JP6573245B2 - 焼結部品の製造方法、及び焼結部品 - Google Patents
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Description
本発明者らは、まず、穴が形成された焼結部品を生産性よく製造でき、かつ穴の形成に伴う工具寿命の低下を抑制できる製造方法を鋭意検討した。その結果、比較的高硬度な焼結部品ではなく、焼結前の比較的低硬度な成形体に対してドリルにより穴あけ加工を施すことで生産性の向上及び工具寿命の低下を抑制できるとの知見を得た。しかし、所定の薄肉部が設けられるように穴を形成した場合には、薄肉部の外側面に亀裂が生じ易いことが判明した。本発明者らは、この亀裂の発生を抑制するべく、更なる検討を行った。その結果、板材などの薄い部材の加工に利用されるローソク型ドリルを用いることで、上述の亀裂が形成されることなく穴を形成し易いとの知見を得た。本発明はこれらの知見に基づくものであり、最初に本発明の実施態様の内容を列記して説明する。
本発明の実施形態の詳細を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
実施形態1に係る焼結部品の製造方法は、成形体を作製する成形工程と、成形体に穴を形成する穴あけ加工工程と、穴あけ加工工程後、成形体を焼結する焼結工程とを備える。この焼結部品の製造方法の主たる特徴とするところは、穴あけ加工工程において、所定の位置に穴を形成して所定の薄肉部を形成する際、特定のドリルを用いる点にある。上記穴は、貫通している通し穴(貫通孔)又は貫通していない止まり穴を言う。以下、適宜図1を参照して各工程の詳細を説明する。
成形工程は、金属粉末を含む原料粉末をプレス成形して成形体を作製する。この成形体は、後述の焼結を経て製品化される機械部品の素材である。
原料粉末は、金属粉末を主体として含有する。金属粉末の材質は、製造する焼結部品の材質に応じて適宜選択でき、代表的には、鉄系材料が挙げられる。鉄系材料とは、鉄や鉄を主成分とする鉄合金のことである。鉄合金としては、例えば、Ni,Cu,Cr,Mo,Mn,C,Si,Al,P,B,N,及びCoから選択される1種以上の添加元素を含有するものが挙げられる。具体的な鉄合金としては、ステンレス鋼、Fe−C系合金,Fe−Cu−Ni−Mo系合金,Fe−Ni−Mo−Mn系合金,Fe−P系合金,Fe−Cu系合金,Fe−Cu−C系合金,Fe−Cu−Mo系合金,Fe−Ni−Mo−Cu−C系合金,Fe−Ni−Cu系合金,Fe−Ni−Mo−C系合金,Fe−Ni−Cr系合金,Fe−Ni−Mo−Cr系合金,Fe−Cr系合金,Fe−Mo−Cr系合金,Fe−Cr−C系合金,Fe−Ni−C系合金,Fe−Mo−Mn−Cr−C系合金などが挙げられる。鉄系材料の粉末を主体とすることで、鉄系焼結部品が得られる。鉄系材料の粉末を主体とする場合、その含有量は、原料粉末を100質量%とするとき、例えば90質量%以上、更に95質量%以上とすることが挙げられる。
プレス成形は、機械部品の最終形状に沿った形状に成形できる適宜な成形装置(成形用金型)を用いる。機械部品の形状は、中心に円形状の軸孔が形成される円筒状である場合が多い。この円筒状の機械部品の作製は、円筒の軸方向にプレス成形することで行われる。機械部品には、その外周面から軸孔に直交するように貫通する貫通孔(例えば、油孔に利用される)や止まり穴が形成されるものがある。この貫通孔や止まり穴は、成形体の成形時に一体に形成できないことから、後述する穴あけ加工工程により形成される。
穴あけ加工工程は、成形体10にローソク型ドリル2を用いて穴12Gを形成することで薄肉部11Gを形成する(図1中段図)。穴12Gは、貫通孔又は止まり穴であり、ここでは貫通孔としている。薄肉部11Gとは、穴12Gの内周面12Giと成形体10の外側面(端面)との間に形成される部位で、穴12Gの内周面12Giと成形体10の外側面(端面)との間の厚さGtが穴12Gの径Gd(ローソク型ドリルの径Dd)よりも小さい箇所である(図1中段右の断面図)。即ち、この穴あけ加工工程では、穴12Gの形成により形成される薄肉部11Gの厚さGtが、穴12Gの径Gdよりも小さくなる箇所に穴12Gを形成する。図1中段図に示す成形体10は、薄肉部11G及び穴12Gの形成前の円筒体であり、薄肉部11G及び穴12Gを二点鎖線で示している。図1中段右の成形体10の断面図は、同中段左の全体斜視図の(b)−(b)切断線で切断した断面図である。
ローソク型ドリル2の回転数や送り速度は、薄肉部11Gの厚さGt及び穴12Gのサイズ(径Gd、長さGl)に応じて適宜設定すればよい。ローソク型ドリル2の回転数や送り速度は、量産に適した程度に早くできる。ローソク型ドリル2の回転数は、例えば、4000rpm以上、更には6000rpm以上、特に10000rpm以上とすることができる。ローソク型ドリル2の送り速度は、例えば、800mm/min以上、更には1600mm/min以上、特に2000mm/min以上とすることができる。焼結部品の穴あけ加工に利用される通常のドリルであれば、回転数を上げるほど、送り速度を早くするほど、成形体10に加工した場合には薄肉部11Gの外側面に亀裂が生じ易くなる。通常のドリルとは、例えば、先端部の先端角を1段とするドリル(V字型ドリルということがある)や、先端部の先端角を2段とするドリル(ダブルアングルドリルということがある)などを言う。これに対して、ローソク型ドリル2は穴12Gを外周側に押し広げるような応力を成形体10に作用させ難くしつつ穴あけ加工を行い易いため、上述のような早さの回転数や送り速度で加工できる。そのため、生産性を高め易く、工具寿命の低下を抑制し易い。
焼結工程では、上述の穴あけ加工した成形体10を焼結する。この焼結により、詳しくは後述する焼結部品1が得られる(図1下図)。この焼結には、適当な焼結炉(図示略)を用いることが挙げられる。焼結の温度は、成形体10の材質に応じて焼結に必要な温度を適宜選択することができ、例えば、1000℃以上、更に1100℃以上、特に1200℃以上が挙げられる。焼結時間は、凡そ20分以上150分以下が挙げられる。
焼結部品1は、穴12Sが形成され、穴12Sの内周面12Siと焼結部品1の外側面(端面)との間の厚さStが穴12Sの径Sdよりも小さい薄肉部11Sを備える(図1下図)。図1下段右の焼結部品1の断面図は、同下段左の全体斜視図の(c)−(c)切断線で切断した断面図である。
以上説明した実施形態1によれば、以下の効果を奏することができる。
実施形態1に係る焼結部品の製造方法で説明した成形工程、穴あけ加工工程を経て、貫通孔が形成されることで薄肉部が形成された成形体を作製し、成形体の薄肉部の外側面への亀裂などの疵の有無を確認した。
原料粉末として、水アトマイズ鉄粉(D50:100μm)と、銅粉(D50:30μm)と、炭素粉(D50:20μm)と、エチレンビスステアリン酸アミドとを混合した混合粉末を準備した。
次に、成形体にドリルを用いて貫通孔を形成することで、薄肉部を形成した。ドリルには、ローソク型ドリル(菱高精機株式会社製 ZH342−ViO φ:4mm)と、ダブルアングルドリル(φ4mm、第一先端角:135°、第二先端角:60°)とを用いた。ダブルアングルドリルは、スーパーマルチドリル(住友電工ハードメタル株式会社製 MDW0400HGS)の先端部の両外端(外周コーナー)を研磨加工して上記角度の第二先端角を形成したものを用いた。
実施形態1に係る焼結部品の製造方法で説明した成形工程、穴あけ加工工程を経た成形体と、その成形体に更に焼結工程を経た焼結部品とをそれぞれ製造し、成形体の貫通孔の内周面と、焼結部品の貫通孔の内周面とをそれぞれ観察した。
以上説明した本発明の実施形態に関連して、更に以下の付記を開示する。
金属粉末を含む原料粉末をプレス成形して成形体を作製する成形工程と、
前記成形体にローソク型ドリルを用いて穴の入り口を形成する入り口穴あけ加工工程と、
前記入り口穴あけ加工工程後、前記成形体を焼結する焼結工程とを備える焼結部品の製造方法。
試験例1と同様の成形工程を経て作製した成形体に、試験例1で用いたローソク型ドリル及びダブルアングルドリルに加えて、V字型ドリル(先端角:135°)を用いて穴の入り口を形成する入り口穴あけ加工を施し、各ドリルにおけるスラスト荷重(N)の推移を測定した。
10 成形体
11G、11S 薄肉部 11Gf、11Sf 外側面
12G、12S 穴 12Gi、12Si 内周面
2 ローソク型ドリル
Claims (7)
- 金属粉末を含む原料粉末をプレス成形して成形体を作製する成形工程と、
前記成形体にドリルを用いて穴を形成することで、前記穴の内周面と前記成形体の端面との間の厚さGtが前記穴の径Gdよりも小さい薄肉部を形成する穴あけ加工工程と、
前記穴あけ加工工程後、前記成形体を焼結する焼結工程とを備え、
前記ドリルは、先端部と切れ刃とを備え、
前記先端部の中央と前記切れ刃の両外端との間に凹部が形成されている焼結部品の製造方法。 - 前記ドリルは、前記中央と前記両外端とを結ぶ直線同士の間の角度のうち前記ドリルの後方側の角度θが140°以上220°以下である請求項1に記載の焼結部品の製造方法。
- 前記薄肉部の厚さGtは、Gd/5以上Gd/2以下である請求項1又は請求項2に記載の焼結部品の製造方法。
- 前記穴の軸方向の長さをGlとするとき、
前記Glは、Gd以上である請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の焼結部品の製造方法。 - 穴が形成された焼結部品であって、
前記焼結部品の形状は、中心に軸孔が形成される筒状であり、
前記穴は、前記焼結部品の前記筒状の外周面から前記軸孔に向かう方向に形成され、
前記焼結部品は、前記穴の内周面と前記焼結部品の前記筒状の端面との間の厚さStが前記穴の径Sdよりも小さい薄肉部を備え、
前記穴の内周面の形状が梨地状である焼結部品。 - 前記薄肉部の厚さStは、Sd/5以上Sd/2以下である請求項5に記載の焼結部品。
- 前記穴の内周面の十点平均粗さRzが、20μm以上である請求項5又は請求項6に記載の焼結部品。
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