
前記自動変速機は、走行駆動源と駆動輪との間に配され、複数の締結要素の締結及び解放によって複数の変速段を切り替え可能な有段変速機構を有する。前記駆動源トルク制御手段は、変速要求時に、走行駆動源の出力トルクを制御する。
さらに、この駆動源トルク制御手段は、走行駆動源の出力トルクの最大出力値から、有段変速機構がシフト前変速段からシフト後変速段への変速にて発生する自動変速機の出力トルクの低下変動分を差し引いたトルクに対応する駆動源トルク閾値を設定する。そして、有段変速機構がシフト前変速段であって走行駆動源に対する負荷トルクが駆動源トルク閾値よりも大きい場合、走行駆動源の出力トルクを負荷トルクよりも低下させるトルクダウンを行う。また、トルクダウン中に、有段変速機構がシフト前変速段からシフト後変速段への変速を行う際、この変速中にトルクダウンを解除して、走行駆動源の出力トルクを負荷トルクに向けて増大する。
そして、有段変速機構の変速を行う際、この変速中にトルクダウンを解除し、走行駆動源の出力トルクを負荷トルクに向けて増大する。そのため、変速中に生じる自動変速機の出力トルクの低下変動を抑制し、変速ショックを低減することができる。
実施例1における自動変速機の制御装置は、副変速機付き無段変速機が搭載されたエンジン車に適用したものである。以下、実施例1における自動変速機の制御装置の構成を、「全体システム構成」、「変速マップによる変速制御構成」、「変速時エンジントルク制御処理構成」に分けて説明する。
図1は実施例1の制御装置が適用された自動変速機が搭載されたエンジン車を示す全体構成を示し、図2は自動変速機の電子制御系を示す。以下、図1及び図2に基づいて、実施例1の制御装置の全体システム構成を説明する。
エンジン1からの出力回転は、ロックアップクラッチ付きトルクコンバータ2、第1ギヤ列3、自動変速機4、第2ギヤ列5、終減速装置6を介して駆動輪7へと伝達される。
第2ギヤ列5には、駐車時に自動変速機4の出力軸を機械的に回転不能にロックするパーキング機構8が設けられている。また、車両には、エンジン1の動力の一部を利用して駆動されるオイルポンプ10と、オイルポンプ10からの油圧を調圧して自動変速機4の各部位に供給する油圧制御回路11と、エンジン1に内蔵されたスロットルバルブアクチュエータ等へ指令を出力してエンジン動作点を制御するエンジンコントローラ12と、油圧制御回路11及びエンジンコントローラ12を制御する統合コントローラ13と、が設けられている。以下、各構成について説明する。
ここで、「直列に設けられる」とは、同一の動力伝達経路においてバリエータ20と副変速機30が直列に設けられるという意味である。副変速機30の入力軸は、実施例1のようにバリエータ20の出力軸に直接接続されていてもよいし、その他の変速ないし動力伝達機構(例えば、ギヤ列やクラッチ)を介して接続されていてもよい。また、副変速機30の出力軸にバリエータ20の入力軸が接続されていてもよい。
図3は、統合コントローラの記憶装置に格納される変速マップの一例を示す。以下、図3に基づき、変速マップによる変速制御構成を説明する。
この図3において、自動変速機4の動作点と変速マップ左下隅の零点を結ぶ線の傾きが自動変速機4の変速比(バリエータ20の変速比に副変速機30の変速比を掛けて得られるトータル変速比、つまり、バリエータ20及び副変速機30によって達成される自動変速機4の全体変速比。以下、「スルー変速比」という。)を表している。
この変速マップには、従来のベルト式無段変速機の変速マップと同様に、アクセル開度APO毎に変速線が設定されており、自動変速機4の変速はアクセル開度APOに応じて選択される変速線に従って行われる。
この「到達スルー変速比」は、当該運転状態でスルー変速比が最終的に到達すべき目標値である。そして、統合コントローラ13は、スルー変速比を所望の応答特性で到達スルー変速比に追従させるための過渡的な目標値である「目標スルー変速比」を設定し、バリエータ20及び副変速機30を制御して、実スルー変速比を目標スルー変速比に一致(追従)させる「協調変速」を実施する。
図4は実施例1にて実行される変速時エンジントルク制御処理の流れを示すフローチャートである。以下、副変速機の変速実行時にエンジン1の出力トルクを制御する実施例1の変速時エンジントルク制御処理を表す図4の各ステップについて説明する。なお、図4に示すフローチャートは、エンジン1がON状態になると開始され、エンジン1が停止するまで繰り返される。
ここで、「ドライブ走行」とは、エンジン1からトルクが出力されている状態での走行を指し、アクセルペダルが踏まれている(アクセル開度APO>0)ときドライブ走行であると判断する。また、2速段であるか否かの判断は、副変速機30での摩擦締結要素の締結・解放状態に基づいて判断する。
ここで、「アクセル開度APO」は、アクセル開度センサ41の出力信号から求められ、エンジン1に対する負荷トルクTe*を示す。また、「第1所定値」は、エンジン1に対する負荷トルクTe*が、後述する「第1駆動源トルク閾値T_th1」となるアクセル開度閾値である。この「第1駆動源トルク閾値T_th1」とは、エンジン1の出力トルク(以下「エンジントルクTe」という)の最大出力値Te_MAXから、副変速機30が2速段(シフト前変速段)から1速段(シフト後変速段)へのダウンシフト(変速)のイナーシャフェーズ中に発生する自動変速機4の出力トルクの低下変動分ΔT_AT_downを差し引いたトルクに対応する値である。つまり、アクセル開度APOが上記「第1所定値」以上になると、エンジン1に対する負荷トルクTe*が第1駆動源トルク閾値T_th1よりも高い状態であると判断される。
なお、「副変速機30が2速段から1速段へのダウンシフトのイナーシャフェーズ中に発生する自動変速機4の出力トルクの低下変動分ΔT_AT_down」は、実験等により予め求めておく。
ここで、「ダウン時規制値(=トルクダウンを実施中に設定されるエンジントルク規制値)」は、アクセル開度APOに現れるエンジン1に対する負荷トルクTe*よりも小さい値である。このステップS3では、まず、エンジン回転速度NeとエンジントルクTeとの関係を規定したトルクマップを用いて、現在のエンジン回転速度Neから得られるエンジントルクTeの最大出力値Te_MAXを求める。そして、このエンジントルクTeの最大出力値Te_MAXから、副変速機30のダウンシフト時に実行するトルクアップに必要なトルクアップ代(ダウンシフト時に生じる減速による変速ショックを低減するために必要なトルクアップ代)を差し引いた値に設定する。
ここでは、エンジントルクTeの最大出力値Te_MAXから、副変速機30が2速段から1速段へのダウンシフトのイナーシャフェーズ中に発生する自動変速機4の出力トルクの低下変動分ΔT_AT_downを差し引いた値に対し、副変速機30の上記ダウンシフト中に行われるバリエータ20の変速によって生じる自動変速機4の出力トルクの変動分(ΔT_cvt_UP、ΔT_cvt_down)を加算又は減算した値に設定する。
つまり、ダウン時規制値は、第1駆動源トルク閾値T_th1に設定した上で、副変速機30の変速中に行われるバリエータ20の変速によって生じる自動変速機4の出力トルクの変動分(ΔT_cvt_UP、ΔT_cvt_down)に基づいて補正される。
そのため、このバリエータ20の変速状況を推定し、副変速機30が2速段であってバリエータ20がアップシフトするときには、ダウン時規制値を、第1駆動源トルク閾値T_th1からバリエータアップシフトに伴う自動変速機4の出力トルク変動分ΔT_cvt_UPを差し引いた値に設定し、さらにトルクダウンを行う。また、副変速機30が2速段であってバリエータ20がダウンシフトするときには、ダウン時規制値を、第1駆動源トルク閾値T_th1に対しバリエータダウンシフトに伴う自動変速機4の出力トルク変動分ΔT_cvt_downを加算した値に設定し、トルクダウンを抑える。
なお、図5に、このステップS3におけるダウン時規制値の演算方法のイメージを表す説明図を示す。
これにより、エンジン1の出力上限がエンジン1に対する負荷トルクTe*よりも低い値に規制され、エンジントルクTeを負荷トルクTe*よりも低下させるトルクダウンが実施される。
ここで、2速段から1速段への変速要求の有無は、図3に示す変速マップ上での自動変速機4の動作点に基づいて判断する。
ここで、「ダウンシフトのイナーシャフェーズ」は、副変速機30の入出力回転から算出した副変速比(副変速機30の変速比)が、2速ギヤ比から1速ギヤ比へと変化するフェーズである。そのため、この「イナーシャフェーズ」は、副変速比が2速ギヤ比から上昇変化し始めたら開始したと判断する。
ここで、「トルクダウンの解除」とは、負荷トルクTe*よりも低下したエンジントルクTeを、負荷トルクTe*に向けて一定の時間をかけて次第に増大させていくことである。具体的には、エンジントルク規制値をステップS4にて演算されたダウン時規制値から一定の時間をかけて増大させ、負荷トルクTe*に一致させる。
また、「エンジントルク規制値の増大傾き」は、このステップS7では、エンジントルク規制値を、イナーシャフェーズ時間をかけて、ダウン時規制値から負荷トルクTe*に一致する値に変化させる増大変化速度である。これにより、イナーシャフェーズが終了した時点で、エンジン1の出力上限が負荷トルクTe*に一致し、エンジントルクTeが負荷トルクTe*に一致する。
なお、この自動変速機4では、副変速機30の変速のイナーシャフェーズ中、スルー変速比が目標値に追従するように副変速比の変化に応じてバリエータ20が変速制御される。そのため、イナーシャフェーズ時間は、バリエータの変速時間に応じて決まる。つまり、ステップS7において、「エンジントルク規制値の増大傾き」は、イナーシャフェーズに伴って実行されるバリエータ20の変速時間に基づいて演算される。
ここで、エンジントルク規制値を増大させることで、エンジン1の出力上限が徐々に増大するので、実質的にエンジントルクTeが負荷トルクTe*に向けて増大する。
ここで、「イナーシャフェーズ」は、副変速比が1速ギヤ比に達したら終了と判断する。
ここで、「トルクダウンの非実施状態」とは、エンジン1の出力上限を規制するエンジントルク規制値を、エンジントルクTeの最大出力値Te_MAXよりも大きい所定値に設定することである。これにより、エンジントルクTeは実質的に制限されることがなくなり、負荷トルクTe*に一致するように出力可能となる。
ここで、アクセルペダルが踏まれている(アクセル開度APO>0)のときドライブ走行であると判断する。また、1速段であるか否かの判断は、副変速機30での摩擦締結要素の締結・解放状態に基づいて判断する。
ここで、「アクセル開度APO」は、アクセル開度センサ41の出力信号から求められる。また、「第2所定値」は、エンジン1に対する負荷トルクTe*が、後述する「第2駆動源トルク閾値T_th2」となるアクセル開度閾値である。この「第2駆動源トルク閾値T_th2」とは、エンジントルクTeの最大出力値Te_MAXから、副変速機30が1速段(シフト前変速段)から2速段(シフト後変速段)へのアップシフト(変速)のトルクフェーズ中に発生する自動変速機4の出力トルクの低下変動分ΔT_AT_upを差し引いたトルクに対応するトルク値である。つまり、アクセル開度APOが上記「第2所定値」以上になると、エンジン1に対する負荷トルクTe*が第2駆動源トルク閾値T_th2よりも高い状態であると判断される。
なお、「副変速機30が1速段から2速段へのアップシフトのトルクフェーズ中に発生する自動変速機4の出力トルクの低下変動分ΔT_AT_up」は、実験等により予め求めておく。
ここで、「ダウン時規制値」は、ステップS3と同様に、アクセル開度APOに現れるエンジン1に対する負荷トルクTe*よりも小さい値である。このステップS13では、エンジントルクTeの最大出力値Te_MAXから、副変速機30が1速段から2速段へのアップシフトのトルクフェーズ中に発生する自動変速機4の出力トルクの低下変動分ΔT_AT_upを差し引いた値に設定する。つまり、副変速機30が1速段のときのダウン時規制値は、第2駆動源トルク閾値T_th2に設定される。
なお、副変速機30のアップシフトのトルクフェーズ中、バリエータ20はほぼ一定の変速比を維持する。そのため、副変速機30がアップシフトする際のダウン時規制値においては、バリエータ20の変速による補正を考慮する必要がない。
図6に、このステップS13におけるダウン時規制値の演算方法のイメージを表す説明図を示す。
これにより、エンジン1の出力上限がエンジン1に対する負荷トルクTe*よりも低い値に規制され、エンジントルクTeを負荷トルクTe*よりも低下させるトルクダウンが実施される。
ここで、1速段から2速段への変速要求の有無は、図3に示す変速マップ上での自動変速機4の動作点に基づいて判断する。
ここで、「アップシフトのトルクフェーズ」は、開放側摩擦締結要素(ローブレーキ32)への供給油圧を低下させると共に、締結側摩擦締結要素(ハイクラッチ33)への供給油圧を上昇させ、トルクの伝達を受け持つ変速段が1速段から2速段に移行するフェーズである。このとき副変速比は変化しないため、この「トルクフェーズ」は、副変速機30のアップシフトの準備フェーズ(締結側摩擦締結要素であるハイクラッチ33への油圧のプリチャージを行い、このハイクラッチ33を締結直前の状態で待機させるフェーズ)が完了したら開始したと判断する。
ここで、「トルクダウンの解除」とは、ステップS7と同様に、負荷トルクTe*よりも低下したエンジントルクTeを、負荷トルクTe*に向けて一定の時間をかけて次第に増大させていくことである。
また、「エンジントルク規制値の増大傾き」は、このステップS17では、エンジントルク規制値を、トルクフェーズ時間をかけて、ステップS13にて演算されたダウン時規制値から負荷トルクTe*に一致する値に変化させる増大変化速度である。これにより、トルクフェーズが終了した時点で、エンジン1の出力上限が負荷トルクTe*に一致し、エンジントルクTeが負荷トルクTe*に一致する。
なお、この自動変速機4では、バリエータ20が変速制御されるのは、副変速機30の変速のイナーシャフェーズ中である。そのため、トルクフェーズ時間はバリエータの変速時間に拘らず、副変速機30の状態に応じて決まる。つまり、ステップS17において、「エンジントルク規制値の増大傾き」は、副変速機30のアップシフトのトルクフェーズ時間に基づいて演算される。
ここで、エンジントルク規制値を増大させることで、エンジン1の出力上限が徐々に増大するので、実質的にエンジントルクTeが負荷トルクTe*に向けて増大する。
ここで、「トルクフェーズ」は、イナーシャフェーズが開始したこと、つまり、副変速比が1速ギヤ比から低下変化し始めたら終了と判断する。
まず、「比較例の自動変速機の制御とその課題」について説明する。続いて、実施例1における作用を、「ダウンシフト時エンジントルク制御作用」、「アップシフト時エンジントルク制御作用」に分けて説明する。
図7は、比較例の自動変速機でのダウンシフト実施時のアクセル開度・エンジントルク・負荷トルク・スルー変速比・バリエータ変速比・副変速比・車両Gの各特性を示すタイムチャートである。以下、図7に基づき、比較例の自動変速機の制御とその課題を説明する。
しかしながら、図7に示す比較例のように、エンジン1に対する負荷トルクTe*の上昇に応じてエンジントルクTeを上昇させた結果、副変速機30のダウンシフト前にエンジントルクTeが高い状態になってしまうと、引きショックが生じるタイミング(時刻t3)で、エンジントルクTeとエンジントルクTeの最大出力値Te_MAXとの差分がほとんど残らないことになる。そのため、エンジントルクTeのトルクアップ代が少なくなり、エンジン1のトルクアップによる引きショックの低減を十分に図ることができない。
図8は、実施例1の制御装置を適用した自動変速機の副変速機でのダウンシフト実施時のアクセル開度・エンジントルク規制値・エンジントルク・負荷トルク・スルー変速比・バリエータ変速比・副変速比・車両Gの各特性を示すタイムチャートである。以下、図8に基づき、実施例1のダウンシフト時のエンジントルク制御作用を説明する。
このため、エンジン1の出力上限は実質的に制限されておらず、負荷トルクTe*の上昇に応じてエンジントルクTeも上昇していく。この結果、バリエータ20に変速及びエンジントルクTeの上昇に合わせて車両に作用する加速度(車両G)が増加していく。
これにより、エンジン1の出力上限がエンジン1に対する負荷トルクTe*よりも低い値に規制され、エンジントルクTeが負荷トルクTe*よりも低下する。この結果、時刻t12以降では、エンジントルクTeと、このエンジントルクTeの最大出力値Te_MAXとの差分が小さくなりすぎることが防止される。
このとき、副変速機30のダウンシフト要求は出力されたものの、このダウンシフトのイナーシャフェーズは開始していないため、ステップS5→ステップS6と進み、このステップS6を繰り返す。
なお、この副変速機30のダウンシフト要求は、アクセルペダルの高開度状態で、踏み増されてはいないものの、登り坂に差し掛かるなどして車速が低下することで、変速マップ上の動作点が高速モード最Low線を跨いだときにも生じる。
すなわち、時刻t14時点からエンジン1の出力上限が徐々に増大していき、実質的にエンジントルクTeが負荷トルクTe*に向けて増大していく。
また、時刻t12時点から、エンジン1のトルクダウンを実施しており、エンジントルクTeと、このエンジントルクTeの最大出力値Te_MAXとの差分が小さくなりすぎることを防止している。これにより、副変速機30の変速前に、エンジントルクTeのトルクアップ代を確保することができ、自動変速機4の出力トルクの低下変動に対して、エンジントルクTeを十分に増大させることができる。
この結果、副変速機30のダウンシフト時のトルクアップ代を比較例(図7参照)の場合よりも大きくし、車両に作用する加速度(車両G)の低下量ΔT2は、エンジントルクTeを増大させない場合(図8において破線で示す)の低下量ΔT1よりも小さくでき、引きショックを低減することができる。
そして、トルクダウン中に副変速機30のダウンシフト要求が発生したら、トルクダウンを解除して、エンジントルク規制値を増大させ、エンジントルクTeを負荷トルクTe*に向けて増大する。
これにより、トルクダウン中のエンジントルクTeは、第1駆動源トルク閾値T_th1に設定された上、副変速機30の変速中に行われるバリエータ20の変速によって生じる自動変速機4の出力トルクの変動分に基づいて補正される。
これにより、副変速機30のダウンシフト時に行うエンジントルクTeのトルクアップ量を、引きショックを低減するために必要なトルクアップ量相当とすることができ、引きショックの発生を十分に低減することができる。
図9は、実施例1の制御装置を適用した自動変速機の副変速機でのアップシフト実施時のアクセル開度・エンジントルク規制値・エンジントルク・負荷トルク・スルー変速比・副変速比・バリエータ変速比・車両Gの各特性を示すタイムチャートである。以下、図9に基づき、実施例1のアップシフト時のエンジントルク制御作用を説明する。
このため、エンジン1の出力上限は実質的に制限されておらず、負荷トルクTe*の上昇に応じてエンジントルクTeも上昇していく。この結果、バリエータ20に変速及びエンジントルクTeの上昇に合わせて車両に作用する加速度(車両G)が増加していく。
これにより、エンジン1の出力上限がエンジン1に対する負荷トルクTe*よりも低下するように規制され、エンジントルクTeが負荷トルクTe*よりも低下する。この結果、時刻t22以降では、エンジントルクTeと、このエンジントルクTeの最大出力値Te_MAXとの差分が小さくなりすぎることが防止される。
このとき、副変速機30のアップシフト要求は出力されたものの、このアップシフトのトルクフェーズは開始していないため、ステップS15→ステップS16と進み、このステップS16を繰り返す。
なお、この副変速機30のアップシフト要求は、アクセルペダルの高開度状態で、このアクセルペダルがゆっくり解放されることで、変速マップ上の動作点が低速モード最High線を跨いだときにも生じる。
一方、副変速機30では、解放側摩擦締結要素であるローブレーキ32から締結側摩擦締結要素であるハイクラッチ33へのアップシフトに伴って副変速機30からの出力トルクが低下するため、自動変速機4の出力トルクが低下する。
さらに、このとき、エンジントルクTeは負荷トルクTe*に向けて増大するため、自動変速機4の出力トルクの低下変動を、エンジントルクTeの増大によって緩和することができる。
この結果、車両に作用する加速度(車両G)の低下幅は、エンジントルクTeを増大させない場合(図9において破線で示す)の低下幅よりも小さくでき、引きショックを低減することができる。
そして、トルクダウン中に副変速機30のアップシフト要求が発生したら、トルクダウンを解除して、エンジントルク規制値を増大させ、エンジントルクTeを負荷トルクTe*に向けて増大する。
実施例1の自動変速機の制御装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
前記駆動源トルク制御手段(統合コントローラ13)は、前記走行駆動源(エンジン1)の出力トルク(エンジントルクTe)の最大出力値Te_MAXから、前記有段変速機構(副変速機30)がシフト前変速段(2速段)からシフト後変速段(1速段)への変速(ダウンシフト)にて発生する前記自動変速機4の出力トルクの低下変動分ΔT_AT_downを差し引いたトルクに対応する駆動源トルク閾値(第1駆動源トルク閾値T_th1)設定し、
前記有段変速機構(副変速機30)が前記シフト前変速段(2速段)であって、且つ前記走行駆動源(エンジン1)に対する負荷トルクTe*が前記駆動源トルク閾値(第1駆動源トルク閾値T_th1)よりも高い場合、前記走行駆動源(エンジン1)の出力トルク(エンジントルクTe)を前記負荷トルクTe*よりも低下させるトルクダウンを行い、
前記トルクダウン中に、前記有段変速機構(副変速機30)が前記シフト前変速段(2速段)から前記シフト後変速段(1速段)への変速(ダウンシフト)を行う際、前記変速(ダウンシフト)中に前記トルクダウンを解除して、前記走行駆動源(エンジン1)の出力トルク(エンジントルクTe)を前記負荷トルクTe*に向けて増大する構成とした。
これにより、変速時のトルクアップ代を大きくし、変速ショックを低減することができる。
これにより、(1)の効果に加え、副変速機30の変速(ダウンシフト)時に行うエンジン1のトルクアップ量を、引きショックを低減するために必要なトルクアップ量相当とすることができ、引きショックの発生を十分に低減することができる。
前記駆動源トルク制御手段(統合コントローラ13)は、前記ダウンシフトのイナーシャフェーズの開始時点で、前記走行駆動源(エンジン1)の出力トルク(エンジントルクTe)が、前記駆動源トルク閾値(第1駆動源トルク閾値T_th1)以下になるように前記トルクダウンを行う構成とした。
これにより、(1)又は(2)の効果に加え、イナーシャフェーズの開始時点で、エンジントルクTeのトルクアップ代を確保しておくことができ、ダウンシフト中のエンジン1のトルクアップを十分に行うことができて、ダウンシフトに伴う引きショックを十分に低減できる。
これにより、(3)の効果に加え、自動変速機4の出力トルクが低下するダウンシフトのイナーシャフェーズ期間中、自動変速機4の出力トルクを常に増大でき、イナーシャフェーズ期間に生じる駆動力の低下を抑制することができる。
前記駆動源トルク制御手段(統合コントローラ13)は、前記有段変速機構(副変速機30)がダウンシフトする際、前記トルクダウン中の前記走行駆動源(エンジン1)の出力トルク(エンジントルクTe)を、前記有段変速機構(副変速機30)のダウンシフト中の前記無段変速機構(バリエータ20)の変速によって生じる前記自動変速機4の出力トルクの変動分(ΔT_cvt_UP/ΔT_cvt_down)に基づいて補正する構成とした。
これにより、(3)又は(4)の効果に加え、バリエータ20の変速によるトルク変動も抑制することができ、さらに副変速機30の変速中の引きショックを低減することができる。
前記駆動源トルク制御手段(統合コントローラ13)は、前記アップシフトのトルクフェーズの開始時点で、前記走行駆動源(エンジン1)の出力トルク(エンジントルクTe)が、前記駆動源トルク閾値(第2駆動源トルク閾値T_th2)以下になるように前記トルクダウンを行う構成とした。
これにより、(1)又は(2)の効果に加え、トルクフェーズの開始時点で、エンジントルクTeのトルクアップ代を確保しておくことができ、アップシフト中のエンジン1のトルクアップを十分に行うことができて、アップシフトに伴う引きショックを十分に低減できる。
これにより、(6)の効果に加え、自動変速機4の出力トルクが低下するアップシフトのトルクフェーズ期間中、自動変速機4の出力トルクを常に増大でき、トルクフェーズ期間に生じる駆動力の低下を抑制することができる。
しかしながら、これに限らず、例えばバリエータを備えない自動変速機や、副変速機の変速時にバリエータを変速させない場合等では、ダウン時規制値を、第1駆動源トルク閾値T_th1以下の値に設定し、補正しなくてもよい。この場合であっても、副変速機30がダウンシフト前に確保できるエンジントルクTeのトルクアップ代を、この副変速機30のダウンシフトに伴う自動変速機4の出力トルクの低下変動分ΔT_AT_downとすることができる。
そのため、副変速機30のダウンシフト時のトルクアップ量を、引きショックを低減するために必要なトルクアップ量相当とすることができ、引きショックの発生を低減することができる。
しかしながら、エンジントルクTeは、副変速機30のダウンシフトのイナーシャフェーズ開始時点で第1駆動源トルク閾値T_th1に設定されていればよい。つまり、図10Aに示すように、副変速機30のダウンシフトのイナーシャフェーズが開始するタイミングでエンジントルク規制値=第1駆動源トルク閾値T_th1としてもよい。
この場合では、副変速機30のダウンシフトのイナーシャフェーズ開始直前までは、実質的にエンジントルクTeが規制されないので、エンジントルクTeを負荷トルクTe*に追従させることができて、運転者の駆動力要求との差分を小さくすることができる。
この場合であっても、イナーシャフェーズの開始時点までのエンジントルクTeを比較的大きくすることができ、エンジントルクTeを負荷トルクTe*に追従させることができて、運転者が感じる違和感を低減することができる。また、エンジントルク規制値が徐々に制限されるため、車両に作用する加速度(車両G)の低減幅を抑制することができる。
4 自動変速機
7 駆動輪
13 統合コントローラ(駆動源トルク制御手段)
20 バリエータ(無段変速機構)
21 プライマリプーリ
22 セカンダリプーリ
23 Vベルト
30 副変速機(有段変速機構)
32 ローブレーキ(摩擦締結要素)
33 ハイクラッチ(摩擦締結要素)
Claims (7)
- 走行駆動源と駆動輪との間に配され、複数の締結要素の締結及び解放によって複数の変速段を切り替え可能な有段変速機構を有する自動変速機と、変速要求時に前記走行駆動源の出力トルクを制御する駆動源トルク制御手段と、を備えた自動変速機の制御装置において、
前記駆動源トルク制御手段は、前記走行駆動源の出力トルクの最大出力値から、前記有段変速機構がシフト前変速段からシフト後変速段への変速にて発生する前記自動変速機の出力トルクの低下変動分を差し引いたトルクに対応する駆動源トルク閾値を設定し、
前記有段変速機構が前記シフト前変速段であって、且つ前記走行駆動源に対する負荷トルクが前記駆動源トルク閾値よりも高い場合、前記走行駆動源の出力トルクを前記負荷トルクよりも低下させるトルクダウンを行い、
前記トルクダウン中に、前記有段変速機構が前記シフト前変速段から前記シフト後変速段への変速を行う際、前記変速中に前記トルクダウンを解除して、前記走行駆動源の出力トルクを前記負荷トルクに向けて増大する
ことを特徴とする自動変速機の制御装置。 - 請求項1に記載された自動変速機の制御装置において、
前記駆動源トルク制御手段は、前記トルクダウン中の前記走行駆動源の出力トルクを前記駆動源トルク閾値以下に設定する
ことを特徴とする自動変速機の制御装置。 - 請求項1又は請求項2に記載された自動変速機の制御装置において、
前記有段変速機構の前記シフト前変速段から前記シフト後変速段への変速をダウンシフトとし、
前記駆動源トルク制御手段は、前記ダウンシフトのイナーシャフェーズの開始時点で、前記走行駆動源の出力トルクが、前記駆動源トルク閾値以下になるように前記トルクダウンを行う
ことを特徴とする自動変速機の制御装置。 - 請求項3に記載された自動変速機の制御装置において、
前記駆動源トルク制御手段は、前記有段変速機構のダウンシフトのイナーシャフェーズが開始したとき、前記トルクダウンを解除して前記走行駆動源の出力トルクを前記負荷トルクに向けて増大させ始めると共に、前記走行駆動源の出力トルクの増大変化速度を前記イナーシャフェーズの進行に応じて演算し、前記イナーシャフェーズの終了時点で前記走行駆動源の出力トルクを前記負荷トルクに一致させる
ことを特徴とする自動変速機の制御装置。 - 請求項3又は請求項4に記載された自動変速機の制御装置において、
前記自動変速機は、前記有段変速機構に直列配置され、変速比を無段階に変更可能であって、前記有段変速機構の変速中のイナーシャフェーズ時に変速する無段変速機構を有し、
前記駆動源トルク制御手段は、前記有段変速機構がダウンシフトする際、前記トルクダウン中の前記走行駆動源の出力トルクを、前記有段変速機構のダウンシフト中の前記無段変速機構の変速によって生じる前記自動変速機の出力トルクの変動分に基づいて補正する
ことを特徴とする自動変速機の制御装置。 - 請求項1又は請求項2に記載された自動変速機の制御装置において、
前記有段変速機構の前記シフト前変速段から前記シフト後変速段への変速をアップシフトとし、
前記駆動源トルク制御手段は、前記アップシフトのトルクフェーズの開始時点で、前記走行駆動源の出力トルクが、前記駆動源トルク閾値以下になるように前記トルクダウンを行う
ことを特徴とする自動変速機の制御装置。 - 請求項6に記載された自動変速機の制御装置において、
前記駆動源トルク制御手段は、前記有段変速機構のアップシフトのトルクフェーズが開始したとき、前記トルクダウンを解除して前記走行駆動源の出力トルクを前記負荷トルクに向けて増大させ始めると共に、前記走行駆動源の出力トルクの増大変化速度を前記トルクフェーズの進行に応じて演算し、前記トルクフェーズの終了時点で前記走行駆動源の出力トルクを前記負荷トルクに一致させる
ことを特徴とする自動変速機の制御装置。
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