以下、本発明に係る実施の形態について図面を参照しながら具体的に説明する。便宜上、実質的に同一の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する場合がある。以下の説明では、建物の屋根面に機能パネルが固定される例を示すが、機能パネルの固定位置は、建物の屋根面に限定されるものではない。
(第1実施形態)
図1に示されるように建物1は、鉄骨ラーメン構造の架構を有する工業化住宅であり、予め規格化(標準化)された構造部材の組み合わせによって架構が構成される。なお、本実施形態では鉄骨ラーメン構造の架構を備えた工業化住宅を例に説明するが、軸組構造(ピンブレース構造)や木造の架構であってもよい。建物1は、所定の平面モジュールを有している。この平面モジュールとは、建築において設計上の基準となる基本寸法を意味し、建物1は、平面的寸法が平面モジュールの整数倍となるように構成される。本実施形態における建物1は、例えば305mmの平面モジュールを有する二階建てであり、屋上となる略平坦な陸屋根(屋根)3に太陽光パネル(機能パネル)50を備えている。また、陸屋根3の階下である二階には、ベランダ5が形成されている。図示例の建物1は、南側に正面が向くように建てられており、太陽光パネル50は、南側に面して傾斜して設けられている。
なお、本明細書の説明において、「南側」、「北側」、「東側」、及び「西側」とは、厳密に真南、真北、真東、及び真西のみを示すものではない。例えば、南側を「方位南の±45度以内」と定義し、南側を正面とした場合、正面から見て、右側の南側面に直行する側を東側、東側と対峙する側を西側、南側と対峙する側を北側としてもよい。南側の定義は、上記のものに限定されず、さらに広い範囲を含めてもよい。また、南北方向及び東西方向についても、厳密な方位に従うものではなく、本明細書で定義される南側と北側とを結ぶ方向、及び、東側と西側とを結ぶ方向を南北方向及び東西方向とする。
図2は、太陽光パネル設置構造A1を示すものであり、建物1の平面図である。図2では、紙面上側が北側を示し、下側、右側、左側がそれぞれ南側、東側、西側を示す。なお、説明の都合上、図2の紙面下側を前方とし、紙面上側を後方とする場合がある。図2に示されるように、建物1の陸屋根3には、複数の太陽光パネル50が配置されている。建物1の陸屋根3は、平面視において略矩形状をなす矩形状領域3aである屋根面を有している。この矩形状領域3aは、陸屋根3の屋根面の外周縁4に沿って形成されたパラペット6の平面視における内側である。
外周縁4は、建物1の架構を構成する屋根梁2のうち、特に建物1の外周に沿って配置された外周梁2aの中心を通る仮想の鉛直面と屋根面との交線の位置を想定している。外周縁4は、南側の外周縁である南端縁4S、北側の外周縁である北端縁4N、東側の外周縁である東端縁4E、及び、西側の外周縁である西端縁4Wからなっている。太陽光パネル50は、東西方向に複数連接されることによってパネル列Rを形成している。なお、連接とは、連続して配置される太陽光パネル50の隣同士が厳密に接触している場合だけでなく、所定の隙間をあけて太陽光パネル50が配置されている場合も含む。また、パネル列Rは、南北方向に所定の間隔を空けて複数段配置されることによってパネル列群Gを形成している。本実施形態におけるパネル列Rは、東西方向に連接された6枚の太陽光パネル50によって形成されている。また、パネル列群Gは、南北方向に配置された6段のパネル列Rによって形成されている。パネル列Rを形成する複数の太陽光パネル50の連接方向(実施形態では東西方向)は、パネル列群Gを形成する複数段のパネル列Rの配列方向(実施形態では南北方向)に対して直交している。
上述のように、本実施形態では太陽光パネル50は傾斜して設けられているため、隣接するパネル列R同士は、太陽光パネル50の影(例えば、北緯34度の地点においては、冬季(冬至)の南中高度である約32度の太陽光によって生じる影)が、北側に隣接する太陽光パネル50に届かないように、所定の間隔を空けて配置されている。この隣接するパネル列R同士の間隔は、東西方向に延びる東西通路P1となっている。すなわち、6段のパネル列Rによって形成されるパネル列群Gは、5本の東西通路P1を備えている。また、6段のパネル列Rのうち、最も南側に配置されたパネル列は前端パネル列(端パネル列)Rfであり、最も北側に配置されたパネル列は、後端パネル列(端パネル列)Rrである。前端パネル列Rfと後端パネル列Rrとの間には、南北方向に並ぶ4段のパネル列Rが配置されている。
前端パネル列Rfと後端パネル列Rrとの間に配置された4段のパネル列R同士の間には、東西通路P1が形成されている。また、前端パネル列Rfと前端パネル列Rfの北側のパネル列Rとの間には、東西通路P1が形成されている。また、後端パネル列Rrと後端パネル列Rrの南側のパネル列Rとの間には、東西通路P1が形成されている。
前端パネル列Rfは、矩形状領域3aの南側の外周縁である南端縁4Sに沿って配置されている。前端パネル列Rfと南端縁4Sとの間の幅W1は、東西通路P1の幅W2より小さく形成されている。本実施形態では、前端パネル列Rfと南端縁4Sとの間の幅W1が例えば約50〜140mm程度であり、東西通路P1の幅W2が約200〜300mm程度となっている。また、後端パネル列Rrは、矩形状領域3aの北側の外周縁である北端縁4Nに沿って配置されている。後端パネル列Rrと北端縁4Nとの間の幅W3は、東西通路P1の幅W2より小さく形成されている。本実施形態では、後端パネル列Rrと北端縁4Nとの間の幅W3が例えば約100〜180mm程度である。なお、前端パネル列Rfと南端縁4Sとの間の幅W1とは、南端縁4Sを通る仮想の鉛直面から前端パネル列Rfまでの水平距離である。後端パネル列Rrと北端縁4Nとの間の幅W3とは、北端縁4Nを通る仮想の鉛直面から後端パネル列Rrまでの水平距離である。このように、外周縁4に対して前端パネル列Rf、後端パネル列Rrを近接させて配置させることによって、陸屋根3に配置される太陽光パネル50を増加させることができる。
パネル列群Gの東側及び西側の両側縁のうち、少なくとも一方の側縁と矩形状領域3aの外周縁4との間には、南北方向に延びる南北通路P2が形成されている。南北通路P2は、東西通路P1に連通している。そのため、南北通路P2を通ることによって、一の東西通路P1から他の東西通路P1に容易に移動することができる。本実施形態では、パネル列群Gの西側の側縁GWは、平面視において、西側の外周縁である西端縁4Wに略一致している。一方、パネル列群Gの東側の側縁GEは、東側の外周縁である東端縁4Eから所定の間隔を空けて配置されている。パネル列群Gの東側の側縁GEと、東端縁4Eとの間隔によって南北通路P2が形成されている。本実施形態における南北通路P2の幅W4は、東西通路P1の幅より広く形成されており、例えば約250〜600mm程度の幅に形成されている。なお、南北通路P2の幅W4とはパネル列群Gの東側の側縁から東端縁4Eを通る仮想の鉛直面までの水平距離である。
陸屋根3には、南北通路P2から階下に通じる昇降手段が設けられている。本実施形態では、陸屋根3の東端縁4Eに、パラペット6を越えて階下に繋がる梯子La(図1参照)が設けられている。この梯子Laは、常設されていてもよいが、通常は陸屋根3または外壁面に形成された設置可能構造に対して取り外し可能であり、メンテナンス時に作業者によって用意される。実施形態では、陸屋根3に設置可能構造としてのフックが設けられており、このフックに梯子Laの上端を取り付けることができる。なお、設置可能構造は、フックに限定されるものではなく、梯子の上端を取り付けるための構造を有していればよい。この梯子の下端は、例えば、地上の空きスペースSPに繋がっている。また、南北通路P2から階下に通じる昇降手段としてベランダ5に繋がる梯子(図示省略)であってもよい。例えば、ベランダ5の上方に位置する南北通路P2の床に開閉式の扉を設け、その扉の下方にベランダ5に繋がる梯子を設置することもできる。このように、南北通路P2から階下に通じる梯子Laが設置されることで、作業者は、5本全ての東西通路P1に対して梯子Laから南北通路P2を介して容易にアクセスできる。
次に、陸屋根3に対する太陽光パネル50の固定構造について図3〜図11を参照して詳細に説明する。図3及び図4に示されるように、太陽光パネル50は、架台30に取り付けられており、架台30は柱脚20に固定されて支持されている。柱脚20は、建物1の架構を構成する屋根梁2の上方に固定されて陸屋根3上に突出している。本実施形態における屋根梁2は、外周縁4に沿って配置される外周梁2aを有し、外周梁2a上方に柱脚20が配置されている。
図6に示されるように、陸屋根3は、屋根梁2によって支持される床パネル11と、床パネル11の上面側に配置される断熱材12と、断熱材12の上側に配置されるボード13と、ボード13の上面に貼着される防水シート14とを有している。床パネル11は、例えばALCパネルによって形成される。また、床パネル11と外壁パネル15との間にはモルタル16が打設されている。
陸屋根3の外周には、防水鋼板18が設けられている。防水鋼板18は、パラペット6を形成する外壁パネル15の上端からその内側を、パラペット6の形状に沿って被覆し、さらに、陸屋根3における屋根面の外周を所定の幅で被覆している。防水鋼板18の内周側の縁は防水シート14によって被覆されている。
図3に示されるように、少なくとも柱脚20の一部(例えば南北方向の両端に配置された柱脚20)は、屋根梁2を構成する外周梁2aに固定されている。このように、外周梁2aの上方に柱脚20を配置することにより、重心が外に出ない範囲で屋根面の最も外寄りの位置まで太陽光パネル50を設置することができる。
また、図2に示されるように、陸屋根3には、建物1の南北方向の中央にも柱脚20が配置されている。この柱脚20の下方には、屋根梁2の一部である東西方向に延びる梁が形成されている。屋根梁2は、外周梁2aを含む東西方向に延びる梁と、西側及び東側の側縁で南北方向に延びる一対の梁とを有し、東西方向に延びる梁と南北方向に延びる梁とは互いに直交する。東西方向に延びる梁に支えられた柱脚20は、南北方向に延びる梁から少なくとも1平面モジュール以上離れた位置に固定されている。例えば、最も西側に固定されている柱脚20Wは、西側の南北方向に延びる梁から1平面モジュール離れた位置に固定されており、最も東側に固定されている柱脚20Eは、東側の南北方向に延びる梁から2平面モジュール離れた位置に固定されている。つまり、南北に延びる西側及び東側の梁の上方には、柱脚20は固定されていない。
柱脚20は、陸屋根3上において架台30を支持するための部材である。柱脚20は、柱頭ユニット21、柱脚ユニット22及び連結ユニット23を有している。柱頭ユニット21は、柱脚ユニット22に取り付けられる円筒状の脚部21aと、脚部21aの上端に接合された、ジョイント金物41を固定するための板状の支持部21bとを有している。柱脚ユニット22は、外周梁2aの上部フランジに接合される底板22aと、平面視十字状をなし底板22aから立設する中間部22bと、中間部22bの上端に接合された上板22cとを有し、これらが一体的に溶接されている。連結ユニット23は、柱頭ユニット21と柱脚ユニット22とを連結するための部材であり、板状の底板23aと、底板23aの上面に接合された円筒状の連結部23bとを有する。外周梁2aの上部フランジと柱脚ユニット22の底板22aとは、例えばボルト及びナットによって接合されている。また、柱脚ユニット22の上板22cと連結ユニット23の底板23aとは、例えばボルト及びナットによって接合されている。さらに、連結部23bには、柱頭ユニット21の脚部21aの下端が取り付けられる。例えば、連結部23bの内周面及び脚部21aの下端の外周面には、互いに螺合するように溝が形成されており、これによって、連結部23bと脚部21aとが接合される。なお、図示例では、中間部22bの高さが床パネル11の高さと略同じになっている。脚部21aは、断熱材12及び防水鋼板18に形成された貫通孔25を貫通して陸屋根3の上方に向かって突出している。脚部21aと、防水鋼板18との境目には止水処理が施されている。
架台30(図2参照)は、横材34と縦材31とを有している。横材34は、パネル列Rの連接方向である東西方向を長手方向として延在している。縦材31は、横材34の長手方向に交差する南北方向を長手方向として延在している。本実施形態では、太陽光パネル50が南北方向に傾斜して配置されているので、横材34は太陽光パネル50の傾斜方向に直交するように交差して延在している。太陽光パネル50は横材34に支持され、横材34は縦材31を介して柱脚20に支持されている。なお、柱脚20で直接横材34を支持することも可能である。しかしながら、本実施形態の様に、剛性の高い縦材31を介在させることで、柱脚20の数を減らすことができる。その結果、柱脚20で直接横材34を支持する態様に比較し、施工が容易になる。
架台30は、ジョイント金物41を介して、柱脚20に固定されている。ジョイント金物41(図5参照)は、断面略コ字状の板状部材であり、矩形板状の底面部41aと、底面部41aの一端から立設される側面部41bと、側面部41bの上端で水平に延在する板状の上面部41cとを有している。ジョイント金物41は、底面部41aが柱脚20の支持部21bに対してボルト42a及びナット42bによって固定されることで、柱脚20に固定される。水平方向に長い矩形板状の側面部41bには、その長手方向の両端のそれぞれに縦材31を固定するための挿通孔41dが形成されている。
縦材31(図3参照)は、その両端がジョイント金物41に対して固定されることで、南北に延在するように陸屋根3に固定される。縦材31(図5参照)は、断面略コ字状の長尺部材であり、板状の底面部31aと、底面部31aの一端から立設される側面部31bと、側面部31bの上端で水平に延在する板状の上面部31cとを有している。また、底面部31a及び上面部31cにおける側面部31bと反対側の端部には、下向きに突出するとともに長手方向に延びるリブ31d,31eがそれぞれ形成されている。
縦材31は、ジョイント金物41の長手方向の一端側においてジョイント金物41の上面部41cに支持された状態で、その側面部31bがジョイント金物41の側面部41bに対してボルト44a及びナット44bによって固定される。同様に、縦材31においては、その他端が別の柱脚20に固定されたジョイント金物41に固定される。本実施形態では、図2に示されるように、2本の縦材31が連接されて南北方向に延在している。一方の縦材31は、南側の外周梁2aの上方と南北方向の中央の屋根梁2の上方とにそれぞれ固定された柱脚20に支持されている。また、他方の縦材31は、北側の外周梁2aの上方と南北方向の中央の屋根梁2の上方とにそれぞれ固定された柱脚20に支持されている。
なお、陸屋根3の外周側に固定されるジョイント金物41においては、長手方向一端側の挿通孔41dのみが使用されている。そのため、当該ジョイント金物41においては、使用されない挿通孔41dが形成されている側(外側)の端縁を所定形状に加工してもよい。例えば、ジョイント金物41における使用されない挿通孔が形成されている側を、屋根の周縁(パラペット6の上端)と、この周縁から最短の距離にある太陽光パネル50の周縁とを結ぶ仮想直線の屋根側に収まるように、形成してもよい。この場合、地上から建物1を見上げたときに、太陽光パネル50が視認できる角度でなければジョイント金物41を視認することができないので、建物1全体での意匠性が向上する。
なお、ジョイント金物41を設けることなく、柱脚20に直接、縦材31を固定することも可能である。しかしながら、縦材31は、所望の強度を確保するために、一定の高さが必要であり、柱脚20に直接、縦材31を固定すると、太陽光パネル50の高さが高くなり、その分、斜線規制の影響を受け易くなったり、外観意匠性が低下したりする可能性がある。本実施形態の様にジョイント金物41を用いることで、柱脚20に対する縦材31の高さ位置を調節可能となり、結果として太陽光パネル50の高さを抑えながら、縦材31の強度の確保を図り易くなる。
横材34(図2参照)は、複数の縦材31に架設されることで、東西方向に延在するように陸屋根3に固定される。本実施形態では、各パネル列Rの下方において前側及び後側にそれぞれ横材34が用いられており、これらの横材34が太陽光パネル50の大きさに応じた所定の間隔で縦材31に固定されている。また、一のパネル列Rに対応した後側の横材34と、このパネル列Rの北側に配置されるパネル列Rの前側の横材34とは一定の間隔を空けて配置されている。
横材34(図6、図10参照)は、断面ハット形状の長尺部材であり、長手方向に沿って立設された前側壁部(第2側面部)34bと、前側壁部34bに対向配置された後側壁部(第1側面部)34cと、前側壁部34bと後側壁部34cとの上端同士を接続する上壁部(上面部)34aと、を有している。換言すると、横材34は、長手方向に延在する上壁部34aと、上壁部34aの長手方向に直交する幅方向の一端(前端)から屈曲された前側壁部34bと、上壁部の幅方向の他端(後端)から屈曲された後側壁部34cとを有する。また、前側壁部34b及び後側壁部34cの下端には、それぞれ外側に延在するベース部34dが形成されている。上壁部34aは、太陽光パネル50の裏面に対向しており、太陽光パネル50の設置角度と略同じ角度となるように、前側(南側)に下るように傾斜している。また、前側壁部34bは傾斜方向の下方寄りに配置され、後側壁部34cは傾斜方向の上方寄りに配置されている。本実施形態では、上壁部34aの傾斜は、例えば約10度となっている。横材34のベース部34dは、複数の縦材31の上面部31cに対してボルト35a及びナット35bによって固定されている。横材34と縦材31とは、ベース部34d及び上面部31cによって面で接触した状態で固定されるため、安定して固定される。上壁部34aの傾斜を太陽光パネル50の設置角度に合わせることで、太陽光パネル50を面で受けることが出来、より安定した設置が可能になり望ましい。
前端パネル列Rfの太陽光パネル50における傾斜方向の上方寄りである後端縁部(北側に隣接する他のパネル列Rに対向する内縁部)50bと傾斜方向の下方寄りである前端縁部(内縁部に対して反対側である外縁部)50aとは、それぞれに沿って配置された横材34に固定されている。前端パネル列Rfにおける太陽光パネル50の前端縁部50aにはヒンジ部(固定部材)60が設けられている。太陽光パネル50は、ヒンジ部60を介して架台30の横材34に着脱自在に取り付けられている。ヒンジ部60は、北側の東西通路P1側から取り外し操作可能な締結部65を備えている。この取り外し操作とは、締結部65の締緩作業、つまり、締結部65を締めることで固定でき、緩めることで取り外し可能となる作業である。
本実施形態における太陽光パネル50は、表面側で太陽光を受けて発電を行うためのセルが並設されたパネル部(パネル本体)51と、パネル部51の外周に設けられるフレーム部53とを備えている。フレーム部53は、パネル部51の外周に固定されるとともに、パネル裏面側(横材34が配置されている側)に突出する。また、フレーム部53には、パネル部51の外周に対向するように形成された、板状の取付け片53aが形成されている(図10参照)。
ヒンジ部60は、太陽光パネル50のフレーム部53における傾斜方向の下方寄りの位置に固定された可動部63と、軸部62を介して可動部63に回動自在に取り付けられた固定部61とを有し、固定部61は、締結部65(ボルト65a及びナット65b)を介して横材34に固定されている。
図8に示されるように、固定部61は、略矩形板状の固定片61aと、固定片61aの上部の左右両側縁から前方に突出する一対の板状のアーム片(当接部)61bとを有している。固定片61aには、ボルト65aの挿通孔(固定構造)61cが形成されている。固定片61a(図10参照)は、横材34の後側壁部34cと面同士が当接する。また、固定片61aは、横材34の後側壁部34cに対してボルト65a及びナット65bによって固定される。
一対のアーム片61bは、互いの板面同士が対向しており、その先端側には、軸部62を挿通するための軸受孔61dが形成されている。横材34の延在方向と平行に形成された軸部62の軸線は、横材34の幅方向の中心よりも前側壁部34b側に位置している。軸部62は、例えば中空リベットによって構成されるが、これに限定されるものではない。すなわち、軸部62としては、アーム片61bと軸ブラケット片63bとを回動自在に接合する役割を有すればよい。そのため、例えば、リベット以外にボルト及びナットの組み合わせも使用できるが、ボルト及びナットの組み合わせの場合は、回動を繰り返した際に緩みが発生する可能性があるため、緩みが発生しないように抜け止めの対策を必要とする場合がある。よって、長期信頼性の観点からリベットが好ましく使用され、特に、締結強度の調整が容易であることから中空リベットがより好ましく用いられる。アーム片61bの下部は、横材34の上壁部34aに当接する。また、アーム片61bの先端側は、横材34の上壁部34a及び前側壁部34bを越えて前側に突出するように延在している。アーム片61bの先端には、軸受孔61dに挿通された軸部62を介して可動部63が回動自在に取り付けられている。
可動部63は、ボルト67aの挿通孔63cが形成された板状の連結片63aと、連結片63aの左右の両側縁から突出した一対の軸ブラケット片63bとを有している。一対の軸ブラケット片63bには、軸部62を挿通させるための軸受孔63eが形成されている。一対の軸ブラケット片63bは、固定部61の一対のアーム片61bの内側に配置され、アーム片61bの軸受孔61dに挿通された軸部62は、軸ブラケット片63bの軸受孔63eにも挿通される。その結果、アーム片61bと軸ブラケット片63bとは軸部62を介して回動自在に連結される。
連結片63aは、一対の軸ブラケット片63bで挟まれた領域よりも前方側に突出した部分(以下、「羽根部」と称する)63dを有する。羽根部63dには、ボルト67aの挿通孔63cが形成されている。羽根部63dは、太陽光パネル50の取付け片53aに対してボルト67a及びナット67bによって固定される。これにより、太陽光パネル50は、軸部62を回動中心として横材34に対して傾動可能に取り付けられる。なお、連結片63aは、軸ブラケット片63bの下端に設けられており、従って、軸ブラケット片63bを回動自在に支持する軸部62は、太陽光パネル50が固定された状態において、連結片63aよりも上方の太陽光パネル50側に配置されている(図10(a)参照)。
作業員は、東西通路P1側からヒンジ部60を支点に太陽光パネル50を持ち上げ、太陽光パネル50の下方に作業スペースを作る。作業員は、作業スペースに入り、その場所でボルト65a及びナット65bの締緩作業を行って太陽光パネル50の取り外しを行う。このように、ボルト及びナットのような比較的単純な構造によって太陽光パネル50を架台30に固定することができるので、着脱操作が複雑になることがない。
また、図6に示されるように、前端パネル列Rfにおける太陽光パネル50の後端縁部50b(北側)には、太陽光パネル50の所定の傾斜角度を確保すべく所定高さの固定ピース71が固定されている。固定ピース71は、断面コ字状の板状部材であり、横材34の上壁部34aと面同士が接する底面部71aと、底面部71aの一端(図示例では、西側の端縁)から上方に突出する側面部71bと、側面部71bの上端に設けられた上面部71cとを有している。底面部71a及び上面部71cは、横材34の上壁部34aと略同じ角度で傾斜している。また、上面部71cは、太陽光パネル50に対してボルト72a及びナット72bによって固定される。
底面部71aは、上壁部34aに接した状態で、締結部73によって上壁部34aに着脱可能に固定される。締結部73はボルト73a及びナット73bを備えている。これにより、固定ピース71は、太陽光パネル50に固定された状態において、架台30の横材34に締結部73を介して着脱自在となっている。締結部73は東西通路P1に隣接して設けられているので、東西通路P1側から取り外し操作可能である。この取り外し操作とは、締結部73の締緩作業、つまり、締結部73を締めることで固定でき、緩めることで取り外し可能となる作業である。
図7に示されるように、後端パネル列Rrにおける太陽光パネル50の前端縁部50c(南側に隣接する他のパネル列Rに対向する内縁部)と後端縁部50d(内縁部に対して反対側である外縁部)とは、それぞれに沿って配置された横材34に固定されている。太陽光パネル50の後端縁部50d(北側)にはヒンジ部(固定部材)80が設けられている。太陽光パネル50は、ヒンジ部80を介して架台30の横材34に着脱自在に取り付けられている。ヒンジ部80は、東西通路P1側から取り外し操作可能な締結部85を備えている。この取り外し操作とは、締結部85の締緩作業、つまり、締結部85を締めることで固定でき、緩めることで取り外し可能となる作業である。
ヒンジ部80は、太陽光パネル50のフレーム部53における傾斜方向の上方寄りの位置に固定された可動部83と、例えば中空リベットのような軸部82を介して可動部83に回動自在に取り付けられた固定部81とを有し、固定部81は、締結部85(ボルト85a及びナット85b)を介して横材34に固定されている。
図9に示されるように、固定部81は、ボルト85aの挿通孔81dが形成された底面部81aと、底面部81aの一端(図示例では、西側の端縁)から立設される側面部81bと、側面部81bの上端から底面部81aに対向するように突出する上面部81cとを有している。底面部81aは、横材34の上壁部34aと略同じ角度で傾斜しており、横材34の上壁部34aと面同士が当接している(図11参照)。底面部81aは、横材34の上壁部34aに対してボルト85a及びナット85bによって着脱可能に固定されている。
側面部81bの上端側には、側面部81bに対向する面を有するアーム片81eが形成されている。このアーム片81eは側面部81bの上部の前側縁から突出して形成されている。アーム片81eの先端側と、側面部81bとには、互いに対向する位置に軸部82を挿通するための軸受孔81fが形成されている。また、上面部81cは、横材34の上壁部34aに対向する範囲のうち前方側のみに形成されており、上壁部34aと略同じ角度で傾斜している。
図11に示されるように、側面部81bの上端側では、軸受孔81fに挿通された軸部82を介して可動部83が回動自在に取り付けられている。軸部82の軸線方向は、横材34の延在方向と平行であり、側面部81bの延在する平面に直交する向きとなっている。可動部83は、ボルト87aの挿通孔83cが形成された板状の連結片83aと、連結片83aの左右の両側縁から突出した一対の軸ブラケット片83bとを有している。一対の軸ブラケット片83bには、軸部82を挿通させるための軸受孔83dが形成されている。一対の軸ブラケット片83bは、側面部81bとアーム片81eとの内側に配置され、軸受孔81fに挿通された軸部82は、軸ブラケット片83bの軸受孔83dにも挿通される。その結果、固定部81と可動部83とは軸部82を介して回動自在に連結される。軸部82の軸線は、横材34(側面部81b)の前後方向の中心よりも後側に位置している。
連結片83aに形成された挿通孔83cは、連結片83aの後部側に位置している。連結片83aは、太陽光パネル50の取付け片53aに対してボルト87a及びナット87bによって固定されている。これにより、太陽光パネル50は、軸部82を回動中心(支点)として横材34に対して傾動可能けられる。また、連結片83aは、上面部81cに対して当接可能であり、上面部81cに当接されることによって可動部83の回動が規制される。連結片83aが上面部81cに当接した状態では、連結片83aは上面部81cと同様に傾斜するため、太陽光パネル50を傾斜させて固定することができる。
作業員は、東西通路P1側からヒンジ部80を支点に太陽光パネル50を持ち上げ、太陽光パネル50の下方に作業スペースを作る。作業員は、作業スペースに入り、その場所でボルト85a及びナット85bの締緩作業を行って太陽光パネル50の取り外しを行う。
また、太陽光パネル50の前端縁部50c(南側)には、固定ピース75が固定されている。固定ピース75は、断面L字状の板状部材であり、横材34の前側壁部34bと面同士が接する板状部75aと、板状部75aの上端から前方に突出する上面部75bとを有している。上面部75bは、横材34の上壁部34aと面一となっており、横材34の上壁部34aと略同じ角度で傾斜している。上面部75bは、太陽光パネル50に対してボルト77a及びナット77bによって固定されている。板状部75aは、前側壁部34bに接した状態で締結部76(ボルト76a及びナット76b)によって前側壁部34bに固定されている。これにより、固定ピース75は、架台30の横材34に締結部76を介して着脱自在となっている。締結部76は東西通路P1に隣接して設けられているので、東西通路P1側から取り外し操作可能である。この取り外し操作とは、締結部76の締緩作業、つまり、締結部76を締めることで固定でき、緩めることで取り外し可能となる作業である。なお、本実施形態では、前端パネル列Rf及び後端パネル列Rr以外の南北方向の内側に配置されるパネル列Rにおける太陽光パネル50は、固定ピース71,75によって横材34に固定されている。
上述した太陽光パネル50及び陸屋根3をメンテナンスする場合、作業者は、南北通路P2及び東西通路P1を移動しながら太陽光パネル50の着脱操作を行う。まず、前端パネル列Rfの着脱操作について説明する。作業者は、南北通路P2から、前端パネル列Rfの北側に隣接する東西通路P1に移動する。そして、固定ピース71を横材34に固定しているナット73bを東西通路P1側から操作して取り外す。続いて、ヒンジ部60を回動中心として、図10(b)のように、太陽光パネル50を上側に跳ね上げるようにして持ち上げる。これによって、作業者は東西通路P1側から太陽光パネル50の前端縁部50aを固定する横材34にアクセスすることができる。この状態で、作業者は、ヒンジ部60と横材34とを固定しているナット65bを東西通路P1側から操作して取り外す。以上の操作によって、架台30から太陽光パネル50を取り外すことができる。これによって、作業者は、その太陽光パネル50が配置されていた位置の陸屋根3の点検及び補修を行うことができる。点検及び補修が終了した後は、取り外しと逆の手順によって太陽光パネル50を架台30に取り付けることができる。このように、前端パネル列Rfを屋根の外周縁4に近付けて配置しても、前端パネル列Rfに対して、東西通路P1側からの取り外し操作のみによって太陽光パネル50の着脱を行うことができる。
後端パネル列Rrの着脱操作について説明する。作業者は、南北通路P2から、後端パネル列Rrの南側に隣接する東西通路P1に移動する。そして、固定ピース75を横材34に固定しているナット76bを東西通路P1側から操作して取り外す。続いて、図11(b)のように、ヒンジ部80を回動中心として、太陽光パネル50を上側に跳ね上げる。これによって、作業者は東西通路P1側から太陽光パネル50の後端縁部50dを固定する横材34にアクセスすることができる。この状態で、作業者は、ヒンジ部80と横材34とを固定しているナット85bを東西通路P1側から操作して取り外す。以上の操作によって、架台30から太陽光パネル50を取り外すことができる。これによって、作業者は、その太陽光パネル50が配置されていた位置の陸屋根3の点検及び補修を行うことができる。点検及び補修が終了した後は、取り外しと逆の手順によって太陽光パネル50を架台30に取り付けることができる。なお、前端パネル列Rf及び後端パネル列Rr以外の南北方向の内側に配置されるパネル列Rにおける太陽光パネル50は、南側及び北側に隣接する東西通路P1から固定ピース71,75を取り外すことによって太陽光パネル50を取り外すことができる。このように、後端パネル列Rrを屋根の外周縁4に近付けて配置しても、後端パネル列Rrに対して、東西通路P1側からの取り外し操作のみによって太陽光パネル50の着脱を行うことができる。
以上説明したヒンジ部60によれば、太陽光パネル50が傾斜方向の下方寄りの位置で軸部62を支点として傾動可能となっているので、太陽光パネル50における傾斜方向の上方側を持ち上げるようにして傾動させることができる。この場合、太陽光パネル50を傾動させることによって、太陽光パネル50の裏面側の空間に対して太陽光パネル50の傾斜方向の上方側からアクセスしやすくなる。
また、固定部61は、横材34の上壁部34aに当接するアーム片61bを有しているので、横材34に対するヒンジ部60の固定状態が更に安定する。
また、アーム片61bは、横材34の延在方向と直交する幅方向において少なくとも前側壁部34bを越えて延在し、可動部63は、アーム片61bにおける前側壁部34bを越えた位置において軸部62によって固定部61と連結されている。そのため、可動部63と連結されたアーム片61bが横材34の上壁部34aに当接されているので、可動部63に加わる太陽光パネル50の荷重を安定して支持することができる。また、前側面部を越えた位置に軸部62が配置されているので、太陽光パネル50の傾動時に太陽光パネル50とヒンジ部60とが干渉することを抑制できる。
また、太陽光パネル50は、パネル部51と、パネル部51の裏面側に突出するフレーム部53と、を有しており、可動部63はフレーム部53に固定され、軸部62は可動部63とフレーム部53との固定位置である連結片63aよりもパネル部51側に配置されている。このように、軸部62がパネル部51側に近付いて位置することで、太陽光パネル50の配置位置を低くすることができる。また、建物1の外側から太陽光パネル50が見えにくくなり、意匠上有利である。また、太陽光パネル50のフレーム部53が、横材34の上壁部34aに当接されることによって、太陽光パネル50の設置状態が安定する。
また、建物1の南側外周にヒンジ部60が設置されているので、建物1の南側外周に位置する太陽光パネル50の前端縁部50aは建物1の屋根面に近接する。そのため、建物1の南側から風が吹き付けたとしても、建物1の南端外周を越えた風による太陽光パネル50を吹き上げようとする力が太陽光パネル50に作用し難くなり、太陽光パネル50の設置状態がより安定する。
(第2実施形態)
次に、さらに図12〜15を参照して第2実施形態に係る太陽光パネル設置構造A2について説明する。本実施形態に係る太陽光パネル設置構造A2は、ヒンジ部60,80に代えてヒンジ部(固定部材)160,180を用いる点で、第1実施形態に係る太陽光パネル設置構造A1と相違する。以下、主として第1実施形態と相違する点について説明し、同一の要素や部材については同一の符号を付して詳しい説明は省略する。
まず、本実施形態に係る太陽光パネル設置構造A2における前端パネル列Rfの構成について説明する。前端パネル列Rfを形成する太陽光パネル50は、その前端縁部50a(南側)の下方に配置された横材34に対してヒンジ部160を介して固定されており、後端縁部50b(北側)の下方に配置された横材34に対して固定ピース71を介して固定されている。
図12、図14に示されるように、ヒンジ部160は、太陽光パネル50のフレーム部53に固定された可動部163と、例えば中空リベットのような軸部162を介して可動部163に回動自在に取り付けられた固定部161とを有し、固定部161は、締結部165(ボルト165a及びナット165b)を介して横材34に固定されている。
固定部161は、略矩形板状の上側当接片161aと、上側当接片161aの左右両側縁から上方に突出する一対の板状のアーム片(当接部)161bと、上側当接片161aの前後両側縁から下方に突出する板状の前側当接片(第2当接片)161c及び後側当接片(第1当接片)161dと、を有している。前側当接片161cと後側当接片161dとの内側面間の距離は、前側壁部34bと後側壁部34cとの外側面間の距離と略同じとなっている。
図14に示されるように、上側当接片161aは、横材34の上壁部34aと略同じ角度で傾斜しており、上壁部34aに当接するように配置されている。この状態では、前側当接片161c及び後側当接片161dは、前側壁部34bと後側壁部34cとの対向する外側に配置されており、前側当接片161cは前側壁部34bと、後側当接片161dは後側壁部34cと、それぞれ面同士が当接可能となっている。また、後側当接片161dにおける上下方向の長さは、前側当接片161cにおける上下方向の長さよりも長くなっており、後側当接片161dの上端位置は前側当接片161cの上端位置よりも高くなっている。なお、前側当接片161c及び後側当接片161dと前側壁部34b及び後側壁部34cとの間には、取付の容易のために若干のクリアランスが設けられていてもよい。また、前側当接片161c及び後側当接片161dの下端は、横材34のベース部34d上面に当接している。これにより、横材34に対するヒンジ部160の設置状態がより安定する。
後側当接片161dには、ボルト165aの挿通孔161eが形成されている。これにより、後側当接片161dは、横材34の後側壁部34cに対してボルト165a及びナット165bによって固定される。このような上側当接片161aでは、少なくとも横材34における後側壁部34cの後側(北側、内縁側)からナット165bを締緩操作することが可能となっている。なお、本実施形態では、後側当接片161dと後側壁部34cとが締結されている例を示しているが、例えば、上側当接片161aと上壁部34aとが締結されていてもよい。
一対のアーム片161bは、対向しており、その先端側には、軸部162を挿通するための軸受孔161fが形成されている。横材34の延在方向と平行に形成された軸部162の軸線は、横材34の幅方向の中心よりも前側壁部34b側に位置している。軸部162は、例えばカシメ部材によって構成されるが、これに限定されるものではない。図14に示されるように、アーム片161bの先端側は横材34の上壁部34a及び前側壁部34bを越えて前側に突出するように延在している。アーム片161bの先端には、軸受孔161fに挿通された軸部162を介して可動部163が回動自在に取り付けられている。
可動部163は、ボルト167aの挿通孔163cが形成された板状の連結片163aと、連結片163aの面に直交するように突出した一対の軸ブラケット片163bとを有している。一対の軸ブラケット片163bには、軸部162を挿通させるための軸受孔163eが形成されている。一対の軸ブラケット片163bは、固定部161の一対のアーム片161bの内側に配置され、アーム片161bの軸受孔161fに挿通された軸部162は、軸ブラケット片163bの軸受孔163eにも挿通される。その結果、アーム片161bと軸ブラケット片163bとは軸部162を介して回動自在に連結される。
連結片163aは、一対の軸ブラケット片163bで挟まれた領域よりも前方側に突出した羽根部163dを有する。羽根部163dには、ボルト167aの挿通孔163cが形成されている。羽根部163dは、太陽光パネル50の取付け片53aに対してボルト167a及びナット167bによって固定される。これにより、太陽光パネル50は、軸部162を回動中心として横材34に対して傾動可能に取り付けられる。なお、連結片163aは、軸ブラケット片163bの下端に設けられており、従って、軸ブラケット片163bを回動自在に支持する軸部162は、太陽光パネル50が固定された状態において、連結片163aよりも上方の太陽光パネル50側に配置されている(図14(a)参照)。
続いて、さらに図13及び図15を参照して、後端パネル列Rrの構成について説明する。後端パネル列Rrを形成する太陽光パネル50は、その前端縁部50c(南側)の下方に配置された横材34に対して固定ピース75によって固定されており、後端縁部50d(北側)の下方に配置された横材34に対してヒンジ部180によって固定されている。
ヒンジ部180は、太陽光パネル50のフレーム部53に固定された可動部183と、例えば中空リベットのような軸部182を介して可動部183に回動自在に取り付けられた固定部181とを有し、固定部181は、締結部185(ボルト185a及びナット185b)を介して横材34に固定されている。固定部181は、ボルト185aの挿通孔181dが形成された底面部(上側当接片)181aと、底面部181aの一端(図示例では、西側の端縁)から立設される側面部181bと、側面部181bの上端から底面部181aに対向するように突出する上面部181cと、底面部181aの前後両端を基端として下方に突出する板状の前側当接片(第1当接片)181g及び後側当接片(第2当接片)181hと、を有している。
図15に示されるように、底面部181aは、横材34の上壁部34aと略同じ角度で傾斜しており、横材34の上壁部34aと面同士が重なり合い、当接している。この状態では、前側当接片181g及び後側当接片181hは、前側壁部34bと後側壁部34cとの対向する外側に配置されており、前側当接片181gは前側壁部34bと、後側当接片181hは後側壁部34cと、それぞれ面同士が当接可能となっている。また、後側当接片181hにおける上下方向の長さは、前側当接片181gにおける上下方向の長さよりも長くなっており、後側当接片181hの上端位置は前側当接片181gの上端位置よりも高くなっている。なお、前側当接片181g及び後側当接片181hと前側壁部34b及び後側壁部34cとの間には、取付の容易のために若干のクリアランスが設けられていてもよい。また、前側当接片181g及び後側当接片181hの下端は、横材34のベース部34d上面に当接している。これにより、横材34に対するヒンジ部180の設置状態がより安定する。
底面部181aは、横材34の上壁部34aに対してボルト185a及びナット185bによって着脱可能に固定されている。なお、本実施形態では、底面部181aと上壁部34aとが締結されている例を示しているが、例えば、後側当接片181hと前側壁部34bとが締結されていてもよい。
側面部181bの上端側には、側面部181bに対向する面を有するアーム片181eが形成されている。このアーム片181eは側面部181bの上部の前側縁から突出して形成されている。アーム片181eの先端側と、側面部181bとには、互いに対向する位置に軸部182を挿通するための軸受孔181fが形成されている。また、上面部181cは、横材34の上壁部34aに対向する範囲のうち前方側のみに形成されており、上壁部34aと略同じ角度で傾斜している。
側面部181bの上端側では、軸受孔181fに挿通された軸部182を介して可動部183が回動自在に取り付けられている。軸部182の軸線方向は、横材34の延在方向と平行であり、側面部181bの延在する平面に直交する向きとなっている。可動部183は、ボルト187aの挿通孔183cが形成された板状の連結片183aと、連結片183aの左右の両側縁から突出した一対の軸ブラケット片183bとを有している。一対の軸ブラケット片183bには、軸部182を挿通させるための軸受孔183dが形成されている。一対の軸ブラケット片183bは、側面部181bとアーム片181eとの内側に配置され、軸受孔181fに挿通された軸部182は、軸ブラケット片183bの軸受孔183dにも挿通される。その結果、固定部181と可動部183とは軸部182を介して回動自在に連結される。軸部182の軸線は、横材34(側面部181b)の前後方向の中心よりも後側に位置している。
連結片183aに形成された挿通孔183cは、連結片183aの後部側に位置している。連結片183aは、太陽光パネル50の取付け片53aに対してボルト187a及びナット187bによって固定されている。これにより、太陽光パネル50は、軸部182を回動中心(支点)として横材34に対して傾動可能けられる。また、連結片183aは、上面部181cに対して当接可能であり、上面部181cに当接されることによって可動部183の回動が規制される。連結片183aが上面部181cに当接した状態では、連結片183aは上面部181cと同様に傾斜するため、太陽光パネル50を傾斜させて固定することができる。
作業員は、東西通路P1側からヒンジ部180を支点に太陽光パネル50を持ち上げ、太陽光パネル50の下方に作業スペースを作る。作業員は、作業スペースに入り、その場所でボルト185a及びナット185bの締緩作業を行って太陽光パネル50の取り外しを行う。
以上説明したように、横材34は、後側壁部34cに対向する前側壁部34bを有し、固定部161は、前側壁部34bに当接する前側当接片161cと、前側当接片161cに対向して後側壁部34cに当接する後側当接片161dとを有している。また、前側当接片161cと後側当接片161dとの両方は、後側壁部34cと前側壁部34bとで挟まれた外側に配置されている。これにより、横材34の後側壁部34c及び前側壁部34bにヒンジ部160の固定部161が当接して支持されているので、横材34に対する着脱の際に、ヒンジ部160が転倒することが抑制され、施工が容易になる。
また、後側当接片161d,181hにおける上下方向の長さは、前側当接片161c,181gにおける上下方向の長さよりも長くなっており、後側当接片161d,181hの上端位置は前側当接片161c、181gの上端位置よりも高くなっている。これにより、後側当接片161d,181hと後側壁部34cとの高さが一致するとともに、前側当接片161c,181gと前側壁部34bとの高さが一致する。そのため、より安定してヒンジ部160,180を支持することができる。
(第3実施形態)
次に図16及び図17を参照して第3実施形態に係る太陽光パネル設置構造A3について説明する。本実施形態に係る太陽光パネル設置構造A3は、所定の横材34に代えて横材234を用いる点で、第2実施形態に係る太陽光パネル設置構造A2と相違する。以下、主として第2実施形態と相違する点について説明し、同一の要素や部材については同一の符号を付して詳しい説明は省略する。
本実施形態で使用される横材234は、第2実施形態におけるヒンジ部160及びヒンジ部180が固定される横材34と同様の位置に配置されるものである。すなわち、横材234は、前端パネル列Rfを形成する太陽光パネル50の前端縁部50a(南側)の下方、及び、後端パネル列Rrを形成する後端縁部50d(北側)の下方において縦材31に固定されている。
横材234は、断面略U字状の長尺部材であり、挿通孔が形成された底部234aと、底部234aの前端及び後端からそれぞれ略直角に屈曲して立設される前側壁部(第2側面部)234b及び後側壁部(第1側面部)234cとを有している。横材234の底部234aは、複数の縦材31の上面部31cに対してボルト235a及びナット235bによって固定されている。また、後側壁部234cには、ボルト265a(図16参照)が挿通される挿通孔が形成されている。また、前側壁部234bには、ボルト267a(図17参照)が挿通される挿通孔が形成されている。
図16に示されるように、前端パネル列Rfを形成する太陽光パネル50の前端縁部50aにはヒンジ部160が固定されている。前側壁部234bと後側壁部234cとの内側面間の距離は、ヒンジ部160における前側当接片161cと後側当接片との外側面間の距離と略同じとなっている。前側当接片161c及び後側当接片161dは、前側壁部234bと後側壁部234cとの対向する内側に配置されており、前側当接片161cは前側壁部34bと、後側当接片161dは後側壁部34cと、それぞれ面同士が当接可能となっている。この状態では、前側壁部234bが、ヒンジ部160におけるアーム片161bの下縁に当接していてもよい。また、前側当接片161c及び後側当接片161dと前側壁部234b及び後側壁部234cとの間には、取付の容易のために若干のクリアランスが設けられていてもよい。横材234の後側壁部234cには挿通孔が形成されており、これにより、ヒンジ部160の後側当接片161dは、後側壁部234cに対して締結部265(ボルト265a及びナット265b)によって固定される。
また、図17に示されるように、後端パネル列Rrを形成する太陽光パネル50の後端縁部50dにはヒンジ部180が固定されている。前側壁部234bと後側壁部234cとの内側面間の距離は、ヒンジ部180における前側当接片181gと後側当接片181hとの外側面間の距離と略同じとなっている。前側当接片181g及び後側当接片181hは、前側壁部234bと後側壁部234cとの対向する内側に配置されており、前側当接片181gは前側壁部234bと、後側当接片181hは後側壁部234cと、それぞれ面同士が当接可能となっている。なお、前側当接片181g及び後側当接片181hと前側壁部234b及び後側壁部234cとの間には、取付の容易のために若干のクリアランスが設けられていてもよい。ヒンジ部180の前側当接片181gは、前側壁部234bに対して締結部267(ボルト267a及びナット267b)によって固定される。
以上説明したように、横材234は、後側壁部234cに対向する前側壁部234bを有し、固定部161は、前側壁部234bに当接する前側当接片161cと、前側当接片161cに対向して後側壁部234cに当接する後側当接片161dとを有している。また、前側当接片161cと後側当接片161dとの両方は、後側壁部234cと前側壁部234bとで挟まれた内側に配置されている。これにより、横材234の後側壁部234c及び前側壁部234bにヒンジ部160の固定部161が当接して支持されているので、横材234に対する着脱の際に、ヒンジ部160が転倒することが抑制され、施工が容易になる。
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではない。例えば、陸屋根の平面形状は一例であり、これに限定されるものではない。例えば陸屋根には入隅、吹き抜け等が形成されていてもよい。
また、機能パネルが外周梁よりも内側に設置されている例を示したが、これに限定されない。例えば、機能パネルを、外周梁よりも外周側に、すなわち、例えば梁を有さない庇を備える場合に、機能パネルが庇の部分にはみ出すように設置されてもよい。しかし、建物への荷重や、機能パネルの設置強度が高くなるので、横材は、外周梁よりも外周に設置されないことが望ましく、更に、機能パネルが、外周梁より内縁側に設置されることが望ましい。
また、太陽光パネルが傾斜して設けられている例を示したが、これに限定されず、例えば太陽光パネルが平坦に設けられていてもよい。なお、太陽光パネルを平坦に設置する場合には、横材の上壁部を傾斜させる必要はない。太陽光パネルを平坦に配置した場合には、パネル列同士の間隔を狭くすることができるので、屋根面に設置される太陽光パネルの枚数を増加させることができる。なお、太陽光パネルを平坦に配置する場合には、少なくとも横材にアクセスできる程度にパネル列同士の間隔を設ける必要がある。
また、南側に正面が向くように建物が建てられている例を示したが、これに限定されず、建物の正面がいずれの方向であっても良いことは言うまでもない。また、太陽光パネルが南を向いて傾斜するように固定している例を示したが、これに限定されない。
また、機能パネルとして、太陽光パネル(太陽光発電モジュール)を例示したがこれに限定されない。機能パネルとしては、太陽熱利用システムの集熱パネル、太陽光発電セルが集熱パネルの表面側に設置された複合型パネルなど、種々の機能パネルを用いることができる。なお、機能パネルとして太陽光パネルが用いられた場合には、角度に因らず、安定した光エネルギー利用機能が得られる点で有利である。
また、略平坦な屋根として、陸屋根を例示したがこれに限定されない。略平坦な屋根とは、屋根面全体として捉えたときに、略平坦であればよく、例えば、折板屋根などであってもよい。なお、略平坦な屋根として陸屋根を備えている場合には、屋根面に形成される各通路が平坦となるため、作業者が歩行しやすくなる。
なお、本実施形態では、柱脚20が屋根梁2(外周梁2a)に対して締結固定されている例を示しているが、例えば柱脚20が床パネル11に対してアンカー固定されていてもよい。この場合、柱頭ユニット21及び連結ユニット23のみによって柱脚を形成し、連結部23bを床パネル11に対して例えばアンカーボルトによって固定することができる。なお、柱脚20が屋根梁2に締結固定されている方が、柱脚20を強固に接続できる。さらに、柱脚20が外周梁2aに締結固定されることで、柱脚20を下方から支持のための補助的な梁を別途設ける必要がなくなり、建物1の軽量化に有利である。