本明細書で使用される「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」または「ストリンジェントな条件」という語句は、1つの核酸分子が別の核酸分子とハイブリダイズするが、他の配列とはハイブリダイズしない条件を表す。ストリンジェントな条件は配列依存的であり、異なる環境において様々である。より長い配列は、より高温で特異的にハイブリダイズする。一般に、ストリンジェントな条件は、規定のイオン強度およびpHにおける特異的配列の熱融解点(Tm)より約5℃低く選択される。Tmは、標的配列と相補的なプローブの50%が、平衡状態でこの標的配列とハイブリダイズする(規定のイオン強度、pHおよび核酸濃度の下での)温度である。一般に、これらの標的配列はTmにおいて過剰に存在するので、これらのプローブの50%が平衡状態で占有する。典型的には、ストリンジェントな条件は、pH7.0〜8.3において、塩濃度が約1.0M未満のナトリウムイオン、典型的に約0.01〜1.0Mのナトリウムイオン(または他の塩)であり、温度が、短いプローブ、プライマーまたはオリゴヌクレオチド(例えば、10〜50ヌクレオチド)に対して少なくとも約30℃であり、長いプローブ、プライマーまたはオリゴヌクレオチドに対して少なくとも約60℃である条件であろう。ストリンジェントな条件は、ホルムアミドなどの不安定剤の付加によっても達成され得る。
ヌクレオチドおよびアミノ酸の配列相同性を、FASTA、BLASTおよびGapped BLAST(Altschul et al.,Nuc.Acids Res.,1997,25,3389、これは、参照によりこの全体が本明細書に組み込まれる)ならびにPAUP*4.0b10ソフトウェア(D.L.Swofford,Sinauer Associates,Massachusetts)を用いて測定してもよい。「類似度のパーセンテージ」を、PAUP*4.0b10ソフトウェア(D.L.Swofford,Sinauer Associates,Massachusetts)を用いて計算する。コンセンサス配列の平均類似度を、系統樹の全配列と比較して計算する。
簡潔に述べると、Basic Local Alignment Search Toolを表すBLASTアルゴリズムは、配列類似度の決定に適している(Altschul et al.,J.Mol.Biol.,1990,215,403−410,これは、参照によりこの全体が本明細書に組み込まれる)。BLAST解析を行うソフトウェアは、全米バイオテクノロジー情報センター(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)を通じて公表されている。このアルゴリズムは、データベース配列中の同一の長さのワードと整列させた時に、ある正の値の域値スコア(positive−valued threshold score)Tと一致するかまたはそれを満足させる問い合わせ配列中の長さWの短いワードを同定することによって、ハイスコアな配列の対(HSP)を最初に同定することを含む。Tは、隣接ワードスコア域値(neighborhood word score threshold)と称される(Altschul et al.,前出)。これらの最初の近隣ワードヒットは、それらを含むHSPを見出す検索を開始するための種として機能する。このワードヒットは、累積のアラインメントスコアが増加することができる限り、各配列に沿って両方向に拡大される。各方向のワードヒットの拡大は、以下の場合に停止される:1)累積のアラインメントスコアが、その最大達成値からX量低下する場合;2)1つ以上の負のスコア残基アラインメント(negative−scoring residue alignments)の蓄積により、累積スコアが0以下になる場合;または3)いずれかの配列の末端に到達する場合。BlastアルゴリズムパラメーターW、TおよびXは、アライメントの感度および速度を決定する。このBlastプログラムでは、初期設定として、ワード長(W)が11、BLOSUM62スコアリングマトリックス(Henikoff et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1992,89,10915−10919参照、これは、参照によりこの全体が本明細書に組み込まれる)アラインメント(B)が50、期待値(E)が10、M=5、N=4、および両鎖の比較が使用される。このBLASTアルゴリズム(Karlin et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1993,90,5873−5787、これは、参照によりこの全体が本明細書に組み込まれる)およびGapped BLASTは、2つの配列間の類似度の統計解析を行う。このBLASTアルゴリズムによって提供される類似度の1つの測定は、2つのヌクレオチド配列間の一致が偶然に生じる確立の指標を与える最小合計確立(smallest sum probability(P(N))である。例えば、試験核酸と他の核酸の比較における最小合計確立が約1未満、好ましくは約0.1未満、より好ましくは約0.01未満、および最も好ましくは約0.001未満である場合、核酸は別の核酸と類似するとみなされる。
本明細書で使用される「遺伝子構築物」という用語は、タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含むDNAまたはRNA分子を表す。コード配列は、核酸分子が投与される個体の細胞において発現を指示することができる、プロモーターおよびポリアデニル化シグナルを含む調節要素と作動可能に連結される開始シグナルおよび終止シグナルを含む。
本明細書で使用される「発現できる形態」という用語は、個体の細胞に存在する時に、コード配列が発現するように、タンパク質をコードするコード配列と作動可能に連結される必須の調節配列を含む遺伝子構築物を表す。
免疫原によって誘導される細胞性免疫反応を高めるための多面的戦略から生じる改良型ワクチンを開示する。改変したコンセンサス配列を作製した。コドン最適化、RNA最適化、および高効率な免疫グロブリンリーダー配列の付加を含む遺伝子改変も開示する。この新規の構築物を、対応するコドン最適化免疫原よりも強力で、広範な細胞性免疫反応を引き起こすように設計した。
改良型HPVワクチンは、抗HPVを誘導することができる免疫原として改良型ワクチンを特に効果的にさせるエピトープを有するタンパク質、およびそのようなエピトープを有するタンパク質をコードする遺伝子構築物に基づく。したがって、ワクチンは治療的または予防的に免疫反応を誘導し得る。一部の実施形態において、この免疫原を送達する手段には、DNAワクチン、組み換えワクチン、タンパク質サブユニットワクチン、この免疫原を含む組成物、弱毒化ワクチンまたは不活化ワクチンがある。一部の実施形態において、このワクチンは、1つ以上のDNAワクチン、1つ以上の組み換えワクチン、1つ以上のタンパク質サブユニットワクチン、この免疫原を含む1つ以上の組成物、1つ以上の弱毒化ワクチンおよび1つ以上の不活化ワクチンからなる群から選択される組み合わせを含む。
一部の実施形態によると、ワクチンが個体に送達され、この個体の免疫システムの活性を調節し、それによって、HPVに対する免疫反応が高まる。このタンパク質をコードする核酸分子がこの個体の細胞に取り込まれると、このヌクレオチド配列がこれらの細胞において発現し、それによって、このタンパク質がこの個体に送達される。プラスミドなどの核酸分子上のこのタンパク質のコード配列を、組み換えワクチンの一部としておよび弱毒化ワクチンの一部として、単離したタンパク質またはベクターのタンパク質部分として送達する方法を提供する。
HPVに対して予防的および/または治療的に個体を免疫化する組成物ならびに方法を提供する。
この免疫原をコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子を送達するための組成物を、調節要素と作動可能に連結する。組成物には、この免疫原をコードするプラスミド、この免疫原をコードするヌクレオチド配列を含む組み換えワクチン、本発明のタンパク質をコードするおよび/もしくは本発明のタンパク質を含む弱毒化生病原体;本発明のタンパク質を含む不活化病原体;または本発明のタンパク質を含むリポソームもしくはサブユニットワクチンなどの組成物が含まれてもよい。本発明は、さらに、組成物を含む注射可能な医薬組成物に関する。
配列番号1は、HPV6のE6およびE7タンパク質のコンセンサス免疫原をコードするヌクレオチド配列を含む。配列番号1は、配列番号1の5’末端にこのヌクレオチド配列と連結される配列番号9のIgEリーダー配列を含む。配列番号2は、HPV6のE6およびE7タンパク質のコンセンサス免疫原のアミノ酸配列を含む。配列番号2は、コンセンサス免疫原配列のN末端に配列番号10のIgEリーダー配列を含む。このIgEリーダー配列は配列番号10であり、配列番号9によってコードされ得る。
一部の実施形態において、ワクチンは、配列番号2または配列番号2をコードする核酸分子を含む。
一部の実施形態において、配列番号1の断片は、786以上のヌクレオチドを、一部の実施形態において、830以上のヌクレオチドを、一部の実施形態において、856以上のヌクレオチドを、一部の実施形態において、865以上のヌクレオチドを含んでもよい。一部の実施形態において、本明細書で説明される断片などの配列番号1の断片は、IgEリーダー配列のコード配列をさらに含んでもよい。一部の実施形態において、配列番号1の断片は、IgEリーダー配列のコード配列を含まない。
一部の実施形態において、配列番号2の断片は、252以上のアミノ酸を、一部の実施形態において、266以上のアミノ酸を、一部の実施形態において、275以上のアミノ酸を、一部の実施形態において、278以上のアミノ酸を含んでもよい。
配列番号3は、HPV11のE6およびE7タンパク質のコンセンサス免疫原をコードするヌクレオチド配列を含む。配列番号3は、配列番号3の5’末端にこのヌクレオチド配列と連結される配列番号9のIgEリーダー配列を含む。配列番号4は、HPV11のE6およびE7タンパク質のコンセンサス免疫原のアミノ酸配列を含む。配列番号4は、コンセンサス免疫原配列のN末端に配列番号10のIgEリーダー配列を含む。このIgEリーダー配列は配列番号10であり、配列番号9によってコードされ得る。
一部の実施形態において、ワクチンは、配列番号4または配列番号4をコードする核酸分子を含む。
一部の実施形態において、配列番号3の断片は、786以上のヌクレオチドを、一部の実施形態において、830以上のヌクレオチドを、一部の実施形態において、856以上のヌクレオチドを、一部の実施形態において、865以上のヌクレオチドを含んでもよい。一部の実施形態において、本明細書で説明される断片などの配列番号3の断片は、IgEリーダー配列のコード配列をさらに含んでもよい。一部の実施形態において、配列番号3の断片は、IgEリーダー配列のコード配列を含まない。
一部の実施形態において、配列番号4の断片は、252以上のアミノ酸を、一部の実施形態において、266以上のアミノ酸を、一部の実施形態において、275以上のアミノ酸を、一部の実施形態において、278以上のアミノ酸を含んでもよい。
配列番号5は、HPV33のE6およびE7タンパク質のコンセンサス免疫原をコードするヌクレオチド配列を含む。配列番号5は、配列番号5の5’末端にこのヌクレオチド配列と連結される配列番号9のIgEリーダー配列を含む。配列番号6は、HPV33のE6およびE7タンパク質のコンセンサス免疫原のアミノ酸配列を含む。配列番号6は、コンセンサス免疫原配列のN末端に配列番号10のIgEリーダー配列を含む。このIgEリーダー配列は配列番号10であり、配列番号9によってコードされ得る。
一部の実施形態において、ワクチンは、配列番号6または配列番号6をコードする核酸分子を含む。
一部の実施形態において、配列番号5の断片は、746以上のヌクレオチドを、一部の実施形態において、787以上のヌクレオチドを、一部の実施形態において、812以上のヌクレオチドを、一部の実施形態において、820以上のヌクレオチドを含んでもよい。一部の実施形態において、本明細書で説明される断片などの配列番号5の断片は、IgEリーダー配列のコード配列をさらに含んでもよい。一部の実施形態において、配列番号5の断片は、IgEリーダー配列のコード配列を含まない。
一部の実施形態において、配列番号6の断片は、235以上のアミノ酸を、一部の実施形態において、248以上のアミノ酸を、一部の実施形態において、256以上のアミノ酸を、一部の実施形態において、259以上のアミノ酸を含んでもよい。
配列番号7は、HPV58のE6およびE7タンパク質のコンセンサス免疫原をコードするヌクレオチド配列を含む。配列番号7は、配列番号7の5’末端にこのヌクレオチド配列と連結される配列番号9のIgEリーダー配列を含む。配列番号8は、HPV58のE6およびE7タンパク質のコンセンサス免疫原のアミノ酸配列を含む。配列番号8は、コンセンサス免疫原配列のN末端に配列番号10のIgEリーダー配列を含む。このIgEリーダー配列は配列番号10であり、配列番号9によってコードされ得る。
一部の実施形態において、ワクチンは、配列番号8または配列番号8をコードする核酸分子を含む。
一部の実施形態において、配列番号7の断片は、752以上のヌクレオチドを、一部の実施形態において、794以上のヌクレオチドを、一部の実施形態において、819以上のヌクレオチドを、一部の実施形態において、827以上のヌクレオチドを含んでもよい。一部の実施形態において、本明細書で説明される断片などの配列番号7の断片は、IgEリーダー配列のコード配列をさらに含んでもよい。一部の実施形態において、配列番号7の断片は、IgEリーダー配列のコード配列を含まない。
一部の実施形態において、配列番号8の断片は、235以上のアミノ酸を、一部の実施形態において、249以上のアミノ酸を、一部の実施形態において、257以上のアミノ酸を、一部の実施形態において、260以上のアミノ酸を含んでもよい。
一部の実施形態によると、免疫原に対する免疫反応を個体において誘導する方法は、HPV6のE6およびE7、HPV11のE6およびE7、HPV33のE6およびE7、HPV58のE6およびE7からなる群から選択されるコンセンサス免疫原のアミノ酸配列、それらの機能的断片、ならびにそれらの発現できるコード配列をこの個体に投与することを含む。一部の実施形態は、HPV6のE6およびE7、HPV11のE6およびE7、HPV33のE6およびE7、HPV58のE6およびE7からなる群から選択されるコンセンサス免疫原のアミノ酸配列、ならびにそれらの断片をコードする単離した核酸分子を含む。一部の実施形態は、HPV6のE6およびE7、HPV11のE6およびE7、HPV33のE6およびE7、HPV58のE6およびE7からなる群から選択されるコンセンサス免疫原のアミノ酸配列、ならびにそれらの断片をコードする組み換えワクチンを含む。一部の実施形態は、HPV6のE6およびE7、HPV11のE6およびE7、HPV33のE6およびE7、HPV58のE6およびE7からなる群から選択されるコンセンサス免疫原のアミノ酸配列、ならびにそれらの断片を含むサブユニットワクチンを含む。一部の実施形態は、HPV6のE6およびE7、HPV11のE6およびE7、HPV33のE6およびE7、HPV58のE6およびE7からなる群から選択されるコンセンサス免疫原のアミノ酸配列、ならびにそれらの断片を含む弱毒化生ワクチンおよび/または不活化ワクチンを含む。
一態様において、本明細書のワクチンは、頭頸部癌の形態、および耳鼻咽喉科疾患の他の形態と主に関連することが見出された、HPVサブタイプに対する免疫反応を引き起こすワクチンであり、特に、これらのワクチンには、HPV6のE6およびE7ならびにHPV11のE6およびE7、好ましくはその両方が含まれる。
別の態様において、本明細書のワクチンは、例えば、米国外の患者、より具体的には、アジアの患者の子宮頚癌の形態と主に関連することが見出された、HPVサブタイプに対する免疫反応を引き起こすワクチンであり、特に、これらのワクチンには、HPV33のE6およびE7ならびにHPV58のE6およびE7、好ましくはその両方が含まれる。
改良型ワクチンは、抗HPV免疫反応を誘導することができる免疫原として改良型ワクチンを特に効果的にさせるエピトープを有するタンパク質、およびそのようなエピトープを有するタンパク質をコードする遺伝子構築物を含む。したがって、治療的または予防的に免疫反応を誘導するために、ワクチンを提供することができる。一部の実施形態において、この免疫原を送達する手段には、DNAワクチン、組み換えワクチン、タンパク質サブユニットワクチン、この免疫原を含む組成物、弱毒化ワクチンまたは不活化ワクチンがある。一部の実施形態において、このワクチンは、以下からなる群から選択される組み合わせを含む:1つ以上のDNAワクチン、1つ以上の組み換えワクチン、1つ以上のタンパク質サブユニットワクチン、この免疫原を含む1つ以上の組成物、1つ以上の弱毒化ワクチン、1つ以上の不活化ワクチン。
本発明の態様は、プラスミドなどの核酸分子上のタンパク質コード配列を、組み換えワクチンの一部として、弱毒化ワクチンの一部として、単離したタンパク質またはベクターのタンパク質部分として送達する方法を提供する。
本発明の一部の態様によると、予防的におよび/または治療的に個体を免疫化する組成物ならびに方法が提供される。
DNAワクチンは、米国特許第5,593,972号、同第5,739,118号、同第5,817,637号、同第5,830,876号、同第5,962,428号、同第5,981,505号、同第5,580,859号、同第5,703,055号、同第5,676,594号、および本明細書で引用する優先出願に記載されており、これらは参照により各々が本明細書に組み込まれる。それらの出願に記載される送達プロトコールに加えて、DNAを送達する代替方法は、米国特許第4,945,050号および同第5,036,006号に記載されており、これらは両方とも参照により本明細書に組み込まれる。
本発明は、改良型弱毒化生ワクチン、改良型不活化ワクチン、および抗原をコードする外来遺伝子を送達するために組み換えベクターを使用する改良型ワクチン、さらにサブユニットワクチンおよび糖タンパク質ワクチンに関する。弱毒化生ワクチン、組み換えベクターを使用して外来抗原を送達するワクチン、サブユニットワクチンおよび糖タンパク質ワクチンの例は、米国特許第4,510,245号、同第4,797,368号、同第4,722,848号、同第4,790,987号、同第4,920,209号、同第5,017,487号、同第5,077,044号、同第5,110,587号、同第5,112,749号、同第5,174,993号、同第5,223,424号、同第5,225,336号、同第5,240,703号、同第5,242,829号、同第5,294,441号、同第5,294,548号、同第5,310,668号、同第5,387,744号、同第5,389,368号、同第5,424,065号、同第5,451,499号、同第5,453,364号、同第5,462,734号、同第5,470,734号、同第5,474,935号、同第5,482,713号、同第5,591,439号、同第5,643,579号、同第5,650,309号、同第5,698,202号、同第5,955,088号、同第6,034,298号、同第6,042,836号、同第6,156,319号および同第6,589,529号に記載されており、これらは参照により各々が本明細書に組み込まれる。
細胞に取り込まれると、この遺伝子構築物(複数可)は、機能している染色体外分子としてこの細胞内に存在したままであってもよく、かつ/またはこの細胞の染色体DNAに組み込まれてもよい。DNAは細胞内に導入されてもよく、そこで、1つまたは複数のプラスミドの形態の別々の遺伝物質として留まる。あるいは、染色体に組み込むことができる直鎖DNAを、この細胞に導入してもよい。この細胞にDNAを導入する場合、染色体へのDNA組み込みを促進する薬剤を加えてもよい。組み込みを促進するのに有用なDNA配列が、このDNA分子に含まれてもよい。あるいは、RNAをこの細胞に投与してもよい。セントロメア、テロメアおよび複製開始点を含む直鎖ミニ染色体としてこの遺伝子構築物を提供することも考えられる。遺伝子構築物は、細胞内で生存する弱毒化された生の微生物または組み換え微生物ベクターの遺伝物質の一部のままであってもよい。遺伝子構築物は、組み換えウイルスワクチンのゲノムの一部であってもよく、ここで、この遺伝物質はこの細胞の染色体に組み込まれるかまたは染色体外に留まるかのいずれかである。遺伝子構築物は、核酸分子の遺伝子発現に必要な調節要素を含む。これらの要素には、プロモーター、開始コドン、終止コドン、およびポリアデニル化シグナルが含まれる。さらに、大抵、エンハンサーは、標的タンパク質または免疫調節タンパク質をコードする配列の遺伝子発現に必要とされる。これらの要素は、所望のタンパク質をコードする配列に作動可能に連結されること、およびこれらの調節要素は、これらが投与される個体において作動可能であることが必要である。
開始コドンおよび終止コドンは、一般に、所望のタンパク質をコードするヌクレオチド配列の一部であると考えられる。しかし、これらの要素は、この遺伝子構築物が投与される個体において機能的であることが必要である。開始および終止コドンはコード配列と共にフレームの中になければならない。
使用されるプロモーターおよびポリアデニル化シグナルは、個体の細胞内で機能的でなければならない。
本発明を実行するのに有用な、特にヒトの遺伝子ワクチンの産生において有用なプロモーターの例として、シミアンウイルス40(SV40)プロモーター、マウス乳ガンウイルス(MMTV)プロモーター、BIV末端反復配列(LTR)プロモーターなどのヒト免疫不全ウイルス(HIV)プロモーター、モロニーウイルスプロモーター、ALVプロモーター、CMV最初期プロモーターなどのサイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、エプスタイン・バーウイルス(EBV)プロモーター、ラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーターならびにヒトアクチン、ヒトミオシン、ヒトヘモグロビン、ヒト筋肉クレアチンおよびヒトメタロチオネインなどのヒト遺伝子由来のプロモーターが挙げられるが、それらに限定されない。
本発明を実行するのに有用な、特にヒトの遺伝子ワクチンの産生において有用なポリアデニル化シグナルの例として、SV40ポリアデニル化シグナルおよびLTRポリアデニル化シグナルが挙げられるが、それらに限定されない。特に、プラスミドpCEP4(Invitrogen,San Diego CA)内に存在し、SV40ポリアデニル化シグナルと称されるSV40ポリアデニル化シグナルを使用する。
DNA発現に必要な調節要素に加えて、他の要素もこのDNA分子の中に含まれてもよい。かかる追加の要素はエンハンサーを含む。このエンハンサーは、以下を含む群から選択されてもよいがそれらに限定されない:ヒトアクチンエンハンサー、ヒトミオシンエンハンサー、ヒトヘモグロビンエンハンサー、ヒト筋肉クレアチンエンハンサーならびにCMV、RSVおよびEBVのエンハンサーなどのウイルスエンハンサー。
遺伝子構築物は、染色体外にこの遺伝子構築物を維持し、細胞内でこの構築物の複数のコピーを産生するために、哺乳類複製開始点が供給され得る。インビトロジェン(San Diego,CA)のプラスミドpVAX1、pCEP4およびpREP4は、組み込まれることなく、高コピーのエピソーム複製を行うエプスタイン・バーウイルス複製開始点および核抗原EBNA−1コード領域を含む。
免疫化の適用に関連するいくつかの好ましい実施形態において、本発明のタンパク質をコードするヌクレオチド配列、および追加として、かかる標的タンパク質に対する免疫反応をさらに高めるタンパク質の遺伝子を含む核酸分子(複数可)を送達する。かかる遺伝子の例として、α−インターフェロン、γ−インターフェロン、血小板由来増殖因子(PDGF)、TNFα、TNFβ、GM−CSF、上皮細胞増殖因子(EGF)、IL−1、IL−2、IL−4、IL−5、IL−6、IL−10、IL−12、IL−18、MHC、CD80、CD86およびシグナル配列が除去され、任意でIgEのシグナルペプチドを含むIL−15を含むIL−15などの他のサイトカインならびにリンホカインをコードする遺伝子が挙げられる。有用であり得る他の遺伝子には、MCP−1、MIP−lα、MIP−1p、IL−8、RANTES、L−セレクチン、P−セレクチン、E−セレクチン、CD34、GlyCAM−1、MadCAM−1、LFA−1、VLA−1、Mac−1、pl50.95、PECAM、ICAM−1、ICAM−2、ICAM−3、CD2、LFA−3、M−CSF、G−CSF、IL−4、IL−18の突然変異型、CD40、CD40L、血管増殖因子、IL−7、神経成長因子、血管内皮増殖因子、Fas、TNF受容体、Flt、Apo−1、p55、WSL−1、DR3、TRAMP、Apo−3、AIR、LARD、NGRF、DR4、DR5、KILLER、TRAIL−R2、TRICK2、DR6、カスパーゼICE、Fos、c−jun、Sp−1、Ap−1、Ap−2、p38、p65Rel、MyD88、IRAK、TRAF6、IkB、不活性NIK、SAP K、SAP−1、JNK、インターフェロン応答遺伝子、NFkB、Bax、TRAIL、TRAILrec、TRAILrecDRC5、TRAIL−R3、TRAIL−R4、RANK、RANKリガンド、Ox40、Ox40リガンド、NKG2D、MICA、MICB、NKG2A、NKG2B、NKG2C、NKG2E、NKG2F、TAP1、TAP2およびそれらの機能的断片をコードする遺伝子が含まれる。
何らかの理由で、この遺伝子構築物を受け取る細胞を除去することが望ましい場合、細胞破壊の標的として機能を果たす追加の要素を加えてもよい。発現できる形態のヘルペスチミジンキナーゼ(tk)遺伝子を、この遺伝子構築物に含めることができる。薬剤ガンシクロビルはこの個体に投与され得、かつこの薬剤はtkを産生する全細胞を選択的に死滅させるため、この遺伝子構築物を有する細胞の選択的破壊のための手段をもたらす。
タンパク質産生を最大限するために、この構築物が投与される細胞における遺伝子発現に十分に適した調節配列を選択してもよい。さらに、細胞内で最も効率的に転写されるコドンを選択してもよい。当業者は、細胞内で機能的なDNA構築物を作製することができる。
一部の実施形態において、本明細書記載のタンパク質のコード配列がIgEシグナルペプチドと連結される遺伝子構築物を提供し得る。一部の実施形態において、本明細書記載のタンパク質は、IgEシグナルペプチドと連結される。
タンパク質が用いられる一部の実施形態において、例えば、当業者は、周知の技術を用いて、本発明のタンパク質を産生および単離することができる。タンパク質が用いられる一部の実施形態において、例えば、当業者は、周知の技術を用いて、本発明のタンパク質をコードするDNA分子を、周知の発現系で使用するための市販の発現ベクターに挿入することができる。例えば、市販のプラスミドpSE420(Invitrogen,San Diego,Calif.)を大腸菌(E.coli)におけるタンパク質産生のために使用してもよい。例えば、市販のプラスミドpYES2(Invitrogen,San Diego,Calif.)を、酵母のサッカロマイセス・セレヴィシエ(S.cerevisiae)株における(タンパク質)産生のために使用してもよい。例えば、市販のMAXBAC(商標)完全バキュロウイルス発現系(Invitrogen,San Diego,Calif.)を昆虫細胞における(タンパク質)産生のために使用してもよい。例えば、市販のプラスミドpcDNA IまたはpcDNA3(Invitrogen,San Diego,Calif)を、チャイニーズハムスター卵巣細胞などの哺乳類細胞における(タンパク質)産生のために使用してもよい。当業者は、これらの市販の発現ベクターおよび発現系または他のものを使用して、通例の技術およびすぐに入手できる出発物質によりタンパク質を産生することができる(例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning a Laboratory Manual,Second Ed.Cold Spring Harbor Press(1989)参照、これは参照により本明細書に組み込まれる)。従って、所望のタンパク質を原核細胞系および真核細胞系の両方において調製することができ、このタンパク質の一連のプロセシング型をもたらすことができる。
当業者は、他の市販の発現ベクターおよび発現系を使用してもよく、または周知の方法およびすぐに入手できる出発物質を用いてベクターを産生してもよい。プロモーターおよびポリアデニル化シグナル、ならびに好ましくはエンハンサーなどの必須の制御配列を含む、様々な種類の宿主に対する発現系は、すぐに入手でき、当業で知られている。例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning a Laboratory Manual,Second Ed.Cold Spring Harbor Press(1989)参照。遺伝子構築物は、この構築物がトランスフェクトされる細胞株において機能的であるプロモーターと作動可能に連結されるタンパク質コード配列を含む。構成的プロモーターの例として、サイトメガロウイルスまたはSV40のプロモーターが挙げられる。誘導できるプロモーターの例として、マウス乳腺白血病ウイルスまたはメタロチオネインプロモーターが挙げられる。当業者は、すぐに入手できる出発物質から、本発明のタンパク質をコードするDNAで細胞をトランスフェクトするのに有用な遺伝子構築物を容易に作製することができる。このタンパク質をコードするDNAを含む発現ベクターを用いて、適合性宿主を形質転換し、その後、外来DNAの発現が起こる条件下で培養し、維持する。
産生させたタンパク質を、必要に応じて、かつ当業者に知られるように、これらの細胞を溶解するまたは培地から回収することによって、培養物から回収した。当業者は、周知の方法を用いて、かかる発現系を用いて産生されるタンパク質を単離することができる。上記の特異的タンパク質と特異的に結合する抗体を用いて天然源からタンパク質を精製する方法を、組み換えDNA法によって産生されるタンパク質の精製に同様に適用してもよい。
組み換え技術によるタンパク質産生に加えて、自動化ペプチド合成機も使用して、本質的には純粋な単離されるタンパク質を産生してもよい。かかる技術は当業者に周知であり、置換を有する誘導体がDNAにコードされるタンパク質産生において供給されない場合に有用である。
DNA注射(DNAワクチン接種とも称される)、組み換えアデノウイルス、組み換えアデノウイルス関連ウイルスおよび組み換えワクシニアなどの組み換えベクターを含むいくつかの周知の技術のいずれかを用いて、これらの核酸分子を送達してもよい。
投与経路には、筋肉内経路、鼻腔内経路、腹腔内経路、皮内経路、皮下経路、静脈内経路、動脈内経路、眼球内経路、および経口経路、ならびに粘膜組織への吸入剤もしくは坐薬による、例えば、膣、直腸、尿道、頬および舌下の組織への洗浄による局所的経路、経皮的経路が含まれるが、それらに限定されない。好ましい投与経路には、筋肉内注射、腹腔内注射、皮内注射および皮下注射が含まれる。遺伝子構築物は、電気穿孔の方法および装置、従来の注射器、無針注射器具、または「微粒子衝撃遺伝子銃」を含むがそれらに限定されない手段により投与されてもよい。
これらのDNAワクチンの送達を促進するのに好ましい電気穿孔装置および電気穿孔法の例には、Draghia−Akliらによる米国特許第7,245,963号、Smithらにより出願された米国特許公開第2005/0052630号(これらの内容は、参照によりこの全体が本明細書に組み込まれる)に記載される例が含まれる。35USC119(e)条の下、2006年10月17日に出願された米国特許仮出願第60/852,149号および2007年10月10日に出願された米国特許仮出願第60/978,982号の利益を主張する、2007年10月17日に出願された同時係属で共同所有の米国特許出願第11/874072号(これらの全ては、この全体が本明細書に組み込まれる)に提供されるDNAワクチンの送達を促進する電気穿孔装置および電気穿孔法も好ましい。
以下は、電気穿孔技術を用いた実施形態の例であり、上記で論じた特許参考文献の中で詳細に論じられる:電気穿孔装置は、使用者により事前に設定された電流入力と同じような定電流を生み出すエネルギーのパルスを、哺乳類の所望の組織へ送達するように配置され得る。この電気穿孔装置は、電気穿孔構成要素および電極集合体またはハンドル集合体を含む。この電気穿孔構成要素は、制御装置、電流波形発生器、インピーダンス試験器、波形自動記録装置、入力要素、状況報告要素、伝達ポート、記録構成要素、電源、および電源スイッチを含む電気穿孔装置の1つ以上の様々な要素を含み、かつ組み込むことができる。この電気穿孔構成要素は、電気穿孔装置の1つの要素として機能することができ、他の要素は、この電気穿孔構成要素と連通する別々の要素(または構成要素)である。一部の実施形態において、この電気穿孔構成要素は、電気穿孔装置の2つ以上の要素として機能することができ、それは、この電気穿孔構成要素から分離する電気穿孔装置のさらに他の要素と連通することができる。これらの要素は1つの装置として、または互いに連通する別々の要素として機能することができるので、改良型HPVワクチンを送達するためにこの電気穿孔技術を用いることは、1つの電気機械装置または機械装置の一部として存在する電気穿孔装置の要素に限定されない。この電気穿孔構成要素は、所望の組織に定電流を生み出すエネルギーパルスを送達することができ、フィードバック機構を含む。電極集合体は、空間的配置に複数の電極を有する電極アレイを含み、ここで、この電極集合体は、この電気穿孔構成要素からエネルギーパルスを受け取り、電極を通して所望の組織にエネルギーパルス送る。複数の電極の少なくとも1つは、エネルギーパルスの送達の間は中性であり、所望の組織のインピーダンスを測定し、この電気穿孔構成要素へインピーダンスを伝える。このフィードバック機構は、測定されるインピーダンスを受け取ることができ、この電気穿孔構成要素によって送達されるエネルギーパルスを調節し、定電流を維持することができる。
一部の実施形態において、複数の電極は、分散的パターンでエネルギーパルスを送達することができる。一部の実施形態において、複数の電極は、プログラムされた順番の下で、電極制御を介して分散的パターンでエネルギーパルスを送達することができ、使用者が、プログラムされた順番を電気穿孔構成要素に入力する。一部の実施形態において、プログラムされた順番は、順に送達される複数のパルスを含み、複数のパルスの各パルスは、インピーダンスを測定する1つの中性極と共に少なくとも2つの活性電極によって送達され、複数のパルスの次のパルスは、インピーダンスを測定する1つの中性極と共に少なくとも2つの活性電極の別の1つによって送達される。
一部の実施形態において、このフィードバック機構は、ハードウェアまたはソフトウェアのいずれかによって実行される。好ましくは、このフィードバック機構は、アナログ閉ループ回路によって行われる。好ましくは、このフィードバックは、毎50μs、20μs、10μsまたは1μsで生じるが、好ましくはリアルタイムなフィードバックつまり瞬間的(すなわち、反応時間を決定するために利用できる技術によって決定されるような事実上瞬間的)である。一部の実施形態において、中性電極は、所望の組織においてインピーダンスを測定し、インピーダンスをこのフィードバック機構へ伝達し、このフィードバック機構はインピーダンスに応答し、事前設定電流と同じような値で定電流を維持するためにエネルギーパルスを調節する。一部の実施形態において、このフィードバック機構は、エネルギーパルス送達の間、連続的にかつ瞬間的に定電流を維持する。
一部の実施形態において、この核酸分子を、ポリヌクレオチド機能エンハンサーまたは遺伝子ワクチン促進剤の投与と併用して、これらの細胞に送達する。ポリヌクレオチド機能エンハンサーは、米国特許第5,593,972号、同第5,962,428号および1994年1月26日に出願された国際出願第PCT/US94/00899号に記載されており、これらは参照により各々が本明細書に組み込まれる。遺伝子ワクチン促進剤は、1994年4月1日に提出された米国特許第021,579号に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。核酸分子と併用して投与する助剤を、核酸分子の投与前後に、この核酸分子との混合物として投与するか、または別々に、同時に投与してもよい。さらに、トランスフェクション剤および/または複製剤および/または炎症性薬剤として機能し得、かつGVFと一緒に投与され得る他の薬剤には、α−インターフェロン、γ−インターフェロン、GM−CSF、血小板由来増殖因子(PDGF)、TNF、上皮細胞増殖因子(EGF)、IL−1、IL−2、IL−4、IL−6、IL−10、IL−12およびIL−15などの増殖因子、サイトカインおよびリンホカイン、ならびに線維芽細胞増殖因子、免疫刺激複合体(ISCOMS)などの表面活性剤、フロイント不完全アジュバンド、モノホスホリルリピドA(WL)を含むLPS類似体、ムラミルペプチド、キノン類似体およびスクアレンスクアレンなどの小胞が含まれ、かつヒアルロン酸も、この遺伝子構築物と併用して投与に使用してもよい。一部の実施形態において、免疫調節タンパク質を、GVFとして使用してもよい。一部の実施形態において、この核酸分子はPLGと関連して提供され、送達および取り込みを高める。
本発明による医薬組成物は、約1ng〜約2000μgのDNAを含む。いくつかの好ましい実施形態において、本発明による医薬組成物は、約5ng〜約1000μgのDNAを含む。いくつかの好ましい実施形態において、これらの医薬組成物は、約10ng〜約800μgのDNAを含む。いくつかの好ましい実施形態において、これらの医薬組成物は、約0.1〜約500μgのDNAを含む。いくつかの好ましい実施形態において、これらの医薬組成物は、約1〜約350μgのDNAを含む。いくつかの好ましい実施形態において、これらの医薬組成物は、約25〜約250μgのDNAを含む。いくつかの好ましい実施形態において、これらの医薬組成物は、約100〜約200μgのDNAを含む。
本発明による医薬組成物を、使用する投与方法に従って処方する。医薬組成物が注射可能な医薬組成物である場合において、注射可能な医薬組成物は無菌であり、発熱物質も粒子も含まない。好ましくは、等張製剤を使用する。一般に、等張にするための添加剤には、塩化ナトリウム、D型グルコース、マンニトール、ソルビトールおよび乳糖が含まれ得る。場合によっては、リン酸緩衝食塩水などの等張液が好ましい。安定剤には、ゼラチンおよびアルブミンが含まれる。一部の実施形態において、血管収縮剤をこの製剤に加える。
本発明の一部の実施形態によると、免疫反応を誘導する方法が提供される。このワクチンは、タンパク質に基づく、弱毒化生ワクチン、細胞ワクチン、組み換えワクチンまたは核酸もしくはDNAワクチンであってもよい。一部の実施形態において、粘膜免疫反応を誘導する方法を含む、免疫原に対する免疫反応を個体において誘導する方法は、CTACKタンパク質、TECKタンパク質、MECタンパク質およびそれらの機能的断片またはそれらの発現できるコード配列のうちの1つ以上を、本発明のタンパク質をコードする単離した核酸分子および/または本発明のタンパク質をコードする組み換えワクチン、および/または本発明のタンパク質のサブユニットワクチンおよび/または弱毒化生ワクチンおよび/または不活化ワクチンと組み合わせて、この個体に投与することを含む。CTACKタンパク質、TECKタンパク質、MECタンパク質およびそれらの機能的断片のうちの1つ以上を、免疫原をコードする単離した核酸分子;および/もしくは免疫原をコードする組み換えワクチンおよび/もしくは免疫原を含むサブユニットワクチンおよび/もしくは弱毒化生ワクチンおよび/もしくは不活化ワクチンの投与前に、それらの投与と同時に、またはそれらの投与の後に投与してもよい。一部の実施形態において、CTACK、TECK、MECおよびそれらの機能的断片からなる群から選択される1つ以上のタンパク質をコードする単離した核酸分子を、この個体に投与する。
本発明を、以下の実施例においてさらに説明する。これらの実施例は本発明の好ましい実施形態を示すが、単なる説明の目的で与えられるということが理解されるべきである。上記の説明およびこれらの実施例から、当業者は本発明の本質的特徴を突き止めることができ、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な使用および条件に本発明を適用するために、本発明の様々な変更および改良を行うことができる。したがって、本明細書に示され、記載される改良に加えて、本発明の様々な改良は、先の記載から当業者に明らかになるであろう。かかる改良は、添付の特許請求の範囲に入ることも意図される。
米国特許、米国特許出願、および本開示の全体を通して引用される参考文献の各々は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
実施例
本発明を、さらに以下の実施例で定義する。これらの実施例は、本発明の好ましい実施形態を示すが、例示のみの目的で与えられることを理解されたい。上記の説明およびこれらの実施例から、当業者は、本発明の精神および範囲を逸脱することなく、本発明の本質的特徴を確認することができ、様々な使用および条件に適合させるために、本発明の様々な変化および変更を行うことができる。したがって、本明細書に示し、記載したものに加えて、前述の記載から本発明の様々な変更が当業者には明らかであろう。このような変更は、添付の特許請求の範囲内であることも意図される。
実施例1
HPV6およびHPV11のE6/E7のワクチン設計ならびに発現
HPV6およびHPV11のE6/E7コンセンサスに基づく融合免疫原の構築
HPV6型またはHPV11型のE6/E7遺伝子配列をGeneBankから収集し、コンセンサスE6およびE7のヌクレオチド配列を、多重アライメントを行った後に取得した。HPV6のE6またはE7タンパク質のコンセンサス配列を、それぞれ98個または20個の配列から作製し、HPV11のE6またはE7タンパク質のコンセンサス配列を、それぞれ76個または13個の配列から作製した。系統発生的研究に適用される多重アライメント手順には、Clustal X(2.0版)の適用が含まれていた。図1Aおよび図1Bに示す通り、HPV株間であって、それらのE6およびE7タンパク質の同じ型に属するHPV株間で配列分散が約0〜2%存在した。しかし、遺伝距離は、HPV6とHPV11の間でE6タンパク質では19.3%まで、E7タンパク質では16.3%まで上げることができた。系統発生分析のこれらの結果に基づいて、2つの型特異的なE6/E7コンセンサスDNAワクチンを開発した。
コンセンサスE6/E7融合配列を作製した後に、いくつかの変更を行った(図1C)。発現を促進させるために、高性能リーダー配列を開始コドンの上流にインフレームで融合した。コドンおよびRNAの最適化も、以前に記載されたとおりに行った(J.Yan,et al.,Cellular immunity induced by a novel HPV18 DNA vaccine encoding an E6/E7 fusion consensus protein in mice and rhesus macaques,Vaccine.26(2008)5210−5215;およびJ.Yan,et al.,Induction of antitumor immunity in vivo following delivery of a novel HPV−16 DNA vaccine encoding an E6/E7 fusion antigen,Vaccine.27(2009)431−440)。適切なタンパク質フォールディングおよび良好なCTLプロセシングのために、細胞内タンパク質分解切断部位をE6およびE7タンパク質の間に導入した。遺伝子工学処理した合成6E6E7遺伝子と11E6E7遺伝子の両方は、長さが840bpであった。さらなる研究のために、配列を確認した合成遺伝子を、それぞれpVAX発現ベクターのBamHIおよびXhoI部位にサブクローニングした。コンセンサスヌクレオチド配列を翻訳することによって、コンセンサスアミノ酸配列を取得した。
HPV6および11のコンセンサスE6配列ならびにHPV6および11のコンセンサスE7配列を取得した後に、コドン最適化およびRNA最適化を以前に記載された通りに行った(J.Yan,et al.,Vaccine.26(2008)5210−5215;およびJ.Yan,et al.,Induction,Vaccine.27(2009)431−440)。HPV6型または11型のコンセンサスE6/E7融合タンパク質のいずれかをコードする融合遺伝子(6E6E7または11E6E7)を合成し、配列を確認した。合成した6E6E7または11E6E7を、BamHIおよびXhoIで消化し、サイトメガロウイルス最初期プロモーターの制御下の発現ベクターpVAX(インビトロジェン社)にクローニングし、これらのコンストラクトをp6E6E7またはp11E6E7と命名した。
293T細胞を6ウェルプレートで培養し、FuGENE6トランスフェクション試薬(Roche Applied Science社、インディアナ州インディアナポリス)を用いてpVAX、p6E6E7、またはp11E6Eでトランスフェクトした。トランスフェクションの2日後に、これらの細胞を、改変RIPA細胞溶解緩衝液を用いて溶解させ、細胞可溶化液を回収した。抗HAモノクローナル抗体(Sigma−Aldrich社、ミズーリ州セントルイス)を用いてウエスタンブロット解析を行い、ECLTMウエスタンブロット解析システム(Amersham社、ニュージャージー州ピスカタウェイ)を用いて、西洋ワサビペルオキシダーゼ結合ヤギ抗マウスIgG(Sigma−Aldrich社、ミズーリ州セントルイス)で可視化した。
p6E6E7およびp11E6E7の発現を確認するために、ヒト横紋筋肉腫細胞(RD細胞)を用いて間接免疫蛍光アッセイを行った。チャンバースライドで培養したRD細胞を、Turbofectin 8.0(Origene社、メリーランド州ロックビル)を用いてpVAX、p6E6E7またはp11E6E7でトランスフェクトした。その後、これらの細胞をPFAで固定し、PBS中0.1%Triton−Xで透過処理した。これらの細胞を、1次抗体および2次抗体と1〜2時間それぞれインキュベートし、2回のインキュベーションの間に、グリシンおよびBSAを補充したPBSで洗浄した。使用した1次抗体および2次抗体は、それぞれモノクローナルマウス抗HA(Sigma−Aldrich社、ミズーリ州セントルイス)およびFITC結合抗マウスIgG(Abcam社、マサチューセッツ州ケンブリッジ)であった。ヘキスト染色も行って、細胞核を識別し、RD細胞を局在化させた。全てのインキュベーションが完了した後に、これらの細胞をマウントとし、ガラススライドをFluoromount−G(Southern Biotech社、アラバマ州バーミンガム)で固定した。これらの試料を、共焦点顕微鏡(CDB Microscopy Core、ペンシルベニア大学、細胞発生生物学、ペンシルベニア州フィラデルフィア)を用いて観察し、撮像した。
実施例2
マウスおよび処置群の免疫化
6〜8週齢の雌のC57BL/6マウスをこの実験に用いた。マウスを、ジャクソン研究所(メイン州バーハーバー)から入手した。これらのマウスを、米国国立衛生研究所およびペンシルベニア大学の施設内動物管理使用委員会(IACUC))の方針に従って、ペンシルベニア大学の動物資源研究所に収容し、維持した。これらの実験で用いたマウスを、免疫化のために4群に分けた。マウスをp6E6E7、p11E6E7、または両方のコンストラクトで免疫化し、pVAX群を陰性対照とした。
DNAワクチン接種および電気穿孔法
各マウスに、14日の間隔を空けて各DNAプラスミド20μgを3回投与した。p6E6E7とp11E6E7との両方を接種される群のマウスは、ワクチン接種あたり両方のプラスミド20μg、合計40μgのDNAを接種された。これらのDNAコンストラクトを、右大腿四頭筋への筋肉注射により投与し、その後、短形波をCELLECTRA(商標)エレクトロポレーター(Inovio Pharmaceuticals社、ペンシルベニア州ブルーベル)により生成させた。このエレクトロポレーターを、52ms/パルス、0.2アンペアで、1秒遅れの間隔で2つの電気パルスを送るように構成した。電気穿孔手順は、以前に記載された通りに行った(12、13)。
IFN−γ ELISpotアッセイ
治療群と対照群との両方のマウスを、3回目の免疫化の1週間後に屠殺した。脾臓を各マウスから採取し、10%FBSおよび抗生物質を含むRPMI−1640培地(R10)に移した。ストマッカー(Seward Laboratory Systems社、ニューヨーク州ボヘミア)を用いて、脾臓を粉砕し、その後、セルストレーナーを通して移し、ACK溶解緩衝液に懸濁させた。赤血球を除去した後、脾細胞を単離し、R10培地に懸濁した。高タンパクIP96−ウェルマルチスクリーン(Multiscreen)(商標)プレート(ミリポア社、マサチューセッツ州ベッドフォード)を、モノクローナルマウスIFN−γ捕捉抗体(R&Dシステムズ社、ミネソタ州ミネアポリス)で予めコーティングし、4℃で一晩インキュベートした。1×XPBSで3回洗浄した後、これらのプレートを1×PBS中1%BSAおよび5%スクロースで、周囲温度で2時間ブロッキングした。R10培地中の単離した脾細胞を計数し、ウェル当たり2×105細胞で3連のウェルに添加した。HPV6およびHPV11のコンセンサスE6/E7配列に及ぶ2組のペプチドを、DMSO(USA GenScript社、ニュージャージー州ピスカタウェイ)で再構成した。これらのペプチドは15個のアミノ酸配列を含み、そのうちの8残基が各シーケンシャルペプチドと重複していた。HPV6および11のペプチドを、それぞれDMSO中2μg/mlの濃度で2つのプール(一方のプールはE6、別のプールはE7)に分けた。陽性対照および陰性対照用のウェルに、それぞれ、ペプチドの代わりにコンカナバリンA(Sigma−Aldrich社、ミズーリ州セントルイス)およびR10培地を入れた。その後、プレートを、5%のCO2雰囲気のインキュベーターに入れた。37℃で24時間インキュベーションした後、これらのウェルを1×PBSで洗浄した。ビオチン化抗マウスIFN−γ検出抗体(R&Dシステムズ社、ミネソタ州ミネアポリス)を各ウェルに添加し、次いで、4℃で一晩インキュベートした。その後、これらのプレートを洗浄し、ストレプトアビジン−APおよびBCIP/NBTプラス(R&Dシステムズ社、ミネソタ州ミネアポリス)を用いて、R&Dシステムズが提供する発色プロトコールにより処理した。これらのウェルを一晩空気乾燥し、ウェル内部のスポットを、ELISpotプレートリーダーシステムによりImmunoSpot(登録商標)3およびImmunoSpot(登録商標)4のソフトウェアを用いてスキャンし、計数した(Cellular Technology Ltd.、オハイオ州シェーカーハイツ)。報告されたスポット形成細胞数を変換し、演算を使用して、1×106個の脾細胞あたりのスポット形成単位を示した。
それらの感度及びT細胞活性を示す能力を前提として、IFN−γ ELISpotアッセイを用いて、HPV6または11のE6およびHPV6または11のE7ペプチドのいずれかでの刺激に反応して、抗原特異的なIFN−γ分泌細胞数を決定した。
図3Aおよび3Bに示すように、p6E6E7で免疫したマウスのSFU/106脾細胞の平均数は1442.8であり、p11E6E7で免疫したマウスのSFU/106脾細胞の平均数は2845であり、これらは全て、陰性対照群を著しく上回っていた。したがって、p6E6E7およびp11E6E7の両方は、マウスにおいて強力な型特異的E6およびE7特異的免疫反応を誘発するのに有効であった。
興味深いことに、交差反応性の細胞性免疫反応も、p6E6E7またはp11E6E7での免疫化により誘導された。p11E6E7で免疫化したマウスにおけるHPV6のE6/E7ペプチドに対するSFU/106脾細胞の添加頻度は、552.8SFU/106脾細胞であり、p6E6E7で免疫化したマウスにおけるHPV11のE6/E7特異的免疫反応は、888.3SFU/106脾細胞であった。HPV6または11のE6タンパク質は、約80%の同一性を共有し、HPV6または11のE7タンパク質は、約84%の同一性を共有した。HPV6または11のE6抗原とHPV6または11のE7抗原の間にはいくつかの共有免疫エピトープが存在し得る。IFN−γ ELISpotアッセイから観察される交差反応性は、HPV6およびHPV11のE6抗原とHPV6およびHPV11のE7抗原との間に共有免疫エピトープがあることを示した。
p6E6E7とp11E6E7(組み合わせ群)の両方を受け取ったマウスの脾細胞も、これらの2つのコンストラクトを一緒に免疫化する場合に、任意の免疫干渉があるか否かを調べるために、上記のELISpotアッセイに供した(図3Aおよび図3B)。HPV6のE6およびE7ペプチドに対する組み合わせ群の平均値は、1670SFU/106脾細胞(σ=55.7、P<0.001)であった。HPV11のE6およびE7ペプチドに対する脾細胞の同じグループは、2010SFU/106脾細胞(σ=247.8、P=0.002)をもたらした。これらのデータは、2つのコンストラクトでの同時免疫化が、HPV6およびHPV11に対して統計的に有意なE6およびE7特異的細胞性反応を誘発することができ、これらの反応は互いに干渉しないことを示唆する。
エピトープマッピング
E6/E7コンセンサス抗原内の免疫優性ペプチドを決定するために、エピトープマッピング試験を行い、ペプチドプール内の優性エピトープを決定した(図4Aおよび図4B)。これらの試験は、前述のIFN−γ ELISpotアッセイと同様に行った。プールの代わりに、個々のペプチドを用いて、脾細胞を刺激した。
この単一ペプチド分析に用いた各ペプチドは、HPV6またはHPV11のE6抗原およびHPV6またはHPV11のE7抗原の部分的に重複する断片を示した。マッピングデータは、配列番号11のペプチド7(TAEIYSYAYKQLKVL)が、HPV6のE6およびE7免疫原の優性エピトープであることを示した(図4A)。配列番号11のTAEIYSYAYKQLKVLは、NIH BIMASによって入手可能なHLA結合予測ソフトウェアによって制限されるH2−Kbであることが確認された8mer、9mer、10merのアミノ酸エピトープをそれぞれ含んでいた。さらに、HPV11のE6およびE7特異的T細胞免疫反応について記載する(図4B)。また、HPV11のE6およびE7の重複断片を用いてペプチド分析も行った。エピトープマッピングにより、HPV11のE6およびE7抗原の優性エピトープが、配列番号12のペプチド7(TAEIYAYAYKNLKVV)および配列番号13のペプチド27(HCYEQLEDSSEDEVD)であることが示された。HPV6エピトープマッピングアッセイにおけるペプチド7と同様に、BIMAS HLA結合予測ソフトウェアにより、配列番号12のTAEIYAYAYKNLKVVがH2−Kb制限エピトープであることが確認された。NIH NIAIDが提供する別のHLA結合ペプチドデータベース、免疫エピトープデータベースおよび分析リソースは、配列番号13のHCYEQLEDSSEDEVDがH2−Kb制限エピトープであることを確認した。準有意の3つの免疫ペプチドである配列番号14の番号6(FCKNALTTAEIYSYA)、配列番号15の番号9(LFRGGYPYAACACCL)、および配列番号16の番号13(YAGYATTVEEETKQD)を、このエピトープマッピング研究を経て同定した。
細胞内サイトカイン染色
IFN−γ ELISpotアッセイによって示される高い免疫反応を考慮して、p6E6E7およびp11E6E7により誘導される細胞性反応のより包括的な概要を提供するために、細胞内サイトカイン染色アッセイを行った。免疫化したマウス群および未処理のマウス群の脾細胞を単離し、5%CO2環境中、37℃で4時間、HPV6およびHPV11のE6ならびにHPV6およびHPV11のE7領域にまたがるペプチドで刺激した。このアッセイにおいて陽性対照および陰性対照を、それぞれ、ホルボール12−ミリステート13−アセテート(PMA)およびR10細胞培地中に細胞を入れることによって用いた。インキュベーション後、これらの細胞を最初にViViD染料(Invitrogen社、カリフォルニア州カールズバッド)で染色し、生細胞および死細胞を区別し、次いで、全細胞を、APC−Cy7ハムスター抗マウスCD3e、PerCP−Cy5.5ラット抗マウスCD4、およびAPCラット抗マウスCD8a(BD Biosciences社、カリフォルニア州サンディエゴ)、の表面マーカー抗体で染色した。その後、これらの細胞を、Cytofix/Cytopermキット(BD Biosciences社、カリフォルニア州サンディエゴ)を用いて固定した。製造業者のプロトコールに従って固定した後、これらの細胞を、Alexa Fluor700ラット抗マウスIFN−γ、PE−Cy7ラット抗マウスTNFクローン、およびPEラット抗マウスIL−2(BD Biosciences社、カリフォルニア州サンディエゴ)の細胞マーカー抗体で染色した。染色後、これらの細胞を、2%パラホルムアルデヒドを含むPBS溶液で固定した。調製した細胞を、BD FACSDivaソフトウェア(BD Biosciences社、カリフォルニア州サンノゼ)が搭載されたLSRIIフローサイトメーターを用いて得た。取得したデータを、FlowJoソフトウェア(Tree Star、オレゴン州アッシュランド)の最新バージョンを使用して分析した。CD4+およびCD8+のイベントを、FSC−A対FSC−Hからのシングレット、FSC−A対SSC−Aからの全脾細胞、ViViD染料(Pacific Blue社)対SSC−Aからの生細胞、CD3(APC−Cy7)対SSC−AからのCD3+細胞、CD4(PerCP−Cy5.5:陽性−CD4+、陰性−CD8+)対SSC−AからのCD4+またはCD8+というゲートの順番を用いて単離した。最後の2つの集団を、Alexa Fluor700、PE−Cy7、およびPEに対してゲーティングし、それぞれIL−2、IFN−γおよびTNF−αの産生の変化を観察した。
細胞内サイトカイン染色データが、CD4+およびCD8+細胞の反応により区別することができるように細胞をゲーティングした。HPV6 E6およびE7特異的なペプチドで刺激した場合、p6E6E7で免疫したマウスのIFN−γ、TNF−α、およびIL−2を産生する全CD4+細胞の平均値は、それぞれ0.163%(σ=0.09)、0.003%(σ=0.07)、0.188%(σ=0.20)であった(図5A)。マウスの同じグループのIFN−γ、TNF−α、およびIL−2を産生する全CD8+細胞の平均値は、それぞれ3.323%(σ=1.39)、0.838%(σ=0.32)、および1.172%(σ=1.81)であった。同じ細胞内サイトカインデータを、HPV11のE6およびE7抗原とのインキュベーション後にp11E6E7で免疫したマウスの脾細胞を用いて収集した(図5B)。p11E6E7免疫化マウスの全CD4+細胞のうち、IFN−γを産生した細胞の平均値は0.051%(σ=0.04)、TNF−αを産生した細胞の平均値は0.068%(σ=0.09)、IL−2を産生した細胞の平均値は0.026%(σ=0.037)であった。さらに、p11E6E7で免疫したマウスにおいて、IFN−γ、TNF−α、およびIL−2を産生した全CD8+細胞の平均値は、それぞれ4.52%(σ=2.53)、2.08%(σ=1.56)、および0.21%(σ=0.22)であった。いくつかのパネルを除いて、処理群対それらのそれぞれの未処理群のサイトカイン産生細胞の割合は、89%以上の信頼水準で統計的に有意であった。CD4+T細胞対CD8+T細胞のサイトカイン産生の程度の観察により、p6E6E7およびp11E6E7によって誘発される免疫反応は、全てのモデルにおいてそれらの細胞クリアランスと関連付けられるCD8+リンパ球の駆動に向かって大きく偏っていると結論付けることができる。
統計分析
スチューデントt検定を行い、この研究で生じた全ての定量的データの統計的有意性を解析した。特に明示しない限り、p値を計算し、様々な信頼レベルで統計的有意性を決定した。
この研究は、DNAワクチンが、実績があり従来から使用されている他のワクチンプラットフォームを用いた実験で見出された免疫原性のレベルを達成することができる可能性の説得力のある証拠を示した。他の類似のE6およびE7特異的HPV DNAワクチン研究で測定された高レベルの細胞性反応は、予防的および治療的な抗腫瘍効果を示唆するデータと関連していた。ほとんどのHPV関連の研究および疾患の負荷モデルは、子宮頸癌に焦点を当てている。HPV6およびHPV11が、他のHPV血清型と同じくらい子宮頸癌と関係しないことを考慮すると、p6E6E7およびp11E6E7の治療効果は、完全に従来のHPV疾患の負荷モデルを用いて評価することはできない。適切な疾患の負荷モデルが利用可能である場合、p6E6E7およびp11E6E7の保護ならびに治療の可能性を判断することは洞察に満ちている。したがって、ELISpotアッセイおよび細胞内サイトカイン染色によって定量化される高レベルのIFN−γならびにサイトカイン産生を調べることにより、p6E6E7およびp11E6E7の免疫原性の有効性を推測することができる。それにもかかわらず、そのようなレベルは、大きさが著しく強いこと、かつ2つのコンストラクトが、実質的なレベルの細胞性免疫反応を誘発するという見込みを示すことが見出された。HPV関連の悪性腫瘍が、一般に、複数の血清型の同時感染に続発しているため、ウイルスの異なる血清型を対象としたワクチンを組み合わせることの実現可能性をさらに調べる必要性が大いに存在する。T細胞の動態およびワクチン競争を調べるさらなる研究は、これらの2つのプラスミドの同時免疫化の効果をさらに特徴づけることを保証する。
細胞内サイトカイン染色により、p6E6E7およびp111E6E7での免疫化は、かなりの割合のIFN−γ、TNF−α、およびIL−2を産生するT細胞を誘発することができることが示された。免疫系における現在知られている機能を考慮して、IFN−γは、従来、細胞性免疫反応の指標として用いられてきた。これらの重要な役割のいくつかには、自然免疫および獲得免疫を調節し、刺激する能力が含まれる。さらに、IFN−γの主な生産者は、IFN−γ産生を、抗原に対する所定のワクチン曝露後の細胞免疫原性を測定するのに許容されるモードにさせるT細胞であることが広く認められている。TNF−αは、免疫系の調節に関与する別のサイトカインである。アポトーシスを誘導し、腫瘍増殖を調節するTNF−αの既知の能力により、TNF−αは、ワクチン接種後の免疫反応を特徴づける際に考慮すべき重要なパラメータになる。HPV6およびHPV11の潜在的な腫瘍増殖特性を考慮すると、TNF−α産生はさらに興味深いものとなり得る。IL−2は、免疫系におけるT細胞の増殖および分化において中心的な役割を果たすことが観察されている別のシグナル伝達分子である。そのため、IL−2は、特定の免疫反応の程度および品質について更なる見解を得るために、他のサイトカインと組み合わせて検討される場合が多い。上記を考慮すると、p6E6E7での免疫化後の顕著な割合のIFN−γ、TNF−α、およびIL−2を産生するCD4+ならびにCD8+細胞は、このワクチンが、強力な免疫反応を誘導することに成功したことを示唆する。IL−2を分泌するCD4+細胞を除いて、p11E6E7で免疫化したマウスから単離した細胞についても同じ傾向が当てはまる。さらに、CD8+細胞が、免疫化マウスにおける免疫反応を著しく促進したこと(これらの2つのプラスミドの抗腫瘍効果を評価する上で重要である特性)を観察することは注目に値する。