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JP6572962B2 - エンジンのシリンダブロックの鋳造装置、その鋳造金型、及びその鋳造方法 - Google Patents

エンジンのシリンダブロックの鋳造装置、その鋳造金型、及びその鋳造方法 Download PDF

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Description

ここに開示する技術は、エンジンのシリンダブロックを鋳造するための鋳造装置、その鋳造金型、及びその鋳造方法に関する技術分野に属する。
従来より、多気筒エンジンのシリンダブロックとして、クランク軸の軸受部及びクランクケースの一部を有する、オープンデッキ構造のシリンダブロックが知られている。一般に、このようなシリンダブロックは鋳造装置を用いて鋳造により製造される。
例えば、特許文献1には、クランク室側の固定型と、シリンダヘッド側の可動型とを有し、可動型にシリンダライナを保持するボアピンが設けられた金型を有する鋳造用金型装置(鋳造装置)が開示されている。
この特許文献1の鋳造用金型装置では、ボアピンにシリンダライナが保持された状態で、固定型と可動型とを組み合わせてキャビティを形成し、該キャビティに溶湯を注入して、固化させることでシリンダブロックを鋳造している。
特開2014−176861号公報
ところが、本願発明者らの検討によれば、特許文献1のような鋳造装置では、多気筒エンジンのシリンダブロックを鋳造により製造するときに、気筒列方向の両端にそれぞれ位置する各シリンダボアが、クランク室側に向かって気筒列方向の内側にそれぞれ傾くおそれがあることが判明した。
キャビティに溶湯を注入して固化させた後、固定型を離型した際にシリンダブロックのクランクケースの部分が収縮変形する。この収縮変形の残留応力によって、可動型を離型する際に、気筒列方向の両端にそれぞれ位置する各シリンダボアが、クランクケース側に向かって気筒列方向の内側にそれぞれ傾いてしまう。
シリンダボアが傾くと、該シリンダボア内に嵌挿されるピストンとシリンダボア壁との間に比較的大きな隙間が生じて、ピストンとシリンダボア壁との密着性が低下する。この結果、燃焼室からガス抜けが発生して、燃焼室での燃料の燃焼によって発生するトルクが減少するため、燃費の悪化を招いてしまう。また、ピストンとシリンダボア壁との間の上記隙間を塞いでピストンとシリンダボア壁との密着性を高くするために、大量のオイルが必要となる。このため、オイルポンプを駆動させる負荷が大きくなって、結果として燃費の悪化を招いてしまう。
ここに開示する技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、クランク軸の軸受部及びクランクケースの一部を有しかつオープンデッキ構造の、多気筒エンジンのシリンダブロックを鋳造により製造する際に、シリンダボアが気筒列方向に傾斜することを抑制して、燃費の悪化を抑制することにある。
上記課題を解決するために、ここに開示する技術では、クランク軸の軸受部及びクランクケースの一部を有しかつオープンデッキ構造のシリンダブロックを鋳造するための、エンジンのシリンダブロックの鋳造装置を対象として、上記エンジンは複数の気筒が列状に並んだ多気筒エンジンであり、上記軸受部及び上記クランクケースの一部を形成するための第1金型と、上記各気筒のシリンダボアをそれぞれ形成する複数のボアピンであって、上記複数の気筒の気筒列に対応して配置されたボアピンを有する第2金型と、上記第1金型と上記第2金型とが型合わせされて形成されるキャビティに溶湯を注入する射出装置とを備え、上記第2金型は、上記各ボアピンの軸方向の一端側が固定されるベースプレートを有し、上記複数のボアピンが並ぶ方向であって、気筒列方向に対応する方向を直列方向として、上記複数のボアピンのうち上記直列方向の両側端にそれぞれ位置する各ボアピンは、当該各ボアピンの他端側に向かって上記直列方向に相隣接するボアピンから離れるように、上記直列方向の外側に傾斜した傾斜部をそれぞれ有する、構成とした。
この構成によると、第1金型と第2金型とが型合わせされてキャビティが形成された状態では、複数のボアピンのうち上記直列方向の両側端にそれぞれ位置する各ボアピン(以下、端側ボアピンという)の傾斜部は、それぞれ、当該各ボアピンの他端側に向かって上記直列方向に相隣接するボアピンから離れるように、上記直列方向の外側に傾斜した状態となる。これにより、各端側ボアピンで形成される各シリンダボア(以下、端側シリンダボアという)は、第2金型が離型される前の状態では、それぞれ、クランクケース側に向かって気筒列方向の外側に傾斜した状態となる。その後、第2金型が離型されると、クランク軸の軸受部及びクランクケースの一部が収縮変形したことによる残留応力が各端側シリンダボアにそれぞれかかる。各端側シリンダボアは、上記残留応力によって、気筒列方向の内側にそれぞれ回転変位する。これにより、第2金型が離型される前の状態における、各端側シリンダボアの気筒列方向の外側への傾斜が相殺されて、第2金型が離型された後の状態では、各端側シリンダボアの気筒列方向の傾きが抑制される。
したがって、シリンダボアが気筒列方向に傾斜することを抑制することができ、燃費の悪化を抑制することができる。
エンジンのシリンダブロックの上記鋳造装置において、上記各気筒の各シリンダボアは、シリンダライナを合金で鋳包んでそれぞれ構成されており、上記各ボアピンは、上記各シリンダライナを保持するライナ保持部をそれぞれ有し、上記各傾斜部は上記ライナ保持部に形成されており、上記各ライナ保持部に上記シリンダライナがそれぞれ保持された状態で、上記第1金型と上記第2金型とが型合わせされた後、上記射出装置によって溶湯が注入されるように構成されている、ことが好ましい。
この構成によると、各シリンダボアがシリンダライナによって形成されるため、シリンダボアにおけるシリンダライナが鋳包まれている部分は、シリンダライナの筒軸方向に沿って真っ直ぐに伸びる。また、各端側シリンダボアが、上記残留応力によって、気筒列方向の内側にそれぞれ回転変位するときには、各端側シリンダボアの各シリンダライナがそれぞれ回転変位する。これらの結果、第2金型が離型された後の状態において、各端側シリンダボアの筒軸方向の一部のみが気筒列方向に傾いて、各端側シリンダボアが気筒列方向に湾曲したような形状になることも抑制できる。したがって、シリンダボアが気筒列方向に傾斜することをより効果的に抑制することができる。
また、各シリンダボアがシリンダライナによって形成されるため、シリンダボアの真円度を高くすることもできる。
ここに開示された技術の別の態様は、エンジンのシリンダブロックの鋳造金型であり、具体的には、クランク軸の軸受部及びクランクケースの一部を有しかつオープンデッキ構造のシリンダブロックを鋳造するための、エンジンのシリンダブロックの鋳造金型を対象として、上記エンジンは複数の気筒が列状に並んだ多気筒エンジンであり、上記軸受部及び上記クランクケースの一部を形成するための第1金型と、上記各気筒のシリンダボアをそれぞれ形成する複数のボアピンであって、上記複数の気筒の気筒列に対応して配置されたボアピンを有するとともに、上記第1金型と型合わせをして上記シリンダブロックを鋳造するためのキャビティを形成する第2金型とを備え、上記第2金型は、上記各ボアピンの軸方向の一端側が固定されるベースプレートを有し、上記複数のボアピンが並ぶ方向であって、上記気筒列の方向に対応する方向を直列方向として、上記複数のボアピンのうち上記直列方向の両側端にそれぞれ位置する各ボアピンは、当該各ボアピンの他端側に向かって上記直列方向に相隣接するボアピンから離れるように、上記直列方向の外側に傾斜した傾斜部をそれぞれ有する、構成とした。
この構成によると、第1金型と第2金型とが型合わせされてキャビティが形成された状態では、各端側ボアピンの傾斜部は、それぞれ、当該各ボアピンの他端側に向かって上記直列方向に相隣接するボアピンから離れるように、上記直列方向の外側に傾斜した状態となる。これにより、各端側シリンダボアは、第2金型が離型される前の状態では、クランクケース側に向かって気筒列方向の外側に傾斜する。このため、第2金型が離型されて、各端側シリンダボアが上記残留応力によって気筒列方向の内側にそれぞれ回転変位したときには、各端側シリンダボアの気筒列方向の外側への傾斜が相殺されて、各端側シリンダボアの気筒列方向の傾きが抑制される。
したがって、シリンダボアが気筒列方向に傾斜することを抑制することができ、燃費の悪化を抑制することができる。
エンジンのシリンダブロックの上記鋳造金型において、上記各気筒の各シリンダボアは、シリンダライナを合金で鋳包んでそれぞれ構成されており、上記各ボアピンは、上記各シリンダライナを保持するライナ保持部をそれぞれ有し、上記各傾斜部は上記ライナ保持部に形成されている、ことが好ましい。
この構成によると、各シリンダボアがシリンダライナによって形成されるため、シリンダボアにおけるシリンダライナが鋳包まれている部分は、シリンダライナの筒軸方向に沿って真っ直ぐに伸びる。また、各端側シリンダボアが、上記残留応力によって、気筒列方向の内側にそれぞれ回転変位するときには、各端側シリンダボアの各シリンダライナがそれぞれ回転変位する。これらの結果、第2金型が離型された後に、各端側シリンダボアの筒軸方向の一部のみが気筒列方向に傾いて、各端側シリンダボアが気筒列方向に湾曲したような形状になることを抑制できる。したがって、シリンダボアが気筒列方向に傾斜することをより効果的に抑制することができる。
ここに開示された技術の更に別の態様は、エンジンのシリンダブロックの鋳造方法であり、具体的には、クランク軸の軸受部及びクランクケースの一部を有しかつオープンデッキ構造のシリンダブロックを鋳造するための、エンジンのシリンダブロックの鋳造方法を対象として、上記エンジンは複数の気筒が列状に並んだ多気筒エンジンであり、上記軸受部及び上記クランクケースを形成するための第1金型と、上記各気筒のシリンダボアをそれぞれ形成する複数のボアピンであって、上記複数の気筒の気筒列に対応して配置されたボアピン及び該各ボアピンの軸方向の一端側が固定されるベースプレートを有する第2金型とを型合わせして、上記シリンダブロックを鋳造するためのキャビティを形成する型合わせ工程と、上記型合わせ工程で形成された上記キャビティに溶湯を注入する溶湯注入工程と、上記溶湯注入工程の後、上記第1金型を離型して、その後、上記第2金型を離型する離型工程とを含み、上記複数のボアピンが並ぶ方向であって、上記気筒列の方向に対応する方向を直列方向として、上記型合わせ工程では、上記第2金型は、上記複数のボアピンのうち上記直列方向の両側端にそれぞれ位置する各ボアピンの一部が、それぞれ、当該各ボアピンの他端側に向かって上記直列方向に相隣接する上記ボアピンから離れるように、上記直列方向の外側に傾斜された状態で、上記第1金型と型合わせされる、構成とした。
この構成によると、第1金型と第2金型とが型合わせされてキャビティが形成された状態では、各端側ボアピンの一部は、それぞれ、当該各ボアピンの他端側に向かって上記直列方向に相隣接する上記ボアピンから離れるように、上記直列方向の外側に傾斜した状態となる。このため、各端側シリンダボアは、第2金型が離型される前の状態では、クランクケース側に向かって気筒列方向の外側に傾斜する。そして、離型工程で第2金型が離型されたときには、各端側シリンダボアが上記残留応力によって気筒列方向の内側にそれぞれ回転変位することで、各端側シリンダボアの気筒列方向の外側への傾斜が相殺されて、各端側シリンダボアの気筒列方向の傾きが抑制される。
したがって、シリンダボアが気筒列方向に傾斜することを抑制することができ、燃費の悪化を抑制することができる。
エンジンのシリンダブロックの上記鋳造方法において、上記第2金型は、上記型合わせ工程において上記第1金型と型合わせする前の状態で、上記複数のボアピンのうち上記直列方向の両側端にそれぞれ位置する各ボアピンの上記一部が、それぞれ、当該各ボアピンの他端側に向かって上記直列方向に相隣接するボアピンから離れるように、上記直列方向の外側に傾斜して形成されており、上記型合わせ工程では、上記第2金型を上記第1金型と型合わせする、ことが好ましい。
この構成によると、第2金型は、第1金型と型合わせする前の状態で、各端側ボアピンが、それぞれ、当該各ボアピンの他端側に向かって上記直列方向に相隣接するボアピンから離れるように、上記直列方向の外側に傾斜している。これにより、型合わせ工程では、第1金型と第2金型とを単純に型合わせするだけで、各端側ボアピンを、当該各端側ボアピンの先端側に向かって上記直列方向に相隣接するボアピンから離れるようにそれぞれ傾斜された状態で、第1金型と第2金型とが型合わせされる。よって、型合わせ工程を単純化することができ、シリンダボアが気筒列方向に傾斜することをより効果的に抑制することができる。
エンジンのシリンダブロックの上記鋳造方法において、上記各気筒の各シリンダボアは、シリンダライナを合金で鋳包んでそれぞれ構成されており、上記第2金型の各ボアピンは、シリンダライナを保持するライナ保持部をそれぞれ有しており、上記型合わせ工程の前に、上記第2金型の上記各ボアピンに上記各シリンダをそれぞれ保持するシリンダライナ保持工程を更に含み、上記型合わせ工程では、上記複数のボアピンのうち上記直列方向の両側端にそれぞれ位置する各ボアピンの上記ライナ保持部が、それぞれ、当該各ボアピンの他端側に向かって上記直列方向に相隣接する上記ボアピンから離れるように、上記直列方向の外側に傾斜された状態で、上記第1金型と型合わせされる、ことが好ましい。
この構成によると、各シリンダボアがシリンダライナによって形成されるため、シリンダボアにおけるシリンダライナが鋳包まれている部分は、シリンダライナの筒軸方向に沿って真っ直ぐに伸びる。また、上記残留応力によって、各端側シリンダボアが気筒列方向の内側にそれぞれ回転変位するときには、各端側シリンダボアの各シリンダライナがそれぞれ回転変位する。これらの結果、離型工程において、第2金型が離型された後に、各端側シリンダボアの筒軸方向の一部のみが気筒列方向に傾いて、各端側シリンダボアが気筒列方向に湾曲したような形状になることも抑制できる。したがって、シリンダボアが気筒列方向に傾斜することを一層効果的に抑制することができる。
エンジンのシリンダブロックの上記鋳造方法の一実施形態では、上記シリンダブロックは、上記軸受部及び上記クランクケースの残部を有するロアブロックと締結されるアッパブロックである。
この構成によると、シリンダボアに、クランクケースを構成する部分からの残留応力がかかりやすい。このため、シリンダボアが気筒列方向に傾斜することを抑制して、燃費の悪化を抑制するという効果をより適切に発揮することができる。
以上説明したように、エンジンのシリンダブロックの鋳造装置、その鋳造金型、及びその鋳造方法によると、第1金型と第2金型とが型合わせされてキャビティが形成された状態で、第2金型の複数のボアピンのうち直列方向の両側端にそれぞれ位置する各ボアピンの傾斜部は、それぞれ、当該各ボアピンの先端側(他端側)に向かって上記直列方向に相隣接するボアピンから離れるように、上記直列方向の外側に傾斜した状態となる。これにより、直列方向の両側端にそれぞれ位置する各ボアピンで形成される各シリンダボアである端側シリンダボアは、第2金型が離型される前の状態では、それぞれ、クランクケース側に向かって気筒列方向の外側に傾斜する。その後、第2金型が離型されると、クランク軸の軸受部及びクランクケースの一部が収縮変形したことによる残留応力によって、各端側シリンダボアが、気筒列方向の内側にそれぞれ回転変位する。これにより、第2金型が離型された後の状態では、各端側シリンダボアの気筒列方向の傾きが抑制される。したがって、シリンダボアが気筒列方向に傾斜することを抑制することができ、シリンダボアが気筒列方向に傾斜することによる燃費の悪化を抑制することができる。
実施形態1に係る鋳造装置で鋳造されるシリンダブロックの斜視図である。 可動型と固定型とが型合わせされて、キャビティが形成された状態を示す断面図である。 可動型のボアピンの部分を拡大した拡大図である。 上記鋳造装置でシリンダブロックを鋳造する工程を示すフローチャートである。 可動型と固定型とが型合わせされてキャビティに溶湯が注入された状態を、ボアピンの直列方向に沿って切断した断面図である。 図3の状態から固定型が離型された状態を示す断面図である。 図4の状態から可動型が離型された状態を示す断面図である。 各端側シリンダボアの気筒列方向の傾きを、従来と本実施形態とで比較したグラフである。 実施形態2に係る鋳造装置で用いられる可動型を示す断面図である。 実施形態2に係る可動型が固定型と型合わせされた状態を示す断面図である。
(実施形態1)
以下、例示的な実施形態1について、図面を参照しながら詳細に説明する。シリンダブロック100の上下方向及び左右方向は、図1に示す矢印に従うものとする。
図1は、実施形態1に係る鋳造装置10(図2参照)で鋳造されるシリンダブロック100を示す。このシリンダブロック100は、4つの気筒が列状に並んだ直列4気筒の多気筒エンジン1に用いられるシリンダブロックである。シリンダブロック100は、アルミニウム合金により形成されており、各気筒が形成されたシリンダ部102と、該シリンダ部102の下部に設けられ、クランクケースの一部を構成するクランクケース部103とを有している。本実施形態で言うシリンダブロック100は、シリンダ部102とクランクケース部103を有するアッパブロックであり、このシリンダブロック100には、クランケースの残部を有するロアブロック(図示省略)が締結される。上記クランクケースは、クランクケース部103に、上記ロアブロックが下側から結合されて構成される。
シリンダ部102は、シリンダヘッド(図示省略)と合わされるガスケット面104と、このガスケット面104に一端が開口し、ピストン105が嵌挿されるシリンダボア106と、シリンダボア106の外壁の周囲に形成されるウォータージャケット107とを備えている。本実施形態1では、各気筒の各シリンダボア106は、アルミニウム合金とは異なる材質の金属で構成されたシリンダライナ108を、アルミニウム合金で鋳包んで構成されている。図1に示すように、本実施形態1では、ウォータージャケット107は上端部が開放されている。つまり、このシリンダブロック100は、オープンデッキ構造のシリンダブロックである。
クランクケース部103には、上記クランクケース内に配設されるクランク軸の軸受部109が複数形成されている。軸受部109は、4つのシリンダボア106を、気筒列方向(図1の左右方向と一致)の左側から右側に向かって順に、第1シリンダボア106a、第2シリンダボア106b、第3シリンダボア106c及び第4シリンダボア106dとして(これらを区別しない場合には、単にシリンダボア106という場合もある)、気筒列方向の両側に位置する第1及び第4シリンダボア106a,106dよりも外側に位置する2つの壁部の各下端部、及び気筒列方向に相隣接する2つのシリンダボア106の間の各壁部(例えば、第1シリンダボア106aと第2シリンダボア106bとの間の壁部等)の各下端部にそれぞれ形成されている。尚、図1では、第1シリンダボア106aよりも気筒列方向の外側に位置する壁部の下端部に設けられた軸受部109のみが見えており、これ以外の軸受部109は、シリンダブロック100の他の壁部と重なって見えていない。
ピストン105には、該ピストン105とシリンダボア106のシリンダボア壁との間の密着性を保つための複数のピストンリング105aが設けられている。
次に、鋳造装置10の構成について説明する。
図2に示すように、鋳造装置10は、鋳造金型として、シリンダブロック100における、軸受部109及びクランクケース部103を形成するための固定型20(第1金型)と、シリンダ部102を形成するための可動型30(第2金型)とを備えている。また、鋳造装置10は、固定型20と可動型30とが型合わせされて形成されるキャビティ60に溶湯を注入するための射出装置50を備えている。
固定型20は、鋳造装置10の固定型ベース11に固定されている。固定型20は、上記クランクケースのクランク室を形成するための固定型中子21を有している。また、固定型20は、射出装置50からキャビティ60に溶湯を供給するための湯口22が設けられている。
固定型20の固定型中子21における可動型30型の部分には、図2に示すように、可動型30とは反対型に凹んだ係合凹部23が形成されている。この係合凹部23は、可動型30の後述するボアピン34に形成された係合部36と係合する部分であり、固定型20と可動型30との型合わせ時に、ボアピン34の位置決めをする位置決め部としての役割を有している。詳しくは後述するが、各係合凹部23は各ボアピン34の各係合凸部36に対応する位置にそれぞれ形成されている。
可動型30は、該可動型30の移動方向と直交する方向にスライド可能な、第1摺動型31及び第2摺動型32と、シリンダブロック100におけるウォータージャケット107を形成するためのジャケット中子33と、各気筒のシリンダボア106をそれぞれ形成する複数(本実施形態では、気筒の数に対応して4つ)のボアピン34と、ジャケット中子33と各ボアピン34とが固定された可動型ベースプレート35とを有している。また、可動型30は、該可動型30を固定型20に対して接離するように移動させる移動装置(図示省略)と、鋳造物(ここでは鋳造されたシリンダブロック)から可動型30を離型させるためのエジェクター(図示省略)とを有している。
第1摺動型31及び第2摺動型32は、図2に示すように、シリンダブロック100における気筒列方向とシリンダボア106の筒軸方向との両方に直交する方向の側壁部を構成するための部分である。また、第2摺動型32の固定型20側の部分は、固定型20と協働して、射出装置50から湯口22を介して供給された溶湯をキャビティ60まで導く湯道24を形成している。
ジャケット中子33は、図1に示すような4つのシリンダボア106の外壁の周囲を一体的に覆うようなウォータージャケット107を形成するために、4つのボアピン34全てを周りから覆うように連続して形成されている。
4つのボアピン34は、シリンダブロック100の気筒列方向に対応するように並んで配設されている。以下の説明では、4つのボアピン34が並ぶ方向であって、上記気筒列方向に対応する方向を直列方向という。
図3には、4つのボアピン34を、上記直列方向及び該ボアピン34の軸方向の両方に直交する方向から拡大して示している。以下の説明では、4つのボアピン34を、図3の左側から右側に向かって順に、第1ボアピン34a、第2ボアピン34b、第3ボアピン34c及び第4ボアピン34dという。これらを区別しないときには、単にボアピン34ということがある。
4つのボアピン34は、図2及び図3に示すように、シリンダライナ108を保持するライナ保持部37と、該ライナ保持部37よりも大径で、可動型ベースプレート35に固定された段付部38とをそれぞれ有している。
各ボアピン34のライナ保持部37の径は、シリンダライナ108を保持できるように、シリンダライナ108の内径よりも僅かに小さい径にそれぞれ設定されている。一方で、各ボアピン34の段付部38の径はシリンダライナ108の内径よりも大きい径にそれぞれ設定されている。これにより、ライナ保持部37にシリンダライナ108を保持させるときに、該シリンダライナ108が段付部38に当接して、これ以上可動型ベースプレート35側に移動しないようになり、シリンダライナ108の位置決めを適切に行うことができる。
各ボアピン34のライナ保持部37の先端部には、固定型20の固定型中子21に形成された係合凹部23と係合する係合凸部36がそれぞれ形成されている。固定型20と可動型30とを型合わせするときには、各係合凸部36が各固定型中子21の係合凹部23とそれぞれ係合することで、各ボアピン34の位置決めがされる。
また、第1ボアピン34aには、係合凸部36とは別の凸部39が設けられている。この凸部39は、固定型20に形成された不図示の凹部と係合する凸部である。固定型20と可動型30とを型合わせするときには、先ずこの凸部39が固定型20の上記凹部と係合させて、おおまかな位置合わせを行う。その後、各係合凸部36と各係合凹部23とをそれぞれ係合させることで、各ボアピン34の詳細な位置決めを行う。
4つのボアピン34のうち、上記直列方向の内側に位置する第2ボアピン34b及び第3ボアピン34cの各ライナ保持部37は、上記直列方向に直交する方向に真っ直ぐに伸びるようにそれぞれ形成されている一方で、上記直列方向の端に位置する第1ボアピン34a及び第4ボアピン34dのライナ保持部37は、それぞれ、当該第1及び第4ボアピンの先端側に向かって上記直列方向に相隣接するボアピン34から離れるように傾斜した傾斜部40となっている。具体的には、図3に示すように、第1ボアピン34aのライナ保持部37は、基端部(段付部38との境界部分)から先端側に向かって、第2ボアピン34bから上記直列方向に離れるように傾斜して延びるように形成されている。一方で、第4ボアピン34dのライナ保持部37は、基端部から先端側に向かって、第3ボアピン34cから上記直列方向に離れるように傾斜して延びるように形成されている。また、第1及び第4ボアピン34a,34dは、第1ボアピン34aのライナ保持部37の基端部と第2ボアピン34bのライナ保持部37の基端部との間の隙間S1、及び第4ボアピン34dのライナ保持部37の基端部と第3ボアピン34cのライナ保持部37の基端部との間の隙間S2は、第2ボアピン34bのライナ保持部37の基端部と第3ボアピン34cのライナ保持部37の基端部との間の隙間S3よりも小さくなるように形成されている。尚、図3では、見やすくするために上記傾斜部40の傾斜を大きく示しており、詳しくは後述するが、実際の傾斜部40の傾斜角度は、0.1°〜0.3°程度である。
尚、第1及び第4ボアピン34a,34dのような上記直列方向に傾斜したライナ保持部37は、当該ライナ保持部37の一部を削るとともに、一部を増肉することによって形成することができる。
4つのボアピン34のうち、第1及び第4ボアピン34a,34dのライナ保持部37が上記直列方向に傾斜しているため、各ボアピン34の係合凸部36は上記直列方向に等間隔には並んでおらず、第1ボアピン34aの係合凸部36と第2ボアピン34bの係合凸部36との上記直列方向の中点間の距離L1(各係合凸部36と各中心軸Mとのそれぞれの交点間の距離)、及び第4ボアピン34dの係合凸部36と第3ボアピン34cの係合凸部36との上記直列方向の中点間の距離L2が、第2ボアピン34bの係合凸部36と第3ボアピン34cの係合凸部36との上記直列方向の中点間の距離L3よりも大きくなるように並んでいる。固定型20の固定型中子21の係合凹部23は、固定型20と可動型30とを型合わせしたときに、第1及び第4ボアピン34a,34dの各ライナ保持部37が傾斜した状態のままになるように、各ボアピン34の各係合凸部36に対応する位置にそれぞれ形成されている。より具体的には、図5に示すように、第1ボアピン34aの係合凸部36と係合する係合凹部23を第1係合凹部23a、第2ボアピン34bの係合凸部36と係合する係合凹部23を第2係合凹部23b、第3ボアピン34cの係合凸部36と係合する係合凹部23を第3係合凹部23c、第4ボアピン34dの係合凸部36と係合する係合凹部23を第4係合凹部23dとして、第1係合凹部23aと第2係合凹部23bとの上記直列方向の中点間の距離L1’、及び第4係合凹部23dと第3係合凹部23cとの上記直列方向の中点間の距離L2’が、第2係合凹部23bと第3係合凹部23cとの上記直列方向の中点間の距離L3’よりも大きくなるように、各係合凹部23がそれぞれ形成されている。
固定型20及び可動型30の少なくとも一方には、キャビティ60内に溶湯が注入されたときに、キャビティ60内のガス(空気)を排出するためのガス抜き部(図示省略)が設けられている。
射出装置50は、図2に示すように、筒状の射出スリーブ51と、射出スリーブ51内に嵌挿され、該射出スリーブ51の筒軸方向に進退可能な射出プランジャ52とを有している。
射出スリーブ51は、一部が固定型ベース11内に埋設され、残部が該固定型ベース11から固定型20とは反対に向かって突出している。
射出プランジャ52は、円柱状のロッド53と、溶湯を押圧するための円柱状の射出チップ54と、この射出チップ54をロッド53の一端部に連結するジョイント55とを有する。射出チップ54は、その外周面が射出スリーブ51の内周面に摺動可能となるようにその外径寸法が設定されている。図示は省略しているが、ロッド53の他端側は、プランジャ駆動機構としての油圧シリンダに連結されている。該油圧シリンダは、射出プランジャ52の射出速度を変更可能に構成されている。上記油圧シリンダの作動によって、射出プランジャ52の射出速度を適切に調整することで、キャビティ60内に適切に溶湯を射出、充填するようになっている。
次に、図4〜図7を参照しながら、鋳造装置10によってシリンダブロック100を鋳造する方法について説明する。
図4は、鋳造装置10でシリンダブロック100を鋳造する工程を示すフローチャートである。
鋳造装置10によってシリンダブロック100を鋳造するときには、先ず、ステップS1において、可動型30の各ボアピン34のライナ保持部37に、シリンダライナ108をそれぞれ保持させる。このとき、各シリンダライナ108は、各ボアピン34の段付部38に当接するまで各ライナ保持部37にそれぞれ嵌め込まれる。
次に、ステップS2において、固定型20と可動型30とを型合わせする。このステップS2において、各ボアピン34の位置合わせをする際には、上述したように、先ず、第1ボアピン34aに設けられた凸部39が固定型20の上記凹部と係合させて、おおまかな位置合わせする。その後、各係合凸部36と各係合凹部23とをそれぞれ係合させて、各ボアピン34の詳細な位置決めする。このステップS2では、図5に示すように、可動型30は、第1ボアピン34aのライナ保持部37及び第4ボアピン34dのライナ保持部37が、それぞれ、当該第1及び第4ボアピン34a,34dの先端側に向かって、第1ボアピン34aは第2ボアピン34bから、第4ボアピン34は第3ボアピン34cから離れるように傾斜された状態で、固定型20と型合わせされる。
次いで、ステップS3において、固定型20と可動型30とを型合わせすることで形成されたキャビティ60に溶湯を注入する。溶湯の注入は、射出スリーブ51内に溶湯を供給した後、射出プランジャ52を駆動して供給された溶湯を、固定型20の湯口22及び湯道24に向かって押し込む。これにより、上記湯口22及び上記湯道24を通ってキャビティ60内に溶湯が注入される。図5には、溶湯がキャビティ60内に注入される前の状態を示している。
続いて、所定時間経過後(溶湯が固化した後)に、ステップS4において、固定型20を離型する。これは、上記移動装置によって、可動型30を可動型ベースプレート35ごと固定型20から離すように移動させることで行う。
その後、ステップS5において、可動型30を離型する。これは、上記エジェクターのエジェクターピン(図示省略)によって、鋳造されたシリンダブロック100を押し出すことで行う。
以上によって、鋳造装置10でシリンダブロック100が鋳造される。
ここで、固定型20を離型したときには、固定型20による拘束力が無くなることによって、シリンダブロック100のクランクケース部103が収縮変形する。この収縮変形の残留応力は、シリンダブロック100のシリンダ部102にかかる。このため、可動型30を離型する際に、気筒列方向の両端にそれぞれ位置する各シリンダボア106、すなわち、第1シリンダボア106a及び第4シリンダボア106dが、クランクケース部103側に向かって気筒列方向の内側にそれぞれ回転変位する。
従来の可動型では、各ボアピンのライナ保持部が、上記直列方向に直交する方向に真っ直ぐ延びていたため、第1及び第4シリンダボア106a,106dが、クランクケース部103側に向かって気筒列方向の内側にそれぞれ回転変位したときには、第1及び第4シリンダボア106a,106dは、クランクケース部103側に向かって気筒列方向の内側にそれぞれ傾斜した状態となっていた。
シリンダボア106が傾くと、該シリンダボア106内に嵌挿されるピストン105と上記シリンダボア壁との間に比較的大きな隙間が生じて、ピストン105と上記シリンダボア壁との密着性が低下する。この結果、燃焼室からガス抜けが発生して、燃焼室での燃料の燃焼によって発生するトルクが減少するため、燃費の悪化を招いてしまう。また、ピストン105と上記シリンダボア壁との間の上記隙間を塞いでピストン105と上記シリンダボア壁との密着性を高くするために、大量のオイルが必要となる。このため、オイルポンプを駆動させる負荷が大きくなって、結果として燃費の悪化を招いてしまう。
これに対して、本実施形態1では、可動型30の各ボアピン34のうち上記直列方向の両側端にそれぞれ位置する各ボアピン34(第1ボアピン34a及び第4ボアピン34d)は、当該各ボアピン34の先端側に向かって上記直列方向に相隣接するボアピン34(第1ボアピン34aは第2ボアピン34b、第4ボアピン34は第3ボアピン34c)から離れるように傾斜した傾斜部40(ライナ保持部37)をそれぞれ有しており、可動型30は、各ボアピン34の傾斜部40が、当該各ボアピン34の先端側に向かって、当該各ボアピン34の先端側に向かって上記直列方向に相隣接するボアピン34から離れるようにそれぞれ傾斜された状態で、固定型20と型合わせされるため、第1及び第4シリンダボア106a,106dの、気筒列方向の内側への傾きを抑制することができる。
具体的には、上記の構成により、固定型20と可動型30とが型合わせされてキャビティ60が形成された状態で、第1及び第4ボアピン34a,34dの傾斜部40(ライナ保持部37)は、図5に示すように、それぞれ、第1及び第4ボアピン34a,34dの先端側に向かって、上記直列方向に相隣接するボアピン34(第1ボアピン34aは第2ボアピン34b、第4ボアピン34は第3ボアピン34c)から離れるように傾斜した状態となる。これにより、第1ボアピン34aで形成される第1シリンダボア106a、及び第4ボアピン34dで形成される第4シリンダボア106dは、それぞれ、可動型30が離型される前の状態では、図6に示すように、クランクケース部103側に向かって気筒列方向の外側に傾斜した状態となる。その後、可動型30が離型されると、クランクケース部103が収縮変形したことによる残留応力が第1及び第4シリンダボア106a,106dにそれぞれかかる。第1及び第4シリンダボア106a,106dは、上記残留応力によって、気筒列方向の内側にそれぞれ回転変位する。これにより、可動型30が離型される前の状態における、第1及び第4シリンダボア106a,106dの気筒列方向の外側への傾斜が相殺されて、可動型30が離型された後の状態では、図7に示すように、第1及び第4シリンダボア106a,106dの気筒列方向の内側への傾きが抑制される。
したがって、シリンダボア106、特に、気筒列方向の両端に位置する各シリンダボア106(ここでは、第1及び第4シリンダボア106a,106d)が気筒列方向に傾斜することを抑制することができ、燃費の悪化を抑制することができる。
特に、本実施形態1では、シリンダブロック100の各シリンダボア106はシリンダライナ108を用いて形成されている。このため、第1及び第4シリンダボア106a,106dが、上記残留応力によって、気筒列方向の内側にそれぞれ回転変位するときには、第1及び第4シリンダボア106a,106dを構成する各シリンダライナ108がそれぞれ回転変位する。この結果、第1及び第4シリンダボア106a,106dが均一に回転変位するため、可動型30が離型された後の状態において、第1及び第4シリンダボア106a,106dが気筒列方向に湾曲したような形状になることが抑制できる。よって、シリンダボア106が気筒列方向に傾斜することをより効果的に抑制することができる。
ここで、第1及び第4ボアピン34a,34dの各ライナ保持部37がそれぞれ傾斜部40となっていることから、可動型30を離型する際に、第1及び第4ボアピン34a,34dの各ライナ保持部37をシリンダボックス100のシリンダボア106から抜くことができるか否かが問題となる。この点について、実際に固定型20を離型した際には、クランクケース部103の収縮変形の応力によって、第1及び第4ボアピン34a,34dの各ライナ保持部37にそれぞれ保持された各シリンダライナ108が気筒列方向に撓む。このシリンダライナ108の撓みによって、第1及び第4ボアピン34a,34dの各ライナ保持部37と、当該各ライナ保持部37にそれぞれ保持された各シリンダライナ108との間には、隙間が形成される。この隙間により、可動型30を離型する際には、第1及び第4ボアピン34a,34dの各ライナ保持部37をシリンダボックス100のシリンダボア106から抜くことができるようになる。よって、可動型30の離型については問題にはならない。また、後述するように、傾斜部40の傾斜角度は、0.1°〜0.3°程度であるため、可動型30の離型については特に問題にはならない。
図8には、従来の可動型を用いて実際にシリンダブロック100を鋳造したときの、第1及び第4シリンダボア106a,106dの傾きと、本実施形態1の可動型30を用いて実際にシリンダブロック100を鋳造したときの、第1及び第4シリンダボア106a,106dの傾きとを示している。図8の左側のグラフが第1シリンダボア106aに関するものであり、図8の右側のグラフが第4シリンダボア106dに関するものである。両グラフでは、点線が従来の可動型を用いた場合のものを表し、実線が本実施形態1の可動型30を用いた場合のものを表す。尚、従来の可動型を用いた場合及び本実施形態1の可動型30を用いた場合の両方とも、第1及び第4シリンダボア106a,106dはシリンダライナ108を用いて形成されている。
図8の両グラフでは、縦軸が、シリンダボア106の筒軸の上下方向の位置を表し、横軸が、シリンダボア106の筒軸の気筒列方向の位置を表している。縦軸は、0点がガスケット面104の位置に相当し、そこから値が大きくなるほど、クランクケース部103に近い位置を表す。横軸は、0点が、気筒列方向においてシリンダボア106の筒軸が本来位置すべき位置を表している。第1シリンダボア106aに関するグラフ(左図)では、0からマイナス側が気筒列方向の外側に相当し、0からプラス側が気筒列方向の内側に相当する一方、第4シリンダボア106dに関するグラフ(右図)では、0からマイナス側が気筒列方向の内側に相当し、0からプラス側が気筒列方向の外側に相当する。そして、図8の両グラフでは、グラフ中の線の傾きが大きい程、シリンダボア106の気筒列方向傾きが大きいことを表す。
図8の両グラフに点線で示すように、従来の可動型を用いた場合には、第1及び第4シリンダボア106a,106dが、クランクケース部103側に向かって、気筒列方向の内側に大きく傾斜することが分かる。これは、固定型20を離型したことによりクランクケース部103が収縮変形した際に生じる残留応力の影響によるものである。詳しくは、第1及び第4シリンダボア106a,106dは、シリンダライナ108を用いて形成されているため、上記残留応力がシリンダライナ108にかかると、シリンダライナ108のクランクケース部103側の端部が気筒列方向の内側に変位する一方で、シリンダライナ108のガスケット面104側の端部が気筒列方向の外側に変位する。すなわち、シリンダライナ108が上下方向の中央部分を中心に回転変位する。これにより、第1及び第4シリンダボア106a,106dが、クランクケース部103側に向かって、気筒列方向の内側に大きく傾斜した状態となる。
一方で、図8の両グラフに実線で示すように、本実施形態1の可動型30を用いた場合には、第1及び第4シリンダボア106a,106dの気筒列方向の傾きが抑制されていることが分かる。これは、本実施形態1の可動型30を用いた場合には、固定型20が離型された後かつ可動型30が離型される前の状態で、第1及び第4シリンダボア106a,106dの各シリンダライナ108は、クランクケース部103側に向かって気筒列方向の外側にそれぞれ傾斜した状態となっており、可動型30が離型して、上記残留応力によってシリンダライナ108が回転変位したときに、第1及び第4シリンダボア106a,106dの気筒列方向の外側への傾きが相殺されるためである。
以上のように、本実施形態1に係る可動型30を用いれば、第1及び第4シリンダボア106a,106dの気筒列方向の傾きが抑制されることが確認された。尚、第1及び第4シリンダボア106a,106dを形成するための、第1及び第4ボアピン34a,34dの各傾斜部40(つまり、各ライナ保持部37)の傾斜角度、すなわち、上記直列方向及びボアピン34の中心軸方向の両方に直交する方向から見て、第1ボアピン34aの傾斜部40については、第1ボアピン34aの傾斜部40の中心軸の第2ボアピン34bの中心軸に対する鋭角側の角度、第4ボアピン34dについては、第4ボアピン34dの傾斜部40の中心軸の第3ボアピン34cの中心軸に対する鋭角側の角度は、上述の結果を踏まえて、可動型30を離型したときに、第1及び第4ボアピン34a,34dの気筒列方向の傾きが抑えられるように設定されている。具体的には、第1及び第4ボアピン34a,34dの傾斜部40の傾斜角度は、それぞれ0.1°〜0.3°程度に設定されている。
したがって、本実施形態1では、可動型30の複数のボアピン34が並ぶ方向であって、気筒列の方向に対応する方向を直列方向として、複数のボアピン34のうち上記直列方向の両側端にそれぞれ位置する各ボアピン(第1及び第4ボアピン34a,34d)は、当該各ボアピンの先端側に向かって上記直列方向に相隣接するボアピン(第1ボアピン34aは第2ボアピン34b、第4ボアピン34は第3ボアピン34c)から離れるように傾斜した傾斜部40をそれぞれ有するため、可動型30を用いて鋳造されるシリンダブロック100のシリンダボア106が気筒列方向に傾斜することを抑制することができ、シリンダボア106が気筒列方向に傾斜することによる燃費の悪化を抑制することができる。
(実施形態2)
以下、実施形態2について、図面を参照しながら詳細に説明する。尚、以下の説明において実施形態1と共通の部分については、同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
図9は、本実施形態2に係る可動型130を示す。この可動型130は、各ボアピン134のライナ保持部137が中空に構成されている点、及び、第1及び第4ボアピン134a,134dの各ライナ保持部137が、第2ボアピン134b及び第3ボアピン134cの各ライナ保持部137と同様に、上記直列方向に直交する方向に真っ直ぐに伸びるようにそれぞれ形成されている点で実施形態1の可動型30とは異なる。詳しくは、後述するが、固定型20の構成は、上記実施形態1と同じ構成となっている。
本実施形態2では、各ライナ保持部137が中空になっていることにより、各ライナ保持部137は、実施形態1のライナ保持部37と比較すると、可撓性が高くなっている。このため、各ライナ保持部137は、それぞれ、先端側に向かって傾斜するように変形させることができるようになっている。
本実施形態2の可動型130の各ボアピン134の先端には、上記実施形態1と同様に、固定型20の固定型中子21に形成された係合凹部23とそれぞれ係合する係合凸部136がそれぞれ形成されている。本実施形態2では、第1及び第4ボアピン134a,134dの各ライナ保持部137が、上記直列方向に直交する方向に真っ直ぐに伸びるようにそれぞれ形成されているため、各ボアピン134の係合凸部136は、固定型20と型合わせする前の状態では、上記直列方向に等間隔に並んでいる。
本実施形態2の固定型20は、実施形態1と同じ構成となっており、固定型中子21に形成された各係合凹部23の位置も実施形態1と同じ構成となっている。つまり、第1ボアピン134aの係合凸部136と係合する係合凹部23を第1係合凹部23a、第2ボアピン134bの係合凸部136と係合する係合凹部23を第2係合凹部23b、第3ボアピン134cの係合凸部136と係合する係合凹部23を第3係合凹部23c、第4ボアピン134dの係合凸部136と係合する係合凹部23を第4係合凹部23dとして、第1係合凹部23aと第2係合凹部23bとの上記直列方向の中点間の距離L1’、及び第4係合凹部23dと第3係合凹部23cとの上記直列方向の中点間の距離L2’が、第2係合凹部23bと第3係合凹部23cとの上記直列方向の中点間の距離L3’よりも大きくなるように、各係合凹部23がそれぞれ形成されている。
図10には、実施形態2に係る可動型130と固定型20とを型合わせした状態を示す。
可動型130の各ボアピン134の各係合凸部136が上記直列方向に等間隔で並んでいる一方で、固定型20の各係合凹部23が上述のような配置となっているため、第1ボアピン134aの係合凸部136と第1係合凹部23a、及び第4ボアピン134dの係合凸部136と第4係合凹部23dとを係合させるには、第1ボアピン134aを、先端側に向かって第2ボアピン134bから離れる方向に傾斜させるとともに、第4ボアピン134dを、先端側に向かって第3ボアピン134cから離れる方向に傾斜させる必要がある。本実施形態2では、各ボアピン134のライナ保持部137がそれぞれ中空になっているため、第1及び第4ボアピン134a,134dを、それぞれ、先端側に向かって傾斜するように変形させることができる。このため、図10に示すように、可動型130と固定型20とを型合わせした状態では、第1及び第4ボアピン134a,134dは、それぞれ、当該各ボアピン134の先端側に向かって上記直列方向に相隣接するボアピン134(第1ボアピン134aは第2ボアピン134b、第4ボアピン134は第3ボアピン134c)から離れるように傾斜した状態となる。
つまり、本実施形態2でも、可動型130は、該可動型130の各ボアピン134のうち上記直列方向の両側端にそれぞれ位置する各ボアピン134(第1ボアピン134a及び第4ボアピン134d)は、それぞれ、当該各ボアピン134の先端側に向かって上記直列方向に相隣接するボアピン134(第1ボアピン134aは第2ボアピン134b、第4ボアピン134は第3ボアピン134c)から離れるように傾斜した状態で、固定型20と型合わせされる。
したがって、上述のように型合わせされた固定型20及び可動型130で構成されるキャビティ60に溶湯を注入して、シリンダブロック100を鋳造すれば、上記実施形態1のときと同様に、第1ボアピン134aで形成される第1シリンダボア106a、及び第4ボアピン134dで形成される第4シリンダボア106dは、それぞれ、可動型130が離型される前の状態では、クランクケース部103側に向かって気筒列方向の外側に傾斜した状態となる。その後、可動型130が離型されて、クランクケース部103が収縮変形したことによる残留応力が第1及び第4シリンダボア106a,106dにそれぞれかかったときには、上記残留応力によって、第1及び第4シリンダボア106a,106dが、気筒列方向の内側にそれぞれ回転変位する。これにより、可動型130が離型される前の状態における、第1及び第4シリンダボア106a,106dの気筒列方向の外側への傾斜が相殺されて、可動型130が離型された後の状態では、第1及び第4シリンダボア106a,106dの気筒列方向の内側への傾きが抑制されるようになる。
よって、本実施形態2でも、可動型130を用いて鋳造されるシリンダブロック100のシリンダボア106が気筒列方向に傾斜することを抑制することができ、シリンダボア106が気筒列方向に傾斜することによる燃費の悪化を抑制することができる。
(その他の実施形態)
ここに開示された技術は、上記実施形態に限られるものではなく、請求の範囲の主旨を逸脱しない範囲で代用が可能である。
例えば、上述の実施形態1及び2では、各シリンダボア106をシリンダライナ108用いてそれぞれ構成するシリンダブロック100を対象として説明したが、これに限らず、シリンダライナ108を用いずに各シリンダボア106をそれぞれ構成するシリンダブロック100を対象にしてもよい。
また、上述の実施形態1及び2では、シリンダブロック100として、直列4気筒の多気筒エンジンのシリンダブロックを対象とていたが、これに限らず、5気筒以上の気筒が直列に並んだ多気筒エンジンのシリンダブロックを対象としてもよい。
さらに、気筒がV字をなすように配置されたV型エンジンに適用してもよい。このときには、気筒列が2つ形成されるため、該各気筒列を構成するボアピンの列も2つ形成される。このため、ボアピンの列ごとに、複数のボアピンのうち上記直列方向の両側端にそれぞれ位置する各ボアピンが、当該各ボアピンの先端側に向かって上記直列方向に相隣接するボアピンから離れるように傾斜した傾斜部をそれぞれ有するように、可動型を構成する必要がある。
上述の実施形態は単なる例示に過ぎず、本開示の範囲を限定的に解釈してはならない。ここに開示された技術の範囲は請求の範囲によって定義され、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本技術の範囲内のものである。
ここに開示された技術は、クランク軸の軸受部及びクランクケースの一部を有しかつオープンデッキ構造のシリンダブロックを鋳造する際に有用である。
1 エンジ
10 鋳造装置
20 固定型(第1金型、鋳造金型)
30,130 可動型(第2金型、鋳造金型)
34,134 ボアピン
34a,134a 第1ボアピン(複数のボアピンのうち直列方向の両側端に位置するボアピン)
34b,134b 第2ボアピン(直列方向に相隣接するボアピン)
34c,134c 第3ボアピン(直列方向に相隣接するボアピン)
34d,134d 第4ボアピン(複数のボアピンのうち直列方向の両側端に位置するボアピン)
37,137 ライナ保持部
40 傾斜部
50 射出装置
60 キャビティ
100 シリンダブロック
103 クランクケース部(クランクケースの一部)
106 シリンダボア
108 シリンダライナ
109 軸受部

Claims (8)

  1. クランク軸の軸受部及びクランクケースの一部を有しかつオープンデッキ構造のシリンダブロックを鋳造するための、エンジンのシリンダブロックの鋳造装置であって、
    上記エンジンは複数の気筒が列状に並んだ多気筒エンジンであり、
    上記軸受部及び上記クランクケースの一部を形成するための第1金型と、
    上記各気筒のシリンダボアをそれぞれ形成する複数のボアピンであって、上記複数の気筒の気筒列に対応して配置されたボアピンを有する第2金型と、
    上記第1金型と上記第2金型とが型合わせされて形成されるキャビティに溶湯を注入する射出装置とを備え、
    上記第2金型は、上記各ボアピンの軸方向の一端側が固定されるベースプレートを有し、
    上記複数のボアピンが並ぶ方向であって、気筒列方向に対応する方向を直列方向として、上記複数のボアピンのうち上記直列方向の両側端にそれぞれ位置する各ボアピンは、当該各ボアピンの他端側に向かって上記直列方向に相隣接するボアピンから離れるように、上記直列方向の外側に傾斜した傾斜部をそれぞれ有することを特徴とする、エンジンのシリンダブロックの鋳造装置。
  2. 請求項1に記載のエンジンのシリンダブロックの鋳造装置において、
    上記各気筒の各シリンダボアは、シリンダライナを合金で鋳包んでそれぞれ構成されており、
    上記各ボアピンは、上記各シリンダライナを保持するライナ保持部をそれぞれ有し、
    上記各傾斜部は対応する上記ボアピンの上記ライナ保持部に形成されており、
    上記各ライナ保持部に上記シリンダライナがそれぞれ保持された状態で、上記第1金型と上記第2金型とが型合わせされた後、上記射出装置によって溶湯が注入される用に構成されていることを特徴とする、エンジンのシリンダブロックの鋳造装置。
  3. クランク軸の軸受部及びクランクケースの一部を有しかつオープンデッキ構造のシリンダブロックを鋳造するための、エンジンのシリンダブロックの鋳造金型であって、
    上記エンジンは複数の気筒が列状に並んだ多気筒エンジンであり、
    上記軸受部及び上記クランクケースの一部を形成するための第1金型と、
    上記各気筒のシリンダボアをそれぞれ形成する複数のボアピンであって、上記複数の気筒の気筒列に対応して配置されたボアピンを有するとともに、上記第1金型と型合わせをして上記シリンダブロックを鋳造するためのキャビティを形成する第2金型とを備え、
    上記第2金型は、上記各ボアピンの軸方向の一端側が固定されるベースプレートを有し、
    上記複数のボアピンが並ぶ方向であって、上記気筒列の方向に対応する方向を直列方向として、上記複数のボアピンのうち上記直列方向の両側端にそれぞれ位置する各ボアピンは、当該各ボアピンの他端側に向かって上記直列方向に相隣接するボアピンから離れるように、上記直列方向の外側に傾斜した傾斜部をそれぞれ有することを特徴とする、エンジンのシリンダブロックの鋳造金型。
  4. 請求項3に記載のエンジンのシリンダブロックの鋳造金型において、
    上記各気筒の各シリンダボアは、シリンダライナを合金で鋳包んでそれぞれ構成されており、
    上記各ボアピンは、上記各シリンダライナを保持するライナ保持部をそれぞれ有し、
    上記各傾斜部は上記ライナ保持部に形成されていることを特徴とする、エンジンのシリンダブロックの鋳造金型
  5. クランク軸の軸受部及びクランクケースの一部を有しかつオープンデッキ構造のシリンダブロックを鋳造するための、エンジンのシリンダブロックの鋳造方法であって、
    上記エンジンは複数の気筒が列状に並んだ多気筒エンジンであり、
    上記軸受部及び上記クランクケースを形成するための第1金型と、上記各気筒のシリンダボアをそれぞれ形成する複数のボアピンであって、上記複数の気筒の気筒列に対応して配置されたボアピン及び該各ボアピンの軸方向の一端側が固定されるベースプレートを有する第2金型とを型合わせして、上記シリンダブロックを鋳造するためのキャビティを形成する型合わせ工程と、
    上記型合わせ工程で形成された上記キャビティに溶湯を注入する溶湯注入工程と、
    上記溶湯注入工程の後、上記第1金型を離型して、その後、上記第2金型を離型する離型工程とを含み、
    上記複数のボアピンが並ぶ方向であって、上記気筒列の方向に対応する方向を直列方向として、上記型合わせ工程では、上記第2金型は、上記複数のボアピンのうち上記直列方向の両側端にそれぞれ位置する各ボアピンの一部が、それぞれ、当該各ボアピンの他端側に向かって上記直列方向に相隣接する上記ボアピンから離れるように、上記直列方向の外側に傾斜された状態で、上記第1金型と型合わせされることを特徴とする、エンジンのシリンダブロックの鋳造方法。
  6. 請求項5に記載のエンジンのシリンダブロックの鋳造方法において、
    上記第2金型は、上記型合わせ工程において上記第1金型と型合わせする前の状態で、上記複数のボアピンのうち上記直列方向の両側端にそれぞれ位置する各ボアピンの上記一部が、それぞれ、当該各ボアピンの他端側に向かって上記直列方向に相隣接するボアピンから離れるように、上記直列方向の外側に傾斜して形成されており、
    上記型合わせ工程では、上記第2金型を上記第1金型と型合わせする、エンジンのシリンダブロックの鋳造方法。
  7. 請求項5又は6に記載のエンジンのシリンダブロックの鋳造方法において、
    上記各気筒の各シリンダボアは、シリンダライナを合金で鋳包んでそれぞれ構成されており、
    上記第2金型の各ボアピンは、シリンダライナを保持するライナ保持部をそれぞれ有しており、
    上記型合わせ工程の前に、上記第2金型の上記各ボアピンに上記各シリンダをそれぞれ保持するシリンダライナ保持工程を更に含み、
    上記型合わせ工程では、上記複数のボアピンのうち上記直列方向の両側端にそれぞれ位置する各ボアピンの上記ライナ保持部が、それぞれ、当該各ボアピンの他端側に向かって上記直列方向に相隣接する上記ボアピンから離れるように、上記直列方向の外側に傾斜された状態で、上記第1金型と型合わせされることを特徴とするエンジンのシリンダブロックの鋳造方法。
  8. 請求項5〜7のいずれか1つに記載のエンジンのシリンダブロックの鋳造方法において、
    上記シリンダブロックは、上記軸受部及び上記クランクケースの残部を有するロアブロックと締結されるアッパブロックであることを特徴とするエンジンのシリンダブロックの鋳造方法。
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